JP2018003810A - 内燃機関の燃料噴射システム - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の運転状態に応じて燃料の噴射方向を変更することで、燃焼状態を改善し、内燃機関の燃費及び排気性能を向上できること。
【解決手段】エンジン10のシリンダヘッド13とスロットルボディとの間に接続されて、吸気通路27を形成するインテークパイプ23と、このインテークパイプに取り付けられ、燃料を噴射する噴射口28が吸気通路27側に設けられる燃料噴射装置26と、を有する内燃機関の燃料噴射システム30において、インテークパイプ23は、シリンダヘッドに対して相対移動可能な可動部31を備え、燃料噴射装置26は、可動部31に取り付けられ、噴射口から燃料Aを噴射する噴射軸線Pの方向が可動部31の移動に伴って変化するよう構成されたものである。
【選択図】 図2
【解決手段】エンジン10のシリンダヘッド13とスロットルボディとの間に接続されて、吸気通路27を形成するインテークパイプ23と、このインテークパイプに取り付けられ、燃料を噴射する噴射口28が吸気通路27側に設けられる燃料噴射装置26と、を有する内燃機関の燃料噴射システム30において、インテークパイプ23は、シリンダヘッドに対して相対移動可能な可動部31を備え、燃料噴射装置26は、可動部31に取り付けられ、噴射口から燃料Aを噴射する噴射軸線Pの方向が可動部31の移動に伴って変化するよう構成されたものである。
【選択図】 図2
Description
本発明は、燃料噴射装置を備えた内燃機関の燃料噴射システムに関する。
特許文献1には、噴射方向が異なる2本の燃料噴射弁を備え、内燃機関のリーン運転時に、排気工程において一方の燃料噴射弁から吸気バルブに向けて燃料を噴射し、吸気工程において他方の燃料噴射弁から点火プラグに向けて燃料を噴射する内燃機関の燃焼制御装置が開示されている。
ところで、内燃機関(エンジン)の燃料噴射システムでは、エンジンの運転状態によって燃料を噴射すべき方向が変化する。例えば、エンジンの暖気運転時には、燃料をエンジンの吸気ポートの壁面に衝突させることで、燃料の微粒化が促進されて燃費及び排気(排ガス)性能が向上するが、エンジンの低温条件下での運転時には、吸気ポートの壁面に燃料の液膜が多量に発生して、燃焼の安定性が損なわれてしまう。
しかしながら、特許文献1に記載の内燃機関の燃焼制御装置では、燃料の噴射方向が一方向または2方向の固定された方向に限定されるので、エンジンの全ての運転状態に適合した燃料の噴射を実現できない。その噴射方向の範囲を広げるためには多数の燃料噴射弁を設置しなければならず、設置スペースやコストの点で課題がある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、内燃機関の運転状態に応じて燃料の噴射方向を変更することで、燃焼状態を改善し、内燃機関の燃費及び排気性能を向上できる内燃機関の燃料噴射システムを提供することにある。
本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムは、内燃機関のシリンダヘッドとスロットルバルブを備えた機器との間に接続されて、吸気通路を形成するインテークパイプと、このインテークパイプに取り付けられ、燃料を噴射する噴射口が前記吸気通路側に設けられる燃料噴射装置と、を有する内燃機関の燃料噴射システムにおいて、前記インテークパイプは、前記シリンダヘッドに対して相対移動可能な可動部を備え、前記燃料噴射装置は、前記可動部に取り付けられ、前記噴射口から燃料を噴射する噴射軸線の方向が前記可動部の移動に伴って変化するよう構成されたことを特徴とするものである。
また、本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムは、内燃機関のシリンダヘッドとスロットルバルブを備えた機器との間に接続されて、吸気通路を形成するインテークパイプと、このインテークパイプに取り付けられ、燃料を噴射する噴射口が前記吸気通路側に設けられる燃料噴射装置と、を有する内燃機関の燃料噴射システムにおいて、前記燃料噴射装置は、前記インテークパイプに回転可能に支持され、前記噴射口から燃料を噴射する噴射軸線が、前記燃料噴射装置の回転軸に対して位置と角度の少なくとも一方を偏らせるように設定され、前記噴射軸線の方向が、前記燃料噴射装置の前記インテークパイプに対する回転に伴って変化するよう構成されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、可動部の移動により燃料噴射装置の取付位置を変化させることで、一つの燃料噴射装置であっても、内燃機関の運転状態に応じて燃料の噴射方向を容易に変更でき、この結果、燃焼状態を改善し、内燃機関の燃費及び排気性能を向上させることができる。
