本発明には、粒子組成物を絹フィルムなどの特定の絹材料から調製することができるという見識、およびそのような粒子組成物が、たとえば、化粧品、食品添加剤、イメージング剤(たとえば医学的イメージング用の造影色素)などを含めた様々な製品内に取り込ませるために特に望ましい特質を有するという見識が包含される。本明細書中で使用する語句「粒子組成物」とは、粒子のコレクションまたは集団をいう。一部の実施形態では、粒子組成物は、本質的に均等な特性の組を有する均一な粒子集団である。一部の実施形態では、粒子組成物は、不均等な特性の組を有する不均一な粒子集団である。たとえば、一部の実施形態では、粒子組成物は、異なる大きさ、異なる材料などの粒子を含む。
とりわけ、本発明は、絹光学粒子組成物、たとえば粉体などを調製する方法、および様々な応用において使用するための、そのような組成物を含む製品を提供する。一態様では、提供された組成物には、少なくとも1つの光学特性、たとえば、反射性、回折、屈折、吸収、光学利得、蛍光、および光散乱を有する(たとえば有するように選択および/または設計もしくは操作された)絹粒子が含まれる。
絹フィブロイン
絹フィブロインは、その光学特性(Lawrenceら、9、Biomacromolecules、1214(2008))、機械的特性(Altmanら、24、Biomat.、401(2003)、Jiangら、17、Adv.Funct.Mater.、2229(2007))、全水性加工(all aqueous processing)(Sofiaら、54、J.Biomed.Mater.Res.、139(2001)、Perryら、20、Adv.Mater.、3070〜72(2008))、比較的容易な官能化(Murphyら、29、Biomat.、2829〜38(2008))、および生体適合性(Santinら、46、J.Biomed.Mater.Res.、382〜9(1999))が理由で、本発明の実施形態で使用する特に魅力的なバイオポリマー候補である。たとえば、絹フィブロインは、優れた表面品質および光学的透明度を有する薄い機械的に頑強なフィルムへと加工することができる。その後、そのような絹フィルムを、マイクロおよびナノスケールのパターン形成をその表面上に有するように加工して、望ましい光学特性を生じさせることができる。絹フィルム上にもたらされるこれらの光学特性は、フィルムが粒子(たとえば、微粒子およびナノ粒子)へと縮小された際に保持することができ、生じる、その光学特性を有する絹粒子組成物は幅広い様々な応用において使用することができるという認識を本発明は包含する。
絹は、米国食品薬品局に認可された組織工学の足場としてヒト移植片において使用されている。Altmanら、24、Biomaterials:401(2003)。再加工された絹は、マイクロおよびナノスケールの特長を有する洗練された光学的構成要素を製造するための材料プラットフォームとして適切であることが、最近示された。Amsdenら、22、Adv.Mater.、1〜4(2010)、Lawrenceら、9、Biomacromolecules、1214(2008)、OmenettoおよびKaplan、2、Nat.Photonics、641(2008)、Perryら、20、Adv.Mater.、3070(2008)。自立型の再加工された絹から作製された光学的構成要素は屈折性または回析性であり、マイクロレンズアレイ、白色光ホログラムから回析格子および平面フォトニック結晶の範囲の素子を含み、最小形状は20ナノメートル未満である。完全に絹によって構成されているこれらの構成要素は、完全に分解性、生体適合性かつ埋め込み可能である機械的に安定な高品質の光学素子を提供するために必要な特性を保有する。OmenettoおよびKaplan、2008。
本明細書中で使用する用語「絹フィブロイン」には、蚕フィブロインおよび昆虫またはクモ絹糸のタンパク質が含まれる。たとえばLucasら、13、Adv.Protein Chem.、107(1958)を参照されたい。任意の種類の絹フィブロインを本発明に従って使用し得る。Bombyx moriなどの蚕によって産生される絹フィブロインが最も一般的であり、地球に優しい再生可能な資源を表す。たとえば、絹光学フィルムにおいて使用される絹フィブロインは、セリシンをB.moriの繭から抽出することによって得られ得る。また、有機蚕繭は市販されている。しかし、クモ絹糸(たとえばNephila clavipesから得たもの)、細菌、酵母、哺乳動物細胞、トランスジェニック動物、またはトランスジェニック植物からの絹などのトランスジェニック絹、遺伝子操作した絹(たとえば、WO97/08315号、米国特許第5,245,012号を参照)、およびその変異体を含めて、使用し得る多くの様々な絹が存在する。
一般に、本発明に従って使用するための絹は、任意のそのような生物によって産生され得るか、あるいは、たとえば絹タンパク質を生じさせるための細胞もしくは生物の遺伝子操作および/または化学合成を含む人工的方法によって調製し得る。本発明の一部の実施形態では、絹は蚕Bombyx moriによって産生される。
当技術分野で知られているように、絹はモジュール式の設計であり、より短い(約100アミノ酸)末端ドメイン(NおよびC末端)に隣接して大きな内部反復を有する。絹は高分子量(200〜350kDa以上)を有し、転写物は10,000塩基対以上であり、>3000個のアミノ酸である(OmenattoおよびKaplan(2010)Science、329:528〜531に総説)。この大きなモジュールドメインは、蚕絹の場合は疎水性荷電基を有する比較的短いスペーサーで中断されている。NおよびC末端は、アセンブリのpH制御を含めた、絹のアセンブリおよびプロセッシングに関与している。NおよびC末端は、内部モジュールと比べてそれらの大きさが比較的小さいにもかかわらず高度に保存されている。
以下の表1は、絹産生種および絹タンパク質の例示的なリストを提供する。
したがって、フィブロインとは、絹を産生する特定のクモおよび昆虫の種によって産生された構造タンパク質の一種である。蚕Bombyx moriによって産生された繭絹は、織物などのいくつかの商業的応用に適した低費用で大量スケールの産生を提供するため、特に興味深い。
蚕繭絹は2つの構造タンパク質、すなわちフィブロイン重鎖(約350kDa)およびフィブロイン軽鎖(約25kDa)を含有し、これらは繭の形成の際にフィブロインのブリン(brin)を一緒に接着する、セリシンと呼ばれる非構造タンパク質のファミリーに関連している。フィブロインの重鎖および軽鎖は、2つのサブユニットのC末端で1つのジスルフィド結合によって連結される(Takei,F.、Kikuchi,Y.、Kikuchi,A.、Mizuno,S.およびShimura,K.(1987)J.Cell Biol.、105、175〜180、Tanaka,K.、Mori,K.およびMizuno,S.(1993)J.Biochem.(東京)、114、1〜4、Tanaka,K.、Kajiyama,N.、Ishikura,K.、Waga,S.、Kikuchi,A.、Ohtomo,K.、Takagi,T.およびMizuno,S.(1999)Biochim.Biophys.Acta、1432、92〜103、Y Kikuchi、K Mori、S Suzuki、K YamaguchiおよびS Mizuno、Structure of the Bombyx mori fibroin light−chain−encoding gene:upstream sequence elements common to the light and heavy chain、Gene、110(1992)、ページ151〜158)。セリシンとは、この材料に粘着性を与える、絹の高分子量の可溶性糖タンパク質構成成分である。これらの糖タンパク質は親水性であり、水中で沸騰させることによって繭から容易に除去することができる。
本明細書中で使用する用語「絹フィブロイン」とは、蚕、クモ、もしくは他の昆虫によって産生されるか、または他の様式で作製されるかにかかわらず、絹フィブロインタンパク質をいう(Lucasら、Adv.Protein Chem.、13:107〜242(1958))。一部の実施形態では、絹フィブロインは、溶解した蚕絹またはクモ絹糸を含有する溶液から得られる。たとえば、一部の実施形態では、蚕絹フィブロインはBombyx moriの繭から得られる。一部の実施形態では、クモ絹糸フィブロインは、たとえばNephila clavipesから得られる。代替方法では、一部の実施形態では、本発明における使用に適した絹フィブロインは、細菌、酵母、哺乳動物細胞、トランスジェニック動物またはトランスジェニック植物から採取した遺伝子操作した絹を含有する溶液から得られる。たとえば、そのそれぞれがその全体で本明細書中に組み込まれているWO97/08315号および米国特許第5,245,012号を参照されたい。
したがって、一部の実施形態では、本発明の組成物を製作するために使用する絹溶液は、フィブロインタンパク質を含有し、本質的にセリシンを含まない。一部の実施形態では、本発明の様々な組成物を製作するために使用する絹溶液は、フィブロインの重鎖を含有するが、他のタンパク質を本質的に含まない。他の実施形態では、本発明の様々な組成物を製作するために使用する絹溶液は、フィブロインの重鎖および軽鎖をどちらも含有するが、他のタンパク質を本質的に含まない。特定の実施形態では、本発明の様々な組成物を製作するために使用する絹溶液は、絹フィブロインの重鎖および軽鎖をどちらも含み、一部のそのような実施形態では、絹フィブロインの重鎖および軽鎖は少なくとも1つのジスルフィド結合を介して連結されている。フィブロインの重鎖および軽鎖が存在する一部の実施形態では、これらは1つ、2つ、3つまたはそれより多くのジスルフィド結合を介して連結される。
異なる絹産生生物の種および異なる絹の種類は、異なるアミノ酸組成を有するが、様々なフィブロインタンパク質が特定の構造的特徴を共有する。絹フィブロイン構造の一般的な傾向は、通常は交互するグリシンおよびアラニン、またはアラニン単独によって特徴づけられるアミノ酸配列である。そのような配置は、フィブロイン分子がベータシートコンフォメーションへと自己アセンブルすることを可能にする。これらの「Alaリッチ」疎水性ブロックは、典型的には嵩高い側基を有するアミノ酸のセグメント(たとえば親水性スペーサー)によって分離されている。
一部の実施形態では、フィブロインの疎水性ブロックのコア反復配列は、以下のアミノ酸配列および/または式によって表される:(GAGAGS)5〜15(配列番号1)、(GX)5〜15(X=V、I、A)(配列番号2)、GAAS(配列番号3)、(S1〜2A11〜13)(配列番号4)、GX1〜4GGX(配列番号5)、GGGX(X=A、S、Y、R、D、V、W、R、D)(配列番号6)、(S1〜2A1〜4)1〜2(配列番号7)、GLGGLG(配列番号8)、GXGGXG(X=L、I、V、P)(配列番号9)、GPX(X=L、Y、I)、(GP(GGX)1〜4Y)n(X=Y、V、S、A)(配列番号10)、GRGGAn(配列番号11)、GGXn(X=A、T、V、S)、GAG(A)6〜7GGA(配列番号12)、およびGGX GX GXX(X=Q、Y、L、A、S、R)(配列番号13)。
一部の実施形態では、フィブロインペプチドは、ペプチド内に複数の疎水性ブロック、たとえば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個および20個の疎水性ブロックを含有する。一部の実施形態では、フィブロインペプチドは4〜17個の疎水性ブロックを含有する。
本発明の一部の実施形態では、フィブロインペプチドは、約4〜50個のアミノ酸の長さである少なくとも1つの親水性スペーサー配列(「親水性ブロック」)を含む。親水性スペーサー配列の非限定的な例には以下が含まれる。
TGSSGFGPYVNGGYSG(配列番号14)、YEYAWSSE(配列番号15)、SDFGTGS(配列番号16)、RRAGYDR(配列番号17)、EVIVIDDR(配列番号18)、TTIIEDLDITIDGADGPI(配列番号19)およびTISEELTI(配列番号20)。
特定の実施形態では、フィブロインペプチドは、上記列挙した代表的なスペーサー配列のうちの任意の1つの誘導体である親水性スペーサー配列を含有する。そのような誘導体は、親水性スペーサー配列のうちの任意の1つと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である。
一部の実施形態では、本発明に適したフィブロインペプチドはスペーサーを含有しない。
言及したように、絹は繊維状タンパク質であり、一緒に連結されて高分子量の高度に反復性のタンパク質を形成したモジュール単位によって特徴づけられている。それぞれ特定のアミノ酸配列および化学を有するこれらのモジュール単位またはドメインは、特定の機能をもたらすと考えられている。たとえば、ポリ−アラニン(ポリA)およびポリ−アラニン−グリシン(ポリ−AG)などの配列モチーフはベータシートを形成する傾向があり、GXXモチーフは31−ヘリックスの形成に寄与し、GXGモチーフは剛性をもたらし、GPGXX(配列番号22)はベータスパイラルの形成に寄与する。これらは、その配置および配列が絹に基づく材料の最終材料特性と密に関連している、様々な絹構造における主要な構成要素の例である(OmenettoおよびKaplan(2010)Science、329:528〜531に総説)。
他のセグメントが非晶質ドメインを形成する一方で、フィブロインタンパク質のベータシートは積み重なって結晶を形成することが観察されている。絹にその並外れた特性を与えるのは、硬い結晶性セグメントと緊張した弾性の半非晶質領域との間の相互作用である。様々な絹産生種からの反復配列およびスペーサー配列の非限定的な例を以下の表2に提供する。
Bombyx moriフィブロイン遺伝子の完全配列が決定されている(C.−Z Zhou、F Confalonieri、N Medina、Y Zivanovic、C EsnaultおよびT Yangら、Fine organization of Bombyx mori fibroin heavy chain gene、Nucl.Acids Res.、28(2000)、ページ2413〜2419)。フィブロインのコード配列は非反復性の5’および3’末端が隣接された高度に反復性かつGリッチな(約45%)コアを有し、壮大な組織化を示す。この反復性のコアは、12個の反復ドメインおよび11個の非晶質ドメインの交互するアレイからなる。非晶質ドメインの配列は進化的に保存されており、反復ドメインは、約208bpのサブドメインの様々なタンデム反復によって長さが互いに異なる。
蚕フィブロインタンパク質は、その一次構造が主に反復性のアミノ酸配列(Gly−Ser−Gly−Ala−Gly−Ala)n(配列番号21)からなる逆平行ベータシートの層からなる。フィブロインのベータシート立体配置は、これらの領域中に形成される水素結合が原因でこの材料の引張力に大きな役割を果たしている。ケブラーよりも強力であることに加えて、フィブロインは高度に弾性であることが知られている。歴史的に、これらの特質により、これは織物製造を含めたいくつかの領域において応用を有する材料となっている。
フィブロインは、高分子レベルでシルクI、シルクII、およびシルクIIIと呼ばれる3つの構造に自身を配列させることが知られており、最初の2つが自然で観察される一次構造である。シルクII構造は、一般にフィブロインのベータシートコンフォメーションをいう。絹フィブロインのもう一方の主な結晶構造であるシルクIは水和した構造であり、絹フィブロイン分子の事前組織化または事前アラインメントに必要な中間体であるとみなされている。自然では、シルクI構造は紡績過程後にシルクII構造へと変換される。たとえば、シルクIは、Bombyx moriの絹糸腺から排出されたままの、フィブロインの天然形態である。シルクIIとは、紡績された絹中のフィブロイン分子の配置をいい、これはより高い強度を有しており、しばしば様々な応用において商業的に使用される。上述のように、フィブロインのβシートを形成する結晶領域のアミノ酸配列は疎水性配列が優勢である。絹繊維の形成は腺中のフィブロイン溶液(30%重量/体積まで)に作用する剪断および伸長ストレスを含み、溶液中のフィブロインの結晶化を引き起こす。この過程は、紡績、すなわち液晶紡績過程1の間にゲルからゾル状態へと変換されるリオトロピック液晶相を含む。伸長の流れがフィブロイン鎖の配向を定め、液体がフィラメントへと転換される。
シルクIIIは新しく発見されたフィブロインの構造である(Valluzzi,Regina、Gido,Samuel P.、Muller,Wayne、Kaplan,David L.(1999).「Orientation of silk III at the air−water interface(空気−水の界面でのシルクIIIの配向)」。International Journal of Biological Macromolecules、24:237〜242)。シルクIIIは主にフィブロインの溶液中の界面(すなわち、空気−水の界面、水−油の界面など)で形成される。
絹は結晶構造へとアセンブル、実際には自己アセンブルすることができる。絹フィブロインは、絹ヒドロゲル(WO2005/012606号、PCT/US08/65076号)、超薄膜(WO2007/016524号)、厚いフィルム、共形コーティング(WO2005/000483号、WO2005/123114号)、泡沫(WO2005/012606号)、電気紡績マット(WO2004/000915号)、ミクロスフェア(PCT/US2007/020789号)、3D多孔性マトリックス(WO2004/062697号)、固体ブロック(WO2003/056297号)、微小流体装置(PCT/US07/83646号、PCT/US07/83634号)、電気光学装置(PCT/US07/83639号)、およびナノスケール(WO2004/000915号)から数センチメートル(米国特許第6,902,932号)の範囲の直径を有する繊維などの、所望の形状およびコンフォメーションへと製作することができる。上述の出願および特許は、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている。たとえば、絹フィブロインは、薄い金属層および接触、半導体フィルム、誘電粉体(dielectic powders)、ナノ粒子などの先端技術材料の機械的支援として役割を果たす理想的な基材を提供する、優れた表面品質および光学的透明度を有する薄い機械的に頑強なフィルムへと加工することができる。
本明細書中に記載のように、本発明に有用な絹粒子組成物は、典型的には絹フィルムから調製する。一部の実施形態では、利用されるフィルムは特定の光学特性を有することによって特徴づけられている。
絹の独特な生理化学的特性は、様々な応用におけるその使用を可能にする。たとえば、絹は安定であり、柔軟であり、耐久性があり、生体適合性である。生体適合性とは、生分解性であること、食用であること、埋め込み可能であること、および非抗原性であること(たとえば炎症(irritation)を引き起こさないまたは免疫応答を誘導しないこと)を含めた、絹の安全かつ無毒性の性質を広くいう。さらに、有用な絹材料は、室温で実施することができる方法によって調製することができ、水性である。
絹に基づく材料の表面特性
さらに、絹に基づく材料は、本発明に従って、分子レベルで滑らかおよび/または接着性となるように調製することができる。一部の実施形態では、本発明によって提供されるおよび/または本発明に従って利用される絹に基づく材料は、分子レベルで滑らかである。分子レベルでの滑らかさを示す絹に基づく材料は、他の材料では不可能な特定の応用を可能にする。
