JP2018027564A - 基板加工方法および基板加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工対象結晶基板を、欠けのないくり抜き結晶基板を得るための加工層含有基板に加工する基板加工方法および基板加工装置を提供することを課題とする。【解決手段】収差補正が調整可能なレーザ集光手段12を、加工対象結晶基板20aの被照射面上に非接触に配置する第1工程を行う。そして、レーザ光Bを集光しつつ、レーザ光Bの集光位置Bfを加工対象結晶基板20aのくり抜き対象部20bの周囲方向および厚み方向に変化させ、破断強度が低下した加工層22を形成することで加工層含有基板20cとする第2工程を行う。第2工程では、加工対象結晶基板20a内部および少なくとも一方の加工対象結晶基板面近傍で、レーザ光Bの集光位置Bfにおいて生じる加工痕22cが加工対象結晶基板20aの結晶方位に沿って伸張しかつ加工対象結晶基板20aの異なる結晶方位に沿って伸張しないようにレーザ集光手段12の収差補正を調整する。【選択図】図2

Description

本発明は、加工対象結晶基板の表面から内部にレーザ光を集光することで、加工対象結晶基板内部に加工層を形成する基板加工方法および基板加工装置に関する。
従来、単結晶のシリコン(Si)ウエハに代表される半導体ウエハを製造する場合には、石英るつぼ内に溶融されたシリコン融液から凝固した円柱形のインゴットを適切な長さのブロックに切断して、その周縁部を目標の直径になるよう研削し、その後、ブロック化されたインゴットをワイヤソーによりウエハ形にスライスして半導体ウエハを製造するようにしている(例えば特許文献1参照)。
このようにして製造された半導体ウエハは、前工程で回路パターンの形成等、各種の処理が順次施されて後工程に供され、この後工程で裏面がバックグラインド処理されて薄片化が図られることにより、厚さが約750μmから100μm以下、例えば75μmや50μm程度に調整される。
従来における半導体ウエハは、以上のように製造され、インゴットがワイヤソーにより切断され、しかも、切断の際にワイヤソーの太さ以上の切り代が必要となるので、厚さ0.1mm以下の薄い半導体ウエハを製造することが非常に困難であり、製品率も向上しない。
特開2005−297156号公報
ところで、単結晶基板の寸法が使用予定の寸法よりも大きい場合、この単結晶基板を良好な形状で小さい寸法にして再利用することができれば効率的である。また、このことは、単結晶基板に限らず、他の種類の基板であっても該当することが多々ある。
一方、レーザ光をウエハ内部に集光してウエハ内部に改質領域を形成してウエハをダイシングする加工方法が提案されている。一般的に、この加工方法では内部集光したレーザ光による熱吸収により改質層がレーザ光照射側に延びることを利用している。この方法はダイシングする際の加工時間短縮には効果的であるが、改質層の亀裂の進展により断面形状の悪化や、加工対象結晶基板の予期しない結晶方位に沿って亀裂が進展してしまうことが懸念される。そのためウエハをくり抜くときに、その断面形状の悪化や、加工精度の低下及びウエハ表面の欠けなどの不具合が生じることが懸念される。
本発明は、上記課題に鑑み、加工対象結晶基板を、欠けのないくり抜き結晶基板を得るための加工層含有基板に加工する基板加工方法および基板加工装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様によれば、レーザ光を集光するとともに収差補正が調整可能なレーザ集光手段を、加工対象結晶基板の被照射面上に非接触に配置する第1工程と、前記レーザ集光手段により加工対象結晶基板内部にレーザ光を集光しつつ、レーザ光の集光位置を前記加工対象結晶基板のくり抜き対象部の周囲方向および厚み方向に変化させ、破断強度が低下した加工層を前記くり抜き対象部の外周側に形成することで加工層含有基板とする第2工程と、を備え、前記第2工程では、加工対象結晶基板内部および少なくとも一方の加工対象結晶基板面近傍で、レーザ光の集光位置において生じる加工痕が、前記加工対象結晶基板の結晶方位に沿って伸張しかつ前記加工対象結晶基板の異なる結晶方位に沿って伸張しないように前記レーザ集光手段の収差補正を調整する基板加工方法が提供される。
また、本発明の別の一態様によれば、載置された加工対象結晶基板を保持して回転する回転ステージと、前記回転ステージ上に保持された前記加工対象結晶基板に向けてレーザ光を集光するとともにレーザ光の収差補正が調整可能なレーザ集光手段と、前記回転ステージと前記レーザ集光手段との距離を変える照射軸方向距離変更手段と、前記距離に応じて前記収差補正の調整を制御する収差補正制御手段と、を備え、前記収差補正制御手段は、加工対象結晶基板内部および少なくとも一方の加工対象結晶基板面近傍で、レーザ光集光位置において生じる加工痕が前記加工対象結晶基板の結晶方位に沿って伸張しかつ前記加工対象結晶基板の異なる結晶方位に沿って伸張しないように制御する基板加工装置が提供される。
本発明によれば、加工対象結晶基板を、欠けのないくり抜き結晶基板を得るための加工層含有基板に加工する基板加工方法および基板加工装置を提供することができる基板加工方法および基板加工装置を提供することができる。
