(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ10と、入力装置20と、モニタ30と、装置本体100とを有する。
超音波プローブ10は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信部110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ10は、被検体からの反射波信号を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ10は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。なお、超音波プローブ10は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ10から被検体に超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体の体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ10が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
ここで、第1の実施形態における超音波プローブ10は、超音波により被検体Pを2次元で走査するとともに、被検体Pを3次元で走査することが可能な超音波プローブである。具体的には、第1の実施形態における超音波プローブ10は、被検体Pを2次元で走査する複数の超音波振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカルスキャンプローブである。
また、第1の実施形態における超音波プローブ10には、医師が超音波画像を参照しながら生体組織検査やラジオ波焼灼治療などの穿刺を行うために、穿刺アダプタ11が取り付けられる。かかる穿刺アダプタ11には、被検体Pに挿入される穿刺針12が取り付けられる。穿刺アダプタ11は、超音波プローブに着脱されるアタッチメントであり、穿刺を行う場合に決まった穿刺角度及び位置で穿刺針12が被検体Pに刺されるようにする。なお、ここでいう穿刺角度とは、超音波プローブ10が当接される被検体Pの生体表面に対する穿刺針12の挿入角度を示す。このような超音波プローブ10を用いる医師は、穿刺針12が描出された超音波画像を参照しながら、穿刺アダプタ11に取り付けられた穿刺針12を被検体Pのターゲット部位まで挿入する。
入力装置20は、装置本体100と接続され、パネルスイッチ、ロータリエンコーダ、タッチコマンドスクリーン、キーボード、フットスイッチ、トラックボールなどを有する。かかる入力装置20は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。例えば、入力装置20は、操作者から超音波プローブ10に装着された穿刺アダプタ11の穿刺角度の設定を受け付ける。また、入力装置20は、操作者から穿刺針12の撮影要求を受け付ける。
モニタ30は、超音波診断装置1の操作者が入力装置20を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像などを表示したりする。
装置本体100は、超音波プローブ10が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する。かかる装置本体100は、図1に例示するように、送受信部110と、Bモード処理部120と、ドプラ処理部130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、内部記憶部160と、制御部170とを有する。
送受信部110は、トリガ発生回路、遅延回路及びパルサ回路などを有し、制御部170による制御のもと、超音波プローブ10に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ10から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ10に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。なお、送信方向あるいは送信方向を決定する遅延時間は内部記憶部160に記憶されている。
また、送受信部110は、アンプ回路、A/D(Analog/Digital)変換器、加算器などを有し、超音波プローブ10が受信した反射波信号に対して各種処理を行うことにより、反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。なお、送信と同様、受信方向あるいは受信方向を決定する遅延時間は記憶部180に記憶されている。
このように、送受信部110は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。
Bモード処理部120は、送受信部110から反射波データを受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理部130は、送受信部110から受け取った反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について算出する。
なお、第1の実施形態におけるBモード処理部120及びドプラ処理部130は、2次元の反射波データおよび3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、第1の実施形態におけるBモード処理部120は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、第1の実施形態におけるドプラ処理部130は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。なお、以下では、3次元のBモードデータおよび3次元のドプラデータを「ボリュームデータ」と記載する。
画像生成部140は、Bモード処理部120が生成したBモードデータから反射波信号の強度を輝度にて表したBモード画像を生成する。また、画像生成部140は、ドプラ処理部130が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、または、これらの組み合わせ画像としてのドプラ画像を超音波画像として生成する。
具体的には、画像生成部140は、2次元のBモードデータから断面画像であるBモード画像を生成し、2次元のドプラデータから断面画像であるドプラ画像を生成する。また、画像生成部140は、ボリュームデータからレンダリング処理(例えば、ボリュームレンダリング処理やサーフェースレンダリング処理など)により、3次元の情報を反映させた2次元画像であるボリューム画像を生成する。例えば、画像生成部140は、超音波プローブ10の位置に視点を設定することでボリューム画像を生成する。また、画像生成部140は、ボリュームデータを所定の断面で切断したMPR(Multi Planar Reconstructions)画像を生成することが可能である。
