JP2018002659A - ゲフィチニブを有効成分とする医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ゲフィチニブを有効成分とする医薬組成物であって、pH1〜5といった酸性域から中性域に亘って有効成分の溶出性に変化がなく、且つ速やかな溶出性を奏する医薬製剤を調製するための、医薬組成物を提供することを課題とする。【解決手段】 ゲフィチニブと共に、pH5以下の水溶液に対する溶解度が40%(w/w)以上を有し、20%(w/w)溶液の23℃における粘度が1000mPa・s以下で、可塑性を示す水溶性共重合体を医薬製剤用の添加剤として用いることで、それを用いた医薬製剤のpH1〜5における溶出性に変化がなく、且つ速い溶出性を確保できることを見出した。前記水溶性共重合体(B)としては、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、ゲフィチニブを有効成分として含有する医薬組成物であって、特に溶出性に優れた医薬製剤を調製するための医薬組成物に関する。
ゲフィチニブは、化学名をN−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−[3−(モルフォリン−4−イル)プロポキシ]キナゾリン−4−アミンとする、一般式(1)で示される構造を有する化合物である。
Figure 2018002659
ゲフィチニブはEGFRチロシンキナーゼを選択的に阻害して腫瘍細胞の増殖を抑制する作用を有する。そこで、悪性腫瘍に対する治療剤として開発が進められ、イレッサ(Iressa(登録商標))の商品名にて抗腫瘍剤として用いられている。特に、野生型のEGFRよりも変異型EGFRに対してよりチロシンキナーゼ阻害活性を有することが判っており、本邦では、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌に対する治療剤として提供されている。
ゲフィチニブは水にほとんど溶解しない物性(1gを溶解するために>100,000mLを要する。(20±5℃))であるが、ゲフィチニブは弱塩基性化合物であり、水に対する溶解度はpHに大きく依存する。すなわち、pH1では可溶性(1gを溶解するために10〜30mLの水性溶媒を要する。)であるが、pH4〜6で溶解度は大きく低下し、pH6では溶解度が1mg/mL程度に低下し、pH7では実質的に不溶性である。
ゲフィチニブのpH依存的な水溶解性は、経口投与した際の有効成分の溶出性や吸収性に大きく影響すると想定される。すなわち、ゲフィチニブを有効成分とする医薬製剤を経口投与すると、酸性環境であるpH1〜4の胃内では良好な水溶解度を有して、医薬製剤から十分な溶出がなされ、有効成分も十分に吸収され得る溶液状態を維持できるものと考えられる。しかしながら、最も高い薬剤吸収部位として考えられる小腸はpH4〜8であり、有効成分の溶出性が低下したり、溶出された有効成分が溶液状態から析出して吸収されなくなったりするなる懸念がある。その結果、有効成分のバイオアベイラビリティが低下して、薬物動態が大きく変化してしまう問題がある。このため、ゲフィチニブを有効成分とする医薬製剤は、経口投与の消化器経路におけるpH変動域に亘り、製剤からの溶出性の変化がほとんど無いことが重要である。
ゲフィチニブのpH依存的水溶解性を緩和した医薬組成物として、特許文献1にヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル等を含む医薬製剤が開示されている。これは、ゲフィチニブを有効成分とする内核錠に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースをポリエチレングリコール等と共に含むコーティング剤として用いたコーティング錠剤の態様を記載し、pH1.5から6.5へ変化させた場合における薬剤不溶化速度を緩和できることが記載されている。
特表2005−523293号公報
本発明の目的は、ゲフィチニブを有効成分とする医薬組成物であって、酸性域から中性域に亘って有効成分の溶出性に変化がない医薬製剤を調製するための、医薬組成物を提供することを課題とする。特にpH1〜5に亘り溶出性に変化がなく、且つ速やかな溶出性を奏する医薬製剤を調製するための、医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、ゲフィチニブと共に、pH5以下の水溶液に対する溶解度が40%(w/w)以上を有し、20%(w/w)溶液の23℃における粘度が1000mPa・s以下で、可塑性を示す水溶性共重合体を医薬製剤用の添加剤として用いることで、それを用いた医薬製剤のpH1〜5における溶出性に変化がなく、且つ速い溶出性を確保できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]〜[10]を要旨とする。
