JP6310996B2 - スカンジウム、ジルコニウム、およびエルビウムを添加したアルミニウム合金 - Google Patents

スカンジウム、ジルコニウム、およびエルビウムを添加したアルミニウム合金 Download PDF

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Description

本開示は、スカンジウム、ジルコニウム、およびエルビウムを添加したアルミニウム合金及びその製造方法に関する。
鋳鉄およびチタン合金は現在、自動車のシャシおよびトランスミッション部品、自動車および航空機のエンジン部品、航空機のエンジン構造部品、ならびに機体構造外板およびフレームのような特定の高温用途に最適な材料である。しかし、スカンジウムおよびジルコニウムがそれらの溶解限度より低い鋳造希薄アルミニウム‐ジルコニウム‐スカンジウム(Al‐Zr‐Sc)合金は、高温用途における鋳鉄およびチタン合金に対する優れた代替物である。
アルミニウム‐ジルコニウム‐スカンジウム合金は、300℃を超える温度で有望な強度および耐クリープ性を示す。アルミニウム‐ジルコニウム‐スカンジウム合金は、従来の鋳造および熱処理を用いて安価に製造することができる。時効により、過飽和アルミニウム‐スカンジウム合金は、約300℃の温度に対し著しい強化をもたらす、コヒーレントな(coherent)L12型配列Al3Sc析出物(L12-ordered Al3Sc precipitates)を形成する。ジルコニウムはアルミニウム‐スカンジウム合金に添加され、ジルコニウム富化シェルで包囲されたスカンジウム富化コアで構成される粗大化耐性(coarsening-resistant)Al3(ScxZr1-x)(L12)析出物を形成する。残念ながら、スカンジウムの高価格は、アルミニウム‐スカンジウム合金の産業上の利用可能性を制限する。
したがって、当業者はアルミニウム合金の分野における研究開発努力を続けている。
一側面では、スカンジウム、ジルコニウム、エルビウム、および任意選択的にケイ素が添加された、アルミニウムを含む合金が開示される。
別の側面では、アルミニウム、スカンジウム、ジルコニウム、エルビウムを実質的に含み、任意選択的にケイ素を含む合金が開示される。
別の側面では、最大約0.1原子パーセント(「at.%」)(特に明記しない限り、本書の濃度は全て原子パーセント単位で表す)のスカンジウム、最大約0.1at.%のジルコニウム、最大約0.05at.%のエルビウム、約0ないし約0.1at.%のケイ素、および残部のアルミニウムを含む合金が開示される。
別の側面では、最大約0.08at.%のスカンジウム、最大約0.08at.%のジルコニウム、最大約0.04at.%のエルビウム、約0ないし約0.08at.%のケイ素、および残部のアルミニウムを含む合金が開示される。
別の側面では、最大約0.06at.%のスカンジウム、最大約0.06at.%のジルコニウム、最大約0.02at.%のエルビウム、約0ないし約0.04at.%のケイ素、および残部のアルミニウムを含む合金が開示される。
さらに別の側面では、アルミニウム合金を形成するための方法が開示される。当該方法は、(1)スカンジウム、ジルコニウム、エルビウム、および任意選択的にケイ素が添加されたアルミニウムの溶湯を形成するステップと、(2)溶湯を室温まで冷却させて固体塊を形成するステップと、(3)任意選択的に、固体塊を約600℃から約660℃の範囲の温度(例えば650℃)で約1時間ないし約20時間均質化するステップと、(4)第1熱処理ステップ中に、固体塊を約275℃から約325℃の範囲の温度に約2時間ないし約8時間維持するステップと、(5)第1熱処理ステップ後に、固体塊を約375℃から約425℃の範囲の温度で約4時間ないし約12時間維持するステップと、を含むことができる。
本開示の一側面は、アルミニウム、スカンジウム、ジルコニウム、およびエルビウムを含むアルミニウム合金に関する。
一実施形態では、アルミニウム合金は実質的にアルミニウム、スカンジウム、ジルコニウム、およびエルビウムから構成される。
アルミニウム合金の一変形実施形態では、アルミニウム合金に不純物として鉄が存在する。
アルミニウム合金の一代替実施形態では、スカンジウムはアルミニウム合金の最大約0.1at.%を構成し、ジルコニウムはアルミニウム合金の最大約0.1at.%を構成し、エルビウムはアルミニウム合金の最大約0.05at.%を構成する。
アルミニウム合金の別の実施形態では、スカンジウムはアルミニウム合金の最大約0.08at.%を構成し、ジルコニウムは前記アルミニウム合金の最大約0.08at.%を構成し、エルビウムはアルミニウム合金の最大約0.04at.%を構成する。
アルミニウム合金の別の変形実施形態では、スカンジウムはアルミニウム合金の最大約0.06at.%を構成し、ジルコニウムはアルミニウム合金の最大約0.06at.%を構成し、エルビウムは前記アルミニウム合金の最大約0.02at.%を構成する。
別の代替実施形態では、アルミニウム合金はケイ素を含む。
さらに別の実施形態では、アルミニウム合金は実質的にアルミニウム、スカンジウム、ジルコニウム、エルビウム、およびケイ素から構成される。
アルミニウム合金のさらに別の変形実施形態では、アルミニウム合金に不純物として鉄が存在する。
アルミニウム合金のさらに別の代替実施形態では、スカンジウムはアルミニウム合金の最大約0.1at.%を構成し、ジルコニウムはアルミニウム合金の最大約0.1at.%を構成し、エルビウムはアルミニウム合金の最大約0.05at.%を構成し、ケイ素はアルミニウム合金の最大約0.1at.%を構成する。
アルミニウム合金のさらに別の実施形態では、スカンジウムはアルミニウム合金の最大約0.08at.%を構成し、ジルコニウムはアルミニウム合金の最大約0.08at.%を構成し、エルビウムはアルミニウム合金の最大約0.04at.%を構成し、ケイ素はアルミニウム合金の最大約0.08at.%を構成する。
アルミニウム合金のさらに別の変形実施形態では、スカンジウムはアルミニウム合金の最大約0.06at.%を構成し、ジルコニウムはアルミニウム合金の最大約0.06at.%を構成し、エルビウムはアルミニウム合金の最大約0.02at.%を構成し、ケイ素はアルミニウム合金の最大約0.04at.%を構成する。
本開示の別の側面は、最大約0.1at.%のスカンジウム、最大約0.1at.%のジルコニウム、最大約0.05at.%のエルビウム、約0ないし約0.1at.%のケイ素、および残部を実質的に形成するアルミニウムを含むアルミニウム合金に関する。
アルミニウム合金の一実施形態では、アルミニウム合金に不純物として鉄が存在する。
アルミニウム合金の一変形実施形態では、ケイ素はアルミニウム合金の少なくとも約0.02at.%を構成する。
本開示のさらに別の側面は、アルミニウム合金を形成するための方法に関する。当該方法は、スカンジウム、ジルコニウム、エルビウム、および任意選択的にケイ素の添加を含むアルミニウムの溶融塊を形成するステップと、溶融塊を冷却させて固体塊を形成するステップと、第1熱処理ステップ中に、固体塊を約275℃から約325℃の範囲の温度に第1の所定時間だけ維持するステップと、第1熱処理ステップ後に、固体塊を約375℃から約425℃の範囲の温度に第2の所定時間だけ維持するステップとを含む。
