JP2018005989A - 蓄電デバイス電極用組成物 - Google Patents

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弘幸 森田
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Abstract

【課題】 活物質の分散性、塗工性、接着性に優れ、電解液に対する耐久性が高く、電極をスリットする際における異物の発生を抑制することが可能な蓄電デバイス電極用組成物、及び、該蓄電デバイス電極用組成物を用いた蓄電デバイス電極、蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】 蓄電デバイスの電極に用いられる蓄電デバイス電極用組成物であって、活物質、導電付与剤、増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂からなる増粘剤、結着剤及び水性媒体を含有し、前記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が5〜35モル%、水100gに対する溶解度が1g以上、かつ、カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量が0.0001モル%以下である蓄電デバイス電極用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、活物質の分散性、塗工性、接着性に優れ、電解液に対する耐久性が高く、電極をスリットする際における異物の発生を抑制することが可能な蓄電デバイス電極用組成物に関する。
また、該蓄電デバイス電極用組成物を用いた蓄電デバイス電極、蓄電デバイスに関する。
近年、携帯型ビデオカメラや携帯型パソコン等の携帯型電子機器の普及に伴い、移動用電源としての二次電池の需要が急増している。また、このような二次電池に対する小型化、軽量化、高エネルギー密度化の要求は非常に高い。
このように、繰り返し充放電が可能な二次電池としては、従来、鉛電池、ニッケル−カドミウム電池等が主流となっている。しかしながらこれらの電池は、充放電特性は優れているが、電池重量やエネルギー密度の点では、携帯型電子機器の移動用電源として充分満足できる特性を有しているとはいえない。
そこで、二次電池として、リチウム又はリチウム合金を負極電極に用いたリチウム二次電池の研究開発が盛んに行われている。このリチウム二次電池は、高エネルギー密度を有し、自己放電も少なく、軽量であるという優れた特徴を有している。
リチウム二次電池の電極は、通常、活物質とバインダーを溶媒と共に混練し、活物質を分散させてスラリーとした後、このスラリーをドクターブレード法等によって集電体上に塗布し乾燥して薄膜化することにより形成されている。
現在、特に、リチウム二次電池の電極(負極)用のバインダーとして最も広範に用いられているのが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)に代表されるフッ素系樹脂である。
しかしながら、ポリフッ化ビニリデンは電極用スラリーを製造する際、溶剤への溶解性が悪く、製造効率を著しく低下させてしまうという問題があった。
これに対して、ポリフッ化ビニリデンを溶解させるスラリー用の溶剤としてN−メチルピロリドンが一般的に用いられているが、N−メチルピロリドンは沸点が高いためスラリー乾燥工程で大量の熱エネルギーが必要となるばかりか、完全に乾燥されなかったN−メチルピロリドンが電極中に残留してしまい、電池の性能を低下させてしまうという問題があった。
かかる問題を解決するため、正極、負極に使用する電極用スラリーとして、水を溶媒として使用する水系スラリーを用いる方法が検討されている。このような方法では、水溶性バインダー樹脂としてカルボキシメチルセルロースが一般的に用いられている。
また、特許文献1には、バインダーとしてスチレン/ブタジエンラテックスを使用し、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを使用する方法が記載されている。
しかしながら、カルボキシメチルセルロースは、通常ナトリウム塩を多量に含んでいることから、当該ナトリウム塩や他の金属イオンの影響を受けて、その反応物としてゲルを生成し、このゲルが電極スラリー中(電極内部)に存在することで、長期サイクル使用時に電池性能を低下させるという問題があった。
また、ナトリウムイオンを多量に含有することで、電解液との還元分解反応が多く発生し、初期充電時に起こる電解液と負極界面の不働体膜(SEI)形成が多く堆積する。これにより、不可逆反応が大きくなり、初回クーロン効率が低下し、長期サイクル使用にあたり電池性能を低下させてしまうという問題もあった。
特開平5−74461号公報
本発明は、活物質の分散性、塗工性、接着性に優れ、電解液に対する耐久性が高く、電極をスリットする際における異物の発生を抑制することが可能な蓄電デバイス電極用組成物を提供することを目的とする。また、該蓄電デバイス電極用組成物を用いた蓄電デバイス電極、蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、蓄電デバイスの電極に用いられる蓄電デバイス電極用組成物であって、活物質、導電付与剤、増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂からなる増粘剤、結着剤及び水性媒体を含有し、前記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が5〜35モル%、水100gに対する溶解度が1g以上、かつ、カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量が0.0001モル%以下である蓄電デバイス電極用組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、蓄電デバイス電極用組成物に使用する増粘剤として、特定量のアセタール化度、溶解度を有し、かつ、カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基の量が少ないポリビニルアセタール樹脂を用いることで、活物質の分散性、塗工性、接着性に優れ、電解液に対する耐久性が高く、電極をスリットした際の電極端部の捲れを抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物は、増粘剤として、増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂を含有する。