[1] ゲフィチニブ又はその医薬的に許容な塩である薬剤(A)、pH5以下の水溶液に対する溶解度が40%(w/w)以上を有し、20%(w/w)溶液の23℃における粘度が1000mPa・s以下で、可塑性を示す水溶性共重合体(B)、を含有する医薬組成物。
[2] 水溶性共重合体(B)が、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリ(ビニルアルコール−(メタ)アクリレート)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アルキル(メタ)アクリレート)共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートからなる群から選択される1種以上である、前記[1]に記載の医薬組成物。
[3] 薬剤(A)に対する水溶性共重合体(B)の質量含有比が、(A):(B)=1:0.01〜0.1(w/w)である、前記[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4] 水溶性共重合体(B)がポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体である、前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の医薬組成物。
本発明は、医薬製剤添加剤として、pH5以下の水溶液に対する溶解度が40%(w/w)以上を有し、20%(w/w)溶液の23℃における粘度が1000mPa・s以下で、可塑性を示す水溶性共重合体(B)を用いることを特徴とする。これらの水溶性共重合体(B)は、ゲフィチニブのpH依存的溶解度変化を緩和し、当該医薬製剤の酸性域から中性域に亘る十分な溶出性を確保でき、且つ速やかな溶出速度を奏することができる。当該共重合体は、pH5以下の水溶液に対する溶解度が高く、該水溶液は低粘度である。そしてそれ自体で可塑性を有する物性であることから、マクロゴール300等のポリエチレングリコールを用いる必要がない。
[5] 前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の医薬組成物が錠剤であって、
(1)薬剤(A)を含有する内核と、
(2)水溶性共重合体(B)を含有する、前記内核を被覆するコーティング層、
を包含する医薬錠剤。
[6] 900mLのpH1〜5の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、15分後のゲフィチニブの溶出率が70%以上であり、30分後のゲフィチニブの溶出率が80%以上である、前記[5]に記載の医薬錠剤。
[7] 900mLのpH5の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、15分後のゲフィチニブの溶出率が70%以上であり、30分後のゲフィチニブの溶出率が80%以上である、前記[5]に記載の医薬錠剤。
前記水溶性共重合体(B)は、医薬製剤添加剤におけるコーティング剤をして用いることが好ましい。これにより、当該医薬錠剤はpH1〜5の水溶液において同等の溶出性が確保できる。特にゲフィチニブの溶解度が低下するpH5の水溶液において、速やかな溶出性を確保することができる。
[8] 前記薬剤を含有する内核は、結合剤及び崩壊剤を含有し、結合剤及び崩壊剤の含有量質量比率が、1〜5:1である、前記[5]〜[7]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[9] 結合剤が、前記内核における含有率が5質量%以上30質量%以下である、前記[8]に記載の医薬錠剤。
[10] 崩壊剤が、前記内核における含有率が5質量%以上30質量%以下である、前記[8]又は[9]に記載の医薬錠剤。
本発明の医薬錠剤は、有効成分を含有する内核に結合剤及び崩壊剤を1〜5:1の混合比率で共存させて調製した内核錠を用いることが、速やかな溶出性を発揮させるうえで好ましい。特に、結合剤及び崩壊剤を内核の錠剤における5質量%以上用いることが好ましい。なお、結合剤及び崩壊剤は、内核における有効成分含量を考慮して、30質量%以下とすることが好ましい。
本発明のゲフィチニブを有効成分とする医薬組成物は、酸性域から中性域に亘って有効成分の溶出性に変化がない医薬製剤を調製することができる。特に、小腸域の中性pHでも、酸性域と同等の溶出性及び溶出速度を奏する医薬製剤を調製することができる。
本発明は、ゲフィチニブ又はその医薬的に許容な塩である薬剤(A)を有効成分とする医薬組成物であって、水またはpH5以下の溶液への溶解度が40%(w/w)以上を有し、20%(w/w)溶液の23℃における粘度が1000mPa・s以下で、可塑性を示す水溶性共重合体(B)、を医薬製剤用添加剤として用いることを特徴とする。以下にその詳細について説明する。
本発明は、有効成分としてゲフィチニブ又はその医薬的に許容な塩である薬剤(A)を用いる。ゲフィチニブは、化学名をN−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−[3−(モルフォリン−4−イル)プロポキシ]キナゾリン−4−アミンである。当該化合物は、特表平11−504033号公報にて開示されており、それに記載の方法により合成することができる。