方法の一実施形態では、第1の所定時間は約2時間ないし約8時間であり、第2の所定時間は約4時間ないし約12時間である。
方法の一変形実施形態では、スカンジウムは前記溶融塊の最大約0.1at.%を構成し、ジルコニウムは溶融塊の最大約0.1at.%を構成し、エルビウムは溶融塊の最大約0.05at.%を構成し、ケイ素は前記溶融塊の約0ないし約0.1at.%を構成する。
方法の一代替実施形態では、溶融塊は実質的にアルミニウム、前記スカンジウム、ジルコニウム、エルビウム、およびケイ素から構成される。
別の実施形態では、方法はまた、第1熱処理ステップ前に、固体塊を約600℃ないし約660℃の温度で約1時間ないし約20時間均質化するステップをも含む。
上述した用語「実施形態」、「変形実施形態」、および「代替実施形態」は互換可能に使用される。
開示されるアルミニウム合金および方法のその他の側面は、以下の詳細な説明、添付図面、および添付する特許請求の範囲から明らかになるであろう。
Al‐0.06Zr‐0.06Sc(組成は全て原子パーセント単位)の均質化された微細構造の走査電子顕微鏡(「SEM」)写真である。 Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er(組成は全て原子パーセント単位)の均質化された微細構造の走査電子顕微鏡(「SEM」)写真である。 Al‐0.06Zr‐0.06Sc、Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er、およびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erに対する25℃h-1での段階的な等時時効処理中のビッカース微小硬度の変化を示すグラフである。 Al‐0.06Zr‐0.06Sc、Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er、およびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erに対する25℃h-1での段階的な等時時効処理中の導電率の変化を示すグラフである。 3D原子プローブ断層撮影法(「APT」)を用いて得られた、Al‐0.06Zr‐0.06Scに対し25℃h-1で段階的に450℃まで等時時効処理した後のマトリクス/析出物界面の濃度プロファイルを示すグラフである。 3D原子プローブ断層撮影法(「APT」)を用いて得られた、Al‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erに対し25℃h-1で段階的に450℃まで等時時効処理した後のマトリクス/析出物界面の濃度プロファイルを示すグラフである。 Al‐0.06Zr‐0.06Sc、Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er、およびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erの400℃での等温時効処理中のビッカース微小硬度の変化を示すグラフである。 Al‐0.06Zr‐0.06Sc、Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er、およびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erの400℃での等温時効処理中の導電率の変化を示すグラフである。 3D APTを用いて得られた、400℃で0.5時間等温時効処理されたAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Er試料のマトリクス/析出物界面の濃度プロファイルを示すグラフである。 3D APTを用いて得られた、400℃で64日間等温時効処理されたAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Er試料のマトリクス/析出物界面の濃度プロファイルを示すグラフである。 事前に300℃で24時間時効処理されたAl‐0.06Zr‐0.06Sc、Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er、およびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erの400℃での等温時効処理中のビッカース微小硬度の経時的変化を示すグラフである。 事前に300℃で24時間時効処理されたAl‐0.06Zr‐0.06Sc、Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er、およびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erの400℃での等温時効処理中の導電率の経時的変化を示すグラフである。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si、およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの光学顕微鏡写真およびSEM顕微鏡写真である。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si、およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの光学顕微鏡写真およびSEM顕微鏡写真である。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si、およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの光学顕微鏡写真およびSEM顕微鏡写真である。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si、およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの光学顕微鏡写真およびSEM顕微鏡写真である。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si、およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの光学顕微鏡写真およびSEM顕微鏡写真である。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si、およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの光学顕微鏡写真およびSEM顕微鏡写真である。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si、およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの光学顕微鏡写真およびSEM顕微鏡写真である。