JP2018010905A - 有機半導体材料、これを用いた有機エレクトロニクスデバイス、有機光電変換素子 - Google Patents

有機半導体材料、これを用いた有機エレクトロニクスデバイス、有機光電変換素子 Download PDF

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俊文 井内
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秀典 薬師寺
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祥司 品村
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正宏 阿部
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【課題】蒸着プロセスにより有機薄膜を形成可能で、該薄膜が近赤外領域に吸収帯を有し、且つ有機エレクトロデバイスとして機能する様な有機半導体材料の提供を目的とする。【解決手段】下記式(1)で表される有機化合物を含む有機半導体材料。【化1】(上記式(1)中のX1及びX2は酸素原子又は硫黄原子の何れかであり、X1とX2は同じであっても異なっていてもよい。R1、R2は水素原子又は炭素数1〜12の置換基を有してもよいアルキル基を表し、nは1〜4の整数を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は有機半導体材料及びこれを用いた有機光電変換素子、有機撮像素子、光センサに関する。
近年、有機エレクトロニクスデバイスへの関心が高まっている。有機エレクトロニクスデバイスの代表的な例としては有機EL素子、有機太陽電池素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ素子などが挙げられる。有機EL素子は、次世代フラットパネルディスプレイ用途のメインターゲットとして期待され、携帯電話のディスプレイやTVなどに応用され、更に高機能化を目指した開発が継続されている。有機太陽電池素子などは、フレキシブルで安価なエネルギー源として、また、有機トランジスタ素子などはフレキシブルなディスプレイや安価なICの部品として利用されるため、研究開発がなされている。
上記デバイスのうち、有機光電変換素子は光センサ等に利用されており、例えば撮像素子として用いることが検討されている。現在、既存の無機材料を用いた撮像素子は3板式、単板式のものが知られている。この内、3板式のものは光をプリズムにより赤、緑、青の三原色に分離し、それぞれの光を別に撮像デバイスで光電変換している。この為、感度に優れる一方、デバイスの小型化が困難である。他方、単板式は撮像デバイスにカラーフィルタを設けた構造をとり、小型化が可能であるが、解像度が劣る。以上の背景から、今日では有機化合物を用いた光電変換膜を積層した有機撮像素子の検討がなされている(特許文献1、特許文献2)。有機撮像素子は、赤、緑、青の三原色の内、一つの光を選択的に吸収し、他の光を透過するような有機材料を積層した構造であり、赤、緑、青の波長領域を選択的に吸収する有機薄膜の積層構造から構成されている。即ち、薄膜とした時の有機材料の吸収帯が600nm以上700nm以下の範囲内である赤色光電変換層、500nm以上600nm以下である緑色光電変換層、そして400nm以上500nm以下である青色光電変換層の積層構造から構成されている。この様な有機撮像素子は小型化、高解像度化が期待できる点で魅力的であり、次代の撮像デバイスへの展開について期待されている。
一方、700nm以上の近赤外領域に吸収波長を有する色素の有機光電変換素子への利用についての研究開発は多くなく、例えばスクアリリウム色素の様な既存の近赤外色素が、近赤外領域における光電変換効率の向上を目的として利用されているに留まっている(特許文献3)。また、近赤外領域に吸収波長を有する色素としてアントラキノン誘導体は染料をはじめ、遮光フィルターや熱線遮蔽材料として利用されている(特許文献4、特許文献5)。特許文献6には特定の構造を有するアントラキノン誘導体を有機薄膜太陽電池素子に用いることが開示されている。
特開2003−158254号公報 特開2005−303266号公報 特開2011−060503号公報 特開2002−030203号公報 特開2015−059154号公報 特開2014−111742号公報
しかしながら、特許文献4や特許文献5には特定の構造を有するアントラキノン誘導体が記載されているが、有機半導体材料として機能することについて検討されていない。また、特許文献6に記載のアントラキノン誘導体は擬似太陽光の波長領域に吸収を有することが開示されているに過ぎず、近赤外領域のみに吸収波長を有するものではない。
