ゆえに、本発明の実施形態の目的は、既知の構成の1または複数の欠点を克服または少なくとも改善し、あるいは少なくとも有用な選択肢を公衆に提供するコンバータを提供することである。
さらなる目的は、以下の説明によって明らかになる。
第1の態様において、電源からの入力電力を受け取るための入力と、変換された電力を負荷に供給するための出力と、入力電力を変換された電力に選択的に変換するために入力および出力に結合された能動スイッチドコンバータサブ回路と、受動スイッチドコンバータサブ回路および能動スイッチドコンバータサブ回路に結合されたパルス発生器を備える、能動スイッチドコンバータサブ回路を制御するための制御サブ回路とを備える電気コンバータ回路が提供される。
実施形態において、受動スイッチドコンバータは入力に結合され、パルス発生器に供給するために入力電力の一部を変換する。あるいは電気コンバータ回路は、受動スイッチドコンバータサブ回路に選択的に電力を供給するための発電機をさらに備えてよい。
実施形態において、能動スイッチドコンバータサブ回路は、スイッチ、誘導子、およびダイオードを備える。特に、能動スイッチドコンバータサブ回路は好適には、スイッチ、誘導子、およびダイオードを降圧コンバータ構成で備える。
実施形態において、パルス発生器は、スイッチの動作を制御するためにスイッチのゲートに結合される。
実施形態において、受動スイッチドコンバータサブ回路は、変圧器に結合された受動スイッチングサブ回路を備える。
受動スイッチングサブ回路は、スパークギャップ、ブレークオーバダイオード、放電管、ブレークオーバダイオードとして用いられる浮遊ゲート端子を有するサイリスタの1つを備える。
実施形態において、受動スイッチングサブ回路は、制御サブ回路への入力が第1の閾値を超えると導電し、制御サブ回路への入力が第2の閾値を下回ると導電を停止する。
実施形態において、電源は、間欠または振動DC電源を備える。特に電源は、誘電性エラストマー発電機または圧電型発電機を備える。
実施形態において、パルス発生器は、受動スイッチドコンバータサブ回路によって電力供給されるとパルス波を生成する。パルス波は、予め定められた一定のまたは調整可能なデューティサイクルを有してよい。
実施形態において、制御サブ回路は、能動スイッチドコンバータサブ回路の開ループ制御を提供する。
あるいは電気コンバータ回路は、制御回路に結合された出力センサをさらに備えてよく、制御回路は、能動スイッチドコンバータサブ回路の閉ループフィードバック制御を提供してよい。
他の態様において、電源に結合するための入力および負荷に結合するための出力に結合され、入力電圧からの電力を負荷のための出力電圧に変換するように構成されたスイッチドコンバータ回路と、入力における入力電圧に依存してスイッチドコンバータ回路を制御するためのコントローラとを備える、間欠電源からの入力電力を負荷のための異なる電圧に変換するための電気コンバータが提供される。
実施形態において、コントローラは、入力電圧が既定の閾値を超えるとスイッチドコンバータ回路を作動させるように構成される。この方法では、スイッチドコンバータ回路は、変換すべき使用可能な電力が存在する場合のみ用いられてよい。したがってスイッチドコンバータ回路は使用中でない時に電力を消費せず、その結果、待機電力消費が抑えられる。一方、コンバータは使用中、変換するための使用可能な電力が存在する場合、効率の良い電力変換を提供する。これは、有用な電力が通常ほんの僅かな時間しか提供されない、たとえば靴ヒール部発電機などの間欠電源と併用される場合に有利である。しかしこの実施形態は、他のアプリケーションにも有用である。
実施形態において、コントローラは、ドライバ回路に結合されたトリガ回路を備え、トリガ回路は入力電圧に応じてドライバ回路を制御するように構成され、またドライバ回路はコンバータ回路のスイッチの切換えを制御するように構成される。
実施形態において、トリガ回路は、入力電圧が既定の閾値を超えると導電するように構成された受動スイッチを備える。トリガ回路は、受動スイッチに接続された誘導素子を備えてよく、受動スイッチは、スパークギャップ、ブレークオーバダイオード、放電管、浮遊ゲート端子を有するサイリスタの1または複数から選択される。
