JP2017528596A - 電気化学用途のためのラーベス相関連bcc金属水素化物合金及びその活性化 - Google Patents
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Abstract
ラーベス相関連BCC金属水素化物合金は従来から制限された電気化学的容量を有する。電極活性材料として有用なこれらの合金の新規な例が提供される。また、かかる合金の活性化方法も提供される。合金は、式I:TiwVxCryMz(I)(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1<x<0.6、0.01<y<0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び1つ以上の遷移金属からなる群から選択される)によって規定される組成を含み、10以上のサイクルにわたり350mAn/g以上の放電容量を達成する。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2014年7月25日に出願された米国特許出願公開第14/340,913号明細書(U.S. Patent Application No: 14/340,913)及び2014年7月25日に出願された米国特許出願公開第14/340,959号明細書(U.S. Patent Application No: 14/340,959)に基づいて、その優先権を主張しており、その内容はそれぞれ参照により本明細書に組み込まれている。
本出願は、2014年7月25日に出願された米国特許出願公開第14/340,913号明細書(U.S. Patent Application No: 14/340,913)及び2014年7月25日に出願された米国特許出願公開第14/340,959号明細書(U.S. Patent Application No: 14/340,959)に基づいて、その優先権を主張しており、その内容はそれぞれ参照により本明細書に組み込まれている。
発明の属する技術分野
本発明は、合金材料及びその製造方法に関する。特に、本発明は、水素を吸収及び放出することができる金属水素化物合金材料に関する。電気化学用途のための固有の電気化学的性質(高容量を含む)を有するラーベス相関連体心立方(BCC)構造を有する活性化金属水素化物合金が提供される。
本発明は、合金材料及びその製造方法に関する。特に、本発明は、水素を吸収及び放出することができる金属水素化物合金材料に関する。電気化学用途のための固有の電気化学的性質(高容量を含む)を有するラーベス相関連体心立方(BCC)構造を有する活性化金属水素化物合金が提供される。
背景
特定の金属水素化物(MH)合金材料は、水素を吸収及び放出することができる。これらの材料は、ニッケル/金属水素化物(Ni/MH)及び金属水素化物/空気バッテリーシステムを含む燃料電池や金属水素化物バッテリーのための水素吸蔵媒体として及び/又は電極材料として使用され得る。しかしながら、制限された質量エネルギー密度(<110Wh kg−1)のために、現在のNi/MHバッテリーはポータブル電子機器及びバッテリー駆動電気自動車市場におけるシェアを軽量のLiイオン技術に奪われている。このように、次世代のNi/MHバッテリーは、エネルギー密度の向上とコストの削減の2つの主な目標の改善に向けて設計されている。
特定の金属水素化物(MH)合金材料は、水素を吸収及び放出することができる。これらの材料は、ニッケル/金属水素化物(Ni/MH)及び金属水素化物/空気バッテリーシステムを含む燃料電池や金属水素化物バッテリーのための水素吸蔵媒体として及び/又は電極材料として使用され得る。しかしながら、制限された質量エネルギー密度(<110Wh kg−1)のために、現在のNi/MHバッテリーはポータブル電子機器及びバッテリー駆動電気自動車市場におけるシェアを軽量のLiイオン技術に奪われている。このように、次世代のNi/MHバッテリーは、エネルギー密度の向上とコストの削減の2つの主な目標の改善に向けて設計されている。
MHセルにおいてカソードとMHアノードとの間に電位を印加すると、負極材料(M)が、MHを生成する水素の電気化学的吸収及び水酸イオンの電気化学的な発生により荷電する。放電すると、蓄えられた水素が放出されて水分子を形成し、電子を放出させる。Ni/MHセルの正電極で起こる反応も可逆的である。ほとんどのNi/MHセルは、水酸化ニッケル正電極を使用している。以下の充放電反応は水酸化ニッケル正電極で起こる。
水酸化ニッケル正電極と水素吸蔵負電極を有するNi/MHセルでは、電極は典型的には不織布、フェルト、ナイロン又はポリプロピレンセパレータによって分離されている。電解液は、通常、アルカリ性の水性電解液、例えば20〜45質量%の水酸化カリウムである。
Ni/MHバッテリーシステムにおいて有用なMH材料の1つの特定の群は、その膜の構成要素によって占められる結晶の配置に関してABxクラスの材料として知られている。ABx型の材料は、例えば、米国特許第5,536,591号明細書(U.S. Patent 5,536,591)及び米国特許第6,210,498号明細書(U.S. Patent 6,210,498)に開示されている。このような材料としては、改質LaNi5型(AB5)並びにラーベス相系活性材料(AB2)が挙げられるが、これらに制限されない。これらの材料は、水素を貯蔵するために可逆的に水素化物を形成する。このような材料はTi−Zr−Ni系の組成を利用しており、ここで、少なくともTi、Zr、Niは、Cr、Mn、Co、V及びAlの群からの少なくとも1つ以上の改質剤と共に存在している。材料は多相材料であり、1つ以上のラーベス相結晶構造及び他の非ラーベス二次相を含み得るが、これに制限されない。現在のAB5合金は約320mAh g−1の容量を有し、ラーベス相系のAB2は440mAh g−1までの容量を有するため、これらは最も有望な合金代替物であり、高率放電性能(HRD)、サイクル寿命、電荷保持、活性化、自己放電、及び適用可能な温度範囲の中で良好なバランスを有する。
希土類(RE)マグネシウム系AB3型又はA2B7型のMH合金は、1つにはそれらの高容量のためにNi/MHバッテリーの負極として現在使用されているAB5MH合金を置き換える有望な候補である。RE−Mg−Ni MH合金の大部分は希土類金属としてLaのみをベースとしているが、幾つかのNdのみのA2B7(AB3)合金が近年報告されている。これらの材料では、AB3.5の化学量論は、貯蔵容量、活性化、HRD、電荷保持、及びサイクル安定性の間で全体的なバランスを最良にすると考えられている。NdのみのA2B7合金の圧力−濃度−温度(PCT)等温線は、α相で非常に鋭い取り出し角(take-off angle)を示し[K. Young, et al., Alloys Compd. 2010; 506: 831]、低充電状態では比較的高い電圧を維持することができる。市販のAB5MH合金と比較して、NdのみのA2B7は、60℃の貯蔵中の正電極の利用率が高く、あまり抵抗が増加しないが、サイクル中の容量劣化も大きくなった[K. Youngら, Int. J. Hydrogen Energy, 2012; 37:9882]。公知のA2B7合金のもう1つの問題は、合金の化学組成においてNi含有量が少ないため、従来のAB5合金系に比べてHRDが劣ることである。