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si、およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの光学顕微鏡写真およびSEM顕微鏡写真である。 3D APTを用いて得られた、Al‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Siの2段階ピーク時効処理(4時間300℃の後、8時間425℃)後のマトリクス/析出物界面の平均濃度プロファイルを示すグラフである。 3D APTを用いて得られた、Al‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siの2段階ピーク時効処理(4時間300℃の後、8時間425℃)後のマトリクス/析出物界面の平均濃度プロファイルを示すグラフである。 熱処理後のAl‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04SiおよびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siに対し400℃での圧縮クリープ実験のために加えられた応力に対する最小クリープ率の両対数グラフである。 (a)2段階ピーク時効処理(4時間/300℃および8時間/425℃)後、および(b)続いて6〜8.5MPaの範囲の応力を加えながら400℃に325時間さらした後、Al‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Siに対し400℃での圧縮クリープ実験のために加えられた圧力に対する最小クリープ率の両対数グラフである。
今では、一部のスカンジウムをより低コストの希土類元素エルビウムに置換しても、400℃もの高温でアルミニウム‐スカンジウム‐ジルコニウム合金の高温強度を維持しかつ耐クリープ性を向上するのに効果的であることが明らかになっている。
第1側面では、開示されるアルミニウム合金は、スカンジウム、ジルコニウム、およびエルビウムを添加されたアルミニウムを含むことができる。
第1側面の1つの特定実施例では、開示されるアルミニウム合金は、最大約0.1at.%のスカンジウム、最大約0.1at.%のジルコニウム、および最大約0.05at.%のエルビウムを含むことができ、合金の残部は実質的にアルミニウムである。
第1側面の別の特定実施例では、開示されるアルミニウム合金は最大約0.08at.%のスカンジウム、最大約0.08at.%のジルコニウム、および最大約0.04at.%のエルビウムを含むことができ、合金の残部は実質的にアルミニウムである。
第1側面のさらに別の特定実施例では、開示されるアルミニウム合金は最大約0.06at.%のスカンジウム、最大約0.06at.%のジルコニウム、および最大約0.02at.%のエルビウムを含むことができ、合金の残部は実質的にアルミニウムである。
当業者なら、開示されるアルミニウム合金が、本開示の範囲から逸脱することなく、痕跡量の鉄およびケイ素などの不純物を含むことができることを理解できるであろう。例えば鉄およびケイ素は、開示されるアルミニウム合金にそれぞれ0.0025at.%未満および0.005at.%未満の量存在することができる。
いかなる特定の理論にも制限されるものではないが、アルミニウムへのスカンジウムの添加は、多数のコヒーレントな析出物の形態にて強化Al3Sc相を析出させると考えられる。ジルコニウムの添加によってAl3Sc析出コアの周りにAl3(Sc,Zr)外側シェルを形成するように析出して、Al3Sc相に粗大化耐性がもたらされる。エルビウムを添加すると、析出物中のスカンジウムの一部と置き換わりながら、アルミニウムマトリクスに対する析出物の格子パラメータ不整合も増大し、それによって高温時のクリープ特性を改善する。
また、開示されるアルミニウム合金におけるケイ素の存在は、スカンジウムの析出を加速することも明らかになっている。したがって、ケイ素は、熱処理の量、すなわちAl3Sc(L12)析出物からピーク強度を達成するために必要なエネルギコストおよび炉の使用を最小化するために、開示されるアルミニウム合金に意図的に添加することができる。
したがって、別の側面では、開示されるアルミニウム合金は、スカンジウム、ジルコニウム、エルビウム、およびケイ素が添加されたアルミニウムを含むことができる。
第2側面の1つの特定実施例では、開示されるアルミニウム合金は最大約0.1at.%のスカンジウム、最大約0.1at.%のジルコニウム、最大約0.05at.%のエルビウム、および最大約0.1at.%のケイ素を含むことができ、合金の残部は実質的にアルミニウムである。
第2側面の別の特定実施例では、開示されるアルミニウム合金は最大約0.08at.%のスカンジウム、最大約0.08at.%のジルコニウム、最大約0.04at.%のエルビウム、および最大約0.08at.%のケイ素を含むことができ、合金の残部は実質的にアルミニウムである。
第2側面のさらに別の特定実施例では、開示されるアルミニウム合金は最大約0.06at.%のスカンジウム、最大約0.06at.%のジルコニウム、最大約0.02at.%のエルビウム、および最大約0.04at.%のケイ素を含むことができ、合金の残部は実質的にアルミニウムである。
〔合金1〜3〕
(合金の組成および処理)
1つの三元合金および2つの四元合金を、Al‐0.06Zr‐0.06Sc(「合金1」)(比較例)、Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er(「合金2」)、およびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Er(「合金3」)の原子パーセント(「at.%」)単位の組成式で鋳造した。直流プラズマ発光分光法(direct current plasma emission spectroscopy:「DCPMS」)(ATI Wah Chang社, Albany, OR)および3D局部電極原子プローブ(3-X local-electrode atom-probe:「LEAP」)断層撮影法によって測定された鋳放し状態の合金1〜3の組成を表1に提示する。合金のケイ素および鉄の含有量はそれぞれDCPMS技術の検出限界の0.005at.%未満および0.0025at.%未満であった。

合金は、99.999at.%の純Al(Alfa Aesar社, Ward Hill, MA)ならびにAl‐0.9at.%Sc、Al‐0.6at.%Zr、およびAl‐1.15at.%Er母合金から希釈鋳造した。Al‐ScおよびAl‐Zr母合金はそれ自体、市販のAl‐1.3at.%Sc母合金(Ashurst Technology, Ltd.社, Baltimore,MD)およびAl‐3at.%Zr母合金(KB Alloys社, Reading, PA)から希釈鋳造された。Al‐Er母合金は、ゲッタ処理純化アルゴン雰囲気で非消耗電極アーク溶融を用いて99.999at.%の純Alを99.99at.%Er(Stanford Materials Corporation社, Aliso Viejo, CA)と共に溶融することによって作成された(Atlantic Equipment Engineers社, Bergenfield, NJ)。最終希薄合金を作成するために、母合金および99.999at.%の純Alを850℃の抵抗加熱炉内のジルコニア被覆アルミナるつぼにて流動アルゴン中で溶融した。溶質の溶解を加速し、かつ溶融物からの溶質損失を最小化するために、母合金を640℃に予熱した。溶融物を抵抗加熱炉内に850℃で7分間維持し、激しく撹拌し、次いで200℃に予熱した黒鉛鋳型に流し込んだ。凝固中、指向性凝固を促進し、かつ引け巣の形成を阻止するために、鋳型を氷冷した銅プラテン上に配置することによって冷却した。
