以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。
以下では、現金自動取引装置1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統轄制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1−2.紙幣入出金機の内部構成]
紙幣入出金機10は、図2に示すように、制御部12が各部(シャッタ30、紙幣入出金部16、搬送部24、鑑別部18、一時保留部20、紙幣カセット26、リジェクト庫28及び取忘れ回収庫22)を統轄制御する。
制御部12は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また制御部12は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10の内部には、上側に紙幣入出金部16、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部18、入金紙幣等を一時的に保留する一時保留部20及び取引時に顧客が紙幣入出金部16から取り忘れた紙幣を回収して格納する取忘れ回収庫22等が設けられている。
搬送部24は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短辺方向に搬送する。搬送部24は、鑑別部18を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、該鑑別部18の後側と一時保留部20、取忘れ回収庫22及び紙幣入出金部16とをそれぞれ接続している。また搬送部24は、鑑別部18の前側と紙幣入出金部16、紙幣カセット26及びリジェクト庫28とを接続している。
鑑別部18は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を制御部12(図1)へ通知する。これに応じて制御部12は、取得した鑑別結果に基づいて該紙幣の搬送先を決定する。
一時保留部20は、入金時に顧客が紙幣入出金部16へ投入した紙幣を一時的に保留し、鑑別部18で入金可能と鑑別された正常紙幣を入金が確定するまで一時的に保留する一方、入金不可と鑑別されたリジェクト紙幣を、所謂後入れ先出しで紙幣入出金部16へ排出する。
また紙幣入出金機10の内部には、下側に金種別の紙幣カセット26と、鑑別部18において破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣を格納するリジェクト庫28とが設けられている。
紙幣カセット26は、収納排出機構により、搬送部24から搬送されてきた紙幣を取り込んで収納すると共に、収納されている紙幣を排出して搬送部24へ供給する。
[1−3.紙幣入出金部の構成]
図3乃至図6に示すように、紙幣入出金部16は主に、紙幣収容部32、ビルプレス34、プールガイド36、繰出部38、集積部40、フロアガイド42、フレーム44(44L及び44R)、サイドガイド46(46L及び46R)、プールガイド駆動部48及びビルプレス駆動部50により構成されている。なお図3乃至図7は何れも紙幣入出金部16の図であるが、説明の都合上、図3及び図4は、プールガイド36に関係する機構以外の一部の部材を省略し、図5、図6及び図7は、ビルプレス34に関係する機構以外の一部の部材を省略して表している。また図3及び図4においてはビルプレス34を破線で示し、図5、図6及び図7においてはプールガイド36を破線で示している。さらに図3乃至図7においてはフレーム44Lの右側の部材を透過的に示している。以下では、ビルプレス34及びプールガイド36が、上下方向に対し正常な状態(正常に立位している状態)を上下方向正常状態とも呼び、左右方向に対し正常な状態を幅方向正常状態とも呼ぶ。
紙幣収容部32は、紙幣を立位の状態で収容する空間であり、プールガイド36、ビルプレス34、フロアガイド42及びサイドガイド46により囲まれて構成される。また、紙幣収容部32は、シャッタ30が後方へ移動することにより入出金口5を介し外部へ露出する一方、該シャッタ30が前方へ移動することにより外部から遮蔽される。
フロアガイド42は、紙幣収容部32の下側において前後方向の中央部が前後方向に沿って延びることにより、上側に立位の状態で紙幣を収容すると共に、前端及び後端が下方向へ湾曲することにより、それぞれ繰出口55及び集積口58から紙幣を通過させる。
フレーム44は、紙幣収容部32のそれぞれ左側及び右側においてフレーム44L及び44Rが前後方向に沿って延びることにより、プールガイド駆動部48及びビルプレス駆動部50等の各種機構を固定させる。以下ではフレーム44L及び44Rをまとめてフレーム44とも呼ぶ。
図3及び図4に示すように、フレーム44Lにおけるプールガイド36の左方には、プールガイドスライド溝60Lが前後方向に直線状に延びるよう穿設されている。また、フレーム44Rにおけるプールガイド36の右方には、プールガイドスライド溝60Rが前後方向に直線状に延びるよう穿設されている。以下ではプールガイドスライド溝60L及び60Rをまとめてプールガイドスライド溝60とも呼ぶ。プールガイドスライド溝60は、プールガイド36における、後述するプールガイドドライブギア83のローラ部83rと、プールガイドアイドルギア84のローラ部84rとをスライド可能に嵌め込むことにより、プールガイド36を支持して移動を案内する。
フレーム44Lの左側面におけるプールガイドスライド溝60Lの上側近傍には、該プールガイドスライド溝60Lの前端の上側から後端の上側までに亘って前後方向に沿って直線状に延びるプールガイドラック80Lが固定されている。プールガイドラック80Lの下面には、左右方向に沿って突設された突起が前端から後端まで前後方向に並んだ歯面が形成されている。フレーム44Rの右側面におけるプールガイドスライド溝60Rの上側近傍には、該プールガイドスライド溝60Rの前端の上側から後端の上側までに亘って前後方向に沿って直線状に延びる、プールガイドラック80Lと同様のプールガイドラック80Rが固定されている。以下ではプールガイドラック80L及び80Rをまとめてラックとしてのプールガイドラック80とも呼ぶ。このプールガイドラック80Lとプールガイドラック80Rとは、互いの歯面の前後方向の位置が揃うように、すなわち互いに同じ位相となるように配置されている。
