JP2018025924A - 自律走行システム - Google Patents

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Takatomi Miyakubo
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Abstract

【課題】基準点からの基準局の移動に対する措置を講じることで、目標走行経路から作業車両が大きく外れてしまう等の不都合が生じるのを防止する。【解決手段】予め定められた基準点に設置されて基準点の位置情報と衛星測位情報に基づいて補正情報を送信する基準局60と、作業車両1に搭載されて基準局60から送信される補正情報と衛星測位情報に基づいて作業車両1の位置情報を演算する移動局と、移動局により演算された作業車両1の位置情報を用いて予め定められた目標走行経路に沿って作業車両を自律走行させる自律走行制御部と、を備えて自律走行システムであって、基準局60の移動を検知する移動検知部を有し、自律走行制御部は、移動検知部により基準局60の移動が検知された場合に、作業車両1の自律走行を停止させる。【選択図】図1

Description

本発明は、作業車両の位置情報を取得しながら、作業車両を目標走行経路に沿って自律走行させる自律走行システムに関する。
上記のような自律走行システムでは、基準点に設置された基準局を備え、作業車両及び基準局の双方において、測位衛星からの衛星測位情報を取得している。基準局では、基準点の位置情報と取得した衛星測位情報とを含む補正情報を作業車両に送信している。作業車両では、自己が取得した衛星測位情報だけから作業車両の現在位置情報を求めるのではなく、自己が取得した衛星測位情報を、基準局から送信される補正情報を用いて補正することで、作業車両の現在位置情報を精度よく取得している。そして、求めた作業車両の現在位置情報に基づいて、作業車両が目標走行経路に沿うように自律走行させるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−128045号公報
上記特許文献1に記載のシステムでは、例えば、地震やその他の要因によって、基準局が基準点から移動してしまうと、基準局から送信される補正情報が誤った情報となってしまう。よって、作業車両の現在位置情報を適切に取得できず、目標走行経路から作業車両が大きく外れてしまう等の不都合を生じる可能性がある。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、基準点からの基準局の移動に対する措置を講じることで、目標走行経路から作業車両が大きく外れてしまう等の不都合が生じるのを防止できる自律走行システムを提供する点にある。
本発明の第1特徴構成は、予め定められた基準点に設置されて前記基準点の位置情報と衛星測位情報に基づいて補正情報を送信する基準局と、
作業車両に搭載されて前記基準局から送信される前記補正情報と衛星測位情報に基づいて前記作業車両の位置情報を演算する移動局と、
前記移動局により演算された前記作業車両の位置情報を用いて予め定められた目標走行経路に沿って前記作業車両を自律走行させる自律走行制御部と、を備えて自律走行システムであって、
前記基準局の移動を検知する移動検知部を備え、
前記自律走行制御部は、前記移動検知部により前記基準局の移動が検知された場合に、前記作業車両の自律走行を停止させることを特徴とする点にある。
本構成によれば、移動検知部が基準局の移動を検知すると、自律走行制御部が作業車両の自律走行を停止させる。これにより、基準局が基準点から移動すると、作業車両の自律走行を停止させるという適切な措置を講じることができ、目標走行経路から作業車両が大きく外れてしまう等の不都合が生じるのを防止できる。
本発明の第2特徴構成は、前記基準局は、前記移動検知部により前記基準局の移動が検知された場合に前記補正情報の送信を停止させる送信停止部を有し、
前記自律走行制御部は、前記移動局が前記基準局から前記補正情報を取得できないことに基づいて前記作業車両の自律走行を停止させることを特徴とする点にある。
本構成によれば、移動検知部が基準局の移動を検知すると、送信停止部が補正情報の送信を停止し、自律走行制御部が補正情報を取得できないことにより作業車両の自律走行を停止させる。これにより、送信停止部により補正情報の送信を停止させるという簡易な構成を採用するだけで、基準局の移動に対する適切な措置を講じることができる。
