JP2018016614A - 炭化水素系化合物の製造方法および製造装置 - Google Patents

炭化水素系化合物の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化水素系化合物を効率的に製造することが可能な新規な炭化水素系化合物の製造方法を提供する。【解決手段】炭化水素系化合物の製造方法であって、(a)二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を準備すること、および(b)該機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加えることを含み、該衝撃力が加えられた混合物における炭化水素系化合物の量が、前記炭化水素系化合物を含む液状物における炭化水素系化合物の量より増加している、製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、炭化水素系化合物の製造方法および製造装置に関する。
従来、石油を化学合成する方法として、フィッシャー・トロプシュ法が知られている。この方法は、一酸化炭素を水素ガスと反応させて飽和炭化水素化合物を水と共に得る一連のプロセスである。しかしながら、この方法では、高温高圧条件下で水素ガスを用いて反応を進行させるため、安全性を確保する必要があり、また、製造コストが高く、(原料である一酸化炭素を炭素等から得る際の)二酸化炭素放出量が多大であり、飽和炭化水素化合物を得るまでに複数のプロセスが必要である等、非効率的であった。
他方、一酸化炭素および水素を使用しない方法として、二酸化炭素を還元してメタンおよび/またはメタノールを得る方法が知られている(特許文献1を参照のこと)。特許文献1には、水中に二酸化炭素のガス柱を形成すると共にこのガス柱の周りに水の旋回流を生じさせることにより水中に二酸化炭素を微細な気泡にして供給し、光触媒の存在下にて二酸化炭素の微細な気泡を含む水に光を照射することにより二酸化炭素を還元して、メタンおよび/またはメタノールを得ることが記載されている。
特許第5131444号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、わずかな量のメタンおよび/またはメタノールしか得られず、実用的ではないことが、本発明者らの研究により明らかとなった。また、特許文献1には、メタンおよび/またはメタノール以外の炭化水素系化合物を合成する場合について何ら開示されていない。
本発明の目的は、炭化水素系化合物を効率的に製造することが可能な新規な炭化水素系化合物の製造方法および製造装置を提供することにある。
本発明者らは、二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を準備し、かかる機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加えることによって、炭化水素系化合物の量が増えること、換言すれば、反応により新たに炭化水素系化合物が生じるという独自の知見を得、更なる鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。
本発明の1つの要旨によれば、炭化水素系化合物の製造方法であって、
(a)二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を準備すること、および
(b)該機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加えること
を含み、該衝撃力が加えられた混合物における炭化水素系化合物の量が、前記炭化水素系化合物を含む液状物における炭化水素系化合物の量より増加している、製造方法が提供される。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の1つの態様において、前記(a)は、
(i)二酸化炭素含有ナノバブルを水中に供給すること、および
(ii)少なくとも酸素を水中に供給し、該少なくとも酸素が供給された水に光触媒の存在下にて光を照射して活性酸素を生成させること
を含み得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の上記態様において、二酸化炭素含有ナノバブルは、空気のナノバブルであり得、前記(ii)は、二酸化炭素を水中に供給することを含み得る。
あるいは、本発明の炭化水素系化合物の製造方法の上記態様において、二酸化炭素含有ナノバブルは、二酸化炭素のナノバブルであり得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の1つの態様において、機能水は、10ppm以上の溶存酸素濃度を有し得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の1つの態様において、前記(a)にて使用される水は、純水であり得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の1つの態様において、前記(b)は、前記機能水と前記炭化水素系化合物を含む液状物とを、前記衝撃力を加える前に予め混合することを含み得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の1つの態様において、前記(b)における前記衝撃力は、前記機能水と前記炭化水素系化合物を含む液状物とを一緒にノズルから吐出して壁面に衝突させることによって加えられ得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の1つの態様において、当該製造方法は、(c)前記衝撃力が加えられた混合物を、水相と炭化水素系化合物を含む相とに分離することを更に含み得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の1つの態様において、前記炭化水素系化合物を含む液状物は、炭素数5〜27の飽和炭化水素、軽油、灯油、ガソリンおよびジェット燃料からなる群より選択される少なくとも1種を含み得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法の1つの態様において、前記衝撃力が加えられた混合物に含まれる炭化水素系化合物の平均炭素数は、前記炭化水素系化合物を含む液状物に含まれる炭化水素系化合物の平均炭素数に対して±20%以内の範囲にあり得る。
本発明のもう1つの要旨によれば、
