JP2018011010A - 電荷輸送性材料、インク組成物、及び有機エレクトロニクス素子 - Google Patents

電荷輸送性材料、インク組成物、及び有機エレクトロニクス素子 Download PDF

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Hirotaka Sakuma
広貴 佐久間
和幸 加茂
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和幸 加茂
直紀 浅野
Naoki Asano
直紀 浅野
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Abstract

【課題】ヘイズが小さい有機膜を形成することが可能な電荷輸送性材料を提供する。【解決手段】正孔輸送性を有する構造単位を有するポリマー及び下記一般式(1)で表されるイオン化合物を含有し、前記ポリマーは極性部位を含む部分構造を末端に有するポリマーである、電荷輸送性材料。【選択図】なし

Description

本発明は、電荷輸送性材料に関し、更には、当該電荷輸送性材料を用いたインク組成物、有機層、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性等の特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の一例としては、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。
有機エレクトロニクス素子の中でも有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
有機EL素子は、使用される有機材料から、低分子型有機EL素子及び高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子では、有機材料として高分子材料が用いられ、低分子型有機EL素子では、低分子材料が用いられる。高分子型有機EL素子は、主に真空系で成膜が行われる低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの湿式プロセスによる簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子として期待されている。
有機EL素子では、素子特性の向上等を目的として、電荷輸送性材料にイオン化合物を混合して用いることが検討されている。また、電荷輸送性材料として、重合性基を有する化合物に、イオン性化合物等の重合開始剤を添加したものが検討されている(特許文献1参照)。
特許第5510526号明細書
このような系においては、形成された膜のヘイズが大きくなることがある。ヘイズが大きい場合、特に有機ELに用いた際、正面輝度の低下、表示画像のボケ等の問題が生じることがある。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、その目的は、ヘイズの小さな有機膜(以下、有機層とも言う。)を作製可能な電荷輸送性材料を提供することである。本発明の他の目的は、ヘイズの小さな有機膜を作製可能なインク組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、ヘイズの小さな有機膜、これを用いた有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子、並びに、これを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、極性部位を末端に有するポリマー及びイオン化合物を含有する電荷輸送性材料において、ヘイズが小さい有機膜を作製可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
〔1〕本発明の一態様は、正孔輸送性を有する構造単位を有するポリマー、及び、下記一般式(1)で表されるイオン化合物を含み、前記ポリマーが極性部位を含む部分構造を末端に有するポリマーである、電荷輸送性材料に関する。
Figure 2018011010
[一般式(1)中、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、R〜Rから選ばれる少なくとも2つの基が互いに連結して環を形成してもよい。但し、R〜Rの少なくとも1つは水素原子(H)、アルキル基、アルコキシアルキル基、及びアリールアルキル基のうちのいずれかである。Aは、下記一般式(1b)〜(5b)のいずれかで表されるアニオンを示す。
Figure 2018011010
(一般式(1b)〜(5b)中、Y〜Yは、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し、R〜R16は、それぞれ独立に、電子求引性の一価の基を表す。R及びR、R〜Rから選ばれる少なくとも2つの基、R〜R10から選ばれる少なくとも2つの基、及びR11〜R16から選ばれる少なくとも2つの基は、それぞれ、互いに結合して環を形成していてもよい。Eは酸素原子、Eは窒素原子、Eは炭素原子、Eはホウ素原子又はガリウム原子、Eはリン原子又はアンチモン原子を表す。)]
〔2〕本発明の更なる一態様は、前記ポリマーが分岐構造を有する、上記電荷輸送性材料に関する。
〔3〕本発明の更なる一態様は、前記正孔輸送性を有する構造単位が、芳香族アミン構造及びカルバゾール構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記電荷輸送性材料に関する。
〔4〕本発明の更なる一態様は、前記ポリマーが、エーテル結合及びカルボニル基からなる群より選択される1つ以上の極性部位を含む部分構造を、末端に有する、上記電荷輸送性材料に関する。
〔5〕本発明の更なる一態様は、上記電荷輸送性材料と溶媒とを含有する、インク組成物に関する。
〔6〕本発明の更なる一態様は、上記インク組成物を用いてなる有機層に関する。
〔7〕本発明の更なる一態様は、上記有機層を有する、有機エレクトロニクス素子に関する。
〔8〕本発明の更なる一態様は、上記有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
〔9〕本発明の更なる一態様は、フレキシブル基板を更に有する、上記有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
〔10〕本発明の更なる一態様は、樹脂フィルム基板を更に有する、上記有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
〔11〕本発明の更なる一態様は、上記有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、表示素子に関する。
〔12〕本発明の更なる一態様は、上記有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、照明装置に関する。
〔13〕本発明の更なる一態様は、上記照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた、表示装置に関する。
〔14〕本発明の別の一態様は、上記電荷輸送性材料と溶剤とを含有するインク組成物を調製する工程、
調製したインク組成物を基材上に塗布する工程、及び
基材上に塗布したインク組成物に光照射する、又は、基材上に塗布したインク組成物を加熱する工程と
を含む、有機層の製造方法に関する。
本発明によれば、ヘイズの小さな有機膜を作製可能な電荷輸送性材料を提供することができる。また、本発明の実施形態によれば、ヘイズの小さな有機膜を作製可能なインク組成物を提供することができる。本発明の更なる実施形態によれば、ヘイズの小さな有機層、これを用いた有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子、並びに、これを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することができる。
本発明の実施形態である有機EL素子の一例を示す断面模式図である。
本発明の実施形態の電荷輸送性材料は、極性部位を含む部分構造を末端に有する、正孔輸送性を有する構造単位を有するポリマーと、後述する一般式(1)で表されるイオン化合物(以下、単に「イオン化合物」とも記載する。)と、を含有する。本発明の実施形態について、以下に説明する。
[正孔輸送性ポリマー]
本発明の実施形態である電荷輸送性材料に用いるポリマーは、正孔輸送性を有する構造単位を有する(以下、正孔輸送性を有する構造単位を有するポリマーを「正孔輸送性ポリマー」ともいう。)。
本実施形態において、正孔輸送性ポリマーは極性部位を含む部分構造を末端に有する。極性部位を末端構造中に有する正孔輸送性ポリマーを用いることにより、イオン化合物を含有する電荷輸送性材料を用いて、ヘイズが小さい有機膜(有機層)を形成することができる。この理由は明らかではないが、イオン化合物と、極性部位を含む部分構造を末端に有する正孔輸送性ポリマーとを併用することによって、イオン化合物と正孔輸送性ポリマーの相溶性が向上するためと推測される。なお、このメカニズムは推論であって、何ら本発明を限定するものではない。
