JP2018009518A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、可変長コンロッドが搭載された内燃機関において、フューエルカットからの復帰時におけるトルクショックを好適に緩和することを課題とする。【解決手段】本発明の制御装置は、内燃機関のフューエルカットが実行されているときは、可変長コンロッドの有効長が延長することを許容し、且つ可変長コンロッドが短縮することを禁止するように作動油が流れる状態(第1状態)に切換機構を制御する。また、制御装置は、内燃機関がフューエルカットから復帰するときは、可変長コンロッドの有効長が延長することを禁止し、且つ可変長コンロッドの有効長が短縮することを許容するように作動油が流れる状態(第2状態)に切換機構を制御する。【選択図】図6
Description
本発明は、可変長コンロッドを搭載する内燃機関に適用される制御装置に関する。
機械圧縮比を第1圧縮比と該第1圧縮比より低い第2圧縮比とに切り換え可能な可変圧縮比機構を備えた内燃機関において、フューエルカット実行中に予め機械圧縮比を第1圧縮比に切り換えておく方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、フューエルカット実行中に機械圧縮比が高圧縮比側の圧縮比に設定されると、フューエルカットからの復帰時における内燃機関の発生トルクが急激に上昇して、トルクショックを発生させる可能性がある。
本発明は、上記したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可変長コンロッドを搭載した内燃機関において、フューエルカットからの復帰時におけるトルクショックを好適に緩和することにある。
本発明は、上記した課題を解決するために、以下のような手段を採用した。すなわち、本発明は、クランクピンを受容するための円柱状の開口部であるクランク受容開口が形成される大端部を備えるコンロッド本体と、前記コンロッド本体の小端部に形成された円柱状の開口部であるスリーブ受容開口と、前記スリーブ受容開口に回動自在に収容される軸受であって、且つピストンピンを前記スリーブ受容開口の軸心から偏心した状態で支持するスリーブと、前記クランクピンの軸心と前記ピストンピンの軸心とを相互に離間させる方向へ前記スリーブが回動することを許容し、且つ前記クランクピンの軸心と前記ピストンピンの軸心とを相互に接近させる方向へ前記スリーブが回動することを禁止するように作動油が流れる第1状態と、前記クランクピンの軸心と前記ピストンピンの軸心とを相互に離間させる方向へ前記スリーブが回動することを禁止し、且つ前記クランクピンの軸心と前記ピストンピンの軸心とを相互に接近させる方向へ前記スリーブが回動することを許容するように作動油が流れる第2状態と、を切り換える切換機構と、を備える可変長コンロッドが搭載された内燃機関に適用される制御装置である。そして、前記制御装置は、前記内燃機関のフューエルカットが実行されているときは、作動油の流れが前記第1状態となり、且つ前記内燃機関がフューエルカットから復帰するときは、作動油の流れが前記第2状態となるように、前記切換機構を制御する。なお、本願における「圧縮比」は、特段の言及がない限り、機械圧縮比を意味するものとする。
本発明によれば、可変長コンロッドを搭載した内燃機関において、フューエルカットからの復帰時におけるトルクショックを好適に緩和することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、複数の気筒を有する4ストローク・サイクルの火花点火式内燃機関である。なお、図1においては、複数の気筒のうち、1つの気筒のみが示されている。
内燃機関1は、クランクケース2と、シリンダブロック3と、シリンダヘッド4と、を備える。クランクケース2には、クランクシャフト200が回転自在に収容される。シリンダブロック3には、円柱状の気筒300が形成される。該気筒300内には、ピストン5が摺動自在に収容される。ピストン5とクランクシャフト200とは、後述する可変長コンロッド6により連結される。シリンダヘッド4には、吸気ポート11と排気ポート14とが形成される。シリンダヘッド4は、燃焼室7における吸気ポート11の開口端を開閉するための吸気バルブ9と、該吸気バルブ9を開閉駆動するための吸気カムシャフト10とを備える。また、シリンダヘッド4は、燃焼室7における排気ポート14の開口端を開閉するための排気バルブ12と、該排気バルブ12を開閉駆動するための排気カムシャフト13とを備える。さらに、シリンダヘッド4は、燃焼室7内の混合気を着火させるための点火プラグ8と、吸気ポート11へ向けて燃料を噴射する燃料噴射弁103とを備える。
ここで、可変長コンロッド6は、その小端部においてピストンピン21によりピストン5と連結されるとともに、その大端部においてクランクシャフト200のクランクピン22と連結される。この可変長コンロッド6は、ピストンピン21の軸心からクランクピン22の軸心までの距離、すなわち有効長を変更可能に構成される。可変長コンロッド6の有効長が延長されると、クランクピン22の軸心からピストンピン21の軸心までの長さが長くなるため、図1中の実線で示すようにピストン5が上死点にあるときの燃焼室7の容積が小さくなる。一方、可変長コンロッド6の有効長が短縮されると、クランクピン22の軸心からピストンピン21の軸心までの長さが短くなるため、図1中の破線で示すようにピストン5が上死点にあるときの燃焼室7の容積が大きくなる。なお、上記したように可変長コンロッド6の有効長が変化しても、ピストン5のストロークが変化しないため、ピストン5が上死点に位置するときの筒内容積(燃焼室容積)とピストン5が下死点に位置するときの筒内容積との比である機械圧縮比(以下では、単に「圧縮比」と記す)が変化することになる。
