以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
超音波プローブ1は、複数の振動子を有し、これら複数の振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。超音波プローブ1が有する振動子は、例えば、圧電振動子である。超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1として、複数の振動子の配列方向と直交する方向に当該複数の振動子が揺動されることで超音波の3次元走査が可能なメカニカル4Dプローブを有する。図2〜図4は、第1の実施形態に係る超音波プローブを説明するための図である。
具体的には、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1は、図2に例示するように、複数の振動子が配列された振動子列1aが、揺動軸Aを中心に揺動されることで、超音波の3次元走査を行なう。すなわち、超音波プローブ1は、振動子列1aを構成する各振動子が例えば配列方向に沿って超音波の送受信を順次行なうことで、2次元の超音波走査を行なう。そして、超音波プローブ1は、揺動軸Aを中心に振動子列1aが揺動される状態で、各振動子が超音波送受信を行なうことで被検体Pを3次元で走査することができる。なお、超音波プローブ1は、振動子列1aの位置を固定することで、2次元断面の超音波走査を行なうことができる。また、超音波プローブ1による超音波の3次元走査は、振動子列1aを揺動させながら各振動子で超音波送受信を行なうことで実行される場合であっても、揺動方向における複数の位置それぞれで振動子列1aの位置を固定して2次元断面の超音波走査を複数回行なうことで実行される場合であっても良い。
なお、図2に例示する断面は、揺動軸Aを通り、振動子列1aの配列方向に垂直な断面である。図2に例示するように、振動子列1aが揺動軸Aを中心に揺動されることから、揺動方向は、振動子列1aと揺動軸Aとの距離に応じた曲率を有する。なお、揺動方向における角度(揺動角度)及び揺動速度は、後述する走査制御部16aを介した送受信部11の制御により変更される。
メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1は、図2に例示する曲率を有する揺動方向に沿って振動子列1aが1回揺動されることで、所定の3次元空間における超音波送受信を行なう。まず、超音波プローブ1は、揺動方向の往路において、3次元空間における超音波送受信を1回行ない、次に、揺動方向の復路において、3次元空間における超音波送受信を1回行なう。このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、揺動方向における振動子列1aの往復を繰り返すことで、3次元の超音波走査を時系列に沿って行なうことができる超音波プローブ1を有する。
ここで、振動子列1aを構成する複数の振動子が直線上に配列され、超音波プローブ1がリニア式のスキャンを行なう場合、振動子列1aの配列方向が直線であることから、超音波走査が行なわれる3次元空間は、例えば、図3に示す形状となる。図3に例示する形状は、揺動軸A及び配列方向を含む平面が、矩形となり、揺動方向を含み配列方向に垂直な平面が、揺動方向の曲率に応じた扇形となる。
また、振動子列1aを構成する複数の振動子が超音波送信方向に向かって凸状に配列され、超音波プローブ1がコンベックス式のスキャンを行なう場合、振動子列1aの配列方向も曲率を有することから、超音波走査が行なわれる3次元空間は、例えば、図4に示す形状となる。図4に例示する形状は、揺動軸A及び配列方向を含む平面が、配列方向の曲率に応じた扇形となり、揺動方向を含み配列方向に垂直な平面が、揺動方向の曲率に応じた扇形となる。
入力装置3は、装置本体10と接続され、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール等を有する。かかる入力装置3は、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体10に転送する。
例えば、入力装置3は、超音波プローブ1による3次元スキャンの開始要求や、超音波プローブ1による2次元スキャンの開始要求等を受け付ける。
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像等を表示したりする。具体的には、モニタ2は、後述する画像生成部14から入力されるビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や血流情報を画像として表示する。
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する。かかる装置本体10は、図1に例示するように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、画像生成部14と、画像メモリ15と、制御部16と、内部記憶部17とを有する。
送受信部11は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信部11は、後述する制御部16の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信部11は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
なお、送受信部11からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
Bモード処理部12は、送受信部11から反射波データを受け取り、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、各走査線の信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理部13は、送受信部11から受け取った反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を各走査線の多点について抽出したドプラデータを生成する。
なお、Bモード処理部12及びドプラ処理部13は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理部12は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理部13は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
画像生成部14は、Bモード処理部12が生成したBモードデータや、ドプラ処理部13が生成したドプラデータから、超音波画像を生成し、生成した超音波画像を後述する画像メモリ15又は内部記憶部17に格納する。
具体的には、画像生成部14は、Bモードデータから、反射波データの強度が輝度にて表現されるBモード画像を生成する。また、画像生成部14は、ドプラデータから、血流の平均速度、分散、血流量、これらの組合せを色によって識別可能に表示するカラードプラ画像を生成する。