鋳造物は空気中にて640℃で72時間均質化し、次いで周囲温度まで水焼入れした。
次の3つ別個の時効研究を実行した。(i)100℃から600℃までの温度に対し25℃h-1で段階的な等時時効処理、(ii)400℃で0.5分から256日(8か月)までの範囲の時間に対し等温時効処理、および(iii)300℃で24時間の第1熱処理に続いて、400℃で0.5時間から64日までの範囲の時間に対し時効処理する2段階等温時効処理。0.5時間未満の時効処理期間には、迅速な熱伝達を確実にするために、溶融塩(NaNO2‐NaNO3‐KNO3)浴を使用する一方、より長い時効実験は空気中で行った。
(解析技術)
1μm表面仕上げに研磨された非エッチング試料の均質化された微細構造は、エネルギ分散X線分光法(EDS)用のOxford Instruments社製INCAx-act検出器を装備した日立S3400N‐II顕微鏡を用いてSEMにより撮像した。析出物形態は、200kVの日立8100透過型電子顕微鏡を使用して研究した。時効処理した試料を100〜200μmの厚さに研磨することによってTEMフォイルを作成し、そこから3mm径の円板を打ち抜いた。これらの円板をStruers社製TenuPol‐5と−40℃のメタノール中に10体積%の過塩素酸溶液を使用して、約DC20Vのツインジェット電子研磨によって薄肉化した。
これらの合金における析出をビッカース微小硬度および導電率の測定によって監視した。ビッカース微小硬度の測定は、Duramin‐5微小硬度計(Struers社)で、1μ表面仕上げに研磨された試料に5秒間加えられる200gの荷重を使用して実行した。試料毎に幾つかの結晶粒にわたって15回の押し込みを行った。導電率の測定は、Sigmatest2.069渦電流計測器(Foerster Instruments社, Pittsburgh, PA)を用いて120kHz、240kHz、480kHz、および960kHzの周波数で実行した。
三次元局部電極原子プローブ(3D LEAP)断層撮影のための試料は、ブランクをダイヤモンドソーにより0.35×0.35×10mm3の概寸に切断することによって作成した。これらの試料を、酢酸中の過塩素酸10%溶液を使用し、続いてブトキシエタノール中に過塩素酸2%の溶液を使用して、室温で、DC8〜20Vで電解研磨した。LEAP4000X Si X断層撮影装置(Cameca社, Madison, WI)により、35Kの試料温度で、e‐2径で5mm未満のレーザビームウェストを持つ集束ピコ秒UVレーザパルス(波長=355nm)を用いて、パルスレーザ3D原子プローブ断層撮影法を実行した。1パルス当たり0.075nJのレーザエネルギ、250kHzのパルス繰返し率、および1パルス当たり0.04イオンの蒸発率を使用した。3D LEAP断層撮影データはソフトウェアプログラムIVAS3.4.1(Cameca社)により解析した。マトリクス/析出物異相界面をSc等濃度面により描き、近接ヒストグラム法により組成情報を得た。全ての量に対する測定誤差は計数統計および標準誤差伝搬技術に基づいて算出した。
(均質化したままの微細構造解析)
合金の均質化された微細構造は、直径およそ1〜2mmの柱状粒から構成される。SEMは、Al‐Zr母合金の不完全な溶融のため溶融物から維持される粒内Al3Zrフレークの存在を全ての合金で示している(図1A)。フレークの概略組成は、半定量的EDSによって、すなわち厳密な較正無しで得られた。それは、Al3Zrのストイキオメトリを確認し、かつフレークにErおよびScのどちらも含まれないことを明らかにする。表1の合金の名目上のZr濃度と測定されたZr濃度との間の差は、これらのZr富化フレークの結果であると考えられ、それら合金に均等に分布しておらず、DCPMSに使用される300mm3の材料から除外される可能性もあった。Al3Zrフレークは3D LEAP断層撮影再構成の小さい解析ボリュームには存在しなかった。したがって、各合金の3D LEAP断層撮影データセット(表1)からの測定Zr濃度の平均は、時効中の析出のためにマトリクス内で利用可能なZrを示す。
Er含有合金では、粒界Al3Er(L12)一次析出物が検出され、EDS(図1B)によって確認された通り、ZrおよびScのどちらも含んでいなかった。これらの合金の一次析出は、マトリクスから溶質が枯渇することによって強度を低下させ、過剰の場合には、結晶粒微細化を引き起こすことがあり得、拡散クリープに対する抵抗を低減させる。均質化された試料における一次析出物の形成は、Er含有合金が凝固および均質化中にそれらの溶解限度を超えたことを示唆する。したがって、ScおよびZrの添加は、二元Al‐ErにおけるErの0.046at.%溶解度を低減させた。3D LEAP断層撮影技術の解析ボリュームは、Al3Zrフレークの場合と同様に、粒界Al3Erを検出するには、小さすぎる。Al‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02ErおよびAl‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Erの0.0046±0.0004および0.0038±0.0004at.%というErの3D LEAP断層撮影法による測定組成はそれぞれ、Erの名目値の0.02at.%および0.01at.%よりはるかに低い(表1)。合金に添加されたErのごく一部分だけがナノスケールの析出に利用可能である。
アーク溶解されたAl‐0.06Zr‐0.06ScおよびAl‐0.1Zr‐0.1Sc(at.%)合金に対する以前の研究は、定量的電子プローブ微量分析(EPMA)を用いて得られた線形組成プロファイルを利用して、鋳放し状態のScおよびZr両方のミクロ偏析を明らかにした。希薄Al‐Zr‐Sc合金に生じる最初の固体はZrに富んでおり、結果的にSc富化樹枝状結晶間領域によって包囲されたZr富化樹枝状結晶から構成される微細構造が得られる。以前の研究における鋳放しAl‐0.06Zr‐0.06Sc(at.%)合金は、平均的合金組成に対して樹枝状結晶における約0.04at.%ZrのZr富化および約0.01at.%のSc欠乏を示した一方、樹枝状結晶間領域は約0.04at.%のZrが欠乏し、約0.02at.%のScが富化した。Al‐Zr母合金の不完全な溶解が有効Zr合金濃度を0.02〜0.03at.%に低下させるので(表1)、従前のAl‐0.06Zr‐0.06ScおよびAl‐0.1Zr‐0.1Sc合金の場合より程度は小さくなるが、本合金でミクロ偏析が期待される。
