JP2018022568A - ニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法、および非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体とを含む核生成用水溶液を、液温25℃基準でpH値が12.0〜14.0となるように制御して、酸素濃度が1容量%を超える酸化性雰囲気中で核生成を行う核生成工程と、
該核生成工程において形成された核を含有する粒子成長用水溶液に、少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体を供給し、液温25℃基準におけるpH値が10.5〜12.0、かつ、核生成工程におけるpH値よりも低いpH値となるように制御して種粒子生成を行う種粒子生成工程と、
該種粒子生成工程において形成された種粒子を含有する粒子成長用スラリーに、少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体を供給するとともに、前記酸化性雰囲気から酸素濃度1容量%以下の非酸化性雰囲気に切り替え、前記種粒子を成長させる粒子成長工程とを備え、
前記スラリーの固形分密度(g/L)を該スラリーの遠沈沈降体積(cm3/L)で除することによって得られる前記種粒子の遠心沈降密度を0.39g/cm3以下に制御することを特徴とする。
上記の製造方法によって得られるニッケルマンガン複合水酸化物粒子とリチウム化合物を混合してリチウム混合物を形成する混合工程と、該混合工程で形成された前記混合物を、酸化性雰囲気中で焼成する焼成工程とを備えることを特徴とする。
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法は、一般式:NixMnyCozMt(OH)2+α(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦α≦0.5、Mは添加元素であり、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される非水系電解質二次電池用正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の製造方法であって、
少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体とを含む核生成用水溶液を、液温25℃基準でpH値が12.0〜14.0となるように制御して、酸素濃度が1容量%を超える酸化性雰囲気中で核生成を行う核生成工程と、
該核生成工程において形成された核を含有する粒子成長用水溶液に、少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体を供給し、液温25℃基準におけるpH値が10.5〜12.0、かつ、核生成工程におけるpH値よりも低いpH値となるように制御して種粒子生成を行う種粒子生成工程と、
該種粒子生成工程において形成された種粒子を含有する粒子成長用スラリーに、少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体を供給するとともに、前記酸化性雰囲気から酸素濃度1容量%以下の非酸化性雰囲気に切り替え、前記種粒子を成長させる粒子成長工程とを備え、
前記スラリーの固形分密度(g/L)を該スラリーの遠沈沈降体積(cm3/L)で除することによって得られる前記種粒子の遠心沈降密度を0.39g/cm3以下に制御することを特徴とするものである。
図1に示すように、まず、ニッケルおよびマンガンを含有する複数の金属化合物を所定の割合で水に溶解させ、混合水溶液を作製する。本発明の複合水酸化物粒子の製造方法では、得られる複合水酸化物粒子における上記各金属の組成比は、混合水溶液における各金属の組成比と同様となる。
核生成工程の終了後、酸化性雰囲気を維持しながら前記核生成用水溶液のpH値を、液温25℃基準で、10.5〜12.0、好ましくは11.0〜12.0となるように調整して、粒子成長工程における反応水溶液である粒子成長用水溶液を得る。具体的には、この調整時のpHの制御は、アルカリ水溶液の供給量を調節することにより行う。
種粒子生成工程の終了後、粒子成長用水溶液のpH値を、液温25℃基準で、10.5〜12.0、好ましくは11.0〜12.0となるように維持しながら、反応槽内の雰囲気を酸化性雰囲気からから切り替えて弱酸化性から非酸化性の範囲の雰囲気とする。雰囲気を切り替えることにより、種粒子、すなわち微細一次粒子により形成された複合水酸化物粒子の中心部の外側に該微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子からなる外殻部を有する上記粒子構造を形成することができる。
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子が有する粒子構造は、核生成工程と種粒子生成工程、および粒子成長工程における反応槽内の雰囲気制御により形成される。したがって、上記製造方法の各工程における上記雰囲気制御が、重要な意義を有する。晶析反応中の反応槽内が酸化性雰囲気では、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を形成する一次粒子の成長が制御され、微細な一次粒子により形成され空隙が多い低密度の粒子が形成され、弱酸化性雰囲気から非酸化性雰囲気では、一次粒子が大きく緻密で高密度の粒子が形成される。
