JP2018019033A - コイル部品及びその製造方法 - Google Patents

コイル部品及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018019033A
JP2018019033A JP2016150249A JP2016150249A JP2018019033A JP 2018019033 A JP2018019033 A JP 2018019033A JP 2016150249 A JP2016150249 A JP 2016150249A JP 2016150249 A JP2016150249 A JP 2016150249A JP 2018019033 A JP2018019033 A JP 2018019033A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
coil component
oxide film
coil
magnetic body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016150249A
Other languages
English (en)
Inventor
正大 八矢
Masahiro Hachiya
正大 八矢
秀多 勅使川原
Hidekazu Teshigawara
秀多 勅使川原
孝 髪口
Takashi Kamiguchi
孝 髪口
高橋 修
Osamu Takahashi
修 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Yuden Co Ltd filed Critical Taiyo Yuden Co Ltd
Priority to JP2016150249A priority Critical patent/JP2018019033A/ja
Publication of JP2018019033A publication Critical patent/JP2018019033A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】軟磁性合金粒子で構成された磁性体部の絶縁性を確保するための技術を提供する。【解決手段】コイル部品は、磁性体部と、コイル部と、を具備する。上記磁性体部は、鉄、シリコン、並びに、クロム及びアルミニウムの少なくとも一方を含む合金部と、上記合金部を覆う酸化物膜と、を有し、上記合金部の表面に部分的にリン酸塩化合物が存在している軟磁性合金粒子で構成されている。上記磁性体部では、上記軟磁性合金粒子同士が上記酸化物膜において互いに結合している。上記コイル部は、上記磁性体部の内部又は表面に設けられている。この構成では、磁性体部にリン酸塩処理が施されることにより、磁性体部を構成する軟磁性合金粒子の表面における合金部が露出した部分にリン酸塩化合物が存在している。これにより、コイル部品における磁性体部の良好な絶縁性が確保される。【選択図】図7

