JP2018023248A - 自走式高架線点検装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な機構で鉄塔を迂回することができるコンパクトな自走式高架線点検装置を提供する。【解決手段】自走式高架線点検装置2は、本体4、及び鉄塔を迂回するための迂回機構6を備える。迂回機構6は、第1の上下方向軸線Z1を中心として旋回自在かつ第1の幅方向軸線Y1を中心として揺動自在に本体4に連結された上側アーム8と、第2の上下方向軸線Z2を中心として旋回自在かつ第2の幅方向軸線Y2を中心として揺動自在に本体4に連結された下側アーム10と、第3の上下方向軸線Z3を中心として旋回自在かつ第3の幅方向軸線Y3を中心として揺動自在に上側アーム8に連結された上側把持片12と、第4の上下方向軸線Z4を中心として旋回自在かつ第4の幅方向軸線Y4を中心として揺動自在に下側アーム10に連結された下側把持片14と、各アーム8、10の駆動源16・・・と、各把持片12、14の駆動源20、22、24・・・とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄塔を回避可能な自走式高架線点検装置に関する。
下記特許文献1には、鉄塔を回避可能な高架線移動装置が開示されている。この高架線移動装置は、カメラ等の点検監視機器が搭載される本体と、本体に相対移動可能に設けられたアームと、高架線を走行するための走行機構と、鉄塔を回避するための複数の機構とを備える。この複数の機構は、本体及びアームを昇降及び旋回させる上下旋回シャフト等の昇降旋回機構と、アームの両端部を折り畳み自在に連結する関節等の連結機構と、本体及びアームを相対移動させる相対移動機構と、アームが相対移動する際に本体のバランスを保つバランス機構と、本体及びアームを揺動させる揺動機構と、アームを高架線に掛けるフック機構とを含む。そしてこの高架線移動装置は、鉄塔に近づくと上記複数の機構を作動させ、鉄塔の手前(進行方向後側)に位置する高架線から鉄塔の奥(進行方向前側)に位置する高架線までアームを架設することによって鉄塔を迂回して延びる補助軌道を生成し、補助軌道上を本体が移動することで鉄塔を回避することができる。
特許第2859374号公報
上記特許文献1に開示された高架線移動装置では、鉄塔を回避するための機構が多く複雑であると共に、鉄塔手前の高架線から鉄塔奥の高架線まで鉄塔を迂回して延びるアームを有するのでアーム寸法が大きくなってしまうという問題がある。
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、簡素な機構で鉄塔を迂回することができるコンパクトな自走式高架線点検装置を提供することである。
上記課題を解決するために本発明が提供するのは以下の自走式高架線点検装置である。すなわち、幅方向外方に向かって次第に縮径する角錐状に複数の枠材から形成された幅方向端部を有する鉄塔に架設された高架線を点検するための自走式高架線点検装置であって、鉄塔間に架設された高架線を走行するための走行手段と高架線を点検するための点検手段とを含む本体、及び鉄塔を迂回するための迂回機構を備え、前記迂回機構は、第1の上下方向軸線を中心として旋回自在かつ第1の幅方向軸線を中心として揺動自在に前記本体の上部に基端部が連結された上側アームと、第2の上下方向軸線を中心として旋回自在かつ第2の幅方向軸線を中心として揺動自在に前記本体の下部に基端部が連結された下側アームと、第3の上下方向軸線を中心として旋回自在かつ第3の幅方向軸線を中心として揺動自在に前記上側アームの先端下部に連結された上側把持片と、第4の上下方向軸線を中心として旋回自在かつ第4の幅方向軸線を中心として揺動自在に前記下側アームの先端上部に連結された下側把持片と、前記第1の上下方向軸線を中心として前記上側アームを旋回させると共に前記第2