JP2018001069A - 電解水素水生成方法及び電解水素水生成装置 - Google Patents

電解水素水生成方法及び電解水素水生成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】原水に含まれる空気を脱気し水素溶解に障害となる含有空気を可及的に放逐し、陰極板より生成する水素を原水に溶存しやすくして水素水の溶存水素濃度を従来に比べて格段に向上する。【解決手段】原水に超音波振動を付与した後に電気分解処理を行うこととした。また、電気分解処理中においても原水に対して超音波振動を付与することや、超音波振動処理と電気分解処理とは、卓上型のポットに収納された原水に対して行いポットから水素水を注水可能としたことにも特徴を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、電解水素水の生成方法、及び、好みの卓上ケースやポットなどに利用できる電解水素水生成装置に関する。
従来、所定の容器の中で電気分解により水素水を生成する技術として特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1には、圧力容器内の空気を真空ポンプで除き、空気成分が除かれた圧力容器内に水素を充填して加圧状態となし、その圧のまま原水をシャワー状に供給して原水に多量の水素を溶解する技術が開示されている。しかし、このような製造方法は工場では実施可能であるがポットなどで手軽に水素水を製造して日常生活の中で水素水を摂取することは困難であった。
また、特許文献2では、ポット容器の中に一対の板状電極を収納し、これら板状電極に給電するために電池を直流電源を容器上部に設け、水を電気分解することにより、アルカリイオン水だけでなく酸性水も取り出せるアルカリイオン整水器が開示されている。同引用文献2の段落〔0020〕に記載の通り、電気分解の際、陰極からは、水素ガスが発生し、アルカリイオン水には、水素が溶存されることになる。この際、陽極からは、酸素ガスが発生し、酸性水には、酸素が通常の水よりも多く溶存することになる。
特許文献3には、ポット容器の下部に水の電気分解用の電極部を設け、その上部に水道水を満たす縦型の水槽室を設けている。電極をポット容器下部に設けたことにより、水素ガスを発生する陰極と水面までの距離を最大化し、水素ガスが浮き上がるに従って、水に溶解する時間を十分に確保することにより、水素の溶存を高めている。また、陽極から発生する酸素ガス(O2)とオゾンガス(O3)は、生成ガス待機室で、大きな体積になったのち、大きな気泡として水面まで素早く浮上するため、水に溶解することはないとしている。
特許第3606466号 特開平11−319829号公報 特許第5514140号公報
近年、水素を多く含んだ「水素水」に注目が集まっており、飲料工場では、特許文献1に開示されているような方法で水素水を生成し、また、家庭等では、特許文献2、3のような簡易な方法で、水素水の生成が可能である。
しかし、特許文献1による水素水の生成と、特許文献2,3による水素水の生成では、水素が水に溶解する速度に大きな違いがある。以下、その内容を説明する。
水には、通常、空気の主要成分である窒素と酸素が溶解している、この窒素と酸素の水に対する溶解度、および、水素の水に対する溶解度は、下表の通りである。
表は、1気圧の気体が、0℃または20℃の時に水1[L]中に溶解する気体の質量[mg]を示したものである。たとえば、20℃の水1[L]の水に、1気圧の水素が接するときの水素の溶解度は、1.6[mg/L]である。水1[L]は1000[g]であるため、溶存する水素の質量と、水の質量とを百万分率で表して、1.6[mg/L]を1.6[ppm]と表記することもある。
上記の気体の溶解度は、それぞれの気体が、他の気体が混じることなく純粋な状態で、水に接したときの、溶解量を示している。混合気体では、各成分の溶解度は、それぞれの分圧に比例した溶解量となる。
たとえば、空気の組成は、窒素、酸素を主成分としており、窒素78%、酸素21%となっている。よって、1気圧の空気が、20℃の水に接しているときは、
窒素:20mg/L×0.78=16mg/L
酸素:44mg/L×0.21=9.2mg/L
が溶解していることになる。
この水が、特許文献1のように、空気を除去して水素ガスを充填した圧力容器中に、シャワー状に散水された場合は、窒素、酸素の分圧はゼロであるから、溶解している窒素、酸素は、水から排出され、水素のみが溶解することになる。
この、窒素、酸素の溶存から水素溶存への置換は、特許文献1の場合は、瞬時に行われる。なぜならば、水が、水素ガス中に、シャワー状に散水されるため、水が水素ガスに接する面積が非常に大きいからである。
一方、特許文献2、3の場合は、電気分解電極の陰極から発生する水素ガスが、気泡となって水中を浮き上がることになる。この際、水素気泡の周囲の水は、水素ガス100%と接することから、特許文献1の場合と同様に、窒素、酸素が水から排出され、水素が溶解することになるが、水が、水素ガスに接する面積は、特許文献1と比べると、非常に少ないことから、そのプロセスは、ゆっくりと行われることになる。
そのため、特許文献2、3の場合には、飲用水素水を準備するための、数十分といった限られた時間内に、水素溶存量を十分に高められないという共通の欠点があった。
また、特許文献2では、水面に近い部分にまで、電気分解電極が設けられており、水面に近い部分の陰極電極で発生した水素気泡は、すぐに液面に到達してしまうため、水素の溶存に十分に寄与できないという欠点があった。さらには、利用者が、長時間の電気分解時間をかけてでも、水素の溶存量を高めたいと思ったとしても、電気分解が進むにつれて、陰極側の水素が溶存した水のpH値が上昇し、飲用に適さない、pH10を超える強アルカリ水となってしまうことから、電気分解を行える時間が限られており、その時間内には、水素の溶存量を十分に高められないという欠点があった。