上述のように、核生成工程においては、反応水溶液のpH値が、液温25℃基準で12.0〜14.0、好ましくは12.3〜13.5の範囲となるように制御する必要がある。pH値が14.0を超える場合、生成する核が微細になり過ぎ、反応水溶液がゲル化する問題がある。また、pH値が12.0未満では、核形成とともに核の成長反応が生じるので、形成される核の粒度分布の範囲が広くなり不均質なものとなってしまう。すなわち、核生成工程において、上述の範囲に反応水溶液のpH値を制御することで、核の成長を抑制してほぼ核生成のみを起こすことができ、形成される核も均質かつ粒度分布の範囲が狭いものとすることができる。
核生成工程において生成する核の量は、特に限定されるものではないが、粒度分布の良好な複合水酸化物粒子を得るためには、全体量、つまり、複合水酸化物粒子を得るために供給する全金属塩の0.1%から2%とすることが好ましく、1.5%以下とすることがより好ましい。
上記複合水酸化物粒子の粒径は、種粒子生成工程および粒子成長工程の合計の時間により制御できるので、所望の粒径に成長するまで粒子成長工程を継続すれば、所望の粒径を有する複合水酸化物粒子を得ることができる。
金属化合物としては、目的とする金属を含有する化合物を用いる。使用する化合物は、水溶性の化合物を用いることが好ましく、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などがあげられる。たとえば、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸コバルトが好ましく用いられる。
添加元素(Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の元素)は、水溶性の化合物を用いることが好ましく、たとえば、硫酸チタン、ペルオキソチタン酸アンモニウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸バナジウム、バナジン酸アンモニウム、硫酸クロム、クロム酸カリウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、シュウ酸ニオブ、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウムなどを用いることができる。
混合水溶液の濃度は、金属化合物の合計で1〜2.6mol/L、好ましくは1.5〜2.2mol/Lとすることが好ましい。混合水溶液の濃度が1mol/L未満では、反応槽当たりの晶析物量が少なくなるために生産性が低下して好ましくない。
反応水溶液中のアンモニア濃度は、以下の問題を生じさせないために、好ましくは3〜25g/L、好ましくは5〜20g/Lの範囲内で一定値に保持する。
反応槽内において、反応液の温度は、好ましくは20℃以上、特に好ましくは20〜60℃に設定する。反応液の温度が20℃未満の場合、溶解度が低いため核発生が起こりやすく制御が難しくなる。一方、60℃を超えると、アンモニアの揮発が促進されるため、所定のアンモニア濃度を保つために、過剰のアンモニウムイオン供給体を添加しなければならならず、コスト高となる。
反応水溶液中のpHを調整するアルカリ水溶液については、特に限定されるものではなく、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物水溶液を用いることができる。かかるアルカリ金属水酸化物の場合、直接、反応水溶液中に供給してもよいが、反応槽内における反応水溶液のpH制御の容易さから、水溶液として反応槽内の反応水溶液に添加することが好ましい。
本発明の複合水酸化物粒子の製造方法では、反応が完了するまで生成物を回収しない方式の装置を用いる。たとえば、撹拌機が設置された通常に用いられるバッチ反応槽などである。かかる装置を採用すると、一般的なオーバーフローによって生成物を回収する連続晶析装置のように、成長中の粒子がオーバーフロー液と同時に回収されるという問題が生じないため、粒度分布が狭く粒径の揃った粒子を得ることができる。
(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦α≦0.5、Mは添加元素であり、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)
なお、本発明において、中空構造の正極活物質を得ようとする場合、その前駆体である前記ニッケルマンガン複合水酸化物粒子のニッケルの含有量とマンガンの含有量を、それぞれ前記一般式において、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55となるように調整して、マンガンの含有量を高めに設定することで、当該中空構造が得られやすい二次粒子からなるニッケル複合水酸化物とすることができる。
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の平均粒径は、1μmを超え、15μm以下、好ましくは平均粒径が3μmを超え、10μm以下の範囲に調整されている。ニッケル複合水酸化物の平均粒径をこのような範囲に制御することにより、該複合水酸化物粒子を原料として得られる正極活物質を所定の平均粒径(1μmを超え、15μm以下)に調整することができる。このように、複合水酸化物粒子の粒径は、得られる正極活物質の粒径と相関するため、この正極活物質を正極材料に用いた電池の特性に影響するものである。
