JP2017517746A - 状態変分原理を用いた振動変位の測定方法 - Google Patents

状態変分原理を用いた振動変位の測定方法 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、従来に比べて精度をピコメートルレベルまで向上することができ、且つ、測定および各種の計算に必要なメモリの容量を従来に比べて著しく節約できるだけでなく、超高速DSPあるいはFPGAを用いた実時間の具現が可能な、状態変分原理を用いた振動変位の測定方法を提供することにある。

Description

本発明は、状態変分原理(state variation principle)を用いた振動変位の測定方法に関する。状態変分原理は、現ステップの状態値(state)を以前ステップの状態値に対する微小変量を推定する原理であり、このために互いに隣接した二つのステップの間の変分(variation)過程を正確に数学的に記述する必要がある。したがって、全体ステップの状態値は、各ステップごとに状態変分原理を適用することで得ることができる。
一般的に、振動センサ(加速度計)は、外部の振動により動きに応じて受ける力を電気的信号として出力することにより、振動の測定を可能にする。振動は、すべての機械または電子装置など、運動が生じるすべての装置において起こることであり、特に、現在、技術の発達により、精密な動作制御や位置測定などが必要な場合において、かかる振動を判別または校正することは非常に重要である。
線形振動分野の場合、多くの国家標準機関が、絶対校正システムを備えており、また絶対校正システムで校正された基準級センサを用いた2次校正方法(比較校正)が産業現場で広く使用されている。
回転振動校正分野では、本出願人により出願された韓国公開特許第2013‐0030156号(「周期的回転振動を用いた6軸振動センサの校正方法および装置」)などの校正技術が開示されており、絶対校正技術としては、ISO16063‐15においてレーザ干渉計を用いた絶対校正方法が提案されている。ところで、回転振動校正分野の場合、世界国家標準機関のうち2014年現在ドイツ連邦物理技術庁(PTB)と韓国標準科学研究院(KRISS)のみが回転振動絶対校正システムを備えているだけであって、特に、十分な精度および正確度を確保しながら、容易且つ経済的に実際の産業現場に適用可能にするためには、技術開発の余地が相当多い状態である。
現在、回転振動校正分野において、振動センサの絶対校正に使用される超精密動的変位測定用レーザ干渉計は、ホモダイン(homodyne)またはヘテロダイン(heterodyne)型レーザ光源を用いて干渉計を構成する。レーザ干渉計を用いた回転振動センサ(普段、角加速度計の形態に具現される)の校正方法について簡単に説明すると、次のとおりである。図1は、KRISSで保有しているレーザ干渉計を用いた回転振動絶対校正システムの構成を簡単に図示している。図1に示されているような一つの実施例としての絶対校正装置100は、回転軸110と、回転加振機(Angular Exciter)120と、回転振動テーブル(Angular Vibration Table)130と、アングルプリズム(Angle Prism)140と、光学テーブル(Optical Table)150と、レーザヘッド(Laser Head)160と、ミラー(Plane Mirror)170と、干渉計(Interferometer)180とを含んでなる。
前記回転軸110は、前記回転加振機120により回転振動が加えられて回転する。前記回転軸110の先端には、図1に図示されているように、角加速度計(Angular Accelerometer)などの回転振動センサの形態からなる被校正対象500が配置される。前記回転振動テーブル130は、前記回転軸110に垂直な平面方向に展開される形状に形成されて前記回転軸110に連結され、前記回転軸110を中心として回転される。前記アングルプリズム140は、前記回転振動テーブル130上に備えられ、また、前記回転軸110の回転に応じて回転する。すなわち、前記回転加振機120が前記回転軸110に回転振動を加えると、前記被校正対象500および前記アングルプリズム140が備えられた前記回転振動テーブル130が、前記回転軸110とともに同様に回転するものである。
この際、前記回転振動テーブル130と平行な平面形態に形成される前記光学テーブル150上には、前記レーザヘッド160と、前記ミラー170と、前記干渉計180とを含んでなるレーザ干渉計が配置構成される。前記レーザヘッド160は、前記アングルプリズム140に向かってレーザビームを照射し、前記ミラー170は、前記レーザヘッド160から照射されて、前記アングルプリズム(angle prism)140を通過してきたレーザビームを反射させる。前記干渉計180は、前記ミラー170から反射したレーザビームと前記レーザヘッド160から照射されるレーザビームがアングルプリズム140を通過して発生したビーム経路の差、すなわち、相対的変位による二つのレーザビームの干渉信号を測定することにより、前記アングルプリズム140が回転した角変位を測定することができる(US Patent 5,028,137)。
前記レーザ干渉計(以下、前記レーザヘッド160、前記ミラー170、前記干渉計180から構成されたシステムを「レーザ干渉計」と簡単に称する)で測定される前記アングルプリズム140の角変位は、実は、プリズム140を通過するレーザビームの相対的な経路差、すなわち、変位を測定して非常に精度良く換算する。前記レーザ干渉計で測定された相対的な変位を測定して角変位を換算する過程は、最も精度の高い角変位の測定方法であり、この角変位が回転振動の基準値として使用されている。
この際、前記被校正対象500から電圧出力V信号が出力され、この電圧出力V信号とともに上述の基準角変位(すなわち、振動変位振幅)を同時に測定して、被校正対象500、すなわち回転振動センサ(角加速度計あるいは角速度計)の電圧感度を評価する。このようにレーザ干渉計を用いて精密な回転振動センサの電圧感度を評価する方法を国際標準規格ISO 16063‐15では、絶対校正(primary calibration)とし、より詳細な技術的な詳細内容は、韓国標準科学研究院(KRIS)では、回転振動絶対校正手順書(KRISS‐C‐08‐1‐0073‐2011)に詳細に紹介されている。
上述のように振動センサの絶対校正に使用されるレーザ干渉計において、変位の測定が具体的にどのように行われるかについて説明すると、以下のとおりである。振動変位測定用レーザビーム(図1の実施例では、「被校正対象である角加速度計と同様に回転するアングルプリズムを通過してきたビーム」に相当する)と停止された基準面から反射したレーザビーム(図1の実施例においては、これは「レーザヘッドから照射されるレーザビーム」に相当し、ここで、「停止された基準面」は、別のミラーなどにより容易に具現することができる)を互いに重ねて光センサを含む干渉計に入射させた時に、経路差、すなわち、振動変位dによる光センサの電気的出力のコサイン成分であるコサイン信号u(d)と、前記電気的出力のサイン成分であるサイン信号u(d)を得ることができる。
従来、このコサイン信号およびサイン信号をデジタル化した後、ルックアップテーブル(lookup table)を用いて振動の位相および振幅を算出する方式を使用した。より具体的に説明すると、以下のとおりである。まず、上述のように、振動変位により発生した光センサの電気的出力のコサイン/サイン成分である二つの信号をデジタル変換器を用いて離散化した8ビット(あるいは12ビット)値uCOS(n)とuSIN(n)に変換した後、ルックアップテーブルを用いて位相θ(n)と振幅R(n)を求める(ここで、n=1、2、…、N、Nは全体データの個数)。図2はかかるルックアップテーブルを用いた従来の位相および振幅の測定方法を概念的に図示したものである。すなわち、二つのデジタル値uCOS(n)とuSIN(n)から構成される16ビット(あるいは24ビット)の情報をルックアップテーブルの入力番地として使用し、指定された番地数に対応するメモリに貯蔵された位相θ(n)と振幅R(n)を読み取るものである。ルックアップテーブルで読み取った位相θは、以下の式(A)を使用して変位d(n)に換算され、結果として、振動変位の測定が行われる。
式(A)
d:変位
θ:位相
λ:レーザ波長m
:測定用ビームの反射回数(単一反射N=1、2回反射N=2)
しかし、このようにデジタル値に変換されたコサイン/サイン信号とルックアップテーブルを用いた既存の変位の測定方法は、以下のような問題点を内在している。
(1)コサインとサイン信号の振幅が互いに異なる場合(振幅比r≠1)、二つの信号の直角誤謬角が存在する場合(d≠0)、また、他のDC成分が存在する場合(p、q≠0)、既存の変位の測定方法では、数十ピコメートルレベルの変位測定具現が現実化しないという技術的限界点がある。
(2)離散化した8ビット(あるいは12ビット)値uCOS(n)とuSIN(n)から構成されるルックアップテーブルの大きさが22Nb (Nb=AD変換器のビット数)に比例する大容量のメモリを伴うという欠点がある。例えば、12 ビットのAD変換器を使用する場合、最小16M(16、777、216)の番地数を有するメモリを要する。
このように従来の振動変位の測定方法での限界を改善する新たな振動変位の測定方法に対する要求が絶えずに提起されている。
韓国公開特許第2013‐0030156号(2013.03.26) U.S.Patent Number 5,028,137(1991.07.02)
ISO 16063‐15 Methods for the calibration of vibration and shock transducers - Part 15: Primary angular vibration calibration by laser interferometry(2006.8.01)
したがって、本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、状態変分原理を用いて、従来に比べて精度をピコメートルレベルまで向上することができ、且つ、測定および各種の計算に必要なメモリの容量を従来に比べて著しく節約できるだけでなく、超高速DSPあるいはFPGAを用いた実時間の具現が可能な、状態変分原理を用いた振動変位の測定方法を提供することにある。
上述のような目的を達成するための本発明の状態変分原理を用いた振動変位の測定方法は、回転振動が発生する被校正対象から反射した測定用レーザビームおよび固定基準面から反射した基準用レーザビームを重ねて光センサに入力を受け、前記光センサから出力される電気的出力信号を使用して前記被校正対象の振動変位を算出する振動変位の測定方法であって、前記光センサの電気的出力のコサイン信号およびサイン信号がインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化する、離散化測定ステップと、ハイデマン校正方法を用いて前記コサイン信号および前記サイン信号により形成される楕円状の信号が真円状の信号に校正される、校正ステップと、n番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号と、n‐1番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号を使用して、状態変分原理を用いて二つの時点間の相対的角度が算出される、相対的角度算出ステップと、n番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号と、前記相対的角度を使用して、n‐1番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号が修正および再整列される、以前の信号の修正および再整列ステップと、n番目の時点までの前記相対的角度の累計によりn番目の時点の位相が算出される、位相算出ステップと、n番目の時点の前記位相がn番目の時点の振動変位に換算され算出される、変位算出ステップと、を含んでなることができる。
この際、前記離散化ステップおよび前記校正ステップは、振動変位dによる前記光センサの電気的出力のコサイン信号uおよびサイン信号uが、下記のように表されるときに、



