JP6645926B2 - 生体信号処理方法および装置 - Google Patents

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本発明は、心電図波形から得られる生体信号について、不必要なデータを適切に除去して、生体信号の分析精度を向上させる生体信号処理方法および装置に関するものである。
心臓の拍動リズムは、自律神経すなわち交感神経・迷走神経の影響を受けて変動することが知られている。例えば、安静かつ寛いだ状態では、迷走神経が亢進し、心拍数の変動が大きくなる。心電図波形から抽出される心拍(R波)時刻の時間間隔、すなわちR−R間隔の時系列データを分析することで、自律神経機能を評価することができる。しかし、心電図波形のスペクトル分析などを行う場合においては、R波の検出ミスによるアーチファクトはもとより、期外収縮による心拍変動も結果に変化を与えるため、アーチファクトや期外収縮による心拍変動を適切に除去する必要がある(非特許文献1)。
スペクトル分析によって得られる指標としては、R−R間隔の変動の低周波成分LF(0.04〜0.15Hz)と高周波成分HF(0.15〜0.4Hz)とのパワーの比をとった値であるLF/HFなどが、自律神経機能の評価に用いられている。
心電図波形を計測する際には、波形にノイズが加わることがある。特に、携帯型の装置や、人体に装着するウェアラブルデバイスを用いて日常生活の中での心電図波形を取得する場合には、体動などによるノイズが入りやすい。また、人体と電極との接触状況の変化等により、心電図波形の振幅レベルが大きく変動してしまうこともある。このようなノイズ等は、しばしばR波検出のミスを誘発する。その結果、R−R間隔のデータ列にも不必要なデータが加わることがある。また、スペクトル分析を行う場合には、期外収縮によるR−R間隔のデータを除くことが好ましい。期外収縮によるR−R間隔のデータを含めてスペクトル分析を行うとスペクトルは著しく変形する。
特許文献1には、分析対象のR−R間隔が、1つ前のR−R間隔およびR−R間隔の平均値に対して一定の割合以上離れているときに、当該分析対象のR−R間隔をノイズとみなして削除するスペクトル分析方法が開示されている。
特許第3378311号公報
井上博編集,「循環器疾患と自律神経機能 第2版」,医学書院,p.82−87,2001年
特許文献1に開示されたスペクトル分析方法のように、R−R間隔のデータを削除すべきかどうかを、1つ前のR−R間隔やR−R間隔の平均値との割合に基づいて判定し、処理を行った場合、削除すべきデータが削除されない場合がある。
図5は、R−R間隔を時系列にプロットしたタコグラムの例である。図5によると、拍毎にR−R間隔の値がばらついていることが見て取れる。なかでも点a,bのR−R間隔のデータは、値の振れ幅が大きい。そのため、これらのデータをスペクトル分析に含めた場合、自律神経の評価結果に誤りをもたらすことが推測される。
図6は、図5の12時52分付近の心電図波形を示す図である。図6の100は心電図波形、○印101はR−R間隔を示している。これら○印で示すR−R間隔のデータのうち、上記の振れ幅の大きいデータを図5と同じ符号a,bで示している。図6によれば、点a,bのR−R間隔のデータは、R波検出のミスによるアーチファクトではなく、期外収縮によるものであることが分かる。しかし前述のとおり、R波の検出としては正しくとも、点a,bのデータは削除すべきである。
図7は、図6と同じ期間のR−R間隔の時系列データに、R−R間隔の平均値aveを重ねて表示した図である。特許文献1に開示された技術において、データを削除すべきかどうかの基準を、例えばave±30%よりも離れていることとする。点aのR−R間隔の値は766msであり、その時点でのR―R間隔の平均値ave=1070msに対して±30%以内にあるため、点aのデータは削除の対象とされない。同様に、点bのR−R間隔の値は1237msであり、その時点でのR―R間隔の平均値ave=1100msに対して±30%以内にあるため、点bのデータも削除の対象とされない。
したがって、図6、図7に示したR−R間隔の時系列データに特許文献1に開示された技術を適用すると、処理後のR−R間隔のデータ列は、図8の×印102で示すように、元のデータ(○印101)と同じになり、削除すべき点a,bのデータが削除されずに残ってしまうという問題点があった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、生体信号の分析に不必要なデータを適切に削除することができる生体信号処理方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の生体信号処理方法は、生体の心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出ステップと、この生体信号抽出ステップで抽出した生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理ステップと、前記生体信号抽出ステップで抽出した生体信号のデータと、この生