[正孔輸送性ポリマーの構造]
正孔輸送性ポリマーは、「正孔輸送性を有する構造単位」を有する。正孔輸送性ポリマーは、直鎖状であっても、又は、分岐構造を有していてもよい。正孔輸送性ポリマーは、好ましくは、正孔輸送性を有する2価の構造単位Dと末端部を構成する1価の構造単位Mとを少なくとも含み、分岐部を構成する3価以上の構造単位Tを更に含んでもよい。すなわち、正孔輸送性ポリマーは、「正孔輸送性を有する構造単位」として、少なくとも構造単位Dを有し、更に、構造単位M及び/又は構造単位Tが正孔輸送性を有する構造単位であってもよい。正孔輸送性ポリマーは、各構造単位を、それぞれ1種のみ含んでいても、又は、それぞれ複数種含んでいてもよい。正孔輸送性ポリマーにおいて、各構造単位は、「1価」〜「3価以上」の結合部位において互いに結合している。
(構造)
正孔輸送性ポリマーに含まれる部分構造の例として、以下が挙げられる。正孔輸送性ポリマーは以下の部分構造を有するものに限定されない。部分構造中、「D」は構造単位Dを、「M」は構造単位Mを、「T」は構造単位Tを表す。「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のDは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。M及びTについても同様である。
直鎖状の正孔輸送性ポリマー
Figure 2018011010
分岐構造を有する正孔輸送性ポリマー
Figure 2018011010
(構造単位D)
構造単位Dは、正孔輸送性を有する2価の構造単位である。構造単位Dは、正孔を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位Dは、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。
一実施形態において、構造単位Dは、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましく、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。他の実施形態において、構造単位Dは、優れた電子輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、フルオレン構造、ベンゼン構造、フェナントレン構造、ピリジン構造、キノリン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。構造単位Dの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Dは、以下に限定されない。
Figure 2018011010
Figure 2018011010
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、後述の重合性官能基からなる群から選択される。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アルキル基は、更に、炭素数2〜20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。Arは、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
なお、本実施形態において、アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。アリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団である。芳香族炭化水素には、縮合環を持つものが含まれる。また、芳香族炭化水素には、独立した単環及び縮合環から選択される2個以上が、直接(単結合)又はビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子1個を除いた原子団である。芳香族化合物には、縮合環を持つものが含まれる。また、芳香族化合物には、独立した単環及び縮合環から選択される2個以上が、直接又はビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。
(構造単位M)
構造単位Mは、正孔輸送性ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である。本実施形態では、構造単位Mの少なくとも一部が、極性部位を含む。なお、本明細書において、「ポリマーの末端に極性部位を含む」及び「ポリマーが極性部位を含む部分構造を末端に有する」とは、ポリマーの末端部を構成する構造単位中に極性部位が存在することを意味する。
構造単位Mは、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。一実施形態において、構造単位Mは、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造であることがより好ましい。構造単位Mが極性部位を含む場合、構造単位Mは、以下に説明する極性部位を含む部分構造を少なくとも1つ含む。
構造単位Mの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Mは以下に限定されない。
Figure 2018011010
Rは、構造単位DにおけるRと同様である。構造単位Mが極性部位を含む場合、Rの少なくとも1つが、極性部位を含む部分構造である。
極性部位を含む構造単位Mの比率は、構造単位M全体を基準として、25モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上が更に好ましい。正孔輸送性ポリマーとイオン化合物との相溶性の観点からは、80モル%以上が更に好ましく、90モル%以上が特に好ましく、全ての構造単位Mが極性部位を含む構造単位であってもよい。
構造単位Mが極性部位を含む場合、構造単位Mに含まれる極性部位としては、カルボニル基、エーテル結合等が好ましい。カルボニル基は−C=O−構造を有する二価の基である。エーテル結合(以下、エーテル基とも言う。)は、−O−構造を有する二価の基である。極性部位は、カルボニル基及び/又はエーテル基が2個以上連結した構造であってもよく、その例としては、オキシカルボニル基(−(C=O)−O−)、カルボニルオキシ基(−O−(C=O)−)等が挙げられる。また、エーテル基は、オキセタニル基、オキシラニル基等の環状エーテル基であってもよい。
極性部位を有する部分構造は、カルボニル基、エーテル結合等の極性部位を1つのみ含んでいてもよいし、2つ以上の極性部位を含んでいてもよい。極性部位を有する部分構造が2つ以上の極性部位を含む場合、2つ以上の極性部位は同じであっても異なっていてもよい。
極性部位を有する部分構造としては、例えば、下記式(A)、又は式(B)で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(A) −X−Y−X−R
[式(A)中、
及びXは、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルキレン基であり、
は、単結合、酸素原子(−O−)、ケト基(−C=O−)、オキシカルボニル基(−(C=O)−O−)、又は、カルボニルオキシ基(−O−(C=O)−)であり、
は、下記式:
Figure 2018011010
(式中、R11は、メチル基又はエチル基である。)
で表される基、又はグリシジルエーテル基である。]
式(B) −X−Y−X−R
(式(B)中、
及びXは、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキレン基であり、
は、酸素原子(−O−)、ケト基(−C=O−)、オキシカルボニル基(−(C=O)−O−)、又は、カルボニルオキシ基(−O−(C=O)−)であり、
は、一価の炭化水素基である。)
一価の炭化水素基としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖又は分岐アルキル基;炭素数3〜20、好ましくは3〜10の環状アルキル基等が挙げられ、環状アルキル基であることが好ましい。環状アルキル基は、ジシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等のポリシクロ構造を有する基であってもよい。環状アルキル基の例としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、カンホロイル基等が挙げられるがこれらに限定されない。また、環状アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