Description

本発明は、軟磁性合金粒子で構成された磁性体部を有するコイル部品及びその製造方法に関する。
高周波で用いられるコイル部品の磁性体部としてはフェライトコアが広く知られている。これに対し、特許文献1〜3には、軟磁性合金粒子で構成された磁性体部を有するコイル部品が開示されている。これらのコイル部品では、フェライトコアを用いたコイル部品よりも高い飽和磁束密度が得られる。
軟磁性合金は、フェライトとは異なり導電性を有する。このため、特許文献1〜3には、磁性体部の絶縁性を確保するための技術が記載されている。具体的に、特許文献1には、軟磁性合金粒子を樹脂で被覆する技術が記載されている。特許文献2,3には、軟磁性合金粒子の表面に酸化物膜を形成する技術が記載されている。
特開2007−027354号公報 特開2013−098210号公報 特開2013−110171号公報
しかしながら、軟磁性合金粒子を樹脂で被覆する技術では、樹脂の供給が不足することにより樹脂で被覆されない部分が発生することがある。また、軟磁性合金粒子の表面に酸化物膜を形成する技術では、酸素の供給が不足することにより酸化物膜が形成されない部分が発生することがある。
更に、コイル部品の製造過程において磁性体部の表面に負荷が加わることにより、磁性体部の表面では軟磁性合金粒子を覆う樹脂や酸化物膜が剥がれることがある。以上のような要因によって磁性体部の表面や内部において軟磁性合金成分が露出すると、磁性体部の絶縁性の低下や、コイル部品の静電気耐圧の低下が生じる。
また、磁性体部に外部電極が設けられる際に、磁性体部に焼き付けられた下地層にめっき処理が施される。磁性体部の表面の絶縁性が不十分であると、めっき処理において下地層を超えて磁性体部の表面までめっき膜が延伸することがある。これにより、コイル部品における絶縁耐圧が低下する。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、軟磁性合金粒子で構成された磁性体部の絶縁性を確保するための技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るコイル部品は、磁性体部と、コイル部と、を具備する。
上記磁性体部は、鉄、シリコン、並びに、クロム及びアルミニウムの少なくとも一方を含む合金部と、上記合金部を覆う酸化物膜と、を有し、上記合金部の表面に部分的にリン酸塩化合物が存在している軟磁性合金粒子で構成されている。
上記磁性体部では、上記軟磁性合金粒子同士が上記酸化物膜において互いに結合している。
上記コイル部は、上記磁性体部の内部又は表面に設けられている。
この構成では、磁性体部にリン酸塩処理が施されることにより、磁性体部を構成する軟磁性合金粒子の表面における合金部が露出した部分にリン酸塩化合物が存在している。これにより、コイル部品における磁性体部の良好な絶縁性が確保される。
上記磁性体部の表面のリンの濃度が0.5at%以上5.0at%未満であってもよい。
上記合金部は、88wt%以上の鉄を含有してもよい。
これらの構成では、磁性体部の表面における絶縁性をより確実に確保するとともに、リン酸塩化合物が過剰に析出することを防止することができる。
上記磁性体部の表面及び内部にある上記軟磁性合金粒子の表面に部分的に上記リン酸塩化合物が存在していてもよい。
この構成では、磁性体部の表面のみならず内部における絶縁性をより確実に確保することできる。
上記磁性体部はポアを有していてもよい。
この場合、上記磁性体部における上記ポアの比率は、JIS規格「JIS−R1634」に準拠した開気孔率で1%以上5%以下であってもよい。
この構成では、酸化物膜が安定し、良好な機械的強度及び透磁率を両立することができる。
上記酸化物膜は、第1酸化物膜と、上記第1酸化物膜の外側に形成された第2酸化物膜と、を含む複層構造を有してもよい。
上記第1酸化物膜は、クロム及びアルミニウムの少なくとも一方を含む酸化物を主成分としてもよい。
上記第2酸化物膜は、鉄と、クロム及びアルミニウムの少なくとも一方とを含む酸化物を主成分とし、上記第1酸化物膜よりも厚くてもよい。
上記酸化物膜は、凹凸形状を有してもよい。
これらの構成では、軟磁性合金粒子の表面に酸化物膜を形成することにより、磁性体部における絶縁性が得られる。
上記磁性体部は、上記軟磁性合金粒子の間に配置された樹脂を含んでもよい。
この構成では、軟磁性合金粒子の間に樹脂を配置することにより、磁性体部における更に高い絶縁性が得られる。
複数の磁性体層が積層された構成を有し、上記コイル部が上記磁性体部の内部に設けられていてもよい。
この構成では、積層型のコイル部品において、磁性体部の絶縁性を確保することができる。
上記コイル部品は、上記磁性体部の表面に設けられたガラスマーカを更に具備してもよい。上記ガラスマーカは、ホウ珪酸ガラスを主成分としてもよい。
上記ガラスマーカは、ナトリウムの濃度が0.4at%未満であり、マグネシウムの濃度が0.4at%未満であり、カリウムの濃度が1.0at%未満であり、コバルト及び錫を含まなくてもよい。
上記ガラスマーカでは、ガラス転移点が550℃以上であり、軟化点が700℃以上であってもよい。
これらの構成では、磁性体部の表面にガラスマーカを設けることにより、実装時などにおいてコイル部品の向きを容易に判別可能となる。ガラスマーカを上記のようなガラスで形成することにより、リン酸塩処理によってガラスマーカが消失することを防止することができる。
本発明の別の形態では、磁性体部と、上記磁性体部の内部又は表面に設けられたコイル部と、を具備するコイル部品の製造方法が提供される。
コイル部品の製造方法では、鉄、シリコン、及びクロムを含む軟磁性合金粒子を用いて上記磁性体部が形成される。
そして、上記磁性体部のポアに処理液を浸透させることにより上記磁性体部にリン酸塩処理が施される。
上記リン酸塩処理には、リン酸マンガンを用いてもよい。
これらの構成では、磁性体部の表面及び内部において絶縁性が確保されたコイル部品を製造することができる。
以上述べたように、本発明によれば、軟磁性合金粒子で構成された磁性体部の絶縁性を確保するための技術を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るコイル部品の斜視図である。 上記コイル部品の図1のA−A線に沿った断面図である。 上記コイル部品の本体部の分解斜視図である。 上記コイル部品の製造方法を示すフローチャートである。 上記コイル部品の製造過程における磁性体部の表面付近を模式的に示す部分断面図である。 上記コイル部品の製造過程における磁性体部の表面付近を模式的に示す部分断面図である。 上記コイル部品の製造過程における磁性体部の表面付近を模式的に示す部分断面図である。 上記コイル部品の製造方法の変形例を示すフローチャートである。 上記コイル部品の製造過程における磁性体部の表面付近を模式的に示す部分断面図である。 上記コイル部品の製造過程における磁性体部の表面付近を模式的に示す部分断面図である。 上記コイル部品にガラスマーカを設けた構成を示す斜視図である。 本発明の別の実施形態に係るコイル部品の側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
1.コイル部品10の全体構成
図1,2は、本発明の一実施形態に係るコイル部品10を示す図である。図1は、コイル部品10の斜視図である。図2は、コイル部品10の図1のA−A線に沿った断面図である。コイル部品10は、積層構造を有する積層インダクタとして構成される。コイル部品10は、本体部11と、第1外部電極14と、第2外部電極15と、を有する。
コイル部品10は、X軸方向に幅W、Y軸方向に長さL、Z軸方向に高さHを有する直方体形状に形成されている。コイル部品10の幅W、長さL、及び高さHは、任意に決定可能である。例えば、コイル部品10では、長さLを1.6〜2mmとし、幅Wを0.8〜1.2mmとし、高さHを0.4〜0.6mmとすることができる。
外部電極14,15は、本体部11のY軸方向を向いた両端面を覆い、両端面を接続する4つの面に沿ってY軸方向に延出している。これにより、外部電極14,15のY軸方向に沿った断面はU字状となっている。外部電極14,15は、導電性材料で形成され、コイル部品10の一対の端子を構成する。
