JP2017520255A - ポリペプチド発現系 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリペプチド発現系及びその使用方法に関する。【選択図】図1

Description

配列表
本出願は、ASCII形式にて電子的に提出し、かつそれを全体として参照により本明細書に組み込む配列表を含有する。2015年6月25日に作成されたこのASCIIコピーの名称は、P05833−WO_SL.txtであり、サイズは24,421バイトである。
本発明は、ポリペプチドのモジュール式発現及び生成のためのポリペプチド発現系に関する。
組換えポリペプチドは、ときには機能目的または精製目的のために個々のドメインまたはタグの融合物として発現される。組換えDNA法は伝統的に、各モジュールをコードする配列を結合するために使用され、各組み合わせについて異なる構築物を必要とする。このことは、構築物の数が、使用されるモジュール数の関数として幾何学的に増大するにつれて、様々な組み合わせで結合される繰り返しモジュールからなる多くのタンパク質コレクションの発現に関する技術に課題を提起する。
サブクローニングのための高スループットシステムは、並行して多数の挿入物を取り扱うことができるが、それらは通常、供給源集中的であり、初期の特徴付けステップ後、最終的に必要でない多数の構築物を生成する。したがって、組換えポリペプチドのモジュール式発現及び生成を可能にするポリペプチド発現系の開発分野で未だ対処されていない必要性が存在している。
本発明は、ポリペプチドのモジュール式発現及び生成のためのポリペプチド発現系に関する。
一態様では、本発明は、第1の核酸分子及び第2の核酸分子を含むポリペプチド発現系を特徴とし、ここで、(a)第1の核酸分子は、以下の構成要素:(i)第1の真核生物プロモーター(P1Euk1)、(ii)第1のポリペプチドコード配列(PES1)、(iii)第1の5’スプライス部位(5’ss1)、及び(iv)ハイブリダイズ配列(HS1)を含む第1の発現カセットを含み、これらの構成要素は、P1Euk1−PES1−5’ss1−HS1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結され、(b)第2の核酸分子は、以下の構成要素:(i)真核生物プロモーター(P2Euk)、(ii)HS1にハイブリダイズすることができるハイブリダイズ配列(HS2)、(iii)3’スプライス部位(3’ss2)、(iv)ポリペプチドコード配列(PES2)、及び(v)ポリアデニル化部位(pA2)を含み、これらの構成要素は、P2Euk−HS2−3’ss2−PES2−pA2として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、P1Euk1は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはサルウイルス40(SV40)プロモーターである。いくつかの実施形態では、P2Eukは、CMVプロモーターまたはSV40プロモーターである。いくつかの実施形態では、第1の発現カセットは、真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする第1の核酸配列を更に含み、ESS1は、P1Euk1とPES1との間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、ESS1は、可変重鎖(VH)遺伝子に由来する。
いくつかの実施形態では、第1の発現カセットは、以下の構成要素:(i)5’スプライス部位(5’ss1)、(ii)原核生物プロモーター(P1Prok1)、及び(iii)3’スプライス部位(3’ss1)を含む、切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を更に含み、ここで、これらの構成要素は、5’ss1−P1Prok1−3’ss1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結され、ePPMは、P1Euk1とPES1との間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、P1Prok1は、PhoAプロモーター、Tacプロモーター、Lac、及びTphacプロモーターからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ePPMは、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする第1の核酸配列を更に含む。いくつかの実施形態では、PSS1は、熱安定性エンテロトキシンII(stII)遺伝子に由来する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド発現系は、PSS1と3’ss1との間に位置付けられるポリピリミジン領域(PPT1)を更に含む。いくつかの実施形態では、PPT1は、TTCCTTTTTTCTCTTTCCの核酸配列(配列番号1)を含む。いくつかの実施形態では、PES1は、潜在性5’スプライス部位を含まない。いくつかの実施形態では、HS1は、コートタンパク質またはアダプタータンパク質の全てまたは一部をコードする遺伝子である。いくつかの実施形態では、コートタンパク質は、バクテリオファージM13、f1、またはfdのpI、pII、pIII、pIV、pV、pVI、pVII、pVIII、pIX、及びpXからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、コートタンパク質は、バクテリオファージM13のpIIIタンパク質である。いくつかの実施形態では、pIII断片は、pIIIタンパク質のアミノ酸残基267〜421またはpIIIタンパク質のアミノ酸残基262〜418を含む。いくつかの実施形態では、アダプタータンパク質は、ロイシンジッパーである。いくつかの実施形態では、ロイシンジッパーは、配列番号4または5のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、第1の核酸分子は、第2の真核生物プロモーター(P1Euk2)、(ii)第2のポリペプチドコード配列(PES1)、及び(iii)ポリアデニル化部位(pA1)を含む第2の発現カセットを更に含み、ここで、これらの構成要素は、P1Euk2−PES1−pA1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、P1Euk2は、CMVプロモーターまたはSV40プロモーターである。いくつかの実施形態では、第2の発現カセットは、真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする第2の核酸配列を更に含む。いくつかの実施形態では、ESS1は、マウス結合免疫グロブリンタンパク質(mBiP)遺伝子に由来する。いくつかの実施形態では、ESS1は、ATG AAN TTN ACN GTN GTN GCN GCN GCN CTN CTN CTN CTN GGNの核酸配列(配列番号6)を含み、ここで、Nは、A、T、C、またはGである。
いくつかの実施形態では、第2の発現カセットは、以下の構成要素:(i)5’スプライス部位(5’ss1)、(ii)原核生物プロモーター(P1Prok2)、及び(iii)3’スプライス部位(3’ss1)を含む、切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を更に含み、ここで、これらの構成要素は、5’ss1−P1Prok2−3’ss1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結され、ePPMは、P1Euk2とPES1との間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、P1Prok2は、PhoAプロモーター、Tacプロモーター、及びLacプロモーターからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ePPMは、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする核酸配列を更に含む。いくつかの実施形態では、PSS1は、熱安定性エンテロトキシンII(stII)遺伝子に由来する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド発現系は、PSS1と3’ss1との間に位置付けられるポリピリミジン領域(PPT1)を更に含む。いくつかの実施形態では、PPT1は、TTCCTTTTTTCTCTTTCCの核酸配列(配列番号1)を含む。いくつかの実施形態では、第2の発現カセットは、第1の発現カセットに対して5’に位置付けられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド発現系は、5’ss1とHS1との間に位置付けられるイントロンスプライスエンハンサー(ISE)(ISE1)を更に含む。いくつかの実施形態では、ISE1は、3つまたはそれ以上の連続グアニン残基を含むG−runを含む。いくつかの実施形態では、ISE1は、9つの連続グアニン残基を含むG−runを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド発現系は、HS2と3’ss2との間に位置付けられるポリピリミジン領域(PPT2)を更に含む。いくつかの実施形態では、PPT2は、TTCCTCTTTCCCTTTCTCTCCの核酸配列(配列番号7)を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド発現系は、HS2と3’ss2との間に位置付けられるISE(ISE2)を更に含む。いくつかの実施形態では、ISE2は、3つまたはそれ以上の連続グアニン残基を含むG−runを含む。いくつかの実施形態では、ISE2は、9つの連続グアニン残基を含むG−runを含む。いくつかの実施形態では、5’ss1は、GTAAGAの核酸配列(配列番号8)を含む。
いくつかの実施形態では、真核生物プロモーターによる発現が、哺乳動物細胞において起こる。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、Expi293F細胞、CHO細胞、293T細胞、またはNSO細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、Expi293F細胞である。いくつかの実施形態では、原核生物プロモーターによる発現が、細菌細胞で起こる。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、大腸菌細胞である。いくつかの実施形態では、PES1は、抗体の全てまたは一部をコードする。いくつかの実施形態では、PES1は、VHドメインを含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、CH1ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、PES2は、抗体の全てまたは一部をコードする。いくつかの実施形態では、PES2は、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、PES1は、抗体の全てまたは一部をコードする。いくつかの実施形態では、PES1は、VLドメイン及びCLドメインを含むポリペプチドをコードする。
別の態様では、本発明は、以下の構成要素:(a)第1の真核生物プロモーター(P1Euk1);(b)以下の構成要素:(i)5’スプライス部位(5’ss1)、(ii)原核生物プロモーター(P1Prok1)、及び(iii)3’スプライス部位(3’ss1)を含む第1の切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)であって、ePPMの構成要素が、5’ss1−P1Prok1−3’ss1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される、第1の切除可能原核生物プロモーターモジュール;(c)第1のポリペプチドコード配列(PES1);(d)第1の5’スプライス部位(5’ss1);及び(e)有用ペプチドコード配列(UPES)を含む、第1の発現カセットを含む核酸分子を特徴とし、第1の発現カセットの構成要素は、P1Euk1−ePPM−PES1−5’ss1−UPESとして5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第1の発現カセットは、真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする第1の核酸配列を更に含み、ここで、ESS1は、P1Euk1とePPMとの間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、ePPMは、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする第1の核酸配列を更に含み、ここで、PSS1は、P1Prok1と3’ss1との間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、第2の真核生物プロモーター(P1Euk2)、(ii)第2のポリペプチドコード配列(PES1)、及び(iii)ポリアデニル化部位(pA1)を含む第2の発現カセットを更に含み、ここで、これらの構成要素は、P1Euk2−PES1−pA1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第2の発現カセットは、真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする第2の核酸配列を更に含み、ここで、ESS1は、P1Prok2と3’ss1との間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、第2の発現カセットは、以下の構成要素:(i)5’スプライス部位(5’ss1)、(ii)原核生物プロモーター(P1Prok2)、(iii)原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする核酸配列、及び(iv)3’スプライス部位(3’ss1)を含む、切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を更に含み、ここで、これらの構成要素は、5’ss1−P1Prok2−PSS1−3’ss1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結され、ePPMは、P1Euk2とPES1との間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、UPESは、タグ、ラベル、コートタンパク質、及びアダプタータンパク質からなる群から選択される有用ペプチドの全てまたは一部をコードする。いくつかの実施形態では、コートタンパク質は、バクテリオファージM13、f1、またはfdのpI、pII、pIII、pIV、pV、pVI、pVII、pVIII、pIX、及びpXからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、コートタンパク質は、バクテリオファージM13のpIIIである。
別の態様では、本発明は、前述の核酸分子のいずれか1つを含むベクターを特徴とする。別の態様では、本発明は、第1のベクター及び第2のベクターを含むベクターセットを特徴とし、ここで、第1及び第2のベクターは、本明細書で開示されるポリペプチド発現系のいずれかの、それぞれ、第1及び第2の核酸分子を含む。
別の態様では、本発明は、前述の核酸、ベクター、及び/またはベクターセットを含む宿主細胞を特徴とする。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、原核細胞は、細菌細胞である。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、大腸菌細胞である。他の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、真核細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、Expi293F細胞、CHO細胞、293T細胞、またはNSO細胞である。一実施形態では、哺乳動物細胞は、Expi293F細胞である。
さらなる態様では、本発明は、培養培地中で前述の核酸、ベクター、及び/またはベクターセットの1つもしくは2つ以上を含む宿主細胞を培養することを含む、ポリペプチドの生成方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本方法は、宿主細胞または培養培地からポリペプチドを回復することを更に含む。
