この発明に係る眼内レンズシステムの実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。この発明に係る眼内レンズシステムは、眼内に配置され焦点距離(焦点位置)の変更が可能に構成されたレンズを備え、眼内に入射した光のエネルギーから変換された電気エネルギーを受けてレンズの焦点距離が変更される。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
〈第1の実施形態〉
[構成]
図1は、第1の実施形態に係る眼内レンズシステムの構成の一例の機能ブロック図を表す。眼内レンズシステム100は、アルバレツレンズ110と、透過型太陽電池130と、第1検知部140と、駆動部150とを備えている。眼内レンズシステム100は、たとえば公知の超音波水晶体乳化吸引術により水晶体が取り出された水晶体嚢内に配置される。なお、図1では、光の経路は、破線で示す矢印で表され、実線で示すそれ以外(電気信号など)の経路と区別して表されている。
アルバレツレンズ110は、少なくとも焦点距離の変更が可能に構成された焦点可変レンズである。透過型太陽電池130は、眼内(水晶体嚢内)に入射した光の一部を透過させ、他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換する。第1検知部140は、毛様体の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知する。毛様体を運動させるための生体信号は、たとえば脳から神経を介して毛様体に送られる信号を含む。第1検知部140は、外部からの電源供給が必要な場合、透過型太陽電池130により得られた電気エネルギーを受けて動作する。駆動部150は、透過型太陽電池130により得られた電気エネルギーを受けて動作し、第1検知部140により得られた検知結果に基づいてアルバレツレンズ110の焦点距離を変更する。この実施形態では、第1検知部140により得られた検知結果が駆動部150を制御する駆動制御信号となるように、第1検知部140及び駆動部150がハードウェア(回路など)により構成されている。以下、「通過」は「透過」の意味を含むものとし、この明細書では、「通過」を「透過」と同一視して用いることがある。また、この明細書では、「電気エネルギー」と「電力」とを同一視して用いることがある。
透過型太陽電池130と第1検知部140との間に、透過型太陽電池130により発生された電力(電気エネルギー)を供給するための電源線が接続される。また、透過型太陽電池130と駆動部150との間に、透過型太陽電池130により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、第1検知部140と駆動部150との間に、駆動部150を駆動する駆動信号を供給するための信号線が接続される。
この実施形態では、水晶体嚢内において、アルバレツレンズ110が眼内に入射した光を透過させ、透過型太陽電池130がアルバレツレンズ110を透過する光のエネルギーを電気エネルギーに変換する。すなわち、角膜側にアルバレツレンズ110が配置され、眼底側に透過型太陽電池130が配置される。
(アルバレツレンズ、駆動部)
アルバレツレンズ110は、一対の光学素子111、112を有しており、光学素子111、112の相対的な移動により球面度数を変化させることができるようになっている。すなわち、アルバレツレンズ110は、光学素子111、112の相対的な移動により焦点距離の変更が可能に構成される。
図2は、第1の実施形態に係るアルバレツレンズ110の説明図を表す。図2において、水平方向をx方向とし、垂直方向をy方向とし、眼底方向をz方向としている。アルバレツレンズ110の所定の軸O上に、光学素子111、112が配置される。光学素子111、112のそれぞれは、互いに対向する面の形状が公知の3次元曲面により形成される。
軸Oに平行な方向をz方向とする。軸Oに直交するxy平面(図2参照)内でy方向(上下方向)に光学素子111、112を相対的に移動させることにより、光学素子111、112を光学的に合成して得られる屈折力(球面度数)を連続的に変化させることができる。図2では、光学素子111が下方向(−y方向)に移動され、光学素子112が上方向(+y方向)に移動される。
図3及び図4は、第1の実施形態に係るアルバレツレンズ110の断面図の一例を表す。図3は、図2のアルバレツレンズ110をK方向からみたときの軸Oを通る垂直断面図を模式的に表したものである。図4は、図3のL−L線に沿った断面図の一例を表す。
アルバレツレンズ110を構成する光学素子111、112は、所定の透過率を有する空気などの媒体が充填される外囲器113内に収納される。この媒体は、空気以外の気体、液体、又は粘性を有する固体であってもよい。外囲器113には、第1主面側(外部)からの光を外囲器113の内部に透過させる透明部材113aと、外囲器113の内部の光を第1主面と反対側の第2主面側(眼内)に透過させる透明部材113bとが設けられている。光学素子111、112は、外囲器113の内部において透明部材113a、113bの間に配置される。
外囲器113の内部には、光学素子111、112を上下方向(図2のy方向)に相対的に移動させる超音波リニアモータ114a〜114dが設けられる。この実施形態では、超音波リニアモータ114a〜114dが駆動部150を構成する。
外囲器113には、左右に側壁部115a、115bが設けられている。側壁部115aには、上下方向に延びるガイド溝116a、117aが形成されている。側壁部115bには、ガイド溝116a、117aに対応して上下方向に延びるガイド溝116b、117bが形成されている。ガイド溝116aには、超音波リニアモータ114aが設けられている。ガイド溝116bには、超音波リニアモータ114bが設けられている。
超音波リニアモータ114a、114bのそれぞれは、圧電素子アレイ118aと、固定子としての振動体119aと、可動子120aとを備えている。圧電素子アレイ118aは、たとえば、電極と圧電素子とを交互に接続して直線状に形成される。振動体119aは、たとえば、圧電素子アレイ118aとは反対側に多数の歯が長手方向に配列され、圧電素子アレイ118aにより振動駆動される。可動子120aは、振動体119aの多数の歯に摩擦により係合する。圧電素子アレイ118aは、振動体119aに固定される。ガイド溝116a、116bの可動子120a、120aは、光学素子111の両側に固定される。
同様に、ガイド溝117aには、超音波リニアモータ114cが設けられている。ガイド溝117bには、超音波リニアモータ114dが設けられている。
超音波リニアモータ114c、114dのそれぞれは、圧電素子アレイ118bと、固定子としての振動体119bと、可動子120bとを備えている。圧電素子アレイ118bは、たとえば、電極と圧電素子とを交互に接続して直線状に形成される。振動体119bは、たとえば、圧電素子アレイ118bとは反対側に多数の歯が長手方向に配列され、圧電素子アレイ118bにより振動駆動される。可動子120bは、振動体119bの多数の歯に摩擦により係合する。圧電素子アレイ118bは、振動体119bに固定される。ガイド溝117a、117bの可動子120b、120bは、光学素子112の両側に固定される。
図3及び図4に示す構成において、圧電素子アレイ118aの各電極に印加される電圧を制御することにより、振動体119aの歯側に発生される屈曲定在波振動の位相が変更される。これにより、振動体119aが可動子120aを上方又は下方に移動させる。このような超音波リニアモータ114a、114bの構造としては、公知の超音波リニアモータの構造を用いることができる。
同様に、圧電素子アレイ118bの各電極に印加される電圧を制御することにより、振動体119bの歯側に発生される屈曲定在波振動の位相が変更される。これにより、振動体119bが可動子120bを上方又は下方に移動させる。このような超音波リニアモータ114c、114dの構造としては、公知の超音波リニアモータの構造を用いることができる。
以上のような構成により、アルバレツレンズ110は、超音波リニアモータ114a〜114dによって光学素子111、112が上下方向に移動されることにより、所望の球面度数に設定される。なお、上記の構成を有するアルバレツレンズ110は、水晶体嚢への挿入と水晶体嚢内での保持とが容易となるように所定の形状を有するパッケージ内に封止されてもよい。アルバレツレンズ110は、「レンズ」の一例である。駆動部150は、「駆動手段」の一例である。
(透過型太陽電池)
透過型太陽電池130は、たとえば有機薄膜技術を用いて構成される。
図5は、第1の実施形態に係る透過型太陽電池130の一例の断面構造を模式的に表す。透過型太陽電池130は、光を受けて発電が行われる活性層131が正孔輸送層132と正孔ブロック層133とにより挟持された構造を有している。正孔輸送層132は、活性層131に対し受光面側に形成される。正孔ブロック層133は、活性層131に対し正孔輸送層132と反対の面側に形成される。正孔輸送層132の受光面側には、陽極となる透明電極134が形成される。透明電極134の受光面側には、透明基板135が配置される。一方、正孔ブロック層133の受光面と反対の面側には、陰極となる透明電極136が形成される。透明基板135、透明電極134、正孔輸送層132、活性層131、正孔ブロック層133、及び透明電極136を含む素子は、透明なエポキシ樹脂などからなる封止層137と透明基板138とによって封止される。