二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を収容する第1タンクと、
炭化水素系化合物を含む液状物を収容する第2タンクと、
機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを反応させるための反応槽と、
第1タンクおよび第2タンクに接続された供給ラインであって、反応槽内に配置されたノズルを先端部に備え、該ノズルから、第1タンクから供給される機能水と第2タンクから供給される炭化水素系化合物を含む液状物とを一緒に吐出して、反応槽の壁面に衝突させることにより衝撃力を加えるように構成された供給ラインと
を含む、炭化水素系化合物の製造装置が提供される。
本発明の炭化水素系化合物の製造装置の1つの態様において、供給ラインは、第1タンクから供給される機能水と第2タンクから供給される炭化水素系化合物を含む液状物とを、ノズルから吐出する前に予め混合する予備混合器を更に備え得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造装置の1つの態様において、当該製造装置は、反応槽から抜き出される衝撃力が加えられた混合物を、水相と炭化水素系化合物を含む相とに分離する分離槽を更に含み得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造装置の1つの態様において、当該製造装置は、二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を製造して第1タンクに供給するための機能水製造ユニットであって、
水を収容する水槽と、
水中に少なくとも二酸化炭素をナノバブルの形態で供給する第1供給部と、
水中に少なくとも酸素を供給する第2供給部と、
該少なくとも酸素が供給された水に光触媒の存在下にて光を照射して活性酸素を生成させる光照射部と
を含む機能水製造ユニットを更に含み得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造装置の上記態様において、第1供給部は、水中に空気をナノバブルの形態で供給し得、機能水製造ユニットは、水中に二酸化炭素を供給する第3供給部を更に含み得る。
あるいは、本発明の炭化水素系化合物の製造装置の上記態様において、第1供給部は、水中に二酸化炭素をナノバブルの形態で供給し得る。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法および製造装置においては、二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加えている。かかる衝撃力が加えられた混合物に含まれる炭化水素系化合物の量は、元の炭化水素系化合物を含む液状物に含まれる炭化水素系化合物の量より増加し得、換言すれば、反応により新たに炭化水素系化合物を生じさせることができる。すなわち、本発明によれば、炭化水素系化合物を効率的に製造することが可能な新規な炭化水素系化合物の製造方法および製造装置が提供される。
本発明の1つの実施形態における炭化水素系化合物の製造方法を説明するための図であって、(a)は、炭化水素系化合物の製造装置の前段部分(機能水製造ユニット)を模式的に示す図であり、(b)は(a)中に点線で囲んで示した部分の例示的な拡大模式図である。 本発明の1つの実施形態における炭化水素系化合物の製造方法を説明するための図であって、炭化水素系化合物の製造装置の後段部分(反応ユニット)を模式的に示す図である。 本発明のもう1つの実施形態における炭化水素系化合物の製造方法を説明するための図であって、(a)は、炭化水素系化合物の製造装置の前段部分(機能水製造ユニット)を模式的に示す図であり、(b)は(a)中に点線で囲んで示した部分の例示的な拡大模式図である。 実施例1にて使用した炭化水素系化合物を含む液状物の反応前後のガスクロマトグラフ分析の結果を示し、(a)は元油として用いた軽油のガスクロマトグラフ分析結果であり、(b)はこの元油から得られた新油のガスクロマトグラフ分析結果である。
以下、本発明による炭化水素系化合物の製造方法および製造装置の実施形態について図面を参照しながら詳述するが、本発明はかかる実施形態に限定されない。
(実施形態1)
本実施形態における炭化水素系化合物の製造は、(a)二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を準備する工程(前段部分、図1参照)、および(b)機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加える工程(後段部分、図2参照)により実施され得る。
・工程(a)
まず、機能水を準備する。本発明において、機能水とは、二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む水性流体を意味する。二酸化炭素含有ナノバブルとは、二酸化炭素含有ガス(少なくとも二酸化炭素を含むガスであればよく、二酸化炭素含有量は特に限定されず、例えば0.01〜100体積%の範囲以内であり得る)から構成される気泡であって、直径が1μm未満、例えば数100nm未満の気泡(超微細気泡)を意味する。ナノバブルは、より直径の大きい気泡に比べて水中に長時間存在(滞留および/または溶存)し得る。活性酸素(活性酸素種とも呼ばれ得る)とは、酸素分子由来の物質であって、酸素分子よりも反応性が高い物質を意味する。活性酸素は、酸素原子を含むラジカルであることが好ましく、より詳細には、スーパーオキシドアニオンラジカル(O ・)、ヒドロキシルラジカル(OH・)などが挙げられる。しかしながら、活性酸素はこれらラジカルに限定されず、過酸化水素、一重項酸素などであってもよい。
かかる機能水は、(i)二酸化炭素含有ナノバブルを水中に供給する工程、および(ii)少なくとも酸素を水中に供給し、該少なくとも酸素が供給された水に光触媒の存在下にて光を照射して活性酸素を生成させる工程により製造され得る。
かかる機能水は、例えば図1に示すような機能水製造ユニット(本実施形態における炭化水素系化合物の製造装置の前段部分)により製造することができる。図1(a)を参照して、機能水製造ユニット10は、
水を収容する水槽11と、
水中に少なくとも二酸化炭素をナノバブルの形態で供給する第1供給部13と、
水中に少なくとも酸素を供給する第2供給部15と、
該少なくとも酸素が供給された水に光触媒の存在下にて光を照射して活性酸素を生成させる光照射部23と