の上下方向軸線を中心として前記下側アームを旋回させるアーム旋回駆動源と、前記第1の幅方向軸線を中心として前記上側アームを揺動させると共に前記第2の幅方向軸線を中心として前記下側アームを揺動させるアーム揺動駆動源と、前記第3の上下方向軸線を中心として前記上側把持片を旋回させる上側把持片旋回駆動源と、前記第3の幅方向軸線を中心として前記上側把持片を揺動させる上側把持片揺動駆動源と、前記第4の上下方向軸線を中心として前記下側把持片を旋回させる下側把持片旋回駆動源と、前記第4の幅方向軸線を中心として前記下側把持片を揺動させる下側把持片揺動駆動源とを含む自走式高架線点検装置である。
好ましくは、前記迂回機構は、更に、前記上側把持片又は前記下側把持片の一方に接近する接近位置と前記上側把持片又は前記下側把持片の一方から離隔する離隔位置との間を移動自在に前記上側把持片又は前記下側把持片の他方に装着された結合片と、前記接近位置と前記離隔位置との間で前記結合片を移動させる結合片移動駆動源とを含む。前記上側把持片は鉄塔の幅方向端部の枠材間に嵌入する台形柱状部を有し、前記下側把持片は鉄塔の幅方向端部の枠材を受け入れる凹部を有するのが好適である。前記上側把持片は前記上側アームに着脱自在に連結され、前記下側把持片は前記下側アームに着脱自在に連結されているのが好都合である。
本発明が提供する自走式高架線点検装置は、鉄塔に近づくとアーム揺動駆動源により上側アーム及び下側アームを本体に対して揺動させ、上側把持片と下側把持片とを互いに所定間隔をおいて離隔させる。次いで本発明の自走式高架線点検装置は、上側把持片と下側把持片とが所定間隔をおいて離隔した状態で更に走行して、鉄塔の角錐状の幅方向端部の上方に上側把持片を位置付けると共に、鉄塔の角錐状の幅方向端部の下方に下側把持片を位置付ける。次いで本発明の自走式高架線点検装置は、鉄塔の幅方向端部の上部に上側把持片が当接すると共に鉄塔の幅方向端部の下部に下側把持片が当接するまで、アーム揺動駆動源により上側アーム及び下側アームを揺動させ、上側把持片及び下側把持片によって鉄塔の幅方向端部を把持する。上側把持片及び下側把持片によって鉄塔の幅方向端部を把持した状態で上側把持片旋回駆動源及び下側把持片旋回駆動源が駆動すると、鉄塔の幅方向端部を把持した上側把持片及び下側把持片を中心として上側アーム及び下側アームが旋回する。これによって本体は、鉄塔の幅方向外方を通って鉄塔手前の高架線から鉄塔奥の高架線まで移動する。したがって、本発明の自走式高架線点検装置は簡素な機構で鉄塔を迂回することができる。
従来の高架線移動装置におけるアームは、鉄塔手前の高架線から鉄塔奥の高架線まで鉄塔を迂回して延びる寸法が必要であったが、本発明の自走式高架線点検装置の上側アーム及び下側アームは、鉄塔手前の高架線から鉄塔の幅方向端部までの寸法でよいので、従来よりもその寸法が短縮される。したがって、本発明の自走式高架線点検装置は従来の高架線移動装置と比較してコンパクトである。
本発明に従って構成された自走式高架線点検装置の右上前方からみた斜視図。 図1に示す装置を左上前方からみた斜視図。 図1に示す装置を左下前方からみた斜視図。 図1に示す本体の内部を示す斜視図。 図1に示す装置の上側把持片と下側把持片とが離隔した状態を示す斜視図。 図5に示す状態から装置が更に走行した状態を示す斜視図。 図6に示す状態から上側アーム及び下側アームが揺動した状態を示す斜視図。 図7に示す状態での上側把持片及び下側把持片の側面図。 図7及び図8に示す状態から上側アーム及び下側アームが揺動した状態を示す側面図。 図9に示す状態から上側アーム及び下側アームが旋回した状態を示す斜視図。 図10に示す状態から上側アーム及び下側アームが更に旋回した状態を前後方向にみた正面図。 図11に示す状態から上側アーム及び下側アームが更に旋回して、鉄塔奥の高架線に本体が移動した状態を示す斜視図。 図12に示す状態から結合片が収容されると共に、上側アーム及び下側アームが揺動した状態を示す斜視図。
