JP2018011753A - 呼吸推定方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】心電図波形にノイズが加わっている場合でも、適切に呼吸情報を抽出する。【解決手段】呼吸推定装置は、心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分値を算出する時間差分値算出部3と、時間差分値の最大値と最小値との差である差分RS振幅を検出する差分RS振幅検出部4と、差分RS振幅の時系列データに対して再サンプリング処理を行う再サンプリング処理部5と、再サンプリング処理後の時系列データを周波数解析して差分RS振幅の周波数スペクトルを求める周波数解析部7と、差分RS振幅の周波数スペクトルから被験者の呼吸周波数を抽出する呼吸周波数推定部8とを備えている。【選択図】 図1

Description

本発明は、心電図波形から呼吸に関する情報を抽出する際に、心電図波形に混入したノイズ等の影響を除去して抽出精度を向上させる呼吸推定方法および装置に関するものである。
心電図波形の振幅には、呼吸の影響が現れる。心電図波形に呼吸の影響が現れるのは、呼吸に伴って胸郭が伸縮したり、肺(空気を含む)の組成が変化したりすることで、心電図測定系から見たインピーダンスが変動することによると考えられる。この現象を利用して、心電図波形のR波のピーク値からS波のピーク値までの振幅であるRS振幅の時系列データから、呼吸情報を抽出することができる。RS振幅は、抽出したR波に対して、前後一定の区間の心電図波形を探索し、その区間の最大値と最小値の差をとることで得られる。
しかし、心電図波形を計測する際、波形にノイズが加わることがある。特に、携帯型の装置や、人体に装着するウェアラブルデバイスを用いて日常生活の中での心電図波形を取得する場合には、体動などによるノイズが入りやすい。
特許文献1には、心電図波形のT波のピーク値を基に呼吸推定を行う方法において、T波が発生しない場合もしくはT波のピーク値が非常に小さい場合を所定閾値により検出し、所定閾値より小さいピークの値を校正する構成が開示されている。
特許第5632570号公報
特許文献1に開示された技術では、心電図波形にノイズが重畳した場合、RS振幅などの生体信号を補正することは不可能であった。このため、心電図波形にノイズが加わっている状況では、RS振幅から呼吸情報を抽出することは困難であった。
本発明は、心電図波形にノイズが加わっている場合でも、適切に呼吸情報を抽出することができる呼吸推定方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の呼吸推定方法は、生体の心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分値算出ステップと、前記時間差分値の最大値と最小値との差である振幅を検出する振幅検出ステップと、この振幅検出ステップで検出した振幅の時系列データに基づいて生体の呼吸情報を抽出する呼吸情報抽出ステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の呼吸推定方法の1構成例において、前記呼吸情報は呼吸周波数である。
また、本発明の呼吸推定方法の1構成例において、前記呼吸情報抽出ステップは、前記振幅検出ステップで検出した振幅の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う再サンプリング処理ステップと、再サンプリング処理後のデータを周波数解析し、前記振幅の周波数スペクトルを求める周波数解析ステップと、この周波数解析ステップで得られた周波数スペクトルから生体の呼吸周波数を推定する呼吸周波数推定ステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の呼吸推定方法の1構成例において、前記呼吸情報抽出ステップは、前記振幅検出ステップで検出した振幅の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う再サンプリング処理ステップと、再サンプリング処理後の時系列データから位相情報を抽出する特徴量抽出ステップと、この特徴量抽出ステップで得られた位相情報についてノイズを濾した位相情報を推定するカルマンフィルタ処理ステップと、このカルマンフィルタ処理ステップで得られた推定位相値を周波数に変換した結果を、生