本体部11は、磁性体部12と、コイル部13と、を有する。磁性体部12は、本体部11の外形を形成している。コイル部13は、導電性材料で螺旋状に形成され、磁性体部12の内部に配置されている。コイル部13は、第1外部電極14に引き出された引出端部13e1と、第2外部電極15に引き出された引出端部13e2と、を有する。
磁性体部12は、軟磁気特性を有する軟磁性合金粒子の集合体として構成される。具体的に、軟磁性合金粒子は、Fe(鉄)及びSi(シリコン)を含み、かつCr(クロム)及びAl(アルミニウム)の少なくとも一方を更に含む軟磁性合金の粒子である。
より具体的に、軟磁性合金粒子は、Feを88wt%以上含有することが好ましい。この場合、軟磁性合金粒子は、Si、Cr、Alを合計で5wt%以上含有することが好ましい。軟磁性合金粒子の組成をこのようにすることによって、過剰な酸化を抑えつつ、良好な飽和特性を持つ磁性体部12を形成することができる
磁性体部12を構成する軟磁性合金粒子の表面には、酸化物膜が形成されている。隣接する軟磁性合金粒子は、酸化物膜において結合している。磁性体部12は、軟磁性合金粒子の間にポア(空隙)を有している。磁性体部12におけるポアの比率は、JIS規格「JIS−R1634」に準拠した開気孔率として評価可能である。
磁性体部12におけるポアの比率は、上記の開気孔率で、1%以上5%以下であることが好ましく、1%以上2%以下であることが更に好ましい。
磁性体部12におけるポアの比率を1%以上とすることにより、磁性体部12のポアを、磁性体部12の表面から内部に連続するオープンポアとして存在させることができる。これにより、焼成時に磁性体部12の内部に酸素が供給されやすくなり、磁性体部12の内部にある軟磁性合金粒子にも良好に酸化物膜を形成することができる。
つまり、ポアの比率を1%以上とすることにより、軟磁性合金粒子における酸化膜の欠陥が生じにくくなるため、磁性体部12における高い絶縁性が得られやすくなる。また、軟磁性合金粒子における酸化膜の欠陥による、軟磁性合金粒子同士の結合強度の低下が生じにくくなる。
また、磁性体部12におけるポアの比率を5%以下、更には2%以下に留めることにより、軟磁性合金粒子の高い充填率を確保することができる。軟磁性合金粒子の充填率が高いと、軟磁性合金粒子同士の磁気的な結合箇所が多くなるため、磁性体部12において高い透磁率が得られる。
このように、磁性体部12におけるポアの比率を1%以上5%以下であること、更には1%以上2%以下とすることにより、良好な透磁率、絶縁性、及び結合強度を有するコイル部品10を得ることができる。
磁性体部12を構成する軟磁性合金粒子の酸化物膜は、内側に配置された第1酸化物膜と外側に配置された第2酸化物膜とを含む複層構造を有することが好ましい。この場合、第2酸化物膜が第1酸化物膜よりも厚く、隣接する軟磁性合金粒子が第2酸化物膜において結合していることが更に好ましい。
磁性体部12では、軟磁性合金粒子が酸化物膜において結合しており、軟磁性合金粒子が密集しているため、ポアの寸法及び容積が小さい。これにより、磁性体部12では軟磁性合金粒子の充填率を高めることができる。また、粒径の小さい軟磁性合金粒子を利用することにより、磁性体部12における軟磁性合金粒子の充填率を更に高めることができる。
酸化物膜を構成する材料は、絶縁性を有するものであればよく、特定のものに限定されない。また、第1酸化物膜及び第2酸化物膜を構成する材料の組み合わせも、特定のものに限定されない。一例として、第1酸化物膜がCrを含む酸化物で形成され、第2酸化物膜がFe及びCrを含む酸化物で形成される。
コイル部品10では、磁性体部12にリン酸塩処理を施すことにより、磁性体部12の表面及び内部の絶縁性が確保されている。これにより、磁性体部12には、リン酸塩処理に由来するP(リン)が存在している。なお、リン酸塩処理の詳細については、コイル部品10の製造方法の項目において説明する。
磁性体部12におけるPの存在については、エネルギー分散型X線分析(EDS:Energy dispersive X−ray spectrometry)により確認することができる。つまり、磁性体部12の表面及び内部についてEDSによってPの濃度を測定することにより、磁性体部12におけるPの存在を確認することができる。
具体的に、コイル部品10では、磁性体部12の表面におけるPの濃度が0.5at%以上5.0at%未満であることが好ましい。これにより、リン酸塩処理による効果を充分得ることができるとともに、磁性体部12の表面に存在するリン酸塩化合物の影響による不具合(後述のめっき延び不良や半田濡れ性不良)を抑制することができる。
また、リン酸塩処理時に、磁性体部12のポアに処理液が進入するため、磁性体部12の内部にもPが存在する。具体的に、磁性体部12の表面から100μm以上の深さにある内部においてもPの存在を確認することができる。
なお、磁性体部12の内部では、磁性体部12の表面とは異なり、上述のようなリン酸塩化合物の存在の影響による不具合が生じない。このため、磁性体部12の内部にもリン酸塩処理がなされることによりPが存在していれば、その濃度に関わらず、磁性体部12の絶縁性を向上させる効果が得られる。
図3は、本体部11の分解斜視図である。本体部11は、Z軸方向に積層されて一体化された磁性体層MLU,ML1〜ML7,MLDを有する。最上層の磁性体層MLU及び最下層の磁性体層MLDは、磁性体部12のカバー層を構成する。磁性体層MLU,MLDに挟まれた磁性体層ML1〜ML7によってコイル部13が形成される。
コイル部13は、導体パターンC11〜C17と、ビアV1〜V6と、で構成されている。導体パターンC11〜C17は、磁性体層ML1〜ML7にそれぞれ所定形状に形成されている。最上層の磁性体層ML1の導体パターンC1に引出端部13e1が形成され、最下層の磁性体層ML7の導体パターンC17に引出端部13e2が形成されている。
ビアV1〜V6は、磁性体層ML1〜ML6にそれぞれ形成され、磁性体層ML1〜ML6をZ軸方向に貫通する貫通電極として構成される。これにより、導体パターンC11〜C17は、ビアV1〜V6を介して直列接続されることによりZ軸方向に螺旋状に延びるコイル部13が形成される。
なお、コイル部13の構成は、上記に限定されない。例えば、コイル部13の巻き数は、磁性体層の積層数を変更することにより、任意に変更可能である。また、導体パターンC11〜C17は、図3に示す形状でなくてもよい。例えば、導体パターンC11〜C17の形状は、矩形状や多角形状などであってもよい。
2.コイル部品10の製造方法
図4は、コイル部品10の製造方法を示すフローチャートである。図5〜7は、製造過程のコイル部品10の磁性体部12の表面付近を模式的に示す部分断面図である。
以下、コイル部品10の製造方法について、図4のフローチャートに沿って、図5〜7を適宜参照しながら説明する。
なお、図5〜7(及び後述の図9,10)は、説明の便宜上、等しい形状の軟磁性合金粒子Gが整列している状態を模式的に示している。しかし、実際の磁性体部12は、様々な形状の各軟磁性合金粒子Gの集合体として構成される。
2.1 ステップS01:磁性シート作製工程
ステップS01では、軟磁性合金粒子で構成された磁性シートを作製する。磁性シートを作製するためには、まず磁性ペーストが用意される。磁性ペーストは、ベースフィルムに塗工される。ベースフィルムとしては、例えば、PETなどの樹脂で形成されたフィルムを用いることができる。
磁性ペーストのベースフィルムへの塗工には、例えば、ドクターブレードやダイコータなどの塗工機を用いることができる。そして、ベースフィルムに塗工された磁性ペーストを乾燥させることにより、図3に示す磁性体層MLU,ML1〜ML7,MLDを形成するための磁性シートが得られる。
ベースフィルムに塗工された磁性ペーストの乾燥には、例えば、熱風乾燥機などの乾燥機を用いることができる。乾燥機を用いた磁性ペーストの乾燥は、例えば、約80℃で約5分保持する条件で実施可能である。本ステップでは、各磁性シートが、個片化されていない大径のシートとして得られる。
磁性ペーストの組成は、例えば、軟磁性合金粒子を85wt%、ブチルカルビトール(溶剤)を13wt%、ポリビニルブチラール(バインダ)を2wt%とすることができる。軟磁性合金粒子の平均粒径(メディアン径)は、例えば約5μmとすることができる。軟磁性合金粒子の組成は、適宜決定可能であり、磁性シートごとに変えてもよい。