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、前記生体信号抽出ステップで抽出した生体信号のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する異常値判定ステップと、この異常値判定ステップで不適切と判定した生体信号のデータを削除する異常値処理ステップとを含み、前記異常値判定ステップは、判定対象の生体信号のデータの処理前に、直前の時刻での生体信号のデータを不適切と判定し、かつ直前の時刻での生体信号のデータが、直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データを下回った場合、直前の時刻での生体信号のデータを、前記判定対象のデータに加算し、この加算後のデータと、前記判定対象のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差が所定の閾値範囲内の場合、前記判定対象のデータを適切と判定し、この差が前記閾値範囲から外れている場合、前記判定対象のデータを不適切と判定するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の生体信号処理方法は、生体の心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出ステップと、この生体信号抽出ステップで抽出した生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理ステップと、前記生体信号抽出ステップで抽出した生体信号のデータと、この生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、前記生体信号抽出ステップで抽出した生体信号のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する異常値判定ステップと、この異常値判定ステップで不適切と判定した生体信号のデータを削除する異常値処理ステップとを含み、前記平均化処理ステップは、前記異常値判定ステップで判定対象となる生体信号のデータの逆数に基づく値に所定の平均化係数rを乗じた結果と、直前の時刻までの生体信号のデータの逆数に基づく値を平均化した値に(1−r)を乗じた結果とを加算し、この加算した値の逆数から生体信号の前記平均化データを算出するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の生体信号処理方法の1構成例において、前記異常値判定ステップは、判定対象の生体信号のデータと、この判定対象のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された前記平均化データとの差が所定の閾値範囲内の場合、前記判定対象のデータを適切と判定し、この差が前記閾値範囲から外れている場合、前記判定対象のデータを不適切と判定するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の生体信号処理方法の1構成例において、前記生体信号は、R波と1つ前のR波の時間間隔であるR−R間隔である。
また、本発明の生体信号処理装置は、生体の心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出手段と、この生体信号抽出手段で抽出された生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理手段と、前記生体信号抽出手段で抽出された生体信号のデータと、この生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、前記生体信号抽出手段で抽出された生体信号のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する異常値判定手段と、この異常値判定手段で不適切と判定された生体信号のデータを削除する異常値処理手段とを備え、前記異常値判定手段は、判定対象の生体信号のデータの処理前に、直前の時刻での生体信号のデータを不適切と判定し、かつ直前の時刻での生体信号のデータが、直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データを下回った場合、直前の時刻での生体信号のデータを、前記判定対象のデータに加算し、この加算後のデータと、前記判定対象のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差が所定の閾値範囲内の場合、前記判定対象のデータを適切と判定し、この差が前記閾値範囲から外れている場合、前記判定対象のデータを不適切と判定することを特徴とするものである。