体の呼吸周波数とする呼吸周波数変換ステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の呼吸推定装置は、生体の心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分値算出手段と、前記時間差分値の最大値と最小値との差である振幅を検出する振幅検出手段と、この振幅検出手段で検出された振幅の時系列データに基づいて生体の呼吸情報を抽出する呼吸情報抽出手段とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、生体の心電図波形のサンプリングデータ列から時間差分値を算出し、時間差分値の最大値と最小値との差である振幅を検出し、この振幅の時系列データに基づいて生体の呼吸情報を抽出することにより、生体の体動などにより心電図波形に重畳したノイズの影響を相殺することができ、生体の呼吸情報の適切な抽出を実現することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る呼吸推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る呼吸推定装置の動作を説明するフローチャートである。 心電図波形の1例を示す図である。 図3の心電図波形の時間差分値を示す図である。 図3の心電図波形から求めたRS振幅と図4の時間差分値波形から求めた差分RS振幅とを示す図である。 心電図波形の別の例を示す図である。 図6の心電図波形の時間差分値を示す図である。 図6の心電図波形と同時に測定した呼吸計の出力波形を示す図である。 図6の心電図波形から求めたRS振幅と図7の時間差分値波形から求めた差分RS振幅とを示す図である。 心電図波形の別の例を示す図である。 図10の心電図波形の時間差分値を示す図である。 図10の心電図波形と同時に測定した呼吸計の出力波形を示す図である。 図10の心電図波形から求めたRS振幅と図11の時間差分値波形から求めた差分RS振幅とを示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る呼吸推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る呼吸推定装置の動作を説明するフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る呼吸推定装置の特徴量抽出部の構成を示すブロック図、および特徴量抽出部の各部の信号波形を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る呼吸推定装置のカルマンフィルタのブロック線図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る呼吸推定装置の構成を示すブロック図である。呼吸推定装置は、心電図波形のサンプリングデータ列を出力する心電計1と、心電図波形のサンプリングデータ列を記憶する記憶部2と、心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分値算出部3と、時間差分値算出部3が算出した時間差分値の最大値と最小値との差である差分RS振幅を検出する差分RS振幅検出部4(振幅検出手段)と、差分RS振幅の時系列データに対して再サンプリング処理を行う再サンプリング処理部5と、再サンプリング処理後の時系列データを帯域制限するバンドパスフィルタ6と、再サンプリング処理後の時系列データを周波数解析して差分RS振幅の周波数スペクトルを求める周波数解析部7と、差分RS振幅の周波数スペクトルから被験者の呼吸周波数を抽出する呼吸周波数推定部8とを備えている。再サンプリング処理部5とバンドパスフィルタ6と周波数解析部7と呼吸周波数推定部8とは、呼吸情報抽出手段を構成している。
次に、図2を参照して本実施の形態の呼吸推定装置の動作を説明する。心電計1は、図示しない被験者の心電図波形を測定し、心電図波形のサンプリングデータ列X(i)を出力する。心電図波形の具体的な測定方法は周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。記憶部2は、心電計1から出力された心電図波形のサンプリングデータ列X(i)を記憶する。
