JP2018175152A - 心拍検出方法および心拍検出装置 - Google Patents
心拍検出方法および心拍検出装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】基線搖動のある心電図波形のデータからでも、心拍およびその時刻を的確に検出する。【解決手段】心拍検出装置は、心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分の正負反転値を算出する時間差分正負反転値算出部3と、処理対象のサンプリング時刻よりも前の一定の時間範囲の正負反転値と処理対象のサンプリング時刻よりも後の一定の時間範囲の正負反転値のうちの最大値を検出する最大値検出部4と、処理対象のサンプリング時刻の正負反転値から最大値を引いた減算値を算出する減算値算出部5と、処理対象のサンプリング時刻について算出された最新の減算値から所定時間前の減算値までの範囲における減算値の変化量を算出し、変化量を積算する積算値算出部6と、積算値が閾値を超えたときに、処理対象のサンプリング時刻を心拍時刻とする心拍時刻決定部7を備える。【選択図】 図3
Description
本発明は、心電図波形から心拍(R波)を検出するための心拍検出方法および心拍検出装置に関するものである。
ECG(Electrocardiogram、心電図)波形は、心臓の電気的な活動を観測したものであり、一般的な方法では電極を体表面に取り付けて計測する。ECG波形から抽出される心拍数は運動強度の指標となり、また心拍変動は自律神経機能の評価などに活用される。ECG波形に対し心拍検出などのデータ処理を行う際には、ECG波形は一定の時間間隔でサンプリングされた離散的なデータ列として扱われる。
図6に、一般的なECG波形の例を示す。ECG波形は、連続した心拍の波形からなり、1つの心拍波形は、それぞれ心房や心室の活動を反映したP波、Q波、R波、S波、T波等の成分からなっている。そのうち、心室の収縮に伴うものがR波であり、振幅も大きいため、心拍の検出はR波を目安にして行われることが多い。
従来の心拍検出方法として、以下のような文献が公知である。特許文献1には、ECG波形の時間差分値のピークと、その前後の一定の時間領域での値を調べた結果に基づいて、心拍を検出する構成が開示されている。
ところで、ECG波形を計測する際、波形にノイズが加わることがある。特に、電極を備えたシャツなどの、ウエアラブルな心電計測デバイスを用いて取得されたECG波形では、体動等に伴うノイズが混入し易い。従来の心拍検出方法では、このようなノイズの混入により、心拍検出の誤りが誘発されるという問題点があった。特に、ECG波形の基線の急激な搖動を、心拍と誤って検出してしまうことがある。
図7は、従来の問題点を説明する図であり、ECG波形のサンプリングデータの一部を示す図である。図7の横軸は時間、縦軸は心電位[μV]である。なお、サンプリング間隔は5msである。
図8は、図7のECG波形の時間差分「(n+1)番目のサンプリング値−(n−1)番目のサンプリング値」をとって正負を反転した値を示す図であり、横軸は時間、縦軸は心電位の差分値[μV]である。ECG波形の時間差分をとることで、R波〜S波の急峻な心電位の低下に伴う上向きのピーク(R)が、心拍のリズムに沿って出現しているのが見て取れる。
図8は、図7のECG波形の時間差分「(n+1)番目のサンプリング値−(n−1)番目のサンプリング値」をとって正負を反転した値を示す図であり、横軸は時間、縦軸は心電位の差分値[μV]である。ECG波形の時間差分をとることで、R波〜S波の急峻な心電位の低下に伴う上向きのピーク(R)が、心拍のリズムに沿って出現しているのが見て取れる。
また図9は、図8の各時点のデータ列について、対象の時点Tよりも前の一定の時間領域(T−Δt2)〜(T−Δt1)の時間差分の正負反転値および対象の時点Tよりも後の一定の時間領域(T+Δt1)〜(T+Δt2)の時間差分の正負反転値のうちの最大値を、対象の時点Tの時間差分の正負反転値から減じた減算値bを時間軸上にプロットした図である。ここでは、Δt1=25ms、Δt2=125msとしている。横軸は時間、縦軸は心電位の差分値由来の値であり、単位は[μV]である。このデータ列は、図8の各点に対する、その前後一定の時間領域の値のクリアランスの高さを表している。つまり、図8のデータ列の、R波由来のピークを選択的に強調したものになっている。
また、図9中の◆印30は、特許文献1の方法に則って検出した心拍時刻とR−R間隔[ms]とを示している。
図7のECG波形に戻ると、破線90の部分で基線に急激な搖動が生じている。図8および図9では、この基線の搖動に対応するピークXが現れている。特許文献1に開示された従来の心拍検出方法では、図9の閾値THを超えたピークを心拍として検出するが、R波由来のピークだけでなく、ECG波形の基線の搖動によるピークXを、心拍として誤って検出してしまっている。
図7のECG波形に戻ると、破線90の部分で基線に急激な搖動が生じている。図8および図9では、この基線の搖動に対応するピークXが現れている。特許文献1に開示された従来の心拍検出方法では、図9の閾値THを超えたピークを心拍として検出するが、R波由来のピークだけでなく、ECG波形の基線の搖動によるピークXを、心拍として誤って検出してしまっている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、基線搖動のあるECG波形データからでも、心拍およびその時刻を的確に検出することができる心拍検出方法および心拍検出装置を提供することを目的とする。