また、本発明によれば、燃料噴射装置を回転させるというシンプル且つコンパクトな構成で、周辺部品に影響を与えることなく、内燃機関の運転状態に応じて燃料の噴射方向を容易に変更でき、この結果、内燃機関の燃費及び排気性能を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1〜図7)
図1は、本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムにおける第1実施形態が適用されたエンジン吸気系を、エンジンと共に示す斜視図である。また、図2は、(A)が、図1の燃料噴射装置を含む燃料噴射システムを、エンジンのシリンダヘッドと共に切り欠いて示す部分切欠き斜視図、(B)が、図2(A)の燃料噴射装置とインテークパイプとの位置関係を示す概念図である。
[A]第1実施形態(図1〜図7)
図1は、本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムにおける第1実施形態が適用されたエンジン吸気系を、エンジンと共に示す斜視図である。また、図2は、(A)が、図1の燃料噴射装置を含む燃料噴射システムを、エンジンのシリンダヘッドと共に切り欠いて示す部分切欠き斜視図、(B)が、図2(A)の燃料噴射装置とインテークパイプとの位置関係を示す概念図である。
図1に示すように、車両、例えば自動二輪車に搭載された内燃機関としてのエンジン10は、図示しないクランクシャフトを収容するクランクケース11にシリンダブロック12、シリンダヘッド13及びヘッドカバー14が順次設置されて構成され、シリンダヘッド13の吸気ポート17(図2)にエンジン吸気系15が接続される。シリンダヘッド13の排気ポート18(図2)には、エキゾーストパイプを含むエンジン排気系(共に図示した図)が接続されている。
シリンダブロック12には、図示しないピストンを往復移動可能に収容するシリンダ(不図示)が形成される。また、シリンダヘッド13には、前記シリンダに連通して燃焼室16(図2)が形成され、更にこの燃焼室16に連通して、吸気ポート17及び排気ポート18が形成されている。吸気ポート17は、燃焼室16へ向かって湾曲状に屈曲して形成される。また、シリンダヘッド13には、吸気ポート17を開閉する吸気バルブ19と、排気ポート18を開閉する排気バルブ20と、先端部が燃焼室16内に突出するスパークプラグ21とが、それぞれ設置されている。吸気バルブ19及び排気バルブ20は、シリンダヘッド13とヘッドカバー14との間に設置された図示しない動弁機構により駆動される。
吸気バルブ19の開弁動作によって、エンジン吸気系15から燃料と空気の混合気が、吸気ポート17を経て燃焼室16内に吸入される。この混合気は、スパークプラグ21により点火されて燃焼室16内で燃焼し、ピストンを往復運動させてクランクシャフトを回転させる。混合気の燃焼により燃焼室16内で発生した排気(排ガス)は、排気バルブ20の開弁動作により、排気ポート18を経てエンジン排気系から大気中へ排出される。
図1に示すエンジン吸気系15は、エンジン10のシリンダヘッド13における吸気ポート17にインテークパイプ23、スロットルボディ24及びエアクリーナ25が順次接続され、更にインテークパイプ23に燃料噴射装置26が取り付けられて構成される。エアクリーナ25は、外気を導入して浄化する。スロットルボディ24は、吸気通路(不図示)を形成すると共に、この吸気通路内に図示しないスロットルバルブを備える機器である。インテークパイプ23には吸気通路27(図2)が形成され、この吸気通路27がシリンダヘッド13の吸気ポート17とスロットルボディ24の吸気通路に接続される。
エアクリーナ25にて浄化された空気は、スロットルボディ24におけるスロットルバルブの開度に応じて、スロットルボディ24の吸気通路及びインテークパイプ23の吸気通路27内を流れて、シリンダヘッド13の吸気ポート17に吸入される。また、燃料噴射装置26は、燃料を噴射する噴射口28がインテークパイプ23の吸気通路27側に向かって設けられ、この噴射口28からシリンダヘッド13の吸気ポート17へ向かって燃料を噴射する。この燃料噴射装置26にて噴射された燃料は、吸気ポート17内で、吸入された空気と混合されて混合気となり、吸気バルブ19の開弁動作時にシリンダヘッド13の燃焼室16へ導かれる。
