JP2018002503A - 多孔質炭素薄膜およびその製造方法 - Google Patents

多孔質炭素薄膜およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】バインダーレス構造で支持基板上に形成された多孔質炭素において、低抵抗化させる。【解決手段】支持基板1上に形成された多孔質炭素薄膜において、かさ密度が0.05〜1.7g/cm3であり、炭素の組成比>98at%であり、ラマン測定による黒鉛化度<3.0であり、2端子測定による体積抵抗率が10-2〜10-4Ωcmである。支持基板1上に形成された多孔質炭素薄膜2の製造方法において、鉄および炭素を含み、かつ、炭素の組成比が20〜80at%である炭素鉄薄膜20を支持基板1上に成膜する成膜工程と、炭素鉄薄膜20を真空中もしくは不活性ガス中で400〜600℃で熱処理する加熱工程と、炭素鉄薄膜20から鉄を除去して多孔質炭素薄膜2を得る除去工程とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、多孔質炭素薄膜およびその製造方法に関する。
従来より、2次電池、キャパシタ、燃料電池、色素増感太陽電池などの電気化学電極や薄膜センサなどに用いられる炭素薄膜として、多孔質炭素をバインダーとともに支持基板へ塗工した構造が用いられている(例えば特許文献1参照)。多孔質炭素としては一般に活性炭が用いられるが、より高性能な構造とするために多孔質のテンプレートを使った構造(例えば特許文献2、3、4、5参照)やポリマー相分離を使った構造(例えば特許文献6参照)を備える多孔質炭素が提案されている。
これらの特許文献では、バインダーを用いて支持基板上に多孔質炭素を形成しているが、バインダーによって体積が増大してしまう上に電気抵抗が大きくなる。このため、支持基板上にバインダーレスで直接多孔質炭素を形成することが望まれている。
一方、カーボンナノチューブを液体に分散して支持基板上にコーティングする構造(特許文献7参照)、あるいは垂直配向したカーボンナノチューブ膜を支持基板に転写した構造(特許文献8参照)を採用し、バインダーレス構造で低抵抗化を図る薄膜構造が提案されている。
特開2000−82467号公報 特開2015−98417号公報 特開2015−57373号公報 特開2009−221050号公報 特開2014−218603号公報 特表2005−500229号公報 特表2014−529559号公報 特開2014−116117号公報
特許文献1ないし6に記載の構成では、多孔質炭素類は炭素源として有機化合物を用いている。このため、仮にバインダーレスで直接支持基板に形成しようとすると、有機化合物が炭化する際に体積収縮が大きく、剥離やクラックが発生する。また、有機化合物を炭化するために800〜1200℃といった高温での熱処理が必要になり、使用できる支持基板が制約されてしまう。
また、特許文献7、8では、カーボンナノチューブを用いることで、バインダーレス構造および低抵抗化を図ることができるが、カーボンナノチューブが高価な事や特許文献1ないし6に記載の材料に比べ大きな表面積を得られない。
本発明は上記点に鑑み、バインダーレス構造で支持基板上に形成された多孔質炭素において、低抵抗化させることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、支持基板(1)上に形成された多孔質炭素薄膜において、かさ密度が0.05〜1.7g/cm3であり、炭素の組成比>98at%であり、ラマン測定による黒鉛化度<3.0であり、2端子測定による体積抵抗率が10-2〜10-4Ωcmであることを特徴とする。
これにより、炭素の組成比が高く、低抵抗な多孔質炭素薄膜を提供することができる。
また、本発明の請求項3に記載の発明は、支持基板(1)上に形成された多孔質炭素薄膜(2)の製造方法において、鉄および炭素を含み、かつ、炭素の組成比が20〜80at%である炭素鉄薄膜(20)を支持基板上に成膜する成膜工程と、炭素鉄薄膜を真空中もしくは不活性ガス中で400〜600℃で熱処理する加熱工程と、炭素鉄薄膜から鉄を除去して多孔質炭素薄膜を得る除去工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、支持基板上に炭素鉄薄膜を成膜し、熱処理で炭素と鉄を相分離させた後、鉄を除去することで、バインダーを用いることなく支持基板上に多孔質炭素薄膜を形成することができる。