他のABx材料は、ラーベス相関連体心立方(BCC)材料を含み、これらは一例として従来からC14として存在しているBCC相とラーベス相を含む2相の微細構造を有するMH合金の群である。これらの材料は、完全なBCC構造を有するTi−V−Cr合金の理論電気化学的容量938mAh g−1に基づいているが、残念なことに電気化学的特性が非常に劣る。同様の化学組成を有するラーベス相自体がBCC材料に添加される。これらのラーベス相関連BCC材料は、高密度の相境界を示し、より高いBCCの水素吸蔵能力と良好な水素吸収動力学と比較的高いC14相の表面触媒活性とを組み合わせることができる。これらの材料を最適化するために多くの研究が行われている。Youngら, Int. J. Hydrogen Energy, http://dx.doi.org/10.1016/j.ijhydene.2014.01.134(プレスの記事)には、広範囲のBCC/C14比を有するこれらの材料の系統的研究が記載されている。これらの結果により、これらの材料は多くの望ましい特性を有しているが、これらの材料で生成される電気化学的放電容量は175mAh/gを超えないことが明らかである。
このように、改善された水素吸蔵材料が必要とされている。本明細書で以下に説明するように、本発明は、大きく改善された電気化学特性を初めて示す活性化されたラーベス相関連BCC金属水素化物合金を提供することにより、これらの必要性に対処する。本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下の図面、考察、及び以下の説明から明らかになるであろう。
発明の概要
以下の本発明の概要は、本発明に特有の革新的な特徴の一部の理解を容易にするために提供されており、完全な説明であることを意図するものではない。本発明の様々な態様の完全な理解は、明細書全体、特許請求の範囲、図面、及び要約書を全体としてとらえることによって得ることができる。
以下の本発明の概要は、本発明に特有の革新的な特徴の一部の理解を容易にするために提供されており、完全な説明であることを意図するものではない。本発明の様々な態様の完全な理解は、明細書全体、特許請求の範囲、図面、及び要約書を全体としてとらえることによって得ることができる。
説明したように合金材料は、類似の組成を有する従来の合金に対して改善された容量を有するだけでなく、高容量で大幅に改善されたサイクル寿命をも有する。幾つかの従来の材料は高容量が可能であるが、この容量は1〜5サイクルで急速に減少する。ラーベス相関連BCC金属水素化物におけるサイクル寿命の改善により、容量は徐々に減少する。本明細書で提供されるラーベス相関連BCC金属水素化物合金は、容量の減少の問題を解決し、系においてTi対Crの比を調整することによって大幅に改善された容量をより多くのサイクルにわたり実証する。
下記式I:
TiwVxCryMz (I)
(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1≦x≦0.6、0.01≦y≦0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び遷移金属からなる群から選択される)
の組成を含み、金属水素化物合金がサイクル10で350mAh/gを超える容量を有するラーベス相関連BCC金属水素化物が提供される。幾つかの態様はサイクル10で、400mAh/g以上の容量、任意に420mAh/g以上の容量を有する。合金は任意に24%未満のC14相を含む。幾つかの態様では、合金は主としてBCC相とラーベス相との組み合わせであり、前記BCC相は5%より高く且つ95%未満の存在量であり、前記ラーベス相は5%より高く且つ95%未満の存在量である。任意に、合金は、400オングストローム未満、任意に200オングストローム未満のBCC相クリスタリットサイズを含む。幾つかの態様では、B/A比は1.20〜1.31、任意に1.20〜1.30である。任意に、比x/yは1〜3である。上記のいずれかの幾つかの態様は、下記式II:
Ti13.6+xZr2.1V44Cr13.2−xM27.1 (II)
(式中、xは0を上回り且つ12以下の値であり、MはMn、Fe、Co、Ni、及びAlの組み合わせである)
の組成を含む。式IIの合金は任意に2、4、6、8、10又は12のxを有する。上記のいずれかの幾つかの態様は、下記式III:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (III)
(xは0.7〜2.8である)
の組成を含む。
TiwVxCryMz (I)
(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1≦x≦0.6、0.01≦y≦0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び遷移金属からなる群から選択される)
の組成を含み、金属水素化物合金がサイクル10で350mAh/gを超える容量を有するラーベス相関連BCC金属水素化物が提供される。幾つかの態様はサイクル10で、400mAh/g以上の容量、任意に420mAh/g以上の容量を有する。合金は任意に24%未満のC14相を含む。幾つかの態様では、合金は主としてBCC相とラーベス相との組み合わせであり、前記BCC相は5%より高く且つ95%未満の存在量であり、前記ラーベス相は5%より高く且つ95%未満の存在量である。任意に、合金は、400オングストローム未満、任意に200オングストローム未満のBCC相クリスタリットサイズを含む。幾つかの態様では、B/A比は1.20〜1.31、任意に1.20〜1.30である。任意に、比x/yは1〜3である。上記のいずれかの幾つかの態様は、下記式II:
Ti13.6+xZr2.1V44Cr13.2−xM27.1 (II)
(式中、xは0を上回り且つ12以下の値であり、MはMn、Fe、Co、Ni、及びAlの組み合わせである)
の組成を含む。式IIの合金は任意に2、4、6、8、10又は12のxを有する。上記のいずれかの幾つかの態様は、下記式III:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (III)
(xは0.7〜2.8である)
の組成を含む。
提供された合金及びその等価物は、セル又はバッテリーシステムのアノードで使用するための優れた材料を表す。
また、従来の方法に対して増加した安定な容量を生成するのに有用な方法が提供される。このように、下記式I:
TiwVxCryMz (I)
(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1≦x≦0.6、0.01≦y≦0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び遷移金属からなる群から選択される)