このような従来技術の状況下において、本発明者らは、アントラキノン骨格を有する新しい有機半導体材料を提供することを目的として鋭意検討を重ねた。特に近赤外領域に吸収波長を有し、光電変換性能を有するアントラキノン誘導体を提供することを目的とする。
鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは特定の構造を有するアントラキノン誘導体が有機半導体材料として優れた性質を有することを見出した。また、そのような化合物群の中に近赤外領域に吸収波長を有するため光電変換素子用材料として有用なものがあることを見出した。本発明者らはこれらの知見に基づいて、上記課題を解決する手段として本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
[1]下記式(1)で表される有機化合物を含む有機半導体材料、
Figure 2018010905
(上記式(1)中のX及びXは酸素原子又は硫黄原子の何れかであり、XとXは同じであっても異なっていてもよい。R、Rは水素原子又は炭素数1〜12の置換基を有してもよいアルキル基を表し、nは1〜4の整数を示す。)
[2]薄膜又は固体状態において、光吸収帯の極大吸収が700nm以上にある前項[1]に記載の有機半導体材料、
[3]前項[1]又は前項[2]に記載の有機半導体材料を含む有機薄膜、
[4]前項[1]又は[2]に記載の有機半導体材料、または前項[3]に記載の有機薄膜を含む有機エレクトロニクスデバイス、
[5]前項[1]又は[2]に記載の有機半導体材料、または前項[3]に記載の有機薄膜を含む光電変換素子、
[6]前項[5]に記載の光電変換素子を用いた光センサ、
[7]前項[5]に記載の光電変換素子を用いた有機撮像素子、
に関する。
本発明は、式(1)で表される有機化合物を有機半導体材料として用いることができる。該材料は蒸着プロセスにより膜形成可能であり、その有機薄膜は700nm以上の近赤外領域に吸収帯を有するため、多層構造を企図した撮像素子や近赤外光電変換素子用材料をはじめ、各種有機エレクトロニクスデバイスへの利用が可能である。
本発明の光電変換素子の実施態様を例示した断面図を示す。 実施例1の有機薄膜の吸収スペクトルを示す。 実施例2の光電変換素子に於ける光電流応答性を示す。 比較例1の光電変換素子の電流―電圧グラフを示す。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。ここに記載する構成要件の説明については、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づくものである一方、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。
本発明の有機半導体材料は、下記(1)で表される有機化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2018010905
(上記式(1)中のX及びXは酸素原子又は硫黄原子の何れかであり、XとXは同じであっても異なっていてもよい。R、Rは水素原子又は炭素数1〜10の置換基を有してもよいアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
上記式(1)中のR、Rが表す炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基等の鎖状アルキル基が挙げられる。可溶性を付与するため、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましい。
アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分鎖アルキル基、又はシクロヘキシル基等の環状アルキル基であってもよい。又、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、スルホプロピル基等の置換アルキル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル等のアルケニル基であってもよく、これらの炭素原子の一部乃至は全部がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子で置き換わったものでもよい。これらの内、置換アルキル基としてはメトキシ基を有するもので、且つ炭素数が3〜5であることが好ましい。
上記式(1)で表される有機化合物の具体例として化合物1から化合物51を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2018010905
Figure 2018010905
一般式(1)で表される有機化合物は公知の方法(例えば特公平4−17231号公報等)と同様の反応工程で合成可能である。これらの化合物の精製方法は特に限定されず、例えば洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー、真空昇華等が採用でき、必要に応じてこれらの方法を組み合わせることができる。