(ここで、R:電圧の大きさV、r:コサイン信号に対するサイン信号の割合、λ:レーザ波長m、N:測定用ビームの反射回数(単一反射N=1、2回反射N=2)、α:コサインとサイン信号の直角誤謬(quadrature error)角、p、q:コサインとサイン信号のDC電圧(offset voltage)V)
前記離散化ステップにおいて、予め決定された測定周期ごとに測定された前記コサイン信号uおよびサイン信号uがインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化し、前記校正ステップにおいて、ハイデマン校正方法により、

前記式のAからEまでの定数が最小二乗法で求められ、

前記式のように前記コサイン信号uおよびサイン信号uの特性因子{R、r、α、p、q}値が算出されることにより、
楕円状の前記コサイン信号uおよびサイン信号uが、下記の式のような真円状の校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cに変換校正(correction)されることができる。


また、前記相対的角度算出ステップは、前記離散化ステップにおいて予め決定された測定周期ごとに測定された前記コサイン信号uおよびサイン信号uがインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化し、前記校正ステップにおいて校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cに校正された後、下記の式によりn番目の時点とn‐1番目の時点との間の相対的角度Δθが算出されるように行われることができる。

(ここで、R:電圧の大きさV)
この際、前記相対的角度算出ステップは、校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cにより算出された相対的角度Δθのコサインcos(Δθ)およびサインsin(Δθ)値から、下記の式により相対的角度Δθが算出されるように行われることができる。
また、前記相対的角度算出ステップは、校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cにより算出された相対的角度Δθのコサインcos(Δθ)およびサインsin(Δθ)値から、入力値が任意の角度のコサインおよびサイン値であり、出力値が角度値であるデータとして予め作製されたルックアップテーブル(lookup table)により相対的角度Δθが算出されるように行われることができる。
また、前記以前の信号の修正および再整列ステップは、前記離散化ステップにおいて予め決定された測定周期ごとに測定された前記コサイン信号uおよびサイン信号uがインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化し、前記校正ステップにおいて校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cに校正された後、下記の式によりn‐1番目の時点の校正されたコサイン信号C(n‐1)および校正されたサイン信号C(n‐1)が修正および再整列されるように行われることができる。
また、前記位相算出ステップは、前記相対的角度算出ステップにおいて相対的角度Δθが算出された後、下記の式によりn番目の時点の位相θ(n)が算出されるように行われることができる。

(ここで、k:1〜nまでの自然数)
また、前記変位算出ステップは、前記位相算出ステップにおいてn番目の時点の位相θ(n)が算出された後、下記の式によりn番目の時点の振動変位d(n)に換算され算出されるように行われることができる。

