JP6752232B2 - 加工対象物切断方法 - Google Patents

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Description

本発明の一側面は、加工対象物切断方法に関する。
特許文献1には、半導体チップ製造方法が記載されている。この方法では、n型窒化ガリウム系半導体層(n型層)とp型窒化ガリウム系半導体層(p型層)とをサファイア基板上に積層して形成された半導体ウエハを複数の半導体チップに分割する。この方法では、まず、所望のチップ形状により素子分離溝を形成する。素子分離溝は、p型層をエッチングすることにより形成される。続いて、サファイア基板の内部に改質領域を形成する。改質領域は、サファイア基板の内部に集光点を合せてレーザ光を照射することにより形成される。改質領域は、基板(ウエハ)の分断に利用される。その後、ブレーキング装置を用いて、基板(ウエハ)をチップ状に分割する。
特開2011−181909号公報
上記の基板(ウエハ)といった加工対象物の表面には、レーザ光を遮蔽する光遮蔽領域が設けられる場合がある。その場合には、当該表面をレーザ光の入射面とすると共に、入射面に交差する方向からみて光遮蔽領域を通過するようにレーザ光の集光点を移動させながら加工対象物にレーザ光を照射すると、光遮蔽領域に対応する位置において改質領域が欠落した部分が発生するおそれがある。改質領域が欠落した部分では、切断の精度が低下する。その結果、加工対象物の切断面に段差が生じる等、切断面が劣化するおそれがある。
本発明の一側面は、切断面の劣化を抑制可能な加工対象物切断方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る加工対象物切断方法は、レーザ光を遮蔽する光遮蔽領域を含む主面を有する加工対象物を切断予定ラインに沿って切断するための加工対象物切断方法であって、レーザ光を加工対象物に集光するための集光レンズに対してレーザ光を入射させる第1の工程と、集光レンズによってレーザ光を加工対象物の内部に集光させながら、レーザ光の集光点を切断予定ラインに沿って相対移動させることにより、切断予定ラインに沿って加工対象物の内部に改質領域を形成する第2の工程と、を備え、光遮蔽領域は、主面に交差する方向からみて、切断予定ラインの一部に重複しており、第1の工程においては、レーザ光の強度プロファイルを円環状とした状態においてレーザ光を集光レンズに入射させ、第2の工程においては、主面をレーザ光の入射面とすると共に、主面に交差する方向からみて光遮蔽領域を通過するように切断予定ラインに沿って集光点を相対移動させる。
この方法においては、第1の工程において集光レンズにレーザ光を入射させる。その後、第2の工程において、集光レンズによりレーザ光を加工対象物の内部に集光させながら、その集光点を切断予定ラインに沿って相対移動させることにより、切断予定ラインに沿って加工対象物の内部に改質領域を形成する。ここで、加工対象物は、レーザ光を遮蔽する光遮蔽領域を含む主面を有する。そして、第2の工程においては、その主面をレーザ光の入射面とすると共に、光遮蔽領域を通過するように切断予定ラインに沿って集光点を相対移動させる。このため、従来の方法によれば、加工対象物の内部における光遮蔽領域に対応する位置において、改質領域が欠落した部分が生じるおそれがある。
これに対して、本発明者らは、円環状の強度プロファイルを有するレーザ光を集光して加工対象物に照射することにより、光遮蔽領域に対応する位置において改質領域が欠落した部分が発生することを抑制可能であることを見出した。そして、この方法にあっては、第1の工程において、強度プロファイルが円環状とされたレーザ光を集光レンズに入射させる。よって、この方法によれば、光遮蔽領域に対応する位置に改質領域が欠落した部分が発生することが抑制される。その結果、切断面に段差が生じる等の切断面の劣化を抑制可能である。
本発明の一側面に係る加工対象物切断方法においては、加工対象物は、窒化ガリウムを含む半導体レーザのための半導体層を有し、半導体層は、主面を含み、光遮蔽領域は、切断予定ラインに交差する方向に延びるように半導体層に設けられたストライプ状の高密度欠陥領域であり、切断予定ラインは、半導体層の劈開面に沿って設定されてもよい。ここで、劈開により半導体レーザの共振器を形成する場合には、劈開面の鏡面化が要求される。したがって、切断面(劈開面)の劣化の抑制が特に重要となる。これに対して、この方法によれば、半導体レーザのための半導体層の劈開面に沿って設定された切断予定ラインに沿って、上述したように欠落部分が発生しないように改質領域を形成可能である。このため、切断面(劈開面)の劣化を抑制し、切断面の鏡面化を実現可能である。
本発明の一側面に係る加工対象物切断方法においては、第1の工程において、所定の変調パターンを呈示した空間光変調器により強度プロファイルを円環状としてもよい。この場合、空間光変調器の所定の変調パターンを制御することにより、レーザ光の強度プロファイルの円環形状を動的に変化させることができる。よって、加工対象物の材料や要求される切断精度等に応じて、適切な改質領域の形成を行うことが可能となる。