また、本発明の生体信号処理装置は、生体の心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出手段と、この生体信号抽出手段で抽出された生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理手段と、前記生体信号抽出手段で抽出された生体信号のデータと、この生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、前記生体信号抽出手段で抽出された生体信号のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する異常値判定手段と、この異常値判定手段で不適切と判定された生体信号のデータを削除する異常値処理手段とを備え、前記平均化処理手段は、前記異常値判定手段で判定対象となる生体信号のデータの逆数に基づく値に所定の平均化係数rを乗じた結果と、直前の時刻までの生体信号のデータの逆数に基づく値を平均化した値に(1−r)を乗じた結果とを加算し、この加算した値の逆数から生体信号の前記平均化データを算出するステップを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、異常値判定ステップを設けることにより、生体信号のデータの適切さ(もっともらしさ)を判定することができるので、平均値との割合に基づいて判定した場合には削除の対象とならない生体信号のデータを、平均値との差に基づいて判定することで不適切なデータとすることができ、生体信号の分析に不必要なデータを適切に削除して、生体の状態のより正確な分析を行うことが可能となる。
本発明の実施の形態に係る生体信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る生体信号処理装置の動作を説明するフローチャートである。 R−R間隔の時系列データに対して本発明の実施の形態に係る生体信号処理装置により異常値判定処理を行った結果を示す図である。 従来のデータ列および本発明の実施の形態の異常値判定処理後のデータ列から得られたLF/HFを示す図である。 R−R間隔の時系列データの例を示す図である。 心電図波形の例を示す図である。 R−R間隔の時系列データにR−R間隔の平均値を重ねて表示した図である。 R−R間隔の時系列データに対して従来の処理を適用した結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る生体信号処理装置の構成を示すブロック図である。生体信号処理装置は、心電計1が測定した心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出部2と、生体信号抽出部2で抽出された生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理部3と、生体信号抽出部2で抽出された生体信号のデータとこの生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、生体信号抽出部2で抽出された生体信号のデータが適切かどうかを判定する異常値判定部4と、異常値判定部4で不適切と判定された生体信号のデータを削除する異常値処理部5と、異常値処理部5で処理した後の生体信号の時系列データに対して再サンプリング処理を行う再サンプリング処理部6と、再サンプリング処理後のデータを周波数解析して生体信号の周波数スペクトルを求める周波数解析部7と、周波数解析部7の周波数解析結果を出力する出力部8とを備えている。
次に、図2を参照して本実施の形態の生体信号処理装置の動作を説明する。心電計1は、図示しない被験者の心電図波形を測定する。心電図波形の具体的な測定方法は周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
生体信号抽出部2は、心電計1が測定した心電図波形から生体信号(本実施の形態ではR−R間隔)を抽出する(図2ステップS1)。R−R間隔を求める方法としては、例えば文献「“ECG Implementation on the TMS320C5515 DSP Medical Development Kit (MDK) with the ADS1298 ECG-FE”,Texas Instruments Incorporated,<http://www.ti.com/lit/an/sprabj1/sprabj1.pdf>,2011」に開示された技術を用いることができる。この文献に開示された技術では、心電図波形を時間差分した値の変化を基にR−R間隔を求めている。あるいは特開2015−156936号公報に開示された技術等を用いて心拍時刻を求め、心拍時刻の間隔をR−R間隔としてもよい。
次に、平均化処理部3は、生体信号抽出部2が抽出したR−R間隔の時系列データに対して平均化処理を行う(図2ステップS2)。本実施の形態の平均化処理部3は、R−R間隔の逆数に基づく値に対して平均化処理を行い、この平均化処理で求めた値の逆数からR−R間隔の平均化データを算出することを、個々のデータ毎に行う。本実施の形態では、R−R間隔の時系列データをRRI(i)とする。番号i(i=1,2,3,…)が大きくなる程、時刻が後になることは言うまでもない。R−R間隔RRI(i)の逆数に基づく値としては、瞬時心拍数HR(i)[bpm]=60000/RRI(i)[ms]を用いる。
