JP2018017169A - 内燃機関の制御システム - Google Patents

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直人 加藤
龍太郎 森口
Ryutaro Moriguchi
龍太郎 森口
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Shigehiro Sugihira
成広 杉平
悠志 芝池
Yushi Shibaike
悠志 芝池
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Abstract

【課題】可変長コンロッドを用いた可変圧縮比機構を有する内燃機関において、圧縮比変更期間中における点火時期をより適切な時期に制御することを目的とする。
【解決手段】圧縮比変更期間中において、圧縮行程中の所定の設定時期に、機械圧縮比が、該所定の設定時期における推定圧縮比またはそれよりも圧縮比変更期間における目標圧縮比側の圧縮比である所定の基準圧縮比であると仮定して基準点火時期を求める。そして、基準点火時期における予測圧縮比が所定の基準圧縮比と異なる場合は、該予測圧縮比と該所定の基準圧縮比との差に基づいて基準点火時期を補正した補正点火時期に点火時期を設定する。
【選択図】図9

Description

本発明は、可変圧縮比機構を有する内燃機関の制御システムに関する。
従来、内燃機関の機械圧縮比を変更する機構である可変圧縮比機構が開発されている。例えば、特許文献1および2には、可変長コンロッドの有効長を調整することで機械圧縮比を変更する可変圧縮比機構が開示されている。このような可変圧縮比機構では、可変長コンロッドの有効長が長くされると機械圧縮比が高くなり、可変長コンロッドの有効長が短くされると機械圧縮比が低くなる。
また、可変圧縮比機構により機械圧縮比を変更する際には、その機構に起因してある程度の応答遅れが生じる。そこで、例えば、特許文献3には、内燃機関の操作量を推定し、推定された操作量に基づいて機械圧縮比を制御する技術が開示されている。この特許文献3に開示されている予測運転モードでは、内燃機関の操作量の時間変化の傾き(すなわち、操作量の変化速度)に基づいて推定操作量を求める。そして、求められた推定操作量に基づいて、機械圧縮比の目標値である目標圧縮比を決定する。
また、特許文献4には、内燃機関の機械圧縮比とともに内燃機関の実圧縮比(吸気バルブの閉弁時期での燃焼室の容積を上死点での燃焼室の容積で除した値)も変更可能な内燃機関の制御に関する技術が開示されている。例えば、実圧縮比の実際の値がその基準値より高くなった場合、ノッキングが発生し易くなる。そこで、特許文献4に開示の技術では、このような場合は、点火時期をその基準時期よりも遅角することで、ノッキングの発生を抑制する。一方、実圧縮比の実際の値がその基準値より低くなった場合、燃焼状態が悪化し易くなる。そこで、特許文献4に開示の技術では、このような場合は、点火時期をその基準時期よりも進角することで、燃焼状態の悪化を抑制する。
特開2016−118181号公報 国際公開第2014/019683号 特表2016−508559号公報 国際公開第2010/073411号
ここで、可変長コンロッドを用いた可変圧縮比機構においては、機械圧縮比(以下、単に「圧縮比」と称する場合もある。)を変更する際に、気筒内においてピストンが往復動することで生じる慣性力の作用、および、気筒内において燃料が燃焼することで生じる燃焼圧の作用を利用することで、可変長コンロッドの有効長が変更される。つまり、圧縮比を所定の低圧縮比から所定の高圧縮比に変更する際には、ピストンが往復動することで生じる上向きの慣性力の作用により可変長コンロッドの有効長が長くされる。一方、圧縮比を所定の高圧縮比から所定の低圧縮比に変更する際には、ピストンが往復動することで生じる下向きの慣性力の作用のみならず、燃料が燃焼することで生じる燃焼圧の作用により、可変長コンロッドの有効長が短くされる。
つまり、気筒内で往復運動するピストンに作用する力の向きおよび大きさは常に一定なわけではなく、クランク角に応じて異なる。そのため、上記のような可変長コンロッドを
用いた可変圧縮比機構により圧縮比を所定の低圧縮比と所定の高圧縮比とのいずれか一方から他方へ変更している圧縮比変更期間中においては、圧縮比が常に一定の割合(速度)で変化するわけではなく、その変化割合はクランク角に応じて異なることになる。
そして、内燃機関における点火時期が圧縮比に対応した最適時期からずれた場合、ノッキングの発生、または、燃焼状態の悪化による燃費の低下や失火の発生といった問題が生じる虞がある。本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、可変長コンロッドを用いた可変圧縮比機構を有する内燃機関において、圧縮比変更期間中における点火時期をより適切な時期に制御することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御システムは、可変圧縮比機構を有する内燃機関の制御システムであって、前記可変圧縮比機構が、コンロッドの有効長を調整することで内燃機関の機械圧縮比を変更する機構であり、機械圧縮比を所定の低圧縮比から所定の高圧縮比に変更する際には、気筒内でピストンが往復動することで生じる慣性力の作用により前記コンロッドの有効長を長くし、機械圧縮比を前記所定の高圧縮比から前記所定の低圧縮比に変更する際には、気筒内でピストンが往復動することで生じる慣性力の作用と、気筒内で燃料が燃焼することで生じる燃焼圧の作用とにより、前記コンロッドの有効長を短くする機構であって、圧縮比変更期間中における機械圧縮比を推定および予測する推定部と、点火プラグによる混合気への点火時期を設定する設定部と、を備え、圧縮比変更期間中においては、前記設定部が、圧縮行程中の所定の設定時期に、機械圧縮比が、前記推定部によって推定される前記所定の設定時期における推定圧縮比またはそれよりも圧縮比変更期間における目標圧縮比側の圧縮比である所定の基準圧縮比であると仮定して基準点火時期を求め、さらに、前記推定部によって予測される前記基準点火時期における予測圧縮比が前記所定の基準圧縮比と異なる場合は、前記予測圧縮比と前記所定の基準圧縮比との差に基づいて前記基準点火時期を補正した補正点火時期に点火時期を設定する。
本発明によれば、可変長コンロッドを用いた可変圧縮比機構を有する内燃機関において、圧縮比変更期間中における点火時期をより適切な時期に制御することができる。