以下、本発明に従って構成された自走式高架線点検装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1において全体を符号2で示す自走式高架線点検装置(以下「装置2」という。)は、本体4及び迂回機構6を備える。本発明に従って構成された装置2では、迂回機構6が、上側アーム8と、下側アーム10と、上側把持片12と、下側把持片14と、アーム旋回駆動源16と、アーム揺動駆動源18(図2及び図3参照。)と、上側把持片旋回駆動源20と、上側把持片揺動駆動源22と、下側把持片旋回駆動源24と、下側把持片揺動駆動源26(図2及び図3参照。)とを含むのが重要である。図示の実施形態では迂回機構6は、更に、結合片28と、結合片移動駆動源(図示していない。)とを含む。
図1及び図4を参照して説明する。本体4は、アルミニウム基合金等の金属材料から形成され得るハウジング30を有する。前後方向にみて断面がコ字状のハウジング30は、矩形状の上面板32と、上面板32の前端から垂下する矩形状の前面板34と、上面板32の後端から垂下する矩形状の後面板36と、上面板32の右側端部から垂下する矩形状の右側面板38と、上面板32の左側端部から垂下する矩形状の左側面板40とを含む。前面板34、後面板36及び右側面板38よりも左側面板40は下方に突出している。左側面板40の下端には、左側面板40の下端から右側に延びる矩形状の下面板42が接続されている。図4に示すとおりハウジング30は、上面板32の内面と、前面板34の内面と、後面板36の内面と、右側面板38の内面と、左側面板40の内面とによって、下端右側が開放された収容部44を規定している。収容部44には、鉄塔間に架設された高架線を走行するための走行手段46が内蔵されている。走行手段46は、前後方向に間隔をおいて配置された一対の車輪48と、各車輪48を駆動させる電動モータ50とを含む。電動モータ50の回転軸52は、電動モータ50の前面から前方に突出すると共に、電動モータ50の後面から後方に突出している。回転軸52の前端及び後端には、それぞれウォームギア54が固定されている。各車輪48には大ギア56が固定され、各大ギア56と各ウォームギア54との間には、それぞれ小ギア58が介在されている。そして、電動モータ50の動力は、各ウォームギア54、各小ギア58及び各大ギア56を介して、各車輪48に伝達される。なお、本明細書における上下方向、前後方向及び幅方向(左右方向)は、図1ないし図4に矢印で示す上下方向、前後方向及び幅方向(左右方向)である。
本体4は、高架線を点検するための点検手段60を含む。図示の実施形態では図3に示すとおり、点検手段60は、ハウジング30の下面板42の外面に前後方向に間隔をおいて固定された広角ドームカメラ62及び測距用レーザスキャナ64を有する。広角ドームカメラ62、測距用レーザスキャナ64、上記電動モータ50及び後述の各電動モータには、ハウジング30に内蔵されたバッテリ(図示していない。)から電力が供給される。
図2及び図3を参照して説明する。アルミニウム基合金等の金属材料から形成され得る上側アーム8及び下側アーム10は、上下方向に間隔をおいて本体4に連結されている。図示の実施形態では、上側アーム8はハウジング30の上面板32の外面に連結され、下側アーム10はハウジング30の下面板42の外面に連結されている。図2を参照して詳述すると、上側アーム8の基端部は、ハウジング30の上面板32の外面から幅方向に間隔をおいて上方に突出する一対の上側ブラケット66に継手68を介して連結されている。継手68は上側ブラケット66間に位置する。そして上側アーム8は、上側アーム8の基端部及び継手68を通って上下方向に延びる第1の上下方向軸線Z1を中心として、本体4に対して旋回自在となっている。また上側アーム8は、一対の上側ブラケット66及び継手68を通って幅方向に延びる第1の幅方向軸線Y1を中心として、本体4に対して揺動自在となっている。