を含むものであってよい。
まず、水槽11にライン1より水7を供給する。この水は、できるだけ不純物を含まないことが好ましく、いわゆる純水を使用し得、超純水を使用することがより好ましい。純水または超純水は、例えば、イオン交換樹脂(カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂)および/または逆浸透膜等で処理して得られたものであってよい。
工程(i)
次に、水槽11に収容された水7中に、二酸化炭素供給源3に接続された第1供給部13より少なくとも二酸化炭素(少なくとも二酸化炭素を含むガス、即ち二酸化炭素含有ガス)をナノバブルの形態で供給する。これにより二酸化炭素含有ナノバブルが水中に供給され、水中での二酸化炭素濃度を増加させることができ、かつ、水の表面張力により二酸化炭素含有ナノバブルを水中で滞留させることができる。
本実施形態では、二酸化炭素供給源3として二酸化炭素ガスボンベ等を使用して、二酸化炭素含有ガスとして二酸化炭素ガス(例えば純度99体積%以上)をナノバブルの形態で供給して、二酸化炭素のナノバブルを発生させるものとするが、本発明はこれに限定されない。
第1供給部13は、ナノバブルを発生させる機能を有し、よって、ナノバブル発生器としても理解され得る。第1供給部13には、例えば超微細孔式のナノバブル発生器を利用し得る。超微細孔式のナノバブル発生器は、ガス(本発明では二酸化炭素含有ガスであり、本実施形態では二酸化炭素ガスである)の気層(気泡)を噴出するガス噴出部分と、水槽11中の水7を噴出する水噴出部分とを備え、ガス噴出部分および水噴出部分が水7中に投入される。ガス噴出部分には、ナノレベルの微細孔を有する特殊セラミックフィルターが設けられ、かかる微細孔から二酸化炭素含有ガスの気層(気泡)が噴出される。他方、水噴射部分においては、水槽11中の水7がこの特殊セラミックフィルターに噴射されることで、特殊セラミックフィルターの表面を水の液流が流れる。そして、特殊セラミックフィルターの微細孔の境界に水槽11中の水7の液流を与えることにより、ガス噴出部分(微細孔)より噴出された二酸化炭素含有ガスの気層(気泡)が微細に切断される。そして、切断された二酸化炭素含有ガスの気層(気泡)が水槽11中の水7の表面張力により圧縮されることで二酸化炭素含有ガスのナノバブル(超微細気泡)が生じる。しかしながら、ナノバブル発生器は、超微細孔式のものに限定されず、二酸化炭素含有ガスのナノバブルを発生可能な装置であれば、任意の適切なナノバブル発生器を適用可能である。
工程(ii)
また、水槽11に収容された水7中に、酸素供給源5に接続された第2供給部15より少なくとも酸素(少なくとも酸素を含むガス、即ち酸素含有ガスであればよく、酸素含有量は特に限定されず、例えば1〜100体積%の範囲以内であり得る)を供給する。第2供給部15は、酸素含有ガスを水中に供給し得る任意の適切な構成を有し得、加圧バブリング式チューブ、ノズル等であってよい(なお、図1(a)中、第2供給部15を図示する目的で、その先端部のみを白四角にて模式的に示している)。
本実施形態では、酸素供給源5として酸素ガスボンベ等を使用して、酸素含有ガスとして酸素ガス(例えば純度99体積%以上)を供給するものとするが、本発明はこれに限定されない。
これにより少なくとも酸素(または酸素含有ガス、以下も同様)が供給された水7は、ポンプ21により、水槽11の抜き出し部17(なお、図1(a)中、抜き出し部17を図示する目的で、その先端部のみを白四角にて模式的に示している)からライン19を通じて抜き出され、光照射部23へと移送される。光照射部23は、少なくとも酸素が供給された水を通過させる反応管25と、その近傍に配置された光源27とを備える光照射装置であってよい。反応管25には、酸化チタン等の光触媒(図示せず)が充填および/または配置され、少なくともかかる光触媒が位置する部分において、光源27から照射される光を透過させ得る材質で構成される。光源27は、使用する光触媒に応じて適切な波長を有する光線(例えば紫外光や可視光、太陽光等)を照射し得るものであればよい。光触媒として酸化チタンを使用する場合、光源27は、少なくとも紫外域の波長を有する光線を照射するものであればよく、UVランプおよび/またはブラックライト等を使用してよい。
光照射部23にて、上記のようにして少なくとも酸素が供給された水は、反応管25を通る間に、光触媒の存在下にて光源27から光が照射されて、活性酸素が生成する。より詳細には、酸素がオゾンになり、更に、スーパーオキシドアニオンラジカル(O ・)、ヒドロキシルラジカル(OH・)などの活性酸素になる。
これにより、水7は活性酸素を含むものとなり、光照射部23からライン29を通じて水槽11に戻される。第2供給部15から水中に少なくとも酸素(本発明では酸素含有ガスであり、本実施形態では酸素ガスである)を供給しながら、ポンプ21を作動させて、酸素を含む水を抜き出し部17から抜き出し、ライン19、光照射部23、ライン29、水槽11に通じて循環させることにより、十分な活性酸素濃度を得ることができる。
第2供給部15からの酸素含有ガス供給の位置および量(または流量)は、その大部分、好ましくは実質的に全てが、ポンプ21の吸引力により、抜き出し部17から水と共に抜き出され得るように設定されることが好ましい。概略的には、第2供給部15(酸素含有ガス供給の位置)を、抜き出し部17の内部または近傍に配置し、そこから酸素含有ガスを比較的少量(小さい流量)で供給することが好ましい。本実施形態を限定するものではないが、例えば図1(b)に示すように、第2供給部15の先端部(または供給口部)が、抜き出し部17の開口部内に挿入されていてよい。
上記工程(i)および(ii)により、二酸化炭素含有ナノバブル(本実施形態では二酸化炭素のナノバブル)および活性酸素を水中に含む機能水を得ることができる。工程(i)および(ii)の実施順序は特に限定されず、どちらを先に実施してもよく、また、少なくとも部分的に重複するように同時に実施してもよい。
・工程(b)
以上のようにして準備された機能水と、炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加える。
かかる衝撃力の付与は、例えば図2に示すような反応ユニット(本実施形態における炭化水素系化合物の製造装置の後段部分)により実施することができる。図2を参照して、反応ユニット30は、
二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水Aを収容する第1タンク31と、
