JP2018011588A - 核酸導入用組成物及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】ネイキッド核酸を始めとする核酸の導入に適した核酸導入用組成物及びその利用法の提供。【解決手段】固体物質としての核酸と、アニオン性ポリマー又はそれらの塩であるアニオン性成分と、を含有する核酸導入用組成物。核酸はネイキッド核酸であり、アニオン性成分はヒアルロン酸又はその塩であり、核酸とアニオン性成分を含む多孔質粒子を含む組成物。更にロイシン、フェニルアラニン、又はイソロイシンから選択される1以上の疎水性アミノ酸を含有する組成物。本組成物は、核酸を細胞に導入して当該核酸による種々の効果、例えば、遺伝子発現(タンパク質の合成)、遺伝子の発現抑制を意図するものである。【選択図】なし

Description

本明細書は、核酸導入用組成物及びその利用に関する。
遺伝子の導入による細胞の形質転換は、種々の分野において利用されている。遺伝子の導入方法は、対象とする細胞の種類等によっても異なるが、いわゆるベクターと称されるウイルス等に由来する人工的なDNAコンストラクトをキャリアとして用いて行われることが多い。一方、こうしたウイルス由来ベクターに対して安全性の観点から、カチオン性ポリマーやカチオン性脂質等の非ウイルス性キャリアも検討されている。導入されるDNAなどの核酸は、アニオン性を示し、細胞膜も同様にアニオン性を示すためである。こうしたカチオン性キャリアがDNAと複合体を形成し、細胞膜を通過することが意図されている。
こうしたカチオン性キャリアの利用に際しては、アニオン性ポリマーであるヒアルロン酸の併用の有用性が開示されている(特許文献1)。アニオン性ポリマーとしてのヒアルロン酸を併存させることで、ヒアルロン酸受容体を有する細胞に対して高い特異性と効率で遺伝子を導入できることが開示されている。
一方、こうしたウイルス性キャリアや非ウイルス性キャリアを使用しないで、naked DNAなどの(以下、ネイキッドDNAともいう。)を遺伝子導入に用いる手法も検討されている。
特開2005−176830号公報
しかしながら、非ウイルス性であっても、カチオン性キャリアを用いることによる細胞障害性、発現効率の低下が問題となる場合がある。また、キャリアを全く使用しないネイキッドDNAの直接導入は、キャリアに由来する細胞障害性を低下させることができるものの、安定性や導入効率の低さが危惧される。さらに、こうした核酸の細胞への導入は、核酸を予め水系媒体に溶解した状態で行うことが一般的である。
本明細書は、ネイキッドDNAを始めとするネイキッド核酸など核酸の導入に適した核酸導入用組成物及びその利用を提供する。
本発明者らは、最も安定性や発現効率が問題となると考えられるネイキッド核酸を対象として細胞に導入して発現させることについて種々の検討を行ったところ、意外にも核酸を固体物質としてある種の賦形剤とともに含有する組成物が、高い遺伝子導入効率を実現するという知見を得た。本明細書は、こうした知見に基づき、以下の手段を提供する。
[1]固体物質としての核酸と、アニオン性ポリマー又はそれらの塩であるアニオン性成分と、を含有する核酸導入用組成物。
[2]前記核酸は、ネイキッド核酸である、[1]に記載の組成物。
[3]カチオン性キャリアを含有しない、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記核酸と前記アニオン性成分を含む多孔質粒子を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]前記アニオン性成分は、ヒアルロン酸又はその塩である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]さらに、1又は2以上の疎水性アミノ酸を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]前記疎水性アミノ酸は、ロイシン、フェニルアラニン及びイソロイシンからなる群から選択される、[6]に記載の組成物。
[8]実質的に水を利用しないで細胞に供給するための組成物である、[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]固相である、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]哺乳類細胞に対する遺伝子導入用である、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]核酸導入用組成物の製造方法であって、
核酸と、アニオン性ポリマー又はその塩であるアニオン性成分と、を含有する溶液を、凍結乾燥する乾燥工程、
を備える、製造方法。
[12]前記乾燥工程は、噴霧凍結乾燥による工程である、[11]に記載の製造方法。
[13]生体外の細胞に対して、[1]〜[10]のいずれかに記載の核酸導入用組成物を用いて、前記核酸を導入する工程、
を備える、核酸導入方法。
各種の組成物における粒子形態を示す図である。 各種の組成物における粒子形態を示す図である。 各種の組成物における粒子形態を示す図である。 各種アニオン性成分を含む組成物による遺伝子発現量を示す図である。 各種アニオン性成分を含む組成物による遺伝子発現量を示す図である。 粉末状組成物と溶液組成物(いずれも低分子量ヒアルロン酸含有)とによる遺伝子発現レベルの比較結果を示す図である。 粉末状組成物と溶液組成物(いずれも高分子量ヒアルロン酸含有)とによる遺伝子発現レベルの比較結果を示す図である。 低分子量ヒアルロン酸と疎水性アミノ酸との組合せと遺伝子発現量との関係を示す図である。上段及び下段は、それぞれAUC及びLucに基づく結果を示す。 高分子量ヒアルロン酸と疎水性アミノ酸との組合せと遺伝子発現レベルとの関係を示す図である。上段及び下段は、それぞれAUC及びLucに基づく結果を示す。 粉末組成物と溶液組成物とによる遺伝子発現量の比較結果を示す図である。 疎水性アミノ酸の吸入特性に及ぼす影響を示す図である。 各種態様のネイキッド核酸導入用組成物のSEM観察結果を示す図である。 各種態様のネイキッド核酸導入用組成物によるin vivoにおける遺伝子発現効果を示す図である。 siRNAを含むネイキッド核酸導入用組成物によるin vitroにおける遺伝子発現抑制効果を示す図である。 siRNAを含むネイキッド核酸導入用組成物によるin vivoにおける遺伝子発現抑制効果を示す図である。
本明細書の開示は、核酸導入用組成物及びその利用に関する。本明細書に開示する核酸導入用組成物(以下、本組成物ともいう。)によれば、細胞に対して、高い効率で、所望の核酸を導入し、当該核酸に基づく機能、例えば、遺伝子の発現等を生じさせることができる。本組成物は、また、カチオン性ポリマーなど、核酸の有する負電荷と相互作用する非ウイルス性キャリアを用いないため、かかるカチオン性キャリアによる細胞障害性を抑制又は回避することができる。
