JP2018016456A - 鋼部材の補修構造および補修方法 - Google Patents

鋼部材の補修構造および補修方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018016456A
JP2018016456A JP2016148070A JP2016148070A JP2018016456A JP 2018016456 A JP2018016456 A JP 2018016456A JP 2016148070 A JP2016148070 A JP 2016148070A JP 2016148070 A JP2016148070 A JP 2016148070A JP 2018016456 A JP2018016456 A JP 2018016456A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel member
steel
crack
connecting member
repair structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016148070A
Other languages
English (en)
Inventor
友裕 豊澤
Tomohiro Toyosawa
友裕 豊澤
長之 松石
Nagayuki Matsuishi
長之 松石
照卓 小▲崎▼
Terutaka Ozaki
照卓 小▲崎▼
奥谷 恭士
Takashi Okuya
恭士 奥谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2016148070A priority Critical patent/JP2018016456A/ja
Publication of JP2018016456A publication Critical patent/JP2018016456A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】亀裂が発生した既設の鋼部材に対して、孔開けや溶接を行わず、母材の板厚の変化にも容易に対応できる簡易な補修構造および補修方法を提供する。【解決手段】鋼部材(クレーンガーダー1)の亀裂Cが生じた部位の、亀裂Cを挟んで鋼部材1の長手方向両側に、それぞれ補強材31が互いに隙間をあけて当接され、凹部33aを有する本体部33と、凹部33aに挟んだ部材を2個所以上で締め付ける2つ以上の締め付けボルト34とを備えた挟締金具32によって、亀裂Cが生じた部位と補強材31とが、凹部33aに挟まれて締め付けボルト34で締め付けられ、長手方向両側の補強材31同士が、連結部材41を介して連結されている。【選択図】図3