ゲフィチニブは、弱塩基性化合物であることから、適当な酸との酸付加塩の態様であっても良い。例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸、メタンスルホン酸又は4−トルエンスルホン酸とのモノ−又はジ−酸付加塩を用いても良い。
ゲフィチニブは医薬品の有効成分として用いることができる品質レベルの化合物を用いることが望ましい。本発明において、薬剤(A)は酸付加塩ではなく遊離塩基体のゲフィチニブを用いることが好ましい。
本発明は、医薬製剤用の添加剤として、pH5以下の酸性水溶液への溶解度が40%(w/w)以上を有し、20%(w/w)溶液の23℃における粘度が1000mPa・s以下で、可塑性を示す水溶性共重合体(B)を用いることを特徴とする。
当該水溶性共重合体(B)はコーティング基剤として単体で柔軟性を有するため、可塑剤として一般的に使用されるマクロゴール300、マクロゴール6000等のポリエチレングリコール類を共存させる必要がない。したがって、本発明における医薬組成物は、ポリエチレングリコール類を実質的に含まなくても良いことを特徴とする。
当該水溶性共重合体(B)は、低粘度物性であることが好ましく、20%(w/w)溶液の23℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。低粘度物性の共重合体とは、当該水溶性共重合体(B)は数平均分子量が約100キロダルトン以下であることが好ましい。
また、pH5以下の酸性水溶液への溶解度が40%(w/w)以上を有する物性である。ここで、pH5以下の酸性水溶液は、水に塩酸、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、クエン酸、水酸化ナトリウム等を用いて適宜pH調整した水溶液を用いることが好ましい。特に、日本薬局方の崩壊性試験溶液、溶出性試験溶液で記載されている酸性水溶液を用いることが好ましい。酸性水溶液にて高い溶解度を有する水溶性共重合体を選択することで、経口投与した際において、酸性環境下にある胃内にて当該医薬組成物の溶解が促進されて、速やかな溶出性を奏することができる。すなわち、本発明の水溶性共重合体(B)としては、胃内にて速やかに溶解する胃溶性の医薬製剤添加剤が選択される。これらの水溶性共重合体(B)としては、医薬製剤用添加剤として様々物性の物が知られており、適宜選択して用いることができる。
前記水溶性共重合体(B)は、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリ(ビニルアルコール−(メタ)アクリレート)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アルキル(メタ)アクリレート)共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。これらの共重合体は医薬製剤用添加剤として認可されており、本発明に適用することが好ましい。
ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体としては、ポリビニルアルコールを主鎖として、側鎖水酸基に適当分子数のポリエチレングリコールがグラフト型に結合した共重合体である。ポリビニルアルコールの側鎖水酸基は、任意にアセテート型を含んでいても良い。
好ましいポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとしては、例としてコリコート IR(Kollicoat IR BASF)が挙げられる。これは約75%(w/w)のポリビニルアルコール(PVA)単位及び約25%(w/w)のポリエチレングリコール(PEG)単位を含むグラフト型共重合体であり、場合により当該グラフト共重合体の流動性を改善することができる0.3%(w/w)程度のコロイダルシリカから構成される。かかるポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体は、20%(w/w)水溶液の23℃における粘度が約90mPa・sから約140mPa・sである。特に好ましくは、当該粘度が約115mPa・sのものである。
また前記粘度と相関する物性値である数平均分子量が10キロダルトン〜50キロダルトンであって、好ましくは約45キロダルトンのものを用いることが好ましい。
ポリ(ビニルアルコール−(メタ)アクリレート)共重合体としては、ポリビニルアルコールを主鎖として、側鎖水酸基に適当分子数のポリ(アクリル酸誘導体−メタクリル酸誘導体)共重合体が結合した共重合体である。好ましいポリ(ビニルアルコール−(メタ)アクリレート)共重合体の例としてPOVACOAT(日新化成株式会社)が挙げられる。
