JP2018024759A - リグノフェノールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、リグノセルロース系材料、フェノール誘導体、及び、酸を混合することにより、リグニンを酸触媒のもとでフェノール誘導体と反応させてリグノフェノールを生成し、該リグノフェノールを含有する混合物を得る(混合工程)。
そして、前記混合物とヘキサン等の有機溶媒とを混合することにより、前記混合物に含まれる水相とリグノフェノールとを分離しやすくし、リグノフェノールを取り出す(取り出し工程)。
よって、リグノフェノールに含まれる不純物たる酸の濃度を低くすることが望まれる。
該フェノール誘導体混合物を、前記フェノール誘導体が収着したリグノセルロース系材料を含有する固形物と、前記フェノール誘導体を含有する分離液とに分離する分離工程と、
該固形物、及び、酸を混合することにより、リグノフェノールを含有する酸混合物を得る酸混合工程と、
前記リグノフェノールに対して貧溶媒となる有機溶媒に、前記酸混合物を加えることにより、前記リグノフェノールを凝集させて、前記リグノフェノールの凝集物を含む有機溶媒混合物を得る有機溶媒混合工程と
を備える。
また、前記分離工程によって、前記酸混合工程で酸と混合する対象物におけるフェノール誘導体の濃度を低減することができ、その結果、前記有機溶媒混合工程で有機溶媒に加える酸混合物におけるフェノール誘導体の濃度を低減することができる。ここで、フェノール誘導体及びリグノフェノールはフェノール構造を有するので、フェノール誘導体は、リグノフェノールに対して良溶媒である。よって、前記分離工程により、酸混合物における、リグノフェノールに対して良溶媒となるフェノール誘導体の濃度を低減することができるので、前記有機溶媒混合工程でリグノフェノールが凝集しやすくなる。
さらに、前記有機溶媒に前記酸混合物を加えると、前記酸混合物に前記有機溶媒を加えた場合に比べて、リグノフェノールが凝集する際に、リグノフェノールの周りに酸が存在する可能性が低くなり、その結果、リグノフェノールの凝集物中に酸が取り込まれ難くなる。
以上より、斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、リグノフェノールを凝集させることでリグノフェノールを他の物質と分離しやすくしつつ、リグノフェノールの凝集物に酸が取り込まれ難くなる。
すなわち、斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、リグノフェノールに含まれる酸の濃度を低くし得る。
よって、前記有機溶媒を収容する槽に前記酸混合物を流下させると、リグノフェノールは槽の上方で凝集する一方で酸は槽の下方に移動する。よって、リグノフェノールの周りに酸が存在する可能性がより一層低くなり、その結果、リグノフェノールの凝集物に酸がより一層取り込まれ難くなる。
すなわち、斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、リグノフェノールに含まれる酸の濃度をより一層低くし得る。
また、本実施形態に係るリグノフェノールの製造方法は、前記リグノセルロース系材料、前記フェノール誘導体、及び、前記酸を混合することにより、リグノフェノールを含有する第1混合物を得る第1混合工程を備える。
さらに、本実施形態に係るリグノフェノールの製造方法は、前記第1混合物と、前記リグノフェノールに対して貧溶媒となる有機溶媒とを混合することにより、前記リグノフェノールを凝集させて、リグノフェノールの凝集物を含む第2混合物を得る第2混合工程を更に備える。
また、本実施形態に係るリグノフェノールの製造方法は、前記第2混合物から前記リグノフェノールを得る精製工程を更に備える。
該収着工程は、脂を含有するリグノセルロース系材料、及び、フェノール誘導体を混合することにより、前記リグノセルロース系材料を前記フェノール誘導体で脱脂しつつ、前記リグノセルロース系材料に前記フェノール誘導体を収着させて、フェノール誘導体混合物を得る。
