以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。最初に本発明の第1実施形態について説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る振動型アクチュエータ10の概略構成を示す斜視図である。図1(b)は、振動型アクチュエータ10を構成する振動体11の概略構成を示す斜視図である。振動型アクチュエータ10は、被駆動体2、振動体11、FPC(フレキシブルプリント基板)12及び裏打ち材(補強部材)13を有する。振動体11は、弾性体11a、圧電素子11b及び一対の突起部11cを有する。説明の便宜上、図1に示す互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定める。Y軸方向は、2つの突起部11cを結ぶ方向である。Z軸方向は、突起部11cの突出方向、弾性体11a及び圧電素子11bの厚み方向である。X軸方向は、Y軸方向及びZ軸方向の両方向と直交する方向であり、被駆動体2が振動体11により摩擦駆動されることにより、被駆動体2と振動体11とが相対的に移動する方向である。
圧電素子11bに給電する給電部材であるFPC12は、Z軸方向において、2層のシート状部材であるベース部材に導通部材12dが狭まれた構造を有している。例えば、ベース部材にはシート状のポリイミドフィルム等の樹脂材料が用いられ、導通部材12dには銅箔等の金属材料が用いられる。FPC12の一方の面には、X軸方向に所定の間隔で2カ所に裏打ち材13が固定されている。また、FPC12の他方の面には、振動体11が、X軸方向において2つの裏打ち材13が固定されている位置の中央に位置するように固定されている。なお、「中央に位置する」とは、X軸方向において振動体11から2つの裏打ち材13のそれぞれまでの距離が実質的に同じとみなすことができることをいう。具体的には、後述する図6Bのグラフに示したような状態にならない程度であれば、それらの距離が異なっていても良い。振動体11は、裏打ち材13を介してFPC12が基台3に固定されることにより基台3に支持されている。基台3は、振動型アクチュエータ10が搭載される不図示の電子機器の筐体等を構成する部品である。このように、振動型アクチュエータ10では、FPC12は、圧電素子11bに対して給電する機能に加えて、振動体11を支持する機能を兼ね備えている。そのため、振動体11を支持するための別の部品が不要となることで、部品点数や組立工数を減らすことが可能となる。なお、裏打ち材13を介してFPC12を基台3に固定する方法は、特に限定されるものではなく、接着剤による固定、押さえ板による挟み込み、ボルト締結、カシメ等の周知の方法を用いることができる。
矩形で平板状の弾性体11aは、例えば、マルテンサイト系のステンレス鋼であるSUS420J2等の金属材料からなる。なお、「矩形」とは、厳密に矩形であることを必要とせず、実質的に矩形とみなすことができることをいう。具体的には、後述する図6Bのグラフに示したような状態にならない程度であれば、弾性体11aは矩形でなくても良い。例えば、弾性体11aの形状は、部品公差や組立誤差等を含んでいても、面取りされていても良い。、後述する圧電体等の形状についても同様である。弾性体11aの一方の面には、電気−機械エネルギ変換素子である圧電素子11bが接合されている。圧電素子11bにおける弾性体11aとの接合面の反対側の面にはFPC12が接合されており、こうして振動体11はFPC12に支持されている。
2つの突起部11cは、弾性体11aにおいて圧電素子11bが接合されている面の反対側の面において、Y軸方向に所定の間隔で、Z軸方向において圧電素子11bに向かわない方向に突出するように設けられている。突起部11cの先端は被駆動体2と加圧接触するが、図1(a)では、振動体11の少なくとも一部を図示するために、便宜上、被駆動体2と突起部11cとを離した状態を示している。突起部11cと被駆動体2を加圧接触させる方法としては、被駆動体2から突起部11cに対して弾性力を与える方法、FPC12から振動体11を介して被駆動体2に弾性力を与える方法のいずれを用いてもよい。また、被駆動体2と弾性体11aとの間に磁気回路を形成し、弾性体11aと被駆動体2とを磁力により互いに引き寄せ合わせることで、突起部11cと被駆動体2を加圧接触させることもできる。
突起部11cの先端には、所望の摩擦係数を有し、耐摩耗性に優れた接触部を設けることが望ましい。例えば、突起部11cを曲げ加工により弾性体11aと一体的に形成した後、熱処理や表面研磨を施すことにより、所望の摩擦係数と耐摩耗性を備える接触部を形成することができる。なお、突起部11cの形成方法は、特に限定されるものではなく、エッチング加工やメッキ加工による形成方法や、弾性体11aとは別部材として準備して弾性体11aに溶接等で固定する方法等を用いることができる。弾性体11a、突起部11c及び接触部を一体的に形成した場合には、これらを別々に形成して接合等する場合に比べて、組立工数を減らすことができ、また、突起部11cの位置合わせを行う必要がなくなることで部品間のばらつきを抑制することができる。
