JP2017524053A - エチルセルロース分散体及び粉末 - Google Patents

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ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
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Abstract

8以上のpHを有する水性組成物であって、(i)エチルセルロースポリマーを含む分散粒子を含む固相と、(ii)25モル%〜100モル%がイオン形態である脂肪酸と、(iii)該エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜0.1重量%のコロイド安定化剤と、(iv)該エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜7重量%の可塑剤と、(v)アルカリ金属またはアルカリ土類の1つ以上の陽イオンと、を含み、該陽イオン対該脂肪酸の当量比が0.1:1〜2:1である、水性組成物が提供される。水性組成物を噴霧乾燥させる方法ならびに粉末組成物もまた提供される。【選択図】なし

Description

エチルセルロースポリマーを含有する膜を作製することがしばしば望ましい。かかる膜は、例えば、他の膜またはビーズに塗布されるコーティングとして有用である。いくつかの場合では、ビーズの集合体が薬物を含有し、次いで、それらのビーズの各々がエチルセルロースポリマーを含有する膜でコーティングされる。エチルセルロースポリマーを含有する膜は、ビーズが、人体内で見られ得るもの等の水性環境中に配置されると、薬物の制御放出を提供することができる。膜が、高引張強度、高引張伸度、及び表面平滑性等の、良好な機械的特性を有するのもまた望ましい。以前は、かかる膜を作製する一般的な方法は、ビーズを、エチルセルロースポリマーを有機溶媒中に溶解させた溶液と、接触させることであった。有機溶媒は、環境及び健康影響のために、望ましくない。エチルセルロースポリマーを含有し、高品質の膜を生成することが可能な、水性コーティング組成物を提供することが望ましい。かかる水性コーティング組成物のある望ましい形態は、水性エチルセルロースポリマー分散体であり、エチルセルロースポリマーの粒子が、連続水性媒体中に分散する形態である。
重要な課題は、エチルセルロースポリマーの保管と運搬である。例えば、水性分散体がある場所で作製され、保管され、新しい場所に運搬され、新しい場所で再度保管された場合、保管及び運搬方法は、相対的に大量の水ならびにエチルセルロースポリマーに適応することが必要とされ得る。エチルセルロースポリマーを含有する粉末であり、水と接触させると水性エチルセルロースポリマー分散体を形成する、水分散性粉末を提供することが望ましい。そうすると、水を保管及び運搬する必要性なく、保管及び運搬作業を粉末に対して実行することができる。米国特許第6,169,130号は、再分散性粉末を説明する。
例えば噴霧乾燥によって、乾燥させることができ、水分散性粉末を形成する、水性組成物を提供することがさらに望ましい。再分散性粉末が、少量のコロイド安定化剤及び/または可塑剤を有するのが望ましい。
以下は、本発明の陳述である。
本発明の第1の態様は、水性組成物であって、8以上のpHを有し、かつ
(i)ある量のエチルセルロースポリマーを含む分散粒子を含む固相と、
(ii)該固相の総乾燥重量に基づいて、0.5重量%〜7重量%の脂肪酸であって、該脂肪酸の25モル%〜100モル%がイオン形態である、該脂肪酸と、
(iii)該エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜0.1重量%のコロイド安定化剤と、
(iv)該エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜7重量%の可塑剤と、
(v)アルカリ金属またはアルカリ土類の1つ以上の陽イオンと、を含み、該陽イオン対該脂肪酸の当量比が、0.1:1〜2:1である、水性組成物である。
本発明の第2の態様は、第1の態様の水性組成物を噴霧乾燥させることを含む、粉末を作製する方法である。
本発明の第3の態様は、粉末組成物であって、
(a)該粉末組成物の重量に基づいて、0重量%〜2重量%の水と、
(b)粒子であって、
(I)ある量のエチルセルロースポリマーと、
(II)該粉末組成物の重量に基づいて、0.5重量%〜7重量%の脂肪酸であって、該脂肪酸の25モル%〜100モル%が、アルカリ金属またはアルカリ土類塩の形態である、該脂肪酸と、
(III)該エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜0.1重量%のコロイド安定化剤と、
(IV)該エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜7重量%の可塑剤と、を含む、粒子と、を含む粉末組成物である。
以下は、本発明の詳細な説明である。
本明細書で使用される場合、以下の用語は、文脈が明らかに別途示さない限り、指定された定義を有する。
