JP2004144622A - 斜面監視システム - Google Patents
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Abstract
【課題】斜面の状態を、GPS受信機を用いて計測する際、GPS基準局の設置状態(変位)に関わりなく、常に精度よく斜面の状態を計測・監視することができるようにする。
【解決手段】GPS受信機11aは、斜面外の位置に配置され、GPS受信機11b及び11cは斜面内の位置に配置される。監視センター12は、例えば、GPS受信機11aに最も近い位置に配置された電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じてGPS受信機11aの位置を示す基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得る。そして、監視センターは、GPS受信機11aの設置位置がずれたと判定すると、補正基準点位置情報とGPS受信機11b及び11cの位置を示す位置情報とに基づいて斜面の変位を求めて斜面変位データとする。
【選択図】 図1
【解決手段】GPS受信機11aは、斜面外の位置に配置され、GPS受信機11b及び11cは斜面内の位置に配置される。監視センター12は、例えば、GPS受信機11aに最も近い位置に配置された電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じてGPS受信機11aの位置を示す基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得る。そして、監視センターは、GPS受信機11aの設置位置がずれたと判定すると、補正基準点位置情報とGPS受信機11b及び11cの位置を示す位置情報とに基づいて斜面の変位を求めて斜面変位データとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面等の斜面の状態をGPS観測値に基づいて監視するための斜面監視システムに関し、特に、GPS基準局の変位(ずれ)を考慮して斜面の状態を監視することのできる斜面監視システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、法面等の斜面、特に、不安定要素がある大規模な斜面では崩落の危険が常に付きまとう関係上、斜面を適切に維持管理する必要があり、斜面の維持管理においては、各種の保護工及び対策工が施されている。しかしながら、斜面を維持管理する際において、地山の風化、植生の遷移、及び保護工や対策工の老朽化等の要因がどのように斜面崩落にかかわっているか未だに不明な点が多い。このため、斜面の状態を常に監視して、事前に斜面崩落を予測することが行われている。
【0003】
ところで、従来、GPSを用いて測量を行う手法が知られており(以下GPS測量と呼ぶ)、このようなGPS測量では、例えば、対象測量地域外に絶対位置が特定された第1の基準局(第1のGPS基準局)を設けるとともに、対象測量地域内に移動可能な第2のGPS基準局を設けている。
【0004】
そして、第1及び第2のGPS基準局との間で、第1の相対的位置を測定し、第2のGPS基準局と被測定地点に置かれたGPS移動局との間で、第2の相対的位置を測定して、第1のGPS基準局の絶対位置に第1及び第2の相対的位置を加算して、GPS移動局の位置を測量するようにしている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−61509号公報(段落(0012)〜(0024)、第1図)
【0006】
一方、斜面の状態を、GPS等を用いてリアルタイムで計測して、その時系列計測データから斜面の状態を知ろうとする際には、微小な変位をも検出する必要がある関係上、時系列計測データ自体の評価が極めて難しく、しかも天候等の外的要因によって時系列データがばらつくことを考慮すると、専門的な知識を有しなければ、時系列データを適切に評価することは困難である。
【0007】
加えて、斜面の状態を、GPS等を用いてリアルタイムで計測する際には、前述のように微小な斜面変位をも検出する必要があるため、基準点であるGPS基準局が変位しないように、GPS基準局を設置する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現実的には、GPS基準局の位置が全く変位しない地点にGPS基準局を設置することは困難であり、GPS基準局が僅かにでもその位置が変動すると、結果的に斜面の微小な変位を精度よく計測することができなくなってしまうという課題がある。
【0009】
さらに、GPS衛星からの電波は季節的要因及び気象状況等によって変動するから、GPS基準局における受信状態(GPS電波受信状態)は常に変動することになる。そして、GPS基準局における受信状態が変動すると、結果的にリアルタイムで精度よく斜面の変位を計測することが難しくなってしまうという課題がある。
【0010】
本発明の目的は、斜面の状態を、GPS受信機を用いて計測する際、GPS基準局の設置状態(変位)を考慮して、斜面の状態を計測・監視することのできる斜面監視システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、斜面の状態を監視する際に用いられ、