2.2 ステップS02:貫通孔形成工程
ステップS02では、ステップS01で得られた磁性シートに、図3に示す磁性体層ML1〜ML6のビアV1〜V6に対応する貫通孔を形成する。磁性シートへの貫通孔の形成には、例えば、打ち抜き加工機やレーザ加工機などの穿孔機が用いられる。なお、磁性体層MLU,ML7,MLDに対応する磁性シートには貫通孔形成工程を実施しない。
2.3 ステップS03:導体ペースト配置工程
ステップS03では、ステップS01で貫通孔が形成された磁性シートに、図3に示す磁性体層ML1〜ML7の導体パターンC11〜C17に対応するパターンで導体ペーストを印刷する。磁性体層ML1〜ML6に導体ペーストを印刷する際には、ステップS02で形成された貫通孔に導体ペーストを充填する。
磁性シートへの導体ペーストの印刷には、例えば、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いることができる。
導体ペーストとしては、例えば、Agペーストを用いることができる。Agペーストの組成は、Ag粒子を85wt%、ブチルカルビトール(溶剤)を13wt%、ポリビニルブチラール(バインダ)を2wt%とすることができる。Ag粒子のd50(メディアン径)は、例えば約5μmとすることができる。
そして、このように磁性シートに配置された導体ペーストを乾燥させる。導体ペーストの乾燥には、例えば、熱風乾燥機などの乾燥機を用いることができる。乾燥機を用いた導体ペーストの乾燥は、例えば、約80℃で約5分保持する条件で実施可能である。なお、磁性体層MLU,MLDに対応する磁性シートには導体ペースト配置工程を実施しない。
2.4 ステップS04:積層・圧着工程
ステップS04では、磁性体層MLU,ML1〜ML7,MLDに対応する磁性シートを図3に示す順序で積み重ねて熱圧着することにより積層体を作製する。磁性シートの搬送には、例えば吸着搬送機を用いることができる。また、磁性シートの熱圧着には、各種プレス機を用いることができる。
2.5 ステップS05:個片化工程
ステップS05では、ステップS04で得られた積層体を、コイル部品10の本体部11のサイズに切り分けることにより個片化する。これにより、未焼成の本体部11が得られる。積層体の個片化には、例えば、ダイシング機やレーザ加工機などの切断機を用いることができる。
2.6 ステップS06:焼成工程
ステップS06では、ステップS05で得られた未焼成の本体部11を、大気などの酸化性雰囲気中で焼成する。未焼成の本体部11の焼成には、各種焼成炉のような加熱処理機を用いることができる。焼成工程には、以下に説明する脱脂プロセス及び酸化物膜形成プロセスが含まれる。
脱脂プロセスでは、軟磁性合金粒子の間に存在するバインダなどが除去される。これにより、軟磁性合金粒子の間におけるバインダなどが存在していた領域にはポア(空隙)が形成される。これと同時に、導体ペーストにも、バインダが除去されることによりポアが形成される。脱脂プロセスは、例えば、約300℃で約1時間保持する条件で実施可能である。
酸化物膜形成プロセスは、脱脂プロセスに引き続いて昇温することにより、脱脂プロセスよりも高温で実施される。酸化物膜形成プロセスでは、各軟磁性合金粒子の表面に凹凸形状の酸化物膜が形成される。このとき、隣接する軟磁性合金粒子同士が酸化物膜において結合する。これにより、軟磁性合金粒子が一体化して磁性体部12となる。
酸化物膜形成プロセスでは、軟磁性合金粒子の間に形成されたポアを介して、磁性体部12の内部にも充分に酸素が供給される。これにより、磁性体部12の内部にある軟磁性合金粒子にも酸化物膜が良好に形成される。
また、酸化物膜形成プロセスでは、脱脂プロセスで導体ペーストからバインダが除去されて残ったAg粒子が焼結して一体化することによりコイル部13となる。酸化物膜形成工程は、例えば、約700℃で約2時間保持する条件で実施可能である。これにより、本体部11が完成する。
なお、焼成工程は、製造効率の観点から、多数の未焼成の本体部11について一括して実施することが好ましい。また、焼成プロセスは、上記以外の条件に適宜変更可能であり、脱脂プロセス及び酸化物膜形成プロセス以外のプロセスを含んでいてもよい。また、焼成工程の各プロセスは、各別に実施してもよい。
図5は、焼成工程の直後の磁性体部12の表面付近の微細組織を模式的に示す部分断面図である。軟磁性合金粒子Gは、軟磁性合金で構成されたFe合金部G1と、内側に配置された第1酸化物膜G2と、外側に配置された第2酸化物膜G3と、を含む。また、隣接する軟磁性合金粒子Gの第2酸化物膜G3には、結合部Bが形成されている。
隣接する軟磁性合金粒子Gは、第2酸化物膜G3に形成された結合部Bにおいて結合している。したがって、本体部11の磁性体部12では、軟磁性合金粒子GのFe合金部G1同士が直接接触しないため、個々の軟磁性合金粒子Gが絶縁されている。これにより、磁性体部12において絶縁性が得られる。
図5に示すように、軟磁性合金粒子Gには、酸化物膜G2,G3に欠陥があり、Fe合金部G1が露出した露出部Dを有するものが存在する。ここで、焼成工程において、各軟磁性合金粒子Gの周囲に充分な酸素が存在する理想状態を想定すると、軟磁性合金粒子Gの表面が酸化物膜G2,G3によって完全に覆われ、露出部Dが形成されない。
しかし、酸素の供給量の不足や、脱脂プロセスにおけるバインダの分解に伴う酸素の消費などにより、軟磁性合金粒子Gには、酸化物膜G2,G3が形成されない部分が残り、Fe合金部G1が露出した露出部Dが発生する場合がある。露出部Dを有する軟磁性合金粒子Gは、磁性体部12の表面にも内部にも発生する。
2.7 ステップS07:バレル研磨工程
ステップS07では、ステップS06で得られた本体部11にバレル研磨を施す。バレル研磨は、例えば、複数の本体部11をコンパウンド及び水とともにバレル容器に封入し、バレル容器に運動を与えることにより実施可能である。これにより、本体部11の角部や稜部が良好に面取りされる。
2.8 ステップS08:下地層形成工程
ステップS08では、ステップS07で得られた本体部11に、図1,2に示す外部電極14,15の下地層を形成する。下地層形成工程では、本体部11の外部電極14,15が設けられる長手方向の両端部に導体ペーストを焼き付ける。下地層形成工程には、以下に説明する塗布プロセス及び焼き付けプロセスが含まれる。
塗布プロセスでは、予め用意した導体ペーストを、本体部11の長手方向の両端部に塗布する。導体ペーストの塗布には、例えば、ディップ塗布機やローラ塗布機などの公知の各種塗布機を用いることができる。導体ペーストとしては、例えば、Agペーストを用いることができる。
Agペーストは、公知のものから適宜選択可能である。例えば、Agペーストとしては、85wt%以上のAgを含み、ガラス、ブチルカルビトール(溶剤)、ポリビニルブチラール(バインダ)を更に含むものを用いることができる。また、Agペーストに用いるAg粒子のd50(メディアン径)は、約5μmとすることができる。
焼き付けプロセスでは、塗布プロセスで塗布された導体ペーストが本体部11に焼き付けられる。焼き付けプロセスには、例えば、各種焼成炉のような加熱処理機を用いることができる。焼き付けプロセスは、例えば、大気中において約600℃で約20分保持する条件で実施可能である。
焼き付けプロセスによって、外部電極14,15の下地層において、溶剤及びバインダが除去されるとともに、Ag粒子が焼結する。これにより、外部電極14,15の下地層が完成する。なお、焼き付けプロセスの条件は、導体ペーストの種類などに応じて適宜変更可能である。
2.9 ステップS09:リン酸塩処理工程
ステップS09では、ステップS08で外部電極14,15の下地層が形成された本体部11にリン酸塩処理を施す。リン酸塩処理は、Feの防錆処理として一般的に用いられる。一方、本実施形態では、リン酸塩処理により磁性体部12の表面における絶縁性を向上させる。このような目的のリン酸塩処理は一般的に知られていない。
上述のように、磁性体部12を構成する軟磁性合金粒子Gには、Fe合金部G1が露出している露出部Dが形成される。磁性体部12を構成する軟磁性合金粒子Gに導電性を有する露出部Dが存在すると、磁性体部12の絶縁性が低下する。これにより、コイル部品10の静電気耐圧が低下し、コイル部品10が静電気によって損傷を受けやすくなる。