振動型アクチュエータ10では、振動体11に2つの曲げ振動モードを所定の位相差で励起することにより、ZX面内で同一方向に軌跡を描く楕円運動を突起部11cの先端(接触部)に生じさせて、被駆動体2を突起部11cにより摩擦駆動する。2つの曲げ振動モードの共振周波数のうち高い方の共振周波数を“fa”とし、2つの曲げ振動モードの共振周波数差を“Δf”とする。この場合に、振動体11の形状は、2つの曲げ振動モードの共振周波数を近付けて、共振周波数差Δfが所望の値となるように決定される。具体的には、振動体11の長手方向(Y軸方向)、短手方向(X軸方向)及び厚み方向(Z軸方向)のそれぞれの寸法設定によって、2つの曲げ振動モードの共振周波数差Δfを所望の値に近付ける。本実施形態では、振動体11の形状は、共振周波数差Δfが“0<Δf<fa×0.15”の関係を満たすように形成されている。この際、弾性体11aの厚みは0.05〜0.5mm、圧電素子11bの厚みは0.05〜0.5mmに設定され、本実施形態では弾性体11aと圧電素子11bの厚みを0.2mmに設定している。また、共振周波数“fa”は、150kHzより大きい値に設定される。ただし、ここで設定される寸法や共振周波数faについては、用途に応じたアクチュエータ形状の設計変更に依存するため、これらの設定値に限られるものではない。
図2(a)は、振動体11に励起される2つの曲げ振動モードのうち第1の曲げ振動モードを説明する斜視図である。第1の曲げ振動モードでは、節線Y1,Y2が生じる。第1の曲げ振動モードの振動は、振動体11のXY平面に対する面外方向(Z軸方向)で生じるため、節線Y1,Y2とは、振動体11において実質的にZ軸方向の振動変位が生じない部分を指す。2つの突起部11cは、第1の曲げ振動モードで腹となる位置に設けられており、そのため、振動体11に第1の曲げ振動モードの振動を励起したときに2つの突起部11cの先端には同位相でZ軸方向に往復運動する振動が生じる。
図2(b)は、振動体11に励起される2つの曲げ振動モードのうち第2の曲げ振動モードを説明する斜視図である。第2の曲げ振動モードでは、節線X1,X2,Y3が生じる。第2の曲げ振動モードの振動もまた、振動体11のXY平面に対する面外方向(Z軸方向)で生じるため、節線X1,X2,Y3とは、振動体11において実質的にZ軸方向の振動変位が生じない部分を指す。2つの突起部11cは、第2の曲げ振動モードの節線Y3上に設けられており、そのため、振動体11に第2の曲げ振動モードの振動を励起したときに2つの突起部11cの先端には同位相でX軸方向に往復運動する振動が生じる。
図2(c)は、圧電素子11bにおけるFPC12との接合面に設けられた電極パターンの平面図である。圧電素子11bは、圧電セラミックス等からなる矩形で板状の圧電体の各面に電極が形成され、圧電体が所定の方向に分極されたものであり、電気−機械エネルギ変換素子の一例である。
圧電素子11bにおけるFPC12との接合面には、第2の曲げ振動モードの振動が励起されたときに生じる節線Y3を境界して、X軸方向に2分割されたA相電極部11b1とB相電極部11b2が形成されている。また、圧電素子11bにおけるFPC12との接合面の中央部には、GND電極部11b3が形成されている。GND電極部11b3は、圧電素子11bにおける弾性体11aとの接合面に設けられた不図示の共通電極(GND電極)と圧電体をZ軸方向に貫通する不図示のスルーホールを介して電気的に接続されている。A相電極部11b1とB相電極部11b2とが設けられている部分の圧電体は、Z軸方向の同じ向きに分極処理されている。なお、圧電素子11bにおける弾性体11aとの接合面に形成された共通電極に対する導通は、弾性体11aの表面から取り出してもよい。但し、その場合には、FPC12の導通部材12dには、後述するGND配線部12d3は設けられない。
A相電極部11b1に印加する交流電圧V1とB相電極部11b2に印加する交流電圧V2の電圧値と周波数は同じであるとする。この条件で交流電圧V1,V2を同位相として圧電素子11bに入力すると、A相電極部11b1とB相電極部11b2の各電極領域で生じる伸縮方向は同じ向きとなる。そのため、各電極領域で伸縮方向が同じ向きとなって振動する第1の曲げ振動モードの共振周波数付近に交流電圧V1,V2の周波数を近付けることで、振動体11に第1の曲げ振動モードの振動を励起することができる。また、交流電圧V1,V2を逆位相として圧電素子11bに入力すると、A相電極部11b1とB相電極部11b2の各電極領域で生じる伸縮方向は逆向きとなる。そのため、各電極領域で伸縮方向が逆向きとなって振動する第2の曲げ振動モードの共振周波数付近に交流電圧V1,V2の周波数を近付けることで、振動体11に第2の曲げ振動モードの振動を励起することができる。