炭化水素系化合物を含む液状物(以下、単に「元油」とも言う)Bを収容する第2タンク33と、
機能水Aと炭化水素系化合物を含む液状物Bとを反応させるための反応槽41と、
第1タンク31および第2タンク33に接続された供給ライン37であって、反応槽41内に配置されたノズル39を先端部に備え、ノズル39から、第1タンク31から供給される機能水Aと第2タンク33から供給される炭化水素系化合物を含む液状物Bとを一緒に吐出して、反応槽41の壁面41aに衝突させることにより衝撃力を加えるように構成された供給ライン37と
を含むものであってよい。
本実施形態における反応ユニット30は、反応槽41から抜き出される衝撃力が加えられた混合物を、水相と炭化水素系化合物を含む相とに分離する分離槽45を更に含んでいてよく、この場合、反応ユニット30は、反応および分離ユニットとして理解される。
まず、工程(a)にて準備された機能水を、第1タンク31に貯留する。なお、第1タンク31は、機能水製造ユニット10における水槽11とは別の容器であっても、同じものであってもよい。
機能水Aにおいて、活性酸素は、水中に存在する二酸化炭素を効率的に還元させ得る程度で存在することが好ましい。機能水中の活性酸素の濃度は、概略的には、溶存酸素濃度により代表され得る。通常の水の溶存酸素濃度は8ppm程度であるのに対し、機能水の溶存酸素濃度はこれより高い濃度であればよい。機能水は、好ましくは10ppm(またはmg/L)以上の溶存酸素濃度を有する。機能水の溶存酸素濃度の上限値は特に限定されないが、例えば30ppm以下、好ましくは24ppm以下であり得る。機能水の溶存酸素濃度は、具体的な実施の態様および/または条件等に応じて適宜選択され得る。本実施形態のように二酸化炭素含有ナノバブルが二酸化炭素のナノバブルである場合、機能水の溶存酸素濃度は、21ppm以上であることが好ましく、例えば30ppm以下、特に24ppm以下であり得るが、本発明はこれに限定されない。
また、機能水Aにおいて、二酸化炭素含有ナノバブルは、水中にできるだけ多く存在(滞留および/または溶存)させることが好ましいが、後述する実際の反応条件(使用する液状物や衝撃力の加え方等)により様々であり得る。かかる機能水Aは、二酸化炭素含有ナノバブルが滞留し、二酸化炭素が溶存することにより酸性(pH7未満)になっている。
他方、第2タンク33に元油Bを貯留する。元油は、炭化水素系化合物を含む液状物であり、炭化水素系化合物として、炭素および水素から構成され、場合によりヘテロ原子および/または官能基などを有していてもよい化合物(脂肪族および/または芳香族を含み得、飽和であっても不飽和であってもよい)を少なくとも1種含む液状物であればよい。かかる炭化水素系化合物は、例えば炭素数5〜27の飽和炭化水素、特に炭素数9〜25の飽和炭化水素、ならびに軽油、灯油、ガソリンおよびジェット燃料からなる群より選択される少なくとも1種を含むものであってよい。
第1タンク31内の機能水Aおよび第2タンク33内の元油Bの温度は特に限定されないが、簡便には、常温(例えば0〜40℃、特に25〜35℃)とされる。本実施形態に必須ではないが、第1タンク31および第2タンク33は、温度調節器31aおよび33aをそれぞれ備えていてよい。温度調節器は、タンクの内部に配置されたヒーター等の温度調節器(図2中、例示的に投げ込み式の温度調節器を示す)を使用しても、タンクの外部に配置されたジャケットまたはヒーター等の温度調節器を使用してもよい。また、第1タンク31および第2タンク33は、各タンク内の貯留物の温度を均質に保つために、インペラ方式、流体フローを利用した方式などの攪拌システムを備えていてもよい。
そして、第1タンク11からの機能水Aと第2タンク33からの元油Bを、供給ライン37を通じて反応槽41へ供給する。機能水と元油との供給割合(混合割合)は、特に限定されないが、例えば1:99〜99:1(体積基準、以下も同様)であり得る。一般的には、機能水と元油の割合は互いに近いほうが、接触効率が高いと考えられ、かかる観点からは、機能水と元油との供給割合(混合割合)は、例えば60:40〜40:60、特に約50:50であり得る。本発明者らの研究の結果、本発明において反応をより効率的に進行させるには、機能水より元油の割合が高いほうが好ましいことが判明し、かかる観点からは、機能水と元油との供給割合(混合割合)は、例えば1:99〜49:51、特に20:80〜45:55、より特に40:60であり得る。
供給ライン37は、第1タンク31から供給される機能水Aと第2タンク33から供給される元油Bとを、ノズル39から吐出する前に予め混合する予備混合器35を更に備えていてよい。これにより、機能水Aと元油Bとを、衝撃力を加える前に予め混合することができ、ノズル39から機能水Aと元油Bとをより均一な混合物の状態で吐出することができる。しかしながら、かかる予備混合器35は必須でない点に留意されたい。
本実施形態においては、第1タンク31からの機能水Aと第2タンク33からの元油Bとは供給ライン37の先端部に備えられたノズル39より一緒に吐出されて、反応槽41内に供給される。ノズル39より吐出された機能水Aおよび元油Bの混合物は、反応槽41の壁面(内壁面)41aに衝突し、これにより、衝撃力が加えられる。
図示する態様では、ノズル39の開口端が反応槽41の壁面41aのうち傾斜底面をなす部分に対向するように配置されているが、機能水Aと元油Bとを混合して衝撃力を加えることができる限り、かかる態様に限定されない。
ノズル39は、ストレート形状またはオリフィス形状であってよく、これに加えて/代えて、ベンチュリー構造を有するものであってもよい。ノズル39の吐出口における孔径(オリフィス形状を有する場合はオリフィス径)は、適宜選択され得るが、例えば0.1〜10mmであり得る。
ノズル39からの吐出圧力およびノズル39と壁面41aとの間の距離は、所望される衝撃力(反応効率)に応じて適宜設定され得る。適切な吐出圧力を得るために、ポンプ36が供給ライン37上に配置され得る。このときの吐出圧力は、ポンプ圧で(配管の圧力損失は無視して差し支えない)、例えば1〜5MPa、特に1〜3MPa、より詳細には1〜1.5MPa(いずれもゲージ圧)であり得る。また、ノズル39と壁面41aとの間の距離は、装置スケールに応じて様々であり得る。
反応槽41内の雰囲気は特に限定されず、簡便には空気であってよい。反応槽41内の温度は、簡便には常温であってよいが、例えば0〜70℃、特に10〜50℃、より特に15〜35℃であってよい。反応槽41内の圧力は、簡便には常圧(約0.1MPa)であってよいが、例えば0.1〜20MPa、特に1〜15MPa(いずれも絶対圧力)であってよい。反応槽41は、大気開放されていても、封止されていてもよい。
