JP2018020982A - デュタステリドを含む非晶質固体分散体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶解性に優れたデュタステリドの固形製剤を提供することを課題とする。【解決手段】デュタステリドと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、コポリビドンおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーとを含む非晶質固体分散体によって、上記の課題を解決する。【選択図】図2
Description
本発明は、デュタステリドを含む非晶質固体分散体およびその製造方法に関する。
デュタステリドは、前立腺肥大症または男性型脱毛症の治療のために用いられる医薬成分であり、この成分を含む薬剤はカプセル剤として商業的に入手可能である。
デュタステリドは、水に溶けにくい難溶性化合物であり、このような難溶性化合物を医薬の有効成分として用いる場合、溶解性および吸収性が低く、バイオアベイラビリティに乏しいという問題がある。
デュタステリドは、水に溶けにくい難溶性化合物であり、このような難溶性化合物を医薬の有効成分として用いる場合、溶解性および吸収性が低く、バイオアベイラビリティに乏しいという問題がある。
特許文献1には、デュタステリドを含む医薬組成物が記載されており、デュタステリドを錠剤とした処方例が記載されているが、その溶解性データは示されていない。
また、特許文献2には、溶解安定性を維持したデュタステリドの液剤を充填した経口ソフトカプセル剤が記載されているが、固形製剤については記載されていない。
また、特許文献2には、溶解安定性を維持したデュタステリドの液剤を充填した経口ソフトカプセル剤が記載されているが、固形製剤については記載されていない。
本発明は、溶解性に優れたデュタステリドの固形製剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定のポリマーを用いてデュタステリドを非晶質化することによって、溶解性に優れたデュタステリドの非晶質固体分散体が得られ、上記の課題を解決できることを見出した。
本発明によれば、デュタステリドと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、コポリビドンおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選択される少なくとも1つのポリマー(以下、「非晶質化ポリマー」ともいう)とを含むことを特徴とする非晶質固体分散体が提供される。
また、本発明によれば、デュタステリドと、少なくとも1つの非晶質化ポリマーとを、有機溶媒または有機溶媒と水との混液中で混合して混合溶液を取得する工程、および得られた混合溶液から溶媒を除去して非晶質固体分散体を取得する工程を含む、非晶質固体分散体の製造方法が提供される。
本発明によれば、特定のポリマーを用いてデュタステリドを非晶質化することによって、溶解性に優れたデュタステリドの非晶質固体分散体を得ることができる。
本発明の非晶質固体分散体は、デュタステリドおよび少なくとも1つの非晶質化ポリマーを含む。ここで、固体分散体とは、少なくとも1つの非晶質化ポリマーからなるマトリクス中に有効成分(デュタステリド)が分散してなるものである。本発明の非晶質固体分散体は、非晶質(アモルファスとも呼ばれる)、すなわち結晶構造を有しない不定形の状態である。なお、非晶質か否かはX線回折によって判断することができる。
デュタステリドは、次の式(I)で表される構造を有する化合物であり、IUPAC名では、
「N-[2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-3-オキソ-4-アザ-5α-アンドロスタ-1-エン-17β-カルボキサミド」である。
「N-[2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-3-オキソ-4-アザ-5α-アンドロスタ-1-エン-17β-カルボキサミド」である。
本発明における非晶質化ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、コポリビドンおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選択される、少なくとも1つのポリマーである。
本発明の非晶質固体分散体におけるデュタステリドと非晶質化ポリマーとの割合(重量比)は、好ましくは10:1〜1:10、より好ましくは9:1〜1:9である。
本発明の非晶質固体分散体におけるデュタステリドと非晶質化ポリマーとの割合(重量比)は、好ましくは10:1〜1:10、より好ましくは9:1〜1:9である。
本発明の非晶質固体分散体は、例えば、デュタステリドと、少なくとも1つの非晶質化ポリマーとを、有機溶媒または有機溶媒と水との混液中で混合して、混合溶液を取得する工程、および
得られた混合溶液から溶媒を除去して、非晶質固体分散体を取得する工程
を含む非晶質固体分散体の製造方法によって製造することができる。
得られた混合溶液から溶媒を除去して、非晶質固体分散体を取得する工程
を含む非晶質固体分散体の製造方法によって製造することができる。
デュタステリドと非晶質化ポリマーとの混合割合(重量比)は、好ましくは10:1〜1:10、より好ましくは9:1〜1:9である。この混合割合は、そのまま非晶質固体分散体におけるデュタステリドと非晶質化ポリマーとの重量比に反映されると推測される。