振動体11の形状は、上述の通り、第1の曲げ振動モードと第2の曲げ振動モードの共振周波数を近付けるように決定されている。そのため、入力電圧と周波数が同じ交流電圧V1,V2の位相を、例えば90°ずらしてA相電極部11b1とB相電極部11b2に印加すると、第1の曲げ振動モードと第2の曲げ振動モードの各振動は、位相が90°ずれて励起される。その結果、突起部11cの先端にZX面内での楕円運動を生じさせることができ、突起部11cの先端と加圧接触している被駆動体2が突起部11cから摩擦駆動力を受ける。これにより、振動体11と被駆動体2とをX軸方向に相対的に移動させることができる。なお、交流電圧V1,V2の電圧値や入力位相差を異ならせることで、突起部11cの先端に生じさせる楕円運動の軌道形状を変えることができる。
図3(a)は、振動型アクチュエータ10の側面図である。なお、図3(a)では、被駆動体2は図示されていない。2つの突起部11cは、振動体11の重心を通って加圧方向(Z軸方向)と平行な軸に対して回転対称となる位置に配置されている。そのため、振動体11の重心は、FPC12により加圧方向と対向する方向から支持される。また、2つの裏打ち材13は、2つの突起部11cと同様に、振動体11の重心をZ軸方向に通る軸に対して回転対称となる位置でFPC12に固定されている。そのため、FPC12において2つの裏打ち材13に固定された部分の間の部分の重心は、加圧力に対する反力を均等に2つの裏打ち材13に固定された部分で受けることで支持される。したがって、振動体11の重心がFPC12及び2つの裏打ち材13によって支持されることで、振動体11は安定した姿勢で支持される。
図3Bは、振動型アクチュエータ10をFPC12における裏打ち材13側のベース部材を除去した状態で示す裏面図である。FPC12は、大略的に5つの領域(部分)に分けられる。具体的には、FPC12は、圧電素子11bと接合されて振動体11と共に振動する振動部12a、裏打ち材13を介して基台3に固定される第1固定部12c1及び第2固定部12c2、振動部12aと第1固定部12c1を連結して振動体11を支持する第1支持部12b1、振動部12aと第2固定部12c2を連結して振動体11を支持する第2支持部12b2を有する。
導通部材12dは、給電機能とグラウンド(GND)機能をそれぞれ有する配線部に分けられる。具体的には、導通部材12dは、圧電素子11bのA相電極部11b1に接続される第1給電配線部12d1と、B相電極部11b2に接続される第2給電配線部12d2と、アースを取るためにGND電極部11b3に接続されるGND配線部12d3に分けられる。第1給電配線部12d1、第2給電配線部12d2及びGND配線部12d3は、不図示の給電回路基板に接続される不図示のコネクタから第1固定部12c1に向かって延出され、第1固定部12c1から第1支持部12b1を介して振動部12aに延出している。第1給電配線部12d1、第2給電配線部12d2及びGND配線部12d3は更に、振動部12aから第2支持部12b2を介して第2固定部12c2へ延出している。振動体11と被駆動体2とは、第1固定部12c1と第1支持部12b1と振動部12aと第2支持部12b2と第2固定部12c2とが並んでいる方向(±X軸方向)に沿って、相対的に移動するように構成されている。このように構成することで、振動型アクチュエータをY軸方向に小型化できる。
XY平面での第1支持部12b1及び第2支持部12b2における配線形状は、振動体11に励振されるモード形状や共振周波数に大きな影響を与える。その理由について以下に説明する。すなわち、振動体11は、XY平面において互いに直交する第1対称軸と第2対称軸の各軸について対称な形状を有する。また、導通部材12dは、第1支持部12b1及び第2支持部12b2において、第1対称軸と第2対称軸の各軸に対して対称な形状を有する。なお、第1対称軸と第2対称軸はそれぞれ、互いに直交すると共に振動体11の厚み方向と直交し、振動体11の短辺と長辺の各辺と平行である。なお、「対称な形状」とは、実質的に対称であるとみなすことができることができる形状であることをいう。具体的には、後述する図6Bのグラフに示したような状態にならない程度であれば、対称でなくても良い。
振動体の形状がFPCに対して十分に大きい従来技術の場合は、FPCが振動体の振動特性(振動型アクチュエータにおける駆動特性)に与える影響を無視することができた。しかし、振動体を小型化(例えば、矩形状の弾性体の長辺を6mm未満に)していくと、振動体の剛性が小さくなるため、銅箔等の配線(導通部材)と振動体の剛性の差が小さくなる。例えば、ベース部材であるポリイミドフィルムと振動体との剛性の差は非常に大きいため、FPCを構成するベース部材(フィルム)の剛性を無視することはでき、振動体とポリイミドフィルムの接合部は、振動体にとって実質的に自由端に等しくなる。しかし、剛性の差が小さくなった振動体と導通部材の接合部は、実質的に自由端とみなすことができなくなり、振動体に振動を励起したときに振動エネルギの一部が接合部を透過するようになる。よって、振動型アクチュエータ10でも、小型化によって、モード形状や共振周波数を決める振動体11の形状に対する、導通部材12dにおいて振動部12aから延出する部分の影響が大きくなる。