本発明の一側面によれば、切断面の劣化を抑制可能な加工対象物切断方法を提供することができる。
改質領域の形成に用いられるレーザ加工装置の概略構成図である。 改質領域の形成の対象となる加工対象物の平面図である。 図2の加工対象物のII−II線に沿っての断面図である。 レーザ加工後の加工対象物の平面図である。 図4の加工対象物のV−V線に沿っての断面図である。 図4の加工対象物のVI−VI線に沿っての断面図である。 本実施形態に係る加工対象物切断方法を用いて製造されたチップを示す斜視図である。 本実施形態に係る加工対象物切断方法の加工対象物を示す図である。 本実施形態に係る加工対象物切断方法の加工対象物を示す図である。 図1に示された光学系の構成を示す図である。 レーザ光の強度プロファイルを示す図である。 本実施形態に係る加工対象物切断方法の主要な工程を示す断面図である。 加工対象物の切断面を示す図である。 ビーム中心と光遮蔽領域とのオフセット量と透過率との関係を説明するための図である。 レーザ光の光軸上の強度と入射面からの距離との関係を示すグラフである。 円環状の強度プロファイルの変形例を示す図である。 円環状の強度プロファイルの別の変形例を示す図である。 円環状の強度プロファイルの別の変形例を示す図である。 円環状の強度プロファイルの別の変形例を示す図である。
以下、本発明の一側面の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態に係る加工対象物切断方法は、切断予定ラインに沿って加工対象物にレーザ光を照射することにより、切断予定ラインに沿って加工対象物の少なくとも内部に切断の起点となる改質領域を形成する。そこで、まず、改質領域の形成について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示されるように、レーザ加工装置100は、レーザ光Lをパルス発振するレーザ光源101と、レーザ光Lの光軸(光路)の向きを90°変えるように配置されたダイクロイックミラー103と、レーザ光Lを加工対象物1に集光するための集光レンズ105と、を備えている。また、レーザ加工装置100は、集光レンズ105で集光されたレーザ光Lが照射される加工対象物1を支持するための支持台107と、支持台107を移動させるためのステージ111と、レーザ光Lの出力やパルス幅、パルス波形等を調節するためにレーザ光源101を制御するレーザ光源制御部102と、ステージ111の移動を制御するステージ制御部115と、を備えている。
レーザ加工装置100においては、レーザ光源101から出射されたレーザ光Lは、ダイクロイックミラー103によってその光軸の向きを90°変えられ、支持台107上に載置された加工対象物1の内部に集光レンズ105によって集光される。これと共に、ステージ111が移動させられ、加工対象物1がレーザ光Lに対して切断予定ライン5に沿って相対移動させられる。これにより、切断予定ライン5に沿った改質領域が加工対象物1に形成される。なお、ここでは、レーザ光Lを相対的に移動させるためにステージ111を移動させたが、集光レンズ105を移動させてもよいし、或いはこれらの両方を移動させてもよい。また、後述するように、レーザ加工装置100においては、レーザ光Lを、光学系113を介して集光レンズ105に入射する場合がある。
加工対象物1としては、半導体材料で形成された半導体基板や圧電材料で形成された圧電基板等を含む板状の部材(例えば、基板、ウェハ等)が用いられる。図2に示されるように、加工対象物1には、切断予定ライン5が設定されている。切断予定ライン5は、直線状に延びた仮想線である。加工対象物1の内部に改質領域を形成する場合、図3に示されるように、加工対象物1の内部に集光点(集光位置)Pを合わせた状態で、レーザ光Lを切断予定ライン5に沿って(すなわち、図2の矢印A方向に)相対的に移動させる。これにより、図4、図5及び図6に示されるように、改質領域7が切断予定ライン5に沿って加工対象物1に形成される。切断予定ライン5に沿って形成された改質領域7が切断起点領域8となる。
集光点Pとは、レーザ光Lが集光する箇所のことである。切断予定ライン5は、直線状に限らず曲線状であってもよいし、これらが組み合わされた3次元状であってもよいし、座標指定されたものであってもよい。切断予定ライン5は、仮想線に限らず加工対象物1の表面3に実際に引かれた線であってもよい。改質領域7は、連続的に形成される場合もあるし、断続的に形成される場合もある。改質領域7は列状でも点状でもよく、要は、改質領域7は少なくとも加工対象物1の内部に形成されていればよい。また、改質領域7を起点に亀裂が形成される場合があり、亀裂及び改質領域7は、加工対象物1の外表面(表面3、裏面、若しくは外周面)に露出していてもよい。改質領域7を形成する際のレーザ光入射面は、加工対象物1の表面3に限定されるものではなく、加工対象物1の裏面であってもよい。