なお、第1の実施形態における画像生成部140は、超音波プローブ10が所定の揺動角度毎に被検体を2次元で走査することにより、Bモード処理部120によって生成される揺動角度毎の2次元のBモードデータの各々から断面画像であるBモード画像を生成する。以下では、画像生成部140によって生成される断面画像のうち、超音波プローブ10が被検体Pの生体表面に当接される当接位置と、穿刺針12のターゲット部位とを含む面(以下、「基準断面」と表記する場合がある)に相当する断面画像を「基準断面画像」と表記する場合がある。
また、画像生成部140は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像としての超音波画像を生成し、生成した表示用画像としての超音波画像をモニタ30に表示制御する。
画像メモリ150は、画像生成部140が生成した断面画像であるBモード画像及びドプラ画像、ボリューム画像、表示用の超音波画像などを記憶するメモリである。なお、画像メモリ150は、記憶しているデータの合計容量が自装置の記憶容量を超えた場合には、例えば、生成時の古いデータから順次破棄する。
内部記憶部160は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルや各種ボディマークなどの各種データを記憶する。また、内部記憶部160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像の保管などにも使用される。なお、内部記憶部160が記憶するデータは、図示しないインターフェース回路を経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
また、第1の実施形態における内部記憶部160は、超音波プローブ10が被検体Pに当接される当接位置に関する情報や、超音波プローブ10に取り付けられた穿刺アダプタ11から被検体Pに対して挿入される穿刺針12の穿刺角度を記憶する。具体的には、内部記憶部160は、入力装置20を介して操作者により設定された超音波プローブ10の当接位置及び穿刺角度を記憶する。
制御部170は、超音波診断装置1における処理全体を制御する。具体的には、制御部170は、入力装置20を介して操作者から入力された各種設定要求に基づき、上述した送受信部110、Bモード処理部120、ドプラ処理部130及び画像生成部140による処理を制御する。なお、制御部170については、後に詳述する。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、穿刺針12が挿入された被検体Pの生体組織を撮像し、穿刺針12が描出された超音波画像を生成する。具体的には、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、被検体Pに挿入された穿刺針12が基準断面から離れる方向に曲がった場合であっても、穿刺針12が明瞭に描出された超音波画像を生成する。
以下に、図2〜図7を用いて、被検体P内で穿刺針12が曲がった場合に、断面画像に穿刺針12が描出されなくなる理由を説明し、次に、図8〜図12を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1について詳細に説明する。なお、以下では、超音波診断装置1がBモード画像を表示する例について説明するが、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、Bモード画像とともにドプラ画像を表示する場合にも適用することができる。
図2は、穿刺針12が挿入された被検体Pの一例を示す図である。図2に示した例において、被検体P内にターゲットとなる病変等であるターゲット部位T10が存在する。ここで、操作者が、入力装置20を介して、被検体Pの生体表面に超音波プローブ10を当接する当接位置と、穿刺針12の穿刺角度αを設定したものとする。また、図2に示した例において、穿刺針12は、操作者により設定された当接位置及び穿刺角度αにより被検体P内に挿入されて直進した場合には、ターゲット部位T10に到達するものとする。また、図2に示した例において、超音波プローブ10が揺動角度「0°」で2次元に走査することにより、Bモード処理部120によって2次元のBモードデータB10が生成されるものとする。また、超音波プローブ10が揺動角度「0°」で2次元に走査する走査面は、基準断面であるものとする。なお、図2に示した例では、被検体Pを模式的な矩形で示したが、これは説明を簡略するためであり、実際には被検体Pは矩形ではない。
図3は、図2のA矢視図である。図3に示すように、穿刺針12は、曲がっておらずターゲット部位T10に直進している。このような場合、図2に示したBモードデータB10から画像生成部140により生成される断面画像には、穿刺針12が明瞭に描出される。
図4に、図2に示したBモードデータB10から生成される断面画像の一例を示す。図4に示すように、穿刺針12が直進している場合には、図2に示したBモードデータB10から生成される断面画像G11には、被検体P内に挿入されている穿刺針12が描出される。すなわち、超音波診断装置1は、基準断面画像である断面画像G11を略リアルタイムに表示することで、医師等の操作者に穿刺針12の挿入状態を確認させることが可能になるとも考えられる。
ここで、穿刺針12は、一般に、極細形状であり、被検体P内の生体組織と接触することで曲がる場合がある。穿刺針12が被検体P内で曲がった場合には、図4に例示した基準断面画像G11に穿刺針12の一部が描出されない場合がある。この点について、図5〜図7を用いて具体的に説明する。
図5は、穿刺針12が挿入された被検体Pの一例を示す図である。図5に示した例では、穿刺針12が、図2に示した状態よりもターゲット部位T10に向けて被検体P内に更に挿入されたものとする。
図6は、図5のA矢視図である。図6に示すように、図5に示した穿刺針12は、被検体P内において基準断面から離れる方向に曲がっている。具体的には、穿刺針12の一部分12aは、穿刺針12の挿入方向に進行しており、ターゲット部位T10方向へ直進しているが、穿刺針12の一部分12aは、基準断面から離れる方向に曲がっている。このような場合、図5に示したBモードデータB10から画像生成部140により生成される断面画像には、刺針12の一部分12bが描出されない。
図7に、図5に示したBモードデータB10から生成される断面画像の一例を示す。図7に示すように、穿刺針12が基準断面から離れる方向に曲がっている場合には、図5に示したBモードデータB10から生成される断面画像G12には、穿刺針12の一部分12aが描出されるが、穿刺針12の一部分12bが描出されない。具体的には、図7に示した断面画像G12の領域R1には、奥行き方向に穿刺針12の一部分12bが存在するが描出されない。このため、医師等の操作者は、断面画像G12がモニタ30に表示された場合であっても、穿刺針12の挿入状態を正確に確認することができない。
第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、穿刺針12が図6に例示したように基準断面から離れる方向に曲がった場合であっても、画像生成部140及び制御部170による処理により、穿刺針12が明瞭に描出された超音波画像を生成する。具体的には、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、画像生成部140によって生成される複数の断面画像から、穿刺針12が描出された断面画像を検出する。そして、超音波診断装置1は、複数の断面画像を検出した場合に、かかる複数の断面画像を重畳することにより、穿刺針12が明瞭に描出された表示用の超音波画像を生成する。このような超音波診断装置1について詳細に説明する。
