JP2018024628A - トルバプタンを含む非晶質固体分散体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
したがって、難溶性化合物の溶解性を向上させるために、有効成分の非晶質化がしばしば試みられている。
また、特許文献2には、非晶質トルバプタンと架橋ポビドン(ポリビニルポリピロリドン、クロスポビドン)とを所定重量比で含む固形分散剤組成物が記載されている。
しかし、ジクロロメタンは沸点が低い点で溶媒除去の際に有利である反面、残留した場合の毒性が懸念されるという問題がある。
更に、本発明によれば、トルバプタンと、少なくとも1つの非晶質化ポリマーとを、エタノールまたはエタノールと水との混液中で混合して混合溶液を取得する工程、および得られた混合溶液から溶媒を除去して非晶質固体分散体を取得する工程を含む、非晶質固体分散体の製造方法が提供される。
「N-{4-[(5RS)-7-Chloro-5-hydroxy-2,3,4,5-tetrahydro-1H-benzo[b]azepine-1-carbonyl]-3-methylphenyl}-2-methylbenzamide」である。
上記の製造方法において、溶媒とするエタノールは、単独で用いてもよいし、水との混液として用いてもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやメチルセルロースは、エタノール単独には溶けにくいことがあるので、それらを非晶質化ポリマーとする場合にはエタノールと水との混液を用いることが好ましい。エタノールと水との混液を用いる場合、混液中に占める水の割合は、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下がよい。水の割合が多くなりすぎると、溶媒を除去しにくくなり、乾燥の際に高温を要する等のおそれが生じる。なお、上記製造方法においては、エタノールおよび水の他に、残留が許容されうる溶媒を本発明の効果を損なわない範囲内で用いることもできる。
混合方法は特に限定されず、例えば、トルバプタンと非晶質化ポリマーとをエタノールまたはエタノール/水混液中に溶解させることによって混合してもよいし、あるいはトルバプタンを溶解した第1のエタノールまたはエタノール/水溶液と、非晶質化ポリマーを溶解した第2のエタノールまたはエタノール/水溶液とを混合することによって行ってもよい。
混合する際の温度は特に限定されず、例えば室温で混合してもよいし、加熱(例えば70℃以下の温度)しながら混合してもよい。
なお、本発明の非晶質固体分散体の製造方法においては、上記の混合によってトルバプタンと非晶質化ポリマーとが共存する状態とすればよく、かかる混合状態を経た後、エタノールまたはエタノールと水との混液を除去することにより非晶質化が可能となる。本発明では、このトルバプタンと非晶質化ポリマーを混合した状態において、他の成分が更に共存していてもよい。例えば、本発明の非晶質固体分散体を用いて医薬組成物を製造する場合には、後述する医薬用添加剤をトルバプタン、非晶質化ポリマーとともに、エタノールまたはエタノールと水との混液中に添加しておくことができ、これによって非晶質化が妨げられるものではない。
なお、噴霧乾燥は、一般的に収率が低く、非晶質化においてロスが生じることがあるが、特許文献1、2では、いずれも非晶質化の溶媒除去に噴霧乾燥を採用している。本発明の製造方法では必ずしも噴霧乾燥を採用する必要はなく、噴霧乾燥の際のロスによる収率低下を回避することが可能である。
本発明の医薬組成物は、例えば第十六改正日本薬局方の製剤総則に記載された慣用の方法により、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤のような固形製剤、あるいは各種液剤に製剤化される。
賦形剤としては、例えば乳糖水和物、結晶セルロース、マンニトール、白糖、ブドウ糖、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤としては、例えばアラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、アルファ化デンプン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。
崩壊剤としては、例えばクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
ポリビニルピロリドン5g(商品名:ポリビニルピロリドン K90、BASF社製)およびエタノール45gからなる溶液9gと、トルバプタン1gおよびエタノール99gからなる溶液10gとを混合し、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
実施例1におけるポリビニルピロリドン5gの代わりに、コポリビドン5g(商品名:プラスドンS−630、ASHLAND社製)を用い、実施例1と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
実施例1におけるポリビニルピロリドン5gの代わりに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットEPO、EVONIK社製)5gを用い、実施例1と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R(2%水溶液の粘度6mPa・s(20℃))、信越化学工業社製)5g、エタノール45gおよび水10gからなる溶液10.8gと、トルバプタン1gおよびエタノール99gからなる溶液10gとを混合し、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
実施例4におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R)5gの代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5E(2%水溶液の粘度3mPa・s(20℃))、信越化学工業社製)5gを用い、実施例4と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
メチルセルロース(商品名:メトローズ SM−4、信越化学工業社製)5g、エタノール45gおよび水20gからなる溶液12.6gと、トルバプタン1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
ポリビニルピロリドン5g(商品名:ポリビニルピロリドン K90、BASF社製)およびエタノール45gからなる溶液2250mgに、トルバプタン450mgおよびエタノール20gを添加し、トルバプタンを溶解させた後、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)675mgを得た。