例えば、従来技術として説明した特許文献1,2に記載された振動体では、FPC上の導通部材の振動体からの延出方向は給電回路のコネクタへと向かう一方向のみとなっている。そのため、特許文献1,2に記載されたFPCを小型化された振動体11に適用した場合、振動体11とFPCの導通部材とを組み合わせた形状では対称性がないため、モード形状が所望の形状から変わってしまう。また、図13を参照して説明した支持構造には、前述した通り、FPC932の配線回し等が原因となって振動体930の振動状態が不安定になるという問題が生じる。
そこで、振動型アクチュエータ10では、導通部材12dを給電回路のコネクタへと向かう方向と、この方向と対向する方向の2つの方向に延出させている。そして、振動型アクチュエータ10では、振動体11に所望の振動状態が生じるように、FPC12を振動体11からの2つの延出方向先の2カ所で裏打ち材13を用いて固定している。つまり、振動体11を中央に配して導通部材12dが両方向に延出する構成とすることにより、導通部材12dの対称性を確保している。これにより、導通部材が非対称な構成よりも振動体11の振動状態を安定させることができる。また、振動体11に励起される振動のモード形状は、FPC12の固定位置によっても決定される。
導通部材12dの第1支持部12b1及び第2支持部12b2における配線形状が振動体11と同様の形状の対称性を有していることは、振動体11に励起される振動のモード形状の対称性を維持するために重要となる。そこで、モード形状の対称性を維持するために、本実施形態では、第2支持部12b2及び第2固定部12c2に給電や接地に用いられないダミー配線部12fが設けられている。
ここで、ダミー配線部12fが振動体11に励起される振動のモード形状に及ぼす影響について説明する。図4(a)は、ダミー配線部12fを設けた配線形状を示す裏面図であり、第1固定部12c1及び第2固定部12c2での導通部材12dの表示形態を除いて、実質的には図3(b)と同じである。図4(b)は、ダミー配線部12fを設けない配線形状を示す裏面図であり、FPC12に対して比較例となる構成を示している。図5(a)は、図4(a)に示すダミー配線部12fを有するFPC12が振動体11に取り付けられた状態で振動体11に励起される第2の曲げ振動モードの振動の節線を示す図である。図5(b)は、図4(b)に示す振動体11にダミー配線部12fを有さないFPCが取り付けられた状態で振動体11に励起される第2の曲げ振動モードの振動の節線を示す図である。
上述した第2の曲げ振動モードの振動を振動体11に励起した場合に、図4(a)に示すようにダミー配線部12fが設けられていると、図5(a)に示すように理想的な節線X1,X2,Y1が現れる振動が励起される。一方、第2の曲げ振動モードの振動を振動体11に励起した場合に、図4(b)に示すようにダミー配線部12fが設けられていない場合には、図5(b)に示すように節線X1,X2,Y1が理想的な位置からずれて現れる振動が生じてしまう。その結果、ダミー配線部12fが設けられていない場合には、振動体11に第1の曲げ振動モードと第2の曲げ振動モードの各振動を所定の位相差で励起しても、突起部11cの先端(接触部)に所望の振動振幅を生じさせて楕円運動させることができなくなり、被駆動体2を効率よく駆動することができなくなる。また、この場合、被駆動体2を摩擦駆動したときに、X軸方向の一方の向きへの駆動と逆向きへの駆動とで性能差が生じ、モード形状のずれが大きくなると、被駆動体2を駆動することができなくなることもある。
続いて、ダミー配線部12fが圧電素子11bの周波数−アドミッタンス特性に及ぼす影響について説明する。図6(a)は、図4(a)に示すダミー配線部12fを有するFPC12で被駆動体2と加圧接触させていない振動体11を励振したときの圧電素子11bの周波数−アドミッタンス特性を示す図である。図6(b)は、図4(b)に示すダミー配線部12fを有さないFPCで被駆動体2と加圧接触させていない振動体11を励振したときの圧電素子11bの周波数−アドミッタンス特性を示す図である。なお、図6(a),(b)の各周波数−アドミッタンス特性は、既知の測定方法を用いて、圧電素子11bへ所定の交流電圧を周波数掃印で印加して取得したものである。
