JP2018021626A - エアタービン駆動スピンドル - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸を安定して高速回転させることができる。【解決手段】内側カバー部材3の外周面3aに、回転軸1の中心軸に沿った方向において、連通穴部25を挟むように配置された第1の溝33および第2の溝34が形成され、空隙43は、第1の溝33および第2の溝34それぞれに連通し、第1の溝33、および第2の溝34に係合され、弾力性を有し、かつ外側カバー部材5の内周面5aと接触する第1のOリング23および第2のOリング24とをさらに備え、第1の溝33および第2の溝34のそれぞれにおいて、第1の側壁34aから連通穴部25までの距離L1は、第2の側壁から連通穴部25までの距離L2よりも長く、底部34cから第1の側壁34aの上端34eまでの距離H5は、底部34cから第2の側壁34bの上端までの距離よりも短い、エアタービン駆動スピンドル。【選択図】図3

Description

この発明は、精密加工機や静電塗装装置などに適用されるエアタービン駆動スピンドルに関する。
従来、精密加工機や静電塗装装置に用いられるエアタービン駆動スピンドルが知られている。たとえば、特開平9−72338号公報は、回転軸を回転可能に支持するスリーブがハウジング内に保持されているエアタービン駆動スピンドルを開示している。特開平9−72338号公報では、ハウジングに対してスリーブがOリングを介して支持されている。このようなOリングは、通常ゴムなどの弾性体によって構成されている。当該Oリングは、エアタービン駆動スピンドルの回転軸が高速回転することにより発生する振動を吸収し、エアタービン駆動スピンドルの動作を安定させるといった機能を有する。
特開平9−72338号公報
ここで、エアタービン駆動スピンドルが使用される静電塗装装置などは、溶剤雰囲気中で使用されるため、上述したOリングについて耐溶剤性に優れた材料を用いる必要がある。このような耐溶剤性に優れた材料としては、パーフロロエラストマーが知られている。パーフロロエラストマーは耐溶剤性に優れているが、一般的にOリングに用いられるゴム材料に比べて硬度が高い。その結果、当該パーフロロエラストマー製のOリングは外力に対する変形量が一般的なOリングに比べて小さい。このため、回転軸の回転に起因する振動を当該Oリングにより十分に吸収することができず、結果的にスピンドルの回転軸を安定して高速回転させることができない場合があった。
また、上述のようなパーフロロエラストマーに限らず、スピンドルの使用環境に応じてOリングの材質を適宜選択することが考えられる。このような場合に、当該材質の選択の自由度を高める観点から、一般的なOリングの材料より高硬度の材料からなるOリングを用いた場合でも十分に回転軸の回転による振動を吸収でき、回転軸を安定して高速回転させることができるエアタービン駆動スピンドルが求められている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、回転軸を安定して高速回転させることができるエアタービン駆動スピンドルを提供することである。
本発明に係るエアタービン駆動スピンドルは、外周面を有する回転軸と、回転軸の外周面の少なくとも一部を取り囲む内側カバー部材と、内側カバー部材の外周面の少なくとも一部を取り囲む外側カバー部材とを備え、外側カバー部材には、内側カバー部材と外側カバー部材との間で形成される空隙に連なる連通穴部が形成され、内側カバー部材の外周面および外側カバー部材の内側カバー部材と対向する内周面のうちのいずれか一方に、回転軸の中心軸に沿った方向において、連通穴部を挟むように配置された第1の溝および第2の溝が形成され、空隙は、第1の溝および第2の溝それぞれに連通し、連通穴部を介して空隙に気体を供給する供給部と、第1の溝に係合され、弾力性を有し、かつ内側カバー部材の外周面および外側カバー部材の内側カバー部材と対向する内周面のうちのいずれか他方と接触する第1のOリングと、第2の溝に係合され、弾力性を有し、かつ内側カバー部材の外周面および外側カバー部材の内周面のうちのいずれか他方と接触する第2のOリングとをさらに備え、第1の溝および第2の溝のそれぞれは、第1の側壁、第2の側壁、および第1の側壁と第2の側壁とをつなぐ底部を有し、第1の溝および第2の溝のそれぞれにおいて、第1の側壁から連通穴部までの距離は、第2の側壁から連通穴部までの距離よりも長く、底部から第1の側壁の上端までの距離は、底部から第2の側壁の上端までの距離よりも短い、エアタービン駆動スピンドル。
本発明によれば、回転軸を安定して高速回転させることができる。
実施の形態1に係るエアタービン駆動スピンドルの断面模式図である。 実施の形態1の第1の溝部および第2の溝部を示す断面模式図である。 実施の形態1の第2の溝部を示す断面模式図である。 供給部から気体が供給されていないときの参考例の第1の溝部および第2の溝部を示す断面模式図である。 供給部から気体が供給されていないときの参考例の第2の溝部を示す断面模式図である。 供給部から気体が供給されているときの参考例の第1の溝部および第2の溝部を示す断面模式図である。 供給部から気体が供給されているときの参考例の第2の溝部を示す断面模式図である。 第1の変形例の第1の溝部および第2の溝部を示す断面模式図である。 第1の変形例の第2の溝部を示す断面模式図である。 第2の変形例の第1の溝部および第2の溝部を示す断面模式図である。 第2の変形例の第2の溝部を示す断面模式図である。 第3の変形例の第1の溝部および第2の溝部を示す断面模式図である。 第3の変形例の第2の溝部を示す断面模式図である。 実施の形態2に係るエアタービン駆動スピンドルの部分断面模式図である。 実施の形態2の第1の溝部および第2の溝部を示す断面模式図である。 実施の形態3に係るエアタービン駆動スピンドルの断面模式図である。 実施の形態3の第2の溝部を示す断面模式図である。 実施の形態4に係るエアタービン駆動スピンドルの部分断面模式図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