増粘剤として従来使用されていたカルボキシメチルセルロースは、ナトリウムイオンを多量に含有することによるゲルの生成や、SEI形成の問題があったが、本発明では、ポリビニルアセタール樹脂を用いることで、活物質や他成分を良好に分散させることができるとともに、接着性に優れ、電解液に対する耐久性を高くすることが可能となる。その結果、蓄電デバイスの電極に使用した場合、電池性能を充分に引き出すことができる。
また、蓄電デバイス電極用組成物を集電体に塗工する際に、塗膜を均一なものとすることができる。
更に、電極をスリットした際の電極端部の捲れを抑制することも可能となる。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、単独アルデヒド、混合アルデヒドのいずれのアセタール化を用いる場合でも、全アセタール化度で5〜35モル%の範囲である。上記アセタール化度を5モル%以上とすることにより、活物質との親和性を下げることで活物質表面に偏在化することを防止し、また電極中の活物質間および集電体界面の接着力を充分にすることができる。上記アセタール化度を35モル%以下とすることで、分散性に優れたスラリー組成物を作製でき、該スラリー組成物を用いて得られた電極塗工物の表面平滑性を高めることができる。より好ましくは9〜30モル%である。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の好ましい下限は61モル%、好ましい上限は96モル%である。上記水酸基量を61モル%以上とすることで、電解液に対する耐性が充分なものとなり、電極を電解液中に浸した際、樹脂成分が電解液中に溶出することを防止でき、96モル%以下とすることで、工業的に合成が容易となり、水媒体中での安定性が向上して、増粘効果を充分に発揮することが可能となる。
上記水酸基量のより好ましい下限は65モル%であり、より好ましい上限は90モル%である。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量の好ましい下限が0.2モル%、好ましい上限が20モル%である。上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量を0.2モル%以上とすることで、電極の柔軟性を損なうことがなく、集電体界面及び活物質間の接着力を充分にすることができる、アセチル基量を20モル%以下とすることで、電解液に対する耐性が充分となり、電極を電解液に含浸させた際に、樹脂成分の溶出を抑制することができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は1モル%である。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂の重合度の好ましい下限は250、好ましい上限は4000である。上記重合度を250以上とすることで、増粘剤が活物質表面に吸着することなく活物質間に存在するため、活物質間の接着力を充分にすることができる。上記重合度を4000以下とすることで、増粘剤が活物質表面を被覆してしまうことがなく、活物質間の接着力を充分にすることができる。上記重合度のより好ましい下限は280、より好ましい上限は3500である。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は水100gに対する溶解度が1g以上である。
このような水への溶解性を有することで、水を溶媒とする蓄電デバイス電極用組成物に好適に使用することができる。なお、上記溶解度の好ましい下限は2gである。なお、上限については特に限定されないが、40gである。なお、上記溶解度は、20℃での溶解度をいう。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂はカルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量が0.0001モル%以下である。
このようにカルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量が極めて少ないことで、スラリー組成物を作製する際に、金属イオンや塩の影響を受けることがなく、分散性に優れたスラリー組成物を得ることができる。
また、上記カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基を有する場合、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂がアニオン性となり、金属イオンや塩の影響を受けやすく、スラリー組成物を作製する際に、ゲルが形成されることがある。
上記カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量(エーテル化度ともいう)は、試料(増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂、無水物)0.5〜0.7gを精密にはかり、磁製るつぼ中で灰化する。冷却後、上記にて得られた灰化物を500mLビーカーに移しとり、水を約250mLさらにピペットで0.05モル/L硫酸35mLを加えて30分間煮沸する。これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1モル/L水酸化カリウムで逆滴定し、下記式によって算出することができる。
A=(af−bf)/試料無水物(g)−アルカリ度
エーテル化度=162×A/10000−80A
A :試料1g中の結合アルカリに消費される0.05モル/L硫酸のmL
a :0.05モル/L硫酸の使用量(mL)
:0.05モル/L硫酸の力価
b :0.1モル/L水酸化カリウムの使用量(mL)
f :0.1モル/L水酸化カリウムの力価
また、式中、「162」はセルロース一単位当たりの分子量、「80」はCH3COONa−Hの分子量を示す。
なお、アルカリ度については、試料(無水物)1gを300mL三角フラスコに精密に量り取り、水約200mLを加えて溶かし、これに0.05モル/L硫酸5mlをピペットで加え、10分間煮沸したのち冷却して、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1モル/L水酸化カリウムで滴定した(SmL)。同時に空試験を行ない(BmL)、次の式によって算出した。
アルカリ度=(B−S)f/試料無水物(g)
上記アセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、塩酸等の酸触媒の存在下でポリビニルアルコールの水溶液に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