Description

本発明は、亀裂が生じた鋼部材の補修構造および補修方法に関するものであり、繰り返し載荷を受けて亀裂が発生した鋼部材に対して、溶接や孔開けを必要とせず応急処置に適した補修に関する。
工場や倉庫などには、重量物を運搬するために天井クレーンが設置されている。天井クレーンは、クレーンガーダーと呼ばれる鋼製梁の上面に敷設された軌条上を走行する。クレーンガーダーは、天井クレーンの移動に伴って繰り返し載荷を受けるため、長期間使用すると疲労亀裂が生じることがある。クレーンガーダーに疲労亀裂が発生するとクレーン走行ができなくなり、工場等の操業が中断するため、早急に補修を行う必要がある。
従来、亀裂が生じた鋼部材に孔を開け、ボルトを用いて補強材と鋼部材とを緊結して一体化する補修方法が一般的である。ところが、亀裂が入って応力が低下している母材にさらに孔を開けるため、構造上のリスクがあるうえ、孔開けを行うことにより補修に要する時間が長くなる。
また、亀裂が生じた鋼部材に補強材を溶接して、鋼部材と補強材とを一体化する補修方法もあるが、現場での溶接作業となるため、安定した溶接品質の確保が困難であり、さらに溶接熱による母材へのダメージも懸念される。また、クレーンを使用する現場では、火気を嫌う電気配線や溶剤等が周辺に配置されていることが多く、このような場合には、これらの配線や溶剤等の火気養生もしくは移設が必須となり、作業性の問題がある。
さらに、高剛性、高強度の炭素繊維シートを、亀裂が生じた鋼部材と接着剤で一体化する方法もあるが、炭素繊維シートと鋼材との熱膨張率の差により、熱を受けた際に両者間に歪みが発生して剥離しやすいという問題がある。また、接着剤の耐熱温度は通常70℃以下程度であり、高温環境下では使用不可であるという問題がある。
そこで、例えば特許文献1および特許文献2には、複数枚の補強プレートで亀裂が生じた母材を挟み込むとともに、固定用のボルト貫通部にスペーサを挟むことで、母材への孔開けや溶接を回避して既設の構造物を補強する方法が開示されている。ところが、母材が腐食して減肉している場合等にはスペーサの厚さの調整が困難であり、母材に適切にボルト摩擦力を伝えることができなくなる場合がある。
特開2008−2268号公報 特開2007−77643号公報
本発明の目的は、亀裂が発生した既設の鋼部材に対して、孔開けや溶接を行わず、母材の板厚の変化にも容易に対応でき、さらに亀裂によって生じた残留変形の回復を行うことができる簡易な補修構造および補修方法を提供することにある。
上記問題を解決するため、本発明は、亀裂が生じた鋼部材の補修構造であって、前記鋼部材の亀裂が生じた部位の、前記亀裂を挟んで前記鋼部材の長手方向両側に、それぞれ補強材が互いに隙間をあけて当接され、凹部を有する本体部と、前記凹部に挟んだ部材を2個所以上で締め付ける2つ以上の締め付けボルトとを備えた挟締金具によって、前記亀裂が生じた部位と前記補強材とが、前記凹部に挟まれて前記締め付けボルトで締め付けられ、前記長手方向両側の補強材同士が、連結部材を介して連結されていることを特徴とする、鋼部材の補修構造を提供する。
前記鋼部材の補修構造において、前記連結部材は、張力導入機構を備えていることが好ましい。
また、前記連結部材の必要断面積Apn(mm)が、
pn=As×σs/σps
で求められてもよい。
ただし、
As:補強材の断面積(mm
σs:補強材の強度(N/mm
σps:連結部材の強度(N/mm
また、前記連結部材が、高強度鋼の棒鋼でもよい。あるいは、前記連結部材が、PC鋼線でもよい。また、前記鋼部材が、クレーンガーダーであってもよい。
また、本発明は、亀裂が生じた鋼部材の補修方法であって、前記鋼部材の亀裂が生じた部位の、前記亀裂を挟んで前記鋼部材の長手方向両側に、それぞれ補強材を、互いに隙間をあけて当接し、凹部を有する本体部と、前記凹部に挟んだ部材を2個所以上で締め付ける2つ以上の締め付けボルトとを備えた挟締金具によって、前記亀裂が生じた部位と前記補強材とを、前記凹部で挟んで前記締め付けボルトで締め、前記長手方向両側の補強材同士を、連結部材を介して連結することを特徴とする、鋼部材の補修方法を提供する。
前記鋼部材の補修方法において、前記連結部材に張力を導入し、前記亀裂によって生じた変形を回復させてもよい。
本発明によれば、亀裂が生じた鋼部材に孔開け等のダメージを与えることなく、簡易に補修することができる。また、溶接を行わないので、火気を嫌う電気配線や溶剤等が周辺に配置されていても、火気養生等を行うことなく、現場で、短時間で補修できる。さらに、亀裂によって生じた残留変形の回復を行うことができる。
本発明の実施形態にかかるクレーンガーダーの構造の概要を示す部分斜視図である。 クレーンガーダーにおいて亀裂が生じやすい位置を示す部分斜視図である。 本発明の実施形態にかかる補修構造の一例を示す側面図である。 図3のA−A線から見た縦断面の拡大図である。 図3のB部の拡大図である。 本発明の実施形態にかかる補修構造の設計例を示す断面図であり、(a)は鋼部材の形状および寸法を示し、(b)は補強材の配置および寸法を示す。 本発明の実施形態にかかる補修構造の設計例を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施形態にかかるクレーンガーダーの構造の概要を示す。クレーンガーダー1は、主ガーダー11、下面構12、上面構13及びバックガーダー14を有する。主ガーダー11は、H形鋼、または平板状のプレートを溶接によりH形の断面に組んだ鋼材で構成され、下フランジ21、ウェブ22、上フランジ23を有する。以下、本実施形態では、疲労亀裂が生じる鋼部材の例として、クレーン走行を支持するクレーンガーダーについて説明するが、本発明はクレーンガーダーの補修に限定されるものではない。
クレーンガーダー1は、クレーンの使用に伴って繰り返し載荷を受け、長期間クレーンを使用することにより疲労亀裂が生じることがある。特に、主ガーダー11の下フランジ21と、主ガーダー11と下面構12とを連結するガセットプレート24との溶接部は、疲労亀裂が発生しやすい部位である。すなわち、図2に示すように、下フランジ21には、ガセットプレート24との接点25を起点として亀裂Cが生じやすく、下フランジ21の幅方向を横断してウェブ22に向かって亀裂Cが延びていく。
