JP2017527566A - タンパク質カプセル - Google Patents

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Abstract

本発明は、タンパク質の集合体を含む材料の殻を有するカプセルを提供し、前記カプセルには、タンパク質の集合体である殻内の材料のネットワークが供給されてもよい。前記タンパク質の集合体は、任意に別のタンパク質と一緒の、タンパク質の凝集により、得られるか、又は得ることができる。前記集合体は、タンパク質の非共有結合性集合体である。

Description

関連出願
本事例は、2014年9月4日(04/09/2014)に出願された英国特許第1415681.4号の有益性及び優先権を主張し、その内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、集合したタンパク質のネットワークに基づくカプセル、特にマイクロカプセル、及びかかるカプセルの調製方法、及びカプセル化された構成成分を送達する方法におけるそれらの使用に関する。
アミロイドフィブリル(Amyloid fibrils)は、直線状タンパク質構造であり、タンパク質ミスフォールディング疾患(protein misfolding diseases)の特徴として、病理学の状況で初期に認識されているが、最近になって、触媒スカフォールド(scaffolds)及び細菌コーティングを含む天然の多数の機能性材料の基盤として発見されている。それらの頑強な材料特性(Knowles et al. Nat. Nanotechnol. 6, 469-479 (2011)、Paparcone et al. Biochemistry 49, 8967-8977 (2010))並びに様々なタンパク質及びペプチドから正確に自己集合する能力(Fowler et al. European Journal of Oral Sciences 114, 297-303 (2006)、Li et al. Nat. Nano 7, 421-427 (2012)、Li et al. Advanced Materials 25, 3694-3700 (2013))に起因して、これらのナノスケールの材料の人工バリアント(variants)は、細胞培養スカフォールド及び薬物送達媒体としての使用の増加が見出されている(Zhang et al. Nat. Biotech.21, 1171-1178 (2003)、Maji, S. K. et al. PLoS Biol. 6, e17 (2008))。
しかしながら、一般的なアミロイドスカフォールドのこれらの用途は、空間的に一様なゲルを超えたものとなるように全体的なミクロンスケールの形態を制御することが難しいことにより制限されている。
本発明者等は、タンパク質が、制御条件下で自己集合して、離散形態を有する構造を形成し得ることを見出した。
Knowles et al. Nat. Nanotechnol. 6, 469-479 (2011) Paparcone et al. Biochemistry 49, 8967-8977 (2010) Fowler et al. European Journal of Oral Sciences 114, 297-303 (2006) Li et al. Nat. Nano 7, 421-427 (2012) Li et al. Advanced Materials 25, 3694-3700 (2013) Zhang et al. Nat. Biotech.21, 1171-1178 (2003) Maji, S. K. et al. PLoS Biol. 6, e17 (2008)
一般的な態様では、本発明は、タンパク質の集合体を含む材料の殻を有するカプセルを提供し、カプセルには、タンパク質の集合体である殻内の材料のネットワークが供給されてもよい。タンパク質の集合体は、任意に別のタンパク質と一緒に、タンパク質の凝集により、得られるか、又は得ることができる。集合体は、タンパク質の非共有結合性集合体である。
本発明のカプセルは、ヒドロミクロゲルなどのミクロゲルとみなされ得る。これらの構造は、合成しやすく、生分解性かつ無毒性であり、カプセル化及び小分子などの構成成分を放出するのに適している。
タンパク質は通常、アミロイドフィブリル(amyloid fibril)形態を有する集合体として供給される。本発明のカプセルは、タンパク質のオリゴマー形態を実質的に含まない。オリゴマー構造は、潜在的に有毒な影響と関連付けられ、本明細書中に記載するタンパク質凝集方法は、かかる構造を回避させることが可能である。本明細書中に記載するように、オリゴマーは、2〜50個のタンパク質を含み得る。かかる構造は、アミロイドフィブリル形態よりもかなり低い複合分子量を有する。
したがって、本発明の第1の態様では、タンパク質のフィブリル集合体(fibril assembly)などのタンパク質の集合体を含む材料の殻を有するカプセルが提供される。
殻は、タンパク質の自己集合体から得られるか、又は得ることができる。一実施形態では、殻は、2又は3以上のタンパク質の自己集合体から得ることができる。集合体は、タンパク質の非共有結合性集合体である。
一実施形態では、カプセルは、タンパク質の集合体を含む殻内のネットワークをさらに含む。他の実施形態では、カプセルは、カプセルの殻で保持されるタンパク質を含む。かかるタンパク質は、必ずしも集合形態で存在せず、カプセルは、当該タンパク質をカプセル化するものとみなされ得る。
一実施形態では、ネットワークは、タンパク質のフィブリルを含む。
一実施形態では、殻及びネットワークは、結合されている。
本発明の第2の態様では、構成成分を保持するカプセルであって、本発明の第1の態様のカプセルであるカプセルが提供される。
本発明の第3の態様では、タンパク質の集合体を含む殻を有するカプセルの調製方法であって、
(i)チャネルにおいて第1の相の流れ及び第2の相の流れを接触させて、それによりチャネルにおいて、第1の相中に第2の相の離散領域、好ましくは液滴の分散液を生成させるステップであって、第1及び第2の相のうちの一方が、タンパク質の集合体を形成するのに適したタンパク質を含み、それにより離散領域の境界でカプセル殻を形成し、第1及び第2の相が非混和性であるステップ
を含む方法が提供される。
一実施形態では、タンパク質は、タンパク質の集合体用の種とともに供給され、種は、タンパク質の集合体である。種の使用は、それが、カプセル形成ステップ中にタンパク質フィブリル化を促進し得るため有益であり得る。
一実施形態では、タンパク質は、水相である流れ中に供給される。水相は、第1又は第2の相であり得る。
一実施形態では、第1の相が水相である。この実施形態では、形成されるカプセルは、タンパク質の集合体である材料の殻を有する。
一実施形態では、第2の相が水相である。この実施形態では、形成されるカプセルは、タンパク質の集合体である材料の殻を有し、カプセルは、タンパク質の集合体を含む殻内のネットワークを有する。
一実施形態では、第1及び第2の相のうちの一方が水相であり、第1及び第2の相のうちの他方が非水相である。非水相は、フッ素化油相を含む油相であり得る。
一実施形態では、第2の相は、カプセル化用の構成成分を含み、ステップ(i)は、構成成分をカプセル化する殻を有するカプセルを提供する。
一実施形態では、ステップ(i)は、離散領域を加熱して、それにより離散領域の境界でカプセル殻を形成するステップを含む。
一実施形態では、上記方法は、(ii)チャネルからの流出を収集して、それによりカプセルを含有する液滴を得る続くステップをさらに含む。このステップは、加熱ステップ前又は後に実施され得る。
本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様のカプセルを修飾する方法であって、
(i)本発明の第1の態様による殻を有するカプセルを供給するステップと、
(ii)カプセルをタンパク質と接触させるステップと、
(iii)タンパク質が集合体に加わることを可能にするステップであって、タンパク質の集合体が殻におけるものであるステップ、及び/又は任意に、存在する場合、材料のネットワーク中のタンパク質の集合体にタンパク質が加わることを可能にするステップと
を含む方法が提供される。
一実施形態では、ステップ(i)における使用のためのカプセルは、本発明の第3の態様の方法から得られるか、又は得ることができる。一実施形態では、上記方法は、第3の態様の方法に続いて実施される。
さらなる態様では、構成成分を位置へ送達する方法であって、
(i)本発明の第2の態様による構成成分をカプセル化する殻を有するカプセルを供給するステップと、
(ii)カプセルを標的位置へ送達するステップと、
(iii)構成成分を殻から放出させるステップと
を含む方法が提供される。
本発明のさらなる態様では、第1のカプセルである本発明の第1の態様のカプセルが提供され、第1のカプセルは、第2のカプセル内に保持され、第2のカプセルは、タンパク質の集合体を含む材料の殻を有する。
第1のカプセルの殻中のタンパク質は、第2のカプセルの殻中のタンパク質と異なり得る。
タンパク質カプセル合成の略図を含む:(a)油中水型カプセル、及び(b)水中油型カプセル。ナイルレッド色素で染色したカプセルの相当する3D共焦点画像は、各スキームの右側に示す。図(c)及び図(d)は、(c)リゾチーム油中水型及び(d)水中油型系に関する共焦点画像の3D再構築である。カプセルは、ナイルレッド色素で染色した。赤色発光(594nmで励起/617nmで発光)が、水性タンパク質構成成分に関して観察された一方で、緑色発光(488nmで励起/519nmで発光)は、油環境に関して検出される。スケールバー=5μm。 (a)種々のサイズ(左から右へ:直径49μm、23μm及び0.34μm)のリゾチームカプセルの光学顕微鏡法画像、並びに(b)マイクロ流体チャネル幅の変化及び水溶液流速対油流速の比の変化の関数として、リゾチームカプセルサイズの変化を示すグラフを含む。 (a)3.4×10−2mMの初期種濃度及び4.08mMの可溶性タンパク質の濃度を用いて合成したリゾチームカプセルのSEM画像(上部)(左から右へ:種濃度を、3.4×10−2mMから27.2×10−2mMまで増加させた)の走査型電子顕微鏡法及び共焦点顕微鏡法画像である。3.4×10−2mMの初期種濃度及び4.08mMの可溶性リゾチームの濃度を用いて合成したThT染色したリゾチームカプセルの共焦点顕微鏡法画像の3D再構築(下部)(左から右へ:種濃度を、3.4×10−2mMから27.2×10−2mMまで増加させた)。濃度は、各画像の上部に示す。(b)4.08mMから13.6mMの増加リゾチーム濃度を用いたThT染色したカプセルのSEM及び共焦点画像。青色発光(励起350nm/発光438nm)が、リゾチームタンパク質モノマーに関して検出され、緑色蛍光発光(励起450nm/発光482nm)は、リゾチームナノフィブリルに関して検出される。スケールバー=1μm。 (a)リゾチームカプセルへの小分子カプセル化及びリゾチームカプセルからの放出の略図、(b)薬物を含有する前駆溶液(「前」)及び薬物を充填したカプセル(「後」)の画像、(c)小分子濃度の関数として記録される充填効率の変化を示すグラフ、(d)時間の関数として放出動態(放出される分子の総量の比率)を示すグラフ、並びに(e)タンパク質モノマー溶液とのインキュベーション前(青色)及び後(赤色)のリゾチームゲルに関する蛍光強度プロファイルを示す。相当するゲルの画像をグラフ上に示す。図(e)は、導入されるモノマー(リゾチームなどの)を使用したカプセルの合成後修飾の略図も示す。 (a)U20Sヒト細胞を用いた生存度試験の結果を示す。細胞生存度を、下記の溶液に関して測定した:リゾチーム種及びリゾチームモノマーの前駆混合物、リゾチームカプセル、テトラサイクリン薬物が充填されたリゾチームカプセル、空のリゾチームカプセルからの洗浄緩衝液並びにテトラサイクリンを充填したリゾチームカプセルからの洗浄緩衝液。(b)放出されるテトラサイクリン及びペニシリンVの抗菌活性を黄色ブドウ球菌(S. areus)に対して試験した抗菌試験の結果を示す。溶液中の遊離薬物への、及びリゾチームカプセル内にカプセル化された薬物への曝露により得られる阻害ゾーンは、濃度の関数として測定した。青色の列は、遊離薬物を、緑色の列は、カプセルから放出された薬物を表す。 リゾチームカプセルに関する放出メカニズムの表示であり、(a)は、リゾチームカプセルのSEM画像である;(b)表面から脱離したタンパク質層を有するリゾチームカプセルのTEM画像。スケールバー=1μm;(c)表面上での孔の創出を示すカプセルのSEM画像;(d)カプセルから放出されたリゾチームフィブリルのTEM画像。スケールバー=0.1μm、及び(e)脱凝集させたリゾチームカプセルのSEM画像。SEM画像に関するスケールバー=10μm。マイクロ流体チャネル幅の変化の関数として、及び水溶液:油の比の変化を用いたリゾチームカプセルζ−電位の変化を示すグラフは下部にある。 (a)マイクロ流体技法により形成される単一及び多層カプセル構造の略図を示す。インスリンタンパク質は赤色で、グルカゴンは青色で、リゾチームは緑色でマークし、1は、全てインスリンのカプセルであり、2は、全てグルカゴンのカプセルであり、3は、インスリン及びリゾチームのカプセル、などである。z−スタック共焦点画像の3D再構築を、(b)単一殻インスリンカプセル、(c)グルカゴン及びインスリンの混合物で作製される単一殻ゲル粒子、(d)グルカゴンが、ゲル粒子のコア中に局在化される一方で、リゾチームは、粒子殻中に局在化される二重殻グルカゴン−リゾチームゲル、(e)カプセルのコアが、グルカゴン及びインスリン混合物から形成される粒子であって、そのコアが、リゾチーム外殻で包まれる粒子、(f)(コアから殻まで)グルカゴン、リゾチーム、インスリン及びリゾチームから構築される4つの殻カプセル、並びに(g)コア中にグルカゴン−リゾチーム混合物及び外殻に関してインスリン−リゾチーム混合物を有するカプセルに関して示す。スケールバー=5μm。 (a)微小液滴中のタンパク質殻の数の増加に起因して、タンパク質殻層間に捕捉される油分画の増加を表すチャート、(b)微小液滴中のタンパク質殻の数の変化の関数として、カプセル形成の効率(赤色で)及び生じたカプセルの平均サイズ(青色で)の変化を示すグラフ、(c)線維(実線)及びカプセル(ミクロゲル:破線)の形成中のインスリン、グルカゴン及びリゾチームタンパク質のThTベースの凝集動態研究における経時的な蛍光(aU)の変化(集合体は、左から右へ、1a.u.にて、グルカゴン、インスリン、リゾチーム、リゾチーム、インスリン及びグルカゴンである)、並びに(d)自然状態及びカプセル形態におけるインスリン、グルカゴン及びリゾチームフィブリルの原子間力顕微鏡法(AFM,Atomic Force Microscopy)を示す。スケールバー=200nm。 (a)混合インスリン及びグルカゴンカプセル、(b)インスリンが、ゲル粒子のコア中に局在化される一方で、リゾチームは、粒子殻中に局在化される二重殻インスリン−リゾチームゲルからのタンパク質放出の略図、並びに(c)11個のカプセルからの放出タンパク質のパーセントを示す棒グラフ(左から右へ、カプセルは、インスリンカプセル;グルカゴンカプセル;リゾチームカプセル;混合リゾチーム及びインスリンカプセル;混合リゾチーム及びグルカゴンカプセル;混合インスリン及びグルカゴンカプセル;グルカゴン及びインスリンがコア中に局在化され、リゾチームは、粒子殻中に局在化される二重殻カプセル;インスリンがコア中に局在化され、リゾチームは、粒子殻中に局在化される二重殻カプセル;グルカゴンがコア中に局在化され、リゾチームは、粒子殻中に局在化される二重殻カプセルである)を示す。放出タンパク質の量は、カプセル構造へ導入される総タンパク質の割合(%)として算出した。タンパク質はそれぞれ、蛍光シグナルに続いて検出された:インスリン励起593nm/発光614nm、グルカゴン励起347nm/発光448nm及びリゾチーム励起490nm/発光515nm。 かかるカプセルの形成方法の略図及びそれらの形成における使用のためのマイクロ流体構造の画像を示し、(a)は、タンパク質の集合体である殻を有するカプセルであって、タンパク質の集合体でもある殻内のネットワークをさらに含むカプセルの形成を示し、(b)は、2つのタンパク質(四角印及び丸印で表される)の集合体である殻を有するカプセルであって、2つのタンパク質の集合体でもある殻内のネットワークをさらに含むカプセルの形成を示し、(c)は、第1のタンパク質(三角印で表される)の集合体である殻を有するカプセルであって、第2及び第3のタンパク質(四角印及び丸印で表される)の集合体である殻内のネットワークをさらに含むカプセルの形成を示し、(d)は、第1及び第2のタンパク質(三角印と四角印で表される)の集合体である殻を有するカプセルであって、第1及び第3のタンパク質(三角印と丸印で表される)の集合体でもある殻内のネットワークをさらに含むカプセルの形成を示し、(e)は、第1、第2及び第3のタンパク質の多重殻を有し、第4のタンパク質の集合体である内部殻、及び第4のタンパク質の集合体でもある殻内のネットワークを有する内部殻をさらに含むネステッドカプセルの形成を示す。 6つの異なるカプセル構造に関して、経時的(時間)なタンパク質濃度(μg/mL)の変化を示す一連の6つのグラフであり、(a)は、リゾチームカプセル並びに構造1及び2からの放出を示し、(b)は、構造3及び4からの放出を示し、(c)は、構造5及び8からの放出を示し(破線)、(d)は、構造6及び7からの放出を示し、(e)は、構造10からの放出を示し、(f)は、構造9からの放出を示す。リゾチームタンパク質放出は緑色の線で、グルカゴンは青色で、インスリンは赤色でマークし、カプセル付番は、図7に示すものを参照する。 リゾチームの放出中のリゾチームの結晶構造の概要及びTEM画像である。 本明細書中に記載する種形成方法により形成されるリゾチーム種のAFM画像である。スケールバーは、400nmである。 卵白又は卵黄タンパク質の集合体から、本発明の一実施形態によるカプセルを調製する方法の概略図である。右側の光学顕微鏡法画像は、卵白カプセル(上部)及び卵黄カプセル(下部)を示す。スケールバーは、20μmである。 卵白カプセル(左)、卵黄カプセル(中)及び煮沸した卵白カプセル(右)の一連の光学顕微鏡(上部)及びSEM画像(下部)である。スケールバーは、全ての画像に関して20μmである。