上記アセタール化に用いるアルデヒドとしては特に限定されず、例えばホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド又はブチルアルデヒドが、生産性と特性バランス等の点で好適である。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリビニルアルコールは、ビニルエステルとα−オレフィンとを共重合した共重合体をケン化したものであってもよい。また、更にエチレン性不飽和単量体を共重合させ、エチレン性不飽和単量体に由来する成分を含有するポリビニルアルコールとしてもよい。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とα−オレフィンを共重合し、それをケン化することによって得られる末端ポリビニルアルコールも用いることができる。上記α−オレフィンとしては特に限定されず、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、へキシレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘキシルプロピレン等が挙げられる。
また、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂はイオン性官能基を有してもよい。
上記イオン性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、及び、それらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基が好ましい。なかでも、カルボキシル基、スルホン酸基、それらの塩がより好ましく、スルホン酸基、その塩であることが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂がイオン性官能基を有することにより、活物質との親和性を下げることで活物質表面に偏在化することを防止し、分散性に優れたスラリー組成物を作製することができる。上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
なお、上記イオン性官能基には、上述したカルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基は含まれない。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基の含有量は0.01〜1mmol/gであることが好ましい。上記イオン性官能基の含有量を0.01mmol/g以上とすることにより、活物質との親和性を下げることで活物質表面に偏在化することを防止し、分散性に優れたスラリー組成物を作製することができ、1mmol/g以下とすることで、増粘剤が活物質表面に吸着することなく活物質間に存在するため、活物質層内部の接着力を充分にすることができる。上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基のより好ましい含有量は0.02〜0.5mmol/gである。上記イオン性官能基の含有量は、NMRを用いることで測定することができる。
上記イオン性官能基の存在形態については、増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂構造中に直接存在していてもよく、グラフト鎖を含むポリビニルアセタール樹脂(以下、単にグラフト共重合体ともいう)のグラフト鎖に存在していてもよい。なかでも、電解液に対する耐性および電極とした際の活物質および導電助剤の分散性を優れたものとすることが出来ることから、増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂構造中に直接存在していることが好ましい。
上記イオン性官能基がポリビニルアセタール樹脂構造中に直接存在している場合は、ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素にイオン性官能基が結合した鎖状分子構造であるか、アセタール結合を介してイオン性官能基が結合した分子構造であることが好ましく、アセタール結合を介してイオン性官能基が結合した分子構造であることが特に好ましい。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂構造中に、上記イオン性官能基を直接有するポリビニルアセタール樹脂を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記イオン性官能基を有する変性ポリビニルアルコール原料にアルデヒドを反応させアセタール化する方法、ポリビニルアセタール樹脂を作製した後、該ポリビニルアセタール樹脂の官能基に対して反応性を有する別の官能基及びイオン性官能基を持った化合物と反応させる方法等が挙げられる。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂が、アセタール結合を介してイオン性官能基を有している場合、アセタール結合とイオン性官能基が鎖状、環状のアルキル基や芳香族環により接続されていることが好ましく、なかでも、炭素数1以上のアルキレン基、炭素数5以上の環状アルキレン基、炭素数6以上のアリール基等により接続されていることが好ましく、特に、炭素数1以上のアルキレン基、芳香環により接続されていることが好ましい。
これにより、電解液に対する耐性および電極とした際の活物質および導電助剤の分散性を優れたものとすることが出来るとともに、電池とした際のバインダーの劣化が抑制されることからリチウム二次電池の放電容量の低下を抑制することができる。
上記芳香族系置換基としては、ベンゼン環、ピリジン環等の芳香環や、ナフタレン環、アントラセン環等の縮合多環芳香族基等が挙げられる。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂が、アセタール結合を介してイオン性官能基を有している場合、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は、下記式(1)で表される水酸基を有する構成単位、下記式(2)で表されるアセチル基を有する構成単位、下記式(3)で表されるアセタール基を有する構成単位、及び、下記式(4)で表されるイオン性官能基を含むアセタール基を有する構成単位を有するものであることが好ましい。
これにより、活物質および導電助剤の分散性を特に優れたものとすることができるとともに、集電体に対する接着力及び電解液に対する耐性も特に優れたものとすることができることから、蓄電デバイス電極用組成物の放電容量の低下を特に抑制することができる。
Figure 2018005989