第1実施形態に係る基板加工装置を説明する模式的な側面図である。 (a)から(c)は、それぞれ、第1実施形態に係る基板加工方法により加工層含有基板を製造するプロセスを説明する模式的な側面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、第1実施形態に係る基板加工方法により加工層が形成されていくことを示す模式的な側面断面図である。 第1実施形態で、加工層含有基板からくり抜き対象部をくり抜くことを説明する模式的な斜視図である。 第1実施形態に係る基板加工装置で、収差補正環としての機能を説明するための模式的な側面図である。 第1実施形態に係る基板加工方法で形成された加工層に加工痕が配列されていることを説明する模式的な説明図である。 実験例1で、第1実施形態の一例(実施例1)で得られた加工層含有基板の側面断面を示す写真図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実験例2の測定結果を示すグラフ図および数値の説明図である。 実験例2の測定結果を示すグラフ図である。 実験例3で、第1実施形態の一例(実施例2)を行うときのレーザ光の焦点位置を説明する模式的な側面図である。 実験例3で、レーザ光の焦点位置を上方に移動させる際に仮に収差補正を行わなかったときに集光不十分となることを説明する模式的な側面図である。 実験例3で、レーザ光の焦点位置を上方に移動させる際に収差補正を行うことで、焦点位置で十分に集光させつつ移動させることを説明する模式的な側面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実験例3で、補正環なして照射したときの焦点を説明する模式的断面図である。 実験例3で、補正環ありで照射したときの焦点を説明する模式的断面図である。 実験例4で、第1実施形態の一例(実施例3)によって得られた加工層含有基板からくり抜き対象部をくり抜いたことを説明する写真図である。 実験例3で、比較例1によって得られた加工層含有基板の部分側面断面を示す写真図である。 第2実施形態に係る基板加工方法により製造した加工層含有基板を示す模式的な側面断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、すでに説明したものと同一または類似の構成要素には同一または類似の符号を付し、その詳細な説明を適宜省略している。また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための例示であって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の実施の形態は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る基板加工装置を説明する模式的な側面図である。図2で(a)から(c)は、それぞれ、本実施形態に係る基板加工方法により加工層含有基板を製造するプロセスを説明する模式的な側面図である。図3で(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態に係る基板加工方法により加工層が形成されていくことを示す模式的な側面断面図である。図4は、本実施形態で、加工層含有基板からくり抜き対象部をくり抜くことを説明する模式的な斜視図である。図5は、本実施形態に係る基板加工装置で、収差補正環としての機能を説明するための模式的な側面図である。図6は、本実施形態に係る基板加工方法で形成された加工層に加工痕が配列されていることを説明する模式的な説明図である。
(基板加工装置)
図1、図2に示すように、本実施形態に係る基板加工装置10は、載置された加工対象結晶基板20aを保持して回転する回転ステージ11と、回転ステージ11のステージ面Su上に保持された加工対象結晶基板20aに向けてレーザ光Bを集光するレーザ集光手段12(例えば集光器)と、を備える。レーザ集光手段12は、レーザ発振装置Jから出射したレーザ光が入射するようになっている。また、基板加工装置10は、回転ステージ11とレーザ集光手段12との距離Lを変える照射軸方向距離変更手段(図示せず)と、この距離Lに応じてレーザ集光手段12の収差補正の調整状態を制御する収差補正制御手段13と、を備える。更に基板加工装置10は、回転ステージ11の回転中心軸Csとレーザ集光手段12の照射中心軸Cbとの距離rを変える半径方向距離変更手段(図示せず)を備える。
照射軸方向距離変更手段としては、レーザ集光手段12を回転ステージ11に対して遠近方向に移動させる機構であってもよいし、回転ステージ11をレーザ集光手段12に対して遠近方向に移動させる機構(例えば、XステージあるいはXYステージ)であってもよい。
半径方向距離変更手段としては、レーザ集光手段12をステージ面Suに平行な一方向(例えば図1、図2のX方向)に移動させる移動機構であってもよいし、回転ステージ11をステージ面Suに平行な一方向(例えば図1、図2のX方向)に移動させる移動機構であってもよい。
収差補正制御手段13は、距離Lに応じてレーザ集光手段12の収差補正(詳細は後述)を調整する制御信号を送信している。この収差補正制御手段13は、加工対象結晶基板20a内部および少なくとも一方の加工対象結晶基板面近傍(表面近傍(上面近傍)または裏面近傍(下面近傍))で、レーザ光Bの集光位置Bfに生じる加工痕22c(図6参照)が加工対象結晶基板20aの結晶方位(例えば[100]方位)に沿って伸張(後述)しかつ加工対象結晶基板20aの異なる結晶方位(例えば[111]方位や[110]方位)に沿って伸張しないようにレーザ集光手段12の収差補正を調整するようになっている。