なお、前記第1混合工程は、該収着工程前に、アセトンやヘキサンを用いてリグノセルロース系材料を脱脂してもよい。
フェノール誘導体混合物を固形物と分離液とに分離する方法としては、濾過、静置分離、遠心分離が挙げられる。濾過としては、真空濾過、加圧濾過等が挙げられる。濾過に用いる濾材としては、膜等が挙げられる。
分離工程では、前記フェノール誘導体混合物を濾過することにより、前記固形物と、前記分離液とを得ることが好ましい。
前記有機溶媒混合工程では、前記有機溶媒を収容する槽に前記酸混合物を流下させることにより、前記有機溶媒に前記酸混合物を加えることが好ましい。また、前記有機溶媒を収容する槽に前記酸混合物を滴下させることにより、前記有機溶媒に前記酸混合物を加えることがより好ましい。
前記リグノセルロース系材料としては、例えば、木質材料、草本材料が挙げられる。木質材料としては、例えば、針葉樹(例えば、マツ、スギヒノキ等)、広葉樹(例えば、シイ、柿、サクラ等)、熱帯樹等が挙げられる。草本材料としては、ケナフ、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、アバカ(マニラ麻)、ヘネケン(サイザル麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)、ヤシ、パーム、コウゾ、ワラ(稲わら、麦わらなど)、バガス、とうもろこしなどが挙げられる。リグノセルロース系材料は、粉状、チップ状(例えば、廃木材の端材)など種々の状態で使用される。
該有機溶媒としては、例えば、エーテル、エステル、炭化水素等が挙げられる。エーテルとしては、非対称エーテル、対称エーテルが挙げられ、より具体的には、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられる。エステルとしては、酢酸エチル等が挙げられる。炭化水素としては、環状炭化水素、直鎖状炭化水素が挙げられ、より具体的には、ヘキサン(n−ヘキサン等)、トルエン、ペンタン(n−ペンタン等)、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、デカリン、ベンゼン等が挙げられる。
前記有機溶媒としては、炭化水素が好ましく、ヘキサンがより好ましく、n−ヘキサンが特に好ましい。
本実施形態に係るリグノフェノールの製造装置は、前記リグノセルロース系材料、フェノール誘導体、及び、酸を混合することにより、リグノフェノールを生成する混合部を備える。
前記混合部は、前記フェノールを前記フェノール誘導体として用いる混合部である。また、前記混合部は、前記リグノセルロース系材料、フェノール誘導体、及び、酸を混合することにより第1混合物を得、前記第1混合物と、前記リグノフェノールに対して貧溶媒となる有機溶媒とを混合することにより第2混合物を得る混合部となっている。
また、本実施形態に係るリグノフェノールの製造装置は、第2混合物からリグノフェノールを得る精製部を更に備える。該精製部は、第2混合物を濾過することにより固形物を得て、該固形物から前記リグノフェノールを得る精製部である。
また、本実施形態に係るリグノフェノールの製造装置1は、前記第2混合物を濾過することにより固形物を得て、該固形物からリグノフェノールOを得る精製部4を更に備える。
前記第1混合工程では、前記前処理部2及び前記混合部3を用いる。
なお、本実施形態における前処理部2は、第1濾過部2であるが、前処理部2は、第1濾過部に限定されず、固形物及び液状物を含有する固液混合物を、固形物と液状物とに分離する分離部であればよい。
前記収着工程a1により、フェノール誘導体以外の有機溶媒(アセトン、ヘキサン等)を用いずにリグノセルロース系材料Aを脱脂することができる。
リグノセルロース系材料Aとフェノール誘導体Cとの混合割合については、リグノセルロース系材料Aにフェノール誘導体Cを収着させる観点から、リグノセルロース系材料(湿質量)100質量部に対して、フェノール誘導体が、好ましくは300〜1000質量部、より好ましくは500〜700質量部である。