図8を用いて、図1に示した制御部170について説明する。図8は、第1の実施形態における制御部170の構成例を示すブロック図である。図8に例示するように、第1の実施形態における制御部170は、検出部171と、画像生成制御部172と、警告部173とを有する。
検出部171は、画像生成部140によって生成された超音波画像のうち穿刺針12が描出される超音波画像を検出する。第1の実施形態における検出部171は、画像生成部140によって生成された被検体Pの複数の断面画像から、穿刺針12を表す画素が含まれる断面画像を検出する。具体的には、穿刺針12は強反射体であることから、穿刺針12を表す輝度は生体組織を表す輝度よりも高い。したがって、検出部171は、例えば、断面画像の各画素のうち所定の閾値よりも輝度が高い画素を、穿刺針12を表す画素とする。なお、以下では、画像生成部140によって生成された複数の断面画像のうち、穿刺針12を表す画素が含まれる断面画像を「穿刺針画像」と表記する場合がある。
なお、第1の実施形態における検出部171は、超音波プローブ10が被検体Pに当接される当接位置、超音波プローブ10の被検体Pへの挿入方向、及び、穿刺針12の被検体P内における位置に基づいて、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から、穿刺針12を表す輝度を検出する対象範囲を3次元的に変動させる。具体的には、検出部171は、画像生成部140によって生成された断面画像のうち、穿刺針12を表す輝度を検出する対象範囲を、超音波プローブ10が被検体Pに当接される当接位置近傍の領域にする。また、検出部171は、穿刺針12を表す輝度を検出する対象範囲を、時間経過とともに、超音波プローブ10の被検体Pへの挿入方向に拡大する。また、検出部171は、穿刺針12を表す輝度を検出する対象範囲を、直近の時相において穿刺針12を表す輝度が検出された領域の近傍にする。
例えば、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から穿刺針画像が検出されていない間は、画像生成部140によって順次生成される複数の断面画像から基準断面画像を選択し、選択した基準断面画像の全画素のうち、超音波プローブ10が被検体Pに当接される当接位置の近傍の画素に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。このとき、検出部171は、超音波プローブ10の当接位置に関する情報を内部記憶部160から取得する。
このように基準断面画像を選択する理由は、穿刺針画像が検出されていない間は、穿刺針12が被検体Pに挿入されておらず、穿刺針12が被検体Pに挿入される挿入位置は、基準断面画像の当接位置の近傍となる可能性が高いからである。ただし、検出部171は、穿刺針画像が検出されていない間は、基準断面画像だけでなく基準断面画像と隣接するいくつかの断面画像を選択してもよい。ここでいう「隣接する断面画像」とは、断面画像生成時における超音波プローブ10の揺動角度が隣接していることを示し、例えば、揺動角度X1で超音波プローブ10により2次元に走査されることで生成された断面画像Y1と、揺動角度X2で超音波プローブ10により2次元に走査されることで生成された断面画像Y2とは隣接する。
また、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から穿刺針画像を検出した場合には、かかる複数の断面画像から穿刺針画像と隣接するいくつかの断面画像を選択し、選択した断面画像の全画素のうち、穿刺針画像において検出した穿刺針12の位置の近傍の画素に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。
ここで、図9及び図10を用いて、検出部171による検出処理の一例について説明する。図9は、画像生成部140によって生成される断面画像及びボリューム画像の一例を示す図である。また、図10は、異なる時相における断面画像の一例を示す図である。
図9に示した例では、超音波プローブ10が所定の揺動角度毎に被検体Pを走査することで、Bモード処理部120は、2次元のBモードデータB10、B21、B22、B23、B31、B32及びB33を生成するものとする。また、画像生成部140は、BモードデータB10、B21、B22、B23、B31、B32、B33の各々から断面画像を生成するものとする。ここでは、超音波プローブ10が揺動角度「0°」で2次元に走査する走査面が基準断面であり、かかる走査により得られる2次元のBモードデータB10から生成される断面画像が基準断面画像であるものとする。なお、図9に示したように超音波プローブ10が被検体Pを走査した場合には、Bモード処理部120は、図9の右図に例示するように、ボリュームデータV10を生成することもできる。
図9に示した例において、超音波診断装置1は、略リアルタイムにボリュームデータを生成するために、異なる時相毎に超音波プローブ10に被検体Pを走査させる。これにより、画像生成部140は、各時相において、複数の2次元のBモードデータから、複数の断面画像を生成する。
ここで、図9に示した例では、図5及び図6に示したように、穿刺針12が被検体P内で曲がったものとする。このとき、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から、穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出する。図10を用いて具体的に説明する。
図10に示した例において、時相t=0では、穿刺針12が被検体Pに挿入されていないものとする。したがって、図10に示すように、時相t=0においては、画像生成部140によってBモードデータB10から生成された断面画像G010には穿刺針12が描出されない。同様に、時相t=0においては、画像生成部140によってBモードデータB21、B22、B31の各々から生成された断面画像G021、G022、G031には穿刺針12が描出されない。なお、ここでは、図示することを省略するが、時相t=0においては、画像生成部140によってBモードデータB23、B32、B33の各々から生成された各断面画像にも穿刺針12が描出されない。
このとき、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像のうち、基準断面画像である断面画像G010を選択する。そして、検出部171は、断面画像G010の全画素のうち、超音波プローブ10が被検体Pに当接される当接位置近傍の領域R11に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。ここでは、検出部171は、領域R11に穿刺針12を表す画素を検出しない。したがって、検出部171は、時相t=0においては、穿刺針画像を検出しない。
