JP2018023328A - テアデノールの製造方法 - Google Patents

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滋樹 吉田
Shigeki Yoshida
滋樹 吉田
均 宮崎
Hitoshi Miyazaki
均 宮崎
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Kanematsu Seicha Co Ltd
Osada-Seicha Co Ltd
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ARAHATAEN KK
Kanematsu Seicha Co Ltd
Osada-Seicha Co Ltd
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Abstract

【課題】テアデノールを容易に大量生産する技術を提供する。【解決手段】エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養する工程を備える、テアデノールの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、テアデノールの製造方法に関する。
テアデノールは微生物発酵茶葉から単離されたポリフェノール誘導体であり、アディポネクチン分泌促進作用、プロテインチロシンホスファターゼB発現抑制作用等の生理活性を有することが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。テアデノールには、下記式(1)で表されるテアデノールAと、その立体異性体であり、下記式(2)で表されるテアデノールBが存在する。
Figure 2018023328
Figure 2018023328
特開2011−84560号公報
テアデノールは、メタボリックシンドロームの予防又は改善に効果があると期待される。しかしながら、発酵茶におけるテアデノールの含有量は低いため、その生理活性を有効利用するためには、テアデノール含量を増加させた飲料やサプリメントの開発が必要となる。しかしながら、微量のテアデノールを製造する手法は知られているものの、テアデノールを大量に製造する技術は確立されていない。そこで、本発明は、テアデノールを容易に大量生産する技術を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養する工程を備える、テアデノールの製造方法。
[2]前記液体培地が茶粉末を更に含有する、[1]に記載のテアデノールの製造方法。
[3]前記培養する工程がバッチ培養で行われ、10〜20日間継続される、[1]又は[2]に記載のテアデノールの製造方法。
[4]テアデノールAの製造方法であって、エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養して得られた培地をろ過してろ液を得る工程と、疎水性カラムに前記ろ液を通過させ、前記疎水性カラムにテアデノールAを含む化合物を吸着させる工程と、テアデノールAを含む化合物が吸着した前記疎水性カラムを40〜55(v/v)%エタノールで洗浄する工程と、洗浄後の前記疎水性カラムに60〜80(v/v)%エタノールを通過させ、前記疎水性カラムからテアデノールAを溶出する工程と、を備える、製造方法。
[5]テアデノールBの製造方法であって、エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養して得られた培地をろ過してろ液を得る工程と、疎水性カラムに前記ろ液を通過させ、前記疎水性カラムにテアデノールBを含む化合物を吸着させる工程と、テアデノールBを含む化合物が吸着した前記疎水性カラムを80(v/v)%以上90(v/v)%未満のエタノールで洗浄する工程と、洗浄後の前記疎水性カラムに90〜100(v/v)%エタノールを通過させ、前記疎水性カラムからテアデノールBを溶出する工程と、を備える、製造方法。
本発明によれば、テアデノールを容易に大量生産する技術を提供することができる。
(a)は、アスペルギルス属に属する微生物を液体培養した培地のHPLC解析の結果を示すグラフである。(b)は、市販の微生物発酵茶の抽出物のHPLC解析の結果を示すグラフである。 実験例6において、液体培地中の各成分の変化を示すグラフである。 テアデノールA及びテアデノールBの精製スキームを説明する図である。
[テアデノールの製造方法]
1実施形態において、本発明は、エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養する工程を備える、テアデノールの製造方法を提供する。本明細書では、テアデノールA及びテアデノールBを総称してテアデノールという。
(液体培地)