実施形態において、ドライバ回路はパルス発生器を備える。これは、当業者によって理解されるように、スイッチドコンバータ回路を構成するための既知のパラメータに従ってパルス周波数およびデューティサイクルを生成するように構成される。スイッチドコンバータ回路の例は、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、昇降圧コンバータを含む。
本明細書で定義されるような電気コンバータに結合された間欠電源を備える給電装置も提供される。上述したように、これは、靴ヒール部発電機、風力発電機、身体運動発電機などであってよい。これは、変形可能なコンデンサとして実現されてよく、給電装置は、変形可能なコンデンサに結合されプライミング電圧を電源に供給するように構成されたプライミング回路をさらに備える。変形可能なコンデンサの例は、たとえば誘電性エラストマー発電機(DEG)を形成する構成の誘電性エラストマーである。
間欠電源のための電力ハーベスティング回路も提供され、回路は、電源にプライミング電圧を供給するように構成されたプライミング回路と、電源に結合するための、電源からの入力電力を負荷のための異なる電圧に変換するように構成された、本明細書で定義するようなコンバータとを備える。
全てがその新規態様として考慮すべきものである本発明のさらなる態様は、以下の説明によって明らかになる。
以下、本発明の数々の実施形態が、図面を参照することによって例示的に説明される。
本説明を通して、類似した参照番号は、異なる実施形態における類似した特徴に言及するために用いられる。特に明記されない限り、本説明および特許請求の範囲を通して「高電圧」、「低電圧」などの用語は相対的意味において用いられ、それぞれの電圧を任意の特定の範囲に限定するものとしては意図されていない。
本発明の実施形態は、限られたエネルギーの低電力DC電源に結合された電圧コンバータとしての使用に特に適したコンバータを提供する。この文脈における限られたエネルギーの電源は、電力を継続的に供給しない電源である。以下の説明のために、限られたエネルギーの電源は、そこからエネルギーを得ると電圧が急降下する、少量の蓄積エネルギーを有する小型コンデンサに等しいものとして考えられてよい。すなわち、電力は、たとえば発電プロセスの循環性質および/または機械エネルギーの間欠的すなわち予測不能な適用に起因して、間欠的にしか使用できない。
初めに図2を参照すると、実施形態に係るコンバータ20のブロック図が示される。コンバータ20は、入力を受け取り、入力を別の電圧または電流に変換し、変換した入力を出力に供給する能動スイッチドコンバータ21を備える。能動スイッチドコンバータ22は、たとえば図4に示すような降圧コンバータ構成におけるスイッチS、誘電子L、およびダイオードDを備えてよい。しかし能動スイッチドコンバータ21は、それら特定の部品や構成に限定されず、たとえばサブ回路が代替的に昇圧または昇降圧コンバータを備えてもよい。
既知の降圧、昇圧、昇降圧、または同様のコンバータにおいて、スイッチSの動作は通常、比例積分偏差(PID)または同様の制御スキームを用いて、図1に示すようなコンバータの出力によるフィードバックに基づいて制御される。したがってコントローラは、出力を調整するための適切なデューティサイクルを決定するために別個の低電圧給電装置を必要とする。
しかし本実施形態によると、能動スイッチドコンバータ21の動作は、受動スイッチドコンバータ22およびパルス発生器23によって制御される。
受動スイッチドコンバータ22は好適には、能動スイッチドコンバータ21と同じ入力に結合され、入力をパルス発生器のために適切な電圧に変換する。受動スイッチドコンバータは、入力電圧が既定の閾値を超えると能動スイッチドコンバータ(またはスイッチドコンバータ回路)の動作をトリガするように構成される。そのような受動スイッチドコンバータまたはトリガ回路の例が以下で詳述される。トリガ回路の追加の例は、WO2013/055238号にも記載される。
