JP2018016542A - 炭化珪素半導体基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】割れの発生を抑制可能な炭化珪素半導体基板を提供する。
【解決手段】炭化珪素半導体基板10は、第1の主面10aと、第1の主面10aと反対側の第2の主面10bとを備える。第1の主面10aの最大径が100mmより大きく、かつ炭化珪素半導体基板10の厚みが700μm以下である。第1の主面10aの外周端部ORから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の領域OR2において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。
【選択図】図1

Description

この発明は、炭化珪素半導体基板およびその製造方法に関し、特定的には、割れの発生を抑制可能な炭化珪素半導体基板およびその製造方法に関する。
近年、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体装置の高耐圧化、低損失化、高温環境下での使用などを可能とするため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素の採用が進められつつある。炭化珪素は、従来から半導体装置を構成する材料として広く使用されている珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体である。そのため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素を採用することにより、半導体装置の高耐圧化、オン抵抗の低減などを達成することができる。また、炭化珪素を材料として採用した半導体装置は、珪素を材料として採用した半導体装置に比べて、高温環境下で使用された場合の特性の低下が小さいという利点も有している。
たとえば、特開2012−214376号公報(特許文献1)には、歪みが5μm未満であり、反りが5μm未満であり、全厚さ変動が2.0μm未満であり、かつ直径が75ミリメートルの炭化珪素ウエハの製造方法が記載されている。当該炭化珪素ウエハの製造方法によれば、炭化珪素ブールを薄切りにしてウエハ状とした後、ラッピング下方力をウエハを折り曲げる下方力未満に制限しつつ炭化珪素ウエハがラッピングされる。
特開2012−214376号公報
しかしながら、近年、炭化珪素半導体基板を用いた炭化珪素半導体装置の製造プロセスにおいて、炭化珪素半導体基板の割れが多発している。例えば、不純物ドーパントを注入するイオン注入工程、酸化膜、窒化膜を成膜するCVD装置、金属膜を成膜するスパッタ工程、シンタリング、活性化アニールや電極の合金化アニールを実施する熱処理工程において、静電チャック方式で炭化珪素半導体基板を保持する際に、炭化珪素半導体基板の割れが発生する場合がある。
特開2012−214376号公報に記載のように炭化珪素半導体基板の直径が75mm程度の場合であれば、炭化珪素半導体基板の割れはあまり発生していなかった。しかしながら、たとえば100mm超程度の大きな直径を有する炭化珪素半導体基板において、炭化珪素半導体基板の割れが多発しており、炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することが求められている。
本発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、その目的は、割れの発生を抑制可能な炭化珪素半導体基板およびその製造方法を提供することである。
本発明に係る炭化珪素半導体基板は、第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを備える。第1の主面の最大径が100mmより大きく、かつ炭化珪素半導体基板の厚みが700μm以下である。第1の主面の外周端部から第1の主面の中心に向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。
本発明に係る炭化珪素半導体基板の製造方法は以下の工程を備えている。第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、第1の主面の最大径が100mmより大きく、かつ厚みが700μm以下である炭化珪素半導体基板が準備される。炭化珪素半導体基板の周縁部が除去される。周縁部を除去する工程では、周縁部を除去する前の炭化珪素半導体基板の第1の主面の第1の中心の位置が、周縁部を除去した後の炭化珪素半導体基板の第1の主面の第2の中心の位置と一致せず、かつ第1の中心から見て、第1の中心を通り、かつ<1−100>方向と平行な直線を第1の主面に投影した直線から第1の主面内において15°以内の領域に第2の中心が位置するように、周縁部が除去される。
本発明によれば、割れの発生を抑制可能な炭化珪素半導体基板およびその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の構造を概略的に説明するための平面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の構造を概略的に説明するための断面模式図である。 図2における領域IIIの拡大図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の第1の変形例の構造を概略的に説明するための平面模式図である。 炭化珪素半導体基板の第1の主面に発生する結晶欠陥の第1の例を概略的に説明するための平面模式図である。 炭化珪素半導体基板の第1の主面に発生する結晶欠陥の第2の例を概略的に説明するための平面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の第2の変形例の構造を概略的に説明するための断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第1の工程を概略的に説明するための断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第2の工程を概略的に説明するための断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第3の工程を概略的に説明するための断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第4の工程を概略的に説明するための断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第5の工程を概略的に説明するための断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第6の工程を概略的に説明するための平面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第6の工程を概略的に説明するための断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第7の工程を概略的に説明するための平面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第7の工程を概略的に説明するための一部拡大平面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法の第7の工程を概略的に説明するための一部拡大断面模式図である。
[本願発明の実施形態の説明]