また、特許文献3では、電気分解の陰極側と陽極側が隔膜で隔てられていないため、陰極側で生成するアルカリ水と陽極側で生成する酸性水が中和し、電気分解が進むにつれて水素水のpH値が上昇するということは無いが、陽極から、酸素ガス(O2)と微量のオゾンガス(O3)が発生する。特許文献では3では、この混合気体は、生成ガス待機室で、大きな体積にしたのち、大きな気泡として水面まで素早く浮上させるため、水に溶解することはないとしているが、水素ガスとくらべて溶解量は少ないものの、実際には、この気泡の周囲の水では、酸素、および微量のオゾンが溶解することになり、本来行いたい、窒素、酸素の溶存から水素溶存への置換を妨げることになり、水素の溶存量を十分に高められないという欠点があった。
一方、先に説明した特許文献1では、生成直後は、水素の溶存量が大きい水素水を生成できるが、生成装置が大がかりとなり、工場で生成して、アルミパウチに充填して、消費者に届けることになる。しかし、水素は、透過しやすい性質をもつため、アルミパウチといえども、その栓の部分等から徐々に抜けることになり、消費者が飲用する時点では、水素の溶存量が下がってしまうという欠点があった。また、アルミパウチのコスト、輸送コストがかかるため、消費者は、溶存量が決して高くない水素水に、高いコストを支払わなければならないという欠点があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、飲用水となるべき原水に溶存している窒素と酸素を超音波振動処理により脱気してその後脱気水を電気分解し、或いは電気分解の初期において超音波振動処理して脱気と同時に電気分解処理することにより、原水に溶存している窒素と酸素の水素への置換を加速し、水素水の溶存水素濃度を従来に比べて格段に向上することを目的とする。
すなわち本発明は、(1)原水に超音波振動を付与した後に電気分解処理を行うことを特徴とする電解水素水生成方法を提供せんとするものである。
また本発明は、以下の点にも特徴を有する。
(2)電気分解処理中においても原水に対して超音波振動を付与すること。
(3)超音波振動処理と電気分解処理とは、卓上型のポットに収納された原水に対して行いポットから水素水を注水可能としたこと。
(4)水槽部内の原水を溜水として超音波振動処理を行うことにより脱気水を生成し、脱気水を電解処理部に連続して供給しながら電気分解処理行い水素水を生成して取水すること。
また、本発明に係る電解水素水生成装置では、(5)ポット本体内の水槽部と、原水を電気分解するためにポット本体内に対向して配設した陽極板と陰極板よりなる電解処理部と、原水に超音波振動を付与する超音波振動処理部とより構成した。
また、本発明に係る電解水素水生成装置では、以下の点にも特徴を有する。
(6)前記電解処理部は陽極板と陰極板の間に介在する隔膜で区画されて前記水槽部の下部にのみ配設され、酸性水領域は水槽部の液面より上方までを仕切る縦型仕切り筒体で仕切られていること。
(7)対向して配設した陽極板と陰極板の間に介在する隔膜で区画されたアルカリ水領域のみを超音波振動処理すること。
請求項1に係る電解水素水生成方法によれば、原水に超音波振動を付与して電気分解処理を行うために、原水に含有された空気を脱気することができ、電気分解処理において生成する水素の溶解が含有空気により干渉されること迅速に且つ可及的大量に行われるため原水溶存水素の含有率を飛躍的に向上することができる効果がある。
一般に水からの脱気手段として超音波振動を水に付与すると水中に高圧部と低圧部が振動方向で順次交互に発生することになり低圧部では水に溶存している気体が気泡として析出することが知られている。本発明ではかかる原理を水素生成装置に応用することにより原水から気体を析出脱気して水の電気分解で生成する水素を原水に溶存しやすい環境を形成し高濃度の水素水を迅速に生成することができるものである。
特に、水素の原水に対する溶解効率は水素気泡径が小さく数が多いほど気泡集合体の全体表面積が大きくなり溶解量が増すとされており、従って、超音波振動の強度調整をすれば陰極板表面に生起した極小の水素気泡を適度な強度の超音波振動で強制的に板面から剥離することができ、その結果気泡集合体の気泡全体の表面積を可及的に大とし脱気水に容易に溶解させることができることになり、その結果生成する水素水は高濃度水素溶解水となる効果がある。
更には、超音波振動により電極板の表面で発生する気泡の離泡性が向上し、しかも、一方の電極板面で発生した泡が他方の電極板面で発生した泡と合体しにくく、電極板から離脱する気泡をより微泡化することができる効果がある。
また、超音波振動により電極板表面における水素(及び酸素)気泡の滞在時間を短縮し、電極板表面が気泡で覆われにくくなる。これにより、電解効率が向上し、電極板表面で気泡が成長しにくく、電極板表面から離脱する水素(及び酸素)を微泡化し、分子レベル水素、ナノバブルやマイクロバブル状態での水素溶存も期待できる。この結果、原水の水素溶存量が向上した高濃度水素水を生成することができる。
請求項2に係る電解水素水生成方法によれば、電気分解処理中においても原水に対して超音波振動を付与することとしたため、脱気されている原水に電気分解により生成する水素を効率良く溶解させることができるのは勿論のこと、陰極表面に生じた水素気泡が微細なうちに陰極から遊離させることができ、水素の溶存率を飛躍的に向上することができる効果がある。
請求項3に係る電解水素水生成方法によれば、超音波振動処理と電気分解処理とは、卓上型のポットに収納の原水に対して行いポットから水素水を注水可能としたので、水素の含有量が向上した水素水をポットからいつでも容易に取得することができ、日常の生活で手軽に高濃度の水素水を容易に摂取することができる効果がある。
請求項4に係る電解水素水生成方法によれば、一定のタンク内に溜めた原水を溜水として超音波振動処理により脱気水を生成するために、脱気溜水を流しながら電解処理部に供給すれば電気分解処理を連続して行い水素水を連続して生成することができる。すなわち、一定の脱気されたタンク内溜水から連続して水素水を生成し摂取するができるので、本来、一定の容器内溜水に対して超音波振動処理をして脱気しその後にその溜水を電気分解処理するバッチ式の水素水生成技術が通常であるが、本発明ではタンク内脱気水を流しながら連続して電気分解することができるため、脱気原水から水素水をバッチ式ではなく連続して生成することができることになり、その分水素の放出を可及的に防ぎ水素水の高濃度状態を保持しながら摂取することができる効果がある。