本組成物、すなわち、粉末状の本組成物を、細胞に供給するとき、非ウイルス性カチオン性キャリアや、本組成物を溶解した状態した細胞に供給するときよりも、高い効率で核酸を導入することができる。このような本組成物の効果は、必ずしも明らかではなく、推論であって本明細書における開示を拘束するものではないが、細胞に供給された本組成物が細胞上の少量の水分に溶解することで核酸の高濃度曝露条件を生じて能動的な細胞内取り込みが向上し、粘膜付着性の付与によって、細胞との接触時間の延長及び核酸取り込みの持続等、により、DNAやRNAなどの核酸と細胞膜の負電荷との反発が抑制又は回避されて効率的に取り込まれたと推論することができる。
以下、本明細書の開示に関する各種実施形態を詳細に説明する。
(本組成物)
本組成物は、固体物質としての核酸と、アニオン性ポリマー又はそれらの塩であるアニオン性成分と、を含有することができる。以下、本組成物の成分について説明し、その後、本組成物の各種態様について説明する。
(核酸)
核酸は、天然に存在するデオキシリボクレオチド及び/又はリボヌクレオチドの重合体である天然核酸及び少なくとも一部に非天然構造を有するデオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドを含む重合体である非天然核酸を含むことができる。天然のデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドは天然塩基を備えている。天然塩基は、天然のDNA及びRNAにおける塩基であって、アデ二ン、チミン、グアニン、シトシン及びウラシルが挙げられる。また、天然のデオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドは、その2−デオキシリボース及び/又はリボースの5位のリン酸と隣接するデオキシリボース及び/又はリボースの3’の水酸基とがリン酸ジ工ステル結合で連結した骨格を有している。本明細書において、天然核酸としては、DNA、RNA及びデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとのキメラ(以下、DNA/RNAキメラともいう。)であってもよい。また、DNA、RNAはそれぞれ一本鎖であってもよいし、同種の二本鎖であってもよいし、DNAとRNAとがハイブリダイズしたハイブリッドであってもよい。さらには、DNA/RNAキメラが、DNA、RNA又はDNA/RNAキメラとハイブリダイズしたハイブリッドであってもよい。
非天然の核酸は、塩基、骨格(糖部分及びリン酸部分)のいずれかにおいて、少なくとも一部に非天然構造を有する核酸をいう。非天然塩基としては、種々の非天然塩基が知られている。また、天然のリボースーリン酸骨格を代替する各種の骨格も提供されている。例えば、糖−リボース骨格に替えて炭素数が3個程度の炭素を有するグリコール核酸、ペプチド核酸等が挙げられる。また、天然の核酸はL−DNA又はL−RNAであるが、D−DNA及びD−RNAの構造を少なくとも一部に備える核酸は非天然核酸に含まれる。非天然の核酸においても、一本鎖、二本鎖、ハイブリッド及びキメラ等の各種態様が含まれる。
この種の非天然核酸は、概して、タンパク質をコードするコード鎖や鋳型鎖でなく、例えば、他の機能、例えば、細胞内である種の核酸と相互作用させて、その核酸の機能を変化させるなどに用いられる。典型的には、標的タンパク質の発現阻害や機能阻害という機能発現のために用いられる。例えば、遺伝子発現を介することなく、生体内核酸に直接作用する核酸が挙げられ、具体的には、アンチセンス核酸、センス核酸、shRNA、siRNA、デコイ核酸、アプタマー、miRNA等が挙げられる。この種の非天然核酸は、ヌクレオチドが十数個から数十個程度が重合したオリゴヌクレオチドである場合が多い。
本組成物は、核酸として、ネイキッド核酸の状態であることが好ましい。ネイキッド核酸(naked 核酸)とは、すなわち、裸の核酸をいう。より具体的には、例えば、遺伝子発現を意図する場合には、プラスミドを用いた核酸コンストラクト(非ウイルス性ベクター)が挙げられる。また、例えば、遺伝子発現の抑制を意図する場合には、プラスミドDNAなどの非ウイルス性ベクターほか、アンチセンス核酸(アンチセンスDNA又はアンチセンスRNA)、shRNA、siRNA、デコイ核酸、アプタマー、マイクロRNA等が挙げられる。ネイキッド核酸としては、治療目的のための核酸要素を主体とし、あるいは当該核酸のみからなり、細胞への核酸の導入のためだけのビヒクルとしての核酸要素を含まない核酸であってもよい。
ネイキッド核酸の形態は、特に限定するものではなく、リニアであってもよいし、サーキュラー(閉環又は開環)であってもよい、また、スーパーコイル状であってもよい。目的に応じた形態を適宜備えることができる。ネイキッド核酸としては、ウイルス由来の要素を有するウイルス性キャリア、リポソームやカチオン性ポリマーなどのカチオン性の非ウイルス性キャリアを有していないことが好ましい。ウイルス性キャリアの危険性のほか、かかる非ウイルス性キャリアについても細胞障害、標的性能、発現効率に関して必ずしも十分でないからである。
本組成物は、粉末など固体物質としての核酸を有している。固体物質としての核酸とは、核酸が結晶又は非結晶の状態であって固相を形成している状態をいう。
(アニオン性成分)
本組成物は、アニオン性ポリマー又はその塩であるアニオン性成分を有している。ア二オン性成分は、必ずしも明らかではないが、固体物質としての核酸と併存させることで、核酸の細胞への導入効率を高めることができると推論される。また、核酸を噴霧凍結乾燥などで乾燥するときにおいて併存させることで、核酸の生物活性の維持に寄与することが推論される。
アニオン性ポリマーとしては、特に限定するものではないが、分子中にアニオン性基を含む、負に荷電された、分子量が500〜400万程度の天然由来又は合成ポリマーが挙げられる。アニオン性基は、特に限定しないが、1分子中に複数、好ましくは5個以上有するポリマーを使用することができ、このような官能基としては、例えばカルボキシル基、−OSO3H基、−SO3H基、リン酸基が挙げられる。なお、このようなアニオン性ポリマーとしては、両イオン性ポリマーも含まれる。
アニオン性ポリマーとしては、より具体的には、アニオン性基を有する多糖類又はその誘導体;アニオン性基を側鎖に有するアミノ酸残基を含むポリペプチド;カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体;アニオン性基を有する合成ポリマー等が挙げられる。
アニオン性基を有する多糖類又はその誘導体としては、グルコサミノグリカンが挙げられる。かかるグルコサミノグリカンの分子量は、好ましくは1000〜400万、より好ましくは4000〜300万である。グルコサミノグリカンは、具体的には、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、カルボキシメチルセルロース、ケラタン硫酸、ヘパリン、デルマタン硫酸等が挙げられる。なかでも、ヒアルロン酸は、核酸導入や保護に優れた寄与が推測される。ヒアルロン酸を始めとする各種グルコサミノグリカンの誘導体としては、ポリエチレングリコール、ペプチド、糖、蛋白質、ヨウ酸、抗体又はその一部などを導入することによって得られるものが挙げられるほか、スペルミン、スペルミジン等を導入し、プラスに荷電した部分を持つ両イオン性の誘導体等が挙げられる。
