JP2018002966A - 水性のブラックインク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 好ましい画像の色調が得られるとともに、耐ブロンズ性、耐光性、及びインクの保存安定性に優れる水性のブラックインクを提供する。【解決手段】 第1の顔料、及び第2の顔料を含有する水性のブラックインクであって、前記第1の顔料が、カーボンブラックであり、前記第2の顔料が、式(1)で表される化合物で構成されることを特徴とする水性のブラックインク。【選択図】 なし
Description
本発明は、水性のブラックインク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法に用いられるインクの中でもブラックインクは、モノクロ画像だけでなく、カラー画像の記録にも用いられる重要なインクである。画像の堅牢性という観点から、ブラックインクの色材としては、顔料であるカーボンブラックが使用される。しかし、カーボンブラックそのものの色味が、赤味を帯びているため、ブラックインクとして好ましい色調は得られにくい。そこで、カーボンブラックを含有するブラックインクに、さらに別の色相を有する顔料を含有させることで、調色する方法がとられてきた。カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、及びベンズイミダゾロン系顔料を含有するブラックインクが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、ブラックインクに別の色相を有する顔料を含有させることで、別の課題が生じる。通常、顔料から生じる種々の反射光中には、通常見えている色とは異なる色に色づいて見える光(以下、「ブロンズ光」と記載する)も含まれる。例えば、フタロシアニン系顔料から生じるブロンズ光は、赤色である。そのため、カーボンブラック及びフタロシアニン系顔料を含むインクで記録された画像は、赤色に見えやすくなる。よって、好ましい画像の色調を得るとともに、耐ブロンズ性に優れたブラックインクが求められている。カーボンブラック、及びグリーン顔料を含有するブラックインクが提案されている(特許文献2及び3参照)。
本発明者らは、特許文献1〜3に記載されているブラックインクを使用して、検討を行った。特許文献1に記載されているブラックインクを使用した結果、好ましい画像の色調、及び耐ブロンズ性は得られるものの、画像の耐光性が不十分であることが判明した。さらに、特許文献2及び3に記載されているブラックインクを使用した結果、好ましい画像の色調、及び耐ブロンズ性は得られるものの、インクの保存安定性が不十分であることが判明した。
したがって、本発明の目的は、好ましい画像の色調が得られるとともに、耐ブロンズ性、耐光性、及びインクの保存安定性に優れる水性のブラックインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性のブラックインクを使用するインクカートリッジ、及び前記水性のブラックインクを使用するインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明は、第1の顔料、及び第2の顔料を含有する水性のブラックインクであって、前記第1の顔料が、カーボンブラックであり、前記第2の顔料が、下記式(1)で表される化合物で構成されるグリーン顔料であることを特徴とする水性のブラックインクに関する。
(式(1)中、A〜Dは、それぞれ独立に、芳香環である。−R1−R2基は、A〜D中のα位の炭素原子、又はβ位の炭素原子に結合する。R1は、O、又はSであり、R2は、炭素数が6以上の炭化水素基である。nは、1以上8以下である。Mは、Cu、Co、Zn、Al、Ti=O、V=O、又はH2である。)
また、本発明は、インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、前記インクが、前記水性のブラックインクであることを特徴とするインクカートリッジに関する。
また、本発明は、インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、前記構成の水性のブラックインクであることを特徴とするインクジェット記録方法に関する。
本発明によれば、好ましい画像の色調が得られるとともに、耐ブロンズ性、耐光性、及びインクの保存安定性に優れる水性のブラックインク、前記水性のブラックインクを使用したインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に述べる。本発明においては、水性のブラックインクは、「インク」と記載することがある。各種の物性値は、特に断りのない限り、温度25℃における値である。彩度C*の値は、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表示系におけるa*及びb*の値を用いて、C*={(a*)2+(b*)2}1/2の式から算出する値である。本発明において、ブラックインクとして好ましい色調を有するインクとは、当該インクを用いて所定の条件で光沢紙に記録した画像について、彩度C*の値が、3.0以下であるインクのことである。さらに、「インクの保存安定性」とは、インク中の顔料の沈降を抑制することで得られるインクの保存安定性を意味する。
まず、第1の顔料、及び第2の顔料を含有するインクにより、好ましい画像の色調、及び耐ブロンズ性が得られるメカニズムを詳細に説明する。第2の顔料は、下記式(1)で表される化合物で構成されるグリーン顔料である。式(1)中、A〜Dは、それぞれ独立に、芳香環である。−R1−R2基は、A〜D中のα位の炭素原子、又はβ位の炭素原子に結合する。R1は、O、又はSであり、R2は、炭素数が6以上の炭化水素基である。nは、1以上8以下である。Mは、Cu、Co、Zn、Al、Ti=O、V=O、又はH2である。