<エアタービン駆動スピンドル200の構成>
図1を参照して、実施の形態1に係るエアタービン駆動スピンドル200を説明する。図1は、エアタービン駆動スピンドル200を説明するための断面模式図である。
エアタービン駆動スピンドル200は、回転軸1と、回転軸1をラジアル方向に支持するジャーナル軸受7と、回転軸1をスラスト方向に支持するスラスト軸受8と、回転軸1をジャーナル軸受7およびスラスト軸受8を介して回転可能に支持するハウジングアッシ2と、ハウジングアッシ2の外周側に位置する外側カバー部材5と、外側カバー部材5とハウジングアッシ2との間に配置された第1のOリング23および第2のOリング24などを含む。
外側カバー部材5には、スラスト方向において回転軸1を覆うようにノズル板6が固定して設けられている。外側カバー部材5は、内側カバー部材3の外周面3aの少なくとも一部を取り囲む。ノズル板6には、駆動用気体供給部が設けられている。ジャーナル軸受7およびスラスト軸受8は、たとえば静圧気体軸受として構成されている。
回転軸1は、円筒形状を有する軸部1bと、当該軸部1bに対しラジアル方向に延びるように形成されているスラスト板部1cとを含む。スラスト板部1cは、軸部1bのスラスト方向における一方の端部に結合されている。以下、スラスト方向においてスラスト板部1cが設けられている側を後側、軸部1bのスラスト方向において後側と反対側を前側という。軸部1bおよびスラスト板部1cには、スラスト方向に延びる貫通孔17が形成されている。スピンドルが静電塗装機用に構成されている場合には、図1に示すように、回転軸1の前側の端部に円錐形のカップ37が取り付けられる。貫通孔17の内部にはカップ37に塗料を供給するための塗料供給管45が配置される。スラスト板部1cには、回転翼15および当該回転翼15の内周側に配置される被回転検出部(図示せず)が形成されている。
回転軸1は、軸部1bの一部がハウジングアッシ2に収容されている。ハウジングアッシ2は、内側カバー部材3と軸受スリーブ4とを含む。軸受スリーブ4は、回転軸1の軸部1bの外周面1aおよびスラスト板部1cの前側の平面の各一部に面しており軸部1bの一部を囲むように形成されている。内側カバー部材3は、ラジアル方向において軸受スリーブ4よりも外周側に配置され、軸受スリーブ4と固定されている。内側カバー部材3は、軸受スリーブ4の外周側から、軸部1bの外周面1aの少なくとも一部を取り囲む。
内側カバー部材3の外周面3aには、第1の溝33と、第2の溝34とが形成される。第1の溝33および第2の溝34は、回転軸1の回転中心軸周りに周回するように内側カバー部材3の外周面3aに形成された環状溝である。第1のOリング23は、第1の溝33に係合される。第2のOリング24は、第2の溝34に係合される。第1のOリング23は、回転軸1のスラスト方向において、軸受スリーブ4の中央より後端側に位置する。第2のOリング24は、回転軸1のスラスト方向において、軸受スリーブ4の中央より前端側に位置する。第1のOリング23および第2のOリング24は、外側カバー部材5の内周面5aと接触する。これにより、第1のOリング23および第2のOリング24は、軸受ユニット(回転軸1およびハウジングアッシ2など)を、外側カバー部材5に対して保持する。第1のOリング23および第2のOリング24により、内側カバー部材3と、外側カバー部材5とが直接接触しない構造とすることができる。
第1のOリング23および第2のOリング24は、共に、弾力性を有する部材である。また、第1のOリング23および第2のOリング24の材料としては、たとえば溶剤に対する耐性が高い材料を用いることが好適である。たとえば当該材料として、パーフロロエラストマーを用いることができる。また、当該材料としては、フッ素ゴムまたはニトリルゴムなど他の材料としてもよい。
図1に示されるように、回転軸1のスラスト板部1cは、ラジアル方向において回転中心軸側(中央側)に位置する領域(厚肉部)と、該厚肉部よりラジアル方向において外側に位置しており、かつスラスト方向における厚みが薄い薄肉部とを有している。厚肉部は貫通孔17を囲むように形成されている。薄肉部は当該厚肉部を囲むように形成されている。
回転翼15は、スラスト板部1cの薄肉部上において、後側に位置する面からスラスト方向に延びるように形成されている。回転軸1は、回転翼15が駆動用気体供給部(図示せず)から噴出された気体を受けることにより回転可能に設けられている。複数の回転翼15は、回転軸1の回転方向に互いに間隔を隔てて設けられている。好ましくは、複数の回転翼15において隣り合う回転翼15は等間隔に設けられている。複数の回転翼15は、スラスト板部1cの外周に沿って配置されている。複数の回転翼15のスラスト方向に垂直な断面形状は任意の形状であればよい。たとえば、当該断面形状は、回転方向において前方に位置して回転方向に凸状に形成されている前方曲面部と、回転方向において後方に位置して回転方向に凸状に形成されている後方曲面部とを有している。
スラスト板部1cの厚肉部において後側の面上には、被回転検出部(図示せず)が形成されている。被回転検出部は、回転軸1の回転を光学的に検出するための任意の構成を採用できるが、たとえば回転方向において分割される複数の領域毎に異なる反射率となるように表面処理が施されていてもよい。具体的には、厚肉部において後側に位置する面のうち、回転軸1の回転方向における半分の領域が他の半分の領域よりもレーザ光などの光が照射されたときに反射光の強度が高くなるように設けられている。
