以下、まず実施形態の超音波プローブについて説明する。
[超音波プローブの構成]
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る超音波プローブPAの一部を切り欠いてその内部構造を示す説明図である。超音波プローブPAは、患者の表面にその先端面を接触させた状態で用いられ、超音波の送受信を行う。超音波プローブPAは、各超音波振動子により患者内に超音波を送信してスキャン領域を走査し、患者からの反射波をエコー信号として受信する。なお、このスキャンとしては、例えばBモードスキャンやドプラモードスキャンなど各種のスキャンがある。また、超音波プローブPAには、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、診断部位に応じて任意に選択される。
第1の実施の形態における超音波プローブPAは、ケースCAと、第1の超音波振動子群1と、第2の超音波振動子群2と、ニードルガイド3Aと、反射体4Aと、音響媒体5Aとを備える。これら第1の超音波振動子群1と、第2の超音波振動子群2と、ニードルガイド3Aと、反射体4Aと、音響媒体5Aとは、図1に示すように、ケースCAに収容されている。また、超音波プローブPAは、図示しない超音波診断装置にケーブルAを介して着脱可能に接続されている。第1の超音波振動子群1及び第2の超音波振動子群2は、ケーブルAと接続されている。
第1の超音波振動子群1は、複数の超音波振動子1aを備える。また第1の超音波振動子群1に対して、超音波振動子1aから被検体に向けて超音波が送信される向きには音響整合層1bが設けられる。また第1の超音波振動子群1に対して、第1の超音波振動子群1を挟み音響整合層1bと対向する位置にはバッキング材1cが設けられる。以下においては、これら複数の超音波振動子1a、音響整合層1b、及びバッキング材1cを個々に指し示して説明を行う場合を除き、これらをまとめて第1の超音波振動子群1と表わす。なお、図1に示す超音波プローブPAでは音響整合層1bの前面に備えられる音響レンズについてその図示を省略している。
第1の超音波振動子群1を構成する複数の超音波振動子1aは、図1の矢印に示すアレイ方向において例えば1次元的に配列されている。第1の超音波振動子群1からは、第1の超音波振動子群1の一端と他端との間で患者の表面に向けて超音波が送信される。当該超音波が送信される面が走査面となる。
第2の超音波振動子群2は、複数の超音波振動子2aを備える。また第2の超音波振動子群2は、超音波振動子2aから被検体に向けて超音波が送信される向きに音響整合層2bを備える。また第2の超音波振動子群2は、第2の超音波振動子群2を挟み音響整合層2bと対向する位置にバッキング材2cを備えている。以下においては、これら複数の超音波振動子2a、音響整合層2b、及びバッキング材2cを個々に指し示して説明を行う場合を除き、これらをまとめて第2の超音波振動子群2と表わす。なお、図1に示す超音波プローブPAでは音響整合層2bの前面に備えられる音響レンズについてはその図示を省略している。
第2の超音波振動子群2、音響整合層2b、及びバッキング材2cは、第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aから送信される超音波による走査面が、第1の超音波振動子群1による超音波による走査面と交差する位置となるように配置される。
具体的には図1に示すように、第2の超音波振動子群は、第1の超音波振動子群の一端近傍に配置される。第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aのアレイ方向は、第1の超音波振動子群1の超音波振動子1aのアレイ方向との関係で略直交している。なお、各アレイ方向が略直交する構成に限られない。すなわち、第2の超音波振動子群2による走査面と、第1の超音波振動子群1による走査面とが交差する位置に第2の超音波振動子群2が配置されていれば、各アレイ方向同士を直交でなく交差させればよい。
ニードルガイド3Aは、穿刺針をガイドする。第1の実施の形態におけるニードルガイド3Aは、第2の超音波振動子群2の近傍であって、第2の超音波振動子群2の超音波の送信方向に沿って設けられる。つまり図1において図示しない穿刺針は、図1に示す一点鎖線の方向に移動する。
また、当該ニードルガイド3Aは、ケースCAの一部に凹部を形成することによって設けられている。図1の矢印X方向の状態を示す図(同図における右上)に示されているように、当該X方向においてケースCAの外面に当たる一端側は開口しており、他端側は湾曲するように形成されている。なお、ニードルガイド3Aの形状は、ここに示すように一端側が開口するような形状でなくても良く、例えば、穿刺針が通る円筒状の形状を備えていても良い。
図1の矢印Y方向の状態を示す図には、ニードルガイド3Aが示されているとともに、ケースCAの内部に収容されている第2の超音波振動子群2及び後述する音響媒体5Aが破線で示されている。上述したように、第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aは、第1の超音波振動子群1を構成する超音波振動子1aのアレイ方向と略直交するように配置されている。そのため、ここでは複数の超音波振動子2aがそれぞれ示されている。なお、音響整合層2bの表示は省略している。
反射体4Aは、第2の超音波振動子群2から送信される超音波を反射させる。反射体4Aは、第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aに対向する位置に配置される。反射体4Aの形状は、超音波振動子2aからの超音波を所望の向きに反射させるように形成されている。図1に示す第1の実施の形態における反射体4Aは、ケースCAの形状に沿って湾曲して配置されている。この反射体4Aは、超音波振動子から送信される超音波を収束する曲率を備える曲面を有する。このため、反射体4Aが当該超音波を反射させることによって、超音波の送信方向とニードルガイド3Aによってガイドされる穿刺針の刺入方向は略同じ方向となる。なお、反射体4AとケースCAとが別体である構成に限られない。例えばケースCAの内面における反射体4Aに対応する位置が、反射体4Aの機能を有するように加工されていてもよい。
音響媒体5Aは、第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aからの超音波を伝播させる。音響媒体5Aは、患者の体表近傍に対応する超音波画像の高画質化に寄与する。音響媒体5Aとしては流動性のあるものが採用される。なお、音響媒体5Aは流動性のあるものに限らず、例えばゴム等の弾性体でもよい。
第2の超音波振動子群2から送信された超音波は、反射体4Aに反射することにより概ね穿刺針の刺入方向(上述したように、図1では一点鎖線で示されている)と平行となるように反射される。そのため、超音波振動子2aから送信される超音波による走査面は、第1の超音波振動子群1による超音波の走査面と交差する。図1において観察対象Tは、第1の超音波振動子群1による超音波の走査面と第2の超音波振動子群2による超音波の走査面が交差する位置にある。