のラーベス相関連BCC金属水素化物合金の活性化方法において、この方法は、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金を、水素化圧力で水素を含む雰囲気に供する工程と、先の活性化工程によって達成されなかった水準である200mAh/gを超える容量を有する活性化金属水素化物合金を製造する工程中に合金を冷却する工程とを含む。幾つかの態様では、冷却工程は300℃以下の最大活性温度である。雰囲気は、任意に1.4メガパスカル以上、任意に6メガパスカル以上の水素化圧力である。本方法は、任意に300mAh/g以上、任意に350mAh/g以上、任意に400mAh/g以上、任意に450mAh/g以上の容量を有する活性化金属水酸化物合金を生成する。幾つかの態様では、活性化金属水素化物合金は24%未満のC14相を有する。幾つかの態様では、活性化金属水素化物合金は、主としてBCC相とラーベス相との組み合わせであり、BCC相は5%より高く且つ95%未満の存在量であり、ラーベス相は5%より高く且つ95%未満の存在量である。任意に、活性化金属水素化物合金は400オングストローム未満のBCC相クリスタリットサイズを含む。上記のいずれか又はそれらの組み合わせにおいて、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金は、任意に下記式II:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (II)
(式中、xは0.7〜2.8である)
のものである。上記のいずれか又はそれらの組み合わせにおいて、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金は、任意に下記式III:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (III)
(式中、xは0.7〜2.8である)
のものである。
TiwVxCryMz (I)
(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1≦x≦0.6、0.01≦y≦0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び遷移金属からなる群から選択される)
のラーベス相関連BCC金属水素化物合金の活性化方法において、この方法は、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金を、水素化圧力で水素を含む雰囲気に供する工程と、先の活性化工程によって達成されなかった水準である200mAh/gを超える容量を有する活性化金属水素化物合金を製造する工程中に合金を冷却する工程とを含む。幾つかの態様では、冷却工程は300℃以下の最大活性温度である。雰囲気は、任意に1.4メガパスカル以上、任意に6メガパスカル以上の水素化圧力である。本方法は、任意に300mAh/g以上、任意に350mAh/g以上、任意に400mAh/g以上、任意に450mAh/g以上の容量を有する活性化金属水酸化物合金を生成する。幾つかの態様では、活性化金属水素化物合金は24%未満のC14相を有する。幾つかの態様では、活性化金属水素化物合金は、主としてBCC相とラーベス相との組み合わせであり、BCC相は5%より高く且つ95%未満の存在量であり、ラーベス相は5%より高く且つ95%未満の存在量である。任意に、活性化金属水素化物合金は400オングストローム未満のBCC相クリスタリットサイズを含む。上記のいずれか又はそれらの組み合わせにおいて、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金は、任意に下記式II:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (II)
(式中、xは0.7〜2.8である)
のものである。上記のいずれか又はそれらの組み合わせにおいて、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金は、任意に下記式III:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (III)
(式中、xは0.7〜2.8である)
のものである。
発明の詳細な説明
以下の特定の態様の説明は、事実上単なる例示に過ぎず、決して本発明の範囲、その用途、又は使用を制限することを意図するものではなく、当然ながら、それらは変化し得る。本発明は、本明細書に含まれる非限定的な定義及び用語に関して説明される。これらの定義及び用語は、本発明の範囲又は実施を制限する役割を果たすように意図されていないが、例示的且つ説明的な目的のみのために提示されている。これらの方法又は組成は、個々の工程の順序として又は特定の材料を使用することとして記載されているが、これらの工程又は材料は交換可能であり、本発明の説明が当業者に容易に理解できるように多くの方法で用意された複数の要素又は工程を含み得ることが理解されている。
以下の特定の態様の説明は、事実上単なる例示に過ぎず、決して本発明の範囲、その用途、又は使用を制限することを意図するものではなく、当然ながら、それらは変化し得る。本発明は、本明細書に含まれる非限定的な定義及び用語に関して説明される。これらの定義及び用語は、本発明の範囲又は実施を制限する役割を果たすように意図されていないが、例示的且つ説明的な目的のみのために提示されている。これらの方法又は組成は、個々の工程の順序として又は特定の材料を使用することとして記載されているが、これらの工程又は材料は交換可能であり、本発明の説明が当業者に容易に理解できるように多くの方法で用意された複数の要素又は工程を含み得ることが理解されている。
ある要素が別の要素の「上にある」と表現する場合、これは他の要素の上に直接存在することができるか又はそれらの間に介在する要素が存在し得ることが理解されるだろう。対照的に、ある要素が別の要素の「真上にある」と表現する場合、介在する要素は存在しない。
「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって制限されるべきではないことが理解されるだろう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを、別の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用されている。従って、以下で説明する「第1の要素」、「構成要素」、「領域」、「層」又は「セクション」は、本明細書の教示から逸脱することなく、第2の(又は他の)要素、構成要素、領域、層、又はセクションと呼ぶことができる。
本明細書で使用する用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、制限することを意図するものではない。本明細書で使用されているように、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が明らかに別のことを示さない限り、「少なくとも1つ」を含む複数形を含むことが意図されている。「又は」は「及び/又は」を意味する。本明細書で使用されているように、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」又は「含む(includes)」及び/又は「含む(including)」は、記載された特徴、領域、整数、工程、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を規定しているが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが更に理解されるであろう。用語「又はそれらの組み合わせ」は、前述の要素の少なくとも1つを含む組み合わせを意味する。