(可変長コンロッド6の構成)
ここで、本実施形態における可変長コンロッド6の構成について図2に基づいて説明する。可変長コンロッド6は、コンロッド本体31と、コンロッド本体31に回動可能に取
り付けられた偏心部材32と、コンロッド本体31に設けられた第1ピストン機構33と、コンロッド本体31に設けられた第2ピストン機構34と、これら両ピストン機構33、34への作動油の流れの切換を行う切換機構35と、を具備する。
ここで、本実施形態における可変長コンロッド6の構成について図2に基づいて説明する。可変長コンロッド6は、コンロッド本体31と、コンロッド本体31に回動可能に取
り付けられた偏心部材32と、コンロッド本体31に設けられた第1ピストン機構33と、コンロッド本体31に設けられた第2ピストン機構34と、これら両ピストン機構33、34への作動油の流れの切換を行う切換機構35と、を具備する。
コンロッド本体31は、その一方の端部にクランクシャフトのクランクピン22を受容するクランク受容開口41を有し、他方の端部に後述する偏心部材32のスリーブを受容するスリーブ受容開口42を有する。クランク受容開口41はスリーブ受容開口42よりも大きいことから、クランク受容開口41が設けられている側のコンロッド本体31の端部を大端部31aと称し、スリーブ受容開口42が設けられている側のコンロッド本体31の端部を小端部31bと称する。
なお、本明細書では、クランク受容開口41の軸心(すなわち、クランク受容開口41に受容されるクランクピン22の軸心)と、スリーブ受容開口42の軸心(すなわち、スリーブ受容開口42に受容されるスリーブの軸心)とを通る仮想直線Xを、可変長コンロッド6の軸線と称す。また、可変長コンロッド6の軸線Xに対して垂直であってクランク受容開口41の軸心に垂直な方向における可変長コンロッド6の長さを、該可変長コンロッド6の幅と称する。加えて、クランク受容開口41の軸心に平行な方向における可変長コンロッド6の長さを、該可変長コンロッド6の厚さと称する。
次に、偏心部材32は、コンロッド本体31に形成されたスリーブ受容開口42内に受容される円筒状のスリーブ32aと、スリーブ32aからコンロッド本体31の幅方向において一方の方向に延びる第1アーム32bと、スリーブ32aからコンロッド本体31の幅方向において他方の方向(上記一方の方向とは概して反対方向)に延びる第2アーム32cとを具備する。スリーブ32aはスリーブ受容開口42内で回動可能であるため、偏心部材32はコンロッド本体31の小端部31bにおいてコンロッド本体31に対して小端部31bの周方向に回動可能に取り付けられることになる。
また、偏心部材32のスリーブ32aは、ピストンピン21を受容するためのピストンピン受容開口32dを有する。このピストンピン受容開口32dは円柱状に形成される。ピストンピン受容開口32dは、その軸心がスリーブ受容開口42の軸心(スリーブ32aの軸心)に対して偏心するように形成される。
上記したように、スリーブ32aのピストンピン受容開口32dの軸心がスリーブ32aの軸心から偏心しているため、偏心部材32が回転すると、スリーブ受容開口42内におけるピストンピン受容開口32dの位置が変化する。スリーブ受容開口42内におけるピストンピン受容開口32dの位置が大端部31a側にあるときには、可変長コンロッド6の有効長が短くなる。逆に、スリーブ受容開口42内におけるピストンピン受容開口32dの位置が大端部31a側とは反対側にあるときには、可変長コンロッド6の有効長が長くなる。したがって本実施形態によれば、偏心部材32を回動させることによって、可変長コンロッド6の有効長を変更することができる。
次に、第1ピストン機構33は、コンロッド本体31に形成された第1シリンダ33aと、第1シリンダ33a内で摺動する第1ピストン33bとを有する。第1シリンダ33aは、そのほとんど又はその全てが可変長コンロッド6の軸線Xに対して第1アーム32b側に配置される。また、第1シリンダ33aは、小端部31bに近づくほどコンロッド本体31の幅方向に突出するように軸線Xに対して或る程度の角度だけ傾斜して配置される。また、第1シリンダ33aは、第1ピストン連通油路51を介して切換機構35と連通する。
第1ピストン33bは、第1連結部材45により偏心部材32の第1アーム32bに連
結される。第1ピストン33bは、ピンによって第1連結部材45に回転可能に連結される。第1アーム32bは、スリーブ32aに結合されている側とは反対側の端部において、ピンによって第1連結部材45に回転可能に連結される。
結される。第1ピストン33bは、ピンによって第1連結部材45に回転可能に連結される。第1アーム32bは、スリーブ32aに結合されている側とは反対側の端部において、ピンによって第1連結部材45に回転可能に連結される。
一方、第2ピストン機構34は、コンロッド本体31に形成された第2シリンダ34aと、第2シリンダ34a内で摺動する第2ピストン34bとを有する。第2シリンダ34aは、そのほとんど又はその全てが可変長コンロッド6の軸線Xに対して第2アーム32c側に配置される。また、第2シリンダ34aは、小端部31bに近づくほどコンロッド本体31の幅方向に突出するように軸線Xに対して或る程度の角度だけ傾斜して配置される。また、第2シリンダ34aは、第2ピストン連通油路52を介して切換機構35と連通する。
第2ピストン34bは、第2連結部材46により偏心部材32の第2アーム32cに連結される。第2ピストン34bは、ピンによって第2連結部材46に回転可能に連結される。第2アーム32cは、スリーブ32aに連結されている側とは反対側の端部において、ピンによって第2連結部材46に回転可能に連結される。