(ここで、n:離散化インデックス、d:変位、θ:位相、λ:レーザ波長m、N:測定用ビームの反射回数(単一反射N=1、2回反射N=2))
本発明によれば、レーザ干渉計で振動変位の測定の際、測定精度を数〜数十ピコメートルレベルに著しく向上させることができるという大きな効果がある。より具体的に説明すると、従来、レーザ干渉計で振動変位の測定の際、干渉計光センサ出力のコサイン/サイン信号の振幅差、直角誤謬角の存在、DC成分差などにより発生する誤差によって精度をある限界以下に低減することができないという問題点が存在した。しかし、本発明では、ハイデマン校正方法の原理を用いて光センサから出力されるコサイン/サイン信号がなす楕円状の信号を真円状に補正することにより、上述のような従来方法の誤差要因を最初から除去することになり、結果として、測定精度が著しく向上する大きな効果を得ることができる。
それだけでなく、本発明によれば、測定精度を向上させるだけでなく、測定装置におけるメモリを大幅に節約する効果もある。具体的に説明すると、本発明は、上述のように、ハイデマン校正方法の原理に基づいて信号を校正し、位相および変位を算出し、この際、ハイデマン校正方法の原理から応用された新たな原理を用いて相対的位相を測定し、これにより変位を算出することから、従来、360度を包含する第4象限の位置情報を利用しなければならなかったこととは異なり、一つの象限の位置情報、より確張すると、30度の範囲程度の情報さえあれば、位相および変位の算出が十分可能である。これにより、従来、光センサ出力信号‐位相の算出のためのルックアップテーブルを構成するにあたり、360度を包含する第4象限に関するデータを貯蔵するメモリが求められたこととは異なり、最大には第1象限(0〜90度の範囲)、より小さくは0〜30度の範囲だけのデータを貯蔵するメモリさえあれば十分となり、結果として、従来に比べて最小1/4から1/12レベルまでもメモリ貯蔵容量を低減することができることになる。
また、本発明は、上述のように、光センサ出力信号から位相を算出する過程において、相対的角度に伴われる誤差を低減するように相対的角度推定値に対応する座標変換値を修正して再整列することにより、有効桁数の限界によって不可避に発生する誤差の累積を低減するという大きな効果がある。無論、このように累積誤差を低減することにより、窮極的には測定精度をより向上させる効果が得られることは言うまでもない。
KRISS回転振動絶対校正システムの簡略構成図である。 ルックアップテーブルを用いた従来の位相および振幅の測定方法を示す図である。 楕円状の信号をハイデマン校正方法を用いて真円状の信号に校正した比較例示を示す図である。 ハイデマン校正方法の換算モデルの概略図である。 微小時間の間に変化した現在の位置と以前の位置との相対的角度の計算方法を示す図である。 AD変換器の有限分解能による電圧Rと位相不確かさΔθとの関係を示す図である。 実時間の振動変位の測定のためのSimulink最上位モデルを示す図である。 二つのチャネルAD変換器から構成されたレーザ干渉計光出力デジタル入力下部モデルを示す図である。 ハイデマン校正モデルの因子入力下部モデルを示す図である。 ハイデマン校正演算のためのSimulink下部モデルを示す図である。 相対的位相Δθのコサインとサイン成分を計算する状態遷移下部モデルを示す図である。 相対的位相を測定し、累積角、また変位を計算する位相測定下部モデルを示す図である。 次の位置の修正および再整列演算を行うSimulink下部モデルを示す図である。 実時間の振動変位測定用FPGAから測定された160Hz振動変位信号を示す図である。 5種の下部モデルから構成された簡素化した振動変位測定実時間具現用Simulink最上位モデルを示す図である。 簡素化した振動変位測定用位相測定下部モデルを示す図である。 FPGAベースの実時間振動変位測定装置を示す図である。
以下、上述のような構成を有する本発明に係る状態変分原理を用いた振動変位の測定方法について添付の図面を参考して詳細に説明する。
[1]ハイデマン校正方法(Heydemann correction method)
レーザ干渉計を用いて振動変位の測定の際、上述のように振動変位測定用レーザビームと停止された基準面から反射したレーザビームを互いに重ねて光センサを含む干渉計に入射させ、振動変位dによる光センサの電気的出力のコサイン成分であるコサイン信号u(d)と、前記電気的出力のサイン成分であるサイン信号u(d)を得る。この際、このコサイン信号とサイン信号をそのまま使用して振動の位相および変位を算出する場合、上述のようにコサイン/サイン信号の振幅差、直角誤謬角の存在、DC成分差などから発生する誤差によって精度をある限界(より具体的には、数十ピコメートルレベル)以下に低減することができないという問題点があり、また、位相を変位に変換するためのルックアップテーブルを構成するにあたり、大容量のメモリが必要となる問題点があった。
本発明では、ハイデマン校正方法の原理を用いるが、ハイデマン校正方法の原理から発見される有用な特性を用いて新たに改善した位相測定法を開発した。かかる本発明の位相測定法について容易に理解するために、先ず、ハイデマン校正方法について説明すると、以下のとおりである。
振動変位dによる光センサの電気的出力のコサイン成分であるコサイン信号uと、前記電気的出力のサイン成分であるサイン信号uは、以下の式(1)のように表される。
式(1)

R:電圧の大きさV
r:コサイン信号に対するサイン信号の割合
λ:レーザ波長m
:測定用ビームの反射回数(単一反射N=1、2回反射N=2)
α:コサインとサイン信号の直角誤謬(quadrature error)角
p、q:コサインとサイン信号のDC電圧(offset voltage)V
上記式(1)は、中心点が(p、q)、長軸と短軸との割合がr、長軸あるいは短軸が角度αだけ傾斜した楕円を示す。このように、楕円を用いた変位dの測定は、変位dの測定における精度向上を阻害する非常に大きい主要要因である。したがって、数十ピコメートル(picometer)レベルの高精密変位の測定のためには、式(1)の楕円形を半径がRである真円状を有する信号に変換する必要がある。式(1)の楕円形を真円に変換するための式は、式(2)のように表される。
式(2)
式(2)を使用して半径がRである真円に修正されたコサイン信号Cおよびサイン信号Cは、以下の式(3)のように表される。
式(3)

このように式(1)のようにコサインとサイン信号の振幅が互いに異なり、二つの信号の直角誤謬角が存在し、互いに異なるDC成分を有する楕円状の信号を、式(3)のように校正された真円状の信号に変換する方法を1981年ハイデマン(Heydemann)が紹介しており、彼の名前を取り、かかる校正方法をハイデマン校正方法(Heydemann correction method)という。
ハイデマン校正方法を実際の校正に適用する一例示について説明すると、以下のとおりである。先ず、レーザ光源に電源を印加し、光波長が充分に安定化した後、ユーザが、基準振動(例えば、16Hzの100m/s)を印加して光センサの電気的な二つの出力信号であるコサインとサイン信号を精密デジタルオシロスコープあるいは超高速AD(analog-to-digital)変換器を用いて測定する。測定される信号は、連続したアナログ値の形態ではなく、不連続的なデジタル値の形態、すなわち、所定時間ごとに測定された時系列信号{u(n)、u(n);n=1、2、…、N}の形態に示されるが、この際、系列信号に最小二乗法(least squares method)を適用して校正を行う。具体的には、先ず、式(2)を次の式(4)のように、A〜Eの5個の定数で示される式に変換する。
式(4)
上記の式中、AからEの定数は、式(5)に示されているように、式(2)の因子で表される。
式(5)
AからEの定数は、以下の式(6)のように、行列に表される解法、すなわち、最小二乗法で求める。
式(6)
上記の式中、左辺の5×N行列をM、求めようとするAからEの因子から構成された左辺の5×1ベクトルをV、また、すべての値が1から構成された右辺の5×1ベクトルをVとすると、AからEの値は、以下のように計算される。
式(7)
上記の式中、上付き文字Tは、行列の転置演算子(transpose operator)を、また、−1は、逆行列をそれぞれ表す。上記のように計算されたAからEの定数を式(5)に代入してまた計算すると、式(2)に与えられた{R、r、α、p、q}値が、最終的に、以下の式(8)のように計算される。
式(8)
このように求められた{R、r、α、p、q}値は、レーザ干渉計の固有の光学系出力特性を示す指標であり、レーザ干渉計を構成する光学系整列および状態診断に非常に有用な情報を提供する。図3は式(1)のように歪んだ楕円(図3の(A))を、ハイデマン校正方法を用いて、式(3)のような真円の信号(図3の(B))に変換した例を示している。すなわち、ハイデマン校正方法を用いて、振幅が互いに異なり、二つの信号の直角誤謬角が存在し、また、互いに異なるDC成分を有するコサインとサイン信号(式(1)の信号)を、振幅が一致し、二つの信号の位相差が正確に90度であり、また、DC成分のない真円状の信号(式(3)の信号)によく校正することができることを確認することができる。図4はレーザ干渉計で測定され得られる楕円状の信号u(n)、u(n)を上述のようなハイデマン校正方法を適用して最小二乗法により得られた因子{R、r、α、p、q}値を用いて、真円状の信号C(n)、C(n)に校正する過程の換算モデルを概略的に表現している。
[2]状態変分原理を用いた相対的位相および変位の測定方法
本発明では、上述のようなハイデマン校正方法を応用して、真円状に校正された信号(すなわち、式(3)、図3の(B)のように示される信号)に基づいて新たな位相測定法を提示する。これについて詳細に説明すると、以下のとおりである。
式(3)のように真円状に校正された信号をベースとしたとき、現在の変位dにおいて時間をtとし、微小時間(あるいはサンプリング周期)Δt後(t+Δt時間)、微小変位δだけ変化したときに校正されたコサインとサイン信号は、以下のように記述される。
式(9)