本研究における溶質のミクロ偏析の程度は、Al3Zrの一次析出に対する懸念のためAl‐0.06Zr‐0.06Scの以前の研究では行われなかった、640℃で72時間の均質化によっても低減される。Al‐0.06Scに関する同様の研究において、Scのミクロ偏析は、640℃で28時間の均質化によって完全に排除された。640℃時のAl中のZrの拡散率1.0×10‐152-1は、Al中のScの拡散率6.7×10-142-1より著しく小さいことを考慮すると、Zrの均質化には非現実的に長い熱処理時間が必要である。
要するに、合金のZrおよびErの有効濃度は、Al‐Zr母合金の不完全な溶解および粒界一次Al3Er(L12)析出物の形成のため、それらの名目値より小さくなると考えられる。分かり易くするために、組成式はここでは合金を標識化するために使用される。
(等時時効処理)
ビッカース微小硬度および導電率によって監視した、25℃h‐1での段階的な等時時効処理中の合金1〜3の析出挙動を図2に示す。合金1(Al‐0.06Zr‐0.06Sc)では、微小硬度および導電率の急激な増加に反映される通り、析出は300℃で開始する。微小硬度は350℃で初めてピークになり、582±5MPaの値に達した後、400℃で543±16MPaになるまで低下する。微小硬度は425℃で再び増加し、450℃で597±16MPaの2回目のピークに達する。導電率は300℃から375℃まで連続的に増加した後、375℃および400℃で33.94±0.09MSm-1および33.99±0.09MSm-1の値の停滞状態に達する。425℃で、導電率は34.75±0.10MSm-1に増加し、450℃で34.92±0.11MSm-1のピークに達する。450℃を超えると、微小硬度および導電率はどちらも析出物の溶解により急速に低下する。
合金1の微小硬度の325℃時の最初のピークは、25℃上昇するたびに3時間等時時効処理されたAl‐0.06Sc合金およびAl‐0.1Sc合金の最近の研究におけるピーク微小硬度と同じ温度で発生する。したがって、われわれが観察する微小硬度の最初のピークは、Al3Scの析出に起因することができる。450℃時の微小硬度の2回目のピークは、25℃上昇するたびに3時間等時時効処理されたAl‐0.1Zr合金の微小硬度のピークを生じることが従前に明らかにされたのと同じ温度で発生する。Al‐0.06Zr合金のピーク微小硬度は、25℃上昇するたびに3時間等時時効処理された試料の場合、475℃で発生することが明らかになった。したがって、微小硬度の2回目のピークは、マトリクスからのZrの析出によるものである。以前に研究された、25℃上昇するたびに3時間等時時効処理されたAl‐0.06Zr‐0.06Sc合金およびAl‐0.1Zr‐0.1Sc合金は、微細硬度のピークが1回だけであり、400℃で発生することが明らかになっていた。微小硬度の1回だけのピークの検出はおそらく、以前の研究で使用された時間分解能が、合金1〜3に対して使用された25℃毎に1時間の等時時効と比較して低いためであった。
Er含有合金(「合金2および3」)のピーク微小硬度は、合金1で観察されたものより小さい。これらの結果はAl‐0.12Sc合金およびAl‐0.9Sc‐0.03Er合金から得た等時的微小硬度の結果と矛盾せず、Erの添加による強度の低下は、図1Aにあるように、一次析出物による溶質消費の結果であると推論された。微小硬度および導電率の増加によって証明される通り、Er含有合金におけるナノスケールの析出は、200℃という低い温度で開始する。Er含有合金の微小硬度値は325℃から450℃の間で停滞状態に達する。450℃を超えると、微小硬度および導電率は両方とも、Al‐0.06Zr‐0.06Scで観察される通り、析出物の溶解のため、急速に低下する。均質化されたAl‐0.06Zr‐0.06Scの31.5±0.2MSm-1の導電率は、Al‐0.06Zr‐0.05Sc‐0.01Er(合金2)およびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Er(合金3)それぞれの値である32.6±0.2MSm-1および33.0±0.2MSm-1より著しく低い。これは、溶質のマトリクスを奪い、導電率を増加させる、Er含有合金中のAl3Er(L12)の一次析出の結果である。
450℃のピーク強度まで等時時効処理されたAl‐0.06Zr‐0.06ScおよびAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erのナノ構造を3D LEAP断層撮影法で得た。Al‐0.06Zr‐0.06Sc合金は、3.1±0.4nmの平均半径<R>および0.251±0.002%の体積分率φで、2.1±0.2×1022-3の析出物の数密度Nvを有する。Al‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erの数密度は8.6±1.5×1021-3より小さく、平均半径および体積分率の値はそれぞれ3.4±0.6nmおよび0.157±0.003%である。Er含有合金は、凝固および均質化中のErの一次析出のため(図1)マトリクス溶質過飽和が小さいので、析出物の数密度および体積分率が小さい。3D LEAP断層撮影結果から得られたマトリクス/析出物界面の濃度プロファイルを図3に示す。予測通り、Al‐0.06Zr‐0.06Scにおける析出物は、Zr富化シェルによって包囲されたSc富化コアで構成され、析出物の平均組成は71.95±0.10at.%のAl、5.42±0.05at.%のZr、および22.63±0.09at.%のScである。Al‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erにおける析出物は、Sc富化内側シェルおよびZr富化外側シェルによって包囲されたEr富化コアで構成され、析出物の平均組成は73.27±0.15at.%のAl、5.01±0.07at.%のZr、18.96±0.13at.%のSc、および2.75±0.05at.%のErである。
(400℃での等温時効処理)
ビッカース微小硬度および導電率によって監視した、400℃で0.5分から256日までの時効時間の等温時効処理中の合金の析出挙動を図4に示す。合金1(Al0.06‐Zr‐0.06Sc)のビッカース微小硬度は、時効時間の全範囲にわたって著しく増加せず、それは、等時時効処理によって達成される強度(図2参照)を考慮すると驚きである。合金1の導電率は400℃の時効処理の最初の0.5時間で変化せず、その後の64日間にわたって着実に増大する。Scの濃度が0.06〜0.07at.%の希薄Al‐Sc合金の小さい強度は、不適切な溶質の過飽和の結果であることが以前から観察されており、結果的に大きい析出物の小さい数密度がもたらされ、それは材料を著しく強化しない。およそ50nmの大きい半径を有する析出物は、非平衡突起付き立方体様形態を有する。この形態は、マトリクスおよび析出物の弾性定数の異方性に順応する成長の不安定さのためであると考えられる。