ちなみに、加工対象物1の内部に改質領域7を形成する場合には、レーザ光Lは、加工対象物1を透過すると共に、加工対象物1の内部に位置する集光点P近傍にて特に吸収される。これにより、加工対象物1に改質領域7が形成される(すなわち、内部吸収型レーザ加工)。この場合、加工対象物1の表面3ではレーザ光Lが殆ど吸収されないので、加工対象物1の表面3が溶融することはない。一方、加工対象物1の表面3に改質領域7を形成する場合には、レーザ光Lは、表面3に位置する集光点P近傍にて特に吸収され、表面3から溶融され除去されて、穴や溝等の除去部が形成される(表面吸収型レーザ加工)。
改質領域7は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲とは異なる状態になった領域をいう。改質領域7としては、例えば、溶融処理領域(一旦溶融後再固化した領域、溶融状態中の領域及び溶融から再固化する状態中の領域のうち少なくとも何れか一つを意味する)、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域等があり、これらが混在した領域もある。更に、改質領域7としては、加工対象物1の材料において改質領域7の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域や、格子欠陥が形成された領域がある(これらをまとめて高転位密度領域ともいう)。
溶融処理領域、屈折率変化領域、改質領域7の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域、及び、格子欠陥が形成された領域は、更に、それら領域の内部や改質領域7と非改質領域との界面に亀裂(割れ、マイクロクラック)を内包している場合がある。内包される亀裂は、改質領域7の全面に渡る場合や一部分のみや複数部分に形成される場合がある。加工対象物1は、結晶構造を有する結晶材料からなる基板を含む。例えば加工対象物1は、窒化ガリウム(GaN)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、LiTaO、及び、サファイア(Al)の少なくとも何れかで形成された基板を含む。換言すると、加工対象物1は、例えば、窒化ガリウム基板、シリコン基板、SiC基板、LiTaO基板、又はサファイア基板を含む。結晶材料は、異方性結晶及び等方性結晶の何れであってもよい。
本実施形態では、切断予定ライン5に沿って改質スポット(加工痕)を複数形成することにより、改質領域7を形成することができる。この場合、複数の改質スポットが集まることによって改質領域7となる。改質スポットとは、パルスレーザ光の1パルスのショット(つまり1パルスのレーザ照射:レーザショット)で形成される改質部分である。改質スポットとしては、クラックスポット、溶融処理スポット若しくは屈折率変化スポット、又はこれらの少なくとも1つが混在するもの等が挙げられる。改質スポットについては、要求される切断精度、要求される切断面の平坦性、加工対象物1の厚さ、種類、結晶方位等を考慮して、その大きさや発生する亀裂の長さを適宜制御することができる。
引き続いて、本実施形態に係る加工対象物切断方法について説明する。図7は、本実施形態に係る加工対象物切断方法を用いて製造されたチップを示す斜視図である。チップ10は、例えば、窒化ガリウムを含む半導体レーザである。チップ10は、劈開面である切断面(例えば窒化ガリウム結晶におけるm面)10aと、切断面10aに交差する別の切断面(例えば窒化ガリウム結晶におけるa面)10bと、を含む。チップ10は、基板11と、基板11上に形成された半導体層12と、基板11及び半導体層12上に形成された電極13と、を有する。
基板11は、例えば窒化ガリウムを含む半導体基板である。基板11は、例えばGaN基板である。半導体層12は、例えばエピタキシャル成長により形成される半導体積層部である。半導体層12は、例えば窒化ガリウムを含む。半導体層12は、例えば半導体レーザのための発光層(活性層)14を含む。発光層14は、半導体層12に埋め込まれている。発光層14の端面14sは、切断面10aに含まれている。端面14sは、レーザ共振器を形成する鏡面となっている。電極13は、半導体層12に電圧を印可するために用いられる。
チップ10は、一対のストライプコア15を含む。ストライプコア15は、チップ10の切断面10aに交差する方向に延びるように半導体層12に設けられている。ストライプコア15は、例えば窒化ガリウムを含む。ストライプコア15は、高密度欠陥領域である。ストライプコア15は、例えば散乱等により、レーザ光Lを遮蔽する。
図8及び図9は、本実施形態に係る加工対象物切断方法の加工対象物を示す図である。図8は平面図であり、図9の(a)は図8の一部拡大図である。図9の(b)は、図9の(a)のIX−IX線に沿っての断面図である。本実施形態に係る加工対象物切断方法においては、図8及び図9に示されるように、まず、加工対象物1を用意する。加工対象物1は、チップ10のための複数のチップ部20を有する。チップ部20は、加工対象物1のオリエンテーションフラット6に平行な方向(以下、「第1の方向」という場合がある)、及び、オリエンテーションフラット6に直交する方向(以下、「第2の方向」という場合がある)に沿って、二次元状に配列されている。
