JP2018002617A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の口腔内での滞留性が優れる口腔用組成物を提供する。【解決手段】(A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩を配合した口腔用組成物に、(B)キサンタンガムを0.6〜1.5質量%、(C)カラギーナンを0.3〜1.5質量%、及び(D)ソルビトールを32〜50質量%配合してなり、(B)/(C)が質量比として1以上であることを特徴とする口腔用組成物。更に、(E)クエン酸及び/又はその塩を0.01〜5質量%配合した上記口腔用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の口腔内での滞留性が優れ、歯周病の予防又は抑制用として好適な口腔用組成物に関する。
歯磨き等のオーラルケア行動は、通常、数分間程度であり、時間があまり長くなく、しかも、使用後のすすぎや唾液によって洗い流されてしまうため、歯磨剤等の口腔用製剤では、口腔内で薬効成分等の配合成分が作用する時間が短いという問題点があった。歯周病予防として歯茎に作用させる口腔用製剤を考えたときに、薬効成分が長時間に亘って口腔内に留まって滞留し、それによる薬効が持続的に発揮されることは、予防効果を高めることに繋がり更なる薬効の向上を期待できる。
一方、歯周病予防成分として、多様な生理活性を有し歯肉炎、歯周炎などの予防、抑制に有効なアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩が知られているが、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩は、口腔用製剤中での安定性や製剤変色、味などの課題があるだけでなく、口腔内での滞留性が十分とは言い難く改善の余地があった。
口腔用組成物におけるアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定化配合、効果向上に関する技術や、製剤の変色や味を改善する技術は提案されている(例えば特許文献1〜6)が、これら特許文献では、口腔内での滞留性に関する検討はなされておらず言及もない。
特開2015−110664号公報 特開2014−144989号公報 特開2001−302476号公報 特開2013−129600号公報 特開2004−51535号公報 特開2004−323488号公報
従って、口腔用組成物において、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の口腔内での滞留性を向上する技術の開発が望まれた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の口腔内での滞留性が優れる口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩配合の口腔用組成物の薬効、機能を高める策として滞留性の向上について鋭意検討を行った結果、(A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩を配合した口腔用組成物に、(B)キサンタンガム、(C)カラギーナン及び(D)ソルビトールを特定量で配合し、(B)成分と(C)成分との配合割合を示す(B)/(C)の質量比を特定値以上にすることによって、(A)成分の口腔内での滞留性が向上し、また、製剤の変色が経時においても防止され、製剤の容器からの適度な押し出し性、良好な外観が維持され、歯周病の予防又は抑制に好適に使用し得ることを知見し、本発明をなすに至った。
本発明では、(A)成分に(B)及び(C)成分を組み合わせると、(B)/(C)の質量比が特定値以上において、(A)成分による薬効が満足に発揮されると共に、(A)成分の口腔内、特に粘膜への滞留性が向上し、後述する実施例に示すように口腔用組成物を口腔粘膜モデルに適用し3分間経過後に水で7回洗浄しても(A)成分が満足に残存する優れた滞留性を与える。また、この場合、(A)成分に(B)成分を単独で特定量以上添加すると、製剤が経時において変色するという問題が生じ、この変色は(C)成分を添加するだけでは低減しなかったが、更に、(D)成分を特定量添加すると、前記変色を生じさせることなく(A)成分の滞留性を向上できる。これにより、(B)、(C)及び(D)成分を組み合わせることで、(A)成分の滞留性向上と製剤の変色防止を両立し、また、製剤の適度な固さ(押し出し性)、滑らかでツヤのある肌を保つ良好な外観(肌外観)も付与でき、不適切な水溶性高分子化合物等の粘結剤の配合では達成し得ない、特異的かつ格別顕著な作用効果を与える。
本発明では、更に、(E)クエン酸及び/又はその塩を配合することで、曵糸性が高まって容器から歯ブラシに出した際の切れが悪くなるといった使用性の低下を防止し、使用性をより改善でき、製剤変色をより抑制することもできる。
従って、本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩を配合した口腔用組成物に、
(B)キサンタンガムを0.6〜1.5質量%、
(C)カラギーナンを0.3〜1.5質量%、及び
(D)ソルビトールを32〜50質量%
配合してなり、(B)/(C)が質量比として1以上であることを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(B)成分と(C)成分との合計配合量が1〜3質量%である〔1〕記載の口腔用組成物。
〔3〕
(A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩の配合量が0.02〜1質量%である〔1〕又は〔2〕記載の口腔用組成物。
〔4〕