平均化処理前のi番目のR−R間隔のデータRRI(i)から求まる瞬時心拍数を上記のとおりHR(i)とし、i−1番目までの瞬時心拍数を平均化した値をHRave(i−1)、所定の平均化係数をrとすれば、i番目までの瞬時心拍数を平均化した値HRave(i)は、式(1)によって求めることができる。
HRave(i)=r×HR(i)+(1−r)×HRave(i−1)
・・・(1)
そして、平均化処理部3は、平均心拍数HRave(i)を用いて式(2)により、i番目までのR−R間隔を平均化した値RRIave(i)を算出すればよい。
RRIave(i)=60000/HRave(i) ・・・(2)
平均化係数rの値を小さくすると、R−R間隔の変動に追随し難くなるので、このような点を鑑みて、例えばr=0.2などとすると、適度に平均化されたR−R間隔の値が得られる。
本実施の形態では、適切な値かどうかを判定しようとする処理対象のR−R間隔の値も、判定結果と無関係に、平均化処理に組み込むようにしている。元データであるR−R間隔の時系列は1次情報であり、その平均化については、データの削除といった2次的判断とは独立に行うほうがよい。
次に、異常値判定部4は、生体信号抽出部2が抽出したR−R間隔のデータと、このR−R間隔のデータおよび直前の時刻までのR−R間隔のデータを用いて平均化処理部3が算出した平均化データとの差に基づいて、生体信号抽出部2が抽出したR−R間隔のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する(図2ステップS3)。
具体的には、異常値判定部4は、ある時刻でのR−R間隔のデータRRI(i)と平均化データRRIave(i)との差RRI(i)−RRIave(i)が所定の閾値範囲内の場合、R−R間隔のデータRRI(i)は適切であると判定し、差RRI(i)−RRIave(i)が閾値範囲から外れている場合、データRRI(i)は不適切であると判定する。本実施の形態では、閾値範囲を±200msとする。
ただし、異常値判定部4は、判定対象のR−R間隔のデータRRI(i)の処理の前に、直前の時刻でのR−R間隔のデータRRI(i−1)を不適切と判定し、かつ直前の時刻でのR−R間隔のデータRRI(i−1)が、直前の時刻までのR−R間隔のデータを用いて平均化処理部3が算出した平均化データRRIave(i−1)を下回った場合、すなわちRRI(i−1)−RRIave(i−1)が負になった場合、直前の時刻でのR−R間隔のデータRRI(i−1)を、判定対象のR−R間隔のデータRRI(i)に加算し、加算後のデータRRI(i)+RRI(i−1)と平均化データRRIave(i)との差RRI(i)+RRI(i−1)−RRIave(i)が所定の閾値範囲内の場合、R−R間隔のデータRRI(i)は適切であると判定し、差RRI(i)+RRI(i−1)−RRIave(i)が閾値範囲から外れている場合、データRRI(i)は不適切であると判定する。このように、直前の時刻でのR−R間隔のデータRRI(i−1)を判定対象のR−R間隔のデータRRI(i)に加算する理由については後述する。
異常値処理部5は、異常値判定部4が不適切と判定したR−R間隔のデータを削除する(図2ステップS4)。
再サンプリング処理部6は、異常値処理部5による処理後のR−R間隔の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う(図2ステップS5)。このときの補間方法としては、線形補間、スプライン補間などがある。
周波数解析部7は、再サンプリング処理後のデータを高速フーリエ変換または最大エントロピー法(MEM:Maximum Entropy Method)により周波数解析し、R−R間隔の周波数スペクトルを求める(図2ステップS6)。この解析に際しては、ハニング窓を用いて対象区間のデータを取り出し、取り出したデータに対して周波数解析を実施すればよい。
出力部8は、周波数解析部7による周波数解析結果を出力する(図2ステップS7)。出力方法の例としては、例えばR−R間隔の周波数スペクトルの表示、周波数スペクトルデータの外部への送信などがある。
図3は、図6、図7に示したR−R間隔の時系列データに対し、本実施の形態の生体信号処理装置により異常値判定処理を行った結果を示す図である。図3の○印101は元のR−R間隔のデータを示し、+印103は本実施の形態の異常値判定部4が適切と判定したR−R間隔のデータを示している。
図6、図7に示した点aのR−R間隔の値は766msであり、この点aの時点でのR−R間隔の平均値RRIave=1070msに対して、−304msとなるので、異常値判定部4は、点aのR−R間隔のデータを不適切と判定する。
R−R間隔の値が小さい方向に偏ると、その次のR−R間隔の値にも影響する。ノイズなど心拍でないものを誤って検出してしまった場合、次の心拍に関しては、正しく検出されていても、そのR−R間隔の値は実際より小さくなる。また、期外収縮などの場合には、次の心拍は、正常な洞調律であったとしても、そのR−R間隔の値は実際より大きくなる。こうしたことを勘案すると、平均値よりも小さいという理由で不適切と判断したR−R間隔の値を、次のR−R間隔の値に繰り越すことが有効である。値を繰り越すことにより、ノイズなどの誤検出の場合は、その次のR−R間隔は、正しい値に戻される。また、期外収縮などの場合は、その次のR−R間隔は、不適切と判定され得るような大きな値となる。
