JP2019143095A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
条件(1):インク全質量を基準とした、前記カーボンブラックの含有量(質量%)が、前記青色染料の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上15.0倍以下である。
条件(2):インク全質量を基準とした、前記カーボンブラックの含有量(質量%)が、前記蛍光増白剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上20.0倍以下である。
条件(1):インク全質量を基準とした、カーボンブラックの含有量(質量%)が、青色染料の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上15.0倍以下である。
条件(2):インク全質量を基準とした、カーボンブラックの含有量(質量%)が、蛍光増白剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上20.0倍以下である。
以下に、本発明のインクを構成する成分などについて詳細に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載によって限定されるものではない。また、本発明における平均粒径とは、体積基準の粒度分布における累積50%となる粒子径(D50)を意味する。この平均粒径(D50)の測定には、例えば、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定装置を用いることができる。
本発明のインクは、カーボンブラックを含有する。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、及びサーマルブラックなどを挙げることができる。これらのカーボンブラックの1種又は2種以上を用いることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
本発明のインクは、樹脂粒子を含有する。ここで、「樹脂粒子」とは、樹脂で形成され、水性媒体中に分散した状態で存在しうる粒径の微粒子を意味する。樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びオレフィン系樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂の1種又は2種以上を樹脂粒子に用いることができる。
青色染料及び/又は蛍光増白剤を有する樹脂粒子は、色材により着色された樹脂粒子を製造する方法において、その色材として、青色染料及び/又は蛍光増白剤を用いることによって、製造することができる。その方法は、樹脂粒子の製造時に色材(青色染料及び/又は蛍光増白剤)を加えることで色材を樹脂粒子に内包させる方法と、予め製造した樹脂粒子の表面に色材(青色染料及び/又は蛍光増白剤)を結合させる方法とに分けられる。
カーボンブラックの比重、並びに青色染料及び/又は蛍光増白剤を有する樹脂粒子の比重については、インクを密度勾配遠心法に供することにより、検証できる。また、カーボンブラックの平均粒径、青色染料及び/又は蛍光増白剤を有する樹脂粒子の平均粒径については、上記の密度勾配遠心法により分離した各バンドを個別に採取し、純水で適切な倍率に希釈したものを動的光散乱法に供することにより、検証できる。さらに、カーボンブラック、青色染料、及び蛍光増白剤のそれぞれのインク中の含有量については、上記密度勾配遠心法により分離した各バンドを個別に採取し、希塩酸を加えて生じた沈殿を乾燥させ、熱重量測定(TGA)に供することにより、検証できる。
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として含有する。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましく、70.00質量%以上90.00質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクは、上記成分の外に、必要に応じて、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの多価アルコール類、尿素及びその誘導体、並びに糖類及びその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及びその他の水溶性樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
以下に述べる顔料及び樹脂粒子の平均粒径については、いずれも、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定装置(商品名「UPA−UT151」、日機装製)により測定した。また、以下に述べる顔料及び樹脂粒子の比重については、いずれも、密度勾配遠心法により測定した。
(顔料分散液1)