具体的には、画像生成部14は、超音波スキャンの複数の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示画像としての超音波画像(Bモード画像やカラードプラ画像)を生成する。より具体的には、画像生成部14は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像を生成する。なお、画像生成部14は、スキャンコンバート後の走査線信号列において不足するデータを補うために、補間処理を行なって、表示用の超音波画像を生成する。
更に、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像を生成する。また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のカラードプラ画像を生成する。また、画像生成部14は、3次元のBモード画像や3次元のカラードプラ画像等のボリュームデータをモニタ2にて表示するための2次元画像を生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう機能も有する。画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像を再構成する処理がある。或いは、画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像(ボリュームレンダリング画像)を生成するボリュームレンダリング処理がある。
また、画像生成部14は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。また、画像生成部14は、画像データを格納する図示しない記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。
画像メモリ15は、Bモード処理部12やドプラ処理部13から受信したデータを記憶するメモリである。画像メモリ15が記憶するデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部14を経由して表示用の超音波画像となる。この超音波画像は、静止画像的に、或いは、複数枚を使って動画的に再生することが可能である。
また、画像メモリ15は、画像生成部14が生成した超音波画像等を記憶することもできる。かかる画像データも、例えば、診断の後に、操作者が画像メモリ15から呼び出すことで、静止画像的に、或いは、複数枚を使って動画的に再生することが可能である。
内部記憶部17は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部17は、必要に応じて、画像メモリ15が記憶する画像データの保管等にも使用される。なお、内部記憶部17が記憶する各種データは、図示しないインタフェース部を経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
制御部16は、情報処理装置(計算機)としての機能を実現する制御プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)であり、超音波診断装置における処理全体を制御する。具体的には、制御部16は、入力装置3を介して操作者から入力された各種指示や設定要求、内部記憶部17から読み込んだプログラム及び各種設定情報に基づき、送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13及び画像生成部14の処理を制御する。また、制御部16は、内部記憶部17や画像メモリ15が記憶する超音波画像等をモニタ2にて表示するように制御する。
ここで、第1の実施形態に係る制御部16は、図1に例示するように、走査制御部16a及び表示制御部16bを有する。走査制御部16aは、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1による超音波走査を、送受信部11を介して制御する。また、表示制御部16bは、上述したモニタ2における超音波画像の表示制御を行なう。第1の実施形態に係る走査制御部16a及び表示制御部16bの制御処理については、後に詳述する。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成において、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1によりボリュームデータを収集する。ここで、従来、超音波プローブ1により走査される3次元空間に観察部位が含まれているかの判断は、超音波プローブ1が1断面を走査することで画像生成部14により生成された1断面の超音波画像を表示することで行なわれている。しかし、1断面の超音波画像を参照するだけでは、観察部位が3次元の超音波走査領域に全て含まれているか否かを正確に判断することが困難である。また、メカニカル4Dプローブが当接される位置を決定するために、2断面を走査可能なバイプレーンプローブを用いることも考えられる。しかし、かかる場合、操作者が、自身が観察に最適であると判断したバイプレーンプローブの当接位置に、正確にメカニカル4Dプローブを当接し直すことは、困難であり、検査効率も低下する。
或いは、従来では、メカニカル4Dプローブによる3次元の超音波走査領域に観察部位が含まれているか否かを判断するために、例えば、収集したボリュームデータから直交2断面や直交3断面のMPR画像等、任意の複数断面を生成表示することが行なわれている。しかし、ボリュームデータから任意の複数断面を生成表示するためには、メカニカル4Dプローブにより3次元空間すべてのスキャンを行なう必要がある。例えば、超音波プローブ1による1回の揺動には、例えば、約10秒間といったように、時間がかかるので、判断用の画像が表示されるフレームレートは、低下する。例えば、従来では、観察部位が含まれているか否かを判断するために超音波プローブ1の位置を移動した場合、操作者は、移動後の画像が更新表示されるまで、約10秒間待つ必要がある。一方、フレームレートを向上させるために、超音波ビームの走査密度を間引く方法もあるが、かかる場合、超音波画像の画質が低下する。
そこで、第1の実施形態では、メカニカル4Dプローブにより走査される3次元領域に観察部位が含まれているか否かを判断するための高画質の画像を、高いフレームレートで表示するために、以下に説明する走査制御部16a及び表示制御部16bの制御を行なう。
走査制御部16aは、複数の振動子を揺動させながら、交差する複数断面を走査するように超音波プローブ1を制御する。すなわち、走査制御部16aは、超音波プローブ1が複数の振動子を揺動させながら、交差する複数断面を走査するように、送受信部11を制御する。換言すると、超音波プローブ1により行なわれる超音波走査は、走査制御部16aと送受信部11とにより制御される。そして、表示制御部16bは、複数断面で行なわれた超音波走査に基づく複数の超音波画像を、モニタ2に表示させるように制御する。換言すると、走査制御部16aは、操作者が観察用に参照する表示用の超音波画像を生成するために、超音波プローブ1により超音波走査が可能な3次元空間の中で交差する複数断面を走査するように制御する。