加工対象物1は、複数のチップ部20にわたって設けられた基板11のための基板21を有する。また、加工対象物1は、複数のチップ部20にわたって設けられた半導体層12のための半導体層22を有する。半導体層22は、上述したように、例えば窒化ガリウムを含む半導体レーザのための半導体層である。半導体層22は、基板21上に設けられている。半導体層22は、基板21と反対側の表面である主面22sを含む。
加工対象物1には、第1の方向に沿った複数の切断予定ライン5aと、第2の方向に沿った複数の切断予定ライン5bと、が設定されている。切断予定ライン5aと切断予定ライン5bとは、互いに交差(例えば直交)している。チップ10は、切断予定ライン5a及び切断予定ライン5bに沿って加工対象物1が切断され、チップ部20が切り出されることにより得られる。すなわち、互いに隣り合う一対の切断予定ライン5aと、互いに隣り合う一対の切断予定ライン5bとよって囲まれる領域が、単一のチップ部20を規定する。
切断予定ライン5aは、それぞれ、基板21及び半導体層22の劈開面(例えば窒化ガリウム結晶のm面)に沿って設定されている。したがって、互いに隣り合う一対の切断予定ライン5aは、第2の方向におけるチップ部20の長さ(半導体レーザの共振器長)を規定する。切断予定ライン5bは、例えば、窒化ガリウム結晶のa面に沿って設定される。互いに隣り合う一対の切断予定ライン5bは、第1の方向におけるチップ部20の長さを規定する。
半導体層22には、第2の方向に沿って延びる複数のストライプコア15が設けられている。第1の方向に互いに隣り合うチップ部20は、ストライプコア15によって区画されている。ストライプコア15は、例えば、基板21及び半導体層22の劈開面(例えば窒化ガリウム結晶のm面)に交差(例えば直交)する方向に沿って延在している。切断予定ライン5bは、このストライプコア15に沿ってストライプコア15内に設定されている。また、切断予定ライン5aは、このストライプコア15に交差(例えば直交)するように、複数のストライプコア15を跨いで設定されている。
ストライプコア15は、半導体層22の主面22sの一部を構成する。主面22sのうちのストライプコア15に対応する領域は、レーザ光Lを遮蔽する光遮蔽領域SAである。したがって、光遮蔽領域SAは、切断予定ライン5aに交差(例えば直交)する方向に延びるように半導体層22に設けられたストライプ状の高密度欠陥領域である。そして、光遮蔽領域SAは、主面22sに交差する方向からみて、切断予定ライン5aの一部に重複している。また、切断予定ライン5bは、光遮蔽領域SA内に位置することになる。
なお、各チップ部20は、電極13及び発光層14を含む。電極13は、主面22s上に設けられている。発光層14は、互いに隣り合うストライプコア15の間において、半導体層22に設けられている(埋め込まれている)。
続く工程では、加工対象物1にレーザ光Lを照射することにより、改質領域7を形成する。より具体的には、まず、図1及び図10に示されるように、主面22s(表面3)が集光レンズ105側に位置するように、加工対象物1を支持台107に載置する。ここでは、集光レンズ105は、レーザ加工装置100のレンズのうち最も主面22s側に配置される対物レンズである。したがって、集光レンズ105と主面22sとの間には、他のレンズ等の光学素子が介在していない。
続いて、レーザ光Lを加工対象物1に集光するための集光レンズ105に対して、レーザ光Lを入射させる(第1の工程)。この第1の工程においては、レーザ光Lの強度プロファイルを円環状とした状態において、レーザ光Lを集光レンズ105に入射させる。ここでの強度プロファイルとは、レーザ光Lの光軸Axに直交する面内でのレーザ光Lの強度分布である。第1の工程においては、集光レンズ105に入射するときのレーザ光Lの強度プロファイルを円環状とするために、光学系113を用いる。
光学系113は、レーザ光Lの光路上において、レーザ光源101(ここではダイクロイックミラー103)と集光レンズ105との間に設けられている。光学系113は、レーザ光Lの強度プロファイルを円環状にするための機能を有している。ここでは、一例として、光学系113は、一対のミラー121,123と、空間光変調器122と、を含む。ミラー121は、レーザ光源101(ダイクロイックミラー103)からのレーザ光Lを、空間光変調器122の変調面122sに向けて偏向する。ミラー123は、空間光変調器122の変調面122sからのレーザ光Lを、集光レンズ105に向けて偏向する。
空間光変調器122は、例えばLCOS−SLM(Liquid Crystal On Silicon Spatial Light Modulator)である。空間光変調器122は、液晶層等を含む変調面122sを有する。空間光変調器122は、例えば変調面122sに所定の変調パターンを呈示する。これにより、空間光変調器122は、変調面122sに入射した光を変調し、その強度プロファイルを変化させて出射する。したがって、この第1の工程においては、所定の変調パターンを呈示した空間光変調器122により、レーザ光Lの強度プロファイルを円環状とする。
