以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本実施形態に係る紫外線照射装置1の一例が示された正面図であり、図2は図1の紫外線照射装置1の平面図であり、図3は図1の紫外線照射装置1の底面図であり、図4は図1の紫外線照射装置1の背面図であり、図5は図1の紫外線照射装置1の左側面図であり、図6は図1の紫外線照射装置1の内部構造が示された図3のVI−VI線断面図であり、図7は図1の紫外線照射装置1の内部構造が示された図3のVII−VII線断面図であり、図8は図6の紫外線LEDユニット12の拡大図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1において、後述する固定アーム23の側を上とし、後述するカバー11の側を下とし、紙面に対して手前側を前とし、奥側を後とし、右側を右とし、左側を左とする。また、図3におけるVI−VI線は、中央に位置する紫外線LEDユニット12の中心を通り、左右方向に延びる直線であり、図6は紫外線照射装置1の鉛直断面図である。また、図3におけるVII−VII線は、中央に位置する紫外線LEDユニット12の中心を通り、前後方向に延びる直線であり、図7は紫外線照射装置1の鉛直断面図である。なお、図6、図7において、後述する電源ユニット44及び支持フレーム48以外が断面で示されている。また、図6、図7には、空気の流れ方向が二点鎖線の矢印で示されている。
紫外線照射装置1は、図1〜図8に示されるように、ハウジング10と、カバー11と、ハウジング10の内部に収容される5つの紫外線LEDユニット12等を備える。そして、紫外線照射装置1は、紫外線LEDユニット12から照射される紫外線を、カバー11を透過させて下方へ向けて照射するように構成されている。
ハウジング10は、有頂筒状に形成され、4つの側壁13から構成されて上下方向に延びる四角筒状の周壁14と、周壁14の上端を閉塞する上壁15とを有する。ハウジング10は、周壁14の4つの側壁13に、複数の吸気口16をそれぞれ有する。吸気口16は、周壁14を貫通してハウジング10の内部と連通し、ルーバー17によって下方へ向けて開口している。ルーバー17は、周壁14の外面から外方へ向けて突出する羽板であり、外方へ向かって下方へ傾斜している。したがって、吸気口16は、上方及び側方に向けて開口していない。
また、ハウジング10は、上壁15から上方へ向けて延びて内部と連通する2つの円筒状の排気ダクト18を有する。排気ダクト18の上端の上方には、平板状の排気口カバー19がそれぞれ配置されている。排気口カバー19は、平面視で略四角形であり、上壁15から上方へ向けて延びる2つの支持棒20によって支持される。また、排気口カバー19は、外周縁部に下方へ向けて突出する突起部19aを有する。そして、排気口カバー19は、排気ダクト18の上端を、所定の間隔Dを有して上方から覆っている。したがって、排気ダクト18の上端は、上方に向けて露出していない。また、詳細については後述するが、排気ダクト18の上端と排気口カバー19の下面との間隙が、ハウジング10の内部の空気が排出される排気口21となる。
支持棒20は、排気ダクト18の上端と排気口カバー19の下面との間隔Dを調節する調節機構としてのスペーサー22を備える。スペーサー22は、支持棒20の上端と排気口カバー19との間に着脱自在に配置されている。そして、スペーサー22の有無やスペーサー22の大きさの違いによって、間隔Dを調節することができ、排気口21の大きさを調節することができる。
ハウジング10には、正面視で門型状に板状部材が折り曲げられて形成された固定アーム23が取り付けられている。固定アーム23は、一端が周壁14の右の側壁13にボルトによって固定され、他端が左の側壁13にボルトによって固定されている。固定アーム23は、紫外線照射装置1を所望の位置に吊り下げ固定させるためのものであり、ボルト締結に用いられる2つの貫通孔24を有する。なお、固定アーム23は、紫外線照射装置1を所望の位置に固定させることができる構成であれば良く、その構成は特に限定されない。しかしながら、固定アーム23を上述のような構成とすることで、固定アーム23を把持して紫外線照射装置1の移動させることができ、使い勝手が良い。
ハウジング10、排気口カバー19、固定アーム23等は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成されるが、各部材の材料は特に限定されるものではない。なお、ハウジング10は、上下方向に延びる筒状の周壁14と周壁14の上端を閉塞する上壁15とを有する有頂筒状であれば良く、例えば、周壁14が円筒状に形成される有頂円筒状であっても良い。また、ハウジング10は、周壁14、上壁15、排気ダクト18等が別部材で構成されても良い。また、排気ダクト18は、上壁15から上方へ向けて延びる構成であれば良く、形状や数等は特に限定されるものではない。例えば、排気ダクト18は、四角筒状であっても良い。また、排気口カバー19は、排気ダクト18の上端を、所定の間隔Dを有して上方から覆う構成であれば良く、例えば、平面視で円形であっても良く、突起部19aを備えない構成であっても構わない。