は単結合、又は、炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、単結合又はメチレン基であることがより好ましい。Xは、炭素数1〜8のアルキレン基であることが好ましい。X及びXはそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、単結合又はメチレン基であることがより好ましい。
極性部位を含む構造単位Mにおいて、極性部位を含む部分構造の数は特に限定されない。また、極性部位を含む部分構造の位置も特に限定されず、例えば、上に例示した構造単位Mにおいて、他の構造単位との結合部位(*)に対してオルト位、メタ位、及びパラ位のいずれであってもよいが、パラ位のRが極性部位を含む部分構造であることが好ましい。
また後述するイオン化合物との組合せは特に限定されないが、好ましい組合せとして、例えば、一般式(1)のR〜Rの少なくともひとつとして炭素数13〜24の長鎖アルキル基を有するイオン化合物と、式(A)で表される部分構造を有する正孔輸送性ポリマーの組合せが挙げられる。
極性部位を含む単位構造Mの具体例として、以下が挙げられる。
Figure 2018011010
(構造単位T)
構造単位Tは、正孔輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合に、分岐部を構成する3価以上の構造単位である。構造単位Tは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。構造単位Tは、正孔輸送性を有する単位であることが好ましい。例えば、構造単位Tは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、トリフェニルアミン構造、カルバゾール構造、縮合多環式芳香族炭化水素構造、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。構造単位Tの具体例として、以下が挙げられる。
Figure 2018011010
Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。アレーントリイル基は、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団である。ヘテロアレーントリイル基は、芳香族複素環から水素原子3個を除いた原子団である。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位DにおけるR(但し、重合性官能基を含む基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、構造単位DにおけるRが挙げられる。
(重合性官能基)
一実施形態において、重合反応により硬化させ、溶剤への溶解度を変化させる観点から、電荷輸送性ポリマーは、重合性官能基を有してもよい。「重合性官能基」とは、熱及び/又は光を加えることにより、互いに結合を形成し得る官能基をいう。
重合性官能基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基等)、小員環を有する基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基等の環状アルキル基;エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル基)等の環状エーテル基;ジケテン基;エピスルフィド基;ラクトン基;ラクタム基等)、複素環基(例えば、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基)などが挙げられる。重合性官能基としては、特に、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、及びオキセタン基が好ましく、反応性及び有機エレクトロニクス素子の特性の観点から、ビニル基、オキセタン基、又はエポキシ基がより好ましい。重合性官能基が前述の極性部位を含む基である場合、当該重合性官能基を含む構造単位Mは、前述の極性部位を含む構造単位Mである。
重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの末端部(すなわち、構造単位M)に導入されていても、末端部以外の部分(すなわち、構造単位D又はT)に導入されていても、末端部と末端以外の部分の両方に導入されていてもよい。硬化性の観点からは、少なくとも末端部に導入されていることが好ましく、硬化性及び電荷輸送性の両立を図る観点からは、末端部のみに導入されていることが好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合、重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。
重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、電荷輸送性ポリマー中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、電荷輸送性ポリマー中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。
例えば、電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合性官能基数は、電荷輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、重合性官能基の仕込み量(例えば、重合性官能基を有するモノマーの仕込み量)、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を用い、平均値として求めることができる。また、重合性官能基の数は、電荷輸送性ポリマーのH NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける重合性官能基に由来するシグナルの積分値と全スペクトルの積分値との比、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を利用し、平均値として算出できる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
(数平均分子量)
正孔輸送性ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、正孔輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
(重量平均分子量)
正孔輸送性ポリマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、正孔輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましい。
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
正孔輸送性ポリマーが共重合体である場合、当該共重合体は、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する共重合体、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。一実施形態において、構造単位は単量体単位を意味する。
(構造単位の割合)
正孔輸送性ポリマーに含まれる構造単位Dの割合は、十分な正孔輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Dの割合は、構造単位M及び必要に応じて導入される構造単位Tを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。
正孔輸送性ポリマーに含まれる構造単位Mの割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、正孔輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Mの割合は、十分な正孔輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。
正孔輸送性ポリマーが構造単位Tを含む場合、構造単位Tの割合は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、全構造単位を基準として、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、粘度の上昇を抑え、正孔輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な正孔輸送性を得る観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
