JP2018025812A - 多重化組織用のデジタル的に強化された顕微鏡 - Google Patents

多重化組織用のデジタル的に強化された顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】顕微鏡スライド上に配置された生体試料を撮像するためのコンピュータ・ベース撮像システムを提供する。【解決手段】撮像システム100は、生体試料を直接見るための顕微鏡110と、試料のデジタル強調画像、ほぼビデオ・レートの撮像、および/またはビデオを出力するマルチスペクトル撮像装置112とを含み、撮像システムは、着目特徴の色コントラストが強調された複合画像を生成するために、画像をデジタル的に処理するデジタル・スキャナを含んでいる。【選択図】図1

Description

関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2013年9月13日に出願された米国通常出願第14,027,093号、および2013年3月12日に出願された米国仮特許出願第61/778,093号の恩恵を主張する。これらの出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
技術分野
[0002] 本開示は、組織学用のコントラストが強調された顕微鏡に関する。特に、本技術は、顕微鏡、デジタル強調、色再分類、および/または試料の画像/ビデオのデジタル処理に関する。
[0003] 免疫組織化学(IHC)とは、一般に、生体サンプルにおいてタンパク質のような抗原を検出し、定位し(localize)、および定量化し、更に個々の抗原に対して特異的な抗体のような、特異的な結合部分を使用するプロセスを指す。イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション(ISH)とは、一般に、核酸を検出し、定位し、そして定量化するプロセスを指す。IHCおよびISHの双方は、組織(例えば、新鮮冷凍、ホルマリン固定パラフィン埋め込み)および細胞学的なサンプルのような、種々の生物サンプル上で実行することができる。ターゲットの認識時に、このターゲットが核酸か抗原かには関係なく、種々の標識(例えば、発色、蛍光、発光、放射測定等)の使用によって、認識イベントを検出することができる。例えば、組織上におけるISHは、レポーター分子が結合される核酸の相補ストランドを適用することによって、核酸を検出することを含むことができる。レポーター分子の可視化によって、観察者は組織学的、細胞学的、または環境的サンプルのような、異質な細胞母集団において、特異的なDNAまたはRNAシーケンスを定位することが可能になる。ISH技法は、例えば、銀イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション(SISH)、発色イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション(CISH)、および蛍光イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション(FISH)を含むことができる。非常に小さい染色サンプルを識別することは困難な場合がある。ある臨床的読み取りでは、標識は、顕微鏡の光学的解決手段の限界に近く、そのために多数のハイブリダイゼーション信号の色および/または重複における僅かな相違を解明するユーザの能力を妨げるおそれがある。顕微鏡を使用する臨床的読み取りでは、病理医は多くの場合、異なる色に染色された細胞または細胞成分(例えば、タンパク質、脂質等)を視覚的に検査することによって、生物サンプルに対するスコアを報告する。生憎、ある染料を知覚すること、および/または染色された特徴間で区別することが困難である場合もある。加えて、色の知覚は、病理医間でも異なる可能性がある。視覚が鋭くない病理医程、色の間で区別することが難しいと考えられ、病理医間における採点に一貫性が欠けるおそれがある。
[0004] 多重組織技法は、IHCおよびISHにおいて多数のバイオマーカを評価するために使用することができる。しかしながら、観察者の色知覚のために、同時に使用することができる発色団または蛍光体の数が限られることが多く、これによって検定多重化が制限される。明視野顕微鏡を使用する発色多重化では、発色団は比較的広いスペクトルを有する可能性があるので、異なる色の発色団を視覚的に検出することがむずかしい場合がある。もっと狭い帯域吸収体を使用しても、異なる発色団間におけるスペクトル重複が、暗点(dark spot)を生ずる可能性があり、色の知覚を妨げる。更に、試料間における染色
のばらつきが、異なる色の発色団間で正確に区別する際の難度を高める可能性もある。加
えて、ある色は、他の色よりも区別するのが難しい。黄色およびシアンは、一般に、コントラストが弱い。何故なら、これらは可視スペクトルの青縁および赤縁において光を吸収し、吸収される総検出可能光のパーセンテージが、例えば、緑色光吸収体と比べて、比較的小さく、その結果、黄色およびシアンの発色団が、マジェンタ発色団に比較して、弱い視覚的コントラストを呈することになる。可視スペクトルの外側の発色吸収体(chromogenic absorber)は、多重化を高めるために使用することができるが、従前からの明視野顕微鏡を使用して見ることはできない。蛍光検出では、蛍光標識は、蛍光標識発光が可視スペクトルの外縁または外側になるために、異なる観察者によって等しく検出されないおそれがある。このため、検定多重化のレベルは、限定されることが多く、検定多重化は重大な欠点を有する。
[0005] 少なくとも一部の実施形態は、染色生体試料を直接視認し、試料のデジタル強調画像および/またはビデオを出力する撮像システムである。この撮像システムは、試料を直接視認する顕微鏡と、マルチスペクトル撮像装置とを含むことができる。ユーザは、顕微鏡の接眼レンズ(1つまたは複数)を通して見て、検査用領域(1つまたは複数)を素早く突き止め、および/または発色団染色特徴、蛍光染色特徴、またはIHC、ISHまたは他の検査技法に対する特徴というような、特異的な着目特徴を突き止めることができる。試料の画像(1つまたは複数)および/またはビデオは、リアル・タイムで、顕微鏡の隣りに配置された撮像装置のディスプレイ上に出力することができる。画像(1つまたは複数)および/またはビデオは、染色特徴の識別を容易にするために、デジタル的に強調することができる。明視野視認(例えば、顕微鏡を通した視認)とデジタル強調画像(1つまたは複数)/ビデオの視認とを交互に行うことによって、ユーザは素早くそして精度高く試料を採点することができる。本撮像システムは、デジタル強調、色再分類、画像(1つまたは複数)/ビデオのスペクトル・デコンボリューション、および/または画像/ビデオのデジタル処理を提供することができる。
[0006] ある実施形態では、顕微鏡のステージをX、Y、およびZ(焦点)方向に移動させることができ、本撮像装置は、画像および/またはビデオを表示することに伴う遅延を最小限に留める、制限する、または実質的になくすように、ビデオ(またはビデオ・レートに近い画像)を出力することができる。一実施形態では、本撮像システムの画像キャプチャ・デバイスを複合顕微鏡(compound microscope)に結合することができる。他の実
施形態では、本撮像装置をデジタル顕微鏡に組み込むこと、またはその一部とすることができる。デジタル顕微鏡は、生体試料の直接視認のための接眼レンズ、およびデジタル強調画像(1つまたは複数)/ビデオを出力するためのディスプレイを有しても、有さなくてもよい。
[0007] 本撮像システムは、1つ以上の画像キャプチャ・デバイスと、光源、赤外線光源、紫外線光源等のようなエネルギ・エミッタとを含むことができる。光源は、連続するフレームが異なるLED照明によって記録されるように、撮像フレームと対応してオンおよびオフに切り替えられる発光ダイオード(LED)とすることができる。LEDは、試料を染色するために使用される各発色団の吸収に対応する光を生成することができ、ある実施形態では、スペクトル的に隣接する発色団からの寄与を制限することもできる。デジタル処理は、着目特徴が最適に観察者によって知覚されるように、取り込まれた画像のスペクトル特性を再定義ために使用することができる。例えば、各LEDの照明の色再定義および/またはコントラスト強調は、各発色団をより良く視覚的に区別し、観察者の鋭さに適応させるために実行することができる。ある実施形態では、デジタル処理によって、着目特徴に対応するエリアを暗くし、他のエリアを明るくすることができる。加えて、着目特徴の視覚的識別および/または自動識別を更に強調するために、色を再定義することができる。ある実施形態では、本撮像装置は、画像キャプチャ・デバイスを有するフィル
タレス撮像装置であり、照明装置からの特定の波長(1つまたは複数)および/または波長帯(1つまたは複数)に基づいて画像を出力する。
[0008] ある実施形態では、画像キャプチャ・デバイスはマルチスペクトル画像を供給する。これらの画像に対してスペクトル・アンミキシングを実行することができる。アンミックスされた画像の色は、最適な色分離が得られるように再定義することができる。一実施形態では、再定義された画像を組み合わせて、色複合画像(例えば、擬似色複合画像)を生成することができる。多重化能力を高めるために、画像キャプチャ・デバイスは、可視スペクトルの外側の発色団および/または蛍光信号を撮像するために、可視スペクトル範囲の外側に感度を設けることができる。画像キャプチャ・デバイスは、例えば、UVおよび近IRエネルギ・ソースに関連する色収差のために、再焦点能力を設けるように構成することができる。一実施形態では、自動焦点デバイスまたは自動焦点ステージは、照明装置と同期して焦点を調節するために使用することができる。例えば、自動焦点デバイスを画像キャプチャ・デバイスに組み込むことができる。代わりにまたは加えて、自動焦点ステージは、可視光エミッタ、UVエネルギ・エミッタ、およびIRエネルギ・エミッタのために焦点を調節することができる。ビデオまたはほぼビデオ・レートの撮像に十分な明るさがある蛍光染色は、選択的にそして連続的に、画像記録と同期された異なるパルス状LEDによって励起させることができる。蛍光体のチラミド沈着のような増幅方法を、ビデオ・レートおよびほぼビデオ・レートの撮像のために、試料蛍光を十分強くするために使用することができる。
[0009] ある実施形態では、撮像システムは、複合顕微鏡のアイピースに結合された、またその近くにある画像キャプチャ・デバイスを含むことができる。他の実施形態では、顕微鏡は、画像キャプチャ・デバイスが統合されたデジタル顕微鏡とすることができる。更に他の実施形態では、本撮像システムは、ステレオ顕微鏡、または、例えば、数百倍の倍率で非常に小さな物体を見るために使用される他のタイプの顕微鏡と共に使用することができる。撮像システムの照明装置および画像キャプチャ・デバイスの位置は、顕微鏡の構成に基づいて選択することができる。本撮像システムは、更に、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット等の形態とした処理デバイスを含むことができ、更にデジタル電子回路、ファームウェア、ハードウェア、メモリ、コンピュータ記憶媒体、コンピュータ・プログラム、プロセッサ(プログラミングされたプロセッサを含む)等も含むことができる。
[0010] ある他の実施形態では、撮像システムは、顕微鏡スライド上に配置された試料を撮像するように構成され、撮像装置と、1つ以上のレンズと、撮像装置と通信するディスプレイとを含む。撮像装置は、試料の少なくとも一部を連続的に照明する光を連続的に生成する、複数の異なる色の光源を有する照明装置の形態としたエネルギ・エミッタを含む。また、本撮像装置は、複数の試料画像を取り込むように位置付けられた画像キャプチャ・デバイスも含み、各試料画像は、光源のそれぞれからの光に露出される試料に対応する。処理デバイスは、試料画像に基づいて、コントラスト強調色画像データを生成するように構成される。ディスプレイは、コントラスト強調色画像データに基づいて試料を表示するように構成することができる。ディスプレイは、試料の擬似色画像(false color image)または擬似色ビデオを表示することができる。他のタイプの出力(例えば、患者情報、染料情報、報告等)も表示することができる。ある実施形態では、ディスプレイは、コントラスト強調色出力(例えば、擬似色複合画像/ビデオ)および/またはスペクトル・アンミックス出力を表示する。スペクトル・アンミックス出力は、明視野視認によって供給される自然発生色コントラストよりも大きな色コントラストを、目標にした細胞構造間に生成する(provide)。処理デバイスは、コントラスト強調色出力が、所望のフレーム・
レート(例えば、2フレーム/秒)以上のフレーム・レートで表示される試料のビデオとなるように、コントラスト強調色データを出力することができる。
[0011] エネルギ・エミッタは、ある実施形態では、互いに異なる平均波長のエネルギ放出を生成するように構成される。一実施形態では、異なるエネルギ放出(即ち、異なる平均波長のエネルギ放出)の総数は、例えば、約4から8の範囲である。エネルギ・エミッタは、限定ではなく、異なる平均波長の4つの光源、異なる平均波長の5つの光源、または異なる平均波長の10個以上の光源を含むことができる。エネルギ放出の数、放出の特性(例えば、平均波長)、および/または光源の数は、着目特徴の数、標識のタイプ等に基づいて選択することができる。
[0012] 撮像システムは、ある実施形態では、更に、顕微鏡スライドを保持するホルダ・デバイスと、ディスプレイが試料のコントラスト強調色出力を表示する間、ユーザが試料を見ることができる1つ以上の接眼レンズとを含む顕微鏡を含む。照明装置は、顕微鏡の視野内における試料の一部を照明することができる。接眼レンズ(1つまたは複数)を使用するとき、照明装置は、試料の通常の外観のために白色光を生成することができる。照明装置が白色光を出力する間、コントラスト強調色出力はリアル・タイムに更新されない場合もある。
[0013] ある他の実施形態では、システムは、撮像装置、1つ以上のレンズ、および撮像装置と通信する表示手段を含む。撮像装置は、エネルギを順次放出する手段、および画像/ビデオを取り込む手段を含む。ある実施形態では、取り込み手段は、各々、エネルギに露出される試料に対応する試料画像を取り込むように位置付けられる。ある実施形態では、取り込み手段は、生体試料を支持する顕微鏡スライドの前側および/または後ろ側に位置付けられた1つ以上のカメラを含むことができる。表示手段は、ある実施形態では、モニタまたは画面を含む。ある実施形態では、エネルギを順次放出する手段は、多数のエネルギ・エミッタを含む。各エネルギ・エミッタは、1つ以上のIRエネルギ・エミッタ、UVエネルギ・エミッタ、LED光エミッタ、その組み合わせ、または他のタイプのエネルギ放出デバイスを含むことができる。更に、撮像システムは、取り込み手段によって取り込まれた試料画像に基づいて、コントラスト強調色画像データを生成する手段も含むことができる。表示手段は、コントラスト強調色画像データに基づいて試料を表示する。
[0014] 更に他の実施形態では、顕微鏡スライド上に位置する試料を撮像するためのコンピュータ・ベース撮像システムは、メモリおよびプログラマブル・プロセッサを含む。メモリは、プログラム命令のシーケンスを格納することができる。ある実施形態では、プロセッサは、命令を実行するように構成された回路を有し、この命令は、プログラマブル・プロセッサに、少なくとも1つの第1着目特徴と相互作用するために第1波長または第1波長帯における光に露出される試料の第1画像を受けさせ、少なくとも1つの第2着目特徴と相互作用するために第2波長または第2波長帯における光に露出される試料の第2画像を受けさせる。第2波長または第2波長帯は、それぞれ、第1波長または第1波長帯とは異なることができる。また、命令は、プロセッサに、第1画像および第2画像に基づいて、試料の色画像を生成させることができる。
[0015] メモリは、ある実施形態は、回路によって実行可能な変換命令を格納する。例えば、変換命令は、第1画像を第1擬似色画像に変換し、第2画像を第2擬似色画像に変換するために実行することができる。第1および第2擬似色画像を組み合わせて、色複合画像を生成することができる。撮像を組み合わせるために、線形ミキシング方法、非線形ミキシング方法、および/または他のミキシング技法を使用することができる。複合画像における着目特徴は、ターゲット(例えば、核酸、抗原等)、標識(例えば、発色標識、蛍光標識、発光標識、放射測定標識等)、あるいは種々の細胞成分または構造とすることができる。追加の擬似色画像も生成することができる。あるプロトコルでは、各色複合画像を生成するために、合計で4〜8つの擬似色画像を生成することができる。
[0016] ある実施形態では、顕微鏡スライドによって運ばれる試料を撮像する方法は、試料が第1ピーク波長または第1波長帯における光に露出される間に試料の第1画像を取り込むステップを含む。第1ピーク波長または第1波長帯は、試料の第1着目特徴の第1吸収波長または第1吸収波長帯に対応する。試料が第2ピーク波長または第2波長帯における光に露出される間に、試料の第2画像を取り込むことができる。第2ピーク波長または第2波長帯は、試料の第2着目特徴の第2吸収波長または第2吸収波長帯に対応する。第1および第2画像に基づいて、画像を生成することができる。ある実施形態では、生成された画像は、擬似色画像(例えば、複合画像)または他のタイプの強調画像である。ある実施形態では、本方法は、第1画像を第1擬似色画像に変換するステップと、第2画像を第2擬似色画像に変換するステップと、第1擬似色画像と第2擬似色画像とを組み合わせるステップとを含む。第1および第2画像は、単色画像のように、空間的に離散する画像とすることができる。
[0017] 更に他の実施形態では、コントラスト強調撮像方法は、光源からの光に試料の少なくとも一部(例えば、顕微鏡の視野内に入る試料の一部、試料全体等)を順次露出するステップを含む。各光源は、試料のそれぞれの着目特徴が吸収することができる平均波長を出力することができる。各照明ステップにおいて、試料の画像を取り込むことができる。取り込まれた画像に基づいて、擬似色画像データを生成することができ、擬似色データが、試料の異なる着目特徴間で色コントラストが強調された擬似色画像を表す。
[0018] ある実施形態では、撮像システムは、顕微鏡スライドによって運ばれる試料の画像を取り込むことができる。画像取り込みプロセスの間、試料の着目特徴の特性が画像間で変化するように、試料をエネルギに露出することができる。これらの画像をデジタル処理し、組み合わせて、視認用の画像を生成することができる。一実施形態では、取り込まれた画像を擬似色画像に変換し、組み合わせて複合擬似色画像を供給することができる。一実施形態では、試料に適用される染料の数およびタイプを判定するために、クラシファイアを使用することができる。画像は、クラシファイアからの情報に基づいて処理することができる。
[0019] 本発明の実施形態の以上のおよびその他の目的、特徴、および利点は、添付図面を参照しながら進める、以下の詳細な説明から一層明白となるであろう。
[0020] 本特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラーで作られた図面を含む。カラー図面(1つまたは複数)を含む本特許または特許出願のコピーは、請求し必要な料金を支払った時に、特許商標庁(the Office)によって提供される。
図1は、開示する技術の実施形態による、顕微鏡スライド上に配置された試料を撮像する撮像システムの正面図である。 図2(A)は、開示する技術の実施形態による生体試料のデジタル強調画像を示す。 図2(B)は、図2(A)の生体試料の明視野顕微鏡写真を示す。 図3は、開示する技術の実施形態による、顕微鏡と、この顕微鏡に結合されたマルチスペクトル撮像装置のコンポーネントの正面図である。 図4は、開示する技術の実施形態にしたがって、試料のデジタル画像を生成する方法のフローチャートである。 図5(A〜E)は、非ホジキンKi−陽性大細胞リンパ腫を識別するために染色されたヒト組織を示す。図5(A〜D)は、カラーLEDによって照明されたヒト組織の白黒顕微鏡写真である。図5(E)は、組織の擬似色複合画像である。 図6は、開示する技術の実施形態にしたがって、非ホジキンKi−陽性大細胞リンパ腫を識別するために染色されたヒト組織の強調擬似蛍光画像を示す。 図7は、波長と、種々の染料に対する吸収との関係のプロットである。 図8は、開示する技術の実施形態にしたがって、組織試料を分析するコンピュータ・ベース・システムを示す。 図9は、開示する技術の実施形態にしたがって、ターゲットを検出するためのフローチャートである。 図10(A〜B)は、2つのシグナリング共役体(signaling conjugate)の模式図である。図10(A)は、潜伏反応部分(latent reactive moiety)および発色団部分を含むシグナリング共役体を示す。図10(B)は、更にリンカを含む代わりのシグナリング共役体を示す。 図11(A〜F)は、サンプル上のターゲットが検出される様子を示す模式図である。図11(A)は、ターゲットに結合する検出プローブを示す。図11(B)は、検出ブロー部に結合する標識共役体を示す。図11(C)は、サンプル上に酵素的に沈着されるシグナリング共役体を示す。図11(D)は、異なるターゲットを検出するために抗体系検出プローブが使用される代替実施形態を示す。図11(E)は、増幅共役体を使用してターゲットを検出する手法を示す。図11(F)は、増幅共役体がサンプルに結合され、副標識共役体を標識されたことを示す。 図12(A〜B)は、(T)ターゲットに近接する標識共役体の分布の断面図(A)を示し、(A)に示すサンプルを渡る入射放射光線(P0)のパワーとサンプルを通る透過放射光線(P)のパワーとの間の関係を示すグラフ(B)であり、y軸は放射光線パワーを表し、x軸はサンプルを横切る直線距離を表す。 図13(A〜B)は、発色団によって得られた信号と蛍光体によって得られた信号との間の相違を示す模式図である。図13(A)は、透過光が検出された発色団の検出を示し、図13(B)は、放射光が検出された蛍光体の検出を示す。 図14(A〜B)は、本明細書において開示される色特性を示す画像である。図14(A)は、被観察色間の関係を示すカラー・ホイールであり、図14(B)は、シグナリング共役体に対する吸収放射光線の画像である。 図15(A)は、5−TAMRA−チラミド共役体の吸収スペクトルを示すグラフである。 図15(B)は、 5−TAMRA− チラミド共役体によって検出されたターゲットを有する生体サンプルを示す顕微鏡写真である。 図16(A)は、非小細胞性肺癌に関連付けられたALK再配列に対する肺組織切片検査における2つの遺伝子プローブの二重染色の顕微鏡写真であり、図16(B)は、エチル・アセテート溶液におけるファスト・レッドおよびファスト・ブルーのUV−Visスペクトル、ならびに組織サンプルから得られたトレースである。 図17(A)および図17(B)は、波長対吸光度のグラフであり、2組のトレースを示す。図17(A)は、組織サンプルから得られたトレースを示し、一方図17(B)はファスト・レッドおよびファスト・ブルーのエチル・アセテート溶液から得られたトレースを示す。 図18(A〜B)は、二重ISH発色団検出間の相違を示す画像および模式図であり、図18(A)は、SISH/赤組み合わせ検出プロトコルを示し、図18(B)は、本明細書において説明するような、紫および黄色シグナリング共役対を示す。これら2つの発色団を組み合わせることによって生成される信号は、第3の一意の色として検出される。 図19(A〜B)は、視覚的に別個の第3の色を作るために2つの色を近接して沈殿させる2つの例を示す顕微鏡写真である。 図20(A〜C)は、信号を発色団二重染色から分離するためのLED照明の使用を示す顕微鏡写真である。図20(A)は白光照明を示し、図20(B)は緑光照明を示し、図20(C)は赤光照明を示す。 図21(A〜B)は、顕微鏡写真であり、図21(A)はBSA−BFが添加されなかったコントロール・スライドを示し、図21(B)は、BSA−BFがサンプルに添付されたスライドを示す。 図22(A〜B)は、シグナリング共役体で染色されたサンプルを示す顕微鏡写真であり、図22(A)ではチロシン強調を使用せず、図22(B)ではチロシン強調を使用した。 図23(A〜3)は、2つの異なるシグナリング共役体で染色されたCalu−3異種移植におけるHER2(4B5)IHCを示す顕微鏡写真である。 図24は、図23(A〜B)に示したサンプルを染色するために使用された、2つのシグナリング共役体の溶液の吸収スペクトルを示す。
1.定義および略語
[0046] 別段注記されなければ、技術用語は、従来の使用にしたがって使用されることとする。分子生物学における一般用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes VII(遺伝子V
II)、published by Oxford University Press, 2000 (ISBN 019879276X)、Kendrew et
al. (eds.)、 The Encyclopedia of Molecular Biology(分子生物学の百科事典)、 published by Blackwell Publishers, 1994 (ISBN 0632021829)、および Robert A. Meyers
(ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference(分
子生物学およびバイオテクノロジ:総合的添付文書集)、published by Wiley, John & Sons, Inc., 1995 (ISBN 0471186341) 、ならびに他の同様の参考文献に見出すことができる。
[0047] 本明細書において用いる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形には、文脈が他に明らかに示さない限り複数の指示対象が包含される。同様に、「もしくは」という語には、文脈が他に明らかに示さない限り「および」を包含するものとする。また、「含む」という用語は、「AもしくはBを含む」がA、B、もしくはAおよびBを含むことを意味するように、包含的に定義される。さらに、核酸もしくはポリペプチドもしくは他の化合物に示される、全てのヌクレオチド・サイズもしくはアミノ酸サイズ、および全ての分子量もしくは分子質量値は概算であり、そして説明のために提供されることが理解されるべきである。本明細書に記述されるものと同様のもしくは同等の方法および材料は、本開示の実施もしくは試験において用いることができるが、適当な方法および材料が以下に記述される。
[0048] 刊行物、特許出願、特許、および本明細書において挙げられるその他の引用の開示と矛盾する場合、用語の説明を含んで、本明細書が優先することとする。加えて、材料、方法および実施例は実例に過ぎず、そして限定を意図するのではない。
[0049] 本明細書には、1つ以上の総称化学式が開示される。本明細書において示される一般的な式について、代替物が示されない場合、当業者は代替物が水素であることを認めよう。原子に接続されないが、例えば、環系の内部に延びることが示される結合(bond)は、このような代替物の位置が可変であることを示す。結合を通過して描かれる曲線は、ある追加の構造、通例、リンカまたは官能基または2つの部分を一緒に結合するために使用される部分(例えば、発色団およびチラミドまたはチラミド誘導体)がその位置に結合されることを示す。更に、1つ以上のキラル中心を有する化合物の立体化学が示されていない場合、すべてのエナンチオマーおよびジアステレオマーが含まれる。同様に、脂肪族またはアルキル基の列挙のために、すべての構造異性体も含まれる。別段述べられなければ、以下で一般的な式で与えられるR基(例えば、R1〜R24)は、水素、アシル、アルデヒド、アルコキシ、脂肪族化合物、特に低分子脂肪族化合物(例えば、 C1−10
アルキル、C1−10アルキレン、C1−10アルキン)、置換脂肪族化合物、ヘテロ脂肪族化合物、(例えば、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特
に20以下の炭素原子を有するアルキル、およびさらにより典型的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびブチル等の10以下の原子を有する低分子アルキル)
、ハロゲン化アルキル(例えば−CX、式中Xは、鎖またはそこに結合されるハロゲン化物、およびそれらの組み合わせ)等の置換アルキル、オキシム、オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH−O−N=)アルコール(すなわち、脂肪族またはアルキルヒドロキシル、特に低分子アルキルヒドロキシル)アミド、アミノ、アミノ酸、アリル、ベンジル等のアルキル・アリル、炭水化物、グルコースおよびフラクトース等の単糖類、スクロースおよびラクトース等の二糖類、オリゴ糖、多糖類、カルボニル、カルボキシル、カルボン酸(I族金属またはカルボン酸アンモニウムイオン等のそれらの塩を含む)、環状、シアノ(−CN)、アルキルエステル、エーテルのようなエステル、エキソメチレン、ハロゲン、ヘテロアリル、複素環式、ヒドロキシル、ヒドロキシルアミン、脂肪族ケトン等のケト、窒素、スルフヒドリル、スルホニル、スルフォキシド、エキソメチレン、およびそれらの組み合わせから独立して選択される。
[0050] 「吸光度」または「吸収」とは、材料(P0)上に入射する放射光線の、材料(P)を透過する放射光線に対する対数比率を指す。材料の吸光度Aは、これを通過する光路長(z)と共に、式1にしたがって変化する。
およびPは、入射および透過光強度であり、Tは光透過であり、εは分子消滅係数 (M−1cm−1)であり、 l は照明されるエリアの長さまたは深さ(cm)であり、cは吸収
分子の濃度である。
[0051] 「増幅」とは、信号をより強くする動作(act)またはその結果を指す。
[0052] 「増幅共役体」とは、例えば、ハプテン−チラミド共役体のような、ハプテンに結合された潜在反応種を含む分子を指す。増幅共役体は、例えば、ハプテンに特異的に結合するアンチハプテン抗体のような、特異的な結合対のメンバとして作用することができる。増幅の態様(aspect)は、1つの酵素が多数の反応種を生成できるように、反応種に酵素によって変換される潜在反応種に関する。米国特許第7,695,929号を参考に挙げる。
[0053] 「抗体」は、場合によっては「Ab」と省略され、 免疫グロブリンまたは免
疫グロブリン様分子(一例として、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、それらの組み合わせ、および任意の脊椎動物、(例えば、ヒト、ヤギ、ウサギ、およびマウス等の哺乳類)における免疫応答中に産生される同様の分子を含むが、それらに限定されない)、ならびに、他の分子(例えば、対象の分子の結合定数、すなわち、生物試料における他の分子の結合定数よりも少なくとも103M−1より大、少なくとも104M−1より大、または少なくとも105M−1より大である結合定数を有する抗体および抗体フラグメント)への結合を実質的に除いて、対象の分子(または対象の極めて類似する分子の群)に特異的に結合する、抗体フラグメントを指す。更に、抗体は、特異的に抗原のエピトープを認識および結合する、少なくとも軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリぺプチドリガンドを指す。抗体は、重鎖および軽鎖で構成することができ、それぞれ可変重(VH)領域および可変軽(VL)領域と呼ばれる可変領域を有する。併せて、VH領域およびVL領域は、抗体によって認識される抗原の結合に関与する。また、抗体という用語は、正常な免疫グロブリンおよび当該技術分野でよく知られるそれらの変異体と部分を含む。抗体フラグメントは、タンパク質分解抗体フラグメント[例えば、当該技術分野において知られるようなF(ab’)フラグメント、Fab’フラグメント、F
ab’−SHフラグメント、およびFabフラグメント]、組み換え抗体フラグメント(例えば、sFvフラグメント、dsFvフラグメント、二重特異性sFvフラグメント、二重特異性dsFvフラグメント、F(ab)’フラグメント、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、二機能性抗体および三機能性抗体(当該技術分野において知られるような)、およびラクダ科抗体を含む(例えば、米国特許第6,015,695号、第6,005,079号、第5,874,541号、第5,840,526号、第5,800,988号、および第5,759,808号参照)。抗体は、Bリンパ球の単一クローンによりもしくは単一抗体の軽鎖および重鎖遺伝子がトランスフェクションされている細胞により産生されることを特徴とするモノクロナール抗体を含むことができる。モノクロナール抗体は、当業者に既知である方法により、製造される。モノクロナール抗体には、ヒト化モノクロナール抗体が含まれる。
[0054] 「抗原」は、抗体分子またはT細胞受容体等の特異的な体液性または細胞性免疫の産生物によって特異的に結合され得る化合物、組成物、または物質を指す。抗原は、任意の種類の分子とすることができ、例えば、ハプテン、単純中間代謝産物、糖(例えば、オリゴ糖)、脂質、およびホルモンならびに複合炭水化物(例えば、多糖類)、リン脂質、核酸、およびタンパク質等の高い分子を含む。
[0055] 「発色団」は、分子またはその色に関与する分子の部分を指す。色は、分子が可視光のある波長を吸収し、他の波長を透過または反射するときに発生する。可視スペクトルの範囲に該当する2つの異なる分子起動間でエネルギ差を有する分子は、可視光を吸収し、したがって、発色団として特徴付けられることが相応しいと言える。発色団に入射した可視光は、吸収され、電子を基底状態分子軌道から励起状態分子軌道に励起させることができる。
[0056] 共役する(conjugating)、結合する(Coupling, Joining, Bonding, またはLinking)は、第1原子または分子を別の原子または分子に結合して、直接的または間接的のいずれかでそれらより大きい分子を作製することを意味するために、同義的に使用される。
[0057] 「共役体」は、より大きい組成物に共有結合される、2つ以上の分子を指す。ある実施形態では、共役体は、1つ以上の他の生分子等の1つ以上の他の分子に共有結合される1つ以上の生分子(ペプチド、核酸、タンパク質、酵素、糖、多糖類、脂質、糖タンパク質、およびリポタンパク質等)を含む。他の実施形態では、共役体は、1つ以上の検出可能な標識(ハプテン、酵素、およびそれらの組み合わせ)に共有結合される1つ以上の特異的結合分子(例えば、抗体および核酸シーケンス)を含む。他の実施形態では、共役体は、検出能な標識(ハプテン、発色部分、蛍光部分)に共有結合される1つ以上の潜在反応部分を含む。
[0058] 「DABSYL」は、4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン−4’−スルホンアミド、黄色−オレンジ発色団を指す。
[0059] 「誘導体」は、1つの原子または原子のグループを他の原子または原子のグループと置き換えることによって、同様の化合物から得られる化合物を指す。
[0060] 「エピトープ」とは、抗原決定基を指す。これらは、抗原性、すなわち特異的免疫応答を惹起する分子上の特異的な化学基または隣接あるいは非隣接ペプチド配列である。抗体は、特異的な抗原性エピトープを結合する。
[0061] 「強調(強調する、エンハンサ、強調/強調している)」。エンハンサまたは強調試薬は、任意の化合物、または任意の化合物の組み合わせであり、このような化合物
(1つまたは複数)がない場合の酵素の活動と比較して、酵素の触媒活動を十分に増加させる。エンハンサ(1つまたは複数)または強調試薬(1つまたは複数)は、活性化された共役体を受容部位に結合する速度を上昇または加速する化合物または化合物の組み合わせとしても定義することができる。強調(強調する、エンハンサ、強調/強調している)とは、酵素の触媒活動がエンハンサによって、このようなエンハンサを含まないプロセスと比較して、増加されるプロセスである。また、強調(強調する、エンハンサ、強調/強調している)は、活性化された共役体を受容部位に結合する速度を上昇または加速すると定義することもできる。強調(強調する、エンハンサ、強調/強調している)は、病理医による採点によってというように、視覚的に測定することができる。特定の実施形態では、スコアは、0より大きく、4よりも大きい範囲を取り、数字が大きい程、一層明確な視覚的検出を示す。更に典型的には、採点は、1、1.5、2、2.5、3、3.5、3.75、4、4+、および4++というような、0よりも大きく約4++までの範囲を取る。加えて、強調(強調する、エンハンサ、強調/強調している)は、酵素の見かけVmaxを判定することによって測定することができる。特定の実施形態では、この用語は、約15mOD/分、18mOD/分、約20mOD/分、約40mOD/分、約60mOD/分、約80mOD/分、約100mOD/分、約120mOD/分、約140mOD/分、約160mOD/分、約200mOD/分、約250mOD/分、約300mOD/分、約350mOD/分、および約400mOD/分というような、0mOD/分より上から約400mOD/分までの範囲を取る見かけVmax値(光学密度/分として測定される)を包含する。更に典型的には、Vmaxは、約20mOD/分、約40mOD/分、約60mOD/分、約80mOD/分、約100mOD/分、約120mOD/分、約140mOD/分、および約160mOD/分というような、0mOD/分よりも上から約160mOD/分までの範囲を取る。加えて、強調は、0mMよりも大きい任意の濃度のエンハンサを使用して起こすことができる。本開示内において有用なエンハンサを開示する米国特許出願第2012/0171668号を引例に挙げておく。
[0062] 「官能基」とは、分子の特徴的化学反応に関与する分子内にある特異的なグループの原子を指す。官能基の例には、限定ではなく、アルカン、アルケン、アルキン、アレーン、ハロ(フッ化、塩化、臭化、沃化)、エポキシド、ヒドロキシル、カルボニル(ケトン)、アルデヒド、炭酸エステル、カルボキレート、エーテル、エステル、ペルオキシ、ヒドロペロキシ、カルボキサミド、アミン(一次、二次、三次)、アンモニア、イミド、アジド、シアネート、イソシアネート、チロシアネート、硝酸塩、亜硝酸塩、ニトリル、ニトロアルカン、ニトロソ、ピリジル、燐酸塩、スルホニル、硫化物、チオール(スルフィドリル)、およびジスルフィドが含まれる。
[0063] 「FWHM」は、最大半量吸光率における吸光率ピークの最大幅を指す。
[0064] 「ハプテン」は、抗体と特異的に結合することができるが、通例では、それ自体では免疫原性であることが実質的にできない分子、通例では、小さい分子を指す。
[0065] 「リンカ」とは、2つの部分間に位置する分子または原子のグループを指す。例えば、シグナリング共役体は、発色団部分と潜在反応部分との間に化学的リンカを含むことができる。通例、リンカは二官能性であり、即ち、リンカは、各端部に官能基を含み、これらの官能基は、リンカを2つの部分に結合するために使用される。2つの官能基は、同一であってよく、即ち、ホモ二官能性リンカであっても、または異なってもよく、即ち、ヘテロ二官能性リンカであってもよい。
[0066] 「MG」とは、マラカイト・グリーンのことである。
[0067] 「部分」とは、分子の断片、または共役体の一部を指す。
[0068] 「着目分子」または「ターゲット」とは、各々、存在、位置、および/または濃度が決定される分子を指す。着目分子の例には、タンパク質および核酸シーケンスが含
まれる。
[0069] 「多重化、された、している」は、サンプルにおいて、同時に、実質的に同時に、または順次多数のターゲットを検出することである。多重化は、多数の異なる核酸(例えば、DNA、RNA、mRNA、miRNA)およびポリペプチド(例えば、タンパク質)を、個々にならびに任意のおよび全ての組み合わせの双方において、識別および/または定量化することを含むことができる。
[0070] 「近端」とは、基準点またはその近くに位置付けられることを指す。本明細書において使用する場合、近端は基準点の約5000nm以内、約2500nm以内、約1000nm以内、約500nm以内、約250nm以内、約100nm以内、約50nm以内、約10nm以内、または約5nm以内を意味する。
[0071] 反応基とは、本明細書に記載されるような第1の単位を第2の単位に連結するために適した種々の基を指す。例えば、反応基は、イソチオシアネート等のアミン反応基、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、塩化スルホニル等の酸塩化物、アルデヒドおよびグリオキサル、エポキシドおよびオキシラン、炭酸塩、アリル化剤、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、およびそれらの組み合わせとすることができる。適切なチオール反応性官能基は、ハロアセチルおよびハロゲン化アルキル、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリル化剤、ピリジルジスルフィド等のチオールジスルフィド交換試薬、TNBチオール、およびジスルフィド還元剤、およびそれらの組み合わせを含む。適切なカルボン酸塩反応性官能基は、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル化合物、カルボニルジイミダゾール化合物、およびカルボンジイミドを含む。適切なヒドロキシル反応性官能基は、エポキシドおよびオキシラン、カルボニルジイミダゾール、N,N’−炭酸ジスクシニミジルまたはN−クロロギ酸ヒドロキシスクシニミジル、過ヨード酸化化合物、酵素酸化、アルキルハロゲン、およびイソシアネートを含む。アルデヒドおよびケトン反応性官能基は、ヒドラジン、シッフ塩基、還元アミノ化産生物、マンニッヒ縮合生成物、およびそれらの組み合わせを含む。活性ヒドロゲン反応性化合物は、ジアゾニウム誘導体、マンニッヒ縮合生成物、ヨード化反応産生物、およびそれらの組み合わせを含む。光反応性の化学官能基は、アリールアジド、ハロゲン化アリールアジド、ベンゾフォノン、ジアゾ化合物、ジアジリン誘導体、およびそれらの組み合わせを含む。
[0072] 「Rhod」とは、ローダミンを指し、それらの種々の置換基によって異なる発色団の構造的クラスである。加えて、化合物テトラメチルローダミンが「ローダミン」と呼ばれることが多い。
[0073] 「サンプル」は、被験者から得られるゲノムDNA、RNA(mRNAを含む)、タンパク質、またはその組み合わせを含有する生体試料を指す。例には、限定ではなく、末梢血、尿、唾液、組織生検、外科標本、羊水穿刺試料、および剖検材料が含まれる。
[0074] 「特異的結合部分」とは、特異的結合対の一要素を指す。特異的結合対は、他の分子への結合を実質的に除いて、互いに結合することを特徴とする分子の対である(例えば、特異的結合対は、生物試料における他の分子との結合対の2つの要素のいずれかの結合定数より少なくとも10−1より大きく、10−1より大きく、または10−1より大きい結合定数を有することができる)。特異的結合部分の特定例は、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、ストレプトアビジン等のアビジン、およびタンパク質A)、核酸シーケンス、およびタンパク質−核酸を含む。また、特異的結合部分には、そのような特異的結合タンパク質により特異的に結合される分子(もしくはその一部)も含むことができる。特異的結合部分の例には、抗体、ヌクレオチド、オリゴヌク
レオチド、タンパク質、ペプチド、またはアミノ酸が含まれるが、これらに限定されるのではない。
[0075] 「TAMRA」は、カルボキシテトラメチルローダミン、赤みがかった(即ち、赤からマジェンタまでの異種)ローダミン発色団を指す。
[0076] 「TMR」とは、テトラメチルローダミン、赤みがかったローダミン発色団を指す。「TSA」は、チラミド信号増幅を指す。
[0077] 「TYR」は、チラミン、チラミド、チラミンおよび/またはチラミド誘導体を指す。
II.撮像システムおよび撮像技法
[0078] 図1は、一実施形態にしたがって試料支持顕微鏡スライド134上に配置された試料を撮像するための撮像システム100の正面図である。撮像システム100は、顕微鏡110、マルチスペクトル撮像装置112(「撮像装置112」)、およびディスプレイ114を含むことができる。撮像装置112は、画像キャプチャ・デバイス120、および処理デバイス122を含むことができる。画像キャプチャ・デバイス120は、顕微鏡110上に装着され、処理デバイス122と通信することができる。レンズ128、130は、ディスプレイ114がIHC、ISH等について着目特徴(関心のある特徴)間でコントラストを強める出力144を表示する間に、生体試料を直接視認するために使用することができる。着目特徴は、ターゲット(例えば、核酸、抗原等)、標識(例えば、発色標識、蛍光標識、発光標識、放射測定標識等)、あるいは細胞成分または構造とすることができる。
[0079] 顕微鏡110は、試料の着目領域を便利に突き止めるために使用することができる。着目領域を突き止めた後、出力144を使用して試料を分析することができる。出力144は、画像(1つまたは複数)および/またはビデオを含むことができ、更には組織調合情報、染色情報、患者情報、報告等も含むことができる。ビデオ(またはほぼビデオ・レートで表示される画像)は、顕微鏡110を使用する直接視認と、ディスプレイ114を使用する間接視認との間で、遅延を最小限にする、抑える、または実質的になくすことができる。
[0080] 撮像装置112は、染料からの信号を分離するために順次試料を照明する照明装置140(破線で示す)を含むことができる。例えば、試料は、二重染色から信号を分離するために、異なる波長、ピーク発光、および/または電磁エネルギの波長帯で照明することができる。画像キャプチャ・デバイス120は、試料の1組の画像を取り込むことができる。この1組の画像は、出力144を生成するために、処理デバイス122に送られる。
[0081] 図2(A)は、ヒト試料の擬似色複合画像144の形態としたデジタル強調画像を示す。図2(B)は、同じ組織の顕微鏡(例えば、図1の顕微鏡110)を介して見ることができる明視野画像を示す。図2(A)の画像144における異なる色点間の色のコントラストは、図2(B)における同じ点の自然に発生した色のコントラストよりも大きい。したがって、病理医は、図2(A)における点を素早くそして正確に識別することができるが、図2(B)において点を区別するのは困難かもしれない。
[0082] 図2(A)を参照すると、赤点が円(R)によって誇張され(highlight)、緑点が円(G)によって誇張されている。円(A)内にある隣接点は、別の赤点および緑点として互いに明確に区別することができる。重複する赤および緑点は、円(B)によって誇張されるように、青く現れることができる。ユーザは、例えば、好み、所望の信号分離等に基づいて、複合画像の擬似色(false color)を選択することができる。例えば、緑点
を青と再定義することができ、赤点を黄色と再定義することができる。
[0083] 図2(A)における赤ドットは、図2(B)における紫点に対応し、図2(A)における緑ドットは図2(B)にける赤点に対応する。これより図2(B)を参照すると、二重染色が組織に適用されており、第1発色団部分および第2発色団部分を含むことができる。第1発色団部分に対応する赤点は、円(R)によって誇張され、紫色の特徴は円(P)によって誇張される。円(A)内にある隣接する特徴間で区別することは難しく、円(O)によって誇張された、重複する赤および紫の特徴を識別し特徴付けることは難しい。したがって、組織を採点するために、素早くそして正確に検出し、識別し、特徴付け、計数し、または他のタスクを実行することは難しいかもしれないが、図2(A)の円(A)内にある隣接点は、互いに明確に区別することができ、図2(A)の円(R)および(G)内にある赤点および緑点は、正確に識別することができる。
[0084] 図3は、撮像装置および顕微鏡110のコンポーネントの正面図である。顕微鏡110は、対物レンズ150a〜d、およびホルダ・デバイス152を含むことができる。対物レンズ150a〜dは、照明装置140(切り欠き図で示す)から画像キャプチャ・デバイス120まで延びる光路または光軸154に沿って位置決め可能である。ホルダ・デバイス152は、限定ではなく、ステージ170、ステージ170上に位置付けられた顕微鏡スライド134を保持するためのホルダ・エレメント(例えば、クリップ)、およびステージ170を移動させるための位置決めメカニズム172を含むことができる。ステージ170は、概略的に光路154に沿って位置付けられたアパーチャ(図示せず)を有することができる。位置決めメカニズム172は、限定ではなく、1つ以上のノブ(例えば、微調整ノブ、粗雑調整ノブ、X方向ノブ、Y方向ノブ等)、駆動メカニズム等を含むことができる。顕微鏡110の構成、コンポーネント、および動作は、実行される組織分析に基づいて選択することができる。
[0085] 照明装置140は、ベース178内に収容することができ、試料156を透過
する光を生成するために、試料支持顕微鏡スライド134の背面上に位置付けられる。図示する試料156は、カバースリップ138とスライド134との間にある。ある実施形態では、照明装置140は、カラー光源180a、180b、180c、180d(纏めて、「光源180」)の形態としたエネルギ・エミッタ、および反射器181を含むことができる。各光源180は、顕微鏡の視野内に位置付けられた試料156の一部を照明するために光(矢印によって表される)を生成することができる。異なる色の光は、フィルタを使用せずに、画像キャプチャ・デバイス120によって順次取り込むことができる。ある実施形態では、照明装置140を顕微鏡110に内蔵することができる。他の実施形態では、照明装置140は顕微鏡110の外部にあり、光ファイバまたは他のタイプの光導路を通じて光を照明装置110に結合することができる。例えば、照明装置140は、複数の光ファイバを通じて顕微鏡110に接続されたLEDの外部パネルとすることができる。また、照明装置は、ドライバ、スイッチ、ポテンショメータ、電源、およびその他の電気デバイスも含むことができる。