次に、切換機構35は、後述するように、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを遮断し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを許容する第1状態と、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを許容し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを遮断する第2状態と、を切り換える機構である。
ここで、切換機構35が前記第1状態にあるときは、第1シリンダ33a内に作動油が供給され、且つ第2シリンダ34aから作動油が排出されることになる。このため、第1ピストン33bが上昇し、それに伴って第1ピストン33bに連結された偏心部材32の第1アーム32bも上昇する。一方、第2ピストン34bが下降し、それに伴って第2ピストン34bに連結された第2アーム32cも下降する。その結果、偏心部材32が図2中の時計回りに回動するため、ピストンピン受容開口32dの位置がクランクピン22の位置から離間する。すなわち、可変長コンロッド6の有効長が長くなる。そして、第2ピストン34bが第2シリンダ34aの底面と当接すると、偏心部材32の回動が規制されて、該偏心部材32の回動位置がその位置(以下、「高圧縮比位置」と称する)に保持される。以下では、切換機構35が前記第1状態にあるとき(偏心部材32が前記高圧縮比位置にあるとき)の圧縮比を第1圧縮比と称する。
なお、切換機構35が第1状態にあるときには、基本的には外部から作動油を供給することなく、第1ピストン33b及び第2ピストン34bが上記した位置(第2ピストン34bが第2シリンダ34aの底面に当接する位置)まで移動する。これは、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に上向きの慣性力が作用したときに第2ピストン34bが押し込まれ、これによって第2シリンダ34a内の作動油が第1シリンダ33aに移動するためである。一方、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に下向きの慣性力が作用したときや、燃焼室7内で混合気の燃焼が起きてピストン5に下向きの力が作用したときには、第1ピストン33bを押し込む力が働くが、切換機構35により第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れが遮断されているため、第1シリンダ33a内の作動油は流出しない。そのため、第1ピストン33bが押し込まれないことになる。
次に、切換機構35が前記第2状態にあるときは、第2シリンダ34a内に作動油が供給され、且つ第1シリンダ33aから作動油が排出されることになる。このため、第2ピストン34bが上昇し、それに伴って第2ピストン34bに連結された偏心部材32の第
2アーム32cも上昇する。一方、第1ピストン33bが下降し、第1ピストン33bに連結された第1アーム32bも下降する。その結果、偏心部材32が図2中の反時計回りに回動するため、ピストンピン受容開口32dの位置がクランクピン22の位置に接近する。すなわち、可変長コンロッド6の有効長が短くなる。そして、第1ピストン33bが第1シリンダ33aの底面に当接すると、偏心部材32の回動が規制されて、該偏心部材32の回動位置がその位置(以下、「低圧縮比位置」と称する)に保持される。よって、切換機構35が前記第2状態にあるときは前記第1状態にあるときに比べ、内燃機関1の圧縮比が低くなる。以下では、切換機構35が前記第2状態にあるとき(偏心部材32が前記低圧縮比位置にあるとき)の圧縮比を第2圧縮比と称する。なお、第2圧縮比は、前述したように、第1圧縮比より低い圧縮比である。
2アーム32cも上昇する。一方、第1ピストン33bが下降し、第1ピストン33bに連結された第1アーム32bも下降する。その結果、偏心部材32が図2中の反時計回りに回動するため、ピストンピン受容開口32dの位置がクランクピン22の位置に接近する。すなわち、可変長コンロッド6の有効長が短くなる。そして、第1ピストン33bが第1シリンダ33aの底面に当接すると、偏心部材32の回動が規制されて、該偏心部材32の回動位置がその位置(以下、「低圧縮比位置」と称する)に保持される。よって、切換機構35が前記第2状態にあるときは前記第1状態にあるときに比べ、内燃機関1の圧縮比が低くなる。以下では、切換機構35が前記第2状態にあるとき(偏心部材32が前記低圧縮比位置にあるとき)の圧縮比を第2圧縮比と称する。なお、第2圧縮比は、前述したように、第1圧縮比より低い圧縮比である。
また、切換機構35が第2状態にあるときも、基本的には外部から作動油を供給することなく、第1ピストン33b及び第2ピストン34bが上記した位置(第1ピストン33bが第1シリンダ33aの底面に当接する位置)まで移動する。これは、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に下向きの慣性力が作用したときや、燃焼室7内で混合気の燃焼が起きてピストン5に下向きの力が作用したときに、第1ピストン33bが押し込まれ、これによって第1シリンダ33a内の作動油が第2シリンダ34aに移動するためである。一方、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に上向きの慣性力が作用したときには、第2ピストン34bを押し込む力が働くが、切換機構35により第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れが遮断されているため、第2シリンダ34a内の作動油は流出しない。そのため、第2ピストン34bが押し込まれないことになる。
(切換機構35の構成)