したがって、微小変位δだけ変化したときに、コサインとサイン信号は、以下のように行列に記述される。
式(10)
およびCは、上述のように真円状の信号であり、したがって、常にRは固定されている値であるため、回転角を知ると、円周上の座標としてCおよびCを算出することができ、逆に、円周上の二つの点の座標を知ると、その間の角度を容易に計算することもできる。すなわち、上記の式(10)に示されているように、微小変位δだけ移動した現在のコサインとサイン信号は、以前の点のコサインとサイン信号を微小角度だけ回転しただけの座標変換により常に表されることができる。半径がRである円周上において微小変位δに対応する座標変換のための回転角は、以下のとおりである。
式(11)
式(11)のように円周上の現在の位置(C(d+δ)、C(d+δ))と以前の位置(C(d)、C(d))の数式関係は、微小変位に該当する回転角に定義されるが、これは、実は、状態変分原理を応用した結果であり、本発明では、二つの点間の変化した回転角を測定して相対的変位を換算する基本原理である。式(10)の回転角に対するコサインとサイン成分をそれぞれcos(Δθ)とsin(Δθ)とすると、これら二つの成分は、以下のように、現在と以前の二つの点の座標値に計算される。
式(12)
式(12)で得られたコサインとサイン値から相対的角度Δθと微小変位δは、以下のように計算される。
式(13)
上述のような原理を用いて、デジタル化した信号では、以下のように計算することができる。現在の変位dにおける時間はt=nΔtであり、この際、円周上の位置は(C(n)、C(n))になる。現在の変位に対して、微小時間(あるいはサンプリング周期)Δtだけの以前の変位(すなわち、上記の式と同様な方式で表すと、d‐δ)における時間は、(n‐1)Δtであり、この際、円周上の位置は、(C(n‐1)、C(n‐1))になる。この現在の位置と以前の位置から相対的角度Δθ(n)および真円信号の半径Rは、式(9)〜(13)で表されているような方式で計算することができる。実際の計算においては、上記の式を使用して直接、arctan()関数と平方根関数を用いて計算することもでき、若しくは、二つの関数のルックアップテーブルを用いて計算することもできる。図5は微小時間の間に変化した現在の位置と以前の位置との相対的角度の計算方法のモデリング例示を図示している。
かかる相対的角度Δθは、それぞれのn(=1、2、…、N)に対してすべて求められることができ、ある特定のnにおける位相θは、1〜nまでのΔθを合算することで求めることができる。このように求められた位相θを上述の位相‐変位換算のための式(A)に代入することにより、最終的に、実際の振動変位を求めることができる。これについてより詳細に説明すると、以下のとおりである。
図5に示されているように、ルックアップテーブルを用いて相対的角度Δθ(n)を推定したときに、この値は、実際、式(13)に与えられた限定された有効桁数以内の近似値である。したがって、この有効桁数以外の誤差が存在する可能性が発生するが、本発明では、かかる誤差を除去するために相対的角度Δθ(n)推定値に対応する座標変換値を修正して再整列する過程をさらに経ることになる。すなわち、以下の式(14)のような式を使用して、以前の座標(C(n‐1)、C(n‐1))を現在の座標(C(n)、C(n))で推定された相対的角度Δθ(n)だけ移動された座標として修正し貯蔵する。
式(14)
かかる円周上の以前の座標の修正および再整列方法は、毎回推定される相対的角度Δθ(n)に対する累積誤差を低減する効果的な方法である。
最後に、このように、円周上の現在の位置(C(n)、C(n))と以前の位置(C(n‐1)、C(n‐1))で計算された相対的角度Δθ(n)を用いて、現在の位置における累積位相θ(n)は、以下の式(15)のように相対的角度の累計により計算される。
式(15)
式(15)のように求められた累積位相θ(n)を上述の位相‐変位換算式である式(A)に代入すると、現在の変位d(n)を得ることができる。要約すると、本発明では、第一円周上の二つの位置(C(n)、C(n))と(C(n‐1)、C(n‐1))で相対的角度Δθ(n)を求め、第二の一連の計算された相対角の累計θ(n)を用いて現在の変位d(n)を計算する。
このように、本発明では、光センサから測定される楕円状の電圧信号をハイデマン校正方法を用いて真円状に変換し、これより振動変位を算出し、ここで、さらに応用して真円の円周上における現在の点および以前の点の位置情報のみを使用して、その二つの点間の微小な大きさの相対的角度を算出し、この相対的角度の累積として全体回転角および振動変位を最終的に算出する。
上述のように、実際、光センサで測定が行われるときに得られる信号は、コサイン/サイン信号である。従来、コサイン/サイン信号をデジタル化し、図4に示されるようなルックアップテーブルに代入して位相θを算出し、これより式(A)を使用して振動変位dを計算した。この際、第一に、従来、コサイン/サイン信号が、実際、真円状ではなく楕円状を形成することから、これより発生する誤差のため、精度が大幅に減少する問題があり、第二に、既知のハイデマン校正方法を適用して真円状に校正するとしても、図4に示されるルックアップテーブルから分かるように、θが0〜360度の範囲のときの値がルックアップテーブルにすべて貯蔵されていなければならず、これより過剰なメモリ容量が必要となる問題があった。
一方、本発明では、ハイデマン校正方法を用いるが、それよりさらに応用された位相測定方法を提示することにより、上記で提示されている問題を解消する。すなわち、本発明では、ハイデマン校正方法を用いて楕円状の信号を真円状の信号に校正するが、以前の位置に該当するコサイン/サイン信号と現在の位置に該当するコサイン/サイン信号を使用して以前の位置と現在の位置との間に変化した微小な大きさの相対的角度Δθを算出する。かかる相対的角度算出過程においてルックアップテーブルを使用する場合、既存の方法では、0〜360度の範囲、すなわちすべての範囲の角度における値がルックアップテーブルに貯蔵されていなければならないが、本発明では、計算する値が「相対的角度」であることから最大に考えても第1象限、すなわち0〜90度の範囲における値のみがルックアップテーブルに貯蔵されていれば良い。実際、振動測定の際、微小時間の変化の間の微小変位の大きさを考慮すると、実質的には0〜30度の範囲における値のみルックアップテーブルに貯蔵されていても十分である。換言すれば、本発明の方法を用いると、既存のルックアップテーブルに比べて、(第1象限範囲値のみ貯蔵しておく場合)1/4容量、さらに減少すると、(0〜30度の範囲値のみ貯蔵しておく場合)1/12程度まで必要なメモリ容量を著しく節約することができる。
また、上述のように、本発明では、相対的角度を計算する過程で有効桁数から発生する誤差が累積することを防止するために、式(14)に示されているように、現在の座標および相対的角度値を使用して、以前の座標を修正し再整列する。これにより、有効桁数以下だけの誤差が発生するとしても、この誤差が累積しなくなるため、相対的角度の累積値に計算される現在の位置における位相値を求めるときに発生する累積誤差の大きさを著しく低減することができる。
このように、本発明によれば、振動変位の測定の際にハイデマン校正方法の原理を応用して入力を受ける信号自体を校正することにより、1次的に精度を向上させ、相対的角度を算出することにより、計算に必要なルックアップテーブルのメモリ容量を大幅に低減する効果を奏するとともに、以前の座標の修正および再整列により誤差累積要因を除去し、結果として、誤差を低減することにより、窮極的には、従来に比べてより少ないメモリ容量を用いても測定精度を著しく向上させることができる。
上述の本発明の振動変位の測定方法を要約して整理すると、以下のとおりである。本発明の振動変位の測定方法は、基本的にレーザ干渉計を使用するものであり、回転振動が発生する被校正対象から反射した測定用レーザビームおよび固定基準面から反射した基準用レーザビームを重ねて光センサに入力を受け、前記光センサから出力される電気的出力信号を使用して前記被校正対象の振動変位を算出する。
i)最初に、先ず、離散化測定ステップにおいて、前記光センサの電気的出力のコサイン信号およびサイン信号がインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化する。被校正対象から出力される信号が既に離散化したデジタル信号であれば、また離散化する必要がない可能性があるが、一般的に、本発明の振動変位の測定方法の被校正対象は、角加速度計などの振動センサ類であり、実際出力される信号が連続したアナログ信号であることが多い。かかるアナログ信号をコンピュータを使用して計算するために、かかる離散化過程によりデジタル化するものであり、無論、このときのサンプリング周期は、ユーザにより適宜決定可能である。上述しているが、簡単にまた説明すると、振動変位dによる前記光センサの電気的出力のコサイン信号uおよびサイン信号uが、下記のように表されると、