活性層131は、p型有機半導体とn型有機半導体とを有機溶媒に溶解させ、スピンコート法により塗布することで成膜される。成膜された活性層131は、バルクヘテロ接合構造を有する。透過型太陽電池130に入射した光は、活性層131において吸収される。活性層131では、たとえばn型有機半導体中で光励起により励起子が発生される。励起子は、n型有機半導体中を拡散する。pn接合界面まで拡散した励起子は、ここで正孔と電子とに解離される。解離された正孔は、p型有機半導体中を拡散し、正孔輸送層132で透明電極134まで輸送される。一方、解離された電子は、n型有機半導体中を拡散し、正孔ブロック層133で透明電極136まで輸送される。この結果、透明電極134と透明電極136との間に電位差が発生する。
正孔輸送層132は、陽極側への正孔と電子の移動により、正孔と電子の再結合による失活を抑制する。正孔ブロック層133は、陰極側への正孔と電子の移動により、正孔と電子の再結合による失活を抑制する。
このような透過型太陽電池130に関する技術は、たとえば「低コストと高性能を実現する有機薄膜太陽電池技術」(斉藤三長、他2名、東芝レビュー、Vol.67 No.1(2012)、p.30−33)に記載されている。
以上のような構成により、透過型太陽電池130は、水晶体に入射した光の一部を透過させ、他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換することができる。なお、後述するように、透過型太陽電池130に開口部を形成することにより、水晶体嚢内に入射した光の一部を通過させ、且つ、光の他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換することができる。透過型太陽電池130は、「変換手段」の一例である。
(第1検知部)
眼の焦点距離は、水晶体嚢に包まれた水晶体の厚みを変化させることにより変更される。水晶体は、毛様体小帯(チン小帯)を介して水晶体嚢内に伝達される毛様体の運動により、厚みが変化する。そこで、第1検知部140は、水晶体の厚みを変化させるための毛様体の所定部位の加速度、毛様体の所定部位の移動量、毛様体小帯の張力、水晶体嚢内の圧力、及び毛様体の筋電位信号の少なくとも1つを検知する。
毛様体の所定部位の加速度を検知する場合、第1検知部140は、毛様体の所定部位に取り付けられた加速度センサなどにより構成される。この場合、第1検知部140は、検知された加速度に対応した駆動信号を駆動部150に出力する。第1検知部140は、たとえば、検知された加速度と出力される駆動信号とが所定関係を有するように構成される。これにより、毛様体の劣化などにより毛様体の動きが不十分となった場合でも、毛様体の動きを増幅させた駆動信号を出力することができる。また、配置される眼の特性や毛様体の更なる劣化に事後的に対応するために、第1検知部140は、たとえば、加速度と駆動信号(振幅や位相)とを対応付けたテーブル情報を参照することにより、検知された加速度に対応した駆動信号を駆動部150に出力するようにしてもよい。この場合、テーブル情報は、変更可能に構成される(以下、同様)。
毛様体の所定部位の移動量を検知する場合、第1検知部140は、毛様体の所定部位に取り付けられた位置センサなどにより構成される。この場合、第1検知部140は、検知された移動量に対応した駆動信号を駆動部150に出力する。第1検知部140は、たとえば、検知された移動量と出力される駆動信号とが所定関係を有するように構成される。これにより、毛様体の劣化などにより毛様体の動きが不十分となった場合でも、毛様体の動きを増幅させた駆動信号を出力することができる。また、配置される眼の特性や毛様体の更なる劣化に事後的に対応するために、第1検知部140は、たとえば、移動量と駆動信号(振幅や位相)とを対応付けたテーブル情報を参照することにより、検知された移動量に対応した駆動信号を駆動部150に出力するようにしてもよい。
毛様体小帯の張力を検知する場合、第1検知部140は、毛様体小帯に取り付けられた張力センサなどにより構成される。この場合、第1検知部140は、検知された張力に対応した駆動信号を駆動部150に出力する。第1検知部140は、たとえば、検知された張力と出力される駆動信号とが所定関係を有するように構成される。これにより、毛様体の劣化などにより毛様体の動きが不十分となった場合でも、毛様体の動きを増幅させた駆動信号を出力することができる。また、配置される眼の特性や毛様体の更なる劣化に事後的に対応するために、第1検知部140は、たとえば、張力と駆動信号(振幅や位相)とを対応付けたテーブル情報を参照することにより、検知された張力に対応した駆動信号を駆動部150に出力するようにしてもよい。
水晶体嚢内の圧力を検知する場合、第1検知部140は、水晶体嚢に取り付けられた圧力センサなどにより構成される。この場合、第1検知部140は、検知された圧力に対応した駆動信号を駆動部150に出力する。第1検知部140は、たとえば、検知された圧力と出力される駆動信号とが所定関係を有するように構成される。これにより、毛様体の劣化などにより毛様体の動きが不十分となった場合でも、毛様体の動きを増幅させた駆動信号を出力することができる。また、配置される眼の特性や毛様体の更なる劣化に事後的に対応するために、第1検知部140は、たとえば、圧力と駆動信号(振幅や位相)とを対応付けたテーブル情報を参照することにより、検知された水晶体嚢内の圧力に対応した駆動信号を駆動部150に出力するようにしてもよい。
毛様体の所定部位の筋電位信号(広義には、生体信号)を検知する場合、第1検知部140は、毛様体の所定部位に取り付けられた筋電位センサなどにより構成される。この場合、第1検知部140は、検知された筋電位信号に対応した駆動信号を駆動部150に出力する。第1検知部140は、たとえば、検知された筋電位信号と出力される駆動信号とが所定関係を有するように構成される。これにより、毛様体の劣化などにより毛様体の動きが不十分となった場合でも、毛様体の動きを増幅させた駆動信号を出力することができる。また、配置される眼の特性や毛様体の更なる劣化に事後的に対応するために、第1検知部140は、たとえば、筋電位信号と駆動信号(振幅や位相)とを対応付けたテーブル情報を参照することにより、検知された筋電位信号に対応した駆動信号を駆動部150に出力するようにしてもよい。
第1検知部140は、上記のセンサのうちいずれか1つを用いて構成されてもよいし、上記のセンサのうち少なくとも2つの検知結果の組み合わせに対応した駆動信号を駆動部150に出力するように構成されてもよい。
以上のような構成により、第1検知部140は、毛様体の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知し、検知結果に対応した駆動信号を駆動部150に出力する。駆動部150は、第1検知部140により得られた検知結果に対応した駆動信号に基づいてアルバレツレンズ110の焦点距離を変更する。このとき、第1検知部140は、毛様体の運動を増幅した駆動信号を駆動部150に出力することができる。これにより、老化などにより毛様体の動きが不十分な場合であっても、駆動部150を駆動して、アルバレツレンズ110の焦点距離の変更を適切に行うことができるようになる。なお、第1検知部140は、透過型太陽電池130からの電力供給が不要なセンサなどにより構成されてもよい。この場合、透過型太陽電池130と第1検知部140との間に接続される電源線が不要になる。第1検知部140は、「第1検知手段」の一例である。
[配置例]
図6は、第1の実施形態に係る眼内レンズシステム100が配置された眼の概略断面図を表す。図6は、右の眼を上面から見たときの断面図を表しており、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図6では、図示の便宜上、眼内レンズシステム100を構成する各部の間に接続される電源線や信号線を省略している場合がある。
眼球20は、外側が強膜21で覆われたほぼ球状の形を有している。眼球20の前方から入射した光は、角膜22により屈折し、虹彩23によりその大きさが調整された瞳孔24を通り抜ける。瞳孔24を通り抜けることで、網膜30に投射される光量が調整される。瞳孔24を通過した光は、水晶体嚢25内に設けられた眼内レンズシステム100によって再び屈折する。
眼内レンズシステム100は、毛様体小帯28を介して水晶体嚢内に伝達される毛様体27の運動(緊張や弛緩などの状態)を、第1検知部140により検知することができる。眼内レンズシステム100では、第1検知部140により得られた検知結果に基づいて、アルバレツレンズ110の焦点距離を変更する。アルバレツレンズ110を透過した光は、透過型太陽電池130に入射する。透過型太陽電池130は、アルバレツレンズ110を透過した光の一部を透過させ、他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換する。透過型太陽電池130により変換された電気エネルギーは、第1検知部140及び駆動部150に供給される。
このように焦点距離が変更された眼内レンズシステム100により屈折された光は、硝子体29を通って、網膜30に到達する。脈絡膜31は、網膜30に酸素や栄養などを供給する。網膜30は、多数の視細胞を有しており、網膜30に到達した光は、視細胞によって電気信号に変換される。視細胞によって変換された電気信号は、網膜30の神経線維を通って視神経乳頭に集められ、視神経32を介して脳まで送られる。
[動作]
図7は、第1の実施形態に係る眼内レンズシステム100の動作例のフロー図を表す。なお、図7は、第1検知部140が毛様体27の運動を検知する場合について説明するが、第1検知部140が毛様体27を運動させるための生体信号を検知する場合についても同様である。
(S1:毛様体の運動を検知?)