また、調節機構は、排気ダクト18の上端と排気口カバー19の下面との間隔Dを調節することができれば良く、特に限定されるものではない。例えば、調節機構は、支持棒20を伸縮自在な構成、例えばテレスコピックパイプ構造とする形態であっても良く、ばねの力によって伸縮する形態であっても良い。また、支持棒20は、排気ダクト18に取り付けられる構成であっても良く、スペーサー22を備えない構成であっても良い。
カバー11は、紫外線透過部25と、枠体26と、係止板27等を有し、周壁14の下端を閉塞する。紫外線透過部25は、底面視で略四角形の板状部材であり、石英ガラス等の紫外線の透過性に優れた材料で形成される。枠体26は、紫外線透過部25の全周に沿って延び、底面視で略四角環状の板状部材である。紫外線透過部25は、外周縁部が枠体26の内周縁部と係止板27によって挟持されて枠体26に取り付けられている。枠体26の上面は、周壁14の下端に設けられたフランジ28と密着している。また、枠体26は、後方側以外の外周縁部に上方へ向けて突出する突起部26aを有する。そして、周壁14の後方側以外の下端部、つまり、前、右及び左の側壁13の下端部は、突起部26aによって外方から覆われている。枠体26と係止板27の材料としては、熱伝導性の高いアルミニウム等を例示できるが、特に限定されるものではない。そして、ハウジング10の内部に収容される紫外線LEDユニット12から照射される紫外線は、カバー11の紫外線透過部25を透過し、下方へ向けて照射される。
カバー11は、蝶番29を介して周壁14に連結される。より詳細には、蝶番29の一端はカバー11の枠体26に取り付けられ、蝶番29の他端は周壁14の後の側壁13に取り付けられる。そして、カバー11は、図9に示されるように、この蝶番29によって、周壁14の下端が閉塞された閉塞状態と、周壁14の下端が解放された解放状態との間で、揺動自在である。ここで、図9は図1の紫外線照射装置1のカバー11が開いた状態の一例が示された左側面図である。なお、カバー11は、周壁14の下端が閉塞された閉塞状態を維持するようにカバー11を周壁14に係止させるロック機構としてのロックピン30を備える。ロックピン30は、周壁14の下端のフランジ28に設けられた図示せぬナットに噛み合うねじを有する棒状部材であり、ねじ締結によって、カバー11を周壁14に係止させる。なお、ロック機構は、閉塞状態を維持するようにカバー11を周壁14に係止させる構成であれば良く、例えばパッチン錠等の留め金であっても構わない。
なお、カバー11は、周壁14の下端を閉塞するとともに、紫外線LEDユニット12から照射される紫外線を透過させることができる構成であれば良い。例えば、カバー11は、石英ガラス等の紫外線の透過性に優れた材料で形成される紫外線透過部25のみから構成されても構わない。また、カバー11は、5つの紫外線LEDユニット12に対してそれぞれ紫外線透過部25を備える構成であっても良い。また、カバー11は、突起部26aを備えない構成であっても構わない。また、カバー11は、周壁14にねじ締結によって取り付けられも良く、周壁14に固着される構成であっても良い。しかしながら、メンテナンス性の観点から、周壁14の下端が解放された解放状態とすることができる構成が好ましい。
ハウジング10の内部には、5つの紫外線LEDユニット12が収容される。紫外線LEDユニット12は、紫外線発光部31と、ヒートシンク32と、取り付け板33等を有する。紫外線LEDユニット12は、ヒートシンク32が上壁15に対向し、紫外線発光部31がカバー11に対向する状態でハウジング10の内部に収容される。紫外線LEDユニット12は、底面視でハウジング10の中央、及び四隅に位置するように配置され、ハウジング10の内部に設けられる仕切り板34に着脱可能に取り付けられる。
紫外線発光部31は、回路基板35と、回路基板35の下面に取り付けられた紫外線LED36と、紫外線LED36を覆うように配設されたレンズ37と、レンズ37を保持する保護カバー38等を有する。回路基板35は、プリント配線基板に例示される樹脂等から形成される絶縁板上に金属配線からなる回路を形成したものである。回路基板35は、底面視で円形に形成され、回路基板35の回路には、図示せぬ配線を介して後述する電源ユニット44が電気的に接続される。紫外線LED36は、電気信号を光信号に変換する発光素子であり、紫外線を発光する。紫外線LED36は、回路基板35の回路と電気的に接続されており、電源ユニット44から供給される電力によって発光可能に構成されている。レンズ37は、シリコン樹脂等の紫外線の透過性に優れた材料で形成され、紫外線LEDを覆う。紫外線は、レンズ37を透過して回路基板35に対して垂直方向である下方へ照射される。保護カバー38は、ステンレス等から形成され、レンズ37を保持し、回路基板35に取り付けられる。なお、紫外線発光部31は、紫外線LED36によって紫外線を発光可能な構成であれば良く、上述の構成は特に限定されるものではない。例えば、紫外線を反射させる反射板を有する構成であっても良い。