カーボンブラックの粉末15部、スチレン−アクリル酸共重合体の25%水溶液30部、及びイオン交換水50部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を50%としたガラス容器に入れた。カーボンブラックとしては、商品名「モナク1100」(キャボット製)を用いた。スチレン−アクリル酸共重合体としては、重量平均分子量16,500で、酸価が240mgKOH/gのもの(商品名「ジョンクリル690」、BASF製)を、水酸化カリウムにて酸基を基準としたモル比で0.85倍にて中和して用いた。上記のガラス容器に入れたカーボンブラック、スチレン−アクリル酸共重合体の水溶液、及び水を、簡易分散機(商品名「DAS200−K」、LAU製)を用いて15時間混合し、液中のカーボンブラックを分散させた。その後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離を行うことにより凝集成分を除去し、さらにイオン交換水で希釈した。このようにして、顔料の含有量が15.0%、顔料の平均粒径が80nm、樹脂分散剤の含有量が7.5%の顔料分散液1を調製した。カーボンブラックの比重は1.8であった。
顔料分散液1の調製において使用したカーボンブラックに代えて、別のカーボンブラック(商品名「MCF#950」、三菱化学製)の粉末を使用したこと以外は、顔料分散液1の調製と同様の方法で、顔料分散液2を調製した。このようにして、顔料の含有量が15.0%で、顔料の平均粒径が80nmの顔料分散液2を得た。カーボンブラックの比重は1.8であった。
顔料分散液1の調製において使用したカーボンブラックに代えて、別のカーボンブラック(商品名「PRINTEX35」、オリオンカーボン製)の粉末を使用したこと以外は、顔料分散液1の調製と同様の方法で、顔料分散液3を調製した。このようにして、顔料の含有量が15.0%、顔料の平均粒径が80nm、樹脂分散剤の含有量が7.5%の顔料分散液3を得た。カーボンブラックの比重は1.8であった。
カーボンブラックの粉末15部、スチレン−アクリル酸共重合体の25%水溶液16部、及び水65部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を50%としたガラス容器に入れた。カーボンブラックとしては、商品名「モナク1100」(キャボット製)を用いた。スチレン−アクリル酸共重合体としては、重量平均分子量16,500で、酸価が240mgKOH/gのもの(商品名「ジョンクリル690」、BASF製)を、モノエタノールアミンにて酸基を基準としたモル比で0.85倍にて中和して用いた。上記のガラス容器に入れたカーボンブラック、スチレン−アクリル酸共重合体の水溶液、及び水を、簡易分散機(商品名「DAS200−K」、LAU製)を用いて12時間混合し、液中のカーボンブラックを分散させた。その後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離を行うことにより凝集成分を除去し、さらにイオン交換水で希釈した。このようにして、顔料の含有量が15.0%、顔料の平均粒径が90nm、樹脂分散剤の含有量が4.0%の顔料分散液4を調製した。カーボンブラックの比重は1.8であった。
顔料分散液1の調製において使用したカーボンブラックに代えて、C.I.ピグメントグリーン7(商品名「Heliogen Green D8730」、BASF製)を使用したこと以外は、顔料分散液1の調製と同様の方法で、顔料分散液5を調製した。このようにして、顔料の含有量が15.0%、顔料の平均粒径が140nm、樹脂分散剤の含有量が7.5%の顔料分散液5を得た。
下記式(1)で表されるフタロシアニン化合物Aの粉末15部、スチレン−アクリル酸共重合体の25%水溶液20部、水65部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を50%としたガラス容器に入れた。スチレン−アクリル酸共重合体としては、重量平均分子量が16,500で、酸価が240mgKOH/gのもの(商品名「ジョンクリル690」、BASF製)を、水酸化カリウムにて酸基を基準としたモル比で0.85倍にて中和して用いた。上記のガラス容器に入れたフタロシアニン化合物(1)、スチレン−アクリル酸共重合体水溶液、及び水を、簡易分散機(商品名「DAS200−K」、LAU製)を用いて8時間混合し、液中のフタロシアニン化合物(1)を分散させた。その後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離を行うことにより凝集成分を除去し、さらにイオン交換水で希釈した。このようにして、顔料の含有量が15.0%、顔料の平均粒径が146nm、樹脂分散剤の含有量が7.5%の顔料分散液6を調製した。
(樹脂粒子1)