ヒアルロン酸又はその塩は、特にその由来を問わないで、広い範囲の分子量のヒアルロン酸又はその塩を用いることができる。例えば、ヒアルロン酸の平均分子量(典型的には、重量平均分子量)が5,000以下(未満)であっても好適であり、平均分子量が10,000以上であってもよく、20,000以上であってもよく、さらには、30,000以上であってもよい。また、平均分子量は、40,000以上であってもよい。また、上限も特に限定するものではないが、例えば、平均分子量は、200,000以下であってもよく、150,000以下であってもよい。また、例えば、平均分子量が50,000以上110,000以下であっても好適に用いることができる。こうしたヒアルロン酸又はその塩(例えば、ナトリウム塩)としては、例えば、FCH−SU(分子量5万から11万)やマイクロヒアルロン酸FCH(分子量5000以下(又は未満)(いずれも、キッコーマンバイオケミファ社製)等を適宜用いることができる。
ヒアルロン酸の重量平均分子量が、15,000以上40,000以下であることが好適である。こうしたヒアルロン酸又はその塩を用いることで、siRNAなどのネイキッド核酸の導入効率を高めることができる場合がある。
ヒアルロン酸の平均分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーと多角度光散乱検出器を組み合わせる方法(SEC/MALS、例えば、「国立医薬品食品衛生研究所報告」,2003年,121巻,p.30−33)やMorgan−Elson法とCarbazol硫酸法の組み合わせ等により求めることができる(特許文献 特開2009−155486号公報参照)。好ましくは、SEC/MALSを用いる。
アニオン性基を側鎖に有するアミノ酸残基を含むポリペプチドとしては、好ましくは500〜100万の分子量を有するペプチドが挙げられる。このようなポリペプチドとしては、具体的にはポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸などを例示することができる。
カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体としては、PEG1分子当たりカルボキシル側鎖を複数、好ましくは5個以上有する、500以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは4,000〜40,000の分子量を有するPEG誘導体が挙げられる。
アニオン性基を有する合成ポリマーとしては、1分子当たり複数、好ましくは5個以上のアニオン性基を有するポリマー又はコポリマーであって、好ましくは500〜400万の分子量を有するポリマー又はコポリマーである。このようなポリマー又はコポリマーとしては、具体的には分子量1000〜300万のアクリル酸又はメタクリル酸のポリマー又はコポリマー、あるいはポリビニルアルコールの硫酸エステル体、サクシニミジル化ポリ−L−リジン等が挙げられる。
アニオン性ポリマーの塩としては、例えば、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の塩のほか、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩等が挙げられる。用いるアニオン性ポリマーに応じて適宜その塩が選択される。
本組成物においては、各種態様(すなわち、ポリマーの種類、分子量、塩の種類等)のアニオン性成分を1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本組成物に用いるアニオン性成分は、後述するように、固体物質としての核酸の安定化、細胞への導入、細胞における遺伝子発現又は抑制などの核酸固有の機能発現等を向上させることができるものであれば適宜商業的に入手し、あるいは必要に応じて人工的に合成し、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
本組成物における、核酸とアニオン性成分との配合比率は、特に限定するものではなく、アニオン性成分の種類や後述する分散補助剤の存否等にもよるが、例えば、核酸1質量部に対して、5質量部以上100質量部以下とすることができる。より好ましくは同5質量部以上50質量部以下である。
(カチオン性キャリア)
本組成物は、アニオン性ポリマー等であるアニオン性成分を含有するが、カチオン性ポリマーなどの非ウイルス性であっても、細胞障害性等を発現する可能性があるため、カチオン性キャリアを含有しないことが好ましい。かかるカチオン性キャリアとしては、特に限定するものではないが、カチオン性基を有するカチオン性ポリマーやカチオン性脂質が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、カチオン性基を有する多糖類、カチオン性基を側鎖に有するポリペプチド、カチオン性基を有する人工ポリマー若しくはこれらの塩等が挙げられる。
こうしたカチオン性キャリアとしては、例えば、カチオン性脂質(カチオン性コレステロール誘導体を含む)としては、DC−Chol(3β−(N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール)、DDAB(N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド)、DMRI(N−(1,2−ジミリスチルオキシプロパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DODAC(N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、DOGS(ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン)、DOSPA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート)、DOTAP(N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)、又はDOTMA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
(疎水性アミノ酸)
本組成物は、さらに、1又は2以上の疎水性アミノ酸を含有していてもよい。かかるアミノ酸を含有していると、本組成物を細胞に供給する際の、分散性、吸入投与に際しての吸入特性などを向上させることができると考えられる。疎水性アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、プロリン、アラニン、トリプトファン、フェニルアラニン及びメチオニン等が挙げられる。なかでも、ロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニンを用いることが好ましい。好適な疎水性で固相として存在する核酸及びアニオン性成分の分散性等を向上させることができると考えられる。例えば、フェニルアラニンは、好適な細胞導入効率に寄与しているものと考えられる。
疎水性アミノ酸の、核酸又はアニオン性成分に対する配合比率は特に限定するものではないが、核酸の分散性等を向上させることができる範囲で適宜設定される。例えば、核酸1質量部に対して、5質量部以上100質量部以下とすることができる。より好ましくは同5質量部以上50質量部以下である。