茶葉の発酵は固体培養による発酵であるといえる。また、アスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物は、麹に代表されるように、固体培養することが通常である。しかしながら、実施例において後述するように、発明者らは固体培養ではテアデノールを製造することが困難であることを見出した。発明者らは更に、液体培地を用いた液体培養によりテアデノールを効率よく製造することができることを見出した。また、液体培養はスケールアップが容易であり、実施例において後述するように、不純物が少ないという利点もある。
本実施形態の製造方法で用いる培地は、液体培地であり、エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する。テアデノールAは微生物によりエピガロカテキンガレートから生合成されると考えられている。また、テアデノールBは、微生物によりガロカテキンガレートから生合成されると考えられている。
実施例において後述するように、エピガロカテキンガレートを含有する培地をオートクレーブ滅菌すると、エピガロカテキンガレートの一部がガロカテキンガレートに変換される。本実施形態において、ガロカテキンガレートを含有する液体培地とは、培地成分としてガロカテキンガレートを添加した培地であってもよく、エピガロカテキンガレートを含有する培地をオートクレーブ滅菌したことによりガロカテキンガレートが生成した培地であってもよい。
液体培地中のエピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレートの含有量は、例えば0.1〜10(w/v)%であってもよく、例えば、2.5〜10(w/v)%であってもよい。実施例において後述するように、液体培地中のエピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレートの含有量が上記の範囲であると、テアデノールの産生量が向上する傾向にある。
糖としては、アスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物の栄養源となるものであれば特に制限されず、例えば、スクロース、ブドウ糖、ラクトース、マンノース、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。
液体培地は茶粉末を更に含有することが好ましい。実施例において後述するように、茶粉末を含有する液体培地を用いることにより、テアデノールの産生量が顕著に向上する。
茶粉末は加熱されたものであってもよく、生茶の粉末であってもよい。茶粉末としては、緑茶の粉砕物(抹茶)、生茶の粉砕物、発酵茶の粉砕物等が挙げられる。
液体培地中の茶粉末の含有量は、例えば0.1〜5(w/v)%であってもよく、例えば、0.5〜1.5(w/v)%であってもよい。実施例において後述するように、液体培地中の茶粉末の含有量が上記の範囲であると、テアデノールの産生量が向上する傾向にある。
茶粉末を培地に添加することによりテアデノールの産生量が顕著に向上する理由は明らかではないが、発明者らは、茶粉末に含まれる成分が、微生物の特定の酵素の発現を上昇させ、その結果、テアデノールの産生量が向上するものと推測している。
(アスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物)
アスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物としては、上述した液体培地を発酵してテアデノールを産生する微生物であれば特に制限されない。例えば、アスペルギルス属PK−1株(FERM P−21280)、アスペルギルス属AO−1株(NBRS 4214)、アスペルギルス属SK−1株(NBRS 4122)、ユーロチウム属KA−1株(FERM P−21291)等が挙げられる。
(培養形態及び培養期間)
本実施形態の製造方法において、アスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物の培養形態は特に制限されず、連続培養であってもよいし、バッチ培養であってもよい。培養形態がバッチ培養である場合、培養期間は、10〜20日間であることが好ましく、14〜19日間であることがより好ましい。
実施例において後述するように、液体培養がバッチ培養で行われる場合、培養期間が上記の範囲であると、テアデノールの産生量が向上する傾向にある。
(テアデノールAの製造方法)
1実施形態において、本発明は、テアデノールAの製造方法であって、エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養して得られた培地をろ過してろ液を得る工程と、疎水性カラムに前記ろ液を通過させ、前記疎水性カラムにテアデノールAを含む化合物を吸着させる工程と、テアデノールAを含む化合物が吸着した前記疎水性カラムを40〜55(v/v)%エタノールで洗浄する工程と、洗浄後の前記疎水性カラムに60〜80(v/v)%エタノールを通過させ、前記疎水性カラムからテアデノールAを溶出する工程と、を備える、製造方法を提供する。
疎水性カラムとしては、テアデノールAを吸着することができるものであれば特に制限されず、例えば、セファデックスLH−20、ダイアイオンP−20、ブチルトヨパール650等を担体とするカラムが挙げられる。