また、図10に示した例において、時相t=1以降に、穿刺針12が被検体Pに挿入されたものとする。図10に示すように、時相t=1においては、BモードデータB10から生成された断面画像G110には穿刺針12の一部分12cが描出されている。一方、BモードデータB21、B22、B31の各々から生成された断面画像G121、G122及びG131には穿刺針12が描出されていない。また、ここでは、図示することを省略するが、時相t=1においては、BモードデータB23、B32、B33の各々から生成された各断面画像にも穿刺針12が描出されない。
このとき、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像のうち、基準断面画像である断面画像G110を選択する。そして、検出部171は、時相t=0の場合と同様に、断面画像G110の領域R11に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。ここでは、検出部171は、断面画像G110の領域R11に穿刺針12を表す画素を検出する。したがって、検出部171は、断面画像G110を穿刺針画像として検出する。
続いて、検出部171は、穿刺針画像として検出した断面画像G110に隣接する断面画像G121及びG131を選択する。そして、検出部171は、選択した断面画像G121及びG131の領域R11に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。ここでは、検出部171は、断面画像G121及びG131から穿刺針12を表す画素を検出しない。したがって、検出部171は、断面画像G121及びG131を穿刺針画像として検出しない。すなわち、検出部171は、時相t=1においては、断面画像G110を穿刺針画像として検出する。なお、時相t=1においては、断面画像G110のみから穿刺針12が描出されるので、穿刺針12は、基準断面上に位置することが考えられる。
また、時相t=2においては、BモードデータB10から生成された断面画像G210には穿刺針12の一部分12dが描出されている。一方、BモードデータB21、B22、B31の各々から生成された断面画像G221、G222及びG231には穿刺針12が描出されていない。また、ここでは、図示することを省略するが、BモードデータB23、B32、B33の各々から生成された各断面画像にも穿刺針12が描出されない。
このとき、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像のうち、基準断面画像である断面画像G210を選択する。ここで、検出部171は、1つ前の時相t=1において断面画像G110の領域R11から穿刺針12を表す画素を検出したので、断面画像G210については領域R11よりも広範囲の領域R12に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。このように検出対象の領域を広げる理由は、時相t=1のときよりも、1つ後の時相t=2のときの方が、穿刺針12が被検体Pの内部まで挿入される可能性があるからである。ここでは、検出部171は、断面画像G210の領域R12に穿刺針12を表す画素を検出する。したがって、検出部171は、断面画像G210を穿刺針画像として検出する。
続いて、検出部171は、穿刺針画像として検出した断面画像G210に隣接する断面画像G221及びG231を選択する。そして、検出部171は、選択した断面画像G221及びG231の領域R12に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。ここでは、検出部171は、断面画像G221及びG231から穿刺針12を表す画素を検出しない。したがって、検出部171は、断面画像G221及びG231を穿刺針画像として検出しない。すなわち、検出部171は、時相t=2においては、断面画像G210を穿刺針画像として検出する。なお、断面画像G110に描出されている穿刺針12cよりも、断面画像G210に描出されている穿刺針12dの方が長いので、断面画像G210は、時相t=1よりも時相t=2の方が被検体Pの内部まで穿刺針12が挿入されたことを示している。
また、時相t=3においては、BモードデータB10から生成された断面画像G310には穿刺針12の一部分12eが描出されている。また、BモードデータB21から生成された断面画像G321には穿刺針12の一部分12fが描出されている。一方、BモードデータB22、B31の各々から生成された断面画像G322及びG331には穿刺針12が描出されていない。また、ここでは、図示することを省略するが、BモードデータB23、B32、B33の各々から生成された各断面画像にも穿刺針12が描出されない。
このとき、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像のうち、基準断面画像である断面画像G310を選択する。そして、検出部171は、上記と同様の理由により、断面画像G310については領域R12よりも広範囲の領域R13に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。ここでは、検出部171は、断面画像G310の領域R13に穿刺針12を表す画素を検出する。したがって、検出部171は、断面画像G310を穿刺針画像として検出する。
続いて、検出部171は、穿刺針画像として検出した断面画像G310に隣接する断面画像G321及びG331を選択する。そして、検出部171は、選択した断面画像G321及びG331の領域R13に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する。ここでは、検出部171は、断面画像G321から穿刺針12を表す画素を検出し、断面画像G331から穿刺針12を表す画素を検出しない。また、検出部171は、穿刺針画像として検出した断面画像G321に隣接する断面画像G322等を選択するが、かかる断面画像G322等から穿刺針12を表す画素を検出しないものとする。すなわち、検出部171は、時相t=3においては、断面画像G310及びG321を穿刺針画像として検出する。
なお、断面画像G210に描出されている穿刺針12dと、断面画像G310に描出されている穿刺針12eとが略同一の長さであるので、断面画像G210と断面画像G310とを比較しただけでは、時相t=2から時相t=3の間において、穿刺針12は被検体P内で停止しているかのように見える。しかし、断面画像G321に穿刺針12fが描出されている。したがって、断面画像G310及びG321は、被検体Pの挿入された穿刺針12が、基準断面からBモードデータB21の走査面の方向に曲がっていることを示している。
このようにして、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から、穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出する。すなわち、検出部171は、画像生成部140によって各時相において生成される各断面画像の画素から高輝度体を検出することにより、穿刺針12の挙動を検出する。