[0086] 発色顕微鏡撮影では、光源180の各々から放出された放射光線の波長(1つまたは複数)または波長帯域(1つまたは複数)は、色原体に関連付けられた吸収波長(1つまたは複数)または波長帯(1つまたは複数)と対応する、または少なくとも重複することができる。光源180は、多重化能力向上のために、スペクトルの異なる領域(赤外線、可視光、紫外線等を含む)において平均またはピーク波長を有することができる。平均波長、ピーク波長、発光スペクトル、光強度、色座標(color coordinate)、および/または光源の波長(1つまたは複数)/波長帯(1つまたは複数)は、例えば、染料の特性に基づいて選択することができる。ある実施形態では、各光源180は、色原体の1つの吸収波長帯内に平均またはピーク波長がある、スペクトル離散光源とすることができる
[0087] 各光源180は、限定ではなく、1つ以上のLED(例えば、端面発光LED、表面発光LED、高輝度LED等)、レーザ・ダイオード、エレクトロルミネセンス光源、白熱光源、冷陰極蛍光光源、有機ポリマー光源、ランプ、無機光源、またはその他の適した発光源を含むことができる。光源180は、顕微鏡110に対して外部でも内部でも可能である。光源180は、第2半値全幅(FWHM)が約30nmおよび約250nmの間、約30nmおよび約150nmの間、約30nmおよび約100nm、または約20nmおよび約60nmの間であるスペクトル発光を有する、スペクトル的に狭い光源とすることができる。他のスペクトル発光を生成することもできる。
[0088] LEDの実施形態では、光源180aは、スペクトルの青領域内の波長において最大強度を有する青光LEDとすることができる。例えば、青光LED180aは、約430ナノメートルから約490ナノメートル(nm)の範囲にピーク波長および/または平均波長を有することができる。光源180bは、スペクトルの緑領域内の波長において最大強度を有する緑光LEDとすることができる。例えば、緑色LED180bは、約490〜560nmの範囲にピーク波長および/または平均波長を有することができる。光源180cは、スペクトルのアンバー領域内の波長において最大強度を有するアンバー光LEDとすることができる。例えば、アンバー光LED180cは、約570〜610nmの範囲にピーク波長および/または平均波長を有することができる。光源180dは、スペクトルの赤領域内の波長において最大強度を有する赤光LEDとすることができる。例えば、赤光LED180dは、約620〜800nmの範囲にピーク波長および/または平均波長を有することができる。LED光源の数、色、および位置は、試料のバイオマーカに基づいて選択することができる。
[0089] 多数の単一標識フィルタおよびランプを使用して多重化検定において全ての標識を検出することは、時間がかかり難しいことが多い。加えて、ロングパス・フィルターのようなフィルタが、表面滲みを生じ、比較的明るい画像背景を生成することもあり得る。多重化にマルチバンド・フィルタを使用することができるが、高価なカラー・カメラ、高価なカラー・ホイール、および/または複雑なソフトウェアを必要とする場合が多い。また、フィルタが、望ましくない信号対ノイズ比を招くおそれもある。更に、適した染料、照明源、およびフィルタを選択することは、特に、励起発光の透過を最大化しつつ迷光を最小に抑えなければならない蛍光顕微鏡では、難しい場合がある。有利なこととして、LED光源180は、安価であることができ、図5A〜図5Dに関連付けて論じるように、1組の高品質の試料画像を信頼性高く生成するためにLED180をパルス状にすることによって、フィルタに伴う欠点の内1つ以上を解消することができる。
[0090] 混合光では、LED光源180の2つ以上からの発光を組み合わせることによって、処理の柔軟性を得ることができる。例えば、青、緑、および赤LED180a〜180cは、明視野画像を生成するために、白く現れることができる混合光を生成することができる。所望の照明場を達成するために、光源180の異なる配列を選択することができる。LED光源180は、発光パネルの一部であること、またはこれを形成することもできる。LEDの数、色、および位置は、所望の照明を達成するために選択することができる。
[0091] LED以外の実施形態では、照明装置140は、限定ではなく、1つ以上のレーザ、ハロゲン光源、白熱源、または光を発することができる他のデバイスを含むことができる。ある実施形態では、各光源180は、白色光を出力する発光器(例えば、ハロゲン・ランプ、白熱光源等)、および白色光のある波長(1つまたは複数)または波長帯(1つまたは複数)を透過するフィルタを含むことができる。光源の励起波長(1つまたは
複数)、ピーク発光、または波長帯域(1つまたは複数)は、染料の特性に合わせることができる。光源からの照明場の光強度、パルス・シーケンス(ある場合には)、および形状は、所望の照明を得るために、経験的に決定するのでも、数学的にモデル化するのでもよい。
[0092] 画像キャプチャ・デバイス120は、光路154に沿って位置付けられ、試料156の画像(例えば、低解像度のデジタル画像、高解像度のデジタル画像、マルチスペクトル画像、スペクトル離散画像等)を取り込むことができる。画像キャプチャ・デバイス120は、限定ではなく、1つ以上のカメラ(例えば、アナログ・カメラ、デジタル・カメラ等)、光学素子(例えば、1つ以上のレンズ、焦点レンズ群等)、撮像センサ(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補金属酸化物半導体(CMOS)撮像センサ等)等を含むことができる。その場での合焦を可能にするように協働する複数のレンズ、およびCCDセンサは、マルチスペクトル・デジタル画像、単色デジタル画像、または他のタイプのデジタル画像を取り込むことができる。単色デジタル画像を供給するために、画像キャプチャ・デバイス120は、限定ではなく、1つ以上の白黒カメラ(例えば、単色カメラ、単色ビデオ・カメラ等)を含むことができる。カラー画像を供給するために、画像キャプチャ・デバイス120は、マルチスペクトル・カメラとすることができる。取得されたチャネルは、スペクトル・デコンボリューション・アルゴリズムを使用して、アンミックスすることができる。他のタイプの画像キャプチャ・デバイスを使用することもできる。
[0093] 再度図1を参照すると、処理デバイス122は、画像キャプチャ・デバイス120が光源180(図3)のパルス発生と同期するように、照明装置140および画像キャプチャ・デバイス120に命令することができる。処理デバイス122は、一般に、限定ではなく、プログラミングされたプロセッサ190(「プロセッサ190」)および記憶デバイス210を含むことができる。(内部コンポーネントは破線で示される。)処理デバイス122は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータ・プログラムのために実行環境を形成するコード、例えば、プログラム、プロセッサ・ファームウェア、プロトコル・スタック、データベース管理システム、オペレーティング・システム、プラットフォーム間ランタイム環境、仮想機械、またはこれらの内1つ以上の組み合わせを構成するコードを含むことができる。
[0094] プロセッサ190は、一例として、プログラマブル・マイクロプロセッサ、システム・オン・ア・チップ回路(system-on-a-chip circuit)、または以上の組み合わせを含む、データを処理するための全ての種類の装置、デバイス、および機械とすることができる。例えば、プロセッサ190は、特殊目的論理回路191、例えば、データ(例えば、画像、ビデオ等)を処理するためのFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途集積回路)を含むことができ、約2フレーム/秒、5フレーム/秒、10フレーム/秒、30フレーム/秒、またはその他の所望のフレーム・レート以上のフレーム・レートで表示される試料のビデオを生成するためのコントラスト強調カラー・データのようなデータを出力することができる。プロセッサ190は、検査用試料の新たな領域を突き止めるために顕微鏡が移動させられるときに、滑らかなビデオを生成するために所望のフレーム・レートを達成するように選択することができる。
[0095] 記憶デバイス210は、例えば、単色ビデオ/画像を擬似色ビデオ/画像に変換する、ビデオ/画像の色を再定義する(例えば、単色ビデオ/画像、マルチカラービデオ/画像等)ためにプロセッサ190によって実行することができる実行可能命令、および/または画像を変更する、特徴を分類する(例えば、点または他の特徴を分類する)等のための他の実行可能命令を含むことができる。例えば、記憶デバイス210のメモリは、試料画像を擬似色試料画像に変換するため、そして特徴を検出し特性および/または形態メトリックを使用して、検出された特徴が遺伝子、タンパク質、発色団、またはその他
の着目解剖学的構造に対応するか否か判定するために、プロセッサ190の回路によって実行可能な変換命令を格納することができる。画像特性メトリックは、例えば、色、色バランス、強度等を含むことができる。プロセッサ190は、記憶デバイス210からの命令を実行して、色を再定義し、色バランスを調節し、および/または強度を調節して、特性メトリックに基づいて分析をし易くすることができる。形態メトリックは、例えば、特徴のサイズ、特徴の色、特徴の無機、特徴の形状、特徴(例えば、隣接する特徴)間の関係または距離、ある特徴の他の解剖学的構造に対する関係または距離等を含むことができる。
[0096] 記憶デバイス210は、コンピュータ実行可能命令をエンコードすることができるコンピュータ読み取り可能媒体のような、非一時的、有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体(例えば、命令を収容するコンピュータ読み取り可能媒体)を含むことができる。コンピュータ・プログラム命令およびデータを格納するのに適したデバイスには、全ての形式の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリ・デバイスが含まれ、一例として、半導体メモリ・デバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ・メモリ・デバイス、磁気ディスク、例えば、内部ハード・ディスクまたはリムーバブル・ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMおよびDVD−ROMディスクが含まれる。非一時的記憶媒体は、有形であるデバイスを含むことができ、これが意味するのは、そのデバイスは、その物理的状態を変化させても、具体的な物理的形態を有するということである。つまり、非一時的とは、状態変化にも拘わらず、有形のまま残るデバイスを指す。ある実施形態では、記憶デバイス210は、例えば、記録可能/記録不可能な媒体(例えば、ROM、RAM、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ・メモリ・デバイス等)等、あるいは、データ、デジタル画像、コンピュータ・プログラム(1つまたは複数)等を格納することができるその任意の組み合わせを含む、機械アクセス可能記憶媒体とすることができる。
[0097] 格納されるデジタル画像は、二進形態のコントラスト強調カラー画像とすることができる。また、画像を画素の行列に分割することもできる。画素は、ビット長によって定義される1ビット以上のデジタル値を含むことができる。デジタル値は、例えば、エネルギ、明るさ、カラー、強度、音、高度、または画像処理によって得られる分類値を表すことができる。非限定的なデジタル画像フォーマット例には、ビット・マップ、合同映像専門家集団(JPEG)、タグ付き画像ファイル・フォーマット(TIFF)、およびグラフィクス相互交換フォーマット(GIF)、ならびに他のデジタル・データ・フォーマットが含まれるが、これらに限定されるのではない。また、ビデオも記憶デバイス210によって格納することができる。格納されるコンピュータ・プログラムは、ファイル・システムにおけるファイルに対応するとよいが、その必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納される1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に、問題のプログラムに専用の1つのファイルに、または多数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を格納するファイル)に格納することができる。コンピュータ・プログラムは、1つのコンピュータ上で、あるいは1つの場所に配置された、または多数の場所に跨がって分散され通信ネットワークによって相互接続された多数のコンピュータ上で実行されるように配備することができる。ある研究室用の設定では、記憶デバイス210は、多数のコンピュータによって使用されるコンピュータ・プログラムを格納することができる。
[0098] これより図1を参照すると、ユーザは、選択ツール200、キーボード202、または処理デバイス122に結合された他の入力デバイスを介して入力を供給することができる。選択ツール200は、拡大および/または自動分析のために試料の一部を選択するために使用することができる。また、ユーザは、選択ツール200を使用して、個々の着目領域/細胞構造/特徴を選択することができる。
[0099] ディスプレイ114は、通信可能に処理デバイス122に結合され、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、またはユーザに情報を表示するためのその他のタイプのディスプレイとすることができる。ディスプレイ114は、見やすくするために、顕微鏡110の隣りに配置することができる。顕微鏡110がデジタル顕微鏡である場合、デジタル・ディスプレイ114が顕微鏡の一部となることができる。他の実施形態では、ディスプレイ114を離れた位置(例えば、他の研究所)に配置することができる。研究所の技師は、離れた位置にいる病理医が画像144を研究する間、顕微鏡110を操作することができる。非強調および強調画像を含む異なる画像を同時に表示するために、多数のディスプレイを使用することができる。ディスプレイのタイプ、ディスプレイの位置、および/またはディスプレイの個数は、実行する検出に基づいて選択することができる。
[00100] 図4は、デジタル強調画像、ビデオ、または他の出力を生成する1つの方法
のフローチャートである。一般に、光源は、着目特徴が吸収することができる光、または着目特徴から発光させることができる光を出力する。1組の画像が取り込まれる。各画像は、光源のそれぞれからの光に露出される試料に対応することができる。1組の画像は、試料のデジタル強調画像/ビデオを生成するために使用することができる。図4の方法について図5(A〜E)に関連付けて論ずるが、他のタイプの強調画像を生成するために使用することもできる。
[00101] ブロック220において、顕微鏡スライド上に載せられた試料が、色原体の
吸収波長(1つまたは複数)/波長帯(1つまたは複数)に合わせた励起波長(1つまたは複数)/波長帯(1つまたは複数)を有する光源に露出される。光源からの入射光は、色原体が吸収することができる。ある実施形態では、入射光の少なくとも約20%、50%、60%、70%、80%、または90%が、色原体によって吸収される。染料および光源の特性に応じて、他の百分率の光が吸収されることも可能である。蛍光染色試料では、光は、着目染色特徴から励起発光を起こすことができる。発色検出および蛍光検出については、図13(A〜B)に関連付けて論ずる。
[00102] ブロック230において、画像キャプチャ・デバイス(例えば、図1および
図3の画像キャプチャ・デバイス120)は、照明された試料の画像(1つまたは複数)/ビデオを取り込むことができる。例えば、照明された試料の1つの画像を得ることができる。他の実施形態では、種々のZ−スライスまたは焦点面における1組の画像を取り込むことができ、画像全体にわたって、および/または特定の領域において、度合いが変化する鮮明度を有することもできる。
[00103] 照明光が色原体によって吸収されると、その位置において光強度が低下する
。図5(A)は、青色LEDによって照明された試料の1つの取り込み単色画像を示す。色原体210の形態であるターゲット特徴が、青色光を吸収し、色原体210が比較的暗い点のように現れさせることができる。色原体211の形態である他のターゲット特徴は、色原体210と比較すると、比較的明るくなることができる。これは、色原体211が色原体210よりも吸収する青色光が少ないからである。
[00104] 判断ブロック234において、着目特徴の全てについて異なる強度を得るた
めの画像が取り込まれていない場合、他の光源を使用して、ブロック220において追加の着目特徴に照明し、ブロック230において追加の画像(1つまたは複数)を取り込むことができる。ブロック220および230は、1組の試料画像を生成するために繰り返すことができる。1組における画像の数は、組織サンプルに適用される異なるバイオマーカの数以上とすることができる。組織サンプルが6つの染料によって処置された場合、完
全な1組の試料画像は、少なくとも6つの画像を含むことができる。これにより、広い範囲の異なるタイプの検出技法を実行する柔軟性が得られる。1組における画像の数は、多重化検定におけるバイオマーカの数に基づいて、増加または減少させることができる。蛍光分析では、完全な1組の単色顕微鏡写真が、蛍光信号における分散を示すことができる。例えば、各単色画像が、それぞれの蛍光体の蛍光信号に対応する点を有することができる。
[00105] 図5(A〜D)は、色原体の強度が画像間で変動する、完全な1組の単色顕
微鏡写真を示す。ある実施形態では、1組の画像は、青色LEDからの光に露出された試料の単色画像(図5(A))、緑色LEDからの光に露出された試料の単色画像(図5(B))、アンバーLEDからの光に露出された試料の単色画像(図5(C))、および赤色LEDからの光に露出された試料の単色画像(図5(D))を含むことができる。
[00106] 以下に、約0.1秒で図5(A〜E)の画像を生成するために使用すること
ができる図3の光源180に対する照明シーケンスを示す。
0〜0.02秒において、青色LED180a(図3)が試料を照明して、図5(A)の試料画像を生成する。0.02〜0.04秒において、緑色LED180b(図3)が試料を照明して、図5(B)の試料画像を生成する。0.04〜0.06秒において、アンバーLED180c(図3)が試料を照明して、図5(C)の試料画像を生成する。0.06〜0.08秒において、赤色LED180d(図3)が試料を照明して、図5(D)の試料画像を生成する。0.08〜0.1秒において、処理デバイス122が1組の画像をデジタル的に処理して、図5Eの画像を生成することができる。他の時間期間およびシーケンス・パターンを使用することもできる。
[00107] 判断ブロック234において、完全な1組の画像が生成された場合、この1
組の画像は、強調画像/ビデオを生成するために使用される。ブロック236において、例えば、コントラストを強調する、スペクトル画像をアンミックスする、特徴を分類する、これらの組み合わせ等のために、1組の画像が処理される。色のコントラストを強調するために、画像を再分類することができる。スペクトル画像をアンミックするために、クラシファイアが着目特徴を識別し、画像を再分類して1組の処理画像を生成することができる。1組の処理画像は、1つ以上のコントラスト強調カラー画像、スペクトル・デコンボリューション画像等を生成するために、組み合わせることができる。線形ミキシング方法、非線形ミキシング方法、またはその他の当技術分野では周知のミキシング技法、更に
はデジタル処理を使用して、所望の出力画像(1つまたは複数)/ビデオを生成することができる。
[00108] ブロック236において、画像/ビデオを表示することができる。擬似色モ
ードでは、図5(A〜D)の各白黒単色画像を、カラー単色画像(即ち、擬似色単色画像)に変換することができる。1組のカラー単色画像を組み合わせて、図5(D)の複合画像を生成することができる。線形ミキシング方法、非線形ミキシング方法、またはその他の当技術分野では周知のミキシング技法を使用して、マルチスペクトル画像を生成することができる。ある実施形態では、図5(A)の白黒画像が赤色単色画像に変換され、図5(C)の白黒単色画像が、緑色単色画像に変換され、図5(D)の白黒単色画像が青色単色画像に変換される。色変換は、検出されるターゲット特徴の数に基づいて選択することができる。
[00109] 擬似蛍光画像を生成するために、取り込まれた単色画像を暗視野画像に変換
することができる。暗視野画像を再度組み合わせて擬似蛍光画像を生成することができる。一例として、図5(A〜C)の画像を、赤色単色画像、緑色単色画像、および青色単色画像にそれぞれ変換することができる。擬似色画像(即ち、赤、緑、および青色単色画像)を変換して、暗視野画像を生成することができ、これらを組み合わせて図6の画像を生成する。擬似蛍光画像は、ビデオのフレームとして素早く生成し使用することができる。
[00110] スペクトル・デコンボリューション撮像(spectral deconvolve imaging)では、図5(A〜D)の画像を処理するためにクラシファイアを使用することができる。着目特徴を1組の画像において識別することができる。クラシファイアは、十分な着目特徴を検出し、次いで画像を再分類および/または調節することができる。ある実施形態では、訓練スライドを使用してクラシファイアを訓練することができる。各訓練スライドには、染色試料を載せることができる。照明シーケンスに対する1組の画像は、スライド毎に生成することができ、照明シーケンスは、異なる色の光で試料を順次照明することを含むことができる。各組の画像は、染色特徴を検出するために使用することができるスペクトル胸部情報(pectral information)のような、染料に関する情報を判定するために分析する
ことができる。ある実施形態では、検出アルゴリズム、検出プロトコル、または他の検出手段を染料毎に生成することができる。追加の検出アルゴリズム、検出プロトコル、または他の染料で染色された特徴を検出するための他の検出手段を生成するために、追加の訓練スライドを使用することができる。1つ以上の追加のクラシファイアは、検出アルゴリズム、検出プロトコル、または訓練スライドを使用して生成される他の検出手段に基づいて、生成することができる。あるいは、コンピュータ・モデリングまたは他の適した技法によって、1つ以上のクラシファイアを生成することができる。
[00111] 再度図1を参照すると、撮像システム100は、図4の方法を実行すること
ができる。ある実施形態では、プロセッサ・デバイス122が自動的に着目点/ドット/特徴を検出することができる。例えば、ドット検出は、図2Aおよび図5Eの強調画像をある数のフィルタを通すことによって実行することができる。一実施形態では、フィルタは、ガウシアン差分(「DOG」)フィルタであり、各フィルタ・サイズは、検出しようとするドット/ドットのクランプの予想サイズに基づいて選択される。他のフィルタを使用することもできる。強調画像は、分析ソフトウェアを使用して分析することができる。例えば、色は、赤、青、および緑値として測定することができ、色相、彩度、および強度値を判定することができる。また、試料は、定性的に、半定量的に、および/または定量的に評価することもできる。定性的評価は、染色強度を評価し、陽性染色細胞および染色に関与する細胞内区画を識別し、サンプル全体またはスライド品質を評価することを含むことができる。検査サンプルに対して分離評価を実行することができ、この分析は、サンプルが異常状態を表すか否か判定するための既知の平均値との比較を含むことができる。
特徴を識別し、スライドおよび/または着目領域に対するスコアを定量的に判定するために、分析コンピュータ・プログラムを使用することができる。コンピュータ・プログラムは、任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、コンパイル型またはインタプリタ型言語、宣言型または手続き型言語を含む。更に、単体プログラムとしてまたはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、または計算環境における使用に適した他のユニットとしてを含む、任意の形態で配備することができる。
[00112] 図7は、付着した染料に対する波長対吸収のプロットである。染料の各々は
最大吸光度を有する。約560nmおよび570nmの間に最大吸光度を有するスルホローダミンB。スルホローダミンBによって染色された試料を、約560nmおよび570nmの間の波長または約560nmおよび570nmの間の波長帯を有する光に露出させることができる。光源の特性は、染料の特性に基づいて選択することができる。例えば、照明装置が17個のLEDを有することができ、各々染料の1つの吸光度に合わせるように選択される。本明細書において開示した記憶デバイスは、染料特性についての1つ以上のマップまたは参照表を含むことができる。リーダ(例えば、バー・コード・リーダ)が、スライドからの情報を得て、組織試料を照明するのに適した波長(1つまたは複数)および/または波長帯(1つまたは複数)を決定することができる。あるいは、ユーザが、例えば、キーボードまたは他の入力デバイスを使用して、試料および/または染料についての情報を入力することができる。
III.スキャナ付き撮像システム
[00113] 図8は、開示する技術の実施形態による、組織試料を分析するためのコンピ