時間差分値算出部3は、心電図波形のサンプリングデータX(i)の時間差分値Y(i)を算出するため、サンプリングデータX(i)の1サンプリング後のデータX(i+1)と1サンプリング前のデータX(i−1)とを記憶部2から取得して、サンプリングデータX(i)の時間差分値Y(i)を次式のようにサンプリング時刻ごとに算出する(図2ステップS1)。
Y(i)=X(i+1)−X(i−1) ・・・(1)
次に、差分RS振幅検出部4は、時間差分値算出部3が算出した時間差分値の最大値と最小値との差である差分RS振幅を検出する(図2ステップS2)。時間差分値の最大値は、心電図波形のR波の急峻な立ち上がりに由来するものであり、時間差分値の最小値は、R波からS波への急峻な心電位の低下に由来するものである。差分RS振幅検出部4は、時間差分値の最大値とこれに続く最小値の組ごとに振幅検出を行う。
続いて、再サンプリング処理部5は、差分RS振幅検出部4が算出した差分RS振幅の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う(図2ステップS3)。このときの補間方法としては、線形補間、スプライン補間などがある。
バンドパスフィルタ6は、再サンプリング処理後のデータの帯域制限を行う(図2ステップS4)。バンドパスフィルタ6を用いる理由は、人の呼吸周波数が低周波のみに限られるためである。このバンドパスフィルタ6の通過帯域は、例えば0.15〜0.4Hzである。
次に、周波数解析部7は、バンドパスフィルタ6によって帯域制限された再サンプリング処理後のデータにハニング窓関数を掛け合わせた後に、再サンプリング処理後のデータを高速フーリエ変換して、差分RS振幅の周波数スペクトルを求める(図2ステップS5)。周知のとおり、ハニング窓関数は、所望の区間のデータを切り出すために使用される。周波数解析部7は、以上のような周波数解析を、再サンプリング処理後のデータ周期ごとに行う。
呼吸周波数推定部8は、周波数解析部7で得られた差分RS振幅の周波数スペクトルのピークの周波数を被験者の呼吸周波数として検出する(図2ステップS6)。このとき、周波数スペクトルに複数のピークが現れた場合には、強度が最大のピークの周波数を呼吸周波数とする。呼吸周波数推定部8は、以上のような呼吸周波数推定を、再サンプリング処理後のデータ周期ごとに行う。こうして、被験者の呼吸周波数の時系列データを得ることができる。
図3は、被験者が緩徐な呼吸を行っている際の心電図波形の例を示す図である。図3の100は心電図波形、○印101はR−R間隔を示している。R−R間隔は、自律神経の働きにより、呼吸に伴って変動する。図3に示す心電図波形の振幅にも、R−R間隔と同様の変動、すなわち呼吸に同期した変動がみてとれる。
図4は、図3の心電図波形の時間差分をとった波形を示す図である。○印101はR−R間隔を示し、102は時間差分値を示している。図3と同様に、時間差分値の波形にも呼吸に伴う振幅の変動が現れている。
図5は、図3の心電図波形から求めたRS振幅と図4の時間差分値から求めた差分RS振幅とを示す図である。図5の103はRS振幅を示し、104は差分RS振幅を示している。RS振幅と差分RS振幅の様子はよく一致している。このように、心電図波形の時間差分値から得られる差分RS振幅は、心電図波形そのものから得られるRS振幅と同様に、被験者の呼吸状態を反映して変動する。したがって、差分RS振幅から被験者の呼吸周波数を推定可能なことが分かる。
図6は、心電図波形の別の例を示す図である。図6の例では、大きなノイズの重畳はないものの、基線がやや搖動している様子が見うけられる。
図7は、図6の心電図波形の時間差分をとった波形を示す図である。図7によると、心電図波形で観測された基線の搖動がキャンセルされていることが分かる。
図8は、図6の心電図波形と同時に測定した呼吸計の出力波形を示す図である。呼吸計の出力波形は、被験者にマスクを装着させた状態で、呼吸気の流路に設けたサーミスタの抵抗値(任意単位)を示しており、被験者の呼吸リズムを示す標準的な情報である。図8によると、被験者が、一定のリズムで呼吸していることが分かる。
図9は、図6の心電図波形から求めたRS振幅と図7の時間差分値から求めた差分RS振幅とを示す図である。図5と同様に、103はRS振幅を示し、104は差分RS振幅を示している。RS振幅は、心電図波形の基線の搖動の影響により、呼吸に伴う変動が分かりにくくなっている。それに対して、差分RS振幅は、RS振幅よりもはっきりとした変動リズムを呈し、この変動リズムは、図8の呼吸計の出力波形が示す呼吸リズムとも一致している。したがって、差分RS振幅から被験者の呼吸周波数を推定すれば、適切な推定が可能なことが分かる。