請求項5に係る電解水素水生成装置によれば、ポット本体内の水槽部と、原水を電気分解するためにポット本体内に対向して配設した陽極板と陰極板よりなる電解処理部と、原水に超音波振動を付与する超音波振動処理部とより構成したので、脱気した原水から充分に水素を溶存した水素水を生成することができる効果がある。
請求項6に係る電解水素水生成装置によれば、対向して配設した陽極板と陰極板がポットの下方にのみ配設されていることにより、発生した水素がポットの液面側に到達するまでの時間を稼ぐことが出来、より水素を溶存させることができる。
請求項7に係る電解水素水生成装置によれば、対向して配設した陽極板と陰極板の間に介在する隔膜で区画されたアルカリ水領域のみを超音波振動処理することにより、陽極板が配設された酸性水領域の脱気のために超音波振動を出力する必要がなく、超音波振動子から発せられる超音波振動をアルカリ水領域に積極的に使用することができ、比較的出力の小さな超音波振動子であっても効率的に水素の溶存を図ることができる。
実施例1に係る電解水素水生成ポットの構成を示す説明図である。 原水中の溶存酸素濃度の経時変化を示すグラフである。 制御部にて行われる処理を示したフローである。 実施例3の電解水素水生成ポットを説明する図である。 実施例4の電解水素水生成ポットを説明する図である。 実施例5の電解水素水生成ポットを説明する図である。 実施例6の電解水素水生成ポットを説明する図である。 実施例7の説明図である。 小型電解装置の構成を示した説明図である。 実施例8の説明図である。 実施例9の説明図である。 実施例10の説明図である。
本実施形態に係る電解水素水生成方法は、原水に超音波振動を付与して原水を脱気処理し、その後電気分解処理を行って水素水を生成する点に特徴を有している。
特に、本実施形態に係る電解水素水生成方法を実現するにあたっては、その一例として卓上ポット型に形成した水槽部内に原水、例えば水道水などを溜水可能に構成し、ポットの所定箇所に対向配設した陽極板と陰極板よりなる電解処理部を設置し、更には、ポットの下部に超音波振動処理部を配設することを基本としており、かかる構成により超音波振動処理部による原水振動処理によって原水中の空気を脱気させて水素の溶存率を可及的に向上できる状況を形成した上で電気分解により陰極板に生成した水素を脱気した原水に溶存させる方法を挙げることができる。
元来、空気中には20.9%の酸素、78%の窒素が含まれ、水が空気に接することにより、水中には0℃、1気圧の条件のもとで1Lあたり酸素14.6mg、窒素22.0mgが溶存可能である。
通常、水素を原水中に通過させると水素は徐々に原水に溶存する。すなわち、溶存している酸素や窒素が水素と置換して水素が原水中に溶存し水素水が生成される。しかし、その置換は緩慢であり高濃度の水素水を短時間で充分に生成することは困難とされる。
本発明はかかる欠点を上記した超音波振動処理部の構成により解消せんとするものである。
以下、図面に基づき各実施例を参照しながら、本発明について具体的に説明する。
[実施例1]
図1において符号A1は、卓上ポット型の電解水素水生成ポットであり、略円筒形状に構成して外周壁11上部の一部は注ぎ口11aを形成している。上部開放部12には蓋体13を開閉自在に設けており、外周壁11の一部には取手14を突設している。
ポット本体10内は水槽部15を形成し原水16を収納自在にしており、ポット本体10の外底部17には独立した電装部18を設けている。
また、水槽部15の内底部19には、陽極板20aと陰極板20bとを一定の間隔で対向配設した電解処理部20を形成しており、各電極板20a,20bには下方の電装部18から直流で電力が給電される。図中、符号21は、電装部18の通電用コードを示し商用交流電源(図示せず)に接続される。
陽極板20aと陰極板20bとは金や白金でメッキされたチタン等の導電性金属材料で板状に形成されており、本実施例1においてはこれら対向配設した各電極板20a,20bに間に隔膜(後述)は介在させておらず、原水16の電解に伴って生成された水素ガスや酸素ガスは、共に原水16中へ混合状態で拡散する。
電装部18には、電源部23や制御部24や超音波振動処理部26が装置されている。
電源部23は、通電用コード21を介して供給される商用交流電力を直流に変換して制御部24へ給電する。
制御部24は、例えばマイコン等の制御回路により構成された制御主体として機能する部位であり、陽極板20aと陰極板20bに印加する電圧・極性の制御や、給電のタイマー制御、そのほか超音波振動処理部26における超音波振動子25の作動制御などを行う。
超音波振動処理部26は超音波振動子25と超音波振動子駆動回路27とで構成している。超音波振動子25は、振動数が数10kHzから百数10kHzまでの範囲の振動となるような超音波振動子である。具体的には一般的な超音波振動子の他にランジュバン型振動子など使用することができる。
また、ポット本体10の外周壁11の所定箇所には、操作スイッチ28と動作確認灯29が設けられており、これらも制御部24に電気的に接続されている。操作スイッチ28を操作すると、電解水素水生成ポットA1の電源オン/オフが行える。
このように構成された電解水素水生成ポットA1では、ポット本体10上部の蓋体13を開放して内部の水槽部15に水道水などの原水16を収容して閉蓋し、操作スイッチ28の電源を入れることにより電解処理部20及び超音波振動処理部26に通電される。
この際に制御部24で超音波振動処理部26が先に駆動するように制御しておくと、水槽部15内の原水16に超音波振動が付与されて原水16に溶存した空気が脱気される。主に酸素や窒素や少量のアルゴンなどのガス成分が脱気されることになる。