図3に示すとおり、下側アーム10の基端部は、ハウジング30の下面板42の外面から幅方向に間隔をおいて下方に突出する一対の下側ブラケット70に継手72を介して連結されている。継手72は下側ブラケット70間に位置する。そして下側アーム10は、下側アーム10の基端部及び継手72を通って上下方向に延びる第2の上下方向軸線Z2を中心として、本体4に対して旋回自在となっている。また下側アーム10は、一対の下側ブラケット70及び継手72を通って幅方向に延びる第2の幅方向軸線Y2を中心として、本体4に対して揺動自在となっている。
図2に示すとおり、アルミニウム基合金等の金属材料から形成され得る上側把持片12は、直方体状の主部74と、相互に間隔をおいて主部74の上面から上方に突出する一対のブラケット76とを有する。上側把持片12は、ブラケット76間に位置する継手78を介して上側アーム8の先端下部に連結されている。そして上側把持片12は、上側アーム8の先端部及び継手78を通って上下方向に延びる第3の上下方向軸線Z3を中心として、上側アーム8に対して旋回自在となっている。また上側把持片12は、一対のブラケット76及び継手78を通って幅方向に延びる第3の幅方向軸線Y3を中心として、上側アーム8に対して揺動自在となっている。図示の実施形態では、鉄塔の幅方向端部の枠材間に嵌入する台形柱状部80が主部74の下面に接続されている。図3に示すとおり、主部74の下端面には、台形柱状部80の両側に位置する三角形状の一対の当接面82が形成されている。
図1及び図3を参照して説明する。アルミニウム基合金等の金属材料から形成され得る下側把持片14は、図示の実施形態では図1に示すとおり、前後方向に延びる三角柱状の主部84と、主部84の前端から上方に突出する矩形状の前壁86と、主部84の後端から上方に突出する矩形状の後壁88とを有する。主部84の上面は、図1において左方から右方に向かって下方に傾斜して延びると共に、図1において左方から右方に向かって末広がり形状である。また、主部84の上面には上下方向に延びる矩形状の嵌合開口89が形成されていて、嵌合開口89には結合片28の下端部が嵌合される。下側把持片14は、主部84の上面と、前壁86の内面と、後壁88の内面とによって規定される凹部90を有する。凹部90は、鉄塔の幅方向端部の枠材を受け入れる。また図3に示すとおり、主部84の下面には、相互に間隔をおいて下方に突出する一対のブラケット92が付設されている。下側把持片14は、ブラケット92間に位置する継手94を介して下側アーム10の先端上部に連結されている。そして下側把持片14は、下側アーム10の先端部及び継手94を通って上下方向に延びる第4の上下方向軸線Z4を中心として、下側アーム10に対して旋回自在となっている。また下側把持片14は、一対のブラケット92及び継手94を通って幅方向に延びる第4の幅方向軸線Y4を中心として、下側アーム10に対して揺動自在となっている。
上側把持片12は上側アーム8に着脱自在に連結され、下側把持片14は下側アーム10に着脱自在に連結されているのが好都合である。これによって、鉄塔の規模や種類に応じた形状の上側把持片及び下側把持片に交換可能となるからである。
図1ないし図3を参照して説明する。図示の実施形態では、アーム旋回駆動源16は、上側アーム8の基端部上面に配置された上側アーム旋回電動モータ96と、下側アーム10の基端部下面に配置された下側アーム旋回電動モータ98とから構成されている。上側アーム旋回電動モータ96は、第1の上下方向軸線Z1を中心として本体4に対して上側アーム8を旋回させる。下側アーム旋回電動モータ98は、第2の上下方向軸線Z2を中心として本体4に対して下側アーム10を旋回させる。なお、アーム旋回駆動源16は、1個の電動モータから構成され、ギア等の動力伝達機構を介して上側アーム8及び下側アーム10を旋回させるようにしてもよい。