モジュール式タンパク質発現のためのポリペプチド発現系のpDV2及びpRK−Fc核酸分子の相対的構成を示す模式図である。図はまた、真核細胞中の核酸分子の転写後の一般的なプレmRNA産物、生成された2つのプレmRNA産物間の予想されるトランススプライシング事象、及びスプライシングされたmRNA分子の翻訳後に得られる産物を示す。 図2A及び2Bを包含し、pDV2ベクターの部分的配列図である。5’ss、3’ss、及びポリピリミジン領域(PPT)は、太字及び下線付きである。図2B中で、pRK−Fc及びpRK−Fc2由来転写産物にハイブリダイズする150−nt遺伝子III配列をコードする領域は、斜体及び下線付きである。野生型PPTからの変異は、太字、斜体、及び下線付きである。pDV2ベクターの遺伝子IIIのAATAAA潜在的ポリアデニル化部位は、変異体pDV2ベクターpDV2c及びpDC2dに導入されたサイレント突然変異の配列の上に示される(太字、斜体、下線付き)。図2A及び2Bは、出現順に、それぞれ、配列番号2、3、9、10、及び19〜22を開示する。 図2A及び2Bを包含し、pDV2ベクターの部分的配列図である。5’ss、3’ss、及びポリピリミジン領域(PPT)は、太字及び下線付きである。図2B中で、pRK−Fc及びpRK−Fc2由来転写産物にハイブリダイズする150−nt遺伝子III配列をコードする領域は、斜体及び下線付きである。野生型PPTからの変異は、太字、斜体、及び下線付きである。pDV2ベクターの遺伝子IIIのAATAAA潜在的ポリアデニル化部位は、変異体pDV2ベクターpDV2c及びpDC2dに導入されたサイレント突然変異の配列の上に示される(太字、斜体、下線付き)。図2A及び2Bは、出現順に、それぞれ、配列番号2、3、9、10、及び19〜22を開示する。 pRK−Fcベクターの部分的配列図である。分岐点コンセンサス配列(BP)、ポリピリミジン領域、及び3’ssは、太字または太字及び下線付きであり、図3に示される。150bpのアンチセンス遺伝子III配列は、斜体及び下線付きである。CMVプロモーターの後の最初のインフレームATGコドンは、太字、斜体、及び下線付きである。図3は、出現順に、それぞれ、配列番号23及び24を開示する。 Expi293F細胞におけるIgGの発現レベル(μg/ml単位)に対する、pDV2におけるISE配列の追加または遺伝子IIIの潜在的ポリアデニル化モチーフの除去、並びに補完pRK−Fc及びpRK−Fc2ベクターの効果を示すグラフである。 Expi293F細胞におけるIgGの発現レベル(μg/ml単位)に対する、pDV2c及びpRK−Fc2のプラスミド比の効果を示すグラフである。示される値は、三重で行われた2つの独立した実験の代表的な実験の平均値の、平均及び標準誤差である。 図5A及び5Bを包含し、pDV2bベクターの部分的配列図である。5’ss及び3’ssが示され、これらの配列は太字である。ポリピリミジン領域(PPT)及び9−nt G−run ISEが、それぞれ示され、太字及び強調表示されている。図5Bで、pRK−Fc及びpRK−Fc2由来の転写産物にハイブリダイズする150−nt遺伝子III配列をコードする領域は、斜体である。野生型stIIシグナル配列及びM13遺伝子IIIからの突然変異は、太字及び斜体であり、野生型ヌクレオチド残基を配列の上に示す。潜在的AATAAAポリアデニル化部位モチーフは、配列の上に示される。括弧内のアミノ酸は、大腸菌、及びまた哺乳動物細胞におけるスプライシングにより創出されるコドンの両方によりコードされる。可変領域配列クローニングに使用されるシグナル配列の3’末端のBsiWI及びRsrII制限酵素部位を、配列の上に示す。図5A及び5Bは、出現順に、それぞれ、配列番号2、25、9、10、19、20、26、及び27を開示する。 図5A及び5Bを包含し、pDV2bベクターの部分的配列図である。5’ss及び3’ssが示され、これらの配列は太字である。ポリピリミジン領域(PPT)及び9−nt G−run ISEが、それぞれ示され、太字及び強調表示されている。図5Bで、pRK−Fc及びpRK−Fc2由来の転写産物にハイブリダイズする150−nt遺伝子III配列をコードする領域は、斜体である。野生型stIIシグナル配列及びM13遺伝子IIIからの突然変異は、太字及び斜体であり、野生型ヌクレオチド残基を配列の上に示す。潜在的AATAAAポリアデニル化部位モチーフは、配列の上に示される。括弧内のアミノ酸は、大腸菌、及びまた哺乳動物細胞におけるスプライシングにより創出されるコドンの両方によりコードされる。可変領域配列クローニングに使用されるシグナル配列の3’末端のBsiWI及びRsrII制限酵素部位を、配列の上に示す。図5A及び5Bは、出現順に、それぞれ、配列番号2、25、9、10、19、20、26、及び27を開示する。 pRK−Fc2ベクターの部分的配列図である。分岐点コンセンサス配列(BP)、ポリピリミジン領域、及び3’ssは、太字である。9−nt G−run ISEを、強調表示する。150bpのアンチセンス遺伝子III配列は、斜体である。最初のATGトリプレット及びインフレーム終止コドンは、下線付きである。CMVプロモーターの後の最初のインフレームATGコドンは、太字及び斜体である。CMVプロモーターTATAボックス及び転写開始部位を、配列の上に示す。括弧内のグルタミン酸残基は、哺乳動物細胞におけるトランススプライシングにより創出されるコドンによりコードされる。図6は、出現順に、それぞれ、配列番号28及び29を開示する。 Expi293F細胞で発現し、精製したIgGの重鎖(左パネル)及び軽鎖(右パネル)の質量分析からの畳み込みを解いた質量を示す一連のグラフである。 図7Aの重鎖及び軽鎖の両方について予想された質量及び観察された質量を示す表である。 pDV2d(ISEを含有し、遺伝子IIIのAATAAAモチーフを含まない)及びpRK−Fc2ベクターを同時トランスフェクトしたExpi293F細胞培養物の上清(30ml)から精製した、5つの異なる特異性のIgG分子の収率(mg単位)を示すグラフである。n=3。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。 pDV2d(ISEを含有し、遺伝子IIIのAATAAAモチーフを含まない)及びpRK−Fc2ベクターを同時トランスフェクトした293T及びCHO細胞培養物の上清(30ml)から精製した、5つの異なる特異性のIgG分子の収率(mg単位)を示すグラフである。n=4。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。 Flagタグ配列に融合したCMVプロモーターTATAボックスとヒトIgG1上部ヒンジ領域との間の領域を示すpRK−Fab−Flagベクターの部分的配列図である。ヒンジ及びFlagタグ配列に、SV40ポリアデニル化シグナル(図示せず)が続く。ポリピリミジン領域及びコンセンサス分岐点(BP)を含む3’ssが示され、太字または太字及び下線付きである。ISE配列が示され、太字、下線付き、及び斜体である。ドナー転写産物とのハイブリダイゼーションを仲介するアンチセンス遺伝子III配列は、斜体及び下線付きである。図9は、出現順に、それぞれ、配列番号30及び31を開示する。 一般的なポリペプチド産物のモジュール式発現に可能な第1及び第2の核酸分子の相対的構成を示す模式図である。図はまた、真核細胞中の核酸分子の転写後の一般的なプレmRNA産物、生成された2つのプレmRNA産物間の予想されるトランススプライシング事象、及びスプライシングされたmRNA分子の翻訳後に得られる産物を示す。 一般的な2つ以上のポリペプチド産物のモジュール式発現に可能な第1及び第2の核酸分子の相対的構成を示す模式図である。図はまた、真核細胞中の核酸分子の転写後の一般的なプレmRNA産物、生成された2つのプレmRNA産物間の予想されるトランススプライシング事象、及びスプライシングされたmRNA分子の翻訳後に得られる産物を示す。 pDV2変異体及びpRK−Fc2を同時トランスフェクトしたExpi293F細胞におけるMab1重鎖及びFd−cP3融合タンパク質の発現を示す1組のウェスタンブロットである。トランスフェクトしたExpi293F溶解物をジチオスレイトール(DTT)で還元し、抗IgG1 Fc(上部パネル)または抗M13 p3(下部パネル)抗体を用いたウェスタンブロッティングにより分析した。GFP及びHC対照ベクターは、それぞれ、緑色蛍光タンパク質及びヒトIgG1重鎖を発現する。HCは、全長ヒトIgG1重鎖を示す。遺伝子III AATAAAは、遺伝子IIIの潜在的ポリアデニル化部位の存在を示す。FCは、推定される細胞質N末端切断型Fc断片発現産物を示す。NA、適用外。 Expi293F細胞で発現し、精製したIgG及びFab断片の分析を示す、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)ゲルである。pDV2d及びpRK−Fc2(IgG)またはpRK−FAB−F(Fab断片)を同時トランスフェクトしたExpi293F細胞の上清からの、発現し、精製したIgG及びFabを、精製し、還元または非還元条件下で4〜20%勾配SDS−PAGEにより分離し、クーマシーブリリアントブルーで染色した。バンドの同一性を、右側に示す。HC、重鎖。LC、軽鎖。Fd、重鎖Fd断片(VH+CH1+上部ヒンジ)。HC及びLC(非還元)バンドは、鎖間ジスルフィド結合を形成していない重鎖及び軽鎖であるが、IgG試料中で鎖内ジスルフィド結合を有し得る。非還元Fab試料中の約25kDaのバンドは、鎖間ジスルフィド結合を形成しなかったが、鎖内ジスルフィド結合を有し得る、共移行重鎖及び軽鎖を有する。 ファージ酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により検出された、ファージミドpDV2を伴うファージ上でのFab断片のディスプレイを示すグラフである。Fab−ジップ−ファージは、pFab−ジップファージミドを保有する大腸菌細胞をM13KO7ヘルパーファージに感染させることにより生成した。pDV2ファージは、pDV2dベクターを保有する大腸菌細胞をAmber−2614 KO7ファージに感染させることにより生成した。
I.定義
本明細書中の「抗体」という用語は、最も広範な意味で使用され、様々な抗体構造を包含し、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない。
Kabat番号付け方式は、可変ドメイン(およそ軽鎖の残基1〜107及び重鎖の残基1〜113)内の残基に言及する場合、一般的に使用される(例えば、Kabatら,Sequences of Immunological Interest.第5版.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。「EU番号付け方式」または「EU指数」は、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基に言及する場合、一般的に使用される(例えば、上記Kabatらにおいて報告されるEU指数)。「KabatのEU指数」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。本明細書に別段の記載がない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号の参照は、Kabat番号付け方式による残基番号付けを意味する。本明細書に別段の記載がない限り、抗体の重鎖定常ドメイン内の残基番号の参照は、EU番号付け方式による残基番号付けを意味する。
天然の基本的4鎖抗体単位は、2つの同一の軽鎖(LC)と2つの同一の重鎖(HC)からなるヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドを伴う基本的ヘテロ四量体単位の5つからなり、それゆえ10個の抗原結合部位を含有し、一方で、分泌されたIgA抗体は、重合して、J鎖を伴う基本的4鎖単位の2〜5を含む多価集合を形成することができる)。IgGの場合、4鎖単位は一般的に、約150,000ダルトンである。2つのHCがHCアイソタイプに応じて1つまたは2つ以上のジスルフィド結合により互いに連結されている一方で、各LCは1つの共有ジスルフィド結合によりHCに連結されている。また、各HC及びLCは、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各HCは、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、これに、α及びγ鎖の各々について3つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3)、並びにμ及びεアイソタイプについて4つのCjドメインが続く。各LCは、N末端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメイン(CL)が続く。VLはVHと整列し、CLは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列する。CH1は、ヒンジ領域により、重鎖の第2の定常ドメイン(CH2)に接続することができる。特定のアミノ酸残基が、軽鎖と重鎖可変ドメインとの間の接合点を形成すると考えられる。VH及びVLは、対を形成して、共に単一の抗原結合部位を形成する。様々なクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,第8版,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(編),Appleton&Lange,Norwalk,CT,1994,page71 and Chapter6を参照のこと。
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は通常、IgGの残基およそ231〜およそ340に延在する。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対になっていないという点で、独特である。むしろ、2つのN連結分岐炭水化物鎖が、無傷のネイティブIgG分子の2つのCH2ドメイン間に介在する。炭水化物はドメイン−ドメイン対形成の代替としてはたらき、CH2ドメインを安定化させるのに役立ち得ると推測されている。Burton,Molec.Immunol.22:161−206(1985)。
「CH3ドメイン」は、Fc領域(すなわち、IgGのアミノ酸残基およそ341〜アミノ酸残基およそ447)中のCH2ドメインに対してC末端であるひと続きの残基を含む。
任意の脊椎動物種からの軽鎖(LC)は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明らかに別個のタイプのうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列によって、免疫グロブリンは、様々なクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。5つのクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、それぞれ、α、δ、γ、ε、及びμという名称の重鎖を有する。γ及びαクラスは、CH配列及び機能の比較的小さな差異に基づいて更にサブクラスに分けられ、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を発現する。
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定の部分は、抗体間で配列が広範囲に異なるという事実を指す。Vドメインは抗原結合を仲介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定める。しかしながら、可変性は、可変ドメインの110アミノ酸の全長にわたって均一に分散されていない。その代わりに、V領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる15〜30アミノ酸の比較的不変のひと続き、及びこれを分離する「超可変領域」と呼ばれる、各々9〜12アミノ酸長の極端な可変性のより短い領域からなる。ネイティブの重鎖及び軽鎖の可変ドメインの各々は、主としてベータシート構造をとる4つのFRを含み、これらは、このβシート構造を接続し、いくつかの場合にはベータシート構造の部分を形成するループを形成する3つの超可変領域により接続されている。各鎖内の超可変領域は、FRによって共に近接して保持され、他の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991を参照のこと)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接的には関与しないが、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与等の様々なエフェクタ機能を示す。