供給部(エアコンプレッサ)100は、軸受気体供給口9から軸受用気体を供給(噴出)する。外側カバー部材5、内側カバー部材3、および軸受スリーブ4には、軸受気体供給路10が形成される。また、外側カバー部材5と内側カバー部材3との間に、空隙43が形成される。軸受気体供給路10と空隙43とは、連通穴部25を通じて、互いに連通している。軸受気体供給路10および空隙43には供給部100から気体が供給される。軸受気体供給路10は、回転軸1のラジアル方向に沿って設けられた部分と、軸受スリーブ4の内部でジャーナル軸受7およびスラスト軸受8に気体を供給するため、回転軸1のスラスト方向およびラジアル方向に沿って設けられた部分とを含む。空隙43は、回転軸1のスラスト方向と平行な方向に設けられる。また、第1の溝33と第2の溝34は、スラスト方向において、連通穴部25を挟むように配置される。
軸部1bと軸受スリーブ4との間には、軸受隙間41が設けられる。スラスト板部1cと軸受スリーブ4との間にも軸受隙間42が設けられる。軸受気体供給路10は、その一方端が外側カバー部材5の外周面上の軸受気体供給口9と連通されており、他方端が軸受隙間41および軸受隙間42に連通されている。軸受気体供給路10において軸受隙間41および軸受隙間42と連通されている部分の孔径は軸受気体供給口9の孔径よりも小さいことによりいわゆる絞りが形成されている。供給部100から気体が供給されると、軸受気体供給路10、空隙43、軸受隙間41、および軸受隙間42に軸受用気体を充填させることができる。なお、軸受気体供給路10に供給された軸受用気体は、連通穴部25を通じて空隙43に供給される。軸受用気体は、たとえば、圧縮空気である。
ジャーナル軸受7は、供給部100から軸受気体供給路10に供給された気体が軸受隙間41に供給されることにより構成される。スラスト軸受8は、供給部100から軸受気体供給路10に供給された気体が軸受隙間42に供給されることによる押圧力と磁石16の吸引力により構成される。
内側カバー部材3には、スラスト板部1cとスラスト方向において対向する領域に磁石16が配置されている。磁石16はスラスト板部1cに対して磁気力を印加する。磁石16は、たとえば永久磁石である。磁石16はスラスト板部1cを磁気力により吸引する。磁石16は、たとえば回転翼15が形成されているスラスト板部1cの薄肉部とスラスト方向において対向するように設けられている。磁石16は、スラスト方向から見たときの平面形状がたとえば円環形状である。
外側カバー部材5は、スラスト方向においてノズル板6と固定されている。ノズル板6は、回転軸1においてハウジングアッシ2および外側カバー部材5に収容されていない部分(スラスト板部1cのラジアル方向における外周端面およびスラスト板部1cの後側に位置する面)を囲むように形成されている。
ノズル板6は、回転軸1よりも後側に配置されている。ノズル板6の内部には、駆動用給気路13および駆動用給気ノズル14が形成されている。駆動用給気路13および駆動用給気ノズル14は、回転翼15に駆動用気体を供給するための流通路である。駆動用気体は、たとえば圧縮空気である。駆動用気体給気口12から駆動用気体を供給する駆動用気体供給部は、供給部100と兼用するようにしてもよいし、供給部100とは異なるものであってもよい。
駆動用給気ノズル14は、回転翼15に対し、ラジアル方向において回転軸1の外側から内側に向かって駆動用気体を噴出可能に設けられている。駆動用給気路13および駆動用給気ノズル14は、回転方向において互いに間隔を隔てて複数形成されていてもよい。つまり、駆動用給気路13および駆動用給気ノズル14は、回転方向に任意の間隔を隔てて設けられている回転翼15に対して、同一の回転方向に同時に駆動用気体を供給可能に設けられていてもよい。
ノズル板6には、貫通孔17よりもラジアル方向の外周側に回転センサ挿入口18が形成されている。回転センサ挿入口18は、スラスト板部1cに設置された被回転検出部とスラスト方向において対向するように形成されている。回転センサ挿入口18は、被回転検出部に対してレーザ光などの光を照射し、反射光を得るための回転センサを配置するために形成されている。このような構成を備えることにより、エアタービン駆動スピンドル200は、回転軸1の回転数を光学的に測定することができる。
排気孔11は、ノズル板6において、駆動用給気路13および駆動用給気ノズル14よりもラジアル方向における中央側に形成されている。排気孔11は、排気空間20からノズル板6の外部に連通するように形成されている。
次に、図2を参照して、第1の溝33、および第2の溝34を説明する。図2は、第1の溝33、および第2の溝34を説明するための断面模式図である。図2は、第1の溝33、および第2の溝34の拡大図である。図2に示すように、第1の溝33、および第2の溝34は、空隙43と連通している。
図2に示すように、弾力性を有する第1のOリング23、および弾力性を有する第2のOリング24は、外側カバー部材5の内周面5aと接触している。内周面5aは、内側カバー部材3と対向している。エアタービン駆動スピンドル200が作動することにより、回転軸1の先端側にカップ37などが装着されて回転したときに当該先端側での振れ回りにより振動が発生する。該振動は、回転軸1が1回転することにより、1回発生する。該振動が発生したときであっても、第1のOリング23および第2のOリング24が変形することにより、第1のOリング23および第2のOリング24が該振動を吸収できる。このように、第1のOリング23および第2のOリング24は減衰性能を有する。
第1のOリング23および第2のOリング24の双方は、外側カバー部材5の内周面5aに押し当てられて変形するように、設置される。これにより、供給部100から供給された軸受用気体を空隙43内で密封できることから、軸受用気体を当該空隙43から外部に漏らさないようにすることができる。また、第1のOリング23および第2のOリング24の双方は、軸受用気体を外部に漏らさないようにすることから、シール(密封)性能も有する。
次に、図3を参照して、第2のOリング24および第2の溝34を説明する。図3は、第2のOリング24および第2の溝34を説明するための断面模式図であり、図2の第2のOリング24および第2の溝34の箇所を拡大した図である。第2の溝34は、第1の側壁34a、第2の側壁34b、底部34c(底面)、面取部34dおよび頂部34eを含む。図2に示すように、連通穴部25から第1の側壁34aまでの距離L1は、連通穴部25から第2の側壁までの距離L2よりも長い。換言すれば、供給部100により気体が供給されたときにおいて、該気体の流れ(図3の矢印α参照)の下流側の側壁が、第1の側壁34aとなり、該気体の流れの上流側の側壁が、第2の側壁34bとなる。