また、バレル研磨工程において、磁性体部12の表面にある軟磁性合金粒子Gに更に露出部Dが形成されることがある。つまり、バレル研磨によって磁性体部12の表面に加わる負荷によって、Fe合金部G1から酸化物膜G2,G3が剥離することがある。バレル研磨工程では、強い負荷が加わりやすい磁性体部12の稜部に露出部Dが形成されやすい。
磁性体部12の表面の絶縁性が低下すると、後述するめっき処理工程において下地層を超えて磁性体部12の表面までめっき膜が延伸することがある。このようなめっき延びが発生すると、外部電極14,15の間における絶縁耐圧が低下するため、コイル部品10の信頼性が低下する。これらを防止するために、リン酸塩処理工程が実施される。
リン酸塩処理には、リン酸塩から作製される処理液が用いられる。リン酸塩処理に用いるリン酸塩としてはリン酸マンガンを用いることが好ましい。しかし、リン酸塩処理では、リン酸マンガン以外にも、例えば、リン酸鉄、リン酸カルシウム、及びリン酸亜鉛などを用いることができる。
リン酸塩処理では、リン酸イオン及び金属イオンを含む処理液に本体部11を浸漬する。リン酸塩処理は、リン酸塩の種類に応じて、適切な濃度に調整した処理液を用い、所定温度において所定時間実行する。リン酸塩処理後に、磁性体部12の表面に付着した処理液を除去するために、水などによる洗浄を行う。
図6は、リン酸塩処理工程の直後の磁性体部12の表面付近の微細組織を模式的に示す部分断面図である。リン酸塩処理では、処理液中のリン酸イオンが、軟磁性合金粒子Gの露出部D(図5参照)において露出したFe合金部G1に多く含まれるFeと選択的に反応する。これにより、軟磁性合金粒子Gの露出部Dにリン酸塩化合物Sが析出する。
リン酸塩化合物Sは絶縁性を有する。したがって、リン酸塩処理を適切な時間実行することにより、軟磁性合金粒子Gの露出部Dがリン酸塩化合物Sによって完全に被覆されると、磁性体部12の表面に導電性を有する部分がなくなる。これにより、磁性体部12における高い絶縁性が確保される。
なお、リン酸塩処理では、処理液がポアPを通って磁性体部12の内部に浸透するため、磁性体部12の内部にある軟磁性合金粒子Gの露出部Dもリン酸塩化合物Sによって被覆される。このため、リン酸塩処理では、磁性体部12の表面のみならず、磁性体部12の内部の絶縁性を確保することができる。
このように、軟磁性合金粒子G同士が直接結合する構成により磁性体部12の内部にポアPが形成されるため、リン酸塩処理の処理液を磁性体部12の内部に浸透させることが可能である。
この一方で、軟磁性合金粒子が樹脂中に分散した一般的な構成の磁性体部には、ポア(特にオープンポア)が形成されないため、リン酸塩処理によって磁性体部の内部の絶縁性を向上させることは困難である。
2.10 ステップS10:樹脂含浸処理工程
ステップS10では、ステップS09に引き続き、樹脂含浸処理を施す。樹脂含浸処理工程は、磁性体部12のポアPに樹脂材料を充填するために行う。なお、樹脂含浸処理工程において磁性体部12に含浸させる樹脂材料は、磁性体部12における絶縁性を得るために軟磁性合金粒子同士を離間させるものではない。
樹脂含浸処理工程には、以下に説明する、浸漬プロセス、拭き取りプロセス、及び乾燥プロセスが含まれる。浸漬プロセスでは、樹脂材料を含む溶液に磁性体部12を浸漬させることにより、樹脂材料を含む溶液を磁性体部12のポアPに浸透させる。樹脂材料としては、例えば、シリコン系樹脂を用いることができる。
樹脂材料としては、シリコン系樹脂以外にも、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、シリケート系樹脂、ウレタン系樹脂、イミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂などを用いることができる。また、樹脂材料は、これらの樹脂を複数組み合わせたものであってもよい。
浸漬プロセスは、大気圧よりも低い減圧雰囲気中で行ってもよい。これにより、樹脂材料の溶液を、短時間で、磁性体部12の全体にわたって充分に浸透させることが可能となる。また、浸漬プロセスでは、樹脂材料を含む溶液に代えて、樹脂材料の液状物を用いることもできる。
拭き取りプロセスでは、浸漬プロセスにおいて磁性体部12の表面や外部電極14,15の下地層に付着した樹脂材料を含む溶液を拭き取る。乾燥プロセスでは、拭き取りプロセス後の磁性体部12の内部に充填された樹脂材料の溶液の溶媒成分を蒸発させる。乾燥プロセスは、例えば、約150℃にて60分保持する条件で実施可能である。
これにより、磁性体部12のポアPを部分的に樹脂材料で埋めることができる。これにより、各軟磁性合金粒子Gの表面に配置された第2酸化物膜G3及びリン酸塩化合物S、並びに軟磁性合金粒子G同士が結合している結合部Bの周囲に樹脂材料が配置される。
なお、上述のとおり、磁性体部12におけるポアPの寸法及び容積が小さい。このため、樹脂材料を含む溶液や樹脂材料の液状物といった粘性の高い液体は、ポアPの細部に進入しにくい。また、樹脂材料を含む溶液では、乾燥プロセスにおいて溶媒成分が蒸発することにより、ポアP中に空間が形成される。
このため、ポアPを樹脂材料で完全に埋めることは困難である。ポアPにおける樹脂材料の充填率を向上させるために、例えば、浸漬プロセス、拭き取りプロセス、及び乾燥プロセスの一連のプロセスを2回繰り返すことができる。なお、樹脂含浸処理工程の一連のプロセスは3回以上繰り返してもよい。
図7は、樹脂含浸処理工程の直後の磁性体部12の表面付近の微細組織を模式的に示す部分断面図である。図7に示すように、樹脂含浸処理工程によって磁性体部12のポアP(図5参照)に樹脂材料Fが充填される。ポアP内の樹脂材料Fは、本体部11の強度の増大や磁性体部12の絶縁性の向上に寄与する。
また、樹脂材料Fが充填されたポアPには水分が進入しにくくなるため、磁性体部12の吸湿性が抑制される。これにより、磁性体部12内への水分の進入による、磁性体部12の絶縁性の低下が生じにくくなる。特に、高湿下においても磁性体部12の絶縁性を良好に保持することができる。
2.11 ステップS11:めっき処理工程
ステップS11では、ステップS10に引き続いて、ステップS03で本体部11に形成された下地層にめっき処理を行う。これにより、下地層にめっき膜が形成され、外部電極14,15が完成する。めっき処理は、一般的なNi(ニッケル)やSn(錫)などの電気メッキにより行うことができる。めっき膜は、単層であっても複層であってもよい。
めっき処理工程では、上記のリン酸塩処理の作用により、めっき膜が磁性体部12の表面まで延伸することなく、下地層のみに形成される。また、下地層におけるリン酸塩化合物の析出を防止することにより、下地層の全領域にわたってめっき膜が形成される。以上により、コイル部品10が完成する。
2.12 変形例
コイル部品10の製造方法の各ステップの順番は、必要に応じて入れ替えても構わない。一例として、上記実施形態ではリン酸塩処理工程(ステップS09)の後に樹脂含浸処理工程(ステップS10)を実施したが、図8に示すように、リン酸塩処理工程(ステップS09)の前に樹脂含浸処理工程(ステップS10)を実施してもよい。
変形例に係るコイル部品10の製造方法では、樹脂含浸処理工程(ステップS10)が、下地層形成工程(ステップS08)の直後に行われる。つまり、図5に示す本体部11に対して樹脂含浸処理工程を行う。図9は、樹脂含浸処理工程の直後の磁性体部12の表面付近の微細組織を模式的に示す部分断面図である。
樹脂含浸処理では、磁性体部12の内部にある軟磁性合金粒子Gに形成された露出部Dの一部が、樹脂材料Fによって覆われることにより絶縁される。しかし、磁性体部12の内部におけるすべての露出部Dを樹脂材料Fで覆うことは困難である。また、磁性体部の表面にある軟磁性合金粒子Gに形成された露出部Dを樹脂材料Fで覆うことも困難である。
また、樹脂含浸処理工程における拭き取りプロセスにおいて、磁性体部12の表面に負荷がかかるため、磁性体部12の表面にある軟磁性合金粒子Gに更に露出部Dが形成される場合もある。このように、樹脂含浸処理工程の後に絶縁されずに残る露出部Dを絶縁するためにリン酸塩処理工程(ステップS09)を行う。