前記斜面外の位置に配置され、GPS衛星からの電波を受けて該電波を基準GPSデータとして出力するGPS基準局と、前記斜面内の位置に配置され、前記GPS衛星からの電波を受けて該電波をGPSデータとして出力する少なくとも一つのGPS局と、少なくとも一つの電子基準点を用いて当該電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じて、前記基準GPSデータによって求められる前記GPS基準局の位置を示す基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得る補正手段と、前記補正基準点位置情報及び前記基準点位置情報のいずれか一方と前記GPSデータによって求められる前記GPS局の位置を示す位置情報とに基づいて、前記斜面の変位を求めて斜面変位データとする斜面変位データ算出手段とを有することを特徴とする斜面監視システムが得られる。
【0012】
このようにして、少なくとも一つの電子基準点を用いて当該電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じて、GPS基準局の基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得て、補正基準点位置情報と位置情報とに基づいて斜面の変位を求めて斜面変位データとするようにすれば、GPS基準局の設置位置が多少ずれても、GPS基準局の設置位置が電子基準点データで補正される結果、精度よく斜面変位を計測することができることになる。このような電子基準点は、国土地理院で設置・管理されており、この電子基準点は、全国各地に配置されている。
【0013】
本発明では、前記補正手段は、前記電子基準点データに基づいて前記GPS基準局の設置位置がずれたと判定すると、前記電子基準点データに応じて前記基準点位置情報を補正して前記補正基準点位置情報を求めるようにしており、例えば、前記補正手段には、前記電子基準点と前記GPS基準局との距離が予め基準距離として設定されており、前記補正手段は前記基準点位置情報と前記電子基準点データとに応じて得られた距離を算出距離として、前記基準距離と前記算出距離との偏差が予め規定された第1の閾値を越えると、前記GPS基準局の設置位置がずれたと判定する。さらに、前記補正手段は、前記偏差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を越えると、前記GPS基準局を移設すべきである旨を示す移設報知を行うようにしてもよい。
【0014】
このように、電子基準点データに基づいてGPS基準局の設置位置がずれたと判定すると、初めて電子基準点データに応じて基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を求めるようにすれば、常に、補正基準点位置データを求める必要がなく、演算量を減少できることになる。
【0015】
なお、前記GPS基準局及び前記GPS局は、例えば、ネットワークによって前記補正手段に接続されている。このように、GPS基準局及びGPS局をネットワークによって補正手段(監視センター)に接続するようにすれば、複数の斜面について一括して監視センターで監視でき、しかも、監視センターで各基準点位置情報を補正することができることになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、その形状及び寸法等は特に限定的な記載がない限りは、これに限定するものではない。
【0017】
図1を参照して、まず、図示の斜面監視システムは、複数の斜面監視装置11−1〜11−N(Nは2以上の整数)を備えており、これら斜面監視装置11−1〜11−Nは、例えば、監視センター12に、光ケーブル通信回線等の有線通信回線13を介して接続されている。斜面監視装置11−1〜11−Nは互いに異なる斜面に配置され、それぞれ斜面の状態をリアルタイムで監視計測して時系列計測データを監視センター12に送る。ここでは、斜面監視装置11−1〜11−Nが送出する時系列計測データを、それぞれ第1〜第Nの時系列計測データと呼ぶことにする。
【0018】
監視センター12には、コンピュータシステム12a、表示装置等の出力装置(モニター)12b、入力装置12c、及びデータベース12dが備えられており、後述するようにして、監視センター12では、コンピュータシステム12aによって、各斜面監視装置11−1〜11−Nから得られた第1〜第Nの時系列計測データに応じて斜面毎に後述するようにして斜面変位データを生成する。なお、監視センター12は、斜面監視装置11−1〜11−Nから離れた地点に配置されており、遠隔的に時系列計測データを収集する。
【0019】
斜面監視装置(GPS計測手段)11−n(nは1からNまでのいずれかの数)は、少なくとも2つのGPS(Global Positioning System)受信機(計測装置)を有しており、図示の例では、3つのGPS受信機11a〜11cを有している。この内の一つ、例えば、GPS受信機11aは基準点受信機(GPS基準局)として、斜面以外の地点に配置されている。つまり、基準点受信機11aは斜面から離れて安定した地面に配置されている。そして、所謂スタティック測位によって、後述するようにして、基準点受信機と他のGPS受信機(斜面に配置されたGPS受信機)との相対的位置の変位が計測される。
【0020】
一方、他のGPS受信機11b及び11cは斜面上に配置されている(斜面上には少なくとも一つのGPS受信機が配置される)。そして、GPS受信機11a〜11cはGPS衛星からの電波(GPS電波)を受信してリアルタイムにGPSデータを時系列計測データとして出力する。これらGPS受信機11a〜11cは、通信装置として用いられる通信集約機11d又は無線集約機11eに接続されており、通信集約機11dは有線通信回線13に接続されている。そして、通信集約機11dは各時系列計測データを、有線通信回線13を介して監視センター12に送る。
