JP2018003055A - 熱交換器用アルミニウム合金チューブ材、アルミニウム合金チューブおよびその製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金チューブ材、アルミニウム合金チューブおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性に優れたろう材を有する熱交換器用アルミニウム合金チューブ材を提供する。【解決手段】質量%で、Mn:1.0〜2.0%を含有するAl−Mn系のアルミニウム合金芯材の片面または両面に、Al−Si系アルミニウム合金からなるろう材が貼り合わされており、ろう付熱処理後のろうの流動係数が0.2〜0.4であり、ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、ろう付け後に残存する残存ろうの厚さをt2、前記残存ろうの表面電位をE1、ろう付後の芯材電位をE2として、28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86を満足する。【選択図】なし

Description

この発明は、熱交換器用アルミニウム合金チューブ材、アルミニウム合金チューブおよびその製造方法に関する。
近年、電気自動車や燃料電池車に代表される環境対応車の急増により、自動車熱交換器おいては、従来よりも高性能化や形状の複雑化の要求が高まっている。
その中で、耐食性確保のため熱交換器冷却水側では犠牲材が適用されていた(例えば特許文献1参照)が、熱交換器の形状要因から熱交換器冷却水側でろう付を実施する例が増えており、接合性および冷却水側での耐食性を両立するろう材が求められている。
ろう材の耐食性を向上させるために、ろう材にZnを添加してろう付け熱処理を行い、ろう材表面から芯材内部にかけての電位勾配を確保する方法が知られている(例えば特許文献2〜4)。
国際公開第2015/015767号公報 特開2008−303405号公報 特開2009−179829号公報 特開2009−179830号公報
しかし、ろう付熱処理の際に溶融ろうが接合部へ流動することで、冷却水が流れるチューブ材の表面に均一にZnが分布しないことや、電位的に卑なろう材共晶部へ局所的に腐食が進行することにより、犠牲材に匹敵するような耐食性を得ることが難しい。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金チューブ材、アルミニウム合金チューブおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、ろうの流動性および芯材とろう材との電位差を最適化することで、ろう付熱処理時に流動するろう材量を適正化し、ろう付後に材料表面で防食層として作用するろう材厚さを確保する。
すなわち、本発明の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材のうち、第1の形態は、質量%で、Mn:1.0〜2.0%を含有するAl−Mn系のアルミニウム合金芯材の片面または両面に、Al−Si系アルミニウム合金からなるろう材が貼り合わされており、
ろう付熱処理後のろうの流動係数が0.2〜0.4であり、
ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、ろう付け後に残存する残存ろうの厚さをt2、前記残存ろうの表面電位をE1、ろう付後の芯材電位をE2として、
28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86
を満足することを特徴とする。
他の形態の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材は、前記形態の本発明において、厚さが0.15〜0.8mmであることを特徴とする。
他の形態の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材は、前記形態の本発明において、前記アルミニウム合金芯材が、質量%で、Mn:1.0〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜0.5%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする。
他の形態の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材は、前記形態の本発明において、前記芯材は、さらに、質量%で、Mg:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.2%の中から選択される1種または2種を含有することを特徴とする。
他の形態の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材は、前記形態の本発明において、前記ろう材は、質量%で、Si:5.0〜12.0%を含有することを特徴とする。
他の形態の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材は、前記形態の本発明において、前記ろう材は、さらに、質量%で、Zn:0.1〜3.0%を含有することを特徴とする。