また、多孔質炭素の炭素源として炭素を用いることで、有機化合物を炭化させるための高温熱処理が不要であり、使用可能な支持基板の種類を増加させることができる。
また、加熱工程で、炭素鉄薄膜を400〜600℃で熱処理することで、炭素と鉄を数〜数十nmの大きさで相分離させることができる。その後、炭素鉄薄膜から鉄を除去することで、数nm〜数十nmの大きさの空孔が多数形成された多孔質炭素薄膜を得ることができる。
また、鉄を含んだ炭素鉄薄膜を熱処理することで、多孔質炭素薄膜の黒鉛化度(ラマン測定によるR値)を3.0よりも小さくすることができ、この結果、多孔質炭素薄膜の抵抗値を低くすることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の実施形態に係る多孔質炭素薄膜を示す断面図である。 多孔質炭素薄膜の製造工程を示す図である。 加熱工程後の炭素鉄薄膜のSEM画像である。 加熱工程後の炭素鉄薄膜のTEM画像である。 除去工程後の多孔質炭素薄膜のTEM画像である。 多孔質炭素薄膜の細孔分布を示す図である。 多孔質炭素薄膜のラマンスペクトルを示す図である。 比較例1の加熱工程後の炭素鉄薄膜のSEM画像である。 比較例2の炭素薄膜のラマンスペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、支持基板1上に多孔質炭素薄膜2が形成されている。本実施形態の多孔質炭素薄膜2は、比表面積>600m2/gであり、黒鉛化度(ラマン測定によるR値)<3.0であり、炭素の組成比>98at%であり、2端子測定による体積抵抗率は1×10-2〜1×10-4Ωcmである。なお、本明細書では、黒鉛化度として、黒鉛構造由来のGバンド(1580cm-1付近のピーク)と、黒鉛構造の乱れや欠陥に起因するDバンド(1330cm-1付近のピーク)の2つのラマン分光バンドの強度比であるR値(=ID/IG)を用いている。
多孔質炭素薄膜2には多数の空孔が形成された多孔質体として構成されている。本実施形態の多孔質炭素薄膜2は、かさ密度が0.05〜1.7g/cm3であり、空孔サイズは数nm〜数十nmの分布を持っている。
支持基板1としては、例えば熱酸化膜付シリコンウェハ、アルミ箔もしくはプラスチックシート等を用いることができる。熱酸化膜付シリコンウェハは、多孔質炭素薄膜2を半導体デバイス等に適用する場合に好適である。アルミ箔は、多孔質炭素薄膜2を電池やキャパシタ等に適用する場合に好適である。プラスチックシートは、多孔質炭素薄膜2をフレキシブルセンサやウェアラブルセンサ等に適用する場合に好適である。
次に、本実施形態の多孔質炭素薄膜2の製造方法を図2に基づいて説明する。まず、支持基板1上に鉄と炭素からなる炭素鉄薄膜20を成膜する成膜工程を行う。炭素鉄薄膜20には、炭素が20〜80at%含まれている。炭素鉄薄膜20の成膜は、スパッタリングによって行うことができる。成膜工程では、炭素と鉄を同時に成膜してもよく、炭素と鉄を交互に成膜してもよい。
次に、支持基板1および炭素鉄薄膜20を真空中または不活性ガス雰囲気で加熱する加熱工程を行う。加熱工程は、400〜600℃で10〜30分間行う。この加熱工程によって、炭素鉄薄膜20中の炭素と鉄を数〜数十nmの大きさで相分離させることができる。
次に、炭素鉄薄膜20から鉄を除去する除去工程を行う。除去工程は、酸を用いたウェットエッチングあるいは電気化学的エッチングにより行うことができる。炭素鉄薄膜20から鉄を除去することで、鉄が存在していた部分に空孔が形成される。これにより、支持基板1上に形成された多孔質炭素薄膜2を得ることができる。
以上説明した本実施形態によれば、支持基板1上に炭素と鉄からなる炭素鉄薄膜20を成膜し、熱処理で炭素と鉄を相分離させた後、エッチングで鉄を除去することで、バインダーを用いることなく支持基板1上に多孔質炭素薄膜2を形成することができる。