次いで脱気処理の後に電解処理部20における陽極板20aと陰極板20bにそれぞれ直流のプラス、マイナス電気が給電されると、電気分解処理が開始される。すなわち、電解処理部20においては、対向する各電極板20a,20bの間に電位差が生じるように各電極板20a,20bのそれぞれに電圧が印加されており、例えば、陽極板20aに高電圧を印加する場合は陰極板20bに低電圧を印加し、これにより対向する面の間で電気分解が行われ、陰極板20bの板面上に水素ガスが発生し、陽極板20aの板面上に酸素ガスが発生する。
原水16中では超音波振動処理により空気が脱気されているので発生した水素は原水16中の酸素などの空気成分に阻害されることなく容易に原水16に溶解し水素の高濃度溶存率を有する水素水を得ることができる。超音波振動処理により空気が脱気されている状況、すなわち、原水に溶存している酸素量が超音波振動を付与することにより溶存酸素量が低下している状況を図2に示すグラフにより説明する。
図2のグラフの縦軸は酸素の溶存量(mg/L)を示し、横軸は経過時間(分)を示しており、超音波振動(54kHzにおいて振動数が数10kHzから百数10kHzまでの範囲の振動)を付与した時の時間経過に伴う酸素溶存量の変化がグラフとして表されている。
すなわち、超音波振動により酸素溶存量は時間の経過、特に30分経過くらいまでに約3分の1位まで低減しその後はほぼ一定の溶存量割合で経過することが判明する。
このようにして酸素溶存量が低減した状況で水素を生成すれば酸素溶存量が低減した分だけ原水への溶存率は向上して高濃度の水素水が生成されることになる。
最後は、ポット本体10の注ぎ口11aから水素水を注ぎ出して飲用に供する。
なお、本実施例1においては超音波振動による水素溶存率向上の効果を検証するために超音波振動を付与しなかった場合での水素の溶存率との対比を行った。その結果、超音波振動をしなかった場合での電解水素水生成では溶存水素量が0.5ppmであったの対し超音波振動付与の場合は溶存水素量が1.0ppmであり溶存水素量を高めることができた。
図1の説明に戻り、電装部18の制御部24から伸延する配線は電装部18内に露出した各電極板20a,20b基部の接続端子20c,20dに接続されており、各電極板20a,20b基部の接続端子20c,20dはポット内底部19の挿通孔19aにシール材19bで封止される。
以下、電解水素水生成ポットA1の制御部24が実行する処理の流れを図3に示すフローチャートで説明する。
同図に示す処理は、まず使用者により通電用コード21が商用交流電源へ接続されて、電源部23から制御部24へ給電されることにより開始される。
図3に示す処理において、制御部24は、まず操作スイッチ28を操作することにより運転開始を指示する。すなわち、制御部24は、操作スイッチ28がON状態か否かの判断を行う(ステップS1)。
ここで運転開始操作入力(例えば、2秒以上の長押し等)を受け付けたか否かを判断し、運転開始操作入力を受け付けた場合は(ステップS1:Yes)、電解水素水生成ポットA1の運転を開始するために処理をステップS2へ移す。一方、運転開始操作入力を受け付けていない場合は(ステップS1:No)、運転開始操作入力を受け付けるまでステップS1の判断を周期的に繰り返し実行する。
ステップS2において制御部24は、制御部24内に配置されたROMやRAM等の記憶手段に予め記憶されている超音波処理時間設定値や、電解処理時間設定値、正電解処理時間設定値の読み込みを行う。ここで超音波処理時間設定値は、超音波処理をどの程度の時間実施するかについて予め設定された値であり、例えば、5分〜60分程度とすることができる。電解処理時間設定値は、電解処理をどの程度の時間実施するかについて予め設定された値であり、例えば、5〜15分程度とすることができる。また、電解水素水生成ポットA1では、電極にスケール等の付着を防止するため、所定時間正電解を行うと短時間の逆電解を行うこととしており、前述の正電解処理時間設定値は、正電解処理をどの程度の時間実行するかについて予め設定した値である。本実施形態では一例として、正電解処理時間設定値を29秒に設定している。
また、本ステップS2では、超音波稼動タイマのリセットを行う。制御部24内では、ハードウェア又はソフトウェアにより幾つかのタイマを実現しており、そのうちの一つである超音波稼動タイマは、超音波の処理時間を経時するための手段として利用される。
次に制御部24は、超音波振動子駆動回路27に対して稼動命令を出力する(ステップS3)。この処理により、超音波振動子25より超音波が発せられ、ポット本体10内に収容されている原水16からの脱気が開始される。
すなわち、先に超音波振動処理部26へ給電を開始することにより水槽部15内の原水16に超音波振動を付与し、原水16中に含有されている空気を脱気し、その後に電解処理部20において生成される水素の溶解、溶存を可及的迅速に行うことができるようにする。このようにして原水16の水素溶存率を向上して高濃度の水素水を生成することが出来るようになる。
次に制御部24は、超音波稼動タイマの値が、超音波処理時間設定値以上の値であるか否かについて判断を行う(ステップS4)。ここで、超音波稼動タイマの値が超音波処理時間設定値以上ではない(超音波処理時間設定値未満である)と判断した場合(ステップS4:No)は、処理をステップS5へ移す。
ステップS5において制御部24は、超音波稼動タイマのカウントを進め、更に経時を継続する。なお、次ステップであるステップS5aは、超音波処理と並行して実施すべき作業がある場合に実行される処理であり、本電解水素水生成ポットA1では特に処理を実行しないこととしているが、後述する他の電解水素水生成ポットにおいては、このステップS5aが実行される場合がある。ステップS5又はステップS5aを行った後、制御部24は処理をステップS4へ戻す。
一方、ステップS4において超音波稼動タイマの値が超音波処理時間設定値以上であると判断した場合(ステップS4:Yes)は、制御部24は、予め設定された脱気時間が経過したとして、超音波振動子駆動回路27に対して停止命令を出力し、超音波振動子25の超音波発振を停止させて脱気作業を終了する(ステップS6)。
また、同ステップS6では、後に続く電解処理のために、電解稼動タイマや正電解稼動タイマのリセットを行う。電解稼動タイマは、電解処理の時間を経時するための手段として利用されるものであり、また、正電解稼動タイマは、正電解をどの程度の時間実行したかについて経時する手段として利用される。