本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、他に定義されない限り、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確に定義されない限り、理想化された意味に又は過度に形式張った意味に解釈されないことが理解されるであろう。
ラーベス相関連のBCC構造を有する水素吸蔵合金が、系のC14相とBCC相との間の相乗効果をどのように促進するかを特定するためにかなりの間研究されてきた。A部位及びB部位の元素を置換する先行研究が多数の混相合金で行われており、そのうちの幾つかがC14相の存在量を増減させることが判明した。これらの合金のガス貯蔵特性と電気化学的水素吸蔵特性の両方を向上させる手段として組成の改良が続けられている。これらの取り組みは幾つかの成功と結びついたが、しばしば結論を混乱させ、200mAh/gを超える容量の達成は困難なままであった。本明細書で提供された合金は、優れた電気化学特性を示すラーベス相関連BCC構造材料の水素吸蔵合金を示すことにより、これらの問題に単純で且つ洗練された解決策を示す。
優れた電気化学的特性を示すラーベス相関連BCC構造を有する水素吸蔵合金が提供されており、それらは意外にも同様の組成を有する従来の材料より優れている。下記式I:
TiwVxCryMz (I)
(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1≦x≦0.6、0.01≦y≦0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び1つ以上の遷移金属からなる群から選択される)
の組成を有するラーベス相関連BCC金属水素化物合金が提供される。合金は特定の方法によって活性化され、増加したBCC相の形成を促進し且つ得られた材料中のAB2相を制限する。結果は、サイクル10で200mAh/gを超える容量、任意に350mAh/g以上の容量を含む改善された電気化学的特性を有する活性化された金属水素化物合金である。
TiwVxCryMz (I)
(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1≦x≦0.6、0.01≦y≦0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び1つ以上の遷移金属からなる群から選択される)
の組成を有するラーベス相関連BCC金属水素化物合金が提供される。合金は特定の方法によって活性化され、増加したBCC相の形成を促進し且つ得られた材料中のAB2相を制限する。結果は、サイクル10で200mAh/gを超える容量、任意に350mAh/g以上の容量を含む改善された電気化学的特性を有する活性化された金属水素化物合金である。
任意に、下記式II:
Ti13.6+xZr2.1V44Cr13.2−xM27.1 (II)
(式中、xは0を超え且つ12以下の値であり、MはMn、Fe、Co、Ni、及びAlの組み合わせである)
の組成を有するラーベス関連BCC金属水素化物合金が提供される。任意に、xは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12であるか、又は非整数を含む0より高く且つ12以下の任意の値である。幾つかの態様では、xは2、4、6、8、10、又は12である。任意に、xは2又は4である。
Ti13.6+xZr2.1V44Cr13.2−xM27.1 (II)
(式中、xは0を超え且つ12以下の値であり、MはMn、Fe、Co、Ni、及びAlの組み合わせである)
の組成を有するラーベス関連BCC金属水素化物合金が提供される。任意に、xは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12であるか、又は非整数を含む0より高く且つ12以下の任意の値である。幾つかの態様では、xは2、4、6、8、10、又は12である。任意に、xは2又は4である。
任意に、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金は、下記式III:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (III)
(xは0.7〜2.8である)
の組成のものである。
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (III)
(xは0.7〜2.8である)
の組成のものである。
幾つかの態様では、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金は、200mAh/gを十分に超える、任意に220mAh/g以上、240mAh/g以上、260mAh/g以上、280mAh/g以上、300mAh/g以上、310mAh/g以上、320mAh/g以上、330mAh/g以上、340mAh/g以上、350mAh/g以上、360mAh/g以上、370mAh/g以上、380mAh/g以上、390mAh/g以上、400mAh/g以上、410mAh/g以上、420mAh/g以上、430mAh/g以上、440mAh/g以上、450mAh/g以上の容量を含む。任意に、金属水素化物合金は200〜450mAh/gの容量を含む。任意に、活性化された金属水素化物合金は200〜450mAh/gの容量を含む。任意に、金属水素化物合金は300〜450mAh/gの容量を含む。任意に、活性化された金属水素化物合金は300〜380mAh/gの容量を含む。任意に、金属水素化物合金は350〜450mAh/gの容量を含む。任意に、金属水素化物合金は400〜450mAh/gの容量を含む。任意に、金属水素化物合金は400〜420mAh/gの容量を含む。幾つかの態様では、前述の容量のいずれかは、任意に、2以上のサイクルで、任意に3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上のサイクルで存在する。任意に、金属水素化物合金は、サイクル10で350mAh/g以上、任意にサイクル10で400mAh/g以上、任意にサイクル10で420mAh/g以上の容量を有する。
その組成及び酸化の不足に応じて材料の物理的構造は類似の化学組成を有する従来の合金材料と比較して金属水素化物合金の優れた電気化学的特性を促進する。金属水素化物合金は、任意にBCC相及びラーベス相構造から主に形成されている。ある特定の理論に制限されずに、構造の優位性はBCC相にあり、ラーベス相が2相の存在によって生じる相乗効果を増加させることが考えられる。このように、本明細書に開示される方法によって任意に製造された金属水素化物合金は、任意に、5%より高く且つ95%未満の存在量でBCC相を有し、5%より高く且つ95%未満の存在量でラーベス相を有し、その際、BCC相とラーベス相との組み合わせは材料構造の50%を超える。任意に、BCC相は10%〜95%、20%〜95%、30%〜95%、40%〜95%、50%〜95%、60%〜95%、70%〜95%、又は80%〜95%であり、任意にこのような場合でもラーベス相は5%を超える。任意に、ラーベス相は、10%〜95%、20%〜95%、30%〜95%、40%〜95%、50%〜95%、60%〜95%、70%〜95%、又は80%〜95%であり、任意にこのような場合でもBCC相は5%を超える。幾つかの態様では、組成物は、30%未満、任意に25%未満、任意に24%未満、任意に20%未満、任意に15%未満、任意に14%未満、任意に13%未満、任意に12%未満であるC14ラーベス相を有する。