本発明者等は、タンパク質の集合体から得ることができる殻を有するカプセルを調製し得ることを確立させた。カプセルは、とりわけ、流体液滴生成技法(fluidic droplet generation techniques)を使用して形成され、調製方法は、自己集合するタンパク質の能力を利用する。タンパク質の、離散した殻を形成する能力は、多くの場合に非晶質集合体を形成するタンパク質のこれまでに報告されている挙動を考慮すると驚くべきことである。
カプセルは、流体液滴調製技法の使用によって得ることができる。これらの技法は、それらが、非常に低分布のサイズを有する液滴を生成して、それにより、サイズが非常に低分布を有するカプセルが生じるという点で、特に有益である。さらに、本発明の方法は、製品カプセルの形成を上回る厳密な制御を可能とする。流速の変化などの流体液滴調製技法の単純な変化を使用して、とりわけ、得られるカプセルのサイズ及び性質、殻中の孔のサイズ、並びに殻の厚さを制御し得る。
本発明のカプセルは、頑強であることが示され、少なくとも60℃、例えば少なくとも100℃の温度に耐えることが可能である。カプセルはまた、減圧下でそれらの完全性を維持する。
本発明のカプセルは、構成成分をカプセル化するのに適している。本明細書中に記載の流体液滴調製技法を使用して、カプセル殻は、カプセル化されるべき構成成分の存在下で構築され得る。したがって、一手順では、殻が形成され、構成成分がカプセル化され得る。したがって、有利なことには、カプセルは、カプセル構築後のより後期の受動拡散ステップを必要とせずに構築され得る。
さらに、カプセル化の方法は、カプセルへの材料の高い割合の取込みを可能にし、したがって、材料廃棄物が最低限に抑えられる。
ここで、本発明の各特色を参照して、本発明をより詳細に記載する。
本発明のカプセルは、ミクロゲル(microgels)、例えばヒドロミクロゲル(hydromicrogels)と称されてもよく、ここで、それらは、水などの流体を保持し、その内部に供給される。
ミクロゲルは、軟質物質の2つの重要な種類であるコロイド及びポリマー由来の特徴を組み合わせ、ゲルとして挙動する架橋ポリマーネットワークで構成されるミクロンスケールの粒子からなる(Wei-Chun Chin et al. Nature 391, 568-572 (1998)、Jia, X. et al. Biomacromolecules 7, 3336-3344 (2006)、Seiffert et al. Langmuir 26, 14842-14847 (2010))。環境刺激に応答するそれらの能力が、ミクロゲルを機能性材料として活用するための多大な努力につながってきた。ナノ粒子合成などの目的のための用途(Suh et al. J. Am. Chem. Soc.134, 7337-7343 (2012))の他に、ミクロゲルは、治療剤を充填することができ、また生化学的バリアを通って作用物質を輸送して、特異的に標的とされる組織においてそれらを放出することができるため、薬物送達用の作用物質として比類なく適していることが見出されている(Bartus et al. Science 281, 1161-1162 (1998)、Peer et al. Nat. Nano. 2, 751-760 (2007))。
文献中に記載されるミクロゲルの大部分が、人工生体適合性ポリマー又は多糖類から合成される(Wang et al. Lab Chip 13, 2547 (2013)、Diez-Pascual et al. J. Colloid Interface Sci. 347, 79-89 (2010))。本研究で、本発明者等は、例えば適切な変性条件下で、ナノスケールのアミロイドフィラメント(amyloid filaments)へのそれらの集合により駆動される天然に存在するタンパク質からのミクロゲル(又はカプセル)の合成に関する一般的な戦略を実証している。
本出願は、完全にタンパク質で構成されるカプセルを生成するための一般的なアプローチについて記載する。カプセル形態のタンパク質の区分化は、液滴マイクロ流体の使用によるものであってもよく、カプセル殻の形成は、絡まったアミロイドフィブリルのネットワークへのタンパク質の自己集合によって媒介される。
このアプローチは、カプセル殻でのみタンパク質の集合体を有するカプセルと同様に、カプセル殻内の材料のネットワークを有する溶媒充填カプセルを生成するための利便性のよい経路である。本発明の方法は、様々な親水性小分子及び疎水性小分子の両方の、カプセルへのカプセル化を可能にする。
本明細書中に示すように、タンパク質カプセルは、ヒト細胞株にとって無毒性である。カプセルは、薬物分子をカプセル化する際に有効であり、それらは、それらの薬物の局所放出に使用されてもよく、このことが、2つの一般的な抗生物質の使用によって例示されるように、薬理作用の増強を提供する。
さらに、カプセルは、内部構造などのその構造が、モノマータンパク質へのその曝露に応答して変更され得る動的材料である。
それらの生体適合性、自己集合性の動的性質及び有効な送達特性に起因して、本発明のカプセルは、有望な新たな種類の構造化タンパク質材料(structured protein materials)となる。
Sagis et al. Langmuir 2008, 24, 1608は、ナノコンポジット殻を有するポリマーマイクロカプセルについてこれまでに記載している。殻は、ペクチン及び乳清タンパク質フィブリルの交互層からなる。マイクロカプセルは、油液滴上へのタンパク質材料の静電的な層ごとの吸収により調製される。カプセルの調製に関するフロー法の使用については記載されていない。タンパク質間の相互作用の性質は、開示されていない。
US 2014/0023688は、油中水型エマルジョン中の絹、及び油中水中油型エマルジョン中の絹の超音波処理を含む絹粒子を作製する方法に関する。
US 2013/0136779は、クモの糸から作製されるナノ及びマイクロカプセルについて記載している。この文書は、油と水の界面でクモの糸のタンパク質から作製されるコロイド粒子の集合について記載している。
US 2011/0280944は、噴霧されると集合するペプチド両親媒性物質及び生体高分子から形成されるマイクロカプセルを開示している。
WO 2013/120856は、プロピレングリコールなどの水混和性不揮発性有機溶媒を、ゼインなどの植物性疎水性タンパク質無溶媒と混合することによって自発性ナノ粒子を形成することができることについて説明している。
カプセル
本発明のカプセルは、殻を含む。殻は、タンパク質の自己集合体から形成されるネットワークである。殻は、構成成分を保持するのに適している内部空間を規定する。したがって、一実施形態では、本発明のカプセルは、殻内に構成成分をカプセル化するカプセルにまで及ぶ。殻は、内部にカプセル化された材料の放出を制限又は防止するバリアを形成してもよい。
一実施形態では、殻により規定される内部空間は、集合形態のタンパク質を実質的に含まない空洞とみなされ得る。したがって、タンパク質の集合体は、殻として存在する。
本発明の他の実施形態では、殻内部空間は、タンパク質の集合体である殻内の材料のネットワークを含む。このネットワークは好ましくは、殻へ結合され、殻を形成するタンパク質の集合体と近接する。ここで、カプセルは、ゲル粒子の形態を取り得る。
ネットワークが存在する場合、殻の内部空間は、内部に構成成分を保持するその能力を維持し得る。したがって、ネットワークは、内部空間全体を実質的に占めない。
代替的な実施形態では、ネットワークは、カプセルの内部空間全体を実質的に占める。したがって、内部空間は、濃密な、実質的に中身が詰まっていてもよいフィブリルタンパク質内容物を有するとみなされ得る。
一実施形態では、カプセルは、殻内に水を保持する。水は、タンパク質、及び任意にカプセル殻の調製において使用される種(seed)を含む水溶液であり得る。上述するように、幾つかの実施形態では、殻は、タンパク質のフィブリルなどの集合体である材料のネットワークを保持する。カプセルが、その殻内に水を保持する場合、それは、ヒドロミクロゲルなどのヒドロゲルと称され得る。
殻内に、水、及び殻の超分子集合における使用のためのものである試薬に加えて、供給され得るカプセル化される材料が供給され得る。
一実施形態では、カプセルは、殻内に非水相を保持する。殻内に、カプセル化される材料が供給され得る。
カプセルが、構成成分をカプセル化すると述べる場合、このカプセル化される構成成分は、殻により規定される内部空間内に存在し得ると理解される。一実施形態では、カプセル材料(encapsulant)もまた、殻の孔内に、少なくとも部分的に存在する。
殻中に保持される構成成分は、殻中に存在する孔を通じて、カプセルから放出可能であり得る。幾つかの実施形態では、孔は、構成成分が放出されるのを防ぐのに十分小さい。したがって、殻を作り上げるタンパク質の集合体は、少なくとも部分的に分解されてもよく、それにより殻内部からの材料の放出を可能にする。
殻内の、及び/又は殻の孔内の構成成分の存在は、殻材料とカプセル材料とを識別することが可能である適切な分析技法を使用して決定され得る。例えば、殻材料及び構成成分はそれぞれ、他方の標識又は官能性に対して(直交して)別個に検出可能である検出可能な標識又は適切な官能性を有し得る。一実施形態では、殻及び構成成分はそれぞれ、直交性の蛍光標識を有する。例えば、一方が、ローダミン標識を有し、他方は、フルオレセイン標識を有する。レーザー走査型共焦点顕微鏡法技法を使用して、各標識の蛍光を別個に検出してもよく、それにより殻及びカプセル材料それぞれの位置を特定する。構成成分シグナルが、殻からのシグナルと同じ点において位置が特定される場合、構成成分は、殻の孔内に存在すると理解される。
ナイルレッド色素及びThTなどの他の標識を使用して、タンパク質の集合体を染色してもよい。これらの化合物を使用して、その形成後にカプセルを標識してもよい。ThTなどの色素は、アミロイドフィブリルへ結合することが周知であり、したがって、本事例のカプセル中に存在するタンパク質の集合体を標識するのに有用である。
殻の一般的な形状、したがってカプセルの形状は、特に限定されない。しかしながら、実際には、カプセルの形状は、その調製方法により左右され得る。本明細書中に記載する調製方法において、カプセル殻は、流体液滴形成技法を使用して調製され得る。通常、殻材料は、連続層において離散(又は不連続)相の境界で形成される。例えば、一方の相は、水相であってもよく、他方は、水非混和性相であり得る。実質的に球状形態を有する離散領域は、液滴であってもよい。したがって、形成される殻もまた、実質的に球状である。
流体条件に適合させることにより、球状ではない離散領域の形成が可能となる。例えば、離散領域は、スラグ(slug)の形態を取り得る。
ある特定の実施形態では、殻が、実質的に球状形態を有する場合、カプセルが得られ得る。このカプセルは、乾燥ステップに付されてもよく、それにより、カプセル中及び周囲の溶媒(例えば、水)の量を低減させる。このステップの結果として、カプセルは、サイズが縮む。最初は、殻は、実質的に球状形態を維持する。さらなる乾燥後に、カプセル球体は、それ自体で、部分的に又は完全に崩壊し得る。カプセルの構造的完全性が維持され、殻は、内部体積の変化に順応するように単に変形する。したがって、本発明のカプセルは、殻が少なくとも部分的に崩壊された球体であるカプセルを含む。
離散領域(例えば、液滴)の境界でのカプセル殻の形成を考慮して、液滴の寸法に関する言及はまた、カプセルの寸法に関する言及と解釈され得る。カプセル殻は、乾燥ステップ前に形成され得る。
本発明者等は、例えば脱溶媒和により縮まったカプセルが、続いて、例えばカプセルを再溶媒和することにより、それらの本来の実質的に球状形状に戻され得ることを確立した。本事例で提供する研究した実施例は、カプセルに対するかかる変化を示す。
カプセルの形状は、光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法又は共焦点顕微鏡法などの顕微鏡法を使用して、形成したカプセルの単純な観察により決定され得る。殻材料が標識を含む場合、殻による標識の検出により、カプセル形状が明らかとなる。例えば、標識が蛍光標識である場合、レーザー走査型共焦点顕微鏡法を使用して、殻材料の位置及びその形状を特定し得る。
カプセルのサイズは、特に限定されない。一実施形態では、カプセルは、マイクロカプセル又はナノカプセルである。
一実施形態では、カプセルはそれぞれ、直径が少なくとも0.1、0.2、0.5、0.6、0.7、1、5、10、20、30、40、50、100又は200μmの平均サイズを有する。
一実施形態では、カプセルはそれぞれ、直径が最大で400、200、100、75、60又は50μmの平均サイズを有する。
一実施形態では、カプセルサイズは、最小及び最大直径が上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、カプセルサイズは、直径が0.6〜60μmの範囲内である。
平均サイズは、カプセルの試料に関する直径などの測定される最大横断面の数的平均値を指す。通常、試料中の少なくとも5つのカプセルを測定する。横断面測定は、殻の最も外側の端部から行われる。
カプセルの横断面は、形成されるカプセルの単純な顕微鏡分析を使用して決定され得る。例えば、形成されたカプセルを顕微鏡スライド上に配置し、カプセルを分析してもよい。或いは、例えばカプセルが、流体デバイスのチャネル中で(即ち、ラインで)形成される際には、カプセルサイズは、調製プロセス中に測定されてもよい。
横断面の測定はまた、カプセル殻と会合した検出可能な標識又は殻材料内に存在する官能性の検出に関連した技法を使用して達成され得る。カプセル化された構成成分の検出及び位置に関連して上述するように、殻材料は、レーザー走査型共焦点顕微鏡法技法により検出され得る蛍光標識を含んでもよく、又は殻材料は、カプセル形成後に殻に結合された標識で標識されてもよい。カプセル殻内及び周囲の多重標識の存在により、横断面形状を決定し、最大横断面を測定することが可能となる。
本明細書中に記載する調製方法において、カプセルは、流体液滴生成技法を使用して調製される。カプセル殻は、液滴中で形成され、これは、連続相を有する液滴の水相の境界で、流体液滴生成デバイスのチャネル中で創出される。したがって、カプセルのサイズは、液滴のサイズと実質的に同じである。
本発明者等は、本発明のカプセルが、低サイズ分布で調製され得ることを確立してきた。このことは、それぞれ予測可能な物理的及び科学的特徴を有する多数のカプセルが調製され得るため、特に有利である。
本発明により調製されるカプセルの記録されるサイズ分布は非常に低い。分布は、例えば分布バーの使用により図2(b)に示される。
上述するように、殻は孔を有し得る。孔は、カプセルの殻でのタンパク質の集合体におけるギャップである。