まず、第1検知部140は、毛様体の運動を監視する。毛様体27の運動が検知されたとき(ステップS1:Y)、眼内レンズシステム100は、ステップS2に移行する。毛様体27の運動が検知されなかったとき(ステップS1:N)、眼内レンズシステム100は、ステップS1の処理を継続する(リターン)。
(S2:水晶体厚増加に相当する?、S3:第1の焦点距離に変更)
ステップS1により検知された毛様体27の運動が水晶体厚増加に相当する運動のとき(ステップS2:Y)、第1検知部140は、アルバレツレンズ110の焦点距離が現在の焦点距離より短い第1の焦点距離になるように駆動信号を生成し、生成された駆動信号を駆動部150に対し出力する。このとき、第1検知部140は、ステップS1において検知された毛様体27の運動(加速度など)に応じた焦点距離の変更量及びその変更方向を示す駆動信号を生成する。
(S4:水晶体厚減少に相当する?、S5:第2の焦点距離に変更)
ステップS1により検知された毛様体27の運動が水晶体厚減少に相当する運動のとき(ステップS2:N、ステップS4:Y)、第1検知部140は、アルバレツレンズ110の焦点距離が現在の焦点距離より長い第2の焦点距離になるように駆動信号を生成し、生成された駆動信号を駆動部150に対し出力する。このとき、第1検知部140は、ステップS1において検知された毛様体27の運動(加速度など)に応じて焦点距離を変更する駆動信号を生成する。
ステップS3又はステップS5に続いて、眼内レンズシステム100は、ステップS1に移行する(リターン)。また、ステップS1において検知された毛様体27の運動が、水晶体厚増加に相当する運動でも水晶体厚減少に相当する運動でもないとき(ステップS4:N)、眼内レンズシステム100は、ステップS1に移行する(リターン)。たとえば、第1検知部140により得られた検知結果が閾値レベル未満のとき、ステップS4からステップS1に移行される。なお、閾値は、事後的に変更可能とすることができる。また、第1検知部140とは別に眼球運動を検知するための手段を設け、第1検知部140により得られた検知結果と当該手段により得られた検知結果とを用いて、第1検知部140による検知結果から眼球運動に関する情報をキャンセルして、水晶体の厚みを変化させるために実質的に必要な情報を抽出することが可能である。
以上のように、この実施形態では、第1検知部140により水晶体厚増加に相当する運動が検知されたとき、眼内レンズシステム100では、検知された毛様体27の運動などに応じて焦点距離が現在の焦点距離より短くなるようにアルバレツレンズ110が駆動される。一方、第1検知部140により水晶体厚減少に相当する運動が検知されたとき、眼内レンズシステム100では、検知された毛様体27の運動などに応じて焦点距離が現在の焦点距離より長くなるようにアルバレツレンズ110が駆動される。
なお、この実施形態では、眼内レンズシステム100が水晶体嚢25内に配置された場合について説明したが、これに限定されるものではなく、眼内において各部が保持又は配置されていればよい。
[効果]
眼内レンズシステム100は、実施形態に係る眼内レンズシステムの一例である。以下、実施形態に係る眼内レンズシステムの効果について説明する。
眼内レンズシステム(たとえば眼内レンズシステム100)は、レンズ(たとえばアルバレツレンズ110)と、変換手段(たとえば透過型太陽電池130)と、駆動手段(たとえば駆動部150)とを有する。
レンズは、水晶体嚢内に配置され、焦点距離の変更が可能に構成される。変換手段は、水晶体嚢内に配置され、入射した光の一部を通過させ、且つ、この光の他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換する。ここで、「光の他の一部」は、水晶体嚢内に入射した光から変換手段を通過した光の一部を除いた部分の全部を含んでもよい。駆動手段は、水晶体嚢内に配置され、変換手段により得られた電気エネルギーを受けて動作し、レンズの焦点距離を変更する。
このような眼内レンズシステムでは、変換手段において、眼内(水晶体嚢内)に入射した光のエネルギーが電気エネルギーに変換される。駆動手段は、変換手段によって変換された電気エネルギーを受けて、レンズを駆動する。これにより、従来と同様の手法で水晶体嚢内にレンズを配置することが可能な上に、水晶体嚢内に入射した光のエネルギーを用いてレンズの焦点距離を適切に変更することができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、レンズが水晶体嚢内に入射した光を通過させ、変換手段は、レンズを通過した光のエネルギーを電気エネルギーに変換するようにしてもよい。すなわち、このような眼内レンズシステムでは、角膜側にレンズが配置され、眼底側に変換手段が配置される。これにより、レンズと変換手段とを近接させて配置に必要なスペースを小さくすることができ、水晶体嚢内への配置を容易化することができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、水晶体嚢内に第1検知手段(たとえば第1検知部140)を配置し、毛様体の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知するようにしてもよい。駆動手段は、第1検知手段により得られた検知結果に基づいてレンズの焦点距離を変更する。
このような眼内レンズシステムによれば、第1検知手段により毛様体の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知するようにしたので、毛様体の動きを増幅させて駆動手段によりレンズの焦点距離を変更することができる。これにより、毛様体の動きが不十分な場合でも、毛様体の動きを増幅させて、レンズの焦点距離を適切に変更することができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、第1検知手段は、毛様体の所定部位の加速度、毛様体の所定部位の移動量、毛様体小帯の張力、水晶体嚢内の圧力、及び毛様体の所定部位の筋電位信号の少なくとも1つを検知するようにしてもよい。
毛様体の動きは、毛様体の所定部位の加速度の変化、毛様体の所定部位の移動量の変化、毛様体小帯の張力の変化、水晶体嚢内の圧力の変化、又は毛様体の所定部位の筋電位信号の変化を招く。そこで、このような物理量を検知する第1検知手段を設けることにより、毛様体の運動を高精度に検知することが可能となり、毛様体の運動に応じたレンズの高精度な駆動制御が可能となる。
また、眼内レンズシステムは、眼内に入射した光の一部を透過させ、他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換する透過型太陽電池を含んでもよい。
透過型太陽電池は、眼内に入射した光を透過させる。透過型太陽電池を透過した光は、網膜に到達する。これにより、網膜に到達する光を遮ることなく、透過型太陽電池の受光面のサイズを確保することができるようになり、網膜に到達させる光を遮ることなく、より多くの電力を発生させることができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、レンズは、焦点距離の連続的な変更が可能に構成されてもよい。このような眼内レンズシステムによれば、毛様体の運動などに応じて、微妙な焦点距離の変更が可能となる。なお、レンズは、ステップごとに焦点距離の変更が可能に構成されていてもよい。ステップは、事後的に変更可能とすることができる。
また、眼内レンズシステムでは、レンズは、アルバレツレンズを含んでもよい。
このような眼内レンズシステムによれば、水晶体嚢内で発生された電力を利用したアルバレツレンズにより焦点距離の変更が可能な眼内レンズシステムを提供することができる。
〈第2の実施形態>
第1の実施形態では、角膜側にアルバレツレンズ110が配置され、眼底側に透過型太陽電池130が配置される例を説明したが、角膜側に透過型太陽電池130が配置され、眼底側にアルバレツレンズ110が配置されてもよい。以下、第2の実施形態に係る眼内レンズシステムについて、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
[構成]
図8は、第2の実施形態に係る眼内レンズシステムの構成の一例の機能ブロック図を表す。図8において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図8では、光の経路は、破線で示す矢印で表され、実線で示すそれ以外(電気信号など)の経路と区別して表されている。
眼内レンズシステム100aは、アルバレツレンズ110と、透過型太陽電池130と、第1検知部140と、駆動部150とを備えている。眼内レンズシステム100aは、眼内レンズシステム100と同様に、水晶体嚢内に配置される。眼内レンズシステム100aが眼内レンズシステム100と異なる点は、角膜側に透過型太陽電池130が配置され、眼底側にアルバレツレンズ110が配置されている点である。
この実施形態では、水晶体嚢内において、透過型太陽電池130が眼内に入射した光の一部を透過させ、且つ、他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換し、アルバレツレンズ110が透過型太陽電池130を透過した光のエネルギーを電気エネルギーに変換する。すなわち、角膜側に透過型太陽電池130が配置され、眼底側にアルバレツレンズ110が配置される。
眼内レンズシステム100aが備えるアルバレツレンズ110、透過型太陽電池130、第1検知部140、及び駆動部150のそれぞれについては、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
[配置例]
図9は、第2の実施形態に係る眼内レンズシステム100aが配置された眼の概略断面図を表す。図9は、右の眼を上面から見たときの断面図を表しており、図8と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図9では、図示の便宜上、眼内レンズシステム100aを構成する各部の間に接続される電源線や信号線を省略している場合がある。
眼球20は、外側が強膜21で覆われたほぼ球状の形を有している。眼球20の前方から入射した光は、角膜22により屈折し、虹彩23によりその大きさが調整された瞳孔24を通り抜ける。瞳孔24を通り抜けることで、網膜30に投射される光量が調整される。瞳孔24を通過した光は、水晶体嚢25内に設けられた眼内レンズシステム100aによって再び屈折する。
眼内レンズシステム100aでは、水晶体嚢内に入射した光が透過型太陽電池130に入射される。透過型太陽電池130は、水晶体嚢内に入射した光の一部を透過させ、他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換する。透過型太陽電池130により変換された電気エネルギーは、第1検知部140及び駆動部150に供給される。
眼内レンズシステム100aは、毛様体小帯28を介して水晶体嚢内に伝達される毛様体27の運動を、第1検知部140により検知することができる。眼内レンズシステム100aでは、第1検知部140により得られた検知結果に基づいて、アルバレツレンズ110の焦点距離を変更する。
このように焦点距離が変更された眼内レンズシステム100aにより屈折された光は、硝子体29を通って、網膜30に到達する。脈絡膜31は、網膜30に酸素や栄養などを供給する。網膜30は、多数の視細胞を有しており、網膜30に到達した光は、視細胞によって電気信号に変換される。視細胞によって変換された電気信号は、網膜30の神経線維を通って視神経乳頭に集められ、視神経32を介して脳まで送られる。
第2の実施形態における眼内レンズシステム100aは、水晶体嚢内に入射した光の通過(透過順序)が第1の実施形態と異なる点を除いて、第1の実施形態と同様に動作する。
[効果]
眼内レンズシステム100aは、実施形態に係る眼内レンズシステムの一例である。以下、実施形態に係る眼内レンズシステムの効果について説明する。
眼内レンズシステム(たとえば眼内レンズシステム100a)は、レンズ(たとえばアルバレツレンズ110)と、変換手段(たとえば透過型太陽電池130)と、駆動手段(たとえば駆動部150)とを有する。変換手段は、水晶体嚢内に入射した光の一部を通過させる。レンズは、変換手段を通過した光を通過させる。
このような眼内レンズシステムでは、眼内(水晶体嚢内)に入射した光が変換手段に入射され、入射した光の一部のエネルギーが電気エネルギーに変換される。変換手段を通過した光は、アルバレツレンズに入射する。駆動手段は、変換手段によって変換された電気エネルギーを受けて、レンズを駆動する。これにより、従来と同様の手法で水晶体嚢内にレンズを配置することが可能な上に、水晶体嚢内に入射した光のエネルギーを用いてレンズの焦点距離を適切に変更することができるようになる。
〈第3の実施形態>