(ここで、R:電圧の大きさV、r:コサイン信号に対するサイン信号の割合、λ:レーザ波長m、N:測定用ビームの反射回数(単一反射N=1、2回反射N=2)、α:コサインとサイン信号の直角誤謬(quadrature error)角、p、q:コサインとサイン信号のDC電圧(offset voltage)V)
予め決定された測定周期(すなわち、サンプリング周期)ごとに測定された前記コサイン信号uおよびサイン信号uが、インデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化し、u(n)およびu(n)のように、nに応じて離散化した時系列的信号に作製される。
ii)次に、校正ステップにおいて、ハイデマン校正方法を用いて前記コサイン信号および前記サイン信号により形成される楕円状の信号が真円状の信号に校正される。上記の式(1)〜(8)が、まさにこの校正ステップの原理を説明するものであり、ここで、簡単にまた説明すると、ハイデマン校正方法により
前記式のAからEまでの定数が最小二乗法で求められ、
前記式のように前記コサイン信号uおよびサイン信号uの特性因子{R、r、α、p、q}値が算出されることにより、楕円状の前記コサイン信号uおよびサイン信号uが、下記の式のような真円状の校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cに変換され校正される。

iii)次に、相対的角度算出ステップにおいて、n番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号と、n‐1番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号を使用して、二つの時点間の相対的角度が算出される。上記の式(9)〜(13)が、まさにこの校正ステップの原理を説明するものであり、ここで、簡単にまた説明すると、上述のように離散化および校正されたコサイン/サイン信号のn番目の時点の値およびn‐1番目の時点の値を使用して、下記の式によりn番目の時点とn‐1番目の時点との間の相対的角度Δθが算出される。
より具体的には、上記の式(13)により説明されているように、校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cにより算出された相対的角度Δθのコサインcos(Δθ)およびサインsin(Δθ)の値から、下記の式により相対的角度Δθが算出される。
実際の計算においては、上記のような逆正接(arc‐tangent)関数と平方根関数などを直接用いてもよいが、デジタル信号の計算においては、かかる場合、一般的に演算速度を高めるためにルックアップテーブルを使用して計算する。すなわち、入力値が任意の角度のコサインおよびサイン値であり、出力値が角度値であるデータとして予め作製されたルックアップテーブル(lookup table)を使用して、前記相対的角度Δθのコサインcos(Δθ)およびサインsin(Δθ)値をこのルックアップテーブルに入力することにより、相対的角度Δθを求めることができる。上述のように、本発明では、まさにこの相対的角度に対するルックアップテーブルを使用することから、最大には、0〜90度角度の範囲(第1象限範囲)、実際発生する振動変位および位相を考慮したときには、0〜30度角度の範囲程度に対するルックアップテーブルデータだけでも十分であるため、従来、0〜360度の範囲のルックアップテーブルデータが必要であった従来に比べてルックアップテーブルデータ貯蔵容量を1/4から、さらには、1/12程度までも大幅に低減することができる。
iv)次に、以前の信号の修正および再整列ステップにおいて、n番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号と、前記相対的角度を使用して、n‐1番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号が修正および再整列される。上記の式(14)が、まさにこの以前の信号の修正および再整列ステップの原理を説明するものであり、ここで、簡単にまた説明すると、上述のように算出された相対的角度Δθ、n番目の時点の校正されたコサイン信号C(n)および校正されたサイン信号C(n)を使用して、下記の式により、n‐1番目の時点の校正されたコサイン信号C(n‐1)および校正されたサイン信号C(n‐1)が修正および再整列される。
上記の相対的角度算出ステップにおいて、実際、ルックアップテーブルの有効桁数などにより有効桁数範囲以外の誤差が存在する。この誤差自体は、非常に微小なものであるためそれほど問題がないが、後述のように、このように求められた相対的角度を合算することにより、最終的に位相および変位を算出するが、かかる有効桁数範囲以外の誤差としても位相および変位算出過程で累積が行われることで、無視することのできない大きさの誤差に増幅する可能性がある。しかし、本発明では、このように相対的角度算出の際に有効桁数範囲以外の誤差が発生しても、以前の座標が修正および再整列により更新されるようにすることで、後ほど相対的角度を合算して求める過程で誤差が累積しないようにする。すなわち、これにより、結果として最終的に求められた位相および変位で誤差が発生するとしても、有効桁数範囲以外のレベルの非常に微小な程度のみが発生するようにして、測定精度をより向上させることができる。
v)次に、位相算出ステップにおいて、n番目の時点までの前記相対的角度の累計により、n番目の時点の位相が算出される。上記の式(15)がまさにこの位相算出ステップの原理を説明するものであり、ここで、簡単にまた説明すると、上述のように前記相対的角度算出ステップにおいて相対的角度Δθが算出された後、下記の式によりn番目の時点の位相θ(n)が算出される。
(ここで、k:1〜nまでの自然数)
vi)最後に、変位算出ステップにおいて、n番目の時点の前記位相がn番目の時点の振動変位に換算され算出される。上記の式(A)がまさにこの変位算出ステップの原理を説明するものであり、ここで簡単にまた説明すると、上述のとおり、前記位相算出ステップにおいてn番目の時点の位相θ(n)が算出された後、下記の式によりn番目の時点の振動変位d(n)に換算され算出される。
(ここで、n:離散化インデックス、d:変位、θ:位相、λ:レーザ波長m、N:測定用ビームの反射回数(単一反射N=1、2回反射N=2))
以下では、かかる本発明の測定方法を用いて実際に測定装置を構成した二つの実施例を説明する。
[3]第1実施例:非実時間測定モデル
上述の本発明の振動変位の測定方法を非実時間的(non‐real time)に具現する実施例を説明すると、以下のとおりである。簡単に説明すると、デジタルスコープあるいは超高速AD変換器(analog‐to‐digital converter)を用いてレーザ干渉計の光センサ出力コサインとサインの二つの信号を同時にデジタル値に変換し、専用の大容量メモリに貯蔵し、貯蔵されたコサインとサイン信号をユーザPCに伝送した後、式(9)から(14)に与えられた算式により変位を計算する非実時間的な測定方法である。詳細的な手順は、上述の測定方法とほとんど同一であるが、具体的に説明すると、以下のとおりである。
(1)レーザ光源に電源を印加した後、十分な時間の間に光源の波長を安定化する。
(2)基準振動(一例として、16Hzの100m/s)を印加して光センサの電気的出力信号のコサイン/サイン成分であるコサイン信号およびサイン信号を精密デジタルオシロスコープあるいは高速AD変換装置を用いて時系列信号{uCOS(n)、uSIN(n);n=1、2、…、N}として収集および大容量メモリに貯蔵する。
(3)デジタルオシロスコープあるいは高速AD変換装置で収集されたコサインとサイン信号を用いて、式(4)から式(8)に記述されたハイデマン方法によりレーザ干渉計の光センサ出力部の特性因子{R、r、α、p、q}を計算した後、貯蔵する。
(4)ユーザが測定しようとする振動によるレーザ干渉計の光センサの電気的出力信号のコサイン/サイン成分であるコサインとサイン信号を精密デジタルオシロスコープあるいは高速AD変換装置を用いて時系列信号{u(n)、u(n);n=1、2、…、N}収集および大容量メモリに貯蔵する。
(5)デジタルオシロスコープあるいは高速AD変換装置の大容量メモリに貯蔵されたコサインとサイン時系列信号{u(n)、u(n));n=1、2、…、N}をユーザPCに送信する。
(6)以前に計算貯蔵されたレーザ干渉計および光センサ出力部の特性因子{R、r、α、p、q}および図4の換算モデルを用いて光センサ電圧測定信号{u(n)、u(n);n=1、2、…、N}を校正された電圧信号{C(n)、C(n);n=1、2、…、N}に変換する。
(7)校正された信号{C(n)、C(n);n=1、2、… 、N}を用いて、以下の式(16)により相対的位相のコサインとサイン成分{cos(Δθ(n))、sin(Δθ(n));n=2、…、N}を計算(図5参照)する。