第1の顔料であるカーボンブラックの色味は、赤味を帯びているであるため、グリーン顔料である第2の顔料をインクに含有させることで、黒色化することが可能となる。これにより、好ましい画像の色調を得ることができる。さらに、第2の顔料から生じるブロンズ光の色味は、青色である。第1の顔料であるカーボンブラックから生じるブロンズ光の色味は、黄色である。したがって、これらの顔料を併用すると、互いのブロンズ光の色味を打ち消し合うことで、白色となる。これにより、画像の耐ブロンズ性が得られる。
また、第1の顔料、及び第2の顔料を含有するインクにより、画像の耐光性が得られるメカニズムを詳細に説明する。第1の顔料はカーボンブラックであり、第2の顔料はフタロシアニン顔料であるので、アゾ基(−N=N−)を有さない。アゾ基は、光により分解されやすいため、アゾ基を有さない顔料を使用することで、画像の耐光性が得られる。特許文献1に記載されているブラックインクに含まれるベンズイミダゾロン系顔料は、アゾ基を有する顔料である。このため、特許文献1に記載されているブラックインクを使用した結果、画像の耐光性が不十分である。
さらに、第1の顔料、及び第2の顔料を含有するインクにより、インクの保存安定性が得られるメカニズムを詳細に説明する。式(1)で表される化合物のA〜D中のα位の炭素原子、又はβ位の炭素原子に、−R1−R2基が結合する。ここで、A〜D中のα位の炭素原子とは、ピロール環中の炭素原子に隣接する炭素原子であり、β位の炭素原子とは、ピロール環中の炭素原子に隣接しない炭素原子である。R1が、O又はSであることにより、平面であるフタロシアニン環構造に対して、ある角度を持って、−R1−R2基が存在することが可能となる。これにより、−R1−R2基が立体障害となり、式(1)で表される化合物が密に重なりにくくなることで、第2の顔料から反射する光の量が少なくなるため、反射光は弱くなる。その結果、反射光中のブロンズ光も弱くなり、画像の耐ブロンズ性が得られる。さらに、第2の顔料中で、式(1)で表される複数の化合物が密に重なりにくくなることで、化合物の間には空間が生じやすくなる。これにより、インク中で第2の顔料が沈みにくくなり、第1の顔料と第2の顔料の沈みやすさの違いによる色分かれが生じにくくなることで、インクの保存安定性が得られる。
式(1)の化合物に置換基として、−R1−R2基が結合していない場合、式(1)の化合物は平面的になる。そのため、複数の式(1)の化合物が、密に重なりやすくなる。このような状態の顔料に光が入射すると、同じ方向に反射する光が多くなるため、反射光は強くなる。反射光中のブロンズ光も強くなるため、画像の耐ブロンズ性が不十分となる。また、−R1−R2基のR1が炭素の場合も同様に、式(1)の化合物は平面的になるため、画像の耐ブロンズ性が不十分となる。
また、R2が、炭素数が6未満の炭化水素基であると、式(1)で表される化合物が密に重なりやすくなることで、化合物からの反射光は強くなる。その結果、反射光中のブロンズ光も強くなるため、画像の耐ブロンズ性が不十分となる。さらに、第2の顔料中で、複数の化合物が密に重なりやすくなることで、化合物の間には空間が生じにくいため、インク中で第2の顔料が沈みやすくなる。特に、式(1)の化合物のA〜D中のα位の炭素原子、又はβ位の炭素原子に、−R1−R2基ではなく、ハロゲン原子が結合している場合は、化合物がより密に重なりやすくなることで、インクの保存安定性が得られない。
<インク>
本発明のインクは、第1の顔料、及び第2の顔料を含有する。以下、インクに用いることが可能な成分について、それぞれ説明する。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
本発明のインクは、第1の顔料、及び第2の顔料を含有する。以下、インクに用いることが可能な成分について、それぞれ説明する。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
(第1の顔料)
第1の顔料は、カーボンブラックである。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ガスブラックなどが挙げられる。インク中のカーボンブラックの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、45mL/100g以上85mL/100g以下であることが好ましい。DBP吸油量は、カーボンブラックの粒子の空隙を満たすのに要するDBP(Dibutyl phthalate)の量であり、一次粒子のつながりや凝集の程度を示す物性値である。DBP吸油量が、45mL/100g未満であると、表面光沢を有する記録媒体に画像を記録する場合に、画像の光沢性が十分に得られない場合がある。DBP吸油量が、85mL/100gを超えると、インク中で顔料を安定に分散できない場合がある。
第1の顔料は、カーボンブラックである。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ガスブラックなどが挙げられる。インク中のカーボンブラックの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、45mL/100g以上85mL/100g以下であることが好ましい。DBP吸油量は、カーボンブラックの粒子の空隙を満たすのに要するDBP(Dibutyl phthalate)の量であり、一次粒子のつながりや凝集の程度を示す物性値である。DBP吸油量が、45mL/100g未満であると、表面光沢を有する記録媒体に画像を記録する場合に、画像の光沢性が十分に得られない場合がある。DBP吸油量が、85mL/100gを超えると、インク中で顔料を安定に分散できない場合がある。