更に、(E)クエン酸及び/又はその塩を0.01〜5質量%配合した〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕
(B)成分と(C)成分との合計配合量が、組成物中に含まれる水溶性高分子物質の総配合量の80%以上である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
組成物の25℃におけるpHが7〜9.5である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
歯磨剤である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
本発明によれば、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の口腔内での滞留性が優れ、また、製剤の変色が経時においても防止され、製剤の容器からの適度な押し出し性、良好な外観(肌外観)が維持され、歯周病の予防又は抑制に好適な口腔用組成物を提供できる。本発明では、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩による薬効が満足に発揮されると共に滞留性が高まることで、薬効の向上、持続性向上によって歯周病の予防又は抑制効果の更なる向上も期待できる。
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、(A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩、(B)キサンタンガム、(C)カラギーナン、及び(D)ソルビトールを特定量で含有し、(B)/(C)が質量比として1以上である。
(A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩として、アスコルビン酸リン酸エステルは、アスコルビン酸の2,3,5,6位のいずれかの水酸基の1つ又は2つ以上がリン酸、ポリリン酸等の化合物のエステルとなったものであり、例えば、アスコルビン酸−2−リン酸エステル、アスコルビン酸−3−リン酸エステル、アスコルビン酸−6−リン酸エステル、アスコルビン酸−2−ポリリン酸エステル等が挙げられる。その塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられるが、特にナトリウム塩、マグネシウム塩、とりわけマグネシウム塩が好ましい。
特に、安定性の点からは、アスコルビン酸の2位又は3位の水酸基がリン酸エステル化された誘導体が好ましく、より好ましくはアスコルビン酸−2−リン酸エステルのマグネシウム塩やナトリウム塩である。
(A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩の配合量は、組成物全体の0.02〜1%(質量%、以下同様。)が好ましく、より好ましくは0.1〜0.6%である。配合量が多いほど薬効が高まって歯周病予防効果が向上するが、多く配合しすぎないほうが変色防止、製剤外観の維持には好適である。
本発明では、(B)キサンタンガム及び(C)カラギーナンを併用することによって、この併用系が滞留性向上剤として作用し、(A)成分の口腔内での滞留性が向上する。(B)キサンタンガムを欠くと、滞留性が劣り、製剤外観(肌)が劣り、(C)カラギーナンを欠くと、製剤が経時において変色し、変色を防止して滞留性を向上することができない。
(B)キサンタンガムは、滞留性向上剤であり、粘結剤としても作用する増粘多糖類である。
(B)キサンタンガムの配合量は、組成物全体の0.6〜1.5%であり、好ましくは0.7〜1.3%である。配合量が0.6%に満たないと、製剤変色は生じないものの、滞留性向上効果が発揮されず滞留性が劣る。また、製剤外観(肌)が悪くなる場合がある。1.5%を超えると、製剤変色を抑制できず経時において変色する。また、製剤の固さ(押し出し性)、外観(肌)に問題が生じたり、更には使用性(曳糸性)に問題が生じる場合がある。
(C)カラギーナンは、滞留性向上剤であり、粘結剤としても作用する増粘多糖類である。
(C)カラギーナンの配合量は、組成物全体の0.3〜1.5%であり、好ましくは0.4〜1.25,より好ましくは0.6〜1.2%である。配合量が0.3%に満たないと、滞留性向上効果が発揮されず滞留性が劣る。また、製剤外観(肌)が悪くなる場合がある。1.5%を超えると、製剤変色が発生し、製剤が固くなり押し出し性が劣り、外観(肌)が悪くなる。
(B)成分と(C)成分との合計配合量((B)+(C))は、組成物全体の1%以上、特に1〜3%が好ましく、より好ましくは1.2〜3、更に好ましくは1.3〜2.5%、とりわけ好ましくは1.3〜2.1%である。1%以上であると、優れた滞留性を十分に確保できる。3%以下であると、製剤の適度な固さ(押し出し性)を十分に維持できる。
更に、本発明では、(B)成分と(C)成分との配合割合を示す(B)/(C)は、質量比として1以上であり、好ましくは1〜4、より好ましくは1.1〜3である。(B)/(C)が1に満たないと、滞留性が劣り、製剤外観(肌)が悪くなる。4以下であると、滞留性がより優れ、また、十分に製剤の変色を防止し、適度な固さ(押し出し性)、外観(肌)を十分に維持することもできる。4を超えると、製剤変色を防止できない場合がある。なお、(B)キサンタンガムが(C)カラギーナンの配合量と同等又はそれ以上であることで滞留性が向上するものであり、(C)カラギーナンの配合比率を増やすと製剤外観(肌)が粗くなり外観が低下する。
(D)ソルビトールは、製剤変色の低減作用を奏する。
(D)ソルビトールの配合量は、組成物全体の32〜50%であり、好ましくは34〜45%である。32%に満たないと、製剤が変色し、50%を超えると、製剤の固さ(押し出し性)、外観(肌)が悪くなる。
更に、本発明において、上記(B)及び(C)成分以外の水溶性高分子物質は、本発明の効果を妨げない範囲内であれば配合してもよいが、多く配合しすぎないほうがよく、配合しなくてもよい。