以下、このような亀裂Cが生じた鋼部材(本実施形態ではクレーンガーダー1)の補修構造について説明する。
図3〜図5は、下フランジ21に亀裂Cが生じた場合の、本実施形態にかかる補修構造10の一例を示す。図3は補修構造10全体を側面から見た図、図4は補修構造10の縦断面の拡大図、図5は図3の部分拡大図である。
下フランジ21に亀裂Cが発生した場合、図3に示すように、下フランジ21の下面の、長手方向(図のY方向)において亀裂Cを挟んだ両側に、それぞれ平板状の補強材31を当接させる。補強材31は、亀裂Cの位置において互いに隙間をあけて配置される。この隙間は、亀裂Cにより変形した下フランジの残留変形を戻した際に、両側の補強材31同士が重ならないように設けられる。また、図4に示すように、補強材31は、断面において下フランジ21の下面の左右(図のX方向)両側にそれぞれ配置される。そして、ウェブ22を挟んで左右両側からそれぞれ、下フランジ21と補強材31とを挟締金具32で挟み込んで一体化させる。なお、補強材31を断面において左右に分割することで、下フランジ21の幅寸法や歪み等に対する汎用性が向上する。
挟締金具32は、図4において略コ字状の凹部33aを有する本体部33と、図4において紙面に対して垂直方向に並列する2つ以上の締め付けボルト34とを有し、凹部33aに複数の板状部材を差し込んだ後締め付けボルト34を締めることによって、当該複数の板状部材が長手方向に2個所以上で締め付けられて固定されるものである。2つ以上の締め付けボルト34を有することにより、挟締金具32が傾いたり回転したりすることなく、安定して部材を固定することができる。挟締金具32の一例として、例えば「ピタグリップ」(登録商標)等を用いることができる。
このような挟締金具32で下フランジ21とその下面に配置した補強材31とを締め付けることにより、下フランジ21と補強材31との間に摩擦力が生じ、下フランジ21に作用する荷重が補強材31に伝達されて、補強材31で荷重を負担することができる。また、亀裂が生じた鋼部材が腐食して減肉している場合でも、厚さの変化に対応し、締め付けボルトによる摩擦力を適切に伝達できる。補強材31は、一般的な鋼板でも構わないが、例えば表面に凹凸処理を施した高摩擦鋼板やアルミ等の金属溶射処理を施した鋼板等のように、表面の摩擦力を向上させた鋼板を用いることにより、荷重の伝達におけるロスが低減される。
さらに、図3に示すように、亀裂Cを挟んで長手方向両側に配置された補強材31同士は、連結部材41で連結されている。本実施形態では、連結部材41は棒鋼であり、連結部材41に張力を導入する機構として、ターンバックル42が用いられている。
本実施形態では、連結部材41は、以下のように取り付けられている。図3および図5に示すように、下フランジ21の長手方向両側に配置された補強材31に、それぞれピン受けプレート43が取り付けられている。一方、連結部材41は、長手方向(Y方向)に2つに分割され、それぞれ、一端がクレビス45に固定され、他端がターンバックル42に取り付けられている。そして、ピン受けプレート43にピン44を介してクレビス45が取り付けられる。つまり、亀裂Cを挟んだ両側の補強材31、31間は、ターンバックル42を備えた連結部材41で連結されており、ターンバックル42によって、連結部材41に張力の導入および調整が行えるようになっている。
次に、本発明の実施形態にかかる補修構造の設計例について、図4を参照して説明する。
下フランジ21が負担できる荷重F(N)は、
F=Abf×σf’
ただし、
bf:下フランジ21の断面積(mm
σf’:下フランジ21の強度(N/mm
したがって、図4に示す補強材31、31の断面積を合計した必要断面積A(mm)は、
A=Abf×σf’/σs’
ただし、
σs’:補強材31の強度(N/mm
また、挟締金具32の必要個数nは、
n=[F/τ]+1
ただし、
τ:挟締金具1個当たりのせん断許容耐力(N/個)
[F/τ]は、F/τの整数部分を表す。
なお、挟締金具32は、下フランジ21の断面の左右両側に同数ずつ、合わせて必要個数n以上取り付ける。すなわち、nが奇数の場合には、左右両側に((n+1)/2)個ずつ設ける。この必要個数nは、亀裂Cに対して長手方向片側に取り付ける数であり、亀裂Cを挟んで長手方向両側にそれぞれ、必要個数n以上の挟締金具32を取り付ける。
また、補強材31を連結する連結部材41の断面積を合計した必要断面積Apnは、
pn=As×σs/σps
ただし、
As:補強材31の合計断面積(mm
σs:補強材31の強度(N/mm
σps:連結部材41の強度(N/mm
補強材31同士を連結して張力を導入する際、図4の左右の連結部材41、41の片側(1本)当たりに作用する最大引張応力は(A×σs’/2)であり、連結部材41の両端に設けられるピン受けプレート43の片側(1枚)当たりに作用する最大引張応力は(A×σs’/(2×2))である。したがって、ピン受けプレート43の必要断面積Aplは、
pl=(A×σs’/(2×2))/τpl
ただし、
τpl’:ピン受けプレート43のせん断強度(N/mm
以上の計算により、先ず、必要な補強材31の断面積合計および挟締金具32の個数が算出される。その結果、補強材31の断面積を確保し、且つ、締め付けボルト34を備えた挟締金具32を必要数だけ配置可能となるように、クレーンガーダー1の長手方向の補強材31の断面積および長さが決定される。挟締金具32は、補強材31の長手方向の適宜位置に取り付ければよいが、荷重のスムーズな伝達のために、できるだけピン受けプレート43に近い位置に配置するようにする。さらに、上記の計算により、補強材31への応力伝達のために必要な連結部材41の断面積およびピン受けプレート43の断面積が算出されるので、既製品の部材からこれらの条件を満たすものを選択して、補強材31に取り付ければよい。
具体的な設計例として、図6(a)に示す寸法(数値はmm)の鋼部材を補修する場合の設計方法を説明する。
