JP2017512261A - 高温用途用アルミニウム超合金 - Google Patents

高温用途用アルミニウム超合金 Download PDF

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Abstract

高温、高応力、および様々な他の用途で使用可能なアルミニウム−ジルコニウムおよびアルミニウム−ジルコニウム−ランタニド超合金が記載される。ランタニドは、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、またはイッテルビウムが好ましく、エルビウムが最も好ましい。また、上記の合金の作製方法が開示される。約220℃を超える温度で工業的に適切な硬さを有する超合金には、高熱条件に耐えられる高強度合金を作り出す、ナノスケールAl3Zr析出物ならびに、任意選択でナノスケールAl3Er析出物およびナノスケールAl3(Zr,Er)析出物が含まれる。これらのナノスケール析出物は、α−Al(f.c.c)マトリックス中にLl2構造を有し、約20ナノメートル(「nm」)未満、好ましくは約10nm未満、より好ましくは約4〜6nmの平均直径を有し、ナノスケール析出物において、例えば約1021m−3超といった、高い数密度を有する。高い数密度のナノスケール析出物の形成は、例えば3A、4A、5A族の金属または半金属などの接種剤の添加によるものと考えられる。加えて、Al中のZrの拡散率を増加させる方法が開示される。

Description

本出願は、特定のアルミニウム合金に関する。より詳細には、高温で改善された性質を示すアルミニウム合金について記載される。
種類としてのアルミニウム合金は、入手できる最も汎用性の高い工業および建設材料に含まれる。例えば、アルミニウム合金は、鉄や銅と比較して軽く、高い重量比強度を有する。加えて、アルミニウム合金は腐食を受けにくく、鉄の最大3倍の熱伝導性があり、容易に様々な形への二次加工が可能である。しかし、現状の軽量で時効硬化可能な工業用アルミニウム合金は、約220℃(428°F)を超えると、含有する強化析出物の溶解、粗大化、または望ましくない相への変化が生じるため、使用することができない。アルミニウム−スカンジウム合金はより高温に耐えるよう開発されたが、スカンジウムの使用に伴うコストのため、概して非常に高価である。したがって、良好な加工性の特性を有し、例えば自動車用ブレーキローターまたはエンジン構成部品などの、より高温(例えば、300〜450℃または572〜842°F)に曝露される用途に使用できる、工業的に存立可能な非被覆アルミニウム合金が必要とされている。アルミニウムの約3倍の重さである鋳鉄や、アルミニウム合金よりはるかに高価なチタン合金が、こういった高温、高応力用途で一般に使用されている。
このようなアルミニウム超合金の他の潜在的用途としては、ピストンなどのエンジン構成部品が含まれるが、現状、自動車メーカーでは作動最高温度が約220℃のアルミニウム構成部品に限られており、このためエンジン効率の低下、排出の増加ならびに冷却装置のコストおよび質量の増大を招いている。別の用途としては、飛行機の尾翼に位置する補助動力源(APU)などの、航空機エンジンの構造部品がある。APUフレーム、取付ブラケット、および排気ダクトには、約300℃(572°F)という高温環境のため、現在は高価なチタン合金が用いられているが、本明細書で開示する、より軽量ではるかに安価な高温アルミニウム合金がこれに置き換わる可能性がある。
本明細書の様々な実施形態に記載している本発明の合金は、アルミニウム、ジルコニウム、および少なくとも1つの接種剤、例えば3A、4A、および5A族の金属または半金属を含み、ナノスケールAlZr析出物のうち1種以上を含む。合金にはまた、アルミニウム、ジルコニウム、エルビウムなどのランタニド系列金属および少なくとも1種の接種剤、例えば3A、4A、および5A族の金属または半金属、が含まれうる。そのような合金は、AlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)析出物などの、1種以上の高い数密度のナノスケール析出物を有しうる。本発明の合金は、高温で良好な強度、硬さ、耐クリープ性、および耐老化性を示し、全ての温度において優れた電気および熱伝導率を示し、一方でSc含有アルミニウム合金よりも安価である。
本出願は、とりわけ、高温、高応力および様々な他の用途で用いることが可能なアルミニウム−ジルコニウムおよびアルミニウム−ジルコニウム−ランタニド超合金を対象にしている。ランタニドは、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、またはイッテルビウムが好ましく、エルビウムが最も好ましい。また、上記の合金の作製方法が開示される。約220℃を超える温度で工業的に適切な硬さを有する超合金には、ナノスケールAlZr析出物ならびに、任意選択でナノスケールAlErおよびナノスケールAl(Zr,Er)析出物が含まれ、これらは高熱条件に耐えられる高強度合金を作り出す。これらのナノスケール析出物は、α−Al(f.c.c)マトリックス中にLl構造を有し、約20ナノメートル(「nm」)未満、好ましくは約10nm未満、より好ましくは約4〜6nmの平均直径を有し、ナノスケール析出物において、例えば約1021−3超といった、高い数密度を有する。加えて、Al中Zrの拡散率を増加させる方法が開示される。
本発明の第1の実施形態は、ジルコニウム、および以下の元素のうち1種以上:スズ、インジウム、アンチモン、およびマグネシウムを用いて作る(任意の不可避な不純物を含む)アルミニウムの合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
本発明の第2の実施形態は、ジルコニウム、エルビウム、および以下の元素のうち1種以上:ケイ素、スズ、インジウム、アンチモン、およびマグネシウムを用いて作る(任意の不可避な不純物を含む)アルミニウムの合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
本発明の第3の実施形態は、ジルコニウム、および以下の元素のうち任意の2種、3種、4種、または5種全ての組み合わせ:ケイ素、スズ、インジウム、アンチモン、およびマグネシウムを用いて作る(任意の不可避な不純物を含む)アルミニウムの合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
本発明の第4の実施形態は、ジルコニウム、ランタニド系列金属の好ましくはホルミウム、エルビウム、ツリウムまたはイッテルビウム、最も好ましくはエルビウム、および以下の元素のうち任意の2種、3種、4種、または5種全ての組み合わせ:ケイ素、スズ、インジウム、アンチモン、およびマグネシウムを用いて作る(任意の不可避な不純物を含む)アルミニウムの合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlX析出物、およびナノスケールAl(Zr,X)析出物を含み、Xはランタニド系列金属である。
第5の実施形態は、約0.3原子パーセント(「at.%」)のZr(別段の記載がない限り、本明細書中の全ての濃度は原子パーセントで示される)、約1.5at.%のSi、約0.1at.%のSn、約0.1at.%のIn、約0.1at.%のSb、残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物をさらに含む。
第6の実施形態は、約0.1at.%のZr、約0.01at.%のSn、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第7の実施形態は、約0.1at.%のZr、約0.02at.%のSn、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第8の実施形態は、約0.06at.%のZr、約0.02at.%のIn、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第9の実施形態は、約0.3at.%のZr、約0.05at.%のEr、約1.5at.%のSi、約0.1at.%のSn、約0.1at.%のIn、約0.1at.%のSb、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第10の実施形態は、約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.01at.%のSn、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第11の実施形態は、約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のSn、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第12の実施形態は、約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.2at.%のSi、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第13の実施形態は、約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のIn、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第14の実施形態は、約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のアンチモン、ならびに残余がアルミニウムおよび任意の不可避な不純物で作られる合金を対象にしており、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第15の実施形態は、Al−Zr−X−Si−Mg合金を対象にしており、SiおよびMgは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。合金元素は、例えば1000〜8000系列合金などの、工業用アルミニウム合金に典型的に存在する元素であると理解される。