以上説明したように、本組成物は、固体物質としての核酸及びアニオン性成分のほか、必要に応じて、疎水性アミノ酸を含むことができる。さらに、本組成物は、遺伝子発現やその抑制を意図したDNAやRNA等を含む組成物に一般的に使用される添加剤を含むことを排除するものではない。
本組成物は、固体物質としての核酸と、アニオン性成分とを含んでいればよいが、本組成物は、固体物質としての核酸を含むため、アニオン性成分も固体物質であって固相を形成して、本組成物として全体が固相を形成している組成物という態様を採ることができる。すなわち、本組成物は、固相として、粉末(散剤)、粒剤、細粒剤、顆粒剤等、適宜許容される形態を採ることができる。
固体物質の核酸と固体物質のアニオン性成分とを含む固相の本組成物は、さらに各種態様を採ることができる。例えば、核酸の結晶性又は非結晶性粉末等と、アニオン性成分の結晶性又は非結晶性粉末と、を混合した混合物であってもよい。また、核酸とアニオン性成分とを溶質として含む溶液(水溶液)(液層)を、固相に変換した組成物であってもよい。例えば、こうした溶液を凍結乾燥や噴霧凍結乾燥して得られた組成物であってもよい。
なかでも、凍結乾燥又は噴霧凍結乾燥は、核酸とアニオン性成分とを均一に複合できる点において好適である。なかでも、噴霧凍結乾燥は、例えば、動物に対する吸入投与に適した形態である。概して、噴霧凍結乾燥によれば、核酸とアニオン性成分とを含む多孔性粒子を得ることができる。当該粒子は、概して平均粒径が、100μm以下、より好ましくは5μm以上50μm以下、さらに好ましくは5μm以上20μm以下、なお好ましくは5μm以上10μm以下の球状粒子又は不定形、好ましくは球状粒子であり、分散性や取り扱い性に優れるものとなる傾向がある。
なお、本組成物が、疎水性アミノ酸やその他の添加剤を含む場合には、これを独立して付与して混合してもよいし、核酸、アニオン性成分及び疎水性アミノ酸を含む溶液から凍結乾燥や噴霧凍結乾燥から一挙に本組成物を調製してもよい。
また、本組成物は、固体物質の核酸を含むように、核酸が不溶の媒体(例えば、非水系溶媒など)中に当該媒体に不溶のアニオン性成分又は当該媒体に溶解したアニオン性成分を含んで、本組成物として固相と液相を含む不均一な相を形成している組成物という態様も採ることができる。
(本組成物の用途)
本組成物は、核酸の細胞への導入用である。さらには、本組成物は、核酸を細胞に導入して当該核酸による種々の効果、例えば、遺伝子発現(タンパク質の合成)、遺伝子の発現抑制を意図するものである。
本組成物の核酸は、本組成物の目的に応じて種々の態様を採ることができる。例えば、核酸が、タンパク質などをコードするコード領域を含む場合には、核酸には、当該タンパク質を発現可能に、プロモーター、ターミネーター等の発現制御領域を同時に含むことができる。例えば、こうした核酸としては、発現カセット、あるいは発現カセットを含むプラスミドベクターや人工染色体が挙げられる。プロモーターやターミネーターを始めとする制御領域やその他の要素は、当業者であれば適宜必要に応じて選択して用いることができる。また、プラスミドベクターや人工染色体は、導入する細胞の種類や導入しようとする核酸のサイズ等を考慮して適宜選択される。
また、例えば、遺伝子の発現を抑制する場合には、既述のように、核酸として、センス核酸、アンチセンス核酸(DNA又はRNA等)、shRNA、siRNA、miRNA、デコイ核酸、アプタマー等の態様が挙げられる。また、核酸は、こうしたRNA等を転写によって形成するDNAであってもよい。
本組成物を適用する細胞は、特に限定するものではないが、動物細胞や微生物細胞であることが好ましい。動物細胞としては、ヒトを含む哺乳類のほか、各種非哺乳類細胞が挙げられる。微生物としては、酵母、細菌、真菌等が挙げられるが、特に限定するものではない。
本組成物は、ヒトや動物に対する遺伝子治療、核酸医薬、免疫治療、胚作製等及び各種の遺伝子関連研究に好適に用いることができる。すなわち、いわゆるin vivo遺伝子治療のほか、ex vivo遺伝子治療に用いることができる。
本組成物は、実質的に水系媒体を利用しないで細胞に供給するための組成物とすることができる。「実質的に水系媒体を利用しない」とは、細胞への適用に際して、本組成物を緩衝液などの水を主体とする媒体(本明細書において、水系媒体という。)で溶解又は分散等することなく、という意味である。本組成物を適用した先の水(水分)によって、核酸等が溶解することは、「実質的に水系媒体を利用しない」に反しない。
固体物質としての核酸を含む本組成物は、そのままの状態で、固体物質の核酸を維持して、より好ましくは固相の組成物を、インビトロ及びインビボの細胞に適用することが好適である。固体物質としての核酸を含む本組成物又は固相の本組成物を細胞に適用することにより、細胞表面において、核酸の導入に有利な環境が形成されるものと考えられる。例えば、こうした態様の本組成物は、気液界面等において培養した培養細胞に対して、粉末とした本組成物を供給するようにすることができる。本組成物の核酸及びアニオン性成分は、細胞表面の水分を媒介して作用し、核酸が細胞内に取り込まれるものと考えられる。このようにして導入処理した細胞は、その後、目的に応じた培養状態で培養し、核酸導入効果の確認等、さらなる利用に供することができる。
また、ヒトを含む動物等において、外部から非侵襲的又はおおよそ非侵襲的にカテーテル等を用いて到達可能な臓器、例えば、鼻腔、眼、口腔、気道、肺、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、膀胱、膣、子宮、心臓、血管等の内表面(粘膜)に対しては、本組成物を、適当なガスを介したインジェクションにより、固体物質としての核酸を標的箇所に到達させることができる。例えば、肺粘膜や鼻腔粘膜に対する粉末製剤等の供給は、吸入法等として周知である。また、開腹や切開等によって動物の内部、例えば、皮下、筋肉、腹腔、腫瘍等の病変部に、直接本組成物を供給してもよい。なお、本組成物の適用にあたっては、標的組織内部、その表面又はその近傍に移殖するなどの手段を採ることもできる。また、ゲル状物、スポンジなどの多孔体、不織布などの表面に本組成物を担持させて留置することもできる。
本組成物が、このように固体物質としての核酸を含む形態で標的箇所又は細胞に供給されることにより、従来のように水系媒体で希釈されることもなく高濃度に標的部位に供給され、当該部位に継続して留まることができる。すなわち、本組成物は、本質的に、高濃度に標的細胞に到達させることが可能となっている。その結果、高い取り込み能と核酸による機能発現が可能となっていると考えられる。
本組成物は、用時に溶解して用いても十分な効果を発揮する。例えば、用時に、本組成物を、水、生理食塩水、緩衝液、ブドウ糖溶液、培地液などの水系媒体に懸濁又は溶解することにより再溶解物を調製して適用することも可能である。再溶解については、本組成物を、例えば、例えば、核酸の100〜10000倍(重量比)の溶媒を用いて懸濁又は稀釈する。凍結乾燥前と異なる量、異なる種類の溶媒を用いることができるため、従来困難であった比較的高濃度の懸濁液や溶液(たとえば1ml中にDNAを1mg含む液)も容易に調製することができる。
本組成物は、用時に非水系媒体に核酸を固体物質として含有させた状態であってもよい。例えば、用時に、本組成物を、非水系媒体に懸濁してもよい。例えば、凍結乾燥前と異なる量、異なる種類の溶媒を用いることができるため、従来困難であった非水系媒体をベースとして核酸を適用することができるようになる。