図8の説明に戻って、画像生成制御部172は、検出部171によって検出された穿刺針画像を用いて、穿刺針12が描出された表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。第1の実施形態における画像生成制御部172は、検出部171によって複数の穿刺針画像が検出された場合には、かかる複数の穿刺針画像を重畳させた表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。また、第1の実施形態における画像生成制御部172は、検出部171によって1つの穿刺針画像が検出された場合には、かかる穿刺針画像を表示用画像とするように画像生成部140を制御する。
ここで、図10に示した例を用いて、画像生成制御部172による処理の一例について説明する。まず、図10に示した例において、時相t=0である場合には、検出部171は、穿刺針画像を検出しない。かかる場合には、画像生成制御部172は、基準断面画像である断面画像G010を表示用画像とするように画像生成部140を制御してもよい。これにより、画像生成部140は、表示用画像としての断面画像G010をモニタ30に表示制御する。
また、時相t=1である場合には、検出部171は、断面画像G110を穿刺針画像として検出する。かかる場合には、画像生成制御部172は、断面画像G110を表示用画像とするように画像生成部140を制御する。これにより、画像生成部140は、表示用画像としての断面画像G110をモニタ30に表示制御する。
また、時相t=2である場合には、検出部171は、断面画像G210を穿刺針画像として検出する。かかる場合には、画像生成制御部172は、断面画像G210を表示用画像とするように画像生成部140を制御する。これにより、画像生成部140は、表示用画像としての断面画像G210をモニタ30に表示制御する。
また、時相t=3である場合には、検出部171は、断面画像G310及びG321を穿刺針画像として検出する。かかる場合には、画像生成制御部172は、断面画像G310と断面画像G321とを重畳させることで表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。これにより、画像生成部140は、断面画像G310と断面画像G321とを重畳させた表示用画像を生成し、生成した表示用画像をモニタ30に表示制御する。
ここで、図11に、画像生成部140によって重畳された表示用画像の一例を示す。図11に示した表示用画像G300は、図10に示した断面画像G310と断面画像G321とが重畳させた画像である。図11に示すように、表示用画像G300は、断面画像G310と断面画像G321とが重畳されているので、断面画像G310に描出された穿刺針12の一部分12eと、断面画像G321に描出された穿刺針12の一部分12fとが描出されている。
具体的には、図7に示した断面画像G12の領域R1には描出されなかった穿刺針12が、表示用画像G300の領域R1には断面画像G321に描出された穿刺針12の一部分12fが描出されている。すなわち、画像生成部140は、断面画像G310と断面画像G321とを重畳することで、穿刺針が明瞭に画像化された表示用画像G300を生成することができ、かかる表示用画像G300をモニタ30に表示制御することで、医師等の操作者に穿刺針が明瞭に画像化された超音波画像を確認させることができる。
なお、画像生成部140は、複数の断面画像を重畳する場合に、複数の断面画像を同一の重みで重畳してもよい。または、画像生成部140は、重畳対象の断面画像のうち基準断面画像を最も高く重み付けをし、基準断面画像に隣接する断面画像ほど高い重み付けをして、各断面画像を重畳してもよい。
このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、図10に示した例のように、穿刺針12が被検体P内に挿入された場合には、断面画像G010、断面画像G110、断面画像G210、断面画像G300(図11)の順にモニタ30に表示する。これにより、医師等の操作者は、穿刺針12が被検体P内に挿入されている状況を正確かつ略リアルタイムに確認することが可能になる。
図8の説明に戻って、警告部173は、画像生成制御部172が画像生成部140に重畳させる穿刺針画像の数が所定の閾値よりも多い場合に、穿刺針12がターゲット部位T10に進行していないと判定し、モニタ30に警告画面を表示制御したり、図示しないスピーカ等にアラート音を鳴らしたりする。言い換えれば、警告部173は、検出部171によって検出された穿刺針画像の数が所定の閾値よりも多い場合に、上記のように警告する。これは、穿刺針画像の数が多いほど、穿刺針12が挿入方向からずれていることを示しているからである。これにより、医師等の操作者は、穿刺針12がターゲット部位T10に進行していないことを認識することができる。
次に、図12を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順について説明する。図12は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による処理手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、超音波診断装置1は、操作者から穿刺針12の撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、撮影開始要求を受け付けない場合には(ステップS101否定)、超音波診断装置1は、待機状態となる。
一方、撮影開始要求を受け付けた場合には(ステップS101肯定)、画像生成部140は、超音波プローブ10が被検体Pを3次元で走査することによりBモード処理部120から得られるBモードデータを用いて、断面画像を生成する(ステップS102)。続いて、制御部170の検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から、穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出する(ステップS103)。
続いて、画像生成制御部172は、検出部171によって複数の穿刺針画像が検出された場合には(ステップS104肯定)、かかる複数の穿刺針画像を重畳させることで表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。これにより、画像生成部140は、複数の穿刺針画像を重畳させた表示用画像を生成し、生成した表示用画像をモニタ30に表示制御する(ステップS105)。
一方、画像生成制御部172は、検出部171によって1つの穿刺針画像が検出された場合には(ステップS104否定)、かかる穿刺針画像を表示用画像とするように画像生成部140を制御する。これにより、画像生成部140は、検出部171によって検出された穿刺針画像をモニタ30に表示制御する(ステップS106)。
そして、超音波診断装置1は、撮影終了要求を操作者から受け付けたか否かを判定し(ステップS107)、撮影終了要求を受け付けなかった場合(ステップS107否定)、ステップS102に戻る。一方、超音波診断装置1は、撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS107肯定)、処理を終了する。