図5及び図6に示すように、フレーム44Lにおけるプールガイドスライド溝60Lの下側でありビルプレス34の左方には、ビルプレススライド溝62Lが前後方向に延びるよう穿設されている。また、フレーム44Rにおけるプールガイドスライド溝60Rの下側でありビルプレス34の右方には、ビルプレススライド溝62Rが前後方向に延びるよう穿設されている。以下ではビルプレススライド溝62L及び62Rをまとめてビルプレススライド溝62とも呼ぶ。ビルプレススライド溝62は、フロアガイド42の前後方向の中央部と平行に前後方向に直線状に延びるよう直線部62Sが前側に形成され、該直線部62Sの後端から後方に向かって上方へ傾斜する曲折部62Iが形成されている。曲折部62Iは、後述するプレッシャローラ57の上部に位置している。ビルプレススライド溝62は、ビルプレス34における、後述するビルプレスギアプーリ88のローラ部88rとビルプレスプーリ89のローラ部89rとをスライド可能に嵌め込むことにより、ビルプレス34を支持して移動を案内する。紙幣入出金部16は、ビルプレススライド溝62の直線部62Sにおいてビルプレスギアプーリ88及びビルプレスプーリ89をスライドさせることにより、フロアガイド42に対してビルプレス34を平行に移動させる。また紙幣入出金部16は、図7に示すように、ビルプレススライド溝62の曲折部62Iにおいてビルプレスプーリ89をスライドさせることにより、ビルプレス34を回動させる。
フレーム44Lの左側面におけるビルプレススライド溝62Lの上側近傍には、該ビルプレススライド溝62Lにおける直線部62Sの前端の上側から後端の上側までに亘って前後方向に沿って直線状に延びるビルプレスラック86Lが固定されている。ビルプレスラック86Lの下面には、左右方向に沿って突設された突起が前端から後端まで前後方向に並んだ歯面が形成されている。フレーム44Rの右側面におけるビルプレススライド溝62Rの上側近傍には、該ビルプレススライド溝62Rにおける直線部62Sの前端の上側から後端の上側までに亘って前後方向に沿って直線状に延びる、ビルプレスラック86Lと同様のビルプレスラック86Rが固定されている。以下ではビルプレスラック86L及び86Rをまとめてラックとしてのビルプレスラック86とも呼ぶ。このビルプレスラック86Lとビルプレスラック86Rとは、互いの歯面の前後方向の位置が揃うように、すなわち互いに同じ位相となるように配置されている。
サイドガイド46は、紙幣収容部32のそれぞれ左側及び右側においてサイドガイド46L及び46Rが前後方向に沿って延びるようにフレーム44L及び44Rに固定されることにより、紙幣収容部32に収容された紙幣の左側及び右側をガイドする。以下ではサイドガイド46L及び46Rをまとめてサイドガイド46とも呼ぶ。
繰出部38は、ピックアップローラ52、フィードローラ53及びゲートローラ54により構成されている。ピックアップローラ52は、紙幣収容部32の前側におけるフロアガイド42の上方に設けられ、その外周面の一部にゴム等の摩擦係数の大きい高摩擦部材が取り付けられており、図3中反時計回り(繰出方向)に回転することにより、フロアガイド42上の立位状態の紙幣を搬送部24(図2)側に送り出す。フィードローラ53は、ピックアップローラ52に対し紙幣の繰出方向の下流側である下側に設けられ、その外周面の一部にゴム等の摩擦係数の大きい高摩擦部材が取り付けられており、図3中反時計回り(繰出方向)に回転することにより、ピックアップローラ52によって送り出された紙幣を繰出口55を介して搬送部24(図2)へと繰り出す。ゲートローラ54は、フィードローラ53の後側に対向配置され、紙幣の繰出時には回転しないことにより紙幣収容部32から送り出されてきた紙幣を1枚ずつ分離する一方、紙幣収容部32へ紙幣を戻す紙幣戻しの際にはフィードローラ53と共に回転することにより、紙幣を搬送部24から紙幣収容部32内に戻す。
集積部40は、紙幣収容部32の後側に設けられた集積ローラ56と、該集積ローラ56の後側に対向配置されたプレッシャローラ57とにより構成されている。集積部40は、集積ローラ56を図3中時計回り(集積方向)に、プレッシャローラ57を図3中反時計回り(集積方向)にそれぞれ回転させることにより、出金処理で顧客に払い出す紙幣や、入金処理におけるリジェクト紙幣が搬送部24(図2)によって紙幣入出金部16へと搬送されてきた際に、集積口58を介して該紙幣を紙幣収容部32へ集積させる。
集積ローラ56の回転軸である集積ローラ軸には、ゴム等の弾性部材で形成された舌片59が、左右方向に所定の間隔を空けて複数本設けられている。この舌片59は、集積ローラ56と共に図3中時計回りに回転することにより、紙幣収容部32へ送り出された紙幣の下端部分を叩き、該紙幣をプールガイド36側に沿わせて移動させる。
[1−4.プールガイドの構成]
プールガイド36は、側面視で略台形状の部材であり、紙幣収容部32内の紙幣の面とほぼ平行な平面であるプールガイド紙幣当接面36Sが形成されており、紙幣収容部32の前側において紙幣の繰出方向の直交方向(すなわち前後方向)に往復移動可能に構成されている。プールガイド36はプールガイド紙幣当接面36Sの一部に図示しない孔部が穿設されており、紙幣を繰り出す際、該孔部からピックアップローラ52の外周が紙幣収容部32内に突出する位置まで移動する。
プールガイド36における紙幣収容部32側(後側)には、円筒形状のプールガイドカウンタシャフト81が、プールガイド軸受82R及び82Lを介して該プールガイド36に対し回転可能に取り付けられている。プールガイドカウンタシャフト81は、プールガイドラック80Rからプールガイドラック80Lまで左右方向に沿って延設している。以下ではプールガイド軸受82R及び82Lをまとめてプールガイド軸受82とも呼ぶ。
プールガイドカウンタシャフト81の右端部には、プールガイドドライブギア83Rが該プールガイドカウンタシャフト81と共に回転するよう固定されている。プールガイドドライブギア83Rは、左右内側に形成されたローラ部83rと、該ローラ部83rに対し左右外側に形成されたギア部83gとにより構成されている。ローラ部83rは、プールガイドスライド溝60Rの上下幅よりも僅かに小さい外形の円筒形状のローラであり、該プールガイドスライド溝60Rの内部に嵌ることにより、回転しつつ前後方向に移動する。ギア部83gは、ローラ部83rと一体化した歯車であり、プールガイドラック80Rの歯面と噛合することにより、回転しつつ前後方向に移動する。
プールガイドカウンタシャフト81の左端部には、プールガイドドライブギア83Lが該プールガイドカウンタシャフト81と共に回転するよう固定されている。プールガイドドライブギア83Lは、プールガイドドライブギア83Rとほぼ同様に構成されている。以下ではプールガイドドライブギア83R及び83Lをまとめてプールガイドドライブギア83とも呼ぶ。