疎水性カラムから溶出したテアデノールAは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により更に精製してもよい。ここで使用するカラムとしては、例えば、ODSカラム(オクタデシルシリル基で表面が修飾された多孔性シリカゲルカラム、C18カラム)、ODPカラム(オクタデシルシリル基で表面が修飾された多孔性ポリマーカラム)、C8カラム(オクチルシリル基で表面が修飾された多孔性シリカゲルカラム)等が挙げられる。
本実施形態の製造方法によるテアデノールAの製造は、後述するテアデノールBの製造方法と組み合わせて行うと、テアデノールA及びテアデノールBの双方を製造することができるため効率的である。
(テアデノールBの製造方法)
1実施形態において、本発明は、テアデノールBの製造方法であって、エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養して得られた培地をろ過してろ液を得る工程と、疎水性カラムに前記ろ液を通過させ、前記疎水性カラムにテアデノールBを含む化合物を吸着させる工程と、テアデノールBを含む化合物が吸着した前記疎水性カラムを80(v/v)%以上90(v/v)%未満のエタノールで洗浄する工程と、洗浄後の前記疎水性カラムに90〜100(v/v)%エタノールを通過させ、前記疎水性カラムからテアデノールBを溶出する工程と、を備える、製造方法を提供する。
本実施形態の製造方法において、疎水性カラムとしては上述したテアデノールAの製造方法におけるものと同様のものを用いることができる。
本実施形態の製造方法によるテアデノールBの製造は、上述したテアデノールAの製造方法と組み合わせて行うと効率的である。具体的には、上述したテアデノールAの製造方法において、テアデノールAを溶出した後の疎水性カラムには、テアデノールBを含む化合物が吸着している。そこで、このカラムを、本実施形態の製造方法における、テアデノールBを含む化合物が吸着した疎水性カラムとして用い、80(v/v)%以上90(v/v)%未満、好ましくは80〜85(v/v)%未満のエタノールで洗浄し、続いて、90〜100(v/v)%エタノールを通過させてテアデノールBを溶出するとよい。
疎水性カラムから溶出したテアデノールBは、HPLC等により更に精製してもよい。ここで使用するカラムとしては、上述したテアデノールAの製造方法におけるものと同様のものを用いることができる。
次に実験例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
[実験例1]
(固体培養によるテアデノールの製造)
エピガロカテキンガレートを含有し、コムギフスマ又は結晶セルロースを支持体に用いた固体培地を用いて、アスペルギルス属に属する微生物(FARM AP−21280株、リバソン株式会社)を培養し、テアデノールが生産されるか否かを検討した。その結果、固体培養によってはテアデノールの産生が認められなかった。アスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物は、固体培養で発酵することが通常であるが、上記の結果から、固体培養ではテアデノールを大量生産することは困難であると考えられた。
[実験例2]
(液体培養によるテアデノールの製造1)
液体培養によるテアデノールの製造を試みた。まず、エピガロカテキンガレート16mgを水20mLに溶解し、121℃で15分間オートクレーブ処理することにより滅菌した。なお、この過程でエピガロカテキンガレートの一部がガロカテキンガレートに変換された。
続いて、溶液の温度が室温にまで下がった後に、上記の溶液にアスペルギルス属に属する微生物(FARM AP−21280株)を接種し、ロータリー式振とう機を用いて60rpm、暗所、25℃で2週間培養した。しかしながら、本実験例の培養では、微生物の増殖が認められず、テアデノールの産生も認められなかった。
[実験例3]
(液体培養によるテアデノールの製造2)
液体培養によるテアデノールの製造を試みた。培地として、エピガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地を使用した。糖としてはスクロースを使用した。培地中のエピガロカテキンガレートの濃度を変化させて実験を行った。
より具体的には、エピガロカテキンガレートを、0.1、1.0、2.0、5.0又は7.0(w/v)%含有し、スクロースを0.5(w/v)%含有し、その他の成分として、NaNO 0.3(w/v)%、KHPO 0.1(w/v)%、MgSO・7HO 0.05(w/v)%、KCl 0.05(w/v)%、FeSO・7HO 0.001(w/v)%含有する液体培地を使用した。培地のpHはHClの添加によりpH6.0に調整した。
続いて、培地を121℃で15分間オートクレーブ処理することにより滅菌した。なお、この過程でエピガロカテキンガレートの一部がガロカテキンガレートに変換された。続いて、培地の温度が室温にまで下がった後に、培地にアスペルギルス属に属する微生物(FARM AP−21280株)を接種し、ロータリー式振とう機を用いて120rpm、暗所、25℃で3週間培養した。