また、本実施形態では、多孔質炭素の炭素源として炭素を用いている。このため、有機化合物を炭化させるための高温熱処理が不要であり、使用可能な支持基板1の種類を増加させることができる。
また、本実施形態では、炭素鉄薄膜20を400〜600℃で熱処理することで、炭素と鉄を数〜数十nmの大きさで相分離させることができる。その後、炭素鉄薄膜20から鉄を除去することで、数nm〜数十nmの大きさの空孔が多数形成された多孔質炭素薄膜2を得ることができる。
また、本実施形態では、鉄を含んだ炭素鉄薄膜20を熱処理することで、多孔質炭素薄膜2の黒鉛化度(ラマン測定によるR値)を3.0よりも小さくすることができ、この結果、多孔質炭素薄膜2の抵抗値を低くすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、支持基板1として熱酸化膜を形成したシリコンを用いた。
まず、成膜工程では、スパッタ装置により鉄と炭素をメタンを10%含むアルゴンガス中で50nm成膜した。この炭素鉄薄膜20の炭素組成比は、XPS測定から37at%であった。
次に、加熱工程では、炭素鉄薄膜20を成膜した支持基板1を真空熱処理炉に導入し、1×10-5Pa以下の真空度で加熱した。
図3は、50nm厚の炭素鉄薄膜20を500℃で30分間熱処理を行った後の炭素鉄薄膜20の表面構成を示すSEM画像である。図3の画像では、濃淡が薄い部分(つまり、白っぽい部分)が鉄を示し、濃淡が濃い部分(つまり、黒っぽい部分)が炭素を示している。図3に示すように、熱処理後の炭素鉄薄膜20の表面には、数十nmサイズの鉄の凝集体が密に形成されている事が分かる。
図4は、50nm厚の炭素鉄薄膜20を真空中で550℃20分間熱処理を行った後の炭素鉄薄膜20の断面構造を示すTEM画像である。図4では、濃淡が濃い部分(つまり、黒っぽい部分)が鉄を示し、濃淡が薄い部分(つまり、白っぽい部分)が炭素を示している。図4に示すように、炭素鉄薄膜20の断面には、数十nm程度の大きさで鉄が凝集し、その間をグラファイト質の炭素が埋めている相分離構造である事が分かる。
次に、除去工程では、炭素鉄薄膜20を1/10に希釈した硝酸中に室温30分間浸漬し、酸を用いたウェットエッチングで鉄を除去した。
図5は、鉄をエッチングにより除去した後の多孔質炭素薄膜2の断面構造を示すTEM像である。図5に示すように、鉄を除去した後の多孔質炭素薄膜2では、数nm〜数十nmサイズの空孔が多数形成されている事が分かる。
図6は、実施例1で得られた多孔質炭素薄膜2の空孔分布をクリプトン吸着法によって測定した結果を示している。多孔質炭素薄膜2の塗布面積は9cm2とした。
クリプトン吸着法による計算で得られた表面積倍率は37倍であり、比表面積は約600m2/gであった。ただし、クリプトン吸着法では10nm以上のサイズの細孔を測定することができないため、図5の断面TEM像と照らし合わせると、多孔質炭素薄膜2の実際の比表面積は約600m2/gよりも大きいと推定される。
また、図6に示すクリプトン吸着法による測定結果から、多孔質炭素薄膜2には2nm以上の空孔が形成されていることが分かる。さらに、図5に示す断面TEM画像から、多孔質炭素薄膜2には30nm程度の空孔が形成されていることが確認できる。つまり、実施例1の多孔質炭素薄膜2には、少なくとも2〜30nmの空孔が形成されている。
図7は、実施例1で得られた多孔質炭素薄膜2をラマン分光測定によって測定したラマンスペクトルを示している。図7に示すように、黒鉛構造の乱れや欠陥に起因する1330cm-1付近および黒鉛構造由来の1580cm-1付近にピークが見られる。図7に基づいて得られた黒鉛化度(ラマン測定によるR値)は2.6であった。
次に、実施例1で得られた多孔質炭素薄膜2の両端にAgペーストで電極を取り付けて抵抗を測定し、体積抵抗率に換算した。この結果得られた体積抵抗率は、試料間でばらつきはあるものの約1×10-2〜1×10-4Ωcmであった。