一実施形態では、孔は、材料の通過を可能にするようにサイズを有し得る。例えば、カプセル内にカプセル化された構成成分は、殻の孔を通過して、カプセルから放出され得る。逆に、孔は、構成成分を殻内部空間へと通過させるのに十分なサイズを有してもよく、それによりカプセル化されるようになる。それを受動拡散カプセル化ステップと称し得る。かかる技法を使用して、内部にカプセル材料を有するカプセルを提供し得る。本明細書中に記載するように、本発明者等は、殻調製ステップにおいて材料のカプセル化に関する代替的な方法を提供してきた。かかる方法は、材料が殻内で完全にカプセル化されるため、材料によるカプセルのより効率的な充填を可能にする。
一実施形態では、孔は、小さすぎて材料の通過を可能にすることができないサイズを有し得る。例えば、カプセル内にカプセル化された構成成分が、殻の孔を通過するのを防ぎ得、したがって、カプセルから放出され得ない。かかる材料は、例えば一緒に殻を保持する複合体を崩壊させることにより、カプセルから放出され得る。このようにして、殻の崩壊は、材料が通過し得るより大きな孔を創出する。
孔のサイズは、それぞれが種々の直径などの種々の横断面を有する様々なカプセル化される構成成分を使用して、実験的に計測され得る。横断面は、公知であり得るか、又は構成成分の有力な配置の理解に基づいて予測され得る。孔サイズは、どの構成成分がカプセルから放出され、またどの構成成分が放出されないかに基づいて決定され得る。
カプセル化された構成成分を含むカプセルは、本明細書中に記載する方法を使用して調製され得る。カプセル(カプセル材料を用いて)がいったん調製されると、カプセル及びその水性環境は、殻内部から外部水相への材料の損失に関して分析され得る。カプセル化された化合物は、検出を助長するための分析用標識を有してもよい。適切な標識として、標準的な蛍光顕微鏡法技法を使用して検出可能である蛍光標識が挙げられる。
一実施形態では、孔サイズは、最大で20、最大で15、最大で10、最大で5、最大で1又は最大で0.5μmである。
一実施形態では、孔サイズは、最大で500、最大で300nm、最大で200、最大で100、最大で50、又は最大で20nmである。
一実施形態では、孔サイズは、少なくとも0.5、少なくとも1、又は少なくとも5nmである。
一実施形態では、孔サイズは、最小及び最大孔サイズが、上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、孔サイズは、1〜20nmの範囲内である。
予測されるように、殻孔サイズは、カプセル調製中に使用される流体相中に存在するタンパク質の量により影響され得る。存在するタンパク質の量を増加させること(例えば、タンパク質の濃度を増加させること)は、ネットワークと架橋する量を増加させると考えられ、それにより形成される殻材料における孔のサイズを低減させる。
カプセル材料又は比較的小さなサイズをカプセル化する場合、カプセルは、比較的小さな直径の孔を用いて調製してもよく、それにより、殻からのカプセル材料の損失が制限又は防止される。比較的大きなカプセル材料をカプセル化する場合、孔サイズはより大きくてもよい。
カプセル殻は、材料の1又は2以上の層を含んでもよく、ここで層はそれぞれ、タンパク質の集合体である。層は、種々のタンパク質から形成されてもよく、それによりカプセル殻内に離散層を供給する。カプセル殻における隣接層は、各層におけるタンパク質分子間のベータシート構造の相互作用を通じて結合され得る。
殻は、3次元で伸長するメッシュとみなされ得る。殻は、本明細書中に記載する厚さなどの材料の深さを有し得るが、それにも関わらず、殻の形成は、構成成分が存在し得る内部空間を提供すると理解される。したがって、一実施形態では、本発明は、内部空間を有さない粒子を包含すると意図されない。
或いは、カプセル殻が、相互連結されていないネットワーク材料の複数の同心円層を含み得る。任意のかかる実施形態では、カプセルサイズに関する言及は、最も外側の殻の横断面を指す。一実施形態では、カプセルは、第1の外側カプセルが、第2の内部カプセルを保持するネステッドカプセル(nested capsule)であり、ここでカプセルはそれぞれ、タンパク質のフィブリル集合体などのタンパク質の集合体である材料の殻を有するカプセルである。
かかるカプセルでは、外側カプセルの内部殻壁と内部カプセルの外側殻壁との間に内部空間が存在し得る。この空間が、本明細書中に記載する構成成分などの構成成分を保持するのに適切であり得る。内部カプセルは、構成成分を保持する外側カプセルに代わって、又は構成成分を保持する外側カプセルと組み合わせて、それ自体が構成成分を保持してもよい。内部及び外側カプセルが構成成分を保持する場合、これらの構成成分は、同じであり得るか、又は異なり得る。
構成成分が、外側カプセルの内部殻壁と内部カプセルの外側殻壁との間の内部空間に保持される場合、当該構成成分は、疎水性構成成分であってもよい。ネステッドカプセルの調製方法は、水中油中水型(例えば)液滴を利用し、ここで油相は、液滴境界で形成されるカプセル殻間の空間内に、最終的に流体として取り込まれる。
他の実施形態では、この内部空間は、本明細書中に記載する調製方法で使用される油などの流体を単純に保持し得る。これは、内部カプセルが外側カプセルよりもごくわずかに小さい事例であってもよく、内部及び外側カプセルの殻間に構成成分を保持するための不十分な空間が存在する。
上記で論述するように、殻材料は、検出可能な標識又は検出可能な官能性を含み得る。
検出可能な官能性は、カプセルの他の構成成分中に存在する特徴に加えて、検出可能である特徴を有するカプセル殻構成成分の官能性、又はさらには同じ構成成分の他の官能性である。検出可能な官能性は、例えば、IR、UV−VIS、NMR又はラマン分析において特有のシグナルを生じる特定の化学基を指し得る。官能性は、放射性元素であってもよい。
通常、選択される標識の導入が、測定されるべき特性に最も適切である技法の使用を可能にするため、殻材料又はカプセル材料の一部に、検出可能な標識が供給される。
本発明のカプセル殻は安定であり、殻構造の損失なく保管され得る。したがって、殻の完全性により、カプセルをカプセル材料用の保管容器として使用することが可能である。本発明のカプセルは、熱的に安定性であり、殻は、少なくとも最大100℃でその完全性を維持することが知られている。本発明のカプセルはまた、減圧下(即ち、周囲圧力未満)でも安定である。殻は、少なくとも1×10−3mbarに至るまでその完全性を維持することが知られている(例えば、SEM画像の調製中に示されるように)。
本発明のカプセルは、長い保存可能期間を有する。本発明者等は、構造的完全性が少なくとも10カ月間維持されることを確認した。
本発明のカプセルは、正のζ−電位を有し得る。
一実施形態では、ζ−電位は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、又は少なくとも30mVである。カプセルのζ−電位は、O'Brien et al.(Canadian Journal of Chemistry 59, 1878-1887 (1981))及びShimanovich et al.(Advanced Functional Materials 21, 3659-3666 (2011))により記載される技法を使用して決定され得る。
本発明のカプセルは、オリゴマー形態のタンパク質を含まない。このことは、オリゴマー構造がインビボで毒性と関連付けられるため、カプセルの使用にとって有利である。それどころか、本発明のカプセルは、殻を形成し、殻内の材料のネットワークを形成していてもよいタンパク質の高次集合体を含む。
オリゴマー形態のタンパク質は、アミロイドフィブリル形態で存在しないタンパク質の凝集である。一実施形態では、オリゴマー形態は、2〜50個のタンパク質の集合体である。例えば、オリゴマー形態は、二量体又は三量体であり得る。
オリゴマーは、タンパク質集合体の前フィブリル(prefibrillar)状態とみなされ得る。オリゴマー形態は、均質な一次核生成の古典的なメカニズムによってではなく、フィブリルを触媒とする二次核生成反応によって、モノマーペプチド分子から生じると考えられる。例えば、アミロイド−β(Aβ)ペプチドAβ42の毒性オリゴマー形態の形成について論述しているCohen et al. PNAS 2013, 110, 9758を参照されたい。
オリゴマーは、本明細書中に記載するように、種と識別可能である。オリゴマーは概して、比較的低分子量の集合体であり、それは、上述するように、2〜50個のタンパク質に概して限定される。対比して、種は、フィブリル形態の殻集合体により密接に関連するより高分子量の集合体である。種について、以下でさらに詳細に記載する。
タンパク質
本事例のカプセルは、タンパク質の集合体で構成される。タンパク質に関する言及は、通常、天然に存在するタンパク質に関する言及であるが、天然に存在するタンパク質のバリアント(variant)及び誘導体形態もまた、使用に適している。
凝集して、例えばフィブリルを形成することが公知であるタンパク質は、本事例における使用に特に適している。本発明の方法では、タンパク質は、モノマー形態で供給され、これらのモノマーは、例えば変性条件下で、自己集合することが可能である。集合体は、アミロイド形態のタンパク質などの線維性タンパク質凝集体と称されてもよい。集合体の構造を以下でさらに詳細に記載する。
タンパク質は、少なくとも10個又は11個以上のアミノ酸、例えば20個又は21個以上、50個又は51個以上、或いは100個又は101個以上のアミノ酸を有するポリペプチドであり得る。
本事例における使用のためのタンパク質は、本明細書中に記載するように集合体を形成する能力を有するタンパク質である。例えば、タンパク質は、二次構造内に1又は2以上のベータシート配列を有してもよく、ここでかかる構造は、隣接するタンパク質とのクロスベータシート相互作用を形成することが可能である。さらに、タンパク質は、アルファ−ヘリックス(alpha-helix)及びベータ−ヘリックス(beta-helix)構造を含有してもよい。
自己集合する能力を有するタンパク質は、当該技術分野で周知であり、線維状のタンパク質凝集体を形成することが公知である多数のタンパク質が存在する。
タンパク質は、ヒトタンパク質等の哺乳動物性タンパク質、又はトリタンパク質であり得る。
本事例における使用のためのタンパク質は、グルカゴン、ミオグロビン、ヘモグロビン、ウシ血清アルブミン(BSA,bovine serum albumin)、オボアルブミン、絹(天然絹及び再構成絹を含む)、卵黄、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、β2−ミクログロブリン、トランスサイレチン、血清AA、アポリポタンパク質AI、AII及びAIVなどのアポリポタンパク質、ゲルゾリン、リゾチーム、フィブリノーゲンα鎖、シスタチンC、ABriPP、白血球走化性因子2、ADanPP、Aβ及びAβタンパク質前駆体(AβPP,Aβprotein precursor)、プリオンタンパク質、カルシトニン、膵島アミロイドポリペプチド、心房性ナトリウム利尿因子、プロラクチン、インスリン、ラクトアドヘリン、ケラト−エピセリン、ラクトフェリン、歯原性エナメル芽細胞関連タンパク質、セメノゲリン(semenogelin)I、α−S2C及びKカゼイン、α−シヌクレイン、ポリQ伸長ハンチンチン、アクチン、ニューロセルピン、フェリチン、タウ、アンドロゲン受容体タンパク質、アタキシン−1、DRPLA、NAC、心房性ナトリウム利尿因子、ベタベリン(betabellin)15D及び16D、シトクロムC552、メチオニンアミノペプチダーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、卵白(リゾチーム)、PI3−SH3、β−ラクトグロブリン、モネリン、HypF、ヒト補体受容体、ヒトステフィンB、GAG因子、酵母プリオンUre2p、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質B、アデノウイルス線維、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、並びに酵母タンパク質Sup35からなる群から選択され得る。
かかるタンパク質は、凝集体などの集合体を形成することが知られている。例えば、Sipe et al. Amyloid 2010 17, 101及びUversky et al. Biochimica et Biophysica Acta 2004, 1698, 131を参照されたい。
本事例における使用のためのタンパク質は、集合形態が、疾患状態と関連付けられるタンパク質である必要はない。
一実施形態では、本事例における使用のためのタンパク質は、リゾチーム、グルカゴン、インスリン、ミオグロビン、ヘモグロビン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、絹(天然絹及び再構成絹を含む)、卵白、並びに卵黄から選択され得る。さらに、使用するためのタンパク質は、参照により本明細書に組み込まれるKnowles et al. Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 2014, 15, 384により記載されるものを含む。
カプセル用のタンパク質としてのリゾチーム、グルカゴン及びインスリンの使用が、本事例で例示される。
集合体を形成するための特定のタンパク質の適合性は、本明細書中に記載する研究実施例において、例えばリゾチームを置き換えることにより実験的に決定され得る。タンパク質の集合体である殻を有するカプセルが形成され、当該カプセルが安定である場合、タンパク質は、使用に適している。タンパク質の集合体内のある特定の二次構造の存在は、標準的な分析技法を使用して決定され得る。例えば、FTIR分析を使用して、集合体内のベータシート凝集体の量を計測してもよい。また、同じ技法を使用して、α−ヘリックス、β−シート(天然)及びランダムコイルの含有量の相対量を決定してもよい。
タンパク質に関する言及は、分析用標識を有するものなどの修飾タンパク質に関する言及を含む。標識が供給される場合、当該標識は、凝集体を形成するタンパク質の能力を妨げない。
本明細書中に記載する調製方法において、タンパク質は、自己集合することが可能であり、それによりカプセル殻を供給する。これらの方法では、タンパク質に関する言及は、別のタンパク質との集合体中に存在しない当該タンパク質に関する言及であってもよい。他の実施形態では、タンパク質は、別のタンパク質と集合体を形成することが可能であってもよく、ここでタンパク質はそれぞれ、本明細書中に記載するようなタンパク質であり得る。例えば、インスリン及びグルカゴン混合集合体が、とりわけ本明細書中に記載される。
調製方法において、種を使用して、カプセル殻の形成を開始又は触媒し得る。種自体が、2又は3以上のタンパク質の集合体である。必然的に、種のサイズは、カプセル殻のサイズよりも小さく、通常は遥かに小さい。
タンパク質は、その自然状態又は機能状態で供給されてもよく、それは、調製のプロセス中に変性されて、集合体の形成を可能にし得る。変性ステップは、タンパク質の自然状態が、アミロイド構造の形成などの凝集体の形成を伴わない場合に必要とされ得る。
一実施形態では、タンパク質の混合物を使用して、殻、及び存在する場合には材料のネットワークを形成し得る。したがって、集合体は、これらのタンパク質の凝集から形成されて、混合集合体を形成する。
タンパク質に関する言及はまた、自己集合する能力を有する機能性バリアントなどの当該タンパク質のバリアントに関する言及を含む。バリアントは、上述するものなどのタンパク質に対して、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり得る。
指定タンパク質に対して少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドであるバリアントは、指定タンパク質のアミノ酸配列に対して1又は2以上のアミノ酸付加、置換及び/又は欠失を含み得る。バリアントは、指定タンパク質のアミノ酸配列に対して、1又は複数のアミノ酸付加、置換及び/又は欠失を含み得る。バリアントは、指定タンパク質のアミノ酸配列に対して、1〜150個、1〜100個、1〜50個、1〜20個又は1〜10個のアミノ酸付加、置換及び/又は欠失を含み得る。
アミノ酸配列同一性及び類似性並びに核酸配列同一性は、無償で利用可能なEMBOSS、又はBLASTソフトウェアツールなどの標準的なバイオインフォマティクス(bioinformatics)ソフトウェアツールを使用して測定され得る。デフォルトパラメーターが一般的に使用される。例えば、EMBOSS Needleペアワイズ配列アラインメントを使用して、アミノ酸配列同一性を決定することができる。Needleman-Wunschアルゴリズム(J. Mol. Biol. (48): 444-453 (1970))を使用するEMBOSS Needleペアワイズ配列アラインメントを使用して、例えばデフォルトパラメーターを使用して、及びBLOSUM62スコアリング行列などのBLOSUMスコアリング行列を使用して、アミノ酸配列類似性を決定することができる。デフォルトパラメーターは、ギャップ挿入ペナルティ=12及びギャップ伸長ペナルティ=4で使用され得る。