図2は、第1の実施の形態に係る超音波プローブPAを用いて生成された超音波画像をディスプレイに表示させた状態を示す画面例である。第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2のそれぞれから送信された超音波をもって観察対象Tを走査すると、図2に示すように、それぞれ超音波画像として生成される。
図2においてディスプレイの左側に表示されている超音波画像は、第1の超音波振動子群1から送信された超音波を用いて生成されたものである。一方、ディスプレイの右側に表示されている超音波画像は、第2の超音波振動子群2から送信された超音波を用いて生成されたものである。なお、ここでは、穿刺針Nがニードルガイド3Aに沿って患者内部に存在する観察対象Tに向けて刺入され、観察対象T近傍まで穿刺針Nの先端が到達している状態を例に挙げて説明する。
ディスプレイの左側に表示されている超音波画像では、穿刺針Nの先端が超音波画像の右下に表示されている観察対象Tに右上から左下に向けて進む様子が示されている。また、ディスプレイの右側に表示されている超音波画像では、超音波画像の下部に表示されている観察対象Tに対して、穿刺針Nが上方から近づく様子が示されている。なお、当該右側の超音波画像における上部領域は、音響媒体5Aが設けられていることによって表示される領域である。そのため当該超音波画像の上部領域には音響媒体5Aの外縁が表示されている。
以上説明した通り、超音波プローブに第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2とを設け、それぞれの走査面が交差するように配置するとともに、第2の超音波振動子群2から送信される超音波の送信方向が穿刺針Nの刺入方向と概ね平行となるように反射体4A及び音響媒体5Aを利用する。これにより、交差する2断面を示す超音波画像を生成可能な超音波プローブ及びそれを備える超音波診断装置であって、超音波プローブにおける生体接触面を大型化することなく穿刺術が行われる際に穿刺針が映らない穿刺ブラインドの範囲を極力低減可能とする超音波プローブ及び超音波診断装置を提供することができる。
また、特に第2の超音波振動子群2からの超音波の送信には、音響媒体5Aを用いていることから、図2に示すように、音響媒体5Aの領域についても超音波画像が表示されることになる。従って、これまで以上に穿刺ブラインドが生ずる範囲を小さくすることができる。
さらに、このような構成を採用することによって、超音波プローブの患者に対する接触面を大きくすることなく上述した効果を得ることができる。すなわち、患者への接触面の形状を小さくすることができれば、超音波プローブを十分に患者に接触させることができるため、超音波画像の生成について画像が得られないことを回避できる。
なお、第1の実施の形態において示されている反射体4A及び音響媒体5Aについては、超音波プローブPAに対して脱着可能に構成されていても良い。
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
図3は、第2の実施の形態に係る超音波プローブPBの一部を切り欠いてその内部構造を示す説明図である。第2の実施の形態における超音波プローブPBは、ケースCBと、第1の超音波振動子群1と、第2の超音波振動子群2と、ニードルガイド3Bと、反射体4Bと、音響媒体5Bとを備える。さらに、第1の超音波振動子群1からの超音波の送信方向にも他の音響媒体5Cが設けられている。このうち、他の音響媒体5Cを除く各部は、図3に示すように、ケースCBに収容されている。
本実施の形態における第2の超音波振動子群2、音響整合層2b、及びバッキング材2cの対応関係及びそれらの構成は、第1の実施の形態における第2の超音波振動子群2、音響整合層2b、及びバッキング材2cと同じである。また、第2の超音波振動子群2を構成する複数の超音波振動子2aのアレイ方向は、第1の超音波振動子群1を構成する超音波振動子1aのアレイ方向と略直交するように配置されている。
しかしながら、第2の超音波振動子群2、音響整合層2b、及びバッキング材2cのケースCB内における配置及び向きが第1の実施の形態と大きく異なる。すなわち、本実施の形態における第2の超音波振動子群2は、第1の超音波振動子群1の一端から離れた位置であって、ケースCBに向けて超音波が送信される向きに配置されている。
ニードルガイド3Bは、穿刺針をガイドする。第2の実施の形態におけるニードルガイド3Bは、第2の超音波振動子群2の近傍であって、第2の超音波振動子群2の超音波の送信方向に沿って設けられる。つまり図3において図示しない穿刺針は、図3に示す一点鎖線の方向に移動する。
また、当該ニードルガイド3Bは、図3の矢印X方向の状態を示す図(同図における右上)に示されているように、第2の超音波振動子群2の近傍に一方の開口が設けられ、他方の開口が第1の超音波振動子群1の一端近傍に設けられて、穿刺針が通る円筒状の形状を備えている。
図3の矢印Y方向の状態を示す図には、ケースCBの内部に収容されている、第2の超音波振動子群2、ニードルガイド3B及び音響媒体5Bが破線で示されている。上述したように、第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aは、第1の超音波振動子群1を構成する超音波振動子1aのアレイ方向と略直交するように配置されている。そのため、ここでは複数の超音波振動子2aがそれぞれ示されている。なお、音響整合層2b、バッキング材2cの表示は省略している。また、各アレイ方向が略直交する構成に限られない。すなわち、第2の超音波振動子群2による走査面と、第1の超音波振動子群1による走査面とが交差する位置に第2の超音波振動子群2が配置されていれば、各アレイ方向同士を直交でなく交差させればよい。
また、第2の実施の形態において、ケースCB内での反射体4Bの配置位置も第1の実施の形態における反射体4Aの配置位置とは異なる。すなわち、第2の超音波振動子群2から送信される超音波を反射させる反射体4Bは、その一端が第1の超音波振動子群1の一端近傍に配置され、他端は、第2の超音波振動子群2の近傍に配置される点も異なる。
第2の超音波振動子群2及び反射体4BがケースCB内においてこのような向き、位置に配置されることで、第2の超音波振動子群2から送信された超音波は、反射体4Bによって反射される。その結果、その超音波は穿刺針の刺入方向と概ね同じ方向に送信されることになる。
音響媒体5Bは、ケースCBの第2の超音波振動子群2の近傍に設けられている。さらに、第1の超音波振動子群1からの超音波の送信方向には、他の音響媒体5Cが設けられている。他の音響媒体5Cは、ケースCBに固定されていても、或いは、着脱可能とされていても良い。
図4は、第2の実施の形態に係る超音波プローブPBを用いて生成された超音波画像をディスプレイに表示させた状態を示す画面例である。第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2のそれぞれから送信された超音波をもって観察対象Tを走査すると、図4に示すように、それぞれ超音波画像として生成される。