正孔輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、構造単位D及び構造単位Mの割合(モル比)は、D:M=99〜95:1〜5が好ましく、95〜90:5〜10がより好ましく、90〜80:10〜20が更に好ましい。また、正孔輸送性ポリマーが構造単位Tを含む場合、構造単位D、構造単位M、及び構造単位Tの割合(モル比)は、D:M:T=100:40〜100:10〜80が好ましく、100:50〜90:30〜60がより好ましく、100:60〜80:40〜50が更に好ましい。
構造単位の割合は、正孔輸送性ポリマーを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることができる。また、構造単位の割合は、正孔輸送性ポリマーのH NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
(製造方法)
正孔輸送性ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根岸カップリング、園頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、正孔輸送性ポリマーを簡便に製造できる。
カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。正孔輸送性ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
末端に極性部位を有する正孔輸送性ポリマーの含有量は、良好な正孔輸送性を得る観点と、得られる有機層のヘイズを小さくする観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
[イオン化合物]
本実施形態の電荷輸送性材料は下記一般式(1)で表されるイオン化合物を含有する。イオン化合物は、本実施形態の電荷輸送性材料において、正孔輸送性ポリマーに対するドーピング機能を有すると考えられる。また、正孔輸送性ポリマーが架橋基を含有する場合、架橋反応を促進する機能を有するものと推定される。
Figure 2018011010
[一般式(1)中、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、R〜Rから選ばれる少なくとも2つの基が互いに連結して環を形成してもよい。但し、R〜Rの少なくとも1つは水素原子(H)、アルキル基、アルコキシアルキル基、及びアリールアルキル基のうちのいずれかである。Aは、下記一般式(1b)〜(5b)のいずれかで表されるアニオンを示す。
Figure 2018011010
(一般式(1b)〜(5b)中、Y〜Yは、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し、R〜R16は、それぞれ独立に、電子求引性の一価の基を表す。R及びR、R〜Rから選ばれる少なくとも2つの基、R〜R10から選ばれる少なくとも2つの基、及びR11〜R16から選ばれる少なくとも2つの基は、それぞれ、互いに結合して環を形成していてもよい。Eは酸素原子、Eは窒素原子、Eは炭素原子、Eはホウ素原子又はガリウム原子、Eはリン原子又はアンチモン原子を表す。)]
一般式(1b)〜(5b)において、R〜R16で表される一価の基は、置換基又はヘテロ原子を有していてもよい。また、一般式(1b)〜(5b)のいずれかで表される2つ以上の構造が、R〜R16のいずれかで互いに連結してポリマー状になっていてもよい。
(アンモニウムカチオン)
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。溶解性及び反応性の観点から、R〜Rの少なくとも一つが、アルキル基又はアリールアルキル基であることが好ましい。なお、R〜Rの全部がアリール基及び/又はヘテロアリール基となることはない。
、R又はRで表されるアルキル基は、直鎖、分岐、又は環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。炭素数は、例えば1〜30、好ましくは1〜24、より好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜10である。置換基としては、ハロゲン等が挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、3,7−ジメチルオクチル、ラウリル、炭素数13以上の長鎖アルキル基、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、パーフルオロブチル、パーフルオロへキシル、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。R、R及びRから選ばれる2つ以上がアルキル基である場合、当該2つ以上のアルキル基は同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数4〜12のアルキル基、及び炭素数13〜24のアルキル基から選ばれる2種以上の組合せであってもよい。
、R又はRで表されるアルコキシアルキル基は、アルキル基が有する水素原子の少なくとも1つがアルコキシ基により置換された基である。アルコキシアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン等が挙げられる。アルキル基としては、前記アルキル基が例示され、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が挙げられる。溶解性の観点からは、炭素数10〜30のアルコキシ基が好ましい。
、R又はRで表されるアリールアルキル基は、アルキル基が有する水素原子の少なくとも1つがアリール基により置換された基である。アルキル基としては、前記アルキル基が例示され、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましい。アリール基としては、後述のアリール基が例示される。無置換の状態の1価のアリールアルキル基の炭素数は、好ましくは7〜19、より好ましくは7〜13である。アリールアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。具体的には、ベンジル基、フルオロベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ジフェニルメチル基等が例示され、ベンジル基及びフルオロベンジル基が好ましい。
、R又はRで表されるアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン、アルコキシ基、アルキル基等が挙げられる。無置換の状態の1価のアリール基の炭素数は、好ましくは6〜60であり、より好ましくは6〜18であり、更に好ましくは6〜12である。具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、フェナントレン−イル基、ピレン−イル基、ペリレン−イル基、ペンタフルオロフェニル基等が例示される。
置換基としてのアルコキシ基として、具体的には、炭素数1〜12のアルコキシ基が挙げられ、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i―ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、へキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシ等が例示される。
置換基としてのアルキル基として、具体的には、炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、3,7−ジメチルオクチル、ラウリル等が例示される。
、R又はRで表されるヘテロアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述の炭素数1〜12のアルキル基等が挙げられる。無置換の状態の1価のヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは4〜60であり、より好ましくは4〜20であり、更に好ましくは4〜10である。具体的には、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基等が例示される。
(アニオン)
一般式(1b)〜(5b)において、R〜R16は、それぞれ独立に電子求引性の1価の基を表す。電子求引性の1価の基とは、水素原子と比べて、結合する原子側から電子を引きつけやすい置換基をいう。R〜R16は、有機基であることが好ましい。R及びR、R〜Rから選択される少なくとも2つの基、R〜R10から選択される少なくとも2つの基、及び、R11〜R16から選択される少なくとも2つの基は、それぞれ互いに結合していてもよい。結合した基は、環状になっていてもよい。