ここで、加工対象結晶基板の結晶方位と異なる結晶方位に沿って加工痕が伸張するとは、例えば結晶方位[100]の単結晶シリコンウエハを基板材料とした場合、結晶方位[100]に沿って加工痕を基板厚さ方向に形成する必要があるが、単結晶シリコンではより結合力の弱い[111]および[110]方位(異なる結晶方位)に劈開が起こりやすく、加工痕がこれらの結晶方位に沿って進展することをいう。このことによって、くり抜き断面が不均一になったり、欠けや割れなどが生じたりする。
本実施形態では、収差補正制御手段13がこのような収差補正の制御を行う加工対象結晶基板面近傍をレーザ光Bの被照射面20u(表面)近傍、あるいは、被照射面20uとは反対側の面、すなわち回転ステージ側の面(裏面20v)近傍とされている。基板加工装置10では、収差補正制御手段13が行うこのような制御を表面近傍とするか裏面近傍とするかを切り替えスイッチなどにより切替可能な装置構成にされていてもよい。
レーザ集光手段12は、本実施形態では、図5、図6に示すように、集光レンズ15を備えており、収差補正の調整機能、すなわち収差補正環としての機能を有している。具体的には、集光レンズ15は、空気中で集光した際に、集光レンズ15の外周部Eに到達したレーザ光が集光レンズ15の中央部Mに到達したレーザ光よりも集光レンズ側で集光するように補正する構成になっている。つまり、集光した際、集光レンズ15の外周部Eに到達したレーザ光の集光点EPが、集光レンズ15の中央部Mに到達したレーザ光の集光点MPに比べ、集光レンズ15に近い位置となるように補正する構成になっている。
そして収差補正制御手段13は、加工対象結晶基板20aの表面近傍から加工痕の形成を開始する場合には、表面(被照射面20u)からの距離が大きい加工痕ほど加工痕長さが短くなるように制御し、加工対象結晶基板20aの裏面近傍から加工痕の形成を開始する場合には、裏面(裏面20v)からの距離が大きい加工痕ほど加工痕長さが短くなるように制御することが多い。
集光レンズ15は、空気中で集光する第1レンズ16と、この第1レンズ16と加工対象結晶基板20aとの間に配置される第2レンズ18と、で構成される。本実施形態では、第1レンズ16および第2レンズ18は、何れもレーザ光を円錐状に集光できるレンズとされている。そして、第1レンズ16と第2レンズ18との間隔調整により、集光点EPと集光点MPとの長さが調整可能になっており、集光レンズ15は補正環付きレンズとしての機能を有している。
第1レンズ16としては、球面または非球面の単レンズのほか、各種の収差補正や作動距離を確保するために組レンズを用いることが可能であり、NAが0.3〜0.85であることが好ましい。第2レンズ18としては、第1レンズ16よりも小さなNAのレンズで、例えば曲率半径が3〜5mm程度の凸ガラスレンズが、簡便に使用する観点で好ましい。
なお、第2レンズ18に代えて、レーザ光Bの収差増強材(例えば収差増強ガラス板)を配置することも可能である。
(基板加工方法)
以下、加工対象結晶基板20aが単結晶基板である例を挙げ、基板加工装置10を用いて本実施形態に係る基板加工方法を行うことをその効果も含めて説明する。
本実施形態では、レーザ集光手段12を、加工対象単結晶基板20amの被照射面20u上に非接触に配置する第1工程を行う。そして、レーザ集光手段12により加工対象単結晶基板20amの内部にレーザ光Bを集光しつつ、レーザ光Bの集光位置Bfを加工対象単結晶基板20amのくり抜き対象部20bの周囲方向(外周方向)および厚み方向(図1、図2のZ方向)に変化させ、破断強度が低下した加工層22をくり抜き対象部20bの外周側に形成することで加工層含有基板20cとする第2工程を行う。本実施形態では、この第2工程では、加工対象結晶基板20a内部および少なくとも一方の加工対象結晶基板面近傍(表面近傍(上面近傍)または裏面近傍(下面近傍))で、レーザ光Bの集光位置Bfに生じる加工痕22cが加工対象結晶基板20aの結晶方位に沿って伸張しかつ加工対象結晶基板20aの異なる結晶方位に沿って伸張しないようにレーザ集光手段12の収差補正を調整する。
以下、第2工程で加工層22を形成する手順を詳細に説明する。レーザ光Bを加工対象単結晶基板20amに照射する際、被照射面20uとは反対側の面(裏面20v)側から照射を開始できるように、回転ステージ11上に配置した加工対象単結晶基板20amにおける集光位置BfのZ軸方向位置を決定する。
そして、まず回転ステージ11を少なくとも一回転させつつ、同心円に沿ってレーザ光Bを照射する。その後、基板加工装置10のZ軸方向に集光位置Bfを移動してレーザ光Bを同様にて同心円に沿って照射する。このときZ軸方向への集光位置Bfの移動が、加工対象単結晶基板20amの厚さ方向と同方向になっているので、加工層22を、被照射面20uに直交する短円筒状に形成することができる。
この一連の動作を加工対象単結晶基板20amの被照射面20uの近傍にまで行うことにより、加工層22を完成させることができる。集光位置Bfのこの移動を行うには、レーザ集光手段12あるいは回転ステージ11の少なくとも一方を移動すればよい。
本実施形態では、第2工程で、レーザ発振装置Jの出力を一定、すなわち、レーザ集光手段12に入射するレーザ光の出力を一定にしている。入射するレーザ光の出力は加工痕22cの伸張を抑制するために基板内部に加工痕22cが形成可能である下限の出力とすることが好ましい。