本明細書で使用される場合、水性組成物は、組成物の重量に基づいて、30重量%以上の水を有する。本明細書で使用される場合、分散体は、25℃で液体である連続媒体を含有し、連続液体媒体にわたって分布される物質の、離散粒子(本明細書では「分散粒子」と呼ぶ)を含有する、組成物である。本明細書で使用される場合、水性分散体は、連続液体媒体が、連続液体媒体の重量に基づいて、50重量%以上の水を含有する、分散体である、水性組成物である。連続液体媒体中に溶解する物質は、本明細書では、連続液体媒体の一部であると考えられる。全分散粒子の集合体は、本明細書では、分散体の「固相」として認知される。本明細書で使用される場合、「分散体」及び「乳剤」という用語は、同義である。
本明細書で使用される場合、分散剤は、分散体中の分散粒子が、分散する(つまり、連続液体媒体にわたって分布する)、及び/または、25℃での保管への露呈、25℃よりも高い温度への露呈、せん断への露呈、もしくはそれらの組み合わせの際に、分散したままである能力を改良する組成物である。
本明細書で使用される場合、水性組成物の「固形分」は、水及び150℃以下の沸点を有する化合物が除去されたときに残存する、水性組成物の総重量に基づく材料の量である。
本明細書で使用される場合、高内相乳剤という用語は、乳剤の総重量に基づいて、74重量%以上の分散相を有する乳剤を指す。
エチルセルロースポリマーは、本明細書で使用される場合、反復グルコース単位上のヒドロキシ基のうちのいくつかが、エチルエーテル基に変換される、セルロースの誘導体を意味する。エチルエーテル基の数は変化し得る。エチルエーテル含有量についてのUSPモノグラフ要件は、44〜51%である。
本明細書で使用される場合、エチルセルロースポリマーの粘度は、溶液の重量に基づいて、溶媒中のエチルセルロースポリマーの5重量%溶液の粘度である。溶媒は、溶媒の重量に基づいて、80重量%のトルエンと、20重量%のエタノールとの混合物である。溶液の粘度は、25℃で、ウベローデ粘度計において測定する。
本明細書で使用される場合、脂肪酸は、カルボキシ基及び脂肪族を有する化合物である。脂肪族は、8個以上の炭素原子を含有する、各々に接続する炭素原子の直鎖または分枝鎖である。炭化水素脂肪族は、炭素及び水素原子のみを含有する。
本明細書で、組成物が「わずかまたは無」量のある成分を含有すると表現する場合、その成分の量が、0である、またはエチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0.1重量%以下であることを意味する。本明細書で、組成物が、「わずかまたは無」量の成分の列挙を含有すると表現する場合、それらの成分の量の合計が、0である、またはエチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0.1%以下であることを意味する。「わずかまたは無」のこれらの定義は、組成物が水性組成物であろうと、水性組成物でなかろうと、エチルセルロースポリマーを含有する任意の組成物に適用される。
本明細書で使用される場合、可塑剤は、脂肪酸ではなく、エチルセルロースポリマーと混和性であり、エチルセルロースポリマーと混合させると該エチルセルロースポリマーのガラス転移温度を低下させる、化合物である。
本明細書で使用される場合、コロイド安定化剤は、500以上の数平均分子量を有し、水溶性である、ポリマーである。ポリマーは、本明細書では、25℃の100グラムの水中で、ポリマーの2グラム以上が溶解する場合、水溶性であると考えられる。
本明細書で、比がX:1以上であると述べられる場合、比がY:1であることが意味され、YはX以上である。例えば、ある特定の比が0.2:1以上であると述べられる場合、該比は0.2:1または0.5:1または100:1であり得るが、0.1:1または0.02:1ではない。同様に、本明細書で、比がW:1以下であると述べられる場合、比がZ:1であることが意味され、ZはW以下である。例えば、ある特定の比が5:1以下であると述べられる場合、該比は5:1または4:1または0.1:1であり得るが、6:1または10:1ではない。
本明細書で使用される場合、一過性(fugitive)塩基は、塩基性化合物である。一過性塩基を含有する水性組成物を乾燥させると、残存する乾燥組成物が、乾燥組成物の重量に基づいて、5重量%以下の水を有する場合、乾燥水性組成物中に残存する一過性塩基の量は、乾燥過程の前に水性組成物中に存在する一過性塩基の重量に基づいて、5重量%以下である。非一過性塩基は、水性組成物が乾燥過程を受けるとき、水性組成物から離れない。つまり、非一過性塩基を含有する水性組成物を乾燥させると、残存する乾燥組成物が、乾燥組成物の重量に基づいて、5重量%以下の水を有する場合、乾燥水性組成物中に残存する非一過性塩基の量は、乾燥過程の前に水性組成物中に存在する非一過性塩基の重量に基づいて、80重量%以上である。
任意のエチルセルロースポリマーが本発明において使用され得る。エチルセルロースポリマーのエチルエーテル含有量は、44%以上、好ましくは47%以上、より好ましくは48%以上である。エチルセルロースポリマーのエチルエーテル含有量は、51%以下、好ましくは50%以下である。