上記のようにして、機能水Aと元油Bとが混合され、衝撃力が加えられる(または激しく混合される)と、新たに炭化水素系化合物を生じる反応が進行して、衝撃力が加えられた混合物に含まれる炭化水素系化合物の量が、元の(または反応前、更には混合前の)炭化水素系化合物を含む液状物に含まれる炭化水素系化合物の量より増加する。
そして、本発明者らの研究により、新たに生じる炭化水素系化合物は、元油に含まれていた炭化水素系化合物に応じて様々であり得ること、および、反応条件にもよるが、元油に含まれていた炭化水素系化合物の炭素数と同様の炭素数を有し得ることが確認されている。
本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、この反応は以下のように考えられる。活性酸素は下記式(1a)に示すように二酸化炭素を還元して一酸化炭素を生成し得、生成した一酸化炭素は下記式(1b)に示すように水から水素を生成し得、これらの反応は全体として下記式(1)にて表される。
2CO → 2CO+O ・・・(1a)
CO+HO → CO+H ・・・(1b)
CO+HO → CO+H+O ・・・(1)
また、活性酸素の存在下にて、下記式(2)で表される炭化水素系化合物の合成反応が進行すると考えられる。
(2n+1)H+nCO → C2n+2+nHO ・・・(2)
これらの反応は、機能水と元油とが混合され、衝撃力が加えられる(または激しく混合される)ことにより、効率的に進行するものと理解される。
そして、新たに生じる炭化水素系化合物が、元油に含まれていた炭化水素系化合物に応じて異なり得、これと同様の炭素数を有し得るのは、提供される反応場が、元油に含まれていた炭化水素系化合物(特に炭素数)に応じて異なるためであると考えられる。元油に含まれていた炭化水素系化合物それ自体は、反応により分解および/または消費されないものと考えられる。
かかる反応は、衝撃力が加えられることにより迅速に進行し得る。反応時間(または反応槽41での滞留時間)は、使用する機能水および元油ならびに反応条件等にもよるが、例えば0.1秒〜10分間、代表的には1秒〜4分間であり得る。
そして、上記のようにして衝撃力が加えられた混合物は、反応により生じる炭化水素系化合物を含む反応混合物として、反応槽41から抜き出し部41bを通じて抜き出される。反応槽41は、衝撃力が加えられた混合物を受ける下部構成を有すればよく、壁面41aに衝突させた直後に反応槽41から排出する構成としてよいが、これに限定されるものではない。
本実施形態に必須ではないが、反応槽5から抜き出された反応混合物(衝撃力が加えられた混合物)は、ライン43を通じて分離槽45に移送されて、炭化水素系化合物を含む相(有機相)と水相とに分離される。分離槽45は、相分離し得る任意の適切な構成を有し得、例えば、静置槽(セトラー)、遠心分離器、パルスカラムなどを用いることによって相分離するものであってよい。互いに分離された炭化水素系化合物を含む相および水相は、それぞれライン47および49を通じて分離槽45から排出される。
これにより得られる炭化水素系化合物を含む相(以下、単に「新油」とも言う)は、元油に含まれていた炭化水素系化合物と新たに生じた炭化水素系化合物とを含むものとなる。換言すれば、新油における炭化水素系化合物の量は、元油における炭化水素系化合物の量よりも増加することとなる。新油および元油が実質的に炭化水素系化合物から成る場合、単純に、新油の量が元油の量よりも増加する。
新油に含まれる炭化水素系化合物(換言すれば、元油に含まれていた炭化水素系化合物と新たに生じた炭化水素系化合物を合わせたもの)の平均炭素数は、元油に含まれていた炭化水素系化合物の平均炭素数に応じて異なり得る。例えば、新油に含まれる炭化水素系化合物の平均炭素数は、衝撃力が加えられた混合物に含まれる炭化水素系化合物の平均炭素数と実質的に同じであり、これは、元油に含まれていた炭化水素系化合物の平均炭素数に対して±20%以内の範囲にあり得る。このことは、所望される炭化水素系化合物に従って、元油の炭化水素系化合物(特に炭素数)を選択することにより、反応により新たに生じる炭化水素系化合物(特に炭素数)を制御できることを示唆している。なお、本発明において平均炭素数は、数平均炭素数を意味し、例えばカラムクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等によって測定可能である。
以上のようにして本実施形態の炭化水素系化合物の製造方法が実施される。本実施形態の炭化水素系化合物の製造方法は、連続的に実施することができ、よって、炭化水素系化合物の大規模生産に適する。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、バッチ式で実施してもよい。
これにより得られた新油は、炭化水素系化合物を含む液状物として回収され、任意の用途に利用され得る。新油は、その一部を元油タンク33に移送して、元油として利用してもよい。他方、水相は、その一部または全部を、必要に応じて、機能水製造ユニット10において水として利用しても、または、必要に応じて後処理に付した後、廃棄してもよい。
(実施形態2)
本実施形態は、上述の実施形態1を改変したものであり、特に断りのない限り、実施形態1の説明が同様に当て嵌まる。本実施形態における炭化水素系化合物の製造は、(a)二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を準備する工程(前段部分、図3参照)、および(b)機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加える工程(後段部分、図2参照)により実施され得る。
・工程(a)
本実施形態において、機能水は、例えば図3に示すような機能水製造ユニット(本実施形態における炭化水素系化合物の製造装置の前段部分)により製造することができる。図3(a)を参照して、機能水製造ユニット10’は、
水を収容する水槽11と、
水中に少なくとも二酸化炭素をナノバブルの形態で供給する第1供給部13と、
水中に少なくとも酸素を供給する第2供給部15と、
水中に二酸化炭素を供給する第3供給部16と、
該少なくとも酸素が供給された水に光触媒の存在下にて光を照射して活性酸素を生成させる光照射部23と
を含むものであってよい。
まず、水槽11にライン1より水7を供給する。
工程(i)