この下限の出力とは、基板厚さに対応して裏面20v(底面)側に集光位置Bfを合わせた時の補正環調整量(収差補正の調整量)に基づき、加工痕22cの基板厚さ方向長さK(図6参照)が10μm以下、好ましくは3μm〜10μm、さらに好ましくは3μm〜7μmで形成できる出力である。
そして、集光位置Bfを段階的に加工対象単結晶基板20amの表面側に移動しつつ長さKが10μm以下(好ましくは3μm〜7μm)の加工痕22cを形成していく。その際、加工対象結晶基板20aの結晶方位(例えば[100]方位)に沿って加工痕22cが伸張し、かつ加工対象結晶基板20aの異なる結晶方位(例えば[111]方位や[110]方位)に沿って加工痕22cが伸張しないように加工痕22cを形成する。なお、加工痕長さが3μmを下回った場合(例えば2μmである場合)では、形成した加工痕が深さ方向に連結し難いため、良好なくり抜きを行い難い。
加工痕22cを形成していく際には、予め加工痕形成状態を確認して条件選定を行い加工条件を決定することが望ましい。
具体的には、レーザ照射面側の基板表面を基準としてレーザ集光手段を基板内部方向に移動し基板内部に焦点を形成させる。この移動量をデフォーカス量(DF量)として定義する。次に補正環調整量を大きくし基板裏面側に加工痕を形成し、徐々に補正環調整量を小さくし加工痕形成位置を基板表面方向に移動していく。このとき、補正環の調整は加工痕長さが10μm以下、好ましくは3μm〜7μmで形成できる範囲においては補正環調整量を変更しなくてもよい。一方、補正環調整量に対して球面収差が補正されレーザ光のエネルギー密度がもっとも大きくなる深さ位置が生じ加工痕が長くなる。この場合においても加工痕が10μm以下、好ましくは3μm〜7μmとなるようにレーザ出力を設定しておくことが好ましい。なお、この時のレーザ出力およびDF量は上記加工状態を得ることができるように適宜選定される。さらに、レーザ出力はパルスレーザのパルスエネルギーとして設定することが望ましい。
このように加工痕を形成していくことで、良好な品質のくり抜き結晶基板を、加工対象結晶基板20aの結晶方位への加工痕22cの伸張によって短時間で効率良く得ることができる。そのため、集光位置Bfに対して補正環を調整(第1レンズ16と第2レンズ18との間隔を制御)することによって球面収差を補正して各集光位置Bfで長さKが10μm以下の加工痕22cを所定位置に形成していく。
加工対象単結晶基板20amの裏面20v(底面)側への最初の集光位置Bfは、レーザ光Bの照射により形成される加工層22が加工対象単結晶基板20amの裏面20vに亀裂やアブレーションなどによる無用なダメージ(特にくり抜き対象部20bへのダメージ)を与えない所定範囲内に設定する。
加工層22には、レーザ光Bの集光によって形成された加工痕22cが、一定の間隔で規則的に配列されている。この加工痕22cを形成する間隔に関しては、基板平面方向(被照射面20uや裏面20vに平行な方向)ではレーザ光Bの発振繰り返し周波数と回転ステージ11の回転速度(すなわち周速)との関係で決定され、基板高さ(深さ)方向では集光位置BfのZ軸方向の移動量により決定される。加工層22は上記のように所定間隔にレーザ光Bを照射して、加工痕22cが断続的に形成された領域として得られる。この時レーザ光Bは、例えばパルス幅が1μs以下のパルスレーザ光からなり、300nm以上の波長が選択され、例えば加工対象単結晶基板20amがシリコンウエハの場合は、1000nm以上の波長のYAGレーザ等が好適に使用される。
そして、被照射面20u近傍では、くり抜き結晶基板の欠けや割れを防ぐために、加工痕22cが基板表面に露出しない、すなわち基板表面にレーザ光Bによるアブレーションが生じない状態で形成することが必要である。そのためにレーザ光Bの出力を一定に保った状態で、集光位置Bfにおいてレーザ光Bの焦点を外すように補正環を調整(第1レンズ16と第2レンズ18との間隔を調整)する。
この後、くり抜き対象部20bを加工層含有基板20cから切り離してくり抜き単結晶基板20dを得る。
ここで、本実施形態では、加工対象単結晶基板20amの裏面20v(底面)側への最初の集光位置Bfは、レーザ光Bの照射により形成される加工層22が加工対象単結晶基板20amの裏面20vに亀裂やアブレーションなどによる無用なダメージ(特にくり抜き対象部20bへのダメージ)を与えない位置に設定している。従って、使用者が加工層含有基板20cを裏面側が広がるように撓ませた際、裏面側で加工痕22cから無用なクラックが発生してくり抜き対象部20bに損傷が生じることを効果的に抑えることができる。
そして本実施形態では、レーザ発振装置Jの出力を一定にし、被照射面20u近傍では、被照射面20uに近いほど、集光位置Bfにおいてレーザ光Bの焦点を外すように補正環を調整(第1レンズ16と第2レンズ18との間隔を調整)している。このことにより、被照射面20u近傍において加工痕22cが伸張することを抑制し、基板表面に加工痕22cが露出しない状態を得ることができる。なお、この補正環の調整は基板厚さに対してレーザ光Bの焦点が外れる設定に任意に選択できる。
従って、被照射面20u近傍の加工層部分では、他の加工層部分に比べ、加工痕22cの周囲に生じる意図しない損傷(亀裂)や歪が相対的に小さい。よって、使用者がくり抜き対象部20bをくり抜いた際、被照射面20u近傍で加工痕22cから無用なクラックが発生してくり抜き単結晶基板20dに損傷が生じることを大幅に抑えることができる。