次に、切換機構35の一実施態様について、図3及び図4に基づいて説明する。なお、図3は、第1状態にあるときの切換機構35を示し、図4は、第2の状態にあるときの切換機構35を示す。切換機構35は、二つの切換ピン61、62と一つの逆止弁63とを具備する。二つの切換ピン61、62は、それぞれ円柱状のピン収容空間64、65内に摺動自在に収容される。なお、図3、4において、矢印は各々の状態における作動油の流れを示す。
次に、切換機構35の一実施態様について、図3及び図4に基づいて説明する。なお、図3は、第1状態にあるときの切換機構35を示し、図4は、第2の状態にあるときの切換機構35を示す。切換機構35は、二つの切換ピン61、62と一つの逆止弁63とを具備する。二つの切換ピン61、62は、それぞれ円柱状のピン収容空間64、65内に摺動自在に収容される。なお、図3、4において、矢印は各々の状態における作動油の流れを示す。
上記した二つの切換ピン61、62のうち、一方の切換ピン61(第1切換ピン61)は、その周方向に延びる二つの円周溝61a、61bを有する。これら円周溝61a、61bは、第1切換ピン61内に形成された連通路61cによって互いに連通している。また、第1切換ピン61を収容する第1ピン収容空間64内には、第1切換ピン61を該第1ピン収容空間64内の一方の端部から他方の端部(図3中の下側の端部から上側の端部)へ向けて付勢するための第1付勢バネ67が収容される。
上記した二つの切換ピン61、62のうち、他方の切換ピン62(第2切換ピン62)も、その周方向に延びる二つの円周溝62a、62bを有する。これら円周溝62a、62bは、第2切換ピン62内に形成された連通路62cによって互いに連通している。また、第2切換ピン62を収容する第2ピン収容空間65内にも、第2切換ピン62を該第2ピン収容空間65内の一方の端部から他方の端部(図3中の上側の端部から下側の端部)へ向けて付勢するための第2付勢バネ68が収容される。
逆止弁63は、円柱状の逆止弁収容空間66内に収容される。逆止弁63は、一次側(図3中の上側)から二次側(図3中の下側)への流れを許容するとともに、二次側から一次側への流れを遮断するように構成される。
第1切換ピン61を収容する第1ピン収容空間64は、第1ピストン連通油路51を介
して第1シリンダ33aに連通せしめられる。第1ピン収容空間64は、二つの空間連通油路53、54を介して逆止弁収容空間66に連通せしめられる。このうち一方の第1空間連通油路53は、第1ピン収容空間64と逆止弁収容空間66の二次側とを連通せしめる。他方の第2空間連通油路54は、第1ピン収容空間64と逆止弁収容空間66の一次側とを連通せしめる。
して第1シリンダ33aに連通せしめられる。第1ピン収容空間64は、二つの空間連通油路53、54を介して逆止弁収容空間66に連通せしめられる。このうち一方の第1空間連通油路53は、第1ピン収容空間64と逆止弁収容空間66の二次側とを連通せしめる。他方の第2空間連通油路54は、第1ピン収容空間64と逆止弁収容空間66の一次側とを連通せしめる。
第2切換ピン62を収容する第2ピン収容空間65は、第2ピストン連通油路52を介して第2シリンダ34aに連通せしめられる。第2ピン収容空間65は、二つの空間連通油路55、56を介して逆止弁収容空間66に連通せしめられる。このうち一方の第3空間連通油路55は、第2ピン収容空間65と逆止弁収容空間66の二次側とを連通せしめる。他方の第4空間連通油路56は、第2ピン収容空間65と逆止弁収容空間66の一次側とを連通せしめる。
また、第1ピン収容空間64は、コンロッド本体31内に形成された第1制御用油路57と連通している。その際、第1制御用油路57は、第1付勢バネ67が設けられた端部(図3中の下側の端部)とは反対側の端部(図3中の上側の端部)において第1ピン収容空間64に連通せしめられるものとする。また、第2ピン収容空間65は、コンロッド本体31内に形成された第2制御用油路58と連通している。その際、第2制御用油路58は、第2付勢バネ68が設けられた端部(図3中の上側の端部)とは反対側の端部(図3中の下側の端部)において第2ピン収容空間65に連通せしめられるものとする。上記した第1制御用油路57及び第2制御用油路58は、クランク受容開口41に連通するように形成されるとともに、クランクピン22内に形成された油路(図示せず)を介して外部のオイルスイッチングバルブ(OSV)75に連通される。ここでいうOSV75は、例えば、二つの制御用油路57、58と図示しないオイルポンプとの間の導通と遮断とを切り換える弁機構である。
逆止弁収容空間66の一次側は、コンロッド本体31内に形成された補充用油路59を介して、オイルポンプ等の作動油供給源76に連通せしめられる。補充用油路59は、切換機構35の各部から外部へ漏れた作動油を補充するための油路である。
(切換機構35の動作)
上記したように構成される切換機構35において、OSV75が制御用油路57、58とオイルポンプとを導通させているときは、図3に示したように、切換ピン61、62に作用する油圧によって付勢バネ67、68が縮められるため、切換ピン61、62が、第1切換ピン61の連通路61cを介して第1ピストン連通油路51と第1空間連通油路53とが連通せしめられ、且つ第2切換ピン62の連通路62cを介して第2ピストン連通油路52と第4空間連通油路56とが連通せしめられる位置に移動及び保持される。その場合、第1シリンダ33aが逆止弁63の二次側に接続され、且つ第2シリンダ34aが逆止弁63の一次側に接続されることになる。そのため、第2シリンダ34a内の作動油は、第2ピストン連通油路52、第4空間連通油路56、第1空間連通油路53、及び第1ピストン連通油路51を介して第1シリンダ33aへ移動可能になる。一方、第1シリンダ33a内の作動油は、第2シリンダ34aへ移動することができなくなる。したがって、OSV75が制御用油路57、58とオイルポンプとを導通させているときは、切換機構35は、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを遮断し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを許容する状態(第1状態)になる。