本発明の第3特徴構成は、前記送信停止部は、前記基準局に対して復帰操作がされるまで前記補正情報の送信を停止させ、前記復帰操作がされた後、衛星測位情報に基づいて特定される前記基準局の現在位置と前記基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値内であれば、前記補正情報の送信を停止しないことを特徴とする点にある。
本構成によれば、送信停止部は、基準局に対して復帰操作がされるまで補正情報の送信を停止させるので、復帰操作がされるまでは作業車両の自律走行を停止させた状態に維持できる。よって、目標走行経路から作業車両が大きく外れてしまう等の不都合が生じるのを確実に防止できる。
そして、基準局の移動を検知しても、例えば、僅かに移動しただけであれば、そのまま基準局から補正情報を送信しても、作業車両の現在位置情報を適切に取得することができる。そこで、送信停止部は、復帰操作がされた後、基準局の現在位置と基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値内であれば、基準局が僅かに移動しただけであるとして、補正情報の送信を停止せずに、基準局から補正情報が送信される。よって、作業車両の現在位置情報を適切に取得できることを確認した上で、作業車両の自律走行を再開することができる。
本発明の第4特徴構成は、前記基準局は、前記基準局に対する復帰操作がされた後、衛星測位情報に基づいて特定される前記基準局の現在位置と前記基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値外である場合に、前記基準局の現在位置を新たな基準点として設定する基準点設定部を備え、
前記送信停止部は、前記基準点設定部により前記基準局の現在位置が新たな基準点として設定されると、前記補正情報の送信を停止しないことを特徴とする点にある。
例えば、基準局が予め定められた元々の基準点から大きく移動していると、その基準点の位置情報を含む補正情報を基準局から送信しても、作業車両の現在位置情報を適切に取得することができない。そこで、基準点設定部は、復帰操作がされた後、基準局の現在位置と基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値外である場合に、基準局が予め定められた元々の基準点から大きく移動しているとして、基準局の現在位置を新たな基準点として設定する。送信停止部は、基準点設定部により新たな基準点が設定されると、補正情報の送信を停止せず、基準局では、新たに設定された基準点の位置情報を含む補正情報を送信することができる。よって、基準局が予め定められた元々の基準点から大きく移動していた場合でも、その後、作業車両の現在位置情報を適切に取得することができ、作業車両の自律走行を適切に再開することができる。
本発明の第5特徴構成は、無線通信ネットワークを介して前記自律走行制御部に前記作業車両の自律走行を指示可能な無線通信端末を備え、
前記無線通信端末は、前記移動検知部により前記基準局の移動が検知された場合に、前記基準局が移動されたことを示唆する所定の報知を行うことを特徴とする点にある。
本構成によれば、無線通信端末は、移動検知部により基準局の移動が検知されると、その基準局の移動を示唆する所定の報知を行うので、作業者等が基準局の移動を容易に認識することができ、例えば、基準局に対する復帰操作等、基準局の移動に対する対処を適切に且つスムーズに行うことができる。
トラクタの全体側面図 トラクタ、基準局、及び、無線通信端末の制御ブロック図 基準局の移動を検知した場合のトラクタ、基準局、及び、無線通信端末における動作を示すタイムチャート
本発明に係る自律走行システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
この自律走行システムは、目標走行経路を生成し、その生成された目標走行経路に沿って作業車両としてのトラクタ1を自律走行可能に構成されている。
まず、図1に基づいてトラクタ1について説明する。
このトラクタ1は、後方側に作業機50を装着可能な車体部2を備え、車体部2の前部が左右一対の前輪3で支持され、車体部2の後部が左右一対の後輪4で支持されている。車体部2の前部にはボンネット5が配置され、そのボンネット5内に駆動源としてのエンジン6が収容されている。ボンネット5の後方側には、運転者が搭乗するためのキャビン7が備えられ、そのキャビン7内には、運転者が操向操作するためのステアリングハンドル8、運転者の運転座席9等が備えられている。
エンジン6は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成してもよい。また、駆動源としてエンジン6に加えて、或いはエンジン6に代えて、電気モータを採用してもよい。