集合体
集合体は、非共有結合により一緒に保持されるタンパク質分子の凝集体である。凝集体は、タンパク質分子の自己集合体から形成される。タンパク質分子の凝集体は、カプセル形成ステップの条件下で自発的に起こってもよく、及び/又はタンパク質分子の凝集は、タンパク質と一緒に供給される種により開始若しくは触媒されてもよい。これまでに記載されるように、集合体は、1つのタンパク質又は2又は3以上の異なるタンパク質の集合体であり得る。
集合体は、架橋ポリマーネットワークとみなされ得る。架橋は、カプセルの殻内のポリマー(即ち、タンパク質)間の非共有結合性相互作用である。集合体は、線維状タンパク質凝集体(フィブリル集合体)であり得る。集合体の構造は、アミロイド構造を有するフィブリル集合体であり得る。
集合体、したがってカプセル殻は、例えば水中に不溶性であり得る。
集合体内に存在するタンパク質は通常、ミスフォールドした状態(misfolded state)で存在する。集合体の形成には、カプセル調製中の部分的に折り畳まれたタンパク質の生成が伴う。したがって、自然状態のタンパク質は、非自然の部分的に折り畳まれていないコンホメーション(confirmation)に変換され得る。他の実施形態では、例えば、自然タンパク質が自然の折り畳まれていない状態を有する場合、集合体の形成は、当該タンパク質の部分的フォールディング(folding)を含み得る。
タンパク質におけるコンホメーション変化及び/又はタンパク質のフィブリル化は、局所的な環境条件の変化により開始され得る。例えば、局所的なpHの変化が、フォールディング若しくはアンフォールディング、又はフィブリル化を引き起こし得る。
一実施形態では、タンパク質は、その自然状態内に二次構造を保有する。二次構造は、ベータシート、アルファヘリックス、ベータヘリックス及びアルファシートから選択され得る。
一実施形態では、タンパク質は、その二次構造内にベータシートを保有する。
通常、タンパク質分子は、隣接するタンパク質分子間でのベータシート構造の相互作用(「クロス−ベータシート」)により集合体において互いに結合している。したがって、四次構造は、ベータシートを通じて相互作用するタンパク質の配置を含む。
一実施形態では、ベータシート構造は、集合体プロセス中に形成される。幾つかの実施形態では、集合体の形成は、タンパク質のベータシートフィブリル化により駆動され得る。静電相互作用及び他のタンパク質相互作用などの他の非共有結合性相互作用が、集合体内に存在し得る。
フィブリルを含む集合体は、コアクロス−ベータシート構造を有してもよく、ここで連続的なベータ−シートは、フィブリルの長軸に対して垂直に進むベータ鎖(beta-strands)で形成される。
本事例における集合体は、フィブリル形態に限定されず、他の凝集体形態が、カプセル殻中に存在し得る。タンパク質凝集はまた、自然に折り畳まれていない状態を有するタンパク質を用いるなどの、非晶質凝集体形成を介して起こり得る。かかるタンパク質は、二次構造をほとんど保有しないか、又は二次構造を全く保有せず、例えばクロスベータ−シートに基づいて、凝集体を形成すると予測されない。
一実施形態では、集合体は、フィブリル形態を含む凝集である。
本事例のカプセルにおける使用のための集合体は通常、非共有結合性集合体である。ある特定の実施形態では、集合体は、ジスルフィド架橋などのタンパク質間の共有結合性相互作用をさらに含んでもよい。それにも関わらず、非共有結合性相互作用は、集合体においてタンパク質を保持するための主要な相互作用である。共有結合性相互作用は、タンパク質を自己集合するのに必要な条件下で、集合体プロセス中に生じ得る。
集合体は、架橋される複数のタンパク質フィブリルを含み得る。
フィブリルは、2〜6個の未分岐状プロトフィラメント(protofilaments)を含有し得る。これらのフィブリルは、直径が2〜5nmであり得る。かかるフィブリルは、例えば横方向に、又はらせん上に(ねじれて)、他のフィブリルと会合して、直径が4〜13nmのより大きなフィブリルを形成し得る。
集合体内のクロス−ベータシート構造の存在は、クロス−ベータシート構造(上述するような)に特異的である色素の使用によって、又は例えば、集合体においてアルファヘリックス及びベータシート特性を定量化するのに使用され得るFTIR技法を用いて決定され得る。
本発明のある特定の実施形態では、種を使用して、タンパク質の集合体の形成を開始又は触媒する。種自体は、カプセル調製に先立って、予め調製されるタンパク質の集合体である。種のサイズは、最終的なカプセルのサイズよりもかなり小さい。
種は、タンパク質の凝集であり、種は、フィブリルであってもよい。種は、オリゴマーよりも大きい。種が、実質的なフィブリル構造を有するのに対して、オリゴマーは有さない。
本発明の方法における使用のための種は通常、例えば、10〜500nmの長さ、及び例えば、1〜10nmの幅を有するタンパク質の細長い集合体である。
一実施形態では、種の長さは、少なくとも10、少なくとも50又は少なくとも100nmである。
一実施形態では、種の長さは、最大で200、最大で400、最大で500又は最大で1,000nmである。
使用する種は、それが調製するのに使用されるべきカプセルよりも小さい寸法を有する。例えば、長さなどの種の最大寸法は、カプセル(又はカプセルを形成するのに使用される液滴)の直径の最大で0.5%、最大で1%、最大で5%であり得る。
種は、未熟なフィブリルとみなされてもよく、それは、成熟したフィブリル、即ち形成される集合体内に存在するフィブリルと比較して、サイズがより小さい。
タンパク質の種の調製について、本明細書中に記載する。これらの方法を使用して、例えば超音波処理時間の適切な選択により、形成される種のサイズを制御し得る。
タンパク質の種の寸法は、他の方法の中でも、AFM測定により決定され得る。
本発明者等は、集合体が、任意に種と一緒にタンパク質から形成され得ることを見出した。種単独は、通常、タンパク質モノマーの存在なしで集合体を形成するのに使用することはできない。
ネットワーク
一実施形態では、カプセルは、殻内の材料のネットワークをさらに含む。ネットワークは、内部構造をカプセルに供給して、少なくとも部分的に、例えば部分的に、カプセル殻により規定される内部空間を占める。
ネットワークは、上述するようなタンパク質の集合体である。材料のネットワークは、殻に結合され、殻と近接している。殻及びネットワークは、同じタンパク質を含む。殻及びネットワークはともに、複数のタンパク質の集合体であり得る。
ネットワークは、カプセルの内部空間を横切る、一連の連結されたフィブリルであり得る。
材料のネットワークは通常、本明細書中に記載する流体方法から調製され、ここでタンパク質を含む水性の第2の相は、水非混和性の第1の相中に分散される。ここで、タンパク質は、分散領域全体にわたって分散し、自己集合時に、分散領域の境界を含む分散領域全体にわたって、タンパク質の凝集が形成される。
材料のネットワークを伴わないカプセルが調製されてもよく、ここで水非混和性の第2の相は、タンパク質を含む水性の第1の相中に分散される。ここで、タンパク質は、分散領域の境界に位置し、自己集合時に、分散領域の境界で、タンパク質の凝集が形成される。
一実施形態では、カプセルは、殻内のネットワークを含有しない。
カプセル材料
本発明のカプセルは、構成成分(カプセル材料)をカプセル化するのに使用され得る。一実施形態では、カプセル材料を含むカプセルが提供される。カプセルは、構成成分を保管するのに適しており、この構成成分は、選ばれた位置で、必要とされる場合に、後に放出されてもよい。
カプセル化される構成成分に関する言及は、溶媒分子に関する言及ではないことが理解される。例えば、カプセル化される構成成分は、水でなく、また油又は有機溶媒でもない。同様に、カプセル化される構成成分に関する言及は、カプセル殻の調製における使用のためのタンパク質に関する言及でない(カプセル材料は別のタンパク質であり得るが、集合体に関与しない)。他の場合では、構成成分は、特に限定されない。
したがって、カプセル材料は、殻及び集合していないタンパク質内に存在し得る溶媒に加えて供給されるカプセルの構成成分である。
本発明の方法では、カプセル殻、及び任意に内部の材料のネットワークは、任意に種と一緒に、タンパク質を含有する流体から調製される。全てのタンパク質が、集合して、殻を形成し得るとは限らない。タンパク質の幾つかは、フィブリルなどの材料が、殻内に保持される場合に、ネットワークを形成し得る。このネットワークは通常、殻に結合される。したがって、殻及びネットワークの集合体は連続的である。
タンパク質及び集合体へ取り込まれない種はまた、殻内に保持されてもよい。
タンパク質及び種は、殻内に含有されてもよく、カプセル材料に加えて含有されてもよい。したがって、カプセル材料は、殻内に存在し得る集合していないタンパク質及び種に加えて供給されるカプセルの構成成分である。
本発明のカプセルを使用して、幅広い範囲の構成成分をカプセル化し得る。
一実施形態では、カプセル化される構成成分は、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも1,000、少なくとも5,000(1k)、少なくとも10,000(10k)、少なくとも50,000(50k)、少なくとも100,000(100k)又は少なくとも200,000(200k)の分子量を有する。
一実施形態では、カプセル材料は、治療用化合物である。
一実施形態では、カプセル材料は、ポリヌクレオチド(例えば、DNA及びRNA)、ポリペプチド(タンパク質などの)又は多糖などの生体分子である。
一実施形態では、カプセル材料は、上述するポリマーなどの生体ポリマーを含む高分子である。
一実施形態では、カプセル材料は、ウイルス、抗体、微生物、及びホルモンからなる群から選択される構成成分である。
カプセル材料がタンパク質である場合、当該タンパク質は、カプセルの殻、及び存在する場合にはカプセルのネットワークを形成するタンパク質とは異なり得る。
カプセルのサイズは、カプセル材料のサイズに適応させるように選択される。したがって、内部直径(最内側壁から最内側壁への距離)は、カプセル材料の最大寸法よりも大きい。
一実施形態では、カプセル材料は、検出可能な標識を有する。検出可能な標識は、カプセル材料を定量化し、及び/又はその位置を特定するのに使用され得る。標識は、カプセルとともに含有されるカプセル材料の量を決定するのに使用され得る。
一実施形態では、検出可能な標識は、発光標識である。一実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識又はリン光標識である。
一実施形態では、検出可能な標識は、可視的標識である。
一実施形態では、蛍光標識は、ローダミン(rhodamine)又はフルオレセイン(fluorescein)標識である。
カプセルの調製方法
本発明の一態様では、タンパク質の集合体を含む殻を有するカプセルの調製方法であって、
(i)チャネルにおいて第1の相の流れ及び第2の相の流れを接触させて、それによりチャネルにおいて、第1の相中に第2の相の離散領域、好ましくは液滴の分散液を生成させるステップであって、第1及び第2の相のうちの一方が、タンパク質の集合体を形成するのに適したタンパク質を含み、それにより離散領域の境界でカプセル殻を形成し、第1及び第2の相が非混和性であるステップ
を含む方法が提供される。
本発明の方法では、第2の相の分散液は、連続した第1の相内に創出される。一実施形態では、第1の相及び第2の相のうちの一方が、水相であり、他方の相が、水非混和性相である。
一実施形態では、タンパク質は、タンパク質の集合体用の種と一緒に供給され、ここで種は、タンパク質の集合体である。
一実施形態では、ステップ(i)は、離散領域を加熱するステップを含む。加熱するステップは、タンパク質の凝集を形成するのに必要とされ得る。
離散領域の境界に位置し、かつ任意に領域内に分散されるタンパク質は、最大で80℃、最大で70℃又は最大で65℃に加熱され得る。
タンパク質は、少なくとも30℃、少なくとも40℃又は少なくとも50℃に加熱され得る。
一実施形態では、タンパク質は、水相である流れ中に供給される。水相は、第1の相又は第2の相であり得る。
一実施形態では、第1の相が水相である。この実施形態では、形成されるカプセルは、タンパク質の集合体である材料の殻を有する。
一実施形態では、第2の相が水相である。この実施形態では、形成されるカプセルは、タンパク質の集合体である材料の殻を有し、カプセルは、タンパク質の集合体である殻内の材料のネットワークを有する。
一実施形態では、第2の相が水相である。第1の相は、水非混和性相、例えば油相である。
一実施形態では、第1の相が水相である。第2の相は、水非混和性相、例えば油相である。
一実施形態では、第2の相は、カプセル化用の構成成分を含み、ステップ(i)は、構成成分をカプセル化する殻を有するカプセルを提供する。
一実施形態では、上記方法は、(ii)液滴を加熱する続くステップを含む。
一実施形態では、上記方法は、(iii)チャネルからの流出を収集して、それによりカプセルを有する液滴を得る続くステップをさらに含む。このステップは、加熱するステップ前又は後に実施され得る。
一実施形態では、第2の相の流れは、第1の相に実質的に垂直な第1の相の流れと接触している。この実施形態では、チャネル構造は、T結合形状(T-junction geometry)であり得る。チャネルの通路は、第1の相の流れの通路に続いてもよく、その場合、第2の流れは、チャネルにおける得られる複合流れに実質的に垂直である。或いは、チャネルの通路は、第2の相の流れの通路に続いてもよく、その場合、第1の相の流れは、チャネルにおける得られる複合流れに実質的に垂直である。
T結合形状を利用する方法は、2つの相系内の誘導せん断力の結果として、油相における水相の離散領域、通常液滴を提供する。
一実施形態では、第1の相のさらなる流れが供給される。第1の相の流れは、チャネルにおける第2の相の流れの各側面と接触しており、次いで相の流れは、減少した横断面(開口部)のチャネルの領域を通じて通過され、それによりチャネルにおいて第2の相の離散領域、好ましくは液滴を生成させる。内側の第2の相の流れ及び2つの外側の第1の相の流れを有するかかる方法を、フローフォーカシングコンフィギュレーション(flow-focussing configuration)と称する。
フローフォーカシング技法を使用する方法は、外側の第1の相の印加圧力及び内側の第2の相に対する粘性応力の結果として、第1の相において第2の相の離散領域、通常液滴を提供し、それにより当該相の狭い流れを生成する。次いで、開口部で、又は複合流れが開口部を通って通過した直後に、この狭められた流れは、離散領域、通常液滴へ分かれる。
一実施形態では、離散領域は、液滴である。
一実施形態では、離散領域は、スラグである。
離散領域がチャネル中で形成された後、離散領域は、チャネルに沿って、収集帯域へと通過され得る。チャネルにおける離散領域の滞留時間は、特に限定されない。一実施形態では、滞留時間は、殻を形成させるのに十分である。
離散領域が、チャネルに沿って通過される場合、それは、混合段階へ付されてもよく、それにより離散領域の構成成分は、当該離散領域周辺に、より均一に分布される。一実施形態では、チャネルは、ワインディング領域(winding region)を含む。ワインディング領域は、離散領域が通過される実質的にS字形通路の形態を取ってもよい。
一実施形態では、第2の相は、カプセル化用の構成成分をさらに含み、ステップ(i)は、構成成分をカプセル化するカプセルを提供する。
非混和性の第1の相が、第2の相を削ぎ取るため、第2の相の離散領域が、チャネルにおいて生成される。せん断頻度は、2つの相の流速比(flow rate ratio)に依存する。
一実施形態では、流速は、単位時間当たり設定数の液滴(1秒当たりの液滴)を供給するように選択される。
液滴は、最大で10,000、最大で5,000、最大で1,000又は最大で500Hzの速度で調製され得る。
液滴は、少なくとも1、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、又は少なくとも200Hzの速度で調製され得る。
一実施形態では、液滴は、最小及び最大速度が、上記実施形態から選択される範囲内で調製され得る。例えば、速度は、100〜500Hzの範囲内である。
一実施形態では、上記方法は、(iii)カプセルを乾燥させるステップを含む。乾燥させるステップは、少なくとも部分的に、カプセルから溶媒(これは、水又は有機溶媒であり得る)を除去し、脱溶媒和と称され得る。