第1の実施形態又は第2の実施形態では、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する変換手段が透過型である例を説明したが、変換手段は、非透過型であってもよい。以下、第3の実施形態に係る眼内レンズシステムについて、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
[構成]
図10は、第3の実施形態に係る眼内レンズシステムの構成の一例の機能ブロック図を表す。図10において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図10では、光の経路は、破線で示す矢印で表され、実線で示すそれ以外(電気信号など)の経路と区別して表されている。
眼内レンズシステム200は、アルバレツレンズ110と、非透過型太陽電池230と、第1検知部140と、駆動部150とを備えている。眼内レンズシステム200は、眼内レンズシステム100と同様に、水晶体嚢内に配置される。眼内レンズシステム200が眼内レンズシステム100と異なる点は、透過型太陽電池130に代えて非透過型太陽電池230が設けられた点である。非透過型太陽電池230は、たとえばサイズや形状などを透過型太陽電池130と異ならせることによって、眼内に入射した光の一部を通過させる。たとえば、非透過型太陽電池230のサイズを小さくすることで、水晶体嚢内に入射した光を通過させることが可能である。また、たとえば、非透過型太陽電池230に後述の開口部や切り欠き部を形成することにより、水晶体嚢内に入射した光を通過させることが可能である。また、非透過型太陽電池230は、眼底中心や黄斑部に投射される光の経路上を避けて配置されてもよい。
非透過型太陽電池230と第1検知部140との間に、非透過型太陽電池230により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、非透過型太陽電池230と駆動部150との間に、非透過型太陽電池230により発生された電力を供給するための電源線が接続される。
この実施形態では、非透過型太陽電池230に1又は複数の開口部が形成されている。
図11及び図12は、第3の実施形態に係る非透過型太陽電池230の構成例を表す。図11及び図12は、非透過型太陽電池230が、眼内レンズシステム200の所定の軸Oに対して垂直に配置された場合を模式的に表したものである。非透過型太陽電池230には、図11に示すように、たとえば眼内レンズシステム200の所定の軸Oに沿う光とその近くの光が通過する位置に開口部231が形成される。また、非透過型太陽電池230には、図12に示すように複数の開口部231が形成されていてもよい。
アルバレツレンズ110を透過した光は、図11又は図12に示すように非透過型太陽電池230に形成された開口部231を通過して硝子体29に到達する。
このような非透過型太陽電池230は、透過型太陽電池130と同様の活性層、正孔輸送層、及び正孔ブロック層を備え、これらを非透明の電極や基板や封止層などにより封止することによって形成される。非透過型太陽電池230は、「変換手段」の一例である。
この実施形態において、開口部231を通過した光が視細胞が密に存在する黄斑部に到達するように、非透過型太陽電池230に、黄斑部に対向する位置に1又は複数の開口部231が形成されていてもよい。こうすることで、黄斑部に到達させる光量を確保することができるようになる。
なお、この実施形態では、非透過型太陽電池230に、1又は複数の開口部が形成されているものとして説明したが、第1の実施形態に係る透過型太陽電池130に、1又は複数の開口部が形成されていてもよい。
[効果]
眼内レンズシステム200は、実施形態に係る眼内レンズシステムの一例である。実施形態に係る眼内レンズシステムは、第1の実施形態又は第2の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を有する。
眼内レンズシステム(たとえば眼内レンズシステム200)では、変換手段は、眼内に入射した光のエネルギーを電気エネルギーに変換する非透過型太陽電池(たとえば非透過型太陽電池230)を含んでもよい。
非透過型太陽電池は、眼内に入射した光を透過させる機能を有しない。網膜には、非透過型太陽電池に入射されない光が到達する。このような眼内レンズシステムにおいても、駆動手段は、水晶体嚢内に配置され、変換手段により得られた電気エネルギーを受けてレンズの焦点距離を変更することができる。
また、眼内レンズシステムでは、変換手段に、開口部(たとえば開口部231)が形成されていてもよい。
このような眼内レンズシステムによれば、開口部を通過した光を網膜に到達させることができるので、網膜に到達させる光をできるだけ遮らないようにしつつ、変換手段の受光面のサイズをより大きくすることができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、開口部は、黄斑部に対向する位置に形成されていてもよい。
このような眼内レンズシステムによれば、少なくとも黄斑部に到達させる光を確保しつつ、変換手段の受光面のサイズについても大きくすることができる。
〈第4の実施形態>
上記の実施形態では、眼内レンズシステムが水晶体嚢内に配置された場合について説明したが、眼内レンズシステムが、人工網膜を備えるようにしてもよい。以下、第4の実施形態に係る眼内レンズシステムについて、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
[構成]
図13は、第4の実施形態に係る眼内レンズシステムの構成の一例の機能ブロック図を表す。図13において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図13では、光の経路は、破線で示す矢印で表され、実線で示すそれ以外(電気信号など)の経路と区別して表されている。眼内レンズシステム300は、アルバレツレンズ110と、透過型太陽電池130と、第1検知部340と、駆動部150と、人工網膜380と、電極部390と、制御部370とを備えている。眼内レンズシステム300は、眼内に配置される。
アルバレツレンズ110は、少なくとも焦点距離の変更が可能に構成される。透過型太陽電池130は、入射した光の一部を透過させ、他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換する。第1検知部340は、透過型太陽電池130により得られた電気エネルギーを受けて動作し、毛様体27の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知する。駆動部150は、透過型太陽電池130により得られた電気エネルギーを受けて動作し、第1検知部340により得られた検知結果に基づいてアルバレツレンズ110の焦点距離を変更する。人工網膜380は、透過型太陽電池130により得られた電気エネルギーを受けて動作し、透過型太陽電池130を透過した光を光電変換素子アレイにより検出する。電極部390は、人工網膜380により発生された電気信号を脳の視覚野に送るために用いられる。制御部370は、透過型太陽電池130により得られた電気エネルギーを受けて動作し、駆動部150を制御する。その具体例として、制御部370は、第1検知部340により得られた検知結果に基づいて駆動部150を制御する。
透過型太陽電池130と第1検知部340との間に、透過型太陽電池130により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、透過型太陽電池130と人工網膜380との間に、透過型太陽電池130により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、透過型太陽電池130と制御部370との間に、透過型太陽電池130により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、第1検知部340と制御部370との間に、第1検知部340により得られた検知結果を送るための生体信号線が接続される。また、制御部370と駆動部150との間に、駆動部150を駆動する駆動信号を供給するための信号線が接続される。また、人工網膜380と電極部390との間に、脳の視覚野に送られる電気信号を伝達するための信号線が接続される。
(第1検知部)
第1検知部340は、水晶体の厚みを変化させる眼内の毛様体27の所定部位の加速度、毛様体27の所定部位の移動量、毛様体小帯28の張力、及び毛様体27の筋電位信号の少なくとも1つを検知する。第1検知部340が第1検知部140と異なる点は、水晶体脳内の圧力を検出しない点と、検知結果を制御部370に出力する点であり、その他の点では第1検知部140と同様である。第1検知部340は、「第1検知手段」の一例である。
(人工網膜)
人工網膜380は、光電変換素子アレイを備えており、アルバレツレンズ110を透過した光を受けた各光電変換素子により生成された電気信号を電極部390に出力する。光電変換素子アレイは、複数の光電変換素子がたとえばマトリックス状に配列されたものである。このような人工網膜380は、公知の構造の人工網膜を用いることができる。人工網膜380は、「人工網膜」の一例である。
(電極部)
電極部390は、たとえばマトリックス状に配列された複数の刺激用電極を有する。複数の刺激用電極のそれぞれは、人工網膜380を構成する複数の光電変換素子のいずれかに対応している。各刺激用電極は、対応する光電変換素子に電気的に接続されている。複数の刺激用電極は、人工網膜380により生成された電気信号で網膜30や視神経32を刺激するように埋植される。電気信号で網膜30を刺激する場合、複数の刺激用電極は、視細胞、網膜神経節細胞、又は双極細胞に電気信号が伝達されるように埋植される。電極部390は、「伝達手段」の一例である。
(制御部)
制御部370は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:以下、CPU)及びCPUにより実行されるプログラムが記憶されたメモリにより構成される。制御部370は、メモリに記憶されたプログラムに従って駆動部150を制御する。ここで、制御部370は、第1検知部340により得られた検知結果や人工網膜380により検出された画像を解析することにより、駆動部150を制御してアルバレツレンズ110の焦点距離を変更することができる。なお、制御部370は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や制御回路により実現されてもよい。制御部370は、「制御手段」の一例である。
[配置例]
図14は、第4の実施形態に係る眼内レンズシステム300が配置された眼の概略断面図を表す。図14は、右の眼を上面から見たときの断面図を表しており、図8又は図13と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図14では、図示の便宜上、眼内レンズシステム300を構成する各部の間に接続される電源線や信号線を省略している場合がある。
眼球20は、外側が強膜21で覆われたほぼ球状の形を有している。眼球20の前方から入射した光は、角膜22により屈折し、水晶体の位置に配置されたアルバレツレンズ110によって再び屈折する。
第1検知部340は、毛様体27の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知することができる。第1検知部340により得られた検知結果は、制御部370に送られる。制御部370は、第1検知部340により得られた検知結果に基づいて駆動信号を生成し、生成された駆動信号を駆動部150に出力する。駆動部150は、制御部370から受けた駆動信号に基づいてアルバレツレンズ110を駆動する。これにより、アルバレツレンズ110の焦点距離が変更される。
このように焦点距離が変更された眼内レンズシステム300により屈折された光は、硝子体29を通って、透過型太陽電池130を透過する。このとき、透過型太陽電池130は、入射した光のうち一部の光のエネルギーを電気エネルギーに変換する。透過型太陽電池130により変換された電気エネルギーは、第1検知部340、駆動部150、人工網膜380、及び制御部370に供給される。
透過型太陽電池130を透過した光は、人工網膜380に到達する。人工網膜380が有する光電変換素子アレイは、受光された光を電気信号に変換する。人工網膜380により生成された電気信号は、電極部390を介して、視細胞、網膜神経節細胞、双極細胞、又は視神経に伝達される。
[動作]
図15は、第4の実施形態に係る眼内レンズシステム300の動作例のフロー図を表す。図15の各ステップに対応したプログラムは、制御部370が有するメモリに記憶される。制御部370が有するCPUは、メモリに記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムに対応した処理を実行する。
(S11:毛様体の運動を検知?)