ここで、走査制御部16aは、複数の振動子の揺動が1往復行なわれる間に、複数断面それぞれが少なくとも1回走査されるように制御する。換言すると、走査制御部16aは、振動子列1aが1往復揺動される時間内に、交差する複数断面の組み合わせの中で、1種類以上の組み合わせの複数断面を走査させることで、複数断面の全ての走査が少なくとも1回行なわれるように制御する。
具体的には、走査制御部16aは、複数の振動子が1回揺動される間に、複数断面の中で少なくとも1断面が走査されるように制御する。換言すると、走査制御部16aは、1回の揺動で少なくとも1フレーム分の反射波データが生成されるように制御する。より具体的には、第1の実施形態では、走査制御部16aは、揺動の往路で複数断面の一部の断面が1回走査され、揺動の復路で複数断面の残りの断面が1回走査されるように、超音波送受信を行なう振動子の位置を制御する。
例えば、第1の実施形態では、走査制御部16aは、複数断面として2つの交差する断面を走査させる。かかる場合、走査制御部16aは、1回の揺動において超音波送受信を行なう振動子の位置を一方の端から他方の端に向かって移動させ、かつ、往路と復路とで超音波送受信を行なう振動子の位置の移動方向を同一とする。図5〜図7は、第1の実施形態に係る走査制御部による走査制御の一例を説明するための図である。ここで、図5では、超音波プローブ1と被検体Pとの当接面の上部から超音波プローブ1を俯瞰した場合に、揺動される振動子列1aの各位置を複数の矩形で表している。
第1の実施形態に係る走査制御部16aは、図5の上図に示すように、揺動方向の往路において、超音波送受信を行なう振動子の位置を左端から右端に向かって順次移動させる。ここで、走査制御部16aは、往路における揺動の開始時に、左端の振動子による超音波送受信が行なわれ、往路における揺動の終了時に、右端の振動子による超音波送受信が行なわれるように制御する。
また、第1の実施形態に係る走査制御部16aは、図5の下図に示すように、揺動方向の復路においても、超音波送受信を行なう振動子の位置を左端から右端に向かって順次移動させる。ここで、走査制御部16aは、復路における揺動の開始時に、左端の振動子による超音波送受信が行なわれ、復路における揺動の終了時に、右端の振動子による超音波送受信が行なわれるように制御する。
かかる制御により、超音波プローブ1は、1往復の揺動において、2つの交差する断面の2次元走査を行なうことができる。
ここで、第1の実施形態に係る走査制御部16aは、複数断面の各断面を1回走査するために要する時間に応じて、複数の振動子が揺動される速度を制御する。図5に例示する2断面走査では、走査制御部16aは、振動子列1aが1回揺動される間に、2断面のうち1断面の走査が完了するように、スキャン速度及び揺動速度を制御する必要がある。ここで、1回の揺動に要する時間を「T」とすると、往路スキャンで生成される超音波画像は、「2T」ごとに新規に生成され、復路スキャンで生成される超音波画像は、「2T」ごとに新規に生成される。すなわち、図5に例示する2断面走査では、揺動速度は、「1/T」となり、フレームレートは、「1/2T」となる。このため、走査制御部16aは、揺動速度がフレームレートの略2倍となるように制御する。なお、走査制御部16aは、操作者が超音波プローブ1を移動しながら観察を行なう上で許容範囲となるフレームレートの範囲と、超音波プローブ1の1回の揺動に要する最短時間とから、「T」の値を決定する。
更に、第1の実施形態に係る走査制御部16aは、複数の振動子の揺動方向における曲率と複数の振動子の配列方向における曲率とに基づいて、複数断面それぞれが平面となるように超音波送受信を行なう振動子の位置を制御する。図3及び図4を用いて説明したように、超音波プローブ1で3次元に走査される空間は、揺動方向における曲率と配列方向における曲率とで様々な形状となる。
ここで、超音波送受信を行なう振動子の位置を一定時間ごとに等間隔で移動させた場合、走査断面の形状は、揺動方向における曲率と配列方向における曲率とにより、曲面となる。しかし、観察を行なう場合の走査断面は、平面であることが望ましい。このため、第1の実施形態に係る走査制御部16aは、例えば、図6の左図に示すように、3次元走査空間において、2つの交差する平面と、揺動にともなって振動子列1aが移動する曲面との交点の点列(図中の点線を参照)の位置情報を取得する。なお、図6の左図に示す曲面は、当接面の上部から俯瞰した場合の図であり、実際には、ドーム状の曲面となる。走査制御部16aは、図6の右図に示すように、ドーム状の曲面を各振動子列が直線となるように平面に伸展させることで、伸展後の点列(図中の点線を参照)の位置情報を取得する。ここで、図6の右図に示す曲線状の点列に沿って超音波送受信を行なう振動子の位置を等間隔で移動させることで、平面が走査されることとなる。走査制御部16aは、図6の右図に示す曲線の点線に沿って等間隔で設定した点を、配列方向に投影する。
これにより、走査制御部16aは、図7に例示するように、往路及び復路において、走査される2断面それぞれが平面となる振動子の位置を取得する。図7に例示する場合では、往路及び復路において、一定の時間間隔で左側から右側に向かって超音波送受信を行なう振動子の位置が移動するとともに、超音波送受信を行なう振動子の間隔が、右側及び左側の端部において小さく、中央部において両端部より大きくなっている。
なお、第1の実施形態は、走査制御部16aが、上述の位置制御を、揺動の開始時において加速され、揺動の終了時において減速される揺動速度の情報を更に用いて行なっても良い。また、第1の実施形態は、上述の位置制御を行なわずに、走査制御部16aが、複数断面それぞれが任意の曲率を有する曲面となるように制御する場合であっても良い。
図1に戻って、第1の実施形態に係る表示制御部16bは、複数断面で行なわれた超音波走査に基づく複数の超音波画像を、モニタ2に表示させるように制御する。図8は、第1の実施形態に係る表示制御部を説明するための図である。例えば、第1の実施形態に係る表示制御部16bは、図8に示すように、往路スキャンで生成された反射波データに基づいて画像生成部14が生成した超音波画像である「画像1」と、復路スキャンで生成された反射波データに基づいて画像生成部14が生成した超音波画像である「画像2」とを並列表示させる。
次に、図9を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、操作者から交差する2つの断面(バイプレーン)の表示要求を受け付ける場合について説明する。