青色染料の粉末2部、及びスチレン−アクリル酸共重合体の粉末8部を、酢酸エチル40部に混合して溶解させ、溶液を得た。青色染料としては、C.I.ソルベントブルー70(商品名「Orasol Blue 855」、BASF製)を用いた。スチレン−アクリル酸共重合体としては、重量平均分子量が8,100で、酸価が53mgKOH/gのもの(商品名「ジョンクリル611」、BASF製)を用いた。上記の溶液を、ドデシル硫酸ナトリウム0.15部をイオン交換水90部に分散した溶液に添加し、撹拌した。その後、超音波ホモジナイザー(商品名「Advanced Digital Sonifier 250DA」、BRANSON製)を用い、振幅50%で10分間乳化した。この乳化液からエバポレーターにて酢酸エチルを留去して放冷後、ポアサイズ1.2μmのフィルター(商品名「HDCII」、ポール製)にて加圧ろ過を行い、さらにイオン交換水で希釈した。このようにして、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の青色染料の含有率が20.0%で、平均粒径が100nmの樹脂粒子1の水分散液を調製した。
樹脂粒子1の調製に使用した青色染料の粉末及びスチレン−アクリル酸共重合体の粉末の使用量(それぞれ2部及び8部)を、それぞれ、6部及び4部に変更したこと以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、樹脂粒子2の水分散液を調製した。このようにして、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の青色染料の含有率が60.0%で、平均粒径が100nmの樹脂粒子2の水分散液を得た。
青色染料として、樹脂粒子1の調製に使用したC.I.ソルベントブルー70に代えて、C.I.ソルベントブルー97(商品名「Macrolex Blue RR」、Lanxess製)の粉末を使用した。これ以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の青色染料の含有率が20.0%で、平均粒径が120nmの樹脂粒子3の水分散液を調製した。
還流管付き反応容器にイオン交換水66部、ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5部、メタクリル酸エチル24部、アクリル酸ブチル5部、アクリロニトリル3部及び過硫酸アンモニウム0.5部を入れた。これらを混合撹拌しながら窒素気流下で80℃まで昇温し、その温度を保持しながら3時間にわたって反応を続けた後、室温まで冷却させて反応を完結させ、樹脂固形分量が31%である乳化重合体を得た。この乳化重合体100部に、青色染料としてC.I.ベーシックブルー54を5部、ジアルキルスルホコハク酸ソーダ4部、イオン交換水100部の混合物を常温で添加し、2時間かけて80℃にまで昇温し、その温度を1時間保持させた後、室温にまで冷却した。その後、ポアサイズ1.2μmのフィルター(商品名「HDCII」、ポール製)にて加圧ろ過を行い、さらにイオン交換水で希釈した。このようにして、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の青色染料の含有率が13.9%で、平均粒径が220nmの樹脂粒子4の水分散液を調製した。
樹脂粒子1の調製に使用した青色染料の粉末に代えて、蛍光増白剤として、C.I.フルオレッセントブライトニングエージェント184(商品名「Uvitex OB」、BASF製)の粉末を使用した。これ以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が80nmの樹脂粒子5の水分散液を調製した。樹脂粒子5の比重は1.2であった。
樹脂粒子1の調製に使用した青色染料の粉末に代えて、蛍光増白剤として、C.I.フルオレッセントブライトニングエージェント184(商品名「Uvitex OB」、BASF製)の粉末を使用した。また、樹脂粒子1の調製に使用したスチレン−アクリル酸共重合体の粉末の使用量(8部)を4部に変更した。これら以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が60.0%で、平均粒径が80nmの樹脂粒子6の水分散液を調製した。樹脂粒子6の比重は1.4であった。
樹脂粒子1の調製に使用した青色染料の粉末に代えて、蛍光増白剤として、C.I.フルオレッセントブライトニングエージェント135(東京化成工業製)の粉末を使用した。これ以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が80nmの樹脂粒子7の水分散液を調製した。樹脂粒子7の比重は1.2であった。
樹脂粒子1の調製に使用した青色染料の粉末に代えて、蛍光増白剤として、C.I.フルオレッセントブライトナー363(商品名「Uvitex BAC」、BASF製)の粉末を使用した。これ以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が80nmの樹脂粒子8の水分散液を調製した。樹脂粒子8の比重は1.2であった。
超音波ホモジナイザーの振幅と時間を調整(変更)したこと以外は、樹脂粒子5の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が32nmの樹脂粒子9の水分散液を調製した。樹脂粒子9の比重は1.2であった。