ポリ((メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アルキル(メタ)アクリレート)共重合体としては、ジメチルアミノエチルメタクリル酸、並びにブチルメタクリル酸及びメチルメタクリル酸の共重合体である。好ましいポリ((メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アルキル(メタ)アクリレート)共重合体の例としてオイドラギットE100(株式会社樋口商会)が挙げられる。これは、ジメチルアミノエチルメタクリル酸、ブチルメタクリル酸及びメチルメタクリル酸が2:1:1で結合した共重合体であり、平均分子量は約47キロダルトンのものが知られている。
ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートとしては、ポリビニルアルコールとアセトアルデヒドが脱水して得たアセタールの残りの水酸基の一部と、ジエチルアミノ酢酸がエステル結合した共重合体である。好ましいポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートの例としてAEA(三菱化学フーズ株式会社)が挙げられる。
本発明において、水溶性共重合体(B)としてはポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体を用いることが好ましい。具体的には、コリコートIR(BASF)を用いることが好ましい。
本発明の医薬組成物において、前記水溶性共重合体(B)は、前記薬剤(A)1質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下で用いることが好ましい。より好ましくは、薬剤(A)に対する水溶性共重合体(B)の質量含有比が、(A):(B)=1:0.01〜0.1(w/w)で用いる処方である。当該水溶性共重合体は、水溶性が高く且つ可塑性を有することから、医薬組成物として他の機能性製剤添加剤の使用を省略することができる。このため、薬剤(A)に対して極めて低用量の処方とすることができる。その結果、有効成分である薬剤(A)の医薬組成物及びそれを用いた医薬製剤中の含有量を高めることができる利点を有する。
本発明の医薬組成物は、結合剤、崩壊剤、可溶化剤、滑沢剤、賦形剤、隠蔽剤や着色剤等の、医薬製剤を調製するための通常の医薬製剤用添加剤を用いても良い。
本発明において結合剤としては合成高分子系の結合剤が該当し、好適に用いられる。当該結合剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル共重合体、アミノアルキルメタクリレート共重合体、アンモニオアルキルメタクリレート共重合体、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合物、ポリアクリル酸部分中和物、ポリビニルアルコール、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体等を挙がることができる。
本発明において崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。
本発明において可溶化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、精製大豆レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ダイズ油、ラウロマクロゴール等が挙げられる。
本発明において滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられる。
本発明において賦形剤としては、乳糖、マルトース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等、上記の結合剤、崩壊剤、可溶化剤、滑沢剤に該当しない添加剤が含まれる。
本発明において隠蔽剤や着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
本発明は前記医薬組成物を成型して調製される、ゲフィチニブを有効成分とする医薬製剤を包含する。ゲフィチニブは経口的に投与されて悪性腫瘍の治療に提供されることから、経口用製剤であることが好ましい。経口用の製剤形としては、錠剤、分散錠、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤等が挙げられる。本発明の医薬組成物を用いた医薬製剤としては、錠剤として用いることが好ましい。
本発明の医薬組成物を錠剤に適用する場合、ゲフィチニブ又はその塩である薬剤(A)と前記水溶性共重合体(B)、並びに任意の医薬製剤添加剤を混合して、任意に顆粒体を調製した後、圧縮成型して成型される錠剤であっても良い。若しくは、ゲフィチニブ又はその塩である薬剤(A)を含有する錠剤を内核錠として、これに当該水溶性共重合体(B)を含有する被覆膜でコーティングした錠剤とする態様であっても良い。
本発明は、(1)ゲフィチニブ又はその医薬的に許容可能な塩である薬剤(A)を含有する内核と、(2)水溶性共重合体(B)を含有する前記内核を被覆するコーティング層、を包含する医薬錠剤を好ましい態様として包含する。