【0021】
無線集約機11eは各時系列計測データを、無線回線を介して無線中継機16に送る。図1には無線中継機16が一つ示されているが、実際には複数の無線中継機16が配置されており、無線中継機16毎に通信エリアが規定され、無線中継機16は自己の通信エリア内に位置する無線集約機11eから時系列計測データを受けることになる。無線中継機16は前述の有線通信回線13に接続されており、無線中継機16から監視センター12に斜面毎の時系列データが送られることになる。なお、各時系列データにはGPS受信機を識別するための情報(GPS受信機識別情報)が付加されている。
【0022】
監視センター12はインターネット21に接続されており、インターネット21を介して、例えば、国土地理院が管理する電子基準点の位置を表す位置データ(以下電子基準点データと呼ぶ)を取得している。この電子基準点は、全国各地に配置されており、監視センター12では、コンピュータシステム12aがこれら電子基準点データを取り込み、データベース12dに蓄積することになる。そして、後述するようにして、コンピュータシステム12aでは、電子基準点データを用いてGPS基準局から送られる時系列データ(基準局時系列データ(基準位置情報)を補正することになる。
【0023】
前述のようにして得られた時系列計測データ(GPSデータ)は、各GPS受信機の位置情報を、時間を追って3次元的に表しており、いま、基準点受信機(GPS基準局)11aの位置情報を基準点位置情報とすると、この基準点位置情報と他のGPS受信機から得られた位置情報(以下他の位置情報と呼ぶ)とに基づいて斜面の変位を時系列的にしかも3次元的に得ることができる。
【0024】
図2も参照して、監視センター12(つまり、コンピュータシステム12a)では、前述のようにして得られた時系列計測データ(基準点位置情報及び他の位置情報)に基づいて、斜面の変位データ(斜面変位データ)を得る。いま、GPS受信機11a〜11cによって予め定められた時間間隔でその位置計測を行っているものとし、各GPS受信機11a〜11cからは、それぞれ基準点位置情報及び他の位置情報が、前述のようにして、コンピュータシステム11aに与えられる(ステップS1)。
【0025】
一方、コンピュータシステム12aでは、電子基準点データを取り込んでおり(ステップS2)、コンピュータシステム12aでは、GPS受信機11aが設置された位置に最も近い電子基準点の電子基準データを複数の電子基準点データから検索して(ステップS3)、この検索電子基準点データを参照電子基準点データとする。なお、電子基準点データを用いる際には、必ずしも、GPS受信機11aが設置された位置に最も近い電子基準点データを用いる必要はなく、複数の電子基準点データを用いて、後述するようにして、各電子基準点とGPS受信機11aとの距離を求めて、これら距離を平均して算出距離とするようにしてもよい。
【0026】
コンピュータシステム12aには、GPS受信機11aとGPS受信機11aが設置された位置に最も近い電子基準点との距離が基準距離として予め設定されている。コンピュータシステム12aでは、基準点位置情報と参照電子基準点データとに基づいてGPS受信機11aが設置された位置と電子基準点の位置(最も近い電子基準点)との距離を求めて算出距離とする(ステップS4)。
【0027】
そして、コンピュータシステム12aは、この算出距離と基準距離とを比較して、その比較結果に応じてGPS受信機11a、つまり、GPS基準局の位置がずれたか否かを判定する。例えば、コンピュータシステム12aは、絶対値(算出距離−基準距離)=偏差を求めて(ステップS5)、この偏差が予め規定された第1の閾値を越えると(ステップS6)、GPS基準局がずれたと判定することになる(ステップS7)。なお、上記の閾値は、斜面の変位データの精度を考慮して決定される。
【0028】
上述のようにして、GPS基準局がずれたと判定されると、コンピュータシステム12aは、上述の偏差に基づいて基準点位置情報を補正して、補正基準点位置情報を得る(ステップS8)。
【0029】
このようにして、電子基準点データを用いて、GPS基準局の位置がずれたか否かを判定した後、基準点位置情報又は補正基準点位置情報(以下基準点位置情報又は補正基準点位置情報を単に基準点位置情報と呼ぶことにする)と他の位置情報とを用いて、コンピュータシステム12aでは、予め定められた時間間隔毎に斜面変位データを求める(ステップS9)。この斜面変位データは横軸を時間、縦軸を変位として示され、モニター12b上に表示されるとともにデータベース12dに斜面毎に格納される。斜面変位データは、例えば、図3(a)〜(c)に示すように、南北方向、東西方向、及び鉛直方向の変位点列として表される(図3(a)は、南北方向、図3(b)は東西方向、図3(c)は鉛直方向の変位点列を示す)。
【0030】
ところで、上述の斜面変位データは、各種外的要因(例えば、GPS衛星の状態、電離層及び対流圏の影響、マルチパス、及び基線長さ)によってバラツキ(帯状にばらつく)を含んでおり、このような斜面変位データから斜面の状態を正確に把握・評価することは難しい。そこで、監視センター12(つまり、コンピュータシステム12a)では、斜面変位データに対してフィルタ処理及び平滑化処理を行って、処理済み変位データを生成する(ステップS10)。
【0031】