図6(a),(b)の各グラフにおいて、周波数fbは第1の曲げ振動モードの共振周波数を示しており、周波数faは第2の曲げ振動モードの共振周波数を示している。ダミー配線部12fを有するFPC12を用いてA相電極部11b1に交流電圧V1を印加した場合(実線)とB相電極部11b2に交流電圧V2を印加した場合(一点鎖線)とでは、同じ周波数に同程度の大きさの共振ピークが現れている。したがって、A相電極部11b1とB相電極部11b2のいずれの電極部に交流電圧を印加しても、2つの曲げ振動モードの振動を励起することができることがわかる。一方、ダミー配線部12fを有していないFPCを用いてA相電極部11b1に交流電圧V1を印加した場合(実線)とB相電極部11b2に交流電圧V2を印加した場合(一点鎖線)とでは、共振ピークの大きさが異なっている。特に、B相電極部11b2への交流電圧印加時においては、周波数faで共振ピークが現れておらず、第2の曲げ振動モードの振動を励起させることができないことがわかる。したがって、突起部11cの先端(接触部)に被駆動体2を摩擦駆動するための所望の楕円運動を生じさせることができず、被駆動体2の駆動が不安定になり、往復動作ができなくなることがある。
なお、導通部材12dの第1支持部12b1及び第2支持部12b2における配線形状は、振動部12a、第1固定部12c1及び第2固定部12c2上での配線形状によって決められる。しかし、部品公差や組立誤差等の影響により、導通部材12dの第1支持部12b1及び第2支持部12b2における配線形状を完全な対称性を有する状態とすることは、実際には容易ではない。そして、本実施形態において駆動に用いる所望の共振モードの振動を励起することができない状態とは、図6(b)に示したように、2つの曲げ振動モードのうち少なくとも一方の曲げ振動モードの共振周波数で共振ピークが立っていない状態をいう。よって、A相電極部11b1とB相電極部11b2のいずれの電極部に交流電圧を印加した場合でも駆動に用いる2つの共振ピークが現れ、被駆動体2の往復での駆動が可能な限りにおいて、第1支持部12b1及び第2支持部12b2における導通部材12dの配線形状の対称性には、完全な対称性からの一定のずれは許容される。
上述したように、導通部材12dの第1支持部12b1及び第2支持部12b2における配線形状は、振動体11と同様の形状の対称性を有していることが重要であり、この対称性が失われるにしたがってモード形状の理想的な形状からのずれも大きくなる。一方、第1固定部12c1及び第2固定部12c2を設ける位置が振動体11から離れるにしたがってFPC12による振動体11の拘束力は小さくなるため、形状の対称性の影響は小さくなる。しかし、第1固定部12c1及び第2固定部12c2の位置が振動体11から離れるにしたがって、第1支持部12b1及び第2支持部12b2での加圧(Z軸)方向に対するばね定数が小さくなり、振動体11を安定して支持することができなくなる。
そこで、導通部材12dの第1支持部12b1及び第2支持部12b2における配線形状と第1固定部12c1及び第2固定部12c2の配置はそれぞれ、振動体11が有する第1対称軸と第2対称軸の各軸について線対称となるように設計される。これにより、振動体11の振動状態を安定させることができ、ひいては、摩擦駆動力を効率よく取り出すことができる小型の振動型アクチュエータ10を実現することができる。また、振動型アクチュエータ10では、FPC12が振動体11を支持する支持部材として機能する構造となっているため、振動体11を支持するための別途の支持部材が不要となり、これによりコストアップを回避することができる。また、第1固定部12c1及び第2固定部12c2に第1支持部12b1及び第2支持部12b2に比べて十分に剛性の高い裏打ち材13を設けることで、導通部材12dを伝達する振動を第1固定部12c1及び第2固定部12c2により遮蔽することができる。つまり、FPC12の固定方法に依存することなく、振動伝達を遮蔽することができることで、振動体11の振動状態をより安定なものとすることができる。その際、加圧力に対する振動体11の姿勢を安定的なものにするため、振動体11から固定部12cまでの距離の設定については、仕様に対して適宜設定される必要がある。
導通部材12dの振動部12aにおける配線は振動体11と一体となるため、振動体11に与える影響は、導通部材12dの第1支持部12b1及び第2支持部12b2における配線が振動体11に与える影響より小さい。しかし、導通部材12dの振動部12aにおける配線形状は、図3(b)に示したように、第1対称軸及び第2対称軸の各軸について線対称であることが望ましい。そこで、本実施形態では、GND配線には中央に矩形のパット部を設け、2本の給電用配線のそれぞれにはGND配線のパッド部の両側に、矩形のパッド部を設けている。FPC12の圧電素子11bとの接合面側のベース部材については、GND電極部11b3とGND配線部12d3のパッド部とが対向する領域を開口させる。同様に、FPC12の圧電素子11bとの接合面側のベース部材において、A相電極部11b1と第1給電配線部12d1の一方のパッド部とが対向する領域を開口させ、B相電極部11b2と第2給電配線部12d2の一方のパッド部とが対向する領域を開口させる。これにより、導通部材12dの振動部12aにおける配線形状の対称性を確保すると共に、A相電極部11b1、B相電極部11b2及びGND電極部11b3の間の導通部材12dによる短絡を防止して、圧電素子11bへ給電することができる。第1給電配線部12d1と第2給電配線部12d2のパッド部のうち、FPC12のベース部材に設けられた開口に対向しないパッド部は、ダミーのパッド部と呼ぶことができる。