式(3)中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、式(4)中、Rは炭素数1〜20のアルキレン基又は芳香環を表し、Xはイオン性官能基を表す。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基を有するアセタール結合の含有量は、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基の含有量が上記適性範囲となるように調整することが好ましい。増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基の含有量を上記適性範囲とするためには、例えば、1つのアセタール結合によって、1つのイオン性官能基が導入されている場合、イオン性官能基を有するアセタール結合の含有量を0.1〜10モル%程度とすることが好ましく、また、1つのアセタール結合によって、2つのイオン性官能基が導入されている場合には、イオン性官能基を有するアセタール結合の含有量を0.05〜5モル%程度とすることが好ましい。また、樹脂の柔軟性及び集電体に対する接着力を共に高いものとするために、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基を有するアセタール結合の含有量は、全アセタール結合の0.5〜20モル%であることが好ましい。
増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基の含有量を上記範囲内とすることで、蓄電デバイス電極用組成物中において、電解液に対する耐性および電極とした際の活物質および導電助剤の分散性を優れたものとすることが出来、さらに電池とした際のバインダーの劣化が抑制されることから蓄電デバイスの放電容量の低下を抑制することができる。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂構造中にアセタール結合を介してイオン性官能基を有するポリビニルアセタール樹脂を製造する方法としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール原料に上記イオン性官能基を有するアルデヒドをあらかじめ反応させた後にアセタール化する方法、ポリビニルアルコールをアセタール化する際に、アルデヒド原料に上記イオン性官能基を有するアルデヒドを混合してアセタール化する方法、ポリビニルアセタール樹脂を作成した後に上記イオン性官能基を有するアルデヒドを反応させる方法等が挙げられる。
上記イオン性官能基を有するアルデヒドとしては、スルホン酸基を有するアルデヒド、アミノ基を有するアルデヒド、リン酸基を有するアルデヒド、カルボキシル基を有するアルデヒド等が挙げられる。具体的には例えば、4−ホルミルベンゼン−1,3−ジスルホン酸二ナトリウム、4−ホルミルベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−ホルミルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−ピリジンカルバルデヒド塩酸塩、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド塩酸塩、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド塩酸塩、ベタインアルデヒドクロリド、(2−ヒドロキシ−3−オキソプロポキシ)リン酸、5−リン酸ピリドキサール、テレフタルアルデヒド酸、イソフタルアルデヒド酸等が挙げられる。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール結合を介してイオン性官能基を有しており、イオン性官能基はスルホン酸基又はその塩であり、アセタール結合とイオン性官能基がベンゼン環によって接続されていることが特に好ましい。上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂がこのような分子構造を有することで、電極とした際の活物質および導電助剤の分散性、電池とした際のバインダーの耐久性を特に優れたものとすることができる。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂が、ポリマーの主鎖を構成する炭素にイオン性官能基が結合した鎖状分子構造である場合、下記一般式(5)に示す構造単位を有することが好ましい。上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂が下記一般式(5)に示す構造単位を有することで、電池とした際のバインダーの耐久性を特に優れたものとすることができる。
Figure 2018005989
式(5)中、Cはポリマー主鎖の炭素原子を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上のアルキレン基を表し、Rはイオン性官能基を表す。
上記Rとしては特に水素原子が好ましい。
上記Rとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられる。なかでも、上記Rはメチレン基であることが好ましい。
上記Rは、ヘテロ原子を有する置換基によって置換された構造であってもよい。上記置換基としては、エステル基、エーテル基、スルフィド基、アミド基、アミン基、スルホキシド基、ケトン基、水酸基等が挙げられる。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂構造中にイオン性官能基が直接存在するポリビニルアセタール樹脂を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記イオン性官能基を有する変性ポリビニルアルコール原料にアルデヒドを反応させアセタール化する方法、ポリビニルアセタール樹脂を作製した後、該ポリビニルアセタール樹脂の官能基に対して反応性を有する別の官能基及びイオン性官能基を持った化合物と反応させる方法等が挙げられる。
上記イオン性官能基を有する変性ポリビニルアルコールを作製する方法としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステルモノマーと、下記一般式(6)に示す構造を有するモノマーとを共重合化させた後、得られた共重合樹脂のエステル部位をアルカリ又は酸によりケン化する方法が挙げられる。
Figure 2018005989
式(6)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上のアルキレン基を表し、Rはイオン性官能基を表す。
上記一般式(6)に示す構造を有するモノマーとしては特に限定されず、例えば、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、9−デセン酸等のカルボキシル基と重合性官能基を有するもの、アリルスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸等のスルホン酸基と重合性官能基を有するもの、N,N−ジエチルアリルアミン等のアミノ基と重合性官能基を有するもの、およびこれらの塩等が挙げられる。