ここで、フィルタ処理及び平滑化処理について説明すると、ここでは、カルマンフィルタのアルゴリズムによって、状態ベクトルxnを推定する方法で、システムノイズの分散τ2及び観測ノイズの分散σ2、そして、次数kを推定して、xnを離散的に求めて、対数尤度及びAICを用いて最適なxnを推定する。
【0032】
つまり、状態空間モデルを、xn=Fnxn−1+Gnνn,yn=Hnxn+wnとする。ここで、xn:直接観測できない状態ベクトル(確率システムモデル)、νn:システムノイズ(平均0,分散共分散行列Qn)、yn:観測データ(観測モデル)、wn:観測ノイズ(平均0,分散共分散行列Rn)であり、Fn,Gn,Hnはそれぞれガウス・マルコフ過程で定義された推移行列である。そして、この状態空間モデルを、確率差分方程式とする。Hnxn=tnとすると、yn=tn+wn(観測モデル),Δktn=νn(k=1の場合、Δtn=tn−tn−1=νn,Δktnはk階の差分方程式)となる。
【0033】
そして、カルマンフィルタによって、一期先予測(第1のステップ)、フィルタ(第2のステップ)、平滑化(第3のステップ)を一連の流れとして計算して、観測値yn={y1,y2,…,yn}が与えられた下の状態xn={x1,x2,…,xn}を求める。
【0034】
このようにして、フィルタ処理及び平滑化処理を行った後、この処理済み変位データは前述の変位データとともにデータベース12dに格納されるとともに、モニター12b上に表示される。この処理済み変位データは、図3(a)〜(c)において、実線で示す線分として表されることになる。そして、処理済み変位データを得た後、処理済み変位データが斜面の変位を示していると、つまり、斜面変位ありと判定すると(ステップS11)、監視センター12は、当該斜面の診断・予知を実行する(ステップS12)。つまり、監視センター12では、処理済み変位データが斜面の変位を示していると、当該斜面について処理済み変位データから斜面変位の危険度を評価する。
【0035】
また、図示はしないが、コンピュータシステム12aでは、上述した偏差が第1の閾値を越えたと判定した後、さらに、この第1の閾値よりも大きい第2の閾値を越えたか否かを判定して、偏差が第2の閾値を越えると、GPS基準局を移設する必要があることを示す移設報知を行う。
【0036】
ところで、GPS基準局では、複数のGPS衛星から電波を受けることになるが、そのうち少なくとも3つのGPS衛星を用いれば、GPS基準局の位置を計測することができる。図示の例では、GPS受信機11aは、受信状態を計測するための受信状態計測部111(図1参照)を有しており、この受信状態計測部111で計測された受信状態に応じて、複数のGPS衛星の内の少なくとも4つを選択するようにしている。
【0037】
例えば、受信状態計測部111では各GPS衛星から受信するGPS電波の電界強度を計測して、電界強度が最も高いGPS衛星から順に4つのGPS衛星を選択することになる。このようにして、電界強度に応じて複数のGPS衛星のうちから4つのGPS衛星を選択するようにすれば、常に良好な受信状態となって、精度よく位置計測を行うことができる。なお、GPS受信機11b及び11cにも、受信状態計測部を備えるようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、GPS基準局に最も近い位置に配置された電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じて、GPS基準局の基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得て、補正基準点位置情報と位置情報とに基づいて斜面の変位を求めて斜面変位データとするようにしたから、GPS基準局の設置位置が多少ずれても、GPS基準局の設置位置が電子基準点データで補正される結果、精度よく斜面変位を計測することができるという効果がある。
【0039】
本発明では、電子基準点データに基づいてGPS基準局の設置位置がずれたと判定すると、初めて電子基準点データに応じて基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を求めるようにしたから、常に、補正基準点位置データを求める必要がなく、演算量を減少できるという効果がある。
【0040】
本発明では、GPS基準局及びGPS局をネットワークによって監視センターに接続するようにしたから、複数の斜面について一括して監視センターで監視でき、しかも、監視センターで各基準点位置情報を補正することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による斜面監視システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す斜面監視システムにおける処理を説明するためのフロー図である。
【図3】図1に示す斜面監視システムで得られる観測データ及び処理済み変位データを示す図であり、(a)は南北方向を示す図、(b)は東西方向を示す図、(c)は鉛直方向を示す図である。
【符号の説明】
11−1〜11−N 斜面監視装置
11a〜11c GPS受信機
11d 通信集約機
11e 無線集約機
12 監視センター
12a コンピュータシステム
13 有線通信回線
16 無線中継機
21 インターネット