すべての絹に基づく組成物が、光学装置に特に望ましい本明細書中に記載の表面特性(たとえば並外れて高い度合いの滑らかさ)を必ずしも有するわけではないことを理解されたい。たとえば、本発明およびそれの特定の望ましい特性の認識の以前には、利用可能な絹材料の典型的な表面粗さは一般的に約10nm以上の範囲内であった。これは、PDMSなどの他の幅広く使用されているマトリックス材料と比較して顕著に、より「滑らか」である一方で、特に金属などの伝導性材料からなる非生物学的構造を支援する目的でのナノスケールの応用は、技術的な挑戦をもたらした。
以下の実施例セクションに提供されるように、本発明者は、光学装置に向けられた操作に適した、優れた表面品質および可鍛性(たとえば柔軟性)の絹マトリックスを生成するための製作方法を開発した。一部の実施形態では、本明細書中に記載の方法に従って調製した絹マトリックスは、約5nm未満の表面粗さを有することによって特徴づけられている。一部の実施形態では、本発明に適した絹マトリックスは約4.0nm、約3.5nm、約3.0nm、約2.5nm、約2.0nm、約1.5nm、または約1nm未満の表面粗さを有する。
電気ゲル化(「e−ゲル」)に基づく絹マトリックスは、並外れて滑らかな表面形態を示す。原子間力顕微鏡(AFM)によって決定されるように、電気ゲル化によって調製された絹材料は、表面粗さが約1nmである表面を有し得る。そのような特性は、絹マトリックスがナノスケールの分解能でエッチングまたは操作されることを可能にする。
本発明の一部の実施形態では、たとえば絹に基づく材料を本明細書中に記載の方法によって調製する場合、絹フィブロインは主にベータシートのコンフォメーションをとる。既に言及したように、この立体配置が絹材料の強度および弾性を司っていると考えられている。現在では、ベータシート立体配置が絹フィルムを含めた絹材料の並外れた表面の滑らかさも提供することが、本発明の発明者らによって認識されている。
今回、本発明者は、絹に基づく材料を使用してナノおよびマイクロスケールで並外れて滑らかな表面を提供することができ、これを使用して広範囲の物体をコーティングするおよび/または様々な媒体中に分散させることができることを発見した。以下にさらに詳述するように、本明細書中に記載の組成物および方法は、それだけには限定されないが食品産業、美容上の応用、医学的応用、消費者製品などを含めたいくつかの領域において、安全かつ費用対効果の高い応用を提供することができる。
絹に基づく材料の分解特性
さらに、当業者には理解されるように、多大な研究により、研究者が絹の分解過程を制御する能力を有することが確立されている。本発明によれば、そのような制御は光学装置の製作において特に貴重な可能性がある。分解性(たとえば生分解性)は、美容上の応用、組織工学および移植において使用される生体材料にしばしば望ましい。本発明には、そのような分解性も、光学装置の製作に関連しており、かつ有用であるという認識が包含される。
本発明によれば、絹に基づく材料の1つの特に望ましい特長は、これらがプログラム可能に分解性となることができることである。すなわち、当技術分野で知られているように、特定の絹に基づく材料をどのように調製するかに応じて、これが特定の速度で分解するように制御することができる。絹に基づく材料からの物質の分解性および徐放性は公開されており、たとえば、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている、WO2004/080346号、WO2005/012606号、WO2005/123114号、WO2007/016524号、WO2008/150861号、WO2008/118133号を参照されたい。
絹材料生成方法および様々な形態の絹に基づく材料の制御により、既知の分解特性を有する絹組成物を作製することができる。たとえば、様々な絹フィブロイン材料(たとえば、直径約2μmのミクロスフェア、絹フィルム、絹ヒドロゲル)を使用して、治療剤などの包括された薬剤を活性型でロードすることができ、その後、これは制御された様式で、たとえば、数分間、数時間、数日間、数週間から数カ月にわたって放出される。層状の絹フィブロインコーティングを使用して任意の材料、形状および大きさの基材をコーティングすることができ、その後、これを使用して、たとえば2〜90日間の徐放性放出のために分子を包括できることが示されている。
一部の実施形態では、本開示の光学装置の分解寿命は、製造過程中に、たとえば投じる絹フィブロイン溶液の比および量を制御することによって制御することができる。一部の実施形態では、絹フィルムの溶解時間は、フィブロインタンパク質の自己アセンブリ過程中の結晶化度の度合を制御することによって数日間から数カ月まで調整することができる。Jinら、15、Adv.Funct.Mater.、1241(2005)、Luら、6、Acta Biomater.、1380(2010)。このことは、in vitroおよび/またはin vivo研究において遭遇するものなどの湿環境での持続的稼動のために装置を安定化させるための焼鈍しステップにより絹フィルム内の含水量を調節することによって、達成することができる。
記述したように、固体絹フィブロインまたは絹マトリックス(たとえば絹フィルム)は、絹繊維、電気紡績繊維、フィルム、マット、3D足場、乾燥ゲル、球、または本明細書中に記載の1つもしくは複数の異なる様式の絹材料の複合体などの、任意の材料様式であることができる。一実施形態では、固体絹フィブロインは絹フィルムである。
結晶性絹材料
当技術分野で知られており、本明細書中に記載のように、絹タンパク質は結晶アレイ中で互いに積み重なることができる。そのようなアレイの様々な特性は、たとえば、材料中のベータシート構造の度合、そのようなベータシート間の架橋結合の度合、特定のドーパントまたは他の材料の存在(または非存在)によって決定される。
多くの実施形態では、絹マトリックスの特定の特徴を達成するために、これらの特長のうちの1つまたは複数を意図的に制御または操作する。
多くの実施形態では、本発明は結晶性絹材料(たとえば非晶質材料ではないもの)を利用する。
一部の実施形態では、本発明に従って使用するための結晶性絹材料は、滑らかな表面形態、金属などの伝導性材料への接着性、および生体物質への適合性を有することによって特徴づけられている。
本明細書中に言及したように、結晶性絹材料は異例の表面の滑らかさを示す場合がある。本発明によれば、たとえば約1nm〜10nmの範囲内の表面の滑らかさを示す絹材料が、本明細書中に記載の光学装置の製作に特に有用である。
粒子組成物の特徴
本発明の一態様は、少なくとも1つの光学特性を有する絹光学粒子を含む粒子組成物を調製するための組成物および方法を提供する。以下にさらに記載するように、光学特性の例には、それだけには限定されないが、反射性、回折、屈折、吸収、光学利得、蛍光、イリデッセンス、および光散乱が含まれる。
絹フィルム上に形成された光学装置の光学特性の概要
一部の実施形態では、絹フィルム上の光学装置によって示される光学特性は、反射性、逆反射性、回折、屈折、吸収、光学利得、蛍光、および/または光散乱であることができるが、光学装置は他の光学特性を示すことができる。一部の光学装置は複数の光学特性を示すことができる。
光学装置の例
光学装置は、ユーザが設計した光応答を有する構造であることができる。一部の実施形態では、光学装置は、レンズ、レンズアレイ、マイクロレンズアレイ、光学回折格子、パターン発生器、ビーム再形成器、回析格子、光流体装置、ビームホモジナイザー、フォトニック結晶、導波管、1Dもしくは2D格子、プリズム、および/またはマイクロプリズムアレイであるか、あるいはそれを含む。一部の実施形態では、光学装置は反射素子であるか、またはそれを含む。例示的な反射素子には、鏡(たとえば平面鏡)、反射体(たとえばダイアモンドカットの反射体)、ならびに逆反射体(コーナーキューブ、半球、および/または「キャッツアイ」幾何学などの様々な幾何学を有する逆反射体)が含まれる。例示的な反射素子には、直交交差平面(たとえば、正方形、長方形、または立方体の空洞の角)を含有する反射鏡付レンズおよび逆反射空洞が含まれる。光学装置は、回析光学、微小光学、フォトニック、および/または導波光学の分野で知られている装置であることができる。
一部の実施形態では、絹フィルム上の光学装置はレンズのアレイを含むことができる。図1および2は、レンズのアレイ100、200を有する例示的な絹フィルムを示す。一部の実施形態では、アレイ中のそれぞれのレンズは直径約1cm2であることができるが、より小さな直径を有するレンズを使用することができる。
一部の実施形態では、絹フィルム上の光学装置300は、図3に示したレンズなどの、1cm未満の直径を有する集束レンズであることができる。一部の実施形態では、集束レンズは、図4に示すレンズなどのように、パターン形成された同心円401、402がその表面上に形成されていることができる。
一部の実施形態では、絹フィルム上の光学装置は回析格子であることができる。一部の実施形態では、回析格子はホログラフィックであることができる。一部の実施形態では、回析格子は50×50mmと大きいことができるが、他の大きさを使用することができる。任意の線ピッチを有する回析格子を使用することができる。例示的な線ピッチには、300本の線/mm、600本の線/mm、1,000本の線/mm、1,200本の線/mm、および3,600本の線/mmが含まれる。
図5および6は、回析格子を有する絹フィルムを示す。図5中の絹フィルムの回析格子500は約2,400本の線/mmのピッチを有する。図6の回析格子の稜線600、620、640は、半値全幅(FWHM)で幅が約200nmである。回析格子は、任意の大きさの山対谷の高低差を有することができる。一部の実施形態では、高低差は約150nmであることができる。一部の実施形態では、高低差は約60nmであることができる。
図7は、回析格子を有する例示的な絹フィルムに衝突する、白色光レーザー源からの回析次数700を示す。一部の実施形態では、回析次数には中心次数および3つの回折次数が含まれる。一部の実施形態では、m=1およびm=−1の次数において測定された回折効率は約37%であることができる。図8は、1,200本の線/mmのピッチを有する回析格子を有する絹フィルム(silk filk)に衝突する、スーパーコンティニュームレーザー源からの回析次数800を示す。回析次数は絹回析格子から2cmでイメージングすることができる。この回析格子の回折効率は、633nmの第1の次数において約34%であることができる。図9および10は、回析格子を有する他の絹フィルムを透過した光の例示的なパターン900および100を示す。
一部の実施形態では、それ上に光学装置を有する絹フィルムはフォトニック結晶として働くことができる。一部の実施形態では、フォトニック結晶は、許容および禁制の電子エネルギーバンドを定義する周期誘電性または金属誘電性(metallo−di electric)の構造であることができる。そのようなフォトニック結晶は、半導体結晶における周期ポテンシャルが電子運動に影響を与えるのと同じ様式で、電磁気(EM)波の伝播に影響を与える場合がある。
一部の実施形態では、フォトニック結晶には、高および低誘電率が周期的に反復する内部領域が含まれる場合がある。理論に束縛されることを望まずに、光子は、光子の波長に基づいて、構造を通って伝播することができる。構造を通って伝播することが許容される光波長を有する光子は「モード」と呼ばれる。伝播することが許容されない光波長を有する光子は「フォトニックバンドギャップ」と呼ばれる。フォトニック結晶の構造は許容および禁制の電子エネルギーバンドを定義することができる。フォトニックバンドギャップは、様々な波長において構造内を伝播するEMモードの非存在によって特徴づけることができ、完全フォトニックバンドギャップまたは部分的フォトニックバンドギャップのどちらかであることができ、自然放出の阻害もしくは増強、光のスペクトル選択性、および/または光の空間的選択性などの明確に異なる光学現象を生じさせることができる。そのような構造は、高反射全方向鏡および低損失導波管に使用することができる。
理論に束縛されることを望まずに、一部の実施形態では、フォトニック結晶は、屈折率が光波長に匹敵する長さのスケールにわたって変調される人工誘電体であることができる。これらの構造は光波の半導体結晶として振る舞うことができる。周期的構造では、干渉は明確に定義された伝播方向に建設的になることができ、ブラッグ散乱および光屈折をもたらす。十分に高い屈折率コントラストでは、特徴的な周波数の範囲内において任意の方向で光伝播を禁止することができる。一部の実施形態では、フォトニック結晶の物理学はブラッグ散乱に依存するため、結晶格子(lattices)の周期性は光波長に釣り合ったものであることができる。構成ブロック材料(すなわち屈折率コントラスト)および結晶格子の種類(格子の対称、空間的な周波数)の選択は、フォトニック結晶のスペクトル選択性および光輸送/散乱特性に影響を与えることができる。一部の実施形態では、屈折率コントラスト(たとえば、コア輸送媒体および被覆媒体の屈折率の相対的な差異)を使用して、明るい乳白光、可干渉性多重散乱、光局在化、および/または完全フォトニックバンドギャップの形成などの、光学装置のための光学特性を生じさせることができる。一部の実施形態では、よりランダムなパターンを示す結晶格子は、より均等な光分布をもたらすことができる。
一部の実施形態では、絹フィルム上のパターンの幾何学は、周期的フォトニック格子、非周期的フォトニック格子、または格子の組合せに基づくことができる。一部の実施形態では、パターンは乳白光の形態の光学活性を示すことができる。一部の実施形態では、パターンはナノテキスチャのサブ波長構造に対応することができる。
図11は、フォトニックバンドギャップとして機能するパターン形成された絹フィルム1100を示す。絹フィルムは、その表面上に提供されたパターン構造1110に従って光1105を選択し、波長の次数で周期性を有する空気/誘電構造が含まれる。光の選択性は、白色光を絹フィルム上に当てた際に生じるスペクトル1115によって模式的に示すことができる。
図12は、規則正しい穴のアレイがそれ上に機械加工された、パターン形成された絹フィルム1200の一部分を示す。これらの穴1205は、810nmフェムト秒レーザーパルスを使用したレーザーアブレーションによって機械加工した。図13は、穴1305のアレイがそれ上に機械加工された、別のパターン形成された絹フィルム1300の一部分を示し、これらの穴は700nmと小さい。異なる大きさの穴は、異なる集束条件を使用して得ることができる。一部の実施形態では、そのような機械加工は、サブ回折限界のスポットサイズのパターン形成を達成することができる。一部の実施形態では、穴は50nm〜500nmの間隔をあけることができる。
一部の実施形態では、穴は決定性非周期アレイとして形成することができる。アレイは、並進不変性を有さない長距離秩序によって特徴づけることができる。一部の実施形態では、アレイは非周期的であるが決定性(規則正しい/秩序的)であることができる。これらのアレイを有する1つまたは複数の絹フィルムから作製したフォトニック結晶は、大きなフォトニックバンドギャップおよび/または局在化された光状態を示すことができる。
一部の実施形態では、絹フィルム中の穴および/または窪みは、結晶格子(lattice)に従って秩序的であることができる。例示的な結晶格子には、周期格子、フィボナッチ準周期格子、チュー−モールス(TM)非周期格子、ルーディン−シャピロ(RS)非周期格子、ランダム格子、および数論配列に基づく他の決定性非周期格子が含まれる。
一部の実施形態では、パターン形成された絹フィルムを一緒に積み重ねてフォトニック結晶を形成することができる。一部の実施形態では、それぞれの絹フィルムは同じパターンを有することができる。一部の実施形態では、束内の絹フィルムの一部は異なるパターンを有することができる。異なるパターンは異なる光学特性を示すことができる。一部の実施形態では、異なるパターンを有する絹フィルムを選択し、積み重ねて、所望の光学特性を有するフォトニック結晶を生成することができる。一部の実施形態では、束中の隣接フィルムは、互いに異なる配向を有するように配向することができる(たとえば隣接フィルム間で90度の回転)。絹フィルムのパターン、束中の絹フィルムの数、および/または束内の絹フィルムの配向を選択して、所望の光学特性を有するカスタマイズされたフォトニック結晶を生成することができる。一部の実施形態では、フィルムを一緒に結合させることができる。図14および15は、パターン形成された絹フィルム1405、1505を積み重ねることによって形成された例示的なフォトニック結晶1400、1500を示す。図14では、絹フィルム上の光学装置はパターン形成されている。図15では、絹フィルム上の光学装置はホログラフィック回析格子である。
一部の実施形態では、絹フィルム上の光学装置は、個々におよび/または組み合わせて、反射体を形成することができる。一部の実施形態では、光学装置は反射素子であることができる。反射素子は絹フィルムの表面上にパターン形成することができる。反射素子のアレイは絹フィルムの表面上にパターン形成することができる。一部の実施形態では、反射性粒子は絹フィルム中に分散させることができる。反射性粒子はフィルム全体中に分散させることができる。反射性粒子は絹フィルムの表面上に分散させることができる。一部の実施形態では、反射性粒子は金属ナノ粒子であることができる。一部の実施形態では、反射性粒子には、金、銀、任意の他の反射性金属、またはその組合せが含まれることができる。
一部の実施形態では、絹フィルム上の光学装置はマイクロプリズムであることができる。一部の実施形態では、マイクロプリズムはアレイで配列させることができる。一部の実施形態では、図16および17に示すように、マイクロプリズムは、約100μmの寸法を有し、グループでクラスタリングさせることができる。一部の実施形態では、絹フィルム上のマイクロプリズムは反射体として働くことができる。一部の実施形態では、絹フィルム上のマイクロプリズムは逆反射体として働くことができる。一部の実施形態では、絹フィルム上のミリメートルの大きさのマイクロプリズムアレイは、イメージングした対象の画像平面を回転させることができる。
一部の実施形態では、光学装置を有する2つ以上の絹フィルムを積み重ねて絹反射体を形成することができる。2つ以上の絹フィルムの光学装置の稼動は、絹フィルムのスペクトル応答を決定することができる。一部の実施形態では、束中の異なる絹フィルム上に、異なる光学装置を形成することができる。絹フィルムは互いに異なる屈折率を有することができる。絹フィルムは互いに異なる厚さを有することができる。絹フィルムの反射性は、たとえば、絹フィルムの数、それぞれの絹フィルムの厚さ、それぞれの絹フィルムの屈折率、それぞれの絹フィルム中に包埋されている薬剤、様々な官能基によるそれぞれの絹フィルムの表面修飾(たとえば、化学的官能化、一般的修飾)、それぞれの絹フィルムのコンフォメーション変化、それぞれの絹フィルムの進行性溶解、任意の他の要因、またはその任意の他の組合せによって変調することができる。絹フィルムの反射性は、たとえば、絹フィルムの部分的溶解、絹フィルムへの活性薬剤の付加、および/または活性基を用いた絹フィルムの官能化によって変調することができる。
一部の実施形態では、光学装置は逆反射体であることができる。逆反射体(retroflectors)にはマイクロプリズムアレイが含まれることができる。一部の実施形態では、マイクロプリズムはミリメートルの次数であることができる。
