JP2018002501A - 管状脆性部材の分断方法並びに分断装置 - Google Patents
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すなわち、基板に対し透過性を有する波長のレーザを用いて、そのパルスレーザ光の繰り返し周波数やパルス幅が加工に適した短パルスレーザ光となるように調整し、基板内部に集光点を合わせて照射することでアブレーションを生じさせることなく改質層を形成することができる。このレーザ加工技術では、調整されたパルス幅を有する短パルスレーザ光をそのまま照射するのではなく、個々のパルスを複数(例えば2〜10個)の微細パルス幅からなるバーストパルス光(バースト列)に分割された状態で発振させて照射するようにしている。
そして、シリコン基板に対し透過性を有する波長(例えば1064nm)であって改質に適したパルス幅のパルスレーザ光を、このような複数の微細パルス幅からなるバーストパルス光として発振させ、集光器によりバーストパルス光の集光点を基板の厚み方向中央部に合わせ、シリコン基板に「バーストモード」として照射を行う。これにより、被加工物におけるレーザ入射面と反対面側への抜け光が反対面へ与えるダメージを抑制することができるようになり、この反対面上に予め形成されているデバイスへのダメージを抑制できることが開示されている。
同文献によれば、特許文献3では超高速パルスレーザ光のバーストからなる入射レーザビームが「集束レンズ」によって基板内部で集束されて、基板内部で数百ミクロン程度のフィラメントを形成できることが開示されているとしている。そして、「集束レンズ」に代えて、「分散集束要素」(例えば分散焦点を生成するように形成された1つまたは複数のレンズ)を使用することで、入射レーザビームは集束レーザビームが初期外部ウエスト(すなわち基板の外側)に集束され、かつ、加工対象基板の内部で弱く集束(0040、0041欄)され、この分散集束構成により、制御された形状特性とミリメートル規模の長さとを有する「フィラメント」が形成できることが記載されている。
一方、特許文献4には、複雑なスプライン表面を備える材料の加工に際し、回転ステージとZ位置との制御を組み合わせた複雑な制御を行うことが開示されている。
ところで、フィラメントを利用した同様の加工で加工対象がガラス管(管状脆性部材)の場合に、フィラメントの位置を一定の深さにして照射するには、ガラス管を回転させながら全周面をスキャンする必要がある。そのため装置が複雑になるとともに、肉薄で細管のガラス管の場合には熱変形等の不具合が発生しやすいといった問題点があった。
本発明の分断方法においては、前記収差レーザビームの最も集束する最集束部が前記管状脆性部材の管壁の内部に位置するようにスキャンすることが好ましい。
ここで、収差レーザビームの最集束部は、収差レーザビームの照射方向に沿って、ビームプロファイル(強度分布)を測定したときに、ビームプロファイルのピークパワーが最も高くなる位置(収差レーザビームの照射方向に沿った位置)を意味する。
本発明の分断装置においては、前記収差付集光光学系が、前記収差レーザビームの最も集束する最集束部が前記管状脆性部材の集光光学系側の管壁の内部に位置する光学系であることが好ましい。
また、本発明において、前記収差付集光光学部材は、平凸レンズとしてもよい。この場合、レーザビームを前記平凸レンズの平面側から入射させることにより、凸面側から収差レーザビームを出射させることができる。
さらに、本発明において、前記管状脆性部材がガラス管またはサファイア管であり、前記パルスレーザ光のレーザ光源が波長0.7〜2.5μm(例えば、Nd:YAGレーザの基本波)の近赤外レーザであり、かつ、パルス幅が100ピコ秒以下の超短パルスレーザ光のバーストを用いるようにしてもよい。
本発明は、図1に示すように、レーザ出力装置1からパルスレーザ光のバースト列を含むレーザビームL1を出射し、このレーザビームL1を、収差付集光光学部材(具体的には後述する平凸レンズ2)を透過させて(焦点が分散する)収差レーザビームL2を生成させる収差付集光光学系を備える。