式(16)
(8)計算されたコサインとサイン成分{cos(Δθ(n))、sin(Δθ(n));2、…、N}に式(13)のように逆正接関数を用いて相対的位相{Δθ(n);n=2、…、N}を計算する。ここで、ルックアップテーブルを用いて相対的角度Δθ(n)を推定する場合、推定された値は、逆正接関数の限定された有効桁数以内の近似値であるため、式(14)に与えられた方法により推定された相対的角度Δθ(n)だけ現在の座標を修正し、一連の相対的角度の累積誤差を最小化する。
(9)計算された相対的位相の合計、すなわち、式(15)により現在の位相{θ(n);n=2、…、N}を計算し、計算された現在の位相を用いて、式(A)により現在の変位d(n)を計算する。
上記において紹介した非実時間振動変位の測定方法は、デジタルオシロスコープあるいは高速AD変換装置の内蔵メモリの設定された大きさとサンプリング速度に応じて振動信号の実際記録時間が左右される。しかし、かかる限定された記録時間でも所定の振動レベルを維持する正常振動の測定から衝撃信号のように過剰応答振動の測定に至るまで非常に有用に使用することができる。実際の例を説明すると、本出願人である韓国標準科学研究院所属の発明者らから構成された振動標準研究チームは、4チャネル12ビットデジタルオシロスコープ(Lecroy HDO6054モデル)を使用して、レーザ干渉計の光センサアナログ出力コサイン/サインの二つの信号を同時にデジタル値に変換して貯蔵した後、これらの信号をPCに伝送しファイルとして貯蔵する。貯蔵された光センサ出力コサイン/サイン信号のファイルは、上記で紹介した変位演算手順を経て振動信号の変位を測定し、測定された変位信号を用いて振動加速度計の絶対校正を現在行っている。
提案された非実時間振動変位の測定方法の測定不確かさ(measurement uncertainty)は、光センサの電気的出力信号であるコサインとサイン信号をデジタル値に変換するデジタルオシロスコープのAD変換器の分解能(resolution)と、また、式(12)から(15)の演算に伴われる四捨五入(roundoff)に起因する。選定されたデジタルオシロスコープ(Lecroy HDO6054モデル)が提供する12ビット分解能による測定不確かさは、図6のようにデジタル値に変換されたコサインとサイン信号の振幅、すなわち半径Rの電圧測定不確かさと同様になる。NビットのAD変換器の電圧測定相対標準不確かさUは、均一分布(uniform distribution)の特性を満たすことから以下のとおりである。
式(17)
図6に示されているように、電圧測定相対不確かさによって誘発される位相不確かさは、以下のように計算される。
式(18)
上記の式において、σ()関数は、標準偏差を示す。式(18)の位相不確かさによる変位測定不確かさは、式(13)により、以下のように計算される。
式(19)
12ビットAD変換器の場合、N=12、また、平面鏡を用いた干渉計の場合、反射回収N=2である場合、式(19)による変位測定不確かさは、7.1pm(あるいはレーザ波長λの5.5×10倍)レベルであることが分かる。かかる事実は、12ビット分解能のAD変換器を使用しても10pm以下の変位測定標準不確かさを具現することができることを意味する。
式(12)から(15)の演算に伴われる四捨五入(roundoff)に起因する測定不確かさは、無視してもよいレベルである。本研究チームは、64ビット(あるいは8バイト)浮動小数点(floating point)を用いた数値演算を行うことから、52ビットの分数部の四捨五入による演算誤差が伴われる。本研究チームは、式(12)から(15)の演算プログラムを作成して四捨五入(roundoff)不確かさの模擬実験を行っており、四捨五入による振幅Rの相対的不確かさU(R)が2.3×10−12レベルであることが確認された。12ビットのAD変換器分解能誤差に比べると、64ビット(あるいは8バイト)浮動小数点演算の四捨五入による誤差は無視してもよいほどに小さい値であることが分かる。
[4]第2実施例:実時間具現モデル
レーザ干渉計の光センサ出力を用いた実時間振動変位の測定は、高速の演算能力を提供する多重コアを内蔵したDSPあるいはFPGAを用いて具現することができる。ここでは、研究開発ステップで使用したFPGAを用いた具現方法を紹介する。開発用FPGAモデルは、Xilinx社製のKintex‐7FPGA DSP Kitと最大250MHz二つのチャネル14‐bit AD変換器(4DSP社製のFMC150モデル)から構成した。光センサのアナログ出力であるコサインとサイン信号は、二つのチャネル14ビットAD変換器に入力され、14ビットデジタル値に変換され、FMCインタフェイスバスを介してKintex‐7 FPGA DSPボードに実時間に伝送される。
実時間振動変位測定プログラムの開発にかかるプログラム時間を最小化するために、Mathworks社製のSimulinkモデルを用いた設計方法を用いているが、図7はSimulinkモデルで設計された最上位モデル(top model、main program)を示している。最上位モデルは、6種の下部モデル、すなわち(1)二つのチャネル14‐ビットAD変換器から構成されたレーザ干渉計光出力デジタル入力モデル(interferometer quadrature outputs model)、(2)Heydemann校正モデルの5種因子入力モデル(Heydemann model parameters input model)、(3)Heydemann校正演算モデル(Heydermann correction model)、(4)円周上の二つの点間の微小変位を追跡換算する状態遷移モデル(State transition model)、(5)相対的位相を測定し、累積角、また最終振動変位を計算する位相測定モデル(Phase meter model)、また、(6)累積誤差の最小化のための以前の点の再整列モデル(alignment model)から構成される。したがって、図6に提示されているモデルは、上記で紹介した非実時間的な振動変位の測定方法をSimulinkモデルで表した具現方法であり、これは、FPGAで実時間に具現するための一つの方法であることが分かる。
(1)レーザ干渉計の光出力コサインとサイン信号は、図8に示されている二つのチャネル14‐ビットAD変換器を介してデジタル入力下部モデルを示しており、4DSP社製のFMC150ボードに提供されるFMC(FPGA Mezzanine Card)インタフェイスプログラムを使用した。
(2)図4に示されているように、ハイデマン校正モデルの5種の因子{R、r、α、p、q}値は、非実時間変位測定手順(ステップ(1)からステップ(3)までの過程)と同様に行ってユーザPCに貯蔵した後、貯蔵された5種のモデル因子は、FPGA内部メモリに伝送して貯蔵し、実時間変位測定の際、これらの値を定数で読み取り演算に使用する。図9はハイデマン校正モデルの因子入力下部モデルを示しており、ユーザがハイデマン校正を行うか、あるいは校正を行わないかを選択するように因子入力下部モデルを構成した。
(3)図10はハイデマン校正演算モデルを示している。これは、上記において紹介した図2のハイデマン校正に必要な演算を行うSimulink下部モデルである。
(4)Simulink最上位モデルを構成する4番目の下部モデルである状態遷移モデル(state transition model)は、ハイデマン校正演算を経た二つのコサインとサイン信号である以前の位置(C(n‐1)、C(n‐1))から現在の位置(C(n)、C(n))に移動する過程をSimulinkモデル形式に具現した。図11は以前の位置から現在の位置への移動による相対的位相Δθ(n)のコサインとサイン成分を計算する状態遷移モデルを示している。状態遷移モデルの二つの出力値であるΔθ(n)のコサインとサイン成分は、以降、図12のように位相測定モジュールに入力される。
図11は位相測定モデルのSimulink下部モデルを示しており、これは、相対的位相の測定を行うΔθ(n)の換算プログラム(Δθ(n)Estimator)、相対位相の累計を計算する位相計算部分、また、現在の位相を用いて最終変位を計算し出力する部分から構成される。Δθ(n)の換算プログラムは、matlabコードで作成された演算プログラムでarctan(sin(Δθ(n))/cos(Δθ(n)))の演算を具現する関数である。
(5)位相測定モデルは、現在の相対的位相Δθ(n)が以下のステップの相対的位相測定の際に現在の位置の修正および再整列のために外部に出力される(図12の出力ポート2delta_theta参照)。
(6)図13は以前の状態の推定された相対位相角Δθの演算に伴われる誤差の影響を最小化するための以前の点の修正および再整列(上記の式14参照)演算を行うSimilink下部モデルである。