エチルセルロースポリマーは、好ましくは、2mPa−s以上、より好ましくは5mPa−s以上、より好ましくは12mPa−s以上、より好ましくは16mPa−s以上の粘度を有する。エチルセルロースポリマーは、好ましくは、120mPa−s以下、より好ましくは100mPa−s以下、より好ましくは80mPa−s以下、より好ましくは60mPa−s以下、より好ましくは40mPa−s以下、より好ましくは30mPa−s以下の粘度を有する。
本発明において使用され得るエチルセルロースポリマーの市販形態には、例えば、The Dow Chemical CompanyからETHOCEL(商標)の名の下で入手可能なものが挙げられる。本発明の実施例において使用されるエチルセルロースポリマーは、48.0〜49.5%のエチルエーテル含有量を有する、ETHOCEL(商標)Standard 10、ETHOCEL(商標)Standard 20、またはETHOCEL(商標)Standard 100として、The Dow Chemical Companyから市販されている。本発明の実施形態において有用な、他の市販のエチルセルロースポリマーには、Ashland,Inc.から入手可能な、特定のグレードのAQUALON(商標)エチルセルロース、及びAsha Cellulose Pvt.Ltd.から入手可能な、特定のグレードのASHACEL(商標)エチルセルロースポリマーが挙げられる。
任意選択的に、エチルセルロースポリマーに加えて、任意の非水溶性セルロース誘導体ポリマーが使用されて良い。
本発明は、水性分散体を含む。好ましくは、連続液体媒体は、連続液体媒体の重量に基づいて、60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上の量の水を含有する。
好ましくは、水性分散体中の分散粒子は、固相の総乾燥重量に基づいて、60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上の量のエチルセルロースポリマーを含有する。好ましくは、水性分散体中の分散粒子は、固相の総乾燥重量に基づいて、99重量%以下、より好ましくは98重量%以下の量のエチルセルロースポリマーを含有する。
本発明の組成物は、1つ以上の脂肪酸を含有するが、飽和でも不飽和でもよい。不飽和脂肪酸がより好ましい。脂肪酸の脂肪族は、直鎖でも分枝でもよいが、直鎖が好ましい。脂肪酸の脂肪族は、炭化水素脂肪族であり得、または水素または炭素以外の1つ以上の置換基を有し得るが、炭化水素脂肪族が好ましい。不飽和脂肪酸の中では、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、リノール酸、及びアラキドン酸が好ましい。飽和脂肪酸の中では、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、及びアラキジン酸が好ましい。好ましくは、分散剤はオレイン酸を含有する。好ましくは、水性組成物のpHが十分に高く、脂肪酸のうちの50モル%がカルボン酸陰イオンの形態であるカルボキシ基を有する場合、脂肪酸が水性組成物中で分散剤の役割をする。
オレイン酸が使用される実施形態では、「純」及び「技術的な等級のオレイン酸」がオレイン酸として用いられ得る。純オレイン酸は、98重量%よりも多いオレイン酸を含有する組成物を意味すると理解される。「技術的な等級のオレイン酸」は、98重量%以下の範囲でオレイン酸を含有する組成物を意味すると理解される。かかる技術的な等級のオレイン酸は、例えば、技術的な等級のオレイン酸の総重量に基づいて、60〜75重量%の範囲のオレイン酸、5〜20重量%の範囲のリノール酸、及び0〜5重量%の範囲のステアリン酸を含有し、パーセンテージの合計は100である。技術的な等級のオレイン酸は、動物脂肪、例えば牛脂から得られ得る。例えば、各々の場合において総組成物に基づいて、80〜95重量%、好ましくは85〜95重量%、一層好ましくは90〜95重量%の、より高い含有量のオレイン酸を有する技術的な等級のオレイン酸が、同様に用いられ得る。総脂肪酸組成物に基づいて96〜98重量%のオレイン酸を有する、技術的な等級のオレイン酸が、非常に特に好ましい。該別の技術的な等級のオレイン酸の総重量に基づいて、約80〜90重量%のオレイン酸、2〜10重量%のリノール酸、2〜6重量%のステアリン酸、及び2〜6重量%のパルミチン酸を有する、別の技術的な等級のオレイン酸、重量%の合計は100である。かかる別の技術的な等級のオレイン酸は、例えば「高オレイン」ヒマワリ油またはHOヒマワリ油として販売される。
脂肪酸の量は、好ましくは、固相の総乾燥重量に基づいて、0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。脂肪酸の量は、好ましくは、固相の総乾燥重量に基づいて、7重量%以下、より好ましくは6重量%以下である。
本発明の水性組成物は、1つ以上のアルカリ金属もしくは1つ以上のアルカリ土類、またはそれらの混合物の陽イオンを含有する。好ましくは、本発明の水性組成物は、1つ以上のアルカリ金属の陽イオン、より好ましくは、ナトリウムもしくはカリウム、またはそれらの混合物の陽イオンを含有する。