第16の実施形態は、Al−Zr−X−Si−Mg合金を対象にしており、SiおよびMgは合金元素であり、Xは4A族金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第17の実施形態は、Al−Zr−X−Si−Mg合金を対象にしており、SiおよびMgは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第18の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Si−Mg合金を対象にしており、SiおよびMgは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第19の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Si−Mg合金を対象にしており、SiおよびMgは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第20の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Si−Mg合金を対象にしており、SiおよびMgは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第21の実施形態は、Al−Zr−X−Fe合金を対象にしており、Feは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第22の実施形態は、Al−Zr−X−Fe合金を対象にしており、Feは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第23の実施形態は、Al−Zr−X−Fe合金を対象にしており、Feは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第24の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Fe合金を対象にしており、Feは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第25の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Fe合金を対象にしており、Feは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第26の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Fe合金を対象にしており、Feは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第27の実施形態は、Al−Zr−X−Mg合金を対象にしており、Mgは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第28の実施形態は、Al−Zr−X−Mg合金を対象にしており、Mgは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第29の実施形態は、Al−Zr−X−Mg合金を対象にしており、Mgは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第30の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Mg合金を対象にしており、Mgは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第31の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Mg合金を対象にしており、Mgは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第32の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Mg合金を対象にしており、Mgは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第33の実施形態は、Al−Zr−X−Cu合金を対象にしており、Cuは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第34の実施形態は、Al−Zr−X−Cu合金を対象にしており、Cuは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第35の実施形態は、Al−Zr−X−Cu合金を対象にしており、Cuは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第36の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Cu合金を対象にしており、Cuは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第37の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Cu合金を対象にしており、Cuは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第38の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Cu合金を対象にしており、Cuは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第29の実施形態は、Al−Zr−X−Si合金を対象にしており、Siは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第40の実施形態は、Al−Zr−X−Si合金を対象にしており、Siは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第41の実施形態は、Al−Zr−X−Si合金を対象にしており、Siは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第42の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Si合金を対象にしており、Siは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第43の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Si合金を対象にしており、Siは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第44の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Si合金を対象にしており、Siは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第45の実施形態は、Al−Zr−X−Zn−Mg合金を対象にしており、ZnおよびMgは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第46の実施形態は、Al−Zr−X−Zn−Mg合金を対象にしており、ZnおよびMgは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第47の実施形態は、Al−Zr−X−Zn−Mg合金を対象にしており、ZnおよびMgは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であることができ、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
第48の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Zn−Mg合金を対象にしており、ZnおよびMgは合金元素であり、Xは3A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第49の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Zn−Mg合金を対象にしており、ZnおよびMgは合金元素であり、Xは4A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
第50の実施形態は、Al−Zr−Er−X−Zn−Mg合金を対象にしており、ZnおよびMgは合金元素であり、Xは5A族の金属または半金属であり、合金はLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
本発明の第51の実施形態は、アルミニウム、ジルコニウム、および以下の元素のうち1種以上:スズ、インジウム、およびアンチモン、で作られる合金を対象にしており、合金は、本質的にスカンジウムを含まず、Ll構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む。
本発明の第52の実施形態は、アルミニウム、ジルコニウム、エルビウム、および以下の元素のうち1種以上:ケイ素、スズ、インジウム、およびアンチモン、で作られる合金を対象にしており、合金は、本質的にスカンジウムを含まず、Ll構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む。
本発明の別の態様において、AlZr析出物および/またはナノスケールAlEr析出物および/またはナノスケールAl(Zr,Er)析出物は、平均直径が約10nm未満である。本発明の別の態様において、AlZr析出物および/またはナノスケールAlEr析出物は、平均直径が約4〜6nmである。