電子求引性の1価の基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;チオシアノ基;ニトロ基;メシル基等のアルキルスルホニル基(例えば炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜6);トシル基等のアリールスルホニル基(例えば炭素数6〜18、好ましくは炭素数6〜12);メトキシスルホニル基等のアルキルオキシスルホニル基(例えば炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜6);フェノキシスルホニル基等のアリールオキシスルホニル基(例えば炭素数6〜18、好ましくは炭素数6〜12);ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基(例えば炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜6);ホルミルオキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基(例えば炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6);メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(例えば炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜7);フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等の「アリールオキシカルボニル基又はヘテロアリールオキシカルボニル基」(例えば炭素数4〜25、好ましくは炭素数5〜15);トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の「アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基」にハロゲン原子が置換した「ハロアルキル基、ハロアルケニル基又はハロアルキニル基」(例えば炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6);ペンタフルオロフェニル基等のアリール基にハロゲン原子が置換したハロアリール基(例えば炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12);ペンタフルオロフェニルメチル基等のアリールアルキル基にハロゲン原子が置換したハロアリールアルキル基(例えば炭素数7〜19、好ましくは炭素数7〜13)等が挙げられる。
更に、電子求引性の1価の基の例として、負電荷を効率よく非局在化できるという観点から、前記電子求引性の1価の基の例のうち「水素原子を有する有機基」から水素原子の一部又は全てをハロゲン原子で置換した基が好ましく挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基、パーフルオロアルキルオキシスルホニル基、パーフルオロアリールオキシスルホニル基、パーフルオロアシル基、パーフルオロアシルオキシ基、パーフルオロアルコキシカルボニル基、パーフルオロアリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロアルキニル基、パーフルオロアリール基、パーフルオロアリールアルキル基等が挙げられる。
電子求引性の1価の基の例としては、特に、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜6の環状パーフルオロアルキル基、又は、炭素数6〜18のパーフルオロアリール基が好ましい。
電子求引性の1価の基は、これらに限定されるものではない。以上に示した電子求引性の1価の基の例は、置換基を有していても、また、ヘテロ原子を有していてもよい。
電子求引性の1価の基の例として、具体的には、下記置換基群(1)において示される基が挙げられる。
置換基群(1)
Figure 2018011010
一般式(1b)〜(5b)において、Y〜Yは、それぞれ独立に単結合又は2価の連結基を表す。Y〜Yが単結合の場合、EとRとが直接結合していることを意味する。2価の連結基として、例えば、下記式(1c)〜(11c)のいずれかで表される連結基が挙げられる。
Figure 2018011010
[式中、Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の基を表す。]
Rは、有機基であることが好ましい。Rは、電子受容性の向上、溶媒への溶解性等の観点から、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基であることがより好ましい。アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましい。アリール基及びヘテロアリール基は、上記アンモニウムカチオンの説明において例示したものが挙げられる。これらの基は置換基を有していても、ヘテロ原子を有していてもよい。また、Rは、電子求引性の1価の基であることが好ましく、電子求引性の1価の基として、例えば、前記電子求引性の1価の基の例、前記置換基群(1)において示される基等が挙げられる。
本実施形態の電荷輸送性材料は、上述のイオン化合物を、1種のみ含有しても、2種以上含有してもよい。
一般式(1)で表されるイオン化合物の含有量は、正孔輸送性ポリマーに対するドーピング効果の観点から、正孔輸送性ポリマーに対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、正孔輸送性ポリマーに対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、12質量%以下が更に好ましい。
[ドーパント]
本実施形態の電荷輸送性材料は、ドーパントを更に含有してもよい。ドーパントは、正孔輸送性ポリマーに添加することでドーピング効果を発現させ、正孔の輸送性を向上させ得るものであればよく、特に制限はない。ドーパントは、1種を単独で、複数種を混合して使用できる。
正孔輸送性ポリマーに用いられるドーパントは、好ましくは電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物(但し、前記一般式(1)で表されるイオン化合物とは異なるイオン化合物)、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO、HSO、HClO等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、AlCl、NbCl、TaCl、MoF;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF (ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF (テトラフルオロホウ酸イオン)、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして前記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。
上記、ドーパントとは、架橋反応の促進、ならびに、ドーピングといった2種類の機能を持つ化合物である。
ドーパントを含有する場合、その含有量は、正孔輸送性を向上させる観点から、正孔輸送性ポリマーに対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、正孔輸送性ポリマーに対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
一実施形態では、正孔輸送性ポリマーは、前述の極性部位と架橋基を含むことも好ましい。
有機エレクトロニクス素子においては、寿命、発光効率等の素子特性を向上させるため、素子を構成する有機層の多層化が行われている。蒸着法では、用いる化合物を順次変更しながら蒸着を行うことで、容易に多層化が達成できる。しかし、湿式プロセスを用いて有機層を多層化するためには、上層を形成する際に下層を溶解させない方法が求められる。
本実施形態では、イオン化合物の存在下で加熱又は光照射処理を行うことにより、正孔輸送性ポリマーの架橋反応が起こる。これにより、有機溶剤に対する正孔輸送性ポリマーの溶解度を低い状態に変化させることができる。この変化を利用することにより、湿式プロセスによる有機層の多層化を容易に行うことができる。
有機層の多層化を行う際、下層を形成するための材料として、重合性基を有する化合物にイオン性化合物等の重合開始剤を添加したものが検討されているが、このような系においては、開始剤添加量を多くした場合、得られる有機層のヘイズが大きくなる場合がある。しかし、極性部位と架橋基を含む正孔輸送性ポリマーとイオン化合物とを含有する本実施形態の電荷輸送性材料によれば、有機層のヘイズを改善しながら、容易に多層化を行うことができるという利点がある。
本実施形態における架橋基としては、前述の重合性官能基が挙げられる。また、有機溶剤としては、後述のインク組成物に用いることのできる有機溶剤が挙げられる。
[溶解度を変化させる方法]
架橋反応は、加熱、光照射等により行うことができ、プロセスが簡便である観点から加熱が好ましい。加熱温度及び時間は、架橋反応を十分に進行させることができればよく、特に制限はない。