また、本実施形態では作業車両としてトラクタ1を例に説明するが、作業車両としては、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等、乗用型作業車両に加え、歩行型作業車両も含まれる。
車体部2の後方側には、左右一対のロアリンク10とアッパリンク11とからなる3点リンク機構が備えられ、その3点リンク機構に作業機50が装着可能に構成されている。車体部2の後方側には、図示は省略するが、昇降シリンダ等の油圧装置を有する昇降装置が備えられ、この昇降装置が、3点リンク機構を昇降させることで、作業機50を昇降させている。
ここで、作業機50について、図1では、耕耘装置を装着した場合を例示しているが、耕耘装置に限らず、プラウ、施肥装置等、各種の作業機を適用することができる。
トラクタ1には、図2に示すように、エンジン6の回転速度を調整可能なガバナ装置21、エンジン6からの回転駆動力を変速して駆動輪に伝達する変速装置22、ガバナ装置21および変速装置22を制御可能な制御部23等が備えられている。変速装置22は、例えば、油圧式無段変速装置からなる主変速装置とギヤ式多段変速装置からなる副変速装置とを組み合わせて構成されている。
このトラクタ1は、運転者がキャビン7内に搭乗して走行できるだけでなく、キャビン7内に運転者が搭乗しなくても、無線通信端末30からの指示等に基づいて、トラクタ1を自律走行可能に構成している。
トラクタ1は、図2に示すように、操舵装置24、測位用アンテナ25、無線通信用アンテナ26等を備えており、自己の現在位置情報(車体部2の位置情報)を取得しながら、自律走行可能に構成されている。
操舵装置24は、例えば、ステアリングハンドル8の回転軸の途中部に備えられ、ステアリングハンドル8の回転角度(操舵角)を調整可能に構成されている。制御部23が操舵装置24を制御することで、直進走行だけでなく、ステアリングハンドル8の回転角度を所望の回転角度に調整して、所望の旋回半径での旋回走行も行える。なお、操舵装置24はステアリングハンドル8の回転角度を調整するものでなくトラクタ1の前輪3の操舵角を調整するものであってよく、この場合、旋回走行を行ったとしてもステアリングハンドル8は回転しない。
測位用アンテナ25は、図1に示すように、例えば、衛星測位システム(GNSS)を構成する測位衛星63からの信号を受信するように構成されている。測位用アンテナ25は、キャビン7のルーフ13の上面に配置されている。
無線通信用アンテナ26は、無線通信端末30等との間で構築される無線通信ネットワークを介して各種の信号を送受信可能に構成されている。無線通信用アンテナ26は、キャビン7のルーフ13の上面に配置されている。無線通信用アンテナ26にて受信した信号は、図2に示すように、制御部23に入力可能であり、制御部23からの信号は、無線通信用アンテナ26にて無線通信端末30の無線通信装置31等に送信可能に構成されている。
ここで、衛星測位システムを用いた測位方法として、予め定められた基準点に設置された基準局60を備え、その基準局60からの補正情報によりトラクタ1(移動局)の衛星測位情報を補正して、トラクタ1の現在位置を求める測位方法を適用可能としている。例えば、DGPS(ディファレンシャルGPS測位)、RTK測位(リアルタイムキネマティック測位)等の各種の測位方法を適用することができる。
この実施形態では、例えば、RTK測位を適用しており、図1及び図2に示すように、移動局側となるトラクタ1に測位用アンテナ25を備えるのに加えて、基準局測位用アンテナ62を備えた基準局60が備えられている。基準局60は、例えば、圃場の周囲等、トラクタ1の走行の邪魔にならない位置(基準点)に配置されている。基準局60の設置位置となる基準点の位置情報は予め設定されている。基準局60には、トラクタ1の無線通信用アンテナ26や無線通信端末30の無線通信装置31により構築される無線通信ネットワークを介して各種の信号を送受信可能な基準局無線通信装置61が備えられ、基準局60とトラクタ1との間や基準局60と無線通信端末30との間で各種の情報が送受信可能に構成されている。
RTK測位では、基準点に設置された基準局60と、位置情報を求める対象の移動局側となるトラクタ1の測位用アンテナ25との両方で測位衛星63からの搬送波位相(衛星測位情報)を測定している。基準局60では、測位衛星63から衛星測位情報を測定する毎に又は設定周期が経過する毎に、測定した衛星測位情報と基準点の位置情報等を含む補正情報を生成して、基準局無線通信装置61からトラクタ1の無線通信用アンテナ26に補正情報を送信している。トラクタ1(移動局に相当する)の制御部23は、測位用アンテナ25にて測定した衛星測位情報を、基準局60から送信される補正情報を用いて補正して、トラクタ1の現在位置情報を求めている。制御部23は、トラクタ1の現在位置情報として、例えば、緯度情報・経度情報を求めている。