本発明のアルミニウム合金チューブの製造方法は、Al−Mn系のアルミニウム合金芯材の片面または両面に、Al−Si系アルミニウム合金からなるろう材が貼り合わされているアルミニウム合金チューブ材を用いて被ろう付け部材と接合されたアルミニウム合金チューブを製造する方法であって、
ろう付け時のろうの流動係数が0.2〜0.4であり、ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、残存ろうの厚さをt2、前記残存ろうの表面電位をE1、ろう付後の芯材電位をE2として、
28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86
を満足することを特徴とする。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金チューブは、質量%で、Mn:1.0〜2.0%を含有するAl−Mn系のアルミニウム合金材からなり、Al−Si系アルミニウム合金を残存ろうとして被ろう付け部材にろう付け接合された熱交換器用アルミニウム合金チューブであって、
残存ろうの流動係数が0.2〜0.4であり、
ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、残存ろうの厚さをt2、残存ろうの表面電位をE1、前記アルミニウム合金材の電位をE2として、
28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86
を満足することを特徴とする。
以下に、本発明で規定している技術的事項の限定理由について説明する。なお、芯材およびろう材に含まれる成分の含有量は質量%で示される。
(1)芯材
以下に、芯材のAl−Mn系合金として好適な成分を説明する。ただし、本発明としては芯材のAl−Mn系合金が以下に限定されるものではない。
Mn:1.0〜2.0%
Mnは,芯材の強度向上に寄与するため含有する。ただし、Mnの含有量が下限未満であると、その効果が不十分であり、上限を超えると、製造性(鋳造性、圧延性)が低下する。このため、Mn含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Mn含有量について、下限を1.2%、上限を1.8%とするのが望ましい。
Si:0.3〜1.0%
Siは、芯材の強度の向上に寄与するため含有する。ただし、Siの含有量が下限未満であると、その効果が不十分であり、上限を超えると、融点が低下し、ろう付性が低下する。このため、Siの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Si含有量について、下限を0.5%、上限を0.8%とするのが望ましい。
Cu:0.1〜1.0%
Cuは、芯材の強度の向上に寄与するため含有する。ただし、Cuの含有量が下限未満であると、その効果が不十分であり、上限を超えると、融点の低下や、製造性(鋳造性)の悪化を招く。このためCuの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Cu含有量について、下限を0.3%、上限を0.8%とするのが望ましい。
Fe:0.1〜0.5%
Feは、芯材の強度向上に寄与するため含有する。ただし、Feの含有量が下限未満であると、その効果が不十分であり、上限を超えると、製造性(鋳造性、圧延性)の悪化や耐食性の低下を招く。このためFe含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Fe含有量について、下限を0.2%、上限を0.3%とするのが望ましい。
Mg:0.01〜0.5%
Mgは、芯材の強度向上に寄与するため所望により含有させる。ただし、Mgの含有量が下限未満であると、その効果が不十分であり、上限を超えると、ろう付け性の低下を招く。このため、所望により芯材にMgを含有させる場合は、Mg含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Mg含有量について、下限を0.03%、上限を0.3%とするのが望ましい。
Zr、Ti:0.01〜0.20%
Zr、Tiは、芯材の強度向上に寄与するため一方または両方を所望により含有させる。Zr、Tiの含有量が下限未満だと、その効果が不十分であり、上限を超えると、製造性(鋳造性、圧延性)の悪化を招く。このため芯材にZr、Tiを所望により含有させる場合は、その含有量をそれぞれ上記範囲に定める。なお、同様の理由で、それぞれ、下限を0.03%、上限を0.15%とするのが望ましい。
(2)ろう材
以下に、ろう材のAl−Si系合金として好適な成分を説明する。ただし、本発明としてはろう材のAl−Si系合金が以下に限定されるものではない。
Si:5.0〜12.0%
ろう材が含有するSiは、ろう付性の向上に寄与する。含有量が下限未満だと、その効果が十分でなく、ろう付不良の要因となる。また、含有量が上限を超えると、ろう付性の低下(耐エロージョンの低下)の要因となり、望ましくない。これより、ろう材が含有するSiの量を所望により上記範囲に定める。なお、同様の理由で、下限を7.0%、上限を11.0%とするのが望ましい。
Zn:0.1〜3.0%