プールガイドカウンタシャフト81は、プールガイドドライブギア83Rとプールガイドドライブギア83Lとがそれぞれプールガイドラック80Rとプールガイドラック80Lとにおける前後方向の同じ位置の歯面と噛合することにより、プールガイドドライブギア83Rとプールガイドドライブギア83Lとの前後方向の位置、すなわちプールガイド36における右端部と左端部との前後方向の位置とを同期させる。これによりプールガイドカウンタシャフト81は、プールガイド36の幅方向正常状態に対する傾き(すなわち平面視での回転)を規制し、プールガイド紙幣当接面36Sが左右方向に沿う状態を保つことができる。
プールガイド36の右側面からは、円筒形状のスライドピン64Rが、プールガイドカウンタシャフト81と前後方向に並ぶように該プールガイドカウンタシャフト81よりも紙幣収容部32から離隔する側(前側)において右方向へ突設している。またプールガイド36の左側面からは、円筒形状のスライドピン64Lが、プールガイドカウンタシャフト81と前後方向に並ぶように該プールガイドカウンタシャフト81の前側において左方向へ突設している。以下ではスライドピン64R及び62Lをまとめてスライドピン64とも呼ぶ。
スライドピン64Rの右端部には、プールガイドアイドルギア84Rが該スライドピン64Rに対し回転可能に取り付けられている。プールガイドアイドルギア84Rは、左右内側に形成されたローラ部84rと、該ローラ部84rに対し左右外側に形成されたギア部84gとにより構成されている。ローラ部84rは、プールガイドスライド溝60Rの上下幅よりも僅かに小さい外形の円筒形状のローラであり、該プールガイドスライド溝60Rの内部に嵌ることにより、回転しつつ前後方向に移動する。ギア部84gは、ローラ部84rと一体化した歯車であり、プールガイドラック80Rの歯面と噛合することにより、回転しつつ前後方向に移動する。スライドピン64Lの左端部には、プールガイドアイドルギア84Lが該スライドピン64Lに対し回転可能に取り付けられている。プールガイドアイドルギア84Lは、プールガイドアイドルギア84Rとほぼ同様に構成されている。以下ではプールガイドアイドルギア84R及び84Lをまとめてプールガイドアイドルギア84とも呼ぶ。
このようにプールガイド36は、左右のプールガイドドライブギア83のローラ部83rと左右のプールガイドアイドルギア84のローラ部84rとがプールガイドスライド溝60で上下方向への移動が規制されることにより、プールガイド36の上下方向正常状態に対する傾き(すなわち側面視での回転)を規制し、プールガイド紙幣当接面36Sが上下方向に沿う状態を保つことができる。
[1−5.プールガイド駆動部の構成]
このプールガイド36は、制御部12(図2)の制御に基づき、図3及び図4に示すプールガイド駆動部48により前後方向へ駆動される。プールガイド駆動部48は、紙幣収容部32の右側にのみ設けられており、プールガイド駆動モータ68、プールガイドドライブプーリ69、プールガイドアイドルプーリ70、プールガイド駆動ベルト71及びプールガイドベルトクランプ72により構成されている。
駆動源としてのプールガイド駆動モータ68は、紙幣収容部32の後方においてフレーム44Rに取り付けられており、駆動力を発生させる。ドライブプーリとしてのプールガイドドライブプーリ69は、プールガイド駆動モータ68の前右方において軸受を介してフレーム44Rに対し回転可能に取り付けられており、プールガイド駆動モータ68からの駆動力が伝達されることにより、図3における時計方向又は反時計方向に回転する。プールガイドアイドルプーリ70は、紙幣収容部32の前方において軸受を介してフレーム44Rに対し回転可能に取り付けられている。
駆動ベルトとしてのプールガイド駆動ベルト71は、柔軟性を有する歯付ベルトであり、少なくとも紙幣収容部32の前端から後端までに亘るように、繰出部38から集積部40までに亘って円環状に形成されている。このプールガイド駆動ベルト71は、歯付プーリであるプールガイドドライブプーリ69及びプールガイドアイドルプーリ70の周囲に掛け回されており、プールガイドドライブプーリ69が回転されると、プールガイドアイドルプーリ70を回転させながら走行する。
固定部としてのプールガイドベルトクランプ72は、プールガイド駆動ベルト71に対し固定されると共に、プールガイド36におけるプールガイドカウンタシャフト81が回転可能に挿入されて固定されている。このためプールガイドベルトクランプ72は、プールガイド駆動ベルト71の走行に伴ってプールガイド36を前後方向へ移動させる。
[1−6.プールガイドの動作]
かかる構成において、紙幣入出金部16はプールガイド駆動モータ68を回転させ、その回転駆動力をプールガイドドライブプーリ69、プールガイド駆動ベルト71、プールガイドベルトクランプ72及びプールガイドカウンタシャフト81を順次伝達させることにより、プールガイドカウンタシャフト81を前後方向に移動させる。このためプールガイド36はプールガイドカウンタシャフト81と共に前後方向に移動する。
このとき、プールガイドドライブギア83Rのギア部83gがプールガイドラック80Rと噛み合いつつ回転することにより、プールガイドカウンタシャフト81はギア部83gに合わせて回転しながら前後方向に移動する。またプールガイドドライブギア83Rのローラ部83rは、プールガイドカウンタシャフト81に合わせて回転しながらプールガイドスライド溝60R内を前後方向に移動する。
またプールガイドカウンタシャフト81を介し駆動力がプールガイドドライブギア83Lに伝達し、該プールガイドドライブギア83Lのギア部83gがプールガイドラック80Lと噛み合いつつ回転する。またプールガイドドライブギア83Lのローラ部83rは、プールガイドカウンタシャフト81の回転に合わせて回転しながらプールガイドスライド溝60L内を前後方向に移動する。
このときプールガイドドライブギア83Rとプールガイドドライブギア83Lとは、プールガイドカウンタシャフト81により駆動力が連結するよう接続されているため、互いに前後方向における同位相の位置を維持しながら移動する。またプールガイドアイドルギア84Rとプールガイドアイドルギア84Lとは、プールガイド36と固定されているため、互いに前後方向における同位相の位置を維持しながら移動する。
[1−7.ビルプレスの構成]
ビルプレス34は、側面視でくの字形状の板状部材であり、紙幣収容部32の後側においてプールガイド36に対向して設けられている。このビルプレス34は、紙幣の繰出方向の直交方向(すなわち前後方向)に往復移動可能に構成されている。ビルプレス34は、上下方向のほぼ中央部分から下端部分にかけて形成された平面状の支持面34S1と、該支持面34S1の上端から後方へ傾く平面状の傾斜面34S2とが形成されている。