上述してきたように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、被検体Pの複数の断面画像を生成する画像生成部140と、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出する検出部171と、検出部171によって複数の穿刺針画像が検出された場合に、複数の穿刺針画像を重畳させた表示用画像を画像生成部140に生成される画像生成制御部172とを有する。
これにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、穿刺針12が明瞭に描出された超音波画像を生成することができる。例えば、超音波診断装置1は、被検体Pに挿入された穿刺針12が基準断面から離れる方向に曲がった場合であっても、複数の穿刺針画像を重畳させた表示用画像をモニタ30に表示するので、穿刺針12が被検体P内に挿入されている状況を正確かつ略リアルタイムに確認させることができる。
さらに、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、複数の断面画像から穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出し、検出した穿刺針画像を重畳するので、穿刺針12を明瞭に表示するために最小限の断面画像を用いて表示用画像を生成することができる。例えば、断面画像を重畳させる範囲を操作者に設定させることも考えられるが、操作者にとって、穿刺針12がどの程度曲がるかを予測することは困難である。したがって、断面画像を重畳させる範囲を操作者に設定させると、重畳範囲が狭すぎる場合には、表示用画像に穿刺針12の一部が描出されなくなるおそれがあり、一方、重畳範囲が広すぎる場合には、生体組織が穿刺針12の上に重なって表示される結果、表示用画像に穿刺針12が明瞭に描出されなくなるおそれがある。第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、穿刺針12が曲がっている状態に伴って略最小限の断面画像を重畳するので、穿刺針12が明瞭に描出された画像を表示することができる。
なお、上記第1の実施形態では、超音波プローブ10がメカニカルスキャンプローブである例を用いて説明したが、第1の実施形態は、超音波プローブ10が、複数の超音波振動子がマトリックス状に配置されることで被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2次元超音波プローブである場合にも適用することができる。図13を用いて具体的に説明する。図13は、2次元超音波プローブによる走査の一例を示す図である。
超音波プローブ10が2次元超音波プローブである場合には、例えば、Bモード処理部120は、超音波プローブ10が3次元領域に対して送信した超音波の反射波信号を用いて、ボリュームデータを生成する。かかる場合に、画像生成部140は、図13に示した例のように、Bモード処理部120によって生成されたボリュームデータを用いて、被検体Pの断面画像G40〜G46を生成する。なお、図13に示した例では、断面画像G40が、基準断面画像であるものとする。
このような場合に、検出部171は、画像生成部140によって生成された断面画像G40〜G46から、穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出する。検出部171は、画像生成部140によって異なる時相において生成される断面画像について穿刺針画像を検出する処理を行う。そして、画像生成制御部172は、上記第1の実施形態と同様に、検出部171によって複数の穿刺針画像が検出された場合には、かかる複数の穿刺針画像を重畳させた表示用画像を生成するように画像生成部140を制御し、検出部171によって1つの穿刺針画像が検出された場合には、かかる穿刺針画像を表示用画像として表示するように画像生成部140を制御する。
例えば、画像生成制御部172は、検出部171が断面画像G40を穿刺針画像として検出した場合には、断面画像G40を表示用画像とするように画像生成部140を制御する。また、例えば、画像生成制御部172は、検出部171が、断面画像G40及びG44を穿刺針画像として検出した場合には、断面画像G40と断面画像G44とを重畳させた表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ10が2次元超音波プローブである場合にも、穿刺針12が明瞭に描出された超音波画像を生成することができる。
また、上記第1の実施形態では、検出部171が、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出する例を示した。しかし、検出部171は、画像生成部140によって超音波画像が生成される際に用いられたボリュームデータのうち穿刺針12に基づいて3次元領域内にある穿刺針12を検出してデータ(以下、「穿刺針データ」と表記する場合がある)として出力してもよい。例えば、検出部171は、Bモード処理部120によって生成される2次元のBモードデータ群や3次元のBモードデータのうち、穿刺針12の輝度を示す情報を含むデータ領域を穿刺針データとして検出してもよい。かかる場合に、画像生成制御部172は、検出部171によって検出された穿刺針データを用いて、穿刺針12が描出された表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。このとき、画像生成制御部172は、検出部171によってボリュームデータにおける複数断面にわたって穿刺針12が検出された場合に、かかる複数断面分の穿刺針データを用いて表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。例えば、画像生成制御部172は、検出部171によって検出された複数断面分の穿刺針データを含む領域からMIP(Maximum Intensity Projection)画像を生成するように画像生成部140を制御してもよい。
図9に示した例を用いて説明すると、検出部171は、BモードデータB10、B21〜B23、B31〜B33のうち、穿刺針12の輝度を示す情報が含まれるBモードデータを穿刺針データとして検出する。このとき、検出部171がBモードデータB10を穿刺針データとして検出した場合には、画像生成制御部172は、BモードデータB10を用いて、穿刺針12が描出された表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。これにより、画像生成部140は、例えば、図10に例示した断面画像G010や断面画像G110等を生成し、モニタ30に表示制御する。また、検出部171がBモードデータB10及びB21を穿刺針データとして検出した場合には、画像生成制御部172は、BモードデータB10及びB21を用いて、穿刺針12が描出された表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。これにより、画像生成部140は、BモードデータB10及びB21を用いて、図11に例示した断面画像G300等を生成する。または、画像生成部140は、BモードデータB10から断面画像を生成するとともに、BモードデータB21から断面画像を生成し、双方の断面画像を重畳することで図11に例示した断面画像G300等を生成する。そして、画像生成部140は、生成した断面画像G300等をモニタ30に表示制御する。