培養開始から2、4、6、9、12、15、17、19及び21日目に、培地の一部を回収し、HPLCにより、テアデノールA及びテアデノールBの濃度を測定した。
表1に、培養19日目における培地中のテアデノール濃度の測定結果を示す。表1中、「EGCG」はエピガロカテキンガレートを表す。表中のテアデノールの濃度は3回の測定結果の平均値±標準偏差である。
Figure 2018023328
その結果、エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属に属する微生物を培養することによって、テアデノールが産生されることが明らかとなった。
[実験例4]
(液体培養によるテアデノールの製造3)
液体培養によるテアデノールの製造を試みた。培地として、エピガロカテキンガレート、糖及び茶粉末を含有する液体培地を使用した。茶粉末としては、市販の抹茶を使用した。糖としてはスクロースを使用した。培地中のエピガロカテキンガレートの濃度を5(w/v)%に固定し、茶粉末の濃度を変化させて実験を行った。
より具体的には、茶粉末を0.5、1.0、1.5又は2.0(w/v)%、エピガロカテキンガレートを5.0(w/v)%、スクロースを0.5(w/v)%含有し、その他の成分として、NaNO 0.3(w/v)%、KHPO 0.1(w/v)%、MgSO・7HO 0.05(w/v)%、KCl 0.05(w/v)%、FeSO・7HO 0.001(w/v)%含有する液体培地を使用した。培地のpHはHClの添加によりpH6.0に調整した。
続いて、培地を121℃で15分間オートクレーブ処理することにより滅菌した。なお、この過程でエピガロカテキンガレートの一部がガロカテキンガレートに変換される。続いて、培地の温度が室温にまで下がった後に、培地にアスペルギルス属に属する微生物(FARM AP−21280株)を接種し、ロータリー式振とう機を用いて120rpm、暗所、25℃で3週間培養した。
培養開始から2、4、6、9、12、15、17、19及び21日目に、培地の一部を回収し、HPLCにより、テアデノールA及びテアデノールBの濃度を測定した。
表2に、培養19日目における培地中のテアデノール濃度の測定結果を示す。表中のテアデノールの濃度は3回の測定結果の平均値±標準偏差である。
Figure 2018023328
実験例3の結果との比較から、培地に茶粉末を添加することにより、テアデノールの産生量が顕著に増加することが明らかとなった。
[実験例5]
(液体培養で製造したテアデノールの解析)
液体培養で製造したテアデノールを解析した。具体的には、実験例4において、茶粉末を1.0(w/v)%含有する液体培地でアスペルギルス属に属する微生物(FARM AP−21280株)を19日間培養して得られた培地中の成分をHPLCで解析した。
また、比較のために、市販の微生物発酵茶(商品名「山吹撫子」、リバソン株式会社)の抽出物をHPLCで解析した。具体的には、まず、微生物発酵茶を粉砕し、0.5gを30mLの80(v/v)%エタノールで室温、8時間抽出した。続いて、抽出物をフィルターでろ過した後、ろ液を4℃で保存した。また、フィルターろ過の残渣を30mLの80(v/v)%エタノールで更に室温、8時間抽出した。抽出物をフィルターでろ過し、ろ液を上記のろ液と混合して、HPLCで解析した。
図1(a)は、アスペルギルス属に属する微生物を液体培養した培地のHPLC解析の結果を示すグラフである。また、図1(b)は、市販の微生物発酵茶の抽出物のHPLC解析の結果を示すグラフである。
図1(a)及び(b)において、保持時間約16分に認められるピークがテアデノールAのピークであり、保持時間約17.5分に認められるピークがテアデノールBのピークである。
その結果、アスペルギルス属に属する微生物を液体培養した培地では、精製処理を行っていないにもかかわらず、テアデノール以外の夾雑物が非常に少ないことが明らかとなった。この結果は、本方法により非常に容易にテアデノールを大量生産できることを示す。一方、市販の微生物発酵茶の抽出物には、テアデノール以外の夾雑物が大量に存在していることが明らかとなった。
[実験例6]
(液体培養によるテアデノールの製造4)
液体培養によるテアデノールの製造における、培地中のエピガロカテキンガレート(EGCG)、ガロカテキンガレート(GCG)、テアデノールA及びテアデノールBの濃度の変化を検討した。
具体的には、実験例4において、茶粉末を1.0(w/v)%含有する液体培地でアスペルギルス属に属する微生物(FARM AP−21280株)を培養したサンプルを用い、培養開始から2、4、6、9、12、15、17、19及び21日目に回収した培地の一部をHPLCで解析して各成分の濃度を測定した。
図2は、培地中の各成分の変化を示すグラフである。その結果、培地中のカテキン(エピガロカテキンガレート及びガロカテキンガレート)は、培養開始から2日目までにほとんど完全に消失することが明らかとなった。
そして、培養開始から4日目以降にテアデノールA及びテアデノールBの濃度が上昇していくことが明らかとなった。また、テアデノールA及びテアデノールBの濃度は、培養開始後19日目で最大に達することが明らかとなった。