受動スイッチドコンバータまたはトリガ回路22の例示的な概略図が図3に示される。この例において、受動スイッチドコンバータ22は、受動スイッチング回路に結合された1次巻線LPを有する変圧器T1を備える。この実施形態において、受動スイッチング回路は、1次巻線LPと直列にスパークギャップSPを備える。あるいは受動スイッチング回路は、ブレークオーバダイオード、放電管、ブレークオーバダイオードとして用いられる浮遊ゲート端子を有するサイリスタなどを備えてもよい。
変圧器T1は好適には、ダイオードDSを介して出力に結合される2次巻線を有する。当業者には明らかであるように、たとえば全波整流ダイオードネットワークなどの追加の回路(不図示)は、2次巻線が負分極になる事象において負荷に電流を供給するために2次巻線を出力に結合するために代替的に用いられてよい。
初めに、入力に小さい電圧Vinしかない場合、スパークギャップSPは、1次巻線LPを流れる電流を防止する開回路として機能する。入力電圧Vinが第1の閾値(この場合、たとえば約1kVであるスパークギャップのブレークダウン電圧)を超えると、スパークギャップSPはブレークダウンし、電流を導電する。すなわち、イオン化空気がギャップを横切る導電路を生じ、それによってギャップの電気抵抗が大幅に減少する。
スパークギャップSPがブレークダウンすると、低抵抗導電路が形成され、入力が1次巻線LPに結合される。
電流はスパークギャップSPを通って導電され、入力電圧Vinは1次巻線LPによって導電される。これは、Voutで表される、出力に供給される2次巻線LSにおける正電圧を誘導する。出力電圧は主に、第1の閾値(たとえばスパークギャップSPのブレークダウン電圧)および変圧器T1の巻数比nに依存する。スパークギャップのブレークダウン電圧は、たとえば、ギャップ(すなわち距離)、電極間にある気体、および電極のジオメトリに依存する。
スパークギャップSPは、入力が第2の閾値を下回ると、この場合はスパークギャップを流れる電流がスパークギャップの保持電流を下回ると、導電を停止する。変圧器T1が自身の蓄積エネルギーの全てを放出すると、1次巻線LPを流れる電流が停止し、スパークギャップSPは非導電開回路状態に入る。
受動スイッチドコンバータまたはトリガ回路22の動作はこのように、第1の閾値を超える入力電圧によってトリガされ、コンバータ20の出力電圧の限られた制御を提供する。したがって受動スイッチング回路は好適には、コンバータの意図された使用に適切な第1の閾値を有するように選択または設計される。
再び図2を参照すると、受動スイッチドコンバータ22の出力はパルス発生器23に給電するために供給され、パルス発生器23は、能動スイッチドコンバータ21の動作を制御するために能動スイッチドコンバータ21に、具体的にはソースとドレーンとの間のスイッチSの導電を制御するためにスイッチSのゲートに供給される既定のまたは選択されたデューティサイクルのパルス列を生成する。スイッチSは好適には、誘導子Lの飽和限度を回避するために比較的短時間オンにされる高速トランジスタである。
パルス発生器23のデューティサイクルは、出力の電圧および電流に影響する。これは、コンバータの調整を可能にするために(たとえば電位差計を用いて)調整可能であるか、あるいは固定されてよい。スイッチドコンバータ回路の切換えを駆動するのに適したパルス発生器は当業者には既知であり、ここでは詳述されない。スイッチング信号またはパルスは、所望の出力電圧波形を生成するために周波数および持続期間によって調整されてよい。任意の適切なパルス発生回路が用いられてよい。
本実施形態のコンバータの動作は、誘電性エラストマー発電機(DEG)を基礎としたエネルギーハーベスティングシステムにおける例示的なアプリケーションを参照して以下で説明される。