(第2の顔料)
第2の顔料は、下記式(1)で表される化合物で構成される。式(1)中、A〜Dは、それぞれ独立に、芳香環である。−R1−R2基は、A〜D中のα位の炭素原子、又はβ位の炭素原子に結合する。R1は、O、又はSであり、R2は、炭素数が6以上の炭化水素基である。nは、1以上8以下である。Mは、Cu、Co、Zn、Al、Ti=O、V=O、又はH2である。
第2の顔料は、下記式(1)で表される化合物で構成される。式(1)中、A〜Dは、それぞれ独立に、芳香環である。−R1−R2基は、A〜D中のα位の炭素原子、又はβ位の炭素原子に結合する。R1は、O、又はSであり、R2は、炭素数が6以上の炭化水素基である。nは、1以上8以下である。Mは、Cu、Co、Zn、Al、Ti=O、V=O、又はH2である。
A〜Dは、それぞれ独立に、ベンゼン環、又は含窒素複素芳香環であることが好ましい。
nは、3以上8以下であることが好ましい。nが3未満であると、置換基の数が少なくなるため、式(1)で表される化合物の一部が重なりやすくなる。これにより、第2の顔料中で、複数の化合物が密に重なりやすくなることで、化合物の間に空間が生じるため、第2の顔料中で複数の化合物が密に詰まりやすくなる。その結果、インク中で第2の顔料が沈みやすくなるため、インクの保存安定性が十分に得られない場合がある。さらに、nが1であると、式(1)で表される化合物がより重なりやすくなるため、同じ方向に反射する光が多くなる。反射光中にはブロンズ光も含まれており、ブロンズ光も多くなる。これにより、画像の耐ブロンズ性が十分に得られない場合がある。
Mは、Co、Al、又はH2であることが好ましい。MがCo、Al、又はH2以外のCu、Zn、Ti=O、V=Oであると、第2の顔料の比重が大きくなり、インク中で第2の顔料が沈みやすくなり、色分かれが生じやすくなる。その結果、インクの保存安定性が十分に得られない場合がある。
R2は、炭素数が6以上18以下である炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基としては、直鎖、又は分岐のアルキル基、環状のアルキル基、アリール基などが挙げられる。直鎖、又は分岐のアルキル基としては、ヘキシル基、ウンデシル基、イソヘキシル基、イソオクチル基などが挙げられる。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。R2の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。R2が置換基を有する炭化水素基の場合、置換基を含む炭化水素基の炭素数は、6以上18以下であることが好ましい。置換基としては、直鎖、又は分岐のアルキル基、環状のアルキル基、アリール基などが挙げられる。置換基の炭素数は、1以上12以下であることが好ましい。直鎖、又は分岐のアルキル基としては、メチル基、イソプロピル基などが挙げられる。環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基などが挙げられる。なかでも置換基は、立体障害になりやすいという観点から、アリール基であることが好ましく、フェニル基であることがさらに好ましい。
第1の顔料、及び第2の顔料は、いずれも樹脂分散剤により分散される樹脂分散顔料であることが好ましい。第1の顔料、及び第2の顔料のまわりに樹脂が存在することで、樹脂の相互作用により、第1の顔料、及び第2の顔料が接近しつつも、第1の顔料と第2の顔料の間には樹脂が存在するため、複数の顔料が近づきすぎることなく、インク中で安定に分散できる。さらに、本発明者らの検討の結果、第2の顔料が、MがCo、Al、又はH2である化合物を有する場合には、第1の顔料よりも第2の顔料の方が沈みにくくなることを見出した。これにより、沈みにくい第2の顔料と樹脂を介して相互作用している第1の顔料も沈みにくくなり、インクの保存安定性がさらに得られる。
樹脂分散顔料において樹脂分散剤として用いる樹脂は、親水性部位と疎水性部位を共に有することが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸などの親水性の単量体と、スチレン、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの疎水性の単量体を用いて重合した樹脂などが挙げられる。樹脂分散剤として用いる樹脂の酸価は、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。また、樹脂分散剤として用いる樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。インク中の樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらには、0.2質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。また、樹脂分散剤の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で0.1倍以上1.0倍以下であることが好ましい。