電気化学的特性を促進させるより大きな粒子間領域並びに貯蔵相と触媒相との間のより高い相乗的結合を可能にするのに十分に小さいクリスタリットサイズのBCC相を有する水素吸蔵合金が提供される。提供される合金は、400オングストローム以下、任意に390オングストローム以下、任意に380オングストローム以下、任意に370オングストローム以下、任意に360オングストローム以下、任意に350オングストローム以下、任意に340オングストローム、任意に330オングストローム以下、任意に320オングストローム以下、任意に310オングストローム以下、任意に300オングストローム以下、任意に290オングストローム以下、任意に280オングストローム以下、任意に270オングストローム以下、任意に260オングストローム以下、任意に250オングストローム以下、任意に240オングストローム以下、任意に230オングストローム以下、任意に220オングストローム以下、任意に210オングストローム以下、任意に200オングストローム以下、任意に190オングストローム以下、任意に180オングストローム以下、任意に170オングストローム以下、任意に160オングストローム以下、任意に150オングストローム以下、任意に140オングストローム以下、任意に130オングストローム以下、任意に120オングストローム以下のBCC相のクリスタリットサイズを有する。任意に、BCC相のクリスタリットサイズは、200オングストローム〜300オングストロームである。任意に、BCC相のクリスタリットサイズは120オングストローム〜300オングストロームである。任意に、BCC相のクリスタリットサイズは120オングストローム〜200オングストロームである。任意に、BCC相のクリスタリットサイズは120オングストローム〜160オングストロームである。任意に、BCC相のクリスタリットサイズは140オングストローム〜160オングストロームである。
水素吸蔵合金の物理的特性、構造的特性、及び電気化学的特性は、材料における過度のラーベス相の形成を防ぐこと、材料に対するBCC相構造の量を増加させること、又はその組み合わせによって向上する。このように、式I、式II、又は式IIIのラーベス相関連BCC金属水素化物合金の活性化(水素化)方法が提供される。この方法は、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金を水素化圧力で水素を含む雰囲気に曝し、同時にこの合金を冷却して、サイクル10で所望の容量、任意に200mAh/g以上の容量を有する活性化金属水素化物合金を生成することを含む。ラーベス相関連BCC金属水素化物合金を高められた圧力で水素に曝すと、水素化物形成反応の発熱性のために材料の温度が上昇する。合金の温度を制御しないで上昇させることは、得られる活性化合金の電気化学的特性に有害であることが判明した。このように、幾つかの態様では、合金は能動的な冷却工程を含む方法によって水素化される。特定の理論に制限されずに、水素化物化(hydriding)の間、材料の温度を制御することは、活性化の間に過剰なAB2相構造が合金中に形成することを促進する。温度制御は、ウォータージャケット付きシステム又は浴などを有する反応容器を冷却することによって、又は当該技術分野で公知の他の方法によって達成される。任意に、合金の反応温度は300℃を超えない。
幾つかの態様では、合金の温度は、水素化の間、室温〜任意に300℃、任意に295℃、任意に290℃、任意に285℃、任意に280℃、任意に275℃、任意に270℃、任意に260℃、任意に250℃、任意に240℃、任意に230℃、任意に220℃、任意に210℃、任意に200℃、任意に190℃、任意に180℃、任意に170℃、任意に160℃、任意に150℃、任意に140℃、任意に130℃、任意に120℃、任意に110℃、任意に100℃、任意に90℃、任意に80℃、任意に70℃、任意に60℃、任意に50℃、任意に40℃、任意に30℃に維持される。幾つかの態様では、合金は、水素化の間、室温〜300℃の温度に、又はそれらの間の任意の値若しくは範囲に維持される。
また、水素圧の上昇が、得られた活性化水素吸蔵合金において増量したBCC相の形成を促進するのに有用であることが判明した。このように、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金を水素化する幾つかの態様は、1.4MPa以上、任意に1.5MPa以上、任意に1.8MPa以上、任意に2MPa以上、任意に3MPa以上、任意に4MPa以上、任意に5MPa以上、任意に6MPa以上の水素化圧力で実施される。
幾つかの態様では、ラーベス相関連のBCC金属水素化物合金は、1.4MPaを超える水素化圧力と300℃以下までの温度制御の両方を用いて水素化される。このように、合金は、任意に、1.4MPa〜6MPa以上の水素化圧力で活性化し、合金が300℃、任意に295℃、任意に290℃、任意に285℃、任意に280℃、任意に275℃、任意に270℃、任意に260℃、任意に250℃、任意に240℃、任意に230℃、任意に220℃、任意に210℃、任意に200℃、任意に190℃、任意に180℃、任意に170℃、任意に160℃、任意に150℃、任意に140℃、任意に130℃、任意に120℃、任意に110℃、任意に100℃、任意に90℃、任意に80℃、任意に70℃、任意に60℃、任意に50℃、任意に40℃、任意に30℃を超えないように冷却している。上記の温度範囲のいずれか1つで、水素化圧力は、任意に6MPaと、任意に1.4MPa、任意に1.5MPa、任意に1.6MPa、任意に1.7MPa、任意に1.8MPa、任意に1.9MPa、任意に2MPa、任意に2.1MPa、任意に2.2MPa、任意に2.3MPa、任意に2.4MPa、任意に2.5MPa、任意に2.6MPa、任意に2.7MPa、任意に2.8MPa、任意に2.9MPa、任意に3MPa、任意に3.1MPa、任意に3.2MPa、任意に3.3MPa、任意に3.4MPa、任意に3.5MPa、任意に3.6MPa、任意に3.7MPa、任意に3.8MPa、任意に3.9MPa、任意に4MPa、任意に4.1MPa、任意に4.2MPa、任意に4.3MPa、任意に4.4MPa、任意に4.5MPa、任意に4.6MPa、任意に4.7MPa、任意に4.8MPa、任意に4.9MPa、任意に5MPa、任意に5.1MPa、任意に5.2MPa、任意に5.3MPa、任意に5.4MPa、任意に5.5MPa、任意に5.6MPa、任意に5.7MPa、任意に5.8MPa、任意に5.9MPaとの間である。幾つかの態様では水素化圧は6MPa以上である。
提供された方法によって製造された得られた活性化水素吸蔵合金は、従来の方法で製造された類似の組成を有する材料の2倍近くの容量、しばしば2倍を上回る容量を有する。
本発明の様々な態様を以下の非限定的な実施例によって例示する。実施例は説明のためのものであり、本発明の実施に際して制限されるものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく変形及び変更が可能であることが理解されるであろう。
試験
本発明の原理を説明する一連の実験に関連して、式I又は式IIの一連の金属水素化物合金を調製し、種々の条件で水素化した。原料を、非消耗タングステン電極と水冷銅トレイを使用してアルゴンを連続的に流した状態でアーク溶融した。形成前に、系中の残留酸素濃度を、犠牲チタンに数回の溶融−冷却サイクルを行うことにより低下させた。反復により数回の再溶融サイクルを行ったインゴットを調査し、化学組成の均一性を確保する。