カプセルを乾燥させる方法に課せられる特定の限定は存在しない。一実施形態では、得られるカプセルは、単に周囲条件下で静置させてもよく、溶媒を蒸発させることが可能である。
一実施形態では、上記方法は、得られるカプセルを溶媒で洗浄する洗浄ステップを含んでもよい。洗浄ステップの目的は、界面活性剤(使用する場合)又は殻形成ステップで使用される任意の他の構成成分を除去することであり得る。
一実施形態では、上記方法は、カプセルを乾燥させるステップ、及び続いてカプセルを再溶媒和させるステップを含む。再溶媒和ステップは、ステップ(iii)が完了した数分後、数時間後、数日後、数週後又は数か月後に実施され得る。
一実施形態では、液滴のサイズに関する言及はまた、カプセルのサイズに関する直接的な言及である。液滴は、流体デバイスのチャネル(channel)で形成される液滴又はかかるデバイスのチャネルから収集される液滴である。サイズは、乾燥するステップに付されていない液滴を指す。
調製後に直接形成されるカプセルは、実質的に球状である。球状の縁はゆがんだようになるため、カプセルの脱溶媒和は、カプセルの崩壊をもたらし得る。殻材料は、ランダム様式で折り畳まれるようである。
本明細書中に記載する調製方法では、液滴が形成され、カプセルの殻は、液滴の界面で形成する。形成した液滴は、脱溶媒和ステップに付されてもよく、それによりカプセル殻の収縮をもたらす。一実施形態では、カプセルのサイズは、脱水ステップに付されているカプセルのサイズを指す。
第1の相及び/又は第2の相の流速を変化させて、所望のサイズの液滴、したがってカプセルの調製を可能にし得る。第1の相の流速は、第2の相に対して増加されるため、液滴の平均サイズは減少し、形成されるカプセルサイズも減少する。
通常、第1の相の流速は、第2の相の流速よりも、少なくとも1.5、2、3、4、5又は10倍大きい。
一実施形態では、第1の相及び第2の相の流速は、所望の平均直径を有する液滴を供給するように選択される。
平均粒子サイズは、単純な顕微鏡法技法を使用して、流れチャネルから収集される液滴の試料の測定から決定され得る。
一実施形態では、液滴はそれぞれ、マイクロ液滴(microdroplet)である。
一実施形態では、液滴はそれぞれ、ナノ液滴(nanodroplet)である。
一実施形態では、液滴の平均サイズは、直径が少なくとも0.1、0.5、0.6、1、5、10、20、30、又は40μmである。
一実施形態では、液滴の平均サイズは、直径が最大で1,000、600、400、200、100、75又は50μmである。
一実施形態では、液滴の平均サイズは、最小及び最大速度が、上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、平均サイズは、0.6〜600μmの範囲内である。
流体調製から形成される液滴は、狭いサイズ分布を有する。これは、収集される液滴の充填の観察により経験的に計測され得る。収集される液滴の六方最密充填配置は、低い単分散度値を示す(例えば、L.J. De Cock et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 6954を参照)。
一実施形態では、液滴は、最大で1.5%、最大で2%、最大で4%、最大で5%、最大で7%、又は最大で10%の相対標準偏差(RSD,relative standard deviation)を有する。
タンパク質の濃度は、第1の相又は第2の相で使用される場合、変更されてもよい。タンパク質の濃度の変化は、続いて形成される殻材料の物理的及び化学的特性、並びに存在する場合には殻内の材料のネットワークの性質を変更し得る。
一実施形態では、タンパク質の濃度は、殻の厚さ増加させるために、並びに/又はカプセル殻における孔の数及び/若しくはサイズを減少させるために変更され得る。タンパク質の濃度の増加は、殻内の材料のネットワークの程度の増加と関連付けられ得る。
一実施形態では、第1又は第2の相におけるタンパク質の濃度は、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも5.0又は少なくとも10μMである。
一実施形態では、第1又は第2の相におけるタンパク質の濃度は、最大で500、最大で200、最大で100、最大で75、最大で50μMである。
一実施形態では、第1又は第2の相におけるタンパク質の濃度は、最小及び最大の率が、上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、第1又は第2の相におけるタンパク質の濃度は、1〜50μMの範囲内である。
或いは、タンパク質濃度は、重量%で表されてもよい。したがって、一実施形態では、第1又は第2の相におけるタンパク質の濃度は、少なくとも0.1、少なくとも0.5、少なくとも1.0又は少なくとも2.0重量%である。
一実施形態では、第1又は第2の相におけるタンパク質の濃度は、最大で10、最大で15、又は最大で20重量%である。
一実施形態では、第1又は第2の相におけるタンパク質の濃度は、最小及び最大の率が、上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、第1又は第2の相におけるタンパク質の濃度は、1.0〜10重量%の範囲である。
一実施形態では、種は、タンパク質と一緒に供給される。
一実施形態では、種は、(モノマー)タンパク質の濃度よりも低い濃度で供給される。この種は、第1又は第2の相におけるタンパク質のモル濃度に対して、40、30、25、20、10、5、2、1若しくは0.5モル%又はそれ未満で、第1又は第2の相中に存在し得る。
一実施形態では、第1又は第2の相における種の濃度は、最大で1、最大で0.5、最大で0.2μMである。
一実施形態では、第1又は第2の相における種の濃度は、少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.05、少なくとも0.1μMである。
或いは、種の濃度は、重量%で表されてもよい。したがって、一実施形態では、第1又は第2の相における種の濃度は、少なくとも0.01、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.5、少なくとも1.0重量%である。
一実施形態では、第1又は第2の相における種の濃度は、最大で5又は最大で10重量%である。
一実施形態では、第1又は第2の相における種の濃度は、最小及び最大の率が、上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、第1又は第2の相における種の濃度は、0.1〜5重量%の範囲内である。
一実施形態では、離散領域は、周囲温度で形成される。
一実施形態では、離散領域は、約5、10、15、20、25、又は25℃よりも高い温度で形成される。上述するように、離散領域は、いったん形成されると、タンパク質の集合体を形成するための手順の一部として、続いて加熱され得る。
装置
本発明の方法は、チャネルにおいて一緒にされるべき第2の相の流れ、及び第2の相と非混和性である第1の相の流れを必要とし、それにより第1の相中の第2の相の分散液を生成させる。第1の相及び第2の相の流れの生成方法は、当該技術分野で周知である。
一実施形態では、流れはそれぞれ、プログラム可能なシリンジポンプの制御下でシリンジから生成され得る。シリンジにはそれぞれ、適切な水溶液又は水非混和性相を充填する。
本発明の方法では、流れが、必要とされる流速である場合にのみ、液滴が収集され得る。
第2の相及び第1の相の流れが接触するチャネルは、特に限定されない。
一実施形態では、チャネルは、マイクロ流体チャネルである。
一実施形態では、チャネルは、最大で1,000、最大で500、最大で200、最大で100又は最大で50μmの最大横断面を有する。
一実施形態では、チャネルは、少なくとも0.1、少なくとも1、少なくとも10又は少なくとも20μmの最大横断面を有する。
チャネルは、適切な基板で供給され得る。基板は、複雑な(complexable)組成の構成成分と反応しないものである。
基板は、PDMSベースの基板であり得る。
流体フロー技法における使用のための基板の調製は、当業者に周知である。当該技術分野における例として、本明細書中に組み込まれるYang et al.(Lab Chip 2009, 9, 961)により記載される調製が挙げられる。
第2の相
第2の相は、第1の相と非混和性である。第2の相は、特にそれが、いったん第1の相と接触され、液滴などの離散領域へ分離されると、分散された相と称され得る。
一実施形態では、第1又は第2の相のうちの一方が水相である。したがって、第1又は第2の相のうちの他方は、水非混和性である。
通常、タンパク質は、水相中に供給される。これは、第1又は第2の相であり得る。タンパク質が第2の相中に供給されると、タンパク質の集合体である殻を有するカプセルが形成されてもよく、カプセルに、タンパク質の集合体である殻内の材料のネットワークが供給されてもよい。タンパク質が第1の相中に供給されると、タンパク質の集合体である殻を有するカプセルが形成されてもよい。ここで、カプセルは、タンパク質の集合体である殻内の材料のネットワークを有さない。
一実施形態では、第2の相の流速は、最大で1,000、最大で500、最大で250、又は最大で100μL/分である。
一実施形態では、第2の相の流速は、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、又は少なくとも50μL/分である。
一実施形態では、第2の相の流速は、最小及び最大速度が、上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、第2の相の流速は、0.1〜100μL/分の範囲内である。
第2の相の流速は、相を第1の相と接触させる前の当該相の流速を指す。
第1の相
第1の相は、第2の相と非混和性である構成成分を含む。第1の相は、連続的な相又は担体相と称され得る。
一実施形態では、第1の相の流速は、最大で1,000、最大で500、又は最大で250μL/分である。
一実施形態では、第1の相の流速は、少なくとも10、少なくとも50、又は少なくとも100μL/分である。
一実施形態では、第1の相の流速は、最小及び最大速度が、上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、第1の相の流速は、100〜250μL/分の範囲内である。
第1の相の流速は、相を第2の相と接触させる前の当該相の流速を指す。
フローフォーカシング技法を使用して、第2の相の離散領域を生成させる場合、2つの第1の相の流速は、同じであってもよい。
第1の相は、界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤は、流体調製方法で形成されるマクロエマルジョンを安定化するために、第1の相中に供給される。離散領域(液滴などの)を形成するステップは、界面活性剤の存在を必要とし得る。さらに、界面活性剤の存在は、収集する液滴の合体を制限又は防止するのに有用である。
選択される界面活性剤は、特に限定されず、第1の相における第2の相の液滴などの離散領域の形成を促進及び/又は安定化することが可能である任意の界面活性剤を包含する。
本発明における使用に適した界面活性剤として、Holtze et al. Lab Chip 2008, 8, 1632により記載されるものが挙げられる。通常、かかる界面活性剤は、ポリエチレングリコールに連結されたオリゴマーのペルフルオロ化ポリエーテル(PFPE,perfluorinated polyether)を含む。かかる界面活性剤は、フルオロカーボン油中水型エマルジョンを安定化させるのに特に有用である。
界面活性剤は、相全体に対して、最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.5%、最大で0.75%、最大で1%、最大で2%、最大で5%w/wで存在する。
界面活性剤は、相全体に対して少なくとも0.05%又は少なくとも0.07%w/wで存在する。
第1の相が水相である場合、界面活性剤は、ポリビニルアルコールであり得る。
一実施形態では、第1の相は、第2の相中で最大で50、最大で20、最大で10、又は最大で5ppmwの溶解度を有する。
一実施形態では、第2の相は、第1の相中で最大で50、最大で20、最大で10、又は最大で5ppmwの溶解度を有する。
水相
本発明は、本発明の方法において連続的な相又は分散相のいずれかとしての水相の使用を必要とする。タンパク質を含む、適した水溶液の調製方法は、当業者に明らかである。
水相は、タンパク質を変性させるための、例えばタンパク質の集合体の形成を助長するための作用物質を含んでもよい。
水相は、酸性、アルカリ性又は中性、好ましくは酸性又はアルカリであってもよい。
水相は、塩、デキストランなどの生体高分子及び他の多糖類を含むポリマー、上述するような種、ナノ粒子(例えば、磁気ナノ粒子)のような粒子を含んでもよい。
水非混和性相
本発明は、水と非混和性である相の使用を必要とする。当該相は、油ベースの相(油相)若しくは有機溶媒ベースの相(有機相)、又は2つの組合せであり得る。
一実施形態では、水非混和性相は、液体相である。
油相は、主要な構成成分として、油を有する。油は、周囲温度で液体である。
油は、不活性である。即ち、それは、タンパク質、又は本発明のカプセルを形成するのに使用される任意の他の構成成分と反応しない。油は、殻と反応しない。
一実施形態では、油は、炭化水素ベースの油である。
一実施形態では、油は、鉱油である。
一実施形態では、油は、フッ素化炭化水素油である。
一実施形態では、油は、ペルフルオロ化油(perfluorinated oil)である。本発明における使用のためのペルフルオロ化油は、FC-40(3M社から入手可能であるようなFluoroinert)である。
一実施形態では、油は、シリコーン油である。
一実施形態では、水非混和性相は、主要な構成成分として、有機溶媒を有する。例えば、有機溶媒は、クロロホルム及びオクタンから選択される。
カプセル材料を有するカプセル
本発明の方法は、カプセルへの構成成分の取込みに適している。したがって、生産されるカプセルは、カプセル化される材料(カプセル材料)を含む。
本発明のさらなる態様では、タンパク質の集合体を含む殻を有するカプセルの調製方法が提供され、上記方法は、
(i)チャネルにおいて第1の相の流れ及び第2の相の流れを接触させて、それによりチャネルにおいて、第1の相中に第2の相の離散領域、好ましくは液滴の分散液を生成させるステップであって、第1及び第2の相のうちの一方が、タンパク質の集合体を形成するのに適したタンパク質を含み、第2の相が、カプセル化用の構成成分を含み、それにより離散領域の境界でカプセル殻を形成し、カプセルが、構成成分を保持し、第1及び第2の相が非混和性であるステップ
を含む。
本発明の方法は、それが、第2の相中に存在する構成成分全てを、カプセル殻内にカプセル化することが可能であるため、特に魅力的である。カプセル殻の形成は、第1の相との界面で、液滴の境界で起きる。したがって、実質的に全ての構成成分が、形成される殻内にカプセル化される。したがって、本方法は、カプセルへの構成成分の取込みに関する効率的な方法を提供する。
一実施形態では、上記方法は、複数の構成成分をカプセル化するカプセルの調製方法である。この実施形態では、水相は少なくとも、カプセル化されるべき第1の構成成分及びカプセル化されるべき第2の構成成分を含む。第1の相との接触前に、又は第2の相を、第1の相の流れと接触させるのと実質的に同時に接触させる別々の部分流れ(sub-flow)として、複数の構成成分は供給され得る。
一実施形態では、第2の相におけるカプセル化されるべき構成成分の濃度は、少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.5、少なくとも1.0、又は少なくとも5.0μMである。
一実施形態では、第2の相におけるカプセル化されるべき構成成分の濃度は、最大で5,000、最大で1,000、最大で500、最大で200、最大で100、最大で75、最大で50、又は最大で10μMである。
一実施形態では、第2の相におけるカプセル化されるべき構成成分の濃度は、最小及び最大の率が、上記実施形態から選択される範囲内である。例えば、第2の相におけるカプセル化されるべき構成成分の濃度は、0.01〜5mM、例えば0.02〜50μMの範囲内である。
一実施形態では、カプセル化されるべき構成成分の濃度は、存在する場合、部分流れが一緒にされた後の第2の相における濃度を指す。
第2の相における構成成分の濃度はまた、カプセル内に保持される構成成分の濃度を表し得る。