また、脂を含有するリグノセルロース系材料Aとフェノール誘導体Cとの混合割合については、リグノセルロース系材料Aをフェノール誘導体Cで脱脂し、且つ、リグノセルロース系材料Aにフェノール誘導体Cを収着させる観点から、脂を含有するリグノセルロース系材料(湿質量)100質量部に対して、フェノール誘導体が、好ましくは300〜1000質量部、より好ましくは500〜700質量部である。
リグノセルロース系材料の湿潤基準の含水率は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。なお、湿潤基準の含水率は、水分の質量を水分と固形分との質量の和で除したものを意味する。
また、前記第1混合工程では、前記分離工程後に、前記加熱部23で前記槽21を加熱することにより、前記リグノセルロース系材料Aに付着しているフェノール誘導体を揮発させて、前記リグノセルロース系材料Aから余分なフェノール誘導体を取り除くことができる。
余分なフェノール誘導体Cが取り除かれたリグノセルロース系材料Aは、混合部3に移送されてさらなる処理が施される。
前記生成工程a3では、リグノセルロース系材料Aに含有されるセルロースが、酸触媒のもとで加水分解されて、糖類が生成される。また、リグノセルロース系材料Aに含有されるリグニンが、酸触媒のもとで加水分解されて低分子化する。さらに、リグニンが、酸触媒のもとでフェノール誘導体と反応してリグノフェノールが生成される。図3には、酸として硫酸を用い、フェノール誘導体としてp−クレゾールを用いて、リグノフェノールを生成する反応の例を示す。また、生成されたリグノフェノールが酸触媒のもとで加水分解されて低分子化する。そして、リグノフェノールを含有する第1混合物たる酸混合物が得られる。
前記第2混合工程では、水Eで希釈された第1混合物たる酸混合物と、前記リグノフェノールに対して貧溶媒となる有機溶媒Fとを前記混合部3で混合することにより、第1混合物内で分散していたリグノフェノールを凝集させて固形状にし、固形状のリグノフェノールを含有する第2混合物たる有機溶媒混合物が得られる(有機溶媒混合工程たる第2混合工程b)。
また、前記有機溶媒混合工程では、酸混合物を混合状態で(分離せずに)有機溶媒Fと混合する。
さらに、前記有機溶媒混合工程では、前記有機溶媒Fに前記第1混合物たる酸混合物を加えることにより、前記リグノフェノールを凝集させて、リグノフェノールの凝集物を含む第2混合物たる有機溶媒混合物を得る。
また、前記有機溶媒混合工程では、前記有機溶媒を収容する槽31に前記酸混合物を流下させることにより、前記有機溶媒Fに前記酸混合物を加える。言い換えれば、前記有機溶媒混合工程では、槽31に収容された有機溶媒の液面上に向けて前記酸混合物を流下させることにより、前記有機溶媒Fに前記酸混合物を加える。
前記精製工程では、前記精製部4を用いて、前記第2混合物たる油水混合物を濾過することにより固形物を得て、該固形物からリグノフェノールを得る。言い換えれば、前記精製部4を用いて、前記第2混合物に含まれる油分(有機溶媒F)及び水を同時に濾過することにより固形物を得て、該固形物からリグノフェノールを得る。
また、前記精製工程では、好ましくは、前記精製部4を用いて、前記第2混合物を撹拌しながら濾過することにより固形物を得て、該固形物からリグノフェノールを得る。
該濾材の孔径は、リグノフェノールが濾液とともに排出されるのを抑制しつつ、濾過時間を抑制するという観点から、10〜30μmが好ましく、20μmが特に好ましい。
次に、LPアルコール液を濾過することにより、LPアルコール液から固形物(残渣物)を取り除く(第3濾過工程c3)。
固形物を取り除いたLPアルコール液には、前記生成工程a3で用いた酸が十分に除去されずに残っており、通常、pHが0以上2未満となっている。
pH調整工程c4では、この酸を中和させてpHを2以上4以下とするのが好ましい。
前記アルカリ剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