誘電性エラストマー発電機(DEG)は、高電圧、限られたエネルギー、低電力の電源の例である。それらは、機械エネルギーを電気エネルギーに変換することができるエネルギーハーベスタまたは発電機の種類である。DEGは、両面にコンプライアント電極を有する、(その平面積に関して)薄く弾力性のある誘電性エラストマー膜を備える。実際には、DEGは可変コンデンサであり、その静電容量は機械的歪み(すなわち膜の変形)に伴い変化する。DEGは、その中に蓄積された電力量を増加させることによって電気エネルギーを生成する。DEGを延伸することによって機械エネルギーがDEGに加えられる。その結果、電極の平面的な広がりおよび膜の直交圧縮が生じ、静電容量の増加を引き起こす。その後電気エネルギーは、対向する電極が反対に帯電するように電源から充電またはプライミングすることによってDEGに入力される。DEGの弛緩は、対向する電極における反対の電荷(+と−)を引き離し、各電極における同種の電荷を平面的な収縮によって互いに近づけさせることによって、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。電気エネルギーが抽出され、サイクルは繰り返す。DEGは通常、発電量を増加させるために高電圧(一般的に数キロボルト)で動作する。DEGは基本的に可変コンデンサ発電装置である。電力を生成するために、DEGの電極はまずバイアス電圧またはプライミング電圧を帯電させられ、次に、反対の電荷が引き離され同種の電荷が互いに近づけられるように変形される。この変形は、電荷に電気エネルギーを付加し、電極全体の電圧を増加させる。
バイアス電圧を供給するためにエネルギーリザーバまたはコンデンサバンクが用いられてよい。これを実現する方法は、バイアス電圧を供給するためにDEGをバッテリに永続的に接続することを含む。DEGは、バッテリが供給できるエネルギー量を効率的に増加させる。バッテリは、エネルギーを使い果たした後、交換または再充電される必要がある。代替的な構成において、バイアス電圧またはプライミング電圧はコンデンサバンクによって供給されてよく、DEGが発電すると、コンデンサバンクに電荷が戻される。損失が存在しない理論上のシステムでは、システム内の総電荷量は一定を保ち、それがエネルギーを増加させるDEGに移動され、その後電荷リザーバに再び戻される。
本実施形態のコンバータ10は、図4の概略図に例として示されるDEGを基礎としたエネルギーハーベスティングシステムの一部を形成する。システムは、DEG40、DEG40に結合されたセルフプライミング回路41、DEG40およびセルフプライミング回路41の両方に結合された入力を有する自己給電コンバータ20、およびコンバータ20の出力に結合された負荷42を備える。受動スイッチドコンバータまたはトリガ回路22と、たとえばパルス発生器23などのドライバ回路とが合わさって、コンバータ20の能動スイッチドコンバータ21を制御するコントローラすなわち制御回路24を形成する。図示しないが、システムは好適には、DEGを最初にプライミングするための電源をさらに備える。この電源は、たとえば他のエネルギーハーベスティング技術またはエネルギー蓄積装置を備えてよい。
セルフプライミング回路41は複数のコンデンサおよび複数のダイオードを備えてよく、それらは、複数のコンデンサの少なくとも2つが、電流が第1の方向に流れると事実上互いに並列であり、電流が第2の方向に流れると事実上直列であるように構成され、それによって回路は、電流が第1の方向に流れる時、電流が第2の方向に流れる時の回路の静電容量よりも大きい静電容量を有し、電流は、静電発電機全体の電圧が100%未満で増加すると第1の方向から第2の方向へ切り換わる。
図6は、実施形態に係るセルフプライミング回路160の回路図である。セルフプライミング回路160は、静電容量Cである2つのコンデンサおよび図示したように配置された3つのダイオードを含む。コンデンサバンクがDEGにプライミング電圧を供給すると、ノードBからノードAへ電流が流れる。この方向に電流が流れる場合、ダイオードによって、コンデンサは電流が考慮される限り事実上並列に配置され、これはエネルギーが高電荷低電圧形式であることを意味する。DEGからコンデンサバンクへエネルギーが戻ると、ノードAからノードBの方向に電流が流れる。この方向に電流が流れる場合、ダイオードの配置は、コンデンサが事実上直列であることを意味し、これはエネルギーが高電圧低電荷形式であることを意味する。しかし、この回路の1つの特徴は、DEGによって生成された電圧における比例変化が、並列状態から直列状態へ変わる際のコンデンサバンク全体の電圧における比例変化よりも大きい必要がある点である。同じ静電容量を有する2つのコンデンサを伴う図6に示す実施形態において、電圧は、システムがセルフプライミングするために2倍になる必要がある。