本発明の原理を説明する一連の実験に関連して、式I又は式IIの一連の金属水素化物合金を調製し、種々の条件で水素化した。原料を、非消耗タングステン電極と水冷銅トレイを使用してアルゴンを連続的に流した状態でアーク溶融した。形成前に、系中の残留酸素濃度を、犠牲チタンに数回の溶融−冷却サイクルを行うことにより低下させた。反復により数回の再溶融サイクルを行ったインゴットを調査し、化学組成の均一性を確保する。
調製された合金試料の化学組成を、当技術分野で知られる原理に従ってVarian Liberty 100誘導結合プラズマ発光分光計(ICP−OES)を用いて測定した。活性化前のインゴットの原子百分率によるICPの結果を第1表に示す:
鋳放しの組成物は設計された組成物と極めて良く一致する。従来の系列の合金は、Cr含有量の不均一さを示し、これはアーク溶解時の出力を上げることにより改善された。この系列の合金(P8〜P14)の測定されたB/A比は2.61から5.36まで変化し、その範囲はヤング(Young)らのInt. J. Hydrogen Energy, http://dx.doi.org/10.1016/j.ijhydene.2014.01.134 (article in press)からの従来の系列(P1〜P8)に類似している。
相分布と組成
エネルギー分散分光法(EDS)が可能なJEOL−JSM6320F走査型電子顕微鏡を用いて、合金相分布及び組成を調べた。試料をエポキシブロックに取り付け、研磨し、すすぎ、乾燥させてからSEMチャンバーに入れた。後方散乱電子像を図1A〜Gに示す。EDSによる研究のために幾つかの領域が選択されており、それぞれ図1A〜図Gに数字で示されている。EDS測定の結果を第2表に示し、組成物P8〜P14の組成を、それぞれ、図1A〜1Gに示す。
エネルギー分散分光法(EDS)が可能なJEOL−JSM6320F走査型電子顕微鏡を用いて、合金相分布及び組成を調べた。試料をエポキシブロックに取り付け、研磨し、すすぎ、乾燥させてからSEMチャンバーに入れた。後方散乱電子像を図1A〜Gに示す。EDSによる研究のために幾つかの領域が選択されており、それぞれ図1A〜図Gに数字で示されている。EDS測定の結果を第2表に示し、組成物P8〜P14の組成を、それぞれ、図1A〜1Gに示す。
合金中のTi含有量が増加すると、BCC相とC14相の結晶粒径が共に減少し、その後、増加する。未反応の金属Zrが最初の数個の合金で発見された(図1Aスポット5)。また、製造されたTi含有量の増加はC14相の存在量を増加させるので、最終試料中に非合金Zrはほとんど見られない。TiNi相は図1F−3及び図1G−3に示すように合金P13及びP14に現れ始め、それらの合金は研究では最も高いTi含有量を有する。
C14相のZr含有量、Ti含有量、V含有量、Ni含有量及びB/A比を図2Aにプロットした。合金の全Ti含有量が増加すると、C14相のTi含有量は直線的に増加し、Zr含有量は減少する;Ni含有量は減少し、その後、安定する;V含有量はほとんど変わらない水準であり;そしてB/A比は2.1から1.5に単調に減少する。
従来の活性化方法を使用する対照の活性化合金及び実施例1〜3の方法の通りに製造された活性化合金を、気相水素吸蔵特性及び電気化学的特性並びに構造的配置に関する分析に供す。
XRD分析
合金の微細構造をフィリップスX’Pert Pro X線回折装置を用いて研究した。全7種類の合金P8〜P14のXRDパターン(それぞれ、a〜g)を図3Aに示す。
C14回折ピークとBCC回折ピークの両方が見られることは明らかである。合金におけるVの増加は、BCCピークの強度の減少とより低い角度へのシフトに対応し、C14ピークは強度が増加し、BCCピークと同じ方向にシフトする。
合金の微細構造をフィリップスX’Pert Pro X線回折装置を用いて研究した。全7種類の合金P8〜P14のXRDパターン(それぞれ、a〜g)を図3Aに示す。
C14回折ピークとBCC回折ピークの両方が見られることは明らかである。合金におけるVの増加は、BCCピークの強度の減少とより低い角度へのシフトに対応し、C14ピークは強度が増加し、BCCピークと同じ方向にシフトする。
種々の条件で水素化されたP8試料のXRDパターン(対照及び実施例1〜3)を図3Bに示す。2組の回折ピークが見られ、C14とBCCが、系全体におけるこれらの構造の重要性を示している。
全ての合金試料における各相のクリスタリットサイズは、リートベルト法及びJade 9ソフトウェアを用いたXRDデータのフルパターンフィッティングから得られる。XRDパターンから計算した両方の相の格子定数を第4表に示し、図4にプロットした。
Tiの量が増えると、C14相の格子定数a及びc並びにBCC相の格子定数aが共に増加する。C14相では、Ti含有量が増加するとc/a比が増加し、安定し、そして減少する。C14単位格子の異方性成長は、BサイトCr(AB2金属間合金の金属半径1.423オングストローム)と比較的大きいAサイトTi(半径1.614オングストローム)との部分置換に起因する。合金中のV含有量が増加すると、BCC相の格子定数aが2.9683オングストロームから3.0165オングストロームに増加する。
第4表は、P8〜P14合金の各相のクリスタリットサイズも示す。合金中のTi含有量が増加すると、C14相の存在量は11.0質量%から56.4質量%に増加し、合金P14では52.5質量%にわずかに低下する。BCC相は、P8からP14まで89.0%から47.5%に下降する逆の傾向を示す。同時に、C14クリスタリットサイズは最初に増加し、次に減少するが、BCCクリスタリットサイズは単調に減少する。
例示的な水素化物は、それぞれ、300オングストローム未満のBCC相のクリスタリットサイズを示す。
気相の特性
対照と実施例1〜3の気相水素吸蔵特性を、鈴木商館のマルチチャンネル圧力−濃度−温度(PCT)システムを用いて測定した。次に30℃と60℃でのPCT等温線を測定した。対照及び実施例1の通りに水素化された合金P8について得られた吸着及び脱着等温線を図6に示す。対照の通りに水素化されたP8の合金は、顕著なヒステリシスを示し、活性化後の水素質量百分率は1.1%を超えていない。同一の水素ガス圧を使用するが、活性化中の合金の最高温度が300℃を超えないように制御する方法によって活性化された同じ材料は、第2のプラトーの完成と1.5%を上回る水素質量パーセンテージを示す。
対照と実施例1〜3の気相水素吸蔵特性を、鈴木商館のマルチチャンネル圧力−濃度−温度(PCT)システムを用いて測定した。次に30℃と60℃でのPCT等温線を測定した。対照及び実施例1の通りに水素化された合金P8について得られた吸着及び脱着等温線を図6に示す。対照の通りに水素化されたP8の合金は、顕著なヒステリシスを示し、活性化後の水素質量百分率は1.1%を超えていない。同一の水素ガス圧を使用するが、活性化中の合金の最高温度が300℃を超えないように制御する方法によって活性化された同じ材料は、第2のプラトーの完成と1.5%を上回る水素質量パーセンテージを示す。