このように、適当な液性媒体で溶解又は懸濁した本組成物は、生体細胞への核酸、又はその誘導体の導入に通常用いられる任意の方法を用いることができる。
本組成物の細胞への適用量は、上述した導入方法、疾患の種類、目的などによって異なるが、例えば核酸の量にして、投与部位によって大きく異なるが、腫瘍内への局所投与では例えば5〜1000μg/cm3・腫瘍、膀胱などの臓器への投与では例えば0.1μg〜100mg/臓器、全身投与では例えば0.1ng〜10mg/Kg・体重とすることができる。また、対細胞の場合には、直径1〜2cmのウェル当たりで0.2〜10μg/104〜7個・細胞等とすることができる。
(本組成物の製造方法)
本組成物の製造方法は、核酸と、アニオン性成分と、を含有する溶液を、凍結乾燥する乾燥工程、を備えることができる。本製造方法によれば、核酸とアニオン性成分とを均一に混合された組成物を得ることができる。核酸とアニオン性成分とを含み、必要に応じて疎水性アミノ酸を含んだ溶液(水溶液等)を凍結乾燥用溶液として準備する。凍結乾燥用溶液を調製する際の、核酸、アニオン性成分の混合順序は特に限定しない。また、疎水性アミノ酸の混合も特に限定するものではなく、核酸及びアニオン成分溶解後であってもよいし、これらの成分の溶解前及び同時であってもよい。凍結乾燥用溶液に用いる媒体は、特に限定するものではないが、蒸留水や純水等を用いることができる。
乾燥工程は、通常の凍結乾燥条件下で行うことができ、例えば減圧下(好ましくは、5.0Pa以下、より好ましくは2.0Pa以下)、−60℃〜−30℃(棚温度10℃〜30℃)で乾燥することによって行うことができる。また、噴霧凍結乾燥する場合には、噴霧圧を例えば、150kPa程度とし、凍結乾燥用溶液の送液速度を5ml/分程度として行うことができる。乾燥に要する時間は、減圧度、溶媒の量によって異なり、通常は1時間〜2日間で完了する。
(核酸の導入方法)
本明細書に開示される核酸の導入方法は、生体外の細胞に対して、本組成物を用いて、前記核酸を導入する工程、を備えることができる。本導入方法によれば、既に説明したように、固体物質としての核酸をアニオン性成分とともに用いるため、高い導入効率を得ることができる。本組成物の細胞の対する適用方法は、既に説明した各種態様を採ることができる。
以下、本明細書の開示を具現化した実施例について説明するが、以下の実施例は、本明細書の開示を限定するものではない。なお、以下の実施例において、特に言及しない限り%は質量%を示す。
(各種のアニオン性成分を含むネイキッド核酸の導入用組成物の調製)
本実施例では、固体物質としての核酸に対して賦形剤として用いる各種のアニオン成分について検討するために、各種組成物を調製した。
(1)核酸
レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼをコードするpDNA (pCpG-△Luc)を用いた。
(2)賦形剤
賦形剤として高分子量ヒアルロン酸(M.W.; 50〜110 kDa、ヒアルロン酸FCH-SU: 以下、HHAともいう。)及び低分子量ヒアルロン酸 (M.W.; < 5 kDa、マイクロヒアルロン酸FCH: 以下、LHAともいう。)の各ナトリウム塩(ともにキッコーマンバイオケミファ株式会社)、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC、シグマアルドリッチ)、コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(CS、シグマアルドリッチ)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、シグマアルドリッチ)、β−シクロデキストリン(β-CyD、和光純薬工業株式会社)、イヌリン(Inu、(from chicory;Inu、シグマアルドリッチ)、メチルセルロース(MC、シグマアルドリッチ)、D(-)-マンニトール(Man、和光純薬工業株式会社)を使用した。
(3)試料溶液の調製
pDNA水溶液と各種アニオン性成分水溶液を混合して試料溶液とした。溶媒には全て超純水 (UltraPureTMDNase/RNAse-Free Distilled Water、invitrogenTM)を用いた。試料溶液の最終濃度はpDNA濃度として200 μg/mLとした。各試料溶液の組成を以下に示す。
(4)噴霧凍結乾燥(SFD)法による組成物の調製
導入用組成物は、SFD法により調製した。噴霧乾燥機 (SD-1000、東京理化器械株式会社)に付属の2流体噴霧ノズルを用いて、試料溶液をノズル先端から15 cm下の液体窒素 (500 mL)中に150 kPaで噴霧することにより急速凍結した。詳細な条件を以下に示す。試料溶液は5 mL/minで送液し、1.5 min噴霧を続けた。得られた氷滴を凍結乾燥機 (FDU-210東京理化器械株式会社)を接続した角形ドライチャンバー (DRC-1000東京理化器械株式会社)に入れ、真空条件下で24 h乾燥することにより目的の組成物を得た。
調製した組成物をマイクロスパーテルで少量充填した100 μL用ディスポーザブルチップに三方活性を介して接続した1 mLシリンジ (TERUMO)内の空気0.25 mLを圧縮・開放することで、黒色両面テープを貼った試料台上に噴霧した。その後、30 mA、90 secプラチナコーティング処理 (JFC-1600、日本電子データム株式会社)を行い、粒子形状を走査型電子顕微鏡 (SEM; JSM-6060、日本電子株式会社)を用いて観察した。結果を図1A〜1Cに示す。
図1A〜1Cに示すように、各組成物のほとんどは、粒子径5〜10μmでSFD製剤特有の中空多孔性構造が観察され、吸入剤に適した微粒子であることがわかった。HPCを含有する製剤は中空多孔ではなく、賦形剤の種類が粒子の形状に影響を及ぼす可能性が示唆された。このような違いが生じた原因としては、試料溶液の粘度が影響していると考えられる。HPCは他の賦形剤と比較し、粘度が高い。そのため、ある一定の粘度を境にHPCはSFD法による噴霧の過程で球形の微粒子を形成できず、非中空多孔な製剤ができたと考えられた。
(ネイキッド核酸導入用組成物のin vivoにおける遺伝子発現効果の評価)
本実施例では、実施例1で調製した各組成物をマウス肺内に投与して、遺伝子発現効果を評価した。マウスへの投与及び評価は以下のようにして行った。
(1)マウス肺内への投与
前処置としてペントバルビタール (50 mg/kg、i.p.)麻酔下、雌性ICRマウス (5 週齢)の前歯を自作の固定板に設置し、胸部を垂直にした。ライト (MegaLight100(商標)、ショット日本株式会社)を用いて、胸部に局所的に光を当てながら、マウスの口を開放してピンセットで舌を引き出した。口内で白色の穴として見える気管を確認し、挿管補助器具 (Liquid MicroSprayer (商品名、PennCentury, Inc))のスプレーチップ部分を使用)に装着したマウス肺内投与用カニューレ(総長4.0cmのPE−60ポリエチレンチューブ)を3.0cm気管に挿入した。