図7は、他の実施形態に係るセルフプライミング回路170の回路図である。この回路も、図示した配置で複数のコンデンサおよび複数のダイオードを含み、図6に関して上述したものと同様の形式で機能する。コンデンサバンクがDEGに給電すると電流がノードBからノードAへ流れ、この場合、等価回路が図8に示される。エネルギーがコンデンサバンクに戻り、電流がノードAからノードBへ流れる場合、等価回路が図9に示される。
図10は、本発明の実施形態に係る一般的なセルフプライミング回路250の回路図である。必要なパーセンテージ電圧振幅%ΔVDEG_minは、式
に従ってコンデンサバンク内のユニットの数を増やすことによって低減され得る。セルフプライミング回路250は、回路の必要とされるアプリケーションに従って回路が最適化または少なくとも選択されるように、DEGまたは変圧器と併用されてよい。この実施形態において、たとえばコンデンサを回路の内外へ切り換えることによってセルフプライミング回路に含まれるコンデンサの数を変えることができるように、セルフプライミング回路の構造を調整するために制御回路が含まれ得る。
本明細書に記載されるセルフプライミング回路によって、DEGは有利に、電源に絶えず接続され続けずとも実行することができる。また、DEGは2Vから最大kV範囲までセルフプライミングされることができ、その結果、従来の誘電性エラストマー回路に必要な高価なDC−DCコンバータの必要性を回避する。
図11は、DEGからの電圧出力のグラフ270である。出力は、「OC」と付された振動成分および「DC」と付されたDCオフセット成分を有する。振動成分OCの振幅は、DEGが受けるジオメトリ変化の程度およびDC成分の大きさに依存する。DC成分は、関連するセルフプライミング回路にどれほどのエネルギーが蓄積されているかに依存する。DC成分は、DEG変形の頻度および/または大きさを増加させること、または負荷によって得られるエネルギーを低減することによって昇圧され得る。
WO2011/005123号に、追加のプライミング回路の例が記載される。
再び図4を参照すると、使用中、DEG40は静電容量が増加するように変形されるが、DEG40全体の電圧は当初、セルフプライミング回路41の電圧よりも大きいので、セルフプライミング回路からDEGへ流れる電荷は存在しない。DEGが変形し続けるにつれ、静電容量が増加するとともにDEG全体の電圧が減少し、セルフプライミング回路全体の電圧がDEGの電圧を超えるとセルフプライミング回路からDEGへ電流が流れる。DEGは変形力から解放されると弛緩し、その静電容量は減少するが、DEG全体の電圧は当初、セルフプライミング回路の電圧よりも小さいので、DEGからセルフプライミング回路へ流れる電荷は存在しない。DEGが弛緩し続け、DEGの電圧がセルフプライミング回路の電圧を超え始めると、DEGからセルフプライミング回路へ電流が流れる。
DEG40およびセルフプライミング回路41全体の電圧は、(DEG40の機械的振動変形を想定すると)振動ごとに増加する。電圧が第1の閾値(たとえば約900Vであってよい、受動スイッチドコンバータ22のブレークオーバダイオードまたは他の受動スイッチング回路のブレークダウン電圧)に達すると、受動スイッチドコンバータがオンになる。少量の高電圧エネルギーが得られ、比較的非効率的ではあるが、低電圧に変換される。この変換された電圧がパルス発生器23に供給され、所望の長さの時間、トランジスタSをオンに切り換える。それによって、DEG40およびセルフプライミング回路41によって蓄積された高電圧エネルギーの一部を負荷42に供給される低電圧により効率的に変換する能動スイッチドコンバータが駆動される。
受動スイッチドコンバータ22および能動スイッチドコンバータ21の出力電圧は、同じであっても異なっていてもよい。