本発明の別の態様において、Ll構造を有しAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)Llからなる群から選択される複数のナノスケール析出物を有する、本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法が開示される。方法には、以下のステップが含まれうる:(a)アルミニウム溶融物を作製すること、ならびにジルコニウムと、エルビウム、ケイ素、スズ、インジウム、アンチモン、およびマグネシウムのうち1種以上とを添加すること;(b)溶融物を凝固させること、および得られた固体片を約0℃(32°F)〜約300℃(572°F)の温度に冷却すること;(c)固体片を約600℃(1112°F)〜約660℃(1220°F)(例えば、640℃または1184°F)の温度で約0.3時間〜約72時間任意選択で均質化すること;(d)一部の合金元素を析出するために、約100℃(212°F)〜約375℃(707°F)の温度を約1〜約12時間維持することが含まれる、第1の熱処理ステップを任意選択で実施すること;および(e)第1の任意選択の熱処理ステップの後、約375℃(707°F)〜約550℃(1022°F)の温度を約1時間〜48時間加熱および維持することが含まれる、主たる熱処理ステップを実施すること。
本発明の別の態様において、Ll構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、またはナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびAl(Zr,Er)を有する、本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法が開示される。方法には、以下のステップが含まれうる:(a)アルミニウム溶融物を作製すること、ならびにジルコニウムと、エルビウム、ケイ素、スズ、インジウム、アンチモン、およびマグネシウムのうち1種以上とを添加すること;(b)溶融物を凝固させること、および得られた固体片を約0℃(32°F)〜約300℃(572°F)の温度に冷却すること;(c)固体片を約600℃(1112°F)〜約660℃(1220°F)(例えば、640℃または1184°F)の温度で約0.3時間〜約72時間任意選択で均質化すること;(d)約100℃(212°F)〜約375℃(707°F)の温度を約1時間〜約12時間維持することにより、第1の熱処理ステップを実施すること;および(e)約375℃(707°F)〜約550℃(1022°F)の温度を約1時間〜48時間維持して第2の熱処理ステップを実施すること。
開示されるアルミニウム合金および作製方法のさらなる詳細および態様は、図面を含む以下の記述に記載される。
α−Alマトリックス中の溶質が拡散するための活性化エネルギー測定値を図示したもので、Sc、4B族元素(Ti、Zr、およびHf)および一部の選択接種剤の相対拡散率に対応する。 Al−0.1Zr at.%、Al−0.1Zr−0.01Sn at.%、およびAl−0.1Zr−0.02Sn at.%について、640℃(1184°F)で24時間均質化した後に25℃/3時間の刻みで等時時効した際の、図2Aはビッカース微小硬さの時間的進展、図2Bは室温での電気伝導率の時間的進展を示す。 Al−0.1Zr−0.02Sn at.%について、640℃(1184°F)で24時間均質化した後または均質化を行わずに(例えば、鋳放しで)、25℃/3時間の刻みで等時時効した際の、図3Aはビッカース微小硬さの時間的進展を、図3Bは室温での電気伝導率の時間的進展を示す。比較のため、Al−0.1Zr at.%合金のデータも含まれている。 Al−0.06Zr at.%について均質化を行わずに、Al−0.06Zr−0.02In at.%について640℃(1184°F)で24時間均質化した後に25℃/3時間の刻みで等時時効した際の、図4Aはビッカース微小硬さの時間的進展を、図4Bは室温での電気伝導率の時間的進展を示す。 Al−0.1Zr−0.04Er at.%、Al−0.1Zr−0.04Er−0.01Sn at.%、およびAl−0.1Zr−0.04Er−0.02Sn at.%について、640℃(1184°F)で24時間均質化した後に25℃/3時間の刻みで等時時効した際の、図5Aはビッカース微小硬さの時間的進展を、図5Bは室温での電気伝導率の時間的進展を示す。 Al−0.1Zr−0.04Er at.%、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02In at.%、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sb at.%、およびAl−0.1Zr−0.04Er−0.17Si at.%について、640℃(1184°F)で24時間均質化した後に25℃/3時間の刻みで等時時効した際の、図6Aはビッカース微小硬さの時間的進展を、図6Bは室温での電気伝導率の時間的進展を示す。 Al−0.1Zr−0.04Er at.%について640℃(1184°F)で24時間均質化した後、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02In at.%、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sb at.%について均質化を行わずに、25℃/3時間の刻みで等時時効した際の、図7Aはビッカース微小硬さの時間的進展を、図7Bは室温での電気伝導率の時間的進展を示す。 Al−0.06Zr at.%、Al−0.06Zr−0.02In at.%、Al−0.1Zr at.%、Al−0.1Zr−0.01Sn at.%、Al−0.1Zr−0.02Sn at.%について、640℃(1184°F)で24時間均質化した後に25℃/3時間の刻みで等時時効した際の、第1および第2のピーク硬さにおける基準値200MPaからの微小硬さの増加を概括的に示したものである。 Al−0.1Zr−0.04Er at.%、Al−0.1Zr−0.04Er−0.01Sn at.%、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sn at.%、Al−0.1Zr−0.04Er−0.17Si at.%について640℃(1184°F)で24時間均質化した後、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02In at.%、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sb at.%について均質化を行わずに、25℃/3時間の刻みで等時時効した際の、第1および第2のピーク硬さにおける基準値200MPaからの微小硬さの増加を概括的に示したものである。 640℃(1184°F)で24時間均質化し400℃(752°F)で72時間時効した後に直径約8〜12nmのAlZrナノ析出物を示した、Al−0.1Zr−0.02Sn at.%の3−D原子プローブ断層撮影を再構成したものである。また図9には、Zr原子(緑)およびSn原子(赤)を示す一組のナノ析出物を拡大して再構成したものも含まれる。マトリックスから析出物を区別するため、解析における等濃度面に12at.%のZrを用いた。
発明の詳細な説明
本開示は、複数の実施形態を有する本発明の例示と考えるべきであり、示された特定の実施形態に本発明を限定することは意図されていないと理解すべきである。さらに、本出願の本項目の表題(「発明の詳細な説明」)は米国特許庁の要件に関するものであり、本明細書に開示された主題を制限するものと見出すべきではないと理解すべきである。
新規のアルミニウム基超合金が開示される。合金は、アルミニウム、ジルコニウム、および少なくとも1つの接種剤を含み、またナノスケールAlZr析出物を含む。また、アルミニウムとジルコニウムと、好ましくはホルミウム、エルビウム、ツリウム、またはイッテルビウム、最も好ましくはエルビウムである、ランタニドと、少なくとも1つの接種剤とを含み、ナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlランタニド析出物、およびナノスケールAl(Zr,ランタニド)析出物を含む、合金が開示される。これらの超合金は容易に加工可能であり、特に約300〜450℃(572〜842°F)における高耐熱性を有する。さらに、接種剤として3A、4Aまたは5A族の金属または半金属を用いることによってアルミニウム中ジルコニウムの拡散率を増加させる方法が開示される。また、接種剤の使用によってAlZr(Ll)析出物の析出物直径を減少させる方法が開示される。3A、4Aおよび5A族の金属または半金属などの接種剤が、高い数密度のナノスケール析出物の形成をもたらすのに十分な量で供給され、その量は実施例や図に記載される量が含まれる。
検討されるアルミニウム合金はまた、本質的にスカンジウムを含まない(スカンジウム(Sc)が合金に約0.00at.%〜約0.04at.%未満の範囲で存在することを意味する)可能性があり、その一方で、スカンジウム含有アルミニウム合金と比較したとき、周囲温度および高温で同等または改善された機械的性質を示す。従来の定説では、例えばα−Alマトリックス中のScと同等な熱力学的および動力学的性質を有する元素が他に存在しないことを理由に、合金中のScの除去は成功の可能性が低いとされており、性質には、共晶(包晶ではなく)凝固、融点付近の固体アルミニウムにおける相対的に高い溶解性であって約200℃(392°F)でゼロ値付近に減少する溶解性、コヒーレントおよびセミコヒーレントなAlX析出物(Xは高いせん断抵抗性、低粗大化速度の傾向および格子定数のAlとのわずかなミスマッチを備えた(Ll構造)を有する金属である)を作り出す能力、粗大化を防ぐ上で十分に低いが均質化を可能にする上で十分に速い拡散率、溶解後の高耐食性および抗酸化性、低密度、液体アルミニウム中の高速溶解を可能にするために十分に低い融点、が含まれる。例えば、図1に示されるように、アルミニウム中ジルコニウムの拡散率はScよりも2〜3桁遅い。この低拡散率のため、Al−Zr希薄合金は、核形成の化学的駆動力が非常に高い低温時効時に高い数密度のナノスケールAlZr(Ll)析出物を用いて強化することができない。