上述のエンジン吸気系15のうち、インテークパイプ23及び燃料噴射装置26が燃料噴射システム30を構成する。つまり、図2に示すように、インテークパイプ23は、シリンダヘッド13に対して相対移動可能な可動部31を備える。具体的には、この可動部31は、円筒形状のインテークパイプ23の一部分であり、インテークパイプ23の残りの部分及びシリンダヘッド13に対して、インテークパイプ23の中心軸O回りに図2の矢印Q方向に回転可能に構成される。尚、可動部31は、インテークパイプ23の全体であってもよく、このインテークパイプ23の全体が可能部31としてシリンダヘッド13に対し、インテークパイプ13の回転軸O回りに回転可能に構成されてもよい。
ここで、可動部31を回転させる回転駆動機構32は、例えば図3(A)及び(B)に示すように、可動部31の外周にドリブンギア33Bを設け、このドリブンギア33Bに、アイドルギア29を介して噛み合うドライブギア33Aをモータ34により駆動させることで、可動部31を回転させるよう構成される。また、可動部31を回転させる回転駆動機構35は、図3(C)に示すように、自動二輪車のスロットルクリップ36にプーリ37を設け、このプーリ37と可動部31とをケーブル38を用いて連結し、スロットルクリップ36の操作によりプーリ37及びケーブル38を介して可動部31を回転させるように構成されてもよい。
エンジン10が多気筒エンジンの場合には、図3(A)に示すように、各気筒のシリンダヘッド13に接続されるインテークパイプ23の可動部31間をリンク機構39(またはギアやベルト)で連結して、各気筒に対応する可動部31の回転を同期させることが好ましい。この場合、特に図3(C)に示す回転駆動機構35では、一端がプーリ37に係止されたケーブル38の下端をリンク機構39に連結して、このリンク機構39を介して各気筒に対応する全ての可動部31を同期回転させるようにしてもよい。
また、エンジン10が多気筒エンジンの場合には、図3(B)に示すように、モータ34を複数個を用意し、各気筒に対応する可動部31を全て独立して回転させたり、各気筒に対応する可動部31を、リンク機構39と組み合わせることでモータ34毎にグループ分けし、各グループ間では可動部31を独立して回転させるが、各グループ内では可動部31をリンク機構39により同期回転させるように構成してもよい。
図2に示すように、燃料噴射装置26は、インテークパイプ31の可動部31に取り付けられる。従って、燃料噴射装置26の噴射口28から燃料Aを噴射する噴射軸線Pの方向は、可動部31の回転に伴って無段階に変化するよう構成される。尚、燃料噴射装置26の噴射軸線Pがインテークパイプ23の中心軸Oに対して角度αだけ傾斜しているとすると、噴射軸線Pの変動範囲は、図2(B)に示すように最大2αとなる。上述の燃料噴射装置26における噴射軸線Pの方向の変化、つまり燃料噴射装置26による燃料Aの噴射方向の変更は、エンジン10の運転状態(エンジン回転数、エンジン負荷など)に基づいて実施される。
例えば、エンジン10の暖気運転では、図4に示すように、可動部31は、インテークパイプ23の中心軸O方向視において、燃料噴射装置26を斜め右上部〜下部〜斜め左上部の範囲(例えば、2時〜10時の方向)の何れかに位置付けるような第1の回転範囲に設定される。これにより、燃料噴射装置26の噴射軸線Pの方向は、シリンダヘッド13の吸気ポート17の壁面に向かうように設定される。ここで、「2時〜10時の方向」とは、インテークパイプ23の中心軸Oに直交する断面を時計の文字盤に対応づけて、上端部を12時としたときの方向の定義であり、以下同様とする。
上述のように、燃料噴射装置26の噴射軸線Pの方向が吸気ポート17の壁面に向かうことで、燃料噴射装置26から噴射された燃料Aが、吸気ポート17の壁面に衝突して微粒化され、気化され易くなる。これにより、エンジン10の燃焼室16内での混合気の分布が均一化されて、燃焼速度が上昇し、未燃ガスが減少して、暖気運転時における燃費及び排気(排ガス)浄化性能が向上する。