一部の実施形態では、光学装置は特定の波長において高められた反射性および/または感度を提示する。たとえば、光学装置は、特定の波長、たとえば可視スペクトル中の波長の入射光をフィルタリングすることができる。
一部の実施形態では、絹反射体は、湿ったまたは濡れた散乱環境などの不規則散乱および/または吸収媒体内に組み込まれてそれ内で稼動する場合に、1つまたは複数の波長の反射性を高めることができる。この不規則散乱および/または吸収媒体には、絹反射体が有用であり得る、当業者に知られている任意の可能な散乱媒体が含まれることができる。たとえば、散乱媒体は、周囲環境、湿ったまたは濡れた環境、水、液体、懸濁液またはゲル、散乱媒体が生物組織または器官であり得る場合は生体内などの生物学的環境であることができる。増強のために可干渉性の検出技法または任意の造影剤に頼らずに、これらの媒体中での絹反射体の反射性は、約10〜300%、たとえば、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、または少なくとも約250%まで高められた反射性を保有することができる。したがって、これらの媒体中での絹反射体の反射性は、検出源を絹反射体から遮断する散乱媒体の厚さが約0.1mm、約1mm、約1cm、および約10cmの次数である場合に、依然として高められた感度で検出することができる。
反射性粒子
反射性粒子は裸眼で見えるハイライトを生じることができる。
反射性粒子は様々な形態を有し得る。前記粒子は小板または小球、特に球状のの形態であり得る。前記粒子は反射性材料で覆われた基材を含み得る。
基材は、ガラス、金属酸化物、アルミナ、シリカ、ケイ酸塩、特にアルミノケイ酸塩およびホウケイ酸塩、マイカ、合成マイカ、合成ポリマー、ならびにその混合物から選択され得る。
反射性材料は金属または金属化合物の層を含み得る。
小板の形態の、銀でコーティングされたガラス基材の粒子は、Nippon Sheet Glassによって商品名METASHINEの下で販売されている。
言及し得る反射性粒子の例は、二酸化チタンでコーティングした合成マイカの基材を含む粒子または酸化鉄粉、酸化チタン、酸化スズまたはその混合物でコーティングしたガラスの粒子、たとえばENGELHARDによって商品名REFLECKS(登録商標)の下で販売されているものである。本発明における使用に適した顔料は、NIPPON SHEET GLASS CO.LTDによって販売されているMETASHINE 1080Rレンジからのものである。これらの顔料、より詳細には日本国特許出願JP−A−2001−11340号に記載されているものは、ルチル(TiO2)型酸化チタン層で覆われた65%〜72%のSiO2を含むC−GLASSガラスフレークである。前記ガラスフレークは、平均の厚さが1μmであり、平均の大きさが80μmsであり、平均の大きさ/厚さの比が80である。これらは、TiO2層の厚さに応じて青色、緑色もしくは黄色のきらめきまたは銀色の色合いを有する。また、NIHON KOKENによって商品名PROMINENCEの下で販売されている、粒子の全重量の12%を示す二酸化チタンでコーティングした合成マイカ(フルオロ金雲母)の基材を含む、80μm〜100μmの範囲の寸法を有する粒子も言及し得る。また、反射性粒子は、異なる屈折率を有する少なくとも2つの層の束によって形成された粒子から選択し得る。前記層はポリマーまたは金属の性質であってよく、特に少なくとも1つのポリマー層が含まれ得る。反射性粒子は多重層状のポリマーフィルムに由来する粒子であり得る。前記粒子は、WO−A−99/36477号、US−A−6 299 979号およびUS−A−6 387 498号に具体的に記載されている。ポリマーの少なくとも2つの層の束を含む反射性粒子は、3Mによって商品名MIRROR GLITTERの下で販売されている。前記粒子は、80/20の重量比の2,6−PENおよびポリメチルメタクリレートの層を含む。そのような粒子は、特許文書US−A−5 825 643号に記載されている。
角度彩色(goniochromatic)またはイリデッセント剤
一部の実施形態では、本明細書中に記載の絹粒子組成物はイリデッセントである。イリデッセンスとは、表面を見る角度に対応して色相が変化する、表面の光学現象である。イリデッセンスはしばしば、相のシフトおよび反射の干渉が入射光(incidental light)を変調する(一部の周波数を他のものよりも多く増幅または減衰させることによる)、2つ以上の半透明表面からの複数の反射によって引き起こされる。薄膜干渉と呼ばれるこの過程は、ファブリー−ペロ干渉計で見られる選択的な波長の減衰の関数相似である。イリデッセンスは、改善された外見を提供するための、化粧品、および玩具などの一般消費者物品等の特定の応用に望ましい光学的特長であり得る。
絹光学粒子を含む本発明の粒子組成物を、従来技術において典型的に使用されているいくつかの角度彩色性着色料に加えて、またはその代わりに使用してよく、これは「色フロップ」とも呼ばれる色変化を観察角度の関数として示し、この変化は真珠層で起こるものよりも大きい。
したがって、本明細書中で提供する組成物は、既存の角度彩色性着色料の、より安全かつより費用対効果の高い代替物である場合があり、限定されないが、以下のうちの任意の1つを置き換え得る:FLEXのCHROMAFLAIR、BASFのSICOPEARL、MERCK(Darmstadt)のXIRONA顔料およびSHISEIDOのINFINITE COLORS顔料またはCCICのCOLOR RELIEF顔料。
それに加えてまたはその代わりに、本明細書中に記載の絹光学組成物は、以下の顔料および液晶着色料の例のうちの任意の1つに加えて、またはその代わりに使用し得る:3Mによって商品名COLOR GLITTERの下で販売されているものまたはVenture Chemicalによって商品名Micro Glitter Pearlの下で販売されているもの、中間相の基がそれ上にグラフトされているシリコンまたはセルロースエーテル、CHENIXによって販売されているもの、およびSICPAによって商品名HELICONE(登録商標)HCの下で販売されているもの。
光学特性を有する絹粒子は、食品を含めた所望の表面上にスプレー(splayed)または噴霧することができるエアロゾルとして提供し得る。さらに、光学特性を有する絹粒子は、皮膚ローション、クリーム、ファンデーション、香水、マニキュア液、ヘアスプレー、練り歯磨きなど内に取り込ませ得る。これらの応用のうちの任意のものにおいて、絹粒子組成物は、香味剤、着色剤、香料などの1つまたは複数の添加剤も含み得る。
一部の実施形態では、粒子組成物は本質的に均等である絹粒子を含み、たとえば、粒子組成物中の絹粒子は均等な大きさ、機能、材料などのものである。一部の実施形態では、粒子組成物は異なる種類の絹粒子を含む。たとえば、粒子組成物は様々な大きさ、機能、材料などの絹粒子を含み得る。したがって、粒子組成物は複数の光学特性を有する絹粒子を含み得る。一部の実施形態では、単一の絹粒子が複数の光学特性を有する。一部の実施形態では、粒子組成物は、別々の光学特性を有する絹粒子の混合物である。一例として、化粧品は、イリデッセンスまたは任意の他の望ましい光学的特長をもたらす絹粒子に加えて、特定のUV光を吸収する絹粒子を含有し得る。一部の実施形態では、単一の絹粒子は、特定の使用または製品に適した複数の光学特性を有し得る。
粒子の生成
上述のように、本発明には、絹光学粒子組成物、たとえば粉体などを調製する方法、および様々な応用において使用するための、そのような組成物を含む製品が含まれる。一態様では、提供された組成物には、少なくとも1つの光学特性、たとえば、反射性、回折、屈折、吸収、光学利得、蛍光、および光散乱を有する(たとえば、含有するように選択および/または設計された)絹粒子が含まれる。本明細書中で明示的に例示した特定の絹材料は、典型的には蚕B.moriによって紡績された材料から調製した。典型的には、繭を0.02MのNa2CO3の水溶液中で約30分間沸騰させ、その後、水で十分に濯いで、糊様のセリシンタンパク質を抽出する。その後、抽出された絹を室温でLiBr(9.3Mなど)の溶液に溶かし、20%(重量)の溶液を得る。その後、生じた絹フィブロイン溶液を、本明細書中の他の箇所に記載されている様々な応用のためにさらに加工することができる。当業者には、上記表中に例示したものなどの他の供給源が利用可能であり、十分に適切であり得ることを理解する。
固体絹(絹フィルムなど)が得られた後、フィルムの表面を操作することによってこれをさらに加工して、反射性特性、回析特性、およびフォトニック特性などの所望の光学特性をもたらすことができる。これは、当技術分野で知られている方法によって実施することができる。
絹フィルムは、絹フィブロイン含有水溶液を支持基材上に堆積させ、絹フィブロイン溶液をフィルムへと乾燥させることによって調製することができる。これに関連して、絹フィブロインに基づく溶液でコーティングした基材を、12時間などの一定時間の間、空気に曝し得る。絹フィブロイン溶液の堆積は、たとえば、絹フィブロイン溶液を基材上に紡績コーティングして不均等な高さの薄い膜の製作を可能にする紡績コーティング方法を使用することによって、または、単純に絹フィブロイン溶液を基材上に注ぐことによって、行うことができる。厚さおよび他の構成要素の含有率、ならびに光学的特長などの絹フィブロインフィルムの特性は、基材に塗布する絹フィブロイン溶液の濃度および/または体積、ならびに絹フィブロイン溶液を絹フィルムへと加工するために使用する技法に基づいて変更し得る。たとえば、絹フィルムの厚さは、溶液中の絹フィブロインの濃度を変化させることによって、または所望の体積の絹フィブロイン溶液を使用することによって制御してよく、その結果、約2nm〜1mmの厚みの範囲の厚さを有する絹フィブロインフィルムがもたらされる。一実施形態では、様々な濃度の絹フィブロインおよび紡績速度を使用して、絹フィブロインを基材上に紡績コーティングして、約2nm〜約100μmの厚さを有するフィルムを作製することができる。本発明において形成された絹フィブロインフィルムは優れた表面品質および光学的透明度を有する。
固体絹フィブロインを作製するために使用する絹フィブロイン水溶液は、当技術分野で知られている技法を使用して調製することができる。絹フィブロイン溶液を調製するための適切な方法は、たとえば、米国特許出願第11/247,358号、WO/2005/012606号、およびWO/2008/127401号に開示されている。その後、絹水溶液を、絹フィルム、共形コーティングもしくは層、または3次元足場、あるいは絹反射体へとさらに加工するための電気紡績繊維などの、絹マトリックスへと加工することができる。微量濾過ステップを本明細書において使用し得る。たとえば、調製された絹フィブロイン溶液を、絹マトリックスへとさらに加工する前に、遠心分離およびシリンジに基づく微量濾過によってさらに加工し得る。この工程は、優れた光学的品質および安定性の絹フィブロイン溶液の生成を可能にする。微量濾過ステップはしばしば、最小限にした散乱を有する高品質の光学フィルムの作製に望ましい。
一部の実施形態では、絹フィルムは、フィルムの少なくとも1つの表面上にマイクロまたはナノのパターン形成を有するように生成される。典型的には、絹フィルム上のそのようなパターン形成は、絹フィルムの1つの表面上に生成される。そのような絹フィルムは、生じさせたパターン形成に応じて特定の光学特性を有する。たとえばマイクロまたはナノスケールの絹粒子を複合した絹粒子組成物を作製するための、光学特性を有する絹フィルムのさらなる加工の際、そのような組成物は、粒子組成物を作製するために使用したフィルム上に包埋またはエッチングした特定の光学特性を保持する。したがって、本明細書中に記載の絹粒子は、絹フィルムなどの絹の他の形態を使用することができない特定の応用に使用することができる。絹粒子は、絹光学構成要素の光学的機能性を維持したままで、水系、脂質系などである組成物内に分散および取り込ませることができる。
絹フィルム上の光学装置の製作
光学装置は、長時間の試料調製、高温、および/または高真空を回避することができるパターン形成技法を用いて、絹マトリックス上に製作することができる。そのようなパターン形成技法は安価な場合がある。一部のパターン技法は周囲の温度および圧力条件で行うことができ、それにより、絹マトリックス中の生物学的ドーパントの機能性を保存する。例示的な温度には40℃以下が含まれる。例示的な圧力には700〜800mTorrが含まれる。別の例示的な圧力は760mTorrである。
一部の実施形態では、光学装置は、例外的なレベルの滑らかさを有する絹フィルム上に製作することができる。絹フィルムは、約10nm、9nm、8nm、7nm、6nm、5nm、4nm、3nm、2nmまたは約1nm未満である滑らかさを示すことができる。一部の実施形態では、絹フィルムの局所的表面粗さは、約20nm未満または約10nm未満であることができる。一部の実施形態では、絹フィルムの粗さは、2.5〜5nmの二乗平均平方根粗さ値を有することができる。一部の実施形態では、表面粗さはλ/50未満であることができ、ただしλ=633nmである。一部の実施形態では、光学装置の特長は、構造的に安定である一方で、表面の滑らかさを示すことができる。
一部の実施形態では、絹フィルムは不均等な厚さを有することができる。たとえば、フィルムの厚さは約10μm未満から約200〜999μmの範囲であることができる。
一部の実施形態では、例として、絹を基材上のパターンにしっかりと一致させることによって、光学装置を絹フィルム上に製作することができる。パターンは光学装置に対応することができる。パターンの幾何学は光学装置の光学特性に対応することができる。パターンの幾何学は光学装置のスペクトル応答を決定することができる。
一部の実施形態では、光学装置のパターンには、その大きさをナノメートルのスケール(すなわち10−9メートル)で近似測定することができる構造的特徴が含まれることができる。一部の例では、大きさは約20nm未満から数ミクロン、たとえば5μmの範囲であることができる。一部の実施形態では、光学装置は約75nmであることができる。一部の実施形態では、光学装置は約100nmであることができる。一部の実施形態では、光学装置は、約210nmの寸法を有する1つまたは複数の特長を有することができる。一部の実施形態では、光学装置は、3μm未満の間隔をあけた、700nmと小さな特長を有することができる。一部の実施形態では、光学装置のパターンの構造的特徴は、ミリメートルまたはマイクロメートルのスケールで近似測定することができる。
一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液をパターン形成された基材上に鋳込むことによって、光学装置を絹フィルム上に形成することができる。絹フィブロイン溶液を調製することができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は水性であることができるが、他の溶媒を使用することができる。絹フィブロイン水溶液は約1.0重量%〜30重量%の絹であることができる。一部の実施形態では、溶液は約8.0重量%の絹であることができる。様々なパーセント重量の溶液を使用して、所望の光学的機能を維持したままで、絹フィルムの柔軟性および/または強度を最適化することができる。絹フィブロイン水溶液の例示的な生成は、題名「濃縮絹フィブロイン水溶液およびその使用(Concentrated Aqueous Silk Fibroin Solution and Uses Thereof)のWIPO公開WO2005/012606号に詳述されている。一部の実施形態では、微量濾過ステップを使用することができる。たとえば、絹フィブロイン溶液は遠心分離およびシリンジに基づく微量濾過によって加工することができる。加工は、溶液から形成された絹フィルムの光学的品質および安定性を改善させることができる。
パターン形成された基材は、光学装置を有する絹フィルムの製作において押型および/または鋳型として役割を果たすことができる。Digital Optics Corporationのポリカーボネートフィルムまたはマイクロプリズムマスター押型(3M(商標)SCOTCHLITE(商標)反射性材料−高光沢フィルム(High Gloss Film)、3M、ミネソタ州St.Paul)など、様々な物質を基材に選択することができる。一部の実施形態では、基材はエラストマースタンプまたは複合エラストマースタンプであることができる。一部の実施形態では、基材はポリイミド−ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)でコーティングしたガラスプレートであることができる。一部の実施形態では、基材にはテフロンを含めることができる。一部の実施形態では、基材には疎水性材料を含めることができる。基材は、トリエトキシシラン、トリクロロビニルシラン、またはトリクロロシランなどの疎水性材料でコーティングすることができる。一部の実施形態では、基材はケイ素(Si)ウエファーであることができる。一部の実施形態では、基材からの絹フィルムの手動剥離を可能にするために、基材をシラン処理剤で処理することができる。
光学装置に対応するパターンを基材の表面上に形成することができる。一部の実施形態では、パターンは基材の表面上の凹部として形成することができる。一部の実施形態では、パターンは基材の表面に対して持ち上げられていることができる。パターンは、標準のフォトリソグラフィー技法、または当業者によって認識されるであろう任意の他の技法などの製作技法によって形成することができる。たとえば、基材の一部分を選択的に取り除くリソグラフィー技法を使用することができる。一部の実施形態では、e−ビームリソグラフィーでは、電子ビームを基材上にパターンで走査することができる。ビームは基材の曝露されたまたは曝露されていない領域を選択的に取り除くことができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液がフィルムへと乾燥した後に均等な剥離を確実にするために、基材をTeflon(商標)でコーティングすることができる。
一部の実施形態では、絹フィブロイン水溶液を基材上に投じることができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン水溶液を基材の表面上に紡績コーティングすることができる。紡績コーティングは高さが不均等な薄い絹の膜(membrances)を形成することができる。絹フィブロイン溶液の濃度および紡績速度は生じる絹フィルムの厚さに影響を与えることができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン水溶液を基材の表面上に注ぐことができる。
絹フィブロイン水溶液を乾燥させて、絹フィブロイン水溶液を固相へと移行させることができる。水溶液が乾燥するにつれて、生じる絹フィルムは基材上のパターンに一致することができる。したがって、基材上のパターンを絹フィルムに移して、絹フィルムの表面上に光学装置を形成することができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン水溶液を8〜12または24時間などの一定時間、乾燥させ得る。一部の実施形態では、急速乾燥のために溶液を低熱に供することができる。他の例示的な乾燥技法には、等温乾燥、ローラー乾燥、噴霧乾燥、および加熱技法が含まれることができる。