支持面34S1の下端部には、舌片59の回転軌跡とフロアガイド42との干渉部分とに、それぞれ図示しない切欠孔がビルプレス34の正面から背面まで穿設されている。これにより、ビルプレス34は、紙幣が紙幣収容部32へ集積される際に回転する舌片59が衝突しないように、且つ一部分がフロアガイド42よりも下方へ入り込むことにより、紙幣が集積部40へ潜り込まないように構成されている。
ビルプレス34の右側面における、支持面34S1よりも紙幣収容部32側(前側)からは、円筒形状のスライドピン66Rが右方向へ突設している。またビルプレス34の左側面における、支持面34S1よりも紙幣収容部32側(前側)からは、円筒形状のスライドピン66Lが左方向へ突設している。以下ではスライドピン66R及び66Lをまとめてスライドピン66とも呼ぶ。
スライドピン66Rの右端部には、ビルプレスギアプーリ88Rが該スライドピン66Rに対し回転可能に取り付けられている。ビルプレスギアプーリ88Rは、左右内側に形成されたローラ部88rと、該ローラ部88rに対し左右外側に形成されたギア部88gと、該ギア部88gに対し左右外側に形成されたプーリ部88pとにより構成されている。ローラ部88rは、ビルプレススライド溝62Rの上下幅よりも僅かに小さい外形の円筒形状のローラであり、該ビルプレススライド溝62Rの内部に嵌ることにより、回転しつつ前後方向に移動する。ギア部88gは、ローラ部88rと一体化しており、ビルプレスラック86Rの歯面と噛合することにより、回転しつつ前後方向に移動する。プーリ部88pは、ローラ部88r及びギア部88gと一体化した歯付プーリであり、連結ベルト90Rが掛け回される。
スライドピン66Lの左端部には、ビルプレスギアプーリ88Lが該スライドピン66Lに対し回転可能に取り付けられている。ビルプレスギアプーリ88Lは、ビルプレスギアプーリ88Rとほぼ同様に構成されており、プーリ部88pに連結ベルト90Lが掛け回される。以下ではビルプレスギアプーリ88R及び88Lをまとめてビルプレスギアプーリ88とも呼ぶ。
ビルプレス34における、支持面34S1よりも紙幣収容部32から離隔する側(後側)には、円筒形状のビルプレスカウンタシャフト87が、スライドピン66Rと前後方向に並ぶように該スライドピン66Rの後側において該ビルプレス34に対し回転可能に取り付けられている。ビルプレスカウンタシャフト87は、ビルプレスラック86Rからビルプレスラック86Lまで左右方向に沿って延設している。
ビルプレス34の回転支点となるスライドピン66は、ビルプレス34がフロアガイド42と噛み合っている箇所よりも紙幣収容部32側に配置する必要があるため、支持面34S1よりも紙幣収容部32側に配置されている。このため、後述するビルプレスベルトクランプ77に接続される軸(すなわちスライドピン66の延長線上)にビルプレスカウンタシャフト87を配置すると、該ビルプレスカウンタシャフト87が紙幣収容部32内部を横切ってしまい、紙幣入出金部16は紙幣を正常に収容できなくなってしまう。これに対し紙幣入出金部16は、ビルプレス34における、支持面34S1よりも紙幣収容部32から離隔する側に、ビルプレスカウンタシャフト87を配置するようにした。これにより紙幣入出金部16は、ビルプレスカウンタシャフト87が紙幣収容部32内部に露出しないようにでき、紙幣を正常に収容できる。
ビルプレスカウンタシャフト87の右端部には、ビルプレスプーリ89Rが、該ビルプレスカウンタシャフト87と共に回転するよう固定されている。ビルプレスプーリ89Rは、左右内側に形成されたローラ部89rと、該ローラ部89rに対し左右外側に形成されたプーリ部89pとにより構成されている。ローラ部89rは、ビルプレススライド溝62Rの上下幅よりも僅かに小さい外形の円筒形状のローラであり、該ビルプレススライド溝62Rの内部に嵌ることにより、回転しつつ前後方向に移動する。プーリ部89pは、ローラ部89rと一体化した歯付プーリであり、連結ベルト90Rが掛け回される。連結ベルト90Rは、ほぼ柔軟性を有しない歯付ベルトあり、円環状に形成されている。この連結ベルト90は、ビルプレスギアプーリ88Rのプーリ部88pとビルプレスプーリ89Rのプーリ部89pとの周囲に撓みなく掛け回されており、ビルプレスギアプーリ88Rが回転されると、ビルプレスプーリ89Rを回転させながら走行する。
ビルプレスプーリ89Lは、ビルプレスプーリ89Rとほぼ同様に構成されている。以下ではビルプレスプーリ89R及び89Lをまとめてビルプレスプーリ89とも呼ぶ。連結ベルト90Lは、連結ベルト90Rと同様に構成されており、ビルプレスプーリ89Lのプーリ部89pとビルプレスギアプーリ88Lのプーリ部88pとの周囲に掛け回されており、ビルプレスプーリ89Lが回転されると、ビルプレスギアプーリ88Lを回転させながら走行する。連結ベルト90R及び90Lをまとめて連結ベルト90とも呼ぶ。また以下では、プーリ部88p、プーリ部89p及び連結ベルト90をまとめて駆動伝達部とも呼ぶ。
ビルプレスカウンタシャフト87は、ビルプレスプーリ89Rとビルプレスプーリ89Lとがそれぞれビルプレスラック86Rとビルプレスラック86Lとにおける前後方向の同じ位置の歯面と噛合することにより、ビルプレスプーリ89Rとビルプレスプーリ89Lとの前後方向の位置、すなわちビルプレス34における右端部と左端部との前後方向の位置とを同期させる。これによりビルプレスカウンタシャフト87は、ビルプレス34の幅方向正常状態に対する傾きを規制し、支持面34S1及び傾斜面34S2が左右方向に沿う状態を保つことができる。
このようにビルプレス34は、左右のビルプレスギアプーリ88のローラ部88rと、左右のビルプレスプーリ89のローラ部89rとがビルプレススライド溝62で上下方向への移動が規制されることにより、ビルプレス34の上下方向正常状態に対する傾き(すなわち側面視での回転)を規制し、支持面34S1が上下方向に沿う状態を保つことができる。
[1−8.ビルプレス駆動部の構成]
このビルプレス34は、制御部12(図2)の制御に基づき、図5及び図6に示すビルプレス駆動部50により前後方向へ駆動される。ビルプレス駆動部50は、紙幣収容部32の左側にのみ設けられており、ビルプレス駆動モータ73、ビルプレスドライブプーリ74、ビルプレスアイドルプーリ75、ビルプレス駆動ベルト76及びビルプレスベルトクランプ77により構成されている。
駆動源としてのビルプレス駆動モータ73は、紙幣収容部32の後方においてフレーム44Lに取り付けられており、駆動力を発生させる。ドライブプーリとしてのビルプレスドライブプーリ74は、ビルプレス駆動モータ73の前左方において軸受を介してフレーム44Lに対し回転可能に取り付けられており、ビルプレス駆動モータ73からの駆動力が伝達されることにより、図5における時計方向又は反時計方向に回転する。ビルプレスアイドルプーリ75は、紙幣収容部32の前方において軸受を介してフレーム44Lに対し回転可能に取り付けられている。