超音波ホモジナイザーの振幅と時間を調整(変更)したこと以外は、樹脂粒子5の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が40nmの樹脂粒子10の水分散液を調製した。樹脂粒子10の比重は1.2であった。
超音波ホモジナイザーの振幅と時間を調整(変更)したこと以外は、樹脂粒子5の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が120nmの樹脂粒子11の水分散液を調製した。樹脂粒子11の比重は1.2であった。
超音波ホモジナイザーの振幅と時間を調整(変更)したこと以外は、樹脂粒子5の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が128nmの樹脂粒子12の水分散液を調製した。樹脂粒子12の比重は1.2であった。
樹脂粒子1の調製に使用した青色染料に代えて、蛍光増白剤としてC.I.フルオレッセントブライトニングエージェント184(商品名「Uvitex OB」、BASF製)の粉末を使用した。また、樹脂粒子1の調製に使用したスチレン−アクリル酸共重合体の粉末の使用量(8部)を2部に変更し、さらに、ベンゾグアナミン−p−トルエンスルホンアミド−ホルムアルデヒド樹脂6部を使用した。これら以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が80nmの樹脂粒子13の水分散液を調製した。樹脂粒子13の比重は1.7であった。
樹脂粒子1の調製に使用した青色染料に代えて、蛍光増白剤としてC.I.フルオレッセントブライトニングエージェント184(商品名「Uvitex OB」、BASF製)の粉末を使用した。また、樹脂粒子1の調製に使用したスチレン−アクリル酸共重合体の粉末の使用量(8部)を3部に変更し、さらに、ベンゾグアナミン−p−トルエンスルホンアミド−ホルムアルデヒド樹脂5部を使用した。これら以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が20.0%で、平均粒径が80nmの樹脂粒子14の水分散液を調製した。樹脂粒子14の比重は1.6であった。
還流管付き反応容器にイオン交換水49部、ラウリル硫酸アンモニウム2.5部、アクリル酸メチル40部、アクリロニトリル5部、メタクリロニトリル3部及び過硫酸カリウム0.5部を入れた。これらを混合撹拌しながら窒素気流下で80℃まで昇温し、その温度を保持しながら3時間にわたって反応を続けた後、室温まで冷却させて反応を完結させ、粘度が35cPであり、樹脂固形分量が48%である乳化重合体を得た。この乳化重合体100部に、蛍光増白剤としてC.I.フルオレッセントブライトナー363(商品名「Uvitex BAC」)を5部、β−ナフタレンスルホン酸ソーダ2部、イオン交換水88部の混合物を常温で添加した。これを2時間かけて90℃にまで昇温し、その温度を1時間保持させた後、室温にまで冷却した。その後、ポアサイズ1.2μmのフィルター(商品名「HDCII」、ポール製)にて加圧ろ過を行い、さらにイオン交換水で希釈した。このようにして、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が9.4%で、平均粒径が200nmの樹脂粒子15の水分散液を調製した。樹脂粒子15の比重は1.1であった。
樹脂粒子1の調製において使用した青色染料の粉末2部に代えて、青色染料の粉末1.25部及び蛍光増白剤の粉末0.75部の組み合わせ(2部)を使用したこと以外は、樹脂粒子1の水分散液の調製と同様の方法で、樹脂粒子16の水分散液を調製した。青色染料としては、C.I.ソルベントブルー70(商品名「Orasol Blue 855」、BASF製)を用いた。また、蛍光増白剤としては、C.I.フルオレッセントブライトニングエージェント184(商品名「Uvitex OB」、BASF製)を用いた。このようにして、総固形分が10.0%、樹脂粒子中の青色染料の含有率が12.5%、樹脂粒子中の蛍光増白剤の含有率が7.5%で、平均粒径が80nmの樹脂粒子16の水分散液を得た。樹脂粒子16の比重は1.2であった。
表1−1〜1−3の上段に示す成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが1.2μmのフィルター(商品名「HDCII」、ポール製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表中に示す「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。また、表の下段には、インク中のカーボンブラックの含有量P(%)、青色染料の含有量B(%)、蛍光増白剤の含有量F(%)、P/Bの値(倍)、及びP/Fの値(倍)を併せて示す。