アルカリ金属(複数可)及び/またはアルカリ土類(複数可)の陽イオンの量は、水性組成物中の全アルカリ金属の陽イオン及びアルカリ土類の陽イオンの総当量の合計対水性組成物中の脂肪酸分子に付着する全カルボキシ基の総当量の比(「当量比」)によって特徴付けられる。好ましくは、該当量比は、0.5:1以上、より好ましくは0.75:1以上、より好ましくは0.9:1以上である。好ましくは、該当量比は、2:1以下、より好ましくは1.75以下、より好ましくは1.5:1以下である。
好ましくは、本発明の水性組成物は、アンモニウムイオンを含有しない、またはアンモニウムイオンの当量対水性組成物中の脂肪酸分子に付着する全カルボキシ基の総当量の比が0.01:1以下であるような量のアンモニウムイオンを含有する。
エチルセルロースポリマーを含有する、本発明以外のいくつかの組成物中には、相対的に大量のコロイド安定化剤が存在する。一般的に使用されるコロイド安定化剤には、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、及びセルロースの誘導体である水溶性ポリマーが挙げられる。これらの他の組成物とは対照的に、本発明の組成物は、好ましくはわずかまたは無のPVAを含有する。より好ましくは、本発明の組成物は、わずかまたは無のPVAまたはポリ(N−ビニルピロリドン)を含有する。より好ましくは、本発明の組成物は、わずかまたは無の、PVA、ポリ(N−ビニルピロリドン)、またはセルロースの誘導体である水溶性ポリマーを含有する。より好ましくは、本発明の組成物は、わずかまたは無のコロイド安定化剤を含有する。
エチルセルロースポリマーを含有する、本発明以外のいくつかの組成物中には、相対的に大量の可塑剤が存在する。典型的な可塑剤は、200以上の分子量を有する有機エステル及び200以上の分子量を有するポリエチレングリコールである。一般的に使用される可塑剤には、例えば、クエン酸トリエチル(TEC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、200以上の分子量のポリエチレングリコール、及び200以上の分子量のトリグリセリドが挙げられる。
これらの他の組成物とは対照的に、本発明の組成物は、好ましくは可塑剤を含有しない、またはエチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、7重量%以下、より好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下の量の可塑剤を含有する。好ましくは、本発明の組成物は、わずかまたは無の、クエン酸トリエチル(TEC)またはセバシン酸ジブチル(DBS)を含有する。より好ましくは、本発明の組成物は、わずかまたは無の、TEC、DBS、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、200以上の分子量のポリエチレングリコール、または200以上の分子量のトリグリセリドを含有する。より好ましくは、本発明の組成物は、わずかまたは無の、200以上の分子量を有するポリエチレングリコールまたは200以上の分子量を有する有機エステルを含有する。より好ましくは、本発明の組成物はわずかまたは無の可塑剤を含有する。
本発明の水性組成物を作製するための好ましい過程は、以下の通りである。該過程は、エチルセルロースポリマー及び分散剤を、押出機の溶融及び混合部に供給し、エチルセルロースポリマー及び分散剤(1つ以上の脂肪酸を含む)を加熱して共に混合し、溶融体を形成することと、溶融体を、温度及び圧力が制御される押出機の乳化部に移送することと、塩基及び水を乳化部に供給して、溶融体を分散させて高内相乳剤を形成することと、乳剤を押出機の希釈及び冷却部に移送することと、水を希釈及び冷却部に供給して、高内相乳剤を希釈し、それによって水性分散体を形成することと、を含む。該過程を実行するために使用され得る全体的な過程条件及び器具は、米国特許第5,539,021号及び同第5,756,659号で公開される。
押出機は、混合及び移送部、乳化部、ならびに希釈及び冷却部を含む、いくつかの部を有し得る。混合及び移送部内に含有される、供給端での蒸気圧は、乳化部の前に、溶融密閉を作成するように、ニーディングブロック及び気泡素子を配置することによって制御される。希釈及び冷却部内に含有される、排気口での蒸気圧は、背圧調整弁を使用することによって制御される。基本ポリマー、すなわちエチルセルロースは、押出機の供給口に供給され、混合及び移送部に流入する。液体分散剤(複数可)(1つ以上の脂肪酸を含む)もまた、混合及び移送部に供給され、別々にまたは合わせて供給され得る。分散剤が固体である場合、それは任意選択的に押出機供給口を通して押出機に供給され得る。基本ポリマー及び分散剤を含むポリマー相は、混合及び移送部内で溶融し、押出機のバレルを通って乳化部に移送される。