自律走行システムでは、トラクタ1及び基準局60に加えて、トラクタ1の制御部23にトラクタ1の自律走行を指示可能な無線通信端末30が備えられている。無線通信端末30は、例えば、タッチパネルを有するタブレット型のパーソナルコンピュータ等から構成され、各種情報をタッチパネルに表示可能であり、タッチパネルを操作することで、各種の情報も入力可能となっている。無線通信端末30には、無線通信装置31と、目標走行経路を生成する走行経路演算部32とが備えられている。
トラクタ1に備えられた制御部23は、無線通信用アンテナ26や無線通信装置31等による無線通信ネットワークを介して、無線通信端末30との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。無線通信端末30は、目標走行経路等、トラクタ1を自律走行させるための各種の情報をトラクタ1の制御部23に送信することで、トラクタ1の自律走行を指示可能に構成されている。トラクタ1の制御部23(自律走行制御部に相当する)は、走行経路演算部32にて生成された目標走行経路に沿ってトラクタ1が自律走行するように、測位用アンテナ25の受信信号から取得するトラクタ1の現在位置情報に基づいてガバナ装置21、変速装置22及び操舵装置24等を制御可能に構成されている。
また、自律走行制御部としての制御部23は、無線通信端末30からの停止指示に基づいてトラクタ1を停止制御することが可能であり、更に、所定条件が成立した場合には、無線通信端末30からの停止指示に基づかずにトラクタ1を停止制御することが可能である。所定条件としては、測位用アンテナ25と測位衛星63との通信が遮断された場合、無線通信用アンテナ26と無線通信端末30との無線通信装置31の通信が遮断された場合、無線通信用アンテナ26と基準局60の基準局無線通信装置61との通信が遮断された場合が挙げられる。所定条件としては他に、無線通信用アンテナ26と基準局60の基準局無線通信装置61との通信は遮断されていないものの、基準局無線通信装置61から補正情報が送信(出力)されなくなった場合、言い換えれば無線通信用アンテナ26が補正情報を受信(入力)しなくなった場合が含まれる。また、所定条件としては他に、目標走行経路に対してトラクタ1の現在位置が逸脱している場合(目標走行経路におけるトラクタ1の進行方向に垂直な方向に対するトラクタ1の横偏差が所定の閾値以上である場合)が挙げられる。
上記構成を基礎として本実施形態の自律走行システムにおける特徴的事項について説明する。
トラクタ1の制御部23が無線通信端末30からの指示によりトラクタ1の自律走行を行っている場合に、例えば、地震やその他の要因によって、基準局60が基準点から移動してしまうと、基準局60からトラクタ1(移動局)に送信される補正情報が誤った情報となる。よって、トラクタ1の現在位置情報を適切に取得できなくなり、目標走行経路からトラクタ1が大きく外れてしまう等の不都合が生じる可能性がある。そこで、基準局60が移動された場合の措置を講じており、以下、その措置について説明する。
図2に示すように、基準局60には、基準局60の移動を検知可能な移動検知部64と、基準局60からの補正情報の送信を停止可能な送信停止部65と、基準局60の現在位置を新たな基準点として設定可能な基準点設定部66とが備えられている。また、無線通信端末30には、基準局60が移動されたことを示唆する所定の報知を行う報知部33が備えられている。
基準局60には、例えば、衛星測位システムに用いられるセンサ等が備えられており、そのセンサ等により基準局60の移動速度を検知している。そこで、移動検知部64は、このセンサ等により検知する基準局60の移動速度に基づいて、その移動速度がゼロよりも大きいと、基準局60の移動を検知している。ちなみに、衛星測位システムに用いられるセンサ等に限らず、基準局60の移動を検知できるものであればよく、例えば、角速度センサやジャイロセンサ等を適用することも可能である。
上述の如く、基準局60の移動速度を検知する場合には、基準局60の移動速度をそのまま用いることで、基準局60の移動を検知することができる。これに代えて、移動速度を時間で積分することにより基準局60の位置変位を求めることができるので、移動検知部64は、基準局60の移動速度から基準局60の位置変位を求め、その求めた基準局60の位置変位に基づいて、基準局60の移動を検知することもできる。なお、基準局60の位置は予め設定されているため、当該初期位置と位置変位に基づいて現在の位置を特定することができ、初期位置と現在の位置とを比較することで基準局60の移動を検知することもできる。