本発明の有機半導体材料は、薄膜又は固体状態において、光の吸収帯の極大吸収が700nm以上2500nm以下であることが好ましい。
本発明の有機半導体材料を用いて、有機薄膜を作製することができる。当該有機薄膜は本発明の有機半導体材料のみで構成されていてもよいが、別途公知の近赤外吸収物質を含んでいてもよい。ここで、特に近赤外吸収とは700nm以上2500nm以下の領域に吸収波長を有する材料を云う。
700nm以上2500nm以下の領域に極大吸収帯を有する近赤外光吸収材料は、従来から産業上の様々な用途への利用が検討されている。例を挙げると、CD−R(Compact Disk−Recordable)等の光情報記録媒体;サーマルCTP(Computer To Plate)、フラッシュトナー定着、レーザー感熱記録等の印刷用途;熱遮断フィルム等の用途に利用されている。さらには、選択的に特定波長域の光を吸収するというその特性を用いて、PDP(Plasma Display Panel)フィルター等に用いられる近赤外光カットフィルターや、植物成長調整用フィルム等にも使用されている。また、近赤外光吸収色素は、溶媒に溶解又は分散させることにより、近赤外光吸収インクとして使用することも可能である。該近赤外光吸収インクによる印字物は、目視では認識が困難であり、近赤外光検出器等でのみ読み取りが可能であることから、例えば偽造防止等を目的とした印字等に使用されている。
本発明の有機薄膜の形成方法には、一般的な乾式成膜法や湿式成膜法が挙げられる。具体的には真空プロセスである抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、溶液プロセスであるキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等が挙げられる。
一般的な近赤外色素は、特許文献3に記載の通り湿式のプロセスにより用いられている。加工の容易性という観点からは有機化合物を溶液状態で塗布するようなプロセスが望まれているが、以下に述べるように有機膜を積層するような素子構造の場合、塗布溶液が下層の有機膜を侵す恐れがあることから不向きである。
この様な多層構造の実現には、乾式成膜法、例えば抵抗加熱蒸着の様な蒸着可能な材料が適切であり、近赤外領域に吸収を有し、且つ蒸着可能な近赤外色素が近赤外光電変換素子用材料として好ましい。
各層の成膜には上記の手法を複数組み合わせた方法を採用してもよい。各層の厚みは、それぞれの物質の抵抗値・電荷移動度にもよるので限定することはできないが、通常は0.5〜5000nmの範囲であり、好ましくは1〜1000nmの範囲、より好ましくは5〜500nmの範囲である。
〔有機エレクトロニクスデバイス〕
本発明の有機半導体材料、又は該材料を含有する有機薄膜を含む有機エレクトロニクスデバイスを作製することができる。有機エレクトロニクスデバイスとしては、例えば、薄膜トランジスタ、有機光電変換素子、有機太陽電池素子、有機EL素子、有機発光トランジスタ素子、有機半導体レーザー素子などが挙げられるが、本発明では近赤外用途の展開が特に期待される有機光電変換素子に着目する。ここでは有機光電変換素子、特に近赤外有機光電変換素子(近赤外光センサ、有機撮像素子、近赤外光イメージセンサを含む)について説明する。
〔有機光電変換素子〕
本発明の有機半導体材料、又は該材料を含有する有機薄膜を有機光電変換素子に用いることができる。特に光電変換素子における光電変換層に用いることが好ましい。当該素子に於いては、光の吸収帯の極大吸収が700nm以上2500nm以下であることが好ましい。
有機光電変換素子は、対向する一対の電極膜間に光電変換部(膜)を配置した素子であって、電極膜の上方から光が光電変換部に入射されるものである。光電変換部は前記の入射光に応じて電子と正孔を発生するものであり、半導体により前記電荷に応じた信号が読み出され、光電変換膜部の吸収波長に応じた入射光量を示す素子である。光が入射しない側の電極膜には読み出しのためのトランジスタが接続される場合もある。光電変換素子は、アレイ状に多数配置されている場合、入射光量に加え入射位置情報をも示すため、撮像素子となる。又、より光源近くに配置された光電変換素子が、光源側から見てその背後に配置された光電変換素子の吸収波長を遮蔽しない(透過する)場合は、複数の光電変換素子を積層して用いてもよい。
本発明の有機光電変換素子は、前記式(1)で表される有機化合物を含む有機半導体材料を上記光電変換部の構成材料として用いることができる。