つまり、点aの次の点bのR−R間隔の値は1237msであるが、直前の点aのR−R間隔のデータが不適切と判定され、かつ点aの時点でのR−R間隔の平均値RRIave=1070msを下回ったため、この点aのR−R間隔の値766msを、判定対象の点bのR−R間隔の値1237msに加算する。加算後のR−R間隔の値2003msは、点bの時点でのR−R間隔の平均値RRIave=1100msに対して、+903msとなるので、異常値判定部4は、点bのR−R間隔のデータを不適切と判定する。したがって、本実施の形態によれば、点a,bのR−R間隔のデータを削除することができる。
特許文献1に開示された技術のように、平均値との割合に基づいてR−R間隔のデータを削除するかどうかを判定する場合、R−R間隔の値が大きくなると、許容範囲も拡がることになる。R−R間隔1000msに対しての±30%であれば、許容範囲は±300msとなる。例えば隣接するR−R間隔のデータ同士の差が瞬間的に300ms程度になる場合もあるが、本実施の形態では、個々のR−R間隔のデータの真偽よりも、スペクトル分析等に用いるのに適切であるかどうかという観点を重視している。R−R間隔のデータが平均値に対して±200ms以上離れている場合、期外収縮など、分析に不必要なデータである蓋然性が高い。そのような不必要なデータは、データを削除(欠損)することによる影響よりも、削除しなかった場合のスペクトル分析等への悪影響の方が大きい。
図4は、点a,bのデータを削除しない従来のデータ列から得られた低周波成分LF(0.04〜0.15Hz)と高周波成分HF(0.15〜0.4Hz)とのパワーの比であるLF/HF、および本実施の形態の生体信号処理装置により点a,bのデータを削除したデータ列から得られたLF/HFを示す図である。図4の40は従来のLF/HFの値を示し、41は本実施の形態のLF/HFの値を示している。
ここでは、各時刻のLF/HFの値は、ハニング窓を用いて当該時刻の直前300秒分の計算区間のR−R間隔のデータを取り出し、この計算区間のデータから得られる周波数スペクトルを使って計算している。ハニング窓を適用しているため、計算区間の両端付近のデータの影響は減殺されている。
図4によると、12時52分を過ぎたところから12時57分近くまでの間、従来のLF/HFの値と本実施の形態のLF/HFの値が乖離しており、点a,bのデータの有無による影響が現れていることが分かる。つまりこの区間では、従来のLF/HFの値は過小評価されたものであり、本実施の形態によるLF/HFの値がより実態に近いものと考えられる。
以上のように、本実施の形態では、異常値判定部4を設けることにより、R−R間隔のデータの適切さ(もっともらしさ)を判定することができ、R−R間隔の分析に不必要なデータを適切に削除して、生体の状態のより正確な分析を行うことができる。
本実施の形態で説明した生体信号処理装置は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、心電図波形から得られる生体信号を分析する技術に適用することができる。
1…心電計、2…生体信号抽出部、3…平均化処理部、4…異常値判定部、5…異常値処理部、6…再サンプリング処理部、7…周波数解析部、8…出力部。

Claims (7)

  1. 生体の心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出ステップと、
    この生体信号抽出ステップで抽出した生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理ステップと、
    前記生体信号抽出ステップで抽出した生体信号のデータと、この生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、前記生体信号抽出ステップで抽出した生体信号のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する異常値判定ステップと、
    この異常値判定ステップで不適切と判定した生体信号のデータを削除する異常値処理ステップとを含み、
    前記異常値判定ステップは、判定対象の生体信号のデータの処理前に、直前の時刻での生体信号のデータを不適切と判定し、かつ直前の時刻での生体信号のデータが、直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データを下回った場合、直前の時刻での生体信号のデータを、前記判定対象のデータに加算し、この加算後のデータと、前記判定対象のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差が所定の閾値範囲内の場合、前記判定対象のデータを適切と判定し、この差が前記閾値範囲から外れている場合、前記判定対象のデータを不適切と判定するステップを含むことを特徴とする生体信号処理方法。
  2. 生体の心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出ステップと、