底部34cから第1の側壁34aの上端(頂部34e)までの高さH5は、底部34cから第2の側壁34bの上端までの高さH4よりも低い。このように、高さH5を高さH4よりも低くするために、本実施形態では、第1の側壁34aの上端に連なる面取部34dが形成される。図3の例では、面取部34dはテーパ面である。該テーパ面が形成されることにより、空間Aが形成される。
図3の距離H2は、ラジアル方向において、第2のOリング122が他部品(内側カバー部材3)と接触していない範囲(距離)を示す。換言すると、距離H2は、第1の側壁34aのうち外側カバー部材5の内周面5aと最も近い箇所(つまり、頂部34e)から外側カバー部材5の内周面5aまでの距離でもある。距離H3は、底部34cから外側カバー部材5の内周面5aまでの距離を示す。図2に示すように、第1の溝33についても、第2の溝34と同様の構造を有する。
<エアタービン駆動スピンドル200の動作>
次に、本実施の形態に係るエアタービン駆動スピンドル200の動作について説明する。
エアタービン駆動スピンドル200が動作するときには、駆動用気体供給部は、駆動用気体を供給する。駆動用気体供給部から供給された駆動用気体は、駆動用気体給気口12から駆動用給気路13を通じて駆動用給気ノズル14に供給される。駆動用給気ノズル14に供給された駆動用気体は、回転軸1のスラスト板部1cの回転翼15に向けて、スラスト板部1cの接線方向(回転方向)とほぼ平行な方向に沿って噴出される。回転翼15は噴出された駆動用気体を後方曲面部において受ける。このとき、回転翼15に噴出された駆動用気体は後方曲面部の外周側に到達し、後方曲面部に沿って流れることで向きを変えられ、排気空間20を経由して排気孔11から外部に排気される。回転翼15には駆動用気体に与えた力の反力が作用し、回転軸1のスラスト板部1cは回転トルクを与えられる。これにより、回転軸1は回転方向に沿って回転する。回転軸1の回転数は、たとえば数万rpm以上とすることができる。つまり、上述したエアタービン駆動スピンドル200は、たとえば静電塗装機用スピンドルに好適である。
エアタービン駆動スピンドル200が動作するときには、供給部100が軸受用気体を軸受気体供給口9から供給する。該軸受用気体は、軸受気体供給路10、および連通穴部25を介して、矢印αの向き(図3参照)で空隙43に供給される。空隙43に軸受用気体が供給されると、図2および図3に示すように、第2のOリング24は、該軸受用気体(圧縮空気)の影響により圧力の低い側(連通穴部25から離れる方向)に押し出される。第2のOリング24が、上記圧力の低い側に押し出されると、第2のOリング24は、第1の側壁34aに押しつけられる(圧接される)ことにより変形する。そうすると、第2のOリング24の一部分24aが、該一部分24aの表面が拘束されず弾性力を有した状態で空間Aに移動する。
つまり、第2のOリング24が第1の側壁34aに圧接された状態であっても、第1の側壁34aの高さH5が高さH4よりも相対的に低くなっているので、表面が拘束されておらず比較的自由に変形できる一部分24aの体積を十分に大きくできる。したがって、軸受用気体が、空隙43に供給されても一部分24aの存在により第2のOリング24の弾性ストロークが確保されることで、第2のOリング24の減衰性能が確保される。
<作用効果>
図4〜図7を参照して、エアタービン駆動スピンドルの参考例を説明する。図4〜図7は、エアタービン駆動スピンドルの参考例の第1の溝131、および第2の溝132などを説明するための断面模式図である。第1のOリング121は、第1の溝131に係合され、第2のOリング122は、第2の溝132に係合される。なお、参考例に係るエアタービン駆動スピンドルの構成は、第1の溝131および第2の溝132の断面形状以外は、図1で説明したエアタービン駆動スピンドル200と同様である。
図4は、供給部100から空隙43に軸受用気体が供給されていない状態を示したものであり、図5は、第2のOリング122などの拡大図を示すものである。図6は、供給部100から空隙43に軸受用気体が供給されている状態を示したものであり、図7は、第2のOリング122などの拡大図を示すものである。図5および図7の距離H1は、第2のOリング122において外側カバー部材5と内側カバー部材3との間において、他部品(内側カバー部材3)と接触していない範囲のラジアル方向での長さを示す。この範囲は、表面が他部品に拘束されず、比較的自由に変形できることから、第2のOリング122の弾性力を有する範囲である。
図5に示すように、第2のOリング122が係合されている第2の溝132の双方の側壁132a、132bの高さは同じである。したがって、供給部100から空隙43に軸受用気体が供給されたときには、本実施形態に係るエアタービン駆動スピンドル200と比較して、図5および図7に示すように、距離H1の減少量が大きい。距離H1の減少量は、「空隙43に軸受用気体が供給されていないときの距離H1の値(図5参照)」から、「空隙43に軸受用気体が供給されたときの距離H1の値(図7参照)」を差し引いた値である。このように、距離H1の減少量が大きいことから、図7に示す軸受用気体が供給されたときでの距離H1は小さくなっているので、第2のOリング122の弾性ストロークが小さくなる。したがって、参考例のエアタービン駆動スピンドルでは、供給部100から軸受用気体が供給されると、エアタービン駆動スピンドルの減衰性能は、軸受用気体が供給されない場合より劣化する。