ろう材に含まれるZnをろう付加熱によって芯材へと拡散させ、芯材の電位を卑化することで、犠牲防食効果を発揮させている。その結果、耐食性を大きく向上させることができる。ただし、ろう材におけるZn含有量が少量であると、Zn拡散量が低く、芯材の犠牲防食層としての作用が小さくなる。一方、含有量が多すぎると、ろう材や接合部の耐食性が低下する。
なお、同様の理由で、下限を0.5%、上限を2.0%とするのが望ましい。
ろうの流動係数:0.2〜0.4
ろうの流動係数を適正にすることで、接合部で必要なろうを過不足なく得ることができる。
本特許におけるブレージングシートの流動係数(Kd)はドロップ型流動試験で測定し、次式により算出する。
Kd= (4WB−W0)/(3W0×クラッド率)
W0:ろう付前のブレージングシートの重量
WB:ろう付後のブレージングシート下部1/4の重量
クラッド率:両面クラッドの場合はその合計
ドロップ型流動試験は、ブレージングシートを縦60mm×横25mmの試験片に加工し、この初期状態における試験片全体の質量W0を測定する。次いで、高純度窒素ガス雰囲気中において、縦に配置したブレージングシートを温度600℃で3分間保持してろう合金を溶融させる。
そして、試験片の一端側から縦方向で1/4までの部分(つまり、60mm/4=15mm)の部位の質量WBを測定し、上記式にて流動係数を求める。
前記のろう流動係数は不活性ガス雰囲気中で600℃×3分間の熱処理を施した際に求めた値とする。この試験方法はフィレットの形成とは無関係であるが、溶融ろうの量と流動性を定量化することが出来る。
ろう材のSi量や添加元素、ろう付条件により流動係数は変化するが、十分な接合が可能でかつ接合部以外の材料表面に一定以上のろう材層が残存する条件を調査した結果、600℃における流動係数が0.2〜0.4の範囲が最適であることが分かった。
ろう流動係数が0.2より小さい場合は接合部でろう材量が不足し、接合強度の低下や接合不良が発生する。0.4を超えると溶融ろうの量が多すぎるために残存ろう材厚さが薄くなり所望の耐食性が得られない。また接合部にZn濃縮が見られ耐食性が低下した。
したがって、ろう流動係数を0.2〜0.4の範囲に限定する。
なお、ろう流動係数を求めた加熱条件が、本発明のろう付け条件を限定するものではない。
ろう流動係数は製造工程中における均質化処理条件や焼鈍条件、あるいはクラッド率、質別等の最適化によっても制御可能である。以下、具体的に説明する。
ろう流動係数は本発明で規定したろう材成分だけでなく、ろう付熱処理時に形成されるブレージングシートの結晶粒サイズの影響を受ける。結晶粒サイズが細かいとろう流動係数は低下し、逆に粗大になるとろう流動係数は増大することが知られている。結晶粒サイズはブレージングシートの質別や均質化処理条件、焼鈍条件に代表される製造工程によって変化する。例えば、一般的に質別H12材はO材より結晶粒径は粗大となり、ろう流動係数は増大する。また、均質化処理を芯材の成分に応じて温度と保持時間を変えることで、結晶粒サイズを制御することが可能である。当然ながらろう材クラッド率によっても、溶融ろうの絶対量は変化し、板厚等によって最適仕様が選定される。
上記製造条件は板厚や適用製品の形状によって要求される成形性等を基に最適な物性に調整される。
(3)ろう材前後のろう材の厚さ、ろう付後のろう材および芯材の電位
28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86
ただし、ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、ろう付後に残存する残存ろうの厚さをt2、残存ろうの表面電位をE1、ろう付後の芯材電位をE2とする。
(1−t2/t1)は、流動して消失したろう材の厚さを示す。大きすぎると耐食性が悪くなり、小さすぎるとろう付性が悪くなる。
(E2−E1)は、芯材と残存ろう表面電位の差を示す。大きすぎると犠牲材腐食が急激に進行するため犠牲材による防食が期待できない、小さすぎる場合は、耐食性が良くない。
消失したろう材厚さが多くても、電位差が確保できていれば耐食性が確保できる。
上記式の値が28.57未満または式の値が82.86を超えると、所望の耐食性が確保できないため、上記式の値の範囲を定める。なお、同様の理由で、下限を51.0、上限を80.0とするのが望ましい。
本発明によれば、ろうが冷却水側の腐食環境に曝されたとき、表層部の共晶が優先腐食し、その後、その直下にある初晶が均一に腐食し、全面腐食の形態が得られ、耐食性が向上する効果がある。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
本発明の組成を有する芯材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を用意する。これら合金は、常法により製造することができ、その製法は特に限定されない。例えば、半連続鋳造によって製造することができる。
芯材用アルミニウム合金には、Al−Mn系合金が用いられ、ろう材用アルミニウム合金には、Al−Si系合金が用いられる。
Al−Mn系合金には、好適には、質量%で、Mn:1.0〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜0.5%を含有し、さらに所望により質量%で、Mg:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.2%の中から選択される1種または2種を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有する合金を用いることができる。ただし、本発明としては、Al−Mn系合金の組成が上記に限定されるものではない。