前記「ゲフィチニブ又はその医薬的に許容可能な塩である薬剤(A)を含有する内核」は、有効成分であるゲフィチニブ又はその塩、及び結合剤、崩壊剤、可溶化剤、滑沢剤、賦形剤等の任意の医薬製剤用添加剤を配合して、任意に顆粒体を調製した後、これを圧縮成型して調製される素錠を示す。内核成分に用いる結合剤、結合剤、崩壊剤、可溶化剤、滑沢剤、賦形剤は、前述と同義である。
内核となる前記素錠は、ゲフィチニブとして30〜90質量部、結合剤を0.1〜25質量部、崩壊剤を1〜20質量部、可溶化剤を0〜5質量部、滑沢剤を0.1〜5質量部、賦形剤を5〜50質量部で含有する処方による医薬組成物を混合し、任意に水、エタノール、メタノール等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒を添加して造粒して顆粒体を調製し、これを圧縮成型することで内核となる素錠を調製することができる。好ましくは、ゲフィチニブとして50〜85質量部、結合剤を1〜15質量部、崩壊剤を1〜10質量部、可溶化剤を0〜5質量部、滑沢剤を0.1〜5質量部、賦形剤を5〜40質量部を含有する処方による医薬組成物である。
なお医薬組成物を圧縮成型する前に、造粒化操作を行い、顆粒体を調製することが好ましい。造粒化操作としては、当該医薬組成物に適当な機械的圧力を付加して造粒する乾式造粒であっても良く、水又は有機溶剤を適当量添加して混合等の機械的圧力を付加して造粒する湿式造粒であっても良い。本発明品を調製するにあたっては、この湿式造粒を選択することがより好ましい。
この造粒物を、打錠成型等により錠剤形に成型することにより、内核である素錠を調製することができる。
前記内核となる素錠は、錠剤成形性と溶出速度を制御するために、結合剤及び崩壊剤を含有することが好ましい。結合剤と崩壊剤を共存して用いることで、溶出速度を制御して目的とする製剤特性を確保することができる。本発明において、有効成分であるゲフィチニブの含有量を高めて、好ましくはゲフィチニブとして50質量部より多く、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上の含有量の素錠を調製するために、結合剤と崩壊剤を含有量質量比率として1〜5:1の共存比率で用いることが好ましい。この際、結合剤は当該素錠総質量における含有量として、5質量%以上で30質量%以下であることが好ましい。また、崩壊剤は当該素錠総質量における含有量として、5質量%以上で30質量%以下であることが好ましい。
内核となる素錠に被覆する「水溶性共重合体(B)を含有するコーティング層」とは、前記水溶性共重合体(B)を含有する水性溶液を調製して、これを前記素錠の表面に噴霧等の操作により均一に付着させて、これを乾燥することで当該コーティング層を設けることができる。
水溶性共重合体(B)を含有する水性溶液とは、当該水溶性共重合体(B)の水又はエタノールやアセトン等の水と任意に混和する有機溶剤を含有する水性溶剤による溶液である。この水性溶液には、隠蔽剤や着色剤、分散剤、可塑剤等の医薬製剤のコーティング剤に用いられる任意の添加剤が含まれていても良い。なお、隠蔽剤や着色剤等は当該水性溶液に溶解して用いても、懸濁状態で用いても良い。
水溶性共重合体(B)を含有するコーティング層は、前記水溶性共重合体(B)を60〜100質量部、隠蔽剤及び/又は着色剤を0〜10質量部、分散剤を0〜10質量部、可塑剤を0〜20質量部で含有する処方の組成物であることが好ましい。なお、分散剤とは例えばマクロゴールが挙げられる。また、可塑剤とは例えば、グリセリン、プロピレングリコール、分子量300〜6000のポリエチレングリコール、ヒマシ油等のトリグリセリド、ジエチルフタレート等を挙がることができる。なお、本発明の水溶性共重合体(B)は可塑性を有する物性であることから必ずしも可塑剤を用いる必要はなく、任意の成分である。むしろ、任意の添加剤を減量するために、可塑剤を含有しない処方を用いることが有利であり、本発明の望ましい態様である。
好ましくは、水溶性共重合体(B)としてポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体が70〜99質量部、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、無水二酸化ケイ酸、酸化マグネシウムからなる群から選択される1種又はその組み合せである、隠蔽剤及び/又は着色剤を0〜10質量部を含有する処方のコーティング層組成物である。
前記コーティング層組成物は、水又は水と任意の割合で混合し得る有機溶剤を含む水性溶剤を当該水溶性共重合体(B)が充分に溶解し得る濃度にて水性溶液を調製することで、コーティング層を設けるためのコーティング剤として用いることができる。