ュータ・ベース・システム300および環境を示す。システム300は、マルチスペクトル撮像装置310の形態としたデジタル・スキャナ、およびクライアント・コンピュータ・システム320を含む。試料支持顕微鏡スライドを撮像装置311に装填することができ、撮像装置311は、試料支持顕微鏡スライドの狭い波長帯または波長の撮像、明視野撮像、および/または蛍光撮像に備えることができる。狭い波長帯または波長の撮像では、撮像装置311は、図1〜図4に関連付けて論じた方法を実行するために、照明装置312およびスキャナ・ヘッドを含むことができる。更に、撮像装置311は、ホール・スライド・スキャナであってもよい。ホール・スライド・スキャナの一例は、本願の譲受人であるVentana Medical Systems, Inc. (ベンタナ・メディカル・システムズ社)(Tucson, AZ)のVENTANA iScan HT製品を多数の光源を含む照明装置(例えば、図3の照明装置140)で変更したものとすることができる。撮像システム310は、スライド・ハンドラ・メカニズム318を含むことができる。スライド・ハンドラ・メカニズム318は、1つ以上の顕微鏡スライドをマルチスペクトル撮像装置に送るように移動可能であり、更に1つ以上の顕微鏡スライドをマルチスペクトル撮像装置311から取り出すように移動可能である。スライド・ハンドラ・メカニズム318は、種々の場所の間で顕微鏡スライドを移送することができる、1つ以上のロボット・アーム、XYZスライド・ハンドラ、把持メカニズム、移送デバイス等を含むことができる。画像は、直接接続(図示せず)によって、またはネットワーク330を介して、クライアント・コンピュータ・システム320に送ることができる。クライアント・コンピュータ・システム320は、画像を、病理医、組織技師(histotechnologist)等のようなユーザに表示する。
[00114] 撮像装置311は、限定ではなく、1つ以上の画像キャプチャ・デバイス3
13、1つ以上のレンズ315、および諸機能(facilities)を含むことができる。(撮像システム310の内部コンポーネントは破線で示される。)画像キャプチャ・デバイス313は、限定ではなく、光学系撮像センサ(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補金属酸化物半導体(CMOS)撮像センサ等)を有するデジタル・イメージャ(例えば、デジタル・カメラ)等を含むことができる。レンズ315は、協働して焦点を合わせることができる(例えば、自動合焦)。ある実施形態では、画像キャプチャ・デバイス313は、マルチスペクトル・カラー画像を生成するために、赤、緑、および青色チャネルを有する
。光学システム315は、多数のおよび/または調節可能なフィルタを含むことができ、マルチスペクトルまたは色画像チャネルは、異なるフィルタおよび/またはフィルタ設定値を使用して、多数の画像を取得することによって作成される。色強調画像を生成する1つの方法は、少なくとも試料の一部を含む顕微鏡スライドの領域またはスライド位置を含む1つ以上の走査エリアを決定することを含む。走査エリアは、複数のスナップショットに分割されてもよい。画像は、スナップショットを組み合わせることによって生成することができる。試料またはスライド全体の組み合わせ画像は、同じまたは異なる焦点面におけるRGBチャネルの画像を含むスナップショットを有することができる。
[00115] また、撮像装置311は、アクセス・ドア321およびコントローラ323
も含むことができる。スライドは、アクセス・ドア321を通って撮像システム310内に装填することができ、撮像装置311の動作を制御するために、コントローラ323を使用することができる。コントローラ323は、1つ以上のプログラマブル・プロセッサ、記憶デバイス等を含むことができる。
[00116] クライアント・コンピュータ・システム320は、デスクトップ・コンピュ
ータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット等を含むことができ、デジタル電子回路、ファームウェア、ハードウェア、メモリ、コンピュータ記憶媒体、コンピュータ・プログラム、プロセッサ(プログラミングされたプロセッサを含む)等を含むことができ、デジタル画像を二進形態で格納することができる。また、画像を画素の行列に分割し、ディスプレイ327によって表示することもできる。
[00117] ネットワーク330または直接接続が、撮像システム310およびクライア
ント・コンピュータ・システム320を相互接続する。ネットワーク330は、限定ではなく、1つ以上のゲートウェイ、ルータ、ブリッジ、これらの組み合わせ等を含むことができる。ネットワーク330は、1つ以上のサーバ、およびユーザにアクセス可能でクライアント・コンピュータ・システム320が利用できる情報を送るおよび受信するために使用することができる1つ以上のウェブサイトを含んでもよい。サーバは、限定ではなく、情報(例えば、デジタル画像、アルゴリズム、染色プロトコル等)を格納するために1つ以上の関連データベースを含んでもよい。ネットワーク330は、送信制御プロトコル(TCP)、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)、インターネット・プロトコル(IP)、およびその他のデータ・プロトコルを使用するデータ・ネットワークを含むことができるが、これらに限定されるのではない。クライアント・コンピュータ・システム320は、本明細書において論ずる方法および技法を実行することができる。クライアント・コンピュータ・システム320のコンポーネントおよび特徴は、開示する技術の他のコンポーネントおよび特徴と混合すること、および調和させる(match)ことができる。
IV.サンプルにおいてターゲットを検出する技法
[00118] 本明細書において開示する撮像システムは、IHC、ISH、または他の分
析に使用される広範囲の染料によって染色された組織サンプルの強調デジタル画像を供給することができる。種々の実施形態において、組織サンプルに適用される物質は、限定ではなく、染料、湿潤剤、プローブ、抗体(例えば、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体等)、抗原回復流体(例えば、水性または非水性系抗原光源緩衝液(retrieval solutions)、抗原光源回復緩衝剤(buffer)等)、溶剤(例えば、アルコール、リモニン等)等
を含むことができる。染料は、限定ではなく、染料(dye)、ヘマトキシリン染料、エオジ
ン染料、ハプテン、酵素、または蛍光部分のような検出可能な標識がある抗原または核酸の共役体、あるいは色を分与するためおよび/またはコントラストを強調するための他のタイプの物質を含み、更に、物質は、抗原緩衝のため、または視覚的検査、蛍光可視化、顕微鏡検査等のための試料を準備するための他のタイプのプロトコル(例えば、免疫組織化学プロトコル、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション・プロトコル等)とすることができる。非限定的な染料、共役体、シグナリング共役体、増幅共役体、発色団部分、
色原体、プローブ、対比染色法、および組成の例について、以下で論ずる。
[00119] 共役体は、生体サンプルにおいて1つ以上のターゲットを検出するために使
用することができ、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション、免疫細胞化学、免疫組織化学検出方式のような、標準的な検定において使用することができる。これらの検定における任意のものは、信号増幅と組み合わせられてもよく、および/またはこれらの検定は、多重化に関係してもよく、撮像システム(例えば、撮像システム100、300)を使用して、多数の異なるターゲットを検出することもできる。1つの方法では、ISH検出方式と組み合わされたIHC検出方式が使用される。開示する染色および撮像技法の非限定的な実施形態例は、細胞クロナリティ(例えば、細胞が2つのバイオマーカの内いずれか1つを表現するが、双方は表現しない)を判定するため、癌治療に対する癌患者の応答を予測するため(例えば、特定の患者が処置に応答するか否か判定するために予測バイオマーカを検出する)、検定の成果およびサンプルの完全性を監視するためのバイオマーカ表現および内部コントロール遺伝子表現の同時分析のため、更にこれらの組み合わせのために使用されてもよい。
[00120] 検出方法は、細胞のタンパク質成分、または物質(例えば、顕微鏡スライド
)上に固定化された細胞組織のような、固相を有する生体サンプルに対して使用されてもよい。例示的な実施形態では、サンプルは、ガラス顕微鏡スライド上に載せられたホルマリン固定パラフィン埋め込みサンプルのような、組織または細胞学サンプルである。一実施形態では、本方法は自動スライド染色器具に特定的である。
[00121] 当業者は、強調撮像を使用すると、多数のタイプのターゲットを検出および
視認できることを認めよう。ターゲットは、特異的な核酸シーケンス、タンパク質、またはその組み合わせでもよい。例えば、ターゲットは、RNA(例えば、mRNA、microRNA、およびsiRNA)、DNA、およびその組み合わせの特異的なシーケンスでもよい。サンプルは、1つ以上の着目ターゲット分子を含むことが疑われるのでもよい。ターゲット分子は細胞の表面上にあることができ、細胞は懸濁液内または組織切片内にあることができる。また、ターゲット分子は細胞内にあり、細胞分解、またはプローブによる細胞の貫入のときに検出されることが可能である。当業者は、サンプルにおいてターゲット分子を検出する方法が、サンプルのタイプおよび使用されるプローブに応じて異なることを認めよう。サンプルを収集し準備する方法は、当技術分野では周知である。
[00122] 組織または他の生体サンプルのような、本明細書において開示する構成(composition)と共に使用するサンプルは、当業者によって当技術分野では周知の任意の方法を使用して準備することができる。サンプルは、日常的なスクリーニングのための被験者から得ることができ、あるいは遺伝的異常、感染、または新形成のような、無秩序を有することが疑われる被験者から得ることができる。また、開示する方法の説明する実施形態は、遺伝的異常、疾患、無秩序等を有さない、「正常」サンプルと呼ばれるサンプルにも適用することができる。このような正常サンプルは、とりわけ、他のサンプルとの比較のためのコントロールとして有用である。サンプルは、多くの異なる目的のために分析することができる。例えば、サンプルは、被疑病弊の科学的研究においてまたはその診断のために、あるいは処置成功、生存等の予後指標として使用することができる。サンプルは、1つ以上の検出プローブによって特異的に結合することができる多数のターゲットを含むことができる。本開示全体を通じて、ターゲット・タンパク質を引用するときは、そのタンパク質に関連付けられた核酸シーケンスもターゲットとして使用できることは理解されよう。ある例では、ターゲットは、ウィルス・ゲノムからというような、ウィルス、バクテリア、または細胞内寄生生物というような、病原体からのタンパク質または核酸分子である。例えば、ターゲット・タンパク質は、疾病に関連付けられた(例えば、相関付けられた、因果的に巻き込まれる等)ターゲット核酸シーケンスから生成されてもよい。
[00123] MicroRNA(miRNAまたはmiRs)は、翻訳抑制によるという
ような、否定的に遺伝子表現を規制する、小さな、非符合化RNA(non-coding RNA)である。例えば、miR−205は、上皮−間葉転移(EMT)、胎芽発達中において組織リモデリングを促進するプロセスを規制する。しかしながら、EMTは腫瘍転移における早期段階でもある。miR−205のような、microRNAの下向き調節は、腫瘍進行における重要な段階である。例えば、miR−205の表現は、ある乳癌において下向き調節されるか、または失われる。また、miR−205は、扁平細胞および非小型細胞肺癌腫を階層化するためにも使用することができる(J. Clin Oncol., 2009, 27(12):2030-7)。他のmicroRNAは、抗原シグナリング・カスケード(angiogenic signaling cascades)を変調することが発見されている。miR−126の下向き調節は、例えば、血管新生および炎症増加によって、癌の進行を悪化させるおそれがある。つまり、microRNA表現レベルは、疾病状態を示すことができる。本開示の範囲内のmicroRNAについて、 PCT出願第PCT/EP2012/073984号を引用する。
[00124] 開示する撮像システムおよび技法は、HER2遺伝子コピー番号およびHe
r2タンパク質表現によって特徴付けられた臨床乳癌FFPE組織ブロックを、それぞれ、INFORM HER2 二重ISH DNAプローブ・カクテルおよびIHC検定(Ventana Medical Systems, Inc., 「VMSI」)を使用して分析するために使用すること
ができる。ACTB(β−アクチン)に関するHER2mRNA表現レベルは、qPCRを使用して、既知の方法にしたがって判定することができる。遺伝子コピー、タンパク質表現、およびqPCR分析の結果は、FFPEサンプルを分析するために本明細書において開示する方法を使用してHER2およびACTB mRNAのmRNA−ISH検出によって得られた結果と比較することができる。
[00125] 開示する撮像システムおよび技法は、ある種の細胞のモノクロナール増殖を
識別するために使用されてもよい。細胞母集団の無制御成長からの癌の結果、この母集団は、1つの突然変異親細胞から発生し、したがってクロナール母集団を含むことがある。クロナール母集団から得られる癌の例に、B細胞のモノクロナール増殖から発生するB非ホジキンリンパ腫細胞(B−NHL)がある。特異的なB細胞母集団のクロナール表現は、それらのB細胞受容体抗体の一部として、KAPPAまたはLAMBDA軽鎖mRNAおよびタンパク質の唯一の表現として検出することができる。したがって、本明細書において開示する方法の一実施形態は、KAPPAおよびLAMBDA mRNAの発色二重染色を使用して、B細胞のモノクロナール増殖を識別することに関する。
[00126] 悪性B細胞によるいずれかの軽鎖の均一表現は、モノクロナールB細胞リン
パ腫の、正常免疫応答の間に得られるB細胞母集団を表現するポリクロナールKAPPAおよびLAMBDA軽鎖からの差別化を可能にする。軽鎖mRNA表現パターンを判定することは、種々のB細胞段階(ナイーブおよびメモリ細胞:細胞毎に10〜100コピー、形質細胞:細胞毎に〜10万コピー)から得られるB細胞新生物によって表現される軽鎖mRNAおよび抗体タンパク質のコピー数範囲によって複雑化する。
方法
[00127] 生体サンプルにおいてターゲットを検出する方法は、生体サンプルを検出プ
ローブと接触させ、生体サンプルを標識共役体と接触させ、更に生体サンプルをシグナリング共役体と接触させるステップを含むことができる。図9は、ターゲットを検出するためのフローチャートである。具体的には、この方法は、サンプルを検出プローブ(1つまたは複数)と接触させるステップ401を含む。このステップは、1つの検出プローブ、または複数の異なるターゲットに特異的な複数の検出プローブのいずれかを含むことができる。続くステップ402は、サンプルを標識共役体と接触させる動作を含む。更に続くステップ407は、サンプルをシグナリング共役体と接触させる動作を含む。サンプルを
増幅共役体と接触させるステップ403、およびサンプルを副標識共役体と接触させるステップ405への破線(dashed line)は、これらのステップが任意であることを表す。サ
ンプルを酵素抑制剤と接触させるステップ410への破線は、多重化手法にしたがって多数のターゲットを検出するために任意のループを使用できることを示す。特定の開示する実施形態では、酵素抑制剤が生体サンプルに添加される1つ以上のステップが使用されてもよい。例えば、2つ以上のシグナリング共役体がサンプルに添加される実施形態では、1つのシグナリング共役体が共有結合的に付着された後で、第2の異なるシグナリング共役体が添加される前に、あらゆる残留酵素活動を抑制するまたは排斥するために酵素抑制剤(例えば、ペルオキシダーゼ抑制剤)を添加することができる。
[00128] サンプル内部でのターゲットの検出は、生体サンプルを、第1標識共役体と
関連付ける第1増幅共役体と接触させる動作を含むことができる。例えば、増幅共役体は、第1標識共役体に近接してまたは直接その上に共有結合的に付着されてもよい。第1増幅共役体に続いて、生体サンプルを副標識共役体と接触させることができる。例示的に、増幅共役体を使用する信号の増幅は、シグナリング共役体の付着を強める。シグナリング共役体の付着を強めることによって、発色信号の視覚的識別を一層容易にすることができる。即ち、増幅は、色を濃くして一層見やすくする。低表現ターゲット(low expressing target)では、この増幅の結果、信号が十分濃くなって見ることができるようになり、一
方増幅なしでは、ターゲットは明白ではないであろう。増幅ステップを使用する実施形態では、生体サンプルを最初に検出プローブおよび標識共役体と接触させ、次いでその後に1つ以上の増幅共役体と接触させるとよい。特定の開示する実施形態では、増幅共役体は、検出可能な標識と結合された潜在反応部分を含む。例えば、チラミド部分(またはその誘導体)がハプテンと、直接、またはリンカによってというように間接的に結合されてもよい。増幅共役体は、通例、酵素がその所望の機能を実行することを可能にするのに適した、本明細書において説明した条件、または当業者には周知の条件を使用して、酵素共役体の酵素によって共有結合的に付着されてもよい。 次いで、増幅共役体はターゲット上
にまたはその近傍に共有結合的に付着される。
[00129] 生体サンプルにシグナリング共役体を導入するのに適した条件が使用され、
通例、ペルオキシド(例えば、過酸化水素)を含む反応緩衝液または溶液を供給することを含み、酵素がその所望の機能を実行するのを可能にするまたは促進するのに適した塩濃度およびpHを有する。特定の開示する実施形態では、本方法のこのステップは、約35℃から約40℃の範囲の温度において行われる。これらの条件は、酵素およびペルオキシドが、シグナリング共役体の潜在反応部分に対して反応しラジカルの形成を促進することを可能にする。潜在反応部分、したがってシグナリング共役体全体は、生体サンプル上に共有結合的に、特に、固定化された酵素共役体に近接する1つ以上のチロシン残留物、酵素共役体の酵素部分のチロシン残留物、および/または酵素共役体の抗体部分のチロシン残留物に付着する。次いで、生体サンプルは光によって照明され、シグナリング共役体の発色部分によって生成される光の吸光率によって、ターゲットを検出することができる。
[00130] 多重化のレベルに応じて、任意のループを1回、2回、3回、4回、5回、
6回、7回、8回、またはそれ以上の回数だけ、サンプルにおいて検出されようとするターゲットの個数に応じて繰り返すことができる。後続の検出中、標識共役体は、使用される阻害剤に応じて、同一であっても、または異なっていても可能である。異なる標識共役体の例を挙げると、第1酵素−抗ハプテン抗体共役体および第2酵素−抗ハプテン抗体共役体があり、第1抗ハプテン抗体および第2抗ハプテン抗体は異なるハプテンに特異的である。他の例によれば、この差は、異なる抗種抗体(anti-species antibody)を伴うこと
ができ、ターゲットは、異なる種から得られる主抗体を使用して検出された。後続の検出中、ターゲット毎に使用されるシグナリング共役体は、通例、異なる。例えば、異なるターゲットを異なるカラーとして検出することができる。
[00131] サンプルを検出プローブ(1つまたは複数)と接触させるステップ401は
、図9では、1つのステップ中における多数のターゲットの同時検出であることが示されているが、多重化は順次実行されてもよい。順次方法では、第1検出プローブを追加し、次いで、種々の後続の方法ステップ(即ち、402、407、任意に403、および405)を実行することを含む。次いで、第1シグナリング共役体が共有結合的に第1ターゲット上またはその近傍に付着された後に、第2検出プローブを追加することができ、これによって第2ターゲットを検出する能力が得られる。次いで、このプロセスは、付着された他のものとは異なる発色団部分を含む異なるシグナリング共役体を使用して、反復的に繰り返すことができる。
[00132] また、本方法は、サンプルを光で照明するステップ409、およびターゲッ
ト(1つまたは複数)を検出するステップ411も含む。シグナリング共役体によって生成された信号は、検出されることによって、特異的なターゲットを検出する能力が得られる。特定の開示する実施形態では、シグナリング共役体によって生成される信号は、蛍光、発色、またはその組み合わせでもよい。実施形態例は、発色信号の検出に関する。信号は、発色検出方法、蛍光検出方法、およびその組み合わせというような、当業者には周知の適した方法を使用して、検出されればよい。例えば、明視野検出技法または暗視野検出技法を使用して、デジタル強調してまたはせずに、信号を検出してもよい。
[00133] 図10(A〜B)は、シグナリング共役体の2つの実施形態の模式図である
。図10(A)は、潜在反応部分404および発色団部分406を含むシグナリング共役体412を示す。図10(B)は、発色団部分406、潜在反応部分404、更にリンカ408を含む代わりのシグナリング共役体414を示す。
[00134] 図11(A〜F)は、サンプル416上のターゲット417を検出する方法
の実施形態を示す模式図である。図11(A)は、検出プローブ418を示す。これは、例示的に、この場合、核酸ターゲットであるターゲット417に結合するハプテン419を含む核酸分子であることが示される。図11(B)は、検出プローブ418に結合する標識共役体420を示す。標識共役体は、「E」を含む円として図示された、2つの酵素に対するハプテン419共役体に特異的な抗ハプテン抗体として図示されている。1つの抗体および2つの酵素分子の共役体として示されるが、当業者によって、抗体当たりの酵素数を変更し、特定の用途に最適化することができる。具体的には、酵素の数は、約1つから約10個まで、抗体のサイズおよび酵素のサイズを含む種々の要因に応じて、変更することができる。図11(C)は、酵素的にサンプル416上に付着されたシグナリング共役体412を示す。具体的には、標識共役体420の一部である酵素「E」は、シグナリング共役体412の第1潜在反応部分の第1反応種413への変換に触媒作用を及ぼす(catalyze)。 この触媒は、シグナリング共役体412から酵素「E」に向かう第1の大
型矢印412と、酵素「E」から出て反応種413に向かう第2の大型矢印422によって表され、発色団部分406(図10B)および反応部分によって作られ、シグナリング共役体406(図10B)上に示されるように、矢印に置き換わるドットによって表される。反応種413は、第1ターゲットに近接してまたは直接その上で、共有結合的に生体サンプルに結合して、共有結合発色団415を形成する。図11(D)は、抗体系検出プローブ428がタンパク質ターゲット427を検出するために使用される代替実施形態を示す。図11(D)は、核酸ターゲット417および/またはタンパク質ターゲット427いずれの検出も、検出プローブ428が、核酸でなく(例えば、検出プローブ418)抗体として表されることを除いて、同様であることを示すために含まれている。検出プローブ428は、ハプテン化されないものとして示され、標識共役体430が、酵素「E」に共役された抗種抗体であることを暗示する。しかしながら、代替実施形態では、検出プローブ428をハプテン化することができ、標識共役体430は抗ハプテン抗体を含むこ
とができる。
[00135] 図11(E)は、増幅共役体442を使用する、ターゲット検出手法を示す
。具体的には、増幅共役体442が酵素的にサンプル436上に付着される。 具体的に
は、標識共役体440の一部である酵素「E」は、増幅共役体442の第1潜在反応部分の第1反応種443への変換に触媒作用を及ぼす(catalyze)。この触媒は、増幅共役体442から酵素「E」に向かう第1の大型矢印431と、酵素「E」から出て反応種443に向かう第2の大型矢印432によって表され、ハプテン(十字として示す)および反応部分で作られ、増幅共役体442上に示されるように、矢印に置き換わるドットによって表される。反応種443は、第1ターゲットに近接してまたは直接その上で、共有結合的に生体サンプルに結合して、共有結合ハプテン445を形成する。図11(E)に図示した方式は、ここでは、図11(E)の方式と図11(C)の方式との間の類似性を明らかにするために示されている。具体的には、これらの方式は、シグナリング共役体412の発色団部分が、増幅共役体442のハプテンと置き換わることを除いて、ほぼ同一である。図11(F)は、サンプルに結合された増幅共役体(図11(E)において見られるような、共有結合されたハプテン445)に、副標識共役体441で標識することを示す。図示しないが、図11(C)に示した方式は、次いで共有結合された発色団を形成するために使用することができる。増幅共役体442のサンプル上への付着により、更に多くの数の酵素分子を供給する(即ち、標識共役体440および副標識共役体441からの酵素が、図11(F)においてターゲットに近接して示されている)。
[00136] シグナリング共役体は、デジタル明視野検出方法、自動検出方法等を使用し