光電変換部は、光電変換層と、電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、結晶化防止層及び層間接触改良層等から成る群より選択される一種又は複数種の光電変換層以外の有機薄膜層とから成ることが多い。本発明の有機半導体材料は光電変換層以外にも用いることもできるが、光電変換層の有機薄膜層として用いることが好ましい。光電変換層は前記式(1)で表される有機半導体材料のみで構成されていてもよいが、前記式(1)で表される有機半導体材料以外に、公知の赤外吸収物質その他を含んでいてもよい。
本発明の有機光電変換素子で用いられる電極膜は、後述する光電変換部に含まれる光電変換層が、正孔輸送性を有する場合や光電変換層以外の有機薄膜層が正孔輸送性を有する正孔輸送層である場合は、該光電変換層やその他の有機薄膜層から正孔を取り出してこれを捕集する役割を果たし、又光電変換部に含まれる光電変換層が電子輸送性を有する場合や、有機薄膜層が電子輸送性を有する電子輸送層である場合は、該光電変換層やその他の有機薄膜層から電子を取り出して、これを吐出する役割を果たすものである。よって、電極膜として用い得る材料は、ある程度の導電性を有するものであれば特に限定されないが、隣接する光電変換層やその他の有機薄膜層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選択することが好ましい。電極膜として用い得る材料としては、例えば、酸化錫(NESA)、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)及び酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、白金、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル及びタングステン等の金属:ヨウ化銅及び硫化銅等の無機導電性物質:ポリチオフェン、ポリピロール及びポリアニリン等の導電性ポリマー:炭素等が挙げられる。これらの材料は、必要により複数を混合して用いてもよいし、複数を2層以上に積層して用いてもよい。電極膜に用いる材料の導電性も、光電変換素子の受光を必要以上に妨げなければ特に限定されないが、光電変換素子の信号強度や、消費電力の観点から出来るだけ高いことが好ましい。例えばシート抵抗値が300Ω/□以下の導電性を有するITO膜であれば、電極膜として充分機能するが、数Ω/□程度の導電性を有するITO膜を備えた基板の市販品も入手可能となっていることから、この様な高い導電性を有する基板を使用することが望ましい。ITO膜(電極膜)の厚さは導電性を考慮して任意に選択することができるが、通常5乃至500nm、好ましくは10乃至300nm程度である。ITOなどの膜を形成する方法としては、従来公知の蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法及び塗布法等が挙げられる。基板上に設けられたITO膜には必要に応じUV−オゾン処理やプラズマ処理等を施してもよい。
電極膜のうち、少なくとも光が入射する側の何れか一方に用いられる透明電極膜の材料としては、ITO、IZO、SnO、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)等が挙げられる。光電変換層の吸収ピーク波長における透明電極膜を介して入射した光の透過率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
又、検出する波長の異なる光電変換層を複数積層する場合、それぞれの光電変換層の間に用いられる電極膜(これは上記記載の一対の電極膜以外の電極膜である)は、それぞれの光電変換層が検出する光以外の波長の光を透過させる必要があり、該電極膜には入射光の90%以上を透過する材料を用いることが好ましく、95%以上の光を透過する材料を用いることがより好ましい。
電極膜はプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーでこれらの電極膜を作成することにより、電極膜が設けられる基板にプラズマ与える影響が低減され、光電変換素子の光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、電極膜の成膜時にプラズマが発生しないか、又はプラズマ発生源から基板までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基板に到達するプラズマが減ぜられるような状態を意味する。
電極膜の成膜時にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置等が挙げられる。EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と称し、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と称する。