次に制御部24は、陽極板20aを高電位、陰極板20bを低電位に電圧を印加して通電し、正電解処理を行う(ステップS7)。また併せて、電解稼動タイマ及び正電解稼動タイマのカウントを進める処理を行う。
次いで制御部24は、電解稼動タイマの値が電解処理時間設定値以上の値であるか否かについて判断を行う(ステップS8)。ここで電解稼動タイマの値が電解処理時間設定値以上の値ではない(電解処理時間設定値未満の値である)と判断した場合(ステップS8:No)は、制御部24は、電解を継続すべき時間は未だ経過していないとして処理をステップS10へ移す。
ステップS10において制御部24は、正電解稼動タイマの値が正電解処理時間設定値以上であるか否かについて判断を行う。ここで正電解稼動タイマの値が正電解処理時間設定値以上ではない(正電解処理時間設定値未満の値である)と判断した場合(ステップS10:No)は、制御部24は、逆電解を行うタイミングではないとして処理を再びステップS7へ移す。一方、正電解稼動タイマの値が正電解処理時間設定値以上であると判断した場合(ステップS10:Yes)は、制御部24は逆電解を行うタイミングであるとして処理をステップS11へ移す。
ステップS11において制御部24は、所定時間(例えば1秒間)だけ、陽極板20aを低電位、陰極板20bを高電位に電圧を印加して通電し、逆電解処理を行う。また、本ステップにおいて制御部24は、正電解稼動タイマをリセットし、処理をステップS7へ移して再び正電解を開始する。
ステップS8の説明に戻り、本ステップにおいて制御部24が、電解稼動タイマの値が電解処理時間設定値以上の値であると判断した場合(ステップS8:Yes)は、制御部24は、予め設定された電解時間が経過したとして処理をステップS9へ移す。
ステップS9において制御部24は、電解処理部20への通電を停止することで運転停止の処理を行い、一連の処理を終了する。
このように電解水素水生成ポットA1によれば、当初原水であったポット本体10内の水は、まず脱気がなされてより多くの水素が溶存可能な状態となり、その後電解に供されることで高濃度の水素を含有した電解水素水が生成される。
なお、運転中には、動作確認灯を点灯させる運転表示を行うことができ、動作確認灯29として複数色のLEDを設ける場合は、発光色を一定周期で切り替えて発光させてもよい。発光色の切り替えタイミングとしては、例えば、超音波振動処理と電気分解処理の切り替えのタイミングとすることができる。具体的には、超音波振動処理作動で動作確認灯29を例えば赤色に点灯させ、次に電気分解処理に切り替わると同時に動作確認灯29を青色に点灯させる等が考えられる。また、操作スイッチ28に対して所定の操作入力(例えば、2秒未満の押圧操作等)を行った際に、点灯色を切り替える構成としてもよい。
以上説明したように電装部18の正電解モードと逆電解モードとの切り替え構成や動作確認灯29を制御することにより、各電極板20a,20bへの炭酸カルシウムスケールの付着を防止することができ高い電解性能を維持しつつ装置寿命を長寿命化することができる。しかも、動作確認灯29の点灯により、水素水の生成運転状況を使用者に知らしめることもできる。
[実施例2]
実施例1では、超音波振動処理部26による原水16への超音波振動付与タイミングンを電気分解処理工程の前に行う、すなわち、超音波振動を付与した後に電気分解処理を開始するように構成しているが、他の実施例として特に制御部24の制御作動は、超音波振動子25の作動中に電解処理部20から水素を発生させるよう構成したり、電解処理部20による水素生起中に超音波振動子25が作動するように構成することとしても良い。
これにより電解処理部20の電極板面に生成付着した水素を板面から剥離促進して円滑に且迅速に剥離水素を脱気原水に溶解することができる。すなわち、電気分解中でも超音波振動子25を駆動させることができ、更なる溶存水素量の向上が見込まれる。
具体的な構成の一例としては、例えば、前述の実施例1にて説明した処理フロー(図3)上において、ステップS5aの並行作業処理として、超音波稼動タイマが所定時間となった際に正電解を開始するよう構成することでも実現可能である。
特に、図1において示したように、超音波振動子25は、陽極板20aに比して陰極板20bに近い位置に配設している。
超音波振動子25の設置位置は、前述の実施例1の如く電解中に超音波振動を付与しない場合は、ポット本体10内に収容した原水16を脱気可能な位置であれば特に限定されるものではないが、本実施例2のように電解中にも超音波振動を発する場合には、陰極板20bや陰極板20b近傍の原水16に対して積極的に超音波振動を付与すべく、陰極板20bに近い位置とすることで、電極板面に生成付着した水素の板面からの剥離促進を図ることができる。
すなわち、電極板面に生成付着している水素気泡は、時間と共に電極板面で徐々に成長して肥大化し、その気泡の浮力が電極板面に対する付着力を上回った際に原水中に遊離すると考えられるが、超音波振動を付与することにより、遊離可能な浮力を獲得する以前の極微細な気泡の段階で電極板面より強制的に剥離することで、径の小さな無数の水素気泡を発生させ気泡集合体としての原水16に対する全体表面積を大きくすると共に、気泡が原水16の水面に浮かび上がるまでの時間(原水16中における気泡の滞在時間)を長くして、溶存水素量の向上が行われる。
但し、電気分解中に超音波振動を長時間付与し続けていると電気分解で生成した水素が原水16にせっかく溶解しているのに溶解水素までも脱気されてしまい逆効果を生起する虞がある。そのために超音波振動子25はタイマー作動制御を行い規定の時間だけ作動したり、間欠的に作動したり、振動の強弱を調整作動したりするように構成することができる。
特に、超音波振動の強度調整をすれば陰極板表面に生起した極小の水素気泡を適度な強度の超音波振動で強制的に板面から剥離することができ、その結果気泡集合体の気泡全体の表面積を可及的に大とし脱気原水に容易に溶解させることができることになり、その結果生成する水素水は高濃度水素溶解水となる効果がある。