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面等の斜面の状態をGPS観測値に基づいて監視するための斜面監視システムに関し、特に、GPS基準局の変位(ずれ)を考慮して斜面の状態を監視することのできる斜面監視システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、法面等の斜面、特に、不安定要素がある大規模な斜面では崩落の危険が常に付きまとう関係上、斜面を適切に維持管理する必要があり、斜面の維持管理においては、各種の保護工及び対策工が施されている。しかしながら、斜面を維持管理する際において、地山の風化、植生の遷移、及び保護工や対策工の老朽化等の要因がどのように斜面崩落にかかわっているか未だに不明な点が多い。このため、斜面の状態を常に監視して、事前に斜面崩落を予測することが行われている。
【0003】
ところで、従来、GPSを用いて測量を行う手法が知られており(以下GPS測量と呼ぶ)、このようなGPS測量では、例えば、対象測量地域外に絶対位置が特定された第1の基準局(第1のGPS基準局)を設けるとともに、対象測量地域内に移動可能な第2のGPS基準局を設けている。
【0004】
そして、第1及び第2のGPS基準局との間で、第1の相対的位置を測定し、第2のGPS基準局と被測定地点に置かれたGPS移動局との間で、第2の相対的位置を測定して、第1のGPS基準局の絶対位置に第1及び第2の相対的位置を加算して、GPS移動局の位置を測量するようにしている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−61509号公報(段落(0012)〜(0024)、第1図)
【0006】
一方、斜面の状態を、GPS等を用いてリアルタイムで計測して、その時系列計測データから斜面の状態を知ろうとする際には、微小な変位をも検出する必要がある関係上、時系列計測データ自体の評価が極めて難しく、しかも天候等の外的要因によって時系列データがばらつくことを考慮すると、専門的な知識を有しなければ、時系列データを適切に評価することは困難である。
【0007】
加えて、斜面の状態を、GPS等を用いてリアルタイムで計測する際には、前述のように微小な斜面変位をも検出する必要があるため、基準点であるGPS基準局が変位しないように、GPS基準局を設置する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現実的には、GPS基準局の位置が全く変位しない地点にGPS基準局を設置することは困難であり、GPS基準局が僅かにでもその位置が変動すると、結果的に斜面の微小な変位を精度よく計測することができなくなってしまうという課題がある。
【0009】
さらに、GPS衛星からの電波は季節的要因及び気象状況等によって変動するから、GPS基準局における受信状態(GPS電波受信状態)は常に変動することになる。そして、GPS基準局における受信状態が変動すると、結果的にリアルタイムで精度よく斜面の変位を計測することが難しくなってしまうという課題がある。
【0010】
本発明の目的は、斜面の状態を、GPS受信機を用いて計測する際、GPS基準局の設置状態(変位)を考慮して、斜面の状態を計測・監視することのできる斜面監視システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、斜面の状態を監視する際に用いられ、
前記斜面外の位置に配置され、GPS衛星からの電波を受けて該電波を基準GPSデータとして出力するGPS基準局と、前記斜面内の位置に配置され、前記GPS衛星からの電波を受けて該電波をGPSデータとして出力する少なくとも一つのGPS局と、少なくとも一つの電子基準点を用いて当該電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じて、前記基準GPSデータによって求められる前記GPS基準局の位置を示す基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得る補正手段と、前記補正基準点位置情報及び前記基準点位置情報のいずれか一方と前記GPSデータによって求められる前記GPS局の位置を示す位置情報とに基づいて、前記斜面の変位を求めて斜面変位データとする斜面変位データ算出手段とを有することを特徴とする斜面監視システムが得られる。
【0012】
このようにして、少なくとも一つの電子基準点を用いて当該電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じて、GPS基準局の基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得て、補正基準点位置情報と位置情報とに基づいて斜面の変位を求めて斜面変位データとするようにすれば、GPS基準局の設置位置が多少ずれても、GPS基準局の設置位置が電子基準点データで補正される結果、精度よく斜面変位を計測することができることになる。このような電子基準点は、国土地理院で設置・管理されており、この電子基準点は、全国各地に配置されている。
【0013】
本発明では、前記補正手段は、前記電子基準点データに基づいて前記GPS基準局の設置位置がずれたと判定すると、前記電子基準点データに応じて前記基準点位置情報を補正して前記補正基準点位置情報を求めるようにしており、例えば、前記補正手段には、前記電子基準点と前記GPS基準局との距離が予め基準距離として設定されており、前記補正手段は前記基準点位置情報と前記電子基準点データとに応じて得られた距離を算出距離として、前記基準距離と前記算出距離との偏差が予め規定された第1の閾値を越えると、前記GPS基準局の設置位置がずれたと判定する。さらに、前記補正手段は、前記偏差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を越えると、前記GPS基準局を移設すべきである旨を示す移設報知を行うようにしてもよい。