まず、制御部370は、第1検知部340により得られた検知結果に基づいて、毛様体27の運動が検知されたか否かを監視する。第1検知部340により毛様体27の運動が検知されなかったとき(ステップS11:N)、制御部370は、第1検知部340による毛様体27の運動が検知されたか否かの監視を継続する(リターン)。一方、第1検知部340により毛様体27の運動が検知されたとき(ステップS11:Y)、制御部370は、眼内レンズシステム300の動作をステップS12に移行させる。なお、ステップS11では、毛様体27を運動させるための生体信号が検知された否かを監視することも可能である。
(S12:テーブル情報を参照)
第1検知部340により得られる検知される物理量の値と駆動信号の内容(振幅や位相)とを対応付けたテーブル情報が予め設定されている。その具体例として、第1検知部340が毛様体27の所定部位の加速度、毛様体27の所定部位の移動量、毛様体小帯28の張力、及び毛様体27の筋電位信号のいずれか1つの物理量を検知する場合、この物理量の値と駆動信号の内容とを対応付けたテーブル情報が予め設定されている。また、第1検知部340が毛様体27の所定部位の加速度、毛様体27の所定部位の移動量、毛様体小帯28の張力、及び毛様体27の筋電位信号のうち2以上の物理量を検知する場合、これら物理量の値の組み合わせと駆動信号の内容とを対応付けたテーブル情報が予め設定されている。制御部370は、上記のいずれかのテーブル情報を参照することにより、第1の実施形態に係る第1検知部140と同様に、アルバレツレンズ110の焦点距離を変更するための駆動信号を生成する。たとえは、制御部370は、第1検知部140により得られた検知結果に対応して上記のいずれかのテーブル情報に設定された駆動信号の内容に基づいて駆動信号を生成する。
(S13:駆動信号を出力)
制御部370は、ステップS12において参照したテーブル情報に基づいて生成された駆動信号を、駆動部150に対して出力する。これ以降、制御部370は、眼内レンズシステム300の動作をステップS11に移行させる(リターン)。
なお、第1検知部140とは別に眼球運動を検知するための手段を設け、制御部370は、第1検知部140により得られた検知結果と当該手段により得られた検知結果とを用いることによって、第1検知部140による検知結果から眼球運動に関する情報をキャンセルして、水晶体の厚みを変化させるために実質的に必要な情報を抽出することが可能である。
また、この実施形態において、第2の実施形態と同様に、角膜側に透過型太陽電池130が配置され、眼底側にアルバレツレンズ110が配置されていてもよい。この場合、透過型太陽電池130と人工網膜380との間にアルバレツレンズ110が配置される。
[効果]
眼内レンズシステム300は、実施形態に係る眼内レンズシステムの一例である。以下、実施形態に係る眼内レンズシステムの効果について説明する。
眼内レンズシステムは、レンズ(たとえばアルバレツレンズ110)と、変換手段(たとえば透過型太陽電池130)と、駆動手段(たとえば駆動部150)と、人工網膜(たとえば人工網膜380)と、伝達手段(たとえば電極部390)とを有する。
レンズは、眼内に配置され、焦点距離の変更が可能に構成される。変換手段は、眼内に配置され、眼内に入射した光の一部を通過させ、且つ、この光の他の一部のエネルギーを電気エネルギーに変換する。ここで、「光の他の一部」は、眼内に入射した光から変換手段を通過した光の一部を除いた部分の全部を含んでもよい。駆動手段は、眼内に配置され、変換手段により得られた電気エネルギーを受けて動作し、レンズの焦点距離を変更する。人工網膜は、眼内に配置され、変換手段により得られた電気エネルギーを受けて動作し、変換手段を通過した光を検出して電気信号を発生する光電変換素子アレイを含む。伝達手段は、人工網膜により発生された電気信号を脳の視覚野に送るために用いられる。
このような眼内レンズシステムでは、変換手段において、眼内に入射した光のエネルギーが電気エネルギーに変換される。駆動手段は、変換手段から電気エネルギーを受けて、レンズを駆動する。これにより、従来と同様の手法で眼内にレンズを配置することが可能な上に、眼内に入射した光のエネルギーを用いてレンズの焦点距離を適切に変更することができるようになる。
また、眼内レンズシステムは、眼内に第1検知手段(たとえば第1検知部340)を配置し、毛様体の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知するようにしてもよい。駆動手段は、第1検知手段により得られた検知結果に基づいてレンズの焦点距離を変更する。
このような眼内レンズシステムによれば、第1検知手段により毛様体の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知するようにしたので、毛様体の動きを増幅させて駆動手段によりレンズの焦点距離を変更することができる。これにより、毛様体の動きが不十分な場合でも、毛様体の動きを増幅させて、レンズの焦点距離を適切に変更することができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、第1検知手段は、毛様体の所定部位の加速度、毛様体の所定部位の移動量、毛様体小帯の張力、及び毛様体の所定部位の筋電位信号の少なくとも1つを検知するようにしてもよい。
毛様体の動きは、毛様体の所定部位の加速度の変化、毛様体の所定部位の移動量の変化、毛様体小帯の張力の変化、又は毛様体の所定部位の筋電位信号の変化を招く。そこで、このような物理量を検知する第1検知手段を設けることにより、毛様体の運動を高精度に検知することが可能となり、毛様体の運動に応じたレンズの高精度な駆動制御が可能となる。
また、眼内レンズシステムは、制御手段(たとえば制御部370)を含んでもよい。この場合、制御手段は、変換手段により得られた電気エネルギーを受けて動作し、駆動手段を制御する。
このような眼内レンズシステムによれば、変換手段により得られた電気エネルギーを受けて動作する制御手段を設けたので、駆動手段をより細かく制御することができるようになり、レンズの焦点距離をより適切に変更することができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、変換手段は、眼内に入射した光の一部を透過させ、他の一部のエネルギーを前記電気エネルギーに変換する透過型太陽電池を含んでもよい。
透過型太陽電池は、眼内に入射した光を透過させる。透過型太陽電池を透過した光は、人工網膜に到達する。これにより、人工網膜に到達する光を遮ることなく、透過型太陽電池の受光面のサイズを確保することができるようになり、人工網膜に到達させる光を遮ることなく、より多くの電力を発生させることができるようになる。また、人工網膜における光の吸収効率の低下を抑え、視神経に伝達させる情報をより多くすることができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、レンズは、アルバレツレンズを含んでもよい。
このような眼内レンズシステムによれば、眼内で発生された電力を利用してアルバレツレンズにより焦点距離の変更が可能な眼内レンズシステムを提供することができる。
〈第5の実施形態>
第5の実施形態では、人工網膜380により検知された画像に基づいてアルバレツレンズ110が駆動される。以下、第5の実施形態に係る眼内レンズシステムについて、第4の実施形態との相違点を中心に説明する。
[構成]
第5の実施形態に係る眼内レンズシステムの構成は、第4の実施形態に係る眼内レンズシステム300の構成と同様である。以下では、図13又は図14を参照しつつ、第5の実施形態に係る眼内レンズシステムについて説明する。
[動作]
図16は、第5の実施形態に係る眼内レンズシステムの他の動作例のフロー図を表す。図16の各ステップに対応したプログラムは、制御部370が有するメモリに記憶される。制御部370が有するCPUは、メモリに記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムに対応した処理を実行する。
(S21:毛様体の運動の検知結果を取得)
まず、制御部370は、第1検知部340により得られた毛様体27の運動の検知結果を取得する。この検知結果は、毛様体27の所定部位の加速度、毛様体27の所定部位の移動量、毛様体小帯28の張力、及び毛様体27の筋電位信号のうち少なくとも1つの物理量の検知結果を含む。
(S22:人工網膜により検知された画像を取得)
次に、制御部370は、人工網膜380により検知された画像を取得する。その具体例として、制御部370は、人工網膜380において各光電変換素子により生成された電気信号を取得する。
(S23:解析)
続いて、制御部370は、ステップS21において取得された検知結果、及びステップS22において取得された画像の少なくとも1つを解析し、この解析結果に基づいて、駆動部150を駆動する駆動信号を生成する。