これに対し、本実施形態のエアタービン駆動スピンドル200では、図3に示すように、第1の側壁34aの高さH5は、第2の側壁34bの高さH4よりも低い。したがって、供給部100から軸受用気体が空隙43に供給されたときには、図3に示すように、参考例のエアタービン駆動スピンドルと比較して、第2のOリング24の弾性ストロークを構成する一部分24aの大きさに対応する距離H2を距離H1(図7参照)よりも大きい状態とすることができる。つまり、距離H2の減少量を低減させることができる。ここで、距離H2の減少量とは、「空隙43に軸受用気体が供給されていないときの距離H2」から「空隙43に軸受用気体が供給されたときの距離H2」の差分である。これにより、第2のOリング24の弾性ストロークの低減量を削減できることから、軸受用気体が供給された場合において、エアタービン駆動スピンドルの減衰性能の劣化を抑制できる。
<第1の変形例>
次に、図8および図9を参照して、図1に示した第1の溝33および第2の溝34の第1の変形例である第1の溝331、および第2の溝341を説明する。図8は、第1の溝331、および第2の溝341を説明するための断面模式図である。図9は、第2の溝341の拡大図を示すものである。第2の溝341は、第1の側壁341a、第2の側壁341b、底部341c(底面)、切欠部341d、および頂部341eを含む。
図8および図9に示した第1の溝331および第2の溝341を有する本実施形態の第1の変形例に係るエアタービン駆動スピンドルは、上記以外の構成については、図1〜図3に示したエアタービン駆動スピンドルと同様である。
図8および図9に示した第2の溝341と、図1〜図3に示した第2の溝34とが異なる点は、第2の溝34は面取部34dを含むのに対し、第2の溝341は切欠部(段部)341dを含む点である。このように、第2の溝341は、第1の側壁341aの上端に連なる切欠部341dを含む。この切欠部341dが形成されることにより、第1の側壁341aの高さH5は、第2の側壁341bの高さH4よりも低くなる。また、切欠部341dが形成されることにより、頂部341eが形成される。頂部341eから外側カバー部材5の内周面5aまでの距離を距離H2とする。このような構成であっても、空隙43に軸受用気体が供給されたときに、第2のOリング24の一部分24aが、該一部分24aの表面を拘束されず弾性力を有した状態で移動する空間Bを形成できる。したがって、図8および図9に示したエアタービン駆動スピンドルは、図1〜図3に示した本実施形態に係るエアタービン駆動スピンドルと同様の効果を奏する。
<第2の変形例>
次に、図10および図11を参照して、第1の溝33および第2の溝34の第2の変形例である第1の溝332および第2の溝342を説明する。図10は、第1の溝332、および第2の溝342を説明するための断面模式図である。図11は、第2の溝342の拡大図を示すものである。第2の溝342は、第1の側壁342a、第2の側壁342b、底部342c(底面)、および頂部342eを含む。
図10および図11に示した第1の溝332および第2の溝342を有する本実施形態の第2の変形例に係るエアタービン駆動スピンドルは、上記以外の構成については、図1〜図3に示したエアタービン駆動スピンドルと同様である。
第2の変形例の第1の溝332および第2の溝342は、以下のような構造を有する。以下では、内側カバー部材3の外周面のうち、第1の側壁342a近傍の領域を第1領域3bとし、第2の側壁342b近傍の領域を第2領域3cとする。第2の変形例では、第1領域3bと底部342cとのラジアル方向での最短距離P1は、第2領域3cと底部342cとのラジアル方向での最短距離P2よりも短い。また、P1=H5であり、P2=H4となる。また、頂部342eから外側カバー部材5の内周面5aまでの距離を距離H2とする。第1の側壁341aの高さH5は、第2の側壁341bの高さH4よりも低くなる。このような構成であっても、空隙43に軸受用気体が供給されたときに、第2のOリング24の一部分24aが、該一部分24aの表面が拘束されず弾性力を有した状態で移動する空間Cを形成できる。したがって、図10および図11に示したエアタービン駆動スピンドルは、図1〜図3に示した本実施形態に係るエアタービン駆動スピンドルと同様の効果を奏する。
<第3の変形例>
次に、図12および図13を参照して、第1の溝33および第2の溝34の第3の変形例である第1の溝333、および第2の溝343を説明する。図12は、第1の溝333、および第2の溝343を説明するための断面模式図である。図13は、第2の溝343の拡大図を示すものである。第2の溝343は、第1の側壁343a、第2の側壁343b、底部343c(底面)、面取部343d、および頂部343eを含む。
図12および図13に示した第1の溝333、および第2の溝343を有する本実施形態の第2の変形例に係るエアタービン駆動スピンドルは、上記以外の構成については、図1〜図3に示したエアタービン駆動スピンドルと同様である。
図3に示した本実施形態の面取部34dは、テーパ面(平面)であるとしたが、第3の変形例の面取部343dは、図13に示すように曲面状の形状を有する。図13に示すように、面取部343dは、外側に膨らんだ形状であることが好ましい。面取部343dが形成されることにより、頂部343eが形成される。頂部343eから外側カバー部材5の内周面5aまでの距離を距離H2とする。このような構成であっても、空隙43に軸受用気体が供給されたときに、第2のOリング24の一部分24aが、該一部分24aの表面が拘束されず弾性力を有した状態で移動する空間Dを形成できる。したがって、図12および図13に示したエアタービン駆動スピンドルは、図1〜図3に示した本実施形態に係るエアタービン駆動スピンドルと同様の効果を奏する。なお、面取部343dのさらなる変形例として、面取部343dは、回転軸1方向にへこんだ形状であってもよい。
<距離H2の範囲などについて>
次に、本実施形態、および第1〜第3の変形例で説明した距離H2の好ましい範囲について説明する。エアタービン駆動スピンドル200が、たとえば、静電塗装機用に用いられるサイズである場合には、距離H2は、0.5mm≦H2≦(H3)/2という条件を満足することが好ましい。距離H2の値をこのような範囲内の値とすることで、エアタービン駆動スピンドル200を安定して作動させることができる。