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。また、本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。また角度の記載には、全方位角を360度とする系を用いている。
発明者らは、炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制する方法について鋭意検討の結果、以下の知見を得て本発明を見出した。
近年、炭化珪素半導体基板は、表面の直径が大きくなり、厚みが小さくなる傾向にある。表面の直径が大きくなり、厚みが小さくなると、炭化珪素半導体基板は割れやすくなる。炭化珪素半導体基板の表面の最大径が100mmより大きく、かつ厚みが700μm以下の場合において、炭化珪素半導体基板の割れの発生が顕著になってくる。
炭化珪素半導体基板の外周端部から第1の主面の中心に向かってある一定の距離以内の領域に存在する転位密度が炭化珪素半導体基板の割れの発生に関係していることが明らかになってきた。より詳細に研究した結果、第1の主面の最大径が100mmより大きく、かつ厚みが700μm以下である炭化珪素半導体基板において、第1の主面の外周端部から第1の主面の中心に向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度を500/mm2以下とすることにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができることを見出した。
また、炭化珪素単結晶から構成される基板において、積層欠陥は<11−20>方向よりも<1−100>方向においてより高い頻度で発生するという特徴がある。バルク結晶成長面においては、c面ファセットからの距離が大きくなるほど、成長面のオフ角度が大きくなるという特徴がある。当該オフ角度が大きくなると、ステップバンチングが起こりやすくなる。ステップバンチングが大きいほど、貫通転位から基底面転位への変換が起こりやすくなる。貫通転位から基底面転位への変換は炭化珪素固有の欠陥発生現象である。<11−20>方向と<1−100>方向とを比較すると、<1−100>方向においてステップバンチングが発生しやすい。そのため、特に<1−100>方向におけるファセットからの距離が大きい領域で貫通転位から基底面転位への変換が起こりやすくなる。ここで、冷却時の歪みなどのため、基底面転位から積層欠陥への拡張が起こるために、特に<1−100>方向で積層欠陥が発生しやすいと考えられる。
(1)実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、第1の主面10aと、第1の主面10aと反対側の第2の主面10bとを備える。第1の主面10aの最大径が100mmより大きく、かつ炭化珪素半導体基板10の厚みが700μm以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。結果として、工業的に妥当な歩留りで炭化珪素半導体基板を用いた炭化珪素半導体素子を製造することが可能となる。
(2)上記(1)に係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心に向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。
より詳細な研究によると、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合は、当該領域に結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合よりも炭化珪素半導体基板10の割れが発生しやすいことが分かってきた。そこで、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度を200/mm2以下とすることにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができる。
(3)上記(1)に係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができる。
(4)上記(3)に係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は100/mm2以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生をより効果的に抑制することができる。
(5)上記(1)に係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができる。
(6)上記(5)に係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。
より詳細な研究によると、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合は、当該領域に結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合よりも炭化珪素半導体基板の割れが発生しやすいことが分かってきた。そこで、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度を200/mm2以下とすることにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができる。
(7)上記(5)に係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生をより効果的に抑制することができる。
(8)上記(7)に係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は100/mm2以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の領域において、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生をより効果的に抑制することができる。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、炭化珪素半導体基板10は、第2の主面10bをなす炭化珪素単結晶基板11と、炭化珪素単結晶基板11上に設けられ、第1の主面10aをなす炭化珪素エピタキシャル層12とを含む。これにより、炭化珪素エピタキシャル層および炭化珪素単結晶基板を有する炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、第1の主面10aの最大径は150mm以上である。炭化珪素半導体基板は、第1の主面の最大径が大きくなると割れやすくなる。第1の主面の最大径が150mm以上である大口径の炭化珪素半導体基板において、特に効果的に炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに係る炭化珪素半導体基板10において好ましくは、炭化珪素半導体基板10の厚みは600μm以下である。炭化珪素半導体は、大口径でかつ厚みが薄くなると、さらに割れやすくなる。厚みが600μm以下と薄くかつ大口径の炭化珪素半導体基板において、特に効果的に炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。