たとえば、制御部370は、第1検知部340により得られた検知結果に対応した駆動信号を生成する。その具体例として、制御部370は、第1検知部340により得られた検知結果に基づいて、毛様体27の運動が水晶体を厚くするための運動か、水晶体を薄くするための運動かを判別し、その判別結果に基づき駆動信号を生成する。水晶体を厚くするための毛様体の運動が検知されたとき、制御部370は、アルバレツレンズ110の焦点距離が現在の焦点距離より短くなるように駆動信号を生成する。水晶体を薄くするための毛様体の運動が検知されたとき、制御部370は、アルバレツレンズ110の焦点距離が現在の焦点距離より長くなるように駆動信号を生成する。このとき、制御部370は、毛様体27の動きを増幅するように駆動信号を生成することができる。たとえば、第1検知部340により毛様体27の微小な移動量が検知されたとき、制御部370は、検知された微小な移動量とこの移動量に対応した増幅率とを掛け合わせることにより駆動信号を生成し、生成された駆動信号によりアルバレツレンズ110の焦点距離を変更する。移動量に対応した増幅率は、事後的に変更可能に構成される。駆動信号は、焦点距離の変更量及びその変更方向に対応した信号である。
また、たとえば、制御部370は、人工網膜380により得られた画像の鮮明さに対応した駆動信号を生成する。その具体例として、制御部370は、人工網膜380により得られた画像内の線を検出し、検出された線の境界部分の高調波成分が強調される方向に第1ステップごとに焦点距離を変更するための駆動信号を生成する。また、制御部370は、人工網膜380により得られた画像内のエッジ部を検出し、検出されたエッジ部の高調波成分が強調される方向に第2ステップごとに焦点距離を変更するための駆動信号を生成する。また、制御部370は、人工網膜380により得られた画像のコントラストを検出し、検出された画像のコントラストが最大になる方向に第3ステップごとに焦点距離を変更するための駆動信号を生成する。
また、たとえば、制御部370は、第1検知部340により得られた検知結果と、人工網膜380により得られた画像とに基づいて、駆動信号を生成するようにしてもよい。その具体例として、制御部370は、毛様体27の運動が水晶体を厚くするための運動のとき、画像内の線の境界部分の高調波成分やエッジ部が強調される方向に第4ステップごとにアルバレツレンズ110の焦点距離が現在の焦点距離より短くなるように駆動信号を生成する。上記の第1ステップ〜第4ステップのそれぞれは、事後的に変更可能に構成される。
(S24:駆動信号を出力)
制御部370は、ステップS23において生成された駆動信号を、駆動部150に対して出力する。これ以降、制御部370は、眼内レンズシステムの動作をステップS21に移行させる(リターン)。
[効果]
上記の眼内レンズシステムは、実施形態に係る眼内レンズシステムの一例である。実施形態に係る眼内レンズシステムは、第4の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を有する。
眼内レンズシステムでは、制御手段は、人工網膜により発生された電気信号に基づいて駆動手段を制御するようにしてもよい。
人工網膜により発生された電気信号は、人工網膜により検知された画像に対応する。制御手段は、たとえば、人工網膜により得られた画像の鮮明さや、エッジに関する情報や、コントラストに基づいて、駆動手段を制御することができる。このような眼内レンズシステムによれば、人工網膜により発生された電気信号に基づいてレンズの焦点距離を変更することができるので、毛様体の運動又は毛様体を運動させるための生体信号を検知するだけでは十分でない場合でも、レンズの焦点距離をより適切に変更することができる場合がある。
〈第6の実施形態>
上記の実施形態に係る眼内レンズシステムでは、眼球の向き(視線方向、眼軸方向、視軸方向)に応じてアルバレツレンズ110の焦点距離を変更するようにしてもよい。第6の実施形態に係る眼内レンズシステムは、第4の実施形態の構成に第2検知部を追加することにより、眼球の向きに応じてアルバレツレンズ110の焦点距離を変更する。以下、第6の実施形態に係る眼内レンズシステムについて、第4の実施形態との相違点を中心に説明する。
[構成]
図17は、第6の実施形態に係る眼内レンズシステムの構成の一例の機能ブロック図を表す。図17において、図13と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図17では、光の経路は、破線で示す矢印で表され、実線で示すそれ以外(電気信号など)の経路と区別して表されている。眼内レンズシステム500は、アルバレツレンズ110と、透過型太陽電池130と、第1検知部340と、駆動部150と、人工網膜380と、電極部390と、制御部570と、第2検知部580とを備えている。眼内レンズシステム500は、眼内に配置される。
第6の実施形態に係る眼内レンズシステム500の構成が第4の実施形態に係る眼内レンズシステム300の構成と異なる点は、第2検知部580が追加された点と、制御部370に代えて制御部570が設けられた点である。
透過型太陽電池130と制御部570との間に、透過型太陽電池130により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、透過型太陽電池130と第2検知部580との間に、透過型太陽電池130により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、制御部570と駆動部150との間に、駆動部150を駆動する駆動信号を供給するための信号線が接続される。また、制御部570と第2検知部580との間に、第2検知部580により得られた検知結果を送るための信号線が接続される。
(制御部)
制御部570は、制御部370と同様の構成を有している。制御部570は、第1検知部340により得られた検知結果に加えて、第2検知部580により得られた検知結果を用いて駆動部150を駆動する駆動信号を生成することができる。制御部570は、「制御手段」の一例である。
(第2検知部)
第2検知部580は、透過型太陽電池130により得られた電気エネルギーを受けて動作し、眼内レンズシステム500が配置されている眼球の向きを検知する。第2検知部580は、眼球の所定部位(眼球の内部(網膜など))に取り付けられた傾きセンサなどにより構成され、眼球の向きを検知する。傾きセンサは、たとえば上下方向について、水平時の静電容量値を基準とし、当該傾きセンサが傾いたときの静電容量値の変化量に対応した傾きの角度を検知するように構成される。左右方向などの他の方向の傾きについても、同様の傾きセンサにより検知することができる。眼球の向きは、たとえば上下方向の傾きを検知する傾きセンサにより得られた検知結果により特定される。また、眼球の向きは、上下方向を含み互いに直交する2軸方向又は3軸方向のそれぞれの方向の傾きを検知する複数の傾きセンサにより得られた検知結果により特定されてもよい。第2検知部580により得られた検知結果は、制御部570に送られる。第2検知部580は、「第2検知手段」の一例である。
[配置例]
図18は、第6の実施形態に係る眼内レンズシステム500が配置された眼の概略断面図を表す。図18は、右の眼を上面から見たときの断面図を表しており、図14又は図17と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図18では、図示の便宜上、眼内レンズシステム500を構成する各部の間に接続される電源線や信号線を省略している場合がある。
眼球20は、外側が強膜21で覆われたほぼ球状の形を有している。眼球20の前方から入射した光は、角膜22により屈折し、水晶体の位置に配置されたアルバレツレンズ110によって再び屈折する。
制御部570は、第1検知部340により得られた検知結果、及び第2検知部580により得られた検知結果の少なくとも1つに基づいて、駆動信号を生成し、生成された駆動信号を駆動部150に出力する。駆動部150は、制御部570から受けた駆動信号に基づいてアルバレツレンズ110を駆動する。これにより、アルバレツレンズ110の焦点距離が変更される。
このように焦点距離が変更された眼内レンズシステム500により屈折された光は、硝子体29を通って、透過型太陽電池130を透過する。このとき、透過型太陽電池130は、入射した光のうち一部の光のエネルギーを電気エネルギーに変換する。透過型太陽電池130により生成された電気エネルギーは、第1検知部340、駆動部150、人工網膜380、制御部570、及び第2検知部580に供給される。
透過型太陽電池130を透過した光は、人工網膜380に到達する。人工網膜380が有する光電変換素子アレイは、受光された光を電気信号に変換する。人工網膜380により生成された電気信号は、電極部390を介して、視細胞、網膜神経節細胞、双極細胞、又は視神経に伝達される。
[動作]
図19は、第6の実施形態に係る眼内レンズシステム500の動作例のフロー図を示す。図19の各ステップに対応したプログラムは、制御部570が有するメモリに記憶される。制御部570が有するCPUは、メモリに記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムに対応した処理を実行する。
(S31:眼球の向きが変化?)