なお、第1支持部12b1及び第2支持部12b2ではFPC12を構成するベース部材の剛性と導通部材12dの剛性とに大きな差はなく、そのため、導通部材12dからベース部材への振動伝達により振動体11の振動状態が変化することも考えられる。その場合、第1支持部12b1及び第2支持部12b2におけるベース部材の形状についても導通部材12dと同様に、振動体11の形状が有する対称性と同等の対称性を有することが望ましい。ここで説明する対称性についても、部品公差や組立誤差等により完全な対称性を再現することは容易ではない。そのため、導通部材12dの第1支持部12b1及び第2支持部12b2における配線形状の対称性の許容範囲と同様の範囲で対称性のズレは許容される。
上記説明では、給電部材であるFPC12においてはベース部材が振動体11を支持する機能を補っていたが、このよ・BR>、な構成に限定されず、金属ワイヤ或いは金属箔に支持機能を持たせた構成としてもよい。また、振動体11の駆動に用いられる振動モードは、図3に示した2つの曲げ振動モードに限られず、突起部11cの先端(接触部)に楕円運動を生じさせることができる限りにおいて、他の振動モード(例えば、より高次の振動モード)を用いてもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る振動型アクチュエータ20を構成する振動体21の概略構成を示す斜視図である。なお、図7では被駆動体2の図示を省略しており、被駆動体2は図1(a)に示した状態に準じて、振動体21とZ軸方向において加圧接触するように配置される。
振動型アクチュエータ20は、振動体21、FPC22及び裏打ち材23を有し、振動体21は、弾性体21a、圧電素子21b及び突起部21cを有する。第1実施形態で説明した振動体11はY軸方向を長手方向としているが、振動体21はX軸方向を長手方向としている点で、振動体11と異なる。矩形で平板状の弾性体21aの一方の面には、矩形で平板状の圧電素子21bが接合されている。また、突起部21cは、振動体11と同様に、Y軸方向に所定の間隔で弾性体21aの一方の面から圧電素子21bが接合されていないZ軸方向へ向けて突出するように弾性体21aに設けられている。Z軸方向において、突起部21cの先端と不図示の被駆動体2とが加圧接触している。振動体21は、圧電素子21bがFPC22と接合されることによってFPC22に支持されており、FPC22は裏打ち材23を介して不図示の基台に固定されている。なお、裏打ち材23は、第1実施形態で説明した裏打ち材13と同じであるため、説明を省略する。FPC22は、第1実施形態で説明したFPC12と同様に、2枚のベース部材に導通部材22dが挟まれた3層構造を有する。
図8(a)は、被駆動体2を摩擦駆動するために振動体21に励起される第3の曲げ振動モードを説明する斜視図である。また、図8(b)は、被駆動体2を摩擦駆動するために振動体21に励起される第4の曲げ振動モードを説明する斜視図である。第3の曲げ振動モードの振動を振動体21に励起することにより、突起部21cの先端にはZ軸方向での振動変位が生じる。また、第4の曲げ振動モードの振動を振動体21に励起することにより、突起部21cの先端にはX軸方向の振動変位が生じる。振動体21の形状は、第3の曲げ振動モードと第4の曲げ振動モードの共振周波数が近付くように設計されている。
圧電素子21bにおいてFPC22と接合される面には、X軸方向に2分割されて不図示のA相電極部及びB相電極部が設けられており、A相電極部とB相電極部の間にはこれらと絶縁されたFPC側GND電極が設けられている。圧電素子21bにおいて弾性体21aと接合される面には、共通電極(弾性体側GND電極)が設けられており、共通電極は、圧電素子21bの中心部をZ軸方向に貫通するスルーホール電極を介してFPC側GND電極と導通している。第1実施形態と同様に、A相電極部とB相電極部に、例えば、位相差を90°ずらした交流電圧を印加して、第3の曲げ振動モードと第4の曲げ振動モードの各振動を同時に励起する。これにより、突起部21cの先端(接触部)に、ZX面内での楕円運動を生じさせることができ、被駆動体2をX軸方向に摩擦駆動することで、被駆動体2と振動体21とをX軸方向に相対的に移動させることができる。
図9(a)は、振動型アクチュエータ20をFPC22における振動体21側のベース部材を除去した状態で示す上面図である。図9(b)は、振動型アクチュエータ20の側面図である。図9(c)は、振動型アクチュエータ20をFPC22における裏打ち材23側のベース部材を除去した状態で示す裏面図である。なお、図9(a)〜(c)では、被駆動体2は図示されていない。