よって、本実施形態により、加工対象単結晶基板20amから欠け(チッピング)のないくり抜き単結晶基板20dを短時間で容易に得ることができる。なお、得られたくり抜き単結晶基板20dの外周面には、必要に応じて研磨等の加工を行う。
ここで、被照射面20u近傍とは、このようなレーザ光照射によって、加工層22形成後の人手によるくり抜き作業を無用なチッピングを生じさせずに行うことができる被照射面付近の部位のことであり、具体的には被照射面(基板表面)から内部に100μmまでの範囲であり、好適には基板表面から50μmまでの範囲である。この範囲において補正環調整によりレーザ光Bの焦点を外すことで、加工痕の結晶方位と異なる方向への伸張を防ぐとともにアブレーションを発生させずに加工痕を形成することが必要である。
単結晶基板の寸法が使用予定の寸法よりも大きい場合、このようにして、この単結晶基板を加工対象単結晶基板20amとし、加工対象単結晶基板20amよりも小さい寸法のくり抜き単結晶基板20dを得ることで加工対象単結晶基板20amを再利用することができ、資源の有効活用が図られる。
また、本実施形態では、レーザ集光手段12と加工対象単結晶基板20amの裏面20vとが離れる方向の移動では、基板厚み方向と同方向に移動させている。従って、加工層22が短円筒状に形成されているので、得られたくり抜き単結晶基板20dの外周は円筒外周状となっており、使い勝手が良い。ここで本実施形態では、加工層含有基板20cの被照射面20u近傍では、レーザ光Bの出力を一定に保った状態で、集光位置Bfにおいてレーザ光Bの焦点を外すように補正環を調整(第1レンズ16と第2レンズ18との間隔を調整)することで、集光位置Bfにおいて生じる加工痕22cが加工対象単結晶基板20amの結晶方位に沿って伸張しかつ加工対象単結晶基板20amの異なる結晶方位に沿って伸張しないようにレーザ集光手段12の収差補正を調整して繋げるようにレーザ光を照射することで加工痕22cが形成される。
その上、加工対象単結晶基板20amの裏面20v側への最初の集光位置Bfは、裏面20vに亀裂やアブレーションなどによる無用なダメージを与えないように裏面20vから所定範囲内の基板厚さ位置に設定されている。
従って、加工層22の形状をチッピングが発生し難い形状(例えば、裏面側に広がるテーパ状)にせずに単に短円筒状としても、加工痕22cから無用なクラックが発生することが大幅に抑えられている。
また、本実施形態では、第2工程で、レーザ発振装置Jの出力を一定、すなわち、レーザ集光手段12に入射するレーザ光の出力を一定にしている。従って、集光位置BfがZ軸方向に移動することに応じたパラメータの変更を補正環の調整(集光レンズ15の収差補正の調整)のみにしており、収差補正制御手段13で制御することによってこれらの効果を得ることが可能である。収差補正制御手段13による収差補正の調整状態は、くり抜き時における無用なクラックの発生し難さ、加工層22の形成のし易さ、などを考慮して適切な値に設定する。
また、基板加工装置10は、回転ステージ11の回転中心軸Csとレーザ集光手段12によるレーザ光Bの加工対象単結晶基板20amへの照射中心軸Cbとの距離rを変える半径方向距離変更手段を備えている。従って、くり抜き対象部20bの半径に合わせて加工層22の形成位置を変更することが容易にできる。
また、第2工程では、図6に示すように、レーザ光Bの集光によって加工層22に形成される加工痕22cの基板厚み方向長さKを10μm以下(さらに好ましくは3μm〜7μm)としている。これにより、加工対象単結晶基板20amの上下方向(結晶方位[100]方向)に加工痕22cが良好に伸張しやすい。
なお、第1レンズ16と第2レンズ18との間隔調整、すなわち、収差補正環としての機能によるレーザ光Bの調整を変化させつつ、レーザ光Bの出力を変化させてもよい。これにより、加工痕22cの寸法や加工痕22c周囲の歪を更に精度良く制御することができる。
また、図4では、加工層22には加工痕22cが一列に配置されているように描いているが、実際には、加工層22には複数列にわたって加工痕22cが散りばめられるようにレーザ光Bを照射してもよい。これにより、くり抜き対象部20bを加工層含有基板20cからくり抜く際の作業が更に容易になる。
また、本実施形態に係る基板加工方法の説明では、加工対象単結晶基板20amが単結晶基板である例で説明したが、単結晶基板以外であっても、本実施形態に係る基板加工方法が適用可能である。
また、本実施形態では、基板加工方法として、本実施形態の基板加工装置10を用いて加工層含有基板20cにする例で説明したが、基板加工装置10を用いずに他の装置を用いて加工層含有基板20cを製造することも勿論可能である。
<実験例1>
本発明者は、上記実施形態に係る基板加工方法の一実施例(以下、実施例1という)により、上記実施形態の基板加工装置10を用い、結晶方位がそれぞれ[100]、[110]で、厚さ625μmのφ200mmの単結晶シリコンウエハを加工対象単結晶基板として、以下の実験を行った。
レーザ発振器としては以下の装置を用いた。
対物レンズ :補正環機能付き100倍、NAは0.85
(オリンパス社製のLCPLN100XIRを使用)
波長(nm) :1064
パルス幅(ns) :190
パルスエネルギー(μJ):3.0
加工条件としては以下のように行った。
補正環調整量 :0.7
(補正環目盛値)
デフォーカス量 :−10、−30、−50
(DF量、μm)
照射間隔(μm) :2.0