て検出することができる。自動検出方法は、限定ではなく、デジタル強調画像/ビデオを生成し、自動分析技法を使用してターゲットを検出するステップを含むことができる。明視野検出の全体像を図12(A〜B)に示す。図12(A)は、上面448および下面449を含むサンプル416の断面図の概略であり、複数のシグナリング共役体412がターゲット(T)に近接して配置され、サンプルは、上面448に向かって導かれる入射放射光線を表す第1矢印446と、下面449から発する透過放射光線を表す第2矢印447とを有することが示されている。図12(B)は、図12(A)に示すサンプル416を横切る入射放射光線(P)のパワーと、サンプルを通過した透過放射光線(P)のパワーとの関係を示すグラフであり、y軸は放射光線のパワーであり、x軸はサンプルを横切る直線距離である。図12(A〜B)は、シグナリング共役体412を使用してどのようにしてターゲットを可視化できるかを示す。式1は、入射および透過放射光線のパワー間の数学的関係を示す。
[00137] 開示した方法ステップは、任意の適した順序で実行されればよく、本明細書
において説明したものに限定されない。特定の開示する実施形態では、本方法は、標識共役体を生体サンプルに添付し、続いてシグナリング共役体を添付するステップを含むことができる。他の開示する実施形態では、本方法は、標識共役体を生体サンプルに添加し、続いて増幅共役体、追加の酵素共役体、そしてシグナリング共役体を添付するステップを含むことができる。本明細書において開示した共役体は、同時に、または順次添付されてもよい。共役体は、別の溶液において、または2つ以上の共役体を含む複合体として添加されてもよい。また、開示した方法において使用された共役体の各クラスは、同じまたは異なる共役体成分を含んでもよい。例えば、多数のシグナリング共役体がサンプルに添加されるとき、共役体は、同じまたは異なる発色部分および/または潜在反応部分を含んでもよい。 単なる一例として、1つのシグナリング共役体が、チラミン部分に結合された
クマリン発色団を含んでもよく、他のシグナリング共役体が、チラミン誘導体部分に結合されたローダミン発色団を含んでもよい。開示した多重化検定における使用に適したシグナリング共役体の数は、1つから少なくとも6つ以上、典型的には、2つから5つの範囲とするとよい。特定の開示する実施形態では、本方法は、3つから5つの異なるシグナリ
ング共役体を使用して、3つから5つの異なるターゲットを検出するために使用される。本明細書において開示した照明装置は、共役体が放射光線を透過させる光を出力する光源を有することができる。本明細書において開示したシステムおよび方法を使用すると、1回の検定において多数のターゲットを検出することができる。他の実施形態では、本方法について本明細書において開示したステップの内1つ以上は、自動スライド染色器具(例えば、図8の撮像システム300)によって実行されてもよい。
発色対蛍光
[00138] 本明細書において開示する実施形態は、発色および蛍光検出に使用すること
ができる。発色検出と蛍光検出との間の差を、図13(A)および図13(B)に図式的に示す。図13(A)は、赤色原体例451、青色原体例453、ならびに赤および青多重化色原体例452を示す。色原体が光に露出されると(即ち、Pの入射パワーを有する光に露出される)、色原体は、種々の波長を吸収することによって、光と相互作用する。例えば、光源180a〜dまたは他の光源/照明装置によって光を放出することができる。色原体の吸光度、および存在する色原体の量に応じて、透過光は特定のパワー(図13(A)のP、P、およびP)を有する。検出イベントが良い程、多くの色原体が付着され、より多くの光を吸収し、観察される信号が小さくなる。着色色原体についてでも、透過光の減少は、最終的に、色原体が暗くまたは黒く現れる原因となる。何故なら、光が透過しないからである。赤および青多重化色原体例452に示されるように、多重化は、この効果を悪化させることが多い。従前からの赤色原体および青色原体が空間において重複すると、吸光度が広くなり、検出イベントは、PおよびPよりも小さいP信号によって例示されるように、黒っぽくそして暗く現れる。本質的に、重複する信号による発光検出は、減算的な効果を生ずる可能性がある。これは、図13(B)に示される蛍光とは対照的である。図13(B)を参照すると、紫蛍光体例462、緑蛍光体例463、ならびに紫および緑多重化蛍光体例462が示されている。励起光(図ではλexとして示す)が、蛍光体461、462、463と相互作用することができ、発光を生ずることができる。励起光は、3つの例にわたって同一とすることができ、461はλf1(紫蛍光)を呈し、463はλf2(緑蛍光)を呈し、462はλf1(紫蛍光)よびλf2(緑蛍光)を呈する。サンプル上に付着する蛍光体が多い程、強い蛍光信号が生成される。同様に、多重化のシナリオでは、蛍光体には加算的影響があり、一方発色団では減算的効果が生ずる。この減算的特徴対加算的特徴は、色原体を使用する多重化の難しさを著しく激化させる。本明細書において開示する撮像システムは、発色検出および蛍光検出に使用することができ、擬似色複合画像を使用することによって、信号の色知覚を強化することができる。例えば、図1の照明装置140は、蛍光検出のために、スライドの前側に配置することができる。
検出および照明
[00139] シグナリング共役体は、検出可能な信号を供給し易くする種々の特性を提供
するように構成される。シグナリング共役体は、明視野信号を供給するのに適した発色団部分を含むことができる。発色団部分が明視野信号を供給する場合、信号を視覚的に検出するために明視野顕微鏡を使用することができる。また、信号の検出を容易にするために、デジタル処理を使用することもできる。例えば、本明細書において開示する発色団は、本明細書において開示するターゲットを視覚的に検出するのに適した光信号を生成するように選択することができる。特定の開示する実施形態では、発色団は、以下で論ずるような、シグナリング共役体が所望の信号を供給するように構成することを可能にする光学的プロパティを有する。
[00140] 光(即ち可視電磁放射光線)が着色物質を通過するまたは反射するとき、ス
ペクトル波長分布の特徴部分が吸収される。この特徴部分の吸収は、物体に、残りの光に対応する補色を与える。図14(A)および図14(B)は、被観察色と吸収される放射光線との間の関係を図示するカラー・ホイール(図14(A))を示す。カラー・ホイールは、色(R)赤、(O)オレンジ、(Y)黄色、(G)緑、(B)青、(I)インディ
ゴ、および(V)紫を表す多数のパイ片を含む。各色は、次の色からは別のパイとして示され、一連の線がホイールの外側にある番号において終端する。これらの番号は、色間の遷移点と従前より考えられている、波長のナノメートルを単位とする光の波長を示す。図14(B)は、x軸上に光の波長を有する線形グラフ上における色の同じ分布を示す。即ち、620から800nmの領域は、赤く着色されて示されている。これは、これらの波長が「赤」光の波長であるからである。赤色LEDは、約620〜800nmの範囲の波長を放出することができる。通例、カラーは優先的に知覚され、一部のカラーは非常に狭い波長範囲でのみ知覚される。例えば、490nmから560nmまでのいずれかで発光する光源は、緑として知覚することができる(70nmの範囲)。オレンジとして知覚されるためには、光は580nmから602nmの範囲(40nm)で光を放出することができる。このグラフは、代表として示されるに過ぎず、当業者は、電磁スペクトルが性質上連続的であり、図示のように離散的ではないことを認めよう。しかしながら、ここで正確に描かれたカラー分類は、本明細書において特許請求する技術の理解を容易にする。
[00141] 物質が特定の波長を吸収すると、この物質は補色となるように見え、この色
は残りの光に対応する。図14(A)のカラー・ホイールは、互いに直径方向に対向する補色を示す。このカラー・ホイールによれば、短い波長の青色光(例えば、420〜430nmの光)の吸収は、黄色を物質に与える(425nmは、黄色であるホイールの部分に対向する)。同様に、500〜520nmの範囲における光の吸収は、赤みを帯びた色からマジェンタ色を物質に与える。何故なら、赤いパイ・エリアは、500〜520nmの数値範囲に対向するからである。緑は、短い波長の青色光(例えば、400nm付近)の吸収および長い波長の赤い光(例えば、650nm付近)の吸収が、緑カラーを物質に与えることから独特である。
[00142] 420〜430nmの間の波長における光の吸収によって、物質が黄色く見
える結果となるという概念は、本明細書において説明する吸収現象の多くの過度な単純化である。特に、吸収スペクトル・プロファイルは、被観察カラーには強い影響を有する。例えば、黒い物質は、420〜430nmの範囲全域で強く吸収するが、それでもこの黒い物質は黄色く見えない。この場合、黒い吸収体が、420〜430nmを含む可視スペクトル全体にわたって光を吸収する。このように、特定の波長における光の吸収は重要であるが、可視スペクトルに渡る吸収特性(即ち、スペクトル吸収)も重要である。
[00143] スペクトル吸収は、様々な測定可能なパラメータにしたがって特徴付けるこ
とができる。光の最大の断片が物質によって吸収される波長をλmaxと呼ぶ。この波長は
大部分吸収されるので、通例、吸収波長と呼ばれる。照明装置は、撮像しようとする着目特徴のλmax に近いまたは等しい波長で発光することができる。図15(A)は、特定のシグナリング共役体の吸収スペクトルであり、図15(B)は、図15(A)の吸収スペクトルを生成するシグナリング共役体を使用して染色されたタンパク質の顕微鏡写真を示す。図15(A)は、最大吸光度(absorbance)の大きさを示す第1矢印(470)を含む。第2矢印(471)は、最大値の半分の大きさを示す。第3矢印(472)は、最大吸光度の半分におけるピークの幅を示す。このシグナリング共役体例では、λmax は552nmであり、半値最大吸光度(例えば、FWHM)におけるピークの最大幅は約40nmである。λmax は最大吸光度の波長を示すが、FWHMはスペクトル吸光度の幅を示す。双方の要因は、発色団の色を記述するには重要である。何故なら、広い吸収スペクトルは、それらのλmaxから予想される色を有するように見えないからである。むしろ、これら
は茶色、黒、または灰色であるように見える。図15(B)を参照すると、シグナリング共役体の付着が、陽性染色に対して予想される位置において非常に明白である(Calu−3異種移植におけるHER2(4B5)IHC)。再度カラー・ホイール(図14(A))を参照すると、552nmのλmaxは、赤または赤−紫の補色に対応する。これは、
図15(B)に示す組織サンプルにおいて観察されるカラーと一致する(尚、サンプルは
更に、青いヘマトキシリン核後染色も含むことを注記しておく)。後染色は核に制限されるので、細胞膜系HER2染色と干渉するとも、実質的に影響を及ぼすとも思われない。
[00144] ある発色団の例は、強い吸光度特性を有することができる。ある実施形態で
は、発色団は非蛍光または弱蛍光である。その吸光度特性のために、発色団は可視光を吸収することができる種である。1つの好ましい発色団は、明視野照明、デジタル撮像技法等を使用してこの発色団を可視化できるように、十分な波長特異性により、十分な量の可視光を吸収することができる可能性がある。他の実施形態では、この発色団は、約5,000M−1 cm−1 より大きく約250,000M−1 cm−1 までの平均分子吸収率を有する。例えば、平均分子吸収率は、約5,000M−1 cm−1より大きい、約10,000M−1
cm−1より大きい、約20,000M−1 cm−1より大きい、約40,000M−1 cm−1より大きい、または約80,000M−1 cm−1より大きくてもよい。強い吸収特性は、発光団によって供給される信号、カラーを増大するために使用することができる。
[00145] ターゲットの近傍におけるシグナリング共役体の付着は、入射光の吸収を生
ずる。吸収はサンプルにわたって非均一的に起こるので、図5(A〜E)と関連付けて論じたように、サンプル内におけるターゲットの位置を識別することができる。
[00146] 開示する実施形態のある態様、または全ては、コンピュータ分析および/ま
たは画像分析システムによって自動化し、そしてやりやすくすることができる。ある用途では、本明細書において開示する撮像システムによって、正確な色彩比が測定される。ある実施形態では、図1に関連して論じたように、画像分析に光学顕微鏡が利用される。染色サンプルから得られたデジタル画像は、画像分析ソフトウェアを使用して分析することができる。例えば、このソフトウェアを処理デバイス122によって格納することができる。色は様々な異なる方法で測定することができる。例えば、色は、赤、青、緑値として、色相、彩度、および強度値として、および/またはスペクトル撮像カメラを使用して特定の波長または波長の範囲を測定することによって、測定することができる。
[00147] 例示的な実施形態は、明視野撮像をシグナリング共役体と共に使用すること
、狭波長帯撮像を使用すること、および/または波長撮像を使用することを伴う。明視野照明では、可視スペクトル内の白色光が発色団部分を透過する。発色団は、ある波長の光を吸収し、他の波長を透過させる。これは、透過する光の特定の波長に応じて、光を白色から有色に変化させる。
[00148] 狭スペクトル吸収は、従前の色原体の能力を超えたレベルでの発光多重化を
可能にする。例えば、従前の色原体はいくらか規則通りに二重化される(例えば、ファスト・レッドおよびファスト・ブルー、ファスト・レッドおよび黒(銀)、ファスト・レッドおよびDAB)。しかしながら、三重化即ち三色の応用は不規則である。例示的実施形態では、本方法は、異なるシグナリング共役体またはその組み合わせを使用して、3つから6つ、または3つから5つというような、2つから約6つまでの異なるターゲットを検出することを含む。一実施形態では、光で生体サンプルを照明することは、スペクトル的に狭い光源によって生体サンプルを照明することを含み、スペクトル的に狭い光源は、第2半値全幅(FWHM)が約30nm(フィルタは明るい光源で10nmとすることができる)と約250nmとの間、約30nmと約150nmとの間、約30nmと約100nmとの間、または約20nmと約60nmとの間であるスペクトル発光を有する。他の実施形態では、光で生体サンプルを照明することは、生体サンプルを1つ以上のLED光源(例えば、LED光源180)で照明することを含む。他の実施形態では、光で生体サンプルを照明することは、フィルタ処理した光源で生体サンプルを照明することを含む。例えば、図3の光源180はランプと1つ以上のフィルタを含むことができる。
[00149] また、サンプルは定性的にそして半定量的に評価することもできる。定性的
評価は、染色強度を評価し、陽性染色細胞および染色に関与する細胞内区画を識別し、サンプル全体またはスライド品質を評価することを含むことができる。検査サンプルに対して分離評価を実行することができ、この分析は、サンプルが異常状態を表すか否か判定するための既知の平均値との比較を含むことができる。
[00150] 一実施形態では、シグナリング共役体は、生体サンプルのcm2×μm当たり約
1×1011分子よりも高い濃度から、生体サンプルのcm2×μm当たり少なくとも約1×1016分子までというような、検出可能な信号を生成するのに適した濃度で、ターゲットに近接して共有結合的に付着される。当業者であれば、式1およびサンプルに渡る吸光度測定値を使用し、サンプルに対応する吸光度を減算する配慮をすることによって、生体サンプルのcm2×μm当たりの分子数を計算することができよう。多重化方法のような、開示する方法の一実施形態では、1つの信号を検出するには、背景と比較して5%以上の入射光の吸光度を検出することを含み、異なる別の信号を検出することは、背景と比較して5%以上の入射光の吸光度を検出することを含む。他の実施形態では、1つの信号を検出することは、背景と比較して20%以上の入射光の吸光度を検出することを含み、異なる別の信号を検出することは、背景と比較して20%以上の入射光の吸光度を検出することを含む。更に他の実施形態では、1つの信号を検出することは、背景と比較して30%以上の入射光の吸光度を検出することを含み、異なる別の信号を検出することは、背景と比較して30%以上の入射光の吸光度を検出することを含む。観察者は、このような吸光度を視覚的に識別するために、複合画像(図5(E)参照)を見ることができる。例えば、明視野画像、デジタル強調画像等において着色点が、高い吸光度領域に対応することができる。
[00151] 一実施形態では、第1ターゲットおよび第2ターゲットは遺伝子核酸とする
ことができる。第1シグナリング共役体によって光の吸光度から第1ターゲットを検出することは、赤、オレンジ、黄色、緑、青、インディゴ、または紫から選択された第1着色信号を検出することを含む。第1着色信号は、第1シグナリング共役体の第1発色部分に関連付けられたスペクトル吸光度と関連付けられる。第2シグナリング共役体によって光の吸光度から第2ターゲットを検出することは、 赤、オレンジ、黄色、緑、青、インデ
ィゴ、または紫から選択された第2着色信号を検出することを含む。第2着色信号は、第2シグナリング共役体の第2発色部分に関連付けられたスペクトル吸光度と関連付けられる。これらの着色信号は、色コントラストを強調するために再定義することができる。第1スペクトル吸光度および第2スペクトル吸光度の重複スペクトル吸光度と関連付けられた第3着色信号を検出できるように、第1シグナリング共役体による光の吸光度による近接における重複が、第2シグナリング共役体と接して重複する。一例によれば、この第3色信号は、正常な遺伝子配列であり、第1および第2カラーは、遺伝子再配列または転座を知らせる。
ISH三色ブレーク・アパート・プローブ
[00152] シグナリング共役体は、特に、多重化検定、および転座プローブを使用する
検定には有用となることができる。図16(A)は、非小細胞肺癌に関連付けられたALK再配列に対する肺組織検査の切片上における2つの遺伝子プローブの二重染色の明視野顕微鏡写真であり、図16(B)は、エチル・アセテート溶液におけるファスト・レッドおよびファスト・ブルーのUV−Visスペクトルである。3’プローブが、ファスト・レッドを使用して検出され、5’プローブがファスト・ブルーを使用して検出された。図17(A)および図17(B)は、図16(B)のトレースを別々に示す。図16(B)は、ファスト・レッドおよびファスト・ブルーが広く明確なスペクトル吸収特性を有することを示す。ファスト・レッドは、約475nmおよび約560nmの間で強い吸収を示す。この範囲をカラー・ホイールと比較すると、スペクトル吸収特性に対応する予想色は、赤またはオレンジのいずれかとなる。この吸収範囲は非常に広いので、赤またはオレン
ジ・カラーになると予想する波長の全てを本質的に覆う。ファスト・ブルーは、約525nmおよび約625nmの間に強い吸収を呈し、ファスト・レッドよりも更に広い範囲である。再度図14(A)のカラー・ホイールを参照すると、525〜625nmの吸収は、カラー・ホイールのほぼ半分を覆い、青、インディゴ、および紫は補色となる。ファスト・レッドとファスト・ブルーとの間のコントラストを強調するために、光源はファスト・レッドを撮像するために475nm〜560nmの波長を放出することができ、他の光源は、ファスト・ブルーを撮像するために525〜625nm内の波長を放出することができる。強調画像(図示せず)は、吸収に基づいて生成することができる。
[00153] これより図16(A)を参照すると、ファスト・レッド・スポットが円(R
)によって誇張され、ファスト・ブルー・スポットが円(B)によって誇張され、1組のスポット、即ち、1つのファスト・レッド・スポットおよび1つのファスト・ブルー・スポットが、円(A)によって隣接するものとして標識され、互いに重複するファスト・レッド・スポットおよびファスト・ブルー・スポットが円(O)によって標識されている。予測されるように、ファスト・レッド・スポット(A)は赤であり、ファスト・ブルー・スポット(B)は、 青、インディゴ、および紫の混合から予測される 暗い青みがかった色に見える。円(A)内にある隣接スポットは、別個の赤および青スポットとして互いに明確に区別することができる。しかしながら、重複する赤および青スポットを含むスポットは、曖昧な色になる。これは、いくらか青みがかって見え、一方の辺上に赤い縁を有する。このスポットの色は、区別するのが難しく、特徴付けるのが難しい。重複するスポットに対して、ファスト・レッドおよびファスト・ブルーの吸収は、加算的であり、スペクトル吸収プロファイルは、約475nmから約625までにおよび、約550nmのλmaxを有する。再度カラー・ホイール(図14(A))を参照すると、この波長範囲は、ほ
ぼホイール全体を覆う。スペクトル全体を覆う幅広い吸収(Broad based absorption)は、通例、黒または茶色の外観を与え、これらの色の色合い(tint)、この場合、インディゴおよび紫は、殆ど吸収されない。図16(A)における顕微鏡写真を検討する病理医は、青からインディゴのスポット(B)と重複スポット(O)との間で区別するのに困難を来すかもしれない。
[00154] 異なるシグナリング共役体を故意に選択し、UV−visスペクトルの対向
端にある光を生成する発色部分を構成するように作ることができる。図18(A)および図18(B)は、開示するシグナリング共役体および方法をどのように使用して、2つの異なる発色部分を含むプローブに関連付けられた問題を解明するかについて示す。図18(A)を参照すると、黒色(「B」)を生成することができる発色部分が、赤色(「R」)を生成する発色部分と組み合わせて使用される。2つのシグナリング共役体が重複すると、観察される黒色(「B」)が黒発色部分によって生成されたのか、または赤および黒発色部分の間の重複によって生成されたのかについて不明確になる。しかしながら、図18(B)を参照すると、この問題は、組み合わせられると第3の一意の色を生成する2つの発色部分を使用することによって、解決することができる。例えば、紫発色部分(「P」)が黄色発色部分(「Y」)と組み合わせて使用されてもよい。これら2つの間の重複は、オレンジ信号(「O」)が生成されるので、容易に観察される。図19(A〜B)は、更に、視覚的に別個の第3カラーを作るために、2つの色をどのように近接して付着させることができるかも示す。具体的には、図19(A)は、文字「y」で示す黄色信号が、文字「m」で示すマジェンタ信号と組み合わせられて、文字「r」で示す鮮やかなサクランボ色を作ることを示す。図19(B)は、文字「m」で示されるマジェンタ信号および文字「t」で示される青緑色信号が組み合わさり、文字「b」で示す暗青色を作ることを示す。
照明
[00155] 当業者によって通例使用されるような、従前の白色光源およびフィルタ・シ
ステムを使用することができる。例えば、図1の照明装置140は、白色光源およびフィ
ルタを含み、1組の単色画像を生成することができる。単色画像の色は、再定義し、組み合わせて強調デジタル画像を生成することができる。他の開示する実施形態では、図3に関連付けて論じたように、より狭い照明光を生成するために、検出ステップにおいてLED光源を使用してもよい。このような光源は、1つ以上の異なるシグナリング共役体が使用される実施形態において、特に3つ以上の異なる共役体が使用されるときに、使用されるとよい。LED抗原は、開示されるシグナリング共役体によって吸収することができる波長の範囲に柔軟性を与えることができる。特定の開示する実施形態では、シグナリング共役体は、色原体が吸収する波長の光で試料を照明することにより、こうして色原体が光背景に対して暗く見えるようにして、独立して可視化することができる(光は光原体によって吸収され、そのスポットにおける光強度を低下させる)。例えば、図5(A)の試料を照明する光は、色原体210によって吸収され、色原体210が比較的暗く見える結果となる。特定の開示する実施形態では、色原体によって吸収されない光で試料を照明すると、色原体を「消失」させる。何故なら、 光の強度が色原体スポットを通過するときに
変化させられない(吸収されない)からである。例えば、図5(A)の試料を照明する光は、色原体211によって吸収されない。つまり、色原体211は、色原体210と比較すると、比較的明るく見える。組織特徴は、何らかの透過損失の原因になることもあり、光を吸収しない組織特徴が可視化される結果となる。単なる一例として、生体サンプル・スライドを緑色光で照明すると、ローダミン色原体が暗く見える原因となり、一方Cy5色原体は消える。逆に、赤色光でスライドを照明すると、Cy5色原体が暗く見える原因となり、ローダミン色原体が消える原因となる。
[00156] ある種の開示したシグナリング共役体を使用して染色されたスライドが、Olympus BX-51光学顕微鏡に合わせて改造されたマルチLED照明装置を使用して照明された。試料は、各除去段階において撮像された。2つのLED照明装置が使用された。1)オン/オフ制御ならびに赤色、緑色、および青色LED強度の独立した変動を可能にするためのポテンショメータおよびスイッチを有する3つのLEDダイナミクス BuckPlus電流
規制ドライバを有する Lamina RGB照明エンジン (EZ-43F0-0431)を含む自作の3−LED照明装置、および2)手動LED切り替えに合わせて修正された正立顕微鏡用のTOFRA, Inc.製RGBAコンピュータ制御LED照明装置。チラミド色原体のみを可視化するため
に、この色原体が吸収する波長の光で試料を照明すると、この色原体が、光背景に対して暗く現れる(光は色原体によって吸収され、そのスポットにおける光強度を低下させる)。この色原体によって吸収されない光で試料を照明すると、色原体は「消える」。何故なら、光が色原体スポットを通過するとき、この光の強度は変化しない(吸収されない)からである。