図2A、3A、および4Aは、二元Al−0.06ZrおよびAl−0.1Zrについて、析出が高温で生じている(約500℃でピーク硬さ)ことを示し、相対的に低いピーク微小硬さをもたらしている。これは、温度がより高いと過飽和度はより小さくなり拡散はより速くなるため、微小硬さの増加を担うAlZr析出物が20nm〜200nmという相対的に大きなサイズで形成するからである。
したがって、Al中Zrの拡散率を増加させ、よってAl中Zrの過飽和度を増加させることにより、析出温度を低い温度にシフトさせる接種剤を添加するのが望ましい。そのような合金においては、約200℃(392°F)〜約400℃(752°F)の温度で時効することで、より高い体積分率でより小さく、よってより効果的な強化をもたらす析出物が作り出される。しかし、ジルコニウムはこの温度範囲における拡散が非常に遅く、したがってアルミニウム中で直径20nm未満の小さな析出物の核形成を行わない。より高い温度である約400℃(752°F)〜約600℃(1112°F)で人工時効する際、または溶融物から固体塊に冷却する際は、AlZr析出物の形成が可能だが、約20nm〜約200nmと相対的に大きい直径となる。したがって、ジルコニウムのみを含有するアルミニウム合金は、概して高強度合金を形成するに不十分である。
アルミニウム−ジルコニウム合金中に以下の元素のうち1種以上:スズ、インジウム、およびアンチモン、が存在すると、高強度合金が作り出されうることが見出された。またケイ素もこれらの元素のうち1種以上と組み合わせて使用されうる。スズ、インジウム、およびアンチモンの原子は、ジルコニウム原子と結合し、アルミニウム中ジルコニウムのより速い拡散をもたらすと考えられている。その後に、より低い温度である約300℃(572°F)〜約400℃(752°F)で人工時効する際、接種剤を含まないAl−Zr合金と比較してより小さいAlZr析出物が作り出されうる。これらのナノスケール析出物は形成し、約20nm未満、好ましくは約10nm未満、より好ましくは約4〜6nmの平均直径を有する。図9に一例を示すが、これはAl−0.1Zr−0.02Sn at.%の3−D原子プローブ断層撮影を再構成したもので、640℃(1184°F)で24時間均質化し400℃(752°F)で72時間時効した後に、平均直径約8〜12nmのAlZrナノ析出物を示している。
したがって、接種剤がないときよりも高強度の合金を作り出す、以下の元素のうち1種以上:スズ、インジウムおよびアンチモン、と共にジルコニウムを含み、任意選択でケイ素をも含む、アルミニウム合金が開示される。
また、アルミニウム−ジルコニウム合金であって以下の元素のうち1種以上:スズ、インジウムおよびアンチモンをさらに含み、任意選択でケイ素をも含む、アルミニウム−ジルコニウム合金の中にエルビウムを添加すると、より低い温度である約200℃(572°F)〜約350℃(662°F)で人工時効する際、高い数密度のAlEr析出物が作り出されうることが見出された。これらの合金はまた、Erを含まない合金と同様、約350℃(662°F)〜約550℃(1022°F)の温度でAlZr析出物を析出するが、さらにAl(Zr,Er)析出物をも析出する。ナノスケールAlEr析出物、ナノスケールAlZr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物は、エルビウム添加のないAlZr合金と比較して強度における改善を示す複合マトリックスを作り出す。
以下の実施例は、本発明を理解する助けとするために示されるものであり、いかなる形であっても後に続く請求項で規定される本発明を限定するものと解釈すべきではない。
合金1〜4
合金の組成、加工および分析手法
1つの二元対照合金および3つの三元接種合金を、原子パーセント(at.%)で、Al−0.1Zr、Al−0.1Zr−0.01Sn、Al−0.1Zr−0.02Sn、Al−0.06Zr−0.02Inの名目組成で鋳込んだ。99.99wt.%純Al、Al−5.0Zrwt.%、99.99wt.%純Sn、および99.99wt.%純Inを含むマスター合金を、空気中のアルミナるつぼ中で融解した。溶融物を800℃で60分保持し、激しく撹拌し、次に、任意選択で200℃に予熱した、グラファイト鋳型に鋳込んだ。凝固の際、方向性凝固を強化し引け巣の形成を減らすため、鋳型を氷冷した銅取付板上に置いた。合金の化学組成を、直流プラズマ原子発光分光法(DCP−AES)によって測定した。
鋳込んだ合金を空気中で約640℃で24時間(「h」)均質化し、次に周囲温度まで水焼き入れした。約150℃〜約550℃の温度について25℃ごとに3時間等時時効を行った。全ての熱処理は空気中で行い、周囲温度までの水焼き入れで終了した。
Duramin−5微小硬さ試験機(Struers)を用いて、1μm表面仕上に研磨した試料に200gの荷重を5秒(s)間適用し、ビッカース微小硬さ測定を行った。試験片ごとに、異なる粒子にまたがって少なくとも10個のへこみを作った。Sigmatest2.069渦電流測定器を用いて、電気伝導率測定を室温で行った。試験片ごとに、120、240、480、および960kHzで5回測定が実施された。
等時時効熱処理
合金1〜3において、640℃で24時間均質化した後に25℃/3時間の各段で等時時効した際の、微小硬さおよび電気伝導率の時間的進展を、図2Aおよび2Bに示す。Al−0.1Zr対照合金においては、微小硬さは400℃で増加し始め、約500℃でピークに達して367±14MPaのピーク微小硬さとなる。微小硬さピークはAlZr析出物の形成によるものであり、AlZr析出物の直径は、相対的に大きい(>20nm)。微小硬さは、時効温度が500℃を超えると、析出物が粗大化することおよびマトリックス中へ再溶解することにより連続的に減少する。
Al−0.1Zr−0.01Sn合金においては、微小硬さは150℃で増加し始め、約225℃で1回目のピークに達して287±6MPaの微小硬さとなる。その後より高い温度では減少するが、375℃で再び増加し、約475℃で2回目のピークに達して451±17MPaの微小硬さとなる。微小硬さは、時効温度の475℃を超えると連続的に減少する。Al−0.1Zr−0.02SnもAl−0.1Zr−0.01Sn合金と同じような挙動であるが、第1の微小硬さのピークはより低い温度の200℃でより高い値の357±9MPaとなり、第2の微小硬さのピークはより低い温度の425°でより高い値の493±22MPaとなる。200℃で生じるAl−0.1Zr−0.02Snの第1のピーク微小硬さ値が、500℃で生じるAl−0.1Zr合金のピーク微小硬さ値と同じである点に留意されたい。また、0.01〜0.02at.%のSnを添加することによって、Al−0.1Zrのピーク微小硬さが367からそれぞれ451および493MPaに改善し、一方でピーク温度が減少する点にも留意されたい。Sc含有合金において得られたより大きなピーク微小硬さ値は、10nm未満の、直径がより小さいナノスケール析出物が形成されたことによるものと考えられる。析出物の体積分率が同じ場合、より小さい析出物が分布すれば、より粗大な析出物で構成される合金と比べると、より効率的に合金が強化されることが判明した。
合金1〜3における電気伝導率の時間的進展を図2Bに示す。Al−0.1Zr合金の電気伝導率は、均質化状態において31.24±0.13MS/mである。425℃で増加し始め、475℃でピークに達して34.03±0.06MS/mの値となるが、これは国際焼きなまし銅線標準(IACS)における58.7%である。電気伝導率の増加はAlZr相の析出によるもので、これによってAlマトリックスからZr溶質原子が除去される。伝導率はより高い温度で連続的に減少するが、これはAlマトリックス中においてAlZr析出物が溶解しZr原子が溶解するためである。Al−0.1Zr−0.01SnおよびAl−0.1Zr−0.02Snについては、電気伝導率はAl−0.1Zr合金と同様時間的に変化するが、より低い温度の400℃および375℃でそれぞれ電気伝導率の値が増加し始める。また、共により低い温度の450℃でピークに達して、Al−0.1Zr−0.01SnおよびAl−0.1Zr−0.02Sn合金のそれぞれについて、より大きい値の34.38±0.06MS/m(59.3%IACS)および34.31±0.06MS/m(59.2%IACS)となる。
合金3のAl−0.1Zr−0.02Snにおいて、図3Aおよび3Bはそれぞれ微小硬さおよび電気伝導率の時間的進展を示し、共に鋳放しおよび均質化状態(640℃で24時間)について、25℃/3時間の各段における等時時効処理時の時間的進展である。共に同じような挙動であるが、第1の微小硬さピークはその限りではなく、鋳放し合金は225℃で最初にピークに達して値は293±9MPaとなり、均質合金は200℃で最初にピークに達して値は357±9MPaとなる。2つの合金における電気伝導率の時間的進展は、同じような挙動である。
図4Aおよび4Bは、それぞれ微小硬さおよび電気伝導率の時間的進展を示し、均質化を行わない鋳放しのAl−0.06Zrおよび均質化されたAl−0.06Zr−0.02In合金についての、25℃/3時間の各段における等時時効処理時の時間的進展である。Al−0.06Zr合金においては、微小硬さは400℃で増加し始め、約490℃でピークに達して290MPaのピーク微小硬さとなる。微小硬さは、またしてもAlZr析出物の形成によりピークに達する。Al−0.06Zr−0.02In合金においては、微小硬さは150℃未満で増加し始め、約150℃で1回目のピークに達して321±12MPaの微小硬さとなり、これはAl−0.06Zr合金のピークより大きい。その後より高い温度では減少するが、400℃で再び増加し、475℃で2回目のピークに達して323±10MPaの微小硬さとなり、これはまたしてもAl−0.06Zr合金のピーク微小硬さより大きい。微小硬さは、時効温度が475℃を超えると連続的に減少する。Al−0.06Zr合金の電気伝導率は、鋳放し状態で31.9MS/mである。425℃で増加し始め、475℃でピークに達して34.25MS/m(59.1%IACS)の値となる。Al−0.06Zr−0.02In合金の電気伝導率は、均質化状態において33.17±0.09MS/mである。150℃をわずかに下回るところで増加し、より高い温度で飽和状態になり、425℃で再び増加し、475℃でピークに達して34.00±0.05MS/m(58.6%IACS)の値となる。