図2及び図3を参照して説明する。図示の実施形態では、アーム揺動駆動源18は、ハウジング30の上側ブラケット66の一方の外面に配置された上側アーム揺動電動モータ100(図2参照。)と、ハウジング30の下側ブラケット70の一方の外面に配置された下側アーム揺動電動モータ102(図3参照。)とから構成されている。上側アーム揺動電動モータ100は、第1の幅方向軸線Y1を中心として本体4に対して上側アーム8を揺動させる。下側アーム揺動電動モータ102は、第2の幅方向軸線Y2を中心として本体4に対して下側アーム10を揺動させる。なお、アーム揺動駆動源18は、1個の電動モータから構成され、ギア等の動力伝達機構を介して上側アーム8及び下側アーム10を揺動させるようにしてもよい。
図2に示すとおり、上側把持片旋回駆動源20は、上側アーム8の先端部上面に配置された電動モータから構成され、第3の上下方向軸線Z3を中心として上側アーム8に対して上側把持片12を旋回させる。また、上側把持片揺動駆動源22は、上側把持片12のブラケット76の一方の外面に配置された電動モータから構成され、第3の幅方向軸線Y3を中心として上側アーム8に対して上側把持片12を揺動させる。
図3に示すとおり、下側把持片旋回駆動源24は、下側アーム10の先端部下面に配置された電動モータから構成され、第4の上下方向軸線Z4を中心として下側アーム10に対して下側把持片14を旋回させる。また、下側把持片揺動駆動源26は、下側把持片14のブラケット92の一方の外面に配置された電動モータから構成され、第4の幅方向軸線Y4を中心として下側アーム10に対して下側把持片14を揺動させる。
図1及び図3を参照して説明する。アルミニウム基合金等の金属材料から形成され得る結合片28は移動自在に上側把持片12に装着されている。結合片28は、下側把持片14に接近する接近位置と、下側把持片14から離隔する離隔位置との間を移動自在に構成されている。接近位置と離隔位置との間で結合片28を移動させる結合片移動駆動源(図示していない。)は、電動モータから構成されていて上側把持片12に内蔵されている。図1に示す接近位置では、結合片28は上側把持片12の下面から下方に突出する。一方、図3に示す離隔位置では、結合片28は上側把持片12の内部に収容される。なお、離隔位置において上側把持片12の内部に結合片28の全部が収容されていなくてもよい。すなわち、接近位置における上側把持片12の下面からの結合片28の下方への突出量と比較して、離隔位置における上側把持片12の下面からの結合片28の下方への突出量が小さければよい。また、結合片28及び結合片移動駆動源は下側把持片14に装着されていてもよい。
図5ないし図13には、幅方向外方に向かって次第に縮径する四角錐状に形成された一対の幅方向端部104を有する鉄塔106が示されている。図示の実施形態では、四角錐状の幅方向端部104は、一対の上側枠材108と、一対の下側枠材110とから構成されている。また、隣接する鉄塔106の幅方向端部104間には架空地線112が架設されている。架空地線112は、架空地線112の下方に架設される送電線(図示していない。)の避雷のために鉄塔106の上端部において架設される。図示の鉄塔106には、鉄塔106の上端部において幅方向端部104のそれぞれに架空地線112が架設されている。なお、図5に矢印Xで示す装置2の進行方向にみて、鉄塔106手前の架空地線を符号112aで示し、鉄塔106奥の架空地線を符号112bで示す。
架空地線112や送電線等の高架線の点検の際、装置2は、各車輪48と架空地線112との間に生じる摩擦力により架空地線112を走行しながら、広角ドームカメラ62及び測距用レーザスキャナ64によって高架線の状態(たとえば落雷による溶損や樹木のからまりの有無等)を点検する。