[00157] 図20(A〜B)は、(A)白色照明、(B)緑色光照明、および(C)赤
色光照明の下において、青緑色およびマジェンタ・シグナリング共役体によって二重染色されたサンプルの顕微鏡写真である。このスライドを赤色光で照明すると、青緑色シグナリング共役体が暗く見え、一方マジェンタ・シグナリング共役体が消える。逆に、このスライドを緑色光で照明すると、マジェンタ・シグナリング共役体が暗く見え、青緑色シグナリング共役体が消える。マジェンタおよび青緑色シグナリング共役体間の重複は、白色光照明、緑色光照明、および赤色光照明では暗くなる。図20(A、B)の画像は、再定義し(例えば、異なる色に変換する)、異なる共役体間でコントラストを高めるために組み合わせることができる。蛍光顕微鏡検査によって認められる利益の1つは、個々のプローブ信号間で切り替えるためにフィルタを使用できることである。本明細書において説明するシグナリング共役体を使用すると、発色化合物を使用する切り替えを可能にすることができる。LED電源は、キャパシタを置き換えることによって、容易に光学顕微鏡に追加することができる。LEDの発光波長は、図3におけるボタン467を押すことにより、または処理デバイス122によって自動的に、ユーザによって色間で切り替えることができる。また、LED電源は、顕微鏡の照明ポートに光をしかるべく誘導する光学素子と
共に、明視野顕微鏡の従来の照明源と置き換えることもできる。
チロシン強調
[00158] チラミド信号増幅および本明細書において説明するシグナリング共役体は、
サンプルからおよびまたはターゲットを検出し標識するために使用される分子/共役体から入手可能なチロシン残基と反応することができる。検出されるバイオマーカを包囲するタンパク質の量は、組織サンプル間における自然なばらつきに基づいて可変である。高いレベルで存在するバイオマーカを検出したとき、または多数のバイオマーカの同時局在を検出したとき、チラミド分子が付くことができるタンパク質の量は、付着プロセスにおける限界反応物質になる場合がある。組織におけるタンパク質の量が不十分であると、チラミドに基づく検出の拡散、バイオマーカの表現レベルをアンダーコールする(under-call)する潜在的可能性、および同時局在するバイオマーカの検出不能に至る可能性がある。これらの問題に対する1つの解決手段は、組織にタンパク質性溶液を塗布し、ホルマリンまたは他の固定手段を使用して、永続的にタンパク質を組織に架橋することによって、より多くのタンパク質結合部位(即ち、チロシン)を設けることである。
[00159] TSAによる作業の大部分は蛍光検出のコンテキストで行われてきた。蛍光
TSA検出は、蛍光体の1つのチラミド付着によって遂行され、付着時間は通例非常に短い。何故なら、蛍光検出の感度が高いからである。一方、従前からのTSAに関連付けられた背景は、長い付着時間が問題となる。対照的に、発色TSA検出は、チラミド共役体の多数の付着を含んでもよく、付着時間は長くなる。したがって、蛍光TSA技術は、発色TSA問題に対する解決手段を示唆しない。何故なら、問題の性質が非常に異なるからである。特に、チラミド反応種によるサンプルのチロシン結合部位の飽和(saturation)は、本明細書において説明する検出化学に特定的な独特な問題と考えられる。TSA蛍光研究から発するTSAに対する強調は、通例、反応性チラミド部分の拡散、およびTSA信号の欠如に向けられた。これらの問題に対する解決手段は、当技術分野において説明されている。例えば、拡散を減らすために、溶融性ポリマーの添加による反応溶液の粘度増大について記載され、HRP活動は、バニリンおよび/またはヨードフェノールの添加によって高められた。これらの解決手段は、本明細書において説明する検出化学について観察される問題の一部に取り組むためには不十分であった。
[00160] 種々の研究を通じて、識別された問題の厳しさは、使用されるサンプルに応
じて異なることが発見された。例えば、乳癌組織および前立腺癌組織は、異なるレベルの入手可能なチラミド結合部位を含むことが発見された。また、種々のIHCおよび/またはISH検査においてターゲットにされる細胞内区画におけるタンパク質内容(核、細胞膜、細胞質等)に差があることも知られている。したがって、TSA同時局在に必要であることに加えて、提案する発明は、タンパク質内容(例えば、チラミド結合部位)を正規化し、サンプル間およびサンプルを跨ぐばらつきを減らす。例示的な実施形態では、チラシン強調剤の添加により、本明細書において説明する検定のサンプル間およびサンプル内再現性を高めることができる。
[00161] 増幅共役体を使用するとき、本明細書において説明するように、特に本明細
書において説明するシグナリング共役体と併せて使用するとき、1つまたは複数のターゲットを包囲するタンパク質の量が不十分である場合がある。 高いレベルで存在するバイ
オマーカを検出したとき、または多数のバイオマーカの同時局在を検出したとき、チラミド系検出試薬が付くことができるサンプルにおけるタンパク質の量が、限界試薬になる場合がある。チラミド結合部位が不十分であると、反応速度の低下を招き、チラミド反応分子をターゲットから拡散させ、一般に、ターゲットの近傍において反応するシグナリング共役体の減量による応答の弱化に至る可能性がある。より多くの結合部位をサンプルに供給することにより、本明細書において説明するように、検出が強調されることが発見された。結合部位を強調する1つの入手可能な手法は、タンパク質溶液をサンプルに導入する
ことである。タンパク質が種々の洗浄を経ても残るように、そして後続の検出段階においてまたはその後にタンパク質が拡散しないように、固定剤(例えば、ホルマリン)を使用して、タンパク質をサンプルに架橋した。
[00162] 例示的な実施形態では、多重化または増幅におけるような、多数のシグナリ
ングまたは増幅共役体のために追加の結合部位を供給するために、タンパク質のようなチロシン含有試薬の追加量を生体サンプルと共に培養し、生体サンプルに固定することができる。例えば、転座プローブが使用されるとき、追加量のタンパク質を生体サンプルに追加することによって、一層明確な三色染色を得ることができる。加えて、この追加ステップを使用して、非特異的プローブ結合を減少させることができる。実施形態例は、BSAを生体サンプルに添加し、続いて固定剤(例えば、10%NBF)のような架橋剤を使用してタンパク質を固定することに関する。
[00163] 本解決手段の効率を実証するために、最初に、外生タンパク質をサンプルに
固定することができる(例えば、組織的に準備されたパラフィン埋め込み組織サンプル)ことが立証された。追加のプロテインを共有結合的にパラフィン組織切片に添付できることを実証するために、ウシ血清アルブミン(BSA)を、ハプテン(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−カルバミド、「BF」)によって官能性をもたせた。BSA−BFは、プローブが追加されないハイブリダイゼーション段階に続いて組織に添加され、全ての実験が、ベンチマークXT自動化スライド染色器 (Ventana Medical Systems, Inc., Tucson AZ)上で完了した。10μgのBSA−BF共役体をスライドに添加し、16分間培
養した。次いで、100μlの4%パラホルムアルデヒドを添加し、16分間培養することによって、BF−標識BSAタンパク質を組織に共有結合的に固定した。共有結合的に添付されたBSA−BFの存在は、ホースラディッシュ・ペルオキシダー(HRP)酵素によって官能基化された抗BFモノクロナール抗体を添加することによって検出された。図21(A〜B)は、BSA−BFが添加されなかったコントロール側の顕微鏡写真(図21(A))を示し、図21(B)は、BSA−BFが使用されたスライドの顕微鏡写真である。HRP酵素は、チラミド−TAMRAの付着に対して触媒作用を及ぼした。チラミド−TAMRAは、BSA−BFが組織に添付されたスライドをピンク色原体で染色する。BSA−BFの存在がないと、同じ実験条件の下で、ピンク色原体は付着されず(図21(A))、外生的に添加されたBSAタンパク質を、パラフィン埋め込み組織切片に永続的に固定できることを示唆する。
[00164] 本明細書において説明するように、シグナリング共役体を適用することは、
ある実施形態では、非染色チラミド付着サイクルに続いてチロシン強調を使用して一層効率的になることが発見された。この仮説を確認するために、チラミド−ハプテン共役体によるTSAの多数のラウンドに、 組織サンプルを受けさせた。図22(A〜B)は、本
明細書において説明するようなシグナリング共役体が付着された第1サンプル(図22(A))の顕微鏡写真であり、図22(B)は、シグナリング共役体による検出に先立って、チロシン強調溶液が使用された第2サンプルである。図22(A)および図22(B)の間の相違は、サンプル内におけるタンパク質の入手可能性がTSA付着によって減少すること、およびチロシン含有エンハンサの添加が一層ロバストな染色を得ることができるという仮説を支持する。タンパク質固定(図22(A))を行わないと、後続のシグナリング共役体の付着が、低レベルの発色信号を生成した。パラホルムアルデヒドを使用して外生タンパク質が組織切片に固定されたとき(図22(B))、シグナリング共役体は、著しくより強く多数の信号を生成した。このデータは、外生タンパク質を組織切片に固定することによって、追加のタンパク質結合部位を、チラミド試薬が共有結合的に添付するために供給することにより、チラミド信号増幅を強調することを示唆する。
[00165] サンプルにおいてターゲットを検出方法の1つの開示する実施形態は、サン
プルをターゲットに特異的な検出プローブと接触させるステップと、サンプルをチロシン・エンハンサと接触させるステップと、サンプルを架橋剤と接触させるステップと、サンプルをチラミド系検出試薬と接触させるステップと、サンプルにおいてターゲットを検出するステップとを含み、架橋試薬が、共有結合的にチロシン・エンハンサをサンプルに付ける。一実施形態では、この方法は、更に、サンプルを標識共役体と接触させるステップも含む。他の実施形態では、この方法は、更に、サンプルを増幅共役体と接触させるステップも含む。一実施形態では、この方法は、更に、第2ターゲットを検出するステップも含み、サンプルをチロシン・エンハンサと接触させるステップは、第1ターゲットのためにサンプルをチラミド系検出試薬と接触させるステップの後で、第2ターゲットのためにサンプルをチラミド系検出試薬と接触させるステップの前に行われる。一実施形態では、チロシン・エンハンサはタンパク質を含む。 他の実施形態では、チロシン・エンハンサ
はチロシン残基を含有するポリマーである。一実施形態では、架橋剤は、ホルマリンまたはホルムアルデヒドである。他の実施形態では、架橋剤は中性緩衝ホルマリン(NBF)である。他の実施形態では、架橋剤は、イミドエステル、スベルイミノ酸ジメチル、またはN−ヒドロキシスクシンイミド−エステル(NHSエステル)である。他の実施形態では、架橋剤は、光放射線である。一実施形態では、架橋剤は、UV光またはX線放射線である。一実施形態では、サンプルにおいてターゲットを検出するステップは、チラミド系検出試薬の少なくとも1つを撮像するステップを含む。他の実施形態では、ターゲットを検出するステップは、チラミド系検出試薬の少なくとも1つを蛍光的に撮像するステップを含む。他の実施形態では、ターゲットを検出するステップは、チラミド系検出試薬の少なくとも1つを撮像するステップを含み、チラミド系検出試薬は、明視野光学顕微鏡検査を使用して検出可能な発色信号を生成する。他の実施形態では、ターゲットを検出するステップは、シグナリング共役体を撮像するステップを含む。他の実施形態では、ターゲットを検出するステップは、チラミド系検出試薬の少なくとも1つの近傍において付着された色原体を撮像するステップを含む。
対比染色法
[00166] 対比染色法とは、1つ以上のターゲットを検出するためにサンプルが既に薬
剤によって染色された後に、それらの構造が一層容易に可視化できるように、サンプルを後処理する方法である。例えば、対比染色法は、任意に、免疫組織化学染料を一層はっきりさせるために、封入処理の前に使用される。対比染色は主染色とは色が異なる。ヘマトキシリン、エオシン、メチル・グリーン、メチレン・ブルー、ギムザ、アルシアン・ブルー、およびヌクレア・ファースト・レッドというように、多数の対比染色が周知である。ある例では、1つよりも多い染料を互いに混合して、対比染料を生成することができる。これによって、柔軟性および染料を選択する能力が得られる。例えば、第1染料は、特定の属性を有するが、異なる所望の属性を有さない混合物のために選択することができる。第2染料は、所望の属性がなくなったことを表示する混合物に添加することができる。例えば、トルイジン・ブルー、DAPI、およびポンタミン・スカイ・ブルーを一緒に混合して対比染料を形成することができる。本開示の1つの態様は、当技術分野において周知の対比染色方法が、開示する方法および組成物と組み合わせることが可能であり、染色サンプルが読み手によって容易に解釈可能にすることである。
V.共役体
[00167] ここに開示するのは、開示するシステムおよび方法における使用に適した種
々の異なる共役体である。本開示によって想定される共役体の種々のクラスについて、以下で説明する。広範囲の異なる共役体を多重化に使用することができる。
検出プローブ
[00168] 検出プローブは、サンプル、例えば、生体サンプルにおいてターゲットを検
出するために使用することができる。検出プローブは、ターゲットに特異的に結合することができる特異的結合部分を含むことができる。検出プローブは、標識共役体によって検出を可能にする1つ以上の特徴を含む。代表的な検出プローブは、核酸プローブおよび主抗体プローブを含む。
[00169] 例示的な実施形態では、検出プローブはオリゴヌクレオチド・プローブまた
は抗体プローブである。本明細書において説明するように、検出プローブは間接検出プローブでもよい。間接検出プローブは、直接検出されるように構成されない。特に、プローブは、直接可視化の目的のために構成されない。代わりに、検出プローブは、一般に、2つのタイプの内1つであるが、これらは相互に排他的なタイプではない。第1タイプの検出プローブは、ハプテン化され、第2タイプの検出プローブは、特定の種の抗体に基づく。他のタイプの検出プローブも当技術分野では周知であり、本開示の範囲内に入るが、これらは一般に実施されることが少なく、例えば、アプタマー標識プローブまたは抗体、核酸タグ付けプローブまたは抗体、二重結合能力を設けるように他の抗体に共有結合的に結合された抗体(例えば、結合技法によって、または拡散タンパク質によって)がある。このように構成されないが、検出プローブの一部は、それらの直接検出を可能にするプロパティを有してもよい。例えば、ハプテン蛍光体を使用することは、本開示の範囲内に該当する。一実施形態によれば、検出プローブはハプテン標識を含む。当業者は、種々の手法を使用して、検出プローブに1つ以上のハプテンで標識できることを認めよう。検出プローブは、オキサゾール・ハプテン、ピラゾール・ハプテン、チアゾール・ハプテン、ニトロアリール・ハプテン、ベンゾフラン・ハプテン、トリテルペン・ハプテン、尿素ハプテン、チオ尿素・ハプテン、ロテノイド・ハプテン、クマリン・ハプテン、シクロリグナン・ハプテン、ジニトロフェニル・ハプテン、ビオチン・ハプテン、ジゴキシゲニン・ハプテン、フルオレスセイン・ハプテン、およびローダミン・ハプテンから成る1群から選択されたハプテン 含むことができる。他の例では、検出プローブは、山羊、ウサギ、鼠等
のような第2種から誘導されるモノクロナール抗体である。ハプテン標識検出プローブを標識するために、標識共役体は抗ハプテン抗体を含む。種に基づく検出プローブを標識するために、標識共役体に抗種抗体を構成してもよい。
[00170] 例示的な実施形態では、本開示は、1つ以上のターゲット核酸シーケンスに
ハイブリダイズすることができる核酸プローブについて説明する。核酸プローブは、好ましくは、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション、サザン・ブロット法、またはノーザン・ブロット法に適した条件というような、ハイブリダイゼーションに適した条件下で、ターゲット核酸シーケンスにハイブリダイズする。好ましくは、検出プローブ部分は、RNA、DNA、LNA、PNA、またはその組み合わせというような、任意の適した核酸を含み、リボヌクレオチドおよびディオキシリボヌクレオチドのような標準的なヌクレオチド、およびヌクレオチド類似体の双方を含むことができる。LNAおよびPNAは、DNAおよびDNAまたはDNAおよびRNA間で形成されるものよりも安定である(即ち、増加したTmを有する)ハイブリダイゼーション複合体を形成する核酸類似体の2つの例である。LNAおよびPNA類似体は、化学合成の間に従前からのDNAおよびRNAヌクレオシドと組み合わせて、プローブとして使用することができるハイブリッド核酸分子を得ることができる。LNAおよびPNA類似体の使用により、ハイブリダイゼーション複合物のTmのようなハイブリダイゼーション・パラメータの変更が可能になる。これは、ターゲット・プローブ部分のターゲット核酸シーケンスへのハイブリダイゼーションに求められる条件と同一または同様の条件下で、ターゲット核酸プローブの検出ターゲット・シーケンスにハイブリダイズする検出プローブの設計を可能にする。
[00171] 適した核酸プローブは、手作業で、または温度、長さ、GCコンテンツ等の
ような所望のパラメータに基づいてプローブ選択を最適化するコンピュータ実装アルゴリズムの補助によって選択することができる。インターネットを通じたまたはパーソナル・コンピュータ上での使用のために、多数のコンピュータ実装アルゴリズムまたはプログラムが入手可能である。例えば、多数の結合領域をターゲット核酸シーケンス(例えば、ゲノム・ターゲット核酸シーケンス)から生成するために、繰り返し(または他の望ましくない、例えば、背景生成)核酸シーケンスがないシーケンスの領域を、例えば、手作業で
、またはRepeatMaskerのようなコンピュータ・アルゴリズムを使用することによって識別する。反復枯渇および一意特定プローブ(repeat depleted and uniquely specific probes)を作成する方法が、例えば、米国特許出願第2012/0070862号において見られる。数キロベースから数百キロベースに及ぶターゲット核酸シーケンス(例えば、ゲノム・ターゲット核酸シーケンス)内において、通例、実質的にまたは好ましくは完全に、繰り返し(または他の望ましくない、例えば、背景生成)核酸シーケンスがない多数の結合領域が識別される。
[00172] ある実施形態では、例えば、ハプテン化ヌクレオシドの使用によって、ハプ
テンが核酸プローブに組み込まれる。ハプテンおよび他の標識をdNTPに共役する方法(例えば、標識プローブへの組み込みを容易にするため)は、当技術分野では周知である。実際、多数の標識dNTPが、例えば、Invitrogen Detection Technologies (Molecular Probes, Eugene, Oreg.) から市販されている。標識は、リン酸塩(例えば、α、β、またはγリン酸塩)、環状または環外位置、または糖分のように、dNTP上の任意の位置において、直接または間接的にdNTPに取り付けることができる。プローブは、任意の適した周知の核酸合成方法によって合成することができる。ある実施形態では、検出プローブは、ホスホラミダイト・ヌクレオシドおよび/またはホスホラミダイト・ヌクレオシド類似品を使用して、化学的に合成される。例えば、ある実施形態では、標準的なRNAまたはDNAホスホラミダイト・ヌクレオシドを使用することによって、プローブが合成される。ある実施形態では、LNAホスホラミダイトまたはPNAホスホラミダイトのいずれかを、単独でまたは標準的なホスホラミダイト・ヌクレオシドと組み合わせて使用して、プローブが合成される。ある実施形態では、ハプテンが、所望の検出可能な部分を含有する塩基脱落のホスホラミダイト上に導入される。検出プローブ合成のためには、他の方法も使用することができる。例えば、LNA類似体またはLNA類似体と標準ヌクレオチドとの組み合わせから作られるプライマーを、プローブの残り部分の転写のために使用することができる。他の例として、検出可能な部分を含むプライマーが、プローブの残り部分の転写に利用される。更に他の実施形態では、例えば、転写または化学合成によって生成されたプローブのセグメントを、酵素または化学結紮によって接合することもできる。
[00173] 検出プローブの検出可能部分(moiety portion)において、種々のハプテンを
使用することができる。このようなハプテンは、限定ではなく、ピラゾール、特に、ニトロピラゾール、ニトロフェニル化合物、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素およびチオ尿素、特に、フェニル尿素、更にもっと特定すると、フェニル・チオ尿素、ここではロテノイドとも呼ばれるロテノンおよびロテノン誘導体、オキサゾールおよびチアゾール、特に、オキサゾールおよびチアゾール・スルホンアミド、クマリンおよびクマリン誘導体、ポドフィロトキシンおよびポドフィロトキシン誘導体によって例示されるシクロリグナン、ならびにその組み合わせを含むことができる。フルオレセイン誘導体(FITC、TAMRA、テキサス・レッド等)、ジゴキシゲニン(DIG)、5−ニトロ−3−ピラゾールカルバミド(ニトロピラゾール、NP)、4,5−ジメトキシ−2−ニトロシンナミド(ニトロシナミド、NCA)、2−(3,4−ジメトキシフェニル)キノリン−4−カルバミド(フェニルキノロン、DPQ)、2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−カルバミド(ベンゾフラザン、BF)、3−ヒドロキシ−2−キノキサリンカルバミド(ヒドロキシ・キノキサリン、HQ)、4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン−4’−スルホンアミド(DABSYL)、ロテノン・イソオキサゾリン(Rot)、(E)−2−(2−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b][1,4]ジアゼピン−4−イル)フェノキシ)アセトアミド(ベンゾヂアゼピン、DB)、7−(ジエチルアミノ)−クマリ
ン−3−カルボン酸(クマリン343、CDO)、2−アセトアミド−4−メチル−5−チアゾール・スルホンアミド(チアゾール・スルホンアミド、TS)、およびp−メトキシフェニルピラゾポドフィルアミド(ポド)。これらのハプテン、およびプローブにおけ
るこれらの使用については、米国特許第7,695,929号において更に詳細に記載さ
れている。
標識共役体および副標識共役体
[00174] 例示的な実施形態では、標識共役体は、特異的に検出プローブに結合し、タ
ーゲットに酵素で標識するように構成される。先に説明したように、第2種からまたはハプテンを含むように構成された検出プローブは、抗種抗体または抗ハプテン抗体のいずれかによって検出することができる。標識共役体を構成する1つの手法は、酵素を抗種または抗ハプテン抗体に直接結合することであった。この種の共役体は、種々のリンカを含んでも含まなくてもよく、米国特許第7,695,929号にも記載されている。標識共役体は、1つ以上の酵素を含む。酵素の例には、酸化還元酵素またはパーオキシダーゼを含む。シグナリング共役体は、潜在反応部分および発光部分を含む。酵素は、潜在反応部分の反応部分への変換に触媒作用を及ぼし、反応部分は、ターゲットに近接してまたは直接その上において、生体サンプルに共有結合的に結合する。
[00175] 副標識共役体は、本明細書において説明するように、増幅共役体と併せて使
用される。副標識共役体は、標識共役体と同様に構成されるが、検出共役体に共役されたハプテンの代わりに、増幅プロセスによって付着されたハプテンを標識するように構成されることを除く。例示的な実施形態では、副標識共役体は酵素に共役された抗ハプテン抗体を含む。一実施形態では、この酵素は酸化還元酵素またはパーオキシダーゼである。
シグナリング共役体
[00176] 本明細書において開示する他のタイプの共役体にシグナリング共役体がある
。シグナリング共役体は、本明細書において説明する方法にしたがって、ターゲットを検出するために使用される、検出可能な信号を供給する。特定の開示する実施形態では、シグナリング共役体は潜在反応部分および発色団部分を含む。
[00177] シグナリング共役体は、従前から入手可能な色原体よりも選択的に光を吸収
するように構成することができる。検出は、シグナリング共役体による光の吸収によって実現され、例えば、入射光の少なくとも約5%の吸収があれば、ターゲットの検出が容易になる。他のもっと暗い染料では、入射光の少なくとも約20%が吸収される。可視スペクトル内における光の非均一的な吸収のために、発色団部分が着色されて見える。本明細書において開示する発色共役体は、それらの吸収によって、着色されて見えることができ、発色共役体は、発色団部分に関連付けられたスペクトル吸光度に応じて、赤、オレンジ、黄色、緑、インディゴ、または紫に見えることがある。他の態様によれば、発色団部分が、従前から使用されている色原体(例えば、DAB、ファスト・レッド、ファスト・ブルー)の吸光度よりも狭いスペクトルの吸光度を有してもよい。例示的な実施形態では、第1シグナリング共役体の第1発色団部分に関連付けられたスペクトル吸収が、約30nmおよび約250nmの間、約30nmおよび約150nmの間、約30nmおよび約100nmの間、または約20nmおよび約60nmの間の半値全幅(FWHW)を有する。