データは、Al−0.1Zr合金において0.01〜0.02at.%Snを接種剤として添加することで微小硬さの改善がもたらされ、よって機械的強度、電気伝導率、およびおそらくは熱伝導率、の改善がもたらされることを示す。接種剤として200ppmのInを添加すると、微小硬さが改善し、よって機械的強度が改善し、電気伝導率はわずかに減少する。接種剤は、ナノサイズの析出物のより低温での形成を容易にし、直径20nm未満、通常は直径約10nm未満、の析出物を有する高強度合金を作り出す。
図8Aは、全てのAl−0.06Zr基およびAl−0.1Zr基合金について25℃/3時間の刻みで等時時効した際の第1および第2のピーク微小硬さにおける、基準値200MPaからの微小硬さの増加を概括的に示したものである。
合金5〜10
合金の組成、加工および分析手法
1つの三元合金および5つの四元合金を、原子パーセント(at.%)で、Al−0.1Zr−0.04Er、Al−0.1Zr−0.04Er−0.17Si、Al−0.1Zr−0.04Er−0.01Sn、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sn、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02In、Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sbの名目組成で鋳込んだ。99.99wt.%純Al、Al−5.0Zrwt.%、Al−5.0Erwt.%、Al−12Siwt.%、99.99wt.%純Sn、99.99wt.%純In、および99.99wt.%純Sbを含むマスター合金を、空気中のアルミナるつぼ中で融解した。溶融物を800℃で60分保持し、激しく撹拌し、次に、任意選択で200℃に予熱した、グラファイト鋳型に鋳込んだ。凝固の際、方向性凝固を強化し引け巣の形成を減らすため、鋳型を氷冷した銅取付板上に置いた。合金の化学組成を、直流プラズマ原子発光分光法(DCP−AES)によって測定した。
等時時効熱処理
合金5〜7について、640℃で24時間均質化した後に25℃/3時間の各段で等時時効処理した際、微小硬さおよび電気伝導率の時間的進展を測定し、図5Aおよび5Bに示す。接種剤を有しないAl−0.1Zr−0.04Er対照合金においては、微小硬さが200℃で増加し始め、325℃で1回目のピークに達して313±3MPaの微小硬さとなる。次に、より高い温度で減少するが、400℃で再び増加し、475℃で2回目のピークに達して369±6MPaの微小硬さとなる。第1のピークの微小硬さはAlEr析出物の形成によるものであり、第2のピークの微小硬さは、AlZr析出物の析出によるものである。時効温度が475℃を超えると、析出の粗大化および析出物の溶解の両方により、微小硬さの値が連続的に減少する。Al−0.1Zr−0.04Er−0.01Sn合金においては、微小硬さは非常に低い温度で、おそらくは150℃未満で増加し始め、200℃で1回目のピークに達し、331±8MPaの微小硬さとなる。その後より高い温度では飽和状態になるが、400℃で再び増加し、450℃で2回目のピークに達して、対照合金の場合より大きい、435±12MPaの微小硬さとなる。微小硬さは時効温度が450℃を超えると連続的に減少する。Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sn合金においては、微小硬さは非常に低い温度で、おそらくは150℃未満で増加し始め、約150℃で1回目のピークに達して303±6MPaの微小硬さとなる。その後微小硬さはより高い温度では飽和状態になるが、375℃で再び増加し、約425℃で2回目のピークに達して、対照合金およびAl−0.1Zr−0.04Er−0.01Sn合金より大きい、449±16MPaの微小硬さとなる。微小硬さは時効温度が425℃を超えると連続的に減少する。
Al−0.01Zr−0.04Er、Al−0.01Zr−0.04Er−0.01Sn、およびAl−0.01Zr−0.04Er−0.02Snにおいて、640℃で24時間均質化した後の、電気伝導率の時間的進展は類似している。相対的に高い変動度では、均質化状態における電気伝導率の値は32.2〜32.5MS/mの範囲内である。350℃〜400℃で増加し始め、その後、Al−0.01Zr−0.04Erについては475℃でピークに達して34.33±0.23(59.2%IACS)の値となり、Al−0.01Zr−0.04Er−0.01Snについては500℃でピークに達して34.27±0.06(59.1%IACS)の値となり、Al−0.01Zr−0.04Er−0.02Snについては450℃でピークに達して34.20±0.06(59.0%IACS)の値となる。
合金5(対照合金)および8〜10において、640℃で24時間均質化した後に25℃/3時間の各段で等時時効処理した際の、微小硬さおよび電気伝導率の値の時間的進展を、図6Aおよび6Bに示す。Al−0.1Zr−0.04Er−0.17Si合金については、微小硬さは225℃で増加し始め、約275℃で1回目のピークに達して316±8MPaの微小硬さとなる。その後より高い温度では飽和状態になるが、350℃で再び増加し、約400℃で2回目のピークに達して、接種剤を有しない対照合金より大きい、470±22MPaの微小硬さとなる。微小硬さは時効温度が400℃を超えると連続的に減少する。Al−0.1Zr−0.04Er−0.02In合金においては、微小硬さは非常に低い温度で、おそらくは150℃未満で増加し始め、約250℃で1回目のピークに達して362±10MPaの微小硬さとなる。その後より高い温度では減少するが、425℃で再び増加し、450℃で2回目のピークに達して、またしても対照合金より大きい、383±11MPaの微小硬さとなる。微小硬さは時効温度が425℃を超えると連続的に減少する。Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sbにおける微小硬さの時間的進展は、先に述べたものと比べて明確な違いを示す。150℃で増加し始め、約325℃で1回目のピークに達して291±13MPaの微小硬さとなり、次により高い温度では減少するが、425℃で再び増加し、約475℃で2回目のピークに達して、対照合金よりも小さい275±10MPaになる。微小硬さは時効温度が475℃を超えると連続的に減少する。
図6BのAl−0.01Zr−0.04Er−0.02In合金について、均質化状態の電気伝導率は32.46±0.12であり、400℃まで連続的に増加し、その後急速に増加し475℃でピークに達して34.03±0.13(58.7%IACS)の値となる。Al−0.01Zr−0.04Er−0.02In合金の約150℃〜約400℃の温度における電気伝導率は、対照合金の電気伝導率より大きい。Al−0.01Zr−0.04Er−0.17Si合金においては、均質化状態の電気伝導率が32.00±0.07であり、350℃で増加し始め、425℃でピークに達して33.46±0.08(57.7%IACS)の値となり、次に525℃までは飽和状態になり、525℃から減少し始める。図6BのAl−0.01Zr−0.04Er−0.02Sb合金においては、均質化状態の電気伝導率が33.69±0.07であり、450℃で増加し始め、500℃でピークに達して34.41±0.04(59.3%IACS)の値となり、次に500℃未満で減少する。
合金9〜10において均質化を行わずに25℃/3時間の各段で等時時効処理した際の、合金5(対照合金)において640℃で24時間均質化した後の、微小硬さおよび電気伝導率の値の時間的進展を、図7Aおよび7Bに示す。Al−0.1Zr−0.04Er−0.02In合金においては、微小硬さは150℃で増加し始め、約175℃で1回目のピークに達して340±16MPaの微小硬さとなる。175℃から300℃までは飽和状態になり、次に350℃までは減少するが、375℃で再び増加し、約500℃で2回目のピークに達して、接種剤を有しない対照合金より大きい、427±13MPaの微小硬さとなる。Al−0.1Zr−0.04Er−0.02Sb合金においては、微小硬さは150℃で増加し始め、約200℃で1回目のピークに達して273±10MPaの微小硬さとなる。200℃から250℃までは飽和状態になり、次に250℃で再び増加し、約475℃で2回目のピークに達して、接種剤を有しない対照合金より大きい、463±7MPaの微小硬さとなる。
図7BのAl−0.01Zr−0.04Er−0.02In合金については、鋳放し状態の電気伝導率が31.25±0.12であり、375℃までは飽和状態になり、その後急速に増加し500℃でピークに達して34.69±0.11(59.8%IACS)の値となる。Al−0.01Zr−0.04Er−0.02Sb合金においては、鋳放し状態の電気伝導率が31.40±0.09であり、375℃までは飽和状態になり、その後急速に増加し500℃でピークに達して34.52±0.12(59.5%IACS)の値となる。
0.17Si、0.01Sn、0.02Sn、0.02In、または0.02Sbのいずれかを接種剤としてAl−0.1Zr−0.04Er合金に添加することで、微小硬さを改善し、したがって機械的強度を改善し、一方でピーク微小硬さにおける相対的に高い電気伝導率と同じものを維持する、手段がもたらされる。接種剤は、低い温度での析出物の早期形成を容易にする。析出物はナノサイズで直径約20nm未満であり、約10nm未満と考えられる。
電気および熱伝導率は、互いに関連があることが知られており、そのため、本明細書に記載の電気伝導率の改善によって、熱伝導率において対応する改善が結果的にもたらされる可能性がある。
図8Bは、全てのAl−0.1Zr−0.04Er基合金について、25℃/3時間の刻みで等時時効した際の第1および第2のピークの微小硬さにおける微小硬さの増加を概括的に示したものである。
上記の記述および実施例は例示を意図したものであり、達成可能な内容を限定するものと解釈すべきではない。本発明の精神および範囲内でさらに他の変形が可能であり、電気および熱伝導率について具体的な目標を有する、合金調製の技術および学術分野における当業者であれば考え出されるだろう。