また、エンジン10におけるバルブタイミングの変更に伴って、吸気バルブ19と排気バルブ20の両方が開く状態であるバルブオーバーラップが大きくなったときには、図5に示すように、可動部31は、燃料噴射装置26を右方向部〜下部〜左方向部の範囲(例えば、3時〜9時の方向)の何れかに位置付けるような第2の回転範囲に設定される。これにより、燃料噴射装置26の噴射軸線Pの方向は、シリンダヘッド13の吸気ポート17の壁面におけるインテークパイプ23付近(エンジン10の通常運転時に比べてインテークパイプ23付近)に向かうように設定される。
このように、燃料噴射装置26の噴射軸線Pの方向を吸気ポート17の壁面における上流側であるインテークパイプ23付近に向かうようにして噴射口28が燃料Aを噴射することで、この噴射された燃料Aは、吸気バルブ19から離れた位置で吸気ポート17の壁面に衝突する。これにより、エンジン10におけるバルブオーバーラップ時に、燃料Aが吸気バルブ19側から排気バルブ20側へ流動して排気ポート18へ至る、未燃燃料の排気ポート18への吹き抜けが防止される。
更に、エンジン10がリーン運転時や低温条件下での運転であるときには、図6及び図7に示すように、可動部31は、燃料噴射装置26を斜め右上部〜上部〜斜め左上部の範囲(例えば、11時〜1時の方向)の何れかに位置付けるような第3の回動範囲に設定される。これにより、燃料噴射装置26の噴射軸線Pの方向は、シリンダヘッド13の吸気ポート17内を通過して、シリンダヘッド13の燃焼室16で直接向かうように設定される。
特に、エンジン10がリーン運転状態にあるときには、図6に示すように、可動部31は、燃料噴射装置26を斜め右上部(例えば、略11時の方向)に位置付けるような第4の回転範囲に設定される。これにより、燃料噴射装置の噴射軸線Pの方向は、シリンダヘッド13の吸気ポート17内を通過して僅かに斜め右方向に向かい、シリンダヘッド13の燃焼室16内に突出するスパークプラグ21の先端部に向かうように設定される。エンジン10のリーン運転時には、通常運転時に比べて少量の燃料Aが燃料噴射装置26から噴射されることになる。このとき、燃料噴射装置26の噴射軸線Pの方向がスパークプラグ21の先端部に向かう状態で噴射口28から燃料Aが噴射されることで、スパークプラグ21の先端部付近に燃料Aが行き渡り易くなる。これにより、スパークプラグ21の先端部付近の燃料濃度が高くなるので、リーン運転時における燃焼が安定化する。
また、エンジン10が低温条件下で運転されているときには、図7に示すように、可動部31は、燃料噴射装置26を略上端部(例えば、略12時の方向)に位置付けるような第5の回転範囲に設定される。これにより、燃料噴射装置26の噴射軸線Pの方向は、シリンダヘッド13の吸気ポート17内を通過して、吸気ポート17を開閉する吸気バルブ19の傘部22の裏面へ向かうように設定される。
エンジン10の低温条件下では、シリンダヘッド13の吸気ポート17の壁面は、吸気バルブ19に比べて低温になる。このとき、燃料噴射装置26の噴射軸線Pの方向が吸気バルブ19の傘部22の裏面へ向かう状態で燃料Aが噴射されることで、吸気ポート17の壁面への燃料Aの付着が抑制され、燃料Aが液体膜になることの影響(燃料が気化しにくくなって燃焼安定性が低下すること)を回避できる。そして、燃料Aを吸気バルブ19の傘部22の裏面に衝突させてその気化を促進させることで、シリンダヘッド13の燃焼室16内への燃料Aの供給が確実になされる。
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果を奏する。
図2に示すように、インテークパイプ23の可動部31がインテークパイプ23の中心軸O回りに回転することによって、この可動部31に取り付けられた燃料噴射装置26の取付位置を変化させる。このため、インテークパイプ23の周辺に燃料噴射装置26が複数突出することがなく、また、一つの燃料噴射装置26であってもエンジン10の運転状態に応じて、燃料噴射装置26からの燃料Aの噴射方向(噴射軸線Pの方向)を容易に且つ大幅に変更できる。この結果、エンジン10の各運転状態における燃費及び排気性能を向上させることができる。
図2に示すように、インテークパイプ23の可動部31がインテークパイプ23の中心軸O回りに回転することによって、この可動部31に取り付けられた燃料噴射装置26の取付位置を変化させる。このため、インテークパイプ23の周辺に燃料噴射装置26が複数突出することがなく、また、一つの燃料噴射装置26であってもエンジン10の運転状態に応じて、燃料噴射装置26からの燃料Aの噴射方向(噴射軸線Pの方向)を容易に且つ大幅に変更できる。この結果、エンジン10の各運転状態における燃費及び排気性能を向上させることができる。