[00178] 狭いスペクトル吸光度は、シグナリング共役体の発色団部分が、従前の色原
体とは異なって分析されることを可能にする。従前からの色原体と比較して強調された特徴を有するが、シグナリング共役体の検出は単純なままである。検出は、明視野顕微鏡、本明細書において開示した撮像システム、または同等のデジタル・スキャナを使用することを含むことができる。
[00179] 開示するシグナリング共役体の実施形態を図10(A)および図10(B)
に示す。図10(A〜B)を参照すると、シグナリング共役体412は、潜在反応部分404と発色団部分6とを含む。他の実施形態では、代替シグナリング共役体414は、発色団部分406を潜在反応部分404に共役するためのリンカ408を含んでもよい。特
定の開示する実施形態では、シグナリング共役体は次の一般式1を有する。
開示するシグナリング共役体は、通例、本明細書において説明するような潜在反応部分を含む。例えば、潜在反応部分は、開示した増幅共役体のそれと同じでも、異なってもよい。しかしながら、各潜在反応部分は、反応ラジカル種を形成することができ、ここで規定した一般式を有する。化学式1に示すように、シグナリング共役体は任意のリンカを含むことができる。リンカが使用される場合、本明細書において開示するリンカの内任意のものから選択すればよい。特定の開示する実施形態では、リンカは、シグナリング共役体の親水性溶液溶解性を高めるため、および/または生体サンプル上における共役機能を高めるために選択される。特定の開示する実施形態では、リンカは、ポリエチレン・グリコール・リンカのようなアルキレン・オキシド・リンカであるが、本明細書において開示するリンカの内任意のものを、シグナリング共役体に使用することができる。
発色団部分
[00180] 発色団部分は、一般に、その色に関与する分子の部分として説明される。色
が発生するのは、分子が可視光のある波長を吸収し、他を透過または反射させるときである。発色団は、2つの異なる分子軌道間のエネルギ差が、可視スペクトルの範囲に入る分子内の領域であり、その領域と相互作用する可視光を吸収することができる。吸光度は、通常、その基底状態から励起状態への電子遷移に関連付けられる。可視スペクトル内において基底状態から励起状態へのエネルギ差を有する分子は、多くの場合、共役炭素構造である。これらの化合物では、電子は、多くの場合芳香系における、一連の交互する1つおよび二重結合によって作られる、拡張パイ軌道であるエネルギ・レベル間で遷移する。共通例には、種々の食品着色料、繊維用染料(アゾ化合物)、pHインディケータ、リコペン、β−カロチン、およびアントシアニンを含む。分子の構造は、エネルギ・レベルとなるパイ軌道の特性を分与する。通例、分子においてより非飽和な(多数の)接合によって共役系を延ばす、即ち、延長すると、吸収が長い方の波長にずれる傾向がある。ウッドワード・フィーザー則は、共役パイ結合系がある有機化合物において、紫外線−可視最大吸収波長を近似するために使用することができる。
[00181] 例示的な実施形態では、金属錯体が発色団となることができる。例えば、配
位子を有する配位化合物における金属は、多くの場合可視光を吸収する。例えば、クロロフィルおよびヘモグロビン(脊椎動物の血液における酸素輸送体)は、金属錯体を含む発色団である。これら2つの例では、金属がポルフィリン環の中心において錯体化される。金属は、ヘモグロビンのヘム基における鉄、またはクロロフィルの場合にはマグネシウムである。ポルフィリン環の高度に共役化されたパイ結合系は、可視光を吸収する。中央金属の性質は、メタロポルフィリン錯体の吸収スペクトル、または励起状態寿命のようなプロパティにも影響を及ぼす可能性がある。
[00182] 例示的な実施形態では、発色団部分はクマリンまたはクマリン誘導体である
。クマリンおよびクマリン誘導体の一般式を以下に示す。
[00183] 式2を参照して、R1〜R6をここで定義する。R1〜R6置換基の少なくとも1つは
、通例、リンカまたは潜在反応部分(例えば、チラミドまたはチラミド誘導体)に結合される。ある種の実際の実施形態では、リンカまた潜在反応部分(例えば、チラミドまたはチラミド誘導体)に結合するためのR置換基を有すると示される位置を使用した。4位における水素以外の置換基は、蛍光を抑制すると考えられるが、本開示の範囲では有用である。Yは酸素、窒素、または硫黄から選択される。かかる化合物の形成に使用可能なR−R置換基の内2つ以上は、例示する一般式を有する化合物に結合または融合される環状系における原子、典型的には炭素原子であってもい。これらのタイプの化合物の実施形態例は、次を含む。
当業者は、環がヘテロ環および/またはヘテロアリルでも可能であることを認めよう。
[00184] 実際の実施形態は、通例、少なくとも1つのリンカ、チラミド、またはチラ
ミド誘導体結合位置を有する融合A−D環系を含み、可能な1つの結合位置を以下に示す。
[00185] 式3を参照すると、RおよびY可変基は、本明細書において述べた通りであ
る。最も典型的には、R〜R14は、独立して水素または低分子アルキルである。クマリン系発色団特定の実施形態は、2,3,6,7−テトラヒドロ−11−オキソ−1H,5H,11H−[I]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−10−カルボン酸
および7−(ジエチルアミン)クマリン−3−カルボキシル酸
を含む。
[00186] 本明細書における使用に適した他のクラスの発色部分は、ジアゾ含有色原体
を含む。これらの特異的な発色団は、以下に示すような式を有する。
[00187] この式に関して、環Eは、フェニル、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾ
ール等から選択されればよい。各Rは、独立して、本明細書において引用した基から選択されればよい。特定の開示する実施形態では、各Rは、独立して、アミン、置換アミン、フェニル、ヒドロキシル、スルホニル・クロライド、スルホン酸塩、カルボキシレート、およびその組み合わせから選択され、nは0から5までの範囲を取ればよい。特定の開示する実施形態では、以下のジアゾ発色団から選択されてもよい。約436nmの λmaxを有し、以下の化学構造を有するDABSYL。
および約427nmの λmaxを有し、以下の化学構造を有するタートラジン。
[00188] 更に他の実施形態では、発色団はトリアリルメタン化合物であってもよい。
本開示の範囲内におけるトリアリルメタン化合物は、次の式を有することができる。
[00189] 式4に関して、各Rは、独立して、水素、脂肪族、アリル、およびアルキ
ル・アリルから選択されればよく、各R24は、アミン、置換アミン、ヒドロキシル、アルコキシル、およびその組み合わせから選択されればよく、各nは、独立して、0から5の範囲を取ればよい。発色団の例を以下に示す。
および
[00190] 他の開示する実施形態では、発色団部分は、次の式を有してもよい。
ここで、各Rは、独立して、水素、脂肪族、アリル、およびアルキル・アリルから選択されればよく、 各R24は、独立して、置換アリルを含む、本明細書において示した基
から選択すればよく、置換アリル基は、本明細書において開示されるR〜R23の内任意の1つから選択される1つ以上の基で置換されたアリル基を含む。Yは窒素または炭素とすればよい。Zは窒素または酸素とすればよい。nは、0から4の範囲を取ればよい。特定の開示する実施形態では、Zは窒素であり、各Rは、脂肪族であり、Raを含むアミンが添付される環の炭素原子によって溶解され、または各Rは、一緒に結合して4または六員脂肪族または芳香族環を形成してもよく、更に脂肪族または芳香族環が置換されてもよい。実施形態例を次のように示す。
およびテトラメチルローダミン(TMR、TAMRA、および反応性イソチオシアナート誘導体)、ならびにQSY7、QSY9、およびQSY21染料のようなジアリルローダミン誘導体というようなその他のローダミン誘導体。
[00191] 発色団の例は、DAB、AEC、CN、BCIP/NBT、ファスト・レッ
ド、ファスト・ブルー、フクシン、NBT、ALK GOLD、カスケード・ブルー・アセチル・アジド、ダポキシルスルフォリック酸(Dapoxylsulfonic acid)/カルボン酸スクシンイミジル・エステル、DY−405、Alexa Fluor405スクシンイミジル・エステル、カスケード・イエロー・スクシンイミジル・エステル、ピリジルオキサゾール・スクシンイミジル・エステル(PyMPO)、パシフィック・ブルー・スクシンイミジル・エステル、DY−415、7‐ヒドロキシクマリン‐3‐カルボン酸スクシンイミジル・エステル、DYQ−425、6−FAMホスホラミダイト、ルシファ・イエロー、ヨードアセトアミド、Alexa Fluor430スクシンイミジル・エステル、ダブシル・ スクシンイミジル・エステル、NBD塩化物/フッ化物、QSY35スクシンイ
ミジル・エステル、DY−485XL、Cy2スクシンイミジル・エステル、DY−490、オレゴン・グリーン488カルボン酸スクシンイミジル・エステル、Alexa Fluor488スクシンイミジル・エステル、BODIPY493/503 C3スクシンイミジル・エステル、DY−480XL、BODIPY FL C3スクシンイミジル・エステル、BODIPY FL C5スクシンイミジル・エステル、 BODIPY
FL−Xスクシンイミジル・エステル、DYQ−505、オレゴン・グリーン514カルボン酸スクシンイミジル・エステル、DY−510XL、DY−481XL、6−カルボキシ −4’,5’−ジクロロ −2', 7'− ジメトキシ − フルオレセイン・スクシンイミジル・エステル(JOE)、DY−520XL、DY−521XL、BODIPY R6G C3スクシンイミジル・エステル、エリスロシン・イソチオシアナート、5− カル
ボキシ−2’,4’,5’,7’−ブロムオスルフルオロセイン・スクシンイミジル・エス
テル、Alexa Fluor532スクシンイミジル・エステル、6−カルボキシ−2’,4,4’,5’7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン・ スクシンイミジル・エステル
(HEX)、BODIPY 530/550 C3 スクシンイミジル・エステル、DY
−530、BODIPY TMR−X スクシンイミジル・エステル、DY−555、D
YQ−1、DY−556、Cy3スクシンイミジル・エステル、DY−547、DY−549、DY−550、Alexa Fluor555スクシンイミジル・エステル、Alexa Fluor546スクシンイミジル・エステル、DY−548、BODIPY558/568 C3スクシンイミジル・エステル、ローダミン赤−Xスクシンイミジル・エステル、QSY7スクシンイミジル・エステル、 BODIPY564/570 C3
スクシンイミジル・エステル、BODIPY576/589 C3スクシンイミジル・エステル、カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、スクシンイミジル・エステル、Alexa Fluor568 スクシンイミジル・エステル、DY−590、BODIPY5
81/591 C3 スクシンイミジル・エステル、DY−591、BODIPY TR−X スクシンイミジル・エステル、 Alexa Fluor594 スクシンイミジル
・エステル、DY−594、カルボキシナフトフルオレセイン・ スクシンイミジル・エ
ステル、DY−605、DY−610、 Alexa Fluor610スクシンイミジ
ル・エステル、DY−615、BODIPY630/650−X スクシンイミジル・エ
ステル、エリオグラウシン、Alexa Fluor633スクシンイミジル・エステル、エリオグラウシン、Alexa Fluor635 スクシンイミジル・エステル、D
Y−634、DY−630、DY−631、DY−632、DY−633、DYQ−2、DY636、BODIPY650/665−Xスクシンイミジル・エステル、DY−635、Cy5スクシンイミジル・エステル、Alexa Fluor647スクシンイミジル・エステル、DY−647、DY−648、DY−650、DY−654、DY−652、DY−649、DY−651、DYQ−660、DYQ−661、Alexa Fluor660スクシンイミジル・エステル、Cy5.5スクシンイミジル・エステル、DY−677、DY−675、DY−676、DY−678、Alexa Fluor680スクシンイミジル・エステル、DY−679、DY−680、DY−682、DY−681、DYQ−3、DYQ−700、 Alexa Fluor700スクシンイミジル
・エステル、DY−703、DY−701、DY−704、DY−700、DY−730、DY−731、DY−732、DY−734、DY−750、Cy7スクシンイミジル・エステル、DY−749、DYQ−4、およびCy7.5スクシンイミジル・エステルから成る基から選択される。
[00192] 特定の開示する実施形態では、発色団部分は、タートラジン、7−( ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸ヘキシル、スクシンイミジル・エステル、ダブシル
・スルホニル・クロライド、フルオレッセイン・イソチオシアネート(FITC)カル
ボキシ・スクシンイミジル・エステル(DY−495)、ローダミン・グリーン・カルボン酸スクシンイミジル・エステル(DY−505)、エオシン・イソチオシアネート(EITC)、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン・スクシン
イミジル・エステル(TET)、カルボキシローダミン6Gスクシンイミジル・エステル、カルボキシテトラメチルローダミン・スクシンイミジル・エステル(TMR、TAMRA)(DY−554)、QSY9スクシンイミジル・エステル、スルホローダミンBスルホニル・クロリド(DY−560)、テキサス・レッド(スルホローダミン101)、ガロシアニン、ファスト・グリーンFCF、マラカイト・グリーン、イソチオシアナート、およびQSY21スクシンイミジル・エステルから選択すればよい。ある種の開示する実施形態では、シグナリング共役体の発色団部分は、ダブシル・スルホニル・クロライド、FITC、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、スクシンイミジル・エステル、ローダミン・グリーン・カルボン酸スクシンイミジル・エステル(DY−505)、エオシン・イソチオシアネート(EITC)、6−カルボキシル−2’,4,7,7’−テ
トラクロロフルオレセイン・ スクシンイミジル・エステル(TET)、カルボキシテト
ラメチルローダミン・ スクシンイミジル・エステル(TMR、TAMRA)(DY−5
54)、スルホローダミンBスルホニル・クロライド(DY−560)、テキサス・レッ
ド(スルホローダミン101)、およびガロシアニンである。
[00193] シグナリング共役体に使用される他の発色団部分の例を、以下に示す。
[00194] シグナリング共役体は、生体サンプルにおけるターゲットの明視野撮像に特
に適した吸収最大値および吸収幅を有することができる。一実施形態では、シグナリング共役体は、約350nmおよび約800nmの間、約400nmおよび約750nmの間、または約400nmおよび約700nmの間のλmaxを有する吸収ピークを与えるように構成される。これらの波長範囲は、ヒトが見ることができる色に変換するので、特に興味深い。しかしながら、本明細書において説明する手法は、更に、近赤外線(NIR)、赤外線(IR)、または紫外線(UV)診断方法に有用な発色団部分にも適用することができる。シグナリング共役体の不可視ピークを撮像し、色に変換することができる。ある実施形態では、図1および図3の照明装置140が1つ以上のIRおよび/またはUV源を含むことができる。図3を参照すると、例えば、光源180は、IR/UVエネルギを試料に向けて発光するIRおよび/またはUV源とすることができる。画像キャプチャ・デバイス120は、試料からのIR/UVエネルギに基づいて試料の画像を取り込むように構成することができる。取り込まれた画像を、見ることができるカラー画像(例えば、擬似色単色画像)に変換することができる。多重化のために多数の見ることができるカラー画像が取り込まれる場合、この1組の画像を組み合わせて複合画像(例えば、デジタル強調画像)を生成することができる。
[00195] 一実施形態では、シグナリング共役体は、赤、オレンジ、黄色、緑、インデ
ィゴ、紫、またはこれらの組み合わせから成る1群から選択された着色信号(colored signal)を生成するように構成される。一実施形態では、シグナリング共役体は、約400nmおよび430nmの間のλmaxを有する。他の実施形態では、シグナリング共役体は黄色信号を生成する。一実施形態では、シグナリング共役体は、約430nmおよび490nmの間のλmaxを有する。他の実施形態では、シグナリング共役体はオレンジ信号を生成する。一実施形態では、シグナリング共役体は、約490nmおよび560nmの
間のλmaxを有する。他の実施形態では、シグナリング共役体は赤信号を生成する。一実施形態では、シグナリング共役体は約560nmおよび570nmの間のλmaxを有する。他の実施形態では、シグナリング共役体は紫信号を生成する。一実施形態では、シグナリング共役体は約570nmおよび580nmの間のλmaxを有する。他の実施形態では、シグナリング共役体はインディゴ信号を生成する。一実施形態では、シグナリング共役体は約580nmおよび620nmの間のλmaxを有する。他の実施形態では、シグナリング共役体は青信号を生成する。一実施形態では、シグナリング共役体は約620nmおよび約800nmの間のλmaxを有する。他の実施形態では、シグナリング共役体は青−緑信号を生成する。
[00196] 一実施形態では、シグナリング共役体は、約20nmおよび約60nmの間
、約30および約100nmの間、約30および約150nmの間、または約30および約250nmの間の半値全幅(FWHM)を有するように構成される。特定の開示する実施形態では、FWHMは、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約50nm未満である。例示的な実施形態では、約150nm未満のFWHMを有するシグナリング共役体について説明する。一実施形態では、FWHMは、約150nm未満、約120nm未満、約100nm未満、約80nm未満、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約10nmおよび150nmの間、約10nmおよび120nmの間、約10nmおよび100nmの間、約10nmおよび80nmの間、約10nmおよび60nmの間、約10および50nmの間、または約10nmおよび40nmの間である。
[00197] 他の実施形態では、シグナリング共役体は、約5,000M−1cm−1よ
りも大きく約250,000M−1cm−1までの平均モル吸光係数を有する。Cyダイは、200,000M−1cm−1よりも大きな消衰係数を有することができる。例えば、平均モル吸光率は、約5,000M−1cm−1より大き、約10,000M−1cm−1よりも大きい、約20,000M−1cm−1よりも大きい、約40,000M−1cm−1よりも大きい、または約80,000M−1cm−1よりも大きい。更に他の実施形態では、シグナリング共役体は、少なくとも約0.1mMから約1Mの水溶解度を有する。例えば、シグナリング共役体は、少なくとも約0.1mM、少なくとも約1mM、少なくとも約10mM、少なくとも約100mM、または少なくとも約1Mの水溶解度を有する。一実施形態では、シグナリング共役体は、約1か月超から約30か月までの間、緩衝水溶液における沈殿に対して安定である。例えば、シグナリング共役体は、約1か月超、約3か月超、約6か月超、約12か月超、約18か月超、または約24か月超の間、緩衝水溶液における沈殿に対して安定である。
[00198] 図23(A)は、図24に示す吸収スペクトルを有するシグナリング共役体
を使用して染色されたタンパク質(Calu−3異種移植におけるHER2(4B5)IHC)第1顕微鏡写真であり、図23(B)は第2顕微鏡写真である。トレースAは、図23(A)に使用されたシグナリング共役体に対応し、トレースBは図23(B)に使用されたシグナリング共役体に対応する。尚、各シグナリング共役体は、染色に先立って水溶液分光分析(spectrometry in solution)によって、HER2を検出した後のスライド上で分析されたことを注記しておく(破線のトレースは、組織上で得られたスペクトルを表す)。図23(A)に示す組織を染色するために使用されたシグナリング共役体は、約456nmのλmaxおよび約111nmのFWHMを有する。図23(B)に示す組織を染色するために使用されたシグナリング共役体は、約628nmのλmaxおよび約70nmのFWHMを有する。
潜在反応部分
[00199] 潜在反応部分は、サンプルまたは他の検出成分と共有結合的に結合できる反
応種を形成するために、触媒活動を受けるように構成される。触媒活動は、1つ以上の酵
素(例えば、酸化還元酵素、およびホースラディッシュ・ペルオキシダーゼのようなペルオキシダーゼ酵素)によって駆動される。ペルオキシドがあると、これらの酵素は反応種の形成に対して触媒作用を及ぼす。これらの反応種、例えば、フリー・ラジカルは、それらの生成に近接する、即ち、酵素の近くにあるフェノール類と反応することができる。サンプルにおいて入手可能なフェノール類は、多くの場合、タンパク質内部にあるチロシル残基である。したがって、ペルオキシターゼ酵素およびペルオキサイド(例えば、過酸化水素)の存在下で潜在反応部分をタンパク質含有サンプルに添加することができる。ペルオキシターゼ酵素およびペルオキサイドは、ラジカル形成に対して触媒作用を及ぼし、続いて反応部分に、生体サンプルとの共有結合を形成させることができる。
[00200] 特定の開示する実施形態では、潜在反応部分は少なくとも1つの芳香族部分
を含む。実施形態例では、潜在反応部分はフェノール部分を含み、チロシン・アミノ酸のフェノール基に結合する。しかしながら、所望のターゲットにおけるまたはそれに近接する潜在反応部分によって、特異的に標識共役体をサンプルと結合することが望ましい。この目的は、本明細書において説明したように、ターゲット領域上に酵素を固定化することによって達成することができる。固定された酵素に近接する潜在反応部分のみが、反応し、固定化された酵素の近傍においてまたは近接してチロシン残基との結合を形成する。チロシン残基は、酵素自体内のチロシン残基、酵素が共役される抗体内のチロシン残基、および/または固定化された酵素に近接するサンプル内におけるチロシン残基を含む。特定の開示する実施形態では、標識共役体は、固定化された酵素の約800nm以内、約100nm以内、約10nm以内、または約5nm以内というように、近接して結合することができる。例えば、チロシン残基は、固定化された酵素から、約10オングストロームから約800nm、約100オングストロームから約50nm、約10オングストロームから約10nm、または約10オングストロームから約5nmの距離以内であればよい。このような近接結合は、本明細書において開示する検出方法と共に使用される従来の染色方法と少なくとも同程度の特異性でターゲットが検出されることを可能にする。例えば、開示する方法の実施形態は、細胞下構造を区別すること、例えば、核膜と核領域、細胞膜と細胞質領域を区別することを可能にする。
[00201] 潜在反応部分は、以下に示す一般式とすることができる。
[00202] 式5を参照すると、R25は、ヒドロキシル 、エーテル、アミン、および置換アミンから成る1群から選択され、 R26は、アルキル、アルケニル、アルキニル、
アリル、ヘテロアリル、−OR、−NR、および−SRから成る群から選択され、ここで、mは1〜20、nは1〜20であり、Zは、酸素、硫黄、およびNRから成る1群から選択され、Rは、水素、脂肪族、アリル、およびアルキル・アリルから成る1群から選択される。潜在反応部分の実施形態例は、チラミン(または、チラミド。これは、検出可能な標識および/または任意のリンカと共役されたチラミン分子に与えられた名称である)、またはその誘導体である。
[00203] 特定の開示する実施形態では、シグナリング共役体は、サンプル上で共有結
合的に付着するときは、生体サンプル内において、cm2・μm当たり約1×1011分子よりも大きな、またはcm2・μm当たり約1×1013分子より大きな最小濃度を有する。特定の開示する実施形態では、シグナリング共役体の濃度は、cm2・μm当たり約1×101
1分子からcm2・μm当たり約1×1016分子までの範囲で付着した。
[00204] 開示したシグナリング共役体の実施形態は、スキーム1に示す一般的な手順
を使用して作ることができる。特定の開示する実施形態では、共役体は任意のリンカなしで形成される。例えば、最初にカルボン酸を活性化エステルに変換し、次いで発色団とチラミン分子またはチラミン誘導体との間にアミド結合を形成することによって、発色団のカルボン酸部分が、チラミド分子またはチラミド誘導体と結合されてもよい。リンカを用いずにシグナリング共役体を作る方法例を、スキーム2において以下で示す。