上記の記述および実施例は例示を意図したものであり、達成可能な内容を限定するものと解釈すべきではない。本発明の精神および範囲内でさらに他の変形が可能であり、電気および熱伝導率について具体的な目標を有する、合金調製の技術および学術分野における当業者であれば考え出されるだろう。
なお、本発明には以下の実施形態が包含される。
[1]アルミニウム、ジルコニウム、接種剤、およびナノスケールAl Zr析出物を含み、前記ナノスケール析出物が約20nm以下の平均直径を有し、α−Al面心立方マトリックス中にLl 構造を有する、アルミニウム合金。
[2]最大約0.04at.%スカンジウム(Sc)までの検出不可能な量のスカンジウムを含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[3]ランタニド系列金属をさらに含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[4]前記析出物が原子プローブ断層撮影法による測定で約10nm以下の平均直径を有する、[1]に記載のアルミニウム合金。
[5]前記ナノスケール析出物が約4〜6nmの平均直径を有する、[1]に記載のアルミニウム合金。
[6]前記ナノスケール析出物の平均数密度が約10 21 −3 以上である、[1]に記載のアルミニウム合金。
[7]前記接種剤がSn、In、SbまたはMgのうち1種以上を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[8]前記接種剤が、マグネシウム、および3A、4A、5A族の金属または半金属のうち1種以上を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[9]前記接種剤がSi、Sn、In、SbまたはMgのうち1種以上を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[10]前記ナノスケール析出物がAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[11]前記合金がエルビウムを含むランタニド系列金属をさらに含み、前記接種剤がSi、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[12]前記接種剤がSi、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上の組み合わせを含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[13]ランタニド系列金属と、Si、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上を含む接種剤とをさらに含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl X析出物、およびナノスケールAl (Zr,X)析出物を含み、Xがランタニド系列金属である、[1]に記載のアルミニウム合金。
[14]ランタニド系列金属と、Si、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上を含む接種剤とをさらに含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl X析出物、およびナノスケールAl (Zr,X)析出物を含み、XがHo、Er、Tm、およびYbのうち1種以上である、[1]に記載のアルミニウム合金。
[15]ランタニド系列金属と、Si、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上を含む接種剤とをさらに含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、およびナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[16]約0.3at.%のZr、約1.5at.%のSi、約0.1at.%のSn、約0.1at.%のIn、約0.1at.%のSb、残余がAlであり、かつLl 構造を有するナノスケールAl Zr析出物をさらに含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[17]約0.1at.%のZr、約0.01at.%のSn、残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[18]約0.1at.%のZr、約0.02at.%のSn、残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[19]約0.06at.%のZr、約0.02at.%のIn、残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[20]約0.3at.%のZr、約0.05at.%のEr、約1.5at.%のSi、約0.1at.%のSn、約0.1at.%のIn、約0.1at.%のSb、残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)析出物をさらに含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[21]約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.01at.%のSn、ならびに残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[22]約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のSn、残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[23]約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.2at.%のSi、残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[24]約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のIn、残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[25]約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のSb、残余がアルミニウムであり、かつLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[26]Al−Zr−X−Si−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、SiおよびMgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
[27]前記ナノスケール析出物がAl Zr析出物を含む、[26]に記載のアルミニウム合金。
[28]Al−Zr−Er−X−Si−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、SiおよびMgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
[29]Al−Zr−X−Feの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Feが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
[30]前記ナノスケール析出物がAl Zr析出物を含む、[29]に記載のアルミニウム合金。
[31]Al−Zr−Er−X−Feの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Feが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
[32]Al−Zr−X−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Mgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、アルミニウム合金。
[33]Al−Zr−Er−X−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Mgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
[34]Al−Zr−X−Cuの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Cuが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、アルミニウム合金。
[35]Al−Zr−Er−X−Cuの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Cuが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
[36]Al−Zr−X−Siの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Siが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、アルミニウム合金。
[37]Al−Zr−Er−X−Siの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Siが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
[38]Al−Zr−X−Zn−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、ZnおよびMgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、アルミニウム合金。