上側把持片12の下部を下側把持片14の上部に接触させた状態で、鉄塔106手前の架空地線112aを進行方向Xに走行する装置2は、図5に示すとおり、鉄塔106に近づくとアーム揺動駆動源18により上側アーム8及び下側アーム10を本体4に対して揺動させることによって、上側把持片12を上昇させると共に下側把持片14を下降させ、上側把持片12と下側把持片14とを互いに所定間隔をおいて離隔させる。次いで装置2は、図6に示すとおり、上側把持片12と下側把持片14とを所定間隔をおいて離隔させた状態で更に走行して、鉄塔106の幅方向端部104の上方に上側把持片12を位置付けると共に、鉄塔106の幅方向端部104の下方に下側把持片14を位置付ける。
次いで装置2は、図7に示すとおり、アーム揺動駆動源18により上側アーム8及び下側アーム10を本体4に対して揺動させることによって、上側把持片12を下降させると共に下側把持片14を上昇させ、鉄塔106の幅方向端部104の上側枠材108に上側把持片12を当接させると共に、鉄塔106の幅方向端部104の下側枠材110に下側把持片14を当接させる。上側枠材108に上側把持片12を当接させる際に装置2は、上側把持片旋回駆動源20及び上側把持片揺動駆動源22により上側アーム8に対して上側把持片12を適宜に旋回又は/及び揺動させることによって、台形柱状部80を上側枠材108間に嵌入させると共に、上側把持片12の主部74の当接面82を上側枠材108の上面に当接させる。また、下側枠材110に下側把持片14を当接させる際に装置2は、下側把持片旋回駆動源24及び下側把持片揺動駆動源26により下側アーム10に対して下側把持片14を適宜に旋回又は/及び揺動させることによって、下側把持片14の主部84の上面を下側枠材110の下面に当接させ、前壁86の内面を下側枠材110の前面に当接させ、後壁88の内面を下側枠材110の後面に当接させ、すなわち、下側把持片14の凹部90によって下側枠材110を受け入れる。これによって装置2は、上側枠材108と下側枠材110とから構成される鉄塔106の幅方向端部104を上側把持片12及び下側把持片14で強固に把持することができる。この状態においては、上側把持片12の主部74の上下方向寸法、下側枠材110に対する下側把持片14の当接位置、及びハウジング30に対する各車輪48の上下方向位置の関係から、図8に示すとおり、上側アーム8及び下側アーム10は本体4側に向かって下方に傾斜している。
次いで装置2は、図9に示すとおり、結合片移動駆動源により上側把持片12に対して結合片28を降下させ、下側把持片14の主部84の嵌合開口89に結合片28の下端部を嵌合させる。これによって上側把持片12と下側把持片14とが結合されるので、上側把持片12及び下側把持片14の剛性が向上する。次いで装置2が、上側把持片揺動駆動源22及び下側把持片揺動駆動源26を駆動させると、鉄塔106の幅方向端部104を上側把持片12及び下側把持片14が強固に把持しているので、上側把持片12に対して上側アーム8が揺動すると共に、下側把持片14に対して下側アーム10が揺動する。これによって装置2は、図9に示すとおり、上側アーム8及び下側アーム10を上側枠材108に対して平行にして第3の上下方向軸線Z3と第4の上下方向軸線Z4とを整合させると共に、本体4を上昇させて各車輪48を鉄塔106手前の架空地線112aから離隔させる。各車輪48を架空地線112aから離隔させる際に装置2は、各把持片揺動駆動源22,26による各把持片12,14に対する各アーム8,10の揺動方向と逆方向に、かつ各把持片揺動駆動源22,26による各把持片12,14に対する各アーム8,10の揺動角度と同角度に、アーム揺動駆動源18により各アーム8,10に対して本体4を揺動させることによって、架空地線112に対する本体4の姿勢を一定に保持することができる。