本発明の実施例に係る内燃機関の概略構成を示す図である。 本発明の実施例に係る可変長コンロッドの概略構成を示す図である。 本発明の実施例に係る、第一状態にあるときの切換機構の様子を示す図である。 本発明の実施例に係る、第二状態にあるときの切換機構の様子を示す図である。 本発明の実施例に係る、内燃機関の圧縮比を低圧縮比側から高圧縮比側に変更する際の圧縮比変更期間中における、ピストンにかかる荷重の向きと大きさ、および、圧縮比の推移を示す図である。 本発明の実施例に係る、内燃機関の圧縮比を低圧縮比側から高圧縮比側に変更する際の圧縮比変更期間中における、圧縮比の単位変化量の推移を示す図である。 本発明の実施例に係る、内燃機関の圧縮比を高圧縮比側から低圧縮比側に変更する際の圧縮比変更期間中における、ピストンにかかる荷重の向きと大きさ、および、圧縮比の推移を示す図である。 本発明の実施例に係る、内燃機関の圧縮比を高圧縮比側から低圧縮比側に変更する際の圧縮比変更期間中における、圧縮比の単位変化量の推移を示す図である。 本発明の実施例に係る圧縮比変更期間中における点火時期の設定フローを示すフローチャートである。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例>
図1は、本実施例に係る内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、複数の気筒300を有する4ストローク・サイクルの火花点火式内燃機関である。なお、図1においては、便宜的に、複数の気筒300のうち、1つの気筒のみが示されている。
内燃機関1は、クランクケース2と、シリンダブロック3と、シリンダヘッド4と、を備えている。クランクケース2には、クランクシャフト200が回転自在に収容されている。シリンダブロック3には、円柱状の気筒300が形成されている。該気筒300内には、ピストン5が摺動自在に収容されている。ピストン5とクランクシャフト200とは可変長コンロッド6により連結されている。なお、可変長コンロッド6の構成については後述する。シリンダヘッド4には、吸気ポート11と排気ポート14とが形成されている。さらに、シリンダヘッド4には、燃焼室7における吸気ポート11の開口端を開閉するための吸気バルブ9と、該吸気バルブ9を開閉駆動するための吸気カムシャフト10とが備えられている。また、シリンダヘッドに4は、燃焼室7における排気ポート14の開口端を開閉するための排気バルブ12と、該排気バルブ12を開閉駆動するための排気カムシャフト13とが備えられている。さらに、シリンダヘッド4には、燃焼室7内の混合気を着火させるための点火プラグ8と、吸気ポート11内に燃料を噴射する燃料噴射弁103とが備えられている。また、内燃機関1において、各気筒の吸気ポート11と連通している吸気通路(図示略)にはスロットル弁102が設けられている。スロットル弁102は、吸気通路内の通路断面積を変更することで、内燃機関1の吸入空気量を調整する。
ここで、可変長コンロッド6は、その小端部においてピストンピン21によりピストン5と連結されるとともに、その大端部においてクランクシャフト200のクランクピン22と連結される。この可変長コンロッド6は、ピストンピン21の軸心からクランクピン22の軸心までの距離、すなわち有効長を変更することができる。可変長コンロッド6の有効長が長くなると、クランクピン22の軸心からピストンピン21の軸心までの長さが長くなるため、図1中の実線で示すようにピストン5が上死点にあるときの燃焼室7の容積が小さくなる。一方、可変長コンロッド6の有効長が短くなると、クランクピン22の軸心からピストンピン21の軸心までの長さが短くなるため、図1中の破線で示すようにピストン5が上死点にあるときの燃焼室7の容積が大きくなる。なお、上記したように可変長コンロッド6の有効長が変化しても、ピストン5のストロークが変化しないため、ピストン5が上死点に位置するときの筒内容積(燃焼室の容積)とピストン5が下死点に位置するときの筒内容積との比(すなわち、機械圧縮比)が変化することになる。
(可変長コンロッドの構成)
ここで、本実施例に係る可変長コンロッド6の構成について図2に基づいて説明する。図2は、本実施例に係る可変長コンロッド6の概略構成を示す図である。可変長コンロッド6は、コンロッド本体31と、コンロッド本体31に回動可能に取り付けられた偏心部材32と、コンロッド本体31に設けられた第1ピストン機構33と、コンロッド本体31に設けられた第2ピストン機構34と、これら両ピストン機構33、34への作動油の流れの切換を行う切換機構35と、を具備する。
コンロッド本体31は、その一方の端部にクランクシャフト200のクランクピン22
を受容するクランク受容開口41を有し、他方の端部に後述する偏心部材32のスリーブ32aを受容するスリーブ受容開口42を有する。クランク受容開口41はスリーブ受容開口42よりも大きいことから、クランク受容開口41が設けられている側のコンロッド本体31の端部を大端部31aと称し、スリーブ受容開口42が設けられている側のコンロッド本体31の端部を小端部31bと称する。
なお、本明細書では、クランク受容開口41の軸心(すなわち、クランク受容開口41に受容されるクランクピン22の軸心)と、スリーブ受容開口42の軸心(すなわち、スリーブ受容開口42に受容されるスリーブ32aの軸心)とを通る仮想直線Xを、可変長コンロッド6の軸心と称する。また、可変長コンロッド6の軸心Xに対して垂直であってクランク受容開口41の軸心に垂直な方向における可変長コンロッド6の長さを、該可変長コンロッド6の幅と称する。加えて、クランク受容開口41の軸心に平行な方向における可変長コンロッド6の長さを、該可変長コンロッド6の厚さと称する。
偏心部材32は、コンロッド本体31に形成されたスリーブ受容開口42内に受容される円筒状のスリーブ32aと、スリーブ32aからコンロッド本体31の幅方向において一方の方向に延びる第1アーム32bと、スリーブ32aからコンロッド本体31の幅方向において他方の方向に延びる第2アーム32cとを具備する。スリーブ32aはスリーブ受容開口42内で回動可能であるため、偏心部材32はコンロッド本体31の小端部31bにおいてコンロッド本体31に対して小端部31bの周方向に回動可能に取り付けられることになる。
また、偏心部材32のスリーブ32aは、ピストンピン21を受容するためのピストンピン受容開口32dを有する。このピストンピン受容開口32dは円柱状に形成される。円柱状のピストンピン受容開口32dは、その軸心がスリーブ32aの軸心に対して偏心するように形成される。