上記の製造方法で用いられる有機溶媒は、特に限定されないが、例えばエタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。中でも、残留しても毒性が問題にならない(あるいは、なりにくい)点で、エタノールが好ましい。前記有機溶媒としてエタノールを使用した場合、得られた本発明の非晶質固体分散体は、ジクロロメタンのような毒性の高い溶媒を包含することがなく、例えば、本発明の非晶質固体分散体におけるジクロロメタンの含有量は0%となる。
上記の製造方法において、有機溶媒は、単独で用いてもよいし、水との混液として用いてもよい。例えば、エタノールの場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやメチルセルロースはエタノール単独では溶けにくいので、それらを非晶質化ポリマーとする場合にはエタノールと水との混液を用いることが好ましい。有機溶媒と水との混液を用いる場合、混液中に占める水の割合は、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下がよい。水の割合が多くなりすぎると、溶媒を除去しにくくなり、乾燥の際に高温を要する等のおそれが生じる。
混合方法は特に限定されず、例えばデュタステリドと非晶質化ポリマーとを有機溶媒中、または有機溶媒/水混液中に溶解させることによって混合してもよいし、あるいはデュタステリドを溶解した第1の有機溶媒溶液または有機溶媒/水溶液と、非晶質化ポリマーを溶解した第2の有機溶媒溶液または有機溶媒/水溶液とを混合することによって行ってもよい。
混合する際の温度は特に限定されず、例えば室温で混合してもよいし、加熱(例えば70℃以下の温度)しながら混合してもよい。
なお、本発明の非晶質固体分散体の製造方法においては、上記の混合によってデュタステリドと非晶質化ポリマーとが共存する状態とすればよく、かかる混合状態を経た後、有機溶媒を除去することにより非晶質化が可能となる。本発明では、このデュタステリドと非晶質化ポリマーを混合した状態において、他の成分が更に共存していてもよい。例えば、本発明の非晶質固体分散体を用いて医薬組成物を製造する場合には、後述する医薬用添加剤をデュタステリド、非晶質化ポリマーとともに、有機溶媒中に添加しておくことができ、これによって非晶質化が妨げられるものではない。
上記の製造方法において、有機溶媒は、単独で用いてもよいし、水との混液として用いてもよい。例えば、エタノールの場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやメチルセルロースはエタノール単独では溶けにくいので、それらを非晶質化ポリマーとする場合にはエタノールと水との混液を用いることが好ましい。有機溶媒と水との混液を用いる場合、混液中に占める水の割合は、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下がよい。水の割合が多くなりすぎると、溶媒を除去しにくくなり、乾燥の際に高温を要する等のおそれが生じる。
混合方法は特に限定されず、例えばデュタステリドと非晶質化ポリマーとを有機溶媒中、または有機溶媒/水混液中に溶解させることによって混合してもよいし、あるいはデュタステリドを溶解した第1の有機溶媒溶液または有機溶媒/水溶液と、非晶質化ポリマーを溶解した第2の有機溶媒溶液または有機溶媒/水溶液とを混合することによって行ってもよい。
混合する際の温度は特に限定されず、例えば室温で混合してもよいし、加熱(例えば70℃以下の温度)しながら混合してもよい。
なお、本発明の非晶質固体分散体の製造方法においては、上記の混合によってデュタステリドと非晶質化ポリマーとが共存する状態とすればよく、かかる混合状態を経た後、有機溶媒を除去することにより非晶質化が可能となる。本発明では、このデュタステリドと非晶質化ポリマーを混合した状態において、他の成分が更に共存していてもよい。例えば、本発明の非晶質固体分散体を用いて医薬組成物を製造する場合には、後述する医薬用添加剤をデュタステリド、非晶質化ポリマーとともに、有機溶媒中に添加しておくことができ、これによって非晶質化が妨げられるものではない。
溶媒の除去方法は、特に限定されず、例えば、真空乾燥、凍結乾燥、通風乾燥、噴霧乾燥等の乾燥方法の中から適宜選択して採用すればよい。また、得られた非晶質固体分散体を後述する医薬用添加剤と混合、製剤化して医薬組成物とする際に、例えば、流動層造粒装置を用いた湿式造粒において、加熱された雰囲気中で浮遊した核材料(例えば、乳糖、コーンスターチ等)にデュタステリドと非晶質化ポリマーを含む混合溶液を噴霧するなど、得られた非晶質固体分散体と医薬用添加剤を混合する際に同時に非晶質化のための有機溶媒を除去させるようにしてもよい。好ましい溶媒の除去方法としては、例えば、通風乾燥が挙げられ、その際の好ましい乾燥条件(温度、時間)は、例えば、40〜70℃、より好ましくは50〜60℃で、2〜16時間、より好ましくは8〜12時間である。
本発明の医薬組成物は、本発明の非晶質固体分散体および少なくとも1つの医薬用添加剤を含む。本発明の医薬組成物においては、有効成分であるデュタステリドが良好な溶解性を備えた非晶質固体分散体として含有されているので、良好なバイオアベイラビリティが期待できる。
本発明の医薬組成物は、例えば第十六改正日本薬局方の製剤総則に記載された慣用の方法により、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤のような固形製剤、あるいは各種液剤に製剤化される。
本発明の医薬組成物は、例えば第十六改正日本薬局方の製剤総則に記載された慣用の方法により、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤のような固形製剤、あるいは各種液剤に製剤化される。