図4においてディスプレイの左側に表示されている超音波画像は、第1の超音波振動子群1から送信された超音波を用いて生成されたものである。一方、ディスプレイの右側に表示されている超音波画像は、第2の超音波振動子群2から送信された超音波を用いて生成されたものである。なお、ここでは、穿刺針Nがニードルガイド3Bを用いて患者内部に存在する観察対象Tに向けて刺入され、観察対象T近傍まで穿刺針Nの先端が到達している状態を例に挙げて説明する。
ディスプレイの左側に表示されている超音波画像では、穿刺針Nの先端が超音波画像の右下に表示されている観察対象Tに右上から左下に向けて進み、観察対象Tに到達した様子が示されている。第2の実施の形態においては、第1の超音波振動子群1からの超音波の送信方向には、他の音響媒体5Cが設けられている。そのため、当該超音波画像の左上から右下に向けて他の音響媒体5Cの外縁が表示されている。また、第1の実施の形態における第1の超音波振動子群1からの超音波に基づいて生成された超音波画像(図2に示す左側の画像)と比して、穿刺針Nの先端のみならず、穿刺針のより多くの領域が超音波画像上に表示されている。
また、ディスプレイの右側に表示されている超音波画像では、超音波画像の下部に表示されている観察対象Tに対して、穿刺針Nが上方から到達した様子が示されている。なお、当該右側の超音波画像における上部領域は、音響媒体5Bが設けられていることによって表示される領域である。
以上説明した通り、超音波プローブに第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2とを設け、それぞれの走査面が交差するように配置するとともに、第2の超音波振動子群2から送信される超音波の送信方向が穿刺針の刺入方向と概ね平行となるように反射体4B及び音響媒体5Bを利用する。さらに、第1の超音波振動子群1からの超音波を他の音響媒体5Cを介して患者に送信するように、他の音響媒体5Cを用いる。これにより、交差する2断面を示す超音波画像を生成可能な超音波プローブ及びそれを備える超音波診断装置であって、超音波プローブにおける生体接触面を大型化することなく穿刺術が行われる際に穿刺針が映らない穿刺ブラインドの範囲を極力低減可能とする超音波プローブ及び超音波診断装置を提供することができる。
特に、第1の超音波振動子群1及び第2の超音波振動子群2をそれぞれ上述した位置に配置することによって、穿刺針をより第1の超音波振動子群1に近づけて通すことが可能となる。このように穿刺針の通過位置を第1の超音波振動子群1に近づけるように配置することで、穿刺ブラインドの範囲をより小さくすることができる。
また、第2の超音波振動子群2からの超音波の送信には音響媒体5Bを用い、第1の超音波振動子群1からの超音波の送信には他の音響媒体5Cを用いていることから、図2に示すように、音響媒体5B、或いは、他の音響媒体5Cの領域についても超音波画像が表示されることになる。従って、これまで以上に穿刺ブラインドが生ずる範囲を小さくすることができる。
さらに、このような構成を採用することによって、超音波プローブの患者に対する接触面を大きくすることなく上述した効果を得ることができる。すなわち、患者への接触面の形状を小さくすることができれば、超音波プローブを十分に患者に接触させることができるため、超音波画像の生成について画像が得られないことを回避できる。
また、第2の実施の形態における超音波プローブでは、第1の実施の形態の場合に比べて、第2の超音波振動子群2が第1の超音波振動子群1から離れて配置されている。従って、超音波プローブ内でのそれぞれの振動子群の配置の自由度が高くなり、設計の自由度も高くなる。
なお、第2の実施の形態において用いた、第1の超音波振動子群1に対する他の音響媒体5Cを第1の実施の形態における超音波プローブPAに適用することも可能である。すなわち、第1の実施の形態においては、第1の超音波振動子群1に対応して生成される図2に示す超音波画像のように、図4に示す超音波画像と比べて超音波画像に表示される穿刺針の領域が小さい。そこで、穿刺針のより広い領域を表示させるべく、第1の実施の形態における超音波プローブPAに他の音響媒体5Cを装着させる。これにより、これまで以上に穿刺ブラインドの解消に寄与することができる。
(第3の実施の形態)
次に本発明における第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、上述の第1、或いは、第2の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
第3の実施の形態における超音波プローブPCについては、図5ないし図8を用いて説明する。まず図5は、第3の実施の形態に係る超音波プローブPCの一部を切り欠いて正面からその内部構造を示す説明図である。また図6は、図5に示す第3の実施の形態に係る超音波プローブPCの右側面図である。
第3の実施の形態における超音波プローブPCは、ケースCCと、第1の超音波振動子群1と、第2の超音波振動子群2と、ニードルガイド3Cと、反射体4Cと、音響媒体5Dと、第1の配置可変機構6とを備える。第1の配置可変機構6は、ニードルガイド3C及び反射体4Cの傾きを変更するために用いられる。
本実施の形態における超音波プローブPCのうち、第1の超音波振動子群1と、第2の超音波振動子群2とが図5に示すように、ケースCCの内部に収容されている。一方、超音波プローブPCのケースCCの外面には、ニードルガイド3Cと、反射体4Cと、音響媒体5Dと、第1の配置可変機構6とが装着されている。
第3の実施の形態では、第1の超音波振動子群1を構成する超音波振動子1aと第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aとのそれぞれから送信される超音波に対して、共通する音響媒体5Dが設けられている。本実施の形態においては後述するように、場合によって第1の配置可変機構6を用いてニードルガイド3C及び反射体4Cの位置を変更することが可能である。そこで、音響媒体5Dには、ニードルガイド3C及び反射体4Cの位置変更に合わせて、ニードルガイド3C、反射体4C及びケースCCによりその外形を変更可能な内容液等が充填される。また、音響媒体5Dは、凹凸のある患者の表面と超音波プローブPCの超音波放射面との音響的な結合を確保することができる。
ニードルガイド3Cと反射体4Cは、超音波プローブPCに装着された第1の配置可変機構6を用いて、その角度(配置位置)を変化可能としている。そのため、ニードルガイド3C及び反射体4Cのいずれもこれまで第1、或いは、第2の実施の形態において説明したニードルガイドや反射体とは異なる形状を採用している。