本発明の心拍検出方法は、生体の心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分の正負反転値をサンプリング時刻ごとに算出する第1のステップと、処理対象のサンプリング時刻よりも前の一定の時間範囲の前記正負反転値と前記処理対象のサンプリング時刻よりも後の一定の時間範囲の前記正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出する第2のステップと、前記処理対象のサンプリング時刻の前記正負反転値から前記最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出する第3のステップと、前記処理対象のサンプリング時刻について算出された最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量をサンプリング時刻ごとに算出する第4のステップと、最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量を積算する第5のステップと、この第5のステップによって算出された積算値が所定の閾値を超えたときに、前記処理対象のサンプリング時刻を心拍時刻とする第6のステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の心拍検出方法の1構成例において、前記第5のステップは、最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量の中に、減少量が含まれる場合、この減少量を積算から除外し、増加量である変化量のみを積算するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の心拍検出方法の1構成例において、前記第2のステップは、前記第1のステップによって算出された正負反転値を第1のFIFOバッファに入力するステップと、前記第1のFIFOバッファの出力を第2のFIFOバッファに入力し、この第2のFIFOバッファの出力を第3のFIFOバッファに入力するステップと、前記第1のFIFOバッファに格納された正負反転値および前記第3のFIFOバッファに格納された正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出するステップとを含み、前記第3のステップは、前記第1のステップによって算出された正負反転値を第4のFIFOバッファに入力するステップと、この第4のFIFOバッファの出力値から前記最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出するステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の心拍検出方法の1構成例において、前記第4のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL1、前記第1のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL2、前記第2のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL3、前記第3のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL4とするとき、L1=L2+L3/2かつL2=L4である。
また、本発明の心拍検出方法の1構成例において、前記第2のステップは、前記第1のステップによって算出された正負反転値を第1のFIFOバッファに入力するステップと、前記第1のFIFOバッファの出力を第2のFIFOバッファに入力し、この第2のFIFOバッファの出力を第3のFIFOバッファに入力するステップと、前記第1のFIFOバッファに格納された正負反転値および前記第3のFIFOバッファに格納された正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出するステップとを含み、前記第3のステップは、前記第1のステップによって算出された正負反転値を第4のFIFOバッファに入力するステップと、この第4のFIFOバッファの出力値から前記最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出するステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の心拍検出方法の1構成例において、前記第4のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL1、前記第1のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL2、前記第2のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL3、前記第3のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL4とするとき、L1=L2+L3/2かつL2=L4である。