医薬用添加剤は、特に限定されず、通常の可溶化剤、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。中でも、医薬用添加剤として可溶化剤を含有していると、デュタステリドの溶出率を向上させることができるので好ましい。
可溶化剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル類(例えばポリソルベート80等)、ポリエチレングリコール類等のノニオン界面活性剤、その他各種界面活性剤などが挙げられる。
賦形剤としては、例えば乳糖水和物、結晶セルロース、マンニトール、白糖、ブドウ糖、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤としては、例えばアラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、アルファ化デンプン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。
崩壊剤としては、例えばクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法による測定において、個々の類縁物質のピーク面積がデュタステリドのピーク面積に対してそれぞれ0.1%以下であり、好ましくは、それぞれ0.06%以下である。つまり、デュタステリドのピーク以外に認められる全てのピークが、それぞれデュタステリドのピーク面積の0.1%以下となる。また、本発明の医薬組成物は、60℃、75%RH下の苛酷条件下で1週間保存した場合にも、各類縁物質の増加が認められないという良好な安定性を備えている。なお、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法の測定条件は、例えば実施例で後述する通りとすればよい。
可溶化剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル類(例えばポリソルベート80等)、ポリエチレングリコール類等のノニオン界面活性剤、その他各種界面活性剤などが挙げられる。
賦形剤としては、例えば乳糖水和物、結晶セルロース、マンニトール、白糖、ブドウ糖、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤としては、例えばアラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、アルファ化デンプン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。
崩壊剤としては、例えばクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法による測定において、個々の類縁物質のピーク面積がデュタステリドのピーク面積に対してそれぞれ0.1%以下であり、好ましくは、それぞれ0.06%以下である。つまり、デュタステリドのピーク以外に認められる全てのピークが、それぞれデュタステリドのピーク面積の0.1%以下となる。また、本発明の医薬組成物は、60℃、75%RH下の苛酷条件下で1週間保存した場合にも、各類縁物質の増加が認められないという良好な安定性を備えている。なお、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法の測定条件は、例えば実施例で後述する通りとすればよい。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1
ポリビニルピロリドン5g(商品名:ポリビニルピロリドン K90、BASF社製)およびエタノール45gからなる溶液9gと、デュタステリド1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し(デュタステリド:ポリビニルピロリドン(重量比)=1:9)、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
ポリビニルピロリドン5g(商品名:ポリビニルピロリドン K90、BASF社製)およびエタノール45gからなる溶液9gと、デュタステリド1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し(デュタステリド:ポリビニルピロリドン(重量比)=1:9)、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
実施例2
ポリビニルピロリドン5gの代わりに、コポリビドン5g(商品名:プラスドンS−630、ASHLAND社製)を用い、実施例1と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
ポリビニルピロリドン5gの代わりに、コポリビドン5g(商品名:プラスドンS−630、ASHLAND社製)を用い、実施例1と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
実施例3
ポリビニルピロリドン5gの代わりに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットEPO、EVONIK社製)5gを用い、実施例1と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
ポリビニルピロリドン5gの代わりに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットEPO、EVONIK社製)5gを用い、実施例1と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