(12)実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10の製造方法は以下の工程を備えている。第1の主面11dと、第1の主面11dと反対側の第2の主面11eとを有し、第1の主面11dの最大径が100mmより大きく、かつ厚みが700μm以下である炭化珪素半導体基板11が準備される。炭化珪素半導体基板11の周縁部7が除去される。周縁部7を除去する工程では、周縁部7を除去する前の炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第1の中心11cの位置が、周縁部7を除去した後の炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第2の中心Oの位置と一致せず、かつ第1の中心11cから見て、第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線を前記第1の主面に投影した直線から第1の主面11d内において15°以内の領域に第2の中心Oが位置するように、周縁部7が除去される。積層欠陥は<11−20>方向よりも<1−100>方向においてより高い頻度で発生する。そのため、周縁部7を除去する前の炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第1の中心11cの位置が、周縁部7を除去した後の炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第2の中心Oの位置と一致せず、かつ第1の中心11cから見て、第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線を前記第1の主面に投影した直線から第1の主面11d内において15°以内の領域に第2の中心Oが位置するように、周縁部7を除去することにより、効果的に積層欠陥を除去することができる。結果として、炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。
(13)上記(12)に係る炭化珪素半導体基板10の製造方法において好ましくは、炭化珪素半導体基板11を準備する工程後であって、かつ炭化珪素半導体基板11の周縁部7を除去する工程の前に、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dを観察して積層欠陥が存在する領域6を特定する工程とをさらに備える。周縁部7を除去する工程では、積層欠陥が存在する領域6が除去される。これにより、より効果的に積層欠陥を除去することができる。
(14)上記(12)または(13)に係る炭化珪素半導体基板10の製造方法において、炭化珪素半導体基板11を準備する工程において、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在してもよい。周縁部7を除去する工程では、結晶粒界および転位列のいずれも分断しないように周縁部7が除去される。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生率を低減することができる。
(15)上記(14)に係る炭化珪素半導体基板10の製造方法において好ましくは、周縁部7を除去する工程では、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに存在する結晶粒界または転位列の全体を除去するように周縁部7が除去される。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生率を効果的に低減することができる。
(16)上記(14)に係る炭化珪素半導体基板10の製造方法において好ましくは、周縁部7を除去する工程では、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに存在する結晶粒界または転位列の全体を第1の主面11dに残すように周縁部7が除去される。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生率を効果的に低減することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
まず、本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10の構成について説明する。
図1および図2を参照して、実施の形態1に係る炭化珪素半導体基板10は、たとえばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素単結晶からなり、第1の主面10aと、第1の主面10aと反対側の第2の主面10bとを有している。炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの最大径Dは、たとえば150mmである。好ましくは、炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの最大径Dは、100mmより大きく、より好ましくは150mm以上であり、さらに好ましくは200mm以上である。
図2を参照して、炭化珪素半導体基板10の厚みTは700μm以下であり、好ましくは600μm以下である。炭化珪素半導体基板10の厚みTは、好ましくは250μm以上600μm未満であり、より好ましくは300μm以上600μm未満であり、さらに好ましくは250μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは350μm以上500μm以下である。炭化珪素半導体基板10は、たとえば不純物としての窒素を含んでおり、n型の導電型を有していてもよい。
炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aは、炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの中心Oを含むほぼ平坦な内周領域IRと、内周領域IRを囲み面取り部を含む外周領域ORとを含む。図2を参照して、第1の主面10aの中心Oは、第1の主面10aの内周領域IRの法線と平行な線であって、かつ炭化珪素半導体基板10の重心Gを通る線と、第1の主面10aとが交差する点である。炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aは、外周端部10cを含む。炭化珪素半導体基板10の第2の主面10bも第1の主面10aと同様に内周領域IRおよび外周領域ORを含む。
外周領域ORは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって距離x1以内の領域であり、平面視(第1の主面10aの内周領域IRの法線方向に沿って見た視野)においてリング状の領域である。距離x1は、たとえば5mmであり、10mmであってもよい。外周領域ORは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって距離x2以内の領域(第2の外周領域OR2)と、外周領域ORの中で第2の外周領域OR2以外の領域(つまり第1の外周領域OR1)とにより構成されている。距離x2は、たとえば1mmである。
図1および図2を参照して炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの内周領域IRは、(000−1)面または(000−1)面から8°以下程度オフした面であり、第2の主面10bの内周領域は、(0001)面または(0001)面から8°以下程度オフした面であってもよい。
本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。より好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。