図9に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、メカ4Dプローブ(超音波プローブ1)によるバイプレーンの表示要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、バイプレーンの表示要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、超音波診断装置は、表示要求を受け付けるまで待機する。
一方、バイプレーンの表示要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、走査制御部16aを介した送受信部11の制御により、超音波プローブ1は、交差する2断面の走査を開始する(ステップS102)。例えば、第1の実施形態に係る走査制御部16aは、図5〜図7を用いて説明した走査制御により、揺動の往路で、1つの平面が走査され、揺動の復路で、往路で走査された平面に交差する平面が走査されるように制御する。
そして、画像生成部14は、走査済み断面の超音波画像を生成し(ステップS103)、表示制御部16bの制御により、モニタ2は、超音波画像を表示する(ステップS104)。
そして、走査制御部16aは、操作者から、メカ4Dプローブ(超音波プローブ1)による3次元走査の開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS105)。ここで、3次元走査の開始要求を受け付けない場合(ステップS105否定)、走査制御部16aの制御により、超音波プローブ1による2断面の走査が続行されて、ステップS103における画像生成処理が行なわれる。
一方、並列表示された2つの超音波画像を参照することで、走査範囲に観察部位が含まれていると判断した操作者から、3次元走査の開始要求を受け付けた場合(ステップS105肯定)、走査制御部16aの制御により、超音波プローブ1は、3次元領域の走査を開始し(ステップS106)、画像生成部14は、走査済み3次元領域のボリュームデータを生成し(ステップS107)、表示制御部16bの制御により、モニタ2は、ボリュームデータを表示する(ステップS108)。なお、ステップS108で表示されるボリュームデータは、実際には、画像生成部14が当該ボリュームデータから生成したMPR画像やボリュームレンダリング画像である。
そして、走査制御部16aは、操作者から、メカ4Dプローブ(超音波プローブ1)による3次元走査の終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS109)。ここで、3次元走査の終了要求を受け付けない場合(ステップS109否定)、走査制御部16aの制御により、超音波プローブ1による3次元走査が続行されて、ステップS107におけるボリュームデータの生成処理が行なわれる。
一方、3次元走査の終了要求を受け付けた場合(ステップS108肯定)、制御部16は、超音波送信の制御を終了する。
上述してきたように、第1の実施形態では、超音波プローブ1により超音波走査が可能な3次元空間の中で、表示用に用いられる複数の交差する断面のみを走査する。具体的には、第1の実施形態では、超音波プローブ1により超音波走査が可能な3次元空間の中で、振動子列1aの配列方向に平行でない複数の交差する断面のみを走査する。これにより、第1の実施形態では、3次元空間全てを走査する場合と比較して、フレームレートを向上させることができる。
ここで、超音波プローブ1による音響的スキャンは、機械的な揺動速度より数倍の速度で行なうことができる。すなわち、第1の実施形態では、時間「T」の間で1断面を1回走査すれば良いことから、超音波プローブ1から送信される超音波ビームを高密度にすることができる。すなわち、往路スキャン及び復路スキャンを高い空間分解能で行なうことができ、その結果、超音波画像の画質を向上させることができる。従って、第1の実施形態では、メカニカル4Dプローブにより走査される3次元領域に観察部位が含まれているか否かを判断するための高画質の画像を、高いフレームレートで表示することができる。
なお、複数の断面のみを走査する第1の実施形態では、音響的スキャンを、時間的に余裕を持って行なうことができることから、3断面以上の断面を走査することが可能である。図10は、第1の実施形態の変形例を説明するための図である。
例えば、図10に示すように、走査制御部16aは、8断面を走査する場合、揺動方向の往路において、振動子列1aの配列方向に平行でなく、かつ、互いに平行となる4断面が走査されるように制御する。例えば、走査制御部16aは、振動子列1aの左側の端から4つの振動子それぞれを、各断面の走査線列の左端とし、左側の端から順に超音波の送受信を行なわせる。そして、例えば、走査制御部16aは、超音波の送受信を行なわせる4つの振動子それぞれの位置を、右側に向かって順次移動させながら、4回の超音波送受信を繰り返す。これにより、走査制御部16aは、往路において平行する4断面の走査を行なわせる。また、例えば、図10に示すように、走査制御部16aは、揺動方向の復路において、揺動方向の往路で走査される断面に交差し、かつ、互いに平行となる4断面が走査されるように制御する。例えば、走査制御部16aは、復路においても、往路における超音波送受信を同様に実行させて、復路において平行する4断面の走査を行なわせる。
本変形例の制御により走査された8断面の反射波データは、8つの超音波画像として並列表示される。或いは、本変形例では、往路スキャンで生成された4つの反射波データ及び復路スキャンで生成された4つの反射波データそれぞれを3次元の反射波データとして処理しても良い。すなわち、画像生成部14が、往路スキャン及び復路スキャンそれぞれのボリュームデータを生成する場合であっても良い。かかる場合、本変形例では、画像生成部14は、往路スキャンのボリュームデータ及び復路スキャンのボリュームデータそれぞれから、例えば、厚み付きMIP(Maximum Intensity Projection)画像を生成する。そして、表示制御部16bは、図10に例示するように、往路スキャンの厚み付きMIP画像1と、復路スキャンの厚み付きMIP画像2とを並列表示させる。
なお、上述した第1の実施形態では、往路スキャンにより画像1を生成するための走査が行なわれ、復路スキャンにより画像2を生成するための走査が行なわれる場合について説明した。しかし、第1の実施形態は、往路スキャンにより画像1及び画像2の一部を生成するための走査が行なわれ、復路スキャンにより画像2の残りを生成するための走査が行なわれる場合であっても良い。或いは、第1の実施形態は、往路スキャンにより画像1の一部を生成するための走査が行なわれ、復路スキャンにより画像1の残り及び画像2を生成するための走査が行なわれる場合であっても良い。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、揺動の往路及び復路それぞれで、複数断面の全てが1回走査されるように、走査制御部16aが超音波送受信を行なう振動子の位置を制御する場合について説明する。