内核となる素錠に、水溶性共重合体(B)を含有するコーティング層で被覆する方法としては、前記水溶性共重合体(B)を含有する水性溶液を、内核となる素錠が入ったコーティングパンの中へ注入またはスプレーし、錠剤表面に熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、素錠表面に当該水溶性共重合体(B)を均一に付着させ、その後、乾燥することでコーティング層を設けることができる。乾燥工程は、室温〜80℃程度で行うことが好ましい。減圧下で行うことで水性溶剤を揮発させて乾燥しても良い。
本発明の医薬錠剤は、900mLのpH1〜5の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、15分後のゲフィチニブの溶出率が70%以上であり、30分後のゲフィチニブの溶出率が80%以上であることを特徴とする。
前記溶出性試験におけるpH1〜5の水性溶液は、塩酸、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、クエン酸、水酸化ナトリウム等を用いて適宜pH調整した水溶液を用いることが好ましい。しかしながら、当該試験水性溶液は、日本薬局方や厚生労働省通知に記載又は準拠した試験溶液を用いることが好ましい。すなわち、日本薬局方崩壊試験第1液(pH1.2 塩酸7.0mL、塩化ナトリウム2.0g/1000mL水溶液)、溶出試験第2液(pH6.8 0.2mol/Lリン酸二水素カリウム試液250mLに、0.2mol/L水酸化ナトリウム試液118mL及び水を加えて1000mLとした溶液を、2倍希釈した溶液)、等が挙げられる。
また、pH3.0の試験溶液は、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム十二水和物水溶液に、0.1mol/Lクエン酸一水和物水溶液をpH3.0となるまで加えることで調製した水性溶液を用いることが好ましい。pH4.0の試験溶液は、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム十二水和物水溶液に、0.1mol/Lクエン酸一水和物水溶液をpH4.0となるまで加えることで調製した水性溶液を用いることが好ましい。pH5.0の試験溶液は、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム十二水和物水溶液に、0.1mol/Lクエン酸一水和物水溶液をpH5.0となるまで加えることで調製した水性溶液を用いることが好ましい。
前記のpH調整した試験溶液900mLを用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明により調製される医薬錠剤1錠から有効成分を試験溶液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液への溶出率を評価することで、本発明の特徴である速い溶出性で、且つpH1〜5に亘り溶出性のpH依存性がない特性を有する錠剤であることを確認することができる。
前記各pHに調整した試験溶液を用いて、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、15分後のゲフィチニブの溶出率が70%以上であり、30分後のゲフィチニブの溶出率が80%以上であることを特徴とする。
本発明の医薬錠剤は、溶出性試験において有効成分であるゲフィチニブが15分で70%以上溶出し、且つ30分で80%以上の溶出率であり、極めて速い溶出性を発揮する。好ましくは、15分で75%以上溶出し、且つ30分で85%以上の溶出率である。本発明の医薬錠剤は、水溶性共重合体(B)をコーティング層に用いることで、即放性錠剤を調製することができる。
また、内核となる素錠は、結合剤及び崩壊剤を含有することが好ましく、結合剤と崩壊剤を含有量質量比率として1〜5:1の共存比率で用いることが好ましい。この際、結合剤は当該素錠総質量における含有量として、5質量%以上で30質量%以下であることが好ましい。また、崩壊剤は当該素錠総質量における含有量として、5質量%以上で30質量%以下であることが好ましい。
また、ゲフィチニブは溶解度のpH依存性が極めて高く、その溶解度に対応して当該製剤における溶出性もpH依存性が高い事が知られている。本発明の医薬錠剤は、溶出性におけるpH依存度がほとんどないことを特徴とする。すなわち、本発明の医薬錠剤は、中性溶液である、pH4の水性溶液(900mL)を用いても、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法で、15分後のゲフィチニブの溶出率が70%以上であり、30分後のゲフィチニブの溶出率が80%以上であり、好ましくは、15分で75%以上溶出し、且つ30分で85%以上の溶出率である。すなわち、酸性溶液とほとんど変わらない溶出性を示すことを特徴とする。また、pH5の水性溶液(900mL)を用いても、同溶出試験法で、15分後のゲフィチニブの溶出率が70%以上であり、30分後のゲフィチニブの溶出率が80%以上であり、好ましくは、15分で75%以上溶出し、且つ30分で85%以上の溶出率であり、酸性溶液中における溶出性と製薬技術上の同等性を有していると言え、溶出性におけるpH依存性がほとんどなく、吸収性に優れた医薬製剤を提供することができる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ゲフィチニブ1500g、乳糖水和物(ダイラクトーズ、フロイント産業株式会社製)20g、結晶セルロース(セオラス、旭化成ケミカルズ株式会社製)120g、ポビドン(Kollidon、BASF製)210g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose、DFE Pharma製)120gを撹拌造粒機(深江パウテック株式会社:FS−GS−10J型)で混合した。