本発明は、本明細書中に記載する方法のいずれかから得られるか、又は得ることができるカプセルを提供する。カプセルは、カプセル化される構成成分を含んでもよく、これもまた、本明細書中に記載する方法を使用して調製され得る。
カプセルの分析
上記セクションでは、殻材料、殻形状、殻寸法の分析について記載している。例えば、カプセルは、カプセル殻の形状を決定するのに単純な明視野顕微鏡法により分析され得る。また、得られる画像を使用して、カプセル殻の横断面、通常直径を決定し得る。
カプセル殻はまた、走査型電子顕微鏡法及び共焦点顕微鏡法を使用して、形状、横断面及びその厚さに関して分析され得る。
本発明者等は、殻材料へ検出可能な標識を有用に取込み(即ち、標識タンパク質を使用することにより)、それにより、それぞれの位置を特定し、規定することが可能となった。当該標識が蛍光標識である場合、それは、例えばレーザー走査型蛍光顕微鏡法により検出され得る。
カプセルを修飾する方法
本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様のカプセルを修飾する方法であって、
(i)本明細書中に記載するようなタンパク質の非共有結合性自己集合体である材料の殻を有するカプセルを供給するステップであって、カプセルが、殻内の材料のネットワークを任意に含み、そのネットワークが、タンパク質の自己集合体であるステップと、
(ii)カプセルを、非集合タンパク質などのタンパク質と接触させるステップと、
(iii)タンパク質が、殻でのタンパク質の集合体に加わること、及び/又は任意に、存在する場合、材料のネットワーク中のタンパク質の集合体に加わることを可能にするステップと
を含む方法が提供される。
例えば本明細書中に記載する方法により調製される本発明のカプセルは続いて、カプセルを、タンパク質の集合体に加わることが可能であるタンパク質と接触させることにより修飾され得ることを、本発明者等は見出した。通常、カプセルは、殻内で、又は内部ネットワークが存在する場合には、内部ネットワーク内で、モノマータンパク質などの、集合体中に存在するタンパク質と同じであるタンパク質と接触させる。
上記方法を使用して、初期カプセル調製ステップ後にカプセルの特性を調整してもよく、例えばカプセル内のタンパク質の密度を増加させてもよく、これは、カプセルのさらなる構造的完全性を提供するのに有用である可能性があり、並びに/又は孔の数及びサイズを減少させてもよく、これは、カプセルの、カプセル化された材料を保持する能力を改善させる可能性がある。
カプセルを修飾する方法は、図4(e)に概略的に示される。
カプセルの使用
本明細書中に記載するカプセルは、材料に関してカプセル材料としての使用に適している。この材料は、必要であれば、カプセル内に保管され、カプセルから放出されてもよい。一実施形態では、カプセル化された構成成分を含む本発明のカプセルが提供される。
さらなる態様では、構成成分を位置へ送達する方法であって、
(i)本明細書中に記載するような構成成分をカプセル化する殻を有するカプセルを供給するステップであって、カプセルが、殻内の材料のネットワークを任意に含み、そのネットワークが、タンパク質の自己集合体であるステップと、
(ii)カプセルを標的位置へ送達するステップと、
(iii)殻から構成成分を放出させるステップと
を含む方法が提供される。
本発明の他の態様では、本発明のカプセルを使用して、殻及び存在する場合にはネットワークを作り上げるタンパク質を、標的位置へ送達し得る。研究実施例に示すように、タンパク質の自己集合体は、崩壊されてもよく、それより自己集合体からのタンパク質の分散を引き起こす。このようにして、カプセルを作り上げる材料が放出され得る。
したがって、本発明のさらなる態様では、タンパク質を標的位置へ送達する方法であって、
(i)本明細書中に記載するようなタンパク質の自己集合体を含む材料の殻を有するカプセルを供給するステップであって、カプセルが、殻内の材料のネットワークを任意に含み、そのネットワークが、タンパク質の自己集合体であるステップと、
(ii)カプセルを標的位置へ送達するステップと、
(iii)タンパク質の自己集合体である材料の殻を崩壊させて、それによりタンパク質を放出させるステップと
を含む方法が提供される。
一実施形態では、位置は、インビボである。
一実施形態では、位置は、エクスビボである。
一実施形態では、カプセル化された構成成分又はタンパク質の放出は、外部刺激に応答している。
一実施形態では、カプセル化された構成成分又はタンパク質の放出は、局所条件の変化に応答している。
一実施形態では、局所条件の変化は、pHの変化、温度の変化、酸化レベルの変化、濃度又は反応性化学物質の外観の変化であり得る。
一実施形態では、カプセルは、カプセルの希釈に応答して崩壊されてもよい。例えば、カプセルは、10倍以上、100倍以上、又は1,000倍以上、希釈され得る。
希釈剤は通常、水などの水性希釈剤である。
他の選好
上述の実施形態の各適合性の組合せ及びあらゆる適合性の組合せは、各組合せ及びあらゆる組合せが、個々にかつ明確に列挙されたかのように、本明細書中で明確に開示される。
本発明の様々なさらなる態様及び実施形態は、本開示を考慮して、当業者に明らかである。
「及び/又は」は本明細書中で使用する場合、2つの指定した特色又は構成成分それぞれの、他方を伴うか、又は他方を伴わない特定の開示と解釈されるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、まさにそれぞれが、本明細書中で個々に提示されるかのように、(i)A、(ii)B並びに(iii)A及びBのそれぞれの特定の開示と解釈されるべきである。
状況が他の場合を指示しない限りは、上記に提示する特色の説明及び定義は、本発明の任意の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載する態様及び実施形態全てに均等に当てはまる。
本発明のある特定の態様及び実施形態は、ここで例として、また上述の図面を参照して説明される。
実験
タンパク質カプセル及び粒子
リゾチームに基づいた単一殻カプセルを、概念実験の初期立証で、以下に記載するように調製した。これを受けて、さらなる単一殻カプセルを調製して、これらを、多殻カプセルと比較した(以下の多殻カプセルを参照)。
材料
ニワトリ卵白リゾチーム、fluorinert FC-70(Sigma社)、チオフラビンT(ThT,Thioflavin T)、レマゾールブリリアントブルーR(RBBR,Remazol Brilliant BlueR)、テトラサイクリン(Tet,Tetracycline)及びペニシリンVは、Sigma-Aldrich社から購入した。界面活性剤N,N−ビス−(n−プロピル)ポリエチレンオキシド−ビス−(2−トリフルオロメチルポリパーフルオロエチレンオキシド)アミドは、Holtze et al. Lab Chip 2008, 8, 1632により記載されるように合成した。
種形成
タンパク質の集合体を有するカプセルの形成における使用のための種は、リゾチーム種の形成について記載している以下に記載する方法の適応を使用して調製され得る。
1)緩衝液溶液(緩衝液:1M HCL 200μL、2M NaCl 200μL、10mM HCL 600μL)1mL中にリゾチーム120mgを溶解する;
2)攪拌しながら、65℃で22〜24時間、リゾチーム溶液を加熱する;
3)22〜24時間後、それぞれ1分の5サイクルで、超音波処理プローブを使用して、溶液を超音波処理する(振幅45〜50%);
4)攪拌しながら、65℃でさらに22〜24時間、リゾチーム溶液を加熱する;及び
5)それぞれ1分の5サイクルで、超音波処理プローブを使用して、溶液を超音波処理する(振幅45〜50%)。
種は、AFMで分析した。したがって、1mMの種溶液を調製し、溶液の20μLの小滴(drop)をマイカスライド上に配置し、室温で1時間乾燥させ、次いでAFMで分析した。AFM画像の例を図13に示す。
液滴マイクロ流体
マイクロ流体液滴作製機を、ソフトリソグラフィー技法(Qin et al. Nature Protocols 2010, 5, 491)を使用して、ポリジメチルシロキサン(PDMS,polydimethylsiloxane)中で製作した。マイクロ液滴は、20mM HCL及び19.5mM NaCl中の6%(w/w)リゾチームの水溶液、及び1.9ppm(w/v)NaN、及び2%w/vのN,N’−ビス(n−プロピル)ポリエチレンオキシド−ビス(2−トリフルオロメチルポリパーフルオロエチレンオキシド)アミド界面活性剤を含有するFC40(Sigma社)フッ素化油の連続的な外側相から、フローフォーカシング(Anna et al. Applied Physics Letters 2003, 82, 364)により生成させた。
通常、水相は、タンパク質モノマーの、フィブリル形態への変換を加速させるために、2%w/wの予め形成した凝集体(種)を含有していた(キャプションに示すように、濃度を変化させた図3に示す研究は除く)。
マイクロ流体デバイスで使用する水性流速は通常、20μL/時間〜1,000μL/時間の範囲内であった。マイクロ流体デバイスで使用する非水性流速(通常、油相)は通常、20μL/時間〜2,000μL/時間であった。
カプセル形成
カプセルは、マイクロ流体液滴作製機で創出されるマイクロエマルジョンとして、非混和性油相中の前駆ポリマー(Langer et al. Nature 428, 487-492 (2004))、ここでは大量のタンパク質リゾチーム(Booth et al. Nature 385, 787 (1997))の濃水溶液のマイクロ液滴を形成することにより調製した。次いで、可溶性タンパク質の、アミロイドゲルへの変換(Dobson Nature 426, 884-890 (2003))を、65℃でのマイクロエマルジョンのインキュベーションによって開始させた。カプセル形成の略図を図1aに示し、ここで、生産されるカプセルは、タンパク質(リゾチーム)の集合体である材料の殻を有し、カプセルに、タンパク質(同様に、リゾチーム)の集合体である殻内の材料のネットワークを供給する。
この一般的な合成アプローチ(図1(b))を、中空のゲル殻を生成するように拡張させることができる(図1(d))。この趣旨で、水相及び油相を逆転させたのに対して、他の場合には、製作プロトコールを同一のまま維持した。形成されるカプセルは、タンパク質(リゾチーム)の集合体である材料の殻を有する。この合成において、カプセル調製は、タンパク質の集合体である殻内の材料のネットワークの形成をもたらさない。
タンパク質性内容物のナイルレッド(Feng et al. Bioresour. Technol. 128, 107-112 (2013))染色を使用して、得られたカプセルを可視化させ、続いて、共焦点顕微鏡法を使用して検査した(図1(c)及び図1(f))。蛍光シグナルの空間的位置が、水中油型マイクロ液滴から生産されるカプセルでは、油中水型戦略で生産されるカプセルとの間で比較すると、異なっていることが観察された。蛍光が、後者の事例では粒子の体積全体にわたって放出される(図1(c))のに対して、蛍光外側殻のみが、前者の事例では観察された(図1(f))。
z−スタック画像(図1(c)及び図1(f))を使用した粒子の完全な再構築により確認されるこの観察により、液滴が、水中油型エマルジョンとして合成される場合に、タンパク質が水相と油相との間の界面上に局在化し、インキュベーション中に形成される集合体が、後者の事例では中空カプセル殻の形態を取るのに対して、前者の事例では材料の内部ネットワークが存在することが示唆される。
マイクロ液滴が形成された後、ゲル化を促進するために、それらを65℃で24時間インキュベートさせた。カプセルを、連続的な油相と、またカプセル殻又はネットワークへ取り込まれなかったタンパク質分子と分離するために、10mM HCl 500μLを、FC40中のカプセル懸濁液1mLに添加し、混合し、次いで700rpmで1分間遠心分離した。油−水界面にあるエマルジョン相を収集し、この洗浄手順を3回繰り返した。
カプセルのサイズに対する制御は、マイクロ流体液滴作製機のチャネル幅並びに油及び水相の相対流速を調節することにより達成された。このように、カプセルのサイズは、60μmを上回るものから600nmに至るまで2桁にわたって調整することができる(図2を参照)。
興味深いことに、カプセルの電気泳動移動度に基づく界面相の電位に関する尺度であるζ−電位(O'Brien et al. Canadian Journal of Chemistry 59, 1878-1887 (1981))は、他の形態のタンパク質カプセルの観察に一致して、サイズとともに一貫して減少した(Shimanovich et al. Advanced Functional Materials 21, 3659-3666 (2011))。ζ−電位は、正に帯電したタンパク質(リゾチーム)から形成される粒子に関して予想されるように、全ての事例で正であった。しかしながら、絶対値は、46mVから8mVの範囲であり、したがって、安定から不安定なコロイド懸濁液の範囲に及んだ。
Shimanovich et al. Advanced Functional Materials 21, 3659-3666 (2011)により記載されるカプセルは、タンパク質が、ジスルフィド結合によって、又は架橋剤の使用によって架橋される場合に、超音波処理的に形成されるカプセルであることに留意すべきである。
分散に先立って、反応流体中での遊離の可溶性リゾチーム対種(予め形成した種フィブリル)の比を変更することにより、種々の形態のカプセルが生成された。得られたカプセルは、走査型電子顕微鏡法及び共焦点顕微鏡法を使用して、高解像度で研究した(図3を参照)。SEMにより、カプセル(カプセル殻)の表面が、平均して、種濃度が増加するとともにより粗くなることが明らかとなった。モノマーリゾチームの初期濃度の増加は、対比して、形態に対してほんの小さな影響がある。表面粗さの増加が、粒子のフィブリル含有量の比率の増加から生じることを確認するために、粒子の内部構造を、共焦点顕微鏡法で画像化して(以下を参照)、アミロイドフィブリルへの結合時のチオフラビン−T(ThT)の、増強され、かつレッドシフトした蛍光を利用した(Hsu et al. J. Phys. Chem. B 2013, 4, 3459)。図3(b)は、アミロイドに結合されたThTから生じる蛍光シグナルが、種濃度が増加するとともに一貫して増加することを実証している。
最高の添加種濃度の場合、添加した質量が、粒子の総リゾチーム濃度の7%未満に達し、ゲル化が、種自体の架橋によるものではなく、完全にこれらの種構造の成長により駆動される。
最高濃度の種を用いて形成される粒子の画像(図3(a))により、可溶性タンパク質が、フィブリルへほぼ定量的に変換されたことが示される。可溶性タンパク質の濃度の増加は、対比して、65℃で24時間の固定インキュベーション時間に関して、フィブリル含有量の一貫した増加を引き起こさない。
したがって、カプセルの内部構造及び形態は、液滴を形成するのに使用される水相における可溶性リゾチーム及び/又は種フィブリルの絶対及び相対濃度、並びに高温でのインキュベーション時間を変更することにより制御することができる。
カプセルは、pH2.0でのそれらの成長環境から、生理学的条件へ移行させる際に、経時的にそれらの構成成分タンパク質分子を放出することが可能であることが見出された。
タンパク質分子の放出の研究は、ゲル粒子からのその放出後に、可溶性タンパク質の増加された存在に相当する可溶性相におけるUV吸収の増加を測定することにより実施した。データにより、これらの放出が2つの相:タンパク質の30〜50%を放出する、1時間未満の時間スケールにわたる速い相、及び数日〜数週にわたって起き、カプセルの完全な溶解をもたらす遅い相で行われることが明らかとなる。
速い相対遅い相の比は、ゲルネットワークの密度及びフィブリルタンパク質に対する遊離のタンパク質の割合を調整することにより制御することができる。大きな割合の遊離のタンパク質を含有するカプセルに関して、速い相は、より大きな振幅を有し、ミクロゲルの孔中に捕捉される可溶性タンパク質分子が放出されることを示唆した。対比して、遅い相は、ゲルを構成するナノフィブリルからの分子の解離に起因し得る。他の研究から、アミロイドフィブリルの溶解速度は、数時間〜数日の時間スケールにわたって起き得ることが十分に確立されている。
カプセルの、小分子用の担体として作用する能力を研究した。
リゾチームカプセルの、薬物をカプセル化する能力、並びにそれらの充填能力を、以下の4つのタイプの薬物様分子に関して、生理学的条件下で研究した:親水性の代表的な分布及びタンパク質への親和性 を生ずるThT、RBBR、テトラサイクリン(tet)及びペニシリンV。