「抗体断片」は、無傷の抗体が結合する抗原を結合する、無傷の抗体の一部を含む、無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例として、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’);二重特異性抗体;線形抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
「Fab」断片は、抗体のパパイン消化によって生成された抗原結合断片であり、H鎖の可変領域ドメイン(VH)を伴うL鎖全体と、1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とからなる。抗体のパパイン消化は、2つの同一のFab断片を生成する。抗体のペプシン処理により単一の大型F(ab’)2断片が生成され、これは概ね、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合されたFab断片に対応し、依然として抗原を架橋することができる。Fab’断片は、CH1ドメインのカルボキシ末端で、抗体ヒンジ領域からの1つまたは2つ以上のシステインを含む追加のいくつかの残基を有することにより、Fab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’についての本明細書中における名称である。F(ab’)2抗体断片は元々、Fab’断片の対で、それらの間にヒンジシステインを有する対として生成された。抗体断片の他の化学結合も知られている。
本明細書で使用する場合、「アダプタータンパク質」は、溶液中で別のアダプタータンパク質配列と特異的に相互作用するタンパク質配列を指す。一実施形態では、「アダプタータンパク質」は、ヘテロ多量体化ドメインを含む。かかるアダプタータンパク質は、ロイシンジッパータンパク質、または配列番号4(cJUN(R):ASIARL[E]E[K]V KTL[K]A[Q]NYEL [A]S[T]ANMLRE[Q] VAQLGGC)もしくは配列番号5(FosW(E):AS[I]DEL[Q]AE[V] EQLEE[R]NYAL [R]KE[V]EDL[Q]K[Q] [A]EKLGGC)のアミノ酸配列もしくはこれらの変形(非限定的に、下線付き及び太字のものを含むように改変され得る配列番号4及び配列番号5のアミノ酸)であって、この変形が、アダプタータンパク質の、別のアダプタータンパク質へのアフィニティを維持または増大させるアミノ酸改変を有する、変形を含むポリペプチド、または配列番号11(ASIARLRERVKTLRARNYELRSRANMLRERVAQLGGC)もしくは配列番号12(ASLDELEAEIEQLEEENYALEKEIEDLEKELEKLGGC)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号13(GABA−R1:EEKSRLLEKE NRELEKIIAE KEERVSELRH QLQSVGGC)もしくは配列番号14(GABA−R2:TSRLEGLQSE NHRLRMKITE LDKDLEEVTM QLQDVGGC)もしくは配列番号15(Cys:AGSC)もしくは配列番号16(Hinge:CPPCPG)のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。コートタンパク質またはアダプタータンパク質をコードする核酸分子は、合成イントロン内に含まれる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロ多量体化ドメイン」は、ヘテロ多量体形成を促進し、ホモ多量体形成を妨害するための、生物学的分子への変更または追加を指す。ホモダイマーよりヘテロダイマーを形成する強い優先性を有する任意のヘテロ二量体化ドメインは、本発明の範囲内である。例示的な例として、例えば米国特許出願第20030078385号(Arathoonら、Genentech、ホールへのノブを説明する)、国際特許公開第WO2007147901号(Kjargaardら、Novo Nordisk、イオン性相互作用を説明する)、国際特許公開第WO2009089004号(Kannanら、Amgen、静電ステアリング効果を説明する)、国際特許公開第WO2011/034605号(Christensenら、Genentech、多重コイルを説明する)が挙げられるが、これらに限定されない。また、例えば、ロイシンジッパーを説明するPack,P.& Plueckthun,A.,Biochemistry 31,1579−1584(1992)、またはヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフを説明するPackらBio/Technology 11,1271−1277(1993)を参照のこと。「ヘテロ多量体化ドメイン」及び「ヘテロ二量体化ドメイン」という句は、本明細書中で相互変換可能に使用される。
本明細書で使用する場合、「クローニング部位」という用語は、互換性のある付着末端または平滑末端を含有する核酸配列のライゲーションによる制限エンドヌクレアーゼ仲介クローニングのための制限酵素部位、ホモロジー及び「オーバーラップPCRスティッチング」という延長によるインサートDNAのPCR仲介クローニングのためのプライミング部位として働く核酸配列の領域、または組換え−交換反応による標的核酸配列のリコンビナーゼ仲介挿入のための組換え部位、または標的核酸配列のトランスポゾン仲介挿入のためのモザイク末端、及び本分野で一般的な他の技術を含有する核酸配列を指す。
本明細書で使用される場合、「コートタンパク質」は、pIII、pVI、pVII、pVIII、及びpIXを含むファージ粒子の構成要素である5つのカプシドタンパク質のいずれかを指す。一実施形態では、「コートタンパク質」は、タンパク質またはペプチドをディスプレイするために使用され得る(Phage Display,A Practical Approach,Oxford University Press,edited by Clackson and Lowman,2004,p.1−26を参照のこと)。一実施形態では、コートタンパク質は、pIIIタンパク質またはそのいくつかの変形、部分、及び/もしくは誘導体であってよい。例えば、M13バクテリオファージpIIIコートタンパク質(cP3)のC末端部分、例えばM13ファージのタンパク質IIIのC末端残基267〜421をコードする配列を使用してよい。一実施形態では、pIII配列は、配列番号17のアミノ酸配列(AEDIEFASGGGSGAETVESCLAKPHTENSFTNVWKDDKTLDRYANYEGCLWNATGVVVCTGDETQCYGTWVPIGLAIPENEGGGSEGGGSEGGGSEGGGTKPPEYGDTPIPGYTYINPLDGTYPPGTEQNPANPNPSLEESQPLNTFMFQNNRFRNRQGALTVYTGTVTQGTDPVKTYYQYTPVSSKAMYDAYWNGKFRDCAFHSGFNEDPFVCEYQGQSSDLPQPPVNAGGGSGGGSGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSGGGSGSGDFDYEKMANANKGAMTENADENALQSDAKGKLDSVATDYGAAIDGFIGDVSGLANGNGATGDFAGSNSQMAVGDGDNSPLMNNFRQYLPSLPQSVECRPFVFSAGKPYEFSIDCDKINLFRGVFAFLLYVATFMYVFSTFANILRNKES)を含む。一実施形態では、pIII断片は、配列番号18のアミノ酸配列(SGGGSGSGDFDYEKMANANKGAMTENADENALQSDAKGKLDSVATDYGAAIDGFIGDVSGLANGNGATGDFAGSNSQMAQVGDGDNSPLMNNFRQYLPSLPQSVECRPFVFGAGKPYEFSIDCDKINLFRGVFAFLLYVATFMYVFSTFANILRNKES)を含む。
本明細書で使用される場合、「発現カセット」は、特定の生物学的及び/または生化学的活性を有する特異的核酸配列を含む核酸断片(例えばDNA断片)を意味する。「カセット」、「遺伝子カセット」、または「DNAカセット」という表現は、相互変換可能に使用することができ、同じ意味を有することができる。
「宿主細胞」、「宿主細胞系」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、相互変換可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞(かかる細胞の子孫を含む)を指す。宿主細胞は、初代形質転換細胞及び継代数にかかわらず、それに由来する子孫を含む、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含む。子孫は、核酸含有量が親細胞と完全に同一でなくてもよいが、突然変異を含有してもよい。元の形質転換された細胞においてスクリーニングされ、または選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫は、本明細書に含まれる。
本明細書中で使用される場合、「連結した」または「リンク(複数)」もしくは「リンク(単数)」は、ペプチドまたはホスホジエステル結合を介する、それぞれ、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の共有結合を指すこと意味し、かかる結合は、結合される2つのアミノ酸配列または核酸配列の間に任意の数の追加のアミノ酸または核酸配列を含んでよい。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で相互変換可能に使用される場合、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/もしくはそれらのアナログ、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによりもしくは合成反応によりポリマーに組み込まれ得る任意の基質であってよい。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらのアナログを含んでよい。ヌクレオチド構造に対する修飾が存在する場合、ポリマーの組織化の前または後に修飾してよい。ヌクレオチド配列は、非ヌクレオチド構成要素により中断されてよい。ポリヌクレオチドは、標識との接合による修飾等、合成後に更に修飾されてもよい。他の種類の修飾は、例えば天然ヌクレオチドの1つまたは2つ以上の、アナログでの「キャップ」置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非電荷連結を有するもの(例えばメチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート等)及び電荷連結を有するもの(例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)、ペンダント部分を含有するもの、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリLリジン等)、インターカレータを有するもの(例えばアクリジン、プソラレン等)、キレート剤を含有するもの(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属等)、アルキル化剤を含有するもの、修飾連結を有するもの(例えばアルファ芳香性核酸等)、並びにポリヌクレオチド(複数可)の非修飾形態を含む。更に、糖内に元々存在するヒドロキシル基のいずれかは、例えばホスホン酸基、リン酸基により置換され、標準の保護基により保護され、もしくは追加のヌクレオチドへの追加の連結を調製するために活性化されてもよく、または固体もしくは半固体支持に接合されてもよい。5’及び3’末端のOHは、リン酸化され、またはアミンもしくは1〜20炭素原子の有機キャッピング基部分で置換されてもよい。また、他のヒドロキシルは、標準の保護基に誘導体化してよい。また、ポリヌクレオチドは、例えば2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−、または2’−アジド−リボースを含む、本分野で一般に知られているリボースまたはデオキシリボース糖の類似形態;炭素環式糖アナログ;アルファ−アノマー糖;アラビノース、キシロース、またはリキソース等のエピマー糖;ピラノース糖;フラノース糖;セドヘプツロース;非環式アナログ;及びメチルリボシド等の塩基性ヌクレオシドアナログを含有してよい。1つまたは2つ以上のホスホジエステル結合は、代替の連結基により置換してよい。これらの代替の連結基として、リン酸塩がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、「(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH(「ホルムアセタール」)により置換される実施形態を含むが、これらに限定されず、ここで、各RまたはR’は独立して、H、または任意にエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、もしくはアラルジルを含有する置換もしくは非置換アルキル(1〜20C)である。ポリヌクレオチド内の全ての連結が同一である必要はない。上記説明は、RNA及びDNAを含む本明細書中で言及される全てのポリヌクレオチドに適用する。
核酸が別の核酸配列との構造的または機能的関係に置かれる場合、核酸は「作動可能に連結」されている。例えば、DNAの1つのセグメント及びDNAの別のセグメントが同じ連続DNA分子上で互いに位置付けられ、かつコード配列の転写を促進するようにコード配列に対して位置付けられる、プロモーターもしくはエンハンサー;翻訳を促進するようにコード配列に対して位置付けられる、リボソーム結合部位;またはプレタンパク質(例えばコードされたポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質)の発現を促進するようにコード配列に対して位置付けられる、プレ配列もしくは分泌リーダー等の構造的または機能的関係を有する場合、DNAの1つのセグメントはDNAの別のセグメントに作動可能に連結することができる。他の例では、作動可能に連結された核酸配列は連続していないが、それらは核酸として、またはそれらにより発現されるタンパク質として互いに機能的な関係を有するように位置付けられる。例えば、エンハンサーは、連続していなくてもよい。連結は、便利な制限酵素部位でのライゲーションにより、または合成オリゴヌクレオチドアダプターもしくはリンカーを使用することにより達成することができる。
「ポリアデニル化シグナル」または「ポリアデニル化部位」という用語は、細胞内で発現されたRNA分子へのポリアデノシンリボ核酸の付加を指示するのに十分な配列を意味するために本明細書で使用される。
「プロモーター」は、メッセンジャーRNAにおける遺伝子配列の転写開始を可能にする核酸配列であり、かかる転写は、プロモーター上またはプロモーター近くのRNAポリメラーゼの結合で開始される。
「3’スプライス部位」という用語は、スプライシング機構により認識及び結合され得る3’イントロン/エクソン境界の、核酸配列、例えばプレmRNA配列を意味すると意図される。
「5’スプライス部位」という用語は、スプライシング機構により認識及び結合され得る5’エクソン/イントロン境界の、核酸配列、例えばプレmRNA配列を意味すると意図される。
「潜在性スプライス部位」という用語は、突然変異により、または別の方法で活性化され、スプライシングエレメントとして働くことができる、通常休止状態の5’または3’スプライス部位を意味することが意図される。例えば、突然変異は、ネイティブまたはドミナント5’スプライス部位の下流の5’スプライス部位を活性化し得る。この「潜在性」スプライス部位の使用は、ネイティブまたはドミナントスプライス部位の使用により生成されない別個のmRNAスプライシング産物の生成をもたらす。
本明細書で使用する場合、「トランススプライシング」という用語は、別々の非連続的RNA分子上に含有されるエクソンの結合を意味する。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する、抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は一般的に、同様の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えば、Kindtら Kuby Immunology,第6版,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照のこと。)単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。更に、特定の抗原に結合する抗体は、VHまたはVLドメインを用いて、それぞれ、相補的VLまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングするための抗原に結合する抗体から単離することができる。例えば、Portolanoら,J.Immunol.150:880−887(1993);Clarksonら,Nature 352:624−628(1991)を参照のこと。