リグノフェノールは、フェノール骨格に含まれるOH基によってプロトン性が高いものとなっており、その結果、水に溶けやすいものとなる。しかし、リグノフェノールは、塩化ナトリウムと共存すると水に溶け難くなる。よって、LPアルコール液に塩化ナトリウム水溶液Iを混合すると、リグノフェノールが析出される。
前記塩化ナトリウム水溶液Iは、塩化ナトリウム濃度が0.1〜5質量%が好ましい。
さらに、前記精製工程では、該第3濾過部4eで得られたリグノフェノールを前記乾燥部4fで乾燥させることにより、精製されたリグノフェノールOを得る(乾燥工程c8)。
また、精製されたリグノフェノールOは、酸濃度が、乾燥質量で、好ましくは7000mg/kg以下、より好ましくは6000mg/kg以下、さらに好ましくは1000mg/kg以下である。なお、酸濃度は、電気キャピラリー法でイオン濃度を測定することにより求めることができる。また、酸濃度は、中和滴定によっても求めることができる。
フェノール類は水酸基を有し、この水酸基がプロトン供与体として働き、水中で解離反応を起こすことができる。また、フェノール類が解離すると、フェノキシドイオンが共鳴によって安定化する。このことから、フェノール類は、ある程度の親水性を有する。
従って、リグノフェノールのうちのフェノール類の構造部分は、ある程度の親水性を有する。
さらに、リグノフェノールのうち、フェノール類の構造部分以外の水酸基の部分も、ある程度の親水性を有する。
一方で、リグノフェノールには、有機溶媒に対して親和性を有する構造部分(ベンゼン環等炭化水素で構成されている部分等)が存在する。
すなわち、リグノフェノールには、ある程度の親水性がある構造部分と、有機溶媒に対して親和性がある構造部分とが存在する。
また、前記リグノフェノールに対して貧溶媒となる有機溶媒は、疎水性を有する。
このことから、リグノフェノール及び水と、前記リグノフェノールに対して貧溶媒となる有機溶媒とを混合すると、水と前記有機溶媒とが反発し、反発している水と前記有機溶媒との間で水と前記有機溶媒とによってリグノフェノール分子が配向し、その結果、リグノフェノールが、水と、前記有機溶媒との間で凝集する。
前記リグノフェノールに対して貧溶媒となる有機溶媒は、疎水性を有するが、水と、疎水性を有する有機溶媒と、リグノフェノールとを含有する酸混合物中においては、リグノフェノールは水と有機溶媒との間で凝集する。
また、前記分離工程によって、前記酸混合工程で酸と混合する対象物におけるフェノール誘導体の濃度を低減することができ、その結果、前記有機溶媒混合工程で有機溶媒に加える酸混合物におけるフェノール誘導体の濃度を低減することができる。また、フェノール誘導体及びリグノフェノールはフェノール構造を有するので、フェノール誘導体は、リグノフェノールに対して良溶媒となる。よって、前記分離工程により、酸混合物における、リグノフェノールに対して良溶媒となるフェノール誘導体の濃度を低減することができるので、前記有機溶媒混合工程でリグノフェノールが凝集しやすくなる。
さらに、前記有機溶媒に前記酸混合物を加えると、前記酸混合物に前記有機溶媒を加えた場合に比べて、リグノフェノールが凝集する際に、リグノフェノールの周りに酸が存在する可能性が低くなり、その結果、リグノフェノールの凝集物中に酸が取り込まれ難くなる。
以上より、斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、リグノフェノールを凝集させることでリグノフェノールを他の物質と分離しやすくしつつ、リグノフェノールの凝集物に酸が取り込まれ難くなる。
すなわち、斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、リグノフェノールに含まれる酸の濃度を低くし得る。
前記有機溶媒混合物では、酸を含む水は、有機溶媒を含む油分、及び、リグノフェノールの凝集物よりも比重が高い。
よって、前記有機溶媒を収容する槽に前記酸混合物を流下させると、リグノフェノールは槽の上方で凝集する一方で酸は槽の下方に移動する。よって、リグノフェノールの周りに酸が存在する可能性がより一層低くなり、その結果、リグノフェノールの凝集物に酸がより一層取り込まれ難くなる。