加熱には、ホットプレート、オーブン等の加熱器を用いることができる。温度については、種々の基板を適用する観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。また、架橋反応を早める観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上である。時間は、生産性を上げる観点から、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは30分以下である。また、架橋反応を完全に進行させる観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上である。
光照射には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、太陽光等の光源を用いることができる。
本実施形態の電荷輸送性材料は、正孔注入/輸送層に用いることが好ましい。
本実施形態の電荷輸送性材料を用いることにより、イオン化合物の含有量を増加させた場合においても、ヘイズの小さい正孔注入/輸送層を形成することができる。
更に、湿式プロセスを用いた場合にも、有機層の多層化を容易に行うことができる。
従って、本実施形態の電荷輸送性材料は塗布型正孔輸送材料として好適であり、塗布法により多層化された有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子、並びに、これを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置に好適に用いることができる。
<インク組成物>
本発明の実施形態であるインク組成物は、前記実施形態の電荷輸送性材料と当該電荷輸送性材料を溶解又は分散し得る有機溶剤とを含有する。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって有機層を容易に形成できる。
(有機溶剤)
有機溶剤は特に限定されず、例えば、ポリマーを塗布する際に一般的に用いられる溶剤が挙げられる。例えば、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、脂肪族エステル、芳香族エステル、アミド、スルホキシド、ケトン、有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
アルコールとしては、好ましくは、炭素数1〜6のアルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、好ましくは、炭素数5〜10のアルカン、又は、炭素数5〜10のシクロアルカンであり、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、好ましくは、炭素数6〜13の芳香族炭化水素であり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等が挙げられる。
脂肪族エーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等が挙げられる。
芳香族エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等が挙げられる。
脂肪族エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等が挙げられる。
芳香族エステルとしては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等が挙げられる。
アミドとしては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
スルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等が挙げられる。
ケトンとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン等が挙げられる。
有機ハロゲン化合物としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
インク組成物における有機溶剤の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、有機溶剤の含有量は、有機溶剤に対し正孔輸送性ポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、有機溶剤の含有量は、有機溶剤に対し正孔輸送性ポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
<有機層>
本発明の実施形態である有機層は、前記実施形態の電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された層である。インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好に形成できる。
塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
好適な実施形態では、有機層は、例えば、上述の電荷輸送性材料と溶剤とを含有するインク組成物を調製する工程、調製したインク組成物を基材上に塗布する工程、及び、基材上に塗布したインク組成物に光照射する、又は、基材上に塗布したインク組成物を加熱する工程とを含む方法により製造することができる。
前述のとおり、正孔輸送性ポリマーに加熱、光照射等の処理を行うことにより、正孔輸送性ポリマーの架橋反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。具体的には、溶解度の低い正孔輸送性ポリマーを含む有機層を下層とし、塗布法によって上層を形成する場合、有機溶剤による下層の溶解を抑制し、上層を良好に形成することができる。
溶媒の除去、及び/又は、加熱、光照射等の処理を行った後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
<有機エレクトロニクス素子>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、少なくとも前記実施形態の有機層を有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
[有機EL素子]
本発明の実施形態である有機EL素子は、少なくとも前記実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、前記実施形態の有機層からなる正孔注入層3及び正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)(ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C〕イリジウム(アセチル−アセトネート))、Ir(piq)(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ)等が挙げられる。
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、前記実施形態の電荷輸送性材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
[正孔輸送層、正孔注入層]
正孔輸送層及び正孔注入層に用いられる材料として、上記実施形態の電荷輸送性材料が挙げられる。また、末端に極性部位を有しない正孔輸送性ポリマーを用いた電荷輸送性材料を併用することもできる。この場合、正孔輸送性ポリマーは、末端に極性部位を有しないことを除き、前述の末端に極性部位を有する正孔輸送性ポリマーと同様の構造を有することができる。すなわち、末端に極性部位を有しない正孔輸送性ポリマーは、例えば、構造単位D、構造単位M、及び/又は構造単位Tを有する。
更に、公知の材料として、例えば、芳香族アミン系化合物(例えば、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(α−NPD)などの芳香族ジアミン)、フタロシアニン系化合物、チオフェン系化合物(例えば、チオフェン系導電性ポリマー(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホン酸塩)(PEDOT:PSS)等)等が挙げられる。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、前記実施形態の電荷輸送性材料も使用できる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有することが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されるものではない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有する組み合わせが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の実施形態である表示素子は、前記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