第1の主面10aの外周領域ORにおける転位の個数は、たとえばKOH(水酸化カリウム)エッチングによりエッチピットを形成し、当該エッチピットをたとえば光学顕微鏡を用いて観察することにより計数することができる。具体的には、炭化珪素半導体基板10を、たとえば515℃の溶融KOHに8分間浸漬させることによりエッチピットを形成する。観察されるエッチピットの径は、たとえば50μmであり、好ましくは10μm以上100μm以下である。観察される具体的な転位の種類としては、貫通らせん転位および貫通刃状転位、基底面転位などである。好ましくは、バーガースベクトルがc+aである貫通転位の転位密度は25/mm2以下である。また好ましくは、バーガースベクトルがc+mである貫通転位の転位密度は25/mm2以下である。好ましくは、バーガースベクトルがc成分を含まない貫通刃状転位の転位密度は100/mm2以下であり、より好ましくは50/mm2以下である。なお、cは<0001>方位であり、aは<11−20>方位であり、mは<1−100>方位である。
図3を参照して、炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aは、平坦部10eと、面取り部10dと、平坦部10eと面取り部10dとの境界である境界部10fと、外周端部10cとを含む。図1および図3を参照して、第2の外周領域OR2は、面取り部10dと、境界部10fと、平坦部10eの一部とにより構成されていてもよいし、面取り部10dと、境界部10fとにより構成されていてもよし、面取り部10dのみにより構成されていてもよい。第1の外周領域OR1は、平坦部10eの一部を構成していてもよい。
図4、図5および図6を参照して、炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aに、結晶欠陥5が存在していてもよい。結晶欠陥5とは、たとえば結晶粒界(ドメイン)および転位列(リネージ)などである。結晶粒界や転位列などの結晶欠陥5を長方形形状でフィッティングして長手方向の長さa、短手方向の長さbおよび面積を決定することができる。好ましくは、結晶粒界や転位列などの結晶欠陥5の面積は3mm2以下であり、長手方向の長さaは3mm以下である。より好ましくは、結晶粒界や転位列などの結晶欠陥5の面積は1mm2以下であり、長手方向の長さaは1mm以下である。なお、結晶粒界などの粒界は、たとえば偏光顕微鏡およびノマルスキー型微分干渉顕微鏡などにより観察可能である。好ましくは、結晶粒界は、クロスニコルを用いた偏光顕微鏡により観察される。
次に、結晶粒界や転位列などの結晶欠陥5の延在方向について説明する。図4に示すように、炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの最も外周側に位置する結晶欠陥5の部分と炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの中心Oとを通る直線を第1の直線r1とし、結晶欠陥5の長手方向に沿った直線を第2の直線r2とする。図5に示すように、第1の直線r1および第2の直線r2により形成される角度θ(90°以下の角度で定義する)がたとえば45°以下程度と小さい場合、結晶欠陥5は第1の主面10aの内周領域IRに向かって延在する。そのため、当該結晶欠陥5が起点となって炭化珪素半導体基板10が割れる場合、割れが内周領域IRにまで伸長し、内周領域IRに形成されている半導体装置に影響を与える。一方、図6に示すように、第1の直線r1および第2の直線r2により形成される角度θがたとえば60°以上程度と大きい場合、結晶欠陥5は第1の主面10aの外周領域OR内において延在し、内周領域IRに向かって延在しない。そのため、当該結晶欠陥5が起点となって炭化珪素半導体基板10が割れる場合、割れが内周領域IRにまで伸長しないため、内周領域IRに形成されている半導体装置にほとんど影響を与えない。つまり、半導体装置の歩留りの観点からは、第1の直線r1および第2の直線r2により形成される角度θが大きい方が望ましい。結晶欠陥5の長手方向の長さaを短手方向の長さbで割った比が2以上の場合において、第1の直線r1および第2の直線r2により形成される角度θが45°より大きいことが好ましく、60°以上であることがより好ましい。
第2の外周領域OR2に結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合とは、たとえば、第2の外周領域OR2に結晶粒界が1以上存在している場合、第2の外周領域OR2に転位列が1以上存在している場合、第2の外周領域OR2に結晶粒界および転位列の各々が1以上存在している場合および結晶粒界や転位列などの結晶欠陥5が、第1の外周領域OR1と第2の外周領域OR2との境界を横切るように形成されている場合などを含む。第2の外周領域OR2に結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合における外周領域ORの転位密度は、第2の外周領域OR2に結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合における外周領域ORの転位密度よりも低いことが好ましい。具体的には、炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの外周端部10cから中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下であり、第1の主面10aの外周端部10cから中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下であることが好ましい。
より好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は100/mm2以下であり、第1の主面10aの外周端部10cから中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。
好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから中心Oに向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下であり、第1の主面10aの外周端部10cから中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。より好ましくは、第1の主面10aの外周端部10cから中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は100/mm2以下であり、第1の主面10aの外周端部10cから中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。
図7を参照して、炭化珪素半導体基板10は、炭化珪素単結晶基板11と、炭化珪素単結晶基板11上に設けられた炭化珪素エピタキシャル層12とを含んでいてもよい。炭化珪素単結晶基板11は、炭化珪素半導体基板10の第2の主面10bをなす。炭化珪素エピタキシャル層12は、炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aをなす。炭化珪素単結晶基板11および炭化珪素エピタキシャル層12の各々は、たとえば窒素などの不純物を含んでおり、n型の導電型を有する。炭化珪素エピタキシャル層12の不純物濃度は、炭化珪素単結晶基板11の不純物濃度よりも低いことが好ましい。