ヒートシンク32は、放熱器であり、紫外線LED36が紫外線を発光する際に生じる熱を放熱するように構成されている。ヒートシンク32は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成される。ヒートシンク32は、略四角形の平板の基部40と、基部40の上面から上方へ向けて垂設される複数の平板の突起部41とで構成される。ヒートシンク32は、基部40の下面が回路基板35の上面に接合されて紫外線発光部31に取り付けられる。なお、ヒートシンク32は、紫外線LED36が紫外線を発光する際に生じる熱を放熱できる構成であれば良く、上述の構成に限定されるものではない。
取り付け板33は、底面視で略四角形の板状部材であり、中央に回路基板35に対応する円形の貫通孔を有する。取り付け板33は、この貫通孔に上方側から紫外線発光部31が挿通され、上面がヒートシンク32の基部40の下面に接合されてヒートシンク32に取り付けられる。取り付け板33は、ヒートシンク32の基部40よりも大きく、外周縁部が基部40の縁よりも外方へ突出している。
そして、取り付け板33の外周縁部が仕切り板34にねじ締結されて、紫外線LEDユニット12が仕切り板34に着脱可能に取り付けられる。より詳細には、仕切り板34は、ヒートシンク32の基部40に対応する略四角形の貫通孔を有する。この貫通孔にはヒートシンク32が下方側から挿通され、仕切り板34の下面と取り付け板33の外周縁部の上面とが密着される。そして、取り付け板33の外周縁部が仕切り板34にねじ締結される。この際、取り付け板33は、ヒートシンク32の基部40よりも大きいため、仕切り板34の貫通孔は紫外線LEDユニット12によって閉塞される。
仕切り板34の外周縁部は、下方へ向けて折り曲げられ、周壁14の下端に設けられたフランジ28に接合される。そして、仕切り板34は、ハウジング10の内部を上収容室42と下収容室43の上下2室に区画している。ここで、紫外線LEDユニット12は、仕切り板34を横断するようにして仕切り板34に取り付けられている。そして、紫外線LEDユニット12のヒートシンク32は上収容室42に位置しており、紫外線発光部31は下収容室43に位置している。つまり、仕切り板34は、ハウジング10の内部をヒートシンク32が位置する上収容室42と紫外線発光部31が位置する下収容室43とに区画している。また、吸気口16は、ハウジング10の内部であって、上収容室42と連通している。
なお、仕切り板34は、ハウジング10の内部をヒートシンク32が位置する上収容室42と紫外線発光部31が位置する下収容室43とに区画するとともに、吸気口16が上収容室42と連通する構成であれば良く、上述の構成に限定されるものではない。例えば、仕切り板34は、外周縁部が周壁14の内周面に接合される構成であっても良い。
また、紫外線LEDユニット12は、ヒートシンク32が上壁15と対向し、紫外線発光部31がカバー11に対向した状態でハウジング10の内部に収容されていれば良く、紫外線LEDユニット12の数や配置等は特に限定されるものではい。例えば、仕切り板34に替わって、ハウジング10の内部を上収容室42と下収容室43の上下2室に区画しない支持板に紫外線LEDユニット12が取り付けられても構わない。
紫外線照射装置1は、外部電源から供給される電力を紫外線LEDユニット12に供給する電源ユニット44を備える。電源ユニット44は、CPUや電源回路等が内蔵されたケーシング45と、主電源スイッチ46と、出力調節ダイアル47と、外部電源に接続される図示せぬ電源ケーブルや紫外線LEDユニット12に接続される図示せぬ配線等を備える。そして、電源ユニット44は、出力調節ダイアル47の操作に応じて、紫外線LEDユニット12に供給する電流を制御し、紫外線LED36によって照射される紫外線の強度を調節できるように構成されている。なお、電源ユニット44は、紫外線LEDユニット12に電力を供給して紫外線LED36を発光させることができる構成であれば良く、特に限定されるものではない。また、主電源スイッチ46や出力調節ダイアル47の形態は特に限定されるものではない。