図12と図13に示されている実時間具現用Simulinkモデルにmatlab関数がそれぞれ使用されている。図12のmatlab関数は、三角関数arctan2(sin(Δθ(n))、cos(Δθ(n)))関数を18‐bit CORDIC技法で行うmatlabコードを含む関数であり、図13のmatlab関数は、三角関数sin(Δθ(n))とcos(Δθ(n))関数をルックアップテーブルとTayler級数を用いた超高速演算matlabコードで具現された関数である。かかるmatlab関数の具現技法は、Simulinkモデルにおいて実時間の具現が不可能な部分をFPGAで実時間に具現するために開発された技法である。
図8から図13に示されている6種の下部モデルから構成された最上位Simulinkモデル(図7に示されているSimulink最上位モジュール)は、VHDL言語のプログラムに1次に変換しており、Xilinx社製のFPGA開発統合プログラム(Vivado)を用いてKintex‐7FPGAプログラム用イメージファイルに変換し、開発用FPGA専用EEPROMに送信貯蔵した。FPGAに電源が印加されると、FPGAプログラムイメージは、EEPROMで自動にアップロード(upload)され、FPGAのプログラム設定を完了する。ユーザが振動測定命令語をFPGAに伝送すると、FPGA内部振動変位測定の結果は、FIFOメモリを用いて実時間にユーザPCに伝送される。
図14は実時間振動変位測定用FPGAから測定した振動変位の例を示しており、提案された実時間振動変位測定用SimulinkモデルがKintex‐7FPGAで正常に作動していることを確認した。
実時間振動変位の測定に使用されたAD変換器の分解能は、14ビットに、以前の非実時間の具現方法より2ビットが改善した効果を提供することから、AD変換器の分解能による振動変位測定標準不確かさは1.8pmと、非実時間の具現方法より測定不確かさを約4倍改善することができた。また、式(12)から(15)までの演算を以前に紹介した非実時間変位測定を行うために使用された64ビット(8バイト)浮動小数点データ型を使用する場合、FPGA内部財源を使用した実時間の具現が事実上不可能であった。Kintex‐7系のFPGA内蔵型DSP財源を用いた実時間の具現を模索するために固定小数点(fixed point)の数値演算型Simulink下部モデルを以下のような入出力データ型を個別に選定した。すなわち、14‐ビットAD変換器出力下部モデルは16ビットのうち14ビット分数部データ出力を、Heydemann校正モデルの5種因子入力モデルは36ビットのうち24ビット分数部データ出力を、Heydemann校正演算モデルは36ビットのうち24ビット分数部型のデータ入出力、円周上に二つの点間の微小変位を追跡換算する状態遷移モデル(state transition model)は36ビットのうち24ビット分数部データ入出力をそれぞれ選定した。また、位相測定下部モデルの相対的位相計算、すなわち、arctan2関数計算は、18ビットCORDIC技法で行うために18ビット分数部入出力を、累積角計算と振動変位計算は36ビットのうち24ビット分数部型のデータ入出力をそれぞれ選定した。また、相対位相累積誤差を低減するための次の位置の修正および再整列演算モデルは、36ビットのうち24ビット分数部型のデータ入出力を選定した。かかる36ビットあるいは18ビットデータ型固定小数点入出力変換だけでなく、個別Simulink下部モデルの内部演算に伴われる四捨五入の影響を理論的に推定することは事実上不可能である。したがって、設計ステップにおいてレーザ干渉計の光出力信号を模擬した数値モデルを用いてAD変換器を除いた振動変位測定Simulinkモデルの四捨五入影響を調査した。模擬実験の結果、振動振幅計算に伴われる標準不確かさは約0.16pmに示されている。この値は、位相測定下部モデルの相対的位相計算、すなわちarctan()関数計算に適用された18ビットCORDIC技法の四捨五入誤差(18ビッド演算の相対的不確かさ)0.11pmより1.45倍高いレベルである。その原因は、36ビットのうち24ビット分数部データ型固定小数点入出力と内部演算に伴われた四捨五入誤差の影響であると判断される。したがって、14‐ビットAD変換器の分解能による振動振幅測定不確かさ1.8pmとSimulinkモデル演算に選択した固定小数点入出力と内部演算四捨五入誤差による測定不確かさ0.16pmを合成した標準不確かさは1.81pmと確認された。したがって、非実時間振動変位測定技法に使用された12ビット分解能を有するデジタルオシロスコープによる測定標準不確かさは7.1pmである一方、14ビットのAD変換器とFPGAの固定小数点演算を用いた振動変位測定標準不確かさは1.81pmと約4倍改善した結果を得ることができた。
図15は上記に紹介された実時間振動変位測定具現モデルの簡素モデルを示している。すなわち、図12に示されている相対位相累積誤差を低減するための次の位置の修正および再整列演算モデルを省略した実時間具現用Simulink最上位モデルを示している。簡素型モデルは、5種の下部モデル、すなわち、(1)二つのチャネル14‐ビットAD変換器から構成されたレーザ干渉計光出力デジタル入力モデル(interferometer quadrature outputs model)、(2)Heydemann校正モデルの5種因子入力モデル(Heydemann model parameters input model)、(3)Heydemann校正演算モデル(Heydermann correction model)、(4)円周上に二つの点間の微小変位を追跡換算する状態遷移モデル(State transition model)、および(5)相対的位相を測定し、累積角および最終振動変位を計算する位相測定モデル(phase meter model)から構成される。
また、図16は上記の簡素化した振動変位測定実時間具現用Simulink最上位モデルに合わせて修正された位相測定下部モデルを示しており、図12と比較して単純に相対的位相Δθ(n)出力部分を削除したモデルであるだけである。簡素化した振動測定モデルは、相対的位相推定値に伴われる四捨五入累積誤差が振動変位測定に伴われる欠点があるが、図13の三角関数sin(Δθ(n))とcos(Δθ(n))関数の計算に必要なルックアップテーブルとTayler級数を用いた演算部を必要としないため、演算の速度を増大できるという利点がある。相対的位相推定値に伴われる四捨五入累積誤差の影響を調査するために、図15の簡素化モデルに対して数値模擬試験を行った結果、最終振動変位測定不確かさは2.12pmと、相対的位相修正および次の位置再整列モデルを使用した場合である1.81pmより0.31pmの不確かさのみが増加しただけであった。かかる結果は、Simulink下部モデルの演算に採択された36ビットのうち24ビット分数型固定小数点データ構造の適切性に起因したものと判断される。一般DSPのように32ビット型固定小数点、すなわち32ビットのうち24ビット分数部のデータ型を選定しても類似の結果が得られることが期待される。
韓国標準科学研究院の振動標準研究チームは、上記で紹介したレーザ干渉計の光センサアナログ出力信号を用いた実時間振動測定用Simulinkモデルをベースとする実時間振動変位測定装置の製品化に関する研究を進めている。図17は実時間振動変位測定装置の構成図を示している。本装置は、電気的ノイズを低減するために差動型光センサ出力モデルを標準型に選定しており、差動信号入力と増幅のための二つのチャネルの差動増幅器、100MHz変換速度を有する二つのチャネル16ビットAD変換器、そしてXilinx社製のkintex7系のFPGAから構成した。また、測定された振動変位信号を実時間でPCに送信するために、PCIe(PCI express)インタフェイスを新たに採択している。また、ノートパソコンとのインタフェイスのためにGbit Ethernetも備えている。
本発明は、上述の実施例に限定されず、適用範囲が多様であることは言うまでもなく、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変形実施が可能であることは言うまでもない。
本発明によれば、レーザ干渉計で振動変位測定の際に測定精度を数〜数十ピコメートルレベルに著しく向上させることができるという大きな効果がある。これにより、測定精度を向上させるだけでなく、測定装置におけるメモリを大幅に節約する効果もある。また、無論、このように累積誤差を減少させることで窮極的には測定精度をさらに向上させることができる効果もある。
100 絶対校正装置
110 回転軸
120 回転加振機
130 回転振動テーブル
140 アングルプリズム
150 光学テーブル
160 レーザヘッド
170 ミラー
180 干渉計
500 被校正対象