[B]第2実施形態(図8〜図11)
図8は、本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムにおける第2実施形態が適用された燃料噴射装置の噴射軸線と回転軸との関係を示す概念図である。また、図9は、図8の燃料噴射装置における噴射軸線の方向が吸気ポートの壁面へ向かう場合を示す燃料噴射システム等の部分切欠き斜視図である。この第2実施形態において、第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
図8は、本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムにおける第2実施形態が適用された燃料噴射装置の噴射軸線と回転軸との関係を示す概念図である。また、図9は、図8の燃料噴射装置における噴射軸線の方向が吸気ポートの壁面へ向かう場合を示す燃料噴射システム等の部分切欠き斜視図である。この第2実施形態において、第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第2実施形態の燃料噴射システム40が第1実施形態と異なる点は、インテークパイプ41が可動部31を備えることなく、エンジン10のシリンダヘッド13とスロットルボディ24に固定して取り付けられ、また、燃料噴射装置42は、その回転軸S回りに矢印R方向に回転(自転)可能にインテークパイプ41に支持され、更に、噴射口28から燃料Aを噴射する噴射軸線Mが、燃料噴射装置42の回転軸Sに対して偏って設定された点である。
つまり、燃料噴射装置42は、噴射口28から燃料を噴射する噴射軸線Mが、燃料噴射装置42の回転軸Sに対して角度と位置の少なくとも一方を偏らせるように設定されている。例えば、燃料噴射装置42は、図8(A)に示すように、噴射軸線Mが燃料噴射装置42の回転軸Sに対して角度βだけ偏らせて設定されたり、図8(B)に示すように、噴射軸線Mが燃料噴射装置42の回転軸Sに対して寸法Lだけ位置を偏らせて設定されたり、図8(C)に示すように、噴射軸線Mが、燃料噴射装置42の回転軸Sに対して寸法Lだけ位置を偏らせ且つ角度βだけ偏らして設定されている。ここで、燃料噴射装置42の回転軸S回りの回転は、図3に示す回転駆動機構32または35の駆動によりなされる。
従って、燃料噴射装置42の噴射軸線Mの方向は、燃料噴射装置42のインテークパイプ41に対する回転軸S回りの回転(自転)に伴って無段階に変化するよう構成される。尚、燃料噴射装置42の噴射軸線Mが燃料噴射装置42の回転軸Sに対して角度βだけ偏っているときには、噴射軸線Mの変動範囲は最大2βとなる(図8(A))。また、燃料噴射装置42の噴射軸線Mが燃料噴射装置42の回転軸Sに対して寸法Lだけ位置が偏っているときには、噴射軸線Mの変動範囲は最大2Lとなる(図8(B))。更に、燃料噴射装置42の噴射軸線Mが燃料噴射装置42の回転軸Sに対して寸法L且つ角度βだけ偏っているときには、噴射軸線Mの変動範囲は最大2L+2βとなる。
上述の燃料噴射装置42における噴射軸線Mの方向の変化、つまり燃料噴射装置42による燃料Aの噴射方向の変更は、エンジン10の運転状態に基づいて実施される。
例えば、エンジン10の暖気運転では、図9に示すように、燃料噴射装置42は、噴射軸線Mの方向がシリンダヘッド13の吸気ポート17の壁面に向かうような回転範囲に設定される。このように燃料噴射装置42の噴射軸線Mの方向が吸気ポート17の壁面に向かうことで、燃料噴射装置26から噴射された燃料Aが、吸気ポート17の壁面に衝突して微粒化され、気化され易くなる。これにより、エンジン10の燃焼室16内での混合気の分布が均一化されて、燃焼速度が上昇し、未燃ガスが減少して、暖気運転時における燃費及び排気(排ガス)浄化性能が向上する。
また、エンジン10のバルブタイミングの変更によってバルブオーバーラップが大きくなった場合には、同じく図9に示すように、燃料噴射装置42は、噴射軸線Mの方向がシリンダヘッド13の吸気ポート17におけるインテークパイプ23付近(エンジン10の通常運転時に比べてインテークパイプ23付近)へ向かうような回転範囲に設定される。このように噴射軸線Mの方向がシリンダヘッド13の吸気ポート17におけるインテークパイプ23付近へ向かうことで、噴射口28から噴射された燃料Aは、吸気バルブ19から離れた位置で吸気ポート17の壁面に衝突する。これにより、エンジン10におけるバルブオーバーラップ時に、燃料Aが吸気バルブ19側から排気バルブ20側へ流動して排気ポート18へ至る、未燃燃料の排気ポート18への吹き抜けが防止される。