上記したように、スリーブ32aのピストンピン受容開口32dの軸心がスリーブ32aの軸心から偏心しているため、偏心部材32が回転すると、スリーブ受容開口42内におけるピストンピン受容開口32dの位置が変化する。スリーブ受容開口42内におけるピストンピン受容開口32dの位置が大端部31a側にあるときには、可変長コンロッド6の有効長が短くなる。逆に、スリーブ受容開口42内におけるピストンピン受容開口32dの位置が大端部31a側とは反対側にあるときには、可変長コンロッド6の有効長が長くなる。したがって本実施例に係る構成よれば、偏心部材32を回動させることによって、可変長コンロッド6の有効長を変更することができる。
第1ピストン機構33は、コンロッド本体31に形成された第1シリンダ33aと、第1シリンダ33a内で摺動する第1ピストン33bとを有する。第1シリンダ33aは、そのほとんど又はその全てが可変長コンロッド6の軸心Xに対して第1アーム32b側に配置される。また、第1シリンダ33aは、小端部31bに近づくほどコンロッド本体31の幅方向に突出するように軸心Xに対してある程度の角度だけ傾斜して配置される。また、第1シリンダ33aは、第1ピストン連通油路51を介して切換機構35と連通している。
第1ピストン33bは、第1連結部材45により偏心部材32の第1アーム32bに連結されている。第1ピストン33bは、ピンによって第1連結部材45に回転可能に連結されている。第1アーム32bは、スリーブ32aに結合されている側とは反対側の端部において、ピンによって第1連結部材45に回転可能に連結されている。
一方、第2ピストン機構34は、コンロッド本体31に形成された第2シリンダ34a
と、第2シリンダ34a内で摺動する第2ピストン34bとを有する。第2シリンダ34aは、そのほとんど又はその全てが可変長コンロッド6の軸心Xに対して第2アーム32c側に配置される。また、第2シリンダ34aは、小端部31bに近づくほどコンロッド本体31の幅方向に突出するように軸心Xに対してある程度の角度だけ傾斜して配置される。また、第2シリンダ34aは、第2ピストン連通油路52を介して切換機構35と連通する。
第2ピストン34bは、第2連結部材46により偏心部材32の第2アーム32cに連結される。第2ピストン34bは、ピンによって第2連結部材46に回転可能に連結される。第2アーム32cは、スリーブ32aに連結されている側とは反対側の端部において、ピンによって第2連結部材46に回転可能に連結される。
切換機構35は、第1シリンダ33aと第2シリンダ34aとの間における作動油の流れを切り換えるための機構である。ここで、切換機構35が、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを遮断し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを許容する状態を第1状態とする。一方、切換機構35が、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを許容し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを遮断する状態を第2状態とする。
切換機構35が第1状態にあるときは、第1シリンダ33a内に作動油が供給され、且つ第2シリンダ34aから作動油が排出されることになる。このため、第1ピストン33bが上昇し、それに伴って第1ピストン33bに連結された偏心部材32の第1アーム32bも上昇する。一方、第2ピストン34bが下降し、それに伴って第2ピストン34bに連結された第2アーム32cも下降する。その結果、偏心部材32が図2中の時計回りに回動するため、ピストンピン受容開口32dの位置が大端部31a側とは反対側(すなわち、図2の上方)に移動する。これにより、ピストンピン受容開口32dの位置がクランクピン22の位置から遠ざかる。すなわち、可変長コンロッド6の有効長が長くなる。そして、第2ピストン34bが第2シリンダ34aの底面と当接すると、偏心部材32の回動が規制されて、該偏心部材32の回動位置がその位置(以下、「高圧縮比位置」と称する)に保持される。
なお、切換機構35が第1状態にあるときには、基本的には外部から作動油を供給することなく、第1ピストン33b及び第2ピストン34bが上記した位置(第2ピストン34bが第2シリンダ34aの底面に当接する位置)まで移動する。これは、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動することによって該ピストン5に上向きの慣性力が作用したときに第2ピストン34bが押し込まれ、これによって第2シリンダ34a内の作動油が第1シリンダ33aに移動するためである。一方、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に下向きの慣性力が作用したとき、および、燃焼室7内で燃料が燃焼することで生じる燃焼圧によりピストン5に下向きの力が作用したときには、第1ピストン33bを押し込もうとする力が働く。しかしながら、切換機構35が第1状態にあるときには第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れが遮断されているため、第1シリンダ33a内の作動油は流出しない。そのため、第1ピストン33bは押し込まれない。
また、切換機構35が第2状態にあるときは、第2シリンダ34a内に作動油が供給され、且つ第1シリンダ33aから作動油が排出されることになる。このため、第2ピストン34bが上昇し、それに伴って第2ピストン34bに連結された偏心部材32の第2アーム32cも上昇する。一方、第1ピストン33bが下降し、第1ピストン33bに連結された第1アーム32bも下降する。その結果、偏心部材32が図2中の反時計回りに回動するため、ピストンピン受容開口32dの位置が大端部31a側(すなわち、図2の下
方)に移動する。これにより、ピストンピン受容開口32dの位置がクランクピン22の位置に近づく。すなわち、可変長コンロッド6の有効長が短くなる。そして、第1ピストン33bが第1シリンダ33aの底面に当接すると、偏心部材32の回動が規制されて、該偏心部材32の回動位置がその位置(以下、「低圧縮比位置」と称する)に保持される。よって、切換機構35が第2状態にあるときは第1状態にあるときに比べ、内燃機関1の圧縮比が低くなる。以下では、切換機構35が第1状態にあるとき(つまり、偏心部材32が高圧縮比位置にあるとき)の圧縮比を第1圧縮比と称し、切換機構35が第2状態にあるとき(つまり、偏心部材32が低圧縮比位置にあるとき)の圧縮比を第2圧縮比と称する。当然のことながら、第1圧縮比は第2圧縮比に比べて高い圧縮比である。