上記したように構成される切換機構35において、OSV75が制御用油路57、58とオイルポンプとを導通させているときは、図3に示したように、切換ピン61、62に作用する油圧によって付勢バネ67、68が縮められるため、切換ピン61、62が、第1切換ピン61の連通路61cを介して第1ピストン連通油路51と第1空間連通油路53とが連通せしめられ、且つ第2切換ピン62の連通路62cを介して第2ピストン連通油路52と第4空間連通油路56とが連通せしめられる位置に移動及び保持される。その場合、第1シリンダ33aが逆止弁63の二次側に接続され、且つ第2シリンダ34aが逆止弁63の一次側に接続されることになる。そのため、第2シリンダ34a内の作動油は、第2ピストン連通油路52、第4空間連通油路56、第1空間連通油路53、及び第1ピストン連通油路51を介して第1シリンダ33aへ移動可能になる。一方、第1シリンダ33a内の作動油は、第2シリンダ34aへ移動することができなくなる。したがって、OSV75が制御用油路57、58とオイルポンプとを導通させているときは、切換機構35は、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを遮断し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを許容する状態(第1状態)になる。
一方、OSV75が制御用油路57、58とオイルポンプとを遮断させているときは、付勢バネ67、68の付勢力のみが切換ピン61、62に作用するため、図4に示したように、切換ピン61、62が、第1切換ピン61の連通路61cを介して第1ピストン連
通油路51と第2空間連通油路54とが連通せしめられ、且つ第2切換ピン62の連通路62cを介して第2ピストン連通油路52と第3空間連通油路55とが連通せしめられる位置に移動及び保持される。その場合、第1シリンダ33aが逆止弁63の一次側に接続され、且つ第2シリンダ34aが逆止弁63の二次側に接続されることになる。そのため、第1シリンダ33a内の作動油は、第1ピストン連通油路51、第2空間連通油路54、第3空間連通油路55、及び第2ピストン連通油路52を介して第2シリンダ34aへ移動可能になる。一方、第2シリンダ34a内の作動油は、第1シリンダ33aへ移動することができなくなる。したがって、OSV75が制御用油路57、58とオイルポンプとを遮断させているときは、切換機構35は、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを許容し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを遮断する状態(第2状態)になる。
通油路51と第2空間連通油路54とが連通せしめられ、且つ第2切換ピン62の連通路62cを介して第2ピストン連通油路52と第3空間連通油路55とが連通せしめられる位置に移動及び保持される。その場合、第1シリンダ33aが逆止弁63の一次側に接続され、且つ第2シリンダ34aが逆止弁63の二次側に接続されることになる。そのため、第1シリンダ33a内の作動油は、第1ピストン連通油路51、第2空間連通油路54、第3空間連通油路55、及び第2ピストン連通油路52を介して第2シリンダ34aへ移動可能になる。一方、第2シリンダ34a内の作動油は、第1シリンダ33aへ移動することができなくなる。したがって、OSV75が制御用油路57、58とオイルポンプとを遮断させているときは、切換機構35は、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを許容し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを遮断する状態(第2状態)になる。
上記したように、OSV75によって第1ピン収容空間64及び第2ピン収容空間65に対する作動油の供給と遮断とが切り換えられると、切換機構35の第1状態と第2状態とを切り換えることができ、それに伴って内燃機関1の圧縮比を第1圧縮比と第2圧縮比との何れか一方に切り換えることができる。なお、OSV75は、各気筒300の切換機構35毎に設けられてもよく、又は全ての気筒300の切換機構35に対して一つのみが設けられてもよい。
ここで図1に戻り、上記したように構成される内燃機関1には、本発明に係わる「制御装置」としてのECU100が併設される。ECU100は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等から構成される電子制御ユニットである。ECU100は、エアフローメータ101、アクセルポジションセンサ102、及びクランクポジションセンサ201等の各種センサと電気的に接続され、それら各種センサの出力信号を入力可能になっている。エアフローメータ101は、内燃機関1の図示しない吸気通路に取り付けられて、吸入空気量に相関する電気信号を出力するセンサである。アクセルポジションセンサ102は、図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度)に相関する電気信号を出力するセンサである。クランクポジションセンサ201は、クランクシャフト200の回転位置に相関する電気信号を出力するセンサである。