また、上述のセンサ等とは別に、衛星測位システムを用いた単独測位により基準局60の位置情報を取得することができるので、移動検知部64は、単独測位により取得された基準局60の位置情報に基づいて、基準局60の移動を検知することができる。更に、単独測位に限らず、例えば、公共設置されている電子基準点等を用いて基準局60を移動局として、RTK測位により基準局60の位置情報を取得することもできるので、移動検知部64は、RTK測位により取得された基準局60の位置情報に基づいて、基準局60の移動を検知することができる。
図3に基づいて、移動検知部64により基準局60の移動が検知された場合に、基準局60、トラクタ1、無線通信端末30の夫々における動作について説明する。
まず、基準局60では、移動検知部64により基準局60の移動が検知されると、送信停止部65が、基準局60からトラクタ1(移動局)への補正情報の送信を停止する(ステップ#1、ステップ#2)。これにより、トラクタ1では、制御部23が、基準局60からの補正情報を受信不可となり、補正情報を取得できないことにより、トラクタ1の自律走行を停止させる(ステップ#11、ステップ#12)。よって、移動検知部64により基準局60の移動が検知された場合には、トラクタ1の自律走行が停止されることになり、目標走行経路からトラクタ1が大きく外れてしまう等の不都合が生じるのを防止できる。
トラクタ1の制御部23は、移動検知部64により基準局60の移動が検知されたことによりトラクタ1の自律走行を停止させたことを示す情報を無線通信端末30に送信する。無線通信端末30では、その情報を受信すると、報知部33により基準局60が移動されたことを示唆する所定の報知を行う(ステップ#21)。
基準局60では、基準局60の電力が一旦遮断されて、再度基準局60に電力が供給されるという復帰操作が行われると、基準局60が再起動して、衛星測位情報に基づいて基準局60の現在位置情報を取得する(ステップ#3)。この基準局60の現在位置情報の取得は、例えば、衛星測位情報に基づいて単独測位により、基準局60の現在位置情報を取得することができる。また、単独測位に限らず、例えば、公共設置されている電子基準点等を用いて、RTK測位により基準局60の現在位置情報を取得することもできる。
ここで、復帰操作は、基準局60の電力を一旦遮断して、再度基準局60に電力を供給するという操作だけでなく、その他の操作も適用することができる。例えば、基準局60にリセット機能が備えられている場合には、例えば、リセットボタンを操作する等、そのリセット機能を作動させるための操作を復帰操作とすることもできる。
送信停止部65は、衛星測位情報に基づいて取得した基準局60の現在位置と基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値内であれば、補正情報の送信を停止せずに、基準局60からトラクタ1に補正情報が送信される(ステップ#4のYesの場合、ステップ#7)。これにより、基準局60の移動を検知しても、基準局60が僅かに移動しただけの場合には、予め定められた元々の基準点の位置情報を含む補正情報が基準局60から送信される。
ちなみに、閾値については適宜設定することができる。上述したようにトラクタ1の制御部23は、測位用アンテナ25にて測定した衛星測位情報と、基準局60から送信される補正情報を用いてトラクタ1の現在位置情報を演算するが、演算して求めたトラクタ1の現在位置情報は、トラクタ1の実際の位置に対して自律走行を行うのに不都合が生じない許容範囲内の誤差が生じうる。従って、ステップ#4における位置誤差が当該許容範囲内である場合、自律走行を行うのに不都合が生じないため、閾値は当該許容範囲に基づいて定めることが可能である。
基準点設定部66は、衛星測位情報に基づいて取得した基準局60の現在位置と基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値外である場合に、基準局60の現在位置を新たな基準点として設定する(ステップ#5)。基準局60では、基準点設定部66にて新たに基準点が設定されると、基準局60の現在位置を新たな基準点として設定したことを示す基準点更新情報をトラクタ1に送信する(ステップ#6)。そして、基準局60では、その新たな基準点の位置情報と衛星測位情報とを含む補正情報をトラクタ1に送信する(ステップ#7)。これにより、基準局60が予め定められた元々の基準点から大きく移動している場合には、基準局60の現在位置を新たな基準点として設定して、基準点更新情報を送信するとともに、新たな基準点の位置情報を含む補正情報を基準局60から送信することができる。