【0014】
このように、電子基準点データに基づいてGPS基準局の設置位置がずれたと判定すると、初めて電子基準点データに応じて基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を求めるようにすれば、常に、補正基準点位置データを求める必要がなく、演算量を減少できることになる。
【0015】
なお、前記GPS基準局及び前記GPS局は、例えば、ネットワークによって前記補正手段に接続されている。このように、GPS基準局及びGPS局をネットワークによって補正手段(監視センター)に接続するようにすれば、複数の斜面について一括して監視センターで監視でき、しかも、監視センターで各基準点位置情報を補正することができることになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、その形状及び寸法等は特に限定的な記載がない限りは、これに限定するものではない。
【0017】
図1を参照して、まず、図示の斜面監視システムは、複数の斜面監視装置11−1〜11−N(Nは2以上の整数)を備えており、これら斜面監視装置11−1〜11−Nは、例えば、監視センター12に、光ケーブル通信回線等の有線通信回線13を介して接続されている。斜面監視装置11−1〜11−Nは互いに異なる斜面に配置され、それぞれ斜面の状態をリアルタイムで監視計測して時系列計測データを監視センター12に送る。ここでは、斜面監視装置11−1〜11−Nが送出する時系列計測データを、それぞれ第1〜第Nの時系列計測データと呼ぶことにする。
【0018】
監視センター12には、コンピュータシステム12a、表示装置等の出力装置(モニター)12b、入力装置12c、及びデータベース12dが備えられており、後述するようにして、監視センター12では、コンピュータシステム12aによって、各斜面監視装置11−1〜11−Nから得られた第1〜第Nの時系列計測データに応じて斜面毎に後述するようにして斜面変位データを生成する。なお、監視センター12は、斜面監視装置11−1〜11−Nから離れた地点に配置されており、遠隔的に時系列計測データを収集する。
【0019】
斜面監視装置(GPS計測手段)11−n(nは1からNまでのいずれかの数)は、少なくとも2つのGPS(Global Positioning System)受信機(計測装置)を有しており、図示の例では、3つのGPS受信機11a〜11cを有している。この内の一つ、例えば、GPS受信機11aは基準点受信機(GPS基準局)として、斜面以外の地点に配置されている。つまり、基準点受信機11aは斜面から離れて安定した地面に配置されている。そして、所謂スタティック測位によって、後述するようにして、基準点受信機と他のGPS受信機(斜面に配置されたGPS受信機)との相対的位置の変位が計測される。
【0020】
一方、他のGPS受信機11b及び11cは斜面上に配置されている(斜面上には少なくとも一つのGPS受信機が配置される)。そして、GPS受信機11a〜11cはGPS衛星からの電波(GPS電波)を受信してリアルタイムにGPSデータを時系列計測データとして出力する。これらGPS受信機11a〜11cは、通信装置として用いられる通信集約機11d又は無線集約機11eに接続されており、通信集約機11dは有線通信回線13に接続されている。そして、通信集約機11dは各時系列計測データを、有線通信回線13を介して監視センター12に送る。
【0021】
無線集約機11eは各時系列計測データを、無線回線を介して無線中継機16に送る。図1には無線中継機16が一つ示されているが、実際には複数の無線中継機16が配置されており、無線中継機16毎に通信エリアが規定され、無線中継機16は自己の通信エリア内に位置する無線集約機11eから時系列計測データを受けることになる。無線中継機16は前述の有線通信回線13に接続されており、無線中継機16から監視センター12に斜面毎の時系列データが送られることになる。なお、各時系列データにはGPS受信機を識別するための情報(GPS受信機識別情報)が付加されている。
【0022】
監視センター12はインターネット21に接続されており、インターネット21を介して、例えば、国土地理院が管理する電子基準点の位置を表す位置データ(以下電子基準点データと呼ぶ)を取得している。この電子基準点は、全国各地に配置されており、監視センター12では、コンピュータシステム12aがこれら電子基準点データを取り込み、データベース12dに蓄積することになる。そして、後述するようにして、コンピュータシステム12aでは、電子基準点データを用いてGPS基準局から送られる時系列データ(基準局時系列データ(基準位置情報)を補正することになる。
【0023】
前述のようにして得られた時系列計測データ(GPSデータ)は、各GPS受信機の位置情報を、時間を追って3次元的に表しており、いま、基準点受信機(GPS基準局)11aの位置情報を基準点位置情報とすると、この基準点位置情報と他のGPS受信機から得られた位置情報(以下他の位置情報と呼ぶ)とに基づいて斜面の変位を時系列的にしかも3次元的に得ることができる。
【0024】