乳化部において、ポリマー相は初期量の水及び塩基と化合され、高内相乳剤を作成する。乳剤は次いで押出機を通って移送され、希釈及び冷却部でより多くの水と化合され、60重量%以下の固体を有する水性分散体、例えば分散ポリマー相を形成する。
好ましくは、乳化部に供給される塩基は非一過性塩基である。好ましい塩基は、KOH、NaOH、またはそれらの混合物の水溶液である。好ましくは、押出機に供給される塩基の1分間あたりのモル対押出機に供給される脂肪酸の1分間あたりのモルの比は、0.5:1以上、より好ましくは0.9:1以上である。好ましくは、押出機に供給される塩基の1分間あたりのモル対押出機に供給される脂肪酸の1分間あたりのモルの比は、2:1以下、より好ましくは1.75:1以下である。
本発明の水性組成物は、好ましくは12以下、より好ましくは11以下、より好ましくは10以下のpHを有する。本発明の水性組成物は8以上のpHを有する。
本発明の水性組成物中の分散粒子は、1.1マイクロメートル以下、より好ましくは1.0マイクロメートル以下、より好ましくは0.9マイクロメートル以下、より好ましくは0.8マイクロメートル以下の体積平均粒径を有する。本発明の水性組成物中の分散粒子は、好ましくは80nm以上、より好ましくは90nm以上の体積平均粒径を有する。粒径はレーザー回析を使用して測定した。好適な道具は、COULTER(商標)LS−230またはCOULTER(商標)LS−13−320粒径分析器(Beckman Coulter Corporation)である。
本発明の水性組成物は、好ましくは、水性組成物の重量に基づいて、5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上の固形分を有する。本発明の水性組成物は、好ましくは、55重量%以下、より好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下の固形分を有する。
本発明の水性組成物の粘度は、50rpmで回転するRV2またはRV3スピンドルを備えるBrookfield RV−II粘度計を使用して、25℃で測定する。スピンドルは、粘度計のトルク範囲の中心に最も近いトルク信号を得るように選択される。好ましくは、水性組成物の粘度は、100mPa−s以下、より好ましくは80mPa−s以下、より好ましくは60mPa−s以下、より好ましくは40mPa−s以下、より好ましくは30mPa−s以下である。好ましくは、水性組成物の粘度は1mPa−s以上である。
さらに、本明細書において「混合塩基」実施形態と呼ばれる、本発明の水性組成物の実施形態も企図される。一混合塩基実施形態では、非一過性塩基の陽イオン対脂肪酸上のカルボキシ基の当量比は、0.5:1〜1:1である。一混合塩基実施形態では、1つ以上の一過性塩基もまた含有する。一混合塩基実施形態では、好ましい一過性塩基はアンモニアである。一混合塩基実施形態では、一過性塩基の陽イオン対脂肪酸上のカルボキシ基の当量比は、0.5:1〜1:1である。
脂肪酸が一過性塩基でのみ中和された水性組成物から作製されたコーティングは、非常に疎水性の高いコーティングであり得ると企図される。また、脂肪酸が非一過性塩基でのみ中和された水性組成物から作製されたコーティングは、疎水性がより一層低いコーティングであり得ると企図される。さらに、脂肪酸が部分的に一過性塩基で中和され、部分的に非一過性塩基で中和された水性組成物から作製されたコーティングは、中程度の疎水性を有し得ると企図される。
本発明はいかなる理論にも限定されないが、コーティングが、活性成分の水性環境への放出率を制御するための遮断コーティングとして使用される場合、疎水性は放出率に影響する。非常に疎水性の高いコーティングは最も遅い放出率を有し得、中程度の疎水性を有するコーティングは中程度の放出率を有し得、最も疎水性の低いコーティングは最も高い放出率を有し得ると企図される。したがって、一過性塩基及び非一過性塩基の相対量を変化させることによって、コーティングの疎水性、ひいてはコーティングの放出率を調節する可能になり得ると企図される。
かかる水性組成物を作製する一方法は、脂肪酸が完全に一過性塩基で中和された第1の水性組成物を提供すること、脂肪酸が完全に非一過性塩基で中和された第2の水性組成物を提供すること、及び該2つの水性組成物を混成することであり得る。
本発明の水性組成物の好ましい用途は、水性組成物から水を除去することにより、粉末を生成することである。水を除去する好ましい方法は、噴霧乾燥によるものである。噴霧乾燥の過程では、水性組成物は1つ以上のアトマイザまたはノズルを通過し、水性組成物の液滴を生成する。水性組成物の液滴の形成の間または後で、液滴を、加熱した気体好ましくは空気と接触させる。加熱した気体との接触は、水性組成物の液滴から、水のほとんどまたは全てを除去する。
本発明の水性組成物を乾燥させて粉末を生成すると、結果として生じる粉末は、好ましくは、粉末の重量に基づいて、0重量%〜2重量%、より好ましくは0重量%〜1重量%、より好ましくは0重量%〜0.5重量%の量の水を有する。