各照射条件で照射した後、レーザ照射方向に沿って基板断面を露出させ、レーザ顕微鏡(電子顕微鏡)で観察した。撮像画像を図7に示す。図7から判るように、加工対象基板の結晶方位に関係なくDF量が大きくなるに従い、すなわち基板の深い位置に行くに従い、加工痕長さは短くなる傾向にある(なお、加工痕の深さ位置とは、加工痕の上端と下端との中間位置のことである)。[110]基板ではDF量が−10μmの場合には斜めに伸びるクラックが発生しており結晶方位と異なる方向に加工痕が拡がってしまう。これは[111]方向へのクラック伸張が生じ易いためである。しかし、DF量を深くし加工痕を短くすることによりこの現象を防ぎ結晶方位に沿った加工痕形成が可能となる。
<実験例2>
補正環を調整せずにDF量を増大していくと、形成される加工痕長さが安定し難く、かつ、基板の深い位置に加工痕が形成され難い。そこで本発明者は、基板深さ方向の各位置で加工痕長さが10μm以下となる照射条件を探ることを意図して、レーザ出力を一定、すなわちパルスエネルギーを一定の条件にして補正環を変化させた場合の加工痕形成状態を評価した。
レーザ発振器としては以下の装置を用いた。
対物レンズ :補正環機能付き100倍、NAは0.85
(オリンパス社製のLCPLN100XRを使用)
波長(nm) :1064
パルス幅(ns) :190
周波数(kHz) :500
パルスエネルギー(μJ):3.0
加工条件としては以下のように行った。
補正環調整量 :0.0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、
0.8、0.9、1.0
DF量(μm) :-90、-80、-70、-60、-50、-40、-30、-20、-10
照射間隔(μm) :2.0
そして各照射条件で照射した後、レーザ照射方向に沿って基板断面を露出させ、加工痕長さを測定した。測定結果を図8、図9に示す。補正環を一定の状態にしてDF量を変化させると深い位置での加工痕形成ができなくなってくるが、深い位置に対する補正環調整量(深い位置への補正環による補正量)を大きくすることで、より深い位置にも加工痕を形成できることが分かる。また、深い位置になるに従い加工痕長さも短くなるが、これは球面収差が補正されエネルギー密度が高くなるためであると考えられる。このようにレーザ出力すなわちパルスエネルギーを一定にした状態で補正環調整量(補正環の目盛値)のみを変化させれば目標とする「加工痕長さ10μm以下」の加工痕を深さ方向に連続的に形成できる。なお、この時のレーザ出力は上記状態を発現するために適正に選択すればよい。
<実験例3>
上記実施形態に係る基板加工方法の一実施例(以下、実施例2という)により、破断強度が低下した加工層22を形成して加工層含有基板20cとした。
その際、加工対象単結晶基板20amの裏面20v(底面)側への最初の集光位置Bfは、レーザ光Bの照射により形成される加工層22が加工対象単結晶基板20amの裏面20vに亀裂やアブレーションなどによる無用なダメージ(特にくり抜き対象部20bへのダメージ)を与えない所定範囲内に設定し、加工痕22cが形成される下限のレーザ出力で照射した(図10参照)。
そして、集光位置Bfを徐々に上方へ移動させていくことで、破断強度が低下した加工層22をくり抜き対象部20bの外周側に形成した。この移動により、被照射面20uから集光位置までの距離(基板厚み方向の距離)が徐々に短くなるので、移動に伴って収差補正をしないと集光が不十分となる(図11参照)。このため、上記実施形態のように収差補正を調整していくことで十分に集光させつつ集光位置Bfを移動させ、加工痕22cの基板厚さ方向長さKが10μm以下となるように収差補正を調整して加工対象単結晶基板20amにレーザ光を照射した(図12参照)。
そして、くり抜き対象部20bをくり抜き、破断面を電子顕微鏡で撮像した。撮像図から、加工対象単結晶基板20amの結晶方位に沿って伸張しかつ加工対象単結晶基板20amの異なる結晶方位に沿って伸張しないように加工痕22cが繋がっていることが確認された。
なお、補正環を用いない場合には、図13(a)および(b)に示すように、加工対象単結晶基板20am内にレーザ光が入射することで、レーザ光の入射位置の違いによって焦点が基板厚み方向に長くなってしまうが(図13(b)参照)、補正環を用いた場合には、図14に示すように、加工対象単結晶基板20am内にレーザ光が入射してレーザ光の入射角度が変化しても、焦点(集光位置Bf)が基板厚み方向に長くなることを予め防止して入射させることが可能になる。
本実験例のように集光位置Bfが基板厚み方向位置に移動する場合には、収差補正を調整していくことで十分に集光させつつ集光位置Bfを移動させることによって、加工痕22cの基板厚さ方向長さKが長くなることを充分に抑え易い。
<実験例4>
本発明者は、上記実施形態に係る基板加工方法の一実施例(以下、実施例3という)により、以下の条件で加工対象単結晶基板に加工を行った。その際、集光位置Bfを被照射面20uから基板厚み方向に20μmまでの位置としており、被照射面20uから20μmよりも浅い位置にはレーザ光が集光しないようにした。レーザ発振器ではファイバーレーザを用いた。
対物レンズ :補正環機能付き100倍、NAは0.85
(オリンパス社製のLCPLN100XRを使用)
単結晶基板 :単結晶シリコンウエハ、結晶方位[100]
波長(nm) :1064
出力(W) :0.6
発信周波数(kHz) :500
パルス幅(ns) :190