また、実施例1で得られた多孔質炭素薄膜2の組成をX線光電分光法(XPS)による測定で分析した。この結果、多孔質炭素薄膜2から鉄は検出されず、98at%以上が炭素であり、炭素の組成比が極めて高い多孔質炭素薄膜2を得ることができた。多孔質炭素薄膜2において、炭素以外の組成としては、多孔質炭素薄膜2の表面に吸着された酸化物に由来する酸素が検出されたものと推測される。
(実施例2)
実施例2では、上記実施例1に対して炭素鉄薄膜20の炭素含有量を異ならせている。具体的には、支持基板1として熱酸化膜を形成したシリコンを用い、スパッタ装置によるスパッタ条件を変更することで、炭素鉄薄膜20の炭素組成比を20〜80at%の範囲内で変化させた。炭素鉄薄膜20の炭素含有量以外は、上記実施例1と同様の条件で成膜工程、加熱工程および除去工程を行った。
その結果、炭素含有量を変化させた何れの炭素鉄薄膜20においても、図3と同様なSEM像と図7と同様なラマンスペクトルを得ることができた。つまり、炭素鉄薄膜20の炭素組成比は、少なくとも20〜80at%の範囲内であれば、所望の多孔質炭素薄膜2を得ることができる。
(実施例3)
実施例3では、上記実施例1に対して炭素鉄薄膜20の構成を異ならせている。具体的には、支持基板1として熱酸化膜を形成したシリコンを用い、鉄と炭素を交互にスパッタすることで、炭素薄膜と鉄薄膜が交互に積層された炭素鉄薄膜20を形成した。炭素薄膜と鉄薄膜は、それぞれ1nm程度の厚みとした。炭素鉄薄膜20の構成以外は、上記実施例1と同様の条件で成膜工程、加熱工程および除去工程を行った。
その結果、炭素含有量を変化させた何れの炭素鉄薄膜20においても、図3と同様なSEM像と図7と同様なラマンスペクトルを得ることができた。つまり、炭素薄膜と鉄薄膜が交互に積層された炭素鉄薄膜20を用いた場合であっても、熱処理によって炭素と鉄を数〜数十nmの大きさで相分離させることができ、所望の多孔質炭素薄膜2を得ることができる。
(実施例4)
実施例4では、上記実施例1に対して加熱工程の加熱条件を異ならせている。具体的には、加熱工程の熱処理雰囲気を大気圧の窒素雰囲気とし、加熱温度を400℃とした。加熱工程の加熱条件以外は、上記実施例1と同様の条件で成膜工程、加熱工程および除去工程を行った。
その結果、多孔質炭素薄膜2の膜厚が一部減少したが、図7と同様なラマンスペクトルを得ることができた。つまり、熱処理を窒素を用いた不活性雰囲気下の400℃で行った場合においても、真空中で熱処理した場合と同様、所望の多孔質炭素薄膜2を得ることができる。
(実施例5)
実施例5では、上記実施例1に対して支持基板1の種類を異ならせている。具体的には、支持基板1として市販のアルミフォイルを用い、加熱工程での熱処理温度を550℃とした。支持基板1の種類以外は、上記実施例1と同様の条件で成膜工程、加熱工程および除去工程を行った。
熱処理後の炭素鉄薄膜20の表面をSEM画像により観察した結果、支持基板1として用いたアルミフォイルの圧延痕の影響で凹凸が現れているものの図5と同様な鉄の微小凝集体が得られた。また、鉄を除去した後の多孔質炭素薄膜2では、図7と同様なラマンスペクトルが得られた。つまり、支持基板1としてアルミフォイルを用いた場合においても、熱酸化膜付シリコンウェハを用いた場合と同様、所望の多孔質炭素薄膜2を得ることができる。
(実施例6)
実施例6では、上記実施例4に対して、除去工程のエッチングを異ならせている。具体的には、実施例4で作製した炭素鉄薄膜20を希塩酸水溶液中にてPt電極を対向させて配置した後、炭素鉄薄膜20とPt電極間に1.2Vの直流電圧を印加し、鉄を電気化学的エッチングによって除去した。電気化学的エッチングで電流が十分に減少するまで待った後、水洗乾燥することでアルミフォイルからなる支持基板1上に形成された多孔質炭素薄膜2を得た。
除去工程後の多孔質炭素薄膜2をラマン測定した結果、図7と同様なラマンスペクトルが得られた。つまり、電気化学的エッチングにより炭素鉄薄膜20から鉄を除去した場合においても、ウェットエッチングを用いた場合と同様、所望の多孔質炭素薄膜2を得ることができる。
(実施例7)