第2の実施形態に係る超音波診断装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様の構成となる。しかし、第2の実施形態に係る走査制御部16aは、第1の実施形態と異なり、振動子列1aが1回揺動される時間内に、複数断面の全ての走査が1回行なわれるように制御する。すなわち、走査制御部16aは、送受信部11を介して超音波プローブ1を制御することで、振動子列1aが1回揺動される時間内に、複数断面の全ての走査が1回行なわれるように制御する。
例えば、第2の実施形態に係る走査制御部16aは、複数断面として2つの交差する断面を走査させる場合、往路においては、超音波送受信を行なう振動子の位置を一方の端から他方の端に向かって移動させる第1移動方向による第1走査と、当該第1の移動方向とは逆方向の第2移動方向による第2走査とを走査線ごとに交互に実行させる。そして、第2の実施形態に係る走査制御部16aは、復路においては、走査線ごとに交互に実行させる第1走査及び第2走査それぞれを往路の移動方向とは逆の移動方向で実行させる。
図11、図12、図13A及び図13Bは、第2の実施形態に係る走査制御部による走査制御の一例を説明するための図である。ここで、図11及び図12では、図5と同様に、超音波プローブ1と被検体Pとの当接面の上部から超音波プローブ1を俯瞰した場合に、揺動される振動子列1aの各位置を複数の矩形で表している。
第2の実施形態に係る走査制御部16aは、図11に示すように、揺動方向の往路において、超音波送受信を行なう振動子の位置を左端から右端に向かって順次移動させる第1移動方向による第1走査と、超音波送受信を行なう振動子の位置を右端から左端に向かって順次移動させる第2移動方向による第2走査とを交互に行なう。例えば、走査制御部16aは、図11に示すように、黒丸で示す第1走査と白抜きの丸で示す第2走査とを、1本の走査線ごとに交互に行なわせる。
そして、第2の実施形態に係る走査制御部16aは、図12に示すように、揺動方向の復路において、第2移動方向による第1走査と、第1移動方向による第2走査とを交互に行なう。例えば、走査制御部16aは、図12に示すように、白抜きの丸で示す第1走査と黒丸で示す第2走査とを、1本の走査線ごとに交互に行なわせる。
かかる制御により、超音波プローブ1は、1回の揺動において、2つの交差する断面の2次元走査を行なうことができる。
また、第2の実施形態に係る走査制御部16aは、第1の実施形態と同様に、複数断面の各断面を1回走査するために要する時間に応じて、複数の振動子が揺動される速度を制御する。図11及び図12に例示する2断面走査では、走査制御部16aは、振動子列1aが1回揺動される間に、2断面の走査が完了するように制御する必要がある。ここで、1回の揺動に要する時間を「T」とすると、第1走査で生成される超音波画像は、「T」ごとに新規に生成され、第2走査で生成される超音波画像は、「T」ごとに新規に生成される。すなわち、図11及び図12に例示する2断面走査では、揺動速度は、「1/T」となり、フレームレートは、「1/T」となる。このため、走査制御部16aは、揺動速度がフレームレートの略1倍となるように制御する。なお、走査制御部16aは、操作者が超音波プローブ1を移動しながら観察を行なう上で許容範囲となるフレームレートの範囲と、超音波プローブ1の1回の揺動に要する最短時間とから、「T」の値を決定する。
更に、第2の実施形態に係る走査制御部16aは、第1の実施形態と同様に、複数の振動子の揺動方向における曲率と複数の振動子の配列方向における曲率とに基づいて、複数断面それぞれが平面となるように超音波送受信を行なう振動子の位置を制御する。すなわち、走査制御部16aは、図13Aに例示するように、第1移動方向では、左側から右側に向かって超音波送受信を行なう振動子の位置が移動するとともに、超音波送受信を行なう振動子の間隔が、右側及び左側の端部において小さく、中央部において両端部より大きくなるように制御する。
また、走査制御部16aは、図13Aに例示するように、第2移動方向では、右側から左側に向かって超音波送受信を行なう振動子の位置が移動するとともに、超音波送受信を行なう振動子の間隔が、第1移動方向と同様に、右側及び左側の端部において小さく、中央部において両端部より大きくなるように制御する。なお、図13Aに例示する場合では、超音波送受信を行なう振動子の間隔が、第1移動方向及び第2移動方向において同じとなっている。
なお、第2の実施形態は、走査制御部16aが、上述の位置制御を、揺動の開始時において加速され、揺動の終了時において減速される揺動速度の情報を更に用いて行なっても良い。また、第2の実施形態は、上述の位置制御を行なわずに、走査制御部16aが、複数断面それぞれが任意の曲率を有する曲面となるように制御する場合であっても良い。
更に、第2の実施形態の2断面走査では、超音波画像の両端の位置が、各フレームでずれることを防止するために、走査制御部16aは、1回の揺動で最後に超音波送受信を行なった振動子から、次の揺動での超音波送受信を開始させる。
上記について、図13Bを用いて詳細に説明する。例えば、第1走査及び第2走査それぞれが、8本の走査線により形成されると仮定する。そして、例えば、往路において、第1移動方向による第1走査が「走査線1,3,5,7,9,11,13,15」により行なわれ、第2移動方向による第2走査が「走査線2,4,6,8,10,12,14,16」により行なわれるとする。また、往路における走査が、走査線1〜16の順に行なわれるとする。かかる場合、往路スキャンは、図13Bに示すように、第2走査の走査線16の走査で終了する。
このため、走査制御部16aは、図13Bに示すように、復路スキャンでは、走査線16の走査を行なった振動子から、スキャンを開始させる。ここで、復路において、第1移動方向による第2走査が「走査線16,14,12,10,8,6,4,2」により行なわれる。また、復路において、第2移動方向による第1走査が「走査線15,13,11,9,7,5,3,1」により行なわれる。すなわち、復路における走査は、走査線16〜1の順に行なわれる。
そして、第2の実施形態に係る表示制御部16bは、第1の実施形態と同様に、複数断面で行なわれた超音波走査に基づく複数の超音波画像を、モニタ2に表示させるように制御する。ここで、第1の実施形態に係る走査制御では、揺動中に時系列に沿って順次収集される反射波データは、画像上の走査線列に沿った順に収集される。しかし、第2の実施形態に係る走査制御では、揺動中に時系列に沿って順次収集される反射波データは、画像上の走査線列に沿った順とならない。そこで、第2の実施形態に係る表示制御部16bは、揺動中に時系列に沿って収集される複数の反射波データそれぞれを走査位置に応じて複数断面それぞれで対応する位置に並べ替えるように制御する。そして、第2の実施形態に係る表示制御部16bは、並べ替えられた複数の反射波データから生成された複数の超音波画像がモニタに表示されるように制御する。図14は、第2の実施形態に係る表示制御部を説明するための図である。