駆動ベルトとしてのビルプレス駆動ベルト76は、柔軟性を有する歯付ベルトであり、少なくとも紙幣収容部32の前端から後端までに亘るように、繰出部38から集積部40までに亘って円環状に形成されている。このビルプレス駆動ベルト76は、歯付プーリであるビルプレスドライブプーリ74及びビルプレスアイドルプーリ75の周囲に掛け回されており、ビルプレスドライブプーリ74が回転されると、ビルプレスアイドルプーリ75を回転させながら走行する。
固定部としてのビルプレスベルトクランプ77は、ビルプレス駆動ベルト76に対し固定されると共に、ビルプレス34におけるスライドピン66Lが回転可能に挿入されて固定されている。このためビルプレスベルトクランプ77は、ビルプレス駆動ベルト76の走行に伴ってビルプレス34を前後方向へ移動させる。ここで、ビルプレスドライブプーリ74はプールガイドドライブプーリ69から独立して駆動される。このためビルプレス34は、プールガイド36とは独立して前後方向へ移動する。
[1−9.ビルプレスの動作]
かかる構成において、紙幣入出金部16はビルプレス駆動モータ73を回転させ、その回転駆動力をビルプレスドライブプーリ74、ビルプレス駆動ベルト76、ビルプレスベルトクランプ77及びビルプレスギアプーリ88Lを順次伝達させることにより、スライドピン66Lを前後方向に移動させる。このためビルプレス34はスライドピン66Lと共に前後方向に移動する。
このとき、ビルプレスギアプーリ88Lのギア部88gがビルプレスラック86Lと噛み合いつつ回転することにより、ビルプレスギアプーリ88Lはギア部88gに合わせて回転しながら前後方向に移動する。またビルプレスギアプーリ88Lのローラ部88rは、ギア部88gに合わせて回転しながらビルプレススライド溝62L内を前後方向に移動する。
またビルプレスカウンタシャフト87は、ビルプレスプーリ89Lのプーリ部89pが連結ベルト90Lを介しビルプレスギアプーリ88Lのプーリ部88pから駆動力を伝達されることにより、回転しながら前後方向に移動する。このときビルプレスプーリ89Lのローラ部89rは、回転しながらビルプレススライド溝62L内を前後方向に移動する。
またビルプレスカウンタシャフト87を介し駆動力がビルプレスプーリ89Rに伝達し、該ビルプレスプーリ89Rのギア部89gがビルプレスラック86Rと噛み合いつつ回転する。またビルプレスプーリ89Rのローラ部89rは、ビルプレスカウンタシャフト87の回転に合わせて回転しながらビルプレススライド溝62R内を前後方向に移動する。
またビルプレスギアプーリ88Rのプーリ部88pが、連結ベルト90Lを介しビルプレスプーリ89Rから駆動力を伝達されることにより、該ビルプレスギアプーリ88Rは、ギア部88gがビルプレスラック86Rと噛み合いつつ回転しながら前後方向に移動する。このときビルプレスギアプーリ88Rのローラ部88rは、ギア部88gに合わせて回転しながらビルプレススライド溝62R内を前後方向に移動する。これによりスライドピン66Rは前後方向に移動し、ビルプレス34はスライドピン66Rと共に前後方向に移動する。
このときビルプレスギアプーリ88Rとビルプレスギアプーリ88Lとは、ビルプレスカウンタシャフト87及び連結ベルト90により駆動力が連結するよう接続されているため、互いに前後方向における同位相の位置を維持しながら移動する。
[1−10.投入ポジション]
顧客との間で入金取引を行う場合、紙幣入出金部16は、図3乃至図6に示したように、入出金口5の下方で、プールガイド36とビルプレス34とを、入出金口5の開口よりも狭く且つ顧客の手が入る程度の前後幅で紙幣収容部32を構成するように所定の間隔だけ離間させて配置させ、投入ポジションとする。
続いて紙幣入出金部16は、シャッタ30を開いて入出金口5を開放することにより、顧客に入出金口5から紙幣を投入させる。紙幣入出金部16は、図示しないセンサが最後に紙幣を投入する顧客の手を検知してから所定時間経過後にシャッタ30を閉鎖させる。
[1−11.繰出ポジション]
紙幣入出金部16は、プールガイド36及びビルプレス34により紙幣を立位の状態で挟持したまま、ビルプレス34のスライドピン66をビルプレススライド溝62の直線部62Sにおいてスライドさせ、ビルプレス34をピックアップローラ52側へ移動させる。これと共に紙幣入出金部16は、プールガイド36のローラ部83r及びローラ部84rをプールガイドスライド溝60においてスライドさせ、プールガイド36をピックアップローラ52側へと移動させることにより繰出ポジションとする。この繰出ポジションにおいて、ピックアップローラ52がプールガイド36の孔部から紙幣収容部32内に突出し、立位の状態で収容されている紙幣に当接する。
続いて紙幣入出金部16は、ピックアップローラ52及びフィードローラ53を繰出方向に回転させることにより、ピックアップローラ52に当接している紙幣をフィードローラ53とゲートローラ54との間に送り出し、フィードローラ53とゲートローラ54との間で紙幣を1枚ずつ分離させて搬送部24(図2)へ繰り出す。紙幣入出金機10は、紙幣を鑑別部18へ搬送して鑑別させ、鑑別結果に応じて紙幣を紙幣カセット26の各収納庫に収納し、入金処理を行う。
[1−12.集積ポジション]
紙幣入出金部16は、リジェクト紙幣若しくは出金する紙幣を紙幣収容部32に集積する場合、ビルプレス34のスライドピン66をビルプレススライド溝62の直線部62Sから曲折部62Iへ向けてスライドさせることによりビルプレス34を集積ローラ56側へと移動させると共に、プールガイド36を入出金口5の下側のほぼ中央部へ移動させる。
続いて紙幣入出金部16は、ビルプレスカウンタシャフト87におけるビルプレスプーリ89のローラ部89rが曲折部62Iへ入り込んだ位置でビルプレス34を停止させることにより該ビルプレス34を集積ローラ56の上方へ移動させ、図7に示す集積ポジションとする。
このとき、ビルプレスプーリ89のローラ部89rが曲折部62Iに沿ってスライドピン66よりも上方へ移動するため、投入ポジションよりもビルプレス34が図7中時計回りに回動することにより、支持面34S1がプールガイド36のプールガイド紙幣当接面36Sに対して平行な状態から集積ローラ56側に傾いた状態となる。このためビルプレス34の支持面34S1の下端部が、集積口58よりも後方に位置した状態となる。またこの集積ポジションにおいては、ビルプレスギアプーリ88のギア部88gがビルプレスラック86の歯面の後端部と噛合した状態となる。