ろう材用アルミニウム合金には、好適には、Si:5.0〜12.0%を含有し、所望によりZn:0.1〜3.0%を含有する合金を用いることができる。例えばJIS 4343合金、4045合金、4047合金などを用いることもできる。ただし、本発明としては、Al−Si系合金の組成が上記に限定されるものではない。
芯材用アルミニウム合金またはろう材用アルミニウム合金は、溶製した後、所望により均質化処理を施すことができる。均質化処理の条件は特に限定されないが、例えば、芯材に対しては400〜600℃で4〜16時間の均質化処理を行い、ろう材には、400〜500℃で4〜16時間の均質化処理を行うことができる。
芯材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金は、熱間圧延を経て板材とされる。また連続鋳造圧延を経て板材とするものであってもよい。
これら板材は、芯材の片面または両面にろう材を配置し、重ね合わせた状態で適宜のクラッド率でクラッドされる。芯材の片面にろう材を配置する場合、他の片面に犠牲材などを重ね合わせるものであってもよい。
クラッドは、一般に熱間圧延により行われる。その後、さらに冷間圧延を行うことで所望の厚さのアルミニウム合金ブレージングシートが得られる。
本発明としては、クラッド材のクラッド率は特に限定されるものではないが、例えばろう材厚さ10〜20%、芯材厚さ60〜85%、犠牲材厚さ5〜20%などが用いられる。
クラッド材は、冷間圧延によって厚さ0.15〜0.80mmとする。なお、冷間圧延途中には、中間焼鈍を行ってもよい。中間焼鈍の条件200〜380℃、1〜6時間の範囲から選択できる。
冷間圧延後には、最終焼鈍を行うことができる。最終焼鈍は、例えば400℃で4時間の条件で行う。
得られたクラッド材は、本発明の熱交換器用チューブ材として使用することができる。
なお、ろう付熱処理時にはろうの流動係数が0.2〜0.4の範囲となる。
前記したように流動係数が0.2未満であると、接合性、ろう付性が確保できない。また、流動係数が0.4より大きいと接合部フィレットへの流動が大きく当該部でエロージョンが生じ、局部腐食の起点となる。
熱交換器用チューブ材は、インナーフィンなど、適宜の被ろう付け部材とろう付接合される。
被ろう付け部材の材質、形状などは本発明としては特に限定されるものではなく、適宜のアルミニウム材料を用いることが可能である。
ろう付けの結果、熱交換器チューブが得られる。
ろう付時の熱処理条件は特に限定されないが、例えば、550℃〜目標温度までの到達時間が3分〜5分となるような昇温速度で加熱し、600℃の目標温度で3分間保持し、その後、300℃まで約100℃/minで冷却した後、室温まで空冷を行うことができる。
また、ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、前記残存ろうの厚さをt2、前記残存ろうの表面電位をE1、ろう付後の芯材電位をE2としたとき、
28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86
を満たすことが必要とされる。
残存ろうの厚さの測定や電位の測定方法など
・ろう材の厚さは、ろう付前後でろう材以外の層は板厚変化しないことからろう付前後で板厚測定して減少分は全てろう材に起因するとして計算した。なお、ろう付前の板厚は、全板厚とクラッド率から計算する。
・電位はろう付熱処理後のサンプルをろう材表面から5%NaOH(苛性ソーダ)でエッチング除去して所定の板厚とした後に電位測定を実施する。
以下に、本発明の実施例について説明する。
半連続鋳造により、芯材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を鋳造した。芯材用アルミニウム合金、ろう材用アルミニウム合金には、表1(残部Alおよび不可避不純物)に示す合金を用いた。芯材用の材料には580℃で8時間の均質化処理を行った。また、ろう材用の材料には、430℃で3時間の均質化処理を行った。
次に、芯材の両面にろう材を組み合わせて熱間圧延してクラッド材とし、さらに、冷間圧延を行った。その後、所定の圧延率とした冷間圧延により厚さ0.4mmとした後、最終焼鈍を360℃で3時間行い、O調質のクラッド材(供試材)を作成した。クラッド材の厚さの構成は、芯材:ろう材=80%:各10%とした。このクラッド材において、ろう付相当熱処理前の芯材の材料板厚は320μm、ろう材の厚さは各40μmであった。
このクラッド材に対し、ろう付け相当熱処理として、550℃〜目標温度までの到達時間が3分〜5分となるような昇温速度で加熱し、600℃の目標温度で3分間保持し、その後、300℃まで約100℃/minで冷却した後、室温まで空冷を行った。その後、ろう付相当熱処理後のクラッド材を以下の方法により評価し、その結果を表1に示した。
・ろう付熱処理の前後におけるろう材の厚さの比率
ろう付熱処理の前と後においてろう材の厚さを測定し、ろう付け熱処理前のろう材の厚さをt1、ろう付熱処理後の残存ろう材の厚さをt2として、t2/t1の値を求めた。
・孔食電位