また、本発明の心拍検出装置は、生体の心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分の正負反転値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分正負反転値算出部と、処理対象のサンプリング時刻よりも前の一定の時間範囲の前記正負反転値と前記処理対象のサンプリング時刻よりも後の一定の時間範囲の前記正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出する最大値検出部と、前記処理対象のサンプリング時刻の前記正負反転値から前記最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出する減算値算出部と、前記処理対象のサンプリング時刻について算出された最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量をサンプリング時刻ごとに算出する変化量算出部と、最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量を積算する積算処理部と、この積算処理部によって算出された積算値が所定の閾値を超えたときに、前記処理対象のサンプリング時刻を心拍時刻とする心拍時刻決定部とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、心電図波形の基線の搖動に起因する偽のピークを誤って検出することなく、的確に心拍検出を行うことができる。
また、本発明では、最新の減算値から所定時間前の減算値までの範囲における減算値の変化量の中に、減少量が含まれる場合、この減少量を積算から除外し、増加量である変化量のみを積算することにより、R波由来のピークをさらに強調することができ、より的確な心拍検出を行うことができる。
[発明の原理]
図1は、図9の一部を拡大した図である。ここでは、サンプリング毎の減算値bのデータが分かるように点で示した。図1の減算値bのデータ列には、R波由来のピークと、ECG波形の基線の搖動によるピークXとが現れている。R波由来のピークの部分は、データ毎の変化量が大きいことが分かる。特に、破線10で囲んだ部分は、20msほどの間に大きく単調増加している。そこで、20ms間の増加量の積算値をとることで、このピークをさらに強調することができる。
図1は、図9の一部を拡大した図である。ここでは、サンプリング毎の減算値bのデータが分かるように点で示した。図1の減算値bのデータ列には、R波由来のピークと、ECG波形の基線の搖動によるピークXとが現れている。R波由来のピークの部分は、データ毎の変化量が大きいことが分かる。特に、破線10で囲んだ部分は、20msほどの間に大きく単調増加している。そこで、20ms間の増加量の積算値をとることで、このピークをさらに強調することができる。
図2は、図1に示した減算値bの増加量を20msの期間にわたって積算した値dを示す図である。図2の横軸は時間、縦軸は心電位の差分値由来の値であり、単位は[μV]である。図2によれば、破線10で囲んだ部分の、R波由来のピークが強調されている一方、破線90で囲んだ部分の、ECG波形の基線の搖動に由来する部分のピークが減殺されていることが分かる。したがって、適切な閾値に基づくことで、R波由来のピークのみを検出することが可能になる。
[実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図3は本発明の実施例に係る心拍検出装置の構成を示すブロック図、図4は本発明の実施例に係る心拍検出方法を説明するフローチャートである。心拍検出装置は、ECG波形のサンプリングデータ列を出力する心電計1と、ECG波形のサンプリングデータ列とサンプリング時刻の情報とを記憶する記憶部2と、ECG波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分の正負反転値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分正負反転値算出部3と、処理対象のサンプリング時刻よりも前の一定の時間範囲の正負反転値と処理対象のサンプリング時刻よりも後の一定の時間範囲の正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出する最大値検出部4と、処理対象のサンプリング時刻の正負反転値から最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出する減算値算出部5と、処理対象のサンプリング時刻について算出された最新の減算値から所定時間前の減算値までの範囲における減算値の変化量をサンプリング時刻ごとに算出し、これらの変化量を積算する積算値算出部6と、積算値が所定の閾値を超えたときに、処理対象のサンプリング時刻を心拍時刻とする心拍時刻決定部7とを備えている。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図3は本発明の実施例に係る心拍検出装置の構成を示すブロック図、図4は本発明の実施例に係る心拍検出方法を説明するフローチャートである。心拍検出装置は、ECG波形のサンプリングデータ列を出力する心電計1と、ECG波形のサンプリングデータ列とサンプリング時刻の情報とを記憶する記憶部2と、ECG波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分の正負反転値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分正負反転値算出部3と、処理対象のサンプリング時刻よりも前の一定の時間範囲の正負反転値と処理対象のサンプリング時刻よりも後の一定の時間範囲の正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出する最大値検出部4と、処理対象のサンプリング時刻の正負反転値から最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出する減算値算出部5と、処理対象のサンプリング時刻について算出された最新の減算値から所定時間前の減算値までの範囲における減算値の変化量をサンプリング時刻ごとに算出し、これらの変化量を積算する積算値算出部6と、積算値が所定の閾値を超えたときに、処理対象のサンプリング時刻を心拍時刻とする心拍時刻決定部7とを備えている。