Claims (8)

  1. 回転振動が発生する被校正対象から反射した測定用レーザビームおよび固定基準面から反射した基準用レーザビームを重ねて光センサに入力を受け、前記光センサから出力される電気的出力信号を使用して前記被校正対象の振動変位を算出する振動変位の測定方法であって、
    前記光センサの電気的出力のコサイン信号およびサイン信号がインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化する、離散化測定ステップと、
    ハイデマン校正方法を用いて前記コサイン信号および前記サイン信号により形成される楕円状の信号が真円状の信号に校正される、校正ステップと、
    n番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号と、n‐1番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号を使用して、二つの時点間の相対的角度が算出される、相対的角度算出ステップと、
    n番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号と、前記相対的角度を使用して、n‐1番目の時点の校正されたコサイン信号および校正されたサイン信号が修正および再整列される、以前の信号の修正および再整列ステップと、
    n番目の時点までの前記相対的角度の累計によりn番目の時点の位相が算出される、位相算出ステップと、
    n番目の時点の前記位相がn番目の時点の振動変位に換算され算出される、変位算出ステップと、を含むことを特徴とする、状態変分原理を用いた振動変位の測定方法。
  2. 前記離散化ステップおよび前記校正ステップは、
    振動変位dによる前記光センサの電気的出力のコサイン信号uおよびサイン信号uが、下記のように表されるときに、



    (ここで、R:電圧の大きさV、r:コサイン信号に対するサイン信号の割合、λ:レーザ波長m、N:測定用ビームの反射回数(単一反射N=1、2回反射N=2)、α:コサインとサイン信号の直角誤謬(quadrature error)角、p、q:コサインとサイン信号のDC電圧(offset voltage)V)
    前記離散化ステップにおいて、予め決定された測定周期ごとに測定された前記コサイン信号uおよびサイン信号uがインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化し、
    前記校正ステップにおいて、ハイデマン校正方法により、

    前記式のAからEまでの定数が最小二乗法で求められ、

    前記式のように前記コサイン信号uおよびサイン信号uの特性因子{R、r、α、p、q}値が算出されることにより、
    楕円状の前記コサイン信号uおよびサイン信号uが、下記の式のような真円状の校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cに変換校正(correction)されることを特徴とする、請求項1に記載の状態変分原理を用いた振動変位の測定方法。


  3. 前記相対的角度算出ステップは、
    前記離散化ステップにおいて予め決定された測定周期ごとに測定された前記コサイン信号uおよびサイン信号uがインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化し、前記校正ステップにおいて校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cに校正された後、
    下記の式によりn番目の時点とn‐1番目の時点との間の相対的角度Δθが算出されることを特徴とする、請求項1に記載の状態変分原理を用いた振動変位の測定方法。

    (ここで、R:電圧の大きさV)
  4. 前記相対的角度算出ステップは、
    校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cにより算出された相対的角度Δθのコサインcos(Δθ)およびサインsin(Δθ)値から、下記の式により相対的角度Δθが算出されることを特徴とする、請求項3に記載の状態変分原理を用いた振動変位の測定方法。
  5. 前記相対的角度算出ステップは、
    校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cにより算出された相対的角度Δθのコサインcos(Δθ)およびサインsin(Δθ)値から、入力値が任意の角度のコサインおよびサイン値であり、出力値が角度値であるデータとして予め作製されたルックアップテーブル(lookup table)により相対的角度Δθが算出されることを特徴とする、請求項3に記載の状態変分原理を用いた振動変位の測定方法。
  6. 前記以前の信号の修正および再整列ステップは、
    前記離散化ステップにおいて予め決定された測定周期ごとに測定された前記コサイン信号uおよびサイン信号uがインデックスn(n=1、2、…、N)に応じて離散化し、前記校正ステップにおいて校正されたコサイン信号Cおよび校正されたサイン信号Cに校正された後、
    下記の式によりn‐1番目の時点の校正されたコサイン信号C(n‐1)および校正されたサイン信号C(n‐1)が修正および再整列されることを特徴とする、請求項1に記載の状態変分原理を用いた振動変位の測定方法。
  7. 前記位相算出ステップは、
    前記相対的角度算出ステップにおいて相対的角度Δθが算出された後、下記の式によりn番目の時点の位相θ(n)が算出されることを特徴とする、請求項1に記載の状態変分原理を用いた振動変位の測定方法。

    (ここで、k:1〜nまでの自然数)
  8. 前記変位算出ステップは、
    前記位相算出ステップにおいてn番目の時点の位相θ(n)が算出された後、下記の式によりn番目の時点の振動変位d(n)に換算され算出されることを特徴とする、請求項1に記載の状態変分原理を用いた振動変位の測定方法。

    (ここで、n:離散化インデックス、d:変位、θ:位相、λ:レーザ波長m、N:測定用ビームの反射回数(単一反射N=1、2回反射N=2))
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