ECU100は、上記した各種センサに加え、点火プラグ8、燃料噴射弁103、OSV75等の各種機器と電気的に接続される。ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、上記した各種機器を制御する。例えば、ECU100は、クランクポジションセンサ201の出力信号から演算される機関回転速度と、エアフローメータ101の出力信号(吸入空気量)に基づいて演算される機関負荷率(全負荷時の吸入空気量に対する実際の吸入空気量の比率)とに基づいて、燃料噴射弁103の目標燃料噴射量や点火プラグ8の目標点火時期を演算し、それら目標燃料噴射量や目標点火時期に従って燃料噴射弁103や点火プラグ8を制御する。
また、ECU100は、機関負荷率に応じてOSV75を制御する。詳細には、ECU100は、機関負荷率が所定の閾値未満であるときは、内燃機関1の圧縮比が前述の第1圧縮比となる(切換機構35が第1状態となる)ように、OSV75を制御する。すなわち、ECU100は、制御用油路57、58とオイルポンプとが導通するように、OSV75を制御する。一方、ECU100は、機関負荷率が前記所定の閾値以上であるときは、内燃機関1の圧縮比が第1圧縮比より低い第2圧縮比となる(切換機構35が第2状態となる)ように、OSV75を制御する。すなわち、ECU100は、制御用油路57、58とオイルポンプとが遮断されるように、OSV75を制御する。
ECU100は、上記した既知の制御に加え、内燃機関1のフューエルカットが実行されているときに前記切換機構35が第1状態となるようにOSV75を制御し、且つ内燃
機関1がフューエルカットから復帰するときに前記切換機構35が第2状態となるようにOSV75を制御するためのトルクショック緩和処理を実行する。以下、本実施形態におけるトルクショック緩和処理の実行方法について詳説する。なお、本願における「フューエルカット」は、機関負荷率が前記所定の閾値以上となる運転状態から減速運転状態(機関回転速度が所定のフューエルカット判定値以上となり、且つアクセル開度が零となる運転状態)へ移行したときに、燃料噴射弁103からの燃料噴射を停止させる処理である。
機関1がフューエルカットから復帰するときに前記切換機構35が第2状態となるようにOSV75を制御するためのトルクショック緩和処理を実行する。以下、本実施形態におけるトルクショック緩和処理の実行方法について詳説する。なお、本願における「フューエルカット」は、機関負荷率が前記所定の閾値以上となる運転状態から減速運転状態(機関回転速度が所定のフューエルカット判定値以上となり、且つアクセル開度が零となる運転状態)へ移行したときに、燃料噴射弁103からの燃料噴射を停止させる処理である。
(トルクショック緩和処理)
ここで、フューエルカット実行中は、図示しないスロットル弁の開度が絞られるため、それに伴って機関負荷率が前記所定の閾値未満となる。そのため、フューエルカット実行中は、切換機構35が第1状態となるようにOSV75が制御されて、内燃機関1の圧縮比が第1圧縮比に設定される。そして、機関回転速度が前記フューエルカット判定値より高い所定の復帰判定値未満まで低下し、又はアクセル開度が零より大きくなると、燃料噴射弁103からの燃料噴射が再開されて、内燃機関1がフューエルカットから復帰することになる。
ここで、フューエルカット実行中は、図示しないスロットル弁の開度が絞られるため、それに伴って機関負荷率が前記所定の閾値未満となる。そのため、フューエルカット実行中は、切換機構35が第1状態となるようにOSV75が制御されて、内燃機関1の圧縮比が第1圧縮比に設定される。そして、機関回転速度が前記フューエルカット判定値より高い所定の復帰判定値未満まで低下し、又はアクセル開度が零より大きくなると、燃料噴射弁103からの燃料噴射が再開されて、内燃機関1がフューエルカットから復帰することになる。
ところで、圧縮比が第2圧縮比より高い第1圧縮比に固定された状態で、内燃機関1がフューエルカットから復帰すると、該内燃機関1の発生トルクが急激に上昇して、トルクショックを発生させる可能性がある。これに対し、内燃機関1がフューエルカットから復帰する際の点火時期をMBT(Minimum Advance for Best Torque)より遅角側へ遅角さ
せることにより、トルクショックを緩和する方法が考えられる。しかしながら、点火時期を遅角させた状態で燃料を着火及び燃焼させるためには、吸入空気量をある程度増やす必要があるため、燃料消費率が悪化する可能性がある。
せることにより、トルクショックを緩和する方法が考えられる。しかしながら、点火時期を遅角させた状態で燃料を着火及び燃焼させるためには、吸入空気量をある程度増やす必要があるため、燃料消費率が悪化する可能性がある。
そこで、本実施形態では、フューエルカットからの復帰条件(機関回転速度が前記復帰判定値未満に低下すること、又はアクセル開度が零より大きくなること)が成立したときに、先ず切換機構35が第1状態から第2状態へ切り換わるようにOSV75を制御する。続いて、切換機構35の第1状態から第2状態への切り換えが完了したときに、燃料噴射弁103からの燃料噴射を再開させることにより、内燃機関1をフューエルカットから復帰させるようにした。
図5は、トルクショック緩和処理を実行する場合における、F/Cフラグ、燃料噴射量、切換機構35、及び圧縮比の経時変化を示すタイミングチャートである。なお、ここでいうF/Cフラグは、フューエルカット条件(機関回転速度が前記フューエルカット判定値以上であり、且つアクセル開度が零であること)が成立したときにオンにされ、且つフューエルカット復帰条件(機関回転速度が前記復帰判定未満に低下したこと、又はアクセル開度が零より大きくこと)が成立したときにオフにされるフラグである。