電源ユニット44は、ハウジング10の内部であって、上収容室42に収容される。電源ユニット44は、仕切り板34に取り付けられた支持フレーム48によって、ヒートシンク32よりも上方に位置するように支持されている。支持フレーム48は、複数の板状部材が接合されたり折り曲げられたりして形成されるが、その構成や材料等は特に限定されるものではない。主電源スイッチ46と出力調節ダイアル47は、周壁14の前の側壁13に設けられた貫通孔から外部に露出されている。なお、周壁14の前の側壁13に設けられた貫通孔は、電源ユニット44のケーシング45によって閉塞されている。
なお、紫外線照射装置1は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、紫外線照射装置1は、外部機器によって遠隔操作が可能な構成であっても良い。また、紫外線照射装置1は、電源ユニット44がハウジング10の内部に収容されない構成であっても良い。しかしながら、小型化の観点から、電源ユニット44は、ハウジング10の内部に収容されることが好ましい。
以上のように構成される紫外線照射装置1は、紫外線LED36が紫外線を発光する際に生じる熱によって、ハウジング10の内部に対流を発生させ、外気を吸気口16からハウジング10の内部に吸入するとともに、ハウジング10の内部の空気を排気ダクト18から排出させる。そして、紫外線照射装置1は、ハウジング10の内部を通過する空気との熱交換によって紫外線LED36を冷却する。
より詳細には、紫外線LED36が紫外線を発光する際に生じる熱によって、紫外線LEDユニット12が熱せられる。紫外線LEDユニット12が発熱することによって、紫外線LEDユニット12の周囲の空気が暖められる。暖められた空気は密度が低いので上昇し、ハウジング10の内部であって、上収容室42には上向きの空気の流れが生じる。そして、上昇した空気は、排気ダクト18を通り、排気ダクト18の上端と排気口カバー19との間の排気口21から排出される。一方で、上収容室42の空気よりも温度が低い外気が吸気口16から上収容室42に吸入される。このように、紫外線照射装置1は、紫外線LEDユニット12が発熱することで、外気が吸気口16から上収容室42に吸入され、この吸入された空気と紫外線LEDユニット12との間の熱交換によって紫外線LEDユニット12を冷却する。
ここで、紫外線LEDユニット12は、放熱器としてのヒートシンク32を有するため、紫外線LEDユニット12を効果的に冷却することができる。
また、排気ダクト18の上端は、排気口カバー19によって上方から覆われているので、空気中の塵埃等が沈降によって排気ダクト18から上収容室42に侵入することを防止できる。一方で、吸気口16は、ルーバー17によって下方へ向けて開口しているので、空気中の塵埃等が沈降によって吸気口16から上収容室42に侵入することを防止できる。また、吸気口16から取り込まれる空気は、上昇するようにして上収容室42に取り込まれるため、空気中の塵埃等が上収容室42に侵入しにくい。つまり、紫外線照射装置1は、排気口カバー19やルーバー17によって、空気中の塵埃等が上収容室42に侵入することを抑制でき、塵埃等による冷却効果の低下や紫外線LEDユニット12の故障を抑制できる。
また、紫外線照射装置1は、塵埃等の上収容室42への侵入を防止するフィルタを備えない構成である。したがって、紫外線照射装置1は、フィルタの清掃や交換等のメンテナンスを定期的に行う必要がなく、これらのメンテナンスによって探傷検査が中断されることがない。そして、紫外線照射装置1は、フィルタを有する構成と比較して、メンテナンス性が良好であり、ランニングコストの低減が図れる。
また、紫外線照射装置1は、上収容室42に外気を取り込んだり排気口21から空気を排出したりするためのファンを備えない構成である。したがって、紫外線照射装置1は、ファンの清掃や交換等のメンテナンスを定期的に行う必要がなく、これらのメンテナンスによって探傷検査が中断されることがない。そして、紫外線照射装置1は、ファンを有する構成と比較して、メンテナンス性が良好であり、ランニングコストの低減が図れる。
また、排気ダクト18は、ハウジング10の上壁15から上方へ向けて延びており、その上端に排気口21が位置している。紫外線LEDユニット12の発熱によって暖められた空気は、スムースに排気ダクト18に流れ込むとともに、排気ダクト18を直線的に上方へ向けて流れる。したがって、空気の流れの乱れや空気の滞留が生じにくく、空気はスムースに上方へ流れる。したがって、紫外線照射装置1は、紫外線LEDユニット12との熱交換がなされた空気を良好に排気することができ、紫外線LEDユニット12を効果的に冷却することができる。