そして紙幣入出金機10は、集積ローラ56及びプレッシャローラ57を集積方向に回転させると共に、一時収納部17又は紙幣カセット26から紙幣を搬送部24によって紙幣入出金部16へと搬送する。紙幣入出金部16は、ビルプレス34の支持面34S1に沿うように紙幣を紙幣収容部32内に進入させ、舌片59によってプールガイド36側へと叩きプールガイド36に沿って集積していく。
[1−13.動作及び効果]
図8及び図9に、紙幣入出金部16と対応する部材に同一符号を付した従来の紙幣入出金部116を示す。
プールガイド136の左側面からは、スライドピン164L(164LF及び164LB)が、前後方向に並んで左側へ突設している。プールガイド136の右側面からは、スライドピン164R(164RF及び164RB)が、前後方向に並んで右側へ突設している。スライドピン164Lの左端部には、ローラ92L(92LF及び92LB)が該スライドピン164Lに対し回転可能に取り付けられている。スライドピン164Rの右端部には、ローラ92R(92RF及び92RB)が該スライドピン164RF及び164RBに対し回転可能に取り付けられている。以下ではローラ92L及び92Rをまとめてローラ92とも呼び、スライドピン164L及び164Rをまとめてスライドピン164とも呼ぶ。プールガイドスライド溝60は、プールガイド136におけるローラ92Lをスライド可能に嵌め込むことにより、プールガイド136を支持して移動を案内する。
プールガイド駆動部148は、紙幣収容部32の後方と左右両側とに設けられており、プールガイド駆動モータ68、プールガイドドライブプーリ169(169R及び169L)、プールガイドアイドルプーリ170(170R及び170L)、プールガイド駆動ベルト171(171R及び171L)、プールガイドベルトクランプ172(172R及び172L)、プールガイドカウンタシャフト181及びテンションローラ94(94R及び94L)により構成されている。プールガイドカウンタシャフト181は、軸受を介してフレーム44に対し回転可能となるようプールガイドドライブプーリ169R及び169Lに固定されている。
プールガイド駆動ベルト171Rは、紙幣収容部32よりも右側に設けられ、プールガイドカウンタシャフト181、プールガイドドライブプーリ169Rを介しプールガイド駆動モータ68の駆動力を伝達されることにより回転する。プールガイドベルトクランプ172Rは、プールガイド136におけるスライドピン164RBに固定されることにより、プールガイド駆動ベルト171Rの走行に伴ってプールガイド136を前後方向へ移動させる。
プールガイド駆動ベルト171Lは、紙幣収容部32よりも左側に設けられ、プールガイドカウンタシャフト181、プールガイドドライブプーリ169Lを介しプールガイド駆動モータ68の駆動力を伝達されることにより回転する。プールガイドベルトクランプ172Lは、プールガイド136におけるスライドピン164LBに固定されることにより、プールガイド駆動ベルト171Lの走行に伴ってプールガイド136を前後方向へ移動させる。テンションローラ94R及び94Lは、それぞれプールガイド駆動ベルト171R及び171Lに当接することにより張力を与え、プールガイドベルトクランプ172Rとプールガイドベルトクランプ172Lとが左右で同位相になった状態を保っている。
このように紙幣入出金部116は、プールガイド駆動モータ68の駆動力を紙幣収容部32の左右両側に設けられたプールガイド駆動ベルト171R及び171Lにプールガイドカウンタシャフト181で伝達することにより、プールガイド136を前後方向に移動させる。
ビルプレス134の左側面からは、スライドピン166L(166LF及び166LB)が、前後方向に並んで左側へ突設している。ビルプレス134の右側面からは、スライドピン166R(166RF及び166RB)が、前後方向に並んで右側へ突設している。スライドピン166Lの左端部には、ローラ93L(93LF及び93LB)が該スライドピン166Lに対し回転可能に取り付けられている。スライドピン166Rの右端部には、ローラ93R(93RF及び93RB)が該スライドピン166Rに対し回転可能に取り付けられている。以下ではローラ93L及び93Rをまとめてローラ93とも呼び、スライドピン166L及び166Rをまとめてスライドピン166とも呼ぶ。ビルプレススライド溝62は、ビルプレス134におけるローラ93をスライド可能に嵌め込むことにより、ビルプレス134を支持して移動を案内する。
ビルプレス駆動部150は、紙幣収容部32の後方と左右両側とに設けられており、ビルプレス駆動モータ73、ビルプレスドライブプーリ174(174R及び174L)、ビルプレスアイドルプーリ175(175R及び175L)、ビルプレス駆動ベルト176(176R及び176L)、ビルプレスベルトクランプ177(177R及び177L)、ビルプレスカウンタシャフト187及びテンションローラ95(95R及び95L)により構成されている。ビルプレスカウンタシャフト187は、軸受を介してフレーム44に対し回転可能となるようビルプレスドライブプーリ174R及び174Lに固定されている。
ビルプレス駆動ベルト176Rは、紙幣収容部32よりも右側に設けられ、ビルプレスカウンタシャフト187、ビルプレスドライブプーリ174Rを介しビルプレス駆動モータ73の駆動力を伝達されることにより回転する。ビルプレスベルトクランプ177Rは、ビルプレス134におけるスライドピン166RFに固定されることにより、ビルプレス駆動ベルト176Rの走行に伴ってビルプレス134を前後方向へ移動させる。
ビルプレス駆動ベルト176Lは、紙幣収容部32よりも左側に設けられ、ビルプレスカウンタシャフト187、ビルプレスドライブプーリ174Lを介しビルプレス駆動モータ73の駆動力を伝達されることにより回転する。ビルプレスベルトクランプ177Lは、ビルプレス134におけるスライドピン166LFに固定されることにより、ビルプレス駆動ベルト176Lの走行に伴ってビルプレス134を前後方向へ移動させる。テンションローラ95R及び95Lは、それぞれビルプレス駆動ベルト176R及び176Lに当接することにより張力を与え、ビルプレスベルトクランプ177Rとビルプレスベルトクランプ177Lとが左右で同位相になった状態を保っている。
このように紙幣入出金部116は、ビルプレス駆動モータ73の駆動力を紙幣収容部32の左右両側に設けられたビルプレス駆動ベルト176R及び176Lにビルプレスカウンタシャフト187で伝達することにより、ビルプレス134を前後方向に移動させる。