次いで装置2は、図10に示すとおり、上側把持片旋回駆動源20を駆動させ、第3の上下方向軸線Z3を中心として上側把持片12に対して上側アーム8を旋回させると共に、下側把持片旋回駆動源24を駆動させ、第4の上下方向軸線Z4を中心として下側把持片14に対して下側アーム10を旋回させる。これによって本体4は、鉄塔106の幅方向外方を通って、鉄塔106手前の架空地線112aから鉄塔106奥の架空地線112bに向かって移動する。鉄塔106の幅方向外方を通って本体4が移動する際に装置2は、各把持片旋回駆動源20,24による各把持片12,14に対する各アーム8,10の旋回方向と逆方向に、かつ各把持片旋回駆動源20,24による各把持片12,14に対する各アーム8,10の旋回角度と同角度に、アーム旋回駆動源16により、第1の上下方向軸線Z1を中心として上側アーム8に対して本体4を旋回させると共に、第2の上下方向軸線Z2を中心として下側アーム10に対して本体4を旋回させることによって、架空地線112に対する本体4の姿勢を一定に保持することができる。
鉄塔106の幅方向外方を通って本体4が移動する際は、図11に符号Aで示す箇所又は符号Bで示す箇所を支点として、図11に矢印Mで示すモーメントが装置2に作用する。しかし、上側把持片12の台形柱状部80が上側枠材108間に嵌入して台形柱状部80の前面及び後面が上側枠材108の内面に当接しており、また、下側把持片14の凹部90を規定する主部84の上面、前壁86の内面及び後壁88の内面が下側枠材110の外面に当接しているので、台形柱状部80が当接している上側枠材108と凹部90が受け入れている下側枠材110とによってモーメントMに係る力を受けることになるので、モーメントMによる装置2の回転が防止される。仮に、強風等により本体4のバランスが失われたとしても、下側把持片14の主部84の嵌合開口89に結合片28の下端部が嵌合しているので、各把持片12,14又は結合片28が鉄塔106の上側枠材108又は下側枠材110に掛かり、装置2の落下が防止される。
各車輪48が鉄塔106奥の架空地線112bの上方に位置するまで本体4が移動した後に装置2は、図12に示すとおり、上側把持片揺動駆動源22により上側把持片12に対して上側アーム8を揺動させると共に、下側把持片揺動駆動源26により下側把持片14に対して下側アーム10を揺動させることによって、本体4を降下させて各車輪48を鉄塔106奥の架空地線112bに載せる。各車輪48を架空地線112bに載せる際に装置2は、各把持片揺動駆動源22,26による各把持片12,14に対する各アーム8,10の揺動方向と逆方向に、かつ各把持片揺動駆動源22,26による各把持片12,14に対する各アーム8,10の揺動角度と同角度に、アーム揺動駆動源18により各アーム8,10に対して本体4を揺動させることによって、架空地線112に対する本体4の姿勢を一定に保持することができる。
次いで装置2は、図13に示すとおり、結合片移動駆動源により上側把持片12に対して結合片28を上昇させ、上側把持片12の内部に結合片28を収容する。次いで装置2は、アーム揺動駆動源18により上側アーム8及び下側アーム10を本体4に対して揺動させることによって、上側把持片12を上昇させると共に下側把持片14を下降させ、上側把持片12と下側把持片14とを互いに所定間隔をおいて離隔させる。そして装置2は、上側把持片12と下側把持片14とを所定間隔をおいて離隔させた状態で更に走行した後に、アーム揺動駆動源18により上側アーム8及び下側アーム10を本体4に対して揺動させることによって、上側把持片12を下降させると共に下側把持片14を上昇させ、上側把持片12の下部を下側把持片14の上部に接触させた状態で、鉄塔106奥の架空地線112bを進行方向Xに走行する。以上のとおり、装置2は簡素な迂回機構6で鉄塔106の幅方向端部104を迂回することができる。