最大値検出部4は、時間差分正負反転値算出部3によって算出された時間差分正負反転値を入力とするFIFOバッファ(First In,First Out)40と、FIFOバッファ40の出力値を入力とするFIFOバッファ41と、FIFOバッファ41の出力値を入力とするFIFOバッファ42と、FIFOバッファ40に格納された時間差分正負反転値およびFIFOバッファ42に格納された時間差分正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出する検出処理部43とから構成される。
減算値算出部5は、時間差分正負反転値算出部3によって算出された時間差分正負反転値を入力とするFIFOバッファ50と、FIFOバッファ50の出力値から、最大値検出部4によって検出された最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出する減算処理部51とから構成される。
積算値算出部6は、減算処理部51によって算出された減算値を記憶する記憶部60と、最新の減算値から所定時間前の減算値までの範囲における減算値の変化量をサンプリング時刻ごとに算出する変化量算出部61と、最新の減算値から所定時間前の減算値までの範囲における減算値の変化量を積算する積算処理部62とから構成される。
以下、本実施例の心拍検出方法を説明する。ここでは、1つの心拍を検出し、その心拍時刻を得るまでの手順を説明する。このような心拍時刻の算出をECG波形データの期間にわたって繰り返すことによって、心拍時刻の時系列データが得られる。
本実施例では、ECG波形をサンプリングしたデータ列をD(i)とする。i(i=1,2,…)は1サンプリングのデータに付与される番号である。番号iが大きくなる程、サンプリング時刻が後になることは言うまでもない。
心電計1は、図示しない生体(人体)のECG波形を測定し、ECG波形のサンプリングデータ列D(i)を出力する。このとき、心電計1は、各サンプリングデータにサンプリング時刻の情報を付加して出力する。なお、ECG波形の具体的な測定方法は周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
記憶部2は、心電計1から出力されたECG波形のサンプリングデータ列D(i)とサンプリング時刻の情報とを記憶する。
記憶部2は、心電計1から出力されたECG波形のサンプリングデータ列D(i)とサンプリング時刻の情報とを記憶する。
時間差分正負反転値算出部3は、サンプリングデータD(i)の時間差分正負反転値Y(i)を算出するため、サンプリングデータD(i)の1サンプリング後のデータD(i+1)と1サンプリング前のデータD(i−1)とを記憶部2から取得する(図4ステップS1)。そして、時間差分正負反転値算出部3は、サンプリングデータD(i)の時間差分正負反転値Y(i)を次式のようにサンプリング時刻ごとに算出する(図4ステップS2)。
Y(i)=−{D(i+1)−D(i−1)} ・・・(1)
Y(i)=−{D(i+1)−D(i−1)} ・・・(1)
時間差分正負反転値算出部3は、算出した時間差分正負反転値Y(i)をサンプリング時刻ごとにFIFOバッファ50に入力する(図4ステップS3)。入力された値は、FIFOバッファ50内に保持され、FIFOバッファ50の大きさに相当する時間(時間差分正負反転値がFIFOバッファ50に入力されてから出力されるまでの遅延時間)の後、減算処理に用いられることになる。
また、時間差分正負反転値算出部3は、算出した時間差分正負反転値Y(i)をサンプリング時刻ごとにFIFOバッファ40に入力する(図4ステップS4)。FIFOバッファ40の出力はFIFOバッファ41に入力され(図4ステップS5)、FIFOバッファ41の出力はFIFOバッファ42に入力される(図4ステップS6)。FIFOバッファ40〜42は、一定の時間範囲での時間差分正負反転値の最大値を求めるためのものである。
FIFOバッファ41の大きさに相当する時間間隔L3(時間差分正負反転値がFIFOバッファ41に入力されてから出力されるまでの遅延時間)は、R波由来のピークの幅(概ね10ms程度である)に対して十分広くしておく必要があり、50ms程度が好ましい。また、FIFOバッファ40の大きさに相当する時間間隔L2(時間差分正負反転値がFIFOバッファ40に入力されてから出力されるまでの遅延時間)、およびFIFOバッファ42の大きさに相当する時間間隔L4(時間差分正負反転値がFIFOバッファ42に入力されてから出力されるまでの遅延時間で、L2=L4)は、100ms程度が適当である。また、FIFOバッファ50の大きさに相当する時間間隔L1は、L1=L2+L3/2とすればよい。したがって、上記の数値例で言えば、L1は125msとなる。L1=L2+L3/2かつL2=L4とすることにより、FIFOバッファ50の出力値aの時刻(処理対象のサンプリング時刻)に対して、−(L2+L3/2)〜−(L3/2)の範囲と(L3/2)〜(L2+L3/2)の範囲について最大値Mを求めることができ、出力値aから最大値Mを減算することが可能となる。