なお、炭化珪素半導体基板10は、炭化珪素エピタキシャル層12を有していいない炭化珪素単結晶基板11であってもよい。また炭化珪素半導体基板10は、後述する炭化珪素単結晶1を成長させる方法において用いられる種結晶2であってもよい。また上記では、炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの転位密度について説明したが、炭化珪素半導体基板10の第2の主面10bも第1の主面10aと同様の転位密度を有していてもよい。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法について説明する。
まず、炭化珪素単結晶成長装置としての坩堝20が準備される。図8を参照して、坩堝20は、たとえばグラファイトからなり、種結晶保持部21と原料収容部22とを主に有している。種結晶保持部21は、単結晶炭化珪素からなる種結晶2を保持可能に構成されている。原料収容部22は、炭化珪素粉末からなる炭化珪素原料3を配置可能に構成されている。坩堝の外径はたとえば160mm程度であり、内径はたとえば120mm程度である。坩堝の周囲を取り囲むように加熱部(図示せず)が設けられている。加熱部は、たとえば誘導加熱式コイルや抵抗加熱式ヒータなどである。加熱部は原料収容部22内の炭化珪素原料3を炭化珪素の昇華温度まで昇温可能に構成されている。
次に、種結晶2および炭化珪素原料3が坩堝20に配置される。たとえばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素からなる種結晶2が種結晶保持部21に固定される。種結晶2は、第3の主面2aと、第3の主面2aと反対側の第4の主面2bとを有する。種結晶2の第4の主面2bは、種結晶保持部21と接し、種結晶保持部21により保持されている。炭化珪素原料3は、原料収容部22に収容される。炭化珪素原料3は、たとえば炭化珪素粉末からなる。種結晶2の第3の主面2aが、炭化珪素原料3の表面に対向するように、炭化珪素原料3が原料収容部22に配置される。以上のように、炭化珪素単結晶からなる種結晶2と、炭化珪素原料3とが坩堝20に配置される。
種結晶2の第3の主面2aの最大径D1は、好ましくは100mm以上であり、たとえば125mmである。当該種結晶2は、種結晶2の第3の主面2aの外周端部から第3の主面2aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である種結晶2である。好ましくは、当該外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。種結晶2の第3の主面2aの転位密度は、上述した炭化珪素半導体基板10の第1の主面10aの転位密度と同様であってもよい。種結晶2の第3の主面2aは、たとえば(000−1)面から10度以下オフした面であり、種結晶2の第4の主面2bは、たとえば(0001)面から10度以下オフした面であってもよい。
次に、第1の炭化珪素単結晶成長工程が実施される。具体的には、炭化珪素原料3および種結晶2が配置された坩堝20が、たとえばヘリウムガスおよび窒素ガスを含む雰囲気ガス中において、常温から炭化珪素結晶が昇華する温度(たとえば2300℃)まで加熱される。雰囲気ガスはアルゴンガスを含んでも良い。種結晶2は、炭化珪素原料3よりも低い温度になるように加熱される。つまり、炭化珪素原料3から種結晶2に向かう方向に沿って温度が低くなるように坩堝20が加熱される。次に、坩堝20内の圧力をたとえば1kPaにまで低減する。これにより、坩堝20内の炭化珪素原料3が昇華して種結晶2の第3の主面2a上に再結晶することにより、種結晶2の第3の主面2a上に炭化珪素単結晶1が成長し始める。炭化珪素単結晶1の成長は、たとえば100時間程度実施される。以上により、種結晶2の第3の主面2a上に炭化珪素単結晶1が成長する(図9参照)。
図9に示すように、第1の炭化珪素単結晶成長工程において、種結晶2の第3の主面2aと平行な方向に沿った炭化珪素単結晶1の径が、種結晶2の第3の主面2aの径よりも大きくなるように、炭化珪素単結晶1を成長させる。図10を参照して、炭化珪素単結晶1の結晶成長が完了後、炭化珪素単結晶1が種結晶2とともに坩堝20から取り出される。種結晶2の第3の主面2aと接する領域における炭化珪素単結晶1の最大径D1は、たとえば125mm程度である。種結晶2の第3の主面2aから離れるにつれて炭化珪素単結晶1の径は大きくなる。たとえば種結晶2の第3の主面2aからある一定の距離だけ離れた位置において炭化珪素単結晶1を種結晶2の第3の主面2aと平行な面でスライスして炭化珪素単結晶からなる単結晶基板1aが切り出される。当該単結晶基板1aの最大径D2は、たとえば種結晶2の第3の主面2aの最大径よりも大きい。当該単結晶基板1aが、次の炭化珪素単結晶1を成長させるための種結晶2として利用される。
図11を参照して、当該単結晶基板1aからなる種結晶2が坩堝20の種結晶保持部21に固定される。種結晶2は、第3の主面2aと、第3の主面2aと反対側の第4の主面2bとを有する。種結晶2の第4の主面2bは、種結晶保持部21と接し、種結晶保持部21により保持されている。炭化珪素原料3は、原料収容部22に収容される。炭化珪素原料3は、たとえば炭化珪素粉末からなる。種結晶2の第3の主面2aが、炭化珪素原料3の表面に対向するように、炭化珪素原料3が原料収容部22に配置される。
次に、第2の炭化珪素単結晶成長工程が実施される。具体的には、第1の炭化珪素単結晶成長工程と同様に、炭化珪素原料3および種結晶2が配置された坩堝20が、たとえばヘリウムガスおよび窒素ガスを含む雰囲気ガス中において、常温から炭化珪素結晶が昇華する温度(たとえば2300℃)まで加熱される。種結晶2は、炭化珪素原料3よりも低い温度になるように加熱される。つまり、炭化珪素原料3から種結晶2に向かう方向に沿って温度が低くなるように坩堝20が加熱される。次に、坩堝20内の圧力をたとえば1kPaにまで低減する。これにより、坩堝20内の炭化珪素原料3が昇華して種結晶2の第3の主面2a上に再結晶することにより、種結晶2の第3の主面2a上に炭化珪素単結晶1が成長し始める。炭化珪素単結晶1の成長は、たとえば100時間程度実施される。以上により、種結晶2の第3の主面2a上に炭化珪素単結晶1が成長する(図12参照)。図12に示すように、第2の炭化珪素単結晶成長工程において、種結晶2の第3の主面2aと平行な方向に沿った炭化珪素単結晶1の径が、種結晶2の第3の主面2aの径よりも大きくなるように、炭化珪素単結晶1を成長させる。
以上のように、最初に径が小さくかつ転位密度の低い良質の炭化珪素単結晶からなる種結晶2を用いて、種結晶2の第3の主面2a上に転位密度の低い炭化珪素単結晶1を、径が大きくなるように成長させる。当該炭化珪素単結晶1の一部を切り出し、次の炭化珪素単結晶1を成長させるための種結晶2として用いて炭化珪素単結晶1を成長させるという工程を繰り返す。これにより、転位密度が低く、かつ径の大きな炭化珪素単結晶1を成長させることができる。最終的には、最大径が100mmよりも大きい(好ましくは最大径が150mm以上である)炭化珪素単結晶1を得ることができる。
次に、炭化珪素単結晶をスライスする工程が実施される。たとえばワイヤーソーにより炭化珪素単結晶1がスライスされる。炭化珪素単結晶1は、たとえば種結晶2の第3の主面2aの法線に交差する面(好ましくは、当該法線と垂直な面)でスライスされることにより、複数枚の炭化珪素単結晶基板11が得られる。