これらのカプセル化研究に関して、前駆薬物分子を、リゾチームの水溶液と混合させた。使用した条件は、1)6.58×10−5Mの濃度で二重に蒸留した酸性化水(pH=2)中に溶解させたThT、2)7.31×10−5Mの濃度で酸性化水(pH=4)中に溶解させたRBBR、3)9.4×10−4MのペニシリンV(酸性化水pH=2)及び4)9×10−4Mの初期濃度で水(pH=5)中に溶解させたテトラサイクリンであった。薬物を保持するカプセルの調製を図4(a)で概略的に示し、ここで、薬物は、分散相(概略図における水相)中に含有される。
リゾチームカプセルへの薬物分子の充填効率は、薬物のUV及び蛍光スペクトルの変化を追跡することにより研究した。4つのタイプの薬物分子全てに関する充填効率研究を図4(c)に要約する。全てのカプセル化された種に関して、80%に近い充填効率が、小分子の、カプセルへの首尾よい取込みに関して達成された。
次いで、カプセルからの、カプセル化された種の放出について研究した。この趣旨で、カプセルは、増加した期間、新鮮な緩衝液中でインキュベートし、遠心分離によりゲルを除去し、上清中の放出された小分子の濃度を、それらのUV吸収によって測定した。図4(d)に示す結果により、小分子の放出の速度の顕著な差が明らかとなる。
ThTは、タンパク質ミクロゲルに関して、最強の親和性を示し、1週後でさえ、完全に放出されず、ThTとアミロイドフィブリルとの予測される強力な相互作用に由来する結果であった。対比して、ペニシリンVは、1時間後に、その最大放出速度に達した。ペニシリンVに類似した挙動が、RBBR及びテトラサイクリンに関して観察された。
次いで、インビボでの条件を模倣するように設計した細胞培養培地中で、放出動態を研究した。ここで、リゾチームカプセルは、安定であることが見出されており、放出動態は、生物学的培地であるα−MEMにより影響を受けなかった。動態に対するpHの影響を、1〜12に変化させるpH値に関して調べた。カプセルからの4つの化合物の放出速度は、低pHに関しては一定のままであったが、pHが、8.5の値に達すると著しく変化することが観察された。pH9では、放出速度は、カプセル中に存在するフィブリルの緩やかな解離の始まりの結果として、4つの分子に関して6%分増加した。より高いpH値12では、カプセルの分解が非常に速く、カプセル化されたカーゴ分子の迅速な放出を伴った。
カプセルからの小分子の放出メカニズムは、SEMにより、並びに可溶性相中のタンパク質の外観によって、カプセルの形態学的変化を追跡することにより研究した。結果により、リゾチームカプセルからのカプセル化された薬物分子の放出メカニズムは、多ステッププロセスに続くことが明らかとなる。第1の段階では、界面の近傍における未結合小分子が、溶液中に放出され、第2の段階は、放出に関するタイムスケールが、残存する構成成分の遊離を引き起こすカプセルの溶解と一致することを示した。
本発明のカプセルの特定の特色は、集合体が、殻中に存在しようと、殻内に保持されるネットワーク中に存在しようと、モノマー前駆タンパク質に当該集合体を曝露させることにより調整され得る。例えば、殻内に保持されるフィブリルネットワークの密度が変更されてもよく、例えば増加されてもよい。これは、図4(e)に概略的に示され、ここで、モノマーリゾチームを含有する溶液内でのカプセルのインキュベーションは、カプセル内でのモノマーの隔離をもたらして、カプセル内のネットワークの密度の関連する増加を伴って、カプセル内で構成成分フィブリルの成長を引き起こす。したがって、合成ポリマーに基づく従来のゲルとは異なり、アミロイドカプセルは、形成された後でさえ、自己集合プロセスを経てそのコアのフィラメントネットワークの密度を増加させることがあり、調整可能な動的材料が得られる。
カプセル化によって達成される小分子薬物の局所濃度の増加により、より有効的な薬理作用が引き起こされ得るのか否かを検討した。放出されるテトラサイクリン及びペニシリンVの抗菌活性は、スタフィロコッカスa.(Staph. a.)細菌株を使用して調べ、カプセルの非存在下で、遊離溶液中に同じ濃度で抗生物質により示される抗菌活性と比較した(以下を参照)。
いずれの抗生物質に関してもそれを充填したリゾチームカプセル(図5(b))は、著しく増強された抗菌活性を示した:低及び高カプセル濃度に関して、20%及び60%増強。
リゾチームカプセルの生体適合性を確立するために、ヒトがんU20S細胞を使用して、毒性アッセイを実施した(同様に、以下を参照)。MTT25アッセイを実施して、カプセルへの曝露後の細胞及びリゾチームカプセルからの放出種を含有する懸濁液の生存度を評価した。同様に、アッセイを使用して、リゾチームカプセルの形成に先立って、タンパク質、種及び薬物の前駆混合物の活性を試験した。
図5(a)で示される結果が実証するところでは、全てのタイプの溶液が、ヒト細胞株にとって無毒性であることが見出されたが、これは、リゾチームカプセルが生体適合性であり、薬物送達剤としての使用に適していることを示唆している。ゲル化を引き起こすアミロイド凝集を開始させる予め形成した種フィブリルの使用により、タンパク質凝集における潜在的に毒性のオリゴマー構造を回避することが可能となる。
共焦点顕微鏡法
共焦点顕微鏡法に関して、水性分散液を、さらに精製することなく、スライドガラス上に置くことにより、試料を調製した。タンパク質ミクロゲルを、下記レーザー:25mWでのUV405nm(紫外線励起に関して)及び30mWでの耐え得る(tenable)アルゴン458/477/488/514nm(緑色励起に関して)で、共焦点顕微鏡(Laser Scan Confocal、Zeiss Microscope社)を使用して分析した。3D画像は、Imaris画像解析ソフトウェアを使用して再構築させた(各タンパク質殻につき、平均して、235個のz−スタック切片)。
走査型電子顕微鏡法
タンパク質ゲルの球状形状を無傷で維持するために、カプセルを丸形のカバースリップスライドガラス上に起き、25℃で1×10−3mbarの圧力、ポンピング速度1×10−5mbar L/秒を用いて、チャンバー中で、低真空条件下で乾燥させた。試料を乾燥後、真空スパッタリングコーター(Denton Vacuum Desk IV)を使用して20nmの金層で被覆し、JEOL JSM-840 SEMを用いて画像化した。
効率、充填能力及び放出動態測定
充填したミクロゲルを、10分〜14日の間隔で、10mM HClで洗浄した。各洗浄後の溶質をUV分光法により分析した。
抗菌アッセイ
2つのタイプの抗生物質テトラサイクリン及びペニシリンVの活性を調べ、阻害ゾーンを、遊離抗生物質の3つの組の希釈溶液と比較した。溶液の小滴は、細菌染色を含有する寒天プレート(O.D.0.3)上に配置し、阻害ゾーンは、28時間後に測定した。
毒性アッセイ
U20S細胞の試料(2mL)を、下記溶液0.5mLとともに、37℃で48時間、低グルココースDMEM培地中でインキュベートした(Cole et al. Cancer Chemother. Pharmacol. 1986, 17, 259):1)リゾチームモノマー及びリゾチーム種の前駆溶液、2)リゾチームカプセル(ミクロゲル)、3)リゾチームゲルの洗浄溶液、4)テトラサイクリンが充填されたリゾチームゲル、5)テトラサイクリンを充填したリゾチームミクロゲルの洗浄溶液。まず、インキュベーション培地を除去し、次いで細胞をより小体積のプレートへ移行させ、培地を新鮮な溶液80μlと交換した。次いで、MTTの20μL部分を添加し(5mg/mLのストック溶液)、細胞を37℃で3時間インキュベートした。培地を除去し、次いでDMSO 150μLを添加し、系を10分間インキュベートさせた。次いで、溶液をピペッティングにより混合し、490nmでの各ウェルの吸光度を測定した。
カプセル解離
カプセルの形態学的変化(SEM及びTEMを使用して)を、脱イオン水中での洗浄時間の関数として研究した。まず、タンパク質分子が、カプセルの外側表面から脱離することが観察された(図6)。次いで、カプセルの表面上で孔が検出され、これは、12時間後に最大300nmまでサイズの関数として、サイズが拡大した。放出種の形態もまた、洗浄時間の増加とともに変化した。
最初の12時間の間に、放出種は、球状のナノ粒子形態を有するが、12時間後、より大きな凝集種が放出されるのが観察された。これらの結果は、最初にカプセルの外側表面が、タンパク質層を損失し、次いで孔が創出されて、カプセルの内部球体を形成するリゾチームフィブリルが解離することを示している。最終的に、カプセル全体の解離が観察された。
ζ−電位
リゾチームタンパク質カプセルに関するζ−電位値の変化は、マイクロ流体チャネル幅の変化及び水性相:油の流速比に対する変化の関数として研究した。結果を図6(下部のグラフ)にまとめる。ζ−電位、即ち電位は、質量/体積の関数として、コロイド粒子の電気泳動移動度の変化の検出に基づいて、動的光散乱法(DLS,dynamic light scattering)により測定した。
放出研究
放出研究は、カプセルの内部構造の一部を形成するタンパク質分子が放出されるかどうかを検討した。カプセルを洗浄し、洗浄溶液中のタンパク質濃度を測定した。10分後、及び10時間後に、カプセルを洗浄したことに起因して外に出るタンパク質分子は、25%及び40%の最高値に達した。12時間後、カプセル構造から出たタンパク質の量が、依然として低く(3%)、残りの時間に関して安定である(研究は、3日の洗浄に関して実施した)。カプセルの表面は滑らかではなく、これは、カプセルの外側表面上にタンパク質の存在を示している。洗浄時間に対してカプセルの形態学的変化を追跡することにより、第1のステップで、塩結晶が、タンパク質カプセル表面から脱離し、次いでカプセルの外側表面に付着したタンパク質が脱離し、それにより、カプセルの表面が滑らかになることが見出された(図6を参照)。
このステップに続いて、孔が、カプセルの表面上で生じ、これが、カプセル洗浄時間の増加とともにサイズが拡大した。12時間の洗浄後に、そのサイズがおよそ300nmで、最大孔サイズに達した。放出種の形態もまた、洗浄時間の増加とともに変化した。最初の12時間の間、放出種の形態は、球状ナノ粒子形態を有する。12時間後、フィブリルの存在が検出された。これらの結果により、第1の段階で、カプセルの外側表面が、そのタンパク質層を損失し、次いで孔の創出が続き、これは、水分子を、カプセルの内部部分に浸透させ、カプセルの内部部分を保持するリゾチームフィブリルを溶解させる。フィブリルの大部分がカプセルから出るとすぐに、カプセルは収縮し、その球状形態を損失する(3日の洗浄後)。収縮したカプセルの画像を図6に提示する。
提唱される放出メカニズムは、リゾチームカプセルの結晶化度の変化を追跡することにより確認した。調製される場合、カプセル(結晶構造研究に関して、カプセルが、前駆混合物中に塩の存在なく調製した)は、文献から公知のリゾチーム結晶化度に同一である回折パラメーターを有する明確な結晶構造を有する(図12におけるTEM画像及びその回折を参照)。リゾチームカプセル並びに前駆混合物及び放出割合を分析した。x線回折分析を、リゾチームカプセルを調製する場合、リゾチーム水溶液、リゾチーム種、放出後のカプセル、及びカプセルから放出される断片に関して実施した。研究は全て、タンパク質結晶構造の誤解釈を回避するために、NaClの存在なしで、試料に関して実施した。
結果を図12に提示する。調製したリゾチームカプセルに関して、高結晶質正方晶構造を検出した。カプセルを洗浄し、そのタンパク質層を損失した後、カプセルの結晶化度は、非晶質に変化した。カプセルの内部部分から放出されるフィブリル断片は、非晶質構造を有する(回折が検出されなかった)。放出されるナノ粒子タンパク質凝集体は、高い正方晶結晶構造を有する回折試料として見出された。水性種の前駆混合物に関して、回折が、正方晶構造を示した。リゾチーム溶液に関して、非晶質構造が検出された。x線回折から得られる結晶化度情報から、種並びにリゾチームフィブリルの位置を検出することが可能であった。種は、カプセルの膜上に、及びカプセルの内部部分中に位置した。カプセルを、放出研究用に洗浄した場合、リゾチームタンパク質の種は、カプセル構造から放出される第1の断片であった。
卵タンパク質研究
さらなるカプセルを卵タンパク質から調製した。
上述する一般的な技法を使用して、卵白及び卵黄からカプセルを調製した。顕微鏡法画像(明視野及びSEM)を図14及び図15に示す。
マイクロ流体液滴作製機は、上述するようにソフトリソグラフィー技法を使用して、ポリジメチルシロキサン(PDMS)中で製作した。2%w/vのN,N’−ビス(n−プロピル)ポリエチレンオキシド−ビス(2−トリフルオロメチルポリパーフルオロエチレンオキシド)アミド界面活性剤を含有するFC40フッ素化油(Sigma社)で構成される連続的な外側相を用いて、(i)鶏卵のオボアルブミンに富んだ内容物、及び(ii)卵黄のうちの一方を使用して、マイクロ液滴を生卵の溶液からフローフォーカシング(flow-focussing)により生成させた。
マイクロ液滴が形成された後、それらを65℃で24時間インキュベートして、タンパク質フィブリル化を促進させた。油−水界面にあるエマルジョン相を収集し、3回洗浄した。
卵白液滴から固体試料を調製した。したがって、新たに調製及び収集した卵白液滴を100℃で5分間煮沸させた。煮沸カプセルを、水溶液残部と分離し、それにより、より後期のカプセル収集がより容易となった。次いで、カプセルを大気下で2時間乾燥させた。
多殻カプセル
本発明のカプセルは、多殻(又はネステッド)カプセルとして調製されてもよい。これらの多殻カプセルを、上述するような単一殻カプセルと比較し、以下で詳述するように、代替的なタンパク質を使用して、さらなるカプセルを調製した。
単一殻は、上述するように合成し、多殻カプセルは、マイクロ流体液滴作製デバイスにおける非混和性油相において、タンパク質前駆溶液、通常、酸性タンパク質前駆水溶液のマイクロ液滴を形成することにより、類似の様式で合成した(以下を参照)。これらの調製では、種は使用しなかった。マイクロ流体的に形成される単一及び多殻カプセル構造の略図を図7(a)及び図10に示す。単一殻カプセル構造は、1つのタンパク質又は2つの異なるタンパク質の混合物から調製した(図1(a)を参照)。図1(a)及び図10における単一殻カプセル1〜5は、単一T−接合部液滴作製機において創出した(図10(a)及び図10(b)に示されるように)一方で、図1(a)及び図10における構造6〜10である多層構造は、二重T−接合部液滴作製デバイスにおいて調製した(また、図10(c)〜図10(e)を参照)。ネステッド液滴の調製方法はまた、当該技術分野で周知である。
可溶性タンパク質のアミロイドを生ずるゲル化は、65℃で12時間の液滴エマルジョンインキュベーションによって開始した(同様に、図10に示されるように)。カプセルの構造的連座を確認するために、またミクロゲル構造における各タンパク質の位置を割り当てるために、カプセルを共焦点顕微鏡法で分析した後、3次元ミクロゲル構造の完全な再構築を行った。各タンパク質構成成分を当該色素に特異的な色素で標識した:インスリンはCF594色素(励起593nm/発光614nm)で、グルカゴンはCF350色素(励起347nm/発光448nm)で標識し、リゾチームは、CF488A色素(励起490nm/発光515nm)で標識した(以下の色素染色を参照)。図7(b)〜図7(g)で提示される共焦点顕微鏡法分析結果(以下で論述する分析)は、各タンパク質の正確な局在化を示す。蛍光シグナルの空間的局在化における著しい差が、単一タンパク質と、T−接合部デバイス及び二重T−接合部デバイスにおける混合物とから生じるカプセル間で観察された。カプセルの各タイプの代表例を、図7(b)〜図7(g)に例示として示す。
単一T−接合部液滴作製機において1つのタンパク質から形成されるカプセルに関して、蛍光シグナルは、粒子の内側全体から検出可能であり(図1(b)及び図1(c))、他のカプセルに関しては(図1(d)〜図1(g)を参照)、蛍光外側殻(単数)/殻(複数)に関して識別可能な差が観察された。油の割合研究と相関するこの観察により(図8(a))、液滴が形成される場合、タンパク質が水相と油相との間の界面上に局在化することが示唆される。
タンパク質層間に捕捉される油の割合は、タンパク質殻の数とともに直線的に増加する(図8(a)を参照)。複雑な多層状ミクロゲルカプセル構造を生成するためのマイクロ流体合成アプローチの効率は、構造における殻の数の関数として研究した。得られた構造は、図8(b)に示すように、単一殻構造に関する87%から、より複雑な多層状構造に関する78%まで変化する高い効率値で形成された。対比して、構造の最終サイズは、液滴作製機チャネル幅(25μm)の平均値によってのみ制限される。
材料の概要