検出処理部43は、FIFOバッファ40に格納された時間差分正負反転値およびFIFOバッファ42に格納された時間差分正負反転値のうちの最大値Mをサンプリング時刻ごとに検出する(図4ステップS7)。
減算処理部51は、FIFOバッファ50の出力値aから最大値Mを引いた減算値b=a−Mをサンプリング時刻ごとに算出する(図4ステップS8)。この減算処理部51によって算出された減算値bは記憶部60に格納される。
減算処理部51は、FIFOバッファ50の出力値aから最大値Mを引いた減算値b=a−Mをサンプリング時刻ごとに算出する(図4ステップS8)。この減算処理部51によって算出された減算値bは記憶部60に格納される。
変化量算出部61は、減算処理部51によって算出された減算値b(i)の1サンプリング前の減算値b(i−1)に対する変化量c(i)を次式のように算出する(図4ステップS9)。
c(i)=b(i)−b(i−1) ・・・(2)
c(i)=b(i)−b(i−1) ・・・(2)
変化量算出部61は、記憶部60に記憶されている値を用いて、式(2)のような変化量cを、減算処理部51によって算出された最新の減算値b(i)から所定時間(本実施例では20ms)前の減算値b(i−N−1)までの範囲(Nは最新から所定時間前までの時間範囲に含まれる減算値bの個数)についてサンプリング時刻ごとに算出する。
積算処理部62は、最新の減算値b(i)から所定時間前の減算値b(i−N−1)までの範囲について変化量算出部61がサンプリング時刻ごとに算出した変化量c(i),c(i−1),c(i−2),・・・・,c(i−N−1)を次式のように積算する(図4ステップS10)。
d(i)=c(i)+c(i−1)+c(i−2)+・・・・+c(i−N−1)
・・・(3)
d(i)=c(i)+c(i−1)+c(i−2)+・・・・+c(i−N−1)
・・・(3)
ただし、積算処理部62は、積算対象の変化量c(i),c(i−1),c(i−2),・・・・,c(i−N−1)に、符号が負の減少量が含まれる場合、この減少量を積算から除外し、符号が正の増加量である変化量cのみを積算した値d(i)を算出する。
心拍時刻決定部7は、積算値d(i)が所定の閾値THを超えたときに(図4ステップS11においてyes)、この積算値d(i)のサンプリング時刻を心拍時刻とする(図4ステップS12)。
なお、積算値d(i)は、時間差分正負反転値算出部3が算出した時間差分正負反転値よりも時間間隔L1だけ過去の時間差分正負反転値(出力値a)のサンプリング時刻を処理対象のサンプリング時刻として求めたものである。出力値aのサンプリング時刻の情報は記憶部2から取得することが可能である。
こうして、ステップS1〜S12の処理をサンプリング周期ごとに繰り返し実行することで、心拍時刻の時系列データが得られる。
こうして、ステップS1〜S12の処理をサンプリング周期ごとに繰り返し実行することで、心拍時刻の時系列データが得られる。
図5は、図9に示した減算値のデータ列に対し、本実施例の方法に従って心拍検出を行った結果を示す図である。図5の横軸は時間、縦軸は心電位の差分値由来の値であり、単位は[μV]である。実線の波形は20ms間の増加量の積算値dを示している。また、図中の◆印70は、本実施例の方法に従って検出した心拍時刻とR−R間隔[ms]とを示している。図7のECG波形では、破線90の部分で基線に急激な搖動が生じていたが、本実施例によれば、破線90の部分の基線搖動によるピークは減殺され、R波に由来するピークのみが適切に検出されていることが分かる。
本実施例で説明した記憶部2と時間差分正負反転値算出部3と最大値検出部4と減算値算出部5と積算値算出部6と心拍時刻決定部7とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
本発明は、生体の心拍を検出する技術に適用することができる。
1…心電計、2,60…記憶部、3…時間差分正負反転値算出部、4…最大値検出部、5…減算値算出部、6…積算値算出部、7…心拍時刻決定部、40〜42,50…FIFOバッファ、43…検出処理部、51…減算処理部、61…変化量算出部、62…積算処理部。
Claims (8)
- 生体の心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分の正負反転値をサンプリング時刻ごとに算出する第1のステップと、
処理対象のサンプリング時刻よりも前の一定の時間範囲の前記正負反転値と前記処理対象のサンプリング時刻よりも後の一定の時間範囲の前記正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出する第2のステップと、
前記処理対象のサンプリング時刻の前記正負反転値から前記最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出する第3のステップと、
前記処理対象のサンプリング時刻について算出された最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量をサンプリング時刻ごとに算出する第4のステップと、