[00205] リンカがある実施形態では、最初にカルボン酸を活性化エステルに変換し、
次いで発色団とアミノ末端リンカとの間にアミド結合を形成することによって、発色団のカルボン酸部分がアミン末端リンカ(例えば、アルキレン・オキシド)と結合されてもよい。リンカの残りの末端は、活性化され、続いてチラミン分子またはチラミン誘導体と結合されてもよい。シグナリング共役体を作る方法例をスキーム2において以下に示す。
[00206] シグナリング共役体の例を以下に示す。
増幅共役体
[00207] また、本明細書では、本明細書において開示した方法を実行することによっ
て得られる信号を増幅するのに適した共役体も開示する。増幅共役体は、通例、潜在反応部分、検出可能な標識、および任意のリンカを含む。
[00208] 増幅共役体の検出可能な標識は、本明細書において提供される任意の検出可
能な標識とすればよい。特定の開示する実施形態では、検出可能な標識は、本明細書において開示したハプテンの内任意のもののような、ハプテンである。増幅共役体およびそれらの対応する特異的な抗体を作る構造および合成手法を開示する米国特許第7,695,929号を引用する。特定の開示する実施形態では、求電子官能基を有する(または求電子官能基に変換されることが可能な官能基を有する)ハプテンが、潜在反応部分またはリンカ(例えば、脂肪族またはポリ(アルキレン・オキシド)リンカ)に共役される。ある種の実施形態では、ハプテンは、カルボン酸官能基を含み、これが、限定ではなく、酸ハロゲン化物、エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシニミド・エステル)、または無水物のような、活性化求電子カルボニル含有官能基に変換される。潜在反応部分は、ハプテンの活性化求電子官能基と反応することができる求核官能基(例えば、アミノ、ヒドロキシル、チオール、またはこれらで形成される陰イオン)を含む。ハプテンの求電子基は、有機化学合成の技術分野における当業者には周知である有機結合技法を使用して、潜在反応部分の求核基に結合することができる。共役体がリンカを含む実施形態では、リンカは
、通例、一端において求核官能基を有し、他端に求電子官能基を含む。リンカの求核基は、ハプテンの求電子基に結合することができ、有機化学合成の当業者には周知の有機結合技法を使用して、リンカの求電子は活性化され、潜在反応部分の求核基に結合することができる。
[00209] 更に他の例示的実施形態では、シグナリング共役体が増幅共役体として使用
される。シグナリング共役体は、発色団部分が有効な標識部分となる場合に、増幅共役体として使用することができる。例示的な実施形態では、発色団部分に特異的な抗体が、この発色団部分がシグナリングおよび標識共役体として役割を果たすことを可能にする。他の観点から、有効な発色団部分のための、本明細書において開示したような、物理属性を有するハプテンが、発色団部分およびハプテンの双方として使用されてもよい。シグナリング共役体を増幅共役体として使用することには、格別の利点がある。具体的には、増幅段階から、有意な、例えば、潜在的に検出可能な、量の発色団部分の付着が生ずる。したがって、後続の発色検出が一層強力になる可能性がある。同様に、異なる分類からの色原体を混合することに関して本明細書において説明したように、2つ以上の発色団部分からの吸収の重複を使用して、一意の色を生成することができる。
VI.組成
[00210] 例示的な組成は、生体サンプルおよび複数のシグナリング共役体を含む試料
とすることができる。特定の開示する実施形態では、組成は、可視化のために1つ以上の酵素標識ターゲットを含む生体サンプルを含む。ターゲットに標識するために使用される酵素は、酵素共役体のような標識共役体から発するのでよい。また、組成は1つ以上の検出プローブを更に含んでもよい。複数のシグナリング共役体は、本明細書において開示された通りであり、明視野信号を供給するように構成される。複数のシグナリング共役体は、1つ以上のターゲットに近接して、または直接その上に共有結合的に結合される。特定の開示する実施形態では、明視野信号を供給するように構成され、入射光の約5%以上を吸収することができるシグナリング共役体のために特異的な発色部分を選択することを含む。特定の開示する実施形態では、入射光の約20%が吸収されてもよい。
[00211] 組成は、シグナリング共役体の発色部分に対して、本明細書において開示し
た特定の波長最大値を供給するように構成されたシグナリング共役体を含む。単なる一例として、シグナリング共役体は、本明細書において開示した通りに、λmaxを有する吸収ピークとなるように、明視野信号を供給するように構成される。本明細書において開示したように、異なるλmax値の吸収ピークを有する異なる発色部分を構成するように異なるシグナリング共役体を構成することによって、2つの異なる吸収ピークを得ることもできる。また、組成は、特定のFWHM値を有するように選択することによって、明視野信号を供給するように構成された複数のシグナリング共役体も含むことができる。適したFWHM値は、本明細書に開示されている。他の開示する実施形態では、複数のシグナリング共役体の少なくとも一部が、本明細書において示した特定の値から選択された平均分子吸光度を有する。
[00212] また、組成の特定の開示する実施形態は、本明細書において示した値のよう
な、特異的な水溶解度を有する複数のシグナリング共役体にも関する。また、これらの複数のシグナリング共役体は、本明細書において示した時間期間水性緩衝液中においても安定であるとよい。
[00213] 特定の開示する実施形態では、組成は、赤、オレンジ、黄色、緑、インディ
ゴ、または紫のような、明視野照明下において光学的に明らかな色を分与するように構成される複数のシグナリング共役体を含む。また、光学的に明らかな色は、第1光学的異色、第2光学的異色、第3光学的異色、第4光学的異色のような混合であってもよく、第5光学的異色でさえも、得られ視覚化されてもよい。
[00214] 開示する組成内に存在する生体サンプルは、本明細書において開示したよう
な、組織または細胞診(cytology)サンプルとすることができる。特定の開示する実施形態では、生体サンプルが2つのターゲット、即ち、第1ターゲットおよび第2ターゲットを含んでもよく、更に、組成は、第1ターゲットに特異的な第1検出プローブ、および第2ターゲットに特異的な第2検出プローブを含んでもよい。
VII.キット
[00215] また、本明細書では、本明細書において開示した撮像システムと共に使用す
るためのシグナリング共役体を含むキットの実施形態も開示する。他の実施形態では、キットは検出プローブを含む。他の実施形態では、キットは標識共役体を含む。他の実施形態では、キットは増幅共役体および副標識共役体を含む。他の実施形態では、キットは更にペルオキシド溶液を含んでもよい。例示的な実施形態では、キットは検出プローブを含む。例示的な実施形態では、キットの試薬は、自動スライド染色プラットフォーム上での使用のために構成されたコンテナ内に封入される。例えば、コンテナは、BENCHMARK Series自動IHC/ISHスライド染色装置との使用のために構成されたディスペンサであってもよい。
[00216] 例示的な実施形態では、キットは、特定の検定を実行するために一緒に機能
するように構成された、異なるコンテナに収容された一連の試薬を含む。一実施形態では、キットは、第1コンテナ内の緩衝溶液中に標識共役体を含む。緩衝溶液は、安定性を維持するように、そして試薬が冷凍環境に貯蔵される間そして計器上に置かれるときに標識共役体の特異的な結合能力を維持するように構成される。他の実施形態では、キットは、第2コンテナ内の水溶液中にシグナリング共役体を含む。他の実施形態では、キットは、シグナリング共役体と共にサンプル上における同時使用のために、第3コンテナ内に過酸化水素水を含む。第2または第3コンテナ内において、酵素が潜在反応種を活性化させて反応種にする効率を高めるために、種々のエンハンサ(例えば、ピリミジン)があってもよい。更に他の実施形態では、キットは増幅共役体を含む。
[00217] キットは広範囲のカクテル検定(cocktail assay)を含むことができ、ULT
RAVIEW SISH検出キット(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 780-001)、INFORM HER2 DNAプローブ(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 780-4332)、うさぎ抗DNP抗体(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 780-4335)、うさぎ抗HER2(4B5)抗体(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 800-2996)、ULT
RAVIEW万能アルカリ・ホスファターゼ赤検出キット(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 760-501)、銀洗浄(silver wash)( Ventana Medical Systems, Inc., p/n 780-002)、および/または INFORM染色体17プローブ(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 780-4331)を含む。他のカクテル検定には、(Ventana Medical Systems, Inc.)によって販売される INFORM HER2二重ISH DNAプローブがあり、こ
れは、INFORM HER2二重ISH DNAプローブ・カクテル(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 800-4422)、HybReady(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 780-4409)、ultraViewSISH DNP検出キット(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 800-098)、ultraView赤ISH DIG検出キット( Ventana Medical Systems, Inc., p/n 800-505)、ultraView銀洗浄II(Ventana
Medical Systems, Inc., p/n 780-003)、および/またはHER2二重ISH 3−i
n−1異種移植スライド(Ventana Medical Systems, Inc., p/n 783-4332)を含む。他
のカクテル検定を使用することもできる。カクテル検定は、ヒトの乳癌および胃食道接合部を含む胃癌のホルマリン固定、パラフィン埋め込み組織試料における二色発色ISHによるHER2遺伝子の増幅を定量的に検出するために使用することができ、更にハーセプチン(トラスツズマブ)が処置の選択肢であってもよい患者の評価における補助となることができる。更に他のプロトコルでは、カクテル検定は、Ventana Medical Systems, Inc
., p/n 800-4422によって販売されるVENTANA HER2 DNAプローブ検定で
ある。MULTICOLOR CHROMOGENIC DETECTION OF BIOMAKERS(バイオマーカの多色発色検出
)と題する米国特許出願第11/809,024号(米国特許公開第2008/299555号に対応する)、およびMETHOD FOR CHROMOGENIC DETECTION OF TWO OR MORE TARGET
MOLECULES IN A SINGLE SAMPLE(1つのサンプルにおける2つ以上のターゲット分子の
発色検出方法)と題する米国特許出願第11/809,024号(米国特許出願公開第2011/0136130号に対応する)は、本明細書において開示したシステム、装置、および方法と共に使用することができる物質、プロトコル、および試料処理技法を開示する。他の検定またはカクテルも使用することができる。
[00218] ある実施形態では、組織サンプルがISHプロトコルにしたがって処理され
た。ISHプロトコルは、冷凍組織切片、固定/パラフィン埋め込み組織切片、または他の細胞調合において、ヌクレオチド(例えば、プローブ)の相補鎖を着目シーケンスにハイブリッドかすることによって、特異的な核酸シーケンス(例えば、DNA、mRNA等)の可視化を提供することができる。ISHプロトコルは、限定ではなく、二重SISHおよび赤ISHプロトコル、単一赤ISHプロトコル、単一SISHプロトコル等を含むことができる。胸部組織においてHER2/染色体17の比率を判定するために、図1の撮像装置112は、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション信号において銀、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション信号において赤等を含む画像を取り込むことができる。この画像に基づいて、デジタル強調画像/ビデオを生成し、ディスプレイ上で見ることができる。組織には、HER2遺伝子および染色体17に対応する信号に基づいて、HER2/CR17比率を判定するために、採点が付けられる。この比率に基づいて、試料のHER2遺伝子が増幅されたかまたはされないか判定する。胸部組織サンプルを自動的に採点するために、定量的分析のために候補核を選択することができる。図1の処理デバイス122は、異なる特徴(例えば、HER2遺伝子、染色体17等)を自動的に数えることができ、これらの特徴の数の比率を判定する。追加の核を採点することができる。少なくとも部分的にこの比率に基づいて診断を行うことができる。結果は、図1のディスプレイ114上に表示することができる。組織サンプル(例えば、胸部組織)が癌腫であるか否か判定するために、例えば、HER2遺伝子信号の数の染色体17信号の数に対する比率を評価することによって、遺伝子の増幅を検出することによって、図1のデバイス122は、選択された領域についての情報を得るときに、ユーザを補助することができる。VIII.結論
[00219] 本明細書において開示した技術は、生体サンプルの異なるタイプに対して使
用することができる。生体サンプルは、被験者から取り出された1つまたは複数の組織サンプル(例えば、任意の細胞の集合体)とすることができる。組織サンプルは、有機体内において同様の機能を行う、相互接続された細胞の集合体とすることができる。生体サンプルは、 限定ではなく、細菌、酵母、原生動物、およびアメーバというような、単細胞
有機体、多細胞生物(例えば植物または動物、健康であるかまたは見かけ上健康であるヒト被験体、あるいは診断または研究しようとする状態または疾患、例えば癌に罹患しているヒト患者由来のサンプルを含む)を含む、任意の生存有機体から得られるか、有機体によって排出されるかまたは分泌される、任意の固体または液体試料であってもよい。ある実施形態では、生体サンプルは、顕微鏡スライド上に載せることができ、限定ではなく、
組織の切片、臓器、腫瘍切片、塗抹標本、冷凍切片、細胞診プレップ(cytology prep)、または細胞株を含む。サンプルを得るためには、切開生検、コア生検、摘出生検、針吸引生検、コア針生検、定位生検、開創生検、または直視下生検を使用することができる。
[00220] 生体サンプルは、ホウケイ酸ガラス(例えば、BK7ガラス)のような、ガ
ラスで作られた標準的な顕微鏡スライドによって支持することができる。スライドは、約3インチ(75mm)の長さ、約1インチ(25mm)の幅、および約1mmの厚さを有することができる。異なる材料および異なる寸法で作られるスライドを使用することもで
きる。カバースリップも、ガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス)または他の透光性または半透光性の材料(例えば、プラスチックまたはポリマー)で作ることができる。スライド(例えば、図3のスライド134)およびカバースリップ(例えば、図3のカバースリップ139)の双方は実質的に平坦な基板とすることができる。「実質的に平坦な基板」という用語は、限定ではなく、少なくとも1つの実質的に平坦な表面を有する任意の物体を指すが、更に典型的には、当該物体の対向側において2つの実質的に平坦表面を有する任意の物体を指し、更に一層典型的には、実質的に平坦な対向する表面を有する任意の物体を指し、これら対向する表面は、概略的にサイズが等しいが、物体上のいずれの他の表面よりも大きい。本撮像システムおよび技法は、他のタイプの試料担体との使用に合わせて変更することができる。
[00221] 本明細書において開示した撮像システムは、ターゲットとした特徴が最適に
観察者によって知覚されるように、画像のスペクトル特性を再定義することによって、異なるタイプのマルチスペクトル画像を利用することができる。例えば、色再定義および/またはコントラスト強調は、各ターゲット特徴を視覚的により良く区別し、観察者の色視力の適合させるために実行することができる。実施形態では、図1の画像キャプチャ・デバイス120はマルチスペクトル・カメラであり、図1の処理デバイス122は、色のスペクトル・アンミキシング、または同様の技法を、最適な色分離を行うための再定義の一部として実行することができる。色のスペクトル・アンミキシングは、限定ではなく、米国特許第8,285,024号およびPCT出願PCT/EP2012/058253(PCT公開番号第WO2012/152693号)に開示されている装置、アルゴリズム、および方法を含む、既知のアンミキシング・アルゴリズムを使用して実行することができる。加えて、組織に基づく分析、細胞に基づく分析、または他のタイプの分析を、アンミックスされた画像に実行することができる。アンミックスされた画像の内1つ以上を再定義することができ、アンミックスされた画像の内2つ以上を組み合わせて、1つ以上の強調画像(例えば、擬似色複合画像)を生成することができる。
[00222] 実施形態の態様は、必要であれば、更に他の実施形態を提供するために、本
明細書において論じられた種々の特許、出願、および公開の概念を採用するために変更することができる。例えば、本明細書において開示したシステム、方法、および装置は、2012年3月27に出願された米国仮特許出願第61/616,330号、2012年10月5日に出願された米国仮特許出願第61/710,607号、ならびに2013年3月12日に出願された米国仮特許出願第61/778,093号に開示された実施形態および概念と共に使用することができる。
[00223] 開示した発明の原理を適用することができる多くの可能な実施形態に鑑み、
例示した実施形態は本発明の好ましい例に過ぎず、本発明の範囲を限定するように捕らえてはならないことは、認められてしかるべきである。逆に、本発明の範囲は以下の請求項によって定義されるものとする。したがって、これらの請求項の範囲および主旨に該当する全てを本発明として特許請求する。

Claims (16)

  1. 顕微鏡スライド上に配置された試料を撮像するためのコンピュータ・ベース撮像システムであって、
    プログラム命令のシーケンスを格納するメモリと、
    前記プログラム命令を実行するように構成された回路を有するプログラマブル・プロセッサと、
    を含み、前記プログラム命令が、前記プログラマブル・プロセッサに、
    少なくとも1つの第1着目特徴と一致するように選択される第1波長または第1波長帯により特徴付けられる第1光源からの光に露出される前記試料の第1画像を受けさせ、
    少なくとも1つの第2着目特徴と一致するように選択される第2波長または第2波長帯により特徴付けられる第2光源からの光に露出される前記試料の第2画像を受けさせ、前記第2波長または前記第2波長帯が、それぞれ、前記第1波長または前記第1波長帯とは異なり、
    前記少なくとも1つの第1着目特徴と前記少なくとも1つの第2着目特徴との間で色コントラストを強調するために、前記第1画像および前記第2画像に基づいて、前記試料の色画像を生成させる、コンピュータ・ベース撮像システム。
  2. 請求項1記載のコンピュータ・ベース撮像システムにおいて、前記メモリが、
    前記第1画像を第1擬似色画像に変換し、
    前記第2画像を第2擬似色画像に変換するために、
    前記回路によって実行可能な変換命令を格納し、
    前記生成された色画像において、前記第1着目特徴がある場合、および前記第2着目特徴がある場合、これらの間の色コントラストが、前記第1着目特徴と前記第2着目特徴との間の自然な色コントラストよりも大きい、コンピュータ・ベース撮像システム。
  3. 請求項2記載のコンピュータ・ベース撮像システムにおいて、前記色画像を生成する動作が、前記第2擬似色画像からの第1擬似色データと、前記第2擬似色画像からの第2擬似色データとを組み合わせる動作を含む、コンピュータ・ベース撮像システム。
  4. 請求項3記載のコンピュータ・ベース撮像システムにおいて、前記生成された色画像が、前記試料の擬似色画像である、コンピュータ・ベース撮像システム。
  5. 請求項3記載のコンピュータ・ベース撮像システムにおいて、前記第1および第2着目特徴が、1つ以上の蛍光体または染色体を含む、コンピュータ・ベース撮像システム。
  6. 請求項2記載のコンピュータ・ベース撮像システムにおいて、前記回路が、前記プログラマブル・プロセッサに、追加の波長および/または波長帯に露出された前記試料に対応する前記試料の少なくとも2つの追加画像を受け取らせる前記プログラム命令を実行し、
    前記試料の色画像を生成する動作が、前記試料の第1画像と、前記試料の第2画像と、前記試料の少なくとも2つの追加画像とを組み合わせる動作を含む、コンピュータ・ベース撮像システム。
  7. 顕微鏡スライドによって運ばれる試料を撮像する方法であって、
    第1ピーク波長または第1波長帯により特徴付けられる第1色光源からの光に前記試料が露出される間に前記試料の第1画像を取り込むステップであって、前記第1ピーク波長または前記第1波長帯が、前記試料の第1着目特徴の第1吸収波長または第1吸収波長帯に一致するように選択される、ステップと、
    前記第1画像を取り込んだ後、第2ピーク波長または第2波長帯により特徴付けられる第2色光源からの光に前記試料が露出される間に、前記試料の第2画像を取り込むステップであって、前記第2ピーク波長または前記第2波長帯が、前記試料の第2着目特徴の第2吸収波長または第2吸収波長帯に一致するように選択される、ステップと、
    前記第1画像および前記第2画像に基づいて擬似色画像を生成するステップと、
    を含む、方法。
  8. 請求項7記載の方法において、前記擬似色画像を生成するステップが、
    前記第1画像を第1擬似色画像に変換するステップと、
    前記第2画像を第2擬似色画像に変換するステップと、
    前記第1擬似色画像と前記第2擬似色画像とを組み合わせるステップと、
    を含む、方法。
  9. 請求項7記載の方法において、前記擬似色画像を生成するステップが、前記第1画像と前記第2画像とを組み合わせるステップを含み、前記第1画像および前記第2画像がスペクトル的に離散する画像である、方法。
  10. 請求項7記載の方法において、前記擬似色画像を生成するステップが、前記第1画像と、前記第2画像と、前記試料が光に露出されるときに取り込まれる追加の画像とを組み合わせるステップを含む、方法。
  11. 顕微鏡スライドによって運ばれる試料のコントラスト強調撮像方法であって、
    複数の光源からの光に試料の少なくとも一部を順次露出するステップであって、前記光源の各々が、前記試料のそれぞれの着目特徴が吸収することができる平均波長を出力するように特に構成される、ステップと、
    前記試料の複数の画像を取り込むステップであって、前記取り込まれた画像が、個々に、前記光源のそれぞれからの光に露出された前記試料に対応する、ステップと、
    前記複数の取り込まれた画像に基づいて擬似色画像データを生成するステップであって、前記擬似色データが、異なる着目特徴間で色コントラストが強調された、前記試料の擬似色画像を表す、ステップと、
    を含む、方法。
  12. 請求項11記載の方法において、前記試料を光に順次露出するステップが、
    第1色光源からの光に前記試料を露出するステップと、
    前記第1色光源によって照明された前記試料の第1試料画像を取り込むステップと、
    前記第1試料画像を取り込んだ後、第2色光源からの光に前記試料を露出するステップと、
    前記第2色光源によって照明された前記試料の第2試料画像を取り込むステップと、
    を含む、方法。
  13. 請求項12記載の方法において、前記第1色光源が第1ピーク波長を有し、第2色光源が、前記第1ピーク波長とは異なる第2ピーク波長を有する、方法。
  14. 請求項11記載の方法であって、更に、前記擬似色画像における1つ以上のターゲットにした特徴についてのユーザの視覚的知覚を高めるために、前記取り込まれた画像のスペクトル特性を再定義することによって、前記取り込まれた画像を処理するステップを含む、方法。
  15. 請求項14記載の方法において、前記取り込まれた画像が単色画像である、方法。
  16. 請求項14記載の方法であって、更に、前記取り込まれた画像のスペクトル・アンミキシングを実行するステップを含む、方法。
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