カニューレを気管に残しつつ挿管補助器具だけを引き抜いた後、カニューレから呼気が通ることを確認し、その後、肺内投与用デバイスのチップ先端をカニューレに挿入して、マウスの吸気に合わせて0.25 mLの圧縮空気を開放することで予めチップに充填しておいた各組成物0.5 mg (pDNAとして10 μg)を肺内投与した。
(2)肺内遺伝子発現効果の評価
ルシフェラーゼ活性に基づく発光をIVIS(商標)を用いて検出・解析することにより評価した。測定時に用いたluciferin はPBSを用いて30 mg/mLに調整し、-80°Cで保存したものを使用した。Isoflurane (イソフル、商標、アボットラボラトリーズ)により麻酔し、マウス肺内投与6、12、24、48 h後に、発光基質であるluciferin (30 mg/mL、0.05 mL/ mouse; 300 mg/kg)を経鼻投与した。luciferin投与10 min後にisoflurane麻酔下、exposure time 1 minで発光を検出した。肺に相当するregion of interest (ROI; 縦1 cm、横3 cm)を作成して、その発光強度 (Total Flux (photon/sec))を遺伝子発現量として求め、遺伝子発現量−時間パターンを解析した。得られた遺伝子発現量−時間パターンより、遺伝子発現量−時間曲線下面積 (AUC)及び最大遺伝子発現量 (Luc(max))をそれぞれ求めた。これらの結果を、それぞれ図2〜3に示す。
図2及び3に示すように、LHA、HHAのほか、CMCやCSを含む組成物によっても遺伝子発現が確認された。特にLHAを含む組成物を投与した群において、AUC、Luc(max)ともに他の賦形剤を含む遺伝子吸入粉末剤を投与した群よりも優れた遺伝子発現効果を示した。
HA、CMC及びCSは、カニューレに詰まることなく投与ができた。また、これらは、いずれも、アニオン性ポリマーであり、体内の特異的な受容体を介して細胞内への取り込み、転写活性の促進を期待できる。これらの要因からHAやCMC、CSは他の賦形剤よりも細胞への取り込みが有利であり、比較的高い遺伝子発現効果がみられたと考えた。
(粉末組成物と溶液組成物との比較)
本実施例では、実施例1で調製したLHA含有組成物及びHHA含有組成物、これらの各組成物のSFD用に用いられた各試料溶液及び各組成物を再溶解した再溶解液を、それぞれマウスに投与して、遺伝子発現量−時間パターン、AUC、Luc(max)を比較した。
各組成物のマウス肺内投与は実施例2と同様に行った。また、試料溶液及び再溶解液については、液体噴霧器Liquid MicroSprayer Microspray (商標、PennCentury, Inc)のスプレーチップをカニューレに挿入して、各液剤100μl(pDNAとして10μg)をマウス肺内投与した。遺伝子発現レベルは、実施例2と同様に行った。結果を図4A及び図4Bに示す。
図4A及び図4Bに示すように、LHA、HHAともに、試料溶液及び再溶解液でも遺伝子発現を確認することができたが、これらの溶液よりも、粉末状の本組成物が最も高い遺伝子発現効果を示した。このことから、naked pDNA製剤が肺内で高い遺伝子発現を示すのは剤形が粉末剤であることがわかった。
このような結果になった原因として、(1)吸入粉末剤は呼吸器上皮細胞上の少量の水分に溶解することで高濃度曝露条件を生じ、能動的な細胞内取り込みを介した細胞内取り込みが向上したため、(2)吸入粉末剤による粘膜付着性の付与により、気管支内の粘膜繊毛クリアランスを回避して呼吸器系上皮細胞との接触時間を延長したためという二つの可能性が考えられた。すなわち、粉末状の本組成物が肺内の少量の水分に溶解されるのに対し、溶液製剤を投与する場合、超純水で希釈後投与されるため、比較的溶媒量が多く、 (1)や(2)のような環境を作ることが出来ないことから、肺上皮細胞膜上の負電荷とpDNAの持つ負電荷による静電的な反発で、効率的な取り込みがされなかったことが考えられた。また、遺伝子発現の時間を比較すると、溶液、粉末再溶解液ともに投与後48 h後においてほぼ遺伝子発現がみられなかったのに対し、粉末剤投与群においては48 h後でも遺伝子発現が確認された。このことから、粉末剤投与による遺伝子発現の持続性も示唆された。この結果も粉末剤投与による高濃度曝露条件によるpDNA製剤の長期滞留が原因と考えられた。
(ネイキッド核酸を含む導入用組成物におけるネイキッド核酸の安定性の検討)
核酸の粉末化における最重要課題の1つとして、その工程で生じる熱、凍結、せん断などの種々のストレスに対して遺伝子の構造・機能を十分に保持することが挙げられる。pDNAは通常Supercoiled (S.C.)型の状態で存在しているが、外部からのストレスによりDNA鎖の切断等が生じてOpen-circular (O.C.)型、Linear型へと構造が段階的に変化し、特にLinear型では遺伝子発現効果が著しく低下する。一般的に、S.C.およびO.C.の位置にバンドが検出されれば、pDNAの構造安定性が維持されたと考えられる。
実施例1で調製した組成物はベクターを用いていないため、カチオン性ベクターを用いることで生じる、静電的相互作用による複合体は形成しないと考えられる。そのため、複合体の安定性 (結合親和性)による、遺伝子発現効果の影響は考慮する必要がない。本実施例では、賦形剤や分散補助剤の添加、さらには、SFDが、組成物に含まれる核酸の構造に対する影響を検討することとした。
本実施例では、LHA(ナトリウム塩)を核酸の賦形剤として用いるとともに、分散補助剤との組合せについて各種組成物を調製し、賦形剤及び分散補助剤の核酸の構造安定性に与える影響を検討した。
(1)核酸
レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼをコードするpDNA (pCpG-△Luc)を用いた。
(2)賦形剤
賦形剤としては、実施例1で用いたHHA及びLHAの各ナトリウム塩を用いた。
(3)分散補助剤
分散補助剤としては、L-フェニルアラニン (SIGMA-ALDRICH: Phe)、L-ロイシン (SIGMA-ALDRICH: Leu)及びL−イソロイシン(SIGMA-ALDRICH: Ile)を用いた。
(4)試料溶液の調製
以下の表に示す組成に基づき、実施例に準じて、核酸と賦形剤を含む溶液に分散補助剤の溶液を添加して、各試料溶液を調製した。なお、賦形剤を含まない場合には、核酸溶液に分散補助剤溶液を添加して、SFDに用いる各試料溶液を調製した。
(5)粉末状組成物及び再溶解液の調製
各試料溶液を、実施例1と同様の方法で噴霧凍結乾燥して各組成物を調製した。これらの組成物に、含有される各成分がSFD前と同じ濃度になるように超純水を添加し溶解して再溶解液を調製した。
(6)アガロースゲル電気泳動による構造安定性評価、
SFD前の試料溶液及びSFD後の再溶解液について、アガロースゲル電気泳動に行って、構造安定性を評価した。すなわち、一検体あたり6 μL(pDNAとして0.1 μg)を、0.6%アガロースゲルを用いて100 V、30 mAで120 min電気泳動 (泳動槽AE-6530、電源AE-8270及びAE-8155、アトー株式会社)を行った。泳動緩衝液にはtris-acetate-EDTA (TAE) bufferを用いた。