実施例4
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R(2%水溶液の粘度6mPa・s(20℃))、信越化学工業社製)5g、エタノール45gおよび水10gからなる溶液10.8gと、デュタステリド1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し(デュタステリド:ヒドロキシプロピルメチルセルロース=1:9)、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R(2%水溶液の粘度6mPa・s(20℃))、信越化学工業社製)5g、エタノール45gおよび水10gからなる溶液10.8gと、デュタステリド1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し(デュタステリド:ヒドロキシプロピルメチルセルロース=1:9)、60℃で12時間通風乾燥して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
実施例5
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R)5gの代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5E(2%水溶液の粘度3mPa・s(20℃))、信越化学工業社製)5gを用い、実施例4と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R)5gの代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5E(2%水溶液の粘度3mPa・s(20℃))、信越化学工業社製)5gを用い、実施例4と同様に処理して粉末(非晶質固体分散体)1gを得た。
比較例1
エタノールへの溶解および乾燥を行うことなく、実施例で用いたデュタステリドをそのまま、比較用の粉末とした。
エタノールへの溶解および乾燥を行うことなく、実施例で用いたデュタステリドをそのまま、比較用の粉末とした。
比較例2
ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(商品名:Shin−Etsu AQOAT、信越化学工業社製)5g、エタノール45gおよび水20gからなる溶液12.6gと、デュタステリド1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し(デュタステリド:ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル=1:9)、60℃で12時間通風乾燥して粉末1gを得た。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(商品名:Shin−Etsu AQOAT、信越化学工業社製)5g、エタノール45gおよび水20gからなる溶液12.6gと、デュタステリド1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し(デュタステリド:ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル=1:9)、60℃で12時間通風乾燥して粉末1gを得た。
比較例3
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(商品名:コリコートIR、BASF社製)5g、エタノール45gおよび水30gからなる溶液14.4gと、デュタステリド1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し(デュタステリド:ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー=1:9)、60℃で12時間通風乾燥して粉末1gを得た。
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(商品名:コリコートIR、BASF社製)5g、エタノール45gおよび水30gからなる溶液14.4gと、デュタステリド1gおよびエタノール99gからなる溶液10gを混合し(デュタステリド:ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー=1:9)、60℃で12時間通風乾燥して粉末1gを得た。
試験例1
実施例1〜5および比較例1〜3についてX線回折法(SmartLab(リガク)、光源:CuKα、電圧:40kV、電流40mA、スキャンスピード:10°/分)により、結晶形について評価した。その結果を図1に示す。
比較例1〜3で得られた粉末では、結晶構造を有する物質に特有のピークが横軸2θ=20弱の領域において観察され、結晶構造を有していることが示された。このことは、比較例1〜3で得られた粉末が非晶質でないことを示す。
一方、実施例1〜5では、横軸2θ=20弱のピークが観察されず、ハローパターンを示した。このことは、実施例1〜5で得られた粉末が非晶質であることを示す。
以上の結果から、非晶質化ポリマーとしてポリビニルピロリドン、コポリビドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることで、デュタステリドを非晶質状態にできることが示された。
実施例1〜5および比較例1〜3についてX線回折法(SmartLab(リガク)、光源:CuKα、電圧:40kV、電流40mA、スキャンスピード:10°/分)により、結晶形について評価した。その結果を図1に示す。