なお、水素を陰極板20bから剥離するための超音波振動の強度は、超音波振動による原水からの脱気量を超える水素量が脱気に代わって溶存される程度の強度とする。
このように構成することにより電気分解で順次生成される水素は超音波振動で脱気された原水16に円滑に溶解し水素溶存率の高い水素水を生成することができる。
[実施例3]
実施例3では、図4に示す電解水素水生成ポットA3ように、ポット本体10内の電解処理部20の陰極板20bそのものを超音波振動子25に構成して水素の生成と共に超音波振動を付与することができるように構成する。
陰極板20bと超音波振動子25とを兼用した具体的な構造は、例えば洗浄機用振動子やランジュバン型振動子の一部に陰極板20bを付設して電極機能と超音波振動機能を兼用させる構造とする場合や超音波振動子の振動部を電解のための陰極に形成する構造とする場合等がある。
このように構成することによりポット内の簡単な構造によって脱気した原水に水素を迅速に溶存させて高濃度の水素水を生成することができる。
[実施例4]
実施例4では、図5に示すように、電解水素水生成ポットA4の蓋体13を気密状に構成しておき、水槽部15に貯留した原水16の液面上方の蓋体13との空間部32の空気を電装部18に配設した吸引ポンプ30により吸引パイプ31を介して吸引して減圧しその後に超音波振動を付与する。
その結果、原水16に溶存する酸素量の低減速度が約倍の速度で行われることが判明した。すなわち、ポット本体10内においてかかる液面上方空間部32の減圧処理をしなかった場合は原水16に溶存した酸素量8.84mg/Lを3 mg/Lにまで低減するために約45分間を要した。しかし、液面上方空間の減圧処理をした場合は原水に溶存した酸素量8.84mg/Lを3 mg/Lにまで低減するのに要する時間を約20分に短縮することができた。
このようにポット内の空間部32を可及的に減圧して真空状態に近づけるほどに酸素溶存量を低減するのに要する時間を短縮することができることが検証できた。
すなわち、ポット本体10内を減圧状態にして超音波振動による脱気処理をすれば酸素溶存量を迅速に低減することができるためその分水素を迅速に原水16に溶存することができ、従って水素水の生成時間を大幅に短縮することができることになり、日常の生活での水素水生成作業が容易となって水素水の飲用摂取習慣を確立しやすくなる効果がある。
なお、本実施例4では、電装部18内に吸引ポンプ30を配設することで空間部32を減圧状態とすることとしたが、超音波付与による脱気効果を促進可能な程度に空間部32を減圧可能な構成であれば特に限定されるものではなく、例えば蓋体13に空間部32へ連通する脱気管を設け、同脱気管に手動式のハンドポンプを接続して脱気できるよう構成しても良いのは勿論である。
[実施例5]
実施例5では、図6の電解水素水生成ポットA5に示すように、ポット本体10内の水槽部15と、原水16を電気分解するためにポット本体10内に対向して配設した陽極板20aと陰極板20bよりなる電解処理部20と、原水に超音波振動を付与する超音波振動処理部26とより構成すると共に、水槽部15内に円筒や角筒など筒状の縦型仕切り筒体34を収納し、その下部には隔膜33を張設し隔膜33を間に挟んで隔膜33の外側、すなわち、縦型仕切り筒体34の外側には陰極板20bを、隔膜33の内側、すなわち、縦型仕切り筒体34の内側には陽極板20aがそれぞれ原水に浸漬された状態で立設されており、電装部18の電源部23及び制御部24を介して直流電流が各電極板に給電されている。しかも、ポット本体10のアルカリ水領域の底部にはランジュバン型の超音波振動子35が配設されており、制御部24から通電されて水槽部15の原水16に超音波振動を付与するように構成されている。
実施例1の電解水素水生成ポットA1と比較すると本実施例では水槽部15中に縦型仕切り筒体34と隔膜33を有する電解処理部20を収納配設したことに特徴がある。
そして電解処理部20は下方にのみ配設され、円筒状の陽極板20aと陰極板20bが隔膜33を介して対向して配置されている。
電解処理部20の上端から延出する縦型仕切り筒体34は蓋体13により着脱自在に閉止されているが、閉止状態でも大気と連通可能となっている。
縦型仕切り筒体34の中途部には連結部34aが形成され、水槽部15内に水を供給する際に縦型仕切り筒体34の連結部34aより上方が上部開放部12、蓋体13とともに離脱出来るようにしている。
このような構成により縦型仕切り筒体34の水の供給位置を下げて、縦型仕切り筒体34の内部に水を供給しやすくしている。
従って、本実施例では実施例1の基本的な効果と共に次のような特徴的な効果を生起する。
電解処理部20の隔膜33で区画された各領域の原水が脱気され陰極板20bで生成される水素は脱気された原水に速やかに溶解し高濃度の水素水を得ることができると共に生成した酸素の溶解も容易に行われ酸素水としての用途を別途考慮することができ、しかもかかる酸素は隔膜33と縦型仕切り筒体34の存在により決して水素水に混在することはない。
しかも電解処理部20は下方にのみ配設され、液面までの間は縦型仕切り筒体34で仕切られているので、生成された水素は液面に到達するまでに十分な時間を稼ぐことが出来、溶存を促進することが出来る。
すなわち、隔膜33で区画された縦型仕切り筒体34内は電気分解により陽極板20a面に酸素を生起し外側の陰極板20b面に水素を生起する。しかも、縦型仕切り筒体34の内部の原水は酸性水となり、外側の原水はアルカリ水となり、超音波振動は酸性水領域には伝搬し難く、アルカリ水の領域のみに振動を付与することになる。従って、水槽部15内の縦型仕切り筒体34外方においては陰極板20bに水素が生起し、しかも、予め縦型仕切り筒体34外方領域の原水、すなわち、アルカリ水領域には超音波振動が付与されているため陰極板20bに生起した水素はアルカリ水に容易に溶解し高濃度の水素水を短時間で生成することができる。しかも、水槽部15が縦型仕切り筒体34及び隔膜33によって内外区画されているためにアルカリ水と酸性水が混じり合うことがなく、従って、陽極板20aで発生する酸素がこれから生成しようとする水素水に溶存することはない。