従来の高架線移動装置におけるアームは、鉄塔106手前の架空地線112aから鉄塔106奥の架空地線112bまで鉄塔106を迂回して延びる寸法が必要であったが、装置2の上側アーム8及び下側アーム10は、鉄塔106手前の架空地線112aから鉄塔106の幅方向端部104までの寸法でよいので、従来よりもその寸法が短縮される。したがって装置2は、従来の高架線移動装置と比較してコンパクトである。
2:自走式高架線点検装置
4:本体
6:迂回機構
8:上側アーム
10:下側アーム
12:上側把持片
14:下側把持片
16:アーム旋回駆動源
18:アーム揺動駆動源
20:上側把持片旋回駆動源
22:上側把持片揺動駆動源
24:下側把持片旋回駆動源
26:下側把持片揺動駆動源
28:結合片
46:走行手段
60:点検手段
Z1:第1の上下方向軸線
Z2:第2の上下方向軸線
Z3:第3の上下方向軸線
Z4:第4の上下方向軸線
Y1:第1の幅方向軸線
Y2:第2の幅方向軸線
Y3:第3の幅方向軸線
Y4:第4の幅方向軸線

Claims (4)

  1. 幅方向外方に向かって次第に縮径する角錐状に複数の枠材から形成された幅方向端部を有する鉄塔に架設された高架線を点検するための自走式高架線点検装置であって、
    鉄塔間に架設された高架線を走行するための走行手段と高架線を点検するための点検手段とを含む本体、及び鉄塔を迂回するための迂回機構を備え、
    前記迂回機構は、第1の上下方向軸線を中心として旋回自在かつ第1の幅方向軸線を中心として揺動自在に前記本体の上部に基端部が連結された上側アームと、
    第2の上下方向軸線を中心として旋回自在かつ第2の幅方向軸線を中心として揺動自在に前記本体の下部に基端部が連結された下側アームと、
    第3の上下方向軸線を中心として旋回自在かつ第3の幅方向軸線を中心として揺動自在に前記上側アームの先端下部に連結された上側把持片と、
    第4の上下方向軸線を中心として旋回自在かつ第4の幅方向軸線を中心として揺動自在に前記下側アームの先端上部に連結された下側把持片と、
    前記第1の上下方向軸線を中心として前記上側アームを旋回させると共に前記第2の上下方向軸線を中心として前記下側アームを旋回させるアーム旋回駆動源と、
    前記第1の幅方向軸線を中心として前記上側アームを揺動させると共に前記第2の幅方向軸線を中心として前記下側アームを揺動させるアーム揺動駆動源と、
    前記第3の上下方向軸線を中心として前記上側把持片を旋回させる上側把持片旋回駆動源と、
    前記第3の幅方向軸線を中心として前記上側把持片を揺動させる上側把持片揺動駆動源と、
    前記第4の上下方向軸線を中心として前記下側把持片を旋回させる下側把持片旋回駆動源と、
    前記第4の幅方向軸線を中心として前記下側把持片を揺動させる下側把持片揺動駆動源とを含む自走式高架線点検装置。
  2. 前記迂回機構は、更に、前記上側把持片又は前記下側把持片の一方に接近する接近位置と前記上側把持片又は前記下側把持片の一方から離隔する離隔位置との間を移動自在に前記上側把持片又は前記下側把持片の他方に装着された結合片と、
    前記接近位置と前記離隔位置との間で前記結合片を移動させる結合片移動駆動源とを含む、請求項1記載の自走式高架線点検装置。
  3. 前記上側把持片は鉄塔の幅方向端部の枠材間に嵌入する台形柱状部を有し、前記下側把持片は鉄塔の幅方向端部の枠材を受け入れる凹部を有する、請求項1記載の自走式高架線点検装置。
  4. 前記上側把持片は前記上側アームに着脱自在に連結され、前記下側把持片は前記下側アームに着脱自在に連結されている、請求項1記載の自走式高架線点検装置。
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