また、上記第1の実施形態では、検出部171が、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から一部の断面画像を選択し、選択した断面画像の全画素のうち一部の画素に穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定する例を示した。しかし、検出部171は、画像生成部140によって生成された全ての断面画像について、穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定してもよい。また、検出部171は、選択した断面画像の全画素について、穿刺針12を表す画素が含まれるか否かを判定してもよい。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、検出部171によって複数の穿刺針画像が検出された場合に、画像生成制御部172が画像生成部140に対して複数の穿刺針画像を重畳させる例を示した。第2の実施形態では、穿刺針12の進行方向に追従させて断面画像の断面方向を変動させる例について説明する。なお、第2の実施形態における超音波プローブ10は、2次元超音波プローブであるものとする。
まず、図14を用いて、第2の実施形態における制御部270について説明する。図14は、第2の実施形態における制御部270の構成例を示すブロック図である。なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置2の構成は、図1に示した超音波診断装置1の構成と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、以下では、図8に示した処理部と同様の機能を有する処理部には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
図14に例示するように、第2の実施形態における制御部270は、検出部171と、進行角検出部271と、画像生成制御部272と、警告部273とを有する。検出部171は、図8に示した検出部171と同様の処理を行う。
進行角検出部271は、検出部171によって検出された穿刺針画像を用いて、穿刺針12が現に進行している進行方向を算出し、算出した進行方向と穿刺針12の挿入方向とのなす角度(以下、「進行角度」という)を検出する。
具体的には、上記の検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から、穿刺針12を表す画素が含まれる断面画像を穿刺針画像として検出する。進行角検出部271は、検出部171によって検出された穿刺針画像内の画素にうち穿刺針12を表す画素を時系列に取得することで、穿刺針12が現に進行している進行方向を算出する。そして、進行角検出部271は、算出した穿刺針12の進行方向と、内部記憶部160に記憶されている穿刺針12の穿刺角度との差異を進行角度として検出する。
図15に、進行角検出部271によって検出される進行角度の一例を示す。図15に示した例では、穿刺針12は、当接位置とターゲット部位T10とを結ぶ直線上の方向である挿入方向により被検体Pに挿入されたが、現に進行している進行方向がかかる挿入方向と異なる。具体的には、穿刺針12は、挿入方向に対して角度「θ」ずれて進行している。かかる場合に、進行角検出部271は、穿刺針12の進行方向を算出し、算出した進行方向と、穿刺針12の挿入方向と差異である進行角度「θ」を検出する。
なお、進行角検出部271による穿刺針12の進行方向算出手法は、上記例に限られない。例えば、進行角検出部271は、オプティカルフロー等を用いて、異なる時相の穿刺針画像から穿刺針12の動きベクトルを算出し、算出した動きベクトルの向き成分を穿刺針12の進行方向としてもよい。
図14の説明に戻って、画像生成制御部272は、Bモード処理部120によって生成されたボリュームデータから生成する断面画像の断面方向を、進行角検出部271によって検出された進行角度に基づいて変更するように画像生成部140を制御する。さらに、画像生成制御部272は、かかる進行角度における被検体Pの断面画像を用いて、穿刺針12が描出された表示用画像を生成するように画像生成部140を制御する。
図13等を用いて説明したように、超音波診断装置1は、穿刺針12が被検体Pに挿入される場合には、穿刺針12の挿入方向を含む面を基準断面とし、かかる基準断面における被検体Pの断面画像を用いて、穿刺針12が描出された超音波画像を表示する。すなわち、図13に示した例では、断面画像G40〜G46を用いて表示用画像を生成する。第2の実施形態における画像生成制御部272は、穿刺針12の進行方向が挿入方向と異なる場合に、被検体Pの断面方向を穿刺針12の進行方向と略同一にすることで、断面画像に含まれる穿刺針12の領域を拡大させる。
図16を用いて、画像生成制御部272による処理の一例を説明する。図16は、2次元超音波プローブによる走査の一例を示す図である。ここでは、画像生成部140は、まず、図13に例示したように、ボリュームデータを穿刺針12の挿入方向を含む面により切断した断面画像を表示用画像として用いるものとする。そのような状態において、図15に例示したように、被検体Pに挿入された穿刺針12の進行方向が挿入方向からずれたものとする。このとき、進行角検出部271は、進行角度「θ」を検出する。かかる場合に、画像生成制御部272は、図16に示した例のように、断面画像を生成する場合に、断面画像の断面方向を進行角度「θ」とするように画像生成部140を制御する。これにより、画像生成部140は、被検体Pの断面画像G50〜G53を生成する。なお、図16に示した例では、断面画像G50が、基準断面画像となる。
なお、画像生成制御部272は、断面角度を変動させる処理とともに、第1の実施形態における画像生成制御部172と同様に、検出部171によって検出された穿刺針画像を用いて、穿刺針12が描出された表示用画像を生成するように画像生成部140を制御してもよい。すなわち、画像生成制御部272は、断面画像の断面方向を進行角度と略同一にする処理を行うとともに、進行角度における断面画像から検出部171によって複数の穿刺針画像が検出された場合には、かかる複数の穿刺針画像を重畳した表示用画像を生成するように画像生成部140を制御してもよい。
警告部273は、進行角検出部271によって検出された進行角度が所定の閾値よりも大きい場合に、穿刺針12がターゲット部位T10に進行していないと判定し、モニタ30に警告画面を表示制御したり、図示しないスピーカ等にアラート音を鳴らしたりする。これにより、医師等の操作者は、穿刺針12がターゲット部位T10に進行していないことを認識することができる。
次に、図17を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置2による処理の手順について説明する。図17は、第2の実施形態に係る超音波診断装置2による処理手順を示すフローチャートである。
図17に示すように、超音波診断装置2は、操作者から穿刺針12の撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、撮影開始要求を受け付けない場合には(ステップS201否定)、超音波診断装置2は、待機状態となる。