図6(a)に示すH型の鋼部材の下フランジの断面積Abfは、
bf=280mm×19mm=5,320mm
である。
下フランジおよび補強材の鋼材の種類をいずれもSS400とすると、σf’/σs’=1であり、補強材の必要断面積Aは、
A=Abf=5,320mm
である。図6(b)に示すように補強材の幅寸法を115mmとすると、厚さを24mmにすれば、補強材の合計断面積Asは、
As=115mm×24mm×2=5,520mm
となり、必要断面積A(=5,320mm)以上を満たす。
また、下フランジの強度(長期許容応力度)σf’は、235(N/mm)/1.5=157(N/mm)であり、挟締金具1個あたりの短期せん断許容耐力を99000Nとすると、長期せん断許容耐力τは、99000N/1.5=66000Nである。したがって、挟締金具の必要個数nは、
n=[F/τ]+1=[5,320(mm)×157(N/mm)/66000N]+1=13
となる。挟締金具は、ウェブを挟んで断面の左右両側に取り付けられるため、片側7個ずつとし、さらに、亀裂Cを挟んで長手方向両側に同数の挟締金具を取り付ける。すなわち、合計で28個の挟締金具を用いる。
次に、連結部材の設計を行う。連結部材として、高強度鋼(HT740)の棒鋼を用いた場合、必要断面積Apnは、
pn=5,520(mm)×235(N/mm)/540(N/mm)=2402mm
である。φ40の棒鋼を左右両側に用いるとすれば、連結部材の合計断面積は、
π×20mm×20mm×2=2513mm
となり、必要断面積Apn以上を満たす。連結部材の断面積が大きくなりすぎないためには、高張力鋼を用いることが好ましい。
ピン受けプレートの必要断面積Aplは、
pl=(5,320(mm)×157(N/mm)/4)/(235(N/mm)/1.5√3)=2309mm
である。例えば24mm×250mmの既製品のプレートを用いることで、十分に必要強度を満たす。
図7は、下フランジ21のウェブを挟んで両側に、且つ、亀裂Cを挟んで長手方向両側に、それぞれ7つずつの挟締金具32を配置した例を示したものである。挟締金具32は、まず亀裂Cに近い位置に取り付けられ、残りはガセットプレート24などの位置を避けて取り付けられる。補強材31の長手方向の長さは、挟締金具32が配置される範囲にわたるように決定される。
クレーンガーダー1の下フランジ21に亀裂が生じた際には、先ず、下フランジ21下面の亀裂を挟んで長手方向の両側、且つウェブを挟んで両側に、必要断面積を満たす補強材31を当接し、挟締金具32の凹部33aに補強材31および下フランジ21を挟み込んで、締め付けボルト34を締める。なお、補強材31には、適宜位置にピン受けプレート43を取り付けておく。また、連結部材41の一端をクレビス45に固定し、他端をターンバックル42に取り付けて、ピン受けプレート43にピン44を介してクレビス45を取り付ける。その後、ターンバックル42を調整することにより、連結部材41に所望する張力を導入し、亀裂Cによる下フランジ21の残留変形を元に戻す。
以上のように、本発明によれば、亀裂が生じたクレーンガーダー等の鋼部材に孔を開けたり溶接を行ったりすることなく、簡易な工程で補修することができる。したがって、電気配線や溶剤等が周辺に配置されている現場でも、火気養生や移設等を行う必要がなく、現場で容易に補修できる。また、鋼部材の亀裂Cを挟んで長手方向に分割して補強材31を配置し、両側の補強材31、31を連結部材41で連結する事によって、亀裂Cによる下フランジ21の残留変形を回復させることができる。さらに、上記実施形態のように、連結部材41に張力導入機構を備えて亀裂Cを閉じる方向へ張力を与えることにより、より効果的に残留変形を回復させることができる。これにより、クレーンガーダーの補修に用いた場合にはクレーンの走行性が向上する。
また、本発明では、補強材31を、亀裂Cの位置を挟んで長手方向に2分割して配置するため、個々の補強材31のサイズを小さくできる。したがって、運搬や取り付けの際に大がかりな重機等を必要とせず施工性がよい。
また、本発明によれば、亀裂Cの位置には補強材31を当接しないので、長手方向両側の補強材31同士の隙間を適切に設けることにより、補修を行った後、亀裂Cを外側から目視観察することができる。したがって、亀裂Cの進行状況を観察し、クレーンガーダー1の架け替えや抜本的な補強を行うタイミングを判断することができる。
以上のように、本発明は、繰り返し荷重を受けて疲労亀裂が生じた鋼部材(クレーンガーダー1)に対して、簡易な工程で応急処置としての補修を迅速に行えるものであり、この補修により、クレーン走行の停止やそれに伴う工場等の操業中断を防ぐことができる。本発明にかかる補修後、さらに亀裂が進行し、例えば亀裂Cが下フランジ21からウェブ22に達した場合等には、従来行われていたボルトや溶接による補修、またはクレーンガーダー1の架け替えや抜本的な補強を行えばよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、補強材31を鋼部材の下面のみに配置することとしたが、上面にスペースが有る場合や、下面だけでは十分に強度を維持できない場合には、上面にも補強材31および連結部材41を取り付けてもよい。また、上記実施形態では、ウェブ22を挟んで下フランジ21の断面の左右両側に分けて補強材31を配置したが、左右に分けずに下フランジ21の下面全体に補強材31を配置しても構わない。
また、連結部材および張力導入機構は、上記実施形態に記載したように棒鋼およびターンバックルに限らず、例えばジャッキ等を用いて張力を付与したPC鋼線等でも構わない。さらに、形状記憶合金も使用可能である。
本発明は、振動等により疲労亀裂が生じた機械や構造物の梁や柱等の部材の補修に適用できる。
1 クレーンガーダー
10 補修構造
21 下フランジ
22 ウェブ
24 ガセットプレート
31 補強材
32 挟締金具
33 本体部
33a 凹部
34 締め付けボルト
41 連結部材
42 ターンバックル
43 ピン受けプレート
44 ピン
45 クレビス
C 亀裂