トラクタ1では、制御部23が、ステップ#12においてトラクタ1の自律走行を停止した後、ユーザにより所定の初期化作業が行われたかを判定する(ステップ#13)。所定の初期化作業は、例えば昇降装置の初期化作業(昇降装置の駆動のON/OFFを切り換えるスイッチを操作すること)により行われる。ステップ#13において所定の初期化作業が行われると(ステップ#13のYESの場合)、制御部23は、自律走行開始条件が成立したか否かを判定する(ステップ#14)。ステップ#13における所定の初期化作業は自律走行開始条件の一つであり、自律走行開始条件としては、例えば、トラクタ1の現在位置が自律走行の停止時に定められる自律走行再開位置であることや、予定走行経路に対するトラクタ1の方位が適切な方位であることが含まれる。そして自律走行開始条件が成立していれば自律走行待機状態となり(ステップ#15)、制御部23は無線通信端末30から自律走行を指示されることによってトラクタ1を自律走行させる。
トラクタ1の制御部23は、基準局60から基準点更新情報を取得した場合、当該基準点更新情報を無線通信端末30に送信する。無線通信端末30では、その情報を受信すると、基準局60の基準点が更新されたこと(新たな位置に設定されたこと)を示す所定の報知を停止する(ステップ#22)。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、移動検知部64にて基準局60の移動を検知すると、送信停止部65が補正情報の送信を停止することで、トラクタ1の自律走行を停止している。これに代えて、例えば、移動検知部64にて基準局60の移動を検知すると、基準局60が、移動検知部64にて基準局60の移動を検知したことを示すエラーステータス情報を、無線通信ネットワークを介してトラクタ1(移動局側)に送信し、トラクタ1の制御部23が、そのエラーステータス情報を受信することで、トラクタ1の自律走行を停止させることもできる。
この場合には、トラクタ1の制御部23が、移動検知部64にて基準局60の移動を検知したことを示すエラー情報を、無線通信ネットワークを介してトラクタ1から無線通信端末30に送信する。また、トラクタ1の制御部23は、移動検知部64にて基準局60の移動を検知したことを示すエラー情報を、無線通信ネットワークやその他のネットワーク回線を介して外部の管理装置等に送信することもできる。このときには、外部の管理装置からそのエラー情報を無線通信端末30に送信することができる。このように、基準局60からのエラーステータス情報に基づいてトラクタ1の自律走行を停止させる場合でも、無線通信端末30にエラー情報が送信されるので、上記実施形態と同様に、無線通信端末30では、報知部33により基準局60が移動されたことを示唆する所定の報知を行うことができる。
(2)上記実施形態では、移動検知部64にて基準局60の移動を検知したト場合に、トラクタ1の制御部23が、基準局60からの補正情報を受信不可となり、補正情報を取得できないことにより、トラクタ1の自律走行を停止させているが、例えば、基準局60からの補正情報が一度受信不可となることで、トラクタ1の自律走行を停止させたり、基準局60からの補正情報が設定回数以上継続して受信不可となることで、トラクタ1の自律走行を停止させることもできる。
また、トラクタ1の制御部23が、基準局60からの補正情報を受信不可となることで、直ぐにトラクタ1の自律走行を停止させるのではなく、例えば、自己が取得する測位衛星情報だけからトラクタ1の現在位置を求め、その求めた現在位置に応じて目標走行経路に沿ってトラクタ1の自律走行を一旦継続させておき、その後、最終的にトラクタ1の自律走行を停止させるようにしてもよい。
この場合には、トラクタ1の制御部23は、基準局60からの補正情報を受信できないので、自己が取得する測位衛星情報だけからトラクタ1の現在位置を求めることになるが、求めたトラクタ1の現在位置は実際のトラクタ1の現在位置に対して位置ズレが生じている。そして、基準局60からの補正情報が受信できない状態が継続されるので、位置ズレ量が次第に大きくなり、トラクタ1の位置が目標走行経路上から設定距離以上離れてしまう。そこで、トラクタ1の制御部23は、トラクタ1の位置が目標走行経路上から設定距離以上離れていることで、最終的に、トラクタ1の自律走行を停止させることができる。