ニードルガイド3Cは、穿刺針の刺入経路をガイドするが、ここでは図5や図6に示されているように、穿刺針が通過可能な経路を備えた、試験管のような形状とされている。また、穿刺針の刺入開始位置と反対側(穿刺針をニードルガイド3Cに差し込む側)においては、穿刺針の刺入を容易にするため、その開口の口径は、ニードルガイド3Cのその他の部分における口径よりも大きく形成されている。なお、本実施の形態においてはこのような形状を備えるニードルガイド3Cを採用するが、ニードルガイド3Cの形状はこのような形状に限定されるものではない。
ニードルガイド3Cには、第1の配置可変機構6を用いて反射体4Cと連結される連結箇所が2カ所設けられている。1カ所は、第1の配置可変機構6を構成するリンク部材(第2のリンク部材62)を用いて反射体4Cと直接連結される箇所である。もう1カ所は、同じく第1の配置可変機構6を構成する第2の連結部材(図5;符号66参照)と長孔4Caとを介して反射体4Cと連結される箇所(第3のリンク部材63に対応する箇所)である。
反射体4Cは、第2の超音波振動子群2から送信される超音波による走査面が第1の超音波振動子群1から送信される超音波による走査面と重複するように第2の超音波振動子群2から送信される超音波を反射させる。
本実施の形態における反射体4Cには、第1の配置可変機構6を用いてニードルガイド3Cとともにその角度を変化させることができるように、ニードルガイド3Cと連結する連結箇所が設けられている。さらには、ニードルガイド3Cと反射体4Cの角度を変更する際に第1の配置可変機構6の後述する第4のリンク部材が移動可能な長孔4Caを備えている。当該長孔4Caは、反射体4Cにおける第2のリンク部材が設けられる位置よりもケーブルAに近い位置に形成されている。また、長孔4Caの長手方向は反射体4Cの長手方向と対応する。
第1の配置可変機構6は、超音波プローブPCのケースCC外面と連結されることでケースCCに装着される。ケースCCとの連結位置は、例えば、ケースCCの内部に第2の超音波振動子群2が配置されている位置である。ここに第1のリンク部材61が設けられ、この位置に後述する第1の連結部材65の一端部が連結されつつ、この一端部を支点として第1の連結部材65が回動可能となる。また、第1の連結部材65の他端は、第4のリンク部材64により長孔4Caの位置において反射体4Cと連結される。
さらに反射体4Cは、第2の超音波振動子群2から送信された超音波の反射位置近傍においてニードルガイド3Cと直接連結されている。これらの連結には第2のリンク部材62が用いられ、この位置に固定されている。ニードルガイド3Cと反射体4Cは当該第2のリンク部材62を回転軸として互いに回動可能とされている。
ニードルガイド3Cは、第2のリンク部材62を用いて反射体4Cと直接連結されるとともに、後述する第2の連結部材66を用いて長孔4Caを介して反射体4Cと連結される。すなわち、ニードルガイド3Cは、第2の連結部材66の一端部において第3のリンク部材63を用いて連結される。ニードルガイド3Cは、第3のリンク部材63に連結されることで第3のリンク部材63を軸に回転可能とされる。さらに、当該第2の連結部材66の他端部は長孔4Caにおいて第4のリンク部材64を用いて反射体4Cと連結される。
反射体4Cの長孔4Caにおいて、第4のリンク部材64が、第1のリンク部材61に軸支(回動可能に支持)される第1の連結部材65と、第3のリンク部材63に軸支される第2の連結部材66とを連結する。第1の連結部材65と第2の連結部材66とは、第4のリンク部材64による連結位置を支点として相対位置を変位可能とされている。例えば第1の連結部材65と第2の連結部材66とによってなされる角度が変位する。また、第4のリンク部材64は、長孔4Caに沿って移動可能とされている。
第4のリンク部材64には、角度固定ネジ67が連結されている。角度固定ネジ67を緩めることで第4のリンク部材64が長孔4Caを移動可能となり、角度固定ネジ67を長孔4Caの適当な位置で締めることにより、長孔4Caにおける第4のリンク部材64の位置を固定することができる。
上述した通り、そして第4のリンク部材64は、長孔4Caにおいて第1の連結部材65と第2の連結部材66とを回動可能に連結している。当該第4のリンク部材64を長孔4Caに沿って移動させることによって、第1のリンク部材61ないし第3のリンク部材63に連結される各部(65、66)が回動する。その結果、ニードルガイド3Cと反射体4Cの角度が変化し、角度固定ネジ67を締めることでニードルガイド3C及び反射体4Cを任意の傾きをもって固定することができる。
具体的な第1の配置可変機構6の動作について、図5及び図6に加えて、図7及び図8も用いて説明する。図7は、第3の実施の形態に係る超音波プローブPCについて第1の配置可変機構6を用いてニードルガイド3Cの角度を変化させた状態を示す説明図である。また、図8は、図7に示す第3の実施の形態に係る超音波プローブPCの右側面図である。また、適宜図5も参照する。
比較のためにまず図5に示されている各部の位置を説明する。図5において、第4のリンク部材64は、長孔4Caの可動範囲のうち、第2のリンク部材62から最も遠い位置に固定されている。第4のリンク部材64がこの位置に配置されていることによって、反射体4Cの長手方向は、第1の超音波振動子群1からの超音波の送信方向と概ね平行となる。
この状態から、第4のリンク部材64に連結されている角度固定ネジ67を緩めて、第4のリンク部材64を長孔4Caに沿って第2のリンク部材62の方に向けて移動させる。そして、例えば、図7に示す長孔4Caの位置で角度固定ネジ67を締め、この位置で第4のリンク部材64を固定させる。
この場合、第1のリンク部材61及び第2のリンク部材62はそれぞれその位置に固定されていることから、第4のリンク部材64を長孔4Caに沿って移動させても第1のリンク部材61及び第2のリンク部材62は移動しない。また、第1の連結部材65の長さは変わらないため、第4のリンク部材64が長孔4Caに沿って移動すると、第1の連結部材65は第1のリンク部材61を軸として図5に示す矢印の方向に回転する。また、それに合わせて第2のリンク部材62を軸として反射体4Cも徐々に図5に示す矢印の方向に傾く。
一方、第2の連結部材66の長さも変わらないため、第4のリンク部材64を長孔4Caに沿って移動させても第4のリンク部材64と第3のリンク部材63との距離は常に保たれている。従って、反射体4Cが傾くに従って、第2のリンク部材62を回転軸としてニードルガイド3Cは図5に示す矢印の方向に回転する。
その結果、図5と図7とを比較すると、第4のリンク部材64の移動前後でニードルガイド3C及び反射体4Cの角度は異なっており、いずれも移動前よりも移動後の方が明らかに、第1の超音波振動子群1の超音波送信方向に対する傾きを大きくしている。この点は、移動前の超音波プローブPCの右側面図を示す図6と移動後の超音波プローブPCの右側面図を示す図8を見ても明らかである。