PCT等温線のヒステリシスは、ln(Pa/Pd)として定義されており、ここで、Pa及びPdは、それぞれ、脱着等温線の中間点における吸着及び脱着の平衡圧力である。ヒステリシスはサイクル中の合金の粉砕速度を予測するのに使用できる。合金のヒステリシスが大きいほど、水素化/脱水素サイクル中の粉砕速度は速くなる。ヒステリシスから、サイクル安定性の大幅な向上が、実施例1〜3の方法に従って活性化することにより期待される。特に、最高温度が300℃を超えないようにインゴットを活性化中に冷却することで、ヒステリシスが大幅に減少する。
P8〜P14の合金を、PCT試験のために同様に水素化する。全ての試料を、最大圧力(5.0MPa)の水素の存在下で1回の熱サイクルで活性化する。結果的に、測定によりPCT特性は大きく変化しない。30℃と60℃で測定した得られた吸着及び脱着等温線を図7Aと図7Bに示す。比較として、図7Aに示すように、試料P8*を活性化し、最大水素圧力を1.1MPaに設定して測定し、他の全ての試料を5MPaまで測定した。PCTの研究から得られた情報を第7表にまとめる。
1.3質量%及び1.5質量%の水素吸蔵における脱着曲線の平衡圧力を、それぞれ、合金P8〜P10及び合金P11〜P14のプラトー圧力として用いた。それらは、Ti含有量の増加に伴い減少する傾向を示す。より低い平衡圧力は、BCC相とC14相の両方の膨張した単位格子から生じる。PCT等温線のヒステリシスは、ln(Pa/Pd)として定義されており、ここで、PaとPdは、それぞれ示された水素吸蔵濃度での吸着と脱着の平衡圧力である。一般に、Ti含有量が増加するにつれてヒステリシスが減少し、このことはサイクリング中の粉砕を減らすことによりサイクル安定性を高めることが期待される。Ti含有量が増加すると、最大容量は、より大きな単位格子のサイズ及びより多くの水素を収容する能力のために増加するが;可逆的な水素吸蔵容量は、(より低い平衡圧力から判断して)金属水素結合強度の増加のために低下する。30℃、60℃、及び90℃での脱着平衡圧力を用いて、エンタルピー(ΔH)とエントロピー(ΔS)の変化を下記式
ΔG=ΔH−TΔS=RTlnP (2)
(式中、Rは理想気体定数であり、Tは絶対温度である)
により推定した。これらの計算結果を第7表に示す。これらの値は、主にこれらの合金の比較に有用である。合金中のTi含有量が増加すると、−ΔHと−ΔSの両方が最初に減少し、次に増加する。ΔH値はプラトー圧と相関がなく、これは単一の優位相を有する合金ではほとんど見られない。ΔSは、MH系が完璧な秩序状態からどのくらい離れているか(障害の程度)を示すものである。ΔSの理論値は、−135Jモル−1K−1に近い、水素ガスのエントロピーである。より等しいC14とBCCの存在量を有する合金(P13とP14)が最も高いΔS値を有していないことが分かり興味深い。その代わりに、高密度のBCC/C14粒界を有する合金P10及びP11が最も高いΔSを有する。
ΔG=ΔH−TΔS=RTlnP (2)
(式中、Rは理想気体定数であり、Tは絶対温度である)
により推定した。これらの計算結果を第7表に示す。これらの値は、主にこれらの合金の比較に有用である。合金中のTi含有量が増加すると、−ΔHと−ΔSの両方が最初に減少し、次に増加する。ΔH値はプラトー圧と相関がなく、これは単一の優位相を有する合金ではほとんど見られない。ΔSは、MH系が完璧な秩序状態からどのくらい離れているか(障害の程度)を示すものである。ΔSの理論値は、−135Jモル−1K−1に近い、水素ガスのエントロピーである。より等しいC14とBCCの存在量を有する合金(P13とP14)が最も高いΔS値を有していないことが分かり興味深い。その代わりに、高密度のBCC/C14粒界を有する合金P10及びP11が最も高いΔSを有する。
電気化学特性評価
各合金の放電容量を、部分的に予備充電されたNi(OH)2正極に対して浸漬型セル(flooded-cell)構成で測定した。半電池の電気化学的研究のために、各インゴットを最初に粉砕し、次に200メッシュのふるいに通した。篩い分けした粉末を、次に膨張したニッケル金属基板上に10トンのプレスで圧縮し、バインダーを使用せずに試験電極(面積約1cm2、厚さ約0.2mm)を形成した。これにより活性化挙動の測定が改善された。得られた小型電極の放電容量を、正極として部分的に予備充電したNi(OH)2ペースト電極を使用し且つ電解液として6MのKOH溶液を使用して浸漬型セル構成で測定した。各試料の電極を50mA/gの定電流密度で10時間充電し、次いで電流密度50mA/gで放電し、続いて12mA/g及び4mA/gで2回引き出した。最初の13サイクルからの全容量(4mA/g)を図8Aにプロットし、これらの合金の活性化及びサイクル挙動を調べる。C14相と比べたBCC相の耐食性及びKOHに対するCrの耐食性のために合金の活性化が容易になるが、BCC相の存在量とCr含有量は減少する。耐食性の低下は活性化に役立つが、サイクル安定性も低下する。
各合金の放電容量を、部分的に予備充電されたNi(OH)2正極に対して浸漬型セル(flooded-cell)構成で測定した。半電池の電気化学的研究のために、各インゴットを最初に粉砕し、次に200メッシュのふるいに通した。篩い分けした粉末を、次に膨張したニッケル金属基板上に10トンのプレスで圧縮し、バインダーを使用せずに試験電極(面積約1cm2、厚さ約0.2mm)を形成した。これにより活性化挙動の測定が改善された。得られた小型電極の放電容量を、正極として部分的に予備充電したNi(OH)2ペースト電極を使用し且つ電解液として6MのKOH溶液を使用して浸漬型セル構成で測定した。各試料の電極を50mA/gの定電流密度で10時間充電し、次いで電流密度50mA/gで放電し、続いて12mA/g及び4mA/gで2回引き出した。最初の13サイクルからの全容量(4mA/g)を図8Aにプロットし、これらの合金の活性化及びサイクル挙動を調べる。C14相と比べたBCC相の耐食性及びKOHに対するCrの耐食性のために合金の活性化が容易になるが、BCC相の存在量とCr含有量は減少する。耐食性の低下は活性化に役立つが、サイクル安定性も低下する。
全体的なTi含有量が増加すると、両方の容量が増加し、次いで減少する。合金P12で最大容量463mAh/gを測定した。気相容量を理論電気化学的容量に変換し、測定した電気化学吸蔵容量に従って合金番号に対してプロットすると、4mA/g(低率)曲線は最大気相容量をたどり、50mA/g(高率)曲線は可逆的気相容量をたどる(図9)。このプロットでは、気相容量を以下により電気化学的容量に変換する:
1質量%のH2=268mAhg−1 (3)
1質量%のH2=268mAhg−1 (3)
この系列の合金の電気化学的容量は、最大気相容量及び可逆的気相容量によって設定された境界の間にあり、これらの容量は5MPaの水素化プロセスによって試料を完全に活性化した後の他のMH系に類似する。
4mA/gで測定した放電容量に対する50mA/gで測定した放電容量の比として定義される、各合金の半電池HRD値を、安定化した第4サイクルで測定し、第8表に示す。P10を除いて、全合金のHRDは4サイクル以内に安定する。合金中のTi含有量が増加すると、HRDは急激に減少する。触媒のC14相の存在量の増加は、HRDの性能には役立たない。P8*とP8のHRDを比較すると、活性化中に使用される水素圧力がより低く且つ気相での可逆性がより低いにもかかわらず、P8*の電気化学的HRDがより高いことがわかる(図7A)。この観察は合金の様々な相に起因すると考えることができる。PCT曲線で見られる2つの圧力プラトーは、2つの異なる相に関連し得る。より低いプラトー圧(図7Aの0.3質量%〜1.0質量%)を有する第1の相は、第2の相(図7Aの1.0質量%〜1.6質量%)よりも優れた速度能力を有する。C14相はBCC相よりも触媒的であると考えられている。従って、より低いプラトー圧を有する相をC14相に割り当て、より高いプラトー圧を有する相をBCC相に割り当てる。第1プラトーの増加幅は、C14相の存在量の増加と一致し、第2プラトーの減少幅は、XRD分析で得られたBCC相の存在量の減少と一致する(第4表)。