    この生体信号抽出ステップで抽出した生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理ステップと、
    前記生体信号抽出ステップで抽出した生体信号のデータと、この生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、前記生体信号抽出ステップで抽出した生体信号のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する異常値判定ステップと、
    この異常値判定ステップで不適切と判定した生体信号のデータを削除する異常値処理ステップとを含み、
    前記平均化処理ステップは、前記異常値判定ステップで判定対象となる生体信号のデータの逆数に基づく値に所定の平均化係数rを乗じた結果と、直前の時刻までの生体信号のデータの逆数に基づく値を平均化した値に(1−r)を乗じた結果とを加算し、この加算した値の逆数から生体信号の前記平均化データを算出するステップを含むことを特徴とする生体信号処理方法。
  3. 請求項記載の生体信号処理方法において、
    前記異常値判定ステップは、判定対象の生体信号のデータと、この判定対象のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された前記平均化データとの差が所定の閾値範囲内の場合、前記判定対象のデータを適切と判定し、この差が前記閾値範囲から外れている場合、前記判定対象のデータを不適切と判定するステップを含むことを特徴とする生体信号処理方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体信号処理方法において、
    さらに、前記異常値処理ステップで処理した後の生体信号の時系列データを補間して等間隔のデータに再構成する再サンプリング処理を行う再サンプリング処理ステップと、
    再サンプリング処理後のデータを周波数解析し、生体信号の周波数スペクトルを求める周波数解析ステップとを含むことを特徴とする生体信号処理方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の生体信号処理方法において、
    前記生体信号は、R波と1つ前のR波の時間間隔であるR−R間隔であることを特徴とする生体信号処理方法。
  6. 生体の心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出手段と、
    この生体信号抽出手段で抽出された生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理手段と、
    前記生体信号抽出手段で抽出された生体信号のデータと、この生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、前記生体信号抽出手段で抽出された生体信号のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する異常値判定手段と、
    この異常値判定手段で不適切と判定された生体信号のデータを削除する異常値処理手段とを備え
    前記異常値判定手段は、判定対象の生体信号のデータの処理前に、直前の時刻での生体信号のデータを不適切と判定し、かつ直前の時刻での生体信号のデータが、直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データを下回った場合、直前の時刻での生体信号のデータを、前記判定対象のデータに加算し、この加算後のデータと、前記判定対象のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差が所定の閾値範囲内の場合、前記判定対象のデータを適切と判定し、この差が前記閾値範囲から外れている場合、前記判定対象のデータを不適切と判定することを特徴とする生体信号処理装置。
  7. 生体の心電図波形から生体信号を抽出する生体信号抽出手段と、
    この生体信号抽出手段で抽出された生体信号の時系列データに対して平均化処理を行う平均化処理手段と、
    前記生体信号抽出手段で抽出された生体信号のデータと、この生体信号のデータおよび直前の時刻までの生体信号のデータを用いて算出された平均化データとの差に基づいて、前記生体信号抽出手段で抽出された生体信号のデータが適切かどうかをデータ毎に判定する異常値判定手段と、
    この異常値判定手段で不適切と判定された生体信号のデータを削除する異常値処理手段とを備え、
    前記平均化処理手段は、前記異常値判定手段で判定対象となる生体信号のデータの逆数に基づく値に所定の平均化係数rを乗じた結果と、直前の時刻までの生体信号のデータの逆数に基づく値を平均化した値に(1−r)を乗じた結果とを加算し、この加算した値の逆数から生体信号の前記平均化データを算出するステップを含むことを特徴とする生体信号処理装置。
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