本発明の水性組成物の固相は、乾燥組成物の粉末になると企図される。本発明の水性組成物の内容物に関して本明細書の上記に記載の成分及び量は、粉末にも同様に適用される。例えば、本明細書の上記で、本発明の水性組成物は、好ましくは、固相の総乾燥重量に基づいて、60重量%以上の量でエチルセルロースポリマーを含有する、と述べられているため、粉末は、好ましくは粉末の総乾燥重量に基づいて、60重量%以上の量でエチルセルロースポリマーを含有すると理解されるはずである。
粉末中の各々の粒子は、水性媒体中に分散した多くの粒子の凝集体であると予測される。粉末中の重量平均粒径は、10マイクロメートル〜500マイクロメートルであると予測される。
アルカリ金属(複数可)及び/またはアルカリ土類(複数可)の陽イオンは、粉末中に存在する。粉末において好ましい組成物及び当量比は、水性組成物について本明細書の上記に記載のものと同じである。
アルカリ金属(複数可)の陽イオン及び/またはアルカリ土類(複数可)の陽イオンのいくつかまたは全て、ならびに1つ以上の脂肪酸のいくつかまたは全ては、粉末中に、1つ以上の塩の形態で存在すると企図される。例えば、粉末中にナトリウムが存在し、オレイン酸もまた存在する場合、ナトリウムのうちのいくらかまたは全て、及びオレイン酸のうちのいくらかまたは全てが、オレイン酸のナトリウム塩として存在する。
好ましくは、全脂肪酸のうちの25モル%〜100モル%、より好ましくは50モル%〜100モル%が、アルカリ金属またはアルカリ土類塩の形態である。
好ましくは、本発明の粉末は水分散性である。つまり、粉末を、pH7.5以下で、25℃の水と、27部以下の粉末対100部の水の重量比で接触させ、結果として生じる混合物を(例えばかき回して)攪拌すると、混合物は水性分散体を形成し得る。分散粒子は、エチルセルロースポリマーを含有し得る。分散粒子は、本発明の水性組成物が粉末を形成した乾燥過程の前に有したものと、同じ組成物及び粒径分布を有し得ると企図される。
本発明の粉末から作製された水性分散体(つまり「再分散」分散体)は、押出機により直接的に作製された分散体(つまり「オリジナル」分散体)が有用であり得るのと同じように有用であり得ると企図される。
例えば、かかる分散体の好ましい用途は、医薬コーティングまたは食品コーティングを形成することにあり、より好ましいのは医薬コーティングであり、より好ましいのは放出調節医薬コーティングである。放出調節医薬コーティングを作製する好ましい方法は、各々の粒子が薬物を含有する複数の粒子を提供し、粒子にコーティングの膜を塗布することである。好ましい粒子は、薬物自体の純もしくはほぼ純粒子であるか、またはポリマーマトリクス内に薬物を含有するポリマー粒子である。薬物でコーティングされた非薬物物質の粒子、及び球形化によって薬物と混合された粒子もまた企図される。好ましい粒子は、100μm〜1mmの重量平均直径を有する。好ましくは、水性分散体は各々の粒子をコーティングし、乾燥させると、各々の粒子を覆うまたはほぼ覆う膜を残す。
水性分散体が、複数の粒子のコーティングを作製するのに使用される場合、水性分散体を複数の粒子と接触させる前に、可塑剤を分散体に追加することがしばしば望ましい。一般的な可塑剤は、クエン酸トリエチル(TEC)及びセバシン酸ジブチル(DBS)である。可塑剤が複数の粒子と接触させる直前に分散体に追加される場合、分散体はオリジナルの分散体または再分散された分散体であり得る。
組成物が、複数の粒子にコーティングを形成する場合、コーティングが、ヤング率、引張強度、及び最大伸度の相対的に高い値等の、良好な膜特性を有することが望ましい。これらの特性は、独立膜(つまりどの基質にも付着していない膜)を作製し、独立膜の引張特性を試験することによって試験され得ると企図される。独立膜として許容可能な特性を有する膜は、粒子のコーティングを形成する場合にも許容可能な特性を有し得ると企図される。
以下は、本発明の実施例である。
実施例1:水性分散体の調製
分散体を、25mmの軸直径及び36の長さと直径の比を有する、450rpmで回転するBerstorff(商標)ZE25二軸押出機を使用して調製した。材料は以下の通りであった。
Ethocel(商標)STD20エチルセルロース(Dow Chemical Company)
オレイン酸
水酸化カリウム(KOH)、水中の30重量%溶液
エチルセルロースは、大きな管及び大きな開放螺旋を装備する、定量供給装置を使用して、送達した。ポリマー相は、次いで溶融し、押出機バレルを通って乳化部に移送し、初期量の水及び塩基と化合して高内相乳剤を作成した。乳剤は、次いで押出機バレルを通って希釈及び冷却部に移送した。初期水、塩基、及び希釈水は、Isco(商標)シリンジポンプで、各々が押出機に別々に補給される。オレイン酸は、溶融部に配管されたIsco(商標)シリンジポンプを使用して送達した。バレルは145℃に初期設定した。出口配管及び背圧調整弁上の前端ヒーターは、稼働の間電源を入れたままにし、180℃に設定した。初期水ヒーターは、およそ140℃で送達するように電源を入れた。希釈水ヒーターは120℃に設定した。オレイン酸とKOHの相対供給率は、1:1の当量比を提供するように調節した。押出機出口温度は140℃だった。
押出機を、エチルセルロース対オレイン酸の95:5の質量比を得るように調節した供給率で稼働させ、実施例1−1を生成した。供給率を、次いでエチルセルロース対オレイン酸の97:3の質量比を得るように調節し、実施例1−2を生成した。結果は以下の通りであった。