なお、切換機構35が第2状態にあるときも、基本的には外部から作動油を供給することなく、第1ピストン33b及び第2ピストン34bが上記した位置(第1ピストン33bが第1シリンダ33aの底面に当接する位置)まで移動する。これは、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に下向きの慣性力が作用したとき、および、燃焼室7内で燃料が燃焼することで生じる燃焼圧によりピストン5に下向きの力が作用したときに、第1ピストン33bが押し込まれ、これによって第1シリンダ33a内の作動油が第2シリンダ34aに移動するためである。一方、内燃機関1の気筒300内でピストン5が往復動してピストン5に上向きの慣性力が作用したときには、第2ピストン34bを押し込もうとする力が働く。しかしながら、切換機構35により第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れが遮断されているため、第2シリンダ34a内の作動油は流出しない。そのため、第2ピストン34bは押し込まれない。
(切換機構の構成)
次に、切換機構35の構成について図3及び図4に基づいて説明する。なお、図3は、第1状態にあるときの切換機構35の様子を示している。また、図4は、第2状態にあるときの切換機構35の様子を示している。なお、図3,4において、矢印はそれぞれの状態における作動油の流れを表している。切換機構35は、二つの切換ピン61、62と一つの逆止弁63とを具備する。二つの切換ピン61、62は、それぞれ円柱状のピン収容空間64、65内に摺動自在に収容される。
上記した二つの切換ピン61、62のうち、一方の切換ピン61(第1切換ピン61)は、その周方向に延びる二つの円周溝61a、61bを有する。これら円周溝61a、61bは、第1切換ピン61内に形成された連通路61cによって互いに連通している。また、第1切換ピン61を収容する第1ピン収容空間64内には、第1切換ピン61を該第1ピン収容空間64内の一方の端部から他方の端部(図3中の下側の端部から上側の端部)へ向けて付勢するための第1付勢バネ67が収容されている。
上記した二つの切換ピン61、62のうち、他方の切換ピン62(第2切換ピン62)も、その周方向に延びる二つの円周溝62a、62bを有する。これら円周溝62a、62bは、第2切換ピン62内に形成された連通路62cによって互いに連通している。また、第2切換ピン62を収容する第2ピン収容空間65内にも、第2切換ピン62を該第2ピン収容空間65内の一方の端部から他方の端部(図3中の上側の端部から下側の端部)へ向けて付勢するための第2付勢バネ68が収容されている。
逆止弁63は、円柱状の逆止弁収容空間66内に収容される。逆止弁63は、一次側(図3中の上側)から二次側(図3中の下側)への流れを許容するとともに、二次側から一次側への流れを遮断するように構成される。
第1切換ピン61を収容する第1ピン収容空間64は、第1ピストン連通油路51を介して第1シリンダ33aに連通されている。第1ピン収容空間64は、二つの空間連通油
路53、54を介して逆止弁収容空間66に連通されている。このうち一方の第1空間連通油路53は、第1ピン収容空間64と逆止弁収容空間66の二次側とを連通する。他方の第2空間連通油路54は、第1ピン収容空間64と逆止弁収容空間66の一次側とを連通する。
第2切換ピン62を収容する第2ピン収容空間65は、第2ピストン連通油路52を介して第2シリンダ34aに連通されている。第2ピン収容空間65は、二つの空間連通油路55、56を介して逆止弁収容空間66に連通されている。このうち一方の第3空間連通油路55は、第2ピン収容空間65と逆止弁収容空間66の二次側とを連通する。他方の第4空間連通油路56は、第2ピン収容空間65と逆止弁収容空間66の一次側とを連通する。
また、第1ピン収容空間64は、コンロッド本体31内に形成された第1制御用油路57と連通している。図3に示すように、第1制御用油路57は、第1付勢バネ67が設けられた端部(図3中の下側の端部)とは反対側の端部(図3中の上側の端部)において第1ピン収容空間64に連通されている。また、第2ピン収容空間65は、コンロッド本体31内に形成された第2制御用油路58と連通している。図3に示すように、第2制御用油路58は、第2付勢バネ68が設けられた端部(図3中の上側の端部)とは反対側の端部(図3中の下側の端部)において第2ピン収容空間65に連通せしめられるものとする。コンロッド本体31内において、第1制御用油路57及び第2制御用油路58は、クランク受容開口41に連通するように形成されるとともに、クランクピン22内に形成された油路(図示せず)を介して外部の切換弁75に連通される。この切換弁75は、二つの制御用油路57、58と図示しないオイルポンプとの間の導通と遮断とを切り換える弁機構である。
逆止弁収容空間66の一次側は、コンロッド本体31内に形成された補充用油路59を介して、オイルポンプ等の作動油供給源76に連通されている。補充用油路59は、切換機構35の各部から外部へ漏れた作動油を補充するための油路である。
(切換機構の動作)
上記したように構成される切換機構35において、切換弁75が制御用油路57、58とオイルポンプとを導通させているときは、図3に示したように、切換ピン61、62に作用する油圧によって付勢バネ67、68が縮められる。そのため、切換ピン61、62が、第1切換ピン61の連通路61cを介して第1ピストン連通油路51と第1空間連通油路53とが連通され、且つ第2切換ピン62の連通路62cを介して第2ピストン連通油路52と第4空間連通油路56とが連通される位置に移動すると共にその位置が保持される。この場合、第1シリンダ33aが逆止弁63の二次側と連通され、且つ第2シリンダ34aが逆止弁63の一次側に連通されることになる。その結果、図3において矢印で表すように、第2シリンダ34a内の作動油は、第2ピストン連通油路52、第4空間連通油路56、第1空間連通油路53、及び第1ピストン連通油路51を介して第1シリンダ33aへ移動可能になる。その一方で、第1シリンダ33a内の作動油は、第2シリンダ34aへ移動することができなくなる。したがって、切換弁75が制御用油路57、58とオイルポンプとを導通させているときは、切換機構35は、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを遮断し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを許容する状態、すなわち第1状態になる。
また、切換弁75が制御用油路57、58とオイルポンプとを遮断させているときは、付勢バネ67、68の付勢力のみが切換ピン61、62に作用する。そのため、図4に示したように、切換ピン61、62が、第1切換ピン61の連通路61cを介して第1ピストン連通油路51と第2空間連通油路54とが連通され、且つ第2切換ピン62の連通路