本発明の複合水酸化物粒子は、その粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が、1.0以下、好ましくは0.70以下となるように調整されている。正極活物質の粒度分布は、原料である複合水酸化物の影響を強く受け、たとえば、複合水酸化物粒子に微粒子あるいは粗大粒子が混入していると、正極活物質にも、同様に、微粒子あるいは粗大粒子が存在するようになる。すなわち、〔(d90−d10)/平均粒径〕が1.0を超え、粒度分布が広い状態であると、正極活物質にも微粒子あるいは粗大粒子が存在するようになる。
本発明の遷移金属複合水酸化物粒子は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子により構成される。二次粒子を構成する一次粒子の形状としては、板状、針状、直方体状、楕円状、稜面体状などのさまざまな形態を採りうる。また、その凝集状態も、ランダムな方向に凝集する場合のほか、中心から放射状に粒子の長径方向が凝集する場合も本発明に適用することは可能である。
本発明の正極活物質の製造方法は、上記製造方法によって得られるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子とリチウム化合物を混合してリチウム混合物を形成する混合工程と、該混合工程で形成された混合物を焼成する焼成工程を含むものであるが、混合工程の前に遷移金属複合水酸化物を熱処理する熱処理工程を加えてもよい。すなわち、図2に示すように、a)正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を熱処理する熱処理工程と、b)熱処理後の粒子に対してリチウム化合物を混合してリチウム混合物を形成する混合工程、c)混合工程で形成された混合物を焼成する焼成工程を含むものとすることができる。以下、各工程を説明する。
熱処理工程は、上記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の製造方法で得た複合水酸化物粒子を105〜750℃、好ましくは105〜400℃の温度に加熱して熱処理する工程である。この熱処理工程を行うことにより、複合水酸化物粒子に含有されている水分を除去している。この熱処理工程を行うことによって、粒子中に焼成工程まで残留している水分を一定量まで減少させることができる。このため、得られる製造される正極活物質中の金属の原子数やリチウムの原子数の割合がばらつくことを防ぐことができる。
混合工程は、遷移金属複合水酸化物粒子、あるいは上記熱処理工程において熱処理された複合水酸化物粒子(以下、「熱処理粒子」ということがある)などと、リチウムを含有する物質、たとえば、リチウム化合物とを混合して、リチウム混合物を得る工程である。
焼成工程は、上記混合工程で得られたリチウム混合物を焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物を形成する工程である。焼成工程においてリチウム混合物を焼成すると、遷移金属複合水酸化物、あるいは熱処理粒子に、リチウムを含有する物質中のリチウムが拡散するので、リチウム遷移金属複合酸化物が形成される。
リチウム混合物の焼成は、650〜1000℃で行われる。焼成温度が650℃未満であると、遷移金属複合酸化物中へのリチウムの拡散が十分でなく、余剰のリチウムと未反応の遷移金属複合酸化物が残ったり、あるいは結晶構造が十分整わなくなったりして、電池に用いられた場合に十分な電池特性が得られない。また、1000℃を超えるとリチウム遷移金属複合酸化物間で激しく焼結が生じるとともに、異常粒成長を生じることから粒子が粗大となり、球状二次粒子の形態を保持できなくなる。いずれの場合でも、電池容量が低下するばかりかでなく、正極抵抗の値も高くなってしまう。
焼成時間のうち、所定温度での保持時間は、少なくとも1時間以上とすることが好ましく、2〜10時間とすることがより好ましい。1時間未満では、リチウム遷移金属複合酸化物の生成が十分に行われないことがある。
特に、リチウム化合物として、水酸化リチウムや炭酸リチウムを使用した場合には、焼成工程の前に、焼成温度より低く、かつ、350〜800℃、好ましくは450〜780℃の温度に1〜10時間程度、好ましくは3〜6時間保持して仮焼することが好ましい。あるいは、焼成温度に達するまでの昇温速度を遅くすることで、実質的に仮焼した場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、水酸化リチウムや炭酸リチウムと遷移金属複合酸化物の反応温度において仮焼することが好ましい。この場合、水酸化リチウムや炭酸リチウムの上記反応温度付近で保持すれば、熱処理粒子へのリチウムの拡散が十分に行われ、均一なリチウム遷移金属複合酸化物を得ることができる。
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気とするが好ましく、酸素濃度を10〜100容量%の雰囲気とすることがより好ましく、上記酸素濃度の酸素と不活性ガスの混合雰囲気とすることが特に好ましい。すなわち、大気ないしは酸素気流中で行なうことが好ましい。酸素濃度が10容量%未満であると、酸化が十分でなく、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶性が十分でない場合がある。