なかでも、アリルスルホン酸及びその塩を用いた場合、電解液に対する耐性および電極とした際の活物質および導電助剤の分散性を優れたものとすることが出来、さらに電池とした際のバインダーの劣化が抑制されることから蓄電デバイスの放電容量の低下を抑制することができるため好適である。特に、アリルスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記Rとしては特に水素原子が好ましい。
上記Rとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられる。なかでも、上記Rはメチレン基であることが好ましい。
上記Rは、ヘテロ原子を有する置換基によって置換された構造であってもよい。上記置換基としては、エステル基、エーテル基、スルフィド基、アミド基、アミン基、スルホキシド基、ケトン基、水酸基等が挙げられる。
上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中の上記一般式(5)に示す構造単位の含有量は、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基の含有量が上記適性範囲となるように調整することが好ましい。増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基の含有量を上記適性範囲とするためには、例えば、上記一般式(5)によって、1つのイオン性官能基が導入されている場合、上記一般式(5)に示す構造単位の含有量を0.05〜5モル%程度とすることが好ましく、また、上記一般式(5)によって、2つのイオン性官能基が導入されている場合、上記一般式(5)に示す構造単位の含有量を0.025〜2.5モル%程度とすることが好ましい。
増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂中のイオン性官能基の含有量を上記範囲内とすることで、電解液に対する耐性および電極とした際の活物質および導電助剤の分散性を優れたものとすることが出来、さらに電池とした際のバインダーの劣化が抑制されることから蓄電デバイスの放電容量の低下を抑制することができる。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物中の上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂の含有量は特に限定されないが、活物質100重量部に対して、好ましい下限は0.3重量部、好ましい上限は10重量部である。上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂の含有量を0.3重量部以上とすることで、分散性に優れたスラリー組成物を作製でき、該スラリー組成物を用いて得られた電極塗工物の表面平滑性を高めることができ、10重量部以下とすることで、電極の柔軟性を損なうことがなく、集電体界面および活物質間の接着力を充分にすることができる。より好ましくは、1〜5重量部である。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物は、結着剤を含有する。
上記結着剤としては、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂以外のポリビニルアセタール系樹脂のほか、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)等のジエン系ゴム、スチレンアクリル酸エステル(St−Ac)、ポリアクリル酸(PAANa)等のアクリル系ゴム、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミドイミド等が挙げられる。
なかでも、ポリビニルアセタール系樹脂が好ましい。
本発明では、バインダー(結着剤)の樹脂成分としてポリビニルアセタール系樹脂を用いることで、活物質に引力的相互作用が働き、少量のバインダー量で活物質を固定化することが出来る。また、導電助剤とも引力的相互作用を及ぼし、活物質、導電助剤間距離をある一定範囲にとどめることが出来る。このように活物質と導電助剤との距離を程よいものとすることで、活物質の分散性が大幅に改善される。
更に、PVDF等の樹脂を用いる場合と比較して、集電体との接着性を著しく向上させることができる。加えて、カルボキシメチルセルロースを用いる場合と比較して、活物質の分散性、接着性に優れ、バインダーの添加量が少ない場合でも充分な効果を発揮することができる。
なお、上記結着剤としてポリビニルアセタール系樹脂を使用する場合、上記ポリビニルアセタール系樹脂と、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂とは異なるものを使用することが好ましい。
上記結着剤としてポリビニルアセタール系樹脂を使用する場合、上記ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、36〜69モル%であることが好ましい。
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂の水酸基量は、30〜60モル%であることが好ましい。
更に、上記ポリビニルアセタール系樹脂の100gに対する溶解度は、1g未満であることが好ましい。
なお、上記ポリビニルアセタール系樹脂の重合度、アセチル基量については、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂と同程度とすることが好ましく、特に重合度1100、アセチル基量1.5モル%であることが好ましい。
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂は、イオン性官能基を有することが好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂に含まれるイオン性官能基の含有量、イオン性官能基を有するアセタール結合の含有量は、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂と同程度とすることが好ましく、特に、イオン性官能基の含有量が0.2mmol/g、イオン性官能基を有するアセタール結合の含有量が2.8モル%であることが好ましい。