また、紫外線照射装置1は、ハウジング10の内部をヒートシンク32が位置する上収容室42と紫外線発光部31が位置する下収容室43とに区画する仕切り板34を有するとともに、吸気口16は上収容室42と連通している。つまり、紫外線LEDユニット12を冷却する外気は上収容室42のみを通過し、下収容室43は密閉された状態に保たれる。そして、紫外線LEDユニット12は、ヒートシンク32が上収容室42に位置されている。したがって、紫外線照射装置1は、紫外線LEDユニット12の紫外線発光部31に塵埃等が堆積することがなく、簡易な構成で紫外線発光部31を塵埃等から保護でき、紫外線LEDユニット12の故障を抑制できる。
また、紫外線照射装置1は、排気ダクト18の上端と排気口カバー19との間隔Dを調節する調節機構としてのスペーサー22を備えるので、排気口21の大きさを調節することができる。ここで、吸気口16から流入する空気の流速は、紫外線LEDユニット12の発熱量とともに、排気口21の大きさの影響を大きく受ける。つまり、排気口21の大きさを調節することで、吸気口16から上収容室42へ流入する空気の流速を調節することができ、使用環境に応じた紫外線LEDの冷却が可能となり、使い勝手が良い。
なお、吸気口16からの塵埃等の流入を抑制するとともに紫外線LEDユニット12を冷却する観点において、吸気口16から上収容室42へ流入する空気の流速は、10〜20mm/sが好ましい。流速が20mm/sより速いと、吸気口16から多くの塵埃等が流入し、塵埃等による冷却効果の低下や紫外線LEDユニット12の故障のリスクが向上する。一方で、流速が10mm/sより遅いと、紫外線LED36の十分な冷却ができなくなる。
また、吸気口16の開口面積は、排気口21の開口面積より大であることが好ましく、吸気口16の開口面積に対する排気口21の開口面積の比は、1〜1/2程度であることが好ましい。このような構成にすることで、吸気口16から上収容室42へ流入する空気の流速の調節がしやすくなる。また、吸気口16の側の流速が遅くなり塵埃が侵入しにくくなるととともに、排気口21の側では逆に流速が速くなって入ってしまった塵埃を排出しやすい。なお、吸気口16の開口面積は、全ての吸気口16の開口面積の合計である。また、排気口21の開口面積は、2つの排気口21の開口面積の合計である。また、排気口21の開口面積は、排気ダクト18の上端における周長と排気ダクト18の上端と排気口カバー19の下面との間隔Dとの積である。
また、排気ダクト18の上端と排気口カバー19の下面との間隔Dは、5mm以上、15mm以下であることが好ましく、12mmであることがより好ましい。間隔Dが15mmより大であると、排気口21から上収容室42への塵埃等の侵入を防止しにくくなる。また、間隔Dが5mmより小であると、吸気口16から上収容室42へ流入する空気の流速が遅くなり、紫外線LED36の十分な冷却ができなくなる。
また、カバー11は、蝶番29を介して周壁14に連結され、周壁14の下端が閉塞された閉塞状態と解放された解放状態との間で揺動自在である。したがって、紫外線照射装置1は、周壁14の下端を容易に解放したり、閉塞したりできるので、ハウジング10の内部に収容される紫外線LEDユニット12の交換等のメンテナンスが容易となり、使い勝手が良い。
また、紫外線照射装置1は、電源ユニット44をハウジング10の内部であって上収容室42に収容するので、小型化が図られて使用環境の制限を受けにくく、使い勝手が良い。また、紫外線照射装置1は、出力調節ダイアル47の操作に応じて紫外線の強度を調整できるので、使い勝手が良い。
次に、上述の紫外線照射装置1を備える本実施形態に係る紫外線探傷装置について詳述する。図10は、本実施形態に係る紫外線探傷装置の一例としての蛍光磁粉探傷装置50の構成が示された模式図である。なお、図10には、被検査物60の搬送方向が白抜きの矢印で示されており、被検査物60は、図10における右側から左側へ向けて搬送される。
図10に示すように、蛍光磁粉探傷装置50は、例えば長尺な角柱状の鋼材等の被検査物60の表面におけるクラック等の欠陥を、蛍光磁粉を用いて検出する紫外線探傷装置である。蛍光磁粉探傷装置50は、搬送装置61と、蛍光磁粉散布装置62と、磁化装置63と、エアーブロー装置64と、紫外線照射装置1と、撮像装置65と、マーキング装置66などを備える。
また、蛍光磁粉探傷装置50は、ここでは図示せぬコントローラや検出装置等も備える。
搬送装置61は、被検査物60を搬送するものである。搬送装置61は、複数のローラ等から構成されるローラコンベアであり、被検査物60を所望の速度で搬送できるように構成されている。そして、被検査物60は、図10において、蛍光磁粉散布装置62が位置する右側からマーキング装置66が位置する左側へ搬送される。なお、搬送装置61は、図示せぬ搬送距離計測装置を備える。搬送距離計測装置は、被検査物60の搬送距離を計測するものである。搬送距離計測装置としては、搬送装置61のローラの回転の変位を計測するロータリエンコーダなどから構成される測定装置を用いることができる。なお、搬送距離計測装置の構成は特に限定されるものではなく、非接触による測定装置、例えば、レーザ表面速度計が用いられても良く、これらを組み合わせた構成であっても良い。また、搬送装置61の構成も特に限定されるものではなく、例えば、無端体であるベルトなどから構成されるベルトコンベアなどであっても良い。