例えば、表示制御部16bの制御により、画像生成部14は、図13の(B)で例示された走査によりBモード処理部12で生成された走査線1〜16の反射波データを、図14に示すように、並べ替える。例えば、画像生成部14は、図14に示すように、左から右に向かって「走査線1,3,5,7,9,11,13,15」の順に反射波データを並べ替えることで、第1走査に基づく超音波画像である画像1を生成する。一方、画像生成部14は、図14に示すように、左から右に向かって「走査線16,14,12,10,8,6,4,2」の順に反射波データを並べ替えることで、第2走査に基づく超音波画像である画像2を生成する。これにより、表示制御部16bの制御により、モニタ2は、画像1及び画像2を並列表示する。なお、画像1及び画像2それぞれは、時間「T」が経過するごとに更新される。
なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置の処理は、図10を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理の中で、以下の点以外は、同様であるので、説明を省略する。すなわち、第2の実施形態では、ステップS102で開始される交差する2断面の走査が、図11〜図13等を用いて説明した制御により実行される。また、第2の実施形態では、ステップS103で生成される超音波画像の生成時において、反射波データの並べ替えが行なわれる。
上述してきたように、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、超音波プローブ1により超音波走査が可能な3次元空間の中で、表示用に用いられる複数の交差する断面のみを走査する。更に、第2の実施形態では、第1走査と第2走査とを1回の揺動中に交互に行なうことで、フレームレートを第1の実施形態と比較して2倍とすることができる。また、第2の実施形態では、時間「T」の間で2断面それぞれを1回走査すれば良いことから、超音波プローブ1から送信される超音波ビームを高密度にすることができる。従って、第2の実施形態では、メカニカル4Dプローブにより走査される3次元領域に観察部位が含まれているか否かを判断するための高画質の画像を、より高いフレームレートで表示することができる。
ここで、第2の実施形態でも、音響的スキャンを、時間的に余裕を持って行なうことができることから、3断面以上の断面を走査することが可能である。図15は、第2の実施形態の変形例を説明するための図である。
例えば、図15に示すように、走査制御部16aは、8断面を走査する場合、揺動方向の往路及び復路それぞれにおいて、振動子列1aの配列方向に平行でなく、かつ、互いに平行となる4断面の走査(第1断面群の第1走査)と、第1断面群に交差し、かつ、互いに平行となる4断面の走査(第2断面群の第2走査)が走査されるように制御する。なお、往路における第1断面群の各走査は、第1移動方向により行なわれ、往路における第2断面群の各走査は、第2移動方向により行なわれる。また、復路における第1断面群の各走査は、第2移動方向により行なわれ、往路における第2断面群の各走査は、第1移動方向により行なわれる。
本変形例の制御により走査された8断面の反射波データは、対応する断面の走査位置に応じて並べ替えられることで、8つの超音波画像として並列表示される。或いは、本変形例では、第1断面群の第1走査で生成された4つの反射波データ及び第2断面群の第2走査で生成された4つの反射波データそれぞれを3次元の反射波データとして、画像生成部14が、第1走査及び第2走査それぞれのボリュームデータを生成する場合であっても良い。かかる場合、本変形例では、画像生成部14は、第1走査のボリュームデータ及び第2走査のボリュームデータそれぞれから、例えば、厚み付きMIP画像を生成する。そして、表示制御部16bは、図15に例示するように、第1走査の厚み付きMIP画像1と、第2走査の厚み付きMIP画像2とを並列表示させる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第2の実施形態とは異なる方法で、揺動の往路及び復路それぞれで、複数断面の全てが1回走査されるように、走査制御部16aが超音波送受信を行なう振動子の位置を制御する場合について、図16A及び図16Bを用いて説明する。図16A及び図16Bは、第3の実施形態に係る走査制御部による走査制御の一例を説明するための図である。
第3の実施形態に係る超音波診断装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様の構成となる。しかし、第3の実施形態に係る走査制御部16aは、第2の実施形態で説明した方法とは異なる方法で、振動子列1aが1回揺動される時間内に、複数断面の全ての走査が1回行なわれるように制御する。
例えば、第3の実施形態に係る走査制御部16aは、複数断面として2つの交差する断面を走査させる場合、第1走査及び第2走査が以下の処理に行なわれるように制御する。すなわち、第3の実施形態に係る走査制御部16aは、複数の振動子が揺動中に所定の位置の振動子が超音波送受信を行なう走査を第1走査として実行させる。走査制御部16aは、送受信部11を介して超音波プローブ1を制御することで、第1走査を実行させる。図16Aに示す一例では、走査制御部16aは、複数の振動子の中で、略中心に位置する振動子(図中の黒丸を参照)により第1走査を実行させる。
また、第3の実施形態に係る走査制御部16aは、複数の振動子が揺動中に所定の揺動角度となった時点で、複数の振動子が順次超音波送受信を行なう走査を第2走査として実行させる。走査制御部16aは、送受信部11を介して超音波プローブ1を制御することで、第2走査を実行させる。なお、走査制御部16aは、揺動を直接制御する送受信部11から揺動角度を取得することができる。図16Aに示す一例では、走査制御部16aは、複数の振動子が揺動中に所定の揺動角度となった時点で、複数の振動子において、右端から左端に向かって順次超音波送受信を行なう第2走査を実行させる。
ここで、第2走査により、第1走査の走査が中断されると、第1走査に基づく超音波画像の方位方向における中心部分が欠落する。そこで、第3の実施形態では、かかる欠落を防止するために、走査制御部16aは、以下の制御を更に行なう。すなわち、第3の実施形態に係る走査制御部16aは、第2走査を実行中に所定の時間間隔で第1走査を実行させる。図16Bに示す一例では、走査制御部16aは、第2走査を3回実行させるごとに、第1走査を1回実行させる。
また、第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、複数断面の各断面を1回走査するために要する時間に応じて、複数の振動子が揺動される速度を制御する。図16に例示する2断面走査では、走査制御部16aは、振動子列1aが1回揺動される間に、2断面の走査が完了するように制御する必要がある。ここで、1回の揺動に要する時間を「T」とすると、第1走査で生成される超音波画像は、「T」ごとに新規に生成され、第2走査で生成される超音波画像は、「T」ごとに新規に生成される。すなわち、図16に例示する2断面走査では、揺動速度は、「1/T」となり、フレームレートは、「1/T」となる。このため、走査制御部16aは、揺動速度がフレームレートの略1倍となるように制御する。なお、走査制御部16aは、操作者が超音波プローブ1を移動しながら観察を行なう上で許容範囲となるフレームレートの範囲と、超音波プローブ1の1回の揺動に要する最短時間とから、「T」の値を決定する。