また、同時に、組成物に含まれる核酸を人工的にスーパーコイルにしたS.C型の核酸、同じくオ−プンサーキュラーとしたO.C型核酸及び線状化したリニア型核酸もそれぞれ電気泳動した。また、サイズマーカーにはλ/Hind III digest (Loading Quick(R) DNA Size Markers, TOYOBO Life Science)を用いた。
電気泳動後、0.5 μg/mL ethidium bromide (EtBr)/精製水で5 min染色し、TAE bufferで脱色した後、バリアブルイメージアナライザーTyphoon9000 (GE imagination at work)を用いてEtBr由来の蛍光 (Ex; 518 nm、Em; 603 nm)を検出した。検出したバンドの位置と濃さから、pDNAの構造安定性を評価した。
電気泳動結果によれば、LHAまたはHHAが含まれる溶液において、Supercoiled / Open-circular型を示すバンドが確認された。LHA、HHAともに、組成比の違いによるバンドの明らかな違いは確認されなかった。しかし、LHAが含まれる製剤においてはSupercoiled / Open-circular型以外のバンドが確認された。一方、HAを含まず疎水性アミノ酸のみを含む製剤においてはSupercoiled / Open-circular型を示す位置にバンドが確認されなかった。このことから疎水性アミノ酸のみの添加ではpDNAを物理的ストレスから保護できないことがわかった。
(ネイキッド核酸を含む導入用組成物による遺伝子発現効果の評価)
実施例4で調製した各種賦形剤を含む粉末の導入用組成物を、実施例2の手順に準じてマウス肺内に投与し、得られた遺伝子発現量−時間パターンを測定し、AUC、Luc(max)について比較した。結果を、図5及び図6に示す。
図5に示すように、LHAと疎水性アミノ酸が含まれる導入用組成物において、疎水性アミノ酸を加えることにより、LHA単独と比較して有意な遺伝子発現増加効果はみられなかったものの、AUC、Luc(max)の最大値はLHA73%/Phe 25%の組成で上昇傾向がみられた。しかし、LHAの組成比が減少し、疎水性アミノ酸の組成比が増加するに従い、LHA単独と比較して遺伝子発現効果は有意に低下した。
図6に示すように、HHAと疎水性アミノ酸が含まれる粉末製剤においては、疎水性アミノ酸を加えることにより、特にHHA49%/Phe49%の組成においてHHA単独と比較して有意に高い遺伝子発現効果を示した。HHA49%/Phe49%のAUC、Luc(max)の最大値はHHAを賦形剤とするこれまでの検討の中で最も高い遺伝子発現効果を示した。
以上の結果から、疎水性アミノの添加により吸入特性を向上させ、遺伝子発現が上昇する可能性が示唆されたものの、過剰な分散補助剤の添加は遺伝子発現効果を低下させることがわかった。
さらに、最も遺伝子発現効果が高かったLHA73%/Phe25%のネイキッド核酸導入用組成物を実施例1に準じて調製し、粉末状の当該導入用組成物、当該導入用組成物のための試料溶液及び当該導入用組成物を試料溶液と同等の濃度になるように水に再溶解した再溶解液について、実施例2に準じてマウス肺内に投与して、AUC及びLuc(max)を測定した。結果を、図7に示す。
図7に示すように、粉末状のネイキッド核酸導入用組成物が、いずれも溶液組成物である試料溶液及び再溶解液に対して顕著に高い遺伝子発現効果を示した。この結果から、ネイキッド核酸の高い遺伝子発現効果は、固体物質としてネイキッド核酸が細胞に到達しているためと考えられた。
(ネイキッド核酸導入用組成物の吸入特性評価)
本実施例では、ネイキッド核酸導入用組成物と吸入特性との関係について評価した。なお、評価の定量用ラベル剤としてfluorescein sodium (SIGMA-ALDRICH、FLNa)を使用した。吸入特性の評価は以下のようにして行った。
評価用のネイキッド核酸導入用組成物は、実施例4において高い遺伝子発現効果があったLHA73%/Phe25%の粉末状ネイキッド核酸導入用組成物を、実施例1に準じて調製した。また、LHAのみのネイキッド核酸導入用組成物を、同様に実施例2に準じて調製した。以下の表に示す具体的組成を示す。
評価には、アンダーセン型カスケードインパクター (ACI; ローボリウムエアーサンプラー、AN-200型、柴田科学株式会社)を用いた。各粉末状の組成物を2号HPMCカプセル (クオリカプス株式会社)に1.0 mg (FLNa換算量; 20 μg)充填した後、カプセルをDPI用吸入器 (JetHAler(商標); Reverse type: 日立オートモティブシステムズ)に装着して、吸引速度28.3 L/minで5 sec吸引した。各ステージの捕集板 (プレート)にはグリセリンを薄く塗布した。カプセル (Cap)、デバイス (Dev)、スロート (Thr)、各ステージ (S0〜7)、フィルター (Fil)に付着した粉末製剤をリン酸緩衝生理食塩水 (PBS; pH 7.4)10 mLで溶解し、その溶液250 μLを遮光96-wellマイクロプレートに分取し、蛍光プレートリーダー (SPECTRA MAX GEMINI EM、日本モレキュラーデバイス株式会社)を用いてFLNaを定量することで粉末製剤の回収率を算出した。FLNaの定量には、各粉末状組成物の再溶解液により作成した検量線を用いた。
Capセクション及びDevセクションから放出された組成物の割合であるOE値 (Output Efficiency、%)、またS3 (空気力学的粒子径としてのカットオフ値; 4.7 μm)からFilまでの各セクションで回収された組成物量をCap及びDevから放出された粉末製剤量で除した割合であるFPF値 (Fine Particle Fraction、%)をそれぞれ算出した。FPF値は一般に、放出された粉末製剤のうち肺治療域に到達する割合の指標として用いられる。また、全回収量のうち肺治療域に到達した粉末製剤の割合であるOE×FPF値、空気中での粒子の運動性の指標である空気力学的粒子径 (MMAD; mass median aerodynamic diameter)も併せて算出した。MMADは、S0からFilまでの各部の粉末製剤の回収量を基にして解析ソフト (AEROSOL particle density analysis system、柴田科学株式会社)を用いて解析・算出した。結果を、図8に示す。
図8(a)に示すように、LHA98%単独組成物と比較し、Pheを添加したLHA73%/Phe25%組成物はカットオフ径の小さいステージ(Filterを含む)で沈着量が多い結果となり、肺送達性に優れていることが明らかとなった。図8(b)及び図8(c)に示すように、具体的な数値として、OE値は約80%から90%、FPF3値は約40%から50%、OE×FPF3値は約30%から45%、MMADで約4.5 μmから3 μmの変化が得られ、LHAのみでも吸入粉末剤として適した吸入特性は示すものの、分散補助剤である疎水性アミノ酸の添加により吸入特性の有意な向上が認められた。
(各種賦形剤を用いたネイキッド核酸導入用組成物の調製及び評価)