その他の水溶性高分子物質として、具体的には、ポリアクリル酸又はその塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸又はその塩、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
これら水溶性高分子物質は、配合する場合はその配合量が、(B)及び(C)成分を含めた水溶性高分子物質の総量の20%未満、特に15%以下、とりわけ12%以下であることが好ましく、例えば無配合(0%)としても好ましい。
即ち、これら他の水溶性高分子物質を配合する場合は、(B)成分と(C)成分との合計配合量((B)+(C))が、組成物中に含まれる水溶性高分子物質の総配合量に対して80%以上、特に85%以上、とりわけ88%以上となる範囲内が好ましく、100%であってもよい。(B)及び(C)成分以外の水溶性高分子物質の配合比率が高すぎると、(B)及び(C)成分による滞留性向上効果が相殺されて十分に発揮されなくなってしまう可能性がある。また、製剤の粘度が上がり固くなってしまう場合がある。
本発明では、更に、(E)クエン酸及び/又はその塩を配合することが好ましい。(E)クエン酸及び/又はその塩を配合すると、使用性、特に曵糸性が改善し、変色もより改善する。
(E)クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
(E)クエン酸及び/又はその塩の配合量は、組成物全体の0.01〜5%が好ましく、0.05〜4%がより好ましく、特に好ましくは0.1〜2%である。配合量が多いほど、曵糸性が改善し使用性が向上し、変色がより改善するが、5%以下であると、製剤の固さ(押し出し性)を十分かつ適度に維持し、また、中和にかかるアルカリ剤量の増加を防止できる。
本発明において、組成物のpH(25℃)は7〜9.5が好ましく、より好ましくは7.5〜9、更に好ましくは8〜9である。pHが高いほど(A)成分の安定性が向上するが、pHが高すぎないほうが刺激の発現を防止するには好適である。
なお、pHはpH調整剤、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩などを添加して調整してもよい。
本発明の口腔用組成物は、特に練歯磨剤等の歯磨剤として好適に調製される。また、上記成分に加えて、その他の公知成分を本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて配合できる。例えば、練歯磨剤では、研磨剤、上記の(B)、(C)成分及び水溶性高分子物質以外の粘結剤、(D)成分以外の粘稠剤、界面活性剤、更に必要により甘味料、着色剤、防腐剤、香料、(A)成分以外の薬効成分などを配合し得る。
研磨剤としては、沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、第1リン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。研磨剤の配合量は、通常、2〜40%、特に10〜30%である。
粘結剤としては、ゲル化性シリカ、ゲル化性アルミニウムシリカ、ビーガム、ラポナイト等の無機粘結剤が挙げられる。なお、無機粘結剤は配合しなくてもよく、配合量は0〜8%、特に0.1〜6%が好ましい。
粘稠剤としては、キシリトール、マルチトール、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。粘稠剤の配合量は、通常、0〜20%、特に0〜10%である。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N−アシルサルコシン酸塩など、ノニオン性界面活性剤として糖脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等が用いられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム型、アルキルベンジルアンモニウム塩等、両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン型、ベタイン型、イミダゾリン型等が挙げられる。
界面活性剤の配合量は、通常、0〜10%、特に0.1〜5%である。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム等、着色剤としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン等が挙げられ、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はその塩などが挙げられる。
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料や、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−エチル−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができるが、これらに限定されるものではない。
また、配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、組成物中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、組成物中に0.1〜2%使用するのが好ましい。
薬効成分としては、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン性殺菌剤、抗炎症剤、デキストラナーゼ等の酵素、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素含有化合物、無機塩類、植物抽出物、歯石防止剤、歯垢防止剤などが挙げられる。なお、上記薬効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