上記結着剤としてポリビニルアセタール系樹脂を使用する場合、ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子形状を有していることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径は10〜500nmであることが好ましい。上記体積平均粒子径が500nmを超えると電極とした際の活物質および導電助剤の分散性が低下し、蓄電デバイスの放電容量が低下することがある。一方で10nm未満であると、活物質および導電助剤の表面をバインダーが全て覆ってしまう場合があり、電解液が活物質と接触しにくくなることから、蓄電デバイスを大電流で使用した際にイオンの伝導性が低下し、電池容量の低下が発生することがある。ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子のより好ましい体積平均粒子径は15〜300nmであり、さらに好ましい体積平均粒子径は15〜200nmである。
なお、上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置や透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等を用いて測定することができる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径は、CV値の上限が40%であることが好ましい。CV値が40%を超えると、大きな粒子径を持った微粒子が存在することとなり、該大粒径粒子が沈降することによって安定な蓄電デバイス電極用組成物を得ることができなくなる場合がある。
上記CV値の好ましい上限は35%、より好ましい上限は32%、更に好ましい上限は30%である。なお、CV値は、標準偏差を体積平均粒子径で割った値の百分率(%)で示される数値である。
上記結着剤としてポリビニルアセタール系樹脂を使用する場合、その製造方法としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアセタール系樹脂を作製する工程を行った後、上記ポリビニルアセタール系樹脂をテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルや、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のポリビニルアセタール系樹脂が溶解する有機溶剤に溶解させ、次いで、水等の貧溶媒を少量ずつ添加し、加熱及び/又は減圧して有機溶剤を除去することによりポリビニルアセタール系樹脂を析出させて微粒子を作製する方法、大量の水に上記ポリビニルアセタール系樹脂が溶解した溶液を添加した後に必要に応じて加熱及び/又は減圧して有機溶剤を除去し、ポリビニルアセタール樹脂を析出させて微粒子を作製する方法、ポリビニルアセタール系樹脂を該ポリビニルアセタール系樹脂のガラス転移温度以上で加熱してニーダー等で混練しながら、加熱加圧下で水を少量ずつ添加して混練する方法等が挙げられる。
なかでも、得られるポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径が小さく、粒子径分布が狭い微粒子を得ることができるため、上記ポリビニルアセタール系樹脂を有機溶剤に溶解した後にポリビニルアセタール系樹脂を析出させて微粒子を作製する方法が好ましい。
なお、上記製造方法では、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子を作製し、乾燥した後に水性媒体に分散させてもよく、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の作製時に使用した溶媒をそのまま水性媒体として使用してもよい。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物中の上記結着剤の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は12重量%である。上記結着剤の含有量を0.1重量%以上とすることで、上記結着剤を活物質と混合して蓄電デバイス電極用組成物とした際の集電体への接着力が充分なものとなり、12重量%以下とすることで、粒子同士の合着が発生することによる活物質の分散性の低下を防止することができ、蓄電デバイスの放電容量を抑制可能となる。より好ましくは、0.3〜5重量%である。
本発明の蓄電デバイス電極用バインダーは、水性媒体を含有する。
分散媒として水性媒体を用いることで、電極に残留する溶媒を限りなく減らすことが出来、蓄電デバイスを作製することが可能となる。
なお、本発明の蓄電デバイス電極用組成物では、水性媒体は水のみであってもよく、上記水に加えて、水以外の溶媒を添加してもよい。
上記水以外の溶媒としては、水への溶解性を有しており、なおかつ揮発性の高いものがよく、例えば、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、エタノール、メタノール等のアルコール類が挙げられる。上記溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記水以外の溶媒添加量の好ましい上限は水100重量部に対して30重量部であり、より好ましい上限は20重量部である。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物は、活物質を含有する。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物は、正極、負極のいずれの電極に使用してもよく、また、正極および負極の両方に使用してもよい。従って、活物質としては、正極活物質、負極活物質がある。
上記正極活物質としては、例えば、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム含有複合金属酸化物が挙げられる。具体的には例えば、LiNiO、LiCoO、LiMn、LiFeO等が挙げられる。
なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記負極活物質としては、例えば、従来からリチウム二次電池の負極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、天然グラファイト(黒鉛)、人造グラファイト、 アモルファス炭素、カーボンブラック、または、これらの成分に異種元素を添加したもの等が挙げられる。なかでも、黒鉛が好ましく、特に球状天然黒鉛が好ましい。
また、リチウムイオン吸蔵能力の高いシリコン(Si、SiO、Si合金)を負極活物質として用いてもよい。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物は、導電助剤を含有することが好ましい。
上記導電助剤は、蓄電デバイスを高出力化するために用いられるものであり、正極に使用する場合、負極に使用する場合に応じて適当なものを使用することができる。
上記導電助剤としては、例えば、黒鉛、アセチレンブラック、 カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維等が挙げられる。なかでも、アセチレンブラックが好ましい。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物は、蓄電デバイスの電極材料として使用される組成物である。