また、第3の実施形態においても、例えば、第2走査の断面が平面となるように、揺動方向の曲率及び配列方向の曲率に基づく、制御が行なわれる。また、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、表示制御部16bは、揺動中に時系列に沿って収集される複数の反射波データそれぞれを走査位置に応じて複数断面それぞれで対応する位置に並べ替えるように制御する。そして、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、表示制御部16bは、並べ替えられた複数の反射波データから生成された複数の超音波画像がモニタに表示されるように制御する。
なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置の処理は、図10を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理の中で、以下の点以外は、同様であるので、説明を省略する。すなわち、第3の実施形態では、ステップS102で開始される交差する2断面の走査が、図16等を用いて説明した制御により実行される。また、第3の実施形態では、ステップS103で生成される超音波画像の生成時において、反射波データの並べ替えが行なわれる。
上述してきたように、第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態と同様に、超音波プローブ1により超音波走査が可能な3次元空間の中で、表示用に用いられる複数の交差する断面のみを走査する。更に、第3の実施形態では、揺動中に同じ振動子で超音波送受信を行なう第1走査と、配列方向に沿って超音波送受信を行なう振動子を移動させる第2走査とを行なうことで、フレームレートをより向上させることができる。また、第3の実施形態では、時間「T」の間で2断面それぞれを1回走査すれば良いことから、超音波プローブ1から送信される超音波ビームを高密度にすることができる。従って、第3の実施形態では、メカニカル4Dプローブにより走査される3次元領域に観察部位が含まれているか否かを判断するための高画質の画像を、より高いフレームレートで表示することができる。
なお、第3の実施形態でも、音響的スキャンを、時間的に余裕を持って行なうことができることから、3断面以上の断面を走査することが可能である。例えば、第3の実施形態は、第1走査を行なう振動子を複数設定することで、複数の第1走査を行なう場合であっても良い。また、例えば、第3の実施形態は、第2走査を行なう揺動角度を複数設定することで、複数の第2走査を行なう場合であっても良い。
なお、上述した第1〜第3の実施形態では、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1による3次元走査を行なうための位置決め用に、走査可能な3次元領域の中で、一部の複数断面の走査が行なわれる場合について説明した。しかし、上述した第1〜第3の実施形態で説明した超音波走査の制御方法は、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1により収集された画像を参照しながら穿刺を行なう場合に適用される場合であっても良い。
ここで、例えば、交差する2つの断面を走査するバイプレーンプローブは、穿刺を行なう際に、穿刺針が検査対象や治療対象となる部位に向かって進入しているか否かを判断するために用いられている。また、3次元走査が可能なメカニカル4Dプローブや2Dプローブにより穿刺針の挿入を行なうことも行なわれているが、3次元走査では、フレームレートが低い。しかし、リアルタイムで穿刺針の挿入位置を確認する必要があるため、メカニカル4Dプローブや2Dプローブは、穿刺用の超音波プローブ1として必ずしも最適とはならない場合がある。
一方、第1の実施形態〜第3の実施形態で説明した制御処理を行なうことで、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1は、例えばバイプレーンプローブとして用いることができる。すなわち、第1の実施形態〜第3の実施形態で説明した制御方法を実行する場合、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1は、穿刺用にも用いることが可能となる。
以下、超音波プローブ1に穿刺針を挿入するための穿刺ガイドが取り付けられて、第1の実施形態〜第3の実施形態で説明した走査制御処理が行なわれる変形例について、図17〜図21を用いて説明する。図17〜図21は、第1の実施形態〜第3の実施形態の変形例を説明するための図である。
例えば、超音波プローブ1には、複数断面のいずれかの断面に沿って穿刺針を挿入するための穿刺ガイドが取り付けられる。換言すると、この変形例で超音波プローブ1に取り付けられる穿刺ガイドは、穿刺針の挿入経路が、走査制御部16aの制御により超音波プローブ1が走査する複数断面のいずれか1つの断面に含まれるように、設計された製品である。
例えば、超音波プローブ1に取り付けられる穿刺ガイドが、第1の実施形態で説明した往路スキャン及び復路スキャンを行なう場合に適合した製品であるとする。また、往路スキャンの断面に沿って穿刺針を挿入するか、復路スキャンの断面に沿って穿刺針を挿入するかを、取り付け位置によって、選択可能であるとする。かかる場合、例えば、穿刺ガイドは、図17に示すように、往路スキャンにより走査される断面に沿って穿刺針が挿入されるように超音波プローブ1に取り付けられる。なお、図17に例示する穿刺ガイド取り付け位置は、第2の実施形態で説明した制御方法を行なう場合において、第1走査により走査される断面に沿った位置ともなる。
或いは、例えば、超音波プローブ1に取り付けられる穿刺ガイドが、第3の実施形態で説明した第1走査及び第2走査を行なう場合に適合した製品であるとする。また、第1走査の断面に沿って穿刺針を挿入するか、第2走査の断面に沿って穿刺針を挿入するかを、取り付け位置によって、選択可能であるとする。かかる場合、例えば、穿刺ガイドは、図18に示すように、第2走査により走査される断面に沿って穿刺針が挿入されるように超音波プローブ1に取り付けられる。
図19及び図20は、穿刺針の挿入経路が、往路スキャンの断面に含まれるように、穿刺ガイドが超音波プローブ1に取り付けられた場合を例示した図である。図19に示す断面S1は、往路スキャンにより走査される断面であり、図19に示す断面S2は、復路スキャンにより走査される断面である。図19の左図に示すように、穿刺ガイドが超音波プローブ1に取り付けられることで、穿刺針の挿入経路Lは、断面S1に含まれる。操作者は、揺動方向に沿って振動子列1aが揺動されることで、断面S1及び断面S2が走査されている状態で、超音波プローブ1を移動する。図19の右図に示す部位Tは、穿刺の対象となる部位である。操作者は、図19の右図に示すように、断面S1及び断面S2の双方で部位Tが走査され、かつ、挿入経路Lが部位Tの中心を通る位置に、超音波プローブ1を固定する。