[39]Al−Zr−Er−X−Zn−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、ZnおよびMgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl 構造を有する複数のAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
[40]前記接種剤がSn、InおよびSbのうち1種以上を含み、前記合金が、本質的にスカンジウム(Sc)を含まず、Ll 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[41]前記接種剤がSn、InおよびSbのうち1種以上を含み、前記合金が、約0.04at.%未満のスカンジウム(Sc)を有し、Ll 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[42]Erをさらに含み、前記接種剤がSi、Sn、InおよびSbのうち1種以上であり、前記合金が本質的にスカンジウムを含まず、Ll 構造を有する複数のナノスケールAl Zr析出物、ナノスケールAl Er析出物、およびナノスケールAl (Zr,Er)析出物を含む、[1]に記載のアルミニウム合金。
[43]前記ナノスケール析出物がAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)を含み、前記析出物が約10nm以下の平均直径を有する、[1]に記載のアルミニウム合金。
[44]前記ナノスケール析出物がAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)を含み、前記析出物が約4〜6nmの平均直径を有する、[1]に記載のアルミニウム合金。
[45]Ll 構造を有する複数のナノスケールAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)析出物を有する、本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法であって、
(a)アルミニウム溶融物を作製すること、ならびにジルコニウムと、エルビウム、ケイ素、スズ、インジウム、アンチモン、およびマグネシウムのうち1種以上とを添加すること、
(b)前記溶融物を凝固させること、および得られた固体片を約0℃〜約300℃の温度に冷却すること
を含む、形成方法。
[46]前記固体片を約600℃〜約660℃の温度で約0.3時間〜約72時間均質化することをさらに含む、[45]に記載の本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法。
[47]約100℃〜約375℃の温度を約1〜約12時間維持することにより第1の熱処理ステップを実施すること、および前記第1の任意選択の熱処理ステップの後に約375℃〜約550℃の温度を約1時間〜48時間加熱および維持することを含む主たる熱処理ステップを実施することをさらに含む、[46]に記載の本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法。
[48]Ll 構造を有する複数のナノスケールAl Zr、Al Er、およびAl (Zr,Er)析出物を有する、本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法であって、
(a)アルミニウム溶融物を作製すること、ならびにジルコニウムと、Er、Si、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上とを添加すること、
(b)前記溶融物を凝固させること、および得られた固体片を約0℃以上から約300℃の温度に冷却すること
を含む、形成方法。
[49]前記固体片を約600℃以上から約660℃の温度で約0.3時間〜約72時間均質化することをさらに含む、[48]に記載の本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法。
[50]約100℃以上から約375℃の温度で約1時間〜約12時間維持することにより第1の熱処理ステップを実施すること、ならびに約375℃〜約550℃の温度で約1時間〜48時間維持する第2の熱処理ステップを実施することをさらに含む、[49]に記載の本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法。
[51][1]に記載のアルミニウム合金を含むブレーキローター、ピストン、補助動力源、補助動力源フレーム、取付ブラケット、航空機エンジン排気ダクトからなる構成部品の群から選択される、アルミニウム合金構成部品。

Claims (51)

  1. アルミニウム、ジルコニウム、接種剤、およびナノスケールAlZr析出物を含み、前記ナノスケール析出物が約20nm以下の平均直径を有し、α−Al面心立方マトリックス中にLl構造を有する、アルミニウム合金。
  2. 最大約0.04at.%スカンジウム(Sc)までの検出不可能な量のスカンジウムを含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  3. ランタニド系列金属をさらに含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  4. 前記析出物が原子プローブ断層撮影法による測定で約10nm以下の平均直径を有する、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  5. 前記ナノスケール析出物が約4〜6nmの平均直径を有する、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  6. 前記ナノスケール析出物の平均数密度が約1021−3以上である、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  7. 前記接種剤がSn、In、SbまたはMgのうち1種以上を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  8. 前記接種剤が、マグネシウム、および3A、4A、5A族の金属または半金属のうち1種以上を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  9. 前記接種剤がSi、Sn、In、SbまたはMgのうち1種以上を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  10. 前記ナノスケール析出物がAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  11. 前記合金がエルビウムを含むランタニド系列金属をさらに含み、前記接種剤がSi、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上を含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  12. 前記接種剤がSi、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上の組み合わせを含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  13. ランタニド系列金属と、Si、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上を含む接種剤とをさらに含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlX析出物、およびナノスケールAl(Zr,X)析出物を含み、Xがランタニド系列金属である、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  14. ランタニド系列金属と、Si、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上を含む接種剤とをさらに含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlX析出物、およびナノスケールAl(Zr,X)析出物を含み、XがHo、Er、Tm、およびYbのうち1種以上である、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  15. ランタニド系列金属と、Si、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上を含む接種剤とをさらに含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、およびナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  16. 約0.3at.%のZr、約1.5at.%のSi、約0.1at.%のSn、約0.1at.%のIn、約0.1at.%のSb、残余がAlであり、かつLl構造を有するナノスケールAlZr析出物をさらに含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  17. 約0.1at.%のZr、約0.01at.%のSn、残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  18. 約0.1at.%のZr、約0.02at.%のSn、残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  19. 約0.06at.%のZr、約0.02at.%のIn、残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  20. 約0.3at.%のZr、約0.05at.%のEr、約1.5at.%のSi、約0.1at.%のSn、約0.1at.