上記蓄電デバイスとしては、リチウム二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等が挙げられる。なかでも、リチウム二次電池、リチウムイオンキャパシタに特に好適に使用することができる。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物には、上述した活物質、導電助剤、増粘剤、結着剤、水性媒体以外にも、必要に応じて、難燃助剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤のような添加剤を添加してもよい。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、上記活物質、導電助剤、増粘剤、結着剤、水性媒体及び必要に応じて添加する各種添加剤をボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いて混合する方法が挙げられる。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物は、例えば、導電性基体上に塗布し、乾燥する工程を経ることで、蓄電デバイス電極が形成される。このような蓄電デバイス電極用組成物を用いて得られる蓄電デバイス電極、該蓄電デバイス電極を用いて得られる蓄電デバイスもまた本発明の1つである。
本発明の蓄電デバイス電極用組成物を導電性基体上に塗布する際の塗布方法としては、例えば、押出しコーター、リバースローラー、ドクターブレード、アプリケーターなどをはじめ、各種の塗布方法を採用することができる。
本発明によれば、活物質の分散性、塗工性、接着性に優れ、電解液に対する耐久性が高く、電極をスリットする際における異物の発生を抑制することが可能な蓄電デバイス電極用組成物、及び、該蓄電デバイス電極用組成物を用いた蓄電デバイス電極、蓄電デバイスを提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(蓄電デバイス正極用組成物の調製)
正極活物質としてマンガン酸リチウム(日本化学工業社製、セルシードC−5H)50重量部、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を1重量部、増粘剤としてポリビニルアセタール樹脂Aを1重量部、結着剤としてポリビニルアセタール系樹脂(重合度1100、ブチラール化度51.7モル%、水酸基量44モル%、アセチル基量1.5モル%、イオン性官能基を有するアセタール結合水100gに対する溶解度は0g、カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量は0モル%)1.8重量部を加えて混合し、蓄電デバイス正極用組成物を得た。
なお、ポリビニルアセタール樹脂AをNMRにより測定したところ、アセタール化度5.0モル%、水酸基量94.0モル%、アセチル基量1.0モル%、水100gに対する溶解度は35g、カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量は0モル%であった。
Figure 2018005989
(実施例2〜6、比較例1〜4)
増粘剤の種類、添加量を表2、及び、表3に示すものに変更したこと以外は実施例1と同様にして、蓄電デバイス正極用組成物を得た。なお、増粘剤の種類の詳細については、表1に示す。
(実施例7)
(蓄電デバイス負極用組成物の調製)
負極活物質として球状天然黒鉛(日本黒鉛工業社製、CGB−10)50重量部、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を1重量部、増粘剤としてポリビニルアセタール樹脂Aを1重量部、結着剤としてポリビニルアセタール系樹脂(重合度1100、ブチラール化度51.7モル%、水酸基量44モル%、アセチル基量1.5モル%、水100gに対する溶解度は0g、カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量は0モル%)を1.8重量部を加えて混合し、蓄電デバイス負極用組成物を得た。
(実施例8〜18、25、26、比較例5〜13)
増粘剤の種類、結着剤の種類、添加量を表2、及び、表3に示すものに変更したこと以外は実施例7と同様にして、蓄電デバイス負極用組成物を得た。
なお、実施例13〜18、比較例10〜13では、結着剤としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックス(体積平均粒子径180nm、固形分率50重量%)を使用した。
また、比較例9では、増粘剤としてグアーガム(和光純薬社製)を使用した。
(実施例19〜24、比較例14〜17)
負極活物質として、球状天然黒鉛(日本黒鉛工業社製、CGB−10)45重量部及びシリコン(SiO、大阪チタニウムテクノロジーズ社製)5重量部を使用するとともに、増粘剤の種類、添加量を表2、及び、表3に示すものに変更したこと以外は実施例7と同様にして、蓄電デバイス負極用組成物を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた蓄電デバイス電極用組成物(正極用、負極用)について以下の評価を行った。結果を表2、及び、表3に示した。
(1)分散性(平均分散径)
得られた蓄電デバイス電極用組成物10重量部と水90重量部を混合、希釈した後、超音波分散機(エスエヌディ社製、「US−303」)にて10分間撹拌した。その後レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所社製、LA−910)を用いて粒度分布測定を行い、平均分散径を測定した。
(2)チクソトロピックインデックス(TI値)
実施例及び比較例で得られた蓄電デバイス電極用組成物について、B型粘度計(BR00KFIELD社製、DV−II+Pro型)を用いて25℃、6rpmの条件で粘度を測定した。同様に、B型粘度計を用いて25℃、60rpmの条件で粘度を測定し、6rpmの条件で測定した粘度を、60rpmの条件で測定した粘度で除することによりチクソトロピックインデックス(TI値)を算出した。なお、TI値は、作製直後/作製1時間後/作製3時間後について測定した。
(3)接着性(剥離力)
実施例1〜6、比較例1〜4で得られた蓄電デバイス正極用組成物については、アルミ箔に対する接着性を評価し、実施例7〜26、比較例5〜17で得られた蓄電デバイス負極用組成物については、銅箔に対する接着性を評価した。
(3−1)アルミ箔に対する接着性
アルミ箔(厚み15μm)の上に、乾燥後の膜厚が40μmとなるように蓄電デバイス正極用組成物を塗工、乾燥し、アルミ箔上に電極がシート状に形成された試験片を得た。