本変形例に係るリン酸塩処理工程では、図9に示すポアPに樹脂材料Fが配置された磁性体部12に、樹脂材料Fの隙間に沿って処理液を浸透させる。本変形例では、ポアPに樹脂材料が配置されているため、上記実施形態よりも磁性体部12に処理液が浸透しにくい。しかし、本変形例でも、少なくとも磁性体部12の表面近傍には処理液が浸透する。
図10は、リン酸塩処理工程の直後の磁性体部12の表面付近の微細組織を模式的に示す部分断面図である。図9に示すリン酸塩処理工程の前の磁性体部12において絶縁されずに残っている露出部Dに選択的にリン酸塩化合物Sが析出している。これにより、リン酸塩化合物で覆われた露出部Dが絶縁され、磁性体部12における高い絶縁性が確保される。
図4に示す上記実施形態のように、リン酸塩処理工程を樹脂含浸処理工程より前に行う構成には、ポアPに樹脂材料Fが充填されていないため、リン酸塩処理の処理液が磁性体部12の内部に浸透しやすいというメリットがある。
この一方で、図8に示す本変形例のように、リン酸塩処理工程を樹脂含浸処理工程より後に行う構成には、樹脂含浸処理工程の拭き取りプロセスで形成された露出部Dをリン酸塩処理によって絶縁することができるというメリットがある。
上記の両方のメリットを得るために、樹脂含浸処理構成の前後にそれぞれリン酸塩処理工程を行ってもよい。更に、リン酸塩処理工程と樹脂含浸処理工程とを複数回繰り返し行ってもよい。この場合、リン酸塩処理工程及び樹脂含浸処理工程の順番及び回数は適宜決定可能である。
3.ガラスマーカ
図11は、ガラスマーカMが設けられたコイル部品10の斜視図である。ガラスマーカMは、コイル部品10の実装時などに、コイル部品10のX軸、Y軸、及びZ軸方向の向きを容易に判別可能とするために設けられる。図11に示す例では、ガラスマーカMが本体部11のZ軸方向上面に設けられているが、ガラスマーカMの配置はこれに限定されない。
ガラスマーカMを形成するためには、焼成工程(ステップS06)より前の段階で、最上層の磁性体層MLU(図3参照)に対応する磁性シートにガラス粉末を含むガラスペーストを印刷しておく。これにより、焼成工程においてガラスペースト中のガラス粉末が焼結してガラスマーカMとなる。
しかしながら、一般的な低融点ガラスペーストで形成されたガラスマーカMは、リン酸塩処理工程において消失してしまうことが確認された。これに対し、本実施形態では、耐薬品性の高いホウ珪酸ガラスを主成分として用いることにより、リン酸塩処理工程において消失することのないガラスマーカMを実現した。
より具体的に、ホウ珪酸ガラスを主成分とするガラスマーカMでは、Na(ナトリウム)の濃度が0.4at%未満であり、Mg(マグネシウム)の濃度が0.4at%未満であり、K(カリウム)の濃度が1.0at%未満であることが好ましい。これにより、ガラスマーカMのリン酸塩処理液への溶出を効果的に抑制することができる。
また、このガラスマーカMでは、Co(コバルト)及びSn(錫)の濃度がそれぞれ0.1at%未満であることが好ましく、Co及びSnが含まれていないことが更に好ましい。これにより、ガラスマーカMのリン酸塩処理液への溶出を更に効果的に抑制することができる。
ガラスマーカMにおける各元素の濃度は、ガラスマーカMの表面においてEDSによって測定することができる。また、ガラスマーカMでは、上記のようなリン酸塩処理液への溶出を効果的に抑制可能な組成とする場合に、転移点が550℃以上であり、軟化点が700℃以上となることが確認されている。
このことより、ガラスマーカMでは、転移点が550℃以上であり、軟化点が700℃以上であることが更に好ましい。これらにより、ガラスマーカMによって向きを容易に判別可能なコイル部品10が得られる。
4.実施例
4.1 サンプルの作製
リン酸塩処理による効果を確かめるために、磁性体部12の表面のPの濃度が異なるコイル部品10のサンプル1〜6を作製し、評価を行った。サンプル1〜6は、上記のコイル部品10の製造方法に沿って作製した。リン酸塩処理以外のサンプル1〜6の作製条件は共通とした。
サンプル1には、リン酸塩処理を行っていない。
サンプル2には、磁性体部12の表面のPの濃度が0.5at%となる条件でリン酸塩処理を行った。
サンプル3には、磁性体部12の表面のPの濃度が2.7at%となる条件でリン酸塩処理を行った。
サンプル4には、磁性体部12の表面のPの濃度が3.3at%となる条件でリン酸塩処理を行った。
サンプル5には、磁性体部12の表面のPの濃度が4.8at%となる条件でリン酸塩処理を行った。
サンプル6には、磁性体部12の表面のPの濃度が5.0at%となる条件でリン酸塩処理を行った。
4.2 評価方法
サンプル1〜6について、(1)静電気耐圧、(2)めっき延び不良率、及び(3)半田濡れ性の3項目について評価を行った。
(1)静電気耐圧
静電気耐圧試験としては、JEITA規格「ED4701 300−2」に準拠した人体モデル(HBM:Human Body Model)試験を行った。試験条件としては、放電容量を100pFとし、放電抵抗を1.5kΩとし、パルス印加数を両極各3回とした。各サンプル1〜6について各試験電圧ごとに10個ずつ試験を行った。
サンプル1〜6について、試験前後にそれぞれQ値の周波数特性を測定し、試験前後での10MHzにおけるQ値の変化を評価した。サンプル1〜6のうち、試験前後で10MHzにおけるQ値が10%以上低下したものを不良と判定した。不良が発生しない試験電圧の上限の平均値を各サンプル1〜6の静電気耐圧とした。
(2)めっき延び不良率
各サンプル1〜6それぞれ1000個について、外部電極14,15を観察し、コイル部品10の長手方向において外部電極14,15の寸法の30%以上の長さのめっき延びが発生しているものをめっき延び不良と判定した。そして、各サンプル1〜6についてめっき延び不良率を算出した。
(3)半田濡れ性
各サンプル1〜6を235℃及び260℃の半田槽にディップすることにより、各サンプル1〜6の外部電極14,15上に半田を形成した。サンプル1〜6のうち、半田が形成された外部電極14,15において、半田が外部電極14,15の全領域を覆っているものを合格(A)と判定し、半田に不連続な部分が存在するものを不合格(B)と判定した。
4.3 評価結果
サンプル1〜6についての評価結果を表1に示す。
Figure 2018019033
(1)静電気耐圧
リン酸塩処理を行ったサンプル2〜6では高い静電気耐圧が得られ、サンプル3〜6では特に高い静電気耐圧が得られた。
一方、リン酸塩処理を行っていないサンプル1では、静電気耐圧が低かった。この結果から、サンプル1では、磁性体部12の表面における絶縁性が不十分であり、静電気によって損傷を受けやすいものと考えられる。
(2)めっき延び不良率
リン酸塩処理を行ったサンプル2〜6では、いずれもメッキ延び不良を1%以下に抑えることができた。
一方、リン酸塩処理を行っていないサンプル1では、メッキ延伸不良が3%発生した。この結果から、サンプル1では、磁性体部12の表面における絶縁性が不十分であるものと考えられる。
(3)半田濡れ性
サンプル1〜5では、いずれも半田濡れ性が合格となった。
一方、リン酸塩処理を磁性体部12の表面のPの濃度が5.0at%となる条件で行ったサンプル6では、半田濡れ性が不合格となった。この結果から、サンプル6では、リン酸塩処理が過剰であり、外部電極14,15の下地層に析出したリン酸塩化合物によってめっき膜の形成が阻害されたものと考えられる。
5.その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、外部電極14,15は、引出端部13e1,13e2に接続されていればよく、上記の構成に限定されない。一例として、外部電極14,15は、本体部11の長手方向の両端面ではなく、短手方向の両端面に設けられていてもよい。また、外部電極14,15の形状は、任意に決定可能である。
また、リン酸塩処理による本発明の作用は、図12で示すような、軟磁性合金粒子で構成された磁性体部112の表面にコイル部113が巻き付けられ、コイル部113の両端に電極114,115が設けられた巻き線型のコイル部品110でも得られる。この場合、コイル部113を巻き付ける前の磁性体部112にリン酸塩処理を施すことが好ましい。
10…コイル部品
11…本体部
12…磁性体部
13…コイル部
14,15…外部電極
G…軟磁性合金粒子
G1…Fe合金部
G2…第1酸化物膜
G3…第2酸化物膜
P…ポア
D…露出部
F…樹脂材料
S…リン酸塩化合物