Claims (8)

  1. 亀裂が生じた鋼部材の補修構造であって、
    前記鋼部材の亀裂が生じた部位の、前記亀裂を挟んで前記鋼部材の長手方向両側に、それぞれ補強材が互いに隙間をあけて当接され、
    凹部を有する本体部と、前記凹部に挟んだ部材を2個所以上で締め付ける2つ以上の締め付けボルトとを備えた挟締金具によって、前記亀裂が生じた部位と前記補強材とが、前記凹部に挟まれて前記締め付けボルトで締め付けられ、
    前記長手方向両側の補強材同士が、連結部材を介して連結されていることを特徴とする、鋼部材の補修構造。
  2. 前記連結部材は、張力導入機構を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の鋼部材の補修構造。
  3. 前記連結部材の必要断面積Apn(mm)が、
    pn=As×σs/σps
    で求められることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の鋼部材の補修構造。
    ただし、
    As:補強材の断面積(mm
    σs:補強材の強度(N/mm
    σps:連結部材の強度(N/mm
  4. 前記連結部材が、高強度鋼の棒鋼であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼部材の補修構造。
  5. 前記連結部材が、PC鋼線であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼部材の補修構造。
  6. 前記鋼部材が、クレーンガーダーであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鋼部材の補修構造。
  7. 亀裂が生じた鋼部材の補修方法であって、
    前記鋼部材の亀裂が生じた部位の、前記亀裂を挟んで前記鋼部材の長手方向両側に、それぞれ補強材を、互いに隙間をあけて当接し、
    凹部を有する本体部と、前記凹部に挟んだ部材を2個所以上で締め付ける2つ以上の締め付けボルトとを備えた挟締金具によって、前記亀裂が生じた部位と前記補強材とを、前記凹部で挟んで前記締め付けボルトで締め、
    前記長手方向両側の補強材同士を、連結部材を介して連結することを特徴とする、鋼部材の補修方法。
  8. 前記連結部材に張力を導入し、前記亀裂によって生じた変形を回復させることを特徴とする、請求項7に記載の鋼部材の補修方法。
JP2016148070A 2016-07-28 2016-07-28 鋼部材の補修構造および補修方法 Pending JP2018016456A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016148070A JP2018016456A (ja) 2016-07-28 2016-07-28 鋼部材の補修構造および補修方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016148070A JP2018016456A (ja) 2016-07-28 2016-07-28 鋼部材の補修構造および補修方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018016456A true JP2018016456A (ja) 2018-02-01