Figure 2017524053
(1)マイクロ波固体分析器または赤外線固体分析器を使用して判定した、分散体の総重量に基づく、分散体中の固体材料の量使用した一分析器は、OHAUS(商標)MB45赤外線水分分析器(Ohaus Corporationから入手可能)であった。
(2)Brookfield RV粘度計、スピンドル#3、50rpm、25℃
(3)COULTER(商標)LS−230またはCOULTER(商標)LS−13−320粒径分析器(Beckman Coulter Corporation)を使用して判定した、体積平均粒径。
比較例C2:アンモニアで中和された水性分散体の調製
エチルセルロースの水性分散体は、以下の違いを伴って、実施例1にある通りに調製した。
中和塩基:28重量%アンモニア(NH)の水溶液
エチルセルロース対オレイン酸の重量比:89.1:10.9
アンモニア対オレイン酸の当量比:1.4:1
結果は以下の通りであった。
Figure 2017524053
(1)実施例1の通り
(2)Brookfield RV、2番スピンドル、50rpm
(3)実施例1の通り
比較例C3:コロイド安定化剤を用いた、水性分散体の調製
比較実施例C3の水性分散体は、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルピロリドン(PVP)のいずれかのコロイド安定化剤の追加によって修正した。10重量%水溶液中のコロイド安定化剤を攪拌下でエチルセルロース分散体に追加した。使用したPVAは、31kg/モルの平均分子量を有する、Kuraray CoのMOWIOL(商標)488 PVAであった。使用したPVPはSigma Aldrichから購入し、平均分子量は10kg/モルであった。使用した量は、エチルセルロースポリマー及びオレイン酸の乾燥重量の合計に基づいて、以下の通りであった。
Figure 2017524053
実施例4:水性分散体の噴霧乾燥及び再分散
水性分散体を噴霧乾燥させ、乾燥粉末を生成した。噴霧乾燥は、二流体ノズルアトマイザを用いて、窒素下で、Mobile Minor(商標)噴霧乾燥器上で実行した。乾燥粉末は、次いで以下の通り再分散性について試験した。噴霧乾燥粉末の再分散性は、水中に分散させた噴霧乾燥粉末の粒径と開始分散体のオリジナル粒径との比較に基づいて評価した。噴霧乾燥粉末は、1固体%で脱イオン水中に分散させ、30秒間2回ボルテックスした。再分散体の粒径は、次いでCoulter LS 13 320 Laser Light Diffraction Particle分析器で測定した。エチルセルロースポリマー分散体の望ましい粒径は、1μm未満である。再分散性「収率」は、再分散体中の、1μm未満の粒子の体積パーセンテージとして定義される。例えば、再分散体が20体積%の1μm未満の粒子を示す場合、この粉末の再分散性収率は20%である。
乾燥粉末中の水分は、粉末の重量に基づく水分の重量による量である。「na」は分析されなかったことを意味する。実施例1では、体積平均は、乾燥粉末を脱イオン水中で再分散させることによって生成した分散体について測定した(上記に説明の方法によって)。結果は以下の通りであった。「<20%」という表記は、「20%未満」を意味する。
Figure 2017524053
比較実施例C3−1、C3−2、及びC3−3は、塩基としてアンモニアを使用し、脱イオン水中で不良な再分散性を示した。3つ全てが非常に低い再分散性収率を示し、3つ全てが実施例1の体積平均の50倍を越える再分散体積平均を示した。
比較例C5:アンモニアを使用する場合に変化させるオレイン酸の量
比較実施例C5−1は、比較実施例C2の反復であった。比較実施例C2では、アンモニアを塩基として使用した。比較実施例C2の条件下で試料分散体を採取した後(比較実施例C5−1を生成するため)、オレイン酸の相対量を低減するように、エチルセルロース対オレイン酸の比を次第に変更しながら、押出を続けた。体積平均は、上記のように測定した。結果は以下の通りであった。
Figure 2017524053
比較実施例C5は、アンモニアを塩基として使用した場合、有用な分散体を生成するには7.5%を越えるオレイン酸が必要であることを実証する。有用であるためには、分散体粒径は、1μmよりもはるかに小さくあるべきである。
実施例6:膜特性
水性分散体の総固体重量に基づく27重量%の可塑剤を得るように、各々の水性分散体に、クエン酸トリエチル、可塑剤を追加した。次いで、膜は水性分散体から以下のように流し込まれた。膜は、BYK4辺ドローダウンバーを使用して、予め洗浄したガラス板上に湿潤状態で0.5mm(20ミル)の厚さで流し込まれた。膜を覆い、60℃に設定したオーブンに移動させて2時間硬化させた。膜は、次いで湿度を制御した部屋(相対湿度55%、22℃)に、膜の含水量が平衡するように、少なくとも12時間移動させた。
水性分散体は、「オリジナル」または「再分散」のいずれかであり、次のように定義される。
オリジナル:押出機により生成され、次いで可塑剤と混合され、次いで膜として流し込まれる、水性分散体