蛍光磁粉散布装置62は、蛍光磁粉検査液を被検査物60の表面に散布するものであり、搬送方向における上流側に配置されている。蛍光磁粉散布装置62は、図示せぬタンク、ポンプ、ノズル等などから構成される。タンクに収容された蛍光磁粉検査液が、ポンプによってノズルへ圧送され、ノズルから蛍光磁粉検査液が噴出される。蛍光磁粉検査液は、表面が蛍光体で被覆された磁粉(蛍光磁粉)を含有する溶液である。蛍光磁粉散布装置62は、所望の量の蛍光磁粉検査液を被検査物60の表面に連続して散布することができるように構成されている。なお、蛍光磁粉散布装置62の構成は特に限定されるものではない。
磁化装置63は、被検査物60に磁場を印加するものであり、蛍光磁粉散布装置62の下流側に隣接して配置される。磁化装置63は、搬送方向の上流側と下流側に対向して配置される2つの貫通コイル67,68と、2つの貫通コイル67,68の間であって、搬送方向に列を成して配置される2つの極間コイル69,70などから構成される。貫通コイル67,68は円環状に形成され、被検査物60はその中心を貫通するようにして搬送される。一方、極間コイル69,70はU字状に形成され、被検査物60はその空隙を通過するように搬送される。そして、磁化装置63は、この2つの極間コイル69,70を備えることで、2つの貫通コイル67,68の間で一様な回転磁界を発生させることができる。
より詳細には、貫通コイル67,68と極間コイル69,70に電流が流れることによって、貫通コイル67,68では被検査物60の搬送方向に磁場が生成され、極間コイル69,70ではその空隙方向である被検査物60の搬送方向と直交する方向に磁場が生成される。そして、貫通コイル67,68と極間コイル69,70に位相が90度ずれた交流電流が流れると、貫通コイル67,68によって生成される磁場の方向(搬送方向)と極間コイル69,70によって生成される磁場の方向(搬送方向と直交する方向)とで形成される平面内において、一定の磁界強度で回転する回転磁界が生成される。
なお、磁化装置63の構成は特に限定されるものではなく、貫通コイル67,68や極間コイル69,70の数などは適宜設計できる。例えば、磁化装置63は、極間コイル69,70の他に更に複数の極間コイルを有する構成であっても良い。また、磁化装置63は、1つの貫通コイル67と1つの極間コイル69から構成されるものであっても良い。
エアーブロー装置64は、被検査物60に向けて重力に逆らう方向にエアーを吹き付けるものである。エアーブロー装置64は、2つの貫通コイル67,68の間であって、貫通コイル67と極間コイル69の間、2つの極間コイル69,70の間、及び極間コイル70と貫通コイル68の間にそれぞれ設けられている。このエアーブロー装置64によって、被検査物60の表面を流れる蛍光磁粉検査液の流速を調節することができる。なお、エアーブロー装置64の構成は特に限定されるものではない。
紫外線照射装置1は、2つの貫通コイル67,68の間において、被検査物60の表面の蛍光磁粉検査液に上方から紫外線を照射するように配置される。紫外線照射装置1は、磁化装置63によって生成される強い回転磁界の影響を避けるため、被検査物60から所定の距離、例えば600mm〜2000mm程度離れた位置に配置される。なお、紫外線照射装置1には、磁気シールドが施されても構わない。
撮像装置65は、紫外線照射装置1によって紫外線が照射された被検査物60の表面を撮像するものである。撮像装置65は、被検査物60の表面を上方から撮像することができるように配置されている。また、撮像装置65は、磁化装置63によって生成される強い回転磁界の影響を避けるため、被検査物60から所定の距離、例えば600mm〜2000mm程度離れた位置に配置されるとともに、磁気シールドが施されている。撮像装置65としては、エリアカメラまたはラインカメラを用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。
ここでは図示せぬ検出装置は、撮像装置65によって撮像された画像信号(原画像)を読み込むとともに、原画像に所定の処理を行うことによって、被検査物60の表面の欠陥を検出するものであり、その構成については後述する。
マーキング装置66は、検出装置によって検出された被検査物60の表面における欠陥に、目視可能なマーキングをするものである。マーキング装置66としては、例えば、空気圧を用いてインクを噴射することでマーキングを行うマーキングガンを用いることができる。なお、マーキング装置66の構成は特に限定されるものではない。