成膜中プラズマを減ずることが出来るような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)としては、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着装置等が考えられる。
透明導電膜を電極膜(例えば第一の導電膜)とした場合、DCショート、あるいはリーク電流の増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換層に発生する微細なクラックがTCO(Transparent Conductive Oxide)などの緻密な膜によって被覆され、透明導電膜とは反対側の電極膜との間の導通が増すためと考えられる。そのため、Alなど膜質が比較して劣る材料を電極に用いた場合、リーク電流の増大は生じにくい。電極膜の膜厚を、光電変換層の膜厚(クラックの深さ)に応じて制御することにより、リーク電流の増大を抑制することができる。
通常、導電膜を所定の値より薄くすると、急激な抵抗値の増加が起こる。本実施形態の光センサ用光電変換素子における導電膜のシート抵抗は、通常100乃至10000Ω/□であり、膜厚の自由度が大きい。又、透明導電膜が薄いほど吸収する光の量が少なくなり、一般に光透過率が高くなる。光透過率が高くなると、光電変換層で吸収される光が増加して光電変換能が向上するため非常に好ましい。
本発明の有機光電変換素子が有する光電変換部は、光電変換層及び光電変換層以外の有機薄膜層を含む場合もある。光電変換部を構成する光電変換層には一般的に有機半導体膜が用いられるが、その有機半導体膜は一層若しくは複数の層であってもよく、一層の場合は、P型有機半導体膜、N型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)が用いられる。一方、複数の層である場合は、2〜10層程度であり、P型有機半導体膜、N型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)の何れかを積層した構造であり、層間にバッファ層が挿入されていてもよい。
本発明の有機光電変換素子において、光電変換部を構成する光電変換層以外の有機薄膜層は、光電変換層以外の層、例えば、電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、結晶化防止層又は層間接触改良層等としても用いられる。特に電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層及び正孔ブロック層(以下「キャリアブロック層」とも表す。)から成る群より選択される一種以上の薄膜層として用いることにより、弱い光エネルギーでも効率よく電気信号に変換する素子が得られるため好ましい。
加えて、例えば、有機撮像素子は、一般的には高コントラスト化や省電力化を目的として、暗電流の低減により性能向上を目指すと考えられため、層構造内にキャリアブロック層を挿入する手法が好ましい。これらのキャリアブロック層は、有機エレクトロニクスデバイス分野では一般に用いられており、其々デバイスの構成膜中において正孔若しくは電子の逆移動を制御する機能を有する。
電子輸送層は、光電変換層で発生した電子を電極膜へ輸送する役割と、電子輸送先の電極膜から光電変換層に正孔が移動するのをブロックする役割とを果たす。正孔輸送層は、発生した正孔を光電変換層から電極膜へ輸送する役割と、正孔輸送先の電極膜から光電変換層に電子が移動するのをブロックする役割とを果たす。電子ブロック層は、電極膜から光電変換層への電子の移動を妨げ、光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する役割を果たす。正孔ブロック層は、電極膜から光電変換層への正孔の移動を妨げ、光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する機能を有する。
図1に本発明の有機光電変換素子の代表的な素子構造を示すが、本発明はこの構造に限定されるものではない。図1の態様例においては、1が絶縁部、2が一方の電極膜、3が電子ブロック層、4が光電変換層、5が正孔ブロック層、6が他方の電極膜、7が絶縁基材又は他の有機光電変換素子をそれぞれ表す。図中には読み出し用のトランジスタを記載していないが、2又は6の電極膜と接続されていればよく、更には光電変換層4が透明であれば、光が入射する側とは反対側の電極膜の外側に成膜されていてもよい。有機光電変換素子への光の入射は、光電変換層4を除く構成要素が、光電変換層の主たる吸収波長の光を入射することを極度に阻害することがなければ、上部若しくは下部からの何れからでもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例中の有機光電変換素子の電流電圧の印加測定は、半導体パラメータアナライザ4200−SCS(ケースレーインスツルメンツ社製)を用いて行った。入射光の照射はPVL−3300(朝日分光社製)により、照射光強度130μW、半値幅20nmの光源で350nm乃至1100nmの範囲に於いて光電流測定を行った。