付言すれば、本実施例5では、対向して配設した陽極板20aと陰極板20bの間に介在する隔膜33で区画されたアルカリ水領域のみを超音波振動処理するようにしており、遊離可能な浮力を獲得する以前の極微細な気泡の段階で陰極板20bより強制的に剥離することで、径の小さな無数の水素気泡を発生させ気泡集合体としての原水16に対する全体表面積を大きくすると共に、気泡が原水16の水面に浮かび上がるまでの時間(原水16中における気泡の滞在時間)を長くして、溶存水素量の向上が行われる。
しかも、生成されたアルカリ水に溶存している水素ガスは、分子が極めて小さいために隔膜33を介して酸性水領域側に漏出してしまう可能性があるが、酸性水領域側へは隔膜33や縦型仕切り筒体34により超音波振動が伝搬しにくい構成として酸性水領域の脱気が起こらないよう敢えて構成しているため、酸性水領域側を酸素ガスで飽和しておくことができ、酸性水に水素ガスが溶存できる余地を少なくしておくことで、アルカリ水の溶存水素濃度の低下を抑制できて、高い溶存水素濃度のアルカリ水を生成することができる。
また、水槽部15の原水液面に薄いシートや軽量薄板等の隔離部材を浮かせるか位置させて電気分解の水素を生成すると、液面上方のポット本体10内空気層に脱気後に上昇到達した酸素や窒素ガスが原水に再溶存して還元することを防止できる効果がある。なお、より酸素や窒素ガスを脱気させやすくするためには超音波振動処理部26による脱気後に自動的もしくは手動で上記隔離部材が位置するようにすれば望ましい。
[実施例6]
次に、実施例6について説明する。図7は、本実施例6に係る電解水素水生成ポットA6の輪切り方向断面を示した説明図である。なお、実施例5にて参照した図6中の断面を表す符号A−Aは、図7の切断位置の理解を容易とするために目安として示しているが、別実施例であることに留意されたい。電解水素水生成ポットA6は、図6を参照しつつ説明した電解水素水生成ポットA5を基本構成としつつ、超音波振動子35を電解処理部20における陽極板20a及び陰極板20bの各電極板領域に跨って配設した構成としている。
そして、超音波振動子35は陽極板20a及び陰極板20bの各電極板領域に跨って超音波振動を付与してそれぞれの領域の原水を脱気し、その後、電解処理部20により陰極板20bは水素を生起し、生成した水素を陰極板領域の原水に溶解すると共に、陽極板20aには酸素が生成し陽極板領域の原水に酸素を付与する。
このように構成することにより電解処理部20の隔膜33で区画された各領域の原水が脱気され陰極板20bで生成される水素は脱気された原水に容易に溶解し高濃度の水素水を得るころができると共に生成した酸素の溶解も容易に行われ酸素水としての用途を別途考慮することができ、しかもかかる酸素は隔膜33の存在により決して水素水に溶存することはない。
[実施例7]
実施例7では、図8に示すように、ポットBの内底部19に超音波振動子25を配設してポット本体10の水槽部15に収納した原水16に超音波振動を付与することができるように構成し、水槽部15内に小型電解装置36を投入可能としている。従って、まず超音波振動子25を作動させて原水16を脱気しその後水槽部15内の脱気原水中に超小型の小型電解装置36により生成した水素を溶解させる。
小型電解装置36を投入するポット本体10内の原水16は超音波振動子25で脱気されているので小型電解装置36から生成され放出される水素は容易に脱気原水に溶解し高濃度の水素水を簡便に作ることができる。
小型電解装置36は、図9に示すように、ケース36a内に蓄電部36bと流水路中途部に介設した電解機器部36cとポンプ部36dを収納して構成されており、ポンプ部36dにより原水16を取り込みながら流水路に流しその中途において電極部36eにより原水を電気分解して水素を生成しケース36a外に水素を脱気原水中に放出して溶解させ水素水を生成する。
かかる水素水生成装置は、ポット本体10に水素を生成する機器を設ける必要がなり、小型電解装置36をポット内に投入する簡単な操作で水素水を生成することができることになり水素水を飲用するためのポットの操作や取扱いが簡便となる効果がある。
[実施例8]
実施例8では、図10(a)に示すように、超音波振動子41を具備するマドラー40を用い、図10(b)に示すように、コップ42等の容器に原水16を収納してマドラー40により超音波振動子41を作動状態として原水16を撹拌して容器内の原水16を脱気し、次いで脱気原水の中に実施例7にて説明した小型電解装置36を投入するようにしている。
マドラー40は、マドラー筐体45内に蓄電部46と制御部24とを収納している。蓄電部46は超音波振動子41への給電機能を果たし、また、制御部24は超音波振動子駆動回路27を介して超音波振動子41の超音波発振制御を行う。
本実施例では超音波振動子41や小型電解装置36等の機器が容器とは別体に構成するため容器に付随して設けておく必要がなく、従っていかなる容器、例えばポットやグラスやペットボトルなど水素水を飲用するに際して便利な容器を選択して使用することができるので日常の生活で手軽に水素水を摂取することができる効果がある。
更には、マドラー40により超音波振動子41を作動状態で原水16を撹拌脱気するものであるため容器内の原水16の隅々まで手動で撹拌操作が行えることになり迅速に且つ充分な原水脱気機能を果たすことができその後の水素の溶解処理を円滑に行える効果がある。
[実施例9]
図11(a)に示すように、実施例9では、実施例8と同様に超音波振動子41を先端に具備するマドラー44であって、その先端から中途部には原水16の電気分解機能を果たす電解処理部20を構成している。
すなわち、マドラー44に超音波振動子41と電解処理部20とを具備構成している。使用に際しては、図11(b)に示すように、コップ等の容器に原水16を収納してマドラー44を原水16に浸漬してマドラー44の超音波振動子41を作動状態として原水16を撹拌して原水16を脱気し、その後に電解処理部20を作動状態とし更に撹拌して電極板20a,20bに接する原水16を電気分解して水素を生成し溶解して水素が高濃度で溶存した水素水を生成することができる。