また、第1の側壁34aの高さH5は、第2のOリング24の断面の半径以上としてもよい。これにより、供給部100から軸受用気体が供給されたときに、エアタービン駆動スピンドルの減衰性能の劣化を抑制できるとともに、第2のOリング24が第2の溝34から逸脱しないようにすることができる。
(実施の形態2)
<エアタービン駆動スピンドルの構成>
次に、図14および図15を参照して、実施の形態2に係るエアタービン駆動スピンドル300を説明する。図14は、エアタービン駆動スピンドル300を説明するための断面模式図であり、エアタービン駆動スピンドル300の上半分を示したものである。
実施の形態1では、2本のOリング(第1のOリング23および第2のOリング24)を用いているが、実施の形態2では、該2本のOリングの他に、さらに2本のOリングを用いる。
実施の形態2では、内側カバー部材3の外周面3aに、第1の溝33および第2の溝34の他に、第3の溝133および第4の溝134が形成される。第3の溝133および第4の溝134は、スラスト方向において、第1の溝33および第2の溝34を挟むように形成される。第3の溝133および第4の溝134は、回転軸1の回転中心軸周りに周回するように内側カバー部材3の外周面3aに形成された環状溝である。第3の溝133には、第3のOリング123が係合される。第4の溝134には、第4のOリング124が係合される。
図14および図15に示した実施の形態2に係るエアタービン駆動スピンドルは、上記以外の構成については、図1〜図3に示したエアタービン駆動スピンドルと同様である。
実施の形態1の第1のOリング23および第2のOリング24は、減衰性能とシール性能を持たせるものであった。実施の形態2では、第1のOリング23および第2のOリング24には、シール性能および減衰性能を持たせる一方、第3のOリング123および第4のOリング124には、シール性能ではなく、減衰性能を主な特性として持たせる。
第1の溝33および第2の溝34の形状としては、本実施形態、および第1〜第3の変形例で説明した形状のうちのいずれかが採用される。これにより、第1のOリング23および第2のOリング24のシール性能および減衰性能を担保できる。また、第3の溝133および第4の溝134については、本実施形態、および第1〜第3の変形例で説明した形状のうちのいずれを採用するようにしてもよく、参考例で説明した形状でもよい。参考例で説明した形状とは、溝の双方の側壁の高さが同じ形状である。
第1のOリング23および第2のOリング24は、シール性能を有することから、供給部100が空隙43に気体を供給したとしても、第3の溝133および第4の溝134までは、この気体は供給されない(届かない)。したがって、第3のOリング123および第4のOリング124が当該気体に押圧されて溝の側壁に押しつけられることはない。よって、第3のOリング123および第4のOリング124の減衰性能が低下されることはない。
回転軸1が回転すると、第1のOリング23および第2のOリング24が回転軸1の重心29付近に設置されていることから、第1のOリング23および第2のOリング24を中心としたすりこぎ運動により振動が発生し得る。また、第3のOリング123は、エアタービン駆動スピンドル300の後方に設置され、第4のOリング124は、エアタービン駆動スピンドル300の前方に設置される。したがって、第3のOリング123および第4のOリング124の設置個所では、このすりこぎ運動の運動エネルギーが大きくなる。上述のように、供給部100が気体を供給したとしても、第3のOリング123および第4のOリング124の減衰性能は低下しないことから、このすりこぎ運動による振動を第3のOリング123および第4のOリング124により十分に吸収することができる。
このように、第1のOリング23と第2のOリング24、および第3のOリング123と第4のOリング124で、役割を分けることで、それぞれの性能を十分に発揮させることができる。
(実施の形態3)
<エアタービン駆動スピンドルの構成>
次に、図16を参照して、実施の形態3に係るエアタービン駆動スピンドル500を説明する。図16は、エアタービン駆動スピンドル500を説明するための断面模式図である。
実施の形態1(図1参照)では、内側カバー部材3に、第1の溝33と、第2の溝34とが形成される。実施の形態3では、外側カバー部材505の内周面505aに第1の溝533と、第2の溝534とが形成され、内側カバー部材503には、溝は形成されない。
図17は、第1の溝533、および第2の溝534を説明するための断面模式図である。図17は、第1の溝533、および第2の溝534の拡大図である。
第1のOリング23は、第1の溝533に係合される。第2のOリング24は、第2の溝534に係合される。第1の溝533、および第2の溝534は、空隙43と連通している。第1のOリング23は、内側カバー部材503の外周面503aと接触する。第2のOリング24は、内側カバー部材503の外周面503aと接触する。図17の第1の溝533、および第2の溝534の形状は、図2および図3に示した第1の溝33、および第2の溝34の形状と同一である。
また、第1の溝533、および第2の溝534の形状は、第1〜第3の変形例で説明した溝の形状のうちのいずれかが採用されるようにしてもよい。図16および図17に示した実施の形態3に係るエアタービン駆動スピンドル500は、上記以外の構成については、図1〜図3に示したエアタービン駆動スピンドル200と同様である。エアタービン駆動スピンドル500は、エアタービン駆動スピンドル200と同様の効果を奏する。
(実施の形態4)
次に、図18を参照して、実施の形態4に係るエアタービン駆動スピンドル600を説明する。図18は、エアタービン駆動スピンドル600を説明するための断面模式図であり、エアタービン駆動スピンドル600の上半分を示したものである。