下記材料を、ミクロゲルタンパク質殻調製に使用した:ヒトグルカゴン(Gemini Bio-Products社)及びインスリンタンパク質(Sigma-Aldrich社)、リゾチームヒトタンパク質(Sigma-Aldrich社)、fluorinert FC70(Sigma社)、及びN,N−ビス−(n−プロピル)ポリエチレンオキシド−ビス(2−トリフルオロメチルポリパーフルオロエチレンオキシド)アミド界面活性剤。放出メカニズム及び動態研究に関して、チオフラビンT(Tht)(Sigma-Aldrich社)色素を使用した。
色素染色アッセイ
染色は、「mix and stain」CF594(励起593nm/発光614nm)、CF350(励起347nm/発光448nm)及びCF488A(励起490nm/発光515nm)色素(Sigma-Aldrich社)を使用して、前駆タンパク質に関して実施した。タンパク質をまず、反応緩衝液(Sigma-Aldrich社により供給)へ移行し、次いで色素と混合した。インスリンは、CF594色素で、グルカゴンはCF350色素で標識し、リゾチームは、CF488A色素で標識した。
共焦点顕微鏡法
共焦点蛍光顕微鏡法に関して、水性分散液を、さらに精製することなく、スライドガラス上に置くことにより、試料を調製した。タンパク質ミクロゲルを、下記レーザー:25mWでのUV405nm(紫外線励起に関して)及び30mWでの耐え得るアルゴン458/477/488/514nm(緑色励起検出に関して)及び30mWでのNe594nm(赤外線励起に関して)を使用して、共焦点顕微鏡(Laser Scan Confocal、Zeiss Microscope社)により分析した。3D画像は、共焦点z−スタック画像を使用して再構築させた(各タンパク質殻につき、平均して、500個のz−スタック切片)。
原子間力顕微鏡法
マイカ表面上にタンパク質フィブリルを置くことにより、タンパク質ミクロゲルを、AFM顕微鏡、H-02-0067 NanoWizard II(JPK Instruments社)により分析及び特性決定した。ミクロゲル構造からタンパク質フィブリルを抽出するために、ミクロゲルを、室温にて13,000rpmで1時間遠心分離した。
効率、充填能力及び放出動態測定
タンパク質カプセル合成に関するマイクロ流体技法の効率は、残渣溶液中の標識タンパク質の蛍光シグナル後のカプセル形成に加わるタンパク質のパーセントを算出することにより研究した。ミクロゲルカプセルの調製を遂行し、未反応種を除去するために、得られたカプセルを洗浄した後、UV吸収させ各タンパク質の蛍光シグナルを得た後に未反応のタンパク質濃度を算出した。インスリン、グルカゴン及びリゾチームタンパク質ミクロゲル殻の放出動態を研究するために、充填済の試料を、下記の時間間隔:10分、30分、1時間、3時間、8時間、12時間、24時間、48時間、3日、7日内に、DDW pH=7で洗浄した。次いで、各洗浄溶液を、UV分光法及び蛍光光度計で分析し、放出種の正確な濃度を検出した。
タンパク質放出速度を理解及び予測するために、単一殻ゲル液滴(単一殻インスリン、グルカゴン及びリゾチームミクロゲルに関して)においてタンパク質フィブリル化(凝集)動態を追跡することにより、マイクロ液滴ゲル化のメカニズムを研究し、これを、遊離のタンパク質の凝集動態と比較した。経時的なアミロイドフィブリルへの結合時にチオフラビン−T(ThT)色素の、増強され、かつレッドシフトした蛍光を追跡することにより、フィブリル化したタンパク質材料の割合を検出した。図8(c)は、インスリン、グルカゴン及びリゾチームタンパク質に関する、それらの遊離及びカプセル形態での凝集動態研究結果を示す。より遅い凝集速度が、遊離タンパク質形態と比較して、カプセル形態でのタンパク質に関して観察された。この観察は、液滴中でのアミロイドタンパク質フィブリル成長の物理的な制限により説明される。液滴内で成長するインスリン、グルカゴン及びリゾチームタンパク質フィブリルは、AFM画像図8(d)に示されるように、遊離タンパク質フィブリルと比較してより短い(およそ5桁分)ことが見出された。さらに、タンパク質ナノ線維は、長い線維(図2(d)線維を参照)ではなく、濃密な集塊物(図8(d)カプセル線維を参照)として成長する傾向にある。
最終的に、タンパク質構造の凝集性質が、カプセル化されたタンパク質の放出動態に影響を及ぼすかどうかを研究した。図9(a)及び図9(c)中のデータは、インスリン、グルカゴン及びリゾチームタンパク質の放出において顕著な差を示す。興味深いことに、グルカゴンタンパク質に関する放出速度は、インスリン及びリゾチームタンパク質と比較して、はるかに速い。この影響は、タンパク質集合におけるグルカゴンタンパク質の遅い凝集プロセスに起因する。しかしながら、多殻構造に関して、ミクロゲルのコアに局在化するタンパク質は、外側殻のタンパク質が放出された後のみ、解離(放出)する傾向にある。単一殻及び多殻ミクロゲルの解離及びタンパク質放出のメカニズムに関する代表例を、それぞれ図9に示す。
ThTアッセイ
ミクロゲル内部のアミロイドフィブリルの構造への、グルカゴン、インスリン及びリゾチームタンパク質モノマーの取込みは、490nmでチオフラビンT色素分子放出の蛍光強度の変化後に研究した。6.58×10−5M ThT色素を、マイクロ流体的に形成したタンパク質液滴に添加した。タンパク質アミロイドフィブリル化、液滴ゲル化及びゲルの構造へのThT色素の取込みは、65℃で10分、30分、1時間、3時間、8時間、12時間及び24時間のゲルの色素とのインキュベーションにより達成された。ゲル化を遂行した後、界面活性剤、未反応のタンパク質残渣及び過剰のThT色素を除去するために、ミクロゲルを酸性(pH=2)DDWで洗浄した。単一リゾチームカプセルゲルの蛍光強度プロファイルは、ThTフィルター(励起440nm/放出490nm)を使用して、蛍光顕微鏡法により測定した。
(参考文献)
本発明及び本発明が属する技術分野の状況をより完全に記載及び開示するために、多数の刊行物が上記で引用される。これらの参考文献に関する完全な引用を以下に提供する。これらの参考文献それぞれの全体が、本明細書に組み込まれる。
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Claims (33)

  1. タンパク質の自己集合体を含む材料の殻を有するカプセル。
  2. タンパク質の自己集合体が、フィブリル集合体などのタンパク質のアミロイド集合体である、請求項1に記載のカプセル。
  3. タンパク質の自己集合体である殻内のネットワークをさらに含み、前記ネットワークが、前記殻に結合されていてもよい、請求項1又は2に記載のカプセル。
  4. ネットワークが、アミロイド集合体などのタンパク質のフィブリル集合体である、請求項3に記載のカプセル。
  5. タンパク質が、リゾチーム、グルカゴン、インスリン、ミオグロビン、ヘモグロビン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、絹(天然絹及び再構成絹を含む)、卵白、及び卵黄からなる群から選択されるタンパク質などの、グルカゴン、ミオグロビン、ヘモグロビン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、絹、卵黄、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、β2−ミクログロブリン、トランスサイレチン、血清AA、アポリポタンパク質AI、AII及びAIVなどのアポリポタンパク質、ゲルゾリン、リゾチーム、フィブリノーゲンα鎖、シスタチンC、ABriPP、白血球走化性因子2、ADanPP、Aβ及びAβタンパク質前駆体(AβPP)、プリオンタンパク質、カルシトニン、膵島アミロイドポリペプチド、心房性ナトリウム利尿因子、プロラクチン、インスリン、ラクトアドヘリン、ケラト−エピセリン、ラクトフェリン、歯原性エナメル芽細胞関連タンパク質、セメノゲリンI、α−S2C及びKカゼイン、α−シヌクレイン、ポリQ伸長ハンチンチン、アクチン、ニューロセルピン、フェリチン、タウ、アンドロゲン受容体タンパク質、アタキシン−1、DRPLA、NAC、心房性ナトリウム利尿因子、ベタベリン15D及び16D、シトクロムC552、メチオニンアミノペプチダーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、卵白(リゾチーム)、PI3−SH3、β−ラクトグロブリン、モネリン、HypF、ヒト補体受容体、ヒトステフィンB、GAG因子、酵母プリオンUre2p、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質B、アデノウイルス線維、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、並びに酵母タンパク質Sup35からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル。
  6. タンパク質の自己集合体が、前記タンパク質のオリゴマー形態を実質的に含まない、請求項1〜5のいずれかに記載のカプセル。
  7. 0.5〜100μmの範囲の平均直径を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のカプセル。
  8. 殻が、複数のタンパク質の自己集合体である材料であり、前記殻内のネットワークが、存在する場合、複数のタンパク質の自己集合体である、請求項1〜7のいずれかに記載のカプセル。
  9. 第2のカプセルを保持する第1のカプセルを有し、前記第1のカプセル及び第2のカプセルがそれぞれ、タンパク質の自己集合体である材料の殻を有するカプセルである、ネステッドカプセル。
  10. 治療用化合物などの構成成分を保持する、請求項1〜9のいずれかに記載のカプセル又はネステッドカプセル。
  11. タンパク質の非共有結合性自己集合体を含む材料の殻を有するカプセルを調製する方法であって、
    (i)チャネルにおいて第1の相の流れ及び第2の相の流れを接触させて、それにより前記チャネルにおいて、前記第1の相中に前記第2の相の離散領域、好ましくは液滴の分散液を生成させるステップであって、前記第1及び第2の相が非混和性であり、前記第1及び第2の流体のうちの一方が、自己集合に適したタンパク質を含むステップと、
    (ii)前記第1の相と前記第2の相との間の前記離散領域の境界層で、前記タンパク質が自己集合するのを可能にするステップと
    を含む前記方法。
  12. 第1の相が水相であり、第2の相が水非混和性相である、請求項11に記載の方法。
  13. 第2の相が水相であり、第1の相が水非混和性相である、請求項11に記載の方法。
  14. 水非混和性相が油相である、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 第1及び第2の相のうちの一方が界面活性剤を含む、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 第1の相の流速が、第2の相の流速よりも速い、請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 第1の相の流速対第2の相の流速の比が1:Xであり、Xが、1以上、例えば1.1以上、例えば2以上、例えば5以上、例えば10以上である、請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
  18. タンパク質が、水相中に供給される、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 相中のタンパク質の濃度が、0.1〜200μMである、請求項11〜18のいずれかに記載の方法。
  20. タンパク質が、種と一緒に供給され、前記種が、複数のタンパク質分子の集合体である、請求項11〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 種の長さが、10〜500nmである、請求項19に記載の方法。
  22. 種が、相中のタンパク質の濃度に対して5モル%又はそれ未満で、前記タンパク質とともに前記相中に供給される、請求項20又は21に記載の方法。
  23. 種が、0.02〜0.5μMで、タンパク質とともに相中に供給される、請求項20又は21に記載の方法。
  24. ステップ(ii)が、例えば少なくとも30℃の温度で、離散領域を加熱するステップを含む、請求項11〜23のいずれかに記載の方法。
  25. タンパク質が、リゾチーム、グルカゴン、インスリン、ミオグロビン、ヘモグロビン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、絹(天然絹及び再構成絹を含む)、卵白、及び卵黄からなる群から選択されるタンパク質などの、グルカゴン、ミオグロビン、ヘモグロビン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、絹、卵黄、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、β2−ミクログロブリン、トランスサイレチン、血清AA、アポリポタンパク質AI、AII及びAIVなどのアポリポタンパク質、ゲルゾリン、リゾチーム、フィブリノーゲンα鎖、シスタチンC、ABriPP、白血球走化性因子2、ADanPP、Aβ及びAβタンパク質前駆体(AβPP)、プリオンタンパク質、カルシトニン、膵島アミロイドポリペプチド、心房性ナトリウム利尿因子、プロラクチン、インスリン、ラクトアドヘリン、ケラト−エピセリン、ラクトフェリン、歯原性エナメル芽細胞関連タンパク質、セメノゲリンI、α−S2C及びKカゼイン、α−シヌクレイン、ポリQ伸長ハンチンチン、アクチン、ニューロセルピン、フェリチン、タウ、アンドロゲン受容体タンパク質、アタキシン−1、DRPLA、NAC、心房性ナトリウム利尿因子、ベタベリン、15D及び16D、シトクロムC552、メチオニンアミノペプチダーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、卵白(リゾチーム)、PI3−SH3、β−ラクトグロブリン、モネリン、HypF、ヒト補体受容体、ヒトステフィンB、GAG因子、酵母プリオンUre2p、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質B、アデノウイルス線維、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、並びに酵母タンパク質Sup35からなる群から選択される、請求項11〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 第2の相が、カプセル化用の構成成分をさらに含み、それにより前記構成成分を保持するカプセルを供給する、請求項11〜25のいずれかに記載の方法。
  27. (iii)チャネルからの流出を収集して、それによりカプセルを含有する液滴を得るステップをさらに含む、請求項11〜26のいずれかに記載の方法。
  28. 請求項11〜27のいずれかに記載の方法により得られるか、又は得ることができるカプセル。
  29. カプセルを修飾する方法であって、
    (i)請求項1〜10のいずれかに記載のタンパク質の非共有結合性自己集合体である材料の殻を有するカプセルを供給するステップと、
    (ii)前記カプセルを前記タンパク質と接触させるステップと、
    (iii)前記タンパク質が前記集合体に加わることを可能にするステップであって、タンパク質の前記集合体が前記殻におけるものであるステップ、及び/又は任意に、存在する場合、材料のネットワーク中のタンパク質の集合体に前記タンパク質が加わることを可能にするステップと
    を含む前記方法。
  30. 構成成分を位置へ送達する方法であって、
    (i)請求項10に記載の構成成分を保持するカプセルを供給するステップと、
    (ii)前記カプセルを標的位置へ送達するステップと、
    (iii)前記カプセルから前記構成成分を放出させるステップと
    を含む前記方法。
  31. タンパク質を位置へ送達する方法であって、
    (i)請求項1〜10のいずれかに記載のタンパク質の自己集合体を含む材料の殻を有するカプセルを供給するステップと、
    (ii)前記カプセルを標的位置へ送達するステップと、
    (iii)タンパク質の自己集合体である材料の前記殻を崩壊させて、それにより前記タンパク質を放出させるステップと
    を含む前記方法。
  32. 放出が、持続性放出である、請求項30又は31に記載の方法。
  33. 標的位置が、インビボである、請求項30〜32のいずれかに記載の方法。
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