図10は、心電図波形のさらに別の例を示す図である。この図10の例の場合、上向きのR波のピークが小さく、下向きのS波のピークが大きいという特徴がある。また、一部に急峻な基線の搖動が生じている。
図11は、図10の心電図波形の時間差分をとった波形を示す図である。図10によると、心電図波形で観測された基線の搖動はおおむねキャンセルされている。
図12は、図10の心電図波形と同時に測定した呼吸計の出力波形を示す図である。図12によると、被験者の呼吸そのものは安定している様子がうかがえる。
図13は、図10の心電図波形から求めたRS振幅と図11の時間差分値から求めた差分RS振幅とを示す図である。図5と同様に、103はRS振幅を示し、104は差分RS振幅を示している。この図13の例においても、RS振幅は、心電図波形の基線搖動の影響を受けて乱れている。一方、差分RS振幅は、被験者の呼吸に近い変動を示している。
以上のように、本実施の形態によれば、心電図波形の時間差分値を算出し、差分RS振幅を検出して、この差分RS振幅から被験者の呼吸周波数を推定することにより、被験者の体動などにより心電図波形に重畳したノイズの影響を相殺することができ、呼吸周波数の適切な推定を実現することができる。
なお、本実施の形態で説明した記憶部2と時間差分値算出部3と差分RS振幅検出部4と再サンプリング処理部5とバンドパスフィルタ6と周波数解析部7と呼吸周波数推定部8とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図14は本発明の第2の実施の形態に係る呼吸推定装置の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の呼吸推定装置は、心電計1と、記憶部2と、時間差分値算出部3と、差分RS振幅検出部4と、再サンプリング処理部5と、バンドパスフィルタ6と、バンドパスフィルタ6で得られた差分RS振幅の時系列データから位相情報を抽出する特徴量抽出部9と、特徴量抽出部9で得られた位相情報についてノイズを濾した位相情報を推定するカルマンフィルタ10と、カルマンフィルタ10で得られた推定位相値を周波数に変換した結果を、被験者の呼吸周波数とする呼吸周波数変換部11とを備えている。再サンプリング処理部5とバンドパスフィルタ6と特徴量抽出部9とカルマンフィルタ10と呼吸周波数変換部11とは、呼吸情報抽出手段を構成している。
図15は本実施の形態の呼吸推定装置の動作を説明するフローチャートである。心電計1と記憶部2と時間差分値算出部3と差分RS振幅検出部4と再サンプリング処理部5とバンドパスフィルタ6の動作(ステップS1〜S4)は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
特徴量抽出部9は、バンドパスフィルタ6によって帯域制限された再サンプリング処理後の時系列データから瞬時的な線形化された位相情報を抽出する(図15ステップS7)。本実施の形態では、人の呼吸の動きを波形で表したときに、呼吸曲線の理想モデルにおいては、短時間での呼吸数の変化が無視できるほど小さいことと呼吸の動きが正弦波になると仮定し、ヒルベルト変換により瞬時的な位相情報を抽出する。
図16(A)は特徴量抽出部9の構成を示すブロック図である。特徴量抽出部9は、ヒルベルト変換部90と、角度算出部91と、アンラップ処理部92とから構成される。
まず、ヒルベルト変換部90は、バンドパスフィルタ6によって帯域制限された再サンプリング処理後の時系列データ(差分RS振幅の時系列データ)をヒルベルト変換して、位相がπ/2異なる2つの信号(実部及び虚部)を生成する。ヒルベルト変換部90に入力される信号をAexp(−iθ)の正弦波で表現すると(図16(B))、生成された実部の信号はAcosθで表現される正弦波であり、虚部の信号はiAsinθで表現される正弦波の信号である。Aは振幅、θは角度、iは虚数単位である。
続いて、角度算出部91は、ヒルベルト変換部90の出力信号の実部Acosθと虚部iAsinθとから角度θ(−πから+π)を算出する。
最後に、アンラップ処理部92は、角度算出部91が算出した角度θを連続した位相値に線形化する位相アンラップを行う。角度算出部91が算出する角度θは−πから+πの間の値となるので、図16(C)に示すように隣り合う点に2πの位相飛びが生じる場合がある。そこで、アンラップ処理部92は、例えば2πを足したり引いたりすることで、位相を繋ぎ合わせるようにする。これにより、図16(D)に示すような連続した位相が得られる。