第1の顔料の含有量(質量%)は、第2の顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、5.0倍以上25.0倍以下であることが好ましく、5.0倍以上15.0倍以下であることがさらに好ましい。前記比率が5.0倍未満であると、第2の顔料に対して第1の顔料が少なすぎるため、第2の顔料そのものの色である緑色が目立つことで、好ましい画像の色調が十分に得られない場合がある。さらに、第1の顔料に対して、相互作用する第2の顔料が多すぎることにより、インクの保存安定性が十分に得られない場合がある。前記比率が25.0倍より大きいと、第2の顔料に対して第1の顔料が多すぎるため、第2の顔料そのものの色相である緑色が第1の顔料そのものの色相である赤色を黒色化しにくくなるため、好ましい画像の色調が十分に得られない場合がある。また、第2の顔料から生じるブロンズ光が少なすぎるため、第1の顔料から生じるブロンズ光を打ち消しにくくなるため、画像の耐ブロンズ性も十分に得られない場合がある。さらに、第1の顔料を沈みにくくする第2の顔料が少ないため、インクの保存安定性も十分に得られない場合がある。
インク中の第1の顔料、及び第2の顔料の体積平均粒径(nm)は、50nm以上150nm以下であることが好ましく、80nm以上140nm以下であることがさらに好ましい。この粒径は、動的光散乱法で測定する。
(水性媒体)
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有している。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては特に限定されるものではなく、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、及び含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有している。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては特に限定されるものではなく、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、及び含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が3.0質量%未満であると、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に耐固着性などの信頼性が十分に得られない場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が50.0質量%超であると、インクの粘度が上昇して、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の成分)
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの温度25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの温度25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
本発明においては、インクの温度25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.5mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの温度25℃における静的表面張力は、28.0mN/m以上45.0mN/m以下であることが好ましい。さらに、インクのpHは、7.0以上9.0以下であることが好ましい。
本発明においては、インクの温度25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.5mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの温度25℃における静的表面張力は、28.0mN/m以上45.0mN/m以下であることが好ましい。さらに、インクのpHは、7.0以上9.0以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」、及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料の体積平均粒径の測定)
顔料の体積平均粒径は、純水で希釈した顔料を含有する水溶液を測定サンプルとし、動的光散乱法による粒度分布計(ナノトラックUPA−UT151、日機装製)を使用して、測定した。測定条件は、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.50である。
(顔料の体積平均粒径の測定)
顔料の体積平均粒径は、純水で希釈した顔料を含有する水溶液を測定サンプルとし、動的光散乱法による粒度分布計(ナノトラックUPA−UT151、日機装製)を使用して、測定した。測定条件は、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.50である。
(顔料分散液1)