本実施形態のコンバータはこのように、制御回路のための電力が高電圧入力から得られる点において自己給電式であり、かつ、電圧変換が必要な時だけ制御回路に電力が供給される点においてセルフトリガ式である。たとえばヒールストライク発電機などの履物に組み込まれ得る上記例のようなエネルギーハーベスティングシステムにおいて、電圧変換は0.1%未満の確率でしか必要とされない。
実施形態は図面を参照して例示的に説明されたが、特許請求される主題事項の範囲から逸脱することなく、それらへの変更または改良がなされてよいことを理解すべきである。これは、本出願明細書において言及され、または示される部品、要素、および特徴を個々に、あるいはそれら部品、要素、または特徴の2つ以上の任意のまたは全ての組み合わせで集合的に含んでよい。さらに、既知の均等物を有する特定の構成要素または整数値が言及される場合、そのような均等物は、個々に上述されたように本明細書に包含される。
特に、実施形態は、誘電性エラストマー発電機との併用に限定されない。実施形態をそのアプリケーションに適したものにしている特性は、たとえば特に間欠電源からエネルギーを回収する他の発電機技術との併用にも同様に役立ち得る。
他の実施形態において、受動スイッチドコンバータ22は、別個の発電機によって動力供給されてよい。別個の発電機は、たとえば圧電発電機など主要なDEG発電機とは異なる技術に基づいてよい(逆もしかり)。圧電発電機は、必要に応じて制御回路のための電力を生成するように構成されてよく、その場合DEG発電機は変換のための追加の電力を生成する。コンバータ20は、コンバータ20が追加の発電機を備え、たとえばバッテリや外部給電装置などのエネルギー蓄積装置を必要とせずに、必要に応じて機械エネルギーから電気エネルギーが生成されるという意味で自己給電式である。
また他の実施形態において、コンバータ20は、電力消費の増加という代償を払って、出力電圧のより良い調整を提供するために出力電圧センサが追加された閉ループ制御スキームに適用されてよい。
また他の代替的なトリガ回路が図12に示される。これは、変圧器ではなく誘導子に基づく変換回路を含む。受動スイッチ要素S1(この図では一般的な機械スイッチ記号で表されるが、上述した受動スイッチのいずれかまたはそれと同等の受動スイッチを備えてよい)は、入力電圧が第1の閾値に達すると入力Cinを誘導子L1に結合する。エネルギーは誘導子L1に蓄積され、所望の電圧で出力CLに放出される。逆阻止ダイオードD1は、コンバータ回路からの入力Cinにエネルギーが戻されることを防ぐ。フリーホイーリングダイオードD2は、受動スイッチが導電を停止すると誘導子L1全体に生じる大きな負電圧スパイクを防止する。
いくつかの実施形態は、トリガ回路または受動スイッチドコンバータの動作を、入力電圧が既定の閾値を超えると能動またはスイッチドコンバータ回路の動作を引き起こすものとして説明したが、そのような動作はより一般に入力電圧に依存してよい。たとえばある範囲の電圧がスイッチドコンバータ回路を作動させてよく、あるいは様々な閾値電圧が上記条件に依存する。
上記から、制御回路に電力供給するために別個の低電圧給電装置が必ずしも必要ではなく、制御回路が待機電力損失を被ることがないという点で、従来技術におけるスイッチドモード給電装置の問題の少なくとも一部を回避するコンバータが提供されることが分かる。また、この回路は、従来技術によるSMPSコンバータの閉ループ制御に必要な高電圧センサ(および関連する費用や電力損失)を伴わない開ループ制御を提供することも分かる。一方、本発明は、従来技術のリニアレギュレータと比べて大幅に高い効率性を提供する。
文脈が特に明記しない限り、本説明を通して、「備える」、「備えている」などの言葉は、排他的または網羅的意味とは逆の包括的意味、すなわち「含むがそれらに限定されない」という意味で解釈すべきものである。
本明細書を通して従来技術の説明はいずれも、そのような従来技術が幅広く知られており、または本技術分野における共通の一般知識の一部を成すことを認めるものとしてみなさてはならない。