まず、制御部570は、第2検知部580により得られた検知結果に基づいて、眼球20の向きが変化したか否かを監視する。第2検知部580により得られた検知結果に基づいて眼球の向きが変化したことが検出されなかったとき(ステップS31:N)、制御部570は、第2検知部580による眼球20の向きが変化したか否かの監視を継続する(リターン)。一方、第2検知部580により眼球20の向きが変化したことが検出されたとき(ステップS31:Y)、制御部570は、眼内レンズシステム500の動作をステップS32に移行させる。
(S32:下領域に入った?)
第2検知部580により眼球の向きが変化したことが検出されると、制御部570は、第2検知部580により得られた検知結果に基づいて、眼球20の向きが正面方向から下方の下領域に入ったか否かを判別する。眼球20の向きが下領域に入ったことが判別されたとき(ステップS32:Y)、制御部570は、眼内レンズシステム500の動作をステップS33に移行させる。一方、眼球20の向きが下領域に入ったことが判別されなかったとき(ステップS32:N)、制御部570は、眼内レンズシステム500の動作をステップS34に移行させる。
(S33:第1の焦点距離に変更)
第2検知部580により得られた検知結果に基づいて眼球20の向きが下方に変化したことが検出されたとき、制御部570は、アルバレツレンズ110の焦点距離を現在の焦点距離より短い第1の焦点距離に設定する駆動信号を生成し、生成された駆動信号を駆動部150に対して出力する。
(S34:下領域から出た?)
第2検知部580により眼球の向きが下領域に入ったことが検出されなかったとき、制御部570は、第2検知部580により得られた検知結果に基づいて、眼球20の向きが下領域から出たか否かを判別する。眼球20の向きが下領域から出たことが判別されたとき(ステップS34:Y)、制御部570は、眼内レンズシステム500の動作をステップS35に移行させる。一方、眼球20の向きが下領域から出たことが判別されなかったとき(ステップS34:N)、制御部570は、眼内レンズシステム500の動作をステップS31に移行させる(リターン)。
(S35:第2の焦点距離に変更)
第2検知部580により得られた検知結果に基づいて眼球20の向きが下領域から出たことが検出されたとき、制御部570は、アルバレツレンズ110の焦点距離を現在の焦点距離より長い第2の焦点距離に設定する駆動信号を生成する。第2の焦点距離は、第1の焦点距離より長い。制御部570は、生成された駆動信号を駆動部150に対して出力する。
制御部570は、ステップS33、又はステップS35に続いて、眼内レンズシステム500の動作をステップS31に移行させる(リターン)。
以上のように、第2検知部580により眼球20が下方に向いていることが検知されたとき、制御部570は、アルバレツレンズ110の焦点距離を現在の焦点距離より短い第1の焦点距離に変更することができる。すなわち、制御部570は、それ以外のとき、制御部570は、アルバレツレンズ110の焦点距離を現在の焦点距離より長い第2の焦点距離に変更することができる。ここで、第2の焦点距離は、第1の焦点距離より長い。
なお、この実施形態では、第2検知部580により眼球の向きを検出し、検出された眼球の向きに応じて、アルバレツレンズ110の焦点距離が変更される場合について説明したが、これに限定されるものではない。
第2検知部580は、輻輳眼球運動(輻輳)を検知するようにしてもよい。輻輳眼球運動は、近くの対象物を見るときに左右の眼球を内側(鼻側)に向けようとする運動である。この場合、制御部570は、第2検知部580により得られた検知結果に基づいて、アルバレツレンズ110の焦点距離を変更する。その具体例として、第2検知部580により眼球20が第1の輻輳状態であることが検知されたとき、制御部570は、アルバレツレンズ110の焦点距離を第3の焦点距離に変更する。第1の輻輳状態は、所定方向(たとえば正面方向)より眼球が内側に向く状態である。なお、第2検知部580とは別に他方の眼の輻輳眼球運動を検知する手段を設け、制御部570は、第2検知部580により得られた検知結果と当該手段により得られた検知結果とを用いることによって、たとえば単に視線方向を斜め方向に変更したこと(左右眼がともに同じ方向を向いたこと)と輻輳眼球運動が行われたこと(左右眼がともに内側に向けられたこと)とを判別することが可能である。
また、この実施形態では、第4の実施形態の構成に対し第2検知部580を追加することにより眼球の向きを検知する場合について説明したが、これに限定されるものではない。第4の実施形態に係る制御部370は、たとえば人工網膜380により検知された画像(人工網膜により発生された電気信号)を解析することにより、眼球の向きを判別するようにしてもよい。その具体例として、制御部370は、人工網膜380により検知された画像の所定領域(たとえば、中心部分を含む中心領域)内の画像の変化に基づいて、眼球の向きの変化(方向、量)を求める。また、制御部370は、人工網膜380により検知された画像内での注目画像の位置の変化に基づいて、眼球の向きの変化を求める。この場合、制御部370は、人工網膜380により検知された画像(人工網膜により発生された電気信号)に基づいて眼球の向きが下方に向いていることが判別されたとき、アルバレツレンズ110の焦点距離を現在の焦点距離より短い第5の焦点距離に変更する。
[効果]
眼内レンズシステム500は、実施形態に係る眼内レンズシステムの一例である。実施形態に係る眼内レンズシステムは、第4の実施形態又は第5の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を有する。
眼内レンズシステム(たとえば眼内レンズシステム500)は、眼内に第2検知手段(たとえば第2検知部580)を配置し、眼球の向きを検知するようにしてもよい。この場合、第2検知手段は、変換手段により得られた電気エネルギーを受けて動作する。制御手段は、第2検知手段により得られた検知結果に基づいて駆動手段を制御する。
このような眼内レンズシステムによれば、眼内で眼球の向きを検知し、検知された眼球の向きに応じてレンズの焦点距離を変更することができるようになる。これにより、眼球の向きによって焦点距離が短くなるように変更すべきか、焦点距離が長くなるように変更すべきかを特定することができる場合に、検知された眼球の向きに基づいて、レンズの焦点距離の変更が可能な眼内レンズシステムを提供することができる。
また、眼内レンズシステムでは、第2検知手段により眼球が下方に向いていることが検知されたとき、制御手段は、レンズの焦点距離を第1の焦点距離に変更し、それ以外のとき、制御手段は、レンズの焦点距離を第1の焦点距離より長い第2の焦点距離に変更するようにしてもよい。
近くの対象物を見るとき(たとえば読書時など)、眼球を下方に向けることが一般的である。そこで、第2検知手段により眼球が下方に向いていることが検知されたとき、制御手段は、第1の焦点距離となるようにレンズを制御し、それ以外のとき、制御手段は、第1の焦点距離より長い第2の焦点距離となるようにレンズを制御することにより、自然な眼球の動きに応じてレンズの焦点距離を適切に変更することができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、第2検知手段は、眼球の所定部位の加速度、及び輻輳眼球運動の少なくとも1つを検知するようにしてもよい。
近くの対象物を見ようとするときは、眼球の所定部位の加速度が変化したり、輻輳眼球運動が行われたりする。そこで、このような動きを検知する第2検知手段を設けることにより、近くの対象物を見ようとする動きを高精度に検知することが可能となり、眼球の動きに応じてレンズの高精度な駆動制御が可能となる。
〈第7の実施形態>
第4の実施形態では、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する変換手段が透過型である例を説明したが、この変換手段は、第3の実施形態と同様に、非透過型であってもよい。以下、第7の実施形態に係る眼内レンズシステムについて、第4の実施形態との相違点を中心に説明する。
[構成]
図20は、第7の実施形態に係る眼内レンズシステムの構成の一例の機能ブロック図を表す。図20において、図10又は図13と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図20では、光の経路は、破線で示す矢印で表され、実線で示すそれ以外(電気信号など)の経路と区別して表されている。
眼内レンズシステム600は、アルバレツレンズ110と、非透過型太陽電池230と、第1検知部340と、駆動部150と、人工網膜380と、電極部390と、制御部370とを備えている。眼内レンズシステム600は、眼内レンズシステム300と同様に、眼内に配置される。眼内レンズシステム600が眼内レンズシステム300と異なる点は、透過型太陽電池130に代えて非透過型太陽電池230が設けられた点である。図11又は図12に示すように、非透過型太陽電池230には、1又は複数の開口部231が形成されている。アルバレツレンズ110を透過した光は、非透過型太陽電池230に形成された開口部231を通過して硝子体29に到達する。
このような眼内レンズシステム600では、非透過型太陽電池230と第1検知部340との間に、非透過型太陽電池230により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、非透過型太陽電池230と駆動部150との間に、非透過型太陽電池230により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、非透過型太陽電池230と人工網膜380との間に、非透過型太陽電池230により発生された電力を供給するための電源線が接続される。また、非透過型太陽電池230と制御部370との間に、非透過型太陽電池230により発生された電力を供給するための電源線が接続される。