図13および図14を参照して、炭化珪素半導体基板としての炭化珪素単結晶基板11は、第1の主面11dと、第1の主面11dと反対側の第2の主面11eとを有する。炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dの最大径D4は100mmより大きく、好ましくは150mm以上である。炭化珪素単結晶基板11の厚みTは700μm以下であり、好ましくは600μm以下である。炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dは、たとえば{0001}面であってもよいし、{0001}面から8°以下程度オフした面であってもよい。
炭化珪素単結晶からなる基板においては、炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dにおける<11−20>方向よりも<1−100>方向において積層欠陥が発生しやすい。<1−100>方向は、具体的には、[1−100]方向、[01−10]方向および[−1010]方向のことである。[1−100]方向、[01−10]方向および[−1010]方向の各々は、炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dにおいて互いに120°だけ角度がずれた位置関係にある。<11−20>方向は<1−100>方向に対して30°だけ角度がずれた位置関係にある。図13においてハッチングで示す第1の領域11aは、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第1の中心11cから見て、第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線を第1の主面11dに投影した直線から炭化珪素半導体基板11の第1の主面11d内において15°以内の領域(言い換えれば、<1−100>方向と平行な直線を第1の主面11dに投影した直線から±15°の範囲)である。図13における角度φは15°である。言い換えれば、図13においてハッチングを付していない第2の領域11bは、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第1の中心11cから見て、第1の中心11cを通り、かつ<11−20>方向と平行な直線を第1の主面11dに投影した直線から炭化珪素半導体基板11の第1の主面11d内において15°以内の領域(言い換えれば、<11−20>方向と平行な直線を第1の主面11dに投影した直線から±15°の範囲)である。ハッチングで示す第1の領域11aと、ハッチングを付していない第2の領域11bとは、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの周方向に沿って30°毎に交互に存在する。
図14を参照して、炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dの第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線を第1の主面11dに投影した直線について説明する。まずオフ角が0°の場合(つまり図14のαが0°の場合)、炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dは、{0001}面であり、第1の主面11dの法線方向c2は、<0001>方向である。オフ角が0°の場合、<1−100>方向は、第1の主面11dと平行な方向a2である。そのため、炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dの第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線を第1の主面11dに投影した直線は、<1−100>方向に平行な直線a2である。一方、オフ角がたとえば8°の場合(つまり図14のαが8°)の場合、炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dは、{0001}面から8°傾斜した面であり、第1の主面11dの法線方向c1は、<0001>方向から8°傾斜した方向である。オフ角が8°の場合、<1−100>方向は、第1の主面11dから8°傾斜した方向a1である。そのため、炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dの第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線a1を第1の主面11dに投影した直線は、直線a2となる。
次に、炭化珪素単結晶基板11の周縁部7を除去する工程が実施される。図15を参照して、周縁部7を除去する工程では、周縁部7を除去する前の炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dの第1の中心11cの位置が、周縁部7を除去した後の炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dの第2の中心Oの位置と一致せず、かつ第1の中心11cから見て、第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線から第1の主面11d内において15°以内の第1の領域11aに第2の中心Oが位置するように、周縁部7が除去される。つまり、周縁部7を除去した後の第2の中心Oの位置が、上述したハッチングで示す第1の領域11aに位置するように、炭化珪素単結晶基板11を偏心させて炭化珪素単結晶基板11の周縁部7がチャンファー加工される。好ましくは、炭化珪素単結晶基板11の第1の中心11cから見て、第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線から第1の主面11d内において10°以内の領域に第2の中心Oが位置するように、周縁部7が除去される。
炭化珪素単結晶基板11の周縁部7の除去は、たとえば砥石などを用いて周縁部7を研磨または研削することにより除去される。好ましくは、周縁部7を除去する前の炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dの最大径D4が、周縁部7を除去した後の炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11dの最大径D3×110%以上となるように、炭化珪素単結晶基板11の周縁部7が除去される。
好ましくは、炭化珪素半導体基板11を準備する工程後であって、かつ炭化珪素半導体基板11の周縁部7を除去する工程の前に、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dを観察して積層欠陥などの欠陥、結晶粒界または転位列などが多数存在する領域6を特定する工程が実施される。具体的には、光学顕微鏡観察、PLイメージング観察、X線トポグラフ観察等を用いて積層欠陥などの欠陥、結晶粒界または転位列などが多数存在する領域を特定する。周縁部7を除去する工程では、目視またはカメラなどを用いて当該特定された領域が選択的に除去されるように調整しながら、積層欠陥等が存在する領域6が選択的に除去される。たとえば、炭化珪素単結晶基板11を360°よりも小さい角度だけ時計回りに回転させた後、同じ角度だけ反時計回りに回転させる運動を繰り返すことにより、炭化珪素半導体基板11の周縁部7の特定部分のみを選択的に除去することが可能である。
炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在する場合においては、周縁部7を除去する工程では、結晶粒界および転位列のいずれも分断しないように周縁部7が除去される。具体的には、たとえば、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに存在する結晶粒界または転位列の全体を除去するように周縁部7が除去される。図16を参照して、周縁部7を除去する前の炭化珪素単結晶基板11の外周端部は破線で示す外周端部11pであり、周縁部7を除去した後の炭化珪素単結晶基板11の外周端部は実線で示す外周端部10c3である。この場合、結晶粒界または転位列などの結晶欠陥5において、炭化珪素単結晶基板11の第1の中心11cに最も近い部分5aよりも第1の中心11c側に周縁部7を除去した後の炭化珪素単結晶基板11の外周端部10c3が位置するように炭化珪素単結晶基板11の周縁部7が除去される。なお、周縁部7を除去した後の炭化珪素単結晶基板11の外周端部が外周端部10c2に位置する場合は、結晶粒界または転位列などの結晶欠陥5が分断された状態である。
図16を参照して、周縁部7を除去する工程では、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに存在する結晶粒界または転位列の全体を第1の主面11dに残すように周縁部7が除去されてもよい。周縁部7を除去した後の炭化珪素単結晶基板11の外周端部は実線で示す外周端部10c1となる。この場合、結晶粒界または転位列などの結晶欠陥5において、炭化珪素単結晶基板11の第1の中心11cから最も遠い部分5bよりも外周側に、周縁部7を除去した後の炭化珪素単結晶基板11の外周端部10c1が位置するように炭化珪素単結晶基板11の周縁部7が除去される。
図17を参照して、追加のチャンファー加工が実施される。具体的には、上記結晶欠陥5の全体が除去されるように、炭化珪素単結晶基板11の周縁部7が除去される。周縁部7が再度除去された後の、炭化珪素単結晶基板11の外周端部は外周端部10c3となる。同様に、炭化珪素単結晶基板11の周縁部7に転位部が存在する場合においても、当該転位部に対してチャンファー加工を実施することにより、当該転位部を除去することができる。これにより、炭化珪素半導体基板10が割れることを効果的に抑制することができる。なお、追加のチャンファー加工は、炭化珪素単結晶基板11の第1の主面11d上に炭化珪素エピタキシャル層12が形成される前に実施されてもよいし、炭化珪素エピタキシャル層12が形成された後に実施されてもよい。周縁部7を追加のチャンファー加工し、除去する場合は、たとえば砥石あるいは硬質ラバーなどを用いて周縁部7を研磨または研削することにより周縁部7が除去される。以上のようにして、炭化珪素半導体基板10(図1)が形成される。炭化珪素半導体基板10は、炭化珪素半導体装置用の基板であってもよいし、昇華法において炭化珪素単結晶を成長させるための種結晶であってもよい。
次に、炭化珪素単結晶基板11上に炭化珪素エピタキシャル層12が形成されてもよい。炭化珪素エピタキシャル層は、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。具体的には、炭化珪素単結晶基板11上に、水素(H2)を含むキャリアガスと、モノシラン(SiH4)、プロパン(C38)および窒素(N2)などを含む原料ガスとが供給され、炭化珪素単結晶基板11がたとえば1500℃以上1700℃以下程度に加熱される。これにより、炭化珪素エピタキシャル層12が炭化珪素単結晶基板11上に形成された炭化珪素半導体基板10が得られる。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、第1の主面10aと、第1の主面10aと反対側の第2の主面10bとを有している。第1の主面10aの最大径が100mmより大きく、かつ炭化珪素半導体基板10の厚みが700μm以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。結果として、工業的に妥当な歩留りで炭化珪素半導体基板を用いた炭化珪素半導体素子を製造することが可能となる。
また本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心に向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。
より詳細な研究によると、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合は、当該第2の外周領域OR2に結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合よりも炭化珪素半導体基板10の割れが発生しやすいことが分かってきた。そこで、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度を200/mm2以下とすることにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は100/mm2以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって5mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生をより効果的に抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は500/mm2以下である。
より詳細な研究によると、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合は、当該第2の外周領域OR2に結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合よりも炭化珪素半導体基板の割れが発生しやすいことが分かってきた。そこで、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度を200/mm2以下とすることにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生を効果的に抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生をより効果的に抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在している場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は100/mm2以下である。第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって1mmの第2の外周領域OR2において結晶粒界および転位列のいずれも存在していない場合、第1の主面10aの外周端部10cから第1の主面10aの中心Oに向かって10mm以内の外周領域ORにおいて、1mm2の面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm2以下である。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生をより効果的に抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、炭化珪素半導体基板10は、第2の主面10bをなす炭化珪素単結晶基板11と、炭化珪素単結晶基板11上に設けられ、第1の主面10aをなす炭化珪素エピタキシャル層12とを含む。これにより、炭化珪素エピタキシャル層を有する炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、第1の主面10aの最大径は150mm以上である。炭化珪素半導体基板は、第1の主面の最大径が大きくなると割れやすくなる。第1の主面の最大径が150mm以上である大口径の炭化珪素半導体基板において、特に効果的に炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10によれば、炭化珪素半導体基板10の厚みは600μm以下である。炭化珪素半導体は、大口径でかつ厚みが薄くなると、さらに割れやすくなる。厚みが600μm以下と薄くかつ大口径の炭化珪素半導体基板において、特に効果的に炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。