すなわち、斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、リグノフェノールに含まれる酸の濃度をより一層低くし得る。
斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、フェノール誘導体混合物を静置分離により固形物と分離液とに分離する場合に比べて、短時間で分離できるという利点がある。
フェノール誘導体Cは、フェノール構造を分子中に有するので、脂に親和性を有する。よって、フェノール誘導体Cは、リグノセルロース系材料Aを脱脂するのに用いることができる。従って、斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、前記収着工程a1で、リグノフェノールを生成するのに必要なフェノール誘導体Cで、リグノセルロース系材料Aを脱脂することができるので、使用する材料の種類数を抑制することができる。
また、斯かるリグノフェノールの製造方法によれば、前記分離工程で、前記酸混合工程たる生成工程a3で用いる固形物が、脂を含有する分離液と分離されるので、前記酸混合工程たる生成工程a3でのリグノフェノールの生成反応が脂で阻害されるのを抑制できる。
(参考例1−1:濾過分離、ヘキサン利用)
木粉をアセトンで脱脂した後、アセトンで脱脂した木粉にクレゾールを収着させた。
そして、クレゾールを収着させた木粉20gに、硫酸水溶液(硫酸:72質量%)80gを添加し激しく1時間撹拌することにより第1混合物を得た。
次に、該第1混合物と水120gとを撹拌槽内で15分間撹拌させることにより、硫酸による加水分解反応を停止させた。
その後、加水分解反応を停止させた第1混合物にヘキサン80gを添加し激しく約10分間撹拌することにより第2混合物を得た。
そして、該第2混合物をスクリュー型液供給機で撹拌槽から濾過機(スクレーパーを有する濾過機)に移送し、該第2混合物を該濾過機で濾過することにより固形物を得た。濾過には、約30分を要した。
次に、該固形物にメタノールを60g混合させることにより、該固形物に含まれるリグノフェノールをメタノールに溶解させて、リグノフェノール及びメタノールを含有するLPメタノール液を得た。
その後、LPメタノール液を吸引濾過することにより、LPメタノール液から固形物(木粉の未反応物)を取り除き、未反応物を除去したLPメタノール液55gを得た。
そして、LPメタノール液(pH:1)に粉末状の水酸化マグネシウムを混合させることにより、LPメタノール液のpHを3.0に調整した。
次に、pH調整したLPメタノール液を吸引濾過することにより、LPメタノール液から硫酸塩及び過剰な水酸化マグネシウムを除去した。
その後、硫酸塩及び過剰な水酸化マグネシウムを除去したLPメタノール液100質量部と、食塩水(食塩濃度:5.0質量%)500質量部とを混合し、リグノフェノールを晶析させた。
そして、リグノフェノールが晶析したLPメタノール液を5Cろ紙で吸引濾過することにより、固形状のリグノフェノールを得た。
次に、ろ紙上のリグノフェノールを50℃に一晩加熱することにより乾燥させ、精製されたリグノフェノールを得た。
精製されたリグノフェノールの硫酸イオン濃度及び重量平均分子量を測定した。
硫酸イオン濃度は、電気キャピラリー法で測定した。
重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定した。
硫酸イオン濃度は、6000mg/kgであった。また、重量平均分子量は、約4000であった。
クレゾールの代わりにフェノールを用い、また、ヘキサンの代わりにトルエンを用い、さらに、第1混合物とトルエンとの撹拌時間を約1時間としたこと以外は、参考例1−1と同様にして、精製されたリグノフェノールを得た。
そして、精製されたリグノフェノールの硫酸イオン濃度及び重量平均分子量を測定した。
重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定した。
硫酸イオン濃度は、6500mg/kgであった。また、重量平均分子量は、約4100であった。