また、本発明の実施形態である照明装置は、本発明の実施形態の有機EL素子を備えている。更に、本発明の実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして本発明の実施形態である照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とできる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<Pd触媒の調製>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15ml)を加え、30分間撹拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5mL)を加え、5分間撹拌した。これらの溶液を混合し、室温で30分間撹拌し、触媒とした。全ての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。
<末端に極性部位を有する正孔輸送性ポリマー1の合成>
三口丸底フラスコに、下記モノマーD1(5.0mmol)、下記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM1(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20mL)を加えた。すべての溶媒は30分以上、窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間、加熱還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
Figure 2018011010
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過により回収し、トルエンに溶解し、金属吸着剤(Strem Chemicals社製「Triphenylphosphine, polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer」、沈殿物100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物をろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、正孔輸送性ポリマー1を得た。電荷輸送性ポリマー1の数平均分子量は7,800、重量平均分子量は31,000であった。なお、溶媒の混合比は体積比である(以下の実験例においても同じである)。
数平均分子量及び重量平均分子量は、溶離液にテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ :L−6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV−Vis検出器:L−3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack(登録商標) GL−A160S/GL−A150S 日立化成(株)
溶離液 :THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株)
流速 :1mL/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質 :標準ポリスチレン
<末端に極性部位を有する正孔輸送性ポリマー2の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーD1(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM2(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー2を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー2の数平均分子量は14,300、重量平均分子量は47,800であった。
Figure 2018011010
<末端に極性部位を有する正孔輸送性ポリマー3の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーD1(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM3(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー3を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー3の数平均分子量は21,300、重量平均分子量は79,700であった。
Figure 2018011010
<末端に極性部位を有する正孔輸送性ポリマー4の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーD1(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM4(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー4を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー4の数平均分子量は15,100、重量平均分子量は58,200であった。
Figure 2018011010
<末端に極性部位を有する正孔輸送性ポリマー5の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーD1(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM5(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー5を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー5の数平均分子量は14,700、重量平均分子量は78,100であった。
Figure 2018011010
<末端に極性部位が無い正孔輸送性ポリマー6の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーD1(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM6(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー6を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー6の数平均分子量は15,800、重量平均分子量は141,100であった。
Figure 2018011010
<末端に極性部位が無い正孔輸送性ポリマー7の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーD1(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM7(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー7を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー7の数平均分子量は13,600、重量平均分子量は60,000であった。
Figure 2018011010
<末端に極性部位が無い正孔輸送性ポリマー8の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーD1(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM8(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー8を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー8の数平均分子量は18,900、重量平均分子量は49,100であった。
Figure 2018011010
<末端に極性部位が無い正孔輸送性ポリマー9の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーD1(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、下記モノマーM9(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー9を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー9の数平均分子量は9,000、重量平均分子量は44,100であった。