%のIn、約0.1at.%のSb、残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物をさらに含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  21. 約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.01at.%のSn、ならびに残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  22. 約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のSn、残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  23. 約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.2at.%のSi、残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  24. 約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のIn、残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  25. 約0.1at.%のZr、約0.04at.%のEr、約0.02at.%のSb、残余がアルミニウムであり、かつLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  26. Al−Zr−X−Si−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、SiおよびMgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
  27. 前記ナノスケール析出物がAlZr析出物を含む、請求項26に記載のアルミニウム合金。
  28. Al−Zr−Er−X−Si−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、SiおよびMgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
  29. Al−Zr−X−Feの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Feが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
  30. 前記ナノスケール析出物がAlZr析出物を含む、請求項29に記載のアルミニウム合金。
  31. Al−Zr−Er−X−Feの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Feが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
  32. Al−Zr−X−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Mgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、アルミニウム合金。
  33. Al−Zr−Er−X−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Mgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
  34. Al−Zr−X−Cuの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Cuが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、アルミニウム合金。
  35. Al−Zr−Er−X−Cuの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Cuが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
  36. Al−Zr−X−Siの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Siが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、アルミニウム合金。
  37. Al−Zr−Er−X−Siの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、Siが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
  38. Al−Zr−X−Zn−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、ZnおよびMgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、アルミニウム合金。
  39. Al−Zr−Er−X−Zn−Mgの組み合わせを有するアルミニウム合金であって、ZnおよびMgが合金元素であり、Xが3A、4A、5A族の金属または半金属を含み、前記合金がLl構造を有する複数のAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)ナノスケール析出物を含む、アルミニウム合金。
  40. 前記接種剤がSn、InおよびSbのうち1種以上を含み、前記合金が、本質的にスカンジウム(Sc)を含まず、Ll構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  41. 前記接種剤がSn、InおよびSbのうち1種以上を含み、前記合金が、約0.04at.%未満のスカンジウム(Sc)を有し、Ll構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  42. Erをさらに含み、前記接種剤がSi、Sn、InおよびSbのうち1種以上であり、前記合金が本質的にスカンジウムを含まず、Ll構造を有する複数のナノスケールAlZr析出物、ナノスケールAlEr析出物、およびナノスケールAl(Zr,Er)析出物を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  43. 前記ナノスケール析出物がAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)を含み、前記析出物が約10nm以下の平均直径を有する、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  44. 前記ナノスケール析出物がAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)を含み、前記析出物が約4〜6nmの平均直径を有する、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  45. Ll構造を有する複数のナノスケールAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)析出物を有する、本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法であって、
    (a)アルミニウム溶融物を作製すること、ならびにジルコニウムと、エルビウム、ケイ素、スズ、インジウム、アンチモン、およびマグネシウムのうち1種以上とを添加すること、
    (b)前記溶融物を凝固させること、および得られた固体片を約0℃〜約300℃の温度に冷却すること
    を含む、形成方法。
  46. 前記固体片を約600℃〜約660℃の温度で約0.3時間〜約72時間均質化することをさらに含む、請求項45に記載の本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法。
  47. 約100℃〜約375℃の温度を約1〜約12時間維持することにより第1の熱処理ステップを実施すること、および前記第1の任意選択の熱処理ステップの後に約375℃〜約550℃の温度を約1時間〜48時間加熱および維持することを含む主たる熱処理ステップを実施することをさらに含む、請求項46に記載の本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法。
  48. Ll構造を有する複数のナノスケールAlZr、AlEr、およびAl(Zr,Er)析出物を有する、本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法であって、
    (a)アルミニウム溶融物を作製すること、ならびにジルコニウムと、Er、Si、Sn、In、Sb、およびMgのうち1種以上とを添加すること、
    (b)前記溶融物を凝固させること、および得られた固体片を約0℃以上から約300℃の温度に冷却すること
    を含む、形成方法。
  49. 前記固体片を約600℃以上から約660℃の温度で約0.3時間〜約72時間均質化することをさらに含む、請求項48に記載の本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法。
  50. 約100℃以上から約375℃の温度で約1時間〜約12時間維持することにより第1の熱処理ステップを実施すること、ならびに約375℃〜約550℃の温度で約1時間〜48時間維持する第2の熱処理ステップを実施することをさらに含む、請求項49に記載の本質的にスカンジウムを含まないアルミニウム合金の形成方法。
  51. 請求項1に記載のアルミニウム合金を含むブレーキローター、ピストン、補助動力源、補助動力源フレーム、取付ブラケット、航空機エンジン排気ダクトからなる構成部品の群から選択される、アルミニウム合金構成部品。
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