ドットピッチ(μm) :2
ラインピッチ(μm) :2
補正環調整量 :0.0〜0.7
本実験例では、焦点位置(加工位置。裏面20vからの基板厚み方向の距離)に応じて補正環調整量を以下のように設定した。
焦点位置(μm) 補正環調整量
0〜100 0.7
100〜150 0.0
150〜200 0.1
200〜250 0.2
250〜300 0.3
300〜350 0.4
350〜425 0.5
425〜500 0.6
500〜625 0.7
そして、加工層22近辺の断面を電子顕微鏡で撮像した。撮像図から判断した結果、実施例3では、加工層22近辺の被照射面20uにはアブレーション等の損傷は生じていなかった。従って、くり抜き対象部をくり抜く際、チッピングが生じることなくくり抜くことができる。
また、この後、くり抜き対象部をくり抜いた。図15は、実施例3によって得られた加工層含有基板からくり抜き対象部をくり抜いたことを説明する写真図である。くり抜き対象部にチッピングが生じることなくくり抜くことができた。
また、本発明者は、比較のための一例(以下、比較例1という)として、被照射面20uまでレーザ光の集光位置を移動させて基板加工を行った。そして、加工層近辺の断面を電子顕微鏡で撮像した。撮像図を図16に示す。図16から判るように、比較例1では、加工層近辺の被照射面20uにはアブレーションが生じていた。従って、くり抜き対象部をくり抜く際、チッピングが生じる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。図17は、本実施形態に係る基板加工方法により製造した加工層含有基板を示す模式的な側面断面図である。本実施形態では、第1実施形態と同様、加工対象結晶基板20aが単結晶基板である例を挙げて説明する。
本実施形態では、第1実施形態に比べ、第2工程で加工対象単結晶基板20amに加工層22を形成する際、加工層22のうち加工対象単結晶基板20amの裏面(底面)側を構成する加工層裏面方部22vでは、裏面20vから離れるにつれて、回転ステージ11の回転中心軸Csとレーザ集光手段12の照射中心軸Cbとの距離rを徐々に広げ、加工層裏面方部22vよりも被照射面20u側(表面側)ではこの距離を一定にしている(図17参照)。そして、このように徐々に広げることで、加工層裏面方部22vの外周側を、加工対象単結晶基板20amの裏面20vから離れるにつれて径が徐々に大きくなるR面状(断面円弧状)に形成している。この結果、加工層裏面方部22vは半径Nの面取り形状(すなわち、くり抜き対象部20bのうち加工層裏面方部22vの内周側に位置する部位もR面状)にされており、くり抜き作業でくり抜き対象部20bが加工層裏面方部22vから容易に破断され得る構造にされている。
本実施形態で用いる基板加工装置としては、例えば、第1実施形態で説明した基板加工装置10を用い、半径方向距離変更手段(図示せず)により距離rを徐々に広げる。この場合、回転ステージ11をこのように移動させる制御プログラムが基板加工装置の制御手段(CPUなど)に入力されていると、正確性や加工容易性を確保する上で好ましい。
本実施形態では、加工層含有基板20cからくり抜き対象部20bをくり抜くことで、基板裏面側が半径NのR面状にされたくり抜き単結晶基板20dが容易に得られる。従って、くり抜き単結晶基板20dの面取り作業を、不要にすること或いは大幅に軽減させることができ、くり抜き単結晶基板20d(ウエハ)のハンドリングが容易になる。
また、第2工程でレーザ光を照射する際、加工痕を1つ1つ繋げていくことでこのような加工層22が形成されるので、加工層22を形成する際にかかる時間を第1実施形態とさほど変わらない程度の時間に抑えることができる。
なお、加工層裏面方部22vでは、くり抜き対象部20bを良好にくり抜く観点で、裏面20vに近い位置ほどくり抜き対象部20b(ウエハ)の半径方向へ加工痕22cを繋げることが重要になっており、被照射面側(表面側)に近づくに従い、次第に基板厚み方向へ加工痕22cを繋げることが重要になっている。従って、裏面20vに近い位置ほど加工痕22cのラインピッチを狭くし、被照射面側(表面側)に近づくに従い次第にラインピッチを広げるなどの工夫をすることにより、くり抜き対象部20bを更に良好にくり抜くことが可能になる。
また、本実施形態では、加工層裏面方部22vの外周面をR面状に形成した例で説明したが、R面状に限らず湾曲凸面状としても、加工層含有基板20cからくり抜き対象部20bを容易にくり抜くことが可能である。
また、加工層裏面方部22vではこのような形状にせずに、加工層22のうち加工対象単結晶基板20amの被照射面側(表面側)を構成する加工層表面方部を加工層裏面方部22vのような形状にすることで、基板表面側が半径NのR面状にされたくり抜き単結晶基板20dを得ることができる。
また、本実施形態に係る基板加工方法の説明では、加工対象単結晶基板20amが単結晶基板である例で説明したが、単結晶基板以外であっても、本実施形態に係る基板加工方法が適用可能である。
本発明により、加工対象結晶基板からそれよりも小さい寸法の基板を得ることを可能にすることから、薄く切り出された基板は、例えば単結晶基板であって、Si基板(シリコン基板)であれば太陽電池に応用可能であり、また、GaN系半導体デバイスなどのサファイア基板などであれば、発光ダイオード、レーザダイオードなどに応用可能であり、SiCなどであればSiC系パワーデバイスなどに応用可能であり、透明エレクトロニクス分野、照明分野、ハイブリッド/電気自動車分野など幅広い分野において適用可能である。