以上説明した通り、第1の配置可変機構6を用いることによって、超音波プローブPCの第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2との走査面が互いに交差するようにしつつ、観察対象Tの位置に合わせてニードルガイド3C及び反射体4Cの傾きを任意の傾きとすることができる。このような構成を採用することによって、交差する2断面を示す超音波画像を生成可能な超音波プローブ及びそれを備える超音波診断装置であって、超音波プローブにおける生体接触面の形状を大きくすることなく穿刺術が行われる際に穿刺針が映らない穿刺ブラインドの範囲を極力低減可能とする超音波プローブ及び超音波診断装置を提供することができる。
また、音響媒体5Dは、第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aから送信される超音波のみならず、第1の超音波振動子群1を構成する超音波振動子1aから送信される超音波に対しても共通して用いられる。従って、これまで以上に穿刺ブラインドの範囲を小さくすることができる。
さらに、このような構成を採用することによって、超音波プローブの患者に対する接触面を大きくすることなく上述した効果を得ることができる。すなわち、患者への接触面の形状を小さくすることができれば、超音波プローブを十分に患者に接触させることができるため、超音波画像の生成について画像が得られないことを回避できる。
(第4の実施の形態)
次に本発明における第4の実施の形態について説明する。なお、第4の実施の形態において、上述の第1ないし第3の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
第4の実施の形態においても第2の配置可変機構7を用いる。但し、第3の実施の形態における第1の配置可変機構6と異なるのは、第3の実施の形態における第1の配置可変機構6ではニードルガイド3C及び反射体4Cのみがその角度を変更するに留まっていたが、第4の実施の形態における第2の配置可変機構7ではこれに加えて、第2の超音波振動子群2の傾きも併せて変更される点にある。
本実施の形態における第2の配置可変機構7の構成については、図9及び図10を用いて説明する。図9は、第4の実施の形態に係る超音波プローブPDの一部を切り欠いて正面からその内部構造を示す説明図である。また、図10は、図9に示す第4の実施の形態に係る超音波プローブPDについて、第2の超音波振動子群2の位置を変化させた状態を示す説明図である。
第4の実施の形態における超音波プローブPDは、ケースCDと、第1の超音波振動子群1と、第2の超音波振動子群2と、ニードルガイド3Dと、反射体4Dと、音響媒体5Eと、第2の配置可変機構7とを備える。第2の配置可変機構7は、第2の超音波振動子群2と、ニードルガイド3D及び反射体4Dの傾きを変更するために用いられる。本実施の形態において、音響媒体5Eを貫通するように形成されているニードルガイド3Dを除き、超音波プローブPDを構成する上記各部はケースCDの内部に収容されている。
第2の配置可変機構7は、第1の超音波振動子群1を固定する第1の保持部材71と、第2の超音波振動子群2を固定する第2の保持部材72と、これら第1の保持部材71と第2の保持部材72とを回転可能に連結する連結部73を備えている。
第1の保持部材71は、ケースCD内において第1の超音波振動子群1を音響整合層1b側から固定する。第2の保持部材72は、第2の超音波振動子群2を固定する。但し、第2の保持部材72は、第2の超音波振動子群2に対して、例えば、駆動信号を印加するための配線側(バッキング材2c側)から第2の超音波振動子群2を固定する。また、第2の保持部材72は、その一端部はケースCDの内部に固定されている。一方、第2の超音波振動子群2の近傍に位置する第1の保持部材71の一端部は、第2の保持部材72の他端部と連結部73を介して互いに連結されている。連結部73は、第1の保持部材71と第2の保持部材72とを連結するとともに、第2の保持部材72が当該連結部73を回転軸として回転可能となるように支持している。第2の保持部材72の回転は、例えば、超音波プローブPDの操作者による手動、或いは、駆動部を介しての駆動のいずれによっても良い。
なお、本実施の形態においては、第1の保持部材71に固定される第1の超音波振動子群1は動くことはなく、第2の保持部材72に固定される第2の超音波振動子群2のみが連結部73を回転軸として移動可能とされている。また、第1の保持部材71は第1の超音波振動子群1との間で固定されず、ケースCDの内部のいずれかにおいて固定されていても良い。
ニードルガイド3Dは、穿刺針の刺入経路をガイドするが、ここでは図9や図10に示されているように、穿刺針が通過可能な経路を備えるべく、音響媒体5Eを貫通するように形成されている。
反射体4Dは、第2の超音波振動子群2から送信される超音波による走査面が第1の超音波振動子群1から送信される超音波による走査面と重複するように第2の超音波振動子群2から送信される超音波を反射させる。
第2の配置可変機構7の第2の保持部材72が回転することで第2の超音波振動子群2の傾きが変更される。第2の超音波振動子群2の第1の超音波振動子群に対する傾きが変更されると、超音波が送信される方向も変更される。そこで、反射体4Dは第2の配置可変機構7の動きに合わせてその傾きを変更する。すなわち反射体4Dは、第2の配置可変機構7の動きに合わせて移動可能であって、第2の超音波振動子群2から送信される超音波を反射することができる位置であるケースCDの内面に沿う形で配置されている。
第4の実施の形態では、第1の超音波振動子群1を構成する超音波振動子1aと第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aとのそれぞれから送信される超音波に対して、共通する音響媒体5Eが設けられている。本実施の形態においては後述するように、場合によって第2の配置可変機構7を用いて第2の超音波振動子群2の超音波の送信面の角度を変更することが可能とされている。また第2の配置可変機構7によって第2の超音波振動子群2が動くことに伴って、ニードルガイド3Dと反射体4Dもその配置位置が変更される。このように本実施の形態においては、第2の配置可変機構7の動きに合わせて各部の配置位置を変更できるように、音響媒体5Eには内容液等が充填される。
第2の配置可変機構7が動くことによって第2の超音波振動子群2、ニードルガイド3D、反射体4Dがその傾きを変更することができるように、本実施の形態におけるケースCDの外面の一部は伸縮可能に形成されている。具体的な位置は、ケースCDにおいて第2の保持部材72が配置される周辺領域からケーブルAに至るまでの一部領域Gである。
なお、ケースCDにおいて伸縮可能とされる領域Gの範囲については、任意に設定可能である。但し、第2の配置可変機構7の移動領域は、ケースCDにおける伸縮可能な領域Gに規制されることになる。従って、ケースCDにおいて伸縮可能とされる領域Gは、第2の配置可変機構7が移動することで所望の第2の超音波振動子群2の傾きを得ることが阻害されないような十分な範囲を持って設定される。
次に、第2の配置可変機構7の動きについて、図9及び図10を用いて説明する。図9に示す第2の超音波振動子群2は、第1の超音波振動子群1の一端部近傍に配置されている。また第2の超音波振動子群2から超音波が送信される方向は、第1の超音波振動子群1から超音波が送信される方向に対して角度を有している。第2の超音波振動子群2がこのような位置に配置されていることから、ケースCDにおける伸縮可能な領域Gは、縮んだ状態にある。