参考例1−1と同様にして第2混合物を得た。
そして、第2混合物を槽内で静置分離させた。この静置分離により、第2混合物がヘキサン層、リグノフェノール層、及び、硫酸層の3層に分離した。この静置分離には、一晩かかった。
次に、槽からヘキサン層及び硫酸層を取り除いた。
そして、槽に残ったリグノフェノール層にメタノールを混合させることにより、リグノフェノールをメタノールに溶解させて、リグノフェノール及びメタノールを含有するLPメタノール液を得た。
次に、参考例1−1と同様にLPメタノール液を処理することにより、精製されたリグノフェノールを得た。
そして、精製されたリグノフェノールの硫酸イオン濃度及び重量平均分子量を測定した。
硫酸イオン濃度は、8000mg/kgであった。また、重量平均分子量は、約3000であった。
参考例1−1と同様にして、加水分解反応を停止させた第1混合物を得た。
そして、加水分解反応を停止させた第1混合物にフェノールを添加し激しく約1時間撹拌することにより第2混合物を得た。
次に、第2混合物を槽内で静置分離させた。この静置分離により、第2混合物がフェノール層、及び、硫酸層の2層に分離した。この静置分離には、一晩かかった。
そして、フェノール層のフェノール液に水酸化ナトリウム水溶液を混合してpH5に調整し、濾過して硫酸塩を取り除いた。
フェノール液100質量部と、エチルエーテル500質量部とを混合し、リグノフェノールを晶析させた。
晶析されたリグノフェノールの硫酸イオン濃度及び重量平均分子量を測定した。
硫酸イオン濃度は、10000mg/kgであった。また、重量平均分子量は、約2000であった。
また、参考例1−1の精製されたリグノフェノールは、参考例1−3、1−4のものに比べて、重量平均分子量が高く、また、硫酸イオン濃度が低かった。
(実施例2−1:貧溶媒に第2混合液を添加した。)
脂を含有する木粉30gと、フェノール誘導体たるp−クレゾール210gとを混合することにより、フェノール誘導体混合物を得た。
次に、該フェノール誘導体混合物を濾過することにより、p−クレゾールが収着した木粉を含有する固形物を得た。
そして、該固形物30gに、硫酸水溶液(硫酸:72質量%)120gを添加し32℃下で激しく1時間撹拌することにより酸混合物たる第1混合物を得た。
次に、該第1混合物と水180gとを撹拌槽内で15分間撹拌させることにより、硫酸による加水分解反応を停止させた。
その後、貧溶媒たるヘキサン120gに、加水分解反応を停止させた第1混合物を添加し激しく約10分間撹拌することにより第2混合物を得た。
そして、該第2混合物をスクリュー型液供給機で撹拌槽から濾過機(スクレーパーを有する濾過機)に移送し、該第2混合物を該濾過機で濾過することにより固形物を得た。
次に、参考例1−1と同様に、メタノール、水酸化マグネシウム、食塩水(食塩濃度:5.0質量%)を用いて、精製されたリグノフェノールを得た。
精製されたリグノフェノールの硫酸イオン濃度を測定した。
硫酸イオン濃度は、650mg/kgであった。
また、リグノフェノールの収率は、107%であった。なお、リグノフェノールの収率は、用いた木粉に含まれるリグニンの質量に対する、得られたリグノフェノール(精製されたリグノフェノール)の質量の比をパーセントで表したものである。木粉に含まれるリグニンの量は、クラーソン法を用いて定量した。
なお、水酸化マグネシウムで調整したLPメタノール液のpHは、3.68であった。
貧溶媒に第2混合液を添加せずに、第2混合液に貧溶媒を添加したこと以外は、実施例2−1と同様にして、精製されたリグノフェノールを得た。
精製されたリグノフェノールの硫酸イオン濃度を測定した。
硫酸イオン濃度は、6600mg/kgであった。
また、リグノフェノールの収率は、113%であった。
なお、水酸化マグネシウムで調整したLPメタノール液のpHは、3.08であった。
4a:第2濾過部、4a1:槽、4a1a:底部、4a2:撹拌部、4b:pH調整部、4b1:槽、4b2:撹拌部、4c:濃縮部、4c1:槽、4c2:撹拌部、4c3:加熱部、4d:晶析部、4d1:槽、4d2:撹拌部、4e:第3濾過部、4f:乾燥部、