パルスレーザ光のバースト列を出射可能なレーザ出力装置1については、例えば特表2012−515450号公報に開示されており、ここでは公知のレーザ出力装置を利用してパルスレーザ光のバースト列を出射するものとし、詳細については説明を省略する。
本実験で用いたレーザ(パルスレーザ光のバースト列)の条件は次の通りである。
レーザ出力 : 19.4W
繰り返し周波数 : 32.5kHz
パルス幅 : 15ピコ秒
パルス間隔(レーザパルスの基板上での照射スポットの照射間隔): 4μm
バースト : 4パルス
パルスエネルギー: 155μJ/1バースト
走査速度 : 130mm/s
上記の加工条件で照射した結果、加工対象物の被照射面から内部深くまで加工することができた。加工深さや加工状態は、上記したレーザ出力、繰り返し周波数、パルス幅、バースト数やパルス間隔、収差等の調整により容易にコントロールすることができる。
なお、ここでいう「フルカット」とは、クラックKがガラス管A外面から厚み方向に貫通して内面に到達した状態をいう。
なお、収差レーザビームL2の最集束部を、ガラス管A内面の接線上または接線のわずかに上側に位置合わせしてスキャンした際に、次工程での分断に要する外力が最も小さくなり、容易に分断することができた。発明者による実験では、最集束部のスキャン位置に、他の部分との分断面の状態の違いが確認された。
本実施形態では直径5〜100mm、厚み0.3〜2mmのガラス管を問題なく分断できることが確認された。
なお、ブレイク部材5は、チャック部材によりガラス管Aの端部を掴んで下方に折り曲げるような構成としてもよい。
例えば、上記の実施形態ではガラス管を例にして説明したが、例えば、1064nmの近赤外レーザ光源を用いた場合にはサファイア管についても同様に分断することができる。また、加工対象物の材料に応じて、その材料に対し透過性を有するレーザ光源を用いるようにすれば、これら以外の材料についても本発明を適用することができる。
B 仮想直線
F 高エネルギー分布領域
K クラック
L1 レーザビーム
L2 収差レーザビーム
1 レーザ出力装置
2 平凸レンズ(収差付集光光学部材)
3 ステージ
4 押さえ部材
5 ブレイク部材
Claims (5)
- 管状脆性部材の分断方法であって、
パルスレーザ光のバーストを含むレーザビームを、収差を生じさせる収差付集光光学部材を透過させて収差レーザビームを生成し、
前記収差レーザビームが前記管状脆性部材の周面の一部を横断するように、前記管状脆性部材の軸心と交差する方向にスキャンして周面の一部にクラックを生じさせ、
前記管状脆性部材を前記クラックに沿って外力を加えて分断する管状脆性部材の分断方法。 - 前記管状脆性部材のスキャン時に、前記管状脆性部材の内面近傍を内面に対して接線方向に引いた仮想直線に沿って、前記収差レーザビームの最集束部を直線移動させるようにした請求項1に記載の管状脆性部材の分断方法。
- 前記収差付集光光学部材が、平凸レンズである請求項1または請求項2に記載の管状脆性部材の分断方法。
- 前記管状脆性部材がガラス管またはサファイア管であり、前記パルスレーザ光のレーザ光源が波長0.7〜2.5μmの近赤外レーザであり、かつ、パルス幅が100ピコ秒以下の超短パルスレーザ光のバーストを用いる請求項1〜3のいずれかに記載の管状脆性部材の分断方法。
- 管状脆性部材を載置するステージと、
パルスレーザ光のバーストを含んだレーザビームを出射するレーザ出力装置と、
前記レーザ出力装置からのレーザビームを、収差を生じさせる収差付集光光学部材を介して収差レーザビームを生成する収差付集光光学系と、
前記収差レーザビームを、前記管状脆性部材の軸心と交差する方向に相対的に移動させて前記管状脆性部材の周面の一部にクラックを生じさせる移動機構と、
前記管状脆性部材を前記クラックに沿って分断するブレイク部材とからなる管状脆性部材の分断装置。
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