この実施形態では、人工網膜380を構成する光電変換素子アレイは、非透過型太陽電池230に形成された開口部231を通過した光を受けて電気信号を発生する。非透過型太陽電池230に形成された開口部231は、人工網膜380において黄斑部に対向する位置に形成されていることが可能である。
なお、この実施形態では、非透過型太陽電池230に、開口部が形成された場合につい説明したが、非透過型太陽電池230に、切り欠き部が形成されていてもよい。また、この実施形態では、非透過型太陽電池230に、1又は複数の開口部が形成されているものとして説明したが、第4の実施形態に係る透過型太陽電池130に、1又は複数の開口部や切り欠き部が形成されていてもよい。
[効果]
眼内レンズシステム600は、実施形態に係る眼内レンズシステムの一例である。実施形態に係る眼内レンズシステムは、第4の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を有する。
眼内レンズシステム(たとえば眼内レンズシステム600)では、変換手段は、眼内に入射した光のエネルギーを電気エネルギーに変換する非透過型太陽電池(たとえば非透過型太陽電池230)を含んでもよい。
非透過型太陽電池は、眼内に入射した光を透過させる機能を有しない。人工網膜には、非透過型太陽電池に入射されない光が到達する。このような眼内レンズシステムにおいても、駆動手段は、眼内に配置され、変換手段により得られた電気エネルギーを受けてレンズの焦点距離を変更することができる。
また、眼内レンズシステムでは、変換手段に、眼内に入射した光の一部を通過させる開口部(たとえば開口部231)が形成されていてもよい。
このような眼内レンズシステムによれば、開口部を通過した光を人工網膜に到達させることができるので、人工網膜に到達させる光をできるだけ遮ることなく、変換手段の受光面のサイズをより大きくすることができるようになる。
また、眼内レンズシステムでは、開口部は、人工網膜において黄斑部に対向する位置に形成されていてもよい。
このような眼内レンズシステムによれば、変換手段の受光面のサイズと、人工網膜のサイズとを十分に確保することができる。
また、眼内レンズシステムでは、光電変換素子アレイは、開口部を通過した光を受けて電気信号を発生してもよい。
このような眼内レンズシステムによれば、変換手段の受光面のサイズを確保してできるだけ多くの電力を発生させながら、人工網膜のサイズを確保してできるだけ視覚野に送る情報を多くすることができる。
〈第8の実施形態>
第7の実施形態において、非透過型太陽電池230に形成された開口部に、黄斑部に到達する光束を調整するレンズが設けられていてもよい。これにより、開口部のサイズを調整することができるので、たとえば非透過型太陽電池230の受光部分の面積を大きく確保することが可能となり、より多くの電力を発生させることが可能となる。また、非透過型太陽電池230に対しアルバレツレンズ110が配置される方向を前方とした場合、非透過型太陽電池230の後方に配置される人工網膜380のサイズを大きくすることができるため、人工網膜380により検知される画像のサイズも大きくすることができる。この結果、人工網膜380において検知された画像に基づく上記の制御の精度を向上させることができる。
なお、透過型太陽電池130もまた、開口部に設けられ黄斑部に到達する光束を調整するレンズを含んで構成されていてもよい。この場合も、上記と同様の効果を得ることができる。
[効果]
第8の実施形態に係る眼内レンズシステムは、実施形態に係る眼内レンズシステムの一例である。実施形態に係る眼内レンズシステムは、第7の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を有する。
眼内レンズシステムでは、開口部に、黄斑部に到達する光束を調整するレンズが設けられていてもよい。
このような眼内レンズシステムによれば、非透過型太陽電池の受光部分の面積を大きく確保することが可能となり、より多くの電力を発生させることが可能となる。また、人工網膜のサイズを大きくすることができるため、人工網膜により検知される画像のサイズも大きくすることができる。この結果、人工網膜において検知された画像に基づく上記の制御の精度を向上させることができる。
(第1変形例)
上記の実施形態に係る眼内レンズシステムでは、アルバレツレンズにより球面度数を変更する場合について説明したが、アルバレツレンズにより乱視度数を変更するようにしてもよい。たとえば、図2において、光学素子111、112を軸Oに直交するxy平面内でx方向(左右方向)に相対的に移動させることにより、光学素子111、112を光学的に合成して得られる乱視度数(屈折力)を連続的に変化させることができる。図2では、光学素子111が左方向(−x方向)に移動され、光学素子112が右方向(+x方向)に移動される。
また、アルバレツレンズ110の入射側に、バリアブルクロスシリンダレンズを配置することにより、乱視度数を変更するようにしてもよい。バリアブルクロスシリンダレンズは、一対のシリンダレンズにより構成される。この場合、一対のシリンダレンズを相対的に回動させることにより、一対のシリンダレンズを光学的に合成することにより得られる乱視度数が連続的に変化する。たとえば、公知の超音波リニアモータにより、一対のシリンダレンズの一方が正回転方向に回転駆動され、一対のシリンダレンズの他方が逆回転方向に回転駆動される。
また、透過波長や透過率や倍率などの任意の光学特性の変更が可能な光学素子や光線の向きを変更するプリズムをアルバレツレンズ110の入射側や出射側に配置するようにしてもよい。
(第2変形例)
上記の実施形態又は第1変形例に係る眼内レンズシステムでは、焦点可変レンズとしてアルバレツレンズを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではない。
図21は、第2変形例に係るレンズの構成例の断面図を表す。図21は、第2変形例に係るレンズを横方向から見たときの軸Oを通る垂直断面図を模式的に表したものである。
第2変形例に係るレンズ710は、一対の光学素子711、712と、一対のくさび部材(スペーサ)713、714とを備えている。光学素子711、712は、レンズ710の所定の軸Oと光軸が一致するように配置される。光学素子711は、図示しない第1の付勢手段により軸Oに沿った第1方向L1に付勢されている。光学素子712は、図示しない第2の付勢手段により軸Oに沿った第1方向L1と反対の第2方向L2に付勢されている。くさび部材713、714は、光学素子711、712の間隔が変更されるように、第1方向L1及び第2方向L2に直交する第3方向L3及び第4方向L4に移動可能に構成される。光学素子711、712の間隔を広げるとき、くさび部材713、714を近接させる。その具体例として、光学素子711、712の間隔を広げるとき、くさび部材713は、駆動信号に基づいて駆動部150により第3方向L3に移動され、くさび部材714は、駆動信号に基づいて駆動部150により第4方向L4に移動される。光学素子711、712の間隔を狭めるとき、くさび部材713、714を遠離させる。その具体例として、光学素子711、712の間隔を狭めるとき、くさび部材713は、駆動信号に基づいて駆動部150により第3方向L3と反対の方向L3aに移動され、くさび部材714は、駆動信号に基づいて駆動部150により第4方向L4と反対の方向L4aに移動される。これにより、第2変形例に係るレンズ710は、駆動部150により焦点距離の変更が可能となる。上記の実施形態又は第1変形例において、アルバレツレンズ110に代えて第2変形例に係るレンズ710を用いることができる。
(第3変形例)
上記の実施形態において、眼内に配置後にパラメータ(テーブル情報や閾値)や制御部により実行されるプログラムなどを変更する方法として、侵襲的に行う方法と、非侵襲的(低侵襲的)に行う方法とがある。
侵襲的に行う方法は、たとえば手術などにより眼内レンズシステムの少なくとも一部を取り出したり、眼内に器具を挿入して予め定められた方法で眼内レンズシステムを直接的に操作したりすることによって、内部に記憶されるパラメータやプログラムなどを変更する方法である。
非侵襲的に行う方法は、たとえばレーザなどの光(磁力や電磁波などでもよい)を受けて制御される1又は複数のスイッチを眼内(たとえば第1検知部や制御部の表面など)に設け、眼の外部からレーザの照射などを行うことにより1又は複数のスイッチのスイッチング状態を変更する方法である。1又は複数のスイッチのスイッチング状態に応じた信号が発生され、第1検知部や制御部では、この信号を受けてテーブル情報や閾値やプログラムの切り替えが行われる。スイッチの操作内容は、レーザ強度や照射時間や照射パターン等によって切り替えることができる。また、複数のスイッチが設けられる場合、操作対象のスイッチの選択や操作順序に応じて操作内容が切り替えられてもよい。
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
たとえば、上記の実施形態又は変形例に係るレンズの構成は、図2又は図21において説明した構成に限定されるものではない。また、上記の実施形態又は変形例に係る駆動部は、図3及び図4において説明したものに限定されるものではなく、たとえば、アクチュエータの機能を有するMEMSにより構成されてもよい。
透過型太陽電池130及び非透過型太陽電池230は、上記の実施形態又は変形例において説明したものに限定されるものではない。透過型太陽電池130又は非透過型太陽電池230として、たとえば色素増感太陽電池(Dye−Sensitized Solar Cell)を用いてもよい。
上記の実施形態又は変形例を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。