顔料10.0部、樹脂を含む液体25.0部、及びイオン交換水65.0部を混合した。顔料としては、DBP吸油量が65mL/100gであるカーボンブラック(Monarch1100、キャボット製)を用いた。樹脂を含む液体としてはスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル683、BASF製)を、共重合体の酸価に対して0.95当量の水酸化カリウム水溶液で中和した樹脂の含有量が20.0%である液体を用いた。この混合物を、粒径0.3mmのジルコニアビーズ80.0部を充填したビーズミル(LMZ2、アシザワファインテック製)を用いて、回転数1,800rpmで5時間分散した。その後、この分散液を遠心分離処理して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行った。前記の方法により、顔料が樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液1(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、123nmだった。
顔料10.0部、樹脂を含む液体25.0部、及びイオン交換水65.0部を混合した。顔料としては、DBP吸油量が65mL/100gであるカーボンブラック(Monarch1100、キャボット製)を用いた。樹脂を含む液体としてはスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル683、BASF製)を、共重合体の酸価に対して0.95当量の水酸化カリウム水溶液で中和した樹脂の含有量が20.0%である液体を用いた。この混合物を、粒径0.3mmのジルコニアビーズ80.0部を充填したビーズミル(LMZ2、アシザワファインテック製)を用いて、回転数1,800rpmで5時間分散した。その後、この分散液を遠心分離処理して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行った。前記の方法により、顔料が樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液1(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、123nmだった。
(顔料分散液2)
顔料分散液1の調製において、顔料の種類をDBP吸油量が74mL/100gであるカーボンブラック(MCF#950、三菱化学製)に変更した。それ以外は、顔料分散液1の調製と同様の手順で、顔料分散液2(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、118nmだった。
顔料分散液1の調製において、顔料の種類をDBP吸油量が74mL/100gであるカーボンブラック(MCF#950、三菱化学製)に変更した。それ以外は、顔料分散液1の調製と同様の手順で、顔料分散液2(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、118nmだった。
(顔料分散液3)
顔料分散液1の調製において、顔料の種類をDBP吸油量が50mL/100gであるカーボンブラック(Printex45、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更した。それ以外は、顔料分散液1の調製と同様の手順で、顔料分散液3(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、121nmだった。
顔料分散液1の調製において、顔料の種類をDBP吸油量が50mL/100gであるカーボンブラック(Printex45、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更した。それ以外は、顔料分散液1の調製と同様の手順で、顔料分散液3(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、121nmだった。
(顔料分散液4〜23)
顔料10.0部、樹脂を含む液体25.0部、及びイオン交換水65.0部を混合した。顔料としては、表1及び2に記載の顔料分散液4〜23それぞれに対応する顔料を用いた。樹脂を含む液体としてはスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル683、BASF製)を、共重合体の酸価に対して0.95当量の水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.0%である液体を用いた。この混合物を、分散機(CLM−0.8S、エム・テクニック製)を用いて、回転数10,000rpmで60分分散した後、高圧ホモジナイザー(スターバースト、スギノマシン製)を用いて、分散処理した。その後、この分散液を遠心分離処理して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行った。前記の方法により、顔料が樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液4〜23(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
顔料10.0部、樹脂を含む液体25.0部、及びイオン交換水65.0部を混合した。顔料としては、表1及び2に記載の顔料分散液4〜23それぞれに対応する顔料を用いた。樹脂を含む液体としてはスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル683、BASF製)を、共重合体の酸価に対して0.95当量の水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.0%である液体を用いた。この混合物を、分散機(CLM−0.8S、エム・テクニック製)を用いて、回転数10,000rpmで60分分散した後、高圧ホモジナイザー(スターバースト、スギノマシン製)を用いて、分散処理した。その後、この分散液を遠心分離処理して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行った。前記の方法により、顔料が樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液4〜23(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