次に、本実施形態に係る蛍光磁粉探傷装置50の制御系統について説明する。図11は、蛍光磁粉探傷装置50の制御系統のブロック図である。蛍光磁粉探傷装置50は、コントローラ71を備え、このコントローラ71によって、搬送装置61、蛍光磁粉散布装置62、磁化装置63、エアーブロー装置64、撮像装置65、マーキング装置66、検出装置72等が制御され、自動制御によって被検査物60の表面の欠陥を検出することができるように構成されている。なお、紫外線照射装置1は、作業員によって手動で操作される。
コントローラ71は、種々の設定値や、各種センサによる検出値などの入力信号を読み込むとともに、制御信号を出力することで、蛍光磁粉探傷装置50が備える各種装置の動作を制御するように構成されている。コントローラ71としては、演算処理及び制御処理を行うCPU(Central Processing Unit)、データが格納される主記憶装置、タイマ、入力回路、出力回路、並びに電源回路等の含まれたマイクロコンピュータが例示される。ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)に例示される主記憶装置には、本実施形態に係る動作を実行するための制御プログラムや、各種データが格納されている。なお、これらの各種プログラムやデータ等は、外部の記憶装置に格納され、コントローラ71が読み出す形態とされも良い。
コントローラ71には、搬送装置61と、蛍光磁粉散布装置62と、磁化装置63と、エアーブロー装置64と、撮像装置65と、マーキング装置66と、検出装置72等が電気的に接続されている。なお、コントローラ71には、図11に示された構成以外の各種センサなどが電気的に接続されている。
検出装置72は、コントローラ71と同様に、演算処理及び制御処理を行う処理装置、データが格納される主記憶装置等を有し、例えば、CPU、主記憶装置、タイマ、入力回路、出力回路、電源回路等を有するマイクロコンピュータである。主記憶装置には、原画像から欠陥を検出するためのプログラムや、各種データなどが格納される。なお、検出装置72の構成は特に限定されるものではない。例えば、主記憶装置に格納されるプログラムやデータ等は、外部の記憶装置に格納され、検出装置72が読み出す形態とされても良い。
検出装置72は、上述したように、撮像装置65によって撮像された原画像を読み込み、この読み込んだ原画像に所定の画像処理を行う。画像処理としては、LUT(Look Up Table)変換処理、拡大・収縮処理、シェーディング処理、及び二値化処理等が例示される。そして、検出装置72は、画像処理がなされた画像内の欠陥の有無の判定を行い、欠陥を検出する。なお、検出装置72は、撮像装置65によって撮像された原画像から欠陥を検出できる構成であれば良く、特に限定されるものではない。
次に、蛍光磁粉探傷装置50の動作について説明する。蛍光磁粉探傷装置50は、搬送装置61によって被検査物60を順次各装置へ搬送して被検査物60の表面の傷部を検出するように構成されている。なお、紫外線照射装置1は、検査時には常時紫外線を照射しており、作業員によって電源の入り切りが行われる。
被検査物60は、まず、磁粉散布装置62に搬送されて表面に蛍光磁粉検査液が散布される。表面に蛍光磁粉検査液が散布された被検査物60は、磁化装置63によって形成された回転磁界領域内に搬送される。
この際、被検査物60の表面に欠陥が存在する場合、その欠陥に起因する漏洩磁界が生じて、蛍光磁粉検査液に含まれる蛍光磁粉が、その漏洩磁界に引き寄せられる。ここで、磁化装置63によって形成された磁界は回転しているため、欠陥の延びる方向(形状)に関わらず漏洩磁界が発生し、欠陥に磁粉が引き寄せられる。そして、蛍光磁粉が欠陥に集合することで、欠陥に起因する蛍光磁粉指示模様が被検査物60の表面に形成される。
なお、被検査物60の表面を流れる蛍光磁粉検査液の流速は、エアーブロー装置64によって適宜調節される。蛍光磁粉指示模様を安定して形成させる観点において、蛍光磁粉検査液の流速は、5〜100mm/sが好ましい。蛍光磁粉検査液の流速が100mm/sより速いと、蛍光磁粉が欠陥に起因する漏洩磁界に引き寄せられにくくなり、蛍光磁粉指示模様が不安定なものとなる。一方、蛍光磁粉検査液の流速が5mm/sより遅いと、安定した蛍光磁粉指示模様の形成に多くの時間を要することになり、検査効率の低下に繋がる。
このようにして形成された蛍光磁粉指示模様は、紫外線照射装置1から照射される紫外線によって、蛍光磁粉の表面を被覆する蛍光体を励起させ、撮像装置65によって撮像される。この撮像装置65によって撮像された原画像は、検出装置72に送られる。検出装置72は、この原画像に所定の処理を行い、原画像内における欠陥を検出し、その位置データをコントローラ71に送る。そして、コントローラ71は、この欠陥の位置データと搬送装置61の搬送距離計測装置の計測データに基づいて、マーキング装置66の動作を制御し、被検査物60の表面の欠陥にマーキングを行う。