絹フィルムの厚さは、基材に塗布する絹フィブロイン溶液の体積、溶液中の絹の濃度、または任意の他の要因に依存する場合がある。厚さおよび絹含有率、ならびに光学的特長などのフィルム特性は、溶液中で使用するフィブロインの濃度、堆積された絹フィブロイン水溶液の体積、およびパターン形成によって形成された構造を固定するための、投じた絹溶液を乾燥させるための堆積後の処理に基づいて変更することができる。生じる光学装置の光学的品質を確実にし、透明度、構造的強剛性、および柔軟性などの光学装置の様々な特徴を維持するために、これらのパラメータの正確な制御が望ましい場合がある。さらに、ポリエチレングリコール、コラーゲンなどで知られているように、絹フィブロイン溶液への添加剤を使用して、形態、安定性などの光学装置の特長を変更することができる。一部の実施形態では、絹フィルムは、100μm、2nm、1mm、または任意の他の厚さであることができる。
一部の実施形態では、光学装置を有する絹フィルムを焼き鈍すことができる。焼鈍しは、真空環境、水蒸気環境、またはその組合せにおいて行うことができる。一部の実施形態では、焼鈍しは、所望の材料特性に応じて、水蒸気環境(たとえば水蒸気で満たされたチャンバ)内で様々な一定期間の間、行うことができる。例示的な焼鈍し時間は、2時間から2日間の範囲であってよく、たとえば真空環境において行ってもよい。
一部の実施形態では、焼鈍したまたは焼鈍していない絹フィルムを基材から手動で剥離することができる。絹フィルムは、フィルムの単純な機械的ミナ(Mina)を介して基材から剥離することができる。一部の実施形態では、かみそりフィルムを使用してフィルムを基材から持ち上げて、絹フィルムを基材から手動で分離することによって、絹フィルムを剥離することができる。一部の実施形態では、絹フィルムを基材から剥がすことができる。一部の実施形態では、光学装置を有する焼鈍した絹フィルムをさらなる乾燥に供することができる。
一部の実施形態では、絹フィルム上の光学装置が反射体を形成する場合、絹フィルムを薬剤で官能化することによって絹フィルムの反射性を変更することができる。たとえば、絹フィルムは、たとえばポリエチレングリコール{たとえばPCT/US09/64673号を参照)によって活性化するか、および/または均等もしくは勾配の様式で活性薬剤をロードして生物と共に培養することができる。たとえば、WO2004/0000915号、WO2005/123114号、米国特許出願公開第2007/0212730号を参照されたい。また、ポリエチレングリコール、PEO、またはグリセロールなどの他の添加剤も、絹フィルム中にロードして、形態、安定性、柔軟性などの絹フィルムの特長を変更し得る。たとえばPCT/US09/060135号を参照されたい。
一部の実施形態では、接触による移転を介して、パターン形成された伝導性構造を絹マトリックス上に形成することができる。パターンを基材上に形成することができる。一部の実施形態では、パターンを基材内にエッチングすることができる。一部の実施形態では、パターンは基材の表面に対して持ち上げられていることができる。一部の実施形態では、パターンを基材上に投じることができる。一部の実施形態では、絹マトリックス(たとえば自立型絹マトリックス)を基材に塗布することができる。一部の実施形態では、圧力を絹マトリックスおよび基材にかけて、パターンを基材から絹マトリックスへと移すことができる。接触による移転は周囲の圧力および/または温度条件下で起こることができる。一部の実施形態では、接触による移転は高温条件で起こることができる。
一部の実施形態では、絹フィルム上の光学装置に対応するパターンの機械加工を介して、光学装置を有する絹フィルムを形成することができる。たとえば、絹フィブロイン水溶液を平坦な表面上に投じることができる。溶液を放置して、固体絹フィルムへと乾燥させることができる。様々な製作技法を使用して、パターンを絹フィルムの表面上に機械加工することができる。例示的な技法にはソフトリソグラフィーおよびレーザー機械加工(たとえば、フェムト秒レーザーパルスを絹フィルムの表面に施用すること)が含まれる。
一部の実施形態では、フォトニック結晶は、穴および/または窪みのアレイを絹フィルム内に機械加工することによって形成することができる。たとえば、穴および/または窪みは、市販のモードロックのチタンサファイアレーザー(たとえばNewport CorporationのSpectra Physics Divisionから入手可能なTsunami(登録商標))からのフェムト秒レーザーパルスを絹フィルムに施用することによって、形成することができる。一部の実施形態では、レーザーパルスは約100fs持続し、パルスの平均電力は1.1Wであり、パルスは80MHzの繰り返し率で施用し、波長は810nmであることができる。レーザーパルスは、中等度の開口数(NA=0.4)のボールレンズによって絹フィルム上に焦点を合わせることができる。レーザー光線は、レーザー空洞中の非補償非点収差が原因で、楕円形の形状であることができる。理論に束縛されることを望まずに、一部の実施形態では、アブレーション工程の非線形性質が理由で、ビームの形状は生成された穴中で反射されない。
本明細書中に記述した製作技法のうちの任意のものから、光学装置を有する絹フィルムを複数形成することができる。それぞれの絹フィルムは、その表面上に形成されたパターン(たとえばナノパターン)を有することができる。一部の実施形態では、パターン形成された絹フィルムを積み重ねることができる。束内の隣接絹フィルムは、異なる配向を有するように配向することができる。たとえば、絹フィルムは、束中でその上または下にある絹フィルムに対して90度回転させることができる。一部の実施形態では、束中の絹フィルムはその表面上に同じパターンを有する。一部の実施形態では、束中の絹フィルムはその表面上に異なるパターンを有する。一部の実施形態では、束中の絹フィルムは、積み重なった際にパターンが一緒に働いてフォトニック結晶を生じるように、異なるパターンを有する。
一部の実施形態では、絹フィルムを一緒に結合させることができる。たとえば、絹フィルム間に少量の絹フィブロイン水溶液を、フィルム間の糊として機能させるために提供し得る。フィルムは酵素(たとえばトランスグルタミナーゼ)を使用して架橋結合させることができる。絹フィルムを結合させるための例示的な物質には、カルボジイミド(carbodimide)、グルタルアルデヒド(gluteraldehyde)蒸気、フィブリン、および/またはメタクリレートが含まれるが、他の物質を使用することができる。
一部の実施形態では、光をそのスペクトル構成要素内に回析するために、回析格子を絹フィルム上に形成することができる。回析格子は、たとえば、米国仮出願第61/226,801号および/またはPCT出願PCT/US2010/042585号に記載されている方法を使用して形成することができる。
本明細書中に記載のパターン形成された伝導性構造の製作方法のうちの任意のものを、乾燥した化学薬品を含まない環境中で実施することができる。そのような環境は、リフトオフ方法およびウェットエッチングなどの他のフォトリソグラフィーに基づく伝導性材料のパターン形成方法に関与し得る、考えられる汚染の可能性を低下させることができる。そのような方法は、例として、マトリックスに有害な影響を与えずに絹マトリックスの完全性および生体適合性を維持し、それによって人体内に埋め込み可能な応用を容易に生成することを支援する。
光学装置を有する絹フィルムの粉体への変換
光学装置を有する絹フィルムは、絹光学粉体に変換するために選択することができる。絹光学粉体は絹フィルム上に形成した光学装置の少なくとも1つの光学特性を保持することができる。
一部の実施形態では、光学装置を有する絹フィルムから形成した絹光学粉体中のそれぞれの粒子には、少なくとも1つの光学装置が含まれることができる。一部の実施形態では、粒子には複数の光学装置が含まれることができる。粒子には光学装置のアレイが含まれることができる。粒子には同じ種類の複数の光学装置(たとえば4つのマイクロレンズ)が含まれることができる。一部の実施形態では、粒子上の光学装置は均一であることができる(たとえば、均等な大きさ、焦点距離、線ピッチなど)。一部の実施形態では、粒子上の光学装置は不均一であることができる(たとえば、異なる大きさ、焦点距離、線ピッチなど)。粒子には異なる種類の光学装置が含まれることができる。たとえば、粒子にはレンズおよび回析格子が含まれることができる。一部の実施形態では、粒子はその表面のうちの1つ上に完全な光学装置を有することができる。一部の実施形態では、粒子はその表面のうちの1つ上に部分的な光学装置を有することができる(たとえば、少なくとも1つの光学装置を通って切断する、絹フィルム中の裂け目)。一部の実施形態では、絹光学粉体中の粒子は均一な大きさおよび/または形状を有することができる。一部の実施形態では、粒子は不均一な大きさおよび/または形状を有することができる。
粒子の大きさは絹フィルム上の光学装置の寸法に依存する場合がある。一部の実施形態では、光学装置がナノスケールの装置である場合は、絹フィルムをミクロンの範囲(たとえば約1μm〜約100μm)の粒子に変換することができる。直径350nmのレンズを有する絹フィルムを約35μmの粒子に変換することができる。直径475nmのレンズを有する絹フィルムを約65μmの粒子へと変換することができる。一部の実施形態では、光学装置がマイクロスケールの装置(たとえば、マイクロプリズム、マイクロレンズ)である場合は、絹フィルムを数百ミクロンの範囲(たとえば約100μm〜約1000μm)の粒子に変換することができる。50μmの寸法を有するマイクロプリズムを有する絹フィルムを約400〜600μmの粒子に変換することができる。75μmの直径を有するマイクロレンズを有する絹フィルムを約400〜600μmの粒子に変換することができる。光学装置の大きさと粒子の大きさとの間の他の割合を使用することができる。
一部の実施形態では、光学装置を有する絹フィルムは、少なくとも1つの機械装置を使用して絹光学粉体に変換される。任意の機械装置が絹フィルムを加工することができる。機械装置は絹フィルム中に裂け目を作製することができ、裂け目が絹光学粉体の粒子を定義することができる。一部の実施形態では、機械装置は絹フィルムを粉体へと押し砕くことができる。一部の実施形態では、機械装置は絹フィルムを粉体へと切断することができる。一部の実施形態では、機械装置は絹フィルムを粉体へと粉砕することができる。一部の実施形態では、機械装置は絹フィルムを粉体へと細断することができる。一部の実施形態では、機械装置は絹フィルムを粉体へと機械加工することができる。
一部の実施形態では、機械装置は粉砕機であることができる。粉砕機には回転刃が含まれることができる。絹フィルムを粉砕機内に導入し、回転刃に供することができる。一部の実施形態では、これらの絹フィルム上の光学装置は、数百ナノメートルの次数の寸法を有することができる。一部の実施形態では、これらの絹フィルム上の光学装置は、数百ナノメートよりも小さい寸法を有することができる。一部の実施形態では、粉砕の時間の長さが、実質的に均一な大きさの粒子をもたらすことができる。一部の実施形態では、粉砕機中で使用する回転刃の種類が、実質的に均一な大きさの粒子をもたらすことができる。
一部の実施形態では、機械装置は細断機であることができる。細断機には少なくとも1つの刃が含まれることができる。刃(複数可)は、光学装置を有する絹フィルムと垂直に衝突して、フィルム中に裂け目を作製することができる。反復細断は、例として500μm〜1mmの範囲の大きさを有する粒子をもたらすことができる。一部の実施形態では、細断は不均一な大きさの粒子をもたらす。一部の実施形態では、絹フィルムをリボンとして成形することができ、リボンを実質的に規則正しい様式で細断機に提示することができる。たとえば、リボンを細断機の刃に通じる空洞内に供給することができる。ベルトコンベヤーが絹フィルムを細断機に実質的に連続的な速度で提示することができる。細断機が絹フィルムを周期的に細断するため、機械はより均等な大きさの粒子を生じることができる。
一部の実施形態では、光学装置を有する絹フィルムは、少なくとも1つの化学薬品を使用して絹光学粉体に変換される。光学装置を有する絹フィルムは、絹−ポリエチレンオキシドまたは関連ポリマーなどの、絹フィブロイン以外の追加のポリマーを取り込ませることができる。一部の実施形態では、追加のポリマーは、粒子に対応することができる絹フィルム上の境界を定義することができる。一部の実施形態では、追加のポリマーを溶かす化学薬品を絹フィルムに塗布することができる。追加のポリマーが溶解するにつれて、絹フィルムはポリマーによって定義された境界に沿って分離して、粒子を作製することができる。
様々な光学的絹粉体の製作
絹フィルムは、特定の光学特性を有するように作製することができる。光学特性を有するそのような絹フィルムは、続いて粉体へと変えられる。理論に束縛されることを望まずに、粉体は、ナノスケールの特長によって誘導される光学特性を維持する。したがって、絹の繊維および他の材料形態をパターン形成し、その後、以下に記載の様々な光学特性を有する粒子または粉体へと機械加工することができる。
反射性粒子:マイクロプリズムアレイまたは多重層状の絹のどちらかによる鏡を調製し、その後、粉体へと加工して、反射性粒子をもたらすことができる。
回析粒子:回析構造様の回析格子を絹中に作製し、その後、回析粉体へと変えて、グリッターおよび多色イリデッセンスの効果を達成することができる。
操作した色を有する2D回析およびフォトニック結晶:適切な表面パターンの選択に基づいて特定色または単一色のパターンを示す回析構造を操作して、構造的に有色の粉体、たとえば蝶の鱗粉に類似のものを作製することができる。この粉体は1つの特定の色のものであることができる。
マイクロレンズおよびミクロスフェアアレイ:光学粉体は、光集束粒子または集光器として作用するように操作することができる。
回析粉体を製作するために、たとえば米国仮出願第61/226,801号およびPCT出願PCT/US2010/042585号に記載の方法を使用して、絹は、白色光をそのスペクトル構成要素へと散乱および回析する回析格子へと再形成することができる。回析格子の外側の外見は、異なるスペクトル構成要素の放射の取り扱いのために艶がある(図18)。回析格子は後加工によって粉体へと縮小することができる。これは、複数の切断もしくは機械的粉砕または他の手段を行うことによって、達成される。一部の場合では、これは、絹−ポリエチレンオキシドまたは関連ポリマーを用いてフィルムをフォーマットおよびパターン形成した後などの、第2のポリマーの直接溶解によっても達成することができる。生じる粉体または小片はその回析特性を維持する(典型的な回析格子は、300本の線/mmから開始され、3600本の線/mmまでのピッチを有する)。
回析格子は、凍結および機械的に押し砕くことによって粉砕される。生じるイリデッセント粉体を図19に示す。粉体への移行の最適化は、最終産物に応じて改善された光学的機能を提供することができる。
一部の実施形態では、本発明の粒子組成物は、以下にさらに詳述する方法を使用して、選択された応用に従った少なくとも1つの光学特性を有する絹粒子を含む。
少なくとも1つの光学特性を有する本発明の粒子組成物に有用な絹粒子は、(a)少なくとも1つの光学特性を有する固体絹フィブロインを提供するステップと、(b)固体絹フィブロインから絹粒子組成物を作製するステップとを含む方法によって調製することができる。
一部の実施形態では、固体絹フィブロインは、少なくとも1つの光学構造または素子を有するマスターパターンの複製物であることができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の光学構造または素子は、光学構造または素子を有するマスターパターンから複製することによって、固体絹フィブロインの表面上に形成することができる。本明細書中で使用する用語「マスターパターン」とは、たとえば固体絹フィブロインの表面上に複製される所望のパターンを保有する押型または鋳型をいう。マスターは、ミリ、マイクロ、もしくはナノパターン形成された表面であることができる、および/またはレンズ、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ、プリズム、マイクロプリズムアレイ、パターン発生器、回析格子などの光学装置もしくは構造であることができる。固体絹フィブロインおよび絹粒子組成物に所望される光学特性に応じて、望ましい光学的特長を保有する任意の装置または構造を、本発明の目的のためにマスターパターンとして使用することができる。回析絹格子は回析格子などの回析構造から複製することができる。その後、生じる絹回析格子を、たとえば機械的手段によって回析絹粒子へと縮小することができる。
マスターパターンから複製された光学素子は、1D、2Dまたは3Dアレイ中の単一の光学素子または複数の光学素子であることができる。例として、反射素子は、それだけには限定されないが、平面鏡、ダイアモンドカットの反射体、コーナーキューブ、半球幾何学、「キャッツアイ」幾何学などの幾何学を有する逆反射体または反射鏡付レンズ(たとえばLundvallら、11、Optics Express、2459(2003)を参照)、正方形、長方形、または立方体の空洞の角などの複数の直交交差平面を含有する逆反射空洞を含めた、様々な形状および幾何学を有する鏡および逆反射体であることができる。本明細書中で使用する用語「逆反射性」とは、斜めに入射する光線を、光源またはその直近に戻るように、その入射方向とは逆平行の方向、またはほぼその方向に反射する特質をいう。
絹光学素子は、当業者に知られている技法によってマスターパターンから複製することができる。一実施形態では、ソフトリソグラフィーに類似の微小押型技法(Perryら、20、Adv.Mater.、3070(2008)、XiaおよびWhitesides、37、Angew.Chem.Int.Ed.、550(1998))を使用して、反射性マイクロプリズムアレイのマスターマスクを複製することによって、絹の埋め込み可能な光学的構成要素を調製した。WO2009/061823号も参照されたい。たとえば、絹フィブロイン溶液をパターン上に投じて乾燥させるソフトリソグラフィー鋳込技法を使用して、絹フィブロインフィルムをマイクロおよびナノスケールでパターン形成することができる。Perryら、2008を参照されたい。生じた装置は、数〜数十平方センチメートルの範囲の寸法を有する、100μmの厚さの自立型絹反射フィルムであった。同様に、同様の微小押型技法を使用して、回析絹フィルムも回析マスターパターンを用いて生成することができる。
他の実施形態では、室温のナノインプリンティング技法を使用して、約20nm以下の最小寸法を有する特長などの細密な特長を有する絹光学的構成要素を調製することもできる。PCT/US2010/024004号を参照されたい。室温のナノインプリンティング技法を使用して、温度に特に感受性のある一部の手軽な生物活性剤の生物活性を保存することができ、絹光学装置/構成要素に基づいた生物活性ナノスケール装置の手軽な生成がさらに可能となる。
追加のポリマー、たとえば、生体適合性および生分解性のポリマーも、固体絹フィブロイン中に混合することができる。たとえば、望ましい機械的特性を示す、キトサンなどの追加のバイオポリマーを、水中で加工し、絹フィブロインと混合し、光学的応用のための一般に透明なフィルムを形成することができる。キトサン、コラーゲン、ゼラチン、アガロース、キチン、ポリヒドロキシアルカノエート、プラン(pullan)、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、セルロース、アルギネート、フィブロネクチン、ケラチン、ヒアルロン酸、ペクチン、ポリアスパラギン酸、ポリリシン、ペクチン、デキストラン、および関連バイオポリマー、またはその組合せなどの他のバイオポリマーを特定の応用において利用してもよく、また、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリフマレート、ポリ酸無水物、および関連コポリマーなどの合成生分解性ポリマーも選択的に使用し得る。