図2も参照して、監視センター12(つまり、コンピュータシステム12a)では、前述のようにして得られた時系列計測データ(基準点位置情報及び他の位置情報)に基づいて、斜面の変位データ(斜面変位データ)を得る。いま、GPS受信機11a〜11cによって予め定められた時間間隔でその位置計測を行っているものとし、各GPS受信機11a〜11cからは、それぞれ基準点位置情報及び他の位置情報が、前述のようにして、コンピュータシステム11aに与えられる(ステップS1)。
【0025】
一方、コンピュータシステム12aでは、電子基準点データを取り込んでおり(ステップS2)、コンピュータシステム12aでは、GPS受信機11aが設置された位置に最も近い電子基準点の電子基準データを複数の電子基準点データから検索して(ステップS3)、この検索電子基準点データを参照電子基準点データとする。なお、電子基準点データを用いる際には、必ずしも、GPS受信機11aが設置された位置に最も近い電子基準点データを用いる必要はなく、複数の電子基準点データを用いて、後述するようにして、各電子基準点とGPS受信機11aとの距離を求めて、これら距離を平均して算出距離とするようにしてもよい。
【0026】
コンピュータシステム12aには、GPS受信機11aとGPS受信機11aが設置された位置に最も近い電子基準点との距離が基準距離として予め設定されている。コンピュータシステム12aでは、基準点位置情報と参照電子基準点データとに基づいてGPS受信機11aが設置された位置と電子基準点の位置(最も近い電子基準点)との距離を求めて算出距離とする(ステップS4)。
【0027】
そして、コンピュータシステム12aは、この算出距離と基準距離とを比較して、その比較結果に応じてGPS受信機11a、つまり、GPS基準局の位置がずれたか否かを判定する。例えば、コンピュータシステム12aは、絶対値(算出距離−基準距離)=偏差を求めて(ステップS5)、この偏差が予め規定された第1の閾値を越えると(ステップS6)、GPS基準局がずれたと判定することになる(ステップS7)。なお、上記の閾値は、斜面の変位データの精度を考慮して決定される。
【0028】
上述のようにして、GPS基準局がずれたと判定されると、コンピュータシステム12aは、上述の偏差に基づいて基準点位置情報を補正して、補正基準点位置情報を得る(ステップS8)。
【0029】
このようにして、電子基準点データを用いて、GPS基準局の位置がずれたか否かを判定した後、基準点位置情報又は補正基準点位置情報(以下基準点位置情報又は補正基準点位置情報を単に基準点位置情報と呼ぶことにする)と他の位置情報とを用いて、コンピュータシステム12aでは、予め定められた時間間隔毎に斜面変位データを求める(ステップS9)。この斜面変位データは横軸を時間、縦軸を変位として示され、モニター12b上に表示されるとともにデータベース12dに斜面毎に格納される。斜面変位データは、例えば、図3(a)〜(c)に示すように、南北方向、東西方向、及び鉛直方向の変位点列として表される(図3(a)は、南北方向、図3(b)は東西方向、図3(c)は鉛直方向の変位点列を示す)。
【0030】
ところで、上述の斜面変位データは、各種外的要因(例えば、GPS衛星の状態、電離層及び対流圏の影響、マルチパス、及び基線長さ)によってバラツキ(帯状にばらつく)を含んでおり、このような斜面変位データから斜面の状態を正確に把握・評価することは難しい。そこで、監視センター12(つまり、コンピュータシステム12a)では、斜面変位データに対してフィルタ処理及び平滑化処理を行って、処理済み変位データを生成する(ステップS10)。
【0031】
ここで、フィルタ処理及び平滑化処理について説明すると、ここでは、カルマンフィルタのアルゴリズムによって、状態ベクトルxnを推定する方法で、システムノイズの分散τ2及び観測ノイズの分散σ2、そして、次数kを推定して、xnを離散的に求めて、対数尤度及びAICを用いて最適なxnを推定する。
【0032】
つまり、状態空間モデルを、xn=Fnxn−1+Gnνn,yn=Hnxn+wnとする。ここで、xn:直接観測できない状態ベクトル(確率システムモデル)、νn:システムノイズ(平均0,分散共分散行列Qn)、yn:観測データ(観測モデル)、wn:観測ノイズ(平均0,分散共分散行列Rn)であり、Fn,Gn,Hnはそれぞれガウス・マルコフ過程で定義された推移行列である。そして、この状態空間モデルを、確率差分方程式とする。Hnxn=tnとすると、yn=tn+wn(観測モデル),Δktn=νn(k=1の場合、Δtn=tn−tn−1=νn,Δktnはk階の差分方程式)となる。
【0033】
そして、カルマンフィルタによって、一期先予測(第1のステップ)、フィルタ(第2のステップ)、平滑化(第3のステップ)を一連の流れとして計算して、観測値yn={y1,y2,…,yn}が与えられた下の状態xn={x1,x2,…,xn}を求める。
【0034】
このようにして、フィルタ処理及び平滑化処理を行った後、この処理済み変位データは前述の変位データとともにデータベース12dに格納されるとともに、モニター12b上に表示される。この処理済み変位データは、図3(a)〜(c)において、実線で示す線分として表されることになる。そして、処理済み変位データを得た後、処理済み変位データが斜面の変位を示していると、つまり、斜面変位ありと判定すると(ステップS11)、監視センター12は、当該斜面の診断・予知を実行する(ステップS12)。つまり、監視センター12では、処理済み変位データが斜面の変位を示していると、当該斜面について処理済み変位データから斜面変位の危険度を評価する。
【0035】
また、図示はしないが、コンピュータシステム12aでは、上述した偏差が第1の閾値を越えたと判定した後、さらに、この第1の閾値よりも大きい第2の閾値を越えたか否かを判定して、偏差が第2の閾値を越えると、GPS基準局を移設する必要があることを示す移設報知を行う。