次に、水槽11に収容された水7中に、二酸化炭素供給源3’に接続された第1供給部13より少なくとも二酸化炭素(少なくとも二酸化炭素を含むガス、即ち二酸化炭素含有ガス)をナノバブルの形態で供給する。
本実施形態では、二酸化炭素供給源3’として空気ボンベ等を使用して、二酸化炭素含有ガスとして空気(例えば二酸化炭素含有量0.03〜0.04体積%)をナノバブルの形態で供給して、空気のナノバブルを発生させるものとする。
工程(ii)
更に、水槽11に収容された水7中に、二酸化炭素供給源6に接続された第3供給部16より少なくとも二酸化炭素(二酸化炭素含有ガス)を供給する。また、水槽11に収容された水7中に、酸素供給源5に接続された第2供給部15より少なくとも酸素(酸素含有ガス)を供給する。第2供給部15は、実施形態1にて上述したものと同様であり得、第3供給部16は、二酸化炭素ガス(または二酸化炭素含有ガス)を水中に供給し得る任意の適切な構成を有し得、加圧バブリング式チューブ、ノズル等であってよい(なお、図3(a)中、第2供給部15および第3供給部16を図示する目的で、それらの先端部のみを白四角にて模式的に示している)。
本実施形態では、酸素供給源5として酸素ガスボンベ等を使用して、酸素含有ガスとして酸素ガス(例えば純度99体積%以上)を供給し、二酸化炭素供給源6として二酸化炭素ガスボンベ等を使用して、二酸化炭素含有ガスとして二酸化炭素ガス(例えば純度99体積%以上)を供給するものとするが、本発明はこれに限定されない。
かかる二酸化炭素含有ガスおよび酸素含有ガスの供給順序は特に限定されず、活性酸素および二酸化炭素含有ナノバブルを適切に含む機能水を工程(b)にて使用可能である限り、どちらを先に実施してもよく、また、少なくとも部分的に重複するように同時に実施してもよい。代表的には、まず、第3供給部13から水7中に二酸化炭素含有ガスを供給し、次いで、第2供給部15から水7中に酸素含有ガスを供給するものであり得る。
これにより少なくとも酸素および二酸化炭素(二酸化炭素含有ナノバブルに加えて、ナノバブルの形態でない二酸化炭素)が供給された水7は、ポンプ21により、水槽11の抜き出し部17(なお、図3(a)中、抜き出し部17を図示する目的で、その先端部のみを白四角にて模式的に示している)からライン19を通じて抜き出され、光照射部23へと移送される。
光照射部23にて、上記のようにして少なくとも酸素および二酸化炭素が供給された水は、反応管25を通る間に、光触媒の存在下にて光源27から光が照射されて、活性酸素が生成する。
これにより、水7は活性酸素を含むものとなり、光照射部23からライン29を通じて水槽11に戻される。第2供給部15から水中に酸素含有ガスを供給しながら、ポンプ21を作動させて、酸素を含む水を抜き出し部17から抜き出し、ライン19、光照射部23、ライン29、水槽11に通じて循環させることにより、十分な活性酸素濃度を得ることができる。この間、第3供給部16から水中への二酸化炭素含有ガスの供給を実施していても、停止または終了していてもよい。
第2供給部15からの酸素含有ガス供給の位置および量(または流量)ならびに第3供給部16からの二酸化炭素含有ガス供給の位置および量(または流量)は、それらの大部分、好ましくは実質的に全てが、ポンプ21の吸引力により、抜き出し部17から水と共に抜き出され得るように設定されることが好ましい。概略的には、第2供給部15(酸素含有ガス供給の位置)および第3供給部16(二酸化炭素含有ガス供給の位置)を、抜き出し部17の内部または近傍に配置し、それぞれ酸素含有ガスおよび二酸化炭素含有ガスを比較的少量(小さい流量)で供給することが好ましい。本実施形態を限定するものではないが、例えば図3(b)に示すように、第2供給部15および第3供給部16の各先端部(または供給口部)が、抜き出し部17の開口部内に挿入されていてよい。
上記工程(i)および(ii)により、二酸化炭素含有ナノバブル(本実施形態では空気のナノバブル)および活性酸素を水中に含む機能水を得ることができる。工程(i)および(ii)の実施順序は特に限定されず、どちらを先に実施してもよく、また、少なくとも部分的に重複するように同時に実施してもよい。
・工程(b)
以上のようにして準備された機能水と、炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加える。
かかる衝撃力の付与は、例えば図2に示すような反応ユニット(本実施形態における炭化水素系化合物の製造装置の後段部分)により、実施形態1にて上述したものと同様にして実施することができる。
本実施形態においても、機能水は、好ましくは10ppm(またはmg/L)以上の溶存酸素濃度を有し、機能水の溶存酸素濃度は、具体的な実施の態様および/または条件等に応じて適宜選択され得る。本実施形態のように二酸化炭素含有ナノバブルが空気のナノバブルである場合、機能水の溶存酸素濃度は、11ppm以上であることが好ましく、例えば20ppm以下、特に15ppm以下であり得るが、本発明はこれに限定されない。
本実施形態においても、実施形態1と同様に、機能水と元油とが混合され、衝撃力が加えられる(または激しく混合される)と、新たに炭化水素系化合物を生じる反応が進行して、衝撃力が加えられた混合物に含まれる炭化水素系化合物の量が、元の(または反応前、更には混合前の)炭化水素系化合物を含む液状物に含まれる炭化水素系化合物の量より増加する。その他、本実施形態においても実施形態1の説明が同様に当て嵌まる。
以上、本発明の2つの実施形態における炭化水素系化合物の製造方法および製造装置について説明したが、本発明の範囲内で種々の改変が可能である。例えば、二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水は、図1または図3を参照して説明したものとは異なる他の適切な装置および方法により製造したものであってよく、本発明の炭化水素系化合物の製造装置は、機能水製造ユニットを有しないものであってもよい。また例えば、機能水と元油とを混合して衝撃力を加える態様は、図2を参照して説明したものとは異なる他の適切な装置および方法により実施するものであってもよい。例えば、機能水と炭化水素系化合物とを容器に入れて振盪することによって衝撃力を加えるようにしてもよく、かかる場合にも、衝撃力が加えられた混合物に含まれる炭化水素系化合物の量が、元の炭化水素系化合物を含む液状物に含まれる炭化水素系化合物の量より増加することが、本発明者らの研究により確認されている。