図11は、レーザ光の強度プロファイルを示す図である。図11の(a)は、変調されていない状態の通常のレーザ光Lの強度プロファイルPbを示す。図11の(b)は、空間光変調器122を用いて変調された状態のレーザ光Lの強度プロファイルPaを示す。図11に示されるように、光学系113は、空間光変調器122を用いて、中実円状の強度プロファイルを有するガウシアンビームを、円環状の強度プロファイルを有するビームに変換する。ここでは、強度が相対的に高い中心の円状の領域がカットされる。なお、いずれの強度プロファイルを有する場合も、集光点Pでは中実の円状とされる。なお、円環状(後述するように、環を規定する外縁と内縁とが共に真円(円形)である場合)の強度プロファイルの外径Doと内径Diとの比(内径Di/外径Do)は、所望する切断面の精度や加工対象物1の材料・構造等に応じて適宜設定することができるが、50%以上85%未満が好ましい。なお、85%を超えると、改質スポットのサイズが切断予定ラインに対して一定とならず、不安定となる。一例として、対物レンズに入射する有効ビーム径が2.90mmの場合、最小の内径は1.50mm、最大の内径は2.40mmとすることができる。
続く工程においては、図12に示されるように、集光レンズ105によってレーザ光Lを加工対象物1の内部に集光させながら、レーザ光Lの集光点Pを切断予定ライン5aに沿って相対移動させることにより、切断予定ライン5aに沿って加工対象物1の内部に改質領域7を形成する(第2の工程)。より具体的には、この第2の工程においては、まず、加工対象物1の表面(半導体層22の主面22s)をレーザ光Lの入射面として、レーザ光Lの集光点Pを基板21の内部に合わせた状態とする。すなわち、レーザ光Lは、半導体層22を介して基板21の内部に集光される。
その状態において、レーザ光Lに対して加工対象物1を相対的に移動させることにより、切断予定ライン5aに沿って(図中の矢印方向に)加工対象物1にレーザ光Lを照射(走査)する。このとき、レーザ光Lの集光点Pは、加工対象物1の一端から他端にわたって相対移動させられる。すなわち、この第2の工程においては、主面22sに交差する方向からみて、複数の光遮蔽領域SAを通過するように、切断予定ライン5aに沿って集光点Pを相対移動させる。
これにより、例えばレーザ光Lのパルスピッチ((レーザ光Lに対する加工対象物1の相対移動速度)/(レーザ光Lのパルス発振の周波数))に応じた間隔で、切断予定ライン5aに沿って基板21の内部に複数の改質スポット7sが形成される。改質領域7は、この改質スポット7sの集合として形成される。ここでは、後述するように、主面22sに交差する方向からみて光遮蔽領域SAの直下に位置する部分(光遮蔽領域SAに対応する部分)についても、改質スポット7sが形成される。したがって、ここでは、光遮蔽領域SAに対応する部分において改質領域7が欠落する(途切れる)ことがない。また、ここでは、レーザ光Lの強度プロファイルは、主面22sに入射する際にも円環状が維持されている。
また、この第2の工程においては、レーザ光Lの照射条件を調節することにより、基板21の内部のみならず、例えば基板21における半導体層22と反対側の表面(加工対象物1の裏面)に至るように亀裂を生じさせることができる。また、互いに隣り合う改質スポット7sからのびる亀裂が互いに繋がるようにすることができる。
そして、この第2の工程を、全ての切断予定ライン5aに対して順次行うことにより、全ての切断予定ライン5aに沿った改質領域7が、加工対象物1の内部に形成される。切断予定ライン5aは、上述したように、基板21及び半導体層22の劈開面に沿って設定されている。したがって、この第2の工程においては、基板21及び半導体層22の劈開面に沿って改質領域7が形成される。
このため、後の工程において、切断予定ライン5aに沿って、改質領域7を起点として劈開により加工対象物1を切断可能である。この切断予定ライン5aに沿った加工対象物1の切断は、改質領域7から延びる亀裂を開く方向に加工対象物1に力を付与することにより行うことができる。切断予定ライン5aに沿って加工対象物1を切断することにより、切断予定ライン5aに沿って配列された複数のチップ10(チップ部20)を含む複数のバー状の加工対象物が得られる。その後、複数のバー状の加工対象物を切断予定ライン5bに沿って切断することにより、基板21から基板11が形成される共に半導体層22から半導体層12が形成され、それぞれのチップ10が得られる。
なお、切断予定ライン5bは、全体にわたって光遮蔽領域SA内に位置する。したがって、切断予定ライン5bに沿った切断は、主面22sからのレーザ光Lの入射により基板21の内部に改質領域7を形成する方法ではなく、例えばレーザアブレーション等の方法を用いることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る加工対象物切断方法においては、第1の工程において集光レンズ105にレーザ光Lを入射させる。その後、第2の工程において、集光レンズ105によりレーザ光Lを加工対象物1の内部に集光させながら、その集光点Pを切断予定ライン5aに沿って相対移動させることにより、切断予定ライン5aに沿って加工対象物1の内部に改質領域7を形成する。ここで、加工対象物1は、レーザ光Lを遮蔽する光遮蔽領域SAを含む主面22sを有する。そして、第2の工程においては、その主面22sをレーザ光Lの入射面とすると共に、光遮蔽領域SAを通過するように切断予定ライン5aに沿って集光点Pを相対移動させる。