本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10の製造方法によれば、周縁部7を除去する工程では、周縁部7を除去する前の炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第1の中心11cの位置が、周縁部7を除去した後の炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第2の中心Oの位置と一致せず、かつ第1の中心11cから見て、第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線を前記第1の主面に投影した直線から第1の主面11d内において15°以内の第1の領域11aに第2の中心Oが位置するように、周縁部7が除去される。積層欠陥は<11−20>方向よりも<1−100>方向においてより高い頻度で発生する。そのため、周縁部7を除去する前の炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第1の中心11cの位置が、周縁部7を除去した後の炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dの第2の中心Oの位置と一致せず、かつ第1の中心11cから見て、第1の中心11cを通り、かつ<1−100>方向と平行な直線を前記第1の主面に投影した直線から第1の主面11d内において15°以内の第1の領域11aに第2の中心Oが位置するように、周縁部7を除去することにより、効果的に積層欠陥を除去することができる。結果として、炭化珪素半導体基板の割れの発生を抑制することができる。
また炭化珪素半導体基板10の製造方法によれば、炭化珪素半導体基板11を準備する工程後であって、かつ炭化珪素半導体基板11の周縁部7を除去する工程の前に、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dを観察して積層欠陥が存在する領域6を特定する工程とをさらに備える。周縁部7を除去する工程では、積層欠陥が存在する領域6が除去される。これにより、より効果的に積層欠陥を除去することができる。
さらに炭化珪素半導体基板10の製造方法によれば、炭化珪素半導体基板11を準備する工程において、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに結晶粒界および転位列の少なくともいずれかが1以上存在してもよい。周縁部7を除去する工程では、結晶粒界および転位列のいずれも分断しないように周縁部7が除去される。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生率を低減することができる。
さらに炭化珪素半導体基板10の製造方法によれば、周縁部7を除去する工程では、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに存在する結晶粒界または転位列の全体を除去するように周縁部7が除去される。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生率を効果的に低減することができる。
さらに炭化珪素半導体基板10の製造方法によれば、周縁部7を除去する工程では、炭化珪素半導体基板11の第1の主面11dに存在する結晶粒界または転位列の全体を第1の主面11dに残すように周縁部7が除去される。これにより、炭化珪素半導体基板の割れの発生率を効果的に低減することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 炭化珪素単結晶
1a 単結晶基板
2 種結晶
2a 第3の主面
2b 第4の主面
3 炭化珪素原料
5 結晶欠陥
6 領域
7 周縁部
10 炭化珪素半導体基板
10a 第1の主面
10b 第2の主面
10c,10c1,10c2,10c3 外周端部
10d 面取り部
10e 平坦部
10f 境界部
10g 側端部
11 炭化珪素単結晶基板
11a 第1の領域
11b 第2の領域
11c 第1の中心
11d 第1の主面
11e 第2の主面
11p 外周端部
12 炭化珪素エピタキシャル層
20 坩堝
21 種結晶保持部
22 原料収容部
D,D1,D2,D3、D4 最大径
G 重心
IR 内周領域
L 除去量
O 中心(第2の中心)
OR 外周領域
OR1 第1の外周領域
OR2 第2の外周領域
T 厚み
a,b 長さ
r1 第1の直線
r2 第2の直線
x1,x2 距離

Claims (7)

  1. 第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを備えた炭化珪素半導体基板であって、
    前記第1の主面の最大径が100mmより大きく、かつ前記炭化珪素半導体基板の厚みが700μm以下であり、
    前記第1の主面の外周端部から前記第1の主面の中心に向かって1mmの領域において結晶粒界および転位列の少なくともいずれかで構成される結晶欠陥が1以上存在しており、
    前記第1の主面の前記外周端部から前記第1の主面の前記中心に向かって5mm以内の領域において、1mmの面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm以下であり、
    前記結晶欠陥の少なくとも一つは、前記結晶欠陥の前記第1の主面の最も外周側に位置する部分と前記第1の主面の前記中心とを通る第1の直線と、前記結晶欠陥の長手方向に沿った第2の直線により形成される角度が45°より大きく90°以下である、炭化珪素半導体基板。
  2. 前記角度は60°以上90°以下である、請求項1に記載の炭化珪素半導体基板。
  3. 前記第1の主面の前記外周端部から前記第1の主面の前記中心に向かって10mm以内の領域において、1mmの面積を有する任意の領域の転位密度は200/mm以下である、請求項1または2に記載の炭化珪素半導体基板。
  4. 前記転位密度は100/mm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の炭化珪素半導体基板。
  5. 前記炭化珪素半導体基板は、前記第2の主面をなす炭化珪素単結晶基板と、前記炭化珪素単結晶基板上に設けられ、前記第1の主面をなす炭化珪素エピタキシャル層とを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の炭化珪素半導体基板。
  6. 前記第1の主面の最大径は150mm以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の炭化珪素半導体基板。
  7. 前記炭化珪素半導体基板の厚みは600μm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の炭化珪素半導体基板。
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