更に、エンジン10がリーン運転時や低温条件下で運転されているときには、図10及び図11に示すように、燃料噴射装置42は、噴射軸線Mの方向がシリンダヘッド13の吸気ポート17内を通過して、シリンダヘッド13の燃焼室16へ直接向かうような回転範囲に設定される。
特に、エンジン10がリーン運転状態にあるときには、図10に示すように、燃料噴射装置42は、噴射軸線Mの方向が、シリンダヘッド13の吸気ポート17内を通過して、シリンダヘッド13の燃焼室16内に突出するスパークプラグ21の先端部へ向かうような回転範囲に設定される。このように、燃料噴射装置42の噴射軸線Mがスパークプラグ21の先端部へ向かう状態で噴射口28から燃料Aが噴射されることで、スパークプラグ21の先端部付近に燃料が行き渡り易くなる。これにより、スパークプラグ21の先端部付近の燃料濃度が高くなるので、リーン運転時における燃焼が安定化する。
また、エンジン10の低温条件下での運転では、図11に示すように、燃料噴射装置42は、噴射軸線Mの方向が、シリンダヘッド13の吸気ポート17内を通過して、吸気バルブ19の傘部22の裏面へ向かうような回転範囲に設定される。このように、燃料噴射装置42の噴射軸線Mが吸気バルブ19の傘部22の裏面へ向かう状態で噴射口28から燃料Aが噴射されることで、吸気ポート17の壁面への燃料Aの付着が抑制され、燃料Aが液体膜になることの影響(燃料が気化しにくくなって燃焼安定性が低下すること)を回避できる。そして、燃料Aを吸気バルブ19の傘部22の裏面に衝突させてその気化を促進させることで、シリンダヘッド13の燃焼室16内への燃料Aの供給が確実になされる。
以上のように構成されたことから、本第2実施形態によれば、次の効果を奏する。
燃料噴射装置42をその回転軸S回りに回転させるというシンプル且つコンパクトな構成で、周辺部品に影響を与えることなく、エンジン10の運転状態に応じて燃料Aの噴射方向(噴射軸線Mの方向)を容易に変更できる。この結果、エンジン10の燃費及び排気性能を向上させることができる。
燃料噴射装置42をその回転軸S回りに回転させるというシンプル且つコンパクトな構成で、周辺部品に影響を与えることなく、エンジン10の運転状態に応じて燃料Aの噴射方向(噴射軸線Mの方向)を容易に変更できる。この結果、エンジン10の燃費及び排気性能を向上させることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 エンジン(内燃機関)
13 シリンダヘッド
16 燃焼室
17 吸気ポート
19 吸気バルブ
21 スパークプラグ
22 吸気バルブの傘部
23 インテークパイプ
24 スロットルボディ(スロットルバルブを備えた機器)
26 燃料噴射装置
27 インテークパイプの吸気通路
28 燃料噴射装置の噴射口
30 燃料噴射システム
31 可動部
40 燃料噴射システム
41 インテークパイプ
42 燃料噴射装置
A 燃料
O インテークパイプの中心軸
P、M 噴射軸線
S 燃料噴射装置の回転軸
13 シリンダヘッド
16 燃焼室
17 吸気ポート
19 吸気バルブ
21 スパークプラグ
22 吸気バルブの傘部
23 インテークパイプ
24 スロットルボディ(スロットルバルブを備えた機器)
26 燃料噴射装置
27 インテークパイプの吸気通路
28 燃料噴射装置の噴射口
30 燃料噴射システム
31 可動部
40 燃料噴射システム
41 インテークパイプ
42 燃料噴射装置
A 燃料
O インテークパイプの中心軸
P、M 噴射軸線
S 燃料噴射装置の回転軸
Claims (13)
- 内燃機関のシリンダヘッドとスロットルバルブを備えた機器との間に接続されて、吸気通路を形成するインテークパイプと、このインテークパイプに取り付けられ、燃料を噴射する噴射口が前記吸気通路側に設けられる燃料噴射装置と、を有する内燃機関の燃料噴射システムにおいて、
前記インテークパイプは、前記シリンダヘッドに対して相対移動可能な可動部を備え、