一部の実施形態では、固体絹フィブロインは、絹フィブロインの1つまたは複数の層の複合体であることができる。絹フィブロインのそれぞれの層は、同じまたは異なる組成または特性を保有することができる。たとえば、絹フィブロインのそれぞれの層は同じもしくは異なる濃度の絹フィブロインを保有することができる、ならびに/またはそれぞれの層は同じまたは異なる光学、機械的特性および/もしくは分解特性を保有することができる。一実施形態では、固体絹フィブロインは、たとえば特定の波長を反射するように調整することができる、多重層状の絹フィブロインであることができる。
一部の実施形態では、たとえば絹フィブロインの分解速度を改変するために、固体絹フィブロインをさらなる処理に供することができる。さらなる処理には、それだけには限定されないが、有機溶媒処理、機械的処理、または電磁気処理が含まれることができる。例として、絹フィブロインの分解速度は、たとえばベータシート結晶の量および/または結晶配向を改変することによって制御することができる。したがって、絹フィブロイン中のベータシート結晶の量および/または結晶配向は、当技術分野で確立されているように、絹フィブロインをアルコール、たとえばメタノールまたはエタノールと接触させることによって制御することができる。一部の実施形態では、ベータシート結晶の量および/または結晶配向のアラインメントを変動するために、絹フィブロインを機械的な力、たとえば伸長に供することができる。
一部の実施形態では、米国仮出願第61/386,592号で実証されているように、固体絹フィブロインは、たとえば機械的手段によって圧電性にすることができる。また、絹結晶のアラインメント、たとえば、単軸アラインメントの度合いを増加させる他の方法を使用して、絹材料の圧電現象を高めることもできる。たとえば、この方法には、磁場中で、たとえば磁気極性調整によって絹マトリックスをアラインメントすることが含まれ得る。また、この方法には、シルクII構造を誘導するための絹マトリックスの電子極性調整、または絹マトリックス中の圧電性マトリックスの他のテンソル(剪断テンソルに加えて)の誘導も含まれ得る。また、この方法には、絹マトリックスをOH基に富んだ溶媒中に引き込むこと、または配向されたシルクIIナノフィブリルマットのための絹の電気紡績および電気紡績後処理も含まれ得る。絹材料の圧電現象は、シルクIIの結晶化度および結晶のアラインメントを同時に最大限にすることによって高めることができ、これには、様々な方法を組み合わせて絹マトリックスを加工することが含まれ得る。たとえば、電子または磁気極性調整は、OH基に富んだ溶媒または電気紡績方法を同時にまたは続けて使用することと組み合わせることができる。
本発明によれば、少なくとも1つの光学特性を有する固体フィブロインを本発明の絹粒子へと縮小することができる。大きさに言及して本明細書中で使用する用語「縮小された」とは、固体フィブロインを、そのより小さな大きさ、たとえば、断片、繊維、小片、粉体へと、任意の手段によって加工できることを意味する。たとえば、固体絹フィブロインを、切断、粉砕、細断、または機械加工などの機械的手段によって縮小することができる。一部の実施形態では、固体絹フィブロインは、化学的手段、たとえば、絹−ポリエチレンオキシドまたは関連ポリマーを用いて絹マトリックスをフォーマットおよびパターン形成した後などの、第2のポリマーの溶解によって縮小することができる。縮小された絹フィブロイン、たとえば絹粉体は、固体絹フィブロイン回析格子の光学特性(たとえば回析特性)を維持することができる。
記載したように、本発明は、少なくとも1つの光学特性を有する絹粒子を含む粒子組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物は、非絹粒子、たとえば、非絹タンパク質粒子、無機粒子、およびポリマー粒子をさらに含むことができる。当業者は、様々な応用に応じて適切な非絹粒子を選択することができる。たとえば、酸化チタンなどの無機粒子を組成物に加えて、UV保護を高めることができる。理論に束縛されることを望まずに、チロシンはUV線を自然に吸収することができるため、チロシン残基などの残基を含有するまたは多く含むタンパク質粒子も、UV保護のために組成物に加えることができる。
様々な実施形態では、絹粒子を修飾することができる。たとえば、絹粒子を遺伝子改変することができ、これは、有機−無機複合体を形成するために使用される、繊維状タンパク質ドメインおよびミネラル化ドメインを含む融合ポリペプチドの包含などの絹のさらなる修飾を提供する。これらの有機−無機複合体は、使用する繊維状タンパク質融合ドメインの大きさに応じてナノからマクロスケールで構築することができ、WO2006/076711号を参照されたい。また、米国特許出願第12/192,588号も参照されたい。一実施形態では、たとえば所望の光学特性のために、1つの特定のアミノ酸を多く含むように絹粒子を遺伝子改変することができる。
したがって、一部の実施形態では、フィブロインポリペプチドのアミノ酸配列に対して1つまたは複数の突然変異を有する組換え絹フィブロインが、本明細書中に記載の特定の応用に有用である。一部(come)の実施形態では、1つまたは複数の追加のチロシン残基をポリペプチド配列内に導入する。ネイティブフィブロインポリペプチドは約5%のチロシン残基を含有する。これらの残基の多くは、ポリペプチド全体にわたってクラスタリングされている。一部の実施形態では、追加のチロシン残基は、ポリペプチドの既存のチロシン残基付近の配列内に導入する。それに加えてまたはその代わりに、酸側鎖を有するアミノ酸残基をチロシンで置換し得る。一部の実施形態では、生じる修飾された絹フィブロインは、ネイティブポリペプチドと比較してより高いパーセンテージのチロシン含有率を含有する。たとえば、本発明の特定の実施形態に適した修飾された絹フィブロインは、5.5%、6%、7%、8%、9%、10%またはそれより高いチロシン残基までを含有し得る。一部の実施形態では、追加および/または置換されたチロシン残基は、絹フィブロインの疎水性ドメインの縁の近位にまたはその付近に位置する。
また、絹タンパク質の物理特性および機能性を変更するために、絹フィブロインを、溶液中の1つまたは複数の薬剤を用いて、たとえば、ジアゾニウムもしくはカルボジイミドカップリング反応、アビジン−ビオチン(biodin)相互作用、または遺伝子修飾などを介して化学修飾することもできる。たとえば、PCT/US09/64673号、PCT/US10/41615号、PCT/US10/42502号、米国出願第12/192,588号を参照されたい。一部の実施形態では、絹粒子は、たとえば、その疎水性または周囲の分子とのその相互作用を変更するために、少なくとも1つの薬剤でコーティングすることができる。
医薬組成物、光学造影剤およびそのキット
絹は生体適合性かつ食用であるため、絹粒子をin vivoで、たとえば、生物医学的イメージングおよびバイオセンシングなどの任意の医学的応用のために投与することができる。たとえば、絹光学粒子は、生物検体を光学的にプロービングした際に検出器に返される光の量を増加させるために利用することができる。
したがって、光学絹粒子を含む本発明の記載した粒子組成物は、in vivo使用に安全なバイオセンサーまたは診断ツールとして使用することができる。一部の実施形態では、絹光学粒子を含む粒子組成物は、一連のナノスケールのピークおよびトラフとしてパターン形成されている絹光学フィルムまたは他の適切な絹固体から作製される。その後、そのようなパターン形成された絹フィルムを、たとえばナノスケールのより小さな粒子へと縮小することができる。ここで、生じる粒子組成物は少なくとも1つのパターン形成された表面を有する絹粒子を含むこととなる。一部の実施形態では、そのような絹組成物の製作中、固化過程した後に絹フィルムが1つまたは複数の薬剤を含むこととなるように、適切な結合剤または複数の結合剤を絹に基づく組成物内に取り込ませてもよい。一部の実施形態では、追加の薬剤は、モノクローナル抗体またはその断片などの親和性剤であり得る。組成物は、適切なバイオ検出での使用のために、注射または経口投与などの任意の知られている方法によって対象内に導入することができる。たとえば、対象の体内に存在する病原体または抗原などの特異的標的分子(複数可)と絹粒子のパターン形成された表面とが結合した後、絹粒子の光学特性はシフトする。そのような光学特性の変化は標的分子の存在の指標であり、その後、任意の適切な手段(たとえばイメージング)によってこれを検出することができる。したがって、本発明は、特定の絹粒子およびそれとカップリングした任意の追加の薬剤の光学特性に基づいて、幅広い範囲のバイオイメージングおよびバイオ検出の応用に適応し得る。
絹粒子は医薬担体として使用し得る。一部の実施形態では、特定の光学特性を有する絹粒子は、親和性部分または標的部分と会合される場合があり、in vivoで複合体を特定部位(標的分子、組織など)に局在化させることがある。一部の実施形態では、標的部分は腫瘍細胞を標的とし得る。したがって、そのような標的部分と会合した絹粒子を含む医薬組成物を、腫瘍を有するまたは腫瘍を有することが疑われる対象内に投与することができ、腫瘍を任意の適切な光学イメージング方法によって検出し得る。さらに、一部の実施形態では、そのような絹に基づくイメージング複合体には1つまたは複数の治療剤を含めることもでき、その後、これらは具体的な絹粒子の分解速度に応じて経時的に放出される。そのような効果は、やはり同じイメージング方法を使用して、経時的に監視することができる。したがって、絹粒子に基づくセンサーおよびイメージング試薬は、当技術分野で知られている他の薬剤に対する、より安全な代替物である。いくつかの関連する医学的および診断的応用では、絹粒子は、放射性試薬を含めた、当技術分野において典型的に使用されているより有害な試薬を置き換え得る。
上述のように、少なくとも1つの光学特性を有する絹粒子を含む粒子組成物は、医薬的な応用に有用である。そのような実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの活性薬剤をさらに含むことができる。たとえば、活性薬剤は本明細書中に記載の組成物内に混合することができる。
活性薬剤は、治療剤、あるいは、細胞(幹細胞が含まれる)、タンパク質、ペプチド、核酸(たとえば、DNA、RNA、siRNA)、核酸類似体、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、アプタマー、抗体またはその断片もしくは一部分(たとえばパラトープもしくは相補性決定領域)、抗原またはエピトープ、ホルモン、ホルモン拮抗剤、成長因子または組換え成長因子ならびにその断片および変異体、細胞付着媒介剤(RGDなど)、サイトカイン、細胞毒素、酵素、小分子、薬物、色素、アミノ酸、ビタミン、抗酸化剤、抗生物質または抗微生物化合物、抗炎症剤、抗真菌剤、ウイルス、抗ウイルス剤、毒素、プロドラッグ、化学療法剤、またはその組合せなどの生体物質であることができる。たとえば、PCT/US09/44117号、米国特許出願第61/224,618号を参照されたい)。また、薬剤は、上述の薬剤のうちの任意のものの組合せであることもできる。
一部の実施形態では、活性薬剤は、真菌、植物、動物、細菌、またはウイルス(バクテリオファージが含まれる)などの生物であることもできる。さらに、活性薬剤には、神経伝達物質、ホルモン、細胞内シグナル伝達剤、薬学的活性薬剤、毒性剤、農薬類、化学的毒素、生物毒素、微生物、ならびにニューロン、肝細胞、および免疫系細胞などの動物細胞が含まれ得る。また、活性薬剤には、薬理学的材料、ビタミン、鎮痛剤、催眠剤、プロスタグランジンおよび放射性医薬品などの治療的化合物も含まれ得る。
本発明における使用に適した例示的な細胞には、それだけには限定されないが、前駆細胞または幹細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、上皮細胞、内皮細胞、尿路上皮細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、眼(oscular)細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、ケラチノサイト、腎細管細胞、腎基底膜細胞、外皮細胞、骨髄細胞、肝細胞、胆管細胞、膵島細胞、甲状腺、副甲状腺、副腎、視床下部、下垂体、卵巣、精巣、唾液腺細胞、脂肪細胞、および前駆細胞が含まれ得る。また、活性薬剤は、上記列挙した細胞のうちの任意のものの組合せであることもできる。WO2008/106485号、PCT/US2009/059547号、WO2007/103442号も参照されたい。
本明細書中に記載の組成物中に含めることができる例示的な抗体には、それだけには限定されないが、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴール、ダクリツマブ、エクリズマブ、エファリツマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、アルツモマブペンテテート、アルシツモマブ、アトリズマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベシレソマブ、ビシロマブ、カナキヌマブ、カプロマブペンデチド、カツマキソマブ、デノスマブ、エドレコロマブ、エフングマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファノレソマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イゴボマブ、イムシロマブ、ラベツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブメルペンタン、オレゴボマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、スレソマブ、タカツズマブテトラキセタン、テフィバズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、およびザノリムマブが含まれる。また、活性薬剤は、上記列挙した抗体のうちの任意のものの組合せであることもできる。
例示的な抗生物剤には、それだけには限定されないが、アクチノマイシン、アミノグリコシド(たとえば、ネオマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン)、βラクタマーゼ阻害剤(たとえば、クラブラン酸、スルバクタム)、糖ペプチド(たとえば、バンコマイシン、テイコプラニン、ポリミキシン)、アンサマイシン、バシトラシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン(たとえば、セファゾリン、セファクロル、セフジトレン、セフトビプロール、セフロキシム、セフォタキシム、セフェピム(cefipeme)、セファドロキシル、セフォキシチン、セフプロジル、セフジニル)、グラミシジン、イソニアジド、リネゾリド、マクロライド(たとえば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)、ムピロシン、ペニシリン(たとえば、アモキシシリン、アンピシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、オキサシリン、ピペラシリン)、オキソリン酸、ポリペプチド(たとえば、バシトラシン、ポリミキシンB)、キノロン(たとえば、シプロフロキサシン、ナリジクス酸、エノキサシン、ガチフロキサシン、レバキン、オフロキサシンなど)、スルホンアミド(たとえば、スルファサラジン、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コ−トリモキサゾール)、スルファジアジン)、テトラサイクリン(たとえば、ドキシサイクリン(doxycyline)、ミノサイクリン、テトラサイクリンなど)、アズトレオナムなどのモノバクタム、クロラムフェニコール、リンコマイシン、クリンダマイシン、エタンブトール、ムピロシン、メトロニダゾール、ペフロキサシン、ピラジナミド、チアムフェニコール、リファンピシン、チアムフェニクル(thiamphenicl)、ダプソン、クロファジミン、キヌプリスチン、メトロニダゾール、リネゾリド、イソニアジド、ピラシル、ノボビオシン、トリメトプリム、ホスホマイシン、フシジン酸、または他の外用抗生物質が含まれる。任意選択で、抗生物剤は、デフェンシン、マガイニンおよびナイシンなどの抗微生物ペプチド、または溶解性バクテリオファージであってもよい。また、抗生物剤は、上記列挙した薬剤のうちの任意のものの組合せであることもできる。また、PCT/US2010/026190号も参照されたい。
組成物中に含めることができる例示的な酵素、それだけには限定されないが、ペルオキシダーゼ、リパーゼ、アミロース、有機リン酸デヒドロゲナーゼ、リガーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、ラッカーゼなど。また、構成要素間の相互作用を使用して、たとえばアビジンとビオチンとの間の特異的相互作用を介しても、絹フィブロインを機能させ得る。また、活性薬剤は、上記列挙した酵素のうちの任意のものの組合せであることもできる。米国特許出願第61/226,801号を参照されたい。
また、当技術分野で知られている他の材料も医薬組成物に加え得る。たとえば、薬剤(agent)(生体物質の場合)の成長を促進する、または薬剤が貯蔵中に残存するもしくはその有効性を保持する能力を増加させる材料を加えることが望ましい場合がある。細胞成長を促進することが知られている材料には、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)などの細胞増殖培地、ウシ胎児血清(FBS)、非必須アミノ酸および抗生物質が含まれ、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、表皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF I)、骨形成成長因子(BMPs)、神経成長因子、および関連タンパク質などの成長および形態形成因子を使用し得る。成長因子は当技術分野で知られており、たとえばRosenおよびThies、細胞および分子基盤の骨形成および修復(CELLULAR & MOLECULAR BASIS BONE FORMATION & REPAIR)(R.G.Landes Co.、テキサス州Austin、1995)を参照されたい。追加の材料には、DNA、siRNA、アンチセンス、プラスミド、リポソームおよび遺伝物質を送達するための関連する系、細胞シグナル伝達カスケードを活性化するためのペプチドおよびタンパク質、ミネラル化または細胞からの関連事象を促進するためのペプチドおよびタンパク質、粒子−組織の界面を改善させるための接着ペプチドおよびタンパク質、抗微生物ペプチド、ならびにタンパク質および関連化合物が含まれることができる。また、医薬組成物はヒドロキシアパタイト粒子を含むこともでき、PCT/US08/82487号を参照されたい。