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが連結される別の核酸を増幅することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及びベクターが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結される核酸の発現を指示することができる。かかるベクターは、本明細書中で「発現ベクター」と呼ばれる。
II.モジュール式ポリペプチド発現系
本発明は、少なくとも部分的に、モジュール式組換えタンパク質発現を可能にするために、プレmRNAトランススプライシングを哺乳動物細胞内で利用することができるという発見に基づいている。モジュール式の、柔軟なタンパク質発現の概念により、他のタンパク質−タンパク質スプライシング方法の要件及び制約のいずれも伴わずに、2つの異なる構築物によりコードされる任意の2つのタンパク質コード配列を正確に結合して、ポリペプチド鎖をコードする単一のmRNAにすることが可能になる。この概念は、繰り返しモジュールの様々な組み合わせを有するタンパク質の多くのコレクションを哺乳動物細胞で発現することを必要とする他の技術を簡素化し、拡張するために適合させることができる。
ここでは、ファージディスプレイ発現系との関連で様々な抗体フォーマットのモジュール式発現を可能にする、多数のポリペプチド発現系の生成を説明する。必要な核酸構成要素、ベクター、宿主細胞、及び本発明のポリペプチド発現系を使用する方法は、本明細書で説明する。
A.発明の実施様式
本発明の実施は、別途指示されない限り、当該分野の技術範囲内である、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来技術を使用する。かかる技術は、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」第2版(Sambrookら,1989)、「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait,版,1984)、「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney,版,1987)、「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.)、「Handbook of Experimental Immunology」第4版(D.M.Weir&C.C.Blackwell,編,Blackwell Science Inc.,1987)、「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」(J.M.Miller&M.P.Calos,編,1987)、「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubelら,編,1987)、「PCR:The Polymerase Chain Reaction」(Mullisら,編,1994)、及び「Current Protocols in Immunology」(J.E.Coliganら,編,1991)等の文献で完全に説明されている。
B.モジュール式タンパク質発現系
本発明のポリペプチド発現系は、同じまたは異なる(例えば再フォーマットされた)形態のポリペプチド(例えば融合タンパク質)の発現を支持することができる。本発明は、トランススプライシングのプロセスを用いることにより、宿主細胞依存的様式での目的のタンパク質の様々な形態(例えば様々なフォーマットまたは様々な融合形態)のモジュール式発現及び生成のための、かかるポリペプチド発現系を生成するための手段を提供する。
1.モジュール式タンパク質発現系の核酸構成要素
a.モジュール式タンパク質発現系の核酸構成要素の構造
タンパク質発現系は、方向付けられたプレmRNAトランススプライシングのプロセスを介して任意の所望のポリペプチドの柔軟なモジュール式発現を一緒になって可能にする、少なくとも2つの核酸分子を使用する。第1の核酸分子は、真核生物プロモーター(P1Euk1)(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、サルウイルス40(SV40)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルスU3領域、ヤギ関節炎脳炎ウイルスU3領域、ビスナウイルスU3領域、またはレトロウイルスU3領域配列)を含む第1の発現カセットを含み、これは、ポリペプチドコード配列(PES1)に作動可能に連結されている。いくつかの場合、ポリペプチドコード配列は所望のポリペプチドの一部のみをコードし、残りの部分は第2の核酸分子上に含有されるポリペプチドコード配列(PES2)により供給される。第1の核酸分子は、PES1の下流(3’)であるが、ハイブリダイズ配列(HS1)の上流(5’)に位置する5’ss(5’ss1)(例えば、GTAAGA(配列番号8))を含んでもよい。
HS1配列は、PES1とインフレームに位置付けられ得るポリペプチドタグ、ラベル、コートタンパク質、及び/またはアダプタータンパク質の全てまたは一部をコードする遺伝子を含有してよく、このため、その発現は、HS1にコードされるタンパク質に融合されたPES1にコードされるタンパク質をもたらす。ある場合、HS1は、バクテリオファージM13、f1、またはfdのpI、pII、pIII、pIV、pV、pVI、pVII、pVIII、pIX、及びpXからなる群から選択されるコートタンパク質の全てまたは一部をコードする遺伝子である。例えば、PES1は、抗体またはそのFab断片の全てまたは一部をコードすることができ、HS1配列は、コートタンパク質をコードすることができ(例えば、バクテリオファージM13のpIIIタンパク質の全てまたは一部、例えばpIII断片は、pIIIタンパク質のアミノ酸残基267〜421またはpIIIタンパク質のアミノ酸残基262〜418を含み)、抗体−またはFab断片−pIIIタンパク質融合産物をもたらす。別の場合、HS1は、ロイシンジッパー等のアダプタータンパク質の全てまたは一部をコードする遺伝子であり、ロイシンジッパーは、配列番号4または5のアミノ酸配列を含む。
加えて、第1の核酸分子は、P1Euk1に対して3’及びPES1に対して5’に位置する真核生物シグナル配列(ESS1)をコードすることができる。したがって、第1の核酸分子は、P1Euk1−ESS1−PES1−5’ss1−HS1として5’〜3’方向に互いに連結される(例えば作動可能に連結される)上記構成要素を含んでよい。
タンパク質発現系の第2の核酸分子は、ポリペプチドコード配列(PES2)に作動可能に連結された、真核生物プロモーター(P2Euk)(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはサルウイルス40(SV40)プロモーター)を含んでよい。いくつかの場合、ポリペプチドコード配列は所望のポリペプチドの一部のみをコードし、残りの部分は第1の核酸分子上に含有されるポリペプチドコード配列(PES1)により供給される。第2の核酸分子は、PES2に対して5’に位置する3’スプライス部位(3’ss2)を含んでよい。第2の核酸分子は、P2Eukと3’ss2との間に位置するHS1にハイブリダイズすることができるハイブリダイズ配列(HS2)を含んでよい。更に、第2の核酸分子は、ポリアデニル化部位(pA2)を含んでもよく、ここで、第2の核酸分子の構成要素は、P2Euk−HS2−3’ss2−PES2−pA2として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される。
それゆえ、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)内の第1及び第2の核酸プレmRNA産物間のトランススプライシングは、別々のmRNA分子上に位置する相補的配列(すなわち、HS1及びHS2)のハイブリダイゼーションにより誘発され、このため、第1の分子の孤立した5’スプライス部位(5’ss1)と第2の分子の孤立した3’スプライス部位(3’ss2)とは、近接するようになり、トランススプライシングが起こり、所望のトランススプライシングされたmRNA転写産物の形成を支持する。加えて、トランススプライシングを促進するために、第1の核酸分子は、5’ss1とHS1との間に位置付けられるイントロンスプライスエンハンサー(ISE)(ISE1)を含んでもよい。ISE1は、例えば、9つの連続グアニン残基を有するG−run等の、3つまたはそれ以上の連続グアニン残基を有するG−runを含む。更に、第1及び第2の核酸プレmRNA産物間のトランススプライシングは、第1の核酸分子がPES1及び/またはHS1構成要素の下流の標準のポリアデニル化部位を欠くように遺伝子操作することにより、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、Expi293F、293T、またはCHO細胞)内のそれらの転写の際に誘導され得る。これは、第2の核酸分子のmRNA転写産物とのトランススプライシングが起こり得る前に細胞質に輸送され得る成熟mRNA転写産物の形成を最小限にするであろう。
いくつかの場合、別々のポリペプチド産物を同時に発現することが望ましい場合がある。例えば、第1及び第2の核酸分子の両方によりコードされる第1のポリペプチド産物と自己組織化することができる第2のポリペプチド産物を発現して、所望のヘテロ多量体タンパク質産物(例えば、重鎖及び軽鎖の両方からなる抗体)を形成することが望ましい場合がある。この目的のために、第1及び/または第2の核酸分子は、第2の発現カセットを更に含んでもよい。例えば、第1の核酸分子が第2の発現カセットを含む場合において、第2の発現カセットは、第2の真核生物プロモーター(P1Euk2)、(ii)真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする第2の核酸配列、(iii)第2のポリペプチドコード配列(PES1)、及び(iv)ポリアデニル化部位(pA1)を含んでよく、これらの構成要素は、P1Euk2−ESS1−PES1−pA1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される。いくつかの場合、第2の発現カセットは、ESS1構成要素を含まなくてもよい(例えば、発現されたポリペプチドの分泌が必要とされないか、または望ましくない場合)。したがって、第1の核酸分子は、別々のプロモーター下で2つのポリペプチド産物をコードし、これにより第1の核酸分子のポリペプチド産物の1つをコードするmRNA転写産物の1つは、第2の核酸分子によりコードされるmRNA転写産物との方向付けられたトランススプライシングを介して形成された。いくつかの場合、第2の発現カセットは、第1の発現カセットに対して5’に位置付けられる。他の場合、第2の発現カセットは、第1の発現カセットに対して3’に位置付けられる。
b.原核細胞及び真核細胞の両方におけるポリペプチド発現
いくつかの場合、ポリペプチド発現系は、原核細胞及び真核細胞の両方に関するポリペプチド発現のために遺伝子操作で作製することができる。したがって、第1の核酸分子は、PES1またはいくつかの場合PES1及びHS1によりコードされるポリペプチド産物の発現が所望される場合、P1Euk1とPES1との間に位置付けられる切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を含んでよい。ePPMは、5’スプライス部位(5’ss1)、原核生物プロモーター(P1Prok1)、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする核酸配列、及び3’スプライス部位(3’ss1)を含んでよく、これらは、5’ss1−P1Prok1−PSS1−3’ss1として5’〜3’方向に互いに対して位置し、PES1、またはPES1及びHS1によりコードされるポリペプチドの転写を駆動するように作動可能に連結される。いくつかの場合、ePPMは、PSS1構成要素を含まなくてもよい(例えば、発現されたポリペプチドの分泌が必要とされないか、または望ましくない場合)。したがって、ePPMは、原核細胞内で第1の核酸分子のPES1にコードされるポリペプチドの転写を駆動し得る。一方、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)において、P1Euk1は、第1の核酸分子のPES1にコードされるポリペプチドの転写の発現を駆動し、ePPMは、5’ss1及び3’ss1構成要素に隣接する衝突のために、シススプライシングによりプレmRNA転写産物から除去され得る。
いくつかの場合、また、ePPMは、PSS1と3’ss1との間に位置付けられるポリピリミジン領域(PPT1)を含む。PPT1は、例えば、TTCCTTTTTTCTCTTTCCの配列(配列番号1)を含んでよい。また、第2の核酸分子は、例えば、HS2と3’ss2との間に位置付けられ得るポリピリミジン領域(PPT2)を含んでよい。PPT2は、例えば、TTCCTCTTTCCCTTTCTCTCCの配列(配列番号7)を含んでよい。加えて、第2の核酸分子は、HS2と3’ss2との間に位置付けられるISE(ISE2)を更に含んでよい。ISE2は、例えば、9つの連続グアニン残基を有するG−run等の、3つまたはそれ以上の連続グアニン残基を有するG−runを含んでよい。
ポリペプチド発現系の第1の核酸分子が第2の発現カセットを含む、いくつかの実施形態では、第2の発現カセットは、P1Euk2とPES1との間に位置付けられる切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を更に含んでよく、以下の構成要素:(i)5’スプライス部位(5’ss1)、(ii)原核生物プロモーター(P1Prok2)、(iii)原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする核酸配列、及び(iv)3’スプライス部位(3’ss1)を含み、これによりこれらの構成要素は、5’ss1−P1Prok2−PSS1−3’ss1として5’〜3’方向に互いに対して位置し、PES1によりコードされるポリペプチドの転写を駆動するように作動可能に連結される。いくつかの場合、ePPMは、PSS1構成要素を含まなくてもよい(例えば、発現されたポリペプチドの分泌が必要とされないか、または望ましくない場合)。第2の切除可能原核生物プロモーターモジュールは、上述した第1の切除可能原核生物プロモーターモジュールの様式と同様の様式で機能するであろう。
切除可能原核生物プロモーターモジュール(複数可)の原核生物プロモーター(複数可)は、phoA、Tac、Lac、もしくはTphacプロモーター(例えば、KimらPLoS One.7(4):e35844を参照のこと)、または本分野で既知の別の原核生物プロモーターであってよい。
原核細胞(例えば、大腸菌細胞)及び真核細胞(哺乳動物細胞、例えば、Expi293F細胞)細胞の両方において、目的のタンパク質を発現することができるベクターの構築における追加の課題は、これらの細胞型で発見されるシグナル配列の違いから生じる。シグナル配列のある特定の特徴は一般的に、原核細胞及び真核細胞の両方で保存されるが(例えば、配列の中央に位置する疎水性残基、及び成熟ポリペプチドのN末端で開裂部位に隣接する極性/荷電残基のパッチ)、他のものは、もう一方のものより一方の細胞型でより特徴的である。さらに、たとえ、配列が全て哺乳動物の起源のものであったとしても、異なるシグナル配列が、哺乳動物細胞における発現レベルへ著しい影響を有し得ることは当技術分野で既知である(Hallら,J of Biological Chemistry,265:19996−19999(1990)、Humphreysら,Protein Expression and Purification,20:252−264(2000))。例えば、細菌シグナル配列は典型的に、開始メチオニンの直後に正荷電残基(最も一般的にリジン)を有するが、一方でこれらは、哺乳動物シグナル配列中に常に存在するわけではない。