Claims (16)

  1. 鉄、シリコン、並びに、クロム及びアルミニウムの少なくとも一方を含む合金部と、前記合金部を覆う酸化物膜と、を有し、前記合金部の表面に部分的にリン酸塩化合物が存在している軟磁性合金粒子で構成され、前記軟磁性合金粒子同士が前記酸化物膜において互いに結合している磁性体部と、
    前記磁性体部の内部又は表面に設けられたコイル部と、
    を具備するコイル部品。
  2. 請求項1に記載のコイル部品であって、
    前記磁性体部の表面のリンの濃度が0.5at%以上5.0at%未満である
    コイル部品。
  3. 請求項2に記載のコイル部品であって、
    前記磁性体部の表面及び内部にある前記軟磁性合金粒子の表面に部分的に前記リン酸塩化合物が存在している
    コイル部品。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記合金部は、88wt%以上の鉄を含有する
    コイル部品。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記磁性体部はポアを有し、
    前記磁性体部における前記ポアの比率は、JIS規格「JIS−R1634」に準拠した開気孔率で1%以上5%以下である
    コイル部品。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記酸化物膜は、第1酸化物膜と、前記第1酸化物膜の外側に形成された第2酸化物膜と、を含む複層構造を有する
    コイル部品。
  7. 請求項6に記載のコイル部品であって、
    前記第1酸化物膜は、クロム及びアルミニウムの少なくとも一方を含む酸化物を主成分とする
    コイル部品。
  8. 請求項6又は7に記載のコイル部品であって、
    前記第2酸化物膜は、鉄と、クロム及びアルミニウムの少なくとも一方とを含む酸化物を主成分とし、前記第1酸化物膜よりも厚い
    コイル部品。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記酸化物膜は、凹凸形状を有する
    コイル部品。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記磁性体部は、前記軟磁性合金粒子の間に配置された樹脂を含む
    コイル部品。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    複数の磁性体層が積層された構成を有し、前記コイル部が前記磁性体部の内部に設けられている
    コイル部品。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記磁性体部の表面に設けられたガラスマーカを更に具備し、
    前記ガラスマーカは、ホウ珪酸ガラスを主成分とする
    コイル部品。
  13. 請求項12に記載のコイル部品であって、
    前記ガラスマーカは、ナトリウムの濃度が0.4at%未満であり、マグネシウムの濃度が0.4at%未満であり、カリウムの濃度が1.0at%未満であり、コバルト及び錫を含まない
    コイル部品。
  14. 請求項12又は13に記載のコイル部品であって、
    前記ガラスマーカでは、ガラス転移点が550℃以上であり、軟化点が700℃以上である
    コイル部品。
  15. 磁性体部と、前記磁性体部の内部又は表面に設けられたコイル部と、を具備するコイル部品の製造方法であって、
    鉄、シリコン、及びクロムを含む軟磁性合金粒子を用いて前記磁性体部を形成し、
    前記磁性体部のポアに処理液を浸透させることにより前記磁性体部にリン酸塩処理を施す
    コイル部品の製造方法。
  16. 請求項15に記載のコイル部品の製造方法であって、
    前記リン酸塩処理には、リン酸マンガンを用いる
    コイル部品の製造方法。
JP2016150249A 2016-07-29 2016-07-29 コイル部品及びその製造方法 Pending JP2018019033A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016150249A JP2018019033A (ja) 2016-07-29 2016-07-29 コイル部品及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016150249A JP2018019033A (ja) 2016-07-29 2016-07-29 コイル部品及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018019033A true JP2018019033A (ja) 2018-02-01