[実施例、比較例]
表1に示す基本組成であって表2〜6に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨剤)を常法によって調製し、下記の(1)〜(4)に示す方法で評価した。なお、表6に示す組成の歯磨剤組成物については下記の(5)に示す方法で使用性(曵糸性)も評価した。結果を表2〜6に併記した。
なお、歯磨剤組成物のpH(25℃)は8.5に調整した。
(1)アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム(APM)の滞留性
歯磨剤組成物を水で3倍希釈した歯磨剤希釈液40μLを、直径10mmにパンチアウトして切り出しカバーグラスに貼り付けたハムスターチークポーチ(日本SLC(株)製 3週齢♂Syrian)に滴下した。3分間静置後、チークポーチを50mLビーカーに入れた50mLの水に約2秒間浸した後、カバーグラスごと垂直にして水気を切り、別のビーカーで同様の操作を行い、洗浄を繰り返した。7回洗浄した後にチークポーチに滞留したAPMをリン酸緩衝生理食塩水1mLで抽出し、液体クロマトグラフィーにより下記方法で定量した。
測定条件は、内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんしたカラムを用い、25mmol/Lリン酸二水素カリウム+5mmol/Lテトラブチルアンモニウム/アセトニトリル=91/9混液(容量比)を移動相に用い、カラム温度50℃、0.8mL/分の流量で、紫外吸光光度(測定波長240nm)での絶対検量線法により測定した。
APMの滞留量評価は、のせた量に対する残存量の割合(%)で評価し、下記基準に従って粘膜滞留性を評価した。
滞留性の評価基準
◎:滞留量が20%以上
○:滞留量が10%以上20%未満
×:滞留量が10%未満
(2)製剤の変色のなさ
ハミガキ用チューブに充填した歯磨剤組成物を、60℃にて1ヶ月間保存した。1ヵ月後にチューブから押し出し、製造時と変色が認められない室温保管品と色を比較し、下記基準に従って変色のなさを評価した。
変色のなさの評価基準
◎:変色がわからない
○:変色は若干あるが使用できる
×:強い変色が認められる
(3)製剤の押し出し性
口径8mmのラミネートチューブに歯磨剤組成物を充填し、チューブを人差し指、中指、薬指の3本と親指ではさんで歯磨剤組成物を約15cm押し出した。押し出した際の固さを官能評価し、下記基準に従って押し出し性を評価した。
押し出し性の評価基準
◎:抵抗なく押し出せる
○:やや抵抗はあるが充分に押し出せる
×:15cm押し出すのが困難である
(4)製剤の外観
口径8mmのラミネートチューブに充填した歯磨剤組成物を、紙上に15cm程度線状に押し出し、ペーストの外観(肌)を観察し、下記基準に従って外観を評価した。
外観の評価基準
◎:滑らかでツヤがある
○:ざらつき感がない
×:粒やしわなどが認められ、ざらつきがある
(5)使用性(曵糸性)
口径8mmのラミネートチューブに歯磨剤組成物を充填し、チューブから押し出して歯ブラシ上に約1g(1cm)載せた後、チューブを上方向に引いて歯ブラシと引き離した際の曳糸性(糸引き)を試験した。同時に、歯ブラシへの載せやすさも評価し、下記基準に従って曵糸性の総合評価を行った。
曵糸性の評価基準
◎:曳糸性が0.5cm未満であり、練り切れが良く、歯ブラシに載せやすい
○:0.5cm以上、1cm未満の曳糸性が認められるが歯ブラシに載せやすく、
使用上問題ない
△:1cm以上の曳糸性があり、官能的にやや歯ブラシへの載せにくさを感じる
×:1cm以上の曳糸性が認められ、かつ、官能的に歯ブラシに載せにくく実使用上
問題となる
Figure 2018002617
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Claims (7)

  1. (A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩を配合した口腔用組成物に、
    (B)キサンタンガムを0.6〜1.5質量%、
    (C)カラギーナンを0.3〜1.5質量%、及び
    (D)ソルビトールを32〜50質量%
    配合してなり、(B)/(C)が質量比として1以上であることを特徴とする口腔用組成物。
  2. (B)成分と(C)成分との合計配合量が1〜3質量%である請求項1記載の口腔用組成物。
  3. (A)アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩の配合量が0.02〜1質量%である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
  4. 更に、(E)クエン酸及び/又はその塩を0.01〜5質量%配合した請求項1〜3のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  5. (B)成分と(C)成分との合計配合量が、組成物中に含まれる水溶性高分子物質の総配合量の80%以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  6. 組成物の25℃におけるpHが7〜9.5である請求項1〜5のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  7. 歯磨剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
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