発現されたタンパク質の分泌が必要または所望される場合、原核生物中のペリプラズム及び真核生物中の小胞体に対して目的のポリペプチドの標的とする任意のシグナル配列(コンセンサスシグナル配列を含む)が、使用され得る。例えば、真核生物シグナル配列(例えば、ESS1またはESS1)は、マウス結合免疫グロブリンタンパク質(mBiP)シグナル配列(UniProtKB:受託番号P20029)または抗体重鎖もしくは軽鎖シグナル配列(例えば、マウスVH遺伝子シグナル配列)の全てもしくは一部に由来し得るか、または全てもしくは一部を含み得る。いくつかの実施形態では、原核生物シグナル配列(例えば、PSS1またはPSS1)は、熱安定性エンテロトキシンII(stII)遺伝子の全てもしくは一部に由来し得るか、または全てもしくは一部を含み得る。利用され得る他のシグナル配列は、ヒト成長ホルモン(hGH)(UniProtKB:受託番号BIA4G6)、ガウシアプリンセプスルシフェラーゼ(UniProtKB:受託番号Q9BLZ2)、及び酵母エンド−1,3−グルカナーゼ(yBGL2)(UniProtKB:受託番号P15703)からのシグナル配列を含む。シグナル配列は、天然または合成シグナル配列であり得る。いくつかの実施形態では、合成シグナル配列は、その非最適化天然シグナル配列と比較して、最適化されたレベルのディスプレイレベルを駆動する最適化シグナル分泌配列である。
2.ベクター、宿主細胞、及び生成方法
本発明は、上述した核酸分子のうちの1つ以上を含むベクターまたはベクターセットを特徴とする。したがって、本発明は、第1のベクター及び第2のベクターを含むベクターセットも特徴とし、ここで、第1及び第2のベクターは、上述したポリペプチド発現系の第1及び第2の核酸分子をそれぞれ含む。
上記で詳細に説明される核酸分子の構成要素に加えて、ベクターまたはベクターセットは、細菌の複製起点、哺乳動物の複製起点、及び/または対照として有用な(例えば、gDタンパク質)もしくは活性(例えば、タンパク質の精製、タンパク質のタグ付け、またはタンパク質の標識化)にとって有用なポリペプチドをコードする核酸を含み得る。
培養培地中で上記のベクター(複数可)またはベクターセット(複数可)のうちの1つ以上を含む宿主細胞を培養すること、及び宿主細胞(または宿主細胞の培養培地)から抗体を任意に回復することを含む、ポリペプチドを生成するための方法も、提供される。
C.モジュール式抗体発現及び再フォーマットのためのファージディスプレイベクター系
いくつかの実施形態では、抗体(例えば、全長抗体、例えば、全長IgG抗体、またはそれらの断片、例えば、Fab断片)は、本発明のポリペプチド発現系を使用して生成されることができる。同じクローンからのヒト細胞内で異なる抗体フォーマットの発現を可能にするファージディスプレイベクター系を設計することによるモジュール式タンパク質発現系の適用が示される。重鎖抗原結合領域及びファージディスプレイベクターによりコードされる定常領域の一部は、細胞内で発現の間、プレmRNAトランススプライシングによりポリペプチドの異なる一部をコードする配列を結合することにより、第2の補完構築物中でコードされる配列に直接的及び正確に融合された。
ファージFab配列のサブクローニングを必要とせずに、哺乳動物細胞におけるIgGの直接発現を可能にすることを目的としたポリペプチド発現系の使用が、以下の実施例1及び2に説明される。いくつかの場合、ポリペプチド発現系の第1の核酸分子は、Fab断片構成要素の全体をコードするために設計され得る。したがって、第1の核酸分子は、FabのVHドメイン及びCH1ドメインを有するポリペプチドをコードするPES1構成要素を含み得る。第1の核酸分子は、VLドメイン及びCLドメインをコードするPES1構成要素も含み得る。第1の核酸分子の転写は、2つの非連続プレmRNA産物をもたらし、これらは、ファージディスプレイの目的のために適切にタグ付け(例えば、M13のpIIIに融合される)され得るFab断片を共に形成する。
Fab断片を全長IgG抗体に再フォーマットするプロセスは続いて、抗体の残りの部分(すなわち、CH2及びCH3ドメイン)を提供する第2の核酸分子を伴って、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、Expi293F細胞)における第1の核酸分子の発現により達成されることができる。例えば、第2の核酸分子は、CH2ドメイン及びCH3ドメインを有するポリペプチドをコードするPES2構成要素を含み得る。真核細胞における第1及び第2の分子の転写は、3つのプレmRNA転写産物の生成をもたらし、プレmRNA転写産物をコードする重鎖が、互いにトランススプライシングを受けるために誘発され、所望のIgG抗体の再フォーマットされた全長重鎖を生成するであろう。次いで、処理されたmRNAは、翻訳され、IgG分子の軽鎖及び重鎖の両方の生成をもたらし、かかる生成は、労働集約的サブクローニングの必要性を必要としないであろう。
野生型IgG、Fab断片、または二重特異性フォーマットのためのFc修飾を有するIgG等の異なる抗体フォーマットを、異なるスクリーニング検定法のために必要とするとき、同じクローンから異なる抗体フォーマットを発現する能力は、抗体発見において有用である。本発明のポリペプチドの発現系は、原理的に、補完プラスミド中のCH1領域の後に追加される好適な配列を単にクローニングすることにより、これらのまたは追加のフォーマットのいずれかを可能にする。さらに、本系のモジュール式組織は、新規の補完プラスミドの構築のみを必要とするため、ファージディスプレイライブラリーのストックの再創出を必要とせず、新たな抗体フォーマットの発現を可能にする。核酸は、CH1コード領域下流からVHまたはJ−CH1接合点のJ領域(FR4)に5′ssを移し替えることにより任意のCH1領域の使用を可能にするように適合されることも可能であり、よって、2つの異なる核酸においてVH及び重鎖の全体の定常領域を分離する。核酸分子は、上部ヒンジをコードする配列後に終止コドンを単に追加することにより、大腸菌におけるFab断片の発現のための従来の方法と適合可能である。しかし、Fabファージディスプレイライブラリー中の重鎖及び遺伝子III配列の接合点におけるアンバー終止コドンは通常、著しくより低いレベルのディスプレイをもたらし、よって、少なくとも未経験のレパートリーライブラリーの場合、選択後にクローンの再フォーマットを必要とする(LeeらJournal of immunological methods.284:119−132,2004)。IgG発現のために使用されたのと同じ方法を使用する哺乳動物細胞におけるFab断片の発現は、大腸菌で通常得られるものと比較可能な収率を以って、再フォーマットに対するこの必要性を回避する。
このポリペプチド発現系により生成された抗体は、組換え生成されたキメラ、ヒト化、及び/またはヒト抗体を含むことができる。いくつかの場合、抗体は、抗体断片、例えばFab、Fv、Fab′、scFv、二特異性抗体、またはF(ab′)断片である。他の場合、抗体は、全長抗体、例えば本明細書で定義されるような無傷のIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4抗体、または別のクラスもしくはアイソタイプの他の抗体である。
発現された抗体は、以下の項1〜7で説明されるように、単独でまたは組み合わせて、いずれかの特徴を組み込み得る。
1.抗体親和性
本明細書で説明されるポリペプチド発現系により生成された抗体(例えば、Fabまたは全長IgG抗体)は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば10−8M以下、例えば10−8M〜10−13M、例えば10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有し得る。
一実施形態では、Kdは、以下の検定法により説明されるように、目的の抗体及びその抗原のFabバージョンで行われる放射標識された抗原結合検定法(RIA)により測定される。抗原に関するFabの溶液結合親和性は、標識化されていない抗原の滴定シリーズの存在下で、(125I)標識化された抗原の最小濃度でFabを平衡化することにより測定され、次いで、抗Fab抗体コートした板と結合した抗原を捕捉する(例えば、Chenら,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照のこと)。検定法のための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)多坑井型板(Thermo Scientific)が、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングされ、続いて、室温(約23℃)で2〜5時間、PBS中2%(w/v)のウシ血清アルブミンで遮断される。非吸着性の板(Nunc#269620)において、100pMまたは26pM[125I]抗原は、目的のFabの段階希釈と混合される(例えば、Prestaら,Cancer Res.57:4593−4599(1997)中の抗VEGF抗体、Fab−12の評価と矛盾しない)。次いで、目的のFabは、一晩培養されるが、培養は、平衡状態に到達したことを確実にするために、より長時間にわたって(例えば、約65時間)継続し得る。その後、混合物を、室温で(例えば、1時間)培養するために捕捉板に移される。次いで、溶液は、除去され、板は、8回、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で洗浄される。板が乾燥すると、150μl/ウェルのシンチラント(MICROSCINT−20(商標);Packard)が追加され、板は、10分間TOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)で数えられる。20%以下の最大結合を供する各Fabの濃度が、競合結合検定法での使用のために選ばれる。
別の実施形態に従って、Kdは、25℃で、約10の応答単位(RU)で不動化抗原CM5チップを用いて、BIACORE(登録商標)−2000またはBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用した表面プラズモン共鳴検定法を使用して測定される。要するに、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5,BIAcore Inc.)は、供給者の指示書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化される。抗原は、pH4.8の10mMの酢酸ナトリウムで5μg/ml(約0.2μM)に希釈し、約10の結合したタンパク質の応答単位(RU)を達成するように5μl/分の流量で注入される。抗原の注入後、反応していない群を遮断するために1Mのエタノールアミンが注入される。動態測定のために、2倍に段階希釈したFab(0.78nM〜500nM)が、25℃で約25μl/分の流量で0.05%のポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBSに注入される。会合速度(kon)と解離速度(koff)は、会合及び解離のセンサーグラムを同時に適合させることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して、算出される。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出した。例えば、Chenら,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照のこと。上記の表面プラズモン共鳴検定法による結合速度が10−1−1を超える場合、結合速度は、分光計、例えば、ストップフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、増加濃度の抗原の存在下で、pH7.2のPBS中、25℃における、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nM、発光=340nM、16nMの帯域通過)における増加または減少を測定する蛍光消光技術を使用することにより、決定されることができる。
2.抗体断片
ある特定の実施形態では、本明細書で説明されるポリペプチド発現系により生成された抗体は、抗体断片である。抗体断片は、Fab、Fab′、Fab′−SH、F(ab′)、Fv、及びscFv断片、ならびに以下に説明される他の断片を含むが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の総説については、HudsonらNat.Med.9:129−134(2003)を参照のこと。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore 編,(Springer−Verlag,New York),pp.269−315(1994)を参照されたく、国際特許公開第WO93/16185号、ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期を増加させるFab及びF(ab′)断片の考察のために、例えば、米国特許第5,869,046号を参照のこと。
二特異性抗体は、二価または二重特異性であり得る、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404,097号、国際特許公開第WO1993/01161号、Hudsonら,Nat.Med.9:129−134(2003)、及びHollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448(1993)を参照のこと。三特異性抗体及び四特異性抗体も、Hudsonら,Nat.Med.9:129−134(2003)で説明される。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6,248,516 B1号を参照のこと)。
3.キメラの及びヒト化抗体
ある特定の実施形態では、本明細書で説明されるポリペプチド発現系により生成された抗体(例えば、Fabまたは全長IgG抗体)は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体が、例えば米国特許第4,816,567号、及びMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))で説明される。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類、例えばサル由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のそれから変化した「クラスが転換された」抗体である。キメラ抗体は、それらの抗原結合断片を含む。
ある特定の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的に、非ヒト抗体は、ヒト化されて、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性を維持しながらヒトに対する免疫原性を低減する。一般的に、ヒト化抗体は、HVR、例えばCDR(またはそれらの部分)が、非ヒト抗体に由来し、FR(またはそれらの部分)が、ヒト抗体配列に由来する、1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部も含むであろう。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となる抗体)からの対応する残基で置換されて、例えば抗体の特異性または親和性を復元または改善する。
ヒト化抗体及びそれらの作製方法が、例えば、Almagro and Fransson, Biosci.13:1619−1633(2008)で確認され、例えば、Riechmannら,Nature 332:323−329(1988)、Queenら,Proc.Nat′l Acad.Sci.USA 86:10029−10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiriら,Methods36:25−34(2005)(SDR(a−CDR)グラフト化を説明する)、Padlan,Mol.Immunol.28:489−498(1991)(「表面再生」を説明する)、Dall′Acquaら,Methods36:43−60(2005)(「FRシャッフリング」を説明する)、ならびにOsbournら,Methods36:61−68(2005)及びKlimkaら,Br.J.Cancer,83:252−260(2000)(FRシャッフリングに対する「ガイド付き選択」手法を説明する)で更に説明される。
ヒト化のために使用され得るヒト枠組み領域は、「最良適合」方法を使用して選択される枠組み領域(例えば、SimsらJ.Immunol.151:2296(1993)を参照のこと)、軽鎖または重鎖可変領域の特別な下位群のヒト抗体のコンセンサス配列に由来する枠組み領域(例えば、CarterらProc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPrestaらJ.Immunol.,151:2623(1993)を参照のこと)、ヒト成熟(体細胞的に突然変異した)枠組み領域またはヒト生殖系枠組み領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照のこと)、ならびにスクリーニングFRライブラリーに由来する枠組み領域(例えば、Bacaら,J.Biol.Chem.272:10678−10684(1997)及びRosokら,J.Biol.Chem.271:22611−22618(1996)を参照のこと)を含むが、これらに限定されない。