実施例7におけるポリビニルピロリドン5gの代わりに、コポリビドン5g(商品名:プラスドンS−630、ASHLAND社製)を用い、実施例7と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)675mgを得た。
ポリビニルピロリドン(商品名:ポリビニルピロリドン K90、BASF社製)5gおよびエタノール45gからなる溶液4500mgに、トルバプタン450mgおよびエタノール20gを添加し、トルバプタンを溶解させた後、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)900mgを得た。
実施例9におけるポリビニルピロリドン5gの代わりに、コポリビドン(商品名:プラスドンS−630、ASHLAND社製)5gを用い、実施例9と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)900mgを得た。
トルバプタン1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを60℃で12時間通風乾燥して粉末0.1gを得た。
実施例6におけるメチルセルロース(商品名:メトローズ SM−4)5gの代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(商品名:Shin−Etsu AQOAT、信越化学工業社製)5gを用い、実施例6と同様に処理して粉末1gを得た。
実施例7におけるポリビニルピロリドン5gの代わりに、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−SL、日本曹達社製)5gを用い、実施例7と同様に処理して粉末675mgを得た。
実施例9におけるポリビニルピロリドン5gの代わりに、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−SL、日本曹達社製)5gを用い、実施例9と同様に処理して粉末900mgを得た。
実施例1〜10および比較例1〜4で得られた粉末についてX線回折法(SmartLab(リガク)、光源:CuKα、電圧:40kV、電流40mA、スキャンスピード:10°/分)により、トルバプタンの結晶形について評価した。その結果を図1および図2に示す。
比較例1〜4で得られた粉末のX線回折では、結晶構造を有する物質に特有のピークが横軸2θ=20弱の領域において観察され、結晶構造を有していることが示された。このことは、比較例1〜4で得られた粉末が非晶質でないことを意味する。
一方、実施例1〜10で得られた粉末のX線回折では、横軸2θ=20弱のピークが観察されず、ハローパターンを示した。このことは、実施例1〜10で得られた粉末が非晶質であることを意味する。
以上の結果から、ポリマーとしてポリビニルピロリドン、コポリビドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはメチルセルロースを用いることにより、トルバプタンを非晶質状態にできることが示された。
乳糖123.84g、コーンスターチ21.6gを流動層造粒機に投入し、トルバプタン18gおよびコポリビドン18gをエタノール694gに溶解した液を噴霧して、乳酸およびコーンスターチからなる核の表面にトルバプタンの非晶質固体分散体が付着した造粒物を得た。この造粒物151.2gに結晶セルロース18g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース9g、ステアリン酸マグネシウム1.8gを混合した後,重量180mgとなるよう打錠し、トルバプタンの非晶質固体分散体を含む錠剤を得た。
実施例11のコポリビドンの代わりにポビドンを用い、実施例11と同様に処理し、トルバプタンの非晶質固体分散体を含む錠剤を得た。
乳糖103.2g、コーンスターチ18g、トルバプタン15g、コポリビドン15g、結晶セルロース18g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース9gおよびステアリン酸マグネシウム1.8gを混合した後、重量180mgとなるよう打錠し、非晶質化していないトルバプタンを含む錠剤を得た。
乳糖141.84g、コーンスターチ21.6gを流動層造粒機に投入し、コポリビドン18gをエタノール694gに溶解した液を噴霧して造粒物を得た。この造粒物151.2gに結晶セルロース18g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース9g、ステアリン酸マグネシウム1.8gを混合した後、重量180mgとなるよう打錠し、トルバプタンを含まないプラセボ錠剤を得た。
結晶性トルバプタンならびに実施例11および比較例6で得られた錠剤についてX線回折法(SmartLab(リガク)、光源:CuKα、電圧:40kV、電流40mA、スキャンスピード:10°/分)により、トルバプタンの結晶形を評価した。その結果を図3に示す。
実施例11で得られた錠剤のX線回折では、結晶性トルバプタンのピークは完全に消失し、トルバプタンが含まれない比較例6と同じスペクトルを示したことから、実施例11の錠剤中のトルバプタンは非晶質状態であることが示された。
実施例11、12および比較例5で得られた錠剤について、日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に準じ、パドル回転数50rpmにて、水に対するトルバプタンの溶出率(%)を測定した。試験液としては、pH1.2(日本薬局方溶出試験第1液)、pH6.8(日本薬局方溶出試験第2液)、および精製水を用いて行った。結果を表2に示す。
Claims (4)
- トルバプタンと、ポリビニルピロリドン、コポリビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーとを含むことを特徴とする非晶質固体分散体。
- トルバプタンと前記ポリマーとを10:1〜1:10の重量比で含む請求項1に記載の非晶質固体分散体。
- 請求項1または2に記載の非晶質固体分散体および少なくとも1つの医薬用添加剤を含む医薬組成物。
- トルバプタンと、ポリビニルピロリドン、コポリビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーとを、エタノールまたはエタノールと水との混液中で混合して、混合溶液を取得する工程、および
得られた混合溶液から溶媒を除去して非晶質固体分散体を取得する工程
を含む非晶質固体分散体の製造方法。
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