62cを介して第2ピストン連通油路52と第3空間連通油路55とが連通される位置に移動すると共にその位置が保持される。この場合、第1シリンダ33aが逆止弁63の一次側に接続され、且つ第2シリンダ34aが逆止弁63の二次側に接続されることになる。その結果、図4において矢印で表すように、第1シリンダ33a内の作動油は、第1ピストン連通油路51、第2空間連通油路54、第3空間連通油路55、及び第2ピストン連通油路52を介して第2シリンダ34aへ移動可能になる。その一方で、第2シリンダ34a内の作動油は、第1シリンダ33aへ移動することができなくなる。したがって、切換弁75が制御用油路57、58とオイルポンプとを遮断させているときは、切換機構35は、第1シリンダ33aから第2シリンダ34aへの作動油の流れを許容し、且つ第2シリンダ34aから第1シリンダ33aへの作動油の流れを遮断する状態、すなわち第2状態になる。
上述したように、切換弁75によって第1ピン収容空間64及び第2ピン収容空間65に対する油圧の供給と遮断とが切り換えられると、切換機構35を第1状態と第2状態とを切り換えることができ、それに伴って内燃機関1の圧縮比を第1圧縮比と第2圧縮比との何れか一方から他方に切り換えることができる。なお、切換弁75は、各気筒300の切換機構35毎に設けられてもよく、又は全ての気筒300の切換機構35に対して一つのみが設けられてもよい。
なお、本実施例においては、各気筒300の可変長コンロッド6および切換弁75が、本発明に係る「可変圧縮比機構」に相当する。ただし、本発明に係る「可変圧縮比機構」の構成は、上記のような切換機構を用いた構成に限られるものではない。
ここで、図1に戻って本実施例に係る内燃機関の概略構成についてさらに説明する。上述したように構成される内燃機関1には、ECU100が併設されている。ECU100は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等から構成され、内燃機関1を制御するためのプロセッサを有する電子制御ユニットである。ECU100は、エアフローメータ101およびクランクポジションセンサ201等の各種センサと電気的に接続され、それら各種センサの出力信号を入力可能になっている。エアフローメータ101は、内燃機関1の吸気通路におけるスロットル弁102よりも上流側に設けられ、内燃機関1の吸入空気量に対応する電気信号を出力するセンサである。クランクポジションセンサ201は、クランクシャフト200の回転位置に対応する電気信号を出力するセンサである。そして、ECU100は、クランクポジションセンサ201の出力信号に基づいて内燃機関1の機関回転速度を導出する。また、ECU100は、エアフローメータ101の出力信号(吸入空気量)に基づいて内燃機関1の機関負荷率(全負荷時の吸入空気量に対する実際の吸入空気量の比率)を導出する。
また、ECU100は、点火プラグ8、スロットル弁102、燃料噴射弁103、および、切換弁75等の各種機器と電気的に接続されている。ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、これらの各種機器を制御する。例えば、ECU100は、内燃機関1の機関負荷率に基づいて切換弁75を制御する。詳細には、機関負荷率が所定の閾値未満であるときは、内燃機関1の圧縮比を第1圧縮比とすべく、ECU100が、切換機構35が第1状態となるように切換弁75を制御する。一方、機関負荷率が所定の閾値以上であるときは、内燃機関1の圧縮比を第2圧縮比とすべく、ECU100が、切換機構35が第2状態となるように切換弁75を制御する。
(圧縮比変更期間中の圧縮比の推移)
ここで、内燃機関1の圧縮比を低圧縮比側(第2圧縮比側)から高圧縮比側(第1圧縮比側)、または、高圧縮比側(第1圧縮比側)から低圧縮比側(第2圧縮比側)に変更している期間である圧縮比変更期間中の圧縮比の推移について図5から8に基づいて説明す
る。図5は、内燃機関1の圧縮比を低圧縮比側(第2圧縮比側)から高圧縮比側(第1圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中における、ピストン5にかかる荷重の向きと大きさ、および、圧縮比の推移を示す図である。図6は、内燃機関1の圧縮比を低圧縮比側(第2圧縮比側)から高圧縮比側(第1圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中における、圧縮比の単位クランク角あたりの変化量(以下、単に「単位変化量」と称する場合もある。)の推移を示す図である。図7は、内燃機関1の圧縮比を高圧縮比側(第1圧縮比側)から低圧縮比側(第2圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中における、ピストン5にかかる荷重の向きと大きさ、および、圧縮比の推移を示す図である。図8は、内燃機関1の圧縮比を高圧縮比側(第1圧縮比側)から低圧縮比側(第2圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中における、圧縮比の単位変化量の推移を示す図である。なお、図5,7において、横軸はクランク角(圧縮上死点が0degおよび720degとなっている。)を表している。また、図5,7のピストンにかかる荷重において、「正」の向きは上向き(すなわち、シリンダヘッド4側に向かう向き)を表しており、「負」の向きは下向き(すなわち、シリンダヘッド4とは反対側に向かう向き)を表している。また、図6,8においても、横軸はクランク角(圧縮上死点が0degおよび720degとなっている。)を表している。また、図6,8における圧縮比の単位変化量は、圧縮比の単位変化量の推移と単位クランク角当たりの偏心部材32の回転角の変化量の推移とが近似していると仮定した上で、単位クランク角当たりの偏心部材32の回転角の変化量に基づいて算出した値である。
図5,7に示すように、圧縮上死点(圧縮TDC)前の時期(吸気行程終期)および排気上死点(排気TDC)前後の時期(排気行程終期および吸気行程初期)においては、ピストン5に対して上向きの慣性力が作用することからピストン5に対して上向きの荷重がかかる。このとき、排気上死点前後の時期においては排気バルブ12または吸気バルブ9の少なくともいずれかが開弁状態にある。そのため、排気上死点前後の時期においては、吸気バルブ9および排気バルブ12がいずれも閉弁状態にある圧縮上死点前の時期よりもピストン5に対してより大きな上向きの荷重がかかる。一方、吸気下死点(吸気BDC)前後の時期(吸気行程終期および圧縮行程初期)および膨張下死点(膨張BDC)前後の時期(膨張行程終期および排気行程初期)においては、ピストン5に対して下向きの慣性力が作用することからピストン5に対して下向きの荷重がかかる。また、圧縮上死点近傍において点火プラグ8により混合気に点火され燃焼室7内で燃料が燃焼すると、ピストン5に対して燃焼圧が作用する。圧縮上死点近傍から膨張行程初期の時期においては、この燃焼圧の作用によりピストン5に対し下向きの荷重がかかる。このとき、燃焼圧の作用によりピストン5にかかる荷重は、下向きの慣性力の作用によりピストン5にかかる荷重よりもかなり大きくなる。