4.ヒト抗体
ある特定の実施形態では、本明細書で説明されるポリペプチド発現系により生成された抗体(例えば、Fabまたは全長IgG抗体)は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で既知の様々な技術を使用して独自に調製され、次いで、その配列が同定された、組換えヒト抗体であり得る。ヒト抗体は概して、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368−74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450−459(2008)で説明される。
5.ライブラリー由来抗体
ファージディスプレイ系において有用である本明細書で説明されるポリペプチド発現系の利用により、本発明のポリペプチドの発現系により生成された抗体(例えば、Fabまたは全長IgG抗体)は、コンビナトリアルライブラリーを、所望の活性(複数可)を有する抗体に関してスクリーニングにより単離され得る。例えば、Hoogenboomらin Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brienら,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)、ならびに例えば in the McCaffertyら,Nature 348:552−554;Clacksonら,Nature 352:624−628(1991); Marksら,J.Mol.Biol.222:581−597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhuら,J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004)、Leeら,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004)、及びLeeら,J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)を参照のこと。
6.多重特異性抗体
ある特定の実施形態では、本明細書で説明されるポリペプチド発現系により生成された抗体(例えば、Fabまたは全長IgG抗体)は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、結合特異性のうちの1つは、第1の抗原に関し、他は、任意の他の抗原に関する。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、第1の抗原の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体は、細胞毒を、第1の抗原を発現する細胞に局限するためにも使用され得る。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体断片として調製されることができる。
「オクトパス抗体」を含めて、3つ以上の機能抗原結合部位を有する工学的に作製された抗体も、本明細書に含まれる(例えば、米国第2006/0025576A1号を参照のこと)。
本明細書の抗体または断片は、第1の抗原、ならびに別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」または「DAF」も含む(例えば、米国第2008/0069820号を参照のこと)。
7.抗体変異体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体が考慮される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体の全てまたは一部をコードする核酸分子列のうちの1つ以上に適切な修飾を導入することにより調製され得る。かかる修飾には、例えば抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、及び/またはアミノ酸配列中への残基の挿入、及び/またはアミノ酸配列中の残基の置換が含まれる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終構築を達成するように作製され得るが、但し、最終構築物は所望の特徴、例えば抗原結合性を保有することを条件とする。
ある特定の実施形態では、互いに対して1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体の収集が、本発明の発現系及び方法により生成されることができる。置換変異誘発のための目的の部位は、HVR及びFRを含む。保存的置換を表1の見出し「保存的置換」の下に示す。より実質的な変更は表1の見出し「典型的な置換」の下に提供され、アミノ酸側鎖クラスに関連して、以下で更に説明される。アミノ酸置換は、目的の抗体及び所望の活性、例えば、維持/改善された抗原結合、減少された免疫原性、または改善されたADCCもしくはCDCに関してスクリーニングされた産物中に導入され得る。
Figure 2017520255
アミノ酸は共通の側鎖特性に従って分類され得る:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うであろう。
置換変異体の1つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般的に、さらなる研究のために選択された得られた変異体(複数可)は、親抗体に対してある特定の生物学的特性における修飾(例えば、改善)を有し(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)、及び/または親抗体のある特定の生物学的特性を実質的に維持するであろう。典型的な置換変異体は、親和性成熟抗体であり、それは、例えば本明細書で説明されるもの等のファージディスプレイに基づく親和性成熟法を使用して簡便に生成され得る。要するに、1つ以上のHVR残基は、突然変異され、変異体抗体は、ファージ上に表示され、特定の生物活性(例えば、結合親和性)に関してスクリーニングされる。
変更(例えば、置換)は、例えば抗体親和性を改善するためにHVRにおいて行われ得る。かかる変更は、HVR「ホットスポット」、すなわち体細胞成熟プロセスの間、高頻度で突然変異を受けるコドンによりコードされる残基(例えば、Chowdhury,P.S.,Methods Mol.Biol.207:179−196(2008)を参照のこと)、及び/またはSDR(a−CDR)において行われ得、得られた変異体VHまたはVLは結合親和性に関して試験される。二次ライブラリーを構築し、それらから再選択することによる親和性成熟法は、例えばHoogenboom,H.R.ら in Methods in Molecular Biology 178 1−37(2001)(O’Brienら,版,Human Press,Totowa,NJに説明されている。親和性成熟法のいくつかの実施形態では、多様性は、種々の方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟させるために選ばれる可変部遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリーが創出される。次いで、ライブラリーは、所望の親和性を有する任意の抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するための別の方法はHVR指向手法を伴い、その方法では、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4〜6個の残基)がランダム化される。抗原結合で伴われるHVR残基は、例えばアラニンスキャニング変異誘発またはモデリングを使用して、具体的に同定され得る。特にCDR−H3及びCDR−L3がしばしば標的とされる。
ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、かかる変更が抗原を結合する抗体の能力を実質的に低減しない限り、1つ以上のHVR内で起こり得る。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的変更(例えば、本明細書で提供される保存的置換)は、HVRにおいて行われ得る。かかる変更は、HVR「ホットスポット」またはSDR以外の箇所であり得る。上記で提供された変異体VH及びVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは変更していないか、または1、2、もしくは3つを超えるアミノ酸置換を含有しないかのどちらかである。
変異誘発の標的となり得る抗体の残基または領域の同定にとって有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081−1085により説明される「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、残基または標的残基のグループ(例えば、arg、asp、his、lys、及びglu等の荷電残基)は、同定され、かつ中性または負に荷電されたアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)により交換されて、抗体と抗原との相互作用が影響を受けたかどうかを決定する。さらなる置換が、初期置換に対して機能感受性を示すアミノ酸位置に導入され得る。あるいは、または加えて、抗体と抗原との間の接触点を同定するための抗原−抗体複合体の結晶構造。かかる接触残基及び隣接残基は、置換のための候補として標的とされ得るか、または排除され得る。変異体は、それらが所望の特性を含有するかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
アミノ酸配列の挿入は、長さにおいて1個の残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドに及ぶアミノ末端及び/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列間挿入を含む。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドへの、抗体のN末端またはC末端への融合を含む。
ファージ抗体ディスプレイベクター系との関連でプレmRNAトランススプライシングによるモジュール式タンパク質発現の概念が本明細書で詳細に説明されるが、本明細書で説明される核酸分子、ベクター、ベクターセット、宿主細胞、及び方法の使用により例示される概念の適用は、例えば繰り返しモジュールの異なる組み合わせを有するタンパク質の多くのコレクションを哺乳動物細胞で発現することを必要とする他の技術に適合及び拡張することができる。
III.実施例
以下は、本発明の実施例である。様々な他の実施形態が、上記で提供された一般的な記述に基づいて実践され得ることを理解されたい。
実施例1.ファージディスプレイベクターと関連する抗体再フォーマットのためのモジュール式タンパク質発現系の生成
ポリペプチドのモジュール式発現及び生成のためのポリペプチド発現系の生成が説明される。本発明は、少なくとも部分的に、モジュール式組換えタンパク質発現を可能にするために、プレmRNAトランススプライシングを哺乳動物細胞において活用することができることを示す実験の発見に基づいている。モジュール式タンパク質発現の概念により、他のタンパク質−タンパク質スプライシング方法の要件及び制約のいずれも伴わずに、2つの異なる構築物によりコードされる任意の2つのタンパク質コード配列を正確に結合して、ポリペプチド鎖をコードする単一のmRNAにすることが可能になる。プレmRNAトランススプライシングによるモジュール式タンパク質発現の概念は、繰り返しモジュールの異なる組み合わせを有するタンパク質の多くのコレクションを哺乳動物細胞で発現することを必要とする他の技術を簡素化し、拡張するために適合させることができる。例えば、この概念は、単一のポリペプチド中の融合タンパク質パートナーまたは突然変異の組み合わせの発現を必要とする他の設定で用途を見出すであろう。この技術は、単純及び有効的の両方であり、どのような規模においても適用を可能にし、現代の多くの生物工学の基礎である哺乳動物細胞における組換えタンパク質発現の分野にとって広範な重要性を有する。
ここでは、ファージディスプレイ発現系との関連で異なる抗体フォーマットのモジュール式発現を可能にする、かかるポリペプチド発現系の生成が説明される。ファージディスプレイは、治療及び試薬抗体の開発に関して、抗体断片の発見及び工学的作製において幅広く使用される(McCaffertyらNature.348:552−554,1990、Sidhu.Current opinion in biotechnology.11:610−616,2000、Smith.Science.228:1315−1317,1985)。ファージディスプレイは従来、抗原特異性結合剤の迅速な選択を可能にするが、選択された抗体断片のスクリーニングを限定した。抗体断片の詳細な特徴付けはしばしば、哺乳動物細胞において通常発現される全長免疫グロブリンG(IgG)の発現を必要とする。しかし、このプロセスの1つの限定ステップは、IgG発現のためにファージクローンを哺乳動物発現ベクターに再フォーマットすることである。高スループットサブクローニング方法は、多数のクローンを再フォーマットするために使用されることができるが、これらの方法は通常、相対的に労働集約的であり、スクリーニング段階を超えて使用されないであろう多くのクローンを産生する。
サブクローニングに対する必要性を回避し、モジュール式タンパク質発現を可能にするために、第1の核酸分子:二重宿主ベクター、pDV2が生成された(図1)。細菌または哺乳動物細胞のどちらか一方における重鎖の発現のために工学的に作製されたシグナル配列を有するIgG発現カセットを含有し、完全IgG発現のための軽鎖を発現する哺乳動物発現ベクターを有する哺乳動物細胞の同時トランスフェクションを必要とする前述の二重ベクターpDVと違い(TesarらProtein engineering,design&selection:PEDS.26:655−662,2013)、pDV2は、細菌プロモーター及び哺乳動物細胞におけるスプライシングにより除去されるイントロン中に埋め込まれたstIIシグナル配列の殆どを含有する。
pDV2中のstIIシグナル配列を、3′スプライス部位(3′ss)及び3′ssの前に最適化されたポリピリミジン領域(PPT)の両方を含むように修飾した。これは、stIIシグナル配列中に3つの相対的に保存的なアミノ酸置換を導入することを必要とし、これは、ファージ上のFab断片の表示に影響を与えなかった(図2)。同じクローンからの抗体フォーマットのモジュール式で柔軟な発現を可能にするために、CH1ドメインをコードする領域から下流に定常領域をコードする、完全なイントロン及びエクソンを追加しなかった。代わりに、第2の核酸分子からトランスでこれらの重鎖配列を追加しようとした。これを達成するために、2つの異なるプレmRNAを結合して単一の成熟mRNAを形成する、プレmRNAトランススプライシングのプロセスを活用した。5′ssから下流及び3′ssから上流への相補的配列のハイブリダイゼーションにより単独5′ss及び3′ssを有するプレmRNAをもたらすことにより哺乳動物細胞におけるトランススプライシングを誘発して、単一の非共有結合的プレmRNAを形成することができ、次いで、それを正規のプレmRNAとしてスプライスする(KonarskaらCell.42:165−171,1985、PuttarajuらNature biotechnology.17:246−252,1999、Solnick.Cell.42:157−164,1985)。この特別なポリペプチド発現系では、ハイブリダイズ配列としてM13遺伝子III(gIII)の150−bpの断片を使用した(図1)。この遺伝子III配列は、CH1をコードする配列の3′境界で前述の最適化されたGTAAGA 5′ssに続く(TesarらProtein engineering,design&selection:PEDS.26:655−662,2013)。
ポリペプチド発現系を完了するために、リンカー配列、コンセンサス分岐点、及びPPTが続く150−ntアンチセンス遺伝子III配列、ならびにヒンジ、1つのエクソン中のCH2とCH3領域、及びSV40ポリアデニル化シグナルが続く3′ssを含有するプレmRNAを発現する補完プラスミドである、第2の核酸分子pRK−Fcを生成した(図1及び3)。この転写産物は、シグナル配列をコードせず、第1の2つの潜在的な開始コドンは、フレーム外の、アンチセンス遺伝子III配列中及びヒンジ領域中に位置される。よって、5′ssを除いて、スプライシングのために必要とした他の全ての配列を、pDV2よりむしろpRK−Fcによりコードする。Expi293F細胞(インビトロゲン)とpDV2及びpRK−Fcとの同時トランスフェクションは、基線であるが検出可能な発現レベルのIgGをもたらした(図4A)。