一部の実施形態では、医薬組成物は1つまたは複数の薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。本明細書中で使用する用語「薬学的に許容される担体」とは、対象化合物を1つの器官または身体の一部分から別の器官または身体の一部分へと運ぶまたは輸送することに関与している、液体、希釈剤、賦形剤、製造補助剤またはカプセル封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。それぞれの担体は、配合物の他の成分と適合性があり、患者に有害でないという意味で、「許容」されていなければならない。薬学的に許容される担体として役割を果たすことができる材料の一部の例には、それだけには限定されないが、ゼラチン、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、発熱物質を含まない水、等張生理食塩水、リンゲル液、pH緩衝溶液、ポリペプチドおよびアミノ酸などの充填剤、血清アルブミン、HDLおよびLDLなどの血清構成要素、ならびに医薬配合物中で用いられる他の無毒性の適合性物質が含まれる。また、保存料および抗酸化剤も配合物中に存在することができる。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などの用語は、本明細書中で互換性があるように使用される。
医薬組成物は、以下に適応したものを含めた、固体または液体形態での投与のために特別に配合することができる:(1)経口投与、たとえば、飲薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、ロゼンジ、糖衣錠、カプセル、丸薬、錠剤(たとえば、頬側、舌下、および全身性の吸収を標的としたもの)、ボーラス、粉体、顆粒、舌に施用するペースト、(2)非経口投与、たとえば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外の注射による、たとえば無菌的な溶液もしくは懸濁液、または持続放出配合物として、(3)外用塗布、たとえば、皮膚に塗布するクリーム、軟膏、または徐放性のパッチもしくはスプレーとして、(4)膣内または直腸内、たとえば、膣坐薬、クリームまたは泡沫として、(5)舌下、(6)眼球、(7)経皮、(8)経粘膜、あるいは(9)経鼻。さらに、化合物は、患者内に植え込むか、または薬物送達系を使用して注射することができる。たとえば、Urquhartら、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.、24:199〜236(1984)、Lewis編、「殺虫剤および医薬品の徐放性(Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals)」(Plenum Press、ニューヨーク、1981)、米国特許第3,773,919号、ならびに米国特許第35 3,270,960号を参照されたい。本明細書中で使用する用語「投与する」または「投与」とは、所望の効果が生じるように、所望の部位での組成物の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって、組成物を対象内に配置することをいう。
本発明によれば、絹光学粒子は生分解性である。したがって、絹光学粒子は経時的に消失または再吸収されることができる。一部の実施形態では、絹光学粒子の溶解または分解時間は、フィブロインタンパク質の自己アセンブリ過程中の結晶化度の度合を制御することによって、数分間から数時間から数日間から数カ月まで調整することができる。Jinら、15、Adv.Funct.Mater.、1241(2005)、Luら、6、Acta Biomater.、1380(2010)。このことは、たとえば、in vitroおよび/またはin vivo研究において遭遇するものなどの湿環境での持続的稼動のために装置を安定化させるための焼鈍しステップにより絹フィルム内の含水量を調節することによって、達成することができる。また、絹フィブロイン中の結晶化度の度合を変更するための、当技術分野で知られている他の処理方法も用いることができる。
本発明によれば、絹光学粒子は、たとえば生物医学的イメージングにおいて、造影剤などの光学的イメージング剤として使用することができる。したがって、本発明のさらなる態様は、少なくとも1つの光学特性を有する絹粒子を含む光学造影剤に関する。そのような実施形態では、絹光学粒子の溶解時間は、一定時間、たとえば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約1日間、約1週間またはそれより長く持続するように調整することができる。一実施形態では、絹光学粒子の溶解時間は、対象の体内中で生物医学的イメージングに十分な長さ持続し、その後に分解するように調整することができる。本明細書中で使用する用語「分解する」、「分解」または「溶解」とは、絹粒子の量または大きさの減少をいう。分解または溶解の過程は、一定時間、たとえば、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1カ月またはそれより長くにわたって持続することができる。
さらなる実施形態では、絹粒子の光学特性を改変して、有効に検出することができる特異的なスペクトルシグネチャを割り当てることができる。たとえば、適切なマスターパターンの選択に基づいて、回析絹粒子は1つの特定の色を示すように設計することができる。一部の実施形態では、絹粒子の光学特性を改変して、たとえば流体の流れをin vivoで監視するために反射性を誘導することができる。
また、たとえば医学的応用に有用なキットも本明細書中で提供される。キットには、(1)本明細書中に記載の医薬組成物または光学造影剤と、(2)本明細書中に記載の薬学的に許容される溶液、たとえば水または緩衝溶液とが含まれる。一部の実施形態では、キットは、たとえば組成物を投与するための少なくとも1つのシリンジまたは少なくとも1つのカテーテルをさらに含む。
製品
本発明の別の態様は、1つまたは複数の光学的効果、たとえば、反射、回折、屈折、吸収、光学利得、蛍光、および/または光散乱を保有する製品に向けられている。そのような製品には、それだけには限定されないが、玩具、美術品、工芸品、装飾品、ペンキ、インク、服飾品、織物、ヘアケア製品、紙製品、食用製品、化粧品、レンズ、サインおよびディスプレイが含まれることができる。本発明の実施形態では、製品には本明細書中に記載の少なくとも1つの組成物が含まれる。
一部の実施形態では、製品は反射性絹粒子を含むことができる。一部の実施形態では、製品は回析絹粒子を含むことができる。一部の実施形態では、製品はフォトニック絹結晶粒子を含むことができる。そのような実施形態では、フォトニック絹結晶粉体は1つの特定の色のものであることができる。一部の実施形態では、製品は蛍光絹粒子を含むことができる。
これらの様々な絹光学粒子を様々な応用において利用することができる。たとえば、絹光学粒子をペンキまたはインク中に分散させることができる。そのようなペンキまたはインクは、縁およびレーンの縞線、サイン、ディスプレイなどの反射性またはグリッターマーカー(glittering makers)を提供するために使用することができる。一部の実施形態では、そのようなペンキまたはインクは、タトゥーを含めた顔またはボディーペインティングに使用することができる。特定の実施形態では、ペンキまたはインクは反射性絹粒子を含むことができる。理論に束縛されることを望まずに、反射性絹粒子は、特定の光波長、たとえば赤外線またはUVを反射するように設計することができる。したがって、一部の実施形態では、反射性絹粒子を含むペンキまたはインクは、熱反射性ペンキとして、たとえば屋根またはガラス窓の表面上に使用することができる。
一部の実施形態では、絹光学粒子を任意の種類の織物に加えることができる。たとえば、絹光学粒子は、織物または服飾品の表面に、静電気などによって加えることができる。あるいは、絹光学粒子は、製造中に織物または服飾品内に加工することができる。
一部の実施形態では、絹光学粒子は、ヘアカラー剤、ヘアグロス、ヘアグレーズ、およびシャンプー、コンディショナーなどのヘアケア製品に加えることができる。その生体適合性の性質が原因で、一部の実施形態では、絹光学粒子はレンズ、たとえばコンタクトレンズに加えることができる。
一部の実施形態では、絹光学粒子は、玩具、たとえば子供によって手工芸プロジェクト用の模型製作コンパウンドとして使用されるPLAY−DOH(登録商標)に加えることができる。
本明細書中に言及したように、絹光学粒子は食用であることができ、風味付けをしてもよい。一部の実施形態では、絹光学粒子を食用製品中に分散させることができる。一実施形態では、絹光学粒子は、ビタミン、栄養補助食品、またはたとえば小児使用のために生成された他の医薬品内に加えることができる。他の実施形態では、絹光学粒子は、キャンディーまたはチューイングガムに、たとえばその魅力を高めるために加えることができる。したがって、本明細書中に開示する少なくとも1つの組成物を含む食品添加剤も、本発明の範囲内にある。
光学的コーティングおよびその使用
絹光学粒子、たとえば粉体を用いて、物体上に光学的コーティングを形成することができる。したがって、本発明の一態様は、本明細書中に記載の少なくとも1つの組成物を含む光学的コーティングに関する。たとえば当技術分野で知られている任意のコーティング方法を使用して、光学的コーティングを物体の表面上に塗布することができる。例示的なコーティング方法は、薄膜コーティング、ウェットコーティング(たとえば浸漬コーティング)、または粉体コーティングであることができる。一部の実施形態では、絹粒子組成物をエアロゾルとして提供し、所望の表面上にスプレーまたは噴霧してもよい。
一部の実施形態では、光学的コーティングを食品農産物上に塗布することができる。一部の実施形態では、光学的コーティングを食品農産物、たとえば果物および野菜などの農産物の表皮上に塗布することができる。光学的コーティングの様々な実施形態を様々な目的に使用することができる。一実施形態では、集光器として作用する絹光学粒子を使用して、太陽光を食品農産物、たとえば果物の表皮上に集束させて成熟速度を速めることができる。一実施形態では、光反射体として作用する絹光学粒子は、たとえばUV線を反射することによって食品農産物に対する熱ストレスを低下させるために使用することができる。一実施形態では、光反射体として作用する絹光学粒子は、食品の表皮の色をより良く見せるために使用することができる。したがって、絹粒子組成物は、慣用の食品ワックスの代わりに、様々な食品をコーティングするために使用し得る。あるいは、絹粒子組成物は、外見を改善させるためにワックス組成物内に加え得る。それに代わってまたは加えて、絹粒子組成物は、1つまたは複数の香味剤、エキスまたは香水などの香料剤と併せて使用し得る。
一部の実施形態では、光学的コーティングをエネルギー採取装置、たとえば太陽電池上に塗布することができる。そのような実施形態では、太陽光を太陽電池へと集束させるために、集光器として作用する光学的絹粉体を太陽電池上にスプレーまたは塗ることができる。他の実施形態では、太陽光を吸収してエネルギーを貯蔵するために、光吸収体として作用する光学的絹粉体をエネルギー貯蔵装置上にスプレーまたは塗ることができる。
一部の実施形態では、光学的コーティングを、感光性物体、たとえば、化学物質、骨董品、美術品、工芸品、梱包材または食用製品上に塗布することができる。そのような実施形態では、光学的絹粉体は、特定の光波長に対する保護を提供するように設計することができる。たとえば、光学的コーティングは、感光性の薬物上に、それを光分解、たとえばUV分解から保護するために塗布することができる。
化粧品組成物、日焼け止め組成物、およびその使用
本明細書中に記載のように、光学的絹粒子は、適切なマスターパターンの選択に基づいてグリッター効果または特定の色を提供することができる。たとえば、回析構造をマスターパターンとして使用して、グリッターまたはイリデッセント効果のために回析絹粒子を作製することができる。一部の実施形態では、回析構造は、フォトニック絹結晶粒子、たとえば1つの特定の色のものを作製するためのマスターパターンとして使用することもできる。本発明によれば、別の態様は、ヒトの皮膚コンプレクションの外見を改善するための化粧品組成物および方法に関する。
化粧品組成物の実施形態は、本明細書中に記載の少なくとも1つの組成物を含む。一部の実施形態では、光学的絹粒子は、皮膚コンプレクションの反射波長に匹敵する範囲内の反射波長を有することができ、それによって所望の皮膚コンプレクションの外見を高める。一部の実施形態では、光学的絹粒子は、複数の光波長を反射することができ、したがって複数の反射波長を有する。様々な実施形態では、反射波長は、可視光の波長の範囲である約400nm〜約700nmの範囲内にあることができる。
一部の実施形態では、光学的絹粒子は、1つまたは複数の所望の色の波長に匹敵する範囲内の反射波長、たとえば色パレット中の任意の色を有することができる。異なる反射波長を有する光学的絹粒子を、たとえば回析構造の様々な立体配置を使用して、口紅、ファンデーション、アイライナー、頬紅、ブロンザー、アイシャドウ、およびマスカラなどの様々な種類の化粧品のために作製することができる。
一部の実施形態では、絹粒子はイリデッセンス効果を与えることができる。イリデッセンスは、見る角度または照明角度が変化するにつれて変色するように見える、特定の表面の特性として一般に知られており、複数の反射によって引き起こされる場合がある。
一部の実施形態では、化粧品組成物には、この種類の組成物内に一般に取り込まれている任意の成分が含まれることができる。そのような成分の非限定的な例には、水、加湿構成要素、乳濁液用の増粘剤および安定化剤、保存料、鉱物油、揮発性構成要素、香料または炭化水素系の化合物が含まれる。本発明の化粧品組成物は、粉体、固形粉体、液体、乳濁液、クリーム、ローション、ゲル、エアロゾル、軟膏または固形スティックの形態であることができる。当業者は化粧品組成物の様々な形態に適した成分を決定することができる。
本明細書中に記載の化粧品組成物の任意の実施形態を、ヒトの皮膚コンプレクションの外見を改善させるために使用することができる。この方法には、(a)本発明の化粧品組成物を提供することと、(b)ヒトの皮膚コンプレクションの外見を改善させるために化粧品組成物をヒトの皮膚上に塗布すること、とが含まれる。本明細書中で使用する用語「コンプレクション」とは、皮膚、たとえば顔または身体の天然の色および/または質感をいう。一部の実施形態では、用語「コンプレクション」とは、欠点、たとえば年齢によるシミまたは皮膚変色の存在によって低下する場合がある、皮膚色の均等性をいう。皮膚色の均等性は、当技術分野で利用可能な方法を使用して、たとえば周囲の皮膚からの色のグラデーションを同定することによって、測定することができる。
それに代わってまたは加えて、絹粒子組成物は、1つまたは複数の顔料または着色剤と併せて使用し得る。一部の実施形態では、絹粒子組成物は、マニキュア液、ヘアスプレー、スキンシマーローションなどの製造に用いてもよく、これは追加の顔料もしくは着色剤、および/または香水などの追加の薬剤と併せて提供され得る。
本明細書中に言及したように、絹光学粒子は、特定の光波長、たとえばUV線を反射するように作製することができる。したがって、絹光学粒子は天然の日焼け止めとして使用することができる。したがって、表皮または毛髪をUV線に対して保護するための日焼け止め組成物および方法も、本明細書中で提供される。一態様では、日焼け止め組成物の実施形態は、(1)本明細書中に記載の少なくとも1つの組成物または少なくとも1つの化粧品組成物と、(2)少なくとも1つの美容上または薬学的に許容される担体とを含む。
本明細書中で使用する「美容上許容される」とは、皮膚および/または毛髪と接触した使用に適した材料(たとえば化合物または組成物)を意味する。本明細書中で使用する語句「美容上許容される担体」とは、本明細書中で上記定義した美容上許容されるものである、1つまたは複数の適合性のある固体または液体の充填剤、希釈剤、増量剤などを意味する。
一部の実施形態では、絹光学粒子は、UV線、たとえば約10nm〜約400nmの波長を有するものを吸収する少なくとも1種類のアミノ酸を多く含むアミノ酸配列を有するように修飾することができる。一部の実施形態では、絹光学粒子は、UV線を反射する少なくとも1種類のアミノ酸を多く含むアミノ酸配列を有するように修飾することができる。たとえば、チロシンはUV光を自然に吸収することができる。したがって、一部の実施形態では、絹光学粒子は、チロシン残基を多く含むアミノ酸配列を有するように修飾することができる。一部の実施形態では、本明細書中に記載の日焼け止め組成物は、非絹粒子、たとえば、無機分子などのUV線を吸収、反射または散乱する任意の非絹粒子をさらに含むことができる。UV線を吸収、反射または散乱する例示的な非絹粒子には、酸化亜鉛または酸化チタンが含まれることができる。また、日焼け止め中にしばしば見つかる他の活性成分、たとえば、オキシベンゾン、p−アミノ安息香酸、オクチルメトキシシンナメート、Mexoryl XL、Parsol SLX、およびアボベンゾンも、本明細書中に記載の日焼け止め組成物中に含めることができる。
別の態様では、表皮または毛髪をUV線に対して保護する方法は、(a)本明細書中に記載の化粧品組成物または日焼け止め組成物を提供するステップと、(b)ステップ(a)の組成物のうちの任意のものを表皮または毛髪に塗布して、表皮または毛髪をUV線に対して保護するステップとを含む。本明細書中で使用する用語「表皮」とは、皮膚の外層をいう。本明細書中で使用する用語「保護すること」とは、たとえば太陽光に曝された皮膚上のUV放射の一部を吸収または反射することによって、太陽光に曝された皮膚とUV線が接触および/または反応することを低下させ、したがって日光皮膚炎に対する保護をもたらすことをいう。一部の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、UV線が皮膚と接触および/または反応することを、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、もしくは少なくとも約99%または100%低下させることができる。
一部の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、たとえばスプレーまたは擦り込むことによって、表皮または毛髪上に塗布することができる。本発明の方法は、任意の対象、たとえば哺乳動物に適用することができる。本明細書中で使用する「対象」とは、ヒトまたは動物を意味することができる。対象の例には霊長類(たとえばヒトおよびサル)が含まれる。通常は、動物は霊長類、げっ歯類、家畜または狩猟動物などの脊椎動物である。一実施形態では、対象は哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであることができるが、これらの例に限定されない。さらに、本明細書中に記載の方法および組成物は、家畜および/またはペットにおいて用いることができる。
UV線に対する保護以外にも、物体または物質を事前に決定された光波長に対して保護する方法が本明細書中で提供される。この方法には、(a)本明細書中に記載の組成物を提供することと、(b)事前に決定された光波長に対する組成物を物体上に塗布すること、とが含まれる。物体の例には、それだけには限定されないが、表皮、毛髪、または化学物質、骨董品、美術品、工芸品、紙製品、服飾品、織物、梱包材および食用製品などの感光性物体が含まれることができる。一部の実施形態では、組成物を物体上にコーティングとして塗布することができる。
一部の実施形態では、事前に決定された光波長は、物体が感光性である任意の波長であることができる。一部の実施形態では、事前に決定された光波長はUV(たとえば約10nm〜約400nm)に対応することができる。一部の実施形態では、事前に決定された光波長は赤外線(たとえば0.7μm〜300μm)に対応することができる。