表1に記載のC6は、ベンゼン環であり、C4N2は、ピラジン環である。
(顔料分散液24)
顔料分散液4の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントグリーン7(クラリアント製)に変更した。それ以外は、顔料分散液4の調製と同様の手順で、顔料分散液24(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
顔料分散液4の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントグリーン7(クラリアント製)に変更した。それ以外は、顔料分散液4の調製と同様の手順で、顔料分散液24(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
(顔料分散液25)
顔料分散液4の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントグリーン36(クラリアント製)に変更した。それ以外は、顔料分散液4の調製と同様の手順で、顔料分散液25(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
顔料分散液4の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントグリーン36(クラリアント製)に変更した。それ以外は、顔料分散液4の調製と同様の手順で、顔料分散液25(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
(顔料分散液26)
顔料分散液4の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントグリーン58(DIC製)に変更した。それ以外は、顔料分散液4の調製と同様の手順で、顔料分散液26(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
顔料分散液4の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントグリーン58(DIC製)に変更した。それ以外は、顔料分散液4の調製と同様の手順で、顔料分散液26(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
(顔料分散液27)
顔料分散液4の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントイエロー151(クラリアント製)に変更した。それ以外は、顔料分散液4の調製と同様の手順で、顔料分散液27(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
顔料分散液4の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントイエロー151(クラリアント製)に変更した。それ以外は、顔料分散液4の調製と同様の手順で、顔料分散液27(顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%)を得た。また、顔料の体積平均粒径(nm)は、120±3nmだった。
<インクの調製>
表3及び4に示す各成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのフィルター(HDCII、ポール製)にて加圧ろ過を行い、実施例1〜23、及び比較例1〜9のインクを調製した。ここで、アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。
表3及び4に示す各成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのフィルター(HDCII、ポール製)にて加圧ろ過を行い、実施例1〜23、及び比較例1〜9のインクを調製した。ここで、アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。
<評価>
実施例1〜23、及び比較例1〜9のインクを、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(BJF900、キヤノン製)のブラックインクのポジションにセットした。前記インクジェット記録装置の解像度は600dpi×600dpiである。そして、600インチ×600インチの単位領域に、4.5pLのインク滴を4滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。前記インクジェット記録装置を用いて、キヤノン写真用紙・光沢ゴールド(GL−101、キヤノン製)に、記録デューティを10%から200%の間で10%刻みに変化させた20種類のベタ画像を記録した。これらベタ画像を用いて、画像の色調、耐ブロンズ性、及び耐光性を評価した。本発明においては、下記の評価の評価基準で、A又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果は、表5に記載する。