次に、カルマンフィルタ10は、差分RS振幅の位相情報についてノイズを濾した位相情報を推定する(図15ステップS8)。図17はカルマンフィルタ10のブロック線図である。カルマンフィルタは、ベイジアン推定と自動再帰推定に基づくものである。システムへの入力はガウシアン雑音を有するという前提の下、カルマン利得Kは最小自乗近似により求める。生体システムを記述する物理量x(k)は再帰的に決定されており、次式で表される。
ここで、u(k)はシステム入力、x(k)は雑音無しの物理量である。また、mは測定数、nは生体システムからの信号数、Aはシステムモデルを示すn×m行列、Hは測定系モデルを示すm×n行列である。式(2)に示すように、物理量x(k+1)には、前時刻における物理量Ax(k)と、ws(k)の生体システム雑音とが含まれる。式(3)に示すように、システム入力u(k)には、測定値Hx(k)と、wm(k)の測定系雑音とが含まれる。本実施の形態の場合、測定値Hx(k)は特徴量抽出部9から入力される位相値である。
ここで、K(k)はカルマン利得を示すn×m行列、ハットx(k)は物理量x(k)の推定値(本実施の形態では位相の推定値)である。以下、同様に文字上に付した「∧」をハットと呼ぶ。カルマン利得K(k)は次の式(5)〜式(7)により求めることができる。
ここで、Rはセンサ雑音に関する共分散マトリクス、Qは生体システム雑音に関する共分散マトリクス、Pは推定値に関する共分散マトリクスである。HT,ATはそれぞれ行列H,Aの転置行列である。カルマン利得K(k)は、測定系雑音wm(k)が最小となるように(すなわち、推定誤差が最小となるように)再帰的に決定される。共分散マトリクスP(k|k)の対角成分はフィルタ処理により最小化される自乗推定誤差である。
センサ雑音に関する共分散マトリクスRを予め正確に設定するために、被験者の呼吸レートが安定している時刻域を利用し、特徴量抽出部9で得られた差分RS振幅の位相情報について、当該時刻域における標準偏差σを計算する。差分RS振幅の位相情報について得られた標準偏差σの平均値を、カルマンフィルタ10の共分散マトリクスRの対角成分として予め設定する。センサ雑音に関する共分散マトリクスRは、測定環境に依存するものの、個人差による違いはさほど大きくないと考えられる。
一方、生体システム雑音に関する共分散マトリクスQは、生体システム雑音であり、個人差が反映される。この共分散マトリクスQは対角行列である。共分散マトリクスQの対角成分を変更可能なパラメータとして、被験者毎に共分散マトリクスQの対角成分の最適値を数値的にテストし、被験者に応じた対角成分の値を予め設定しておくようにすればよい。以上のように、予め被験者に呼吸をさせつつデータを計測し、計測したデータに基づいて共分散マトリクスR,Qを決定しておくことで、位相の推定精度を高めることができる。ここで、各パラメータの例示を行う。x(k)は位相θkとドットθkのベクトルとして表現できる。ドットθkは位相θkの微分である。ここでは、文字上に付した「・」をドットと呼ぶ。共分散マトリクスQ、Rの定数q1およびr1は設定可能なパラメータであり、上述の通りに設定を行う。例えば、q1=1×10-3、r1=2.4である。
カルマンフィルタ10は、フィルタ処理を再サンプリング処理後のデータ周期ごとに行う。
次に、呼吸周波数変換部11は、カルマンフィルタ10によって処理された位相値を周波数に変換して呼吸周波数の時系列データを出力する(図15ステップS9)。カルマンフィルタ10から出力される位相値を時間微分すれば、瞬時角周波数が得られるので、この瞬時角周波数を2πで割ることにより、呼吸周波数を求めることができる。
こうして、本実施の形態では、被験者の呼吸周波数の時系列データを生成して出力することができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態で説明した記憶部2と時間差分値算出部3と差分RS振幅検出部4と再サンプリング処理部5とバンドパスフィルタ6と特徴量抽出部9とカルマンフィルタ10と呼吸周波数変換部11とは、CPU、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、人の呼吸を観察する呼吸モニタリングに適用することができる。