このため、例えば図13の(b)に示されるように、従来の方法によれば、加工対象物1の内部における光遮蔽領域SAに対応する位置において、改質領域7の欠落部分(途切れた部分)Mが生じるおそれがある。改質領域7の欠落部分Mにおいては、互いに隣り合う改質スポット7sから延びる亀裂が互いに連続しない。このため、改質領域7に沿って加工対象物1を切断(劈開)したときに、その切断面10aが蛇行する等して切断面10aに段差Gが生じる場合がある。なお、ここでの従来の方法とは、第1の工程において、図14の(a)のようにレーザ光Lの強度プロファイルを円環状とせずに、図14の(b)のように円状の強度プロファイルのままの状態でレーザ光Lを集光レンズ105に入射させるものである。
これに対して、本発明者らは、円環状の強度プロファイルを有するレーザ光Lを集光して加工対象物1に照射することにより、光遮蔽領域SAに対応する位置において改質領域7の欠落部分Mが発生することを抑制可能であることを見出した。そして、本実施形態に係る加工対象物切断方法にあっては、第1の工程において、強度プロファイルが円環状とされたレーザ光Lを集光レンズ105に入射させる。よって、この加工対象物切断方法によれば、図13の(a)に示されるように、光遮蔽領域SAに対応する位置に改質領域7の欠落部分Mが発生することが抑制される。その結果、切断面10aに段差Gが生じる等の切断面10aの劣化を抑制可能である。
ここで、上記のような効果が奏される一因に関する本発明者の知見について説明する。図14の(c)に示されるように、円環状の強度プロファイルを有するレーザ光Lと、中実円状の通常の(従来の)強度プロファイルを有するレーザ光Lnとでは、光遮蔽領域SAとの位置関係に応じて、加工対象物1に対する透過率が異なる。この点についてより詳細に説明する。まず、図14の(a),(b)に示されるように、レーザ光L,Lnのビーム中心と、光遮蔽領域SAの中心とのオフセット量をLoとする。ここでは、レーザ光L,Lnのビーム中心と光遮蔽領域SAの中心とが一致しているときに、オフセット量Loが0となる。
上述したように、レーザ光L,Lnに対して加工対象物1を相対移動していくと、このオフセット量Loが負側から0を越えて正側に変位する。このとき、図14の(c)の一点鎖線のグラフに示されるように、通常の強度プロファイルを有するレーザ光Lnの透過率は、オフセット量Loが0に近づくにつれて小さくなる。そして、レーザ光Lnの透過率は、オフセット量Loが0のときに最小となり、例えば65%程度のロスとなる。
これに対して、図14の(c)の実線のグラフに示されるように、円環状の強度プロファイルを有するレーザ光Lの透過率は、オフセット量Loが0に近づくにつれて小さくなるものの、オフセット量Loが−1から1の間において平坦となる。このときの透過率は、通常のレーザ光Lの透過率よりも大きく、例えば40%程度のロスにとどまる。このことは、図15からも理解される。すなわち、図15に示されるように、円環状のレーザ光Lの光軸上の強度は、通常のレーザ光Lnの光軸上の強度に比べて、レーザ光の入射面からの距離(図中「z」)が大きくなっても減衰しにくい。
すなわち、レーザ光Lは、レーザ光Lnに比べて、光遮蔽領域SAを通過する際のエネルギーの損失が少ない。このため、光遮蔽領域SAの直下において、レーザ光Lの集光点Pでのエネルギーが、レーザ光Lnに比べて大きくなる。この結果、レーザ光Lを用いた場合には、光遮蔽領域SAの直下においても、十分に改質領域7が形成され、改質領域7の欠落部分Mが生じにくい。このことが、上記の効果が奏される一因と考えられる。なお、以上の考察のための実験の条件は、一例として次の通りである。
対物レンズのレーザ光Lの入射面におけるレーザ光Lの強度プロファイルの外径(ビーム外径)Do:2.88mm。
対物レンズのレーザ光Lの入射面におけるレーザ光Lの強度プロファイルの内径(ビーム内径)Di:2.0mm。
対物レンズのレーザ光Lnの入射面におけるレーザ光Lnのビーム外径:2.88mm。光遮蔽領域SAの幅:1.0mm。
ただし、上記の考察のための実験は、加工対象物1における透過率及びビーム径を測定したものではなく、対物レンズ上での実験である。これは、加工対象物1での透過率の計測が困難であるためである。当該実験においては、対物レンズに入射するレーザ光Lのビーム径を5.0mmとし、対物レンズの瞳径を2.88mmとした。対物レンズに入射するレーザ光Lのビーム外形Dоは対物レンズの瞳径で決まるので、この場合には上記の通り2.88mmであり、内径Diは2.0mmである。一方、当該実験においては、光遮蔽領域SAを対物レンズ上に形成した。このため、上記の光遮蔽領域SAの幅は、対物レンズの入射面での幅に換算したものである。
このような条件下の実験は、次の理由から、加工対象物1での実際の状況での実験と等価である。すなわち、まず、ビーム外径Doとして、レーザ光Lのビーム径とレンズアパーチャとのうちの小さい方を採用する。また、加工対象物1におけるレーザ光Lの入射面に交差する方向について、集光点Pから十分に離れた位置では、幾何的な相似関係が成り立つと仮定する。そして、加工対象物1におけるレーザ光Lの入射面でのレーザ光Lのビーム外径及び内径をそれぞれDso及びDsiとし、それらの比率をγとする。このとき、次の関係が成り立つ。