10 基板加工装置
11 回転ステージ
12 レーザ集光手段
13 収差補正制御手段
15 集光レンズ
16 第1レンズ
18 第2レンズ
20a 加工対象結晶基板
20am 加工対象単結晶基板
20b くり抜き対象部
20c 加工層含有基板
20d くり抜き単結晶基板
20u 被照射面
20v 裏面(基板裏面)
22 加工層
22c 加工痕
22v 加工層裏面方部(加工層一方基板面方部)
B レーザ光
Bf 集光位置
Cb 照射中心軸
Cs 回転中心軸
E 外周部
EP 集光点
K 基板厚み方向長さ
L 距離
M 中央部
MP 集光点
Su ステージ面
r 距離

Claims (13)

  1. レーザ光を集光するとともに収差補正が調整可能なレーザ集光手段を、加工対象結晶基板の被照射面上に非接触に配置する第1工程と、
    前記レーザ集光手段により加工対象結晶基板内部にレーザ光を集光しつつ、レーザ光の集光位置を前記加工対象結晶基板のくり抜き対象部の周囲方向および厚み方向に変化させ、破断強度が低下した加工層を前記くり抜き対象部の外周側に形成することで加工層含有基板とする第2工程と、を備え、
    前記第2工程では、加工対象結晶基板内部および少なくとも一方の加工対象結晶基板面近傍で、レーザ光の集光位置において生じる加工痕が、前記加工対象結晶基板の結晶方位に沿って伸張しかつ前記加工対象結晶基板の異なる結晶方位に沿って伸張しないように前記レーザ集光手段の収差補正を調整することを特徴とする基板加工方法。
  2. 前記第2工程では、前記加工対象結晶基板面近傍を前記被照射面とは反対側の面である基板裏面の近傍とし、
    前記基板裏面から所定範囲内の基板厚み位置にレーザ光の焦点を合わせ、
    前記レーザ集光手段を前記基板裏面から離れるように移動させつつレーザ光を照射して前記加工層を形成することを特徴とする請求項1に記載の基板加工方法。
  3. 前記レーザ集光手段の収差補正を行う補正環により、前記基板裏面からの距離が大きい加工痕ほど加工痕長さが短くなるように前記補正環を調整することを特徴とする請求項2に記載の基板加工方法。
  4. 前記第2工程では、前記加工対象結晶基板面近傍を前記被照射面の近傍とし、
    前記被照射面から所定範囲内の基板厚み位置にレーザ光の焦点を合わせ、
    前記レーザ集光手段を前記被照射面から離れるように移動させつつレーザ光を照射して前記加工層を形成することを特徴とする請求項1に記載の基板加工方法。
  5. 前記レーザ集光手段の収差補正を行う補正環により、前記被照射面からの距離が大きい加工痕ほど加工痕長さが短くなるように前記補正環を調整することを特徴とする請求項4に記載の基板加工方法。
  6. 前記第2工程では、レーザ光の集光によって形成される前記加工痕の前記基板厚み方向の長さを10μm以下とすることを特徴とする請求項3または5に記載の基板加工方法。
  7. 前記加工対象結晶基板として、前記被照射面の結晶方位が[100]である単結晶シリコンを用いることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の基板加工方法。
  8. 前記第2工程では、前記加工層を短円筒状に形成することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の基板加工方法。
  9. 前記第2工程では、前記レーザ集光手段に入射するレーザ光の出力を一定にしておくことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の基板加工方法。
  10. 前記加工層のうち前記一方の加工対象単結晶基板面側を構成する加工層一方基板面方部の外周側は、前記一方の加工対象単結晶基板面から離れるにつれて径が徐々に大きくなる湾曲凸面状にされていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の基板加工方法。
  11. 載置された加工対象結晶基板を保持して回転する回転ステージと、
    前記回転ステージ上に保持された前記加工対象結晶基板に向けてレーザ光を集光するとともにレーザ光の収差補正が調整可能なレーザ集光手段と、
    前記回転ステージと前記レーザ集光手段との距離を変える照射軸方向距離変更手段と、前記距離に応じて前記収差補正の調整を制御する収差補正制御手段と、
    を備え、
    前記収差補正制御手段は、加工対象結晶基板内部および少なくとも一方の加工対象結晶基板面近傍で、レーザ光の集光位置において生じる加工痕が前記加工対象結晶基板の結晶方位に沿って伸張しかつ前記加工対象結晶基板の異なる結晶方位に沿って伸張しないように制御することを特徴とする基板加工装置。
  12. レーザ光の収差補正を行う補正環としての機能を前記レーザ集光手段が備え、
    前記収差補正制御手段は、少なくとも一方の加工対象結晶基板面からの距離が大きい加工痕ほど加工痕長さが短くなるように制御することを特徴とする請求項11に記載の基板加工装置。
  13. 前記回転ステージの回転中心軸と前記レーザ集光手段の照射中心軸との距離を変える半径方向距離変更手段を備えることを特徴とする請求項11または12に記載の基板加工装置。
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