そして、内燃機関1の圧縮比を低圧縮比側(第2圧縮比側)から高圧縮比側(第1圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中においては、切換機構35が上述した第1状態となっている。つまり、この圧縮比変更期間中においては、ピストン5が上向きには移動可能な状態となっているが、ピストン5の下向きの移動は制限されている。そのため、図5において破線で囲んだ部分に示すように、圧縮上死点前の時期および排気上死点前後の時期においてピストン5に対して上向きの荷重がかかった時には、ピストン5が上向きに移動し可変長コンロッド6の有効長が長くなることで、圧縮比が上昇する。一方で、吸気下死点前後の時期および膨張下死点前後の時期においてピストン5に対して下向きの慣性力が作用したとき、および、圧縮上死点近傍から膨張行程初期の時期においてピストン5に対して燃焼圧が作用したときのように、ピストン5に対して下向きの荷重がかかった時であっても、ピストン5の下向きの移動が制限されていることから、ピストン5は移動せず可変長コンロッド6の有効長は変化しないため、圧縮比も変化しない。
このように、内燃機関1の圧縮比を低圧縮比側(第2圧縮比側)から高圧縮比側(第1
圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中においては、ピストン5に対して上向きの荷重がかかった時にのみ圧縮比が上昇し、ピストン5に対して下向きの荷重がかかった時には圧縮比は変化しない。したがって、クランク角と圧縮比の単位変化量との相関は図6に示すような相関となる。つまり、圧縮上死点前の時期および排気上死点前後の時期において圧縮比の単位変化量が正の方向に大きくなり、それら以外の時期においては圧縮比の単位変化量は略零となる。また、排気上死点前後の時期においては、圧縮上死点前の時期よりもピストン5に対してより大きな上向きの荷重がかかることから、圧縮上死点前の時期よりも圧縮比の単位変化量は大きくなる。
また、内燃機関1の圧縮比を高圧縮比側(第1圧縮比側)から低圧縮比側(第2圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中においては、切換機構35が上述した第2状態となっている。つまり、この圧縮比変更期間中においては、ピストン5が下向きには移動可能な状態となっているが、ピストン5の上向きの移動は制限されている。そのため、図7において破線で囲んだ部分に示すように、吸気下死点前後の時期および膨張下死点前後の時期と、圧縮上死点近傍から膨張行程初期の時期とにおいてピストン5に対して下向きの荷重がかかった時には、ピストン5が下向きに移動し可変長コンロッド6の有効長が短くなることで、圧縮比が低下する。一方で、圧縮上死点前の時期および排気上死点前後の時期においてピストン5に対して上向きの慣性力が作用したときのように、ピストン5に対して上向きの荷重がかかった時においては、ピストン5の上向きの移動が制限されていることから、ピストン5は移動せず可変長コンロッド6の有効長は変化しないため、圧縮比も変化しない。
このように、内燃機関1の圧縮比を高圧縮比側(第1圧縮比側)から低圧縮比側(第2圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中においては、ピストン5に対して下向きの荷重がかかった時にのみ圧縮比が低下し、ピストン5に対して上向きの荷重がかかった時には圧縮比は変化しない。したがって、クランク角と圧縮比の単位変化量との相関は図8に示すような相関となる。つまり、吸気下死点前後の時期および膨張下死点前後の時期と、圧縮上死点近傍から膨張行程初期の時期とにおいて圧縮比の単位変化量が負の方向に大きくなり、それら以外の時期においては圧縮比の単位変化量は略零となる。また、圧縮上死点近傍から膨張行程初期の時期においては、吸気下死点前後の時期および膨張下死点前後の時期よりもピストン5に対してより大きな下向きの荷重がかかることから、吸気下死点前後の時期および膨張下死点前後の時期よりも圧縮比の単位変化量は大きくなる。
(圧縮比変更期間中の点火時期設定)
上述したとおり、圧縮比変更期間中においては、圧縮比が常に一定の割合(速度)で変化するわけではなく、その変化割合はクランク角に応じて異なっている。ここで、内燃機関1においては、点火プラグ8による点火時期が、圧縮比に対応した最適時期よりも過剰に早いとノッキングが生じる虞がある。一方で、点火プラグ8による点火時期が、圧縮比に対応した時期よりも過剰に遅いと燃焼状態の悪化による燃費の低下や失火を招く虞がある。そのため、点火プラグ8による点火時期を圧縮比に応じて適切な時期に設定する必要がある。そこで、本実施例では、圧縮比変更期間中において、点火時期よりも前の時点で圧縮比の推移を予測し、予測された圧縮比(予測圧縮比)に応じて点火時期を設定する。
ここで、本実施例に係る点火時期の具体的な設定手法について説明する。本実施例では、ECU100に、図6に示すような、内燃機関1の圧縮比を低圧縮比側(第2圧縮比側)から高圧縮比側(第1圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中におけるクランク角と圧縮比の単位変化量との相関を示すマップ、および、図8に示すような、内燃機関1の圧縮比を高圧縮比側(第1圧縮比側)から低圧縮比側(第2圧縮比側)に変更する際の圧縮比変更期間中におけるクランク角と圧縮比の単位変化量との相関を示すマップが記憶されている。そして、圧縮比変更期間中においては、圧縮比変更開始時点の圧縮比(すなわ
ち、第1圧縮比または第2圧縮比)に対し、これらのマップから導出される圧縮比の単位変化量を単位クランク角回転毎に積算した積算値を加算することで、現在の推定圧縮比を随時算出する。
そして、圧縮行程中の時期であって、点火時期を設定する時期として予め定められている所定の設定時期において、その時期における推定圧縮比を所定の基準圧縮比として設定する。また、圧縮比が所定の基準圧縮比であると仮定したときの最適な点火時期を基準点火時期として求める。さらに、所定の設定時期の時点で、図6または8に示すようなマップに基づいて導出される圧縮比の単位変化量を基準点火時期までの間の単位クランク角毎に積算した積算値を、所定の設定時期における推定圧縮比に加算することで、基準点火時期における圧縮比の予測値である予測圧縮比を算出する。そして、この予測圧縮比が所定の基準圧縮比より高い場合、基準点火時期では点火時期として早すぎる可能性があると判断できる。そのため、この場合は、基準点火時期を遅角補正した補正点火時期に点火時期を設定する。一方で、この予測圧縮比が所定の基準圧縮比より低い場合、基準点火時期では点火時期として遅すぎる可能性があると判断できる。そのため、この場合は、基準点火時期を進角補正した補正点火時期に点火時期を設定する。そして、所定の設定時期の後、該所定の設定時期に設定された点火時期となったタイミングで点火プラグ8による点火を実行する。