1…心電計、2…記憶部、3…時間差分値算出部、4…差分RS振幅検出部、5…再サンプリング処理部、6…バンドパスフィルタ、7…周波数解析部、8…呼吸周波数推定部、9…特徴量抽出部、10…カルマンフィルタ、11…呼吸周波数変換部、90…ヒルベルト変換部、91…角度算出部、92…アンラップ処理部。

Claims (8)

  1. 生体の心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分値算出ステップと、
    前記時間差分値の最大値と最小値との差である振幅を検出する振幅検出ステップと、
    この振幅検出ステップで検出した振幅の時系列データに基づいて生体の呼吸情報を抽出する呼吸情報抽出ステップとを含むことを特徴とする呼吸推定方法。
  2. 請求項1記載の呼吸推定方法において、
    前記呼吸情報は、呼吸周波数であることを特徴とする呼吸推定方法。
  3. 請求項2記載の呼吸推定方法において、
    前記呼吸情報抽出ステップは、
    前記振幅検出ステップで検出した振幅の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う再サンプリング処理ステップと、
    再サンプリング処理後のデータを周波数解析し、前記振幅の周波数スペクトルを求める周波数解析ステップと、
    この周波数解析ステップで得られた周波数スペクトルから生体の呼吸周波数を推定する呼吸周波数推定ステップとを含むことを特徴とする呼吸推定方法。
  4. 請求項2記載の呼吸推定方法において、
    前記呼吸情報抽出ステップは、
    前記振幅検出ステップで検出した振幅の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う再サンプリング処理ステップと、
    再サンプリング処理後の時系列データから位相情報を抽出する特徴量抽出ステップと、
    この特徴量抽出ステップで得られた位相情報についてノイズを濾した位相情報を推定するカルマンフィルタ処理ステップと、
    このカルマンフィルタ処理ステップで得られた推定位相値を周波数に変換した結果を、生体の呼吸周波数とする呼吸周波数変換ステップとを含むことを特徴とする呼吸推定方法。
  5. 生体の心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分値算出手段と、
    前記時間差分値の最大値と最小値との差である振幅を検出する振幅検出手段と、
    この振幅検出手段で検出された振幅の時系列データに基づいて生体の呼吸情報を抽出する呼吸情報抽出手段とを備えることを特徴とする呼吸推定装置。
  6. 請求項5記載の呼吸推定装置において、
    前記呼吸情報は、呼吸周波数であることを特徴とする呼吸推定装置。
  7. 請求項6記載の呼吸推定装置において、
    前記呼吸情報抽出手段は、
    前記振幅検出手段で検出された振幅の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う再サンプリング処理手段と、
    再サンプリング処理後のデータを周波数解析し、前記振幅の周波数スペクトルを求める周波数解析手段と、
    この周波数解析手段で得られた周波数スペクトルから生体の呼吸周波数を推定する呼吸周波数推定手段とを備えることを特徴とする呼吸推定装置。
  8. 請求項6記載の呼吸推定装置において、
    前記呼吸情報抽出手段は、
    前記振幅検出手段で検出された振幅の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う再サンプリング処理手段と、
    再サンプリング処理後の時系列データから位相情報を抽出する特徴量抽出手段と、
    この特徴量抽出手段で得られた位相情報についてノイズを濾した位相情報を推定するカルマンフィルタと、
    このカルマンフィルタで得られた推定位相値を周波数に変換した結果を、生体の呼吸周波数とする呼吸周波数変換手段とを備えることを特徴とする呼吸推定装置。
JP2016143159A 2016-07-21 2016-07-21 呼吸推定方法および装置 Active JP6538620B2 (ja)

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