前記燃料噴射装置は、前記可動部に取り付けられ、前記噴射口から燃料を噴射する噴射軸線の方向が前記可動部の移動に伴って変化するよう構成されたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射システム。 - 前記可動部は、シリンダヘッドに接続されたインテークパイプの中心軸回りに回転可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、可動部が第1の回転範囲にあるときに、噴射軸線の方向が、シリンダヘッドに形成されて吸気通路に連通する吸気ポートの壁面へ向かうよう構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、可動部が第2の回転範囲にあるときに、噴射軸線の方向が、吸気ポートの壁面におけるインテークパイプ付近へ向かうよう構成されたことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、可動部が第3の回転範囲にあるときに、噴射軸線の方向が、シリンダヘッドに形成されて吸気通路に連通する吸気ポート内を通過して、前記シリンダヘッドの燃焼室へ直接向かうよう構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、可動部が第4の回転範囲にあるときに、噴射軸線の方向が、シリンダヘッドに設置されて燃焼室内に突出するスパークプラグの先端部へ向かうよう構成されたことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、可動部が第5の回転範囲にあるときに、噴射軸線の方向が、シリンダヘッドに設置されて吸気ポートを開閉する吸気バルブの傘部の裏面へ向かうよう構成されたことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 内燃機関のシリンダヘッドとスロットルバルブを備えた機器との間に接続されて、吸気通路を形成するインテークパイプと、このインテークパイプに取り付けられ、燃料を噴射する噴射口が前記吸気通路側に設けられる燃料噴射装置と、を有する内燃機関の燃料噴射システムにおいて、
前記燃料噴射装置は、前記インテークパイプに回転可能に支持され、
前記噴射口から燃料を噴射する噴射軸線が、前記燃料噴射装置の回転軸に対して位置と角度の少なくとも一方を偏らせるように設定され、
前記噴射軸線の方向が、前記燃料噴射装置の前記インテークパイプに対する回転に伴って変化するよう構成されたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射システム。 - 前記燃料噴射装置は、噴射軸線の方向が、シリンダヘッドに形成されて吸気通路に連通する吸気ポートの壁面へ向かうような回転範囲に設定可能に構成されたことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、噴射軸線の方向が、吸気ポートの壁面におけるインテークパイプ付近へ向かうような回転範囲に設定可能に構成されたことを特徴とする請求項9に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、噴射軸線の方向が、シリンダヘッドに形成されて吸気通路に連通する吸気ポート内を通過して、前記シリンダヘッドの燃焼室へ直接向かうような回転範囲に設定可能に構成されたことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、噴射軸線の方向が、シリンダヘッドに設置されて燃焼室内に突出するスパークプラグの先端部へ向かうような回転範囲に設定可能に構成されたことを特徴とする請求項11に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
- 前記燃料噴射装置は、噴射軸線の方向が、シリンダヘッドに設置されて吸気ポートを開閉する吸気バルブの傘部の裏面へ向かうような回転範囲に設定可能に構成されたことを特徴とする請求項11に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
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-
2016
- 2016-07-08 JP JP2016135745A patent/JP2018003810A/ja active Pending
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WO2019225564A1 (ja) * | 2018-05-25 | 2019-11-28 | ヤマハ発動機株式会社 | エンジンユニット |
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