比較例1〜3で得られた粉末では、結晶構造を有する物質に特有のピークが横軸2θ=20弱の領域において観察され、結晶構造を有していることが示された。このことは、比較例1〜3で得られた粉末が非晶質でないことを示す。
一方、実施例1〜5では、横軸2θ=20弱のピークが観察されず、ハローパターンを示した。このことは、実施例1〜5で得られた粉末が非晶質であることを示す。
以上の結果から、非晶質化ポリマーとしてポリビニルピロリドン、コポリビドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることで、デュタステリドを非晶質状態にできることが示された。
実施例6
デュタステリド50mgおよびエタノール1950mgからなる溶液300mgと、ポリビニルピロリドン4.5g(商品名:ポリビニルピロリドン K90)およびエタノール45.5gからなる溶液750mgを混合した後(デュタステリド:ポリビニルピロリドン=1:9)、この混合溶液に乳糖水和物2220mgを加えて混合し、60℃で12時間通風乾燥して粉末2295mgを得た。
得られた粉末と、結晶セルロース600mg、クロスカルメロースナトリウム90mgおよびステアリン酸マグネシウム15mgとを混合した後、打錠圧5kNで粉末を圧縮し、重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
デュタステリド50mgおよびエタノール1950mgからなる溶液300mgと、ポリビニルピロリドン4.5g(商品名:ポリビニルピロリドン K90)およびエタノール45.5gからなる溶液750mgを混合した後(デュタステリド:ポリビニルピロリドン=1:9)、この混合溶液に乳糖水和物2220mgを加えて混合し、60℃で12時間通風乾燥して粉末2295mgを得た。
得られた粉末と、結晶セルロース600mg、クロスカルメロースナトリウム90mgおよびステアリン酸マグネシウム15mgとを混合した後、打錠圧5kNで粉末を圧縮し、重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
実施例7
ポリビニルピロリドン4.5gの代わりに、コポリビドン4.5g(商品名:プラスドンS−630、ASHLAND社製)を用い、実施例6と同様に処理して粉末2295mgを得、得られた粉末から重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
ポリビニルピロリドン4.5gの代わりに、コポリビドン4.5g(商品名:プラスドンS−630、ASHLAND社製)を用い、実施例6と同様に処理して粉末2295mgを得、得られた粉末から重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
実施例8
ポリビニルピロリドン4.5gの代わりに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE4.5g(商品名:オイドラギットEPO、EVONIK社製)を用い、実施例6と同様に処理して粉末2295mgを得、得られた粉末から重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
ポリビニルピロリドン4.5gの代わりに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE4.5g(商品名:オイドラギットEPO、EVONIK社製)を用い、実施例6と同様に処理して粉末2295mgを得、得られた粉末から重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
実施例9
デュタステリド50mgおよびエタノール1950mgからなる溶液300mgと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R)4.5g、エタノール45.5gおよび水10gからなる溶液900mgを混合した後(デュタステリド:ヒドロキシプロピルメチルセルロース=1:9)、乳糖水和物2220mgを加えて混合し、60℃で12時間通風乾燥して粉末2295mgを得た。得られた粉末を実施例6と同様に処理して、重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
デュタステリド50mgおよびエタノール1950mgからなる溶液300mgと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R)4.5g、エタノール45.5gおよび水10gからなる溶液900mgを混合した後(デュタステリド:ヒドロキシプロピルメチルセルロース=1:9)、乳糖水和物2220mgを加えて混合し、60℃で12時間通風乾燥して粉末2295mgを得た。得られた粉末を実施例6と同様に処理して、重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
実施例10
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R)4.5gの代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5E)4.5gを用い、実施例9と同様に処理して粉末2295mgを得た。この粉末を実施例6と同様に処理して、重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5R)4.5gの代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5E)4.5gを用い、実施例9と同様に処理して粉末2295mgを得た。この粉末を実施例6と同様に処理して、重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