一方、撮影開始要求を受け付けた場合には(ステップS201肯定)、画像生成部140は、超音波プローブ10が被検体Pを3次元で走査することによりBモード処理部120から得られるBモードデータを用いて、断面画像を生成する(ステップS202)。続いて、制御部270の検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から、穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出する(ステップS203)。
続いて、進行角検出部271は、検出部171によって検出された穿刺針画像を用いて、進行角度を検出する(ステップS204)。続いて、画像生成制御部272は、Bモード処理部120によって生成されたボリュームデータから生成する断面画像の断面方向を、進行角検出部271によって検出された進行角度に変更するように画像生成部140を制御する(ステップS205)。これにより、画像生成部140は、変更後の進行角度により切断された断面画像を生成する。
そして、超音波診断装置2は、撮影終了要求を操作者から受け付けたか否かを判定し(ステップS206)、撮影終了要求を受け付けなかった場合(ステップS206否定)、ステップS202に戻る。一方、超音波診断装置2は、撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS206肯定)、処理を終了する。
上述したように、第2の実施形態に係る超音波診断装置2は、被検体Pの複数の断面画像を生成する画像生成部140と、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から穿刺針12を表す画素が含まれる穿刺針画像を検出する検出部171と、検出部171によって検出された複数の穿刺針画像を用いて、穿刺針12の進行角度を算出する進行角検出部271と、断面画像の断面方向を、進行角検出部271によって検出された進行角度に変更するように画像生成部140を制御する画像生成制御部272とを有する。
これにより、第2の実施形態に係る超音波診断装置2は、穿刺針12が被検体P内において基準断面から離れる方向に曲がった場合であっても、断面画像に含まれる穿刺針12の領域を拡大させることができる。また、第2の実施形態に係る超音波診断装置2は、穿刺針12が基準断面から離れるほど、断面画像の断面方向にターゲット部位T10が含まれなくなるので、断面画像にターゲット部位T10が描出されなくなる。このため、医師等の操作者は、断面画像にターゲット部位T10が描出されなくなり始めた場合に、穿刺針12がターゲット部位T10へ向かっていないことを確認できる。
また、第1の実施形態に係る超音波診断装置1と第2の実施形態に係る超音波診断装置2とを組み合わせ場合には、断面画像の断面方向を進行角度に合わせるとともに、複数の穿刺針画像を重畳した表示用画像を生成することができるので、少数の穿刺針画像を重畳した表示用画像を生成することができる。この結果、生体組織が穿刺針12の上に重なって表示されることを防止することができ、穿刺針12が明瞭に描出された超音波画像を生成することができる。
なお、上記第2の実施形態では、超音波プローブ10が2次元超音波プローブである例を用いて説明したが、第2の実施形態は、超音波プローブ10がメカニカルスキャンプローブである場合にも適用することができる。図18を用いて具体的に説明する。図18は、メカニカルスキャンプローブによる走査の一例を示す図である。
図18に示した例において、穿刺針12が挿入される前は、BモードデータB10から生成される断面画像が基準断面画像であったものとする。このとき、図15に例示したように、被検体Pに挿入された穿刺針12の進行方向と挿入方向とのなす角度が「θ」になったものとする。かかる場合に、画像生成制御部272は、基準断面画像の断面方向が「θ」になるように画像生成部140を制御する。すなわち、図18に示した例の場合には、進行角検出部271によって検出された進行角度が「θ」である場合に、画像生成制御部272は、基準断面画像がBモードデータB60から生成されるように、画像生成部140を制御する。
また、上記第1及び第2の実施形態では、検出部171が、画像生成部140によって生成された複数の断面画像から、穿刺針12を表す画素(輝度)が含まれる断面画像を検出する例を示した。言い換えれば、上記の検出部171は、断面画像に含まれる高輝度体の位置情報を取得することで、穿刺針12の挙動を検出する。ここで、被検体Pに穿刺針12を挿入すると、穿刺針12の移動に伴って、被検体P内の生体組織も移動する。したがって、検出部171は、時相の異なる複数の断面画像から、被検体P内における生体組織の移動量を算出し、算出した移動量が所定の閾値以上である生体組織を含む断面画像を穿刺針画像として検出してもよい。
また、上記第1の実施形態において、検出部171が、画像生成部140によって超音波画像が生成される際に用いられたボリュームデータのうち穿刺針データを検出する例について説明した。しかし、検出部171は、ボリュームデータから、被検体P内における生体組織の移動量を算出し、算出した移動量が所定の閾値以上であるデータ領域を穿刺針データとして検出してもよい。
なお、生体組織の移動を検出する処理は、上記例に限られない。例えば、超音波診断装置1及び2は、組織ドプラ法によって各組織の移動情報を取得してもよい。また、超音波診断装置1及び2は、超音波エラストグラフィを用いて、被検体P内の生体組織の動きを判定し、組織が移動している部位に穿刺針12が進行していることを検出することもできる。
また、上記第1及び第2の実施形態では、検出部171は、画像生成部140によって生成された複数の断面画像を用いて穿刺針12の挙動を検出する例を示した。しかし、検出部171は、Bモード処理部120によって生成されるボリュームデータや、スキャンコンバート後のボリューム画像から、穿刺針12を表す画素が含まれる位置情報を取得することで、穿刺針12の挙動を検出してもよい。具体的には、検出部171は、3次元空間の直交座標により各情報が配置されるボリュームデータやボリューム画像から、穿刺針12を表す画素が含まれる3次元空間座標を取得することで、穿刺針12の3次元的な挙動を検出することができる。
また、上記第1及び第2の実施形態では、超音波プローブ10に穿刺アダプタ11及び穿刺針12が取り付けられる例を示したが、上記第1及び第2の実施形態は、穿刺アダプタ11及び穿刺針12が取り付けられていない超音波プローブ10を有する超音波診断装置にも適用することができる。すなわち、上記第1及び第2の実施形態は、医師が直接穿刺針12を被検体Pに挿入する場合にも適用することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、超音波画像のうち穿刺針が描出される穿刺針画像を検出する検出部と、検出部によって検出された穿刺針画像を用いて、穿刺針が描出された表示用画像を生成するように制御する画像生成制御部とを有することにより、穿刺針が明瞭に描出された超音波画像を生成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。