図20の画像IS1は、断面S1の走査により生成表示された超音波画像であり、図20の画像IS2は、断面S2の走査により生成表示された超音波画像である。また、図20に示す領域T’は、画像IS1に描出された部位Tを示し、図20に示す領域T’’は、画像IS2に描出された部位Tを示す。また、図20に例示するように、画像IS1には、点線L’が表示制御部16bの制御により重畳される。点線L’は、挿入経路Lに対応する穿刺用のガイドラインである。表示制御部16bは、穿刺ガイドの仕様により定まる穿刺針の挿入方向と、穿刺ガイドの取り付け位置とから、画像IS1において挿入経路Lに対応する位置を推定し、推定した位置を画像生成部14に通知する。画像生成部14は、画像IS1に、表示制御部16bが推定した位置に点線L’を描画する。
操作者は、画像IS1に重畳された点線L’上に、穿刺針を反射源とする高輝度な線分N1が位置することを確認しながら、線分N1の先端が領域T’の中心に到達するまで、穿刺針を挿入する。操作者は、モニタ2に表示された画像IS1を参照して、領域T’の中心に線分N1の先端が位置していることを確認する。更に、操作者は、モニタ2に表示された画像IS2を参照して、領域T’’の中心に、穿刺針を反射源とする高輝度な点N2が位置することを確認する。操作者は、画像IS1及び画像IS2を参照して、穿刺針の先端が部位Tの中心に到達したことを確認する。その後、操作者は、病理検査用の組織採取や、ラジオ波焼灼治療(RFA:Radio Frequency Ablation)を行なう。
このように、第1〜第3の実施形態で説明した超音波走査の制御方法を行なうことで、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1を穿刺用に用いることができる。
ただし、上記の変形例は、走査制御部16aの制御により予め設定されている複数の走査断面のいずれか1つの断面に、穿刺針の挿入経路が含まれるように設計された穿刺ガイドを用いる場合に適用することができる。しかし、穿刺ガイドの種類によっては、穿刺針の挿入経路が、予め設定されている複数の走査断面のいずれにも含まれない場合がある。すなわち、上記の変形例は、市販の穿刺ガイドを用いると、適用できない場合がある。
そこで、走査制御部16aは、以下の制御処理を行なっても良い。すなわち、走査制御部16aは、超音波プローブ1に取り付けられる穿刺ガイドで定まる穿刺針の挿入経路が、複数断面の中の1つの断面に含まれるように、超音波プローブ1の走査制御を行なう。例えば、操作者は、穿刺ガイドの仕様により定まる穿刺針の挿入方向と、超音波プローブ1における穿刺ガイドの取り付け位置とを、入力装置3を用いて入力する。これらの情報に基づいて、走査制御部16aは、振動子列1aが揺動することで3次元走査可能な3次元領域における穿刺針の挿入経路の位置を取得する。そして、走査制御部16aは、穿刺針の挿入経路を含む断面であり、かつ、振動子列1aが揺動しながら2次元走査可能な断面の位置を決定する。そして、走査制御部16aは、決定した断面を走査するためのパラメータを算出し、算出したパラメータを送受信部11に通知する。
例えば、走査制御部16aは、図21に示すように、往路スキャンにより走査される断面S1に隣接した断面S1’により、穿刺針の挿入経路Lが走査可能であると決定する。断面S1は、図5の上図を参照すると、揺動方向の往路において、超音波送受信を行なう振動子の位置を左端から右端に向かって順次移動させることで走査される。また、断面S1は、往路揺動の開始時に、左端の振動子による超音波送受信が行なわれ、往路揺動の終了時に、右端の振動子による超音波送受信が行なわれることで、走査される。走査制御部16aは、往路スキャンを断面S1から断面S1’に変更するためのパラメータを算出する。仮に、往路揺動の開始時の揺動角度を「−40度」とし、往路揺動の終了時の揺動角度を「+40度」とする。
例えば、走査制御部16aは、断面S1’の位置に基づいて、超音波送受信を左端の振動子から開始する揺動角度を「−35度」と算出する。また、例えば、走査制御部16aは、断面S1’の位置に基づいて、超音波送受信を右端の振動子で終了する揺動角度を「+30度」と算出する。また、走査制御部16aは、例えば、図6及び図7を用いて説明した処理と同様の処理を行なって、断面S1’が平面となる振動子の位置を算出する。そして、走査制御部16aは、送受信部11に算出したパラメータを通知する。
その結果、超音波プローブ1は、往路揺動の開始後に「−35度」に振動子列1aが到達した時点で左端の振動子での超音波送受信を開始する。そして、超音波プローブ1は、往路揺動の終了前に揺動角度「+30度」に振動子列1aが到達した時点で右端の振動子での超音波送受信を終了する。これにより、超音波プローブ1は、図21に示すように、挿入経路Lを含む平面となる断面S1’を往路スキャンで走査する。なお、走査制御部16aは、断面S1を断面S1’に変更するとともに、復路スキャンで走査される断面S2の位置を変更しても良い。例えば、走査制御部16aは、断面S1’と出来るだけ直交する断面に断面S2の位置を変更しても良い。
かかる走査制御を行なうことで、市販の穿刺ガイドを取り付ける場合でも、メカニカル4Dプローブである超音波プローブ1を穿刺用に用いることができる。なお、上記の2つの変形例において、例えば、図10や図15等を用いて説明したように、厚み付きMIP画像が表示可能な走査制御が行なわれても良い。かかる場合、厚み付きMIP画像が表示されることから、穿刺針の進入経路がずれた場合でも、操作者は、穿刺針を見失うことなく、穿刺を行なうことができる。
また、上記では、走査制御部16aが、超音波プローブ1に取り付けられる穿刺ガイドで定まる穿刺針の挿入経路に応じて、走査断面を変更する場合について説明した。しかし、第1〜第3の実施形態で説明した超音波走査の制御方法を行なう場合、走査制御部16aは、複数断面それぞれの位置を、例えば、操作者の要求に応じて、変更しても良い。
なお、第1の実施形態〜第3の実施形態において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、第1の実施形態〜第3の実施形態で説明した制御方法は、あらかじめ用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上、説明したとおり、第1の実施形態〜第3の実施形態によれば、メカニカル4Dプローブにより走査される3次元領域に観察部位が含まれているか否かを判断するための高画質の画像を、高いフレームレートで表示することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。