このような紙幣入出金部116は、プールガイド駆動ベルト171に外部から力が加わった際、左右一方のプールガイド駆動ベルト171のみがプールガイドドライブプーリ169及びプールガイドアイドルプーリ170から歯飛びしてしまい、プールガイド136の左右の位相がずれ、幅方向正常状態に対し傾いてしまう場合がある。また紙幣入出金部116は、ビルプレス駆動ベルト176に外部から力が加わった際、左右一方のビルプレス駆動ベルト176のみがビルプレスドライブプーリ174及びビルプレスアイドルプーリ175から歯飛びしてしまい、ビルプレス134の左右の位相がずれ、幅方向正常状態に対し傾いてしまう場合がある。プールガイド136又はビルプレス134が幅方向正常状態に対し傾いてしまうと、紙幣の繰り出し不良が発生したり、正常に動作しなくなる可能性がある。
また紙幣入出金部116は、紙粉等でローラ92L、92R、93L又は93Rが回転しなくなると該ローラ92L、92R、93L又は93Rの同一箇所がプールガイドスライド溝60又はビルプレススライド溝62と摺動することとなるため、ローラ92L、92R、93L又は93Rが偏摩耗し、プールガイド136又はビルプレス134の上下方向正常状態に対する傾きが大きくなり、正常に動作しなくなってしまう可能性がある。
これに対し紙幣入出金部16は、プールガイドカウンタシャフト81を、プールガイド軸受82R及び82Lを介して該プールガイド36に対し回転可能に取り付けると共に、該プールガイドカウンタシャフト81の両端部に設けたプールガイドドライブギア83が、プールガイド36の移動方向である前後方向に沿って固定されたプールガイドラック80に噛み合うようにした。このため紙幣入出金部16は、プールガイド36及びビルプレス34との移動方向である前後方向と、紙幣の繰出方向及び紙幣が紙幣収容部32に投入される方向である上下方向(投入方向)とに直交する左右方向である幅方向の一端(右側)から他端(左側)へ、プールガイド駆動部48の駆動力をプールガイドカウンタシャフト81を介し伝達させることができる。
ここで、プールガイド駆動ベルト71がプールガイドドライブプーリ69及びプールガイドアイドルプーリ70から歯飛びして、プールガイドラック80Rの歯面に対しプールガイドドライブギア83Rが移動すると、プールガイドカウンタシャフト81を介しプールガイドドライブギア83Rからプールガイドドライブギア83Lへ力が伝達するため、プールガイドドライブギア83Rの移動量と同じ分だけ、プールガイドラック80Lの歯面に対しプールガイドドライブギア83Lが噛み合ったまま移動する。このため紙幣入出金部16は、プールガイドドライブギア83Lとプールガイドドライブギア83Rとの位相を保ち、幅方向正常状態に対するプールガイド36の傾きを防止できる。
また紙幣入出金部16は、ビルプレスカウンタシャフト87をビルプレス34に対し回転可能に取り付けると共に、該ビルプレスカウンタシャフト87の両端側において連結ベルト90を介しビルプレスプーリ89と連結されたビルプレスギアプーリ88が、ビルプレス34の移動方向である前後方向に沿って固定されたビルプレスラック86に噛み合うようにした。このため紙幣入出金部16は、幅方向の一端(左側)から他端(右側)へ、ビルプレス駆動部50の駆動力をビルプレスカウンタシャフト87を介し伝達させることができる。
ここで、ビルプレス駆動ベルト76がビルプレスドライブプーリ74及びビルプレスアイドルプーリ75から歯飛びして、ビルプレスラック86Lの歯面に対しビルプレスギアプーリ88Lが移動すると、連結ベルト90L、プールガイドカウンタシャフト81、ビルプレスプーリ89R及び連結ベルト90Rを介しビルプレスギアプーリ88Lからビルプレスギアプーリ88Rへ力が伝達するため、ビルプレスギアプーリ88Lの移動量と同じ分だけ、ビルプレスラック86Rの歯面に対しビルプレスギアプーリ88Rが噛み合ったまま移動する。このため紙幣入出金部16は、ビルプレスギアプーリ88Lとビルプレスギアプーリ88Rとの位相を保ち、幅方向正常状態に対するビルプレス34の傾きを防止できる。
また紙幣入出金部16は、プールガイド36が移動する際、プールガイドドライブギア83及びプールガイドアイドルギア84がプールガイドラック80に噛合して回転するようにした。このため紙幣入出金部16は、プールガイド36の移動に伴って、プールガイドドライブギア83のローラ部83rと、プールガイドアイドルギア84のローラ部84rとを強制的に回転させることができる。これにより紙幣入出金部16は、プールガイドドライブギア83のローラ部83rと、プールガイドアイドルギア84のローラ部84rとにおけるプールガイドスライド溝60と接触する箇所が偏摩耗して、プールガイド36が上下方向正常状態に対し傾いてしまうことを防止できる。
また紙幣入出金部16は、ビルプレス34が移動する際、ビルプレスギアプーリ88がビルプレスラック86に噛合して回転すると共に、ビルプレスプーリ89が連結ベルト90によりビルプレスギアプーリ88と共に回転するようにした。このため紙幣入出金部16は、ビルプレス34の移動に伴って、ビルプレスギアプーリ88のローラ部88rとビルプレスプーリ89のローラ部89rとを、強制的に回転させることができる。これにより紙幣入出金部16は、ビルプレスギアプーリ88のローラ部88rとビルプレスプーリ89のローラ部89rとにおけるビルプレススライド溝62と接触する箇所が偏摩耗して、ビルプレス34が上下方向正常状態に対し傾いてしまうことを防止できる。
また紙幣入出金部16は、従来の紙幣入出金部116においてそれぞれ2本存在したプールガイド駆動ベルト71及びビルプレス駆動ベルト76を1本に削減できるため、紙幣入出金部116に対し構成を簡素化できる。
さらに紙幣入出金部16は、プールガイドスライド溝60の上側近傍に隣接してビルプレスラック86を設けるようにした。これにより紙幣入出金部16は、プールガイドスライド溝60に嵌り込むプールガイドカウンタシャフト81の同軸上に設けたプールガイドドライブギア83をプールガイドラック80と噛合させ、簡易な構成とすることができる。
さらに紙幣入出金部16は、ビルプレススライド溝62の上側近傍に隣接してプールガイドラック80を設けるようにした。これにより紙幣入出金部16は、ビルプレススライド溝62に嵌り込むスライドピン66の同軸上に設けたビルプレスギアプーリ88をビルプレスラック86と噛合させ、簡易な構成とすることができる。
さらに紙幣入出金部16は、紙幣収容部32のそれぞれ左側にビルプレス駆動部50を、右側にプールガイド駆動部48を設けるようにした。これにより紙幣入出金部16は、ビルプレス駆動部50とプールガイド駆動部48とを互いに干渉しないようにすることができる。