振動体21は、第3の曲げ振動モードと第4の曲げ振動モードの各共振周波数を近付けるために、弾性体21aの長辺の長さの短辺の長さに対する比が大きくなっており、したがって、振動体21の小型化を図ると、短辺の長さ(Y軸方向長さ)が極端に短くなる。一方、FPC22には圧電素子21bへの給電のための2本の給電用配線と1本のGND配線を設ける必要があるが、対称性を考慮すると、Y軸方向においてGND配線を挟むように給電用配線を設けることが望ましい。このとき、給電用配線及びGND配線としての導通部材22dは、互いの配線が短絡しないようにY軸方向において所定の間隔を空けてFPC22に設ける必要がある。このため、図9(a)に示されるように、振動体21の短辺長さよりも給電用配線間のY軸方向での間隔が長く設定されている。また、各給電用配線と圧電素子21bの電極との接触面積を確保するため、図9(c)に示すように、GND配線には中央に矩形のパット部を設け、2本の給電用配線のそれぞれには矩形のパッド部のX軸方向の両側に、GND配線側へ突出する一対の凸状のパッド部を設けている。FPC22のベース部材には、GND配線の矩形のパッド部に対向する領域と、各給電用配線の凸状のパッド部の1つに対向する領域に開口が形成されている。各給電用配線の他方のパッド部はダミーのパッド部に相当する。
導通部材22dを図9の構成とした場合でも、振動体21の形状が有する第1対称軸及び第2対称軸の各軸について、FPC22の支持部上での導通部材22dの振動体21から延出する部分の形状は線対称となるため、モード形状を維持することができる。なお、FPC22の支持部とは、第1実施形態で説明したる第1支持部12b1及び第2支持部12b2と同様に、FPC22において裏打ち材23が接合される部分と振動体21が接合される部分との間の部分を指す。
なお、振動体21から延出する導通部材22dは、FPC22において裏打ち材23と接合される固定部に対してX軸方向で対向する振動体21の短辺側から延出する構成に限定されない。つまり、導通部材22dのFPC22の支持部における配線形状は、振動体21の形状が有する2つの対称軸の各軸について対称性を有していればよい。また、第2の実施の形態では、A相電極部、B相電極部及びGND電極部を有する圧電素子21bに交流電圧を印加して第3の曲げ振動モード及び第4の曲げ振動モードの振動を励起する構成について説明した。しかし、これに限られず、フローティング駆動等で駆動させる振動モードを用いる場合には、圧電素子21bにGND電極部を設けなくともよく、このような構成は、第1実施形態で説明した圧電素子11bについても同様に適用することができる。
次に、本発明の第1実施形態に係る振動型アクチュエータ10を備える電子機器について、顕微鏡と撮像装置を取り上げて説明する。但し、振動型アクチュエータ10は、これらへの適用に限定されるものではなく、駆動による位置決めが必要とされる部品を備える電子機器に広く適用することができる。
図10は、図1に示す振動型アクチュエータ10を備える顕微鏡500の外観斜視図である。顕微鏡500は、撮像素子と光学系を内蔵する撮像部530と、基台上でX−Y面内で移動可能に配置された被駆動体であるステージ520を有する自動ステージ部510と、ベースプレート540とを備える。圧電素子11bへ給電することにより振動型アクチュエータ10を制御する制御装置550は、ベースプレート540内に配置されている。なお、制御装置550は、撮像部530に設けられていてもよい。顕微鏡500では、少なくとも2つの振動体11が用いられており、少なくとも1つの振動体11がステージ520のX軸方向での駆動に用いられ、少なくとも1つの別の振動体11がステージ520のY軸方向での駆動に用いられる。
被観察物をステージ520の上面に載置して、拡大画像を撮像部530で撮影する場合において観察範囲が広範囲となる場合には、自動ステージ部510を駆動してステージ520をX軸方向とY軸方向に移動させることで、被観察物を移動させる。被観察物を移動しながら多数の撮影画像を撮影する。これにより、撮影された画像を不図示のコンピュータで画像処理により結合させることで、観察範囲が広く、しかも高精細な1枚の観察画像を取得することができる。
図11(a)は、撮像装置700の概略構成を示す上面図である。撮像装置700は、撮像素子710及び電源ボタン720を搭載したカメラ本体730を備える。また、撮像装置700は、第1レンズ群(不図示)、第2レンズ群820、第3レンズ群(不図示)、第4レンズ群840及び振動型駆動装置620,640を有するレンズ鏡筒740を備える。レンズ鏡筒740は、交換レンズとしてカメラ本体730に対して着脱可能であり、撮影対象に合わせて適したレンズ鏡筒740をカメラ本体730に取り付けることができる。撮像装置700では、2つの振動型駆動装置620,640によってそれぞれ、第2レンズ群820,第4レンズ群840が駆動される。