Figure 2018011010
<末端に極性部位が無い正孔輸送性ポリマー10の合成>
三口丸底フラスコに、下記モノマーD2(5.0mmol)、前記モノマーT(2.0mmol)、前述のモノマーM6(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー10を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー10の数平均分子量は13,600、重量平均分子量は60,000であった。
Figure 2018011010
(実施例1)
<正孔輸送性ポリマー薄膜のヘイズの評価>
正孔輸送性ポリマー1(10.0mg)をトルエン348μLに溶解し、ポリマー溶液を得た。また、下記イオン化合物1(1.1mg)をトルエン37μLに溶解し、イオン化合物溶液を得た。得られたポリマー溶液とイオン化合物溶液とを混合し、塗布溶液(インク組成物)を調製した。塗布溶液を、室温(25℃)で回転数3,000min−1で石英ガラス板上にスピンコートし、有機薄膜を形成した。次いで、石英ガラスをホットプレート上で180℃10min加熱した。
全光線透過率及びヘイズの測定は、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名:NDH−2000(JIS K7105に準拠))を用いた。評価結果を表1に示す。
Figure 2018011010
(実施例2)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー2に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー3に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー4に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー5に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
イオン化合物1を下記イオン化合物2に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2018011010
(実施例7)
イオン化合物1を下記イオン化合物3に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2018011010
(実施例8)
イオン化合物1を下記イオン化合物4に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2018011010
(比較例1)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー6に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー7に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー8に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー9に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例5)
正孔輸送性ポリマー1を正孔輸送性ポリマー10に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例6)
イオン化合物1をイオン化合物2に変更した以外は、すべて比較例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例7)
イオン化合物1をイオン化合物3に変更した以外は、すべて比較例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例8)
イオン化合物1をイオン化合物4に変更した以外は、すべて比較例1と同様にして有機薄膜を作製し、ヘイズの評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2018011010
実施例1〜8の末端に極性部位を有する正孔輸送性ポリマーとイオン化合物の組み合わせにおいてはヘイズの小さい薄膜が得られた。一方、比較例1〜7に示す末端に極性部位を持たない正孔輸送性ポリマーとイオン化合物の組み合わせ、及び、比較例8に示す末端に極性部位を有さず末端以外に極性部位を有する正孔輸送性ポリマーとイオン化合物の組み合わせにおいては、ヘイズが大きくなった。
実施例1〜8においてヘイズが小さくなった要因としては、ポリマーとイオン化合物の相溶性に起因するものと考えられる。つまり、極性の大きいイオン化合物に極性部位を末端に有するポリマーを組み合わせた場合には相溶性がよいため、ヘイズが小さくなったものと考えられる
以上の実施例により本発明の効果が示された。また、実施例において用いた正孔輸送性ポリマー及びイオン化合物以外にも、上記で説明した正孔輸送性ポリマー及びイオン化合物を用いることによりヘイズの小さな薄膜の形成が可能であり、この薄膜を用いて作製された有機エレクトロニクス素子は、同様に優れた効果を示すものである。
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

Claims (14)

  1. 正孔輸送性を有する構造単位を有するポリマー、及び、下記一般式(1)で表されるイオン化合物を含み、前記ポリマーが極性部位を含む部分構造を末端に有するポリマーである、電荷輸送性材料。
    Figure 2018011010
    [一般式(1)中、
    〜Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、R〜Rから選ばれる少なくとも2つの基が互いに連結して環を形成してもよい。但し、R〜Rの少なくとも1つは水素原子(H)、アルキル基、アルコキシアルキル基、及びアリールアルキル基のうちのいずれかである。Aは、下記一般式(1b)〜(5b)のいずれかで表されるアニオンを示す。
    Figure 2018011010
    (一般式(1b)〜(5b)中、Y〜Yは、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し、R〜R16は、それぞれ独立に、電子求引性の一価の基を表す。R及びR、R〜Rから選ばれる少なくとも2つの基、R〜R10から選ばれる少なくとも2つの基、及びR11〜R16から選ばれる少なくとも2つの基は、それぞれ、互いに結合して環を形成していてもよい。Eは酸素原子、Eは窒素原子、Eは炭素原子、Eはホウ素原子又はガリウム原子、Eはリン原子又はアンチモン原子を表す。)]
  2. 前記ポリマーが分岐構造を有する、請求項1に記載の電荷輸送性材料。
  3. 前記正孔輸送性を有する構造単位が、芳香族アミン構造及びカルバゾール構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の電荷輸送性材料。
  4. 前記ポリマーは、エーテル結合及びカルボニル基からなる群より選択される1つ以上の極性部位を含む部分構造を、末端に有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料と溶媒とを含有する、インク組成物。
  6. 請求項5に記載のインク組成物を用いてなる有機層。
  7. 請求項6に記載の有機層を有する、有機エレクトロニクス素子。
  8. 請求項6に記載の有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
  9. フレキシブル基板を更に有する、請求項8に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  10. 樹脂フィルム基板を更に有する、請求項8に記載に有機エレクトロルミネセンス素子。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、表示素子。
  12. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、照明装置。
  13. 請求項12に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた、表示装置。
  14. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電荷輸送性材料と溶剤とを含有するインク組成物を調製する工程、
    調製したインク組成物を基材上に塗布する工程、及び
    基材上に塗布したインク組成物に光照射する、又は、基材上に塗布したインク組成物を加熱する工程と
    を含む、有機層の製造方法。
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