γ=Dsi/Dso=Di/Do・・・(1)
さらに、加工対象物1における実際の光遮蔽領域SAの幅をWsとし、上記の通り対物レンズの入射面の位置に換算した光遮蔽領域SAの幅をWとすると、次の関係がさらに成り立つ。
γо=Ws/Dso=W/Do・・・(2)
γi=Ws/Dsi=W/Di・・・(3)
γ=γо/γi・・・(4)
つまり、レーザ光Lのビーム外径とビーム内径との比(γ)、レーザ光Lのビーム外径と光遮蔽領域SAの幅との比(γо)、及び、レーザ光Lのビーム内径と光遮蔽領域SAの幅との比(γi)は、当該実験と加工対象物1での実験の値との間で同等である。このことから、当該実験は、少なくとも上記の考察に際して、加工対象物1での実際の状況下の実験と等価であるといえる。
さらに、上記の効果が示される別の一因に関する本発明者の知見を説明する。本発明者によれば、円環状の強度プロファイルを有するレーザ光Lを最大限に集光したときの集光点は、通常の強度プロファイルを有するレーザ光Lnの同様の集光点に比べて、レーザ光Lの光軸に沿って長細くなり、且つ、光軸に沿った断面積が大きくなることが確認されている。
このことから、レーザ光Lの集光点においては、レーザ光Lnの集光点に比べて、加工対象物1に入力するエネルギーを大きくすることができる。その結果、レーザ光Lを用いた場合には、光遮蔽領域SAの直下においても、改質領域7を形成するのに十分なエネルギーを入力することができ、改質領域7の欠落部分Mが生じにくい。このことが、上記の効果が奏される別の一因と考えられる。
ここで、本実施形態に係る加工対象物切断方法においては、加工対象物1は、窒化ガリウムを含む半導体レーザのための半導体層22を有している。半導体層22は、主面22sを含む。また、光遮蔽領域SAは、切断予定ライン5aに交差する方向に延びるように半導体層22に設けられたストライプ状の高密度欠陥領域である。そして、切断予定ライン5aは、基板21及び半導体層22の劈開面に沿って設定されている。
劈開により半導体レーザの共振器を形成する場合には、劈開面の鏡面化が要求される。したがって、切断面(劈開面)の劣化の抑制が特に重要となる。これに対して、本実施形態に係る加工対象物切断方法によれば、半導体レーザのための半導体層22及び基板21の劈開面に沿って設定された切断予定ライン5aに沿って、上述したように欠落部分Mが発生しないように改質領域7を形成可能である。このため、切断面(劈開面)の劣化を抑制し、切断面の鏡面化を確実に実現可能である。
さらに、本実施形態に係る加工対象物切断方法においては、第1の工程において、所定の変調パターンを呈示した空間光変調器122により、レーザ光Lの強度プロファイルを円環状とする。このため、空間光変調器122の所定の変調パターンを制御することにより、レーザ光Lの強度プロファイルの円環形状を動的に変化させることができる。よって、加工対象物1の材料や要求される切断精度等に応じて、適切な改質領域7の形成を行うことが可能となる。
以上の実施形態は、本発明の一側面に係る加工対象物切断方法の一実施形態いついて説明したものである。したがって、本発明の一側面に係る加工対象物切断方法は、上記の形態に限定されない。本発明の一側面に係る加工対象物切断方法は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上記の形態を任意に変更することができる。
例えば、本発明の一側面に係る加工対象物切断方法における加工対象物は、上記の加工対象物1に限定されない。すなわち、加工対象物は、窒化ガリウムを含む半導体レーザのための半導体層22(半導体層12)備えるものでなく、例えばTEG等であってもよい。また、光遮蔽領域SAとしては、高密度欠陥領域に限らず、配線等であってもよい。すなわち、加工対象物は、レーザ光の入射面に対して任意の遮蔽領域が設けられた任意のものとすることができる。
また、光学系113は、レーザ光Lの強度プロファイルを円環状にするための機能を有するものであればよく、空間光変調器122を利用するものに限定されない。例えば、光学系113は、アキシコンレンズペアを利用するものであってもよい。或いは、光学系113は、集光レンズ105に対して設けられ、レーザ光Lのビームスポットの中心部分を円形状に遮蔽するマスク部材を利用するものであってもよい。この場合、マスク部材は、集光レンズ105のレーザ光Lの入射面上に直接的に設けられてもよいし、当該入射面から離間して保持されていてもよい。
なお、本実施形態に係る加工対象物切断方法は、以上のように入射面に光遮蔽領域を有する加工対象物のみにかぎらず、光遮蔽領域を有していない加工対象物に対しても有効であることが確認されている。すなわち、光遮蔽領域を有していない加工対象物であっても、通常の強度プロファイルを有するレーザ光を集光して照射した場合には、突発的に改質領域の欠落部分が生じる場合がある。これに対して、本実施形態に係る加工対象物切断方法によれば、そのような突発的な改質領域の欠落部分の発生を低減させ、切断面の劣化を抑制可能である。