図5において、フューエルカット条件が成立することによって、F/Cフラグがオフからオンへ切り換わると(図5中のt1)、ECU100は、燃料噴射弁103からの燃料噴射を停止(燃料噴射量=零)させる。さらに、ECU100は、制御用油路57、58とオイルポンプとが導通するようにOSV75を制御することにより、切換機構35を第2状態から第1状態へ切り換える。なお、OSV75の制御が開始されてから切換機構35が第2状態から第1状態に切り換わるまでには応答遅れ(図5中のt1からt2までの期間)が生じる。そのため、OSV75の制御が開始された時点から前述の応答遅れ期間が経過したとき(図5中のt2)に、内燃機関1の圧縮比が上昇し始める。その後は、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に上向きの慣性力が作用したときに、第2シリンダ34a内の作動油が第1シリンダ33aに移動することで、可変長コンロッド6の有効長が徐々に伸長する。そして、偏心部材32が前記高圧縮比位置まで回動すると、圧縮比が第1圧縮比となる(図5中のt3)。
偏心部材32が前記高圧縮比位置まで回動した後において、復帰条件が成立することによって、F/Cフラグがオンからオフへ切り換えられると(図5中のt4)、ECU100は、制御用油路57、58とオイルポンプとが遮断されるようにOSV75を制御することにより、切換機構35を第1状態から第2状態へ切り換える。その場合も、前述したような応答遅れ(図5中のt4からt5までの期間)が発生する。そのため、ECU100は、応答遅れ期間が終了したとき(図5中のt5)に燃料噴射弁103からの燃料噴射を再開させる。切換機構35が第2状態にされた状態で、燃料噴射弁103からの燃料噴射が再開されると、燃料噴射弁103から噴射された燃料が着火及び燃焼した際に発生する燃焼圧力によって、可変長コンロッド6の有効長が短縮される(圧縮比が第1圧縮比より低くなる)。つまり、前記燃焼圧力の一部が可変長コンロッド6の有効長を短縮させるために消費されることになる。その結果、内燃機関1がフューエルカットから復帰する際のトルクショックが緩和されることになる。ところで、内燃機関1がフューエルカットから復帰した後において、切換機構35が第2状態に維持され続けると、内燃機関1の圧縮比が第2圧縮比まで低下してしまうことになる。そのため、本実施形態では、燃料噴射弁103からの燃料噴射が再開されてから所定期間が経過したとき(図5中のt6)に、切換機構35が第2状態から第1状態へ戻るように、OSV75を制御するものとする。このようにOSV75が制御されると、該制御の開始後における応答遅れ期間が終了したとき(図5中のt7)に、圧縮比が再び上昇し始める。ここでいう「所定期間」は、内燃機関1の圧縮比が第2圧縮比まで低下するのに要する期間より短い期間であって、例えば1サイクルである。
上記した方法によってトルクショック緩和処理が実行されると、内燃機関1がフューエルカットから復帰するときに、点火時期の遅角や吸入空気量の増量等を図ることなく、トルクショックを緩和することができる。また、燃料噴射弁103からの燃料噴射が再開されてから前記所定期間が経過したときに、切換機構35を第2状態から第1状態へ戻すことにより、圧縮比を速やかに第1圧縮比に戻すこともできる。
以下、本実施形態におけるトルクショック緩和処理の実行手順について図6に沿って説明する。図6は、トルクショック緩和処理が実行される際にECU100によって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは、F/Cフラグがオフからオンへ切り換わったときに実行される処理ルーチンであり、予めECU100のROMに記憶されているものとする。
図6の処理ルーチンでは、ECU100は、先ずS101の処理においてF/Cフラグがオンであるか否かを判別する。S101の処理において否定判定された場合は、ECU100は、S102以降の処理を実行せずに、本処理ルーチンを終了する。一方、S101の処理において肯定判定された場合は、ECU100は、S102の処理へ進む。
S102の処理では、ECU100は、燃料噴射弁103からの燃料噴射を停止させることにより、フューエルカットを実行する。続いて、ECU100は、S103の処理へ進み、切換機構35が第2状態から第1状態へ切り換わるように、OSV75を制御する。詳細には、ECU100は、制御用油路57、58とオイルポンプとが導通するようにOSV75を制御する。
S104の処理では、ECU100は、カウンタを起動させる。このカウンタは、切換機構35を第2状態から第1状態へ切り換えるべくOSV75の制御が開始された時点からの経過時間を計測するカウンタである。
S105の処理では、ECU100は、F/Cフラグがオンからオフへ切り換えられた
か否かを判別する。S105の処理において否定判定された場合は、ECU100は、該S105の処理を繰り返し実行する。一方、S105の処理において肯定判定された場合は、ECU100は、S106の処理へ進む。
か否かを判別する。S105の処理において否定判定された場合は、ECU100は、該S105の処理を繰り返し実行する。一方、S105の処理において肯定判定された場合は、ECU100は、S106の処理へ進む。
S106の処理では、ECU100は、前記カウンタの計測時間Cが所定時間Cthre以上であるか否か判別する。ここでいう所定時間Cthreは、切換機構35を第2状態から第1状態へ切り換えるべくOSV75の制御が開始された時点から、可変長コンロッド6の有効長がトルクショックを好適に吸収できる程度の長さに延長されるまでに要する時間である。なお、可変長コンロッド6の有効長は、前述したように、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に上向きの慣性力が作用したときに延長される。その際の慣性力は、機関回転速度が大きいほど大きくなる。よって、前述したOSV75の制御が開始された時点の機関回転速度が大きいほど、前記所定時間Cthreが短く設定されるものとする。