圧縮比変更期間中においては点火時期を上記のように設定することで、圧縮比変更途中の各気筒300での実際の圧縮比に応じた適切な時期に点火時期を制御することができる。その結果、ノッキングの発生や燃焼状態の悪化を抑制することができる。
(点火時期設定フロー)
以下、本実施例に係る圧縮比変更期間中における点火時期の設定フローについて図9に示すフローチャートに基づいて説明する。本フローは、ECU100に記憶されており、ECU100によって、内燃機関1の運転中、所定の間隔で繰り返し実行される。
本フローでは、先ずS101において、現在、圧縮比変更期間中であるか否かが判別される。ここで、本実施例では、圧縮比変更期間中においては、ECU100により、上述したような方法で推定圧縮比が随時算出されている。つまり、圧縮比を第2圧縮比から第1圧縮比に変更する際の圧縮比変更期間中においては、図6に示すようなマップから導出される圧縮比の単位変化量を単位クランク角回転毎に積算した積算値を第2圧縮比に加算することで、推定圧縮比が随時算出されている。また、圧縮比を第1圧縮比から第2圧縮比に変更する際の圧縮比変更期間中においては、図8に示すようなマップから導出される圧縮比の単位変化量を単位クランク角回転毎に積算した積算値を第1圧縮比に加算することで、推定圧縮比が随時算出されている。
そこで、第2圧縮比から第1圧縮比への変更が開始された時点、すなわち、第2状態にある切換機構35を第1状態とすべく切換弁75が制御された時点から、推定圧縮比が第1圧縮比に達するまでの間は、S101において圧縮比変更期間中であると判定してもよい。また、第1圧縮比から第2圧縮比への変更が開始された時点、すなわち、第1状態にある切換機構35を第2状態とすべく切換弁75が制御された時点から、推定圧縮比が第2圧縮比に達するまでの間は、S101において圧縮比変更期間中であると判定してもよい。
S101において否定判定された場合、本フローの実行は一旦終了される。この場合、内燃機関1の圧縮比は第1圧縮比または第2圧縮比となっている。そのため、点火時期は、現状の圧縮比が第1圧縮比であるか第2圧縮比であるかに応じて予め定められた最適時期に設定される。一方、S101において肯定判定された場合、次にS102において、
現在のクランク角に基づいて所定の設定時期となったか否かが判別される。上述したように、所定の設定時期は圧縮行程中の時期であって、点火時期よりも十分に前の時期として設定されており、ECU100に予め記憶されている。
S102において否定判定された場合、本フローの実行が一旦終了される。一方、S102において肯定判定された場合、S103において、現在の推定圧縮比Rcpが読み込まれる。そして、読み込まれた推定圧縮比Rcpが所定の基準圧縮比に設定される。次に、S104において、圧縮比が所定の基準圧縮比(所定の設定時期における推定圧縮比Rcp)であると仮定したときの最適な点火時期を基準点火時期Tibとして算出する。なお、圧縮比と最適な点火時期との相関は実験等に基づいて予め求められており、これらの相関がマップまたは関数としてECU100に記憶されている。S104では、このマップまたは関数を用いて、所定の基準圧縮比に対応する基準点火時期Tibが算出される。
次に、S105において、S104で算出された基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiが算出される。ここでは、上述したように、図6または8に示すようなマップに基づいて導出される圧縮比の単位変化量を基準点火時期Tibまでの間の単位クランク角毎に積算した積算値を、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpに加算することで、基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiが算出される。なお、厳密には、内燃機関1における燃焼圧に応じて、図6または8に示すような各クランク角に対する圧縮比の単位変化量は変化する。そのため、燃焼圧に影響を与える燃焼に関する各パラメータの値に応じて、各クランク角に対する圧縮比の単位変化量を補正し、その上で、該圧縮比の単位変化量を単位クランク角毎に積算してもよい。これにより、基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiをより高い精度で算出することができる。
次に、S106において、S105で算出された基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiが、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpよりも高いか否かが判別される。なお、基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiが、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpよりも所定量以上高い場合に、S106において肯定判定されるようにしてもよい。このS106において肯定判定された場合、次にS107において、基準点火時期Tibを遅角補正した補正点火時期に点火時期が設定される。なお、このときに、基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiと、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpとの差が大きいほど、基準点火時期Tibを遅角補正する際の補正量が大きくされる。その後、本フローの実行が一旦終了される。