再分散:押出機により生成され、次いで噴霧乾燥され、次いで水中で再分散し27%の固形分を得、次いで可塑剤と混合され、次いで膜として流し込まれる、水性分散体。
実施例C6−1及びC6−2は比較実施例である。水性分散体は以下の通りであった。
Figure 2017524053
(4)エチルセルロース対オレイン酸の重量比
(5)可塑剤の追加後に測定
(6)比較実施例C2の反復
(7)再分散性収率=<20%
膜は、引張測定の前に基質から除去した。引張測定は、少なくとも3つの異なる膜から切断した、10以上の試料ストリップ上でなされた。各々の試料ストリップの厚さは、ミツトヤデジマチックインジケータ(Mitutoya Digimatic Indicator)を使用して3つの点に沿って測定し平均することによって判定した。ヤング率は、応力ひずみ曲線の線状領域内の点を適合させることによって測定した。最大応力(引張強度として計上)及び破断ひずみ(伸度%として計上)は、曲線上にカーソルを配置し、値を読み取ることによって、手動で判定した。結果は以下の通りであった。
Figure 2017524053
比較実施例C6−2は、比較実施例C6−1の最大伸度の半分よりも小さい最大伸度を示した。結果は、分散体をアンモニアを用いて作製し、噴霧乾燥させ、次いで再分散させた場合、結果として生じる分散体は、噴霧乾燥及び再分散させていない分散体から作製される膜ほど良好な膜を作製できないことを示す。対照的に、実施例6−3及び6−4は、互いに類似する特性を有し、この結果は、噴霧乾燥及び再分散の過程が、本発明の分散体の良好な膜を形成する能力を低下させないことを示した。

Claims (9)

  1. 8以上のpHを有する水性組成物であって、
    (i)ある量のエチルセルロースポリマーを含む分散粒子を含む固相と、
    (ii)前記固相の総乾燥重量に基づいて、0.5重量%〜7重量%の脂肪酸であって、前記脂肪酸の25モル%〜100モル%がイオン形態である、前記脂肪酸と、
    (iii)前記エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜0.1重量%のコロイド安定化剤と、
    (iv)前記エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜7重量%の可塑剤と、
    (v)アルカリ金属またはアルカリ土類の1つ以上の陽イオンと、を含み、前記陽イオン対前記脂肪酸の当量比が、0.1:1〜2:1である、前記水性組成物。
  2. 前記エチルセルロースポリマーの前記量が、前記固相の乾燥重量に基づいて、45重量%〜90重量%である、請求項1に記載の水性組成物。
  3. 前記エチルセルロース粉末が16〜30mPa−sの粘度を有し、前記エチルセルロース粉末の前記粘度が、溶媒中の前記エチルセルロースポリマーの、溶液の重量に基づく5重量パーセント溶液の粘度として定義され、前記溶媒が、前記溶媒の重量に基づいて、80重量%のトルエンと20重量%のエタノールとの混合物である、請求項1に記載の水性組成物。
  4. 前記陽イオン対前記脂肪酸の当量比が0.5:1〜2:1である、請求項1に記載の水性組成物。
  5. 前記陽イオン対前記脂肪酸の当量比が0.2:1〜1:1であり、
    前記水性組成物が1つ以上の一過性(fugitive)塩基を追加で含み、前記一過性塩基の陽イオン対前記脂肪酸の当量比が、0.2:1〜1:1である、請求項1に記載の水性組成物。
  6. 請求項1に記載の水性組成物を噴霧乾燥させることを含む、粉末を作製する方法。
  7. 粉末組成物であって、
    (a)前記粉末組成物の重量に基づいて、0重量%〜2重量%の水と、
    (b)粒子であって、
    (I)ある量のエチルセルロースポリマーと、
    (II)前記粉末組成物の重量に基づいて、0.5重量%〜7重量%の脂肪酸であって、前記脂肪酸の25モル%〜100モル%が、アルカリ金属またはアルカリ土類塩の形態である、前記脂肪酸と、
    (III)前記エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜0.1重量%のコロイド安定化剤と、
    (IV)前記エチルセルロースポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%〜7重量%の可塑剤と、を含む、前記粒子と、を含む、前記粉末組成物。
  8. 前記エチルセルロースポリマーの前記量が、前記粉末の乾燥重量に基づいて、45重量%〜90重量%である、請求項7に記載の粉末組成物。
  9. 前記エチルセルロース粉末が16〜30mPa−sの粘度を有し、前記エチルセルロース粉末の前記粘度が、溶媒中の前記エチルセルロースポリマーの、溶液の重量に基づく5重量パーセント溶液の粘度として定義され、前記溶媒が、前記溶媒の重量に基づいて、80重量%のトルエンと20重量%のエタノールとの混合物である、請求項7に記載の粉末組成物。
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