焼成によって得られたリチウム遷移金属複合酸化物は、凝集もしくは軽度の焼結が生じている場合がある。この場合には、解砕してもよく、これにより、リチウム遷移金属複合酸化物、つまり、本発明の正極活物質を得ることができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギーを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく二次粒子を分離させて、凝集体をほぐす操作のことである。
本発明の正極活物質は、平均粒径が1μmを超え、15μm以下であり、好ましくは3μmを超え、10μm以下である。平均粒径が1μm以下の場合には、タップ密度が低下して、正極を形成したときに粒子の充填密度が低下して、正極の容積あたりの電池容量が低下する。一方、平均粒径が15μmを超えると、正極活物質の比表面積が低下して、電池の電解液との界面が減少することにより、正極の抵抗が上昇して電池の出力特性が低下する。
本発明の正極活物質は、その粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が、1.0以下、好ましくは0.70以下である、均質性が高いリチウム遷移金属複合酸化物の二次粒子により構成される。粒度分布が広範囲になっている場合、正極活物質に、平均粒径に対して粒径が非常に小さい微粒子や、平均粒径に対して非常に粒径の大きい粗大粒子が多く存在することになる。微粒子が多く存在する正極活物質を用いて正極を形成した場合には、微粒子の局所的な反応に起因して発熱する可能性があり、熱安定性が低下するとともに、微粒子が選択的に劣化するのでサイクル特性が悪化してしまう。一方、粗大粒子が多く存在する正極活物質を用いて正極を形成した場合には、電解液と正極活物質との反応面積が十分に取れず、反応抵抗の増加による電池出力が低下する。
上記正極活物質は、タッピングをしたときの充填密度の指標であるタップ密度が、1.0g/cm3以上であることが好ましく、1.3g/cm3以上であることがより好ましい。民生向けや電気自動車向けでは電池の使用時間、走行可能距離を延ばすために高容量化が非常に重要な課題となっており、活物質自身の高容量化だけでなく、電極として活物質量を多く充填させることが求められている。一方、二次電池の電極厚みは、電池全体のパッキングの問題から、また電子伝導性の問題から数十ミクロン程度となっている。特に、タップ密度が1.0g/cm3未満になると、限られた電極体積内に入れられる活物質量が低下し、二次電池全体の容量を高容量とすることができない。タップ密度の上限は、特に限定されるものではないが、通常の製造条件での上限は、3.0g/cm3程度である。
上記正極活物質は、たとえば、2032型コイン電池の正極に用いた場合、150mAh/g以上の高い初期放電容量と、低い正極抵抗および高いサイクル容量維持率が得られるものとなり、非水系電解質二次電池用正極活物質として優れた特性を示すものである。
(実施例1)
(核生成工程)
まず、容量60Lの反応槽内に、水を半分の量まで入れて撹拌しながら、槽内温度を40℃に設定した。このときの反応槽内は、酸化性雰囲気(酸素濃度:21容量%)とした。この反応槽内の水に、20質量%水酸化ナトリウム水溶液と25質量%アンモニア水を適量加えて、槽内の反応水溶液液のpH値が液温25℃基準で13.0となるように調整した。また、該反応水溶液中のアンモニア濃度を10g/Lに調節した。
核生成終了後、反応水溶液のpH値が液温25℃基準で11.6になるまで、64質量%硫酸を加えた。反応水溶液のpH値が11.6に到達した後、反応水溶液(粒子成長用水溶液)に、再度、20質量%水酸化ナトリウム水溶液の供給を再開し、pH値を液温25℃基準で11.6に制御したまま、180分間の晶析を継続し核を成長させ種粒子を生成した。種粒子を含むスラリーの遠心沈降密度は0.296g/cm3であった。
この後、給液を一旦停止し、反応槽内空間の酸素濃度が0.1容量%以下となるまで窒素ガスを100L/分で流通させた。その後、給液を再開し、210分間晶析を行った。そして、生成物を水洗、濾過、乾燥させて複合水酸化物粒子を得た。
得られた複合水酸化物を150℃、12時間熱処理したのち、市販の炭酸リチウムを、金属とリチウムのモル比(Li/M比)が1.2となるように加えて、シェーカーミキサー装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製TURBULA TypeT2C)を用いて十分に混合し、混合物を得た。この混合物を空気(酸素:21容量%)気流中にて950℃で焼成し、さらに解砕して非水系電解質二次電池用正極活物質を得た。
反応水溶液中のpH値とアンモニア濃度を調整し、前記種粒子を含むスラリーの遠心沈降密度が0.327g/cm3に制御した以外は、実施例1と同じ方法で前駆体および正極活物質を得た。
反応水溶液中のpH値とアンモニア濃度を調整し、前記種粒子を含むスラリーの遠心沈降密度が0.341g/cm3に制御した以外は、実施例1と同じ方法で前駆体および正極活物質を得た。
反応水溶液中のpH値とアンモニア濃度を調整し、前記種粒子を含むスラリーの遠心沈降密度が0.345g/cm3に制御した以外は、実施例1と同じ方法で前駆体および正極活物質を得た。