本実施例では、重量平均分子量が異なるヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量5000未満(LHA)、重量平均分子量15,000〜40,000)(MHA)、重量平均分子量50,000〜110,000(HHA))、コンドロイチン硫酸(CS)(ヒアルロン酸に類似するグルコサミノグリカンである。)を賦形剤として用いるとともに、分散助剤としてのL−フェニルアラニン(Phe)を適宜用いて、ネイキッド核酸導入用組成物を調製し、ICRマウスを用いin vivoでの遺伝子発現効果を評価した。ネイキッド核酸導入用組成物は、以下に示す表の組成の溶液を用いて噴霧凍結乾燥する以外は、実施例1と同様にして行って調製した。
得られたネイキッド核酸導入用組成物における粒子形状をSEM観察した。結果を図9に示す。また、得られたネイキッド核酸導入用組成物を用いる以外は、実施例2と同様にして、雌性ICRマウスを用いて肺内投与して、マウス胚内での遺伝子発現効果を評価した。結果を、図10に示す。
図9に示すように、いずれも5μm〜10μm程度の概して球状で多孔質な微粒子を観察された。また、フェニルアラニンを添加したネイキッド核酸導入用組成物の粒子形状は、安定して球状を呈し、また粒子の分散状態も良好であった。したがって、フェニルアラニン等は、分散補助剤として有用であることがわかった。
また、図10に示すように、いずれの賦形剤を用いた場合においても、遺伝子発現効果を確認できたが、用いる賦形剤によって分散助剤との好適な比率が存在しうることもわかった。また、概して、フェニルアラニンなどの分散補助剤が発現量の増大に有用であることがわかった。さらに、ヒアルロン酸のなかでは、例えば、重量平均分子量が15,000〜40,000の中程度の分子量のヒアルロン酸のナトリウム塩が、好適な発現量を呈しうる場合があることがわかった。
(各種賦形剤を用いたsiRNA導入用組成物の調製及び評価)
本実施例では、ネイキッド核酸として、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(Luc+)をターゲットとするsiRNA(siGL3)を用いて、in vitroでsiRNAの遺伝子発現抑制効果を評価した。なお、このsiRNAは、実施例1で用いたプラスミドDNAのおおよそ300分の1程度の分子量である。
本実施例では、siRNAのほか、賦形剤として、重量平均分子量が5,000以下のヒアルロン酸ナトリウム(LHA)と蛍光プローブとしてのインドシアニングリーン(ICG)とを以下の表に示す配合で溶液を調製して、実施例1と同様に操作して本実施例のネイキッド核酸導入用組成物を調製した。なお、溶液自体も比較例組成物として用いた。
また、ネガティブコントロールとして、siRNAを含まないで、既述のヒアルロン酸ナトリウム及びD−(−)マンニトール(Man)をそれぞれとICGとをのみからなる溶液から同様にしてネガティブコントロール組成物を調製した。さらに、ポジティブコントロールとして、既述のヒアルロン酸ナトリウムに替えて分岐型ポリエチレンイミン(B−PEI)を用いた溶液から同様にしてポジティブコントロール組成物を調製した。
遺伝子発現の抑制効果は、ルシフェラーゼを恒常的に発現するヒト由来肺がん細胞(A549−Luc)2×105cells/ウェルでTranswell(商品名)に播種後、D−MEM培地を用いて、コンフルエントになるまで培養後、細胞層の気相曝露側に各種組成物0.5mg又は溶液も粉末として0.5mg相当量を各ウェルに均一に充填した。組成物を充填後、6時間、12時間、24時間及び48時間経過後に、ルシフェラーゼの発光強度を測定した。なお、ヒアルロン酸ナトリウムを用いたネガティブコントロールの発光強度を100%として各種組成物の遺伝子発現抑制効果を評価した。結果を図11に示す。
また、ルシフェラーゼを恒常的に発現するマウス大腸がん細胞(Colon26−Luc)を用いて肺転移癌マウスを作製し、実施例2と同様に操作して本実施例のネイキッド核酸導入用組成物の遺伝子発現抑制効果を評価した。すなわち、肺転移癌マウスに、本実施例のネイキッド核酸導入用組成物を投与し、その後36時間経過後に同量をさらに投与して、ルシフェラーゼの発光強度を調べた。なお、ネガティブコントロール組成物についても同様に投与してルシフェラーゼ発光強度を測定した。結果を図12に示す。
図11に示すように、siRNAを含むネイキッド核酸導入用組成物は、細胞に添加後6時間から高い遺伝子発現抑制効果を示した。これに対して、溶液形態の比較例組成物は、顕著な遺伝子発現抑制効果を呈することはなかった。また、ポジティブコントロール組成物は、遺伝子発現抑制効果を添加から12時間経過後から発揮した。
また、図12に示すように、siRNAを含むネイキッド核酸導入用組成物は、in vivoにおいても、有効な遺伝子発現の抑制効果を発揮した。
以上のことから、ネイキッド核酸導入用組成物によれば、固体物質であることのほか、ヒアルロン酸ナトリウムなどのアニオン性成分を含むことから、細胞へ導入されて遺伝子の発現を速やかにかつ効果的に抑制できることがわかった。また、ネイキッド核酸導入用組成物によれば、発現カセットを有するプラスミドDNAのような比較的大きな分子から、siRNAのように小さい分子まで広い範囲のネイキッド核酸の導入及び作用発現に有用であることがわかった。

Claims (13)

  1. 固体物質としての核酸と、アニオン性ポリマー又はそれらの塩であるアニオン性成分と、を含有する核酸導入用組成物。
  2. 前記核酸は、ネイキッド核酸である、請求項1に記載の組成物。
  3. カチオン性キャリアを含有しない、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記核酸と前記アニオン性成分を含む多孔質粒子を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記アニオン性成分は、ヒアルロン酸又はその塩である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. さらに、1又は2以上の疎水性アミノ酸を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記疎水性アミノ酸は、ロイシン、フェニルアラニン及びイソロイシンからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
  8. 実質的に水を利用しないで細胞に供給するための組成物である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  9. 固相である、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
  10. 哺乳類細胞に対する遺伝子導入用である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. 核酸導入用組成物の製造方法であって、
    核酸と、アニオン性ポリマー又はその塩であるアニオン性成分と、を含有する溶液を、凍結乾燥する乾燥工程、
    を備える、製造方法。
  12. 前記乾燥工程は、噴霧凍結乾燥による工程である、請求項11に記載の製造方法。
  13. 生体外の細胞に対して、請求項1〜10のいずれかに記載の核酸導入用組成物を用いて、前記核酸を導入する工程、
    を備える、核酸導入方法。
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