この混合物に、ラウリル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム「製造専用」、国産化学株式会社製)12gを精製水600mLに溶解した造粒水を加えて、撹拌造粒機にて造粒を行った。これを60℃にて60分間以上乾燥した後、20メッシュの篩で整粒し、整粒顆粒を得た。整粒顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)18gを混合し、打錠用顆粒を得た。
この打錠用顆粒を、打錠機を用いて、錠剤径約9mm、厚み約5.4mm、質量約335mg、硬度100N以上のゲフィチニブの素錠(内核錠剤)を製造した。
表1に内核錠剤の調製の処方をまとめた。
ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Kollicoat IR、BASF製)150g、三二酸化鉄(三二酸化鉄、癸巳化成株式会社製)3.75g、酸化チタン(高純度酸化チタン、東邦チタニウム株式会社製)5.25gを精製水約1,340mLに分散させ、コーティング液とした。
表2にコーティング剤の処方をまとめた。
このコーティング液を、コーティング機(フロイント産業株式会社:HCT−30N)を用いて先に調製した素錠へ噴霧し、噴霧後の錠剤質量が約343mgとなるようにコーティングを行い、フィルムコーティング錠剤を調製した。
得られたフィルムコーティング錠剤は、有効成分としてゲフィチニブ250mg、結合剤としてポビドン35mg、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム20mg、コーティング剤としてポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体約7mg含有する総質量343mgのフィルムコーティング錠であった。
Figure 2018002659
Figure 2018002659
[試験例1]溶出性試験
実施例1で得られたフィルムコーティング錠剤を、日本薬局方に記載される方法で調製したpH1.2、pH3.0、pH4.0、pH5.0の各試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験条件詳細は以下のように設定した。
・溶出試験器 :NTR−6200A、富山産業株式会社製
・試験液量 :900mL
・試験液温 :37±0.5℃
・パドル回転数:50rpm
・分析機器 :紫外可視分光度計(UV−1700、島津製作所製)
・測定波長 :247nm
定量分析用の標準溶液試料として、各pH溶液を使用してゲフィチニブ溶液を任意の濃度で調製し、波長247nmでの吸光度を測定、これを各pH溶液における標準値とした。溶出試験においては、各経時点の溶液の吸光度を測定することで、各経時点における溶液中のゲフィチニブ濃度を計算し溶出率を算出した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2018002659
実施例1の錠剤は、pH1.2〜5において、試験開始15分後のゲフィチニブ溶出率が70%を超え、30分後の溶出率が80%を超える結果が得られた。したがって、実施例1の錠剤は、有効成分であるゲフィチニブの溶出性のpH依存性が少なく、経口投与した際に胃〜小腸に亘る消化管内pH環境でも溶出性が確保され、吸収性に優れた医薬製剤であることが示された。特に、pH5溶液において、試験開始15分後のゲフィチニブ溶出率が70%を超え、30分後の溶出率が80%を超える結果が示され、経口投与されて、小腸環境下においても、満足すべき溶出特性を有することが示唆された。
参考までに、ゲフィチニブの溶解度のpH依存性を以下の試験にて確認した。
[試験例2]ゲフィチニブの溶解度測定
ゲフィチニブの各pHにおける溶解度を、下記条件で溶解度試験により測定した。
・試験溶液:日本薬局方に記載される方法で調製したpH3、pH4、pH5溶液
・溶液量 :50mL
・溶液温度:37℃付近の一定温度
・撹拌方法:マグネチックスターラー(RT−10、IKA社製)
・撹拌速度:目盛5の一定速度
・撹拌時間:40分間
・分析機器:高速液体クロマトグラフィー(ポンプLC−20AB、オートサンプラーSIL−20A、吸光検出器SPD−20A、カラムオーブンCTO−20A、島津製作所製)