この状態から図9に示す矢印の方向に、第2の保持部材72が連結部73を軸に回転すると、超音波プローブPDは図10に示すような形状となる。すなわち、第2の保持部材72に固定される第2の超音波振動子群2は第1の超音波振動子群1の配置位置に並ぶように配置される。また、第2の配置可変機構7がこのように動くことによって、ニードルガイド3D及び反射体4Dも併せて移動し、図10に示すニードルガイド3D及び反射体4Dは、図9に示す場合に比べていずれも寝るような位置に配置される。
以上説明した通り、第2の配置可変機構7を用いることによって、超音波プローブPDの第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2との走査面が互いに交差するようにしつつ、観察対象Tの位置に合わせて第2の超音波振動子群2とニードルガイド3Dと反射体4Dの、第1の超音波振動子群1の超音波送信方向に対する傾きを任意の傾きとすることができる。このような構成を採用することによって、交差する2断面を示す超音波画像を生成可能な超音波プローブ及びそれを備える超音波診断装置であって、超音波プローブにおける生体接触面の形状を大きくすることなく穿刺術が行われる際に穿刺針が映らない穿刺ブラインドの範囲を極力低減可能とする超音波プローブ及び超音波診断装置を提供することができる。
また、音響媒体5Eは、第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aから送信される超音波のみならず、第1の超音波振動子群1を構成する超音波振動子1aから送信される超音波に対しても共通して用いられる。従って、これまで以上に穿刺ブラインドの範囲を小さくすることができる。
さらに、このような構成を採用することによって、超音波プローブの患者に対する接触面を大きくすることなく上述した効果を得ることができる。すなわち、患者への接触面の形状を小さくすることができれば、超音波プローブを十分に患者に接触させることができるため、超音波画像の生成について画像が得られないことを回避できる。
(第5の実施の形態)
次に本発明における第5の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態において、上述の第1ないし第4の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
以下、第5の実施の形態における超音波プローブPEの構造について、図11及び図12を用いて説明する。図11は、第5の実施の形態に係る超音波プローブPEの一部を切り欠いて正面からその内部構造を示す説明図である。図12は、第5の実施の形態に係る超音波プローブPEの上面図である。超音波プローブPEは、いわゆる体腔内プローブと言われるプローブである。これまでの実施の形態において示した超音波プローブとは異なり、腸等の体腔に挿入して用いるため、棒状の形状とされている。
第5の実施の形態における超音波プローブPEは、ケースCEと、第1の超音波振動子群1と、第2の超音波振動子群2と、ニードルガイド3Eと、反射体4Eとを備える。本実施の形態における超音波プローブPEのうち、第1の超音波振動子群1と、第2の超音波振動子群2と反射体4Eとが図11、或いは、図12に示すように、ケースCEの内部に収容されている。
一方、ニードルガイド3Eは、ケースCEの外面に溝として形成され、或いは、ケースCEに対し貫通孔として設けられる。また、ニードルガイド3Eは、超音波プローブPEの長手方向に平行となるように形成されている。
本実施の形態における超音波プローブPEも2つの超音波振動子群を備えている。超音波プローブPEの先端に湾曲して配置されるのが第1の超音波振動子群1である。第1の超音波振動子群1は、複数の超音波振動子1a、音響整合層1b、及びバッキング材1cを備える。第1の超音波振動子群1が湾曲して配置されるのは、ケースCEの先端形状に合わせたものである。
第2の超音波振動子群2は、複数の超音波振動子2a、音響整合層2b、及びバッキング材2cを備える。また、第2の超音波振動子群2を構成する複数の超音波振動子2aのアレイ方向は、第1の超音波振動子群1を構成する超音波振動子1aのアレイ方向と交差する向きに配置されている。
第2の超音波振動子群2は、第2の超音波振動子群2を構成する超音波振動子2aから送信される超音波による走査面が、第1の超音波振動子群1による超音波による走査面と交差する位置となるように配置される。本実施の形態においては、第2の超音波振動子群2は、第1の超音波振動子群1よりも奥行き方向における後側(図示しない超音波診断装置と接続するケーブルA側)に配置される。
反射体4Eは、第2の超音波振動子群2から送信される超音波による走査面が第1の超音波振動子群1から送信される超音波による走査面と重複するように第2の超音波振動子群2から送信される超音波を反射させる。
第2の超音波振動子群2から送信された超音波は、反射体4Eにて穿刺針の刺入方向(図11、或いは、図12では、一点鎖線で示されている)と概ね平行となるように反射される。そのため、第2の超音波振動子群2から送信される超音波による走査面は、第1の超音波振動子群1から送信される超音波の走査面と交差する。図11、或いは、図12において観察対象Tは、第1の超音波振動子群1による超音波の走査面と第2の超音波振動子群2による超音波の走査面が交差する位置に位置している。
図13は、第5の実施の形態に係る超音波プローブPEを用いて生成された超音波画像をディスプレイに表示させた状態を示す画面例である。第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2のそれぞれから送信された超音波をもって観察対象Tを走査すると、図13に示すように、それぞれ超音波画像として生成される。
図13においてディスプレイの左側に表示されている超音波画像は、第1の超音波振動子群1から送信された超音波を用いて生成されたものである。一方、ディスプレイの右側に表示されている超音波画像は、第2の超音波振動子群2から送信された超音波を用いて生成されたものである。なお、ここでは、ニードルガイド3Eに沿って患者内部に存在する観察対象Tに向けて刺入され、観察対象T近傍まで到達する穿刺針の挿入経路を一点鎖線で示している。
以上説明した通り、超音波プローブに第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2とを設け、それぞれの走査面が交差するように配置するとともに、第2の超音波振動子群2から送信される超音波の送信方向が穿刺針の刺入方向と概ね平行となるように反射体4Eを利用する。これにより、交差する2断面を示す超音波画像を生成可能な超音波プローブ及びそれを備える超音波診断装置であって、超音波プローブにおける1生体接触面の形状を大きくすることなく穿刺術が行われる際に穿刺針が映らない穿刺ブラインドの範囲を極力低減可能とする超音波プローブ及び超音波診断装置を提供することができる。