実施例2.ファージディスプレイベクターと関連する抗体再フォーマットのための最適化されたモジュール式タンパク質発現系の生成
pDV2及びpRK−Fcにより達成された基線IgG収率は、効率的なトランススプライシングのために必要とされる配列、またはトランススプライシングを阻害するベクター中の配列の欠如に起因した可能性がある。エクソン及びイントロンの両方におけるヌクレオチドモチーフは、それらの位置に応じて、スプライシングエンハンサーまたはサプレッサーまたはそれらの両方として作用することができる。ベクター設計の目的に関して、イントロンスプライスエンハンサー(ISE)が、哺乳動物細胞発現においてコード配列に影響を与える可能性が低いため、簡単に追加することができる。1つのよく説明されたISEは、イントロン境界に近接して位置される、3つ以上の連続グアニン残基の配列またはG−runから構成されており、それらは、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質HまたはFにより結合されて、スプライシングを増進する(Wangら Nature structural&molecular biology.19:1044−1052,2012、Xiaoら Nature structural&molecular biology.16:1094−1100,2009)。加えて、G−runに限定されず5′ssに近接するプリンに富むイントロン配列も、スプライシングを増進することが示されている(Hastingsら RNA.7:859−874,2001)。
よって、M13バクテリオファージpIIIコートタンパク質(cP3)の上部ヒンジとC末端部との間でリンカーをコードする領域において9−ntのG−run、ならびに下流に第2の4−ntのG−run10ntを有する、5′ssから下流に23−塩基対(bp)のプリンに富む領域26−bpを含む、pDV2、pDV2bの変異体を創出した(図5)。この変異体は、上部ヒンジとcP3との間でGly−Arg−Proリンカーを3つのGly残基に変化させる。ベクターは、重鎖カセットのための標準ポリアデニル化部位を含まなかった。この理由は、ベクターからの成熟重鎖mRNAの形成を最小限に抑えようと試みたためであり、次いで、これは細胞質に輸送され、トランススプライシングが起こり、Fab−cP3融合タンパク質の発現を潜在的に引き起こす可能性がある。pRK−Fc分子も、最適化した。3′ss付近のイントロンG−runは、インビトロにおけるスプライシングを刺激することが示されている(Martinez−Contreras.PLoS biology.4:e21,2006)。それゆえ、9−ntのISEを、分岐部位から上流に追加して、最適化された補完プラスミドpRK−Fc2を生成した(図6)。ヒトExpi293F細胞とpDV2、及びpRK−Fc(ISE−)またはpRK−Fc2(ISE+)との同時トランスフェクションは、基線レベルのIgG発現をもたらした(図4A)。Expi293F細胞とISE+pDV2bプラスミド、及びpRK−FcまたはpRK−Fc2との同時トランスフェクションは、より高いレベルのIgG発現をもたらし、ISE+プラスミドpDV2b及びpRK−Fc2を同時トランスフェクすることにより産生された最大25μg/mlの最も高い発現レベルは、両方の転写産物中のISE配列が、トランススプライシングの効率を増進することを示す。
トランスフェクトしたExpi293F細胞内の基線IgG発現レベルは、トランスフェクションの7日後の見掛けの細胞溶解に関連し、pRK−FcまたはpRK−Fc2ではなくpDV2またはpDV2bが、単独でトランスフェクトされたときに観察された。抗M13p3抗体を用いたウェスタンブロッティングによりトランスフェクトした細胞溶解質の分析は、M13cP3ペプチドに融合したIgG1Fd断片(VH−CH1−上部ヒンジ)の発現と一致する、約41kDaの見掛けの分子量を有するポリペプチドを明らかにした(図12、下部パネル、列3〜6)。このポリペプチドの発現は、補完プラスミド無しでpDV2またはpDV2bでトランスフェクトした細胞においてより高かった。結果は、pDV2及びpDV2bプラスミドが両方とも、重鎖カセットからベクター下流で哺乳動物ポリアデニル化部位を欠如しているという事実にもかかわらず、潜在的に毒性である産物をコードする成熟mRNAを発現できることを示した。
cP3をコードする遺伝子III配列の目視検査は、ポリアデニル化部位として作用することが可能であるAATAAAモチーフを明らかにした(図2)。この部位に2つのサイレント突然変異を導入して、これが哺乳動物細胞における毒性を低減し、タンパク質発現を改善するかどうかを試験するためにプラスミドpDV2c(ISE−)及びpDV2d(ISE+)を生成した。Expi293F細胞とpRK−Fc、及びpDV2cまたはpDV2dとの同時トランスフェクションは、遺伝子III中の潜在的ポリアデニル化部位により、pDV2及びpDV2bベクターに対して約6倍高いレベルのIgG発現をもたらした(図4A)。このIgG発現レベルの増加は、トランスフェクトした細胞の高い生存能力及びトランスフェクトした細胞内のFd−cP3融合タンパク質の著しく低減されたかまたは検出不可能な発現に関連した(図12、下方パネル、列7〜10)。これは、遺伝子III内のドナーベクター中の潜在的ポリアデニル化部位の存在は、タンパク質発現に著しい負の影響を有する、ドナープラスミド単独からの不要なタンパク質発現を引き起こすことを示す。Expi293F細胞とpDV2cまたはpDV2d、及びISE+pRK−Fc2補完ベクターとの同時トランスフェクションは、ISE−pRK−Fcベクターとの同時トランスフェクトと比較してさらに2倍のIgG発現の増加をもたらした(図4A)。これらの結果は、pDV2ベクター中の基線タンパク質発現を決定する主要な要因は、遺伝子III中の潜在的ポリアデニル化部位の存在であるが、一方で潜在的遺伝子IIIポリアデニル化モチーフが存在しないとき、ISEの追加は、タンパク質発現に軽微な効果を有することを示す。対照的に、補完pRK−Fc2プラスミド中のISEの追加は、遺伝子III中の潜在的ポリアデニル化部位無しにpDV2変異体を同時トランスフェクトするとき、約2倍高いIgG収率をもたらす(図4A)。
タンパク質発現のさらなる最適化を、トランスフェクションのための最適DNA比を決定することにより達成した。pDV2dに対して2:1過剰の補完プラスミドpRK−Fc2を使用することは、この系において最も高いIgG発現収率をもたらした(図4B)。最適化されたDNA比を有するpDV2d及びpRK−Fc2を使用すると、トランスフェクトしたExpi293F細胞の30mlの上清から精製されたIgGの収率は、3.2±1.2mg(n=3)であった。これらのプラスミドを同時トランスフェクトしたExpi293F細胞から精製されたIgGは、質量分析及びSDS−PAGEにより、従来の発現ベクターにより発現された同じIgGと区別がつかなかった(図7A〜7B及び図13)。Expi293F細胞と異なる特異性の可変領域をコードするpDV2d及び最適化されたDNA比を有するpRK−Fc2との同時トランスフェクションは、トランスフェクトしたExpi293F細胞の30mlの上清から精製された2.5〜5.5mgのIgGの高いIgG発現をもたらした(図8A)。ポリペプチド発現系は、高い発現レベルを達成するためのExpi293F細胞の使用に限定されない。293T及びCHO細胞等の、IgG発現のために幅広く使用される他の哺乳動物細胞株も、効果的であった。293TまたはCHO細胞と異なる特異性の可変領域を発現するpDV2d及びpRK−Fc2との同時トランスフェクションは、高いIgG発現をもたらした(図8B)。
pRK−Fc2ベクターを、pDV2プラスミドと同時トランスフェクトしたとき、Fab断片の発現のために修飾した。pRK−Fc2においてより低いヒンジ及びFc領域をコードする配列を除去し、pRK−Fab−Flagベクターを産生するためにFlagタグと交換した(図9)。pDV2d及びpRK−Fab−Flagを同時トランスフェクトしたExpi293F細胞の30mlの上清から精製された精製Fab断片の収率は、0.8±0.06mg(平均±標準偏差、n=3)であった。精製されたFlagタグ付きFab断片の構造的精度を、質量分析及びSDS−PAGEにより確認した(図13)。観察された重鎖質量は、クリップC末端リジンを除くと、予想された質量25,172Daに近い25,169Daであった。
補完転写産物からのN末端切断型タンパク質の発現は、遺伝子治療のためのトランススプライシング系で観察されている(Monjaretら Molecular therapy 22:1176−1187,2014)。これは、成熟mRNAの形成のために必要である全ての要素を有する3′エクソンをコードする補完転写産物に因り、内部開始コドンからの翻訳を引き起こす可能性がある。pRK−Fc2をトランスフェクトした細胞の溶解質のウェスタンブロッティングにより、第1のインフレームATGコドンから翻訳されたFc断片と一致するポリペプチドの発現を観察した(図12、上部パネル、列11)。このポリペプチドはおそらく、分泌シグナル配列を欠如しており、細胞質のみで発現されるはずである。この産物は、細胞溶解により培養培地中に放出される可能性があるが、SDS−PAGE(図13、列2)及び質量分析により、精製されたIgG試料中でそれを観察しなかった。pDV2cまたはpDV2dが細胞中に同時トランスフェクトされたとき、この切断型産物の発現は低減されたが、排除はされなかった(図12、上部パネル、列8及び10)。潜在的Fc開始コドンからのイントロン領域上流への最適翻訳開始部位を有するアウトオブフレームオープンリーディングフレームの挿入は、切断型Fc産物の発現を著しく低減しなかった。
選択効率を決定するファージディスプレイベクターの重要な特性は、達成されるファージ粒子上の抗体断片ディスプレイのレベルである。大腸菌SupEサプレッサー菌株において低減されたp3発現と共に、前述のAmber−2614KO7ヘルパーファージを使用して、pDV2dベクターで達成したFab断片ディスプレイのレベルは、特殊化Fabディスプレイベクター、Fab−ジップ−ファージで、標準M13KO7ヘルパーファージを使用して達成されたFabディスプレイレベルと比較可能であった(図14)。
野生型IgG、Fab断片、または二重特異性フォーマットのためのFc修飾を有するIgG等の異なる抗体フォーマットを、異なるスクリーニング検定法のために必要とするとき、同じクローンから異なる抗体フォーマットを発現するための能力は、抗体発見において有用である。ベクターセットは、原理的に、補完プラスミド中のCH1領域の後に追加される好適な配列を単にクローニングすることにより、これらのまたは追加のフォーマットのいずれかを可能にする。さらに、本系のモジュール式組織は、新規の補完プラスミドの構築のみを必要とするため、ファージディスプレイライブラリーのストックの再創出を必要とせず、新たな抗体フォーマットの発現を可能にする。二重ベクターは、CH1コード領域下流からVHまたはJ−CH1接合点のJ領域(FR4)に5′ssを移し替えることにより任意のCH1領域の使用を可能にするように適合されることも可能であり、よって、2つの異なるプラスミドにおいてVH及び重鎖の全体定常領域を分離する。Fabファージディスプレイライブラリー中の重鎖及び遺伝子III配列の接合点におけるアンバー終止コドンは通常、著しくより低いレベルのディスプレイをもたらし、よって、少なくとも未経験のレパートリーライブラリーの場合、選択後にクローンの再フォーマットを必要とするという知識を以って、pDV2ベクターは、上部ヒンジをコードする配列後に終止コドンを単に追加することにより、大腸菌におけるFab断片の発現のための従来の方法と適合可能である(Leeら Journal of immunological methods.284:119−132,2004)。IgG発現のために使用されたのと同じ方法を使用する哺乳動物細胞におけるFab断片の発現は、大腸菌で通常得られるものと比較可能な収率を以って、再フォーマットに対するこの必要性を回避する。
実施例3.モジュール式タンパク質発現系
実施例1及び2で生成及び特徴付けられたポリペプチド発現系は、任意の所望のタンパク質のモジュール式で柔軟なポリペプチド発現が、ファージディスプレイとの関連でタンパク質の再フォーマットに関して上述した最適化された発現系等のポリペプチド発現系の使用により直接的に達成されることができることを示す。したがって、本発現系は、単一の所望のポリペプチド産物の一部を各々コードする2つの核酸分子構成要素(ポリペプチドコード配列PES1及びPES2)を含み、ここで、これらのタンパク質の分裂コード領域は、タンパク質コード核酸のサブクローニングを必要とせずに、プレmRNAトランススプライシングによりインビボで正確に一つに結合する。図10で示されるように、第1の核酸分子は、PES1を有する発現カセットを含み、PES1構成要素の上流に真核生物プロモーター(P1Euk1)及び真核生物シグナル配列(ESS1)、ならびにPES1の下流に位置する5′スプライス部位(5′ss1)及びハイブリダイズ配列(HS1)も含む。補完的な第2の核酸分子は、真核生物プロモーター(P2Euk)、ならびにHS1(HS2)にハイブリダイズすることができるハイブリダイズ配列、及びPES2構成要素の上流に3′スプライス部位(3′ss2)を含むであろう。加えて、第2の核酸分子は、PES2構成要素の下流にポリアデニル化部位(pA2)を含むであろう。よって、哺乳動物細胞において複写されるとき、1つが単独5′を有し、他方が単独3′を有する2つの生成されたプレmRNA分子は、それらの相補的ハイブリダイズ配列(HS1及びHS2)により共に方向付けられ、トランススプライシングを受けて、所望のタンパク質産物を後の翻訳及びコードすることができる単一の連続mRNAを形成するであろう。
原核細胞中、PES1及び任意にHS1領域によりコードされるポリペプチド産物の発現も望ましい場合、第1の核酸分子は、P1Euk1とPES1との間に位置付けられる切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を更に含み得る。ePPMは、5′スプライス部位(5′ss1)、原核生物プロモーター(P1Prok1)、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする第1の核酸配列、及び3′スプライス部位(3′ss1)を含み得、5′ss1−P1Prok1−PSS1−3′ss1として、5′〜3′方向に互いに動作可能に連結される。ePPMは、原核細胞内で第1の核酸分子のコードされるポリペプチドの転写を駆動するであろう。一方、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)において、P1Euk1は、第1の核酸分子のコードされるポリペプチドの転写の発現を駆動し、ePPMは、5′ss1及び3′ss1構成要素に隣接する衝突のために、シススプライシングによりプレmRNA転写産物から除去されるであろう。
いくつかの場合、第2のポリペプチドを発現することが望ましい場合もある。したがって、モジュール式タンパク質発現系の第1の核酸分子は、第2の発現カセットを含むように設計され得る。図11で示されるように、第2のタンパク質産物(PES1)をコードする第2の発現カセットは、第1の発現カセットと類似の方法で設計されるが、PES1配列の下流にポリアデニル化部位(pA1)を含有して、転写後の別個のプレmRNA分子の生成を確実にするであろう。他の場合、第2の発現カセットは、ポリペプチド発現系の第2の核酸分子中に設計されることが可能である。
他の実施形態
前述の発明は、明確な理解を目的として例示及び実施例の方法で詳細に説明されているが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本明細書で説明される全ての特許及び科学文献の開示は、参照することによりそれらの全体が明白に組み込まれる。

Claims (73)

  1. 第1の核酸分子及び第2の核酸分子を含むポリペプチド発現系であって、
    (a)前記第1の核酸分子が、以下の構成要素:(i)第1の真核生物プロモーター(P1Euk1)、(ii)第1のポリペプチドコード配列(PES1)、(iii)第1の5’スプライス部位(5’ss1)、及び(iv)ハイブリダイズ配列(HS1)を含む、第1の発現カセットを含み、前記構成要素が、P1Euk1−PES1−5’ss1−HS1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結され、