Ti含有量の増加と共にHRDが減少する理由を調べるために、バルク拡散係数(D)と表面交換電流(Io)の両方を電気化学的に測定した。両方の測定の詳細は、F. Li, K. Young, T. Ouchi, M. A. Fetcenko, J. Alloys Compd. 471 (2009) 371-7によって既に報告されており、これらの値を第8表に示す。D値とC14クリスタリットサイズを、図10において合金番号に対してプロットする。D値はTi含有量の増加と共に増加する傾向があり、C14クリスタリットサイズは減少する傾向がある。この一般的な傾向は、触媒C14のクリスタリットサイズが小さいほど、より多くの粒子間領域の形成を可能にし、このことがプロトンの移動を促進してD値を増加させることを示す。
本明細書に記載された特許、刊行物、及び出願は、本発明が関係する当業者の水準を示すものである。これらの特許、刊行物、及び出願は、それぞれの個々の特許、刊行物、又は出願が参照により本明細書に具体的に且つ個々に組み込まれているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
上記を考慮して、本発明の他の変更及び変形が実施され得ることが理解されるべきである。上記の図面、議論、及び説明は、本発明の幾つかの特定の態様を例示するが、その実施の際に制限されることを意図するものではない。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定する全ての等価物を含む。
Claims (24)
- 下記式I:
TiwVxCryMz (I)
(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1≦x≦0.6、0.01≦y≦0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び遷移金属からなる群から選択される)
の組成を含み、
サイクル10でグラム当たり200ミリアンペア時を超える容量を有する、ラーベス相関連BCC金属水素化物合金。 - グラム当たり350ミリアンペア時以上の容量を有する、請求項1に記載の合金。
- グラム当たり400ミリアンペア時以上の容量を有する、請求項1に記載の合金。
- グラム当たり420ミリアンペア時以上の容量を有する、請求項1に記載の合金。
- 24%未満のC14相を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。
- 前記金属水素化物合金が、主としてBCC相とラーベス相との組み合わせであり、前記BCC相は5%より高く且つ95%未満の存在量であり、前記ラーベス相は5%より高く且つ95%未満の存在量である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。
- 400オングストローム未満のBCC相クリスタリットサイズを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。
- 200オングストローム未満のBCC相クリスタリットサイズを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。
- 1.20〜1.31のB/A比を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。
- x/yが1〜3である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。
- 下記式II:
Ti13.6+xZr2.1V44Cr13.2−xM27.1 (II)
(式中、xは0を超えて12以下の値であり、且つMはMn、Fe、Co、Ni、及びAlの組み合わせである)
の組成を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。 - xが2、4、6、8、10又は12である、請求項10に記載の合金。
- xが2又は4である、請求項10に記載の合金。
- 下記式III:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (II)
(式中、xは0.7〜2.8である)
の組成を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。 - 下記式I
TiwVxCryMz (I)
(式中、w+x+y+z=1、0.1≦w≦0.6、0.1≦x≦0.6、0.01≦y≦0.6であり、MはB、Al、Si、Sn及び遷移金属からなる群から選択される)
のラーベス相関連BCC金属水素化物合金の活性化方法であって、
(i)前記ラーベス相関連BCC金属水素化物合金を、水素化圧力で水素を含む雰囲気に供する工程;及び
(ii)グラム当たり200ミリアンペア時を超える容量を有する活性化金属水素化物合金を製造する前記工程の間に前記合金を冷却する工程
を含む、前記方法。 - 前記冷却工程が摂氏300度以下の最大活性温度である、請求項15に記載の方法。
- 前記水素化圧力が1.4メガパスカル以上である、請求項15に記載の方法。
- 前記水素化圧力が6メガパスカル以上である、請求項15に記載の方法。
- 前記活性化金属水素化物合金がグラム当たり300ミリアンペア時以上の容量を有する、請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法。
- 前記活性化金属水素化物合金がグラム当たり350ミリアンペア時以上の容量を有する、請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法。
- 前記活性化金属水素化物合金が24%未満のC14相を有する、請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法。
- 前記活性化金属水素化物合金が主としてBCC相とラーベス相との組み合わせであり、前記BCC相は5%より高く且つ95%未満の存在量であり、前記ラーベス相は5%より高く且つ95%未満の存在量である、請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法。
- 前記活性化金属水素化物合金が400オングストローム未満のBCC相クリスタリットサイズを含む、請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法。
- 前記ラーベス相関連BCC金属水素化物合金が下記式III:
Ti0.4+x/6Zr0.6−x/6Mn0.44Ni1.0Al0.02Co0.09(VCr0.3Fe0.063)x (II)
(式中、xは0.7〜2.8である)
のものである、請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法。
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