以上の構成によれば現金自動取引装置1は、紙葉状の媒体としての紙幣に関する取引を受け付ける顧客応対部3と、媒体収容部としての紙幣収容部32に投入された媒体を繰り出す繰出部38と、使用者に受け渡す紙幣を紙幣収容部32に集積させる集積部40と、紙幣収容部32を形成するフレーム44に設けられたプールガイドスライド溝60及びビルプレススライド溝62と、紙幣に当接する面を有し繰出部38と集積部40との間をプールガイドスライド溝60及びビルプレススライド溝62に沿って往復移動するプールガイド36及びビルプレス34と、プールガイド36を駆動するプールガイド駆動部48及びビルプレス34を駆動するビルプレス駆動部50とを設け、フレーム44はプールガイド36及びビルプレス34の一端側及び他端側に設けられ、プールガイド36は、プールガイド駆動部48の駆動力をプールガイド36の一端側から他端側へ伝達するプールガイドカウンタシャフト81と、プールガイド36の移動方向に沿って固定されプールガイドカウンタシャフト81の両端側に設けられたプールガイドラック80と噛み合うプールガイドドライブギア83とを有し、ビルプレス34は、ビルプレス駆動部50の駆動力をビルプレス34の一端側から他端側へ伝達するビルプレスカウンタシャフト87と、ビルプレス34の移動方向に沿って固定されビルプレスカウンタシャフト87の両端側に設けられたビルプレスラック86と噛み合うビルプレスギアプーリ88とを有するようにした。
これにより現金自動取引装置1は、プールガイド駆動ベルト71又はビルプレス駆動ベルト76が歯飛びしても、案内部としてのプールガイド36又はビルプレス34の一端から他端へ力を伝達し、案内部の両端部を同じ移動量だけ移動させることができ、案内部が傾いてしまうことを防止できる。
[2.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、ビルプレスギアプーリ88とビルプレスプーリ89との間で連結ベルト90により駆動力を伝達させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、プーリ部89pを歯車で構成してプーリ部88pとプーリ部89pとをギアで連結することにより、ビルプレスギアプーリ88とビルプレスプーリ89との間で該ギアを介し駆動力を伝達させても良い。
また上述した実施の形態においては、フレーム44の左右外側にプールガイドラック80及びビルプレスラック86を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、フレーム44の左右内側にプールガイドラック80又はビルプレスラック86の何れか一方又は両方を設けても良い。また、フレーム44以外の何れかの部材にプールガイドラック80又はビルプレスラック86の何れか一方又は両方を固定しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、ビルプレス34における、支持面34S1よりも紙幣収容部32に近接する側に設けられたスライドピン66をビルプレスベルトクランプ77に固定しビルプレス駆動ベルト76の駆動力をスライドピン66へ伝達する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ビルプレス34における、支持面34S1よりも紙幣収容部32から離隔する側に設けられたビルプレスカウンタシャフト87をビルプレスベルトクランプ77に固定しビルプレス駆動ベルト76の駆動力をビルプレスカウンタシャフト87へ伝達しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、プールガイド36における、スライドピン64よりも紙幣収容部32に近接する側に設けられたプールガイドカウンタシャフト81をプールガイドベルトクランプ72に固定しプールガイド駆動ベルト71の駆動力をプールガイドカウンタシャフト81へ伝達する場合について述べた。本発明はこれに限らず、プールガイド36における、プールガイドカウンタシャフト81よりも紙幣収容部32から離隔する側に設けられたスライドピン64をプールガイドベルトクランプ72に固定しプールガイド駆動ベルト71の駆動力をスライドピン64へ伝達しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動取引装置1において、紙幣を、紙幣入出金部16から取り込むと共に該紙幣を紙幣入出金機10内部で搬送し、紙幣入出金部16に集積して顧客に受け渡す場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を紙幣入出金部から取り込むと共に該紙幣を紙幣入出金機内部で搬送し、紙幣入出金部に集積して顧客に受け渡す種々の装置に適用しても良い。また、例えば紙幣を入出する紙幣入出金機や紙幣を所定枚数毎に施封する施封小束支払機等、紙幣や硬貨の取引に関する種々の処理を行う複数種類の装置の組み合わせにより構成された現金処理装置に本発明を適用してもよい。
さらに上述した実施の形態においては、入金取引及び出金取引を行う現金自動取引装置1に本発明を適用する場合について述べたが、入金取引のみを行う装置に本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、繰出部としての繰出部38と、集積部としての集積部40と、案内部としてのプールガイド36又はビルプレス34と、スライド溝としてのプールガイドスライド溝60又はビルプレススライド溝62と、駆動部としてのプールガイド駆動部48又はビルプレス駆動部50と、カウンタシャフトとしてのプールガイドカウンタシャフト81又はビルプレスカウンタシャフト87と、ギアとしてのプールガイドドライブギア83又はビルプレスギアプーリ88とによって、媒体集積装置としての紙幣入出金部16を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる繰出部と、集積部と、案内部と、スライド溝と、駆動部と、カウンタシャフトと、ギアとによって媒体集積装置を構成しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、利用者応対部としての顧客応対部3と、繰出部としての繰出部38と、集積部としての集積部40と、スライド溝としてのプールガイドスライド溝60又はビルプレススライド溝62と、案内部としてのプールガイド36又はビルプレス34と、駆動部としてのプールガイド駆動部48又はビルプレス駆動部50と、カウンタシャフトとしてのプールガイドカウンタシャフト81又はビルプレスカウンタシャフト87とによって、媒体処理装置としての現金自動取引装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる顧客応対部と、繰出部と、集積部と、案内部と、スライド溝と、駆動部と、カウンタシャフトと、ギアとによって媒体処理装置を構成しても良い。