実施の形態3では、2本のOリング(第1のOリング23および第2のOリング24)を用いているが、実施の形態4では、該2本のOリングの他に、さらに2本のOリングを用いる。
実施の形態4では、外側カバー部材605に、第1の溝533および第2の溝534の他に、第3の溝633および第4の溝634が形成される。第3の溝633および第4の溝634は、スラスト方向において、第1の溝533および第2の溝534を挟むように形成される。第3の溝633および第4の溝634は、回転軸1の回転中心軸周りに周回するように外側カバー部材605に形成された環状溝である。第3の溝633には、第3のOリング123が係合される。第4の溝634には、第4のOリング124が係合される。また、第1の溝533、および第2の溝534の形状は、第1〜第3の変形例で説明した形状のうちのいずれかが採用されるようにしてもよい。図18に示した実施の形態4に係るエアタービン駆動スピンドルは、上記以外の構成については、図1〜図3に示したエアタービン駆動スピンドルと同様である。エアタービン駆動スピンドル600は、エアタービン駆動スピンドル300と同様の効果を奏する。
また、実施の形態4において、第1の溝533および第2の溝534を、内側カバー部材603の外周面および外側カバー部材605の内周面のうちのいずれか一方に形成する一方、第3の溝633および第4の溝634を、内側カバー部材603の外周面および外側カバー部材605の内周面のうちのいずれか他方に形成するようにしてもよい。
<Oリングの材質>
第1のOリング23および第2のOリング24と、第3のOリング123および第4のOリング124とは、それぞれ材質が異なるようにしてもよい。これにより、材質の選択の自由度が向上する。第3のOリング123および第4のOリング124が設置されていることから、第1のOリング23および第2のOリング24を極力、外気に触れさせないようにすることができる。したがって、第1のOリング23および第2のOリング24については、外気に含まれる溶剤を考慮した耐溶剤性を持たせる必要はない。よって、第1のOリング23および第2のOリング24については、たとえば、耐溶剤性にとらわれず、第3のOリング123および第4のOリング124よりも減衰性能の高い材料を用いたOリングとすることが好ましい。減衰性能の高い材料とは、たとえば、ニトリルゴムまたはフッ素ゴムなどである。なお、第3のOリング123および第4のOリング124は、外気と触れることから、第1のOリング23および第2のOリング24よりも耐溶剤性の高い材料からなるOリングであることが好ましい。
<つぶし代>
次に、第3のOリング123のつぶし代x3および第4のOリング124のつぶし代x4の好ましい値について説明する。第3のOリング123の無負荷状態、つまり、第3の溝133に係合されていない状態(第3のOリング123が変形していない状態)での第3のOリング123の断面の直径をd3とする。第4のOリング124の無負荷状態、つまり、第4の溝134に係合されていない状態(第4のOリング124が変形していない状態)での第4のOリング124の断面の直径をd4とする。
また、第3の溝133の底部から外側カバー部材5の内周面5aまでの距離m3とし、第4の溝134の底部から外側カバー部材5の内周面5aまでの距離m4とする。第3の溝133の形状を、たとえば図3に示す溝の形状とした場合には、m3=H3となる。同様に第4の溝134の形状を、たとえば図3に示す溝の形状とした場合には、m4=H3となる。
このような場合において、第3のOリング123のつぶし代x3は、たとえば、x3=d3−m3と表される。第4のOリング124のつぶし代x4は、たとえば、x4=d4−m4と表される。
つぶし代については、JIS規格やメーカの仕様などにより規定されている規定値が存在する。たとえば、Oリングの断面の直径が2mmである場合には、つぶし代の規定値の下限は0.3mmであると規定されている。
ここで、第3のOリング123および第4のOリング124は、シール性能を持たせることが必須でないことから、つぶし代は、規定値よりも小さくなるようにしてもよい。たとえば、つぶし代x3およびつぶし代x4は、0.3mm未満としてもよい。
また、「0.3mm未満」とは、「0」としてもよく、「−(マイナス)」としてもよいことをいう。つまり、x3およびx4は、0としてもよく、「−(マイナス)」としてもよい。x3およびx4が0であるとは、第3のOリング123および第4のOリング124が、それぞれ、第3の溝133、および第4の溝134に係合されたときに、第3のOリング123および第4のOリング124が変形することなく、外側カバー部材5の内周面5aに丁度、接触することをいう。つまり、x3およびx4が0であるとは、d3=m3であり、d4=m4であることをいう。
また、「x3およびx4がマイナスである」とは、第3のOリング123および第4のOリング124が、それぞれ、第3の溝133、および第4の溝134に係合されたときに、第3のOリング123および第4のOリング124が外側カバー部材5の内周面5aに接触しないことをいう。x3およびx4がマイナスであるとは、d3<m3であり、d4<m4であることをいう。ただし、「x3およびx4がマイナスである」とした場合において、第3のOリング123および第4のOリング124が、第3の溝133、および第4の溝134に係合されたときには、第3のOリング123が第3の溝133から突出し、第4のOリング124が第4の溝134から突出されることが好ましい。このように突出しないと、外側カバー部材5と、内側カバー部材3とが接触するため、第3のOリング123および第4のOリング124に最低限の減衰性能を持たせることができないからである。
このように、つぶし代を規定値よりも小さくすることにより、第3のOリング123および第4のOリング124について、内側カバー部材3が外側カバー部材5に対して変位した場合での弾性変形量を大きくできる。したがって、第3のOリング123および第4のOリング124により、回転軸1の回転に起因する振動を吸収することができる。