21:槽、21a:底部、22:撹拌部、23:加熱部、31:槽、32撹拌部、
A:リグノセルロース系材料、C:フェノール誘導体、D:酸水溶液、E:水、F:有機溶媒、G:アルコール、H:アルカリ剤、I:塩化ナトリウム水溶液、K:フェノール誘導体、L:酸水溶液、M:有機溶媒、N:アルコール、O:リグノフェノール、
a1:収着工程、a2:第1濾過工程(分離工程)、a3:生成工程(酸混合工程)、a4:希釈工程、b:第2混合工程、c1:第2濾過工程、c2:溶解工程、c3:第3濾過工程、c4:pH調整工程、c5:濃縮工程、c6:晶析工程、c7:第4濾過工程:、c8:乾燥工程
(実施例2−1:貧溶媒に、加水分解反応を停止させた第1混合物を添加した。)
脂を含有する木粉30gと、フェノール誘導体たるp−クレゾール210gとを混合することにより、フェノール誘導体混合物を得た。
次に、該フェノール誘導体混合物を濾過することにより、p−クレゾールが収着した木粉を含有する固形物を得た。
そして、該固形物30gに、硫酸水溶液(硫酸:72質量%)120gを添加し32℃下で激しく1時間撹拌することにより酸混合物たる第1混合物を得た。
次に、該第1混合物と水180gとを撹拌槽内で15分間撹拌させることにより、硫酸による加水分解反応を停止させた。
その後、貧溶媒たるヘキサン120gに、加水分解反応を停止させた第1混合物を添加し激しく約10分間撹拌することにより第2混合物を得た。
そして、該第2混合物をスクリュー型液供給機で撹拌槽から濾過機(スクレーパーを有する濾過機)に移送し、該第2混合物を該濾過機で濾過することにより固形物を得た。
次に、参考例1−1と同様に、メタノール、水酸化マグネシウム、食塩水(食塩濃度:5.0質量%)を用いて、精製されたリグノフェノールを得た。
精製されたリグノフェノールの硫酸イオン濃度を測定した。
硫酸イオン濃度は、650mg/kgであった。
また、リグノフェノールの収率は、107%であった。なお、リグノフェノールの収率は、用いた木粉に含まれるリグニンの質量に対する、得られたリグノフェノール(精製されたリグノフェノール)の質量の比をパーセントで表したものである。木粉に含まれるリグニンの量は、クラーソン法を用いて定量した。
なお、水酸化マグネシウムで調整したLPメタノール液のpHは、3.68であった。
貧溶媒に、加水分解反応を停止させた第1混合物を添加せずに、加水分解反応を停止させた第1混合物に貧溶媒を添加したこと以外は、実施例2−1と同様にして、精製されたリグノフェノールを得た。
精製されたリグノフェノールの硫酸イオン濃度を測定した。
硫酸イオン濃度は、6600mg/kgであった。
また、リグノフェノールの収率は、113%であった。
なお、水酸化マグネシウムで調整したLPメタノール液のpHは、3.08であった。
Claims (3)
- リグノセルロース系材料、及び、フェノール誘導体を混合することにより、フェノール誘導体混合物を得る収着工程と、
該フェノール誘導体混合物を、前記フェノール誘導体が収着したリグノセルロース系材料を含有する固形物と、前記フェノール誘導体を含有する分離液とに分離する分離工程と、
該固形物、及び、酸を混合することにより、リグノフェノールを含有する酸混合物を得る酸混合工程と、
前記リグノフェノールに対して貧溶媒となる有機溶媒に、前記酸混合物を加えることにより、前記リグノフェノールを凝集させて、前記リグノフェノールの凝集物を含む有機溶媒混合物を得る有機溶媒混合工程と
を備える、リグノフェノールの製造方法。 - 前記有機溶媒混合工程では、前記有機溶媒を収容する槽に前記酸混合物を流下させることにより、前記有機溶媒に前記酸混合物を加える、請求項1に記載のリグノフェノールの製造方法。
- 前記分離工程では、前記フェノール誘導体混合物を濾過することにより、前記固形物と、前記分離液とを得る、請求項1又は2に記載のリグノフェノールの製造方法。
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