さらに、上記実施形態においては、レーザ光Lの強度プロファイルPaを円環状とした。そして、円環状の強度プロファイルPaの1つとして、図11に示されるように、環を規定する外縁と内縁とが共に真円である場合について例示した。しかしながら、強度プロファイルPaは、あくまで円環状であればよく、外縁と内縁とが共に真円である場合に限定されない。円環状の強度プロファイルPaの別例について説明する。
図16は、円環状の強度プロファイルの変形例を示す図である。図16の(a)は、上述したように、強度プロファイルPaの外縁Coと内縁Ciとが共に真円である場合を示す。これに対して、図16の(b)〜(d)は、外縁Coが真円であると共に、内縁Ciが楕円である例を示す。特に、図16の(b)と図16の(c)とでは、内縁Ciの楕円の長軸が互いに交差(直交)するように配置されている。また、図16の(d)では、内縁Ciの楕円の長軸が傾斜している。
図17は、円環状の強度プロファイルの別の変形例を示す図である。図17に示される例では、強度プロファイルPaの外縁Coが楕円とされている。特に、図17の(a)では、内縁Ciが真円とされている。また、図17の(b)〜(d)では、外縁Coと内縁Ciとが共に楕円とされている。図17の(b)と図17の(c)とでは、内縁Ciの楕円の長軸が互いに交差(直交)するように配置されている。また、図17の(d)では、内縁Ciの楕円の長軸が傾斜している。
図18は、円環状の強度プロファイルの別の変形例を示す図である。図18に示される例では、強度プロファイルPaの外縁Coが楕円とされている。特に、図18の例では、外縁Coの楕円が傾斜している。図18の(a)では、内縁Ciが真円とされている。また、図18の(b)〜(d)では、外縁Coと内縁Ciとが共に楕円とされている。図18の(b)と図18の(c)とでは、内縁Ciの楕円の長軸が互いに交差(直交)するように配置されている。また、図18の(d)では、内縁Ciの楕円の長軸が傾斜している。
図19は、円環状の強度プロファイルの別の変形例を示す図である。図19の(a)の例では、外縁Coと内縁Ciとが共に楕円とされており、且つ、それぞれの中心(軸)が一致していない。図19の(b)の例では、外縁Coが真円であり、且つ、内縁Ciが楕円とされている。特に、図19の(b)の例では、内縁Ciの楕円の長軸が、外縁Coの真円の直径よりも大きくされている。さらに、図19の(c)の例では、単一の外縁Coに対して、複数(ここでは2つ)の楕円の内縁Ciが含まれている。
以上のように、レーザ光Lの円環状の強度プロファイルPaは、真円及び楕円を含む円状の外縁及び内縁によって、環又は部分的な環を含む環状に形成されていればよい。いずれの場合であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
切断面の劣化を抑制可能な加工対象物切断方法を提供することができる。
1…加工対象物、5a…切断予定ライン、7…改質領域、22…半導体層、22s…主面、105…集光レンズ、122…空間光変調器、L…レーザ光、SA…光遮蔽領域、P…集光点。

Claims (4)

  1. レーザ光を遮蔽する光遮蔽領域を含む主面を有する加工対象物を切断予定ラインに沿って切断するための加工対象物切断方法であって、
    前記レーザ光を前記加工対象物に集光するための集光レンズに対して前記レーザ光を入射させる第1の工程と、
    前記集光レンズによって前記レーザ光を前記加工対象物の内部に集光させながら、前記レーザ光の集光点を前記切断予定ラインに沿って相対移動させることにより、前記切断予定ラインに沿って前記加工対象物の内部に改質領域を形成する第2の工程と、
    を備え、
    前記光遮蔽領域は、前記主面に交差する方向からみて、前記切断予定ラインの一部に重複しており、
    前記第1の工程においては、前記レーザ光の強度プロファイルを円環状とした状態において前記レーザ光を前記集光レンズに入射させ、
    前記第2の工程においては、前記主面を前記レーザ光の入射面とすると共に、前記主面に交差する方向からみて前記光遮蔽領域を通過するように前記切断予定ラインに沿って前記集光点を相対移動させる、
    加工対象物切断方法。
  2. 前記加工対象物は、窒化ガリウムを含む半導体レーザのための半導体層を有し、
    前記半導体層は、前記主面を含み、
    前記光遮蔽領域は、前記切断予定ラインに交差する方向に延びるように前記半導体層に設けられたストライプ状の高密度欠陥領域であり、
    前記切断予定ラインは、前記半導体層の劈開面に沿って設定される、
    請求項1に記載の加工対象物切断方法。
  3. 前記第1の工程においては、所定の変調パターンを呈示した空間光変調器により前記強度プロファイルを円環状とする、
    請求項1又は2に記載の加工対象物切断方法。
  4. 前記強度プロファイルの外径と内径との比は、50%以上85%未満である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の加工対象物切断方法。
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