図中、符号44aはマドラー44のグリップ部44cに設けた超音波振動子の操作部、符号44bは電解処理部20の操作部を示す。
マドラー44は、マドラー筐体45内に蓄電部46とマドラー撹拌動作に伴い原水を流水接触させて電極板20a,20bの電解作動を生起する制御部24とを収納している。蓄電部46は超音波振動子41への給電機能も果たし、また、制御部24は超音波振動子駆動回路27を介して超音波振動子41の超音波発振制御も行う。
この実施例9においては、原水16の容器に超音波振動子41や電解処理部20を装置する必要がないため水素水を収容する容器の種類を選ぶ必要がなく水素水を飲用しやすい好みの容器を選択することができる。更にはマドラー44を携行するだけでいつでもどこでも簡便に水素水を生成することができ日常生活で手軽に高濃度の電解水素水の摂取ができる効果がある。なお、本実施例では、図11(b)に示したように脱気処理する際に使用者が超音波処理ボタン44aを押下し、電解処理する際に電解処理ボタン44bを押下するよう構成したがこれに限定されるものではなく、例えば、水を貯留したコップ42内にマドラー44を挿入し、ボタン一つ押下するだけで脱気処理に引き続き電解処理が行われるよう構成しても良い。また、脱気処理と電解処理は、自動的に又は使用者の操作により、一時的に又は必要に応じて併用されるよう構成しても良い。
[実施例10]
実施例10では、タンク50内に溜めた原水16を溜水としてまず超音波振動処理により脱気水を生成し、脱気溜水をタンク50から流しながら電解処理部20として機能する水素水生成装置60に連続して供給すれば流水する脱気水は水素水生成装置60に連続して流入して電気分解処理が連続して行われ水素水を連続して生成することができるように構成している。
具体的は、原水供給配管51を通じてタンク50内に原水16を供給可能に構成すると共に、タンク50には超音波振動子52を配置して、タンク50内に貯留された原水16に対して超音波を付与して脱気可能としている。図12中において符号53は、超音波振動子52から超音波を発するための超音波振動子駆動装置である。
また、タンク50上部には、タンク50内で原水16の水面上方に形成された空間部53を減圧するための減圧配管54が接続されており、脱気ポンプ54aを駆動させることにより、原水16からの脱気効果を促進するよう構成している。
また、タンク50の下部には、タンク50内で脱気された脱気原水を吐出させるための脱気原水吐出配管55が接続されており、吐出ポンプ55aを駆動させることにより、水素水生成装置60に対して脱気原水を供給可能としている。
水素水生成装置60は、内部に電解槽を備えた所謂アルカリ水素水生成器であり、脱気原水吐出配管55を通じて供給された脱気原水を電解することで、電解槽の陰極側にて生成されたアルカリ性の水素水を取水口61より取水可能としている。
そして、このような構成を備える水素水生成システムによれば、一定の脱気がなされたタンク50内の溜水から連続して電気分解した水素水を生成し取水するができるので、本来、一定の容器内溜水に対して超音波振動処理をして脱気しその後にその溜水を電気分解処理するバッチ式の水素水生成技術と対比して、本実施例ではタンク50内脱気水を流しながら連続して電気分解することができ、脱気原水から電気分解処理により水素水をバッチ式ではなく連続して生成することができることになり、その分生成中途での水素の損出を可及的に防ぎ水素水の高濃度状態を保持して水素水の摂取をすることができる効果がある。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、上述した実施例1〜実施例10における各構成は、その機能を阻害しない範囲内において、それぞれ別の実施形態に適用することができ、これらの構成もまた本発明の概念に含まれる。
10 ポット本体
11 外周壁
16 原水
18 電装部
20 電解処理部
20a 陽極板
20b 陰極板
23 電源部
24 制御部
25 超音波振動子
26 超音波振動処理部
27 超音波振動子駆動回路
30 吸引ポンプ
31 吸引パイプ
32 空間部
33 隔膜
35 超音波振動子
36 小型電解装置
40 マドラー
41 超音波振動子
44 マドラー
50 タンク
52 超音波振動子
53 空間部
54 減圧配管
55 脱気原水吐出配管
60 水素水生成装置
61 取水口
A1 電解水素水生成ポット

Claims (7)

  1. 原水に超音波振動を付与した後に電気分解処理を行うことを特徴とする電解水素水生成方法。
  2. 電気分解処理中においても原水に対して超音波振動を付与することを特徴とする請求項1に記載の水素水生成方法。
  3. 超音波振動処理と電気分解処理とは、卓上型のポットに収納された原水に対して行いポットから水素水を注水可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の水素水生成方法。
  4. 水槽部内の原水を溜水として超音波振動処理を行うことにより脱気水を生成し、脱気水を電解処理部に連続して供給しながら電気分解処理行い水素水を生成して取水することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水素水生成方法。
  5. ポット本体内の水槽部と、原水を電気分解するためにポット本体内に対向して配設した陽極板と陰極板よりなる電解処理部と、原水に超音波振動を付与する超音波振動処理部とより構成したことを特徴とすることを特徴とする水素水生成装置。
  6. 前記電解処理部は陽極板と陰極板の間に介在する隔膜で区画されて前記水槽部の下部にのみ配設され、酸性水領域は水槽部の液面より上方までを仕切る縦型仕切り筒体で仕切られていることを特徴とする請求項5に記載の水素水生成装置。
  7. 対向して配設した陽極板と陰極板の間に介在する隔膜で区画されたアルカリ水領域のみを超音波振動処理することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水素水生成装置。
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