上記で得られたインクを、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro9500−MarkII」、キヤノン製)に搭載した。このインクジェット記録装置は、1/600dpi×1/600dpiの単位領域に、1滴当たりの質量が3.5ナノグラムであるインク滴を8滴付与する場合を、記録デューティ100%とするものである。そして、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT101」、キヤノン製)に、30%、60%、90%、120%の各記録デューティの5cm×5cmの4種のベタ画像を含むパターンを、デフォルトモードにて記録した。得られた記録物を室温で1日放置して乾燥した後、以下の手法によって、色相の偏り、ブロンズ現象、発色性の評価を行った。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、A、Bを許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。結果を表2に示す。
前記4種のベタ画像について、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用い、光源D50、視野角2度、入射角45度、反射角0度の条件下で、反射光のCIE L*a*b*表色系に基づく彩度c*を測定した。そして、以下に示す評価基準にしたがって、色相の偏りを評価した。
A:4種のベタ画像の全てにおいて、c*が4.0以下であった。
B:4種のベタ画像のうち1種以上の画像において、c*が4.0を超え、6.0以下であった。
C:4種のベタ画像のうち1種以上の画像において、c*が6.0を超えた。
前記4種のベタ画像のうち、90%、120%の記録デューティの2種のベタ画像について、三次元変角分光測色システム(商品名「GCMS−3B型」、村上色彩技術研究所製)を用いて測定を行うことにより、ブロンズ値Bを算出した。測定条件は、光源D65、視野角2度、入射角45度、反射角45度、あおり角0度、面内回転角0度とした。照明光の三刺激値は、硫酸バリウム板を同条件下で測定することにより得た。そして、以下に示す評価基準にしたがって、画像のブロンズ現象(耐ブロンズ性)を評価した。
A:2種のベタ画像の両方において、ブロンズ値Bが2.0以下であった。
B:2種のベタ画像のうち少なくとも1種の画像において、ブロンズ値Bが2.0を超え、4.0以下であった。
C:2種のベタ画像のうち少なくとも1種の画像において、ブロンズ値Bが4.0を超えた。
前記4種のベタ画像のうち、記録デューティ120%のベタ画像について、分光光度計(商品名「Spectro lino」、Gretag Macbeth製)を用い、光源D50、視野角2度、入射角45度、反射角0度の条件下で、光学濃度を測定した。そして、以下に示す評価基準にしたがって、画像の発色性を評価した。
A:光学濃度が2.7以上であった。
B:光学濃度が2.5以上2.7未満であった。
C:光学濃度が2.5未満であった。
Claims (5)
- カーボンブラック、及び樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記樹脂粒子が、青色染料を有する樹脂粒子及び蛍光増白剤を有する樹脂粒子を含み、
下記の条件(1)及び(2)の両方を満足することを特徴とする水性インク。
条件(1):インク全質量を基準とした、前記カーボンブラックの含有量(質量%)が、前記青色染料の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上15.0倍以下である。
条件(2):インク全質量を基準とした、前記カーボンブラックの含有量(質量%)が、前記蛍光増白剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上20.0倍以下である。 - 少なくとも前記蛍光増白剤を有する樹脂粒子の平均粒径が、前記カーボンブラックの平均粒径に対して0.5倍以上1.5倍以下である請求項1に記載の水性インク。
- 少なくとも前記蛍光増白剤を有する樹脂粒子の比重が、前記カーボンブラックの比重に対して0.9倍以下である請求項1又は2に記載の水性インク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112358749A (zh) * | 2020-10-20 | 2021-02-12 | 青岛黑猫新材料研究院有限公司 | 一种水溶性染料偶联型纳米炭黑及其制备方法 |
WO2022034723A1 (ja) * | 2020-08-14 | 2022-02-17 | 株式会社日立産機システム | 帯電制御方式のインクジェットプリンタ用インク |
EP4155352A1 (en) | 2021-09-28 | 2023-03-29 | Canon Kabushiki Kaisha | Aqueous ink, ink cartridge and ink jet recording method |
-
2018
- 2018-02-23 JP JP2018030972A patent/JP2019143095A/ja not_active Withdrawn
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