最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量を積算する第5のステップと、
この第5のステップによって算出された積算値が所定の閾値を超えたときに、前記処理対象のサンプリング時刻を心拍時刻とする第6のステップとを含むことを特徴とする心拍検出方法。 - 請求項1記載の心拍検出方法において、
前記第5のステップは、最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量の中に、減少量が含まれる場合、この減少量を積算から除外し、増加量である変化量のみを積算するステップを含むことを特徴とする心拍検出方法。 - 請求項1または2記載の心拍検出方法において、
前記第2のステップは、
前記第1のステップによって算出された正負反転値を第1のFIFOバッファに入力するステップと、
前記第1のFIFOバッファの出力を第2のFIFOバッファに入力し、この第2のFIFOバッファの出力を第3のFIFOバッファに入力するステップと、
前記第1のFIFOバッファに格納された正負反転値および前記第3のFIFOバッファに格納された正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出するステップとを含み、
前記第3のステップは、
前記第1のステップによって算出された正負反転値を第4のFIFOバッファに入力するステップと、
この第4のFIFOバッファの出力値から前記最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出するステップとを含むことを特徴とする心拍検出方法。 - 請求項3記載の心拍検出方法において、
前記第4のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL1、前記第1のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL2、前記第2のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL3、前記第3のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL4とするとき、L1=L2+L3/2かつL2=L4であることを特徴とする心拍検出方法。 - 生体の心電図波形のサンプリングデータ列からサンプリングデータの時間差分の正負反転値をサンプリング時刻ごとに算出する時間差分正負反転値算出部と、
処理対象のサンプリング時刻よりも前の一定の時間範囲の前記正負反転値と前記処理対象のサンプリング時刻よりも後の一定の時間範囲の前記正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出する最大値検出部と、
前記処理対象のサンプリング時刻の前記正負反転値から前記最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出する減算値算出部と、
前記処理対象のサンプリング時刻について算出された最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量をサンプリング時刻ごとに算出する変化量算出部と、
最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量を積算する積算処理部と、
この積算処理部によって算出された積算値が所定の閾値を超えたときに、前記処理対象のサンプリング時刻を心拍時刻とする心拍時刻決定部とを備えることを特徴とする心拍検出装置。 - 請求項5記載の心拍検出装置において、
前記積算処理部は、最新の前記減算値から所定時間前の前記減算値までの範囲における前記減算値の変化量の中に、減少量が含まれる場合、この減少量を積算から除外し、増加量である変化量のみを積算することを特徴とする心拍検出装置。 - 請求項5または6記載の心拍検出装置において、
前記最大値検出部は、
前記時間差分正負反転値算出部によって算出された正負反転値を入力とする第1のFIFOバッファと、
前記第1のFIFOバッファの出力を入力とする第2のFIFOバッファと、
前記第2のFIFOバッファの出力を入力とする第3のFIFOバッファと、
前記第1のFIFOバッファに格納された正負反転値および前記第3のFIFOバッファに格納された正負反転値のうちの最大値をサンプリング時刻ごとに検出する検出処理部とから構成され、
前記減算値算出部は、
前記時間差分正負反転値算出部によって算出された正負反転値を入力とする第4のFIFOバッファと、
この第4のFIFOバッファの出力値から前記最大値を引いた減算値をサンプリング時刻ごとに算出する減算処理部とから構成されることを特徴とする心拍検出装置。 - 請求項7記載の心拍検出装置において、
前記第4のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL1、前記第1のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL2、前記第2のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL3、前記第3のFIFOバッファの大きさに相当する時間間隔をL4とするとき、L1=L2+L3/2かつL2=L4であることを特徴とする心拍検出装置。
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