本発明の炭化水素系化合物の製造方法および製造装置は、活性化水と二酸化炭素とを用いて、単純な装置構成で極めて短い反応時間で実施することができるので、安価な製造コストで、安全かつ容易に炭化水素系化合物を合成することができる。更に、本発明においては、元油のほかに、二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水以外の物質を用いる必要がないので、これにより得られる新油は高い純度を有し、精製等の後処理を要することなく、任意の用途にそのまま利用可能である。精製等の後処理を要しない点は、反応時間が極めて短い点と共に、製造コストを低くするのに寄与するものである。そして、かかる新油を炭化水素系燃料として利用する場合には、NOやSO等の燃焼生成物による問題を低減または解消することができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明し、機能水と元油から常温常圧条件下にて新油を効率的に製造し得ることを示す。
(実施例1)
本実施例では、図1および図2を参照して上述した実施形態1に従って、炭化水素系化合物を製造した。
機能水を以下の通り準備した。
まず、陽イオン交換カラムおよび陰イオン交換カラムを備える超純水製造システム(オルガノ株式会社製)に水を通過させて超純水を得た。
図1に示す機能水製造ユニット10において、水槽11にこの純水を100L入れ、第1供給部13としてナノバブル発生器(株式会社西研デバイズ製)により二酸化炭素ガスを500mL/分で2時間(すなわち合計60L)供給した。
その後、これにより得られた水7中に第2供給部15より酸素ガスを50〜100mL/分で供給しながら、光照射部23にて、光源27として紫外線殺菌灯(パナソニック株式会社製GL−40 40W(254nm))およびブラックライト(株式会社東芝製FL40S BLB 40W(315〜400nm、ピーク波長352nm))を用いた光照射下にて、二酸化チタン触媒を充填した反応管25に水7を通じて循環させる処理を40〜60分間実施した(5〜10サイクルに相当する)。
これにより得られた機能水の溶存酸素濃度は21ppm以上であった。(水道水等の通常の水の溶存酸素濃度は8ppm程度であることに留意されたい。)
次に、上記で得た機能水と、元油として軽油を用いて、これらを下記の通り混合して衝撃力を加えた。
図2に示す反応ユニット30にて、25〜35℃の範囲以内の温度に調節した機能水Aと元油(本実施例では軽油)Bを予備混合器35にて予備混合し、ポンプ36でポンプ圧1〜1.5MPa(ゲージ圧)にて加圧して、孔径5mmのストレート形状のノズル39から吐出させ、ノズル39から約20〜30cm離れた壁面41aに衝突させた。機能水および軽油の混合割合は1:1(体積基準)とし、それぞれ10L(すなわち合計20L)で供給した。反応槽41は、大気開放し、常温常圧の空気雰囲気とした。
これにより衝撃力が加えられた混合物を反応槽41の底部にある抜き出し部41bより速やかに抜き出し、分離槽45にて静置して、有機相と水相とに分離させ、有機相を新油として回収した。
得られた新油(有機相)は約11Lであり、水相は約9Lであった。使用した元油約10Lに対して、新油約11Lが得られたことから、油(炭化水素系化合物の液状物)が約10体積%増加したとことがわかる。
元油として用いた軽油と、得られた新油とをそれぞれガスクロマトグラフ分析して含有している炭化水素系化合物の炭素数分布を調べた。結果を図3に示す(図中、記号「n」は直鎖を示し、記号「C」の隣の数は炭素数を示す)。図3(a)は元油として用いた軽油のガスクロマトグラフ分析結果であり、図3(b)はこの元油から得られた新油のガスクロマトグラフ分析結果である。ガスクロマトグラフ分析には、GC−2010(株式会社島津製作所製)を用いた。
図3(a)と図3(b)を比較すると、いずれも炭素数17(nC17)をピークとし、炭素数約9〜25の範囲で分布しており、互いに類似した炭素数分布を示した。よって、元油として軽油を用いた場合に、軽油と同様の組成を有する新油が得られたことが確認された。
更に、元油として灯油を用いた場合には、灯油と同様の組成を有する新油が得られ、元油としてC1522で表される飽和炭化水素化合物を用いた場合には、これと同様の組成を有する新油が得られ、いずれの場合にも、元油に比べて新油の量が増加することが、本発明者らの実験により確認された。
(実施例2)
本実施例では、図3および図2を参照して上述した実施形態2に従って、炭化水素系化合物を製造した。
機能水を以下の通り準備した。
まず、陽イオン交換カラムおよび陰イオン交換カラムを備える超純水製造システム(オルガノ株式会社製)に水を通過させて超純水を得た。
図3に示す機能水製造ユニット10’において、水槽11にこの純水を50L入れ、第1供給部13としてナノバブル発生器(株式会社西研デバイズ製)により空気(二酸化炭素含量約0.03体積%)を600mL/分で1時間供給した。
その後、これにより得られた水7中に、まず、第3供給部16より二酸化炭素ガスを600mL/分で30分間供給し、次いで、第2供給部15より酸素ガスを150mL/分で5分間供給した。二酸化炭素ガスの供給および酸素ガスの供給を実施している間に亘って、光照射部23にて、光源27として紫外線殺菌灯(パナソニック株式会社製GL−40 40W(254nm))およびブラックライト(株式会社東芝製FL40S BLB 40W(315〜400nm、ピーク波長352nm))を用いた光照射下にて、二酸化チタン触媒を充填した反応管25に水7を通じて循環させる処理を実施した。
これにより得られた機能水の溶存酸素濃度は12〜14ppmであった。
次に、上記で得た機能水と、元油として軽油を用いて、これらを下記の通り混合して衝撃力を加えた。
図2に示す反応ユニット30にて、25〜35℃の範囲以内の温度に調節した機能水Aと元油(本実施例では軽油)Bを予備混合器35にて予備混合し、ポンプ36でポンプ圧1〜1.5MPa(ゲージ圧)にて加圧して、孔径5mmのストレート形状のノズル39から吐出させ、ノズル39から約20〜30cm離れた壁面41aに衝突させた。機能水および軽油の混合割合は表1に示す通りとし、これらの合計20Lで供給した。反応槽41は、大気開放し、常温常圧の空気雰囲気とした。
これにより衝撃力が加えられた混合物を反応槽41の底部にある抜き出し部41bより速やかに抜き出し、分離槽45にて静置して、有機相と水相とに分離させ、有機相を新油として回収した。使用した元油の量と、回収した新油の量とから、油(炭化水素系化合物の液状物)の増加割合を求めた。結果を表1に併せて示す。