一部の選択された定義
別段に記述しない限り、または内容から暗黙でない限りは、以下の用語および語句には以下に提供する意味が含まれる。明白に別段と記述しない限り、または内容から明らかでない限りは、以下の用語および語句は、それが関連する技術分野においてその用語または語句が獲得した意味を排除しない。定義は、本明細書中に記載の態様の特定の実施形態の説明を補助するために提供され、また、本発明の範囲はパラグラフ(paragraph)によってのみ限定されるため、パラグラフ記載した(paragraphed)発明を限定することを意図しない。さらに、文脈によって別段に必要とされる場合以外、単数形の用語には複数形が含まれるものとし、複数形用語には単数形が含まれるものとする。
本明細書中で使用する用語「含んでいる(comprising)」または「含む(comprises)」とは、本発明に必須の組成物、方法、およびそのそれぞれの構成要素(複数可)に言及して使用されるが、必須であるかどうかにかかわらず指定していない要素の包含も受け入れる。
用語「からなる(consisting of)」とは、その実施形態の説明中に列挙されていないすべての要素を排除した、本明細書中に記載の組成物、方法、およびそのそれぞれの構成要素をいう。
稼動実施例中、または別段に示した箇所以外では、本明細書中で使用する成分の量または反応条件を表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。パーセンテージに関連して使用した場合、用語「約」は±1%を意味し得る。
文脈が明らかに他を示す場合以外は、単数形の用語「a」、「an」、および「the」には複数形の指示対象が含まれる。同様に、文脈が明らかに他を示す場合以外は、単語「または(or)」には「および(and)」が含まれることを意図する。したがって、たとえば、「前記方法(the method)」への言及には、本明細書中に記載の種類および/または本開示を読んだ際に当業者に明らかとなる種類などの、1つもしくは複数の方法および/またはステップが含まれることがある。
本明細書中に記載のものに類似または均等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料が以下に記載されている。用語「含む」とは、「含まれる」を意味する。略記「たとえば(e.g.)」はラテン語のexempli gratiaに由来し、本明細書中で非限定的な例を示すために使用する。したがって、略記「たとえば(e.g.)」は用語「たとえば(for example)」と同義である。
一観点では、本発明は、本発明に必須の本明細書中に記載した組成物、方法、およびそのそれぞれの構成要素(複数可)に関するが、必須であるかどうかにかかわらず、指定していない要素の包含も受け入れる(「含む」)。一部の実施形態では、組成物、方法またはそのそれぞれの構成要素の説明に含める他の要素は、本発明の基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響を与えないものに限られる(「本質的にからなる」)。これは、記載した方法内のステップならびに組成物およびそれ中の構成要素にも同様に適用される。他の実施形態では、本明細書中に記載の発明、組成物、方法、およびそのそれぞれの構成要素は、構成要素、組成物または方法に必須の要素であると見なされないすべての要素を排除することを意図する(「からなる」)。本発明は、本明細書中に記載の特定の方法、プロトコル、および試薬などに限定されず、したがって変動し得る。本明細書中で使用する用語は特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、特許請求の範囲のみによって定義される本発明の範囲を限定することを意図しない。
本発明は、以下の付番したパラグラフのうちの任意のものにおいて定義し得る。
少なくとも1つの光学特性を有する、操作された絹粒子を含む組成物。
少なくとも1つの光学特性を有する、操作された固体絹フィブロインを提供するステップと、
固体絹フィブロインを絹粒子へと縮小するステップと
を含む方法によって絹粒子を調製する、第1パラグラフの組成物。
固体絹フィブロインが少なくとも1つの光学構造を有するマスターパターンの複製物である、第1または2パラグラフの組成物。
方法が固体絹フィブロインのさらなる処理をさらに含む、第1〜3パラグラフのいずれかの組成物。
少なくとも1つの光学特性が、反射性、回折、屈折、吸収、光学利得、蛍光、および光散乱からなる群から選択される、第1〜4パラグラフのいずれかの組成物。
固体絹フィブロインが絹フィルムである、第1〜5パラグラフのいずれかの組成物。
絹粒子が絹フィブロインの少なくとも1つの層を含む、第1〜6パラグラフのいずれかの組成物。
絹粒子がポリマーをさらに含む、第1〜7パラグラフのいずれかの組成物。
ポリマーが生体適合性ポリマーである、第8パラグラフの組成物。
ポリマーが生分解性ポリマーである、第8または9パラグラフの組成物。
非絹粒子をさらに含む、第1〜10パラグラフのいずれかの組成物。
非絹粒子が、タンパク質粒子、無機粒子、およびポリマー粒子からなる群から選択される、第11パラグラフの組成物。
絹粒子が修飾されている、第1〜12パラグラフのいずれかの組成物。
第1〜13パラグラフのいずれかの組成物を含む医薬組成物。
第1〜13パラグラフのいずれかの組成物を含む光学造影剤。
第14パラグラフの医薬組成物または第13パラグラフの光学造影剤と、薬学的に許容される溶液とを含むキット。
少なくとも1つのシリンジをさらに含む、第16パラグラフのキット。
少なくとも1つのカテーテルをさらに含む、第16または17パラグラフのキット。
第1〜13パラグラフのいずれかの少なくとも1つの組成物を含む、1つまたは複数の光学的効果を保有する製品。
玩具、美術品、工芸品、装飾品、ペンキ、インク、服飾品、織物、ヘアケア製品、紙製品、食用製品、化粧品、レンズ、サイン、およびディスプレイからなる群から物品が選択される、第19パラグラフの製品。
第1〜13パラグラフのいずれかの少なくとも1つの組成物を含む光学的コーティング。
食品農産物に塗布する、第21パラグラフの光学的コーティング。
エネルギー採取装置に塗布する、第21または22パラグラフの光学的コーティング。
エネルギー採取装置が太陽電池である、第23パラグラフの光学的コーティング。
第1〜13パラグラフのいずれかの少なくとも1つの組成物を含む食品添加剤。
第1〜13パラグラフのいずれかの少なくとも1つの組成物を含む化粧品組成物。
絹粒子の反射波長が皮膚コンプレクションの反射波長に匹敵する範囲内にあり、それによって所望の皮膚コンプレクションの外見が高まる、第26パラグラフの化粧品組成物。
絹粒子の反射波長が1つまたは複数の所望の色の波長に匹敵する範囲内にある、第26または27パラグラフの化粧品組成物。
絹粒子がイリデッセンス効果を与える、第26〜28パラグラフのいずれかの化粧品組成物。
粉体、固形粉体、液体、乳濁液、クリーム、ローション、ゲル、エアロゾル、軟膏、または固形スティックの形態である、第26〜29パラグラフのいずれかの化粧品組成物。
第1〜13パラグラフのいずれかの少なくとも1つの組成物、または第26〜30パラグラフのいずれかの少なくとも1つの化粧品組成物と、少なくとも1つの美容上または薬学的に許容される担体とを含む、表皮または毛髪をUV線に対して保護するための日焼け止め組成物。
絹粒子が、UV線を吸収する少なくとも1種類のアミノ酸を多く含むアミノ酸配列を有するように修飾されている、第31パラグラフの日焼け止め組成物。
非絹粒子をさらに含む、第31または32パラグラフの日焼け止め組成物。
非絹粒子がUV線を吸収または反射する、第33パラグラフの日焼け止め組成物。
第1〜13パラグラフのいずれかの組成物を提供するステップと、
物体/物質を事前に決定された光波長に対して保護するために、組成物を物体/物質上に塗布するステップと
を含む、物体を事前に決定された光波長に対して保護する方法。
物体が表皮または毛髪である、第35パラグラフの方法。
物体が感光性である、第35または36パラグラフの方法。
感光性物体が、化学物質、骨董品、美術品、工芸品、紙製品、服飾品、織物、梱包材、および食用製品からなる群から選択される、第37パラグラフの方法。
事前に決定された光波長が紫外光に対応する、第35〜38パラグラフのいずれかの方法。
事前に決定された光波長が可視光に対応する、第35〜39パラグラフのいずれかの方法。
第26〜30パラグラフのいずれかの化粧品組成物を提供するステップと、
化粧品組成物をヒトの皮膚上に塗布して、ヒトの皮膚コンプレクションの外見を改善させるステップと
を含む、ヒトの皮膚コンプレクションの外見を改善させる方法。
第26〜30パラグラフのいずれかの化粧品組成物、または第31〜34パラグラフのいずれかの日焼け止め組成物を提供するステップと、
表皮または毛髪をUV線に対して保護するために、ステップ(a)の組成物のうちの任意のものを表皮または毛髪上に塗布するステップと
を含む、表皮または毛髪をUV線に対して保護する方法。
絹マトリックス内に光学的パターンを形成するステップと、
光学的パターン形成された絹マトリックスを絹光学粉体へと加工するステップと、
を含む、絹光学粉体を調製する方法。
(実施例1)
絹フィルムの調製
Bombyx moriの繭を可溶性絹フィブロイン溶液へと加工し、その後、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の押型上に投じた。
以前に記載のように絹フィブロイン溶液を得た。Perryら、Adv.Mater.、20:3070〜72(2008)、Sofiaら、J.Biomed.Mats.Res.、54:139(2001)を参照されたい。手短に述べると、Bombyx moriの繭を清浄にし、小片へと切断した。続く精錬過程では、Bombyx moriの繭を0.02MのNaCO3の水溶液中で60分間沸騰させることによって、生の絹フィブロインフィラメントと結合した水溶性糖タンパク質であるセリシンを絹の鎖から除去した。生じた絹フィブロインを乾燥させ、その後、9.3MのLiBrの水溶液中に60℃で4時間溶かした。数日間かけて、Slide−A−Lyzer(登録商標)3.5K MWCO透析カセット(Pierce、イリノイ州Rockford)を使用した水に基づく透析過程によって、LiBr塩を絹フィブロイン溶液から除去した。その後、生じた溶液を遠心分離し、シリンジに基づく微量濾過(5μm孔径、Millipore Inc.、マサチューセッツ州Bedford)を介して濾過して、残った粒子をすべて除去した。この過程では、最小限の汚染物質および光学的応用のために低下した散乱を有する、6%〜10%(w/v)の絹フィブロイン溶液を得ることができる。絹フィブロイン溶液をより低い濃度まで希釈してもよい。
また、絹フィブロイン溶液を、たとえば約30%(w/v)まで濃縮してもよい。たとえばWO2005/012606号を参照されたい。手短に述べると、より低い濃度を有する絹フィブロイン溶液を、PEG、アミロースまたはセリシンなどの吸湿ポリマーに対して、所望の濃度をもたらすために十分な時間の間透析し得る。
絹フィブロイン溶液を調製した後、15mLの溶液を平坦なPDMS押型(3インチ(7.6cm)×5インチ(12.7cm))上に投じ、空気中で終夜結晶化させた。生じたフィルムはPDMSから容易に取り外され、約80μmの厚さであった。Lawrenceら、Biomacromolecules、9:1214〜20(2008)を参照されたい。基材上に投じる絹フィブロイン溶液の濃度および/または体積ならびに硬化パラメータの調節により、2nm〜1mmの厚さの絹フィルムをもたらすことができる。あるいは、様々な濃度および紡績速度を使用して絹フィブロイン溶液を基材上に紡績コーティングして、2nm〜100μmのフィルムを生じることができる。生じた絹フィブロインフィルムは、優れた表面品質および光学的透明度を有することが観察された。
(実施例2)
絹フィブロインの化学修飾
一部の実施形態では、絹タンパク質の物理特性および機能性を変更するために、本発明に従って使用するための絹フィブロインを、たとえば1つまたは複数の活性薬剤を用いて、たとえば、ジアゾニウムもしくはカルボジイミドカップリング反応、アビジン−ビオチン(biodin)相互作用、または遺伝子修飾などによって化学修飾することができる。たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている、PCT/US09/64673号、米国出願第61/227,254号、第61/224,618号、第12/192,588号を参照されたい。
たとえば酵素重合によって追加の機能性を絹マトリックスに与え得る。絹フィルムとフィルムを支持する基材との間で伝導性ポリマーを作製して電気活性絹マトリックスを作り、電気光学装置の電位を提供することができる。たとえばその全体で本明細書中に参考として組み込まれているWO2008/140562号を参照されたい。
(実施例3)
電気ゲル化(「e−ゲル」)による絹フィルムの製作
絹フィルムを生成する現在の方法には鋳込および紡績コーティングが含まれる。本発明者らは、絹フィルムを製作するための新しい方法、すなわち電気ゲル化を導入する。閉ループ陽極を使用することによって、再生絹フィブロイン(RSF)溶液に電流を制御された状態でかけることで絹ゲルが得られ、これは、乾燥後に光学に透明なフィルムを形成する。この技法は、例外的に低い表面粗さ、曲面幾何学、およびナノスケールの厚さを含む、望ましい特徴を有する、独立型(freestanding)の機械的に頑強な薄膜の迅速な生成を可能にする。
Bombyx moriの蚕に由来するRSF溶液は、陽極の周りで凝集してゲルを形成することによって直流(DC)の電気刺激に応答することが最近確立され、その形成方法を明示するためにe−ゲルと呼ばれている。[1〜3]先行研究の共通の要素は、その幾何学が竿様である単純な電極の使用である。本出願では、閉ループとなる陽性電極の立体配置がループ自体によって取り囲まれる絹フィルムの形成をもたらすことを示すために、本発明者らはこの1D手法について詳しく調べた。さらに、他の電着研究とは対照的に、絹および他のバイオポリマーのどちらにおいても、生じたe−ゲルフィルムは根底の表面を保有しておらず、フィルムの縁でのみ支持されていた。[1〜10]最も単純な事例では、ループは2D平面内にあり、平坦な円状フィルムが生成される。さらに、ループの操作によっていくつかの3Dトポロジーを実現することができる。
e−ゲルアセンブリの機構は、水の電気分解の副作用である、溶液のpHの局所的な減少によって主に駆動される。[2,3]必要な電流は小さく、1mA未満である。電流をかけている間、以下の反応によって陽極の近位の局所的pHが減少し、酸素ガスが放出される。
H2O→1/2O2+2H++2e−(1)
逆に、陰極の近位の流体は、以下のようにpHの増加を経験し、水素の気泡が放出される。
1. 2H2O+2e−→2OH−+H(2)
pH4.4よりも酸性の溶液は赤く見え、一方でpH6.2よりも塩基性の溶液は黄色に見える。短い範囲のpH紙を使用して、絹溶液の初期pHは6.5として測定された。時間の増加と共に、陽極の周りの局所的環境の酸性化は明白であり拡大する。
pHの局所的変化は絹分子内のコンフォメーションの変化を誘導する。絹溶液のゲル化を調査するいくつかの論文により、約5のpHが重大な閾値として役割を果たすことが示されており、これ未満で絹溶液が迅速にゲル化することができる。[2,14,15]また、これは、腺中の蚕絹溶液ドーピングの紡績可能なゲルへの移行がpH4.8で起こると見出した、蚕の生理学の研究とも一貫している。[16,17]
当該方法中での荷電の役割も顕著である。絹分子は負荷電であり、文献全体にわたって絹フィブロインの等電点(pi)の実験的測定値は3.6〜4.2の間であり、これはRSF溶液の初期pHを十分に下回る。[18〜21]したがって、電気刺激は陽性電極に向けて絹分子の遊走を促進し、これは、周囲の溶液と比較してe−ゲル塊内における、測定される絹濃度の増加によって妥当性が確認される挙動である。陽極環境が絹ゲル形成の閾値に徐々に近づくため、独立に進化したpH勾配はこの挙動と一致する。
環状陽極の使用は、初期ゲル成長が、電極の平面に限局されて環自体に取り囲まれている(circumscribed)シートとして形成されるように強いる。その空間が占有された後にのみ、絹ゲルが初期平面の上および下ならびにワイヤーの周りに発達する。この結果は、切断によって中断されたものなどの不完全なループで観察されるものとは完全に異なり、その場合はゲル形成がループの内側および外側の両方に均等にワイヤーを包囲し、フィルムが生成されない。これらの2つの事象間の相違は閉ループの結果の独特性を反映しており、また、環の平面内における絹塊のほぼ排他的な凝集を促進する、電界分布がe−ゲルフィルム方法において果たし得る役割を示唆している。
環を折り畳むことで、独特な幾何学を有するe−ゲルフィルムが可能となり、そうでなければ既存の絹フィルム製作方法によっては実現することができないトポロジーを有する絹フィルムが可能となる。この手法の応用には、標的器官上に共形的に当てはまるように押型することができる、異例の幾何学を有するバイオセンサーおよび薬物送達装置、ならびに曲面であるが重層の組織構造のための、カスタマイズされた患者特異的な組織工学操作した足場が含まれる。これらのアイデアは、濡らすことによって脳に共形させた最初は平坦な絹フィルムを導入した、最近の論文を補完する役割を果たす。しかし、根底の組織幾何学に対する許容される共形は、7ミクロン未満の厚さのフィルムでしか見られなかった。[22]
e−ゲルフィルムは様々な厚さにわたる曲面フィルムの生成を可能にする。フィルムは、数十ミクロンの厚さのものから、ミクロン未満の厚さの薄膜の範囲であることができる。フィルムの厚さは、ワイヤーゲージ、電位、絹濃度および曝露時間を含めた数々の要因によって制御することができる。薄膜は、フォトニックスおよび光電子学における応用に手を貸すため特に興味深い。さらに、他の絹フィルム製作方法と比較することによって、電子ゲル化工程はより手軽な製作を可能にし、操作がより容易な薄膜をもたらす。
e−ゲルフィルムの表面は非常に滑らかである。原子間力顕微鏡(AFM)を用いて10μm×10μmのフィルム切片を横切ってとった複数の直線トポグラフィー測定は、4〜6Åの二乗平均平方根(RMS)値を与えた。より大きなスケールでは、ミリメートルの次数の寸法を有するフィルム切片のSEM画像は、検出可能な表面の欠陥を示さなかった。これらの結果は、平均粗さが2桁高い交流(AC)実験からの結果とは対照的であり、絹分子がDC場に応答して自身を整列し得ることが示された。
電気ゲル化によって生成された絹フィルムは光学的に透明であり、他の方法によって作製された絹フィルムにおいて観察されたものに類似の特徴を有する。光透過の分光測定は、20〜30μmの厚さのフィルムで可視スペクトルにわたって90%を超え、これは鋳込絹フィルムで以前に報告された結果と好都合に匹敵する。さらに、市販の屈折計を使用した屈折率の測定値n=1.54は、他の絹フィルム製作技法を用いた以前に公開された結果とはわずかな差異しか示さなかった。
以前の論文は、発達中のe−ゲル内で、水電解(electroylsis)のガス産物としての気泡形成が果たす問題のある役割を強調している。電極の幾何学は重要である。竿状の陽極では、酸素気泡は電極の表面上で核形成して拡大するゲル内に蓄積され、これは機械的剛性を損なわせ、連続的なゲル形成を遅延させる電気絶縁体として役割を果たす。陰極では、以下の全体的な電気分解反応に従って、水素気泡の核形成は陽極の酸素の2倍の速度で起こる。