このサンプルを縦10cm、横5cmに切り出し、AUTOGRAPH(島津製作所社製、「AGS−J」)を用い、試験片を固定しながら電極シートを引き上げ、アルミ箔から完全に電極シートが剥離するまでに要する剥離力(N)を計測した。
(3−2)銅箔に対する接着性
上記「(3−1)アルミ箔に対する接着性」において、アルミ箔を銅箔(厚み15μm)に変更した以外は全く同じ方法にて剥離力を計測した。
(4)電極材捲れ性
上記「(3)接着性(剥離力)」で得られた試験片をφ1.5mmの丸棒に巻き付け、100回連続して擦った時の電極端部の捲れを目視にて以下の基準で評価した。
○○:折り曲げ部には捲れがない
○:折り曲げ部には捲れがあるが、下地(アルミ箔、銅箔)は確認できない
△:折り曲げ部には捲れがあり、下地(アルミ箔、銅箔)が確認できる
(5)電池性能評価
(5−1)実施例1〜6、比較例1〜4
(a)コイン電池の作製
実施例1〜6、比較例1〜4で得られた蓄電デバイス正極用組成物を厚さ15μmのアルミ箔に均一に塗布、乾燥し、これをφ16mmに打ち抜いて正極層を得た。
電解液としてLiPF(1M)を含有するエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(体積比1:1)を用い、該電解液を正極層に含浸させた後、この正極層を正極集電体上に置き、さらにその上に電解液を含浸させた厚さ25mmの多孔質PP膜(セパレータ)を置いた。
更に、この上に負極層となるリチウム金属板を置き、この上に絶縁パッキンで被覆された負極集電体を重ね合わせた。この積層体を、かしめ機により圧力を加え、密閉型のコイン電池を得た。
(b)放電容量評価、及び、充放電サイクル評価
得られたコイン電池について、(宝泉社製、充放電試験装置)を用いて放電容量評価、及び、充放電サイクル評価を行った。
この放電容量評価、充放電サイクル評価は電圧範囲2.7〜4.2V、評価温度は25℃と50℃で行った。なお、充放電サイクル評価は、初回の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の割合より算出した。
なお、比較例1については、セルに電解液を注入したところ、樹脂成分の溶出によって、電極からの活物質の剥がれが確認された。この状態で、二次電池の作製および放電容量の評価を行ったが、充放電ができなかったため、「測定不能」とした。
また、比較例2については、水への溶解度が低く、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂が溶け残った状態であったため、該スラリー組成物を用いて得られた電極塗工物として、電極内部でのスラリー組成物の分散性が乏しかった。この状態で、二次電池の作製および放電容量の評価を行ったが、充放電ができなかったため、「測定不能」とした。
(5−2)実施例7〜26、比較例5〜17
実施例7〜26、比較例5〜17で得られた蓄電デバイス負極用組成物を厚さ15μmの銅箔に均一に塗布、乾燥し、これをφ16mmに打ち抜いて負極層を得た。
得られた負極層を用いた以外は、(5−1)と同じ方法にて密閉型のコイン電池を得た後、放電容量評価、及び、充放電サイクル評価を行った。なお、充放電サイクル評価は、初回の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の割合より算出した。
なお、比較例5、10、14については、セルに電解液を注入したところ、樹脂成分の溶出によって、電極からの活物質の剥がれが確認された。この状態で、二次電池の作製および放電容量の評価を行ったが、充放電ができなかったため、「測定不能」とした。
また、比較例6、11、15については、水への溶解度が低く、上記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂が溶け残った状態であったため、該スラリー組成物を用いて得られた電極塗工物として、電極内部でのスラリー組成物の分散性が乏しかった。この状態で、二次電池の作製および放電容量の評価を行ったが、充放電ができなかったため、「測定不能」とした。
Figure 2018005989
Figure 2018005989
本発明によれば、活物質の分散性、塗工性、接着性に優れ、電解液に対する耐久性が高く、電極をスリットする際における異物の発生を抑制することが可能な蓄電デバイス電極用組成物、及び、該蓄電デバイス電極用組成物を用いた蓄電デバイス電極、蓄電デバイスを提供できる。

Claims (7)

  1. 蓄電デバイスの電極に用いられる蓄電デバイス電極用組成物であって、
    活物質、導電付与剤、増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂からなる増粘剤、結着剤及び水性媒体を含有し、
    前記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が5〜35モル%、水100gに対する溶解度が1g以上、かつ、カルボキシメチル基又はその塩により置換された水酸基量が0.0001モル%以下である
    ことを特徴とする蓄電デバイス電極用組成物。
  2. 結着剤は、前記増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂以外のポリビニルアセタール系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレンアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル及びポリアミドイミドからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  3. 増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が250〜4000であることを特徴する請求項1又は2記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  4. 増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が61〜96モル%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  5. 活物質100重量部に対して、増粘剤用ポリビニルアセタール樹脂を0.3〜10重量部含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の蓄電デバイス電極用組成物を用いてなることを特徴とする蓄電デバイス電極。
  7. 請求項6記載の蓄電デバイス電極を用いてなることを特徴とする蓄電デバイス。
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