【0036】
ところで、GPS基準局では、複数のGPS衛星から電波を受けることになるが、そのうち少なくとも3つのGPS衛星を用いれば、GPS基準局の位置を計測することができる。図示の例では、GPS受信機11aは、受信状態を計測するための受信状態計測部111(図1参照)を有しており、この受信状態計測部111で計測された受信状態に応じて、複数のGPS衛星の内の少なくとも4つを選択するようにしている。
【0037】
例えば、受信状態計測部111では各GPS衛星から受信するGPS電波の電界強度を計測して、電界強度が最も高いGPS衛星から順に4つのGPS衛星を選択することになる。このようにして、電界強度に応じて複数のGPS衛星のうちから4つのGPS衛星を選択するようにすれば、常に良好な受信状態となって、精度よく位置計測を行うことができる。なお、GPS受信機11b及び11cにも、受信状態計測部を備えるようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、GPS基準局に最も近い位置に配置された電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じて、GPS基準局の基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得て、補正基準点位置情報と位置情報とに基づいて斜面の変位を求めて斜面変位データとするようにしたから、GPS基準局の設置位置が多少ずれても、GPS基準局の設置位置が電子基準点データで補正される結果、精度よく斜面変位を計測することができるという効果がある。
【0039】
本発明では、電子基準点データに基づいてGPS基準局の設置位置がずれたと判定すると、初めて電子基準点データに応じて基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を求めるようにしたから、常に、補正基準点位置データを求める必要がなく、演算量を減少できるという効果がある。
【0040】
本発明では、GPS基準局及びGPS局をネットワークによって監視センターに接続するようにしたから、複数の斜面について一括して監視センターで監視でき、しかも、監視センターで各基準点位置情報を補正することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による斜面監視システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す斜面監視システムにおける処理を説明するためのフロー図である。
【図3】図1に示す斜面監視システムで得られる観測データ及び処理済み変位データを示す図であり、(a)は南北方向を示す図、(b)は東西方向を示す図、(c)は鉛直方向を示す図である。
【符号の説明】
11−1〜11−N 斜面監視装置
11a〜11c GPS受信機
11d 通信集約機
11e 無線集約機
12 監視センター
12a コンピュータシステム
13 有線通信回線
16 無線中継機
21 インターネット
Claims (5)
- 斜面の状態を監視する際に用いられ、
前記斜面外の位置に配置され、GPS衛星からの電波を受けて該電波を基準GPSデータとして出力するGPS基準局と、
前記斜面内の位置に配置され、前記GPS衛星からの電波を受けて該電波をGPSデータとして出力する少なくとも一つのGPS局と、
少なくとも一つの電子基準点を用いて当該電子基準点の位置を表す電子基準点データに応じて、前記基準GPSデータによって求められる前記GPS基準局の位置を示す基準点位置情報を補正して補正基準点位置情報を得る補正手段と、
前記補正基準点位置情報及び前記基準点位置情報のいずれか一方と前記GPSデータによって求められる前記GPS局の位置を示す位置情報とに基づいて、前記斜面の変位を求めて斜面変位データとする斜面変位データ算出手段とを有することを特徴とする斜面監視システム。 - 前記補正手段は、前記電子基準点データに基づいて前記GPS基準局の設置位置がずれたと判定すると、前記電子基準点データに応じて前記基準点位置情報を補正して、前記補正基準点位置情報を求めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の斜面監視システム。
- 前記補正手段には、前記電子基準点と前記GPS基準局との距離が予め基準距離として設定されており、
前記補正手段は、前記基準点位置情報と前記電子基準点データとに応じて得られた距離を算出距離として、前記基準距離と前記算出距離との偏差が予め規定された第1の閾値を越えると、前記GPS基準局の設置位置がずれたと判定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の斜面監視システム。 - 前記補正手段は、前記偏差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を越えると、前記GPS基準局を移設すべきである旨を示す移設報知を行うようにしたことを特徴とする請求項3に記載の斜面監視システム。
- 前記GPS基準局及び前記GPS局はネットワークによって前記補正手段に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の斜面監視システム。
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