また、このような構成を採用することによって、超音波プローブの患者に対する接触面を大きくすることなく上述した効果を得ることができる。すなわち、患者への接触面の形状を小さくすることができれば、超音波プローブを十分に患者に接触させることができるため、超音波画像の生成について画像が得られないことを回避できる。なお、第5の実施の形態においては特に音響媒体に触れていないが、超音波プローブPE内に当該音響媒体が充填されることで穿刺ブラインドの範囲を小さくすることができる。
(第6の実施の形態)
次に本発明における第6の実施の形態について説明する。なお、第6の実施の形態において、上述の第1ないし第5の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
第6の実施の形態における超音波プローブPFは、第5の実施の形態における超音波プローブPEと同じ体腔内プローブである。本実施の形態において第5の実施の形態と異なる点は、第2の超音波振動子群2から送信される超音波を反射する反射体4Fが移動可能に構成されている点である。
以下、第6の実施の形態における超音波プローブPFについて、図14及び図15を用いて説明する。図14は、第6の実施の形態に係る超音波プローブPFの一部を切り欠いて正面からその内部構造を示す説明図である。また、図15は、図14に示す第6の実施の形態に係る超音波プローブPFについて、反射体4Fの位置を変化させた状態を示す説明図である。
本実施の形態における反射体4Fは、反射体移動機構によってその配置位置を変化させることが可能とされている。図14及び図15においては、具体的な反射体移動機構を示していないが、例えば次に述べるような機構を採用することで反射体4Fを移動させることが可能である。
具体的には、例えば、反射体4Fと連結され、超音波プローブPFのケースCFの外部まで引き出されるレバーを用いて操作者が手動にて反射体4Fを動かすことができる。また、ケースCFの内部に反射体4Fを駆動する駆動部を設けて、反射体4Fを所定の位置まで移動させることも可能である。
通常は、反射体4Fは、図14に示す位置に配置されている。この場合、第2の超音波振動子群2から送信される超音波は、反射体4Fによって反射されて穿刺針の刺入方向と概ね平行となるように送信される。この状態は、第5の実施の形態において説明した通りである。このように第2の超音波振動子群2から送信される超音波が穿刺針の刺入方向と略同じ方向に送信されることで、第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2のそれぞれの走査面が互いに交差する。
一方、反射体4Fが反射体移動機構によって図14に示す位置から、矢印の方向に図15に示す位置まで移動(退避)させられた場合、第2の超音波振動子群2から送信される超音波は、反射体4Fによって反射されることはない。すなわち、第2の超音波振動子群2から送信される超音波は、穿刺針の刺入方向と概ね平行となるように送信されず、超音波は超音波の送信面の法線方向に送信される。この場合は、第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2のそれぞれの走査面が互いに交差することはない。
このように反射体4Fを第2の超音波振動子群2から送信される超音波を反射しない位置まで移動させるのは、走査の対象が超音波プローブPFの長手方向前方、すなわち、第1の超音波振動子群1から超音波が送信される方向ではなく、当該方向に直交する方向に存在する場合であって、このような位置にある対象を観察したい場合が考えられるからである。
以上説明した通り、超音波プローブに第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2とを設け、それぞれの走査面が交差するように配置するとともに、第2の超音波振動子群2から送信される超音波の送信方向が穿刺針の刺入方向と概ね平行となるように反射体4Fを利用する。これにより、交差する2断面を示す超音波画像を生成可能な超音波プローブ及びそれを備える超音波診断装置であって、超音波プローブにおける生体接触面の形状を大きくすることなく穿刺術が行われる際に穿刺針が映らない穿刺ブラインドの範囲を極力低減可能とする超音波プローブ及び超音波診断装置を提供することができる。
また、このような構成を採用することによって、超音波プローブの患者に対する接触面を大きくすることなく上述した効果を得ることができる。すなわち、患者への接触面の形状を小さくすることができれば、超音波プローブを十分に患者に接触させることができるため、超音波画像の生成について画像が得られないことを回避できる。
さらに、第6の実施の形態では、反射体4Fを退避させて穿刺針の刺入方向と概ね平行となるようにではなく、当該穿刺針の刺入方向と略直交する方向に第2の超音波振動子群2による超音波を送信することを可能としている。このように反射体4Fを移動可能にすることで、上述した効果を確保しつつ、さらに体腔内を広範囲にわたって走査することが可能となる。なお、第6の実施の形態においては特に音響媒体に触れていないが、超音波プローブPF内に当該音響媒体が充填されることで穿刺ブラインドの範囲を小さくすることができる。
[超音波診断装置の構成]
次に、これまで説明してきた超音波プローブを備える超音波診断装置8について図16と用いて説明する。図16は、実施の形態に係る超音波診断装置8の内部構成を示すブロック図である。
図16に示すように、超音波診断装置8は、被検体に対して超音波の送受信(送受波)を行う超音波プローブPと、当該超音波プローブPが着脱可能に接続される装置本体9とを備えている。
超音波プローブPは、被検体の表面にその先端面を接触させた状態で、超音波の送受信を行う。ここでの超音波プローブPは、これまで説明してきた、第1ないし第6の実施の形態における超音波プローブPA〜PFである。以下、これら超音波プローブPAないしPFをまとめて表わす場合には「超音波プローブP」と表わす。
また、超音波プローブPには、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、診断部位に応じて任意に選択される。さらに、超音波振動子は1次元配列に限定されず、振動子を2次元的に配置することで、ボリュームデータをリアルタイムに取得することができる。3次元立体画像を得る場合は、超音波プローブPとして、3D走査用のプローブが利用される。3D走査用のプローブとしては、2Dアレイプローブやメカニカル4Dプローブを挙げることができる。なお、このようなボリュームデータを得る場合、2つのボリュームデータそれぞれに基づき生成される表示用の各超音波画像において、観察対象T及び穿刺針Nが含まれるように超音波診断装置8の各部が制御される。例えば、あらかじめ設定された観察対象T及び穿刺針Nを示すボクセル値に基づいて観察対象T及び穿刺針Nが特定され、それらを含むように各超音波画像が生成される。