ろう付熱処理後の残存ろう材表面の孔食電位(E1)と芯材の孔食電位(E2)の差を算出した。
上記値より、(1−t2/t1)×(E2−E1)を求め、その値を表1に示した。
・内部耐食性
ろう付相当熱処理後の供試材から30×50mmのサンプルを切り出し、一方のろう材層について、Cl−:195ppm、SO −:60ppm、Cu+:1ppm、Fe+:30ppmを含む水溶液中で80℃×8時間と室温×16時間との間のサイクルで浸漬試験を4週間実施した。浸漬試験後のサンプルを沸騰させたリン酸クロム酸混合溶液に浸漬して腐食生成物を除去した後、最大腐食部の断面観察を実施して腐食深さを測定し、この結果を用いて内部耐食性を評価した。
腐食深さが30μm以下であったものを◎と評価し、30μm超、50μm以下のものを○とし、50μm超、75μm以下のものを△とし、75μm超のものを×と評価した。
・ろう流動性
段落0026、0027に記載した方法で、ろう流動係数の求め、その値を表1に記載した。
Figure 2018003055
表1に示すように、本発明で規定する事項を全て満たしている実施例ではいずれも高い耐食性を有していることが確認された。一方、本発明で規定する事項のいずれか一つ以上を満たさない比較例では、耐食性において良い結果が得られなかった。
以上本発明について上記実施形態および実施例に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲を逸脱しない限りは、前記実施形態および前記実施例に適宜の変更を行うことができる。

Claims (8)

  1. 質量%で、Mn:1.0〜2.0%を含有するAl−Mn系のアルミニウム合金芯材の片面または両面に、Al−Si系アルミニウム合金からなるろう材が貼り合わされており、
    ろう付熱処理後のろうの流動係数が0.2〜0.4であり、
    ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、ろう付け後に残存する残存ろうの厚さをt2、前記残存ろうの表面電位をE1、ろう付後の芯材電位をE2として、
    28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86
    を満足することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金チューブ材。
  2. 厚さが0.15〜0.8mmであることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材。
  3. 前記アルミニウム合金芯材が、質量%で、Mn:1.0〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜0.5%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材。
  4. 前記芯材は、さらに、質量%で、Mg:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.2%の中から選択される1種または2種を含有することを特徴とする請求項3に記載の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材。
  5. 前記ろう材は、質量%で、Si:5.0〜12.0%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材。
  6. 前記ろう材は、さらに、質量%で、Zn:0.1〜3.0%を含有することを特徴とする請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム合金チューブ材。
  7. Al−Mn系のアルミニウム合金芯材の片面または両面に、Al−Si系アルミニウム合金からなるろう材が貼り合わされているアルミニウム合金チューブ材を用いて被ろう付け部材と接合されたアルミニウム合金チューブを製造する方法であって、
    ろう付け時のろうの流動係数が0.2〜0.4であり、ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、残存ろうの厚さをt2、前記残存ろうの表面電位をE1、ろう付後の芯材電位をE2として、
    28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86
    を満足することを特徴とするアルミニウム合金チューブの製造方法。
  8. 質量%で、Mn:1.0〜2.0%を含有するAl−Mn系のアルミニウム合金材からなり、Al−Si系アルミニウム合金を残存ろうとして被ろう付け部材にろう付け接合された熱交換器用アルミニウム合金チューブであって、
    残存ろうの流動係数が0.2〜0.4であり、
    ろう付前の前記ろう材の厚さをt1、残存ろうの厚さをt2、残存ろうの表面電位をE1、前記アルミニウム合金材の電位をE2として、
    28.57≦(1−t2/t1)×(E2−E1)≦82.86
    を満足することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金チューブ。
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