実施例1〜23、及び比較例1〜9のインクを、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(BJF900、キヤノン製)のブラックインクのポジションにセットした。前記インクジェット記録装置の解像度は600dpi×600dpiである。そして、600インチ×600インチの単位領域に、4.5pLのインク滴を4滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。前記インクジェット記録装置を用いて、キヤノン写真用紙・光沢ゴールド(GL−101、キヤノン製)に、記録デューティを10%から200%の間で10%刻みに変化させた20種類のベタ画像を記録した。これらベタ画像を用いて、画像の色調、耐ブロンズ性、及び耐光性を評価した。本発明においては、下記の評価の評価基準で、A又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果は、表5に記載する。
(色調)
変角高速分光光度計(GCMS−3B型、村上色彩技術研究所製)を用いて、以下のように測定し、画像の色調の評価を行った。測定条件は、光源D65、視野角2°、入射角45°、反射角0°、あおり角0°とした。20種の画像それぞれの彩度C*を測定し、20種の画像のうちの最大値により、画像の色味変化の評価を行った。ここで彩度C*は、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表示系に基づくa*及びb*を測定し、C*={(a*)2+(b*)2}1/2の式により算出した値である。彩度C*が小さい値であるほど、(a*,b*)=(0,0)に近づくため、画像の色調が好ましいことを示している。
A:彩度C*の最大値が、3.0以下だった。
B:彩度C*の最大値が、3.0より大きく5.0以下だった。
C:彩度C*の最大値が、5.0より大きかった。
変角高速分光光度計(GCMS−3B型、村上色彩技術研究所製)を用いて、以下のように測定し、画像の色調の評価を行った。測定条件は、光源D65、視野角2°、入射角45°、反射角0°、あおり角0°とした。20種の画像それぞれの彩度C*を測定し、20種の画像のうちの最大値により、画像の色味変化の評価を行った。ここで彩度C*は、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表示系に基づくa*及びb*を測定し、C*={(a*)2+(b*)2}1/2の式により算出した値である。彩度C*が小さい値であるほど、(a*,b*)=(0,0)に近づくため、画像の色調が好ましいことを示している。
A:彩度C*の最大値が、3.0以下だった。
B:彩度C*の最大値が、3.0より大きく5.0以下だった。
C:彩度C*の最大値が、5.0より大きかった。
(耐ブロンズ性)
変角高速分光光度計(GCMS−3B型、村上色彩技術研究所製)を用いて、以下のように測定し、耐ブロンズ性の評価を行った。測定条件は、光源D65、視野角2°、入射角45°、反射角45°、あおり角0°とした。特許文献2に記載されている方法を用いて、20種の画像それぞれのブロンズ値Bを測定し、20種の画像のうちの最大値により、耐ブロンズ性の評価を行った。ブロンズ値Bの最大値が小さい値であるほど、ブロンズ光が画像の色味に影響を与えにくいことを示している。
A:ブロンズ値Bの最大値が、3.0以下だった。
B:ブロンズ値Bの最大値が、3.0より大きく5.0以下だった。
C:ブロンズ値Bの最大値が、5.0より大きかった。
変角高速分光光度計(GCMS−3B型、村上色彩技術研究所製)を用いて、以下のように測定し、耐ブロンズ性の評価を行った。測定条件は、光源D65、視野角2°、入射角45°、反射角45°、あおり角0°とした。特許文献2に記載されている方法を用いて、20種の画像それぞれのブロンズ値Bを測定し、20種の画像のうちの最大値により、耐ブロンズ性の評価を行った。ブロンズ値Bの最大値が小さい値であるほど、ブロンズ光が画像の色味に影響を与えにくいことを示している。
A:ブロンズ値Bの最大値が、3.0以下だった。
B:ブロンズ値Bの最大値が、3.0より大きく5.0以下だった。
C:ブロンズ値Bの最大値が、5.0より大きかった。
(耐光性)
分光光度計(Spectrolino、Macbeth製)を用いて、以下のように測定し、耐光性の評価を行った。20種の画像の中から、光学濃度が1.0に最も近い画像を特定し、その画像のL*、a*、b*を測定した。そして、その画像にキセノン光を照射した。照射に用いた装置は、キセノンウェザーメーター(アトラス・ウエザオメータCi4000、スガ試験機製)である。照射条件は、照射強度0.39W/m2、ブラックパネル温度63℃、相対湿度70%、照射時間100時間とした。そして、照射後の画像のL*、a*、b*を測定した。照射前の画像のL*、a*、b*を、L* 0、a* 0、b* 0とし、照射後の画像のL*、a*、b*を、L* 1、a* 1、b* 1とする。これらの値から、色差ΔEをΔE={(L* 1−L* 0)2+(a* 1−a* 0)2+(b* 1−b* 0)2}1/2の式から算出した。ΔEが小さい値であるほど、光により退色しにくいことを示している。
A:ΔEが、2.0以下だった。
B:ΔEが、2.0より大きく4.0以下だった。
C:ΔEが、4.0より大きかった。