実施例に用いた化合物1は、一般式(1)に於いてX=O、R=Hであり、公知(特開2013−217964号公報)の方法で合成できる。本実施例では単離精製した後、昇華精製を行ってから評価に用いた。
[実施例1]有機薄膜の作成と評価
化合物1を予め洗浄したガラス基板に抵抗加熱真空蒸着し、50nmの膜厚保に成膜した。得られた有機薄膜について、吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルを図2に示す。結果、化合物1の薄膜状態における光の吸収帯の極大吸収は730nmに観測された。
[実施例2]有機光電変換素子の作製と評価
予め洗浄したITO透明導電ガラス(ジオマテック社製、ITO膜厚150nm)に化合物1を抵抗加熱真空蒸着し、200nmの膜厚に成膜した。次いで、電極としてアルミニウムを抵抗加熱真空蒸着し、100nmの膜厚に成膜し、本発明の有機光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、730nmの光照射を行った状態で、4Vの電圧を印加した際の光電流値は1.3×10−7[A/cm]であった。該素子の電流応答性を図3に示す。
[比較例1]有機光電変換素子の作製と評価
予め洗浄したITO透明導電ガラス(ジオマテック社製、ITO膜厚150nm)に、近赤外色素KAYASORB CY−10(日本化薬株式会社製)の2wt%アセトン溶液を1000rpmにてスピンコート成膜し、100 ℃で30分加熱乾燥した。次いで、電極としてアルミニウムを抵抗加熱真空蒸着し、100nmの膜厚に成膜し、比較例1の有機光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、840nmの光照射を行った状態で、光電流応答性を測定したが、機能は発現しなかった。得られた電流―電圧グラフを図4に示す。明電流はCY−10の吸収極大である840nmの照射を行った状態で測定したが、暗電流と明電流は同一であり、光電変換性能を示さなかった。
[比較例2]有機光電変換素子の作製と評価
予め洗浄したITO透明導電ガラス(ジオマテック社製、ITO膜厚150nm)に、フタロシアニンマグネシウム(東京化成工業株式会社製)を抵抗加熱真空蒸着し、200nmの膜厚に成膜した。次いで、電極としてアルミニウムを抵抗加熱真空蒸着し、100nmの膜厚に成膜し、比較例2の有機光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、690nmの光照射を行った状態で、4Vの電圧を印加した際の該素子の光電流応答性を測定したが、機能は発現しなかった。明電流はフタロシアニンマグネシウムの吸収極大である690nmの照射を行った状態で測定したが、暗電流と明電流は同一であり、光電変換性能を示さなかった。
一般的な近赤外色素が光電変換素子として機能しなかったのに対し、本発明の有機半導体材料は光電変換性能を近赤外領域に於いて示し、然も蒸着プロセスによる素子作製を達成した。結果を表1にまとめる。
Figure 2018010905
本発明の有機半導体材料は、近赤外領域における吸収能と蒸着可能な特性を兼ね備えており、近赤外領域において動作する有機エレクトロニクスデバイス材料として有用である。
(図1)
1 絶縁部
2 上部電極
3 電子ブロック層
4 光電変換層
5 正孔ブロック層
6 下部電極
7 絶縁基材若しくは他光電変換素子

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される有機化合物を含む有機半導体材料。
    Figure 2018010905
    (上記式(1)中のX及びXは酸素原子又は硫黄原子の何れかであり、XとXは同じであっても異なっていてもよい。R、Rは水素原子又は炭素数1〜12の置換基を有してもよいアルキル基を表し、nは1〜4の整数を示す。)
  2. 薄膜又は固体状態において、光吸収帯の極大吸収が700nm以上にある請求項1に記載の有機半導体材料。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の有機半導体材料を含む有機薄膜。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の有機半導体材料、又は請求項3に記載の有機薄膜を含む有機エレクトロニクスデバイス。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の有機半導体材料、又は請求項3に記載の有機薄膜を含む光電変換素子。
  6. 請求項5に記載の光電変換素子を用いた光センサ。
  7. 請求項5に記載の光電変換素子を用いた有機撮像素子。
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