反応水溶液中のpH値とアンモニア濃度を調整し、前記種粒子を含むスラリーの遠心沈降密度が0.369g/cm3に制御した以外は、実施例1と同じ方法で前駆体および正極活物質を得た。
反応水溶液中のpH値とアンモニア濃度を調整し、前記種粒子を含むスラリーの遠心沈降密度が0.384g/cm3に制御した以外は、実施例1と同じ方法で前駆体および正極活物質を得た。
反応水溶液中のpH値とアンモニア濃度を調整し、前記種粒子を含むスラリーの遠心沈降密度が0.392g/cm3に制御した以外は、実施例1と同じ方法で前駆体および正極活物質を得た。
反応水溶液中のpH値とアンモニア濃度を調整し、前記種粒子を含むスラリーの遠心沈降密度が0.423g/cm3に制御した以外は、実施例1と同じ方法で前駆体および正極活物質を得た。
実施例および比較例で得られ複合水酸化物粒子を前駆体として正極活物質を得た。正極活物質は、複合水酸化物粒子と炭酸リチウムを混合してリチウム混合物とした後、焼成することで製造した。実施例および比較例における種粒子の遠心沈降密度と、得られた正極活物質の吸油量を表1に示す。遠心沈降密度が低いほど、吸油量が高い値を示した。遠心沈降密度が低いほど、一次粒子数が多く、そのため粒子一個当たりの外殻成長が少ないため、外殻が薄くなり、吸油量が高い値を示したと考えられる。
Claims (8)
- 一般式:NixMnyCozMt(OH)2+α(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦α≦0.5、Mは添加元素であり、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される非水系電解質二次電池用正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の製造方法であって、
少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体とを含む核生成用水溶液を、液温25℃基準でpH値が12.0〜14.0となるように制御して、酸素濃度が1容量%を超える酸化性雰囲気中で核生成を行う核生成工程と、
該核生成工程において形成された核を含有する粒子成長用水溶液に、少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体を供給し、液温25℃基準におけるpH値が10.5〜12.0、かつ、核生成工程におけるpH値よりも低いpH値となるように制御して種粒子生成を行う種粒子生成工程と、
該種粒子生成工程において形成された種粒子を含有する粒子成長用スラリーに、少なくともニッケルを含有する金属化合物およびマンガンを含有する金属化合物とアンモニウムイオン供給体を供給するとともに、前記酸化性雰囲気から酸素濃度1容量%以下の非酸化性雰囲気に切り替え、前記種粒子を成長させる粒子成長工程とを備え、
前記スラリーの固形分密度(g/L)を該スラリーの遠沈沈降体積(cm3/L)で除することによって得られる前記種粒子の遠心沈降密度を0.39g/cm3以下に制御することを特徴とするニッケルマンガン複合水酸化物の製造方法。 - 前記種粒子生成工程の時間は、種粒子生成工程と粒子成長工程の合計の時間の40%以下であることを特徴とする請求項1に記載のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記酸化性雰囲気の酸素濃度が10容量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記非酸化性雰囲気の酸素濃度が、0.5容量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法。
- 一般式:Li1+uNixMnyCozMtO2+α(−0.05≦u≦0.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは添加元素であり、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の元素)で表され、層状構造を有する六方晶系の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られるニッケルマンガン複合水酸化物粒子とリチウム化合物を混合してリチウム混合物を形成する混合工程と、
該混合工程で形成された前記混合物を、酸化性雰囲気中で焼成する焼成工程とを備えることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記混合工程において、該リチウム混合物に含まれるリチウム以外の金属の原子数の和に対するリチウムの原子数との比が0.95〜1.5となるように調整することを特徴とする請求項5に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程において、800℃〜1000℃の温度で焼成することを特徴とする請求項5または6に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程において、焼成前に予め350℃〜800℃の温度、かつ焼成する温度より低い温度で仮焼することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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