Figure 2018016614
本発明によれば、炭化水素系化合物を容易かつ簡便な方法で低コストにて製造することができ、これにより得られる炭化水素系化合物は、例えば炭化水素系燃料として利用可能であり、よって、エネルギー問題の解決に資することが期待される。
1、19、29 ライン
3、3’、6 二酸化炭素供給源
5 酸素供給源
7 水(機能水)
10、10’ 機能水製造ユニット
11 水槽
13 第1供給部(ナノバブル発生器)
15 第2供給部
16 第3供給部
17 抜き出し部
21 ポンプ
23 光照射部(光照射装置)
25 反応管
27 光源
30 反応ユニット(炭化水素系化合物の製造装置)
31 第1タンク
31a 温度調節器
33 第2タンク
33a 温度調節器
35 予備混合器
36 ポンプ
37 供給ライン
39 ノズル
41 反応槽
41a 壁面
41b 抜き出し部
43、47、49 ライン
45 分離槽
A 機能水
B 炭化水素系化合物を含む液状物

Claims (17)

  1. 炭化水素系化合物の製造方法であって、
    (a)二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を準備すること、および
    (b)該機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを混合して衝撃力を加えること
    を含み、該衝撃力が加えられた混合物に含まれる炭化水素系化合物の量が、前記炭化水素系化合物を含む液状物に含まれる炭化水素系化合物の量より増加している、製造方法。
  2. 前記(a)が、
    (i)二酸化炭素含有ナノバブルを水中に供給すること、および
    (ii)少なくとも酸素を水中に供給し、該少なくとも酸素が供給された水に光触媒の存在下にて光を照射して活性酸素を生成させること
    を含む、請求項1に記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  3. 二酸化炭素含有ナノバブルが、空気のナノバブルであり、
    前記(ii)が、二酸化炭素を水中に供給することを含む、請求項2に記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  4. 二酸化炭素含有ナノバブルが、二酸化炭素のナノバブルである、請求項1または2に記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  5. 機能水が、10ppm以上の溶存酸素濃度を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  6. 前記(a)にて使用される水が、純水である、請求項1〜5のいずれかに記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  7. 前記(b)が、前記機能水と前記炭化水素系化合物を含む液状物とを、前記衝撃力を加える前に予め混合することを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  8. 前記(b)における前記衝撃力は、前記機能水と前記炭化水素系化合物を含む液状物とを一緒にノズルから吐出して壁面に衝突させることによって加えられる、請求項1〜7のいずれかに記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  9. (c)前記衝撃力が加えられた混合物を、水相と炭化水素系化合物を含む相とに分離すること
    を更に含む、請求項1〜8のいずれかに記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  10. 前記炭化水素系化合物を含む液状物が、炭素数5〜27の飽和炭化水素、軽油、灯油、ガソリンおよびジェット燃料からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  11. 前記衝撃力が加えられた混合物に含まれる炭化水素系化合物の平均炭素数が、前記炭化水素系化合物を含む液状物に含まれる炭化水素系化合物の平均炭素数に対して±20%以内の範囲にある、請求項1〜10のいずれかに記載の炭化水素系化合物の製造方法。
  12. 二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を収容する第1タンクと、
    炭化水素系化合物を含む液状物を収容する第2タンクと、
    機能水と炭化水素系化合物を含む液状物とを反応させるための反応槽と、
    第1タンクおよび第2タンクに接続された供給ラインであって、反応槽内に配置されたノズルを先端部に備え、該ノズルから、第1タンクから供給される機能水と第2タンクから供給される炭化水素系化合物を含む液状物とを一緒に吐出して、反応槽の壁面に衝突させることにより衝撃力を加えるように構成された供給ラインと
    を含む、炭化水素系化合物の製造装置。
  13. 供給ラインが、第1タンクから供給される機能水と第2タンクから供給される炭化水素系化合物を含む液状物とを、ノズルから吐出する前に予め混合する予備混合器を更に備える、請求項12に記載の炭化水素系化合物の製造装置。
  14. 反応槽から抜き出される衝撃力が加えられた混合物を、水相と炭化水素系化合物を含む相とに分離する分離槽を更に含む、請求項12または13に記載の炭化水素系化合物の製造装置。
  15. 二酸化炭素含有ナノバブルおよび活性酸素を水中に含む機能水を製造して第1タンクに供給するための機能水製造ユニットであって、
    水を収容する水槽と、
    水中に少なくとも二酸化炭素をナノバブルの形態で供給する第1供給部と、
    水中に少なくとも酸素を供給する第2供給部と、
    該少なくとも酸素が供給された水に光触媒の存在下にて光を照射して活性酸素を生成させる光照射部と
    を含む機能水製造ユニットを更に含む、請求項12〜14のいずれかに記載の炭化水素系化合物の製造装置。
  16. 第1供給部が、水中に空気をナノバブルの形態で供給し、
    機能水製造ユニットが、水中に二酸化炭素を供給する第3供給部を更に含む、請求項15に記載の炭化水素系化合物の製造装置。
  17. 第1供給部が、水中に二酸化炭素をナノバブルの形態で供給する、請求項15に記載の炭化水素系化合物の製造装置。
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