Family

ID=61076383

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016150249A Pending JP2018019033A (ja) 2016-07-29 2016-07-29 コイル部品及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018019033A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111354533A (zh) * 2018-12-20 2020-06-30 三星电机株式会社 线圈电子组件
US20200381159A1 (en) * 2019-06-03 2020-12-03 Murata Manufacturing Co., Ltd. Inductor component

Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63115309A (ja) * 1986-11-04 1988-05-19 Tdk Corp 磁性合金粉末
JP2002220603A (ja) * 2001-01-30 2002-08-09 Sanyo Special Steel Co Ltd りん酸塩保護膜に覆われた水素吸蔵合金粉末およびその製造方法
JP2003332116A (ja) * 2002-05-15 2003-11-21 Hitachi Powdered Metals Co Ltd 圧粉磁心およびその製造方法
JP2004128004A (ja) * 2002-09-30 2004-04-22 Toko Inc 積層型インダクタ
JP2005281732A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Mitsubishi Materials Corp 表面緻密性、寸法精度に優れた軟磁性焼結合金およびその製造方法
JP2009517319A (ja) * 2005-11-30 2009-04-30 コーニング インコーポレイテッド 結晶体を含まないガラスフリット組成物およびマイクロリアクタ装置のためのそれから製造されたフリット
JP2010202437A (ja) * 2009-03-02 2010-09-16 Asahi Glass Co Ltd 抗菌性耐熱ガラス容器の製造方法および抗菌性耐熱ガラス容器
JP2012234867A (ja) * 2011-04-28 2012-11-29 Taiyo Yuden Co Ltd コイル部品
JP2013045926A (ja) * 2011-08-25 2013-03-04 Taiyo Yuden Co Ltd 電子部品の電極形成方法
JP2013098210A (ja) * 2011-10-28 2013-05-20 Taiyo Yuden Co Ltd コイル型電子部品
JP2013125887A (ja) * 2011-12-15 2013-06-24 Taiyo Yuden Co Ltd コイル型電子部品
JP2014201484A (ja) * 2013-04-04 2014-10-27 Tdk株式会社 黒色マーク組成物およびこれを用いた電子部品
JP2016009859A (ja) * 2014-06-24 2016-01-18 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. 積層電子部品
JP2016076559A (ja) * 2014-10-03 2016-05-12 アルプス・グリーンデバイス株式会社 インダクタンス素子および電子機器

Patent Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63115309A (ja) * 1986-11-04 1988-05-19 Tdk Corp 磁性合金粉末
JP2002220603A (ja) * 2001-01-30 2002-08-09 Sanyo Special Steel Co Ltd りん酸塩保護膜に覆われた水素吸蔵合金粉末およびその製造方法
JP2003332116A (ja) * 2002-05-15 2003-11-21 Hitachi Powdered Metals Co Ltd 圧粉磁心およびその製造方法
JP2004128004A (ja) * 2002-09-30 2004-04-22 Toko Inc 積層型インダクタ
JP2005281732A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Mitsubishi Materials Corp 表面緻密性、寸法精度に優れた軟磁性焼結合金およびその製造方法
JP2009517319A (ja) * 2005-11-30 2009-04-30 コーニング インコーポレイテッド 結晶体を含まないガラスフリット組成物およびマイクロリアクタ装置のためのそれから製造されたフリット
JP2010202437A (ja) * 2009-03-02 2010-09-16 Asahi Glass Co Ltd 抗菌性耐熱ガラス容器の製造方法および抗菌性耐熱ガラス容器
JP2012234867A (ja) * 2011-04-28 2012-11-29 Taiyo Yuden Co Ltd コイル部品
JP2013045926A (ja) * 2011-08-25 2013-03-04 Taiyo Yuden Co Ltd 電子部品の電極形成方法
JP2013098210A (ja) * 2011-10-28 2013-05-20 Taiyo Yuden Co Ltd コイル型電子部品
JP2013125887A (ja) * 2011-12-15 2013-06-24 Taiyo Yuden Co Ltd コイル型電子部品
JP2014201484A (ja) * 2013-04-04 2014-10-27 Tdk株式会社 黒色マーク組成物およびこれを用いた電子部品
JP2016009859A (ja) * 2014-06-24 2016-01-18 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. 積層電子部品
JP2016076559A (ja) * 2014-10-03 2016-05-12 アルプス・グリーンデバイス株式会社 インダクタンス素子および電子機器

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111354533A (zh) * 2018-12-20 2020-06-30 三星电机株式会社 线圈电子组件
US20200381159A1 (en) * 2019-06-03 2020-12-03 Murata Manufacturing Co., Ltd. Inductor component
US11915849B2 (en) * 2019-06-03 2024-02-27 Murata Manufacturing Co., Ltd. Inductor component

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107017081B (zh) 层叠电感器
US10930420B2 (en) Coil component
US10872720B2 (en) Electronic component
KR102047564B1 (ko) 칩 전자부품 및 그 제조방법
US10242802B2 (en) Electronic component with an external electrode including a conductive material-containing resin layer
TWI453774B (zh) Magnetic materials and coil parts
JP2017212372A (ja) コイル部品
US10290415B2 (en) Electronic component and manufacturing method therefor
US20160189850A1 (en) Multilayer electronic component and method of manufacturing the same
JP2009099572A (ja) セラミック電子部品及びその製造方法
KR101849095B1 (ko) 전자부품
US11264177B2 (en) Method of manufacturing multilayer ceramic capacitor and multilayer ceramic capacitor
JP2015026815A (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
US20160020014A1 (en) Laminated coil component and method for manufacturing it
JP2018019033A (ja) コイル部品及びその製造方法
JP2008251990A (ja) 電子部品の製造方法
JP2006310475A (ja) 積層コイル
JP6748626B2 (ja) 電子部品
JP7035234B2 (ja) コイル部品
JP2020167376A (ja) 積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの製造方法
JP2021163853A (ja) コイル部品及び電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190710

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200420

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200923

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201216

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20201216

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20201228

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20210105

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20210305

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20210309

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20210427

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20210608

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20210713

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20210713