前記S106の処理において肯定判定された場合は、ECU100は、S107の処理へ進み、切換機構35を第1状態から第2状態へ切り換えるべくOSV75を制御する。詳細には、ECU100は、制御用油路57、58とオイルポンプとが遮断されるようにOSV75を制御する。
S108の処理では、ECU100は、切換機構35の第1状態から第2状態への切り換えが完了したか否かを判別する。具体的には、切換機構35を第1状態から第2状態へ切り換えるべくOSV75の制御が開始された時点から、前述の図5の説明で述べた応答遅れ期間が経過したか否かを判別する。その際、応答遅れ期間は、予め実験やシミュレーションの結果に基づいて求めておくものとする。
前記S108の処理において否定判定された場合は、切換機構35の第1状態から第2状態への切り換えが完了していないため、ECU100は、該S108の処理を繰り返し実行する。一方、前記S108の処理において肯定判定された場合は、切換機構35の第1状態から第2状態への切り換えが完了しているため、ECU100は、S109の処理へ進み、燃料噴射弁103からの燃料噴射を再開させる。その場合、燃料噴射弁103から噴射された燃料が着火及び燃焼した際に発生する燃焼圧力の一部は、可変長コンロッド6の有効長を短縮させるために消費される。そのため、点火時期の遅角や吸入空気量の増量等を図ることなく、内燃機関1がフューエルカットから復帰する際のトルクショックを緩和することができる。
ECU100は、前記S109の処理を実行し終えると、S110の処理へ進み、カウンタの計測時間Cを零にリセットする。続いて、ECU100は、S111の処理へ進み、燃料噴射弁103からの燃料噴射が再開されてから所定期間(例えば、1サイクル)が経過したか否かを判別する。S111の処理において否定判定された場合は、ECU100は、該S111の処理を繰り返し実行する。一方、S111の処理において肯定判定された場合は、ECU100は、S112の処理へ進み、切換機構35を第2状態から第1状態へ戻すべくOSV75を制御する。
なお、前述したS106の処理において否定判定された場合は、可変長コンロッド6の有効長がトルクショックを好適に吸収できる長さまで延長していないことになるので、ECU100は、S107及びS108の処理をスキップしてS109の処理へ進む。その場合、燃料噴射弁103からの燃料噴射が再開された際に発生する燃焼圧力が可変長コンロッド6によって吸収されなくなるものの、圧縮比が第1圧縮比より低いため、トルクショックが小さく抑えられる。
以上述べた実施形態によれば、内燃機関1がフューエルカットから復帰する際のトルクショックを緩和させることができる。
1 内燃機関
6 可変長コンロッド
8 点火プラグ
31 コンロッド本体
31a 大端部
31b 小端部
32 偏心部材
32a スリーブ
35 切換機構
41 クランク受容開口
42 スリーブ受容開口
75 OSV
100 ECU
6 可変長コンロッド
8 点火プラグ
31 コンロッド本体
31a 大端部
31b 小端部
32 偏心部材
32a スリーブ
35 切換機構
41 クランク受容開口
42 スリーブ受容開口
75 OSV
100 ECU
Claims (1)
- クランクピンを受容するための円柱状の開口部であるクランク受容開口が形成される大端部を備えるコンロッド本体と、
前記コンロッド本体の小端部に形成された円柱状の開口部であるスリーブ受容開口と、
前記スリーブ受容開口に回動自在に収容される軸受であって、且つピストンピンを前記スリーブ受容開口の軸心から偏心した状態で支持するスリーブと、
前記クランクピンの軸心と前記ピストンピンの軸心とを相互に離間させる方向へ前記スリーブが回動することを許容し、且つ前記クランクピンの軸心と前記ピストンピンの軸心とを相互に接近させる方向へ前記スリーブが回動することを禁止するように作動油が流れる第1状態と、前記クランクピンの軸心と前記ピストンピンの軸心とを相互に離間させる方向へ前記スリーブが回動することを禁止し、且つ前記クランクピンの軸心と前記ピストンピンの軸心とを相互に接近させる方向へ前記スリーブが回動することを許容するように作動油が流れる第2状態と、を切り換える切換機構と、
を備える可変長コンロッドが搭載された内燃機関に適用される制御装置であって、
前記制御装置は、前記内燃機関のフューエルカットが実行されているときは、作動油の流れが前記第1状態となり、且つ前記内燃機関がフューエルカットから復帰するときは、作動油の流れが前記第2状態となるように、前記切換機構を制御することを特徴とする、内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016139339A JP2018009518A (ja) | 2016-07-14 | 2016-07-14 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016139339A JP2018009518A (ja) | 2016-07-14 | 2016-07-14 | 内燃機関の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Country Status (1)
Country | Link |
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-
2016
- 2016-07-14 JP JP2016139339A patent/JP2018009518A/ja active Pending
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