一方、S106において否定判定された場合、次にS108の処理が実行される。S108においては、S105で算出された基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiが、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpよりも低いか否かが判別される。なお、基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiが、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpよりも所定量以上低い場合に、S108において肯定判定されるようにしてもよい。このS108において肯定判定された場合、次にS109において、基準点火時期Tibを進角補正した補正点火時期に点火時期が設定される。なお、このときに、基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiと、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpとの差が大きいほど、基準点火時期Tibを進角補正する際の補正量が大きくされる。その後、本フローの実行が一旦終了される。
一方、S108において否定判定された場合、次にS110において、基準点火時期Tibが点火時期に設定される。その後、本フローの実行が一旦終了される。
なお、上記フローにおいては、S107において基準点火時期Tibを遅角補正した補正点火時期またはS109において基準点火時期Tibを進角補正した補正点火時期を、
再度、基準点火時期Tibに設定した上で、S105以降の処理を再度実行してもよい。これによれば、圧縮比変更途中における点火時期をより適切な時期に制御することができる。
また、上述した実施例においては、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpを所定の基準圧縮比に設定した上で、圧縮比が該所定の基準圧縮比であると仮定したときの最適な点火時期を基準点火時期Tibとして算出した。しかしながら、基準点火時期Tibを算出する際に前提とする所定の基準圧縮比は、必ずしも所定の設定時期における推定圧縮比Rcpでなくてもよい。つまり、所定の設定時期における推定圧縮比Rcpよりも、圧縮比変更期間における目標圧縮比側の圧縮比(すなわち、圧縮比を第2圧縮比から第1圧縮比に変更しているときは所定の設定時期における推定圧縮比Rcpよりも高い圧縮比であり、圧縮比を第1圧縮比から第2圧縮比に変更しているときは所定の設定時期における推定圧縮比Rcpよりも低い圧縮比)を所定の基準圧縮比に設定した上で、圧縮比が該所定の基準圧縮比であると仮定したときの最適な点火時期を基準点火時期Tibとして算出してもよい。
また、圧縮比変更期間中における現在の推定圧縮比については、所定のセンサの検出値に基づいて求めることもできる。例えば、各気筒300内の圧力を検出する筒内圧センサが内燃機関1に設けられている場合は、この筒内圧センサの検出値に基づいて推定圧縮比を求めてもよい。また、各気筒300内におけるピストン5のストローク位置を検出するストロークセンサが内燃機関1に設けられている場合は、このストロークセンサの検出値に基づいて推定圧縮比を求めてもよい。ただし、これらのセンサの検出値に基づいて所定の設定時期における推定圧縮比を求める場合であっても、所定の設定時期において、基準点火時期Tibにおける予測圧縮比Rctiを算出する際には、上述した方法と同様の予測方法を用いる必要がある。
また、図6または8に示すような、圧縮比変更期間中におけるクランク角と圧縮比の単位変化量との相関は、内燃機関1の運転状態等の影響を受けて変化する場合がある。例えば、内燃機関1の機関負荷が異なれば、ピストン5に作用する燃焼圧の大きさが変化する。また、内燃機関1の機関回転速度が異なれば、ピストン5に作用する上向きの慣性力および下向きの慣性力の大きさが変化する。つまり、内燃機関1の機関負荷および機関回転速度に応じてピストン5にかかる荷重が異なることになる。さらに、吸気バルブ9または排気バルブ12のバルブタイミングを可変に制御する可変動弁機構を内燃機関1が備えている場合は、吸気バルブ9または排気バルブ12のバルブタイミングによってもピストン5にかかる荷重が変化する。また、内燃機関1が過給機を備えている場合は、過給圧によってもピストン5にかかる荷重が変化する。
そこで、上述したように、図6または8に示すようなマップから導出される圧縮比の単位変化量を積算し、その積算値を用いて推定圧縮比または予測圧縮比を算出する場合には、上記のような、ピストン5にかかる荷重に影響を及ぼす各パラメータの値を加味して、各クランク角に対応する圧縮比の単位変化量を補正し、補正した圧縮比の単位変化量を積算するようにしてもよい。これによれば、推定圧縮比または予測圧縮比の算出精度をより向上させることができる。
1 内燃機関
6 可変長コンロッド
8 点火プラグ
32 偏心部材
35 切換機構
75 切換弁
100 ECU
101 エアフローメータ
102 スロットル弁
103 燃料噴射弁

Claims (1)

  1. 可変圧縮比機構を有する内燃機関の制御システムであって、
    前記可変圧縮比機構が、コンロッドの有効長を調整することで内燃機関の機械圧縮比を変更する機構であり、機械圧縮比を所定の低圧縮比から所定の高圧縮比に変更する際には、気筒内でピストンが往復動することで生じる慣性力の作用により前記コンロッドの有効長を長くし、機械圧縮比を前記所定の高圧縮比から前記所定の低圧縮比に変更する際には、気筒内でピストンが往復動することで生じる慣性力の作用と、気筒内で燃料が燃焼することで生じる燃焼圧の作用とにより、前記コンロッドの有効長を短くする機構であって、
    圧縮比変更期間中における機械圧縮比を推定および予測する推定部と、
    点火プラグによる混合気への点火時期を設定する設定部と、を備え、
    圧縮比変更期間中においては、前記設定部が、圧縮行程中の所定の設定時期に、機械圧縮比が、前記推定部によって推定される前記所定の設定時期における推定圧縮比またはそれよりも圧縮比変更期間における目標圧縮比側の圧縮比である所定の基準圧縮比であると仮定して基準点火時期を求め、さらに、前記推定部によって予測される前記基準点火時期における予測圧縮比が前記所定の基準圧縮比と異なる場合は、前記予測圧縮比と前記所定の基準圧縮比との差に基づいて前記基準点火時期を補正した補正点火時期に点火時期を設定する内燃機関の制御システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111561401A (zh) * 2019-09-27 2020-08-21 长城汽车股份有限公司 可变压缩比发动机的控制方法及装置

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CN111561401A (zh) * 2019-09-27 2020-08-21 长城汽车股份有限公司 可变压缩比发动机的控制方法及装置

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