400℃での等温時効処理中の2つのEr含有合金(合金2および3)の微小硬度値は、時効時間の全範囲にわたって同等である。両合金は0.5分後に、導電率の増加と共に微小硬度の増加を示す。0.5時間の時効処理後に、合金1および2の微小硬度値はそれぞれ422±12MPaおよび414±11MPaである。これは、微小硬度が0.5時間後に均質化された値199±14MPaを超えて増大せず、かつ8日後に400℃でわずか243±3MPaのピーク微小硬度に達するErを含まない合金(合金1)とは、きわめて対照的である。対照的に、合金2の微小硬度は2日後に461±15MPaの値でピークに達し、400℃で64日間の時効処理後に、438±21MPaへとわずかに低下する。合金3は1日の時効処理後に451±11MPaの最大微小硬度を有し、かつ400℃で64日後に、不確実性の範囲内で448±21MPaの同一微細硬度を有する。合金2および3の微小硬度値は、128日および256日の時効処理時間に、析出物の粗大化のため低下する。合金2および3の導電率は、最初の1〜2日間にわたって、析出が進行するので着実に増大する。2日から64日の間に、両方の合金の導電率は停滞状態に達し、利用可能な溶質の大部分が溶液から析出されたことを示す。合金2および3の導電率は、合金が徐々に平衡に近づき続けるので、128日間および256日間の時効処理後にわずかに増加する。
0.5時間および64日間400℃で等温時効処理した合金3のナノ構造を、3D LEAP断層撮影法を用いて比較した。3D LEAP断層撮影画像および関連する濃度プロファイル(図5)から、0.5時間の時効処理後に、析出物がSc富化シェルで包囲されたEr富化コアで構成されることは明らかである。0.5時間の時効処理後に、合金3は、3.7±0.3nmの平均半径および0.144±0.006%の体積分率で、5.4±1.7×1021-3の析出物の数密度を有する。400℃で64日後に、6.1±1.9×1021-3の数密度および3.8±0.4nmの半径は不確実性の範囲内で変化しないが、体積分率は0.207±0.007%に増加する。
400℃で0.5時間の時効処理後に、合金3の析出物はSc富化シェル構造で包囲されたEr富化コアで構成され、平均析出物組成は73.02±0.20at.%のAl、0.64±0.04at.%のZr、22.25±0.19at.%のSc、および4.08±0.09at.%のErである。400℃で64日後の平均析出物組成、70.46±0.22at.%のAl、6.55±0.12at.%のZr、19.75±0.19at.%のSc、3.24±0.09at.%のErは、Zr富化外側シェルの析出を反映し、それは析出物の粗大化耐性をもたらす。0.5時間から64日の間にZr濃度が167±14at.ppmから35±15at.ppmに低下し、かつSc濃度が70±6at.ppmから25±6at.ppmに低下することから明らかな通り、析出が進行するにつれて、マトリクスからScおよびZrが枯渇する。
合金1〜3の析出挙動は、図4に示す通り、400℃で3つの異なる発達段階を呈する。Er含有合金では、0.5分の短い潜伏期間に続いて、最初の1時間にわたってErおよびScの析出に関連して微小硬度および導電率が急激に増加し、その後、Zrの析出のため、導電率の増加は鈍化する。合金1では、0.5時間の潜伏期間に続いて、0.5時間から24時間まで、溶液からScが析出するにつれて、導電率が急激に増加し、その後、Zrの析出のため、導電率の増加は2回目の鈍化を示す。
(2段等温時効処理)
次の2段階熱処理を実施した。すなわち、(i)400℃で合金1の微小硬度を向上する。(ii)合金2および3のナノ構造およびしたがって微小硬度を最適化する。
熱処理の第1段階は300℃で24時間実行した。この第1段階の目的は、できる限り低い温度で固溶体からErおよびSc原子を析出して、溶質の過飽和およびしたがって析出物の数密度を最大にすることである。Zrは300℃で24時間にわたってAl中で実質的に不動であり、二乗平均平方根(RMS)拡散距離が1.5nmであるのと比較して、ScおよびErそれぞれのRMS拡散距離は56nmおよび372±186nmである。
Zrを析出するように計画された熱処理の第2段階は、400℃で0.5時間から64日間の範囲の時効処理時間実行した。400℃で、24時間後のZrのRMS拡散距離は64nmであり、300℃で24時間経過時のScのRMS拡散距離の56nmに匹敵する。ビッカース微小硬度および導電率によって監視した第2段階中の析出応答を図6に示す。
2段階の300℃/400℃の熱処理後の合金1の微細硬度(図6)は、400℃で1回の等温時効で測定された値(図4)と比較して顕著に改善される。300℃で24時間後に、合金1の微小硬度は523±7MPaであるのと比較して、400℃で24時間後には236±3MPaである(図4)。300℃での時効処理は、等時時効中に得られたような著しい数密度(1021〜1022-3)の球状析出物を析出するのに充分な溶質の過飽和をもたらす。400℃で8時間の第2熱処理後に、微小硬度は561±14MPaの最大値に達し、400℃で64日後に533±31MPaまでごくわずかに低下する。
Er含有合金(合金2および3)は400℃で8時間の時効処理後にピーク微小硬度に達し、合金2および3の値はそれぞれ507±11MPaおよび489±11MPaである。これらのピーク値は、400℃での単一段階の等温時効で達成された値(461±15MPaおよび451±11MPa)より大きい。2段階時効処理を受けたEr含有合金(合金2および3)は、400℃で64日後に、合金2の場合507±11MPaから464±23MPaへ、合金3の場合489±11MPaから458±19MPaへの微小硬度ごくわずかな低下を経験する。
したがって、ZrおよびErはAl‐Sc系におけるScの有効な代替物である、400℃で64日間時効処理されたAl‐0.06Zr‐0.04Sc‐0.02Erで全析出溶出含有量の33±1%を占める。Al‐Sc‐Zr系へのErの添加は結果的に、Sc富化内側シェルおよびZr富化外側シェルによって包囲されたEr富化コアで構成されるナノ構造を持つコヒーレントな球状のL12型配列析出物の形成をもたらすことが明らかになった。このコア/二重シェル構造は時効処理により、溶質元素がそれらの拡散率(DEr>DSc>DZr)に従って順次析出するにつれて形成される。コア/二重シェル構造は、400℃で少なくとも64日間粗大化耐性を維持する。
〔合金4および5〕
(合金の組成および処理)
2つの合金を、Al‐0.06Zr‐0.06Sc‐0.04Si(「合金4」)(比較例)およびAl‐0.06Zr‐(0.05Sc‐0.01Er)‐0.04Si(「合金5」)の原子パーセント(「at.%」)単位の組成式で作成した。合金4および5を99.99at.%の純Al、99.995at.%のSi、およびAl‐0.96at.%Sc、Al‐3at.%Zr、およびAl‐78at.%Er母合金から900℃の温度まで誘導溶融した。2つの合金を200℃に予熱した鋳鉄鋳型に流し込んだ。直流プラズマ発光分光法(「DCPMS」)および三次元局部電極原子プローブ(「3D LEAP」)断層撮影法によって測定された鋳放し状態の合金4および5の組成を表2に提示する。合金4および5の不純物の鉄の含有量は0.006at.%であった。

鋳造合金を空気中で640℃で72時間均質化し、次いで周囲温度まで水焼入れした。300℃で4時間の後に425℃で8時間の2段階時効処理を使用して、上述の通り、ピークの強度および粗大化抵抗を達成した。第2段階の425℃の温度は、最終時効温度が400℃のクリープ試験温度より高くなるように選択された。
(微細構造の観察)