振動型駆動装置620の詳細な構成は不図示であるが、振動型駆動装置620は、円環状の被駆動体と、被駆動体を回転駆動させる振動体11と、駆動回路とを有する。例えば、3つの振動体11が円環状の基台の周方向に等間隔に、且つ、それぞれの振動体11は2つの突起部11cを結ぶ線が同一円周に対して法線となるようにFPC12に支持されて裏打ち材13を介して基台に支持される。被駆動体と振動体11の突起部11cとが光軸方向において加圧接触した状態で、被駆動体と基台は、それらの径方向がレンズ鏡筒740の光軸と直交するようにレンズ鏡筒740内に配置される。振動型駆動装置620では、被駆動体を光軸まわりに回転させ、不図示のカム或いはギア等を介して被駆動体の回転出力を光軸方向での直進運動に変換することによって第2レンズ群820を光軸方向に移動させる。振動型駆動装置640は、振動型駆動装置620と同様の構成を有することにより、第4レンズ群840を光軸方向に移動させる。なお、振動体11は被駆動体2を一方向(X軸方向)に駆動することができる。よって、振動体11のX軸方向(短手方向)がレンズ鏡筒740の光軸方向と平行になるように振動体11を配置し、レンズを保持するレンズ保持部材を被駆動体として、レンズ保持部材を直接に光軸方向に駆動する構成としてもよい。
図11(b)は、撮像装置700の光学系及び制御システムの概略構成を示すブロック図である。第1レンズ群810、第2レンズ群820、第3レンズ群830、第4レンズ群840及び光量調節ユニット850が、レンズ鏡筒740内部の光軸上の所定位置に配置される。第1レンズ群810〜第4レンズ群840と光量調節ユニット850とを通過した光は、撮像素子710に結像する。撮像素子710は、光学像を電気信号に変換して出力し、その出力は、カメラ処理回路750へ送られる。
カメラ処理回路750は、撮像素子710からの出力信号に対して増幅やガンマ補正等を施す。カメラ処理回路750は、AEゲート755を介してCPU790に接続されると共に、AFゲート760とAF信号処理回路765とを介してCPU790に接続されている。カメラ処理回路750において所定の処理が施された映像信号は、AEゲート755と、AFゲート760及びAF信号処理回路765を通じてCPU790へ送られる。なお、AF信号処理回路765は、映像信号の高周波成分を抽出して、オートフォーカス(AF)のための評価値信号を生成し、生成した評価値をCPU790へ供給する。
CPU790は、撮像装置700の全体的な動作を制御する制御回路であり、取得した映像信号から、露出決定やピント合わせのための制御信号を生成する。CPU790は、適切なフォーカス状態が得られるように、振動型駆動装置620,640を制御することによって、第2レンズ群820、第4レンズ群840の光軸方向位置を調整する。また、CPU790は、決定した露出が得られるように、メータ630を制御することによって、光量調節ユニット850の開口径を調整する。CPU790による制御下において、振動型駆動装置620は第2レンズ群820を光軸方向に移動させ、振動型駆動装置640は第4レンズ群840を光軸方向に移動させ、光量調節ユニット850はメータ630により制御される。
振動型駆動装置620により駆動される第2レンズ群820の光軸方向位置は第1リニアエンコーダ770により検出され、検出結果がCPU790に通知されることで振動型駆動装置620の駆動にフィードバックされる。同様に、振動型駆動装置640により駆動される第4レンズ群840の光軸方向位置は第2リニアエンコーダ775により検出され、検出結果がCPU790に通知されることで振動型駆動装置640の駆動にフィードバックされる。光量調節ユニット850の開口径は、絞りエンコーダ780により検出され、検出結果がCPU790へ通知されることで、メータ630の駆動にフィードバックされる。
撮像装置700の所定のレンズ群を光軸方向に移動させる用途に第1実施形態で説明した振動型アクチュエータ10等を用いた場合、レンズ群を停止させた状態でも大きな保持力が得られる。これにより、レンズ鏡筒740やカメラ本体730に外力が作用しても、レンズ群にずれが生じることを抑制することができる。なお、レンズ鏡筒740に手ぶれ補正用レンズが内蔵される場合、手ぶれ補正用レンズを光軸と直交する面内の任意の方向に移動させる手ぶれ補正ユニットに振動体11を用いることができる。その場合、光軸方向と直交する面内において直交する2方向に手ぶれ補正用レンズを保持したレンズ保持部材を移動させることができるように、各方向にレンズ保持部材を駆動する1又は複数の振動体11を配置する。なお、手ぶれ補正ユニットは、手ぶれ補正用レンズを駆動する構成に代えて、カメラ本体730に内蔵される撮像素子710を光軸と直交する面内の任意の方向に移動させる構成としてもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。例えば、振動体11は、2つの突起部11cを有するが、突起部11cは1つのみ設けられていても、被駆動体2の摩擦駆動は可能であり、この場合の1つの突起部は、弾性体11aの上面(XY面)の中央に設ければよい。また、ダミー配線部やダミーパッド部はその他の配線やパッド部と同じ材料であることが好ましいが、図6Bのグラフに示したような状態にならない程度であればダミー配線部およびダミーパッド部の少なくとも一部の材料としてその他の配線やパッド部と異なる材料を用いても良い。