なお、紫外線探傷装置としての蛍光磁粉探傷装置50は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、コントローラ71と検出装置72とが一体に構成されても良い。このような構成にすることで、蛍光磁粉探傷装置50が簡素化され、小型化が図れる。また、コントローラ71が紫外線照射装置1を制御する構成であっても良い。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係る紫外線照射装置1は、上下方向に延びる筒状の周壁14と、周壁14の上端を閉塞する上壁15とを有する有頂筒状のハウジング10と、紫外線LED36と、ヒートシンク32とを有する紫外線LEDユニット12と、周壁14の下端を閉塞するカバー11と、を備え、紫外線LEDユニット12は、ヒートシンク32が上壁15と対向してハウジング10に収容され、ハウジング10は、周壁14を貫通して内部と連通し、ルーバー17によって下方へ向けて開口する吸気口16と、上壁15から上方へ向けて延びて内部と連通する筒状の排気ダクト18とを有し、カバー11は、紫外線LED36によって照射される紫外線を透過させる紫外線透過部25を有し、更に、排気ダクト18の上端を、所定の間隔を有して上方から覆う排気口カバー19を備える構成である。また、本実施形態に係る蛍光磁粉探傷装置50は、上述の紫外線照射装置1を備える構成である。
そして、本実施形態によれば、メンテナンス性が良好でランニングコストを低減できる紫外線照射装置、及び紫外線探傷装置を提供することができる。
以下に実施例を示して、本開示を更に詳細、且つ具体的に説明する。しかしながら、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
<材料>
[実施例1]
図1〜図9に示される本実施形態に係る紫外線照射装置1が用いられた。すなわち、紫外線照射装置1は、上下方向に延びる筒状の周壁14と、周壁14の上端を閉塞する上壁15とを有する有頂筒状のハウジング10と、紫外線LED36と、ヒートシンク32とを有する紫外線LEDユニット12と、周壁14の下端を閉塞するカバー11と、を備え、紫外線LEDユニット12は、ヒートシンク32が上壁15と対向してハウジング10に収容され、ハウジング10は、周壁14を貫通して内部と連通し、ルーバー17によって下方へ向けて開口する吸気口16と、上壁15から上方へ向けて延びて内部と連通する筒状の排気ダクト18とを有し、カバー11は、紫外線LED36によって照射される紫外線を透過させる紫外線透過部25を有し、更に、排気ダクト18の上端を、所定の間隔を有して上方から覆う排気口カバー19を備えるといった特徴を有していた。
ハウジング10、排気口カバー19、カバー11の枠体26、ヒートシンク32、仕切り板34は、アルミニウム製であった。ハウジング10の左右方向の幅は340mmで、前後方向の幅は340mmで、上下方向の高さは140mmであった。ヒートシンク32の左右方向の幅は70mmで、前後方向の幅は70mmで、上下方向の高さは40mmであり、突起部の数は105(7行×15列)であった。排気ダクト18の長さは35mmで、排気ダクト18の上端と排気口カバー19との間隔Dは15mmで、吸気口16の数は34で、吸気口16の面積は5440mm2で、排気口21の面積は5652mm2で、吸気口16の開口面積に対する排気口21の開口面積の比は1.04であった。紫外線LED36は順方向電圧が15.4Vで、光出力が2Wで、ピーク波長が365nmであった。
<評価方法>
(冷却性能試験)
実施例1の冷却性能が測定された。紫外線照射距離が600mmにおける紫外線照射領域の中央での紫外線強度が約6000μW/cm2となるように出力調節ダイアル47を設定し、24時間連続して紫外線を照射した際の紫外線LED36のジャンクション温度を、周囲温度が20℃と40℃との2つの場合で測定した。周囲温度が20℃の場合のジャンクション温度は約80℃であり、周囲温度が40℃の場合のジャンクション温度は約100℃であった。なお、ジャンクション温度は、紫外線LED36のはんだ接合部の温度を測定し、その測定値から算出した。
(塵埃除去性能)
冷却性能試験終了後の上収容室42の塵埃の有無を目視で確認した。周囲温度が20℃、及び40℃のいずれの場合においても、ヒートシンク32への塵埃の付着はなく、上収容室42に塵埃はなかった。
上述された実施例から本実施形態に係る紫外線照射装置1は、紫外線LED36の発熱を100℃以下に抑えられるとともに、内部への塵埃の吸込みを抑制でき、ファンやフィルタを用いることなく紫外線LED36を十分に冷却できることが示された。したがって、本実施形態では、メンテナンス性が良好でランニングコストを低減できる紫外線照射装置1を提供することが示された。