また、距離m3、距離m4、直径d3、および直径d4についての関係式は、たとえば、距離m3は、直径d3から0.3mmを差し引いた値より大きい値としてもよい。また、距離m4は、直径d4から0.3mmを差し引いた値より大きい値としてもよい。
また、上記の説明では、Oリングの数は2個、または4個である例を説明した。しかしながら、Oリングの数は3個以上としてもよい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
本発明は、静電塗装装置などに用いられるエアタービン駆動スピンドルに特に有利に適用される。
1 回転軸、1a,3a 外周面、1b 軸部、1c スラスト板部、2 ハウジングアッシ、3 内側カバー部材、3b 第1領域、3c 第2領域、4 軸受スリーブ、5 外側カバー部材、5a 内周面、6 ノズル板、7 ジャーナル軸受、8 スラスト軸受、9 軸受気体供給口、10 軸受気体供給路、11 排気孔、12 駆動用気体給気口、13 駆動用給気路、14 駆動用給気ノズル、15 回転翼、16 磁石、17 貫通孔、18 回転センサ挿入口、20 排気空間。

Claims (9)

  1. 外周面を有する回転軸と、
    前記回転軸の前記外周面の少なくとも一部を取り囲む内側カバー部材と、
    前記内側カバー部材の外周面の少なくとも一部を取り囲む外側カバー部材とを備え、
    前記外側カバー部材には、前記内側カバー部材と前記外側カバー部材との間で形成される空隙に連なる連通穴部が形成され、
    前記内側カバー部材の前記外周面および前記外側カバー部材の前記内側カバー部材と対向する内周面のうちのいずれか一方に、前記回転軸の中心軸に沿った方向において、前記連通穴部を挟むように配置された第1の溝および第2の溝が形成され、
    前記空隙は、前記第1の溝および前記第2の溝それぞれに連通し、
    前記連通穴部を介して前記空隙に気体を供給する供給部と、
    前記第1の溝に係合され、弾力性を有し、かつ前記内側カバー部材の前記外周面および前記外側カバー部材の前記内周面のうちのいずれか他方と接触する第1のOリングと、
    前記第2の溝に係合され、弾力性を有し、かつ前記内側カバー部材の前記外周面および前記外側カバー部材の前記内周面のうちのいずれか他方と接触する第2のOリングとをさらに備え、
    前記第1の溝および前記第2の溝のそれぞれは、第1の側壁、第2の側壁、および前記第1の側壁と前記第2の側壁とをつなぐ底部を有し、
    前記第1の溝および前記第2の溝のそれぞれにおいて、前記第1の側壁から前記連通穴部までの距離は、前記第2の側壁から前記連通穴部までの距離よりも長く、
    前記底部から前記第1の側壁の上端までの距離は、前記底部から前記第2の側壁の上端までの距離よりも短い、エアタービン駆動スピンドル。
  2. 前記第1の溝および前記第2の溝のそれぞれは、前記第1の側壁の前記上端に連なる面取部を含む、請求項1記載のエアタービン駆動スピンドル。
  3. 前記第1の溝および前記第2の溝のそれぞれは、前記第1の側壁の前記上端に連なる切欠部を含む、請求項1記載のエアタービン駆動スピンドル。
  4. 前記第1の溝および前記第2の溝のそれぞれの前記第1の側壁の前記上端から、前記内側カバー部材の前記外周面および前記外側カバー部材の前記内周面のうちのいずれか他方までの距離は、
    0.5mm以上であり、前記第1の溝および前記第2の溝のそれぞれの前記底部から前記内側カバー部材の前記外周面および前記外側カバー部材の前記内周面のうちのいずれか他方までの距離の半分以下である、請求項1〜3いずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル。
  5. 前記内側カバー部材の前記外周面および前記外側カバー部材の前記内側カバー部材の前記内周面のうちのいずれか一方に、前記回転軸の中心軸に沿った方向において、前記第1の溝および前記第2の溝を挟むように配置された第3の溝および第4の溝が形成され、
    前記第3の溝に係合され、かつ前記内側カバー部材の前記外周面および前記外側カバー部材の前記内周面のうちのいずれか他方と接触する第3のOリングと、
    前記第4の溝に係合され、かつ前記内側カバー部材の前記外周面および前記外側カバー部材の前記内周面のうちのいずれか他方と接触する第4のOリングとをさらに備える、請求項1〜4いずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル。
  6. 前記第1のOリングおよび前記第2のOリングを構成する材料は、前記第3のOリングおよび前記第4のOリングを構成する材料と異なる、請求項5に記載のエアタービン駆動スピンドル。
  7. 前記第3のOリングの無負荷状態での直径から、前記第3の溝の前記底部から前記外側カバー部材の表面までの距離を引いた値は0.3mm未満であり、
    前記第4のOリングの無負荷状態での直径から、前記第4の溝の前記底部から前記外側カバー部材の表面までの距離を引いた値は0.3mm未満である、請求項5または6に記載のエアタービン駆動スピンドル。
  8. 前記第1の溝および前記第2の溝のそれぞれは、前記内側カバー部材の前記外周面に形成され、
    前記第1のOリングおよび前記第2のOリングのそれぞれは、前記外側カバー部材の前記内周面と接触する、請求項1〜7いずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル。
  9. 前記第1の溝および前記第2の溝のそれぞれは、前記外側カバー部材の前記内周面に形成され、
    前記第1のOリングおよび前記第2のOリングのそれぞれは、前記内側カバー部材の前記外周面と接触する、請求項1〜7いずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル。
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