装置本体9は、超音波プローブPに対する駆動信号の送信を行うとともに、超音波プローブPからの反射信号の受信を行う送受信部91と、反射信号を処理する信号処理部92と、超音波画像を生成する画像処理部93と、各種画像を表示するディスプレイ94と、検査者などの操作者により入力操作される入力部95と、各部を制御する制御部96と、検査等に用いられる各種条件や生成された超音波画像を記憶する記憶部97と、超音波診断装置8を他の医用画像診断装置と接続し、情報のやり取りを行う通信制御部98とを内蔵している。またこれら各回路は互いにバスBに接続され、各種信号のやり取りが可能とされている。
送受信部91は、制御部96による制御に基づき、超音波プローブPに超音波を発生させるための駆動信号、すなわち各超音波振動子に印加する電気パルス信号(以下、「駆動パルス」という)を生成し、その駆動パルスを超音波プローブPに送信する。送受信部91は、図示しない、例えば、基準パルス発生回路、遅延制御回路、駆動パルス発生回路等の各回路を備えており、各回路が上述した機能を果たす。また、送受信部91は、超音波プローブPからの反射信号、すなわちエコー信号を受信し、その受信信号に対して整相加算を行い、その整相加算により取得した信号を信号処理部92に出力する。
信号処理部92は、送受信部91から供給された受信信号を用いて各種のデータを生成し、画像処理部93や制御部96に出力する。信号処理部92は、いずれも図示しない、例えば、Bモード処理回路(或いは、Bcモード処理回路)やドプラモード処理回路、カラードプラモード処理回路などを有している。Bモード処理回路は、受信信号の振幅情報の映像化を行い、Bモード信号のデータを生成する。ドプラモード処理回路は、受信信号からドプラ偏移周波数成分を取り出し、さらに、FFT(Fast Fourier Transform)処理などを施し、血流情報のドプラ信号のデータを生成する。カラードプラモード処理回路は、受信信号に基づいて血流情報の映像化を行い、カラードプラモード信号のデータを生成する。
画像処理部93は、信号処理部92から供給されたデータに基づいてスキャン領域に関する二次元や三次元の超音波画像を生成する。例えば、画像処理部93は、供給されたデータからスキャン領域に関するボリュームデータを生成する。そしてその生成したボリュームデータからMPR処理(多断面再構成法)により二次元の超音波画像のデータやボリュームレンダリング処理により三次元の超音波画像のデータを生成する。画像処理部93は、生成した二次元や三次元の超音波画像をディスプレイ94に出力する。なお、超音波画像としては、例えば、Bモード画像やドプラモード画像、カラードプラモード画像、Mモード画像などがある。
ディスプレイ94は、画像処理部93により生成された超音波画像や操作画面(例えば、操作者から各種指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などの各種画像を制御部96の制御に従って表示する。このディスプレイ94としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどを用いることが可能である。なお、超音波診断装置として、ディスプレイを有さない構成であってもよい(可搬型の超音波診断装置等)。
入力部95は、例えば、撮像指示や画像表示、画像の切り替え、モード指定、各種設定などの操作者による様々な入力操作を受け付ける。この入力部95としては、例えば、GUI、あるいは、ボタンやキーボード、トラックボールなどの入力デバイスを用いることが可能である。
制御部96は、超音波診断装置8の各部を統括的に制御する。例えば、制御部96は、信号処理部92から供給されたデータや所定処理により得られたデータなどを記憶部97に保存する制御、さらに、ディスプレイ94に画像を表示させる制御などを行う。たとえば制御部96は、図2等のように第1の超音波振動子群1と第2の超音波振動子群2のそれぞれから送信された超音波に基づく超音波画像それぞれを1以上のディスプレイ94に同時に表示させる。
記憶部97は、半導体や磁気ディスクで構成されており、超音波診断装置8で実行される各種処理に関するプログラムやデータが記憶されている。また、超音波プローブPを用いて走査した結果生成された超音波画像を記憶しても良い。
通信制御部98は、LANカードやモデム等の手段であり、超音波診断装置8をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。すなわち装置本体9は、通信ネットワークを介して他の画像診断装置(モダリティ)や画像サーバ、画像処理装置等と接続されていても良い。通信制御部98を介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、制御部96に送受信される。この通信ネットワークを介してやり取りされる情報に関する規格は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
なお、ここで例えば、送受信部91、信号処理部92、画像処理部93については、所定のメモリ等に記憶されるプログラムをプロセッサに実行させるソフトウェアによって実現することを前提としている。ここで本明細書における「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit) arithmetic circuit(circuitry)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
プロセッサは、記憶部97に保存された、又は、プロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムを記憶する記憶部97は、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、例えば、図16における送受信部91、信号処理部92、画像処理部93が行う機能に対応するプログラムを記憶するものであっても構わない。記憶部97の構成については、上述した通りである。
以上説明したような超音波診断装置8の装置本体9には、これまで説明してきた超音波プローブPが接続されている。従って、超音波プローブPに第1の超音波振動子群と第2の超音波振動子群とを設け、それぞれの走査面が交差するように配置するとともに、第2の超音波振動子群から送信される超音波の送信方向が穿刺針の刺入方向と概ね平行となるように反射体を利用する。これにより、生体接触面の形状を大きくすることなく穿刺術が行われる際に穿刺針が映らない穿刺ブラインドの範囲を極力小さくし、かつ、交差する2断面を示す超音波画像を表示可能とする超音波診断装置を提供することができる。
なお、第5及び第6の実施の形態において示した体腔内プローブPE,PFの第1の超音波振動子群1はコンベックスアレイであったが、当該超音波振動子群に限らず、その他の実施の形態においても第1の超音波振動子群、第2の超音波振動子群のいずれか一方、或いは、両方をコンベックスアレイとしても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。