    (b)前記第2の核酸分子が、以下の構成要素:(i)真核生物プロモーター(P2Euk)、(ii)HS1にハイブリダイズすることができるハイブリダイズ配列(HS2)、(iii)3’スプライス部位(3’ss2)、(iv)ポリペプチドコード配列(PES2)、及び(v)ポリアデニル化部位(pA2)を含み、前記構成要素が、P2Euk−HS2−3’ss2−PES2−pA2として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される、前記ポリペプチド発現系。
  2. 前記P1Euk1が、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはサルウイルス40(SV40)プロモーターである、請求項1に記載のポリペプチド発現系。
  3. 前記P2Eukが、CMVプロモーターまたはSV40プロモーターである、請求項1または2に記載のポリペプチド発現系。
  4. 前記第1の発現カセットが、真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする第1の核酸配列を更に含み、前記ESS1が、前記P1Euk1と前記PES1との間に位置付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  5. 前記ESS1が、可変重鎖(VH)遺伝子に由来する、請求項4に記載のポリペプチド発現系。
  6. 前記第1の発現カセットが、以下の構成要素:(i)5’スプライス部位(5’ss1)、(ii)原核生物プロモーター(P1Prok1)、及び(iii)3’スプライス部位(3’ss1)を含む、切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を更に含み、前記構成要素が、5’ss1−P1Prok1−3’ss1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結され、前記ePPMが、前記P1Euk1と前記PES1との間に位置付けられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  7. 前記P1Prok1が、PhoAプロモーター、Tacプロモーター、Lac、及びTphacプロモーターからなる群から選択される、請求項6に記載のポリペプチド発現系。
  8. 前記ePPMが、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする第1の核酸配列を更に含む、請求項6または7に記載のポリペプチド発現系。
  9. 前記PSS1が、熱安定性エンテロトキシンII(stII)遺伝子に由来する、請求項6〜8のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  10. 前記PSS1と前記3’ss1との間に位置付けられるポリピリミジン領域(PPT1)を更に含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  11. 前記PPT1が、TTCCTTTTTTCTCTTTCCの核酸配列(配列番号1)を含む、請求項10に記載のポリペプチド発現系。
  12. 前記PES1が、潜在性5’スプライス部位を含まない、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  13. 前記HS1が、コートタンパク質またはアダプタータンパク質の全てまたは一部をコードする遺伝子である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  14. 前記コートタンパク質が、バクテリオファージM13、f1、またはfdのpI、pII、pIII、pIV、pV、pVI、pVII、pVIII、pIX、及びpXからなる群から選択される、請求項13に記載のポリペプチド発現系。
  15. 前記コートタンパク質が、バクテリオファージM13の前記pIIIタンパク質である、請求項14に記載のポリペプチド発現系。
  16. 前記pIII断片が、前記pIIIタンパク質のアミノ酸残基267〜421または前記pIIIタンパク質のアミノ酸残基262〜418を含む、請求項15に記載のポリペプチド発現系。
  17. 前記アダプタータンパク質が、ロイシンジッパーである、請求項13に記載のポリペプチド発現系。
  18. 前記ロイシンジッパーが、配列番号4または5のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のポリペプチド発現系。
  19. 前記第1の核酸分子が、第2の真核生物プロモーター(P1Euk2)、(ii)第2のポリペプチドコード配列(PES1)、及び(iii)ポリアデニル化部位(pA1)を含む第2の発現カセットを更に含み、前記構成要素が、P1Euk2−PES1−pA1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される、請求項1〜18のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  20. 前記P1Euk2が、CMVプロモーターまたはSV40プロモーターである、請求項19に記載のポリペプチド発現系。
  21. 前記第2の発現カセットが、真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする核酸配列を更に含む、請求項19または20に記載のポリペプチド発現系。
  22. 前記ESS1が、マウス結合免疫グロブリンタンパク質(mBiP)遺伝子に由来する、請求項21に記載のポリペプチド発現系。
  23. 前記ESS1が、ATG AAN TTN ACN GTN GTN GCN GCN GCN CTN CTN CTN CTN GGNの核酸配列(配列番号6)を含み、配列中、Nが、A、T、C、またはGである、請求項19〜22のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  24. 前記第2の発現カセットが、以下の構成要素:(i)5’スプライス部位(5’ss1)、(ii)原核生物プロモーター(P1Prok2)、及び(iii)3’スプライス部位(3’ss1)を含む、切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を更に含み、前記構成要素が、5’ss1−P1Prok2−3’ss1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結され、前記ePPMが、前記P1Euk2と前記PES1との間に位置付けられる、請求項19〜23のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  25. 前記P1Prok2が、PhoAプロモーター、Tacプロモーター、及びLacプロモーターからなる群から選択される、請求項24に記載のポリペプチド発現系。
  26. 前記ePPMが、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする核酸配列を更に含む、請求項24または25に記載のポリペプチド発現系。
  27. 前記PSS1が、熱安定性エンテロトキシンII(stII)遺伝子に由来する、請求項24〜26のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  28. 前記PSS1と前記3’ss1との間に位置付けられるポリピリミジン領域(PPT1)を更に含む、請求項24〜27のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  29. 前記PPT1が、TTCCTTTTTTCTCTTTCCの核酸配列(配列番号1)を含む、請求項28に記載のポリペプチド発現系。
  30. 前記第2の発現カセットが、前記第1の発現カセットに対して5’に位置付けられる、請求項19〜29のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  31. 前記5’ss1と前記HS1との間に位置付けられるイントロンスプライスエンハンサー(ISE)(ISE1)を更に含む、請求項1〜30のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  32. 前記ISE1が、3つまたはそれ以上の連続グアニン残基を含むG−runを含む、請求項31に記載のポリペプチド発現系。
  33. 前記ISE1が、9つの連続グアニン残基を含むG−runを含む、請求項32に記載のポリペプチド発現系。
  34. 前記HS2と前記3’ss2との間に位置付けられるポリピリミジン領域(PPT2)を更に含む、請求項1〜33のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  35. 前記PPT2が、TTCCTCTTTCCCTTTCTCTCCの核酸配列(配列番号7)を含む、請求項34に記載のポリペプチド発現系。
  36. 前記HS2と前記3’ss2との間に位置付けられるISE(ISE2)を更に含む、請求項35に記載のポリペプチド発現系。
  37. 前記ISE2が、3つまたはそれ以上の連続グアニン残基を含むG−runを含む、請求項36に記載のポリペプチド発現系。
  38. 前記ISE2が、9つの連続グアニン残基を含むG−runを含む、請求項37に記載のポリペプチド発現系。
  39. 前記5’ss1が、GTAAGAの核酸配列(配列番号8)を含む、請求項1〜38のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  40. 真核生物プロモーターによる発現が、哺乳動物細胞内で起こる、請求項1〜39のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  41. 前記哺乳動物細胞が、Expi293F細胞、CHO細胞、293T細胞、またはNSO細胞である、請求項40に記載のポリペプチド発現系。
  42. 前記哺乳動物細胞が、Expi293F細胞である、請求項41に記載のポリペプチド発現系。
  43. 原核生物プロモーターによる発現が、細菌細胞内で起こる、請求項6〜42のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  44. 前記細菌細胞が、大腸菌細胞である、請求項43に記載のポリペプチド発現系。
  45. 前記PES1が、抗体の全てまたは一部をコードする、請求項1〜44のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  46. 前記PES1が、VHドメインを含むポリペプチドをコードする、請求項45に記載のポリペプチド発現系。
  47. 前記ポリペプチドが、CH1ドメインを更に含む、請求項46に記載のポリペプチド発現系。
  48. 前記PES2が、抗体の全てまたは一部をコードする、請求項45〜47のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  49. 前記PES2が、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含むポリペプチドをコードする、請求項48に記載のポリペプチド発現系。
  50. 前記PES1が、抗体の全てまたは一部をコードする、請求項19〜49のいずれか一項に記載のポリペプチド発現系。
  51. 前記PES1が、VLドメイン及びCLドメインを含むポリペプチドをコードする、請求項50に記載のポリペプチド発現系。
  52. 以下の構成要素:
    (a)第1の真核生物プロモーター(P1Euk1)と、
    (b)以下の構成要素:
    (i)5’スプライス部位(5’ss1)、
    (ii)原核生物プロモーター(P1Prok1)、及び
    (iii)3’スプライス部位(3’ss1
    を含む第1の切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)であって、前記ePPMの前記構成要素が5’ss1−P1Prok1−3’ss1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される、第1の切除可能原核生物プロモーターモジュールと、
    (c)第1のポリペプチドコード配列(PES1)と、
    (d)第1の5’スプライス部位(5’ss1)と、
    (e)有用ペプチドコード配列(UPES)と、
    を含む、第1の発現カセットを含み、前記第1の発現カセットの前記構成要素が、P1Euk1−ePPM−PES1−5’ss1−UPESとして5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される、前記核酸分子。
  53. 前記第1の発現カセットが、真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする第1の核酸配列を更に含み、前記ESS1が、前記P1Euk1と前記ePPMとの間に位置付けられる、請求項52に記載の核酸分子。
  54. 前記ePPMが、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする第1の核酸配列を更に含み、前記PSS1が、前記P1Prok1と前記3’ss1との間に位置付けられる、請求項52または53に記載の核酸分子。
  55. 第2の真核生物プロモーター(P1Euk2)、(ii)第2のポリペプチドコード配列(PES1)、及び(iii)ポリアデニル化部位(pA1)を含む、第2の発現カセットを更に含み、前記構成要素が、P1Euk2−PES1−pA1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結される、請求項52〜54のいずれか一項に記載の核酸分子。
  56. 前記第2の発現カセットが、真核生物シグナル配列(ESS1)をコードする第2の核酸配列を更に含み、前記ESS1が、前記P1Euk2と前記PES1との間に位置付けられる、請求項55に記載の核酸分子。
  57. 前記第2の発現カセットが、以下の構成要素:(i)5’スプライス部位(5’ss1)、(ii)原核生物プロモーター(P1Prok2)、及び(iii)3’スプライス部位(3’ss1)を含む、切除可能原核生物プロモーターモジュール(ePPM)を更に含み、前記構成要素が、5’ss1−P1Prok2−3’ss1として5’〜3’方向に互いに作動可能に連結され、前記ePPMが、前記P1Euk2と前記PES1との間に位置付けられる、請求項55または56に記載の核酸分子。
  58. 前記ePPMが、原核生物シグナル配列(PSS1)をコードする核酸配列を更に含み、前記PSS1が、前記P1Prok2と前記3’ss1との間に位置付けられる、請求項57に記載の核酸分子。
  59. 前記UPESが、タグ、ラベル、コートタンパク質、及びアダプタータンパク質からなる群から選択される有用ペプチドの全てまたは一部をコードする、請求項52〜58のいずれか一項に記載の核酸分子。
  60. 前記コートタンパク質が、バクテリオファージM13、f1、またはfdのpI、pII、pIII、pIV、pV、pVI、pVII、pVIII、pIX、及びpXからなる群から選択される、請求項59に記載の核酸分子。
  61. 前記コートタンパク質が、バクテリオファージM13の前記pIIIである、請求項60に記載の核酸分子。
  62. 請求項52〜61のいずれか一項に記載の前記核酸分子を含むベクター。
  63. 第1のベクター及び第2のベクターを含むベクターセットであって、前記第1及び第2のベクターが、請求項1〜51のいずれか一項に記載の前記ポリペプチド発現系の、それぞれ、前記第1及び第2の核酸分子を含む、ベクターセット。
  64. 請求項62に記載の前記ベクターまたは請求項63に記載の前記ベクターセットを含む、宿主細胞。
  65. 前記宿主細胞が、原核細胞である、請求項64に記載の宿主細胞。
  66. 前記原核細胞が、細菌細胞である、請求項65に記載の宿主細胞。
  67. 前記細菌細胞が、大腸菌細胞である、請求項66に記載の宿主細胞。
  68. 前記宿主細胞が、真核細胞である、請求項64に記載の宿主細胞。
  69. 前記真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項68に記載の宿主細胞。
  70. 前記哺乳動物細胞が、Expi293F細胞、CHO細胞、293T細胞、またはNSO細胞である、請求項69に記載の宿主細胞。
  71. 前記哺乳動物細胞が、Expi293F細胞である、請求項70に記載の宿主細胞。
  72. 培養培地中で、請求項62に記載の前記ベクターまたは請求項63に記載の前記ベクターセットを含む宿主細胞を培養することを含む、ポリペプチドの生成方法。
  73. 前記方法が、前記宿主細胞または前記培養培地から前記ポリペプチドを回復することを更に含む、請求項72に記載の方法。
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