分光光度計(Spectrolino、Macbeth製)を用いて、以下のように測定し、耐光性の評価を行った。20種の画像の中から、光学濃度が1.0に最も近い画像を特定し、その画像のL*、a*、b*を測定した。そして、その画像にキセノン光を照射した。照射に用いた装置は、キセノンウェザーメーター(アトラス・ウエザオメータCi4000、スガ試験機製)である。照射条件は、照射強度0.39W/m2、ブラックパネル温度63℃、相対湿度70%、照射時間100時間とした。そして、照射後の画像のL*、a*、b*を測定した。照射前の画像のL*、a*、b*を、L* 0、a* 0、b* 0とし、照射後の画像のL*、a*、b*を、L* 1、a* 1、b* 1とする。これらの値から、色差ΔEをΔE={(L* 1−L* 0)2+(a* 1−a* 0)2+(b* 1−b* 0)2}1/2の式から算出した。ΔEが小さい値であるほど、光により退色しにくいことを示している。
A:ΔEが、2.0以下だった。
B:ΔEが、2.0より大きく4.0以下だった。
C:ΔEが、4.0より大きかった。
(保存安定性)
イオン交換水を用いて、インク1〜32を2000倍(質量基準)に希釈した液体の吸光度(測定波長:550nm)を測定した。その後、各液体10mLを3,000rpmで10分間遠心分離し、上澄み2mLを取り、同様に各液体の吸光度を測定した。そして、遠心分離前後の吸光度から、吸光度の残存率(%)=(遠心分離後の吸光度/遠心分離前の吸光度)×100を算出した。液体の吸光度は、分光光度計(U−3300、日立製作所製)を使用して、測定した。吸光度の残存率が大きい値であるほど、インク中の顔料の沈降が抑制されることを示している。
イオン交換水を用いて、インク1〜32を2000倍(質量基準)に希釈した液体の吸光度(測定波長:550nm)を測定した。その後、各液体10mLを3,000rpmで10分間遠心分離し、上澄み2mLを取り、同様に各液体の吸光度を測定した。そして、遠心分離前後の吸光度から、吸光度の残存率(%)=(遠心分離後の吸光度/遠心分離前の吸光度)×100を算出した。液体の吸光度は、分光光度計(U−3300、日立製作所製)を使用して、測定した。吸光度の残存率が大きい値であるほど、インク中の顔料の沈降が抑制されることを示している。
さらに、上記遠心分離前の各インク、及び遠心分離後の各インクのa*、b*の値から色相角hを算出した。色相角hは、a*≧0、b*≧0(第1象限)の場合、h=tan−1(b*/a*)の式、a*≦0、b*≧0(第2象限)の場合、h=180+tan−1(b*/a*)の式、a*≦0、b*≦0(第3象限)の場合、h=180+tan−1(b*/a*)の式、a*≧0、b*≦0(第4象限)の場合、h=360+tan−1(b*/a*)の式から算出した。そして、遠心分離前後の色相角hから、色相角hの変化Δh=|遠心分離後の色相角−遠心分離前の色相角|を算出した。Δhが小さい値であるほど、インク中の第1の顔料、及び第2の顔料の沈降度合いの差が小さいことを示している。
A:吸光度の残存率が、95%以上であり、Δhが3以下だった。
B:吸光度の残存率が、90%以上95%未満であり、Δhが3以下だった。
C:吸光度の残存率が、90%未満であり、Δhが3より大きかった。
A:吸光度の残存率が、95%以上であり、Δhが3以下だった。
B:吸光度の残存率が、90%以上95%未満であり、Δhが3以下だった。
C:吸光度の残存率が、90%未満であり、Δhが3より大きかった。
Claims (8)
- 第1の顔料、及び第2の顔料を含有する水性のブラックインクであって、
前記第1の顔料が、カーボンブラックであり、
前記第2の顔料が、下記式(1)で表される化合物で構成されるグリーン顔料であることを特徴とする水性のブラックインク。
(式(1)中、A〜Dは、それぞれ独立に、芳香環である。−R1−R2基は、A〜D中のα位の炭素原子、又はβ位の炭素原子に結合する。R1は、O、又はSであり、R2は、炭素数が6以上の炭化水素基である。nは、1以上8以下である。Mは、Cu、Co、Zn、Al、Ti=O、V=O、又はH2である。) - 前記A〜Dが、それぞれ独立に、ベンゼン環、又は含窒素複素芳香環である請求項1に記載の水性のブラックインク。
- 前記nが、3以上8以下である請求項1又は2に記載の水性のブラックインク。
- 前記Mが、Co、Al、又はH2である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性のブラックインク。
- 前記第1の顔料の含有量(質量%)が、前記第2の顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、5.0倍以上25.0倍以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性のブラックインク。
- 前記第1の顔料、及び前記第2の顔料が、いずれも樹脂分散顔料である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性のブラックインク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性のブラックインクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性のブラックインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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JP2016135498A JP2018002966A (ja) | 2016-07-07 | 2016-07-07 | 水性のブラックインク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 |
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