1μm表面仕上げに研磨された試料の微細構造は、エネルギ分散X線分光法(EDS)用のOxford Instruments社製INCAx‐act検出器を装備した日立S3400N‐II顕微鏡を用いてSEMにより撮像した。研磨された試料は次いで、それらの粒界を露呈させるために、ケラー試薬を用いて30秒間エッチングした。ビッカース微小硬度の測定は、Duramin‐5微小硬度計(Struers社)で、1μ表面仕上げに研磨された試料に5秒間加えられる200gの荷重を使用して実行した。試料毎に幾つかの結晶粒にわたって15回の押し込みを行った。
三次元局部電極原子プローブ(3D LEAP)断層撮影のための試料は、ブランクをダイヤモンドソーにより0.35×0.35×10mm3の寸法に切断することによって作成した。三次元局部電極原子プローブ(3D LEAP)断層撮影のための試料は、ブランクをダイヤモンドソーにより0.35×0.35×10mm3の概寸に切断することによって作成した。これらの試料は、酢酸中の過塩素酸10%溶液を使用し、続いてブトキシエタノール中に過塩素酸2%の溶液を使用して、室温で、DC8〜20Vで電解研磨した。LEAP4000X Si X断層撮影装置(Cameca社, Madison, WI)により、35Kの試料温度で、250kHzのパルス繰返し率、20%のパルスフラクション、および1パルス当たり0.04イオンの蒸発率を用いて、パルス電圧3D原子プローブ断層撮影法(「APT」)を実行した。3D LEAP断層撮影データはソフトウェアプログラムIVAS3.4.1(Cameca社)により解析した。マトリックス/析出物異相界面をAl等濃度面により描き、近接ヒストグラム(プロキシグラム)法により組成プロファイルを得た。全ての量に対する測定誤差は計数統計および標準誤差伝搬技術に基づいて算出した。
3D LEAP断層撮影法によりAl中のSi濃度を測定する従前の試みでは、予想された名目値およびDCPMSによって測定された値の両方より小さい測定値が得られた。われわれが採用した3D LEAP断層撮影動作条件の場合、Siはもっぱら28Si2+として蒸発し、質量スペクトルにおけるそのピークは27Al2+のピークの崩壊テール(decay tail)に位置し、濃度測定の精度をさらに低下させる。Si2+の濃度は名目値およびDCPMS測定値の両方より低いと測定される(表2)。
(クリープ実験)
直径10mmおよび高さ20mmの円筒状試料に、400±1℃で定荷重圧縮クリープ実験を実施した。試料を3ゾーン炉で加熱し、試料から1cm以内に配置した熱電対により温度を確認した。試料を窒化ホウ素潤滑アルミナプラテンの間に配置し、死荷重を用いて圧縮クリープフレームでNi超合金のラムによって一軸圧縮を掛けた。試料を6μmの分解能を持つ線形可変変位トランスデューサにより監視し、結果的に3×10‐4の最小の測定可能な歪み増分を得た。測定可能な定常状態の変位速度が適切な期間にわたって達成されたときに、加えられる荷重が増大した。したがって、単一の試料は一連の増大する応力レベルに対して最小限のクリープ速度を生じ、その終了時に歪みは11%を超えなかった。所与の荷重における歪み速度は、二次または定常状態クリープ領域の歪み対時間プロットの勾配を測定することによって得た。
(微細構造)
ピーク時効処理されたErを含まない合金(合金4)およびErを含む合金(合金5)の微細構造を図7aおよび図7bにそれぞれ示す。両合金の結晶粒は冷却方向に沿って半径方向に伸長し、鋳造合金に対して予想される通り、ビレットの中心の結晶粒は小さい。合金5は合金4より小さい結晶粒を有し、ビレット断面の結晶粒を係数することによって求めた0.5±0.1結晶粒mm‐2と比較して、より大きい結晶粒密度2.1±0.2を持つ。合金5のより微細な結晶粒構造は、図7Cに見える、痕跡量のScおよびZrを持つ直径約2μmの粒界Al3Er析出物のためであり、組成は半定量的EDSによって確認される。これらの粒子は凝固後および/または均質化中の結晶粒の成長を阻害する。そのような一次析出物は合金4では観察されず、凝固および熱処理中に合金5の溶解限度を超えたことを示した。ScおよびZrの添加は、二元Al‐Er合金中のErの0.046at.%の溶解度を著しく低下させた。3D LEAP断層撮影法によって測定したピーク時効処理されたEr含有合金(合金5)のマトリクス中のEr濃度は0.0044±0.0005at.%である。
したがって、0.01at.%Erの名目値の半分未満が、時効処理により形成されるナノスケール析出物に利用可能である一方、残部はより粗大な一次Al3Er析出物に存在する。合金5はまたサブミクロンの粒内Al3Er析出物をも含む(図7C)。それはおそらく凝固中のミクロ偏析の結果である。希薄Al‐Zr‐Sc‐Er合金中で最初に形成される固体はZrが豊富であり、結果的にScおよびEr富化樹枝状結晶間領域によって包囲されたZr富化樹枝状結晶で構成される微細構造が得られる。
要するに、Al3Er一次析出物の存在は結晶粒を微細化し、ナノスケール析出を強化するために利用可能な有効Er濃度を低減させる。以下では、組成式は合金を標識化するために使用される。
(ピーク時効処理された合金のナノ構造)
300℃で4時間および425℃で8時間の等温時効処理後の合金4および5のナノ構造を、3D LEAP断層撮影法を用いて比較した。Erを含まない合金(合金4)の球状析出物は、図8に示す通り、Zr‐富化シェルによって包囲されたSc‐富化コアで構成される。析出物は2.4±0.5nmの平均半径、2.5±0.5×1022m‐3の数密度、および0.259±0.007%の体積分率を有する。Er含有合金(合金5)の球状析出物は、Zr富化シェルで包囲されたErおよびScの両方が豊富なコアで構成され、2.3±0.5nmの平均半径<R>、2.0±0.3×1022m‐3の数密度Nv、および0.280±0.006%の体積分率φを有する。ケイ素は析出物相を分割し、どちらの合金でも析出物コアまたはシェルに対する選好を示さない。
2つの合金の析出物およびマトリクス組成は、全ての合金化添加物(Si、Zr、Sc、およびEr)が析出物相を区切ることを実証する。107±12at.ppmのZr、32±4at.ppmのSc、および7±4at.ppmのErの組成を持つEr含有合金(合金5)のマトリクスは、153±28at.ppmのZr、89±14at.ppmのScの組成を持つErを含まない合金(合金4)の場合より、溶質が枯渇する。
(ピーク時効処理条件)
合金4および5の鋳放し状態の微小硬度値はそれぞれ256±4MPaおよび270±8MPaである。これらの微小硬度値は、匹敵する210〜240MPaの溶質含有量を持つ従前の鋳放し状態の希薄Al‐Sc‐X合金より大きい。大きい微小硬度値は、おそらく、300℃で時効処理したAl‐0.06Zr‐0.06Sc(at.%)合金における析出物の核形成を促進するSiの添加の結果として、早期クラスタ化または析出の証拠である。均質化およびピーク時効処理の後、本合金の微小硬度値はそれぞれ627±10MPaおよび606±20MPaに増大する。