比較例4
比較例1のデュタステリド7.5mgと、乳糖水和物2287.5mg、結晶セルロース600mg、クロスカルメロースナトリウム90mgおよびステアリン酸マグネシウム15mgとを混合した後、打錠圧5kNで粉末を圧縮し、重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
比較例1のデュタステリド7.5mgと、乳糖水和物2287.5mg、結晶セルロース600mg、クロスカルメロースナトリウム90mgおよびステアリン酸マグネシウム15mgとを混合した後、打錠圧5kNで粉末を圧縮し、重量200mg、直径8mmの錠剤を得た。
試験例2
実施例6〜10および比較例4で得られた錠剤について、日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に準じ、パドル回転数50rpmにて、pH1.2試験液(溶出試験第1液)に対するデュタステリドの溶出率(%)を測定した。結果を表1および図2に示す。
表1および図2から明らかなように、実施例6〜10の錠剤中のデュタステリドは、非晶質化処理を施していないデュタステリド(比較例4)より良好な溶解性を示した。
実施例6〜10および比較例4で得られた錠剤について、日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に準じ、パドル回転数50rpmにて、pH1.2試験液(溶出試験第1液)に対するデュタステリドの溶出率(%)を測定した。結果を表1および図2に示す。
表1および図2から明らかなように、実施例6〜10の錠剤中のデュタステリドは、非晶質化処理を施していないデュタステリド(比較例4)より良好な溶解性を示した。
試験例3
実施例6〜10で得られた錠剤(初期)およびこれらの錠剤を60℃、75%RH下で1週間保存した錠剤(苛酷条件)について、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により分析した。HPLCの測定は、European Pharmacopoeia8.2のDUTASTERIDEの項に記載された条件で行った。
その結果を表2に示す。なお、表2において、数値は、クロマトグラムから割り出した、デュタステリド(相対保持時間:1)のピーク面積に対する各類縁物質(相対保持時間:0.1、0.4)の割合(百分率)を示しており、その単位は「%(パーセント)」である。
実施例6〜10で得られた錠剤(初期)およびこれらの錠剤を60℃、75%RH下で1週間保存した錠剤(苛酷条件)について、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により分析した。HPLCの測定は、European Pharmacopoeia8.2のDUTASTERIDEの項に記載された条件で行った。
その結果を表2に示す。なお、表2において、数値は、クロマトグラムから割り出した、デュタステリド(相対保持時間:1)のピーク面積に対する各類縁物質(相対保持時間:0.1、0.4)の割合(百分率)を示しており、その単位は「%(パーセント)」である。
表2から明らかなように、実施例6〜10の錠剤は、個々の類縁物質(相対保持時間:0.1、0.4)のピーク面積がデュタステリドのピーク面積に対してそれぞれ0.1%以下であった。そして、実施例6〜10の錠剤では、苛酷条件(60℃、75%RH)下に1週間保存した後でも、類縁物質の初期からの顕著な増大は認められなかった。この結果から、実施例6〜10の錠剤中のデュタステリドの安定性は良好であることが確認された。
Claims (7)
- デュタステリドと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、コポリビドンおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーとを含むことを特徴とする非晶質固体分散体。
- デュタステリドと前記ポリマーとを10:1〜1:10の重量比で含む請求項1に記載の非晶質固体分散体。
- 請求項1または2に記載の非晶質固体分散体および少なくとも1つの医薬用添加剤を含む医薬組成物。
- 前記医薬用添加剤が可溶化剤である、請求項3に記載の医薬組成物。
- 高速液体クロマトグラフ法による測定において、個々の類縁物質のピーク面積がデュタステリドのピーク面積に対してそれぞれ0.1%以下である、請求項3または4に記載の医薬組成物。
- デュタステリドと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、コポリビドンおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーとを、有機溶媒または有機溶媒と水との混液中で混合して、混合溶液を取得する工程、および
得られた混合溶液から溶媒を除去して非晶質固体分散体を取得する工程
を含む非晶質固体分散体の製造方法。 - 前記有機溶媒がエタノールである請求項6に記載の製造方法。
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JP2016153954A JP2018020982A (ja) | 2016-08-04 | 2016-08-04 | デュタステリドを含む非晶質固体分散体およびその製造方法 |
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