[実験例7]
(テアデノールA及びテアデノールBの精製)
液体培養で製造したテアデノールA及びテアデノールBを精製した。まず、茶粉末を1.0(w/v)%、エピガロカテキンガレートを5.0(w/v)%、スクロースを0.5(w/v)%含有し、その他の成分として、NaNO 0.3(w/v)%、KHPO 0.1(w/v)%、MgSO・7HO 0.05(w/v)%、KCl 0.05(w/v)%、FeSO・7HO 0.001(w/v)%含有する液体培地(pH6.0)100mLに、アスペルギルス属に属する微生物(FARM AP−21280株)を接種し、この培養フラスコ12本をロータリー式振とう機を用いて120rpm、暗所、25℃で19日間培養した。
続いて、培地をフィルターでろ過し、ろ液を回収した。このろ液には、テアデノールAが0.91g、テアデノールBが1.05g含まれていた。続いて、ろ液からテアデノールA及びテアデノールBを精製した。図3は、精製スキームを説明する図である。
まず、培地をろ過したろ液を、疎水性担体であるセファデックスLH−20(GEヘルスケア・ジャパン社製)を充填したカラム(内径3.5cm×長さ44cm)に導入し、テアデノールA及びテアデノールBを含む化合物を吸着させた。
続いて、上記のカラムに0(v/v)%エタノール(水)を400mL導入し、洗浄した。続いて、上記のカラムに20(v/v)%エタノールを400mL導入し、洗浄した。続いて、上記のカラムに40(v/v)%エタノールを400mL導入し、洗浄した。
続いて、上記のカラムに60(v/v)%エタノールを400mL導入し、テアデノールAを溶出した。この溶出液には、0.52gのテアデノールAが含まれていた。得られた溶出液をODSカラム(オクタデシルシリル基で表面が修飾された多孔性シリカゲルカラム、C18カラム)を用いた逆相HPLCにより精製し、テアデノールAの標品0.27gを得た。
続いて、テアデノールAを溶出後の上記のセファデックスLH−20カラムに80(v/v)%エタノールを400mL導入し、洗浄した。続いて、上記のカラムに100(v/v)%エタノールを400mL導入し、テアデノールBを溶出した。この溶出液には、0.65gのテアデノールBが含まれていた。得られた溶出液をODSカラムを用いた逆相HPLCにより精製し、テアデノールBの標品0.45gを得た。
本発明によれば、テアデノールを容易に大量生産する技術を提供することができる。

Claims (5)

  1. エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養する工程を備える、テアデノールの製造方法。
  2. 前記液体培地が茶粉末を更に含有する、請求項1に記載のテアデノールの製造方法。
  3. 前記培養する工程がバッチ培養で行われ、10〜20日間継続される、請求項1又は2に記載のテアデノールの製造方法。
  4. テアデノールAの製造方法であって、
    エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養して得られた培地をろ過してろ液を得る工程と、
    疎水性カラムに前記ろ液を通過させ、前記疎水性カラムにテアデノールAを含む化合物を吸着させる工程と、
    テアデノールAを含む化合物が吸着した前記疎水性カラムを40〜55(v/v)%エタノールで洗浄する工程と、
    洗浄後の前記疎水性カラムに60〜80(v/v)%エタノールを通過させ、前記疎水性カラムからテアデノールAを溶出する工程と、
    を備える、製造方法。
  5. テアデノールBの製造方法であって、
    エピガロカテキンガレート又はガロカテキンガレート及び糖を含有する液体培地でアスペルギルス属又はユーロチウム属に属する微生物を培養して得られた培地をろ過してろ液を得る工程と、
    疎水性カラムに前記ろ液を通過させ、前記疎水性カラムにテアデノールBを含む化合物を吸着させる工程と、
    テアデノールBを含む化合物が吸着した前記疎水性カラムを80(v/v)%以上90(v/v)%未満のエタノールで洗浄する工程と、
    洗浄後の前記疎水性カラムに90〜100(v/v)%エタノールを通過させ、前記疎水性カラムからテアデノールBを溶出する工程と、
    を備える、製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019131274A1 (ja) * 2017-12-26 2019-07-04 国立大学法人 筑波大学 緑茶抽出物由来の発酵物の製造方法及び緑茶抽出物由来の麹発酵物

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WO2019131274A1 (ja) * 2017-12-26 2019-07-04 国立大学法人 筑波大学 緑茶抽出物由来の発酵物の製造方法及び緑茶抽出物由来の麹発酵物

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