図9は、ピーク時効状態で試験した合金4および5の400℃における最小圧縮歪み速度対一軸圧縮応力を表示する。合金4の転位上昇制御クリープのみかけの応力指数(7〜13MPaの範囲にわたって測定された)は16±1であり、それは、Alに対して予想される応力指数の4.4より著しく大きい。予想された応力指数より大きかったのは、以前に他のAl‐Sc系合金で測定された応力指数であったが、それは、それより下では転位クリープが実験室タイムフレームで測定不能であるクリープの限界応力を示している。
400℃でのクリープ試験後の合金4および5の微細構造を図7Dおよび図7Eにそれぞれ示す。400℃でのクリープ後に、合金4の結晶粒(図7D)は、クリープ前の0.5±0.1結晶粒mm-2(図7A)と比較して、0.6±0.1結晶粒mm-2で変わらないようである。クリープ後の合金5の結晶粒(図7E)は再結晶化を受け、その結果、結晶粒密度はクリープ前の値の2.1±0.2結晶粒mm-2(図7B)から3.6±0.2結晶粒mm-2に増加する。粒界Al3Er析出物はクリープ後に維持される(図7F)。
(過時効処理状態)
合金5の拡散クリープ領域でより多くのデータを収集するために、別のピーク時効処理された試料に、400℃でより低い6MPaの負荷応力から開始する2回目の一連のクリープ実験を実施した。1.2±0.2×10-8-1の略一定の歪み速度を生じる6〜8.5MPaの範囲の4つの応力について、圧縮クリープデータを325時間にわたって収集した。ここで、誤差は結果的に得られる4つの歪み速度の標準偏差である。増大する負荷応力に対する一定の歪み速度は、クリープ試験中の微細構造の発達すなわち結晶粒の成長を示している。所与の応力における拡散クリープ速度は結晶粒の粗大化と共に低下するので、結晶粒の成長は、6から8.5MPaの間で測定される略一定の歪み速度を説明することができる。
次いで負荷応力を取り除き、転位微細構造の完全な回復を考慮に入れて、試料をクリープフレーム内に400℃で48時間保持した。そのときまでに400℃で373時間(15.5日間)処理され、以下で「過時効」と標識化される試料のクリープ試験を再開し、約6MPaの応力から始め、672時間(28日間)続け、その大部分は13MPa未満であった。過時効処理された試料に対するこの一連の試験の結果を図10に示し、ピーク時効処理された合金について得られた結果と比較する。測定された応力に対し、過時効処理されたEr含有合金 (合金5)のクリープ速度は、ピーク時効処理状態より遅く、場合によっては約3桁遅い。高応力(14〜18MPa)時の転位クリープ領域では、29±2の見かけの応力指数は再び限界応力を示し、それは13.9±1.6MPaであることが決定される。低応力(6〜11MPa)時の拡散クリープ領域では、見かけの応力指数は2.5±0.2であり、限界応力は4.5±0.8MPaである。11MPaから13MPaの間で拡散クリープと転位クリープとの間の遷移領域が観察され、それはピーク時効試料には存在しなかった。
400℃で合計1045時間(43.5日間)クリープフレームに置かれた過時効処理合金の微細構造を図7Gに示す。ピーク時効処理状態(図7B)と比較して、粒界における空隙の形成および粒内Al3Er析出物の顕著な粗大化の証拠が存在する。空隙の形成は、圧縮クリープ試験中の試料のわずかな樽状化の結果生じる、加えられる圧縮荷重に対して垂直に発生する引張応力によるものである。これらの空隙はかなりの歪みが試料に蓄積された後で形成されるようであり、それらは、最高応力で測定される最後の数個のクリープデータ点に影響を及ぼすことがあり、結果的に歪み速度が予想より高くなる。過時効処理された試料は、400℃で1075時間のクリープの後、予想通りピーク時効値の606±20MPaより低い436±10MPaの微小硬度を示す。
400℃に1045時間さらされたEr含有合金(合金5)の結晶粒はわずかに大きく、123時間さらされたEr含有試料の3.6±0.2結晶粒mm-2と比較して、より大きい3.1±0.2結晶粒mm-2の結晶粒密度を持つ。クリープを受けた材料の3D LEAP断層撮影解析は析出物の2±1×1021-3の数密度を明らかにした。ここで高度の誤差は、5千万個の原子データセットでわずか5つの析出物しか検出されなかったためであり、それらは全てチップボリューム(tip volume)によって部分的にしか拘束されない。不充分な析出物統計を考慮すると、詳細な組成および構造の解析は不可能であるが、析出物の半径は3D LEAP断層撮影法による再構成から目測で5〜10nmであると推定された。析出物の体積分率がピーク時効および過時効された試料に対して一定であると仮定し、2±1×1021-3の測定数密度を使用すると、球状析出物に対して上記推定と充分一致する6〜9nmの半径が算出される。
したがって、スカンジウム、ジルコニウム、エルビウム、および任意選択的にケイ素を添加した開示されるアルミニウム合金は、昇温で優れた機械的強度および耐クリープ性を示す。
開示されるアルミニウム合金および方法の様々な態様を示しかつ記載したが、当業者は、本明細書を読むことで、変形例を思いつくであろう。本願はそのような変形例を包含し、特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (6)

  1. 0.0394〜0.1at.%(0.05at.%以下の範囲は除く)のスカンジウムと、
    0.0198〜0.1at.%(0.06at.%以下の範囲は除く)のジルコニウムと、
    0.0038〜0.05at.%(0.02at.%以下の範囲は除く)のエルビウムと、
    残部としてアルミニウム及び検出限界未満の不純物と、
    からなるアルミニウム合金。
  2. 前記アルミニウム合金に鉄が前記不純物として存在する、請求項1に記載のアルミニウム合金。
  3. 0.0394〜0.1at.%(0.05at.%以下の範囲は除く)のスカンジウムと、
    0.0198〜0.1at.%(0.06at.%以下の範囲は除く)のジルコニウムと、
    0.0038〜0.05at.%(0.02at.%以下の範囲は除く)のエルビウムと、
    0.033〜0.1at.%(0.04at.%以下の範囲は除く)のケイ素と、
    残部としてアルミニウム及び検出限界未満の不純物と、
    からなるアルミニウム合金。
  4. 前記アルミニウム合金に鉄が前記不純物として存在する、請求項3に記載のアルミニウム合金。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム合金を形成するための方法であって、
    スカンジウム、ジルコニウム、エルビウム、および任意選択的にケイ素を添加したアルミニウムの溶融塊を形成するステップと、
    前記溶融塊を冷却して固体塊を形成するステップと、
    前記固体塊を600〜660℃の温度にて均質化した後、周囲温度まで水焼入れするステップと、
    前記固体塊を275℃から325℃の範囲の温度に第1の所定時間だけ維持する第1熱処理ステップと、
    前記第1熱処理ステップ後に、前記固体塊を375℃から425℃の範囲の温度に第2の所定時間だけ維持するステップと、
    を含む、アルミニウム合金を形成するための方法。
  6. 前記第1の所定時間が2時間ないし8時間であり、前記第2の所定時間が4時間ないし12時間である、請求項5に記載の方法。
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