実施例7では、上記実施例4に対して、除去工程のエッチングを異ならせている。具体的には、実施例4で作製した炭素鉄薄膜20および支持基板1を1/10に希釈した硝酸水溶液中に浸漬し、炭素鉄薄膜20の鉄と同時に支持基板1のアルミフォイルもエッチングにより除去した。
エッチング後、硝酸水溶液から多孔質炭素薄膜2のみを取り出し、支持基板1として用いるPETフィルム上に転写した。多孔質炭素薄膜2の転写後、ラマン測定した結果、図7と同様なスペクトルが得られた。つまり、支持基板1としてプラスチックシートであるPETフィルムを用いた場合においても、熱酸化膜付シリコンウェハやアルミフォイルを用いた場合と同様、所望の多孔質炭素薄膜2を得ることができる。
(比較例1)
比較例1では、加熱工程の熱処理温度を700℃とした他は、上記実施例1と同じ条件で成膜工程、加熱工程および除去工程を行った。
比較例1の加熱工程後の炭素鉄薄膜20の表面のSEM画像を図8に示す。図5に示した実施例1のSEM画像と比べ、鉄が大きく凝集し、微細な相分離構造ができていない事が分かる。このため、比較例1の炭素鉄薄膜20からエッチングによって鉄を除去したとしても、所望の大きさの空孔を有する多孔質体を得ることができない。つまり、熱処理温度が高い場合には、所望の多孔質炭素薄膜2を得ることができない。
(比較例2)
比較例2では、加熱工程を行わない他は、上記実施例1同じ条件で成膜工程および除去工程を行った。
加熱工程を行わないで得られた炭素薄膜の表面をラマン測定した結果を図9に示す。加熱工程を行わない炭素薄膜には、黒鉛を示すGバンドのピーク(1580cm-1付近のピーク)は現れなかった。これは、炭素が黒鉛化しておらずアモルファス状態のままであり、得られた炭素薄膜の電気抵抗も大きくなっていると考えられる。つまり、加熱工程を行わない場合には、所望の多孔質炭素薄膜2を得ることができない。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態では、スパッタリングによって支持基板2上に炭素鉄薄膜20を成膜するように構成したが、これに限らず、他の方法によって支持基板2上に炭素鉄薄膜20を成膜するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、炭素鉄薄膜20から鉄を除去する除去工程において、酸を用いたウェットエッチングまたは電気化学的エッチングを用いたが、エッチング以外の方法によって鉄を除去するようにしてもよい。例えば、真空中で塩素ガスを導入することで炭素鉄薄膜20から鉄を除去するようにしてもよい。
また、上記実施例7では、炭素鉄薄膜20の鉄と同時に支持基板1であるアルミフォイルもエッチングにより除去した後、多孔質炭素薄膜2を支持基板1として用いるPETフィルム上に転写したが、PETフィルムのようなプラスチックシートからなる支持基板1上に炭素鉄薄膜20を形成し、熱処理後に炭素鉄薄膜20から鉄を除去するようにしてもよい。この場合は、加熱工程において、支持基板1の温度が上昇しすぎないように熱処理を行えばよい。
1 支持基板
2 多孔質炭素薄膜

Claims (4)

  1. 支持基板(1)上に形成された多孔質炭素薄膜において、
    かさ密度が0.05〜1.7g/cm3であり、炭素の組成比>98at%であり、ラマン測定による黒鉛化度<3.0であり、2端子測定による体積抵抗率が10-2〜10-4Ωcmである多孔質炭素薄膜。
  2. 前記支持基板は、熱酸化膜付シリコンウェハ、アルミ箔もしくはプラスチックシートのいずれかである請求項1に記載の多孔質炭素薄膜。
  3. 鉄および炭素を含み、かつ、炭素の組成比が20〜80at%である炭素鉄薄膜(20)を支持基板(1)上に成膜する成膜工程と、
    前記炭素鉄薄膜を真空中もしくは不活性ガス中で400〜600℃で熱処理する加熱工程と、
    前記炭素鉄薄膜から鉄を除去して多孔質炭素薄膜を得る除去工程とを備える多孔質炭素薄膜の製造方法。
  4. 前記除去工程では、酸を用いたウェットエッチングもしくは電気化学的エッチングによって、前記炭素鉄薄膜から鉄を除去する請求項3に記載の多孔質炭素薄膜の製造方法。
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