a. 2H2O(液)→2H2(気)+2O2(気)(3)
平坦な環状陽極はフィルム形成中の顕著な気泡干渉を回避し、これは幾何学によって説明することができる効果である。フィルムは環内で発達する一方で、環の外側の絹−金属の界面は顕著なe−ゲル塊の蓄積をまったく経験せず、気泡が形成中のゲル内に包括されずに逃れることを可能にする。さらに、気泡形成の速度は、溶液内の電流を調節することによって最小限にすることができる。しかし、一部の三次元立体配置が気泡の包括をもたらすことは注目すべきであるが、ただしこの効果は気泡を補足するまたは発達中のe−ゲルフィルムから離れて方向を変えるフィルターを使用することによって、最小限にすることができる。
以前は、電気ゲル化は、生体適合性の接着性絹を作製するその潜在性ならびに超音波処理によって形成されたヒドロゲルおよびゲルの相補的工程として役割を果たすその能力が注目されていた。ここでは、閉ループ陽極を用いた電気ゲル化は、例外的に滑らかな絹フィルムを作製する迅速な新規手法であることが示されている。さらに、電極の操作は生じたフィルムに曲面性を与えることができ、これは代替方法では達成することができない。製作方法の細密な制御は、数十ミクロンから数百ナノメートルの様々なフィルムの厚さを作製する能力を示し、フォトニックスおよび光電子学からバイオセンシング、薬物送達および組織工学にわたるいくつかの分野における、興味深い機会を作っている。
標準方法への軽微な改変によって再生絹フィブロイン(RSF)溶液を生成した[1、15、32]。フィブロインタンパク質の分解を最小限にするために、0.02Mの炭酸ナトリウム溶液内での精錬時間はe−ゲル工程を記述している先行論文よりも短い10分間の沸騰に制限した[1、2]。それに対応して、比較的より長いフィブロイン鎖のより完全な展開を可能にするために、フィブロインを9.3Mの臭化リチウム中で16時間、60℃のオーブン内で溶かした。続いて、合計72時間のMilli−Q水に対する透析(3.5kDa MWCO)によってカオトロピック塩を除去し、8%(w/v)の絹溶液が得られた。その後、生じた液体を、8,800rpmの遠心分離によって、2回の25分間の期間をかけて、温度を4℃に一定に保って精製した。
DC電流に曝された絹溶液内のpH勾配の時間空間的な進化を調査するために、5μLのメチルレッド指示色素(Riedel−de−Haen)を2mLの絹溶液に加えた。メチルレッドとは、pH4.4未満では赤色、pH6.2より上では黄色に見えるアゾ色素である。短い範囲のpH紙(Micro Essential Lab、Hydrion)によって測定した初期RSFのpHは6.5であった。直径の0.6mm金めっき竿を5mmの分離距離で電極として使用した。10分間、10V、定電圧で映像を記録した(Mastech、HY3005D−3 DC)。
環状電極は、金(直径0.2mm)ならびに金めっき(直径0.6、0.8および1.0mm)のワイヤー(Alfa AesarおよびParamount Wire Company)の選択肢から生成した。再現性を確実にするために、それぞれの陽極は、ワイヤーを7〜20mmの範囲の既知の直径の強固なプラスチック円柱に巻きつけることによって、手動で作製した。一方で、陰極は金ワイヤーの直線的なセグメントのままとした。フィルム製作には、環状陽極および直線陰極の導入に先立って、2mLの絹溶液をポリスチレン管内に堆積させた。5、10または25V、定電圧の電源によって0.5〜10分間の間、電流を溶液に送達した。続いて、絹フィルムを取り囲む陽性電極を取り外し、空気乾燥させた。e−ゲルフィルムと周囲の溶液との間の絹濃度の変化は、電気刺激後に回収された試料の湿質量および乾質量を比較することによって測定した。
多数の分析ツールを使用してフィルムを研究した。InLensおよび二次後方散乱検出器をどちらも使用して、Pt/Pd標的を用いてスパッタコーティングした後(Cressington、208HR)、SEM(Carl Zeiss、Ultra55)画像を収集した。Research Nanoscopeソフトウェアバージョン7.30(Veeco)を使用して、AFM(Veeco、Nanoscope III)画像を空気中で記録した。3N/mのばね定数を有する225mmの長さのケイ素カンチレバーをタップモードで使用した。ATRプローブを使用してFTIRスペクトルをとり、続いてバックグラウンドを減算した。
タングステン−ハロゲン光源(Ocean Optics、LS1)を使用して光透過をソフトウェア(Ocean Optics、SpectraSuite)において測定し、市販の屈折計(Metricon、2010 Mプリズムカプラー)を使用して可視範囲の分光計(Ocean Optics、USB2000)の屈折率を決定した。
(実施例4)
例示的な絹フィルム
一部の実施形態では、厚さおよび他の構成要素の含有率、ならびに光学的特長などの絹フィブロインフィルムの特性は、基材に塗布する絹フィブロイン溶液の濃度および/または体積に基づいて変更し得る。たとえば、絹フィルムの厚さは、溶液中の絹フィブロインの濃度を変化させることによって、または所望の体積の絹フィブロイン溶液を使用することによって制御してよく、その結果、約2nm〜1mmの範囲の厚さを有する絹フィブロインフィルムがもたらされる。一実施形態では、様々な濃度の絹フィブロインおよび紡績速度を使用して、絹フィブロインを基材上に紡績コーティングして、約2nm〜約100μmの厚さを有するフィルムを作製することができる。それから形成された絹フィブロインフィルムは優れた表面品質および光学的透明度を有する。
一部の実施形態では、本明細書中で使用する絹フィルムは自立型絹フィルムである。絹フィルムは超薄、たとえば、100μmまで、75μmまで、25μmまで、7μmまで、2.5μmまで、または1μmまでであり得る。そのような超薄絹フィルムは、絹フィルムの鋳込技法および硬化パラメータに応じて、非平面構造を有する絹メタ材料複合体を製作するための柔らかく柔軟なフィルムを提供し得る。
より延性および柔軟な絹フィブロインフィルムを提供するために、絹フィルムの機械的特性をグリセロールなどの添加剤によって改変することができる。たとえばその全体で本明細書中に参考として組み込まれているPCT/US09/060135号を参照されたい。そのような絹フィルムの修飾は、組織工学、医学的装置または移植片、薬物送達、および食用医薬品または食品ラベルなどの多くの生物医学的な応用において使用することができる。
(実施例5)
絹の抽出および精製
絹フィブロイン水溶液をB.moriの繭から得る方法は既に記載された。手短に述べると、繭を炭酸ナトリウム水溶液中で30分間沸騰させることによってセリシンを除去した。乾燥後、フィブロイン繊維を臭化リチウム溶液に溶かし、続いて、溶液が約8〜10%wt/vの濃度に達成するまで、脱イオン水(DI)に対して透析することによって塩を除去した。絹の純度を高めるために、2回目の遠心分離を行い、溶液を5μmのシリンジフィルター(5μm孔径、Millipore Inc、マサチューセッツ州Bedford)を通して濾過した。
(実施例6)
反射性および/またはイリデッセント粒子ならびに生成物内への取り込み
回析格子を有する絹フィルムを使用して、反射性および/またはイリデッセント粒子を作製することができる。一部の実施形態では、回析格子は1Dまたは2D格子であることができる。回析格子は、回折の高い可視性をもたらす線ピッチを有することができる。一部の実施形態では、回析格子の線ピッチは約50本の線/mm〜約1000本の線/mmであることができる。一部の実施形態では、回析格子の線ピッチは300本の線/mmであることができる。一部の実施形態では、回析格子の線ピッチは1000本の線/mmであることができる。
一部の実施形態では、基材は1Dまたは2D回析格子に対応する1つまたは複数のパターンを有することができる。例示的なパターンにはホログラフィック回析格子またはブレーズド回析格子が含まれる。一部の実施形態では、本明細書中に記載の任意の絹フィブロイン水溶液を、基材のパターン形成された表面上に注ぐ、投じる、または紡績コーティングすることができる。絹フィブロイン溶液は、例として室温で放置して乾燥させることができる。溶液が乾燥するにつれて、生じた絹フィルムの表面が基材のパターンに一致するように、絹タンパク質がパターンの周りに自己アセンブルする。絹フィルムは基材から剥がすことができる。
回析格子を有する絹フィルムを粉砕機に提示することができる。粉砕機の回転刃は、絹フィルムを粒子へと粉末化することができる。一部の実施形態では、回転刃は、絹フィルムを、回析格子の光学特性を保持する粒子へと粉末化することができる。たとえば、絹粒子は、それ上に回析格子がパターン形成された元の絹フィルムの反射性またはイリデッセンスを示し続けることができる。
絹粒子を任意の物質内に取り込ませて、イリデッセントまたは反射性の効果を加えることができる。たとえば、絹粒子は、粉体、固形粉体、液体、乳濁液、クリーム、ローション、ゲル、エアロゾル、軟膏、および/または固形スティックなどの化粧品内に取り込ませることができる。絹粒子は、輝く効果のために、看板に使用される工業用ペンキまたは子供が使用するための市販のペンキなどのペンキ内に取り込ませることができる。絹粒子は、例として衣料品にイリデッセント効果を加えるために、織物内に取り込ませることができる。
(実施例7)
有色粒子および生成物内への取り込み
穴および/または窪みの2Dアレイを有する絹フィルムを使用して、有色粒子を作製することができる。絹フィルムは、所望の光波長を透過および/または反射するフォトニック装置であることができる。一部の実施形態では、穴または窪みの直径は約150nm〜約300であることができる。一部の実施形態では、穴または窪みの深さは約30nmから数ミクロンの深さであることができる。穴または窪みは、たとえば、本明細書中に記載の任意の方法に従って、レーザーからのフェムト秒レーザーパルスを与えることによって、絹フィルムの表面内に機械加工することができる。
一部の実施形態では、絹フィルム上の穴または窪み間の距離(たとえば格子(lattic)定数)は、絹フィルムによって反射される光波長、したがって観察者に見える色に影響を与える場合がある。穴または窪み間の距離は、穴または窪みの中央間の距離として測定することができる。理論に束縛されることを望まずに、色は、構造の観察角度を考慮し、ブラッグ方程式を適用することによって決定することができる。
式中、Λは格子(回析格子)定数であり、λは入射光の波長であり、θincおよびθdifは、入射角および回析角であり(正常対回析格子表面に関して測定)、mは回折次数であり、n1およびn2は、それぞれ周囲の媒体および絹の屈折率である。
図20は、色を示す粒子を作製するために使用することができる例示的な絹フィルムを示す。図20のセクションAは、周期的なナノホールを有する絹フィルムを示す。ナノホールは、直径が200nmであり、深さが30nmであり、300nmによって分離されている。セクションBはセクションAの拡大画像を示す。セクションCは、セクションAのものなどの絹フィルムであるが異なる格子定数を有するものに光を当てることによって生じる光のパターンを示す。光を当てる絹フィルムの格子定数は、700、600、500、および400nmである。有色正方形の列間の距離は200μmである。
穴/窪みを介して構造的に明確な色を有する絹フィルムは、粒子へと粉砕し、他の物質内に取り込ませることができる。たとえば、絹粒子を、粉体、固形粉体、液体、乳濁液、クリーム、ローション、ゲル、エアロゾル、軟膏、および/または固形スティックなどの化粧品内に取り込ませることができる。一部の実施形態では、ヒトの皮膚の色合いに一致する色を示す絹粒子を、化粧用粉体内に取り込ませることができる。化粧用粉体の塗布は、ヒトのコンプレクションの外見を改善させることができる。一部の実施形態では、様々な化粧品(たとえば、ブロンザー、頬紅、リップスティック、アイシャドウ)に適した色を示す絹粒子を、そのような製品のための配合物内に取り込ませることができる。他の例では、絹粒子を、ペンキの色をもたらすために、看板に使用される工業用ペンキまたは子供が使用するための市販のペンキなどのペンキ内に取り込ませることができる。
(実施例8)
マイクロプリズムに基づく反射性粒子および生成物内への取り込み
プリズム(たとえばマイクロプリズム)を有する絹フィルムを使用して、反射性粒子を作製することができる。反射体または逆反射体(retroflectors)として使用することができるマイクロプリズムは、約10μm〜約150μmの寸法を有することができる。寸法は1:1の縦横比を有することができる。マイクロプリズムは、任意の光波長を反射するように設計することができる。一部の実施形態では、マイクロプリズムは、可視光のすべての波長を反射することができる。一部の実施形態では、マイクロプリズムは紫外光を反射することができる。
一部の実施形態では、マイクロプリズムを有する絹フィルムは、絹フィブロイン水溶液を、マイクロプリズムに共形するパターンを有する基材上に注ぐ、鋳込む、または紡績コーティングし、溶液を絹フィルムへと乾燥させることによって作製することができる。細断機は、絹フィルムを、個々のまたはクラスタリングされたマイクロプリズムを有する粉体へと細断することができる。粉体は、他の物質内に取り込ませる、および光の反射が有利な場合がある表面に塗布することができる。
たとえば、紫外光を反射するようにあつらえた粒子をクリーム内に取り込ませて、日焼け止め組成物を作製することができる。同じ粒子をコーティング内に取り込ませて、農産物に塗布することができる。農産物からの紫外光の反射は、農産物の温度を緩和することができる。同じ粒子をシール材内に取り込ませて、建物の外面に塗布することができる。建物からの紫外光の反射は、太陽からのエネルギーの吸収を緩和させ、それによって建物を冷却するための光熱費を低下させることができる。一部の実施形態では、可視光の所望の波長を反射するようにあつらえた粒子は、本明細書中に記載のように任意の着色料用組成物内に取り込ませることができる。
(実施例9)
絹フィルムの束に基づくフィルター/反射性粒子および生成物内への取り込み
異なるドーピング剤および異なるドーピングレベルを有する絹フィルムの束を使用して、フィルターまたは反射性粒子を作製することができる。束中の隣接絹フィルムは十分な屈折率差(index contrast)(たとえば隣接絹フィルム間の屈折率の差異Δn)を示すことができる。これらの値は、フルオレセイン(fluorescin)またはメラニンなどの純粋に有機であるドーパントの例では、Δn=0.001から0.02まで変動することができる。一部の実施形態では、束中の絹フィルムの一部はドーピングされていない。一部の実施形態では、すべての絹フィルムがドーピングされている。一部の実施形態では、隣接絹フィルムは異なるドーピング剤および/または異なるドーピングレベルを有する。絹の層間の屈折率差をあつらえて、所望の波長をフィルタリングまたは反射する絹フィルムの束を作製することができる。一部の実施形態では、絹フィルムは、たとえば本明細書中に記載の任意の化学的接着剤を用いて、一緒に結合させることができる。一部の実施形態では、絹フィルムは、フィルムが互いに接着するように絹フィルムを部分的に溶解するために水を塗布することによって、一緒に結合させることができる。
絹フィルムの束は、本明細書中に記載のように、粒子へと粉砕する、他の物質内に取り込ませる、および光の反射が有利な場合がある表面に塗布することができる。
(実施例10)
太陽集光器
レンズを有する絹フィルムを使用して、太陽集光器を作製することができる。一部の実施形態では、レンズは入射光を表面上に集束することができる。レンズのアレイを有する絹フィルムは、本明細書中に記載の技法のうちの任意のものに従って形成することができる。一部の実施形態では、アレイ中のそれぞれのレンズは、約50×50μm〜約2×2mmの寸法を有することができる。一部の実施形態では、それぞれのレンズは約1mm〜約20cmの焦点距離を有することができる。一部の実施形態では、レンズは、約100×100μm〜約90×90mmの寸法を有する絹フィルム上に形成することができる。本明細書中に記載のレンズおよび絹フィルムの寸法は単に例示的であり、他の寸法を使用することができる。
絹フィルムは、インデックス切断(indexed cleaved)することができる。細断機の刃を絹フィルム上のレンズの間に位置あわせすることができる。したがって、細断機はレンズを有する絹フィルムを絹粒子へと変換することができ、それぞれの粒子は、それ上に少なくとも1つのレンズがパターン形成されている。粒子をコーティング中に分散させることができる。コーティングは、エネルギーをそれ上に集束させるべき任意の物体の表面に塗布することができる。たとえば、コーティングを太陽電池に塗布することができる。レンズは、太陽からの入射光を、光からエネルギーを発生することができる光電池の表面上に集束させる。
(実施例11)
太陽集光器
レンズを有する絹フィルムを使用して、太陽集光器を作製することができる。一部の実施形態では、レンズは入射光を表面上に集束することができる。レンズのアレイを有する絹フィルムは、本明細書中に記載の技法のうちの任意のものに従って形成することができる。一部の実施形態では、アレイ中のそれぞれのレンズは、約50×50μm〜約2×2mmの寸法を有することができる。一部の実施形態では、それぞれのレンズは約1mm〜約20cmの焦点距離を有することができる。一部の実施形態では、レンズは、約100×100μm〜約90×90mmの寸法を有する絹フィルム上に形成することができる。本明細書中に記載のレンズおよび絹フィルムの寸法は単に例示的であり、他の寸法を使用することができる。
本明細書中に提示する実施例は、少なくとも1つの光学特性を有する絹粒子の製作および使用に関する。たとえば、絹粒子は回析特性を有するように設計され、イリデッセントとなる。そのような回析絹粉体の応用には、それだけには限定されないが、化粧品、ノベルティ、医薬品、衣類および織物、ならびにサインおよびディスプレイが含まれる。本出願の全体にわたって、様々な出版物が引用されている。すべての出版物およびこれらの出版物内で引用される参考文献の開示は、本発明が関連する最新技術をより完全に説明するために、その全体で本出願中に参考として組み込まれている。以下の実施例は、本発明のパラグラフの範囲を限定することを意図せず、むしろ特定の実施形態の例示であることを意図する。当業者が気づく例示した方法の任意の変形が、本発明の範囲内にあることを意図する。
(実施例12)
絹光学粉体の応用
絹は全水加工されているため、その主要な特質は、安全かつ生体適合性であり、制御された分解性を有する天然の純粋なタンパク質である。理論に束縛されることを望まずに、絹の生体適合性および埋め込み可能な性質と、フィルムをマイクロおよびナノのスケールで光学的構成要素へと再形成する能力とがあいまって、光学粉体が、外部環境中に分散されている間に光を操作することが可能となる。本明細書中に記載の絹光学粉体は、化粧品、ノベルティ品目および医学産業においていくつかの製品を与えることができる。これらの製品は、(a)光を改変するための様々な表面パターンを有する光学的品質の絹、(b)絹の生体適合性、(c)この材料の全分解性の性質が原因で、環境損害のまったくない、環境中での分散性、および(d)体内での酵素消化を一緒にすることに基づく。これらの製品は、いくつかの方法で、たとえば実施例1に記載のように後に粉体へと機械加工もしくは加工されるフィルムから、後に細断もしくは断片化されるパターン形成された繊維から、または関連する手法から開発することができる。