(3)上記実施形態において、基準点設定部66は、ステップ#5において、衛星測位情報に基づいて取得した基準局60の現在位置と基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値外である場合に、基準局60の現在位置を新たな基準点として設定することとしたが、基準局60の現在位置を新たな基準点として設定する前に、基準点更新要求情報を、無線通信用アンテナ26を介して無線通信装置31に送信する又は無線通信装置31に直接送信することとしてもよい。この場合、基準点更新要求情報を取得した無線通信端末30は例えばタッチパネルに、基準点の従来の位置座標(基準局60の移動が検知される前の位置座標)と、基準局60の新たな位置座標を表示し、その変更を許可するか否かを選択させる選択画面を表示する。作業者等が基準点の変更許可を選択した場合、基準点更新許可情報を、無線通信用アンテナ26を介して基準局無線通信装置61に送信し又は基準局無線通信装置61に直接送信し、基準局60は、当該基準点更新許可情報に基づいて基準局60の現在位置を新たな基準点として設定する。なお、作業者等が基準点の変更不許可を選択した場合、基準点の設定を作業者等に行わせる基準点設定画面を表示し、作業者等により基準点の設定が行われた場合、基準点指定情報を無線通信用アンテナ26を介して基準局無線通信装置61に送信し又は基準局無線通信装置61に直接送信し、基準局60は、当該基準点更新許可情報に基づいて作業者等が指定した位置を新たな基準点として設定する。
(4)上記実施形態では、トラクタ1の自律走行を指示可能な無線通信端末30を備えているが、例えば、走行経路演算部32等、無線通信端末30の少なくとも一部の機能をトラクタ1の制御部23に備えたり、外部の制御装置等に備えることも可能である。
1 トラクタ(作業車両)
23 制御部(自律走行制御部)
30 無線通信端末
60 基準局
64 移動検知部
65 送信停止部
66 基準点設定部

Claims (5)

  1. 予め定められた基準点に設置されて前記基準点の位置情報と衛星測位情報に基づいて補正情報を送信する基準局と、
    作業車両に搭載されて前記基準局から送信される前記補正情報と衛星測位情報に基づいて前記作業車両の位置情報を演算する移動局と、
    前記移動局により演算された前記作業車両の位置情報を用いて予め定められた目標走行経路に沿って前記作業車両を自律走行させる自律走行制御部と、を備えて自律走行システムであって、
    前記基準局の移動を検知する移動検知部を備え、
    前記自律走行制御部は、前記移動検知部により前記基準局の移動が検知された場合に、前記作業車両の自律走行を停止させることを特徴とする自律走行システム。
  2. 前記基準局は、前記移動検知部により前記基準局の移動が検知された場合に前記補正情報の送信を停止させる送信停止部を有し、
    前記自律走行制御部は、前記移動局が前記基準局から前記補正情報を取得できないことに基づいて前記作業車両の自律走行を停止させることを特徴とする請求項1に記載の自律走行システム。
  3. 前記送信停止部は、前記基準局に対して復帰操作がされるまで前記補正情報の送信を停止させ、前記復帰操作がされた後、衛星測位情報に基づいて特定される前記基準局の現在位置と前記基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値内であれば、前記補正情報の送信を停止しないことを特徴とする請求項2に記載の自律走行システム。
  4. 前記基準局は、前記基準局に対する復帰操作がされた後、衛星測位情報に基づいて特定される前記基準局の現在位置と前記基準点の位置とを比較してその位置誤差が所定の閾値外である場合に、前記基準局の現在位置を新たな基準点として設定する基準点設定部を備え、
    前記送信停止部は、前記基準点設定部により前記基準局の現在位置が新たな基準点として設定されると、前記補正情報の送信を停止しないことを特徴とする請求項2又は3に記載の自律走行システム。
  5. 無線通信ネットワークを介して前記自律走行制御部に前記作業車両の自律走行を指示可能な無線通信端末を備え、
    前記無線通信端末は、前記移動検知部により前記基準局の移動が検知された場合に、前記基準局が移動されたことを示唆する所定の報知を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の自律走行システム。
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