Family

ID=61075196

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016148070A Pending JP2018016456A (ja) 2016-07-28 2016-07-28 鋼部材の補修構造および補修方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018016456A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108396662A (zh) * 2018-04-03 2018-08-14 西南交通大学 钢桥装配式加固方法及其加固装置
JP2020026682A (ja) * 2018-08-13 2020-02-20 日鉄テックスエンジ株式会社 鋼部材の補強構造及び鋼部材の補強方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0341784U (ja) * 1989-08-29 1991-04-22
JPH0616519U (ja) * 1992-08-03 1994-03-04 ミサワホーム株式会社 開口パネルの補強構造
JPH0673709A (ja) * 1991-05-27 1994-03-15 Yuuji Sorayama 鋼桁の引張フランジにpc鋼材を定着させるための定着金具
JP2004176341A (ja) * 2002-11-26 2004-06-24 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 個材振動の防止構造及び鉄骨構造物
JP2010132415A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Mec Engineering Service Co Ltd クレーン補修方法および補修クレーン

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0341784U (ja) * 1989-08-29 1991-04-22
JPH0673709A (ja) * 1991-05-27 1994-03-15 Yuuji Sorayama 鋼桁の引張フランジにpc鋼材を定着させるための定着金具
JPH0616519U (ja) * 1992-08-03 1994-03-04 ミサワホーム株式会社 開口パネルの補強構造
JP2004176341A (ja) * 2002-11-26 2004-06-24 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 個材振動の防止構造及び鉄骨構造物
JP2010132415A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Mec Engineering Service Co Ltd クレーン補修方法および補修クレーン

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108396662A (zh) * 2018-04-03 2018-08-14 西南交通大学 钢桥装配式加固方法及其加固装置
JP2020026682A (ja) * 2018-08-13 2020-02-20 日鉄テックスエンジ株式会社 鋼部材の補強構造及び鋼部材の補強方法
JP7194532B2 (ja) 2018-08-13 2022-12-22 日鉄テックスエンジ株式会社 鋼部材の補強構造及び鋼部材の補強方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10240692B2 (en) Fastening-type pipe supporting apparatus for curved pipe
JP2004100450A (ja) 剪断リングを利用した鋼材の接合構造並びにその鋼材の接合工法
JP3996931B2 (ja) 鉄骨梁の開口補強工法
JP6343214B2 (ja) 鋼床版の補強構造体
JP2009052302A (ja) 鉄骨小梁の剛接構造
JP5169995B2 (ja) H形鋼のボルト継手接合部の補強構造および補強方法
JP2008266000A (ja) I型断面桁の補強工法およびi型断面桁
JP2012241387A (ja) 柱梁接合構造
JP2018016456A (ja) 鋼部材の補修構造および補修方法
JP6690178B2 (ja) 鋼部材の補修構造および補修方法
Barsoum et al. Ultimate strength capacity of welded joints in high strength steels
KR20100023089A (ko) 에이치빔 연결구조체
Kim et al. Experimental and analytical study of combined bolted-welded lap joints including high-strength steel
US20060284417A1 (en) Method of impeding crack propagation
JP3881649B2 (ja) 親綱支柱
JP6432786B2 (ja) 梁材荷重負担構造および梁材修復方法
JP2009013765A (ja) 鉄塔の部材取替工法およびその工法で用いられる装置
JP7098361B2 (ja) 吊り具およびこれを用いた構造体の組立方法
JP2011102512A (ja) 柱と梁の溶接接合構造
JP2017150289A (ja) 鋼構造物の補強・補修構造および方法
JP2010132415A (ja) クレーン補修方法および補修クレーン
JP6908542B2 (ja) 鋼桁の支承部周辺の補強方法
RU2146991C1 (ru) Способ ремонта нижнего пояса главной балки мостового крана
JP4005671B2 (ja) 走行桁の補強工法
KR101679327B1 (ko) 보강대 임시고정 지그 조립체

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190306

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190605

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200609

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210622