・移動相 :1%酢酸アンモニウム水溶液:アセトニトリル=31:19
・測定波長:247nm
・カラム種類:ステンレス管に3μmのオクタデシルシリル化シリカゲルを充填した内径4.6mm、長さ15cmの液体クロマトグラフィー用カラム
・カラム温度:40℃付近の一定温度
・注入量 :10μL
・流量 :1mL/mL
試験方法としては、50mLの各pH溶液に対し、ゲフィチニブ原薬を溶液が澄明にならない程度、具体的には約2〜6gを入れ、37℃付近の一定温度下で40分間撹拌した。撹拌終了後、溶液約2mLを採り、孔径0.45μmのフィルターでろ過し、高速液体クロマトグラフィーで溶液中のゲフィチニブ含量を分析した。
溶解度試験による各pH溶液におけるゲフィチニブの溶解度測定結果を表4に示す。
Figure 2018002659
試験例2の溶解度試験の結果が示す通り、ゲフィチニブはpHによってその溶解度が大きく変動する。すなわち、低pHであるほど溶解度は高く、酸性溶液であるpH3溶液ではゲフィチニブはある程度の水溶解度を有するが、pH5では、極めて難溶性を示すことが明らかとなった。
実施例1の錠剤は、pH4試験溶液での溶出性はpH1.2及び3の試験溶液と同等であり、ゲフィチニブ自体の溶解度がpH3の時と比較して25.8%も低下しているにもかかわらず、溶出性のpH依存性を解消することができた。更に、pH5試験溶液では、溶解度がpH3の時と比較して3.5%まで低下しているにもかかわらず、試験開始15分後の溶出率が70%を超え、30分後の溶出率が80%を超えるという、酸性溶液条件下から大きく低下することが無い速やかな溶出性が確保されていることが確認された。経口投与により提供される医薬品は、主たる吸収部位である小腸における溶出性並びに溶解性の確保が、当該医薬のバイオアベイラビリティを確保するために重要である。すなわち、小腸におけるpH環境における溶出性の確保が重要であり、ゲフィチニブを有効成分とする医薬の場合、pH5で試験開始15分後の溶出率が70%以上であり、30分後の溶出率が80%以上である溶出性を示すことが大事である。本発明の医薬製剤は、溶出性のpH依存性が緩和され、消化管内環境における溶出性に差異が生じない優れた特性の医薬製剤を提供することができた。

Claims (10)

  1. ゲフィチニブ又はその医薬的に許容な塩である薬剤(A)、
    pH5以下の水溶液に対する溶解度が40%(w/w)以上を有し、20%(w/w)溶液の23℃における粘度が1000mPa・s以下で、可塑性を示す水溶性共重合体(B)、
    を含有する医薬組成物。
  2. 水溶性共重合体(B)が、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリ(ビニルアルコール−(メタ)アクリレート)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アルキル(メタ)アクリレート)共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 薬剤(A)に対する水溶性共重合体(B)の質量含有比が、(A):(B)=1:0.01〜0.1(w/w)である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 水溶性共重合体(B)がポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体である、請求項1〜3の何れか一項に記載の医薬組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の医薬組成物が錠剤であって、
    (1)薬剤(A)を含有する内核と、
    (2)水溶性共重合体(B)を含有する、前記内核を被覆するコーティング層、
    を包含する医薬錠剤。
  6. 900mLのpH1〜5の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、15分後のゲフィチニブの溶出率が70%以上であり、30分後のゲフィチニブの溶出率が80%以上である、請求項5に記載の医薬錠剤。
  7. 900mLのpH5の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、15分後のゲフィチニブの溶出率が70%以上であり、30分後のゲフィチニブの溶出率が80%以上である、請求項5に記載の医薬錠剤。
  8. 前記薬剤を含有する内核は、結合剤及び崩壊剤を含有し、
    結合剤及び崩壊剤の含有量質量比率が、1〜5:1である、請求項5〜7の何れか一項に記載の医薬錠剤。
  9. 結合剤が、前記内核における含有率が5質量%以上30質量%以下である、請求項8に記載の医薬錠剤。
  10. 